説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、基板上の積層構造の単純化を図る。
【解決手段】電気光学装置は、第1方向(X方向)及び該第1方向に交わる第2方向(Y方向)に沿って配列された複数の画素と、画素毎に夫々対応して設けられた複数のトランジスター(Tr)と、第1方向に沿って配列された画素からなる画素群毎に設けられ、トランジスターのゲート電極に電気的に夫々接続された複数の走査線(11)とを備え、複数のトランジスターのうち第2方向において隣り合う画素に設けられたトランジスターは電気的に互いに直列接続されており、互いに直列接続されたトランジスターのうち第2方向における一端に位置するトランジスターに画像信号を供給する画像信号供給部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクター等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置では、基板上の表示領域に、画素毎に、画素電極、この画素電極の選択的な駆動を行うための走査線、データ線、及び画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)が層間絶縁膜を介して積層構造として作り込まれ、アクティブマトリクス駆動可能に構成される(例えば特許文献1参照)。例えば特許文献1に開示されているように、画素スイッチング用のTFTは、一般的には、そのソースがデータ線に電気的に接続され、そのゲートが走査線に電気的に接続され、そのドレインが画素電極に電気的に接続されており、走査信号に応じてオン状態とされた画素スイッチング用のTFTを介して、データ線から画素電極に画像信号が供給される。
【0003】
前述したような積層構造をとることにより、電気光学装置は、小型でありながらも高精細な画像を表示することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−191200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような積層構造をとる電気光学装置においては、層の数が増加することにより装置構成が複雑化してしまい、製造工程の複雑高度化、製造期間の長期化及びコストの増大等を招いてしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば前述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、基板上の積層構造の単純化を図ることが可能な電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、第1方向及び該第1方向に交わる第2方向に沿って配列された複数の画素と、前記画素毎に夫々対応して設けられた複数のトランジスターと、前記第1方向に沿って配列された前記画素からなる画素群毎に設けられ、前記トランジスターのゲート電極に電気的に夫々接続された複数の走査線とを備え、前記複数のトランジスターのうち前記第2方向において隣り合う前記画素に設けられた前記トランジスターは電気的に互いに直列接続されており、前記互いに直列接続されたトランジスターのうち前記第2方向における一端に位置するトランジスターに画像信号を供給する画像信号供給部を備える。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、例えば基板上の表示領域(或いは「画素領域」とも呼ばれる)に、第1方向(例えば行方向或いはX方向)及び第2方向(例えば列方向或いはY方向)に沿って例えばマトリクス状に複数の画素が配列されており、この画素毎に例えば画素電極及びトランジスターが例えば1つずつ設けられている。複数の走査線は、例えば基板上の表示領域に、第1方向に沿って配列された画素からなる画素群(例えば、行方向に沿って配列された画素行)毎に設けられている。複数の走査線の各々は、対応する画素群(例えば対応する画素行)をなす画素に設けられたトランジスターのゲート電極に共通に電気的に接続されている。トランジスターは、そのゲート電極に例えば走査線駆動回路から走査線を介して所定の第1又は第2電位が供給されることでオン状態又はオフ状態となる。
【0009】
本発明では特に、複数のトランジスターのうち第2方向において隣り合う画素に設けられたトランジスターは電気的に互いに直列接続されており、この互いに直列接続されたトランジスターのうち第2方向における一端に位置するトランジスターに画像信号供給部から画像信号が供給される。
【0010】
よって、例えば、先ず、互いに直列接続されたトランジスターの全てがオン状態となるように複数の走査線の全てに所定の第1電位を供給し、その後、互いに直列接続されたトランジスターのうち第2方向における一端とは異なる他端側から一端側に向かって順番に所定期間毎にトランジスターがオフ状態となるように、複数の走査線に所定の第2電位を供給することで(即ち、第1電位から第2電位へ切り換えることで)、複数の画素の全てに、書き込むべき画像信号を書き込むことができる。したがって、複数の画素が配列された表示領域において画像表示を行うことが可能となる。
【0011】
ここで本発明では特に、画像信号供給部からの画像信号が、互いに直列接続されたトランジスターの一部又は全部を介して各画素に供給される構成を有しているので、例えば、基板上の表示領域に、画像信号を供給するための配線(例えば特許文献1に開示されているデータ線)を第2方向に沿って延びるように設ける必要がない。よって、基板上の積層構造の単純化を図ることが可能となる。
【0012】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、基板上の積層構造の単純化を図ることができる。この結果、製造工程を削減できるとともに、歩留まりを向上させることができる。更に、製造コストの低減を図ることもできる。
【0013】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記画像信号供給部は、表示を行うべき表示期間の前に前記画像信号を供給すべき期間として予め定められた信号供給期間毎に、前記一端に位置する前記トランジスターに前記画像信号として左目用画像信号及び右目用画像信号を交互に供給する。
【0014】
この態様によれば、信号供給期間中に複数の画素電極に左目用画像信号と右目用画像信号とが時分割で交互に供給され、例えば表示領域において左目用画像及び右目用画像が時分割で交互に表示される。よって、例えば液晶シャッター眼鏡を介して左目用画像及び右目用画像を交互に見るユーザーに立体画像(3次元画像)を視認させることができる。即ち、この態様によれば、時分割方式の立体表示装置を実現することができる。
【0015】
なお、「左目用画像信号」は、ユーザーが左目で見るべき左目用画像に対応する画像信号であり、「右目用画像信号」は、ユーザーが右目で見るべき右目用画像に対応する画像信号である。
【0016】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記互いに直列接続されたトランジスターの全てがオン状態となるように前記複数の走査線の全てに所定の第1電位を供給し、その後、前記互いに直列接続されたトランジスターのうち前記第2方向における前記一端とは異なる他端側から前記一端側に向かって順番に所定期間毎に前記トランジスターがオフ状態となるように、前記複数の走査線に前記第1電位とは異なる所定の第2電位を供給する走査線駆動回路を備える。
【0017】
この態様によれば、複数の画素の全ての画素電極に、書き込むべき画像信号を確実に書き込むことができる。したがって、複数の画素が配列された表示領域において、表示すべき画像を確実に表示することができる。
【0018】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、前述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0019】
本発明の電子機器によれば、前述した本発明の電気光学装置を備えるので、高品位な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビューファインダー型又はモニター直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0020】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II’線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示す回路図である。
【図4】第1実施形態における画像信号と液晶シャッター眼鏡の開閉状態との関係を示すタイミングチャートである。
【図5】第1実施形態における画像信号書き込み動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明を、時分割方式の立体表示装置(即ち、3次元(3D)表示装置)として機能する液晶装置に適用した場合を例にとる。
【0023】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図5を参照して説明する。
【0024】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のII−II’線断面図である。
【0026】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100は、表示領域10aにおいて右目用画像及び左目用画像を時分割で交互に表示することにより立体映像を表示する3D表示装置として構成されている。ユーザー(視認者)は、液晶装置100の表示領域10aに時分割で交互に表示される右目用画像及び左目用画像を、液晶シャッター眼鏡を介して見ることにより、立体映像を視認することが可能となる。なお、液晶シャッター眼鏡に代えて、機械式シャッター眼鏡、偏光式シャッター眼鏡等を用いてもよいし、シャッター機構を液晶装置100に取り付けてもよい。
【0027】
図1及び図2に示すように、液晶装置100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが互いに対向して配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0028】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、画像信号供給回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、走査線駆動回路104が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0029】
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、画像信号供給回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0030】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用の画素トランジスターや走査線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。表示領域10aには、画素トランジスターや走査線等の配線の上層に画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0031】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、画像信号供給回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0032】
次に、液晶装置100の電気的な構成について、図3を参照して説明する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る液晶装置100の電気的な構成を示す回路図である。
【0034】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100は、TFTアレイ基板10における表示領域10aに、複数の画素900と、m本の走査線11(即ち、走査線G1、G2、…、Gm)とを備えている。
【0035】
画素900は、表示領域10aに、X方向及びY方向に沿ってマトリクス状に配置されている。より具体的には、画素900は、m行×n列のマトリクス状に2次元に配置されている。即ち、画素900は、表示領域10aにおける左側から第1列、第2列、…、第n列で、上側から第1行、第2行、…、第m行のマトリクス状に配置されている。
【0036】
m本の走査線11は、X方向に沿って配列された画素900からなる画素行毎に設けられている。具体的には、走査線G1は、第1行をなす画素900に対応して設けられ、走査線G2は、第2行をなす画素900に対応して設けられ、…、走査線Gmは、第m行をなす画素900に対応して設けられている。m本の走査線11の各々は、X方向に沿って延びるように形成されている。
【0037】
画素900は、画素トランジスターTr、液晶容量Clc及び蓄積容量Csを備えている。なお、本実施形態では、第i行第k列(但し、i=1、…、m、k=1、…、n)の画素900の画素トランジスターTrを「画素トランジスターTrik」と適宜称し、第i行第k列(但し、i=1、…、m、k=1、…、n)の画素900の蓄積容量Csを「蓄積容量Csik」と適宜称する。
【0038】
液晶容量Clcは、画素電極9、対向電極21及び液晶層50(図2参照)による容量である。対向電極21には所定の基準電位Vcom(例えば7ボルト)が供給される。
【0039】
画素トランジスターTrは、本発明に係る「トランジスター」の一例としてのNチャネル型又はPチャネル型のTFTである。画素トランジスターTrのドレインは、液晶容量Clc及び蓄積容量Csの各々の一端に電気的に接続されている。より具体的には、画素トランジスターTrのドレインは、液晶容量Clcを構成する画素電極9と、蓄積容量Csを構成する一対の容量電極のうち画素電極9に電気的に接続された画素電位側容量電極とに電気的に接続されている。画素トランジスターTrのゲートは走査線11に電気的に接続されている。より具体的には、第i行(但し、i=1、…、m)をなす画素900の画素トランジスターTrのゲートは、第i番の走査線Gi(但し、i=1、…、m)に電気的に接続されている。即ち、画素トランジスターTr11、Tr12、…、Tr1nの各々のゲートは、走査線G1に共通に電気的に接続され、画素トランジスターTr21、Tr22、…、Tr2nの各々のゲートは、走査線G2に共通に電気的に接続され、…、画素トランジスターTrm1、Trm2、…、Trmnの各々のゲートは、走査線Gmに共通に電気的に接続されている。画素トランジスターTrは、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオンオフが切り換えられる。
【0040】
本実施形態では特に、Y方向において隣り合う画素900に設けられた画素トランジスターTrは電気的に互いに直列接続されている。即ち、第i列をなす画素900の画素トランジスターTrは互いに直列接続されている。つまり、画素トランジスターTr11、Tr21、…、Trm1は互いに直列接続されており、画素トランジスターTr12、Tr22、…、Trm2は互いに直列接続されており、…、画素トランジスターTr1n、Tr2n、…、Trmnは互いに直列接続されている。より具体的には、例えば、画素トランジスターTr11のソースと画素トランジスターTr21のドレインとが互いに電気的に接続され、画素トランジスターTr21のソースと画素トランジスターTr31のドレインとが互いに電気的に接続され、…、画素トランジスターTr(m−1)1のソースと画素トランジスターTrm1のドレインとが互いに電気的に接続されている。
【0041】
蓄積容量Csは、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、液晶容量Clcに並列に電気的に接続されている。
【0042】
蓄積容量Csを構成する一対の容量電極の一方は、画素トランジスターTrのドレインに電気的に接続されている。蓄積容量Csを構成する一対の容量電極の他方には、所定の基準電位Vcomが供給される。
【0043】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100には、そのTFTアレイ基板10上の表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104及び画像信号供給回路101を含む駆動回路(或いは周辺回路)が設けられている。なお、画像信号供給回路101は、本発明に係る「画像信号供給部」の一例である。
【0044】
走査線駆動回路104は、所定のタイミングで画素トランジスターTrのオンオフが切り換わるように、走査信号として高電位VH又は低電位VLを走査線11に出力する。
【0045】
画像信号供給回路101は、表示領域10aに表示すべき画像に係る画像信号VIDを、第m行の画素900の画素トランジスターTrのソースに電気的に接続された信号線6(即ち、信号線S1、S2、…Sn)に供給する。信号線Si(但し、i=1、2、…、n)は、画像信号供給回路101から第m行第i列の画素900の画素トランジスターTrmiへ、Y方向に沿って延びるように形成されている。画像信号供給回路101は、画像信号VIDとして、右目用画像に係る右目用画像信号と左目用画像に係る左目用画像信号とを時分割で交互に信号線6に供給する。更に、本実施形態では、所謂「液晶の焼きつき」を防止するために、極性反転駆動方式が採用されており、画像信号は、所定周期で、基準電位Vcom(例えば7ボルト)に対して高位側の正極性と低位側の負極性とで極性反転される。即ち、各画素900には、正極性の電位(即ち、プラスフィールドの電位、例えば12ボルト)と、負極性の電位(即ち、マイナスフィールドの電位、例えば2ボルト)とが交互に供給される。画像信号供給回路101は、信号線S1、S2、…、Snに、この順に線順次に画像信号VIDを供給する。なお、画像信号供給回路101は、相隣接する複数の信号線6同士に対して、グループ毎に画像信号VIDを供給してもよい。
【0046】
次に、液晶装置100の動作について、図4及び図5を参照して説明する。
【0047】
図4は、本実施形態における画像信号と液晶シャッター眼鏡の開閉状態との関係を示すタイミングチャートである。なお、図4には、画像信号の経時的な変化、液晶シャッター眼鏡の右側(R側)シャッターの開閉状態の経時的な変化、及び液晶シャッター眼鏡の左側(L側)シャッターの開閉状態の経時的な変化が示されている。また、図4においては、右側シャッター及び左側シャッターの各々について、開状態を白(空白)部で示し、閉状態を斜線部で示している。
【0048】
図4において、液晶装置100の動作時には、先ず、期間T1において、画像信号として正極性の右目用画像信号(図中「R+」)が全ての画素900に所定の順番で書き込まれる。なお、画素900に画像信号を書き込む画像信号書き込み動作については、図5を参照して後述する。この期間T1においては、右側シャッター及び左側シャッターの両方が閉状態(即ち、光を透過しない光非透過状態)とされる。つまり、期間T1は、画像信号を全ての画素900に供給するための期間であり、ユーザーが表示領域10aに表示される映像を見ない期間である。次に、期間T2において、全ての画素900で正極性の右目用画像信号が保持される。この期間T2においては、右側シャッターが開状態(即ち、光を透過する光透過状態)とされ、左側シャッターが閉状態とされる。つまり、期間T2は、ユーザーが表示領域10aに表示される右目用画像を見る期間である。なお、期間T2においては、画像信号供給回路101は、画像信号を信号線6に供給しない。次に、期間T3において、画像信号として負極性の左目用画像信号(図中「L−」)が全ての画素900に所定の順番で書き込まれる。この期間T3においては、期間T1と同様に、右側シャッター及び左側シャッターの両方が閉状態とされる。つまり、期間T3は、期間T1と同様に、画像信号を全ての画素900に供給するための期間である。次に、期間T4において、全ての画素900で負極性の左目用画像信号が保持される。この期間T4においては、右側シャッターが閉状態とされ、左側シャッターが開状態とされる。つまり、期間T4は、ユーザーが表示領域10aに表示される左目用画像を見る期間である。次に、期間T5において、画像信号として負極性の右目用画像信号(図中「R−」)が全ての画素900に所定の順番で書き込まれる。この期間T5においては、期間T1と同様に、右側シャッター及び左側シャッターの両方が閉状態とされる。つまり、期間T5は、期間T1と同様に、画像信号を全ての画素900に供給するための期間である。次に、期間T6において、全ての画素900で負極性の右目用画像信号が保持される。この期間T6においては、右側シャッターが開状態とされ、左側シャッターが閉状態とされる。期間T6は、ユーザーが表示領域10aに表示される右目用画像を見る期間である。次に、期間T7において、画像信号として正極性の左目用画像信号(図中「L+」)が全ての画素900に所定の順番で書き込まれる。この期間T7においては、期間T1と同様に、右側シャッター及び左側シャッターの両方が閉状態とされる。つまり、期間T7は、期間T1と同様に、画像信号を全ての画素900に供給するための期間である。次に、期間T8において、全ての画素900で正極性の左目用画像信号が保持される。この期間T8においては、右側シャッターが閉状態とされ、左側シャッターが開状態とされる。期間T8は、ユーザーが表示領域10aに表示される左目用画像を見る期間である。期間T8の後は、前述した期間T1からT8と同様の動作が繰り返される。例えば、期間T8に続く期間T9では、期間T1と同様に、画像信号として正極性の右目用画像信号が全ての画素900に所定の順番で書き込まれる。
【0049】
このように、本実施形態では、画像信号が全ての画素900に順番に供給されるとともに、右側シャッター及び左側シャッターの両方が閉状態とされる期間(図4の例では、期間T1、T3、T5、T7、T9)と、画像信号の画素900への供給が停止されるとともに、右側シャッター及び左側シャッターの一方が開状態とされ他方が閉状態とされる期間(図4の例では、期間T2、T4、T6、T8)とが交互に繰り返される。よって、複数の画素900に保持されていた画像信号が書き換えられる途中(即ち、画像信号が全ての画素900に順番に供給される期間)において表示領域10aに表示される映像をユーザーに見せることなく、右目用画像及び左目用画像を所定周期で交互に液晶シャッター眼鏡を介してユーザーに見せることができ、立体映像をユーザーに視認させることができる。
【0050】
前述したように、画像信号として右目用画像信号及び左目用画像信号が時分割で交互に複数の画素900に供給される。ここで本実施形態では特に、同一の目用の画像信号毎に極性が反転される。即ち、例えば、画像信号供給回路101は、正極性の右目用画像信号を供給した後(例えば、期間T1の後)に、右目用画像信号を再び供給する際(例えば期間T5)には、該右目用画像信号を負極性の画像信号として供給し、負極性の右目用画像信号を供給した後(例えば、期間T5の後)に、右目用画像信号を供給する際(例えば期間T9)には、該右目用画像信号を正極性の画像信号として供給する。また、画像信号供給回路101は、負極性の左目用画像信号を供給した後(例えば、期間T3の後)に、左目用画像信号を供給する際(例えば期間T7)には、該左目用画像信号を正極性の画像信号として供給し、正極性の左目用画像信号を供給した後に、左目用画像信号を供給する際には、該左目用画像信号を負極性の画像信号として供給する。よって、表示領域10aにおける所謂「液晶の焼き付き」を効果的に防止できる。
【0051】
図5は、本実施形態における画像信号書き込み動作を説明するためのタイミングチャートである。図5には、信号線S1に供給される画像信号の経時変化、走査線G1、G2、…、Gmの各々の電位の経時変化、及び蓄積容量Cs11、Cs21、…Csm1の各々に保持される画像信号の経時変化が示されている。
【0052】
図3及び図5において、液晶装置100の画像信号書き込み動作は、図4を参照して前述したように、液晶シャッター眼鏡の右側シャッター及び左側シャッターの両方が閉状態とされる期間(例えば図4の例では、期間T1、T3、T5、T7、T9)毎に行われ、液晶シャッター眼鏡の右側シャッター及び左側シャッターのいずれか一方が開状態とされる期間(例えば図4の例では、期間T2、T4、T6、T8)には行われない。
【0053】
画像信号書き込み動作では、先ず、走査線G1、G2、…、Gmの全てに走査信号として高電位VHが走査線駆動回路104によって供給されるとともに、第1行の画素900に書き込むべき画像信号VID1が画像信号供給回路101によって信号線S1、S2、…、Snに順次供給される(より具体的には、第1行第i列の画素900に書き込むべき画像信号が信号線Siに供給される)。これにより、全ての画素900の画素トランジスターTrがオン状態となり、信号線Siに供給された画像信号VID1は、第i列をなす画素900の全てに書き込まれる。例えば、図5に示すように、信号線S1に供給された画像信号VID1は、蓄積容量Cs11、Cs21、…、Csm1に書き込まれる。ここで、互いに直列接続された画素トランジスターTr11、Tr21、…、Trm1の全てがオン状態であるので、画像信号VID1を、互いに直列接続された画素トランジスターTr11、Tr21、…、Trm1を介して蓄積容量Cs11に書き込むことができる。なお、図5では、信号線S2、…、Snに供給される画像信号、及び第2列から第n列をなす画素900の蓄積容量Csに保持される画像信号の図示を省略している。
【0054】
次に、所定期間経過後に(即ち、信号線S1、S2、…、Snに画像信号VID1を順次供給することにより、全ての画素900に画像信号VID1を書き込んだ後に)、走査線G1に供給される走査信号が高電位VHから低電位VLに切り替えられるとともに、第2行の画素900に書き込むべき画像信号VID2が画像信号供給回路101によって信号線S1、S2、…、Snに順次供給される(より具体的には、第2行第i列の画素900に書き込むべき画像信号が信号線Siに供給される)。この際、走査線G2、…、Gmに供給される走査信号は高電位VHのまま維持される。これにより、第1行の画素900の画素トランジスターTr(即ち、画素トランジスターTr11、Tr12、…、Tr1n)がオフ状態となり、第2行から第m行の画素トランジスターTrがオン状態となる。よって、信号線Siに供給された画像信号VID2が第i列をなす画素900のうち第2行から第m行の画素900に書き込まれるとともに、第1行の画素900に保持されている画像信号VID1はそのまま維持される。例えば、図5に示すように、信号線S1に供給された画像信号VID2は、蓄積容量Cs21、…、Csm1に書き込まれるが、蓄積容量Cs11には書き込まれず、蓄積容量Cs11は、保持すべき画像信号VID1を保持したままとなる。ここで、互いに直列接続された画素トランジスターTr11、Tr21、…、Trm1のうちTr11のみがオフ状態であり他の全てがオン状態であるので、画像信号VID2を、互いに直列接続された画素トランジスターTr21、…、Trm1を介して蓄積容量Cs21に書き込むことができるとともに、蓄積容量Cs11が画像信号VID1を保持した状態を維持することができる。
【0055】
次に、所定期間経過後に(即ち、信号線S1、S2、…、Snに画像信号VID2を順次供給することにより、第2行から第m行の画素900に画像信号VID2を書き込んだ後に)、走査線G2に供給される走査信号が高電位VHから低電位VLに切り替えられるとともに、第3行の画素900に書き込むべき画像信号VID3が画像信号供給回路101によって信号線S1、S2、…、Snに順次供給される(より具体的には、第3行第i列の画素900に書き込むべき画像信号が信号線Siに供給される)。この際、走査線G1に供給される走査信号は低電位VLのまま維持され、走査線G3、…、Gmに供給される走査信号は高電位VHのまま維持される。これにより、第1行及び第2行の画素900の画素トランジスターTrがオフ状態となり、第3行から第m行の画素トランジスターTrがオン状態となる。よって、信号線Siに供給された画像信号VID3が第i列をなす画素900のうち第3行から第m行の画素900に書き込まれるとともに、第1行及び第2行の画素900に保持されている画像信号はそのまま維持される。例えば、図5に示すように、信号線S1に供給された画像信号VID3は、蓄積容量Cs31、…、Csm1に書き込まれるが、蓄積容量Cs11及びC21には書き込まれず、蓄積容量Cs11は保持すべき画像信号VID1を保持したままとなり、蓄積容量C21は保持すべき画像信号VID2を保持したままとなる。ここで、互いに直列接続された画素トランジスターTr11、Tr21、…、Trm1のうちTr11及びTr21のみがオフ状態であり他の全てがオン状態であるので、画像信号VID3を、互いに直列接続された画素トランジスターTr31、…、Trm1を介して蓄積容量Cs31に書き込むことができるとともに、蓄積容量Cs11が画像信号VID1を保持し、蓄積容量Cs21が画像信号VID2を保持した状態を維持することができる。
【0056】
その後、同様に、走査線G3、…、Gm−1に供給される走査信号が、所定期間経過毎に高電位VHから低電位VLに順次切り換えられることにより、第4行から第m行の画素900に書き込むべき画像信号が、画素行毎に順次書き込まれる。
【0057】
このように、画像信号を画素900に書き込む際、走査線駆動回路101は、先ず、互いに直列接続された画素トランジスターTrの全てがオン状態となるようにm本の走査線11の全てに走査信号として高電位VHを供給し、その後、互いに直列接続された画素トランジスターTrのうち第1行の画素900の画素トランジスターTrから第m−1行の画素900の画素トランジスターTrに向かって順番に順番に所定期間毎に画素トランジスターTrがオフ状態となるように、走査信号を高電位VHから低電位VLに切り替える。これにより、表示領域10aに配列された複数の画素900の全てに、書き込むべき画像信号を確実に書き込むことができ、表示領域10aにおいて表示すべき画像を確実に表示することができる。
【0058】
本実施形態では特に、画像信号供給部101からの画像信号が、互いに直列接続された画素トランジスターTrの一部又は全部を介して各画素900の画素電極9に供給される構成を有しているので、例えば、TFTアレイ基板10上の表示領域10aに、画像信号を供給するための配線(例えば特許文献1に開示されているデータ線)をY方向に沿って延びるように設ける必要がない。よって、TFTアレイ基板10上の積層構造の単純化を図ることが可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置100によれば、TFTアレイ基板上の積層構造の単純化を図ることができる。この結果、製造工程を削減できるとともに、歩留まりを向上させることができる。更に、製造コストの低減を図ることもできる。また、本実施形態に係る液晶装置100によれば、立体映像をユーザーに視認させることができる。加えて、液晶の焼きつきを効果的に防止できる。
【0060】
<電子機器>
次に、前述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0061】
図6は、プロジェクターの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクターについて説明する。
【0062】
図6に示されるように、プロジェクター1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0063】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0064】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0065】
なお、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。
【0066】
なお、図6を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピューターや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0067】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0068】
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
6…信号線、9…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…表示領域、11…走査線、20…対向基板、21…対向電極、50…液晶層、101…画像信号供給回路、104…走査線駆動回路、900…画素、Clc…液晶容量、Cs…蓄積容量、Tr…画素トランジスター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び該第1方向に交わる第2方向に沿って配列された複数の画素と、
前記画素毎に夫々対応して設けられた複数のトランジスターと、
前記第1方向に沿って配列された前記画素からなる画素群毎に設けられ、前記トランジスターのゲート電極に電気的に夫々接続された複数の走査線と
を備え、
前記複数のトランジスターのうち前記第2方向において隣り合う前記画素に設けられた前記トランジスターは電気的に互いに直列接続されており、
前記互いに直列接続されたトランジスターのうち前記第2方向における一端に位置するトランジスターに画像信号を供給する画像信号供給部を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記画像信号供給部は、表示を行うべき表示期間の前に前記画像信号を供給すべき期間として予め定められた信号供給期間毎に、前記一端に位置する前記トランジスターに前記画像信号として左目用画像信号及び右目用画像信号を交互に供給することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記互いに直列接続されたトランジスターの全てがオン状態となるように前記複数の走査線の全てに所定の第1電位を供給し、その後、前記互いに直列接続されたトランジスターのうち前記第2方向における前記一端とは異なる他端側から前記一端側に向かって順番に所定期間毎に前記トランジスターがオフ状態となるように、前記複数の走査線に前記第1電位とは異なる所定の第2電位を供給する走査線駆動回路を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−168228(P2012−168228A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26864(P2011−26864)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】