説明

電気的に作動する回動関節運動機構を含む外科器具

【課題】関節運動外科器具のシャフト内を通す機械的機構が少なくて済む関節運動機構を備えた関節運動外科器具を提供すること。
【解決手段】内視鏡に用いるのに特に適した外科器具であって、エンドエフェクタを遠隔的に関節運動させるための電気作動性ポリマー(EAP)アクチュエータを含む関節運動機構が細長いシャフトに設けられており、エンドエフェクタを関節運動させることができる。先端フレーム部分と基端フレーム部分との間の回動連結部をEAPファイバーアクチュエータによって作動させ、次いでEAP固定解除の作動を停止して選択した関節運動角度に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年7月28日出願のシェルトン4世(Shelton IV)による米国仮特許出願第60/591,694号(名称「電気的に作動する関節機構を含む外科器具(SURGICAL INSTRUMENT INCORPORATING AN ELECTRICALLY ACTUATED ARTICULATION MECHANISM)」)の恩典を請求するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外科部位にエンドエフェクタ(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤー、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、並びに超音波、無線周波、及びレーザーなどを用いるエネルギー装置)を内視鏡的に挿入するのに適した外科器具に関し、詳細には関節運動シャフトを備えたこのような器具に関する。
【0003】
内視鏡外科器具は、切開部が小さく術後の回復が早く合併症のリスクが低いため、従来の開放外科手術よりも好まれる傾向にある。従って、トロカールのカニューレを介して所望の外科部位に先端部のエンドエフェクタを正確に配置するのに適した一定の内視鏡器具が進歩した。このような先端部のエンドエフェクタは、様々な方法(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤー、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、及び超音波、無線周波、及びレーザーなどを用いるエネルギー装置)で組織にアクセスして診断したり治療効果を得ることができる。
【0004】
エンドエフェクタの位置合わせはトロカールによって一定範囲に制限される。一般に、このような内視鏡外科器具は、医師が操作するハンドル部分とエンドエフェクタとの間に長いシャフトを有する。この長いシャフトにより、所望の深さに挿入して、その長軸を中心にエンドエフェクタを回動させ、ある程度の位置合わせが可能である。トロカールを慎重に配置して把持具を用いれば、例えば別のトロカールを介した位置合わせで十分な場合が多い。特許文献1に開示されているような外科用ステープル止め/切断器具が、挿入と回動によりエンドエフェクタを正確に配置できる内視鏡外科器具の一例である。
【0005】
言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする、2003年5月20日出願のシェルトン(Shelton)らによる最近の米国特許出願第10/443,617号(名称「Eビーム発射機構を含む外科用ステープラ器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING AN E-BEAM FIRING MECHANISM)」)に、組織の切断及びステープル止め用の改良された「Eビーム」発射バーが開示されている。この器具に特有の利点は、たとえクランプした組織の量がステープル形成に最適な組織の量と多少異なっていたとしても、エンドエフェクタ、つまりステープル止め組立体のジョーとジョーの間の空間を確実に維持できることである。更に、Eビーム発射バーが、複数の有利なロックアウトを含むことができるようにエンドエフェクタ及びステープルカートリッジに係合する。
【0006】
操作方法によるが、内視鏡外科器具のエンドエフェクタの位置合わせを更に調節できるようにするのが望ましいであろう。特に、器具のシャフトの長軸の横断方向に対してエンドエフェクタを向き合わせできるのが望ましい場合が多い。器具のシャフトに対するエンドエフェクタの横断方向の移動は、従来より「関節運動」と呼ばれている。この関節運動は通常、ステープル止め組立体のすぐ基端側のシャフト延長部に設けられたピボット(または関節運動)接合部によって達成される。これにより、外科医が、より良くステープルラインを外科的に配置するため及び容易な組織の操作及び向き合わせのために、ステープル止め組立体を遠隔的に左右何れかの方向に関節運動させることができる。この関節運動位置合わせにより、外科医は、例えば臓器の後側などの位置の組織に容易に係合させることができる。加えて、関節運動位置合わせにより、内視鏡を器具のシャフトに妨害されずにエンドエフェクタの後側に有利に配置することができる。
【0007】
外科用ステープル止め/切断器具の関節運動の方法は、関節運動の制御と組織をクランプするためのエンドエフェクタの開閉及びエンドエフェクタの動作(すなわち、ステープル止めと切断)の全てを内視鏡器具の小さな直径の制限の中で行わなければならないため複雑である。一般に、3つの制御運動全てが、長手方向の運動としてシャフトを介して伝達される。例えば、特許文献2に、アコーディオンのような関節運動機構(フレックスネック)が開示されている。この関節運動機構は、実施シャフトを介して、2つの連結ロッドの一方を選択的に引き戻して関節運動させることができる。各連結ロッドは、シャフトの中心線に対して両側にそれぞれずれている。この連結ロッドは、ラチェット式に一連の個々の位置に移動できる。
【0008】
特許文献3に、関節運動機構の長手方向の制御の別の例が開示されている。この機構は、カム動作ピボットからずれた関節運動リンクを含み、この関節運動リンクを長手方向に押したり引いたりして所望の側に関節運動を行うことができる。同様に、特許文献4に、関節運動のためにシャフトを通過する同様のロッドが開示されている。
【0009】
言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする、同時係属中の自己のフレデリック E.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)らによる米国特許出願第10/615,973号(名称「長軸を中心とした回動を利用する関節運動機構を含む外科器具(SURGICAL INSTRUMENT INCORPORATING AN ARCTICULATION MECHANISM HAVING ROTATION ABOUT THE LONGITUDINAL AXIS)」)では、長手方向の運動の代わりに回動運動を利用して関節運動を伝達する。
【0010】
このような機械的に伝達される関節運動により内視鏡外科用ステープル止め/切断器具の関節運動が可能となったが、市販するには様々な問題や障害がある。デザインの問題として、複数の運動(例えば、閉止、発射、関節運動、及び回動など)のために十分な強度を維持しながら、外科用開口の大きさを小さくするためにシャフトの直径を可能な限り小さくしなければならないことがある。
【特許文献1】米国特許第5,465,895号明細書
【特許文献2】米国特許第5,673,840号明細書
【特許文献3】米国特許第5,865,361号明細書
【特許文献4】米国特許第5,797,537号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、関節運動外科器具のシャフト内を通る機械的機構が少なくて済む関節運動機構を含む関節運動外科器具が強く要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、従来技術の上記した欠点または他の欠点を解消するために、ハンドルとエンドエフェクタとの間に取り付けられた関節運動するシャフトを備えた外科器具を提供する。シャフトの関節運動接合部に配置された電気活性ポリマー(EAP)アクチュエータが、シャフト内を伝達される電気信号に応答して関節運動を行う。シャフトの先端部分が、回動関節運動接合部を形成するシャフトの基端部分にピンで止められている。EAPアクチュエータが、関節運動のために先端フレーム部分と基端フレーム部分との間に連結されている。従って、遠隔的に制御可能な作動機能を維持したまま、有利な小径のシャフトを達成することができる。
【0013】
本発明の一態様では、外科器具は、エンドエフェクタと細長いシャフトの先端部との間に取り付けられた関節運動接合部を含む。電気アクチュエータが配置され、細長いシャフトの基端側に取り付けられたハンドルで遠隔的に生成された電気信号に応答して関節運動接合部を作動させることができる。
【0014】
本発明の別の態様では、外科器具は、フレーム組立体、及び取り囲んで長手方向にスライド可能に受容された閉止スリーブ組立体を有する細長いシャフトを含む。ステープル止め組立体が、細長い溝、その細長い溝に係合したステープルカートリッジ、及びステープルカートリッジにステープル形成面を提供する細長い溝に回動可能に取り付けられたアンビルを含む。関節運動接合部はフレーム組立体に形成されている。具体的には、先端フレーム部分が細長い溝に取り付けられ、基端フレーム部分が、その先端フレーム部分に回動可能にピンで止められている。細長いシャフトの基端部に取り付けられたハンドルが、電気信号を細長いシャフトを介して関節運動接合部に連結された電気活性ポリマーアクチュエータに選択的に送り、その関節運動接合部がその電気信号に応答してステープル止め組立体を関節運動させる。従って、外科用ステープル止め/切断器具は、所望の角度から組織に到達することができる。
【0015】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、添付の図面及び以下の説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0016】
関節運動外科器具のシャフト内を通す機械的機構が少なくて済む関節運動機構を備えた関節運動外科器具が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書に含まれる本明細書の一部を成す添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、これを参照しながら本発明の概要及び実施形態の詳細な説明を読めば、本発明をより良く理解できるであろう。
【0018】
関節運動シャフトの概観
図1に、細長いシャフト16によってハンドル14から離間したステープル止め組立体12のエンドエフェクタを先端部に有する外科用切断/ステープル止め器具10として外科器具が示されている。ステープル止め組立体12は、交換可能なステープルカートリッジ20を受容するためのステープル溝18を有する。ステープル止め及び切断のためにステープルカートリッジ20に対して組織をクランプするアンビル22が、ステープル溝18に回動可能に取り付けられている。ステープル止め組立体12が閉じると、その断面積及び細長いシャフト16が、トロカール(不図示)のカニューレなどを介して小さな切開部から挿入するのに適した大きさとなる。
【0019】
ステープル止め組立体12の正確な配置及び方向合わせは、ハンドル14での調節によって容易に行うことができる。具体的には、回動ノブ30により、シャフト16をその長軸を中心に回動させてステープル止め組立体12を回動させる。弧状にステープル組立体12を回動させることができるシャフト16の関節運動接合部32で更なる位置合わせが可能である。具体的には、ステープル止め組立体12がシャフト16の長軸から弧状に曲がり、これにより臓器の後側に配置したり、ステープル止め組立体12の後側に内視鏡(不図示)などの他の器具を配置することができる。このような関節運動は、ハンドル14の関節運動制御スイッチ34によって有利に行うことができる。この関節運動制御スイッチ34は、電気信号を関節運動接合部32からEAPアクチュエータ36に送る。EAPアクチュエータ36には、ハンドル14内の電源38及び電気活性ポリマー(EAP)制御装置によってエネルギーが供給される。
【0020】
組織がステープル止め組立体12の中に配置されたら、外科医は、ピストルグリップ42に向かって閉止トリガー40を基端側に引いてアンビル22を閉じることができる。このようにして組織をクランプしたら、外科医は、先端側の発射トリガー44を握って、これを基端側に引いてステープル止め組立体12を作動させることができる。ある適用例では、この動作が1回の発射ストロークで行われ、別の適用例では、この動作が複数の発射ストロークで行われる。発射動作は、少なくとも2列のステープルをステープル止めすると同時にその間の組織を切断する。
【0021】
発射構成要素の引き戻しは、全距離を移動した後に自動的に開始することができる。別法では、引き戻しレバー46を後ろ側に引いて引き戻しを行うことができる。発射構成要素が引き戻されたら、外科医が、閉止解除ボタン48を押しながら、閉止トリガー40をピストルグリップ42に向かって後ろ側に少し引き、次いで閉止トリガー40を解放し、切断された組織の2つのステープル止めされた端部をステープル止め組立体12から解放して、ステープル止め組立体12のクランプを解除して開くことができる。
【0022】
外科器具10の長手方向の軸が、ハンドル14の上部に垂直方向に整合したステープル止め組立体12のアンビル22に平行に位置し、トリガー40及び44がハンドル14の底部に垂直方向に整合すると表現できるように、図面に対して垂直方向及び水平方向などの空間を示す用語を用いることを理解されたい。しかしながら、実際には、外科器具10は、様々な角度に配置することができ、このような空間を示す用語が外科器具10に対して用いられる。更に、ハンドル14の後側にいる外科医が自分から離れた先端側にエンドエフェクタ12を配置するなどのように外科医の遠近を説明するために「基端側」を用いる。
【0023】
ハンドル
図1に示されているステープル止め組立体12では、2つの異なった運動をシャフト16を介してシャフトフレーム(図1には示されていないが図7に詳細に示されている)に長手方向伝達し、組織をクランプし、ステープル止めし、組織を切断することができる。このシャフトフレーム組立体は、基端側がハンドル14に取り付けられ、回動ノブ30と共に回動できるよう結合されている。図1の外科用ステープル止め/切断器具10に用いられるマルチストロークハンドル14の例が、ジェフリー S.スウェイズ(Jeffrey S. Swayze)及びフレデリック E.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)による同時係属中の自己の米国特許出願第10/674,026号(名称「マルチストローク発射位置表示器及び引き戻し機構を含む外科用ステープル止め器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTISTROKE FIRING POSITION INDICATOR AND RETRACTION MECHANISM)」、及びケビン・ドール(Kevin Doll)、ジェフリー S.スウェイズ(Jeffrey S. Swayze)、フレデリック E.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)、及びダグラスB.ホフマン(Douglas B. Hoffman)による2005年2月7日出願の米国特許出願第11/052,632号(名称「発射運動の引き戻しが自動で終了するマルチストローク発射機構を含む外科用ステープル止め器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTI-STROKE FIRING MECHANISM WITH AUTOMATIC END OF FIRING TRAVEL RETRACTION)」に開示されている。これらの特許文献には、様々な別の特徴や形態が示されており、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする。
【0024】
マルチストロークハンドル14は長い距離に亘って発射の力が大きく、本発明に従った適用例に有用であるが、このような適用例は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とするフレデリック E.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)、マイケル E.セッツァー(Michael E. Setser)、及びブライアンJ.ヘムメルガン(Brian J. Hemmelgarn)による同時係属中の自己の米国特許出願第10/441,632号(名称「閉止システム及と発射システムを別々に有する外科用ステープル止め器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS)」に開示されているような発射シングルストロークを含むこともできる。
【0025】
電気活性ポリマー
電気活性ポリマー(EAPs)は、電圧が加えられると形状が変化する導電物質がドープされた一連のポリマーである。要するに、この導電ポリマーを、一定の形態のイオン流体またはゲル及び電極と組み合わせることができる。電圧を加えると、この流体/ゲルからのイオンが導電ポリマーに対して流入または流出し、このイオンの流れによりポリマーの形状が変化する。加える電圧は、使用するポリマー及びイオン流体によって1V〜4kVの範囲である。電圧が加えられると、ある種のEAPsは収縮し、別のEAPsは膨張する。EAPsをばねや可撓性プレートなどの機械手段に組み合わせて、電圧を加えた際のこれらの効果を変更することができる。
【0026】
電気活性ポリマーには、2つの基本タイプがあり、それぞれのタイプに複数の構造がある。この2つのタイプは、ファイバーバンドル型とラミネート型である。ファイバーバンドルは、約30μm〜50μmのファイバーからなる。これらのファイバーは、織物と全く同様にバンドルに織ることができ、このためEAPヤーンと呼ばれることが多い。このタイプのEAPは電圧が加えられると収縮する。電極は通常、中心のワイヤコア及び導電性の外側シースであり、この外側シースは、ファイバーバンドルを取り囲むイオン流体を受容することができる。市販されているファイバーEAP材料は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする米国特許出願第6,667,825号に開示されており、サンタフェ・サイエンス・アンド・テクノロジー(Santa Fe Science and Technology)によって製造され、PANION(商標)ファイバーとして販売されている。
【0027】
他方のタイプのラミネート構造は、一層のEAPポリマーと、一層のイオンゲルと、このラミネートの何れかの側に取り付けられる2つの可撓性プレートからなる。電圧が加えられると、正方形のラミネートプレートが一方向に膨張し、その方向と垂直の方向に収縮する。市販のラミネート(プレート)EAP材料は、例えば、SRIラボラトリーズ(SRI Laboratories)の別会社であるアーティフィシャル・マッスル社(Artificial Muscle Inc)が製造している。プレートEAP材料はまた、日本のEAMEXが販売しており、薄膜EAPと呼ばれている。
【0028】
EAPsはエネルギーが加えられると、単に一方向に膨張し、その逆方向に収縮するだけで、容積は変化しないことを理解されたい。ラミネート型は、一側が補強構造に用いられ、他側がピストンのように用いられる基本形態に形成することができる。ラミネート型は可撓性プレートの何れかの側に接着することもできる。可撓性プレートEAPの一側にエネルギーが加えられると、この一側が膨張してプレートが反対方向に曲がる。これにより、エネルギーを加えられる側を選択してプレートを所望の方向に曲げることができる。
【0029】
EAPアクチュエータは通常、互いに協働する複数の層、またはファイバーバンドルからなる。EAPの機械的構造により、EAPアクチュエータ及びその運動性が決まる。EAPは、1つの中心電極を覆う細長いストランドに形成することができる。可撓性外側スリーブが、アクチュエータ用の別の電極を形成し、装置の動作に必要なイオン流体を含むことができる。この構造では、電極に電界が加えられると、EAPのストランドが収縮する。このようなEAPアクチュエータの構造はファイバーEAPアクチュエータと呼ばれる。同様に、ラミネート構造は、単に積層したり、また可撓性プレートの一側の複数の層に配置して性能を上げることができる。一般的なファイバー構造は、有効伸び率が2%〜4%であり、一般的なラミネート構造は、相当高い電圧の使用により20%〜30%の伸び率を有する。
【0030】
図2に、ラミネートEAP複合材100は、プレート陽極層102、この陽極層102に取り付けられたEAP層104、このEAP層104に取り付けられたイオンセル層106、及びこのイオンセル層106に取り付けられたプレート陰極層108からなると示されている。図3に示されているように、5つのラミネートEAP複合材100が、間の接着層110によって積層構造に接着され、EAPプレートアクチュエータ120が形成されている。所望の方向に選択的に曲げることができる対向したEAPアクチュエータ120を形成できることを理解されたい。
【0031】
図4‐図5に示されているように、収縮EAPファイバーアクチュエータ140が、細長い円柱キャビティ146を経て絶縁ポリマー基端エンドキャップ144を通る長手方向のプラチナ陰極ワイヤ142を含む。円柱キャビティ146は、陽極として機能するように導電物質がドープされたプラスチック円柱壁148内に形成されている。プラチナ陰極ワイヤ142の先端部は、絶縁ポリマー先端キャップ150内に埋め込まれている。複数の収縮ポリマーファイバー152が、陰極ワイヤ142を囲むように平行に配置され、これらの端部がそれぞれのエンドキャップ144及び150内に埋め込まれている。プラスチック円柱壁148の両端は、収縮ポリマーファイバー152と陰極ワイヤ142の間の空間を満たすイオン流体またはゲル154を密閉して円柱キャビティ146を取り囲むようにそれぞれのエンドキャップ144及び150に取り付けられている。プラスチック円柱壁(陽極)148及び陰極ワイヤ142に電圧が加えられると、イオン流体が収縮ポリマーファイバー152内に進入し、これによりそれらの外径が膨張すると共に長さが収縮し、エンドキャップ144と150が互いに近づく。
【0032】
EAP作動関節運動接合部
図6‐図13に示されているように、外科用切断/ステープル止め器具200が、細長いシャフト204に形成されたEAP作動関節運動接合部202をエンドエフェクタの基端側に有する。このエンドエフェクタは、細長いシャフト204によって長手方向に伝達される別々の閉止運動及び発射運動に有利に応答する外科用ステープル止め/切断組立体12として例示されている。EAP作動関節運動接合部202は、ステープル止め組立体12に関節運動に所望の臨床的柔軟性を有利に付与する。
【0033】
図6‐図13に例示されている形態では、EAP作動関節運動接合部202、具体的には可撓性の閉止/回動フレーム関節運動接合部210が、図6に示されているように、可撓性閉止チューブ218によって連結された先端閉止リング216と基端閉止チューブ214を有する可撓性閉止スリーブ組立体212を含む。可撓性閉止チューブ218に形成された長手方向に列を成す左右の垂直スリット220及び222により、曲げる程度にかかわらず上部の長手方向のバンド224の長手方向の閉止運動の伝達を妨げずに、左右に曲がって関節運動することができる。この長手方向の運動を上部の長手方向のバンド224と協働するように、この長手方向のバンド224と対向して可撓性閉止チューブ218(不図示)の底部に沿って同一の長手方向の底部バンドが設けられていることを理解されたい。具体的には、先端閉止リング216の上部が、アンビル22のアンビル閉止構造228に係合する馬蹄開口226を含む。図7に示されているように、アンビル22は、その基端部に横方向に延出した回動ピン230を含む。この回動ピン230は、細長い溝18の基端部近傍に形成された回動開口232(図7及び図8)に回動可能に係合する。従って、これよりもやや先端側のアンビル閉止構造228により、可撓性閉止スリーブ組立体212が先端側に移動するとアンビルが閉止し、基端側に移動するとアンビルが開く。可撓性閉止チューブ218は、長手方向に列を成す左右の垂直スリット220及び222の長さに沿って曲がることができるため、関節運動する可撓性の閉止/回動フレーム関節接合部210のシングルピボットフレーム組立体234を覆って受容することができる。
【0034】
特に図7‐図9を参照すると、シングルピボットフレーム組立体234は、先端側に延出した上部及び下部回動タブ238及び240を備えた基端フレームグランド236を含む。上部及び下部回動タブ238及び240はそれぞれ、上部及び下部回動ピンホール242及び244を有する。上部及び下部回動タング246及び248がそれぞれ、先端フレームグランド250から基端側に延出した上部及び下部回動ピンホール252及び254を有し、基端フレームグランド236に回動可能に係合する。具体的には、垂直方向に整合した上部回動ピンホール242及び252と下部回動ピンホール244及び254がそれぞれ、上部及び下部フレーム回動ピン256及び258(図10)によって係合する。
【0035】
図8に示されているように、細長いシャフト16及びステープル止め組立体12によって形成された外科器具200の実施部分260が、基端フレームグランド218、可撓性閉止/回動フレーム関節運動接合部210、及び先端フレームグランド250の発射スロット272内を長手方向に移動してステープル止め組立体12内に至る発射バー270を含む。先端フレームグランド250の上部に形成された先端及び基端矩形開口274及び276がそれらの間に、クリップばね282の上部アーム280を受容するクリップバー278を画定している。クリップばね282の下部先端側に延びたアーム284により、発射運動の際に空または欠落したカートリッジロックアウト部分に対応して発射バー270の上部に沿って隆起した部分286が確実に押し下げらされる。
【0036】
特に図8を参照すると、発射バー270の先端側に延出した端部が、ステープルカートリッジ20からアンビル22を離間させ、組織を切断し、そしてステープルカートリッジ20を作動させるためのEビーム288に取り付けられている。このステープルカートリッジ20は、上方に開口したステープル開口294内のステープルドライバ292に位置する複数のステープルを保持する成形カートリッジ本体290を含む。ウェッジスレッド296が、交換可能なステープルカートリッジ20の様々な構成要素を保持するカートリッジトレイ298の上をスライドする時にEビーム288によって先端側に移動する。ウェッジスレッド296は、ステープルドライバ292を上方にカム動作させてステープルを押し出し、これによりステープルがアンビル22に接触して変形する。この時、Eビーム288の切断面300がクランプされた組織を切断する。発射動作の際にEビーム288の上部ピン302がアンビル22に係合し、中間ピン304及び下部脚306により、細長い溝18に形成された長手方向のスロット308の上面及び下面がそれぞれ、カートリッジトレイ298の対応する長手方向の開口310及びカートリッジ本体290の後部が開口した垂直スロット312に係合することを理解されたい。次いで、発射バー270が基端側に引き戻され、これによりEビーム288も引き戻され、アンビル22が開いて2つのステープルで止められた切断組織部分(不図示)が解放される。
【0037】
ステープル止め組立体12は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする2004年9月30日出願のフレデリックE.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)らによる同時係属中の自己の米国特許出願第10/955,042号(名称「ツーピースのEビーム発射機構を含む関節運動外科用ステープル止め器具(ARTICULATING SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A TWO-PIECE E-BEAM FIRING MECHANISM)」)に詳細に開示されている。
【0038】
特に図9‐図13を参照すると、EAPアクチュエータシステム400が、ハンドル14から受け取る電気的な関節運動信号(不図示)に応答してシングルピボットフレーム組立体234を有利に作動させる。図7‐図13に例示されている形態では、左右の上部EAPファイバーアクチュエータ402及び404が、上部回動タブ238に取り付けられた先端側に延出した上部モーメントアーム406の両側に水平に取り付けられている。左右の上部EAPファイバーアクチュエータ402及び404の外側端部が、先端フレームグランド250の内径410の左右上部の横取付け点406及び408に取り付けられている。同様に、左右の下部EAPファイバーアクチュエータ412及び414が、下部回動タブ240に取り付けられた先端側に延出した下部モーメントアーム416の両側に水平方向に取り付けられている。左右の下部EAPファイバーアクチュエータ412及び414の外側端部が、先端フレームグランド250の内径410の左右下部の横取付け点418及び420にそれぞれ取り付けられている。取付け点406、408、418、及び420は、図示されているように、図12の先端フレームグランド250を貫通している。左取付け点406及び418は、図9の先端フレームグランド250の外部に示されている。図13の様に、一対のEAPアクチュエータが作動すると、上下の右EAPファイバーアクチュエータ404及び414が収縮し、上下のモーメントアーム406及び416が先端フレームグランド250の右側に近づき、これにより上下のEAPファイバーアクチュエータ402及び412が伸長し、長手方向に列を成した左側の垂直スリット220がつぶれ、長手方向に列を成した右側の垂直スリット222が拡張する。
【0039】
図14‐図18に示されているように、外科用切断/ステープル止め器具500が、ダブルピボット閉止スリーブ組立体504(図14及び図15)及びシングルピボットフレーム組立体506(図15‐図18)を含む代替のEAP作動関節運動接合部502を含む。図14では、ステープル止め組立体12は、アンビル22が開いて交換可能なステープルカートリッジ20が取り除かれた状態で示されている。従って、ダブルピボット閉止スリーブ組立体504は基端位置にあり、先端回動軸がフレーム組立体506の回動軸に整合している。閉止スリーブ組立体504が先端側に移動してアンビル22を閉じると、関節運動したフレーム組立体506に対して移動するように閉止スリーブ組立体504の基端回動軸も回動することを理解されたい。
【0040】
特に図15に示されているように、ダブルピボット閉止スリーブ組立体504は、先端側に延出した上下のタング514及び516を有する基端閉止リング512に先端部がキー結合する基端閉止チューブ510を含む。先端閉止チューブ518は、アンビル22のアンビル閉止構造228に係合する馬蹄開口520を含む。先端閉止チューブ518の基端部は、基端側に延出した上下のタング524及び526を有する先端閉止リング522にピンで止められる。上部ダブルピボットリンク528が、上方に延出した先端及び基端回動ピン530及び532を含む。これらの回動ピンがそれぞれ、上部基端側に延出したタング524に形成された上部先端ピンホール534及び上部先端側に延出したタング514の上部基端ピンホール536に係合する。下部ダブルピボットリンク538は、下方に延出した先端及び基端回動ピン540及び542を含み、これらの回動ピンがそれぞれ、基端側に延出した下部タング526の下部先端ピンホール544及び先端側に延出した下部タング516の下部基端ピンホール546に係合する。
【0041】
特に図15‐図18に示されているように、シングルピボットフレーム組立体506は、左右のモーメントアーム556及び558の間に画定された、先端側が開口した回動凹部554の基端側の中心に回動ピンホール552を含む。ドッグボーン型リンク560が、基端フレームグランド550の回動ピンホール552に上部が係合する基端ピン562、及び左右のモーメントアーム556と558との間で回動する中心バー564を含む。ドッグボーン型リンク560の先端ピン566が、細長い溝18の基端ガイド574に係合する先端横ガイド572を有する先端フレームグランド570の下部基端孔568内に固着される。
【0042】
EAP作動システム580が、選択的に膨張してドッグボーン型リンク560の中心バー564を関節運動させる左右のEAPスタックアクチュエータ582及び584を含む。ドックボーン型リンク560は、他方のEAPスタックアクチュエータを受動的に圧迫する。図18では、右EAPスタックアクチュエータ584が膨張してドッグボーン型リンク560が回動し、これによりステープル止め組立体12が左側に回動し、左EAPスタックアクチュエータ582が受動的に圧迫される。
【0043】
図19に示されているように、外科器具602の更に別の代替のEAP作動関節運動接合部600が、シングルピボットフレーム組立体604を含む。基端フレームグランド606が、先端フレームグランド610から先端側に延出したタング608に回動ピン612で係合している。先端側に延出したタング608は、右側面に凹部を有し、回動ピン612の右側に半涙型プーリー614を画定している。収縮EAPファイバーアクチュエータ616の先端部が半涙型プーリー614の先端部に取り付けられている。収縮EAPファイバーアクチュエータ616は、プーリー614の形状に一致し、基端フレームグランド606内に伸びている。収縮EAPファイバーアクチュエータ616は、たとえ長さ方向の収縮率が低くても、大きく回動するのに十分な長さを有することができる。EAP関節運動接合部600に形成された機構と同様であるが、逆に回動する機構を図示したタング608の左側面に形成することもできることを理解されたい。
【0044】
回動関節運動機構に用いる関節運動固定機構
図20‐図27に示されているように、EAP作動関節運動ロック700が、外科器具704の回動関節運動接合部702に設けられている。分かり易くするために、シングルピボットフレーム機構706が、先端側に延出した上下の回動タブ710及び712を有する基端フレームグランド708で示されている。これらの回動タブはそれぞれ、エンドエフェクタ720に取り付けられる先端フレームグランド718の基端側に延出した上下のタング714及び716のそれぞれに回動可能に係合する。上部回動タブ710の上部内側孔722が、上部タング714の上部外側孔724の下側に整合し、上部回動ピン726によって互いに回動可能にピンで止められる。下部回動タブ712の下部内側孔728が、下部タング716の下部外側孔730の上に整合し、下部回動ピン732によって互いに回動可能にピンで止められる。上下のモーメントアーム734及び736がそれぞれ、上下の回動タブ710及び712から先端側に延出している。上部モーメントアーム734は、概ね水平な左上部EAPファイバーアクチュエータ740によって先端フレームグランド718に形成された左上部取付け点738に向かって近づくことができる。上部モーメントアーム734はまた、概ね水平な右上部EAPファイバーアクチュエータ744によって先端フレームグランド718に形成された右上部取付け点742に向かって近づくことができる。下部モーメントアーム736は、概ね水平な左下部EAPファイバーアクチュエータ748によって先端フレームグランド718に形成された左下部取付け点746に向かって近づくことができる。下部モーメントアーム736はまた、概ね水平な右下部EAPファイバーアクチュエータ752によって先端フレームグランド718に形成された右下部取付け点750に向かって近づくことができる。
【0045】
アンビルピボットに作用するEAPアクチュエータなどの閉止機構(不図示)の動作によってアンビル22を閉止することができる。別法では、発射の運動によりステープル止め及び切断が行われる前にまずアンビルを閉じることができる。更なる別法では、閉止スリーブ組立体または他の長手方向に結合された機構(不図示)によってアンビル22を閉止することができる。
【0046】
上部EAP作動関節運動固定機構800が、回動関節運動接合部702の固定を解除して関節運動させることができる。次いで、EAP作動関節運動固定機構800は、リラックスした固定された状態にされ、関節運動の程度が変化する間に電力の放散を必要としない、すなわち構成要素の加熱を必要としない安定した固定状態が得られる。上部固定ボルト組立体802が、長手方向の中心線から垂直方向に離間して上部回動タブ710の基端側の基端フレームグランド708に形成された矩形の上部固定凹部804内に示されている。固定ボルト806の固定チップ808が、上部固定凹部804に形成された先端スロット810から延出して、先端フレームグランド718の上部回動タング714の基端面に形成された歯車部分814の最も近い歯車の谷812に係合している。固定ボルト806の基端側はクロスプレート816で終わっている。クロスプレート816は、基端側に位置する圧縮ばね818の付勢と、左右の上部EAPスタックアクチュエータ820及び822の付勢により矩形の上部固定凹部804内を長手方向にスライドする。左右のEAPスタックアクチュエータ820及び822は、作動して長手方向に膨張し、圧縮ばね818を圧縮して固定ボルト806を基端側に移動させ、これにより固定チップ808を歯車部分814から係合解除して、関節運動接合部702を回動可能にして再び位置合わせが可能になる。上部固定カバー824により上部固定凹部804を閉止することができる。
【0047】
図23に示されているように、更に固定を確実にするために、下部EAP作動関節運動固定機構830は、上部固定機構800と同一であるが、下部回動タング716に対して反対側で作用する。同様の固定機構を細長いシャフトの基端部ではなく先端部に設けることができることを理解されたい。更に、ダブルピボット結合が、それぞれのピボットで固定機構を含むことができる。
【0048】
使用する場合、関節運動していないエンドエフェクタ720と回動関節運動接合部702(図20‐図24)を外科部位に挿入する。通常はEAP固定機構800及び830に対するエネルギーの供給を止めると、基端フレームグランド708に取り付けられた固定チップ808が先端フレームグランド718の歯車部分814に係合し、シングルピボットフレーム組立体706が固定される。所望に応じて、EAPスタックアクチュエータ820及び822にエネルギーを供給して長手方向に伸長させ、EAP関節運動固定機構800及び830の固定を解除することができる。固定が解除されている間に、上下の右EAPファイバーアクチュエータ744及び752を収縮させるなどして関節運動接合部702を関節運動させてエンドエフェクタ720を左側に回動させ(図25)、固定チップ808を別の歯車の谷812に合わせ、エネルギー供給の停止でEAP関節運動固定機構800により外科器具704の関節運動の状態が固定される。
【0049】
図28‐図29に示されているように、シングルピボット関節運動接合部901に用いる代替のEAP関節運動システム900が、上記したEAP関節運動固定機構800と共に用いられる。基端フレームグランド918の上下の回動タブ914及び916のそれぞれの先端側に丸められた上部及び下部モーメントアーム910及び912が形成されており、上下の対になった左右EAPファイバーアクチュエータ902、904、906、及び908が長くなっている。先端フレームグランド922の左上部取付け点920が右上部取付け点924よりもわずかに高い位置にある。左下部取付け点926もまた、右下部取付け点928よりもやや高い位置にある。これは、上下の丸められたモーメントアーム910及び912をそれぞれ取り囲む上下の左EAPファイバーアクチュエータ902及び906が、上下の右EAPファイバーアクチュエータ904及び908よりも高いためである(図29)。従って、所望の性能を得るために、モーメントアーム910及び912の長さ及び形状と共に長寸EAPファイバーアクチュエータ902‐908を選択することができる。
【0050】
図30‐図33に示されているように、シングルピボット関節運動接合部1001に用いる別の代替のEAP関節運動システム1000が、上記したEAP関節運動固定機構800と共に用いられる。関節運動を行うEAPファイバーアクチュエータの代わりに、上下の対になった左右EAPスタックアクチュエータ1002、1004、1006、及び1008がそれぞれ対向し、上下の長手方向のトラック1010及び1012を横方向に移動させる。先端側に延出した上部モーメントアーム1014が、基端フレームグランド1018の上部回動タブ1016に取り付けられている。上部モーメントアーム1014の先端部における上部の内側に向いたチップピン1020が、上部の長手方向トラック1010に長手方向にスライド可能に係合し、これにより先端フレームグランド1022によって横方向に拘束された上部の左右EAPスタックアクチュエータ1002及び1004の異なる収縮及び膨張に応答する。先端側に延出した下部モーメントアーム1024が、基端フレームグランド1018の下部回動タブ1026に取り付けられている。上部モーメントアーム1024の先端部における下部の内側に向いたチップピン1030が、下部の長手方向トラック1012に長手方向にスライド可能に係合し、これにより先端フレームグランド1022によって横方向に拘束された下部の左右EAPスタックアクチュエータ1006及び1008の異なった収縮及び膨張に応答する。
【0051】
図30及び図31に示されているように、EAP関節運動固定機構800が作動して、関節運動のために固定チップ808が歯車部分814から係合解除される。図32及び図33に示されているように、上下の左EAPスタックアクチュエータ1002及び1006にエネルギーが供給されて膨張し、これにより上下の長手方向トラック1010及び1012が横方向右側に移動し、上下の右EAPスタックアクチュエータ1004及び1008が圧縮され、上下の内側を向いたチップピン1020及び1030による力に応答して先端フレームグランド1022が移動する(例示されている関節運動では左側に曲がる)。
【0052】
複数の実施形態を用いて本発明を例示し、例示的な実施形態をかなり詳細に説明したが、出願者は、このような詳細に添付の特許請求の範囲が限定されることを意図するものではない。当業者であれば、別の利点及び改良に容易に想到するであろう。
【0053】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(1)外科器具であって、
エンドエフェクタと、
細長いシャフトと、
前記エンドエフェクタの選択された一つ及び前記細長いシャフトの先端部に取り付けられた第1のフレーム部材、前記エンドエフェクタの他の一つ及び前記細長いシャフトの先端部に取り付けられた第2のフレーム部材、及び前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材との間の回動連結部を含む、回動関節運動接合部と、
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材との間に連結された電気活性ポリマーアクチュエータと、を含む、外科器具。
(2)前記第1のフレーム部材が、前記回動連結部及び前記第2のフレーム部材を向いた凹部開口を含み、
前記第2のフレーム部材が、前記凹部内に延びた第1のモーメントアームを含み、
前記電気活性ポリマーアクチュエータが、前記凹部に亘って前記モーメントアームと前記第1のフレーム部材との間に取り付けられている、実施態様(1)に記載の外科器具。
(3)前記電気活性ポリマーアクチュエータが、収縮するように機能的に構成された電気活性ポリマーファイバーアクチュエータを含む、実施態様(2)に記載の外科器具。
(4)前記第1のフレーム部材が、前記第2のフレーム部材の第2の上部タングに取り付けられた第1の上部タング、及び前記第2のフレーム部材の第2の下部タングに取り付けられた第1の下部タングを含み、
前記第1及び第2の上部タングが前記第1及び第2の下部タングから横方向に離間している、実施態様(1)に記載の外科器具。
(5)前記第1のフレーム部材が、前記第2のフレーム部材を受容する凹部を画定するチューブを含み、
前記第2の上部タング及び前記第2の下部タングの少なくとも一方が、前記凹部内に延びたモーメントアームを含み、
前記電気活性ポリマーアクチュエータが、前記モーメントアーム、及び前記第1のフレーム部材の横方向のそれぞれの内面に取り付けられた、互いに反対側を向いた一対の電気活性ポリマーアクチュエータを含む、実施態様(4)に記載の外科器具。
【0054】
(6)前記少なくとも1つのタングが、前記関節運動接合部の関節運動の軸を横断する円周状部分を含み、
前記電気活性ポリマーアクチュエータが電気活性ポリマーファイバーアクチュエータを含み、この電気活性ポリマーファイバーアクチュエータが一端で前記円周状部分に取り付けられて配置され、そして前記他方のフレーム部材に取り付けられている、実施態様(4)に記載の外科器具。
(7)前記少なくとも1つのタングが、前記関節運動接合部の関節運動の軸を横断するカウンター円周状部分を含み、
前記外科器具が、前記カウンター円周状部分に取り付けられて配置されたカウンター電気活性ポリマーファイバーアクチュエータをさらに含む、実施態様(6)に記載の外科器具。
(8)選択された1つの前記上部タングと選択された1つの前記下部タングが共に、前記電気活性ポリマーファイバーに取り付けられた上側部分及び前記カウンター電気活性ファイバーアクチュエータに取り付けられた下側部分を含む丸い形状を有する、実施態様(7)に記載の外科器具。
(9)前記エンドエフェクタが、発射バーによって作動されるステープル止め/切断組立体を含み、
前記発射バーの基端側に前記ハンドル部分が取り付けられ、前記ハンドル部分が、前記発射バーに長手方向の発射運動を付与するように機能的に構成されており、
前記細長いシャフトが、関節運動した前記関節運動接合部を介して前記発射バーを支持する発射バーガイドをさらに含む、実施態様(4)に記載の外科器具。
(10)前記エンドエフェクタが、ステープルカートリッジを受容するように機能的に構成された下側溝、及び回動可能に取り付けられた上側アンビルをさらに含み、
前記ハンドル部分が、長手方向の閉止運動を提供するように機能的に構成されており、
前記細長いシャフトが、基端側が前記ハンドル部分に結合されて前記閉止運動を前記アンビルとの先端連結部に伝達する閉止スリーブ組立体をさらに含み、
前記閉止スリーブ組立体が、引き戻された位置及び先端側に延出した位置の両方で前記関節運動接合部の関節運動の軸を中心に回動するように機能的に構成されている、実施態様(9)に記載の外科器具。
【0055】
(11)前記閉止スリーブ組立体が、複数の左垂直凹部及び複数の右垂直凹部を有する可撓性チューブ部分を含む、実施態様(10)に記載の外科器具。
(12)前記閉止スリーブ組立体が、回動リンクの第1の端部に回動可能に取り付けられた先端閉止チューブ、及び前記回動リンクの第2の端部に回動可能に取り付けられた基端閉止チューブを含む、実施態様(10)に記載の外科器具。
(13)前記先端閉止チューブが、基端側に延出した上部タング及び下部タングを有する先端閉止リングをさらに含み、
前記基端閉止チューブが、先端側に延出した上部タング及び下部タングを有する基端閉止リングをさらに含む、実施態様(12)に記載の外科器具。
(14)前記第1のフレーム部材が、前記第2のフレーム部材に向かって延出したモーメントアームを含み、
前記第2のフレーム部材が前記モーメントアームを受容する凹部を含み、前記モーメントアームは回動可能に前記凹部の後部に取り付けられ、前記凹部は前記第1のフレーム部材が関節運動可能な大きさに形成され、
前記電気活性ポリマーアクチュエータが、前記凹部の第1の側面と前記モーメントアームとの間に取り付けられた第1の電気活性ポリマーアクチュエータと、前記凹部の第2の側面と前記モーメントアームとの間に取り付けられた第2の電気活性ポリマーアクチュエータとをさらに含む、実施態様(1)に記載の外科器具。
(15)前記第1の電気活性ポリマーアクチュエータ及び前記第2の電気活性ポリマーアクチュエータが、作動すると前記モーメントアームを押すスタックアクチュエータを含む、実施態様(14)に記載の外科器具。
【0056】
(16)前記エンドエフェクタが、発射バーによって作動されるステープル止め/切断組立体を含み、
前記発射バーの基端側に前記ハンドル部分が取り付けられ、前記ハンドル部分が、前記発射バーに長手方向の発射運動を付与するように機能的に構成されており、
前記細長いシャフトが、前記発射バーを支持する発射バーガイドをさらに含み、
前記モーメントアームが、前記関節運動接合部を介して前記発射バーを案内するために前記発射バーガイドと連絡する発射バースロットを含む、実施態様(14)に記載の外科器具。
(17)関節運動固定機構をさらに含み、この関節運動固定機構が、
前記第1のフレーム部材及び前記第2のフレーム部材の選択された一方に取り付けられ、前記第1のフレーム部材及び前記第2のフレーム部材の他方に向かって延出して係合するように付勢された、長手方向に移動する固定部材と、
作動すると前記長手方向に移動する固定部材の付勢に打ち勝って前記関節運動接合部を固定解除するよう機能的に構成されて配置された電気活性ポリマーアクチュエータと、を含む、実施態様(1)に記載の外科器具。
(18)外科器具であって、
長手方向にスライド可能に受容された閉止スリーブ組立体によって覆われたフレーム組立体を含む細長いシャフトと、
細長い溝、その細長い溝に係合したステープルカートリッジ、及び前記ステープルカートリッジに対して形成面を提供する前記細長い溝に回動可能に取付けられたアンビルを含む、ステープル止め組立体と、
前記フレーム組立体に形成された関節運動接合部であって、前記フレーム組立体は、前記細長い溝に取り付けられた先端フレーム部分、及びその先端フレーム部分に回動可能にピンで止められた基端フレーム部分を含む、関節運動接合部と、
前記細長いシャフトの基端部に取り付けられ、前記細長いシャフトに電気信号を選択的に伝達するように機能的に構成されたハンドル部分と、
前記関節運動接合部に連結され、前記電気信号に応答して前記ステープル止め組立体を関節運動させる電気活性ポリマーアクチュエータと、を含む、外科器具。
(19)前記細長いシャフトが、マルチピボット接合部を有する長手方向にスライド可能に受容された閉止スリーブ組立体をさらに含み、前記マルチピボット接合部が前記関節運動接合部を覆い、そのマルチピボット接合部の先端側が上側ジョーを回動させるためにその上側ジョーに係合しており、
前記ハンドル部分が、前記閉止スリーブ組立体を移動させて前記上側ジョーを開閉できるように機能的に構成されている、実施態様(18)に記載の外科器具。
(20)外科器具であって、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタ及び基端フレーム部分に取り付けられた先端フレーム部分を含む細長いシャフトと、
前記先端フレーム部分と前記基端フレーム部分との間の回動取付け部と、
電気信号に応答して前記回動取付け部を中心に、前記基端フレーム部分に対して前記先端フレーム部分の回動を作動させるための手段と、を含む、外科器具。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】開いて関節運動していない状態の外科用ステープル止め及び切断用の内視鏡外科用ステープル器具の後方からの斜視図である。
【図2】ラミネート電気活性ポリマー(EAP)複合材の斜視図である。
【図3】図2の接着された複数のラミネートEAP複合材からなるスタックから形成されたEAPプレートアクチュエータの斜視図である。
【図4】収縮するEAPファイバーアクチュエータの長手方向の軸に沿って破断した斜視図である。
【図5】図4の収縮するEAPファイバーアクチュエータの線5‐5に沿って見た断面の正面図である。
【図6】可撓性閉止スリーブ組立体、回動フレーム組立体、及び閉じたステープル止め組立体を備えた図1の外科器具に用いるEAP作動関節運動接合部の右前方からの斜視図である。
【図7】可撓性閉止スリーブ組立体が取り除かれ、シングルピボットフレーム組立体が部分的に分解された図6の閉止したステープル止め組立体及びEAP作動関節運動接合部の右前方からの斜視図である。
【図8】図6のステープル止め組立体及びEAP作動関節運動接合部の右前方からの組立分解斜視図である。
【図9】図7のEAPファイバーアクチュエータを含む分解されたシングルピボットフレーム組立体の詳細図である。
【図10】一対のEAPファイバーアクチュエータを示す、EAP作動関節運動接合部の回動軸を縦断する図6の線10‐10に沿って見た右側断面図である。
【図11】下部モーメントアーム及び下部EAPファイバーアクチュエータを示すEAP作動関節運動接合部の長手方向の軸を縦断する図6の線11‐11に沿って見た断面の平面図である。
【図12】横方向EAPファイバーアクチュエータに沿った図10の線12‐12に沿って見た断面の正面図である。
【図13】上下の右EAPファイバーアクチュエータが収縮してステープル止め組立体が左側に関節運動した状態を示す図11のEAP作動関節運動接合部の平面図である。
【図14】エンドエフェクタのアンビルを開いた状態の、基端位置にダブルピボット閉止スリーブを含む別の代替のEAP作動関節運動接合部の右前方からの斜視図である。
【図15】ダブルピボット閉止スリーブ組立体及びシングルピボットフレーム組立体を含む図14の別の代替のEAP作動関節運動接合部の右前方からの組立分解図である。
【図16】発射構成要素が配置された状態の図14の線16‐16に沿って見た代替のEAP作動関節運動接合部の右側断面図である。
【図17】図14の線17‐17に沿って見た関節運動していない状態の別のEAP作動関節運動接合部の平面図である。
【図18】図14の線17‐17に沿って見た左側に関節運動した状態の別のEAP作動関節運動接合部の平面図である。
【図19】収縮EAPファイバーアクチュエータが別の代替のEAP作動関節運動接合部を真直にする位置にあるやや関節運動した状態の別の代替のEAP作動関節運動接合部を示す図である。
【図20】通常は固定されるように付勢されているEAP関節運動固定機構を有利に含むシングルピボット関節運動接合部の右前方からの部分組立分解斜視図である。
【図21】シングルピボット関節運動接合部の基端フレームグランドにおけるEAP関節運動固定機構の基端部分の右前方からの詳細な斜視図である。
【図22】図20のシングルピボット関節運動接合部の平面図である。
【図23】図22の長手方向の中心線23‐23に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の右側断面図である。
【図24】関節運動していない状態のEAP関節運動固定機構によって固定された上部回動タングの歯車部分を示す図23の線24‐24に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図25】EAP関節運動固定機構が作動して固定されていない状態のエンドエフェクタが左側に部分的に関節運動した基端フレームグランドの下部回動タブを示す図23の中心線25‐25に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図26】接合部を関節運動させるEAPファイバーアクチュエータの取付け部を示す図24の線26‐26に沿って見たシングルピボット関節運動機構の先端フレームグランドの断面の正面図である。
【図27】EAP作動固定機構の固定ピン及びEAPスタックアクチュエータを示す図24の線27‐27に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の基端フレームグランドの断面の正面図である。
【図28】EAP関節運動固定機構と組み合わせた丸められたモーメントアームに作動する長寸EAPファイバーアクチュエータを有利に備えたシングルピボット関節運動接合部の基端フレームグランドの上部回動タブと先端フレームグランドの上部回動タングとの接触面に沿って見た断面の平面図である。
【図29】先端側からのモーメントアーム及びそこに連結された長寸EAPファイバーアクチュエータを詳細に示すEAP関節運動固定機構及び基端フレームグランドを全体的に横断する断面の正面図である。
【図30】関節運動の準備として作動した通常は固定されているEAP関節運動固定機構と共に用いる関節運動させるための上部回動タブの先端側に取り付けられたモーメントアームに用いられる膨張EAPスタックアクチュエータを例示する基端フレームグランドの上部回動タブの上面に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図31】モーメントアームから上部及び下部の先端ピンを通り、EAPスタックアクチュエータを横断する図30のシングルピボット関節運動接合部の断面の正面図である。
【図32】先端フレームグランドが左側に関節運動した後であって、関節運動の固定を行うためにEAP関節運動固定機構へのエネルギー供給を停止する前の基端フレームグランドの上部回動タブの上面に沿って見た図30のシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図33】モーメントアームから上部及び下部の先端ピンを通り左側が膨張し右側が圧縮されたEAPスタックアクチュエータを横断する図31のシングルピボット関節運動接合部の断面の正面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 外科用切断/ステープル止め器具
12 ステープル止め組立体
14 ハンドル
16 シャフト
18 ステープル溝
20 ステープルカートリッジ
22 アンビル
30 回動ノブ
32 関節運動接合部
34 関節運動制御スイッチ
36 EAPアクチュエータ
38 電源
40 閉止トリガー
42 ピストルグリップ
44 発射トリガー
46 引き戻しレバー
48 閉止解除ボタン
100 ラミネートEAP複合材
102 プレート陽極層
104 EAP層
106 イオンセル層
108 プレート陰極層
110 接着層
120 EAPプレートアクチュエータ
140 収縮EAPファイバーアクチュエータ
142 プラチナ陰極ワイヤ
144、150 エンドキャップ
146 円柱キャビティ
148 プラスチック円柱壁
152 収縮ポリマーファイバー
200 外科用切断/ステープル止め器具
202 EAP作動関節運動接合部
204 シャフト
210 関節運動接合部
214 基端閉止チューブ
216 先端閉止リング
218 可撓性閉止チューブ
220、222 垂直スリット
224 長手方向バンド
226 馬蹄開口
228 アンビル閉止構造
230 回動ピン
234 シングルピボットフレーム組立体
238 上部回動タブ
240 下部回動タブ
242、252 上部回動ピンホール
244、254 下部回動ピンホール
246 上部回動タング
248 下部回動タング
250 先端フレームグランド
256 上部フレーム回動ピン
258 下部フレーム回動ピン
270 発射バー
272 発射スロット
274 矩形開口
278 クリップバー
280 上部アーム
282 クリップばね
284 アーム
286 隆起部分
288 Eビーム
292 ステープルドライバ
296 ウェッジスレッド
298 カートリッジトレイ
300 切断面
302 上部ピン
304 中間ピン
306 下部脚
308 長手方向スロット
310 長手方向開口
312 垂直スロット
400 EAPアクチュエータシステム
402、404 EAPファイバーアクチュエータ
406 上部モーメントアーム
416 下部モーメントアーム
504 ダブルピボット閉止スリーブ組立体
506 シングルピボットフレーム組立体
514 上部タング
516 下部タング
518 先端閉止チューブ
522 先端閉止リング
528 上部ダブルピボットリンク
530 先端回動ピン
532 基端回動ピン
534 上部先端ピンホール
536 上部基端ピンホール
538 下部ダブルピボットリンク
540 先端回動ピン
542 基端回動ピン
544 下部先端ピンホール
550 基端フレームグランド
552 回動ピンホール
554 回動凹部
556、558 モーメントアーム
560 ドッグボーン型リンク
562 基端ピン
566 先端ピン
570 先端フレームグランド
572 先端横ガイド
574 基端ガイド
580 EAP作動システム
582、584 EAPスタックアクチュエータ
600 EAP作動関節運動接合部
602 外科器具
604 シングルピボットフレーム組立体
606 基端フレームグランド
608 タング
610 先端フレームグランド
612 回動ピン
614 半涙型プーリー
616 収縮EAPファイバーアクチュエータ
700 EAP作動関節運動ロック
702 回動関節運動接合部
704 外科器具
706 シングルピボットフレーム機構
708 基端フレームグランド
710 上部回動タブ
712 下部回動タブ
714 上部タング
716 下部タング
720 エンドエフェクタ
722 上部内側孔
724 上部外側孔
726 上部回動ピン
728 下部内側孔
730 下部外側孔
732 下部回動ピン
734 上部モーメントアーム
736 下部モーメントアーム
740、744 上部EAPファイバーアクチュエータ
748、752 下部EAPファイバーアクチュエータ
800 上部EAP作動関節運動固定機構
802 上部固定ボルト組立体
804 上部固定凹部
808 固定チップ
810 先端スロット
812 歯車の谷
814 歯車部分
816 クロスプレート
818 圧縮ばね
820、822 EAPスタックアクチュエータ
824 上部固定カバー
830 下部EAP作動関節運動固定機構
900 EAP関節運動システム
901 シングルピボット関節運動接合部
902、904 上部EAPファイバーアクチュエータ
906、908 下部EAPファイバーアクチュエータ
910 上部モーメントアーム
912 下部モーメントアーム
914 上部回動タブ
916 下部回動タブ
918 基端フレームグランド
920 左上部取付け点
924 右上部取付け点
926 左下部取付け点
928 右下部取付け点
1000 EAP関節運動システム
1001 シングルピボット関節運動接合部
1002、1004 上部EAPスタックアクチュエータ
1006、1008 下部EAPスタックアクチュエータ
1014 上部モーメントアーム
1016 上部回動タブ
1020、1030 チップピン
1022 先端フレームグランド
1024 下部モーメントアーム
1026 下部回動タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科器具であって、
エンドエフェクタと、
細長いシャフトと、
前記エンドエフェクタの選択された一つ及び前記細長いシャフトの先端部に取り付けられた第1のフレーム部材、前記エンドエフェクタの他の一つ及び前記細長いシャフトの先端部に取り付けられた第2のフレーム部材、及び前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材との間の回動連結部を含む、回動関節運動接合部と、
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材との間に連結された電気活性ポリマーアクチュエータと、を含む、外科器具。
【請求項2】
前記第1のフレーム部材が、前記回動連結部及び前記第2のフレーム部材を向いた凹部開口を含み、
前記第2のフレーム部材が、前記凹部内に延びた第1のモーメントアームを含み、
前記電気活性ポリマーアクチュエータが、前記凹部に亘って前記モーメントアームと前記第1のフレーム部材との間に取り付けられている、請求項1に記載の外科器具。
【請求項3】
前記電気活性ポリマーアクチュエータが、収縮するように機能的に構成された電気活性ポリマーファイバーアクチュエータを含む、請求項2に記載の外科器具。
【請求項4】
前記第1のフレーム部材が、前記第2のフレーム部材の第2の上部タングに取り付けられた第1の上部タング、及び前記第2のフレーム部材の第2の下部タングに取り付けられた第1の下部タングを含み、
前記第1及び第2の上部タングが前記第1及び第2の下部タングから横方向に離間している、請求項1に記載の外科器具。
【請求項5】
前記第1のフレーム部材が、前記第2のフレーム部材を受容する凹部を画定するチューブを含み、
前記第2の上部タング及び前記第2の下部タングの少なくとも一方が、前記凹部内に延びたモーメントアームを含み、
前記電気活性ポリマーアクチュエータが、前記モーメントアーム、及び前記第1のフレーム部材の横方向のそれぞれの内面に取り付けられた、互いに反対側を向いた一対の電気活性ポリマーアクチュエータを含む、請求項4に記載の外科器具。
【請求項6】
前記少なくとも1つのタングが、前記関節運動接合部の関節運動の軸を横断する円周状部分を含み、
前記電気活性ポリマーアクチュエータが電気活性ポリマーファイバーアクチュエータを含み、この電気活性ポリマーファイバーアクチュエータが一端で前記円周状部分に取り付けられて配置され、そして前記他方のフレーム部材に取り付けられている、請求項4に記載の外科器具。
【請求項7】
前記少なくとも1つのタングが、前記関節運動接合部の関節運動の軸を横断するカウンター円周状部分を含み、
前記外科器具が、前記カウンター円周状部分に取り付けられて配置されたカウンター電気活性ポリマーファイバーアクチュエータをさらに含む、請求項6に記載の外科器具。
【請求項8】
選択された1つの前記上部タングと選択された1つの前記下部タングが共に、前記電気活性ポリマーファイバーに取り付けられた上側部分及び前記カウンター電気活性ファイバーアクチュエータに取り付けられた下側部分を含む丸い形状を有する、請求項7に記載の外科器具。
【請求項9】
前記エンドエフェクタが、発射バーによって作動されるステープル止め/切断組立体を含み、
前記発射バーの基端側に前記ハンドル部分が取り付けられ、前記ハンドル部分が、前記発射バーに長手方向の発射運動を付与するように機能的に構成されており、
前記細長いシャフトが、関節運動した前記関節運動接合部を介して前記発射バーを支持する発射バーガイドをさらに含む、請求項4に記載の外科器具。
【請求項10】
前記エンドエフェクタが、ステープルカートリッジを受容するように機能的に構成された下側溝、及び回動可能に取り付けられた上側アンビルをさらに含み、
前記ハンドル部分が、長手方向の閉止運動を提供するように機能的に構成されており、
前記細長いシャフトが、基端側が前記ハンドル部分に結合されて前記閉止運動を前記アンビルとの先端連結部に伝達する閉止スリーブ組立体をさらに含み、
前記閉止スリーブ組立体が、引き戻された位置及び先端側に延出した位置の両方で前記関節運動接合部の関節運動の軸を中心に回動するように機能的に構成されている、請求項9に記載の外科器具。
【請求項11】
外科器具であって、
長手方向にスライド可能に受容された閉止スリーブ組立体によって覆われたフレーム組立体を含む細長いシャフトと、
細長い溝、その細長い溝に係合したステープルカートリッジ、及び前記ステープルカートリッジに対して形成面を提供する前記細長い溝に回動可能に取付けられたアンビルを含む、ステープル止め組立体と、
前記フレーム組立体に形成された関節運動接合部であって、前記フレーム組立体は、前記細長い溝に取り付けられた先端フレーム部分、及びその先端フレーム部分に回動可能にピンで止められた基端フレーム部分を含む、関節運動接合部と、
前記細長いシャフトの基端部に取り付けられ、前記細長いシャフトに電気信号を選択的に伝達するように機能的に構成されたハンドル部分と、
前記関節運動接合部に連結され、前記電気信号に応答して前記ステープル止め組立体を関節運動させる電気活性ポリマーアクチュエータと、を含む、外科器具。
【請求項12】
外科器具であって、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタ及び基端フレーム部分に取り付けられた先端フレーム部分を含む細長いシャフトと、
前記先端フレーム部分と前記基端フレーム部分との間の回動取付け部と、
電気信号に応答して前記回動取付け部を中心に、前記基端フレーム部分に対して前記先端フレーム部分の回動を作動させるための手段と、を含む、外科器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−34976(P2006−34976A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−216972(P2005−216972)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】