説明

電気車制御装置

【課題】冷却装置の小型化と軽量化が図れる電気車制御装置を提供する。
【解決手段】自己通風主電動機と、この自己通風主電動機に電力を供給する電力変換装置とを有し、前記自己通風主電動機の入気口と接続され、外気を取り込む風洞と、この風洞内に前記電力変換装置を冷却するラジエータを設置しているので、冷却装置の小型化、軽量化および低安価が図れる電気車制御装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の主回路システムは、主電動機を制御するために、例えば特許文献1に記載されているように電力変換装置が用いられている。この電力変換装置を構成するパワーユニットでは発熱する半導体デバイスを規定温度値以下に保つために鉄道車両用冷却装置が必要である。従来、この鉄道車両用冷却装置は発熱部から直接冷却フィンに熱輸送し、冷却フィンは車両が走行するときに得られる走行風により熱を気中に放出するか、あるいは制御装置内に送風機を備え、送風機からの送風によって熱を気中に放出する構成としていた。
【特許文献1】特開2006−197781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
鉄道車両の走行時に得られる走行風を利用して熱を気中に放出する場合、最悪状態での条件を設計条件にいれる必要があるため冷却する体積を大きくとることになるので、冷却装置が大型化し、また、制御装置内に送風機を備える場合は送風機自体の容積とそのための電力を必要とするという問題がある。
【0004】
また、制御装置のパワーユニットの冷却は走行風を利用した冷却装置を備えているが、期待する走行風は最悪を基本にするため、ハード的には冷却部が制御装置の大きな部分を占めること、また、ヒートパイプ等の高性能な熱の輸送手段を用いるため装置が大型化、高コストという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その課題は冷却装置の小型化、軽量化および低安価が図れる電気車制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
鉄道車両用制御装置では、主回路システムでの損失は制御装置の損失に比べて数倍から十数倍の損失が発生するため、その冷却手段として冷却風を利用するのが普通である。この冷却風は主電動機が回転することを利用して回転軸に直結したファンを取り付け、風を呼び込み冷却しようとするものである。
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、この呼び込む風を有効に活用する電気車制御装置を提供するもので、その構成は、自己通風主電動機を駆動する制御装置の変換装置を構成するパワーユニットの冷却用ラジエータを、自己通風の入力側に配置した風洞内に設置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、主電動機でもともと必要な冷却設備を制御装置のパワーユニット冷却に兼用して使用するため、冷却装置の小型化、軽量化および低安価が図れる電気車制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態である電気車制御装置の構成図である。
図1に示すように、本実施形態では主電動機が自己通風構造の場合である。この主電動機回転軸7に取り付けられたロータ2の両側には軸受4が配置されている。ロータ2の前面には回転軸7に直結したファン3が回転自在に取り付けられており、また、ロータ2の円周方向には小間隔を介してステータコイル1が配置されている。5はパワーユニット(図示しない)で発生した熱を放熱するラジエータ、6はファン3が回転して生じる風の通路をなす風洞、8は機壁である。
【0010】
次に、本実施形態に係る電気車制御装置の作用について説明する。
主電動機が制御装置により電力を受けて回転すると、ファン3が回転し、矢印のような風を呼び込むことになる。その風の通路を風洞6で構成し、この風洞6内の風上すなわち主電動機の風上にパワーユニットで発生した熱を放熱するラジエータ5を配置する。このとき、パワーユニットの発熱部とラジエータは発生した熱を放熱する冷却フィンとしての機能を有するので、冷却フィンとして特別な器具などを必要としない。
【0011】
また、ラジエータ5と図示しないパワーユニットの発熱部から生じる発熱量が大きい場合は、ラジエータとパワーユニットの発熱部を図示しない強制循環水冷パイプで接続すると発生した熱を効果的に放熱することができる。
【0012】
上述したように本実施形態によると、主電動機でもともと必要な冷却設備を制御器のパワーユニット冷却に兼用して使用するため、冷却装置の小型化、軽量化および低安価が図れる。
【0013】
図2は本発明の第2の実施形態である電気車制御装置の構成図であり、図1の第1の実施形態と同一な構成部分には同一符号を付して重複説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態では主電動機が外扇全閉構造の場合である。主電動機回転軸7に取り付けられたファン3が機外に取り付けられている点が図1の第1の実施形態と異なる構成であるが、風の呼び込み方は、図1の第1の実施形態と同様にラジエータ5は風洞6内の風上すなわち主電動機の風上に配置されている。
【0014】
本実施形態によると、ファンが機外に取り付けられているので、ファンの保守、管理が容易になる外は第1の実施形態と同様に主電動機でもともと必要な冷却設備を制御器のパワーユニット冷却に兼用して使用するため、冷却装置の小型化、軽量化および低安価が図れる。
【0015】
図3は本発明の第3の実施形態である電気車制御装置の構成図であり、図1の第1の実施形態と同一な構成部分には同一符号を付して重複説明は省略する。
図3に示すように、本実施形態は主電動機の容量が大きい場合であり、図1の第1の実施形態と異なる構成は、主電動機回転軸7に取り付けられたファン3の代りに、風洞6内に配置されたラジエータ5の風上に外部の送風機9を配置し、この外部の送風機9で強制的に風を起すようにしている点であるが、風の呼び込み方は、図1の第1の実施形態と同様にラジエータ5は風洞6内の風上すなわち主電動機の風上に配置されている。
【0016】
本実施形態によると、機内に配置されるファンの代りに送風機を外部に配置しているので、容量の大きい主電動機の冷却にも容易に対応できる外は第1の実施形態と同様に主電動機でもともと必要な冷却設備を制御器のパワーユニット冷却に兼用して使用するため、冷却装置の小型化、軽量化および低安価が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態である電気車制御装置の構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態である電気車制御装置の構成図。
【図3】本発明の第3の実施形態である電気車制御装置の構成図。
【符号の説明】
【0018】
1…主電動機ステータコイル、2…主電動機のロータ、3…ファン、4…軸受け、5…パワーユニットのラジエータ、6…風洞、7…回転軸、8…機壁、9…主電動機送風機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己通風主電動機と、この自己通風主電動機に電力を供給する電力変換装置とを有し、前記自己通風主電動機の入気口と接続され、外気を取り込む風洞と、この風洞内に前記電力変換装置を冷却するラジエータを設けたことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気車制御装置において、前記ラジエータと前記電力変換装置の発熱部は強制循環水冷パイプで接続されていることを特徴とする電気車制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電気車制御装置において、前記ラジエータと前記電力変換装置の発熱部は冷却フィンとして構成されたことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気車制御装置において、前記主電動機に外扇全閉構造が使用されることを特徴とする電気車制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気車制御装置において、前記主電動機に当該主電動機外部に設置された送風機で冷却される強制風冷構造が使用されることを特徴とする電気車制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−160986(P2008−160986A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347662(P2006−347662)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】