説明

電流検出装置

【課題】負荷回路毎に設けた複数の電流検出回路間における相対誤差を抑制できる電流検出装置を提供する。
【解決手段】負荷101aの電流を検出するためのシャント抵抗RSaに定電流回路105を直列に接続させて、シャント抵抗RSaに定電流値を流したときのオペアンプOPaの出力を求めると共に、負荷101bの電流を検出するためのシャント抵抗RSbに定電流回路105を直列に接続させて、シャント抵抗RSbに定電流値を流したとき、即ち、オペアンプOPaと共通の電位差を入力させたときのオペアンプOPbの出力を求める。そして、共通の電位差を入力させたときのオペアンプOPa及びオペアンプOPbの出力から、オペアンプOPaとオペアンプOPaとの相対誤差を補正するための補正値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電流検出回路によって各負荷回路の負荷電流をそれぞれに検出する電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、A/D変換回路において、複数のA/D変換器による第1及び第2の基準直流電圧についてのディジタルデータの差分に基づいて、ディジタルゲイン補正データを算出し、前記ディジタルゲイン補正データをD/A変換して前記A/D変換器に対するアナログゲイン補正信号を生成する構成の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−339303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、自動車用ブレーキ装置において、各車輪の制動力を複数のソレノイドバルブで個別に制御する場合、複数のソレノイドバルブ(負荷)毎に実際の電流(負荷電流)を検出して操作量を個々にフィードバック制御する場合がある。
【0005】
しかし、前記負荷電流の検出に用いる電流検出回路には、オペアンプのゲイン誤差などがあり、かかる誤差によって複数の電流検出回路間で相対誤差が生じ、該相対誤差を要因として各ソレノイドバルブが制御する制動力、即ち、車輪毎の制動力にばらつきを生じてしまう場合があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、負荷回路毎に設けた複数の電流検出回路間における相対誤差を抑制できる電流検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本願発明では、複数の電流検出回路を構成する複数のオペアンプに対して共通の電位差を入力させたときの各電流検出回路の出力に基づいて、各負荷回路の負荷電流を検出するときに、電流検出回路の出力を個別に補正するようにした。
【発明の効果】
【0008】
上記発明によると、負荷回路毎に設けた複数の電流検出回路間における相対誤差を検出し、該検出結果に基づいて各電流検出回路の出力を補正することで、前記相対誤差を抑制した負荷電流の検出が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態における車両用の制動力制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態におけるブレーキ圧制御ユニットを示すブロック図である。
【図3】電流検出装置の第1実施形態を示す回路図である。
【図4】前記第1実施形態における相対誤差の検出及び相対誤差の補正処理を示すフローチャートである。
【図5】電流検出装置の第2実施形態を示す回路図である。
【図6】電流検出装置の第3実施形態を示す回路図である。
【図7】前記第3実施形態における相対誤差の検出及び相対誤差の補正処理を示すフローチャートである。
【図8】電流検出装置の第4実施形態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本願発明に係る電流検出装置を適用する車両用の制動力制御装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
この図1に示すように、制動力制御装置は、車速VSPを検出する車速センサ1、操舵輪の舵角STEを検出する舵角センサ2、車体のヨーレイトYAWを検出するヨーレイトセンサ3、運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作を検出するブレーキセンサ4、車両が走行している路面の摩擦係数μを検出(推定)する路面μセンサ5、マスターシリンダ圧MCPを検出するマスターシリンダ圧センサ6、コントローラ7、エンジン出力制御装置8及びブレーキ圧制御ユニット9を備えている。
【0012】
前記車速センサ1、舵角センサ2、ヨーレイトセンサ3、ブレーキセンサ4、路面μセンサ5、マスターシリンダ圧センサ6は、それぞれの検出結果を前記コントローラ7に出力する。
【0013】
コントローラ7は、上記各種センサの検出結果に基づいて制動力制御処理を実行し、エンジン出力制御装置8及びブレーキ圧制御ユニット9に対して制御指令を出力する。
エンジン出力制御装置8は、運転者のアクセル操作及びコントローラ7の指令に従って、エンジン出力を制御する。
【0014】
ブレーキ圧制御ユニット9は、運転者のブレーキ操作及びコントローラ7の指令に従って、各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御する。
ブレーキ圧制御ユニット9は、図2に示すように、マスターシリンダ10と各ホイールシリンダ11FL〜11RRとの間に配置される。
【0015】
マスターシリンダ10は、運転者によるブレーキペダルの操作量に応じてプライマリ側とセカンダリ側との2系統の液圧(マスターシリンダ圧)を作るタンデム式のものであり、プライマリ側の液圧を左前輪FL・右後輪RRの各ホイールシリンダ11FL,11RRに伝達し、セカンダリ側の液圧を右前輪FR・左後輪RLの各ホイールシリンダ11FR,11RLに伝達する。
【0016】
各ホイールシリンダ11FL〜11RRは、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧して制動力を発生させるディスクブレーキ、又は、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧して制動力を発生させるドラムブレーキに内蔵される。
【0017】
また、ブレーキ圧制御ユニット9は、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)、スタビリティ制御(Vehicle Dynamics Control)などの運転者のブレーキ操作に関わらず各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を増圧・保持・減圧する制御(以下、自動走行安定制御ともいう)を行うための制動流体圧制御回路を含んでいて、前記コントローラ7は、前記制動流体圧制御回路に含まれるソレノイドを制御することで、液圧の増圧・保持・減圧を制御する。
【0018】
即ち、プライマリ側は、マスターシリンダ10及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能な常開型の第1ゲートバルブ12A、第1ゲートバルブ12A及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能な常開型のインレットバルブ13FL(13RR)、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びインレットバルブ13FL(13RR)間に連通したリザーバ14、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びリザーバ14間の流路を開放可能な常閉型のアウトレットバルブ15FL(15RR)、マスターシリンダ10及び第1ゲートバルブ12A間とリザーバ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間とを連通した流路を開放可能な常閉型の第2ゲートバルブ16A、更に、リザーバ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間に吸入側を連通し、且つ、第1ゲートバルブ12A及びインレットバルブ13FL(13RR)間に吐出側を連通した電動ポンプ17を備えている。
【0019】
また、前記電動ポンプ17の吐出側には、吐出されたブレーキ液の脈動を抑制するためのダンパー室18が配設されている。
また、セカンダリ側も、プライマリ側と同様に、第1ゲートバルブ12B、インレットバルブ13FR(13RL)、リザーバ14、アウトレットバルブ15FR(15RL)、第2ゲートバルブ16B、電動ポンプ17及びダンパー室18を備えている。
【0020】
第1ゲートバルブ12A・12B、インレットバルブ13FL〜13RR、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bは、それぞれ2ポート2ポジション切換・シングルソレノイド・スプリングオフセット式のソレノイドバルブであって、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRは、非励磁のOFF状態で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bは、非励磁のOFF状態で流路を閉鎖する。
【0021】
電動ポンプ17は、負荷圧力に関係なく任意の吐出量を確保できる、歯車ポンプやピストンポンプなどの容積形のポンプを用いている。
そして、プライマリ側を例に説明すると、コントローラ7は、通常制動時(自動走行安定制御を行わない場合)には、第1ゲートバルブ12A、インレットバルブ13FL(13RR)、アウトレットバルブ15FL(15RR)、及び第2ゲートバルブ16Aを全て非励磁のOFF状態とすることで、マスターシリンダ10の液圧(運転者のブレーキ操作によって作られたマスターシリンダ圧)をそのままホイールシリンダ11FL(11RR)に伝達し、運転者のブレーキ操作に応じた制動力を発生する。
【0022】
また、前記自動走行安定制御における増圧要求時において、コントローラ7は、インレットバルブ13FL(13RR)、及び、アウトレットバルブ15FL(15RR)を非励磁のOFF状態としたまま、第1ゲートバルブ12Aを励磁して閉鎖するとともに、第2ゲートバルブ16Aを励磁して開放し、さらに、電動ポンプ17を駆動することで、マスターシリンダ10の液圧を電動ポンプ17が第2ゲートバルブ16Aを介して吸入し、電動ポンプ17から吐出される液圧がインレットバルブ13FL(13RR)を介してホイールシリンダ11FL(11RR)に伝達され、液圧を増圧させる。
【0023】
更に、前記自動走行安定制御における液圧保持要求時において、コントローラ7は、第1ゲートバルブ12A、アウトレットバルブ15FL(15RR)、及び第2ゲートバルブ16Aを非励磁のOFF状態とし、インレットバルブ13FL(13RR)を励磁して閉鎖することで、ホイールシリンダ11FL(11RR)からマスターシリンダ10及びリザーバ14への流路それぞれが遮断され、ホイールシリンダ11FL(11RR)の液圧を保持する。
【0024】
また、前記自動走行安定制御における減圧要求時において、コントローラ7は、第1ゲートバルブ12A及び第2ゲートバルブ16Aを非励磁のOFF状態とし、インレットバルブ13FL(13RR)を励磁して閉鎖するとともに、アウトレットバルブ15FL(15RR)を励磁して開放することで、ホイールシリンダ11FL(11RR)の液圧をリザーバ14に流出させて減圧する。
【0025】
尚、セカンダリ側に関しても、通常制動時及び自動走行安定制御時の動作は、プライマリ側の動作と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
上記のように、コントローラ7は、第1ゲートバルブ12A・12B、インレットバルブ13FL〜13RR、アウトレットバルブ15FL〜15RR、第2ゲートバルブ16A・16B及び電動ポンプ17を駆動制御することによって、各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を自動的に増圧・保持・減圧する。
【0026】
前記増圧・減圧制御において、前記コントローラ7は、前記アウトレットバルブ15FL〜15RRやインレットバルブ13FL〜13RRを構成するソレノイドバルブの目標電流を要求制動力(要求増圧レベル、要求減圧レベル)などに基づいて設定し、該目標電流に実際の電流が近づくように、前記各ソレノイドバルブの通電のオン・オフをデューティ制御する際のデューティ比をフィードバック制御する。
【0027】
前記フィードバック制御のために、図3に示す電流検出回路によって、ソレノイドバルブにおける実際の電流(負荷電流)を検出する。
図3において、第1負荷101a,第2負荷101bは、例えば、左前輪FLの液圧を制御するアウトレットバルブ15FL,右前輪FRの液圧を制御するアウトレットバルブ15FRのソレノイドであり、第1負荷101a,第2負荷101bと接地部(アース、基準電位点)との間には、ソレノイドへの通電・遮断を制御するスイッチング素子である第1,第2FET(トランジスタ)102a,102bを直列に接続してある。
【0028】
また、前記各負荷101a,101bと電源VBとの間には、各負荷101a,負荷101bに流れる電流(負荷電流)を検出するための第1,第2シャント抵抗(電流測定用の抵抗器)RSa,RSbを直列に接続してある。
【0029】
上記のように、各負荷回路は、シャント抵抗RSa(RSb)、負荷101a(101b)、FET102a(102b)の直列接続回路で構成される。
更に、前記シャント抵抗RSa,RSbそれぞれの両端の電位差を入力する第1,第2オペアンプ(差動増幅器)OPa,OPbを設けてあり、前記オペアンプOPa,OPbの出力は、A/D変換器103でデジタルデータに変換されてメモリ&演算部104に出力される。
【0030】
即ち、シャント抵抗RSaとオペアンプOPaとの組み合わせによって、負荷101a側の電流検出回路が構成され、シャント抵抗RSbとオペアンプOPbとの組み合わせによって、負荷101b側の電流検出回路が構成される。
【0031】
尚、前記メモリ&演算部104は、マイクロプロセッサ(マイコン)と、電流検出値を補正するためのデータを記憶するメモリ(記憶手段)とを備えてなる。
また、電流検出装置は、定電流回路105と、該定電流回路105とシャント抵抗RSaとを直列接続させる接続回路LSaと、該接続回路LSaに介装したスイッチ106aと、該定電流回路105とシャント抵抗RSbとを直列接続させる接続回路LSbと、該接続回路LSbに介装したスイッチ106bとを備えている。
【0032】
ここで、前記両スイッチ106a,106bをオフ状態(開成状態)にすれば、前記シャント抵抗RSa,RSbには、FET102a,102bのオンデューティに応じた電流(負荷電流)が流れ、前記スイッチ106a,106bのいずれか一方をオン状態にすると、定電流回路105に接続されたシャント抵抗RSの電流が定電流値に制御される。
【0033】
即ち、スイッチ106a,106bは、定電流回路105をシャント抵抗RSa側に接続する状態と、定電流回路105をシャント抵抗RSb側に接続する状態と、定電流回路105をシャント抵抗RSa側及びシャント抵抗RSb側の双方に接続しない状態とのいずれかに切り替える切り替え手段である。
【0034】
そして、定電流回路105をシャント抵抗RSa側に接続したときにオペアンプOPaに入力される電位差と、定電流回路105をシャント抵抗RSb側に接続したときにオペアンプOPbに入力される電位差とは、共通の電位差となるから、前記接続回路LSa,LSb、スイッチ106a,106b、定電流回路105及びコントローラ7(演算部122)によるスイッチ106a,106bの制御機能によって、共通電位差入力手段が構成される。
【0035】
尚、前記オペアンプOPa,OPb、定電流回路105及びスイッチ106a,106bを含むアンプ部121は1つのIC(集積回路)を構成し、前記アンプ部121、及び、前記A/D変換器103a,103bとメモリ&演算部104とを含む演算部122(電流検出手段、補正手段)は、前記コントローラ7に含まれる。
【0036】
上記構成の電流検出装置において、負荷電流を検出する場合には、メモリ&演算部104は、前記スイッチ106a,106bを共にオフ状態(開放状態)に制御することで、負荷電流が、FET102a,102bのオンデューティに応じて変化する状態とし、前記オペアンプOPa,OPbの出力から各負荷電流を検出する。
【0037】
ここで、前記オペアンプOPa,OPbを1つの集積回路内に一体的に設けることで、温度特性や半導体ばらつきが同様になるようにして、2つの電流検出回路間における検出ばらつきを抑制するようにしているが、オペアンプOPa,OPbの0点のずれ・ゲインずれなどによって、前記検出ばらつきが発生してしまう。
【0038】
そこで、前記定電流回路105及びスイッチ106a,106bを用いて、電流検出回路間(オペアンプOPa,OPb間)における相対的な検出ばらつき(相対誤差)を検出し、検出した相対誤差を補償する補正を、オペアンプOPa,OPbの出力に対して施し、該補正後の出力を、最終的に負荷電流を示す値とすることで、各負荷電流を同じ値に制御したいのに、電流検出回路間の相対誤差によって、異なる電流に制御されてしまうことを抑制できるようにしてある。
【0039】
図4のフローチャートは、前記コントローラ7(演算部122)による前記相対誤差の検出及び出力補正処理を示すものであり、まず、ステップS501では、前記電流検出回路間の相対誤差を検出する条件が成立しているか否かを判断する。
【0040】
後述の診断では、負荷101(ソレノイド)に電流を流すことなく診断が行えるので、電流検出回路の検出結果を用いた制御が行われていない状態であれば、前記相対誤差の検出条件が成立していると判断する。
【0041】
条件成立がステップS501で判断されると、ステップS502へ進み、前記スイッチ106aをオフ状態(開成状態)としたまま、第1オペアンプOPa側のスイッチ106aをオン(閉成)することで、定電流回路105をシャント抵抗RSaに対して直列に接続する。
【0042】
これにより、シャント抵抗RSaには定電流値の電流が流れ、オペアンプOPaには、前記定電流値に対応する電位差が入力されることになり、ステップS503では、このときの第1オペアンプOPaの出力(電流検出出力)を読み込んでメモリ(記憶手段)に記憶する。
【0043】
次のステップS504では、前記スイッチ106aをオフし、第2オペアンプOPb側のスイッチ106bをオンすることで、定電流回路105をシャント抵抗RSbに対して直列に接続する。
【0044】
これにより、シャント抵抗RSbには定電流値の電流が流れ、第2オペアンプOPbには、前記定電流値に対応する電位差が入力されることになり、ステップS505では、このときの第2オペアンプOPbの出力(電流検出出力)を読み込んでメモリ(記憶手段)に記憶する。
【0045】
前記ステップS503及びステップS505で記憶したオペアンプOPa,OPbの出力は、シャント抵抗RSa,RSbに同じ電流値が流れている状態であって、各オペアンプOPa,OPbに共通の電位差を入力させたときの出力であるから、両者の違いは、オペアンプOPa,OPb間の相対誤差を示すことになる。
【0046】
そして、オペアンプOPa,OPb間の相対誤差、即ち、電流検出回路間における相対誤差がある状態では、各負荷101a,101bに流れている電流を検出する場合に、同じ負荷電流が実際には流れているにも関わらず、電流値が異なると判断して、FET102a,102bの制御デューティを変更してしまい、本来同じ負荷電流にする要求があるのに、実際に流れる電流値にばらつきを生じることになる。
【0047】
ここで、例えば、負荷101aが、右前輪FRの液圧を制御するソレノイドバルブであって、負荷101bが、左前輪FLの液圧を制御するソレノイドバルブである場合、各ソレノイドが異なる電流に制御されることで、左右輪間での液圧のばらつきを発生させることになってしまう。
【0048】
そこで、ステップS506(補正手段)では、各オペアンプOPa,OPbに共通の電位差を入力させたときの出力に基づいて、共通の電位差が入力されたときに各オペアンプOPa,OPbの出力結果を同じ値に補正するための補正値(補正係数)を演算して記憶する。
【0049】
具体的には、例えば、共通の電位差を入力したときのオペアンプOPaの出力をOUTA、オペアンプOPbの出力をOUTBとしたときに、OUTB/OUTAをオペアンプOPaの出力を補正するための補正係数として設定するか、又は、OUTA/OUTBをオペアンプOPbの出力を補正するための補正係数として設定する。
【0050】
また、例えば、シャント抵抗RSa,RSbに電流を流していない状態での電流検出値と、前記定電流回路105によって定電流(例えば250A)を流したときの電流検出値とから、実電流に対する測定値の特性を直線補間で求め、一方の測定特性に他方の測定特性を合わせる補正を行わせることができる。
【0051】
ここで、他の電流検出回路の測定特性を合わせるための基準とする電流検出回路は、予め特定しておいても良いし、定電流を流したときの電流検出値の誤差が小さい回路を基準回路として選択しても良い。
【0052】
また、前記補正値は、上記のように、各オペアンプOPa,OPbの出力のうちのいずれか一方のみを補正する補正値であっても良いし、オペアンプOPa用の補正値と、オペアンプOPb用の補正値とを個別に設定してもよい。
【0053】
ステップS501で、相対誤差を検出する条件が成立していないと判断されると、ステップS507へ進み、負荷電流の検出条件(負荷電流のフィードバック制御条件)であるか否かを判断する。
【0054】
そして、負荷電流の検出条件であれば、ステップS508へ進み、そのときのオペアンプOPa,OPbそれぞれの出力をA/D変換して読込み、ステップS509(補正手段)では、ステップS506で演算し記憶しておいた補正値によって、オペアンプOPa及び/又はオペアンプOPbの出力を補正する。
【0055】
ステップS510では、ステップS509で補正した出力に基づく電流検出値に応じて、負荷101a,101b(ソレノイド)の制御デューティをフィードバック制御する。
例えば、ステップS509で補正した出力に基づいて求めた実際の電流値と、目標電流値との偏差に基づく比例・積分・微分動作によって、ソレノイドのデューティ制御におけるデューティ比を演算する。
【0056】
これにより、オペアンプOPa,OPb間の相対誤差が補償され、負荷101a側の負荷電流と負荷101b側の負荷電流とが同じであるのに、異なる電流値に検出されることが抑制され、結果、負荷101a側の負荷電流と負荷101b側の負荷電流とを目標電流付近の同等の値に制御できる。
【0057】
従って、負荷101a,101bが、前輪側又は後輪側の左右輪のブレーキ圧(液圧)を制御するソレノイドバルブ(例えば、アウトレットバルブ15FL,FR)であれば、左右輪で制動力に差が生じることを抑制でき、高い制動安定性を得ることができる。
【0058】
尚、オペアンプOPa,OPbの出力を補正するための補正値を演算し記憶させる代わりに、オペアンプOPa,OPbに共通の電位差を入力させたときの各出力を記憶させ、該記憶値を用いてオペアンプOPa,OPbの出力を補正することができる。
【0059】
図3に示した電流検出装置(第1実施形態)では、オペアンプOPa,OPb、定電流回路105及びスイッチ106a,106bを一体的に備える1つの集積回路内で、前記オペアンプOPa,OPbの入力回路と、定電流回路105とを接続させたが、この場合、負荷回路とオペアンプOPa,OPbとの接続点C1(シャント抵抗RSの下流側端子)と、前記オペアンプOPa,OPbの入力回路と定電流回路105との接続点C2との間における回路部分の抵抗値による電圧降下分を含む電位差を、オペアンプOPa,OPbに入力させることになって、相対誤差の検出精度が低下する。
【0060】
そこで、図5に示す第2実施形態のように、オペアンプOPa,OPb、定電流回路105及びスイッチ106a,106bを一体的に備える1つの集積回路に、負荷回路と定電流回路105とを接続させるための端子CCa,CCbを設け、該端子CCa,CCbと、シャント抵抗RSと負荷101との間とを接続させるようにすることが好ましい。
【0061】
図5に示すように構成すると、集積回路の端子数は多くなるものの、定電流回路105を接続させた状態と、定電流回路105を接続させない状態とで、オペアンプOPa,OPbが入力する電位差の箇所が同じになって、オペアンプOPa,OPbの相対誤差を検出する状態と、オペアンプOPa,OPbによって実際の電流検出を行わせる状態とが同じになって、高い補正精度を確保できる。
【0062】
また、上記実施形態では、定電流回路105を用いてオペアンプOPa,OPbに共通の電位差を入力させ、そのときのオペアンプOPa,OPbの出力差を、両者の相対誤差として検出させるようにしたが、定電流回路を用いずに前記相対誤差を検出させることが可能である。
【0063】
図6は、定電流回路を用いずにオペアンプOPa,OPbに共通の電位差を入力させて、オペアンプOPa,OPb間の相対誤差を検出する実施形態(第3実施形態)を示す。
図6に示す電流検出装置は、シャント抵抗RSa,RSbの下流側端子とオペアンプOPa,OPbとを接続する入力回路SDa,SDb相互を、スイッチ201を介装した接続回路SSで短絡させることができるよう構成したものであり、オペアンプOPa側の入力回路SDaに抵抗R3,R4を直列に接続し、また、オペアンプOPb側の入力回路SDbに抵抗R1,R2(R1の抵抗値=R3の抵抗値、R2の抵抗値=R4の抵抗値)を直列に接続し、抵抗R3,R4の接続点C3(分圧点)と、抵抗R1,R2の接続点C4(分圧点)とを、前記スイッチ201が介装される接続回路SSで接続させている。
【0064】
ここで、例えば、FET102aをオンとし、FET102bをオフとして、シャント抵抗RSaに負荷電流Aを流した状態で(又は、FET102aをオフとし、FET102bをオンとして負荷電流Bを流した状態で)、前記スイッチ201をオンさせると、接続点C3と接続点C4との電位が同じなるので、オペアンプOPa,OPbに共通の電位差が入力されることになり、このときのオペアンプOPa,OPbの出力差が、オペアンプOPa,OPbの相対誤差を示すことになる。
【0065】
前記接続回路SSに介装されるスイッチ201をオンさせることで、オペアンプOPa,OPbに共通の電位差が入力されるようになるから、接続回路SSと該接続回路SSに介装されるスイッチ201のオン・オフを制御するコントローラ7の制御機能とによって、共通電位差入力手段が構成される。
【0066】
前記電流検出装置では、前記抵抗R1,R3によって、負荷回路同士の電流干渉を低くできるので、例えば負荷電流Aを流した状態でのオペアンプOPa,OPbの出力差から、オペアンプOPa,OPbの相対誤差を高精度に検出できる。
【0067】
また、図中に点線で示すように、シャント抵抗RSaの下流側端子とシャント抵抗RSbの下流側端子とを、抵抗を介することなく前記接続回路SSで直接的に接続させることができるが、この場合、スイッチ201に過大な電流が流れてしまう可能性がある。
【0068】
これに対し、図6に実線で示すように、オペアンプOPa,OPbの入力回路SDa,SDbの途中で相互が接続されるようにすれば、負荷101やスイッチ201に過大な電流が流れることを抑制しつつ、オペアンプOPa,OPbに共通の電位差を入力させることができる。
【0069】
そして、前記共通の電位差を入力させたときのオペアンプOPa,OPbそれぞれの出力から、前記第1実施形態と同様にして補正値を設定し、負荷電流の検出を行う場合に、前記補正値でオペアンプOPa,OPbの出力を補正することで、オペアンプOPa,OPb間の相対誤差を補償した電流検出が行える。
【0070】
実際の負荷電流の検出においては、抵抗R1,R3のばらつきが、オペアンプOPa,OPbに入力される電位差のばらつきを生じさせることになるが、抵抗R2,R4の抵抗値に対して、抵抗R1,R3の抵抗値を小さくすれば、抵抗R1,R3の抵抗値のばらつきの影響を充分に小さくでき、接続点C3と接続点C4とを同じ電位にしたときのオペアンプOPa,OPbの出力から求めた補正値による補正で、充分な精度の電流検出を行える。
【0071】
例えば、抵抗R2,R4の抵抗値を99kΩとし、抵抗R1,R3の抵抗値を1kΩとすると、抵抗R1,R3の抵抗値が50%ずれても、トータルの抵抗値は、100.5kΩとなり、0.5%の誤差にしかならないので、実際の負荷電流の検出において、抵抗R1,R3の抵抗値ばらつきによる電流検出の誤差を充分に小さくできる。
【0072】
尚、FET102aをオンとし、FET102bをオフとして負荷電流Aを流し、スイッチ201をオン(閉成状態)とした状態でのオペアンプOPa,OPbの出力差と、FET102aをオフとし、FET102bをオンとして負荷電流Bを流し、スイッチ201をオン(閉成状態)とした状態でのオペアンプOPa,OPbの出力差とをそれぞれに求めることで、抵抗R1,R3の抵抗値誤差を推定することができ、この抵抗値誤差の補正を含めて、各オペアンプOPa,OPbの出力を補正する補正値を設定させることができる。
【0073】
図7のフローチャートは、図6に示した電流検出装置におけるコントローラ7(演算部122)による、オペアンプOPa,OPb間の相対誤差の検出処理及び検出出力の補正処理を示す。
【0074】
ステップS601では、前記電流検出回路間(オペアンプOPa,OPb間)の相対誤差を検出する条件が成立しているか否かを判断する。
本実施形態における相対誤差の検出では、負荷101に対して診断用として強制的に電流を流すので、例えばブレーキ圧制御ユニット9においては、前記アウトレットバルブ15FL〜15RRやインレットバルブ13FL〜13RRなどに制動力要求とは無関係に通電制御を行っても良い条件、具体的には、車両停止時かつエンジン停止かつパーキングブレーキの作動状態であることなど、ソレノイドバルブを用いた液圧の増圧・保持・減圧制御が安定して不要であるソレノイドのOFF状態で、相対誤差の検出を行わせることが好ましい。
【0075】
条件成立がステップS601で判断されると、ステップS602へ進み、前記FET102aをオン状態とする一方、前記FET102bをオフ状態として、負荷電流Aが流れる状態とする。
【0076】
尚、オンさせる側のFET102は、例えば、100%オンデューティを与える構成であっても良いし、予め設定されたオンデューティDUTY(0<<DUTY<100)を与えるようにしてもよい。
【0077】
また、前記FET102aをオフ状態とする一方、前記FET102bをオン状態として、負荷電流Bが流れる状態としてもよい。
ステップS603では、前記接続回路SSのスイッチ201をオン(閉成状態)とし、接続点C3,C4の電位を同じにし、オペアンプOPa,OPbに共通の電位差が入力されるようにする。
【0078】
ステップS604では、そのときのオペアンプOPa,OPbそれぞれの出力を読み込み、ステップS605では、読み込んだ出力に基づいて、共通の電位差が入力された場合に各オペアンプOPa,OPbの出力を同等にするための補正値を演算して記憶させる。
【0079】
ステップS601で、相対誤差を検出する条件が成立していないと判断されると、ステップS606へ進み、負荷電流の検出条件(負荷電流のフィードバック制御条件)であるか否かを判断する。
【0080】
そして、負荷電流の検出条件であれば、ステップS607へ進み、オペアンプOPa,OPbそれぞれの出力をA/D変換して読込み、ステップS608では、ステップS605で演算し記憶しておいた補正値によって、オペアンプOPa,OPbの出力を補正する。
【0081】
ステップS609では、ステップS608で補正した出力に基づく電流検出値に応じて、ソレノイドの制御デューティをフィードバック制御する。
上記第3実施形態によると、定電流回路105を用いることなく、各オペアンプOPa,OPbに共通の電位差を入力させて、オペアンプOPa,OPbの相対誤差を検出し、オペアンプOPa,OPbの出力(電流検出値)を補正して相対誤差を補償できる。
【0082】
図6に示した第3実施形態では、シャント抵抗RSとオペアンプOPとから構成される電流検出回路を2系統備えた場合を示したが、図8に示す第4実施形態ように、例えば、4輪それぞれに対応して設けられる4個のソレノイドバルブ(例えば、インレットバルブ13FL〜13RRやアウトレットバルブ15FL〜15RR)の駆動回路(負荷回路)に対して、それぞれに電流検出回路を備える場合には、これら4系統の電流検出回路のうちの1つを基準とする電流検出回路として定め、該基準の電流検出回路の出力に、他の3系統の電流検出回路の出力を合わせるように補正して、同じ電流値に対して各電流検出回路の出力が揃うようにすることができる。
【0083】
具体的には、基準とする電流検出回路と、他の3系統の電流検出回路とのいずれか1つとの組み合わせにおいて、各電流検出回路のオペアンプOPに共通の電位差を入力させるための前記接続回路SS1〜SS3を設けるようにする。
【0084】
図8においては、基準の電流検出回路を、負荷101aの電流を検出する回路に定め、前記図6に示した実施形態と同様に、負荷101aの電流を検出する回路におけるオペアンプOPaの入力回路SDa(接続点C3)と負荷101bの電流を検出する回路におけるオペアンプOPbの入力回路SDb(接続点C4)とを接続回路SS1で接続し、同様に、負荷101aの電流を検出する回路におけるオペアンプOPaの入力回路SDa(接続点C5)と負荷101cの電流を検出する回路におけるオペアンプOPcの入力回路SDc(接続点C6)とを接続回路SS2で接続し、更に、負荷101aの電流を検出する回路におけるオペアンプOPaの入力回路SDa(接続点C7)と負荷101dの電流を検出する回路におけるオペアンプOPdの入力回路SDd(接続点C8)とを接続回路SS3で接続させるようにしてある。
【0085】
前記接続回路SS1〜SS3には、スイッチ201b,201c,201dがそれぞれ介装されている。
そして、FET102aをオンさせて負荷電流Aを流す状態で、接続回路SS1〜SS3に介装されるスイッチ201のいずれか1つをオンさせ、接続回路SS1に介装されるスイッチ201bをオンさせた状態では、負荷101aの電流を検出する回路(オペアンプOPa)に対する負荷101bの電流を検出する回路(オペアンプOPb)の相対誤差を求め、接続回路SS2に介装されるスイッチ201cをオンさせた状態では、負荷101aの電流を検出する回路(オペアンプOPa)に対する負荷101cの電流を検出する回路(オペアンプOPc)の相対誤差を求め、接続回路SS3に介装されるスイッチ201dをオンさせた状態では、負荷101aの電流を検出する回路(オペアンプOPa)に対する負荷101dの電流を検出する回路(オペアンプOPd)の相対誤差を求める。
【0086】
次いで、前記負荷101aの電流を検出する回路(オペアンプOPa)に対する負荷101bの電流を検出する回路(オペアンプOPb)の相対誤差に基づいて、負荷101bの電流を検出する回路(オペアンプOPb)の出力を、負荷101aの電流を検出する回路(オペアンプOPa)の出力に合わせるための補正値を演算・記憶させ、同様に、負荷101cの電流を検出する回路(オペアンプOPc)の出力を補正するための補正値、負荷101dの電流を検出する回路(オペアンプOPd)の出力を補正するための補正値を演算・記憶させる。
【0087】
上記のようにして求めた補正値で、各電流検出回路(オペアンプOP)の出力を補正すれば、負荷101aの電流を検出する回路(オペアンプOPa)の出力特性に、他の系統の出力特性が近づけられ、同じ実電流に対して異なる検出出力になってしまうことが抑制され、4輪それぞれに対応するソレノイドバルブの電流(負荷電流)を同等に制御でき、結果的に、4輪それぞれの制動力が、電流検出ばらつきによってばらついてしまうことを抑制できる。
【0088】
尚、電流検出回路(オペアンプOP)の出力を補正するための補正値は、予め定めた上下限値以内に制限することが好ましく、また、前記上下限値を超える補正要求が発生した場合には、電流検出回路の異常を診断して、警告を発したり、ソレノイドバルブの制御(自動走行安定制御)を禁止したりすることができる。
【0089】
更に、同じ電位差をオペアンプに入力させた場合のオペアンプの出力に基づく補正値を、移動平均(加重平均)演算し、該移動平均値に基づいてオペアンプ出力を補正させることができる。
【0090】
また、本実施形態では、負荷を、ブレーキ圧制御ユニットを構成するソレノイドバルブとしたが、例えば自動変速機の油圧制御に用いるソレノイドバレブの電流検出回路などにも、同様に適用することができる。
【0091】
また、負荷及び該負荷の電流を検出する電流検出回路の組み合わせを複数備えればよく、前記電流検出回路を2系統或いは4系統備える構成に限定するものではない。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の電流検出装置において、
前記負荷回路が、車両の車輪に供給するブレーキ液圧を制御するソノレイドバルブを負荷とする回路であることを特徴とする電流検出装置。
【0092】
上記発明によると、ブレーキ液圧を制御するソレノイドバルブそれぞれに流れる電流を検出する回路を構成するオペアンプ間の相対誤差が補正され、ソレノイドバルブに流れる電流のばらつき誤差を抑制して、ブレーキ液圧の制御精度が向上する。
(ロ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の電流検出装置において、
前記負荷回路が、車両の車輪に供給するブレーキ液圧を制御するソノレイドバルブを負荷とする回路であり、
前記共通電位差入力手段が、左右輪のブレーキ液圧をそれぞれに制御するソノレイドバルブの電流を検出する2つの電流検出回路のオペアンプに対し、共通の電位差を入力させることを特徴とする電流検出回路。
【0093】
上記発明によると、左右輪のブレーキ液圧をそれぞれに制御するソノレイドバルブの電流を検出回路(オペアンプ)間における相対誤差が補正されることで、左右輪のブレーキ液圧のばらつきが抑制され、制動安定性を向上させることができる。
(ハ)請求項3記載の電流検出装置において、
前記共通電位差入力手段が、複数のアペアンプのうちの1つを基準として定め、該基準とするオペアンプと他のオペアンプの1つとの組み合わせについて、共通の電位差を入力させ、
前記補正手段が、前記基準とするオペアンプの出力に他のオペアンプの出力を合わせる補正を行うことを特徴とする電流検出装置。
【0094】
上記発明によると、基準とするオペアンプの出力に他のオペアンプの出力を合わせるから、例えば、車両のブレーキ装置において車輪毎に設けたソレノイドバルブそれぞれの電流を検出する場合に、車輪毎の電流検出特性を揃えて、4輪それぞれの制動力を高精度に制御できるようになる。
(ニ)請求項3記載の電流検出装置において、
前記接続回路が、前記オペアンプの入力回路に直列に接続された抵抗による分圧点相互を接続することを特徴とする電流検出回路。
【0095】
上記発明によると、接続回路に大きな電流が流れることを抑制できる。
【符号の説明】
【0096】
7…コントローラ、101a,101b…負荷、102a,102b…FET、105…定電流回路、106a,106b…スイッチ、121…アンプ部、122…演算部、201…スイッチ、OPa,OPb…オペアンプ、RSa,RSb…シャント抵抗、LSa,LSb…接続回路、SS…接続回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャント抵抗と、該シャント抵抗の両端の電位差を入力するオペアンプとを備えてなる電流検出回路を複数の負荷回路毎にそれぞれ設け、複数の電流検出回路によって各負荷回路の負荷電流をそれぞれに検出する電流検出装置であって、
複数の電流検出回路を構成する複数のオペアンプに対し、共通の電位差を入力させる共通電位差入力手段と、
前記共通電位差入力手段によって共通の電位差を入力させたときの各電流検出回路の出力に基づいて、各負荷回路の負荷電流を検出するときに、前記電流検出回路の出力を個別に補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記共通電位差入力手段が、
前記負荷回路に流れる電流を一定にする定電流回路を含み、
前記定電流回路を接続する負荷回路を切り替えることで、複数のオペアンプに対して共通の電位差を入力させることを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記共通電位差入力手段が、
前記複数のオペアンプの入力回路相互を選択的に接続する接続回路を含み、
前記接続回路が接続するオペアンプのうちの1つが対応する負荷回路に負荷電流を流すことで、前記接続回路で接続した複数のオペアンプに対して共通の電位差を入力させることを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−64532(P2011−64532A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214358(P2009−214358)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】