説明

電源装置用モジュールおよびこれを備える自動車

【課題】二次電池をモジュールとして備える電源装置の寿命を延長する。
【解決手段】この電源装置用モジュール1は、そのモジュールを構成する複数の電池2がリチウムイオン二次電池であり、これら複数の電池2のそれぞれに個別にリチウムイオンキャパシタ4が並列接続され、さらに、これら電池2およびキャパシタ4の各端子電圧を個別に監視する電圧監視回路6を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電の繰り返しが可能なセルを有するモジュールを備える電源装置に係り、特に、電動自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車や、携帯電話等の機器に好適に用い得る電源装置用モジュールおよびこれを備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電源装置としては、その最小構成要素となるセル(単電池)としてリチウムイオン二次電池を採用し、これを直列に複数接続してなるモジュール(例えば図5(a)参照)を備えるものが電気自動車等の多くの機器に使用されている。ここで、図5(a)に示すモジュール101は、図5(b)に示すように、各セル102の端子電圧を電圧監視回路106が個別に監視している。換言すれば、電圧監視回路106とセル102からなる最小構成要素が直列接続されたものがモジュール101を構成している。
【0003】
この種のモジュール101は、通常、図6に例示するような、「定電流/定電圧充電方式(CCCV)」により充電されている。この充電方式は、定電流で充電を開始し、徐々に各セル102の充電量(電圧)が上昇していく間は定電流充電がなされる(ステップS101〜102)。次いで、電圧監視回路106は、各セル102の端子電圧を監視して、定電流充電を停止する所定電圧に達したセル102の電流の一部をバイパスすることで、該所定電圧に達したセル102の電圧を維持しつつ他のセル102の充電を継続していく(ステップS103〜104)。
【0004】
ここで、多くの機器におけるこの種のモジュール101の使用に際しては、満充電電圧とする所定電圧として、通常、セル102の最大動作電圧が設定される。そして、次第に充電量(電圧)が増加して、電圧監視回路106が全てのセル102が定電流充電を停止する所定電圧に達したことを検出したら、次いで、印加する電圧を満充電電圧とする所定電圧(通常は前記の定電流充電を停止する所定電圧と同じ電圧に設定される。)にして、各セル102の端子電圧が満充電電圧とする所定電圧を超えないように電流を絞っていくことによって定電圧充電を行なっている(ステップS105〜106)。
【0005】
すなわち、定電流充電において検出される電圧は、充電途中のセルの示す電圧と電池の内部抵抗に由来するIRドロップ(内部抵抗と電流の積に相当する電圧降下)との和であるので、仮に定電流充電を停止する所定電圧と満充電電圧とする所定電圧とが同一であったとしても、定電流充電終了後の各セルは該IRドロップ分だけ満充電状態にはなっていない。一方、充電電流を下げるとIRドロップも減少するので、検出される電圧への寄与も低下する。したがって、リチウムイオン二次電池のように内部抵抗が大きい電池を満充電状態とするには、定電流充電完了後に電流を下げつつ定電圧充電を行う必要があるのである。そして、このような定電流/定電圧充電方式では、後半の定電圧充電の速度が遅いために、一般に、数時間の充電時間を必要とする。
【0006】
しかしながら、リチウムイオン二次電池においては、大電流の充放電を繰り返すとその寿命が著しく低減することが知られており、特に、満充電電圧とする所定電圧をセルの最大動作電圧に近くするほどその傾向が顕著になる。また、瞬間的な高エネルギー要求に応答する上では、リチウムイオン二次電池をセルとするモジュール(バッテリーパック)からなる電源装置は、応答時間がキャパシタと比較して遅いため、必ずしも適しているとはいえない。
【0007】
そこで、従来から、電源装置に対し、充放電の繰り返し寿命の向上や、瞬間的な高エネルギー要求の応答性の向上を目的として、電池にキャパシタを並列接続した電源装置とする提案がなされている(例えば特許文献1ないし2参照)。
例えば、特許文献1に記載の技術は、車両用電源装置において、キャパシタを並列接続したリチウムイオン二次電池を有するモジュールに、該二次電池への入出力電流が充放電制限電流以下になるように制限する電流制御手段を設けることにより、過充電による二次電池の劣化を防止しつつ、満充電付近までの充電を可能としている。
また、例えば特許文献2に記載の技術は、二次電池に限定されない電源装置として、この電源装置にキャパシタを並列接続することにより、瞬間的高エネルギー要求の応答性を向上させるとともに、電源装置の寿命を延長させるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−44808号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−330548号公報(図2,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、リチウムイオン二次電池をセルにもつモジュールを備える電源装置においては、特許文献1ないし2に記載の技術のように、電源装置自体に対して(ないしはモジュール自体に対して)キャパシタを単に並列接続したのでは、瞬間的高エネルギー要求には応答できるものの、充放電の繰り返し寿命の向上という課題に対して、セル自体の寿命を延長する上では不十分である。
【0010】
つまり、リチウムイオン二次電池をセルにもつモジュールは、図5(a)に例示したような、電圧監視回路106を備えており、該電圧監視回路106は、先述した定電流充電を停止する所定電圧、及び満充電電圧とする所定電圧(または所定電流、所定時間)を監視する充電機能に加えて、過充電とする所定電圧を監視する過充電保護機能をも有する。そして、この電圧監視回路106の過充電保護機能は、過充電によるモジュールの発熱・破裂などを防ぐために、過充電検出電圧以上のときに充電電流を遮断して充電を停止するように構成されている。
【0011】
そのため、一般に、このような電圧監視回路の監視下にあるモジュールに対し、これとは別個にキャパシタを並列接続する場合、モジュールを構成する個々のセルについては、電圧監視回路の監視範囲が従来とはなんら変るものではないため、セル自体の寿命を延長する上では不十分なのである。さらに、電気二重層キャパシタの場合は、最大動作電圧がリチウムイオン二次電池の最大動作電圧より小さいため、モジュール内または機器の本体システム内にキャパシタ用の制御回路を更に別途組み込む必要がある。したがって、特許文献1ないし2に記載の技術は、コストも上昇してしまうことは勿論、電源装置用モジュール側としても、本体システムに依存せずに、セル自体の充放電の繰り返し寿命を向上させることが困難なのである。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、モジュール自身が、瞬間的高エネルギー要求に応答しつつも、充放電の繰り返し寿命を向上させ得る電源装置用モジュールおよびこれを備える自動車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の態様は、充放電の繰り返しが可能な電源装置に用いられ、セルと、該セルの端子電圧を監視する電圧監視回路とを有するモジュールであって、前記セルは、リチウムイオン二次電池と、該リチウムイオン二次電池に並列接続されたリチウムイオンキャパシタとを有することを特徴とする。
第一の態様に係る電源装置用モジュールによれば、モジュール内のセル毎に、リチウムイオン二次電池にリチウムイオンキャパシタが並列接続されており、さらに、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンキャパシタからなるセルの端子電圧を監視する電圧監視回路を有するので、モジュール自身が、瞬間的高エネルギー要求に応答しつつも、セルの充放電の繰り返し寿命を向上させることができる。さらに、後に詳述するように、放電末期側での本体システム側で制御する下限電圧に余裕代を見込むことで、不測のIRドロップによる回路切断を防止することができる。したがって、モジュールの有効な使用可能領域を低電圧側に広げることができる。
【0013】
さらに、この電源装置用モジュールは、本体システム側の制御回路やプログラムも変えることなく種々の機器に採用できる。そのため、本体システム側での電源装置の使い勝手が格段に向上する。また、モジュール内または機器の本体システム側に制御回路の追加が不要なので、コストアップも抑制可能であり、省資源という観点からも、非常に顕著な効果を奏しつつ、本体システムに依存せずに、電源装置用モジュール自体の充放電の繰り返し寿命を向上させることが可能である。
【0014】
ここで、第一の態様に係る電源装置用モジュールにおいて、直列に接続された複数のセルと、該複数のセルそれぞれの端子電圧を個別に監視する電圧監視回路とを有することは好ましい。
このような構成であれば、例えば電気自動車やハイブリッド自動車に用いる際に好適であり、セルを多直としたモジュールを構成し、これを更に組み合わせてトータルシステムとして所望の電源装置とすればよい。この電源装置によれば、例えばモータ起動時の短時間に必要な大電流を出力可能であり、さらに、セルの寿命も大幅に延長させることが可能となる。
【0015】
また、第一の態様に係る電源装置用モジュールにおいて、前記電圧監視回路が、前記セルの最大動作電圧よりも低い値に設定された上限電圧以下に満充電電圧を制御することは好ましい。ここで、「最大動作電圧」とは、本質的には材料によって定まる値であるが、安全性とサイクル特性を評価した上で電池メーカーが仕様として設定する値である。例えば、コバルト酸リチウムを使用した一般的なリチウムイオン二次電池の場合は、4.2Vに設定されることが多い。
【0016】
このような構成であれば、放電初期における、大電流の充放電を繰り返すとその寿命が著しく低減する領域を意図的に避けてモジュールを使用することができる。そのため、充放電の繰り返し寿命を向上させる上でより好適である。なお、この構成をとった場合には上記モジュールの有効な使用可能領域が高電圧側で狭くなるが、先述した低電圧側を広げることができる効果と相まってこのような構成を採用することで、使用者にとっての見かけの使い勝手をなんら変えることなく、長寿命のモジュールが提供可能となる。
【0017】
また、第一の態様に係る電源装置用モジュールにおいて、前記電圧監視回路が、前記セルが充電されるときに、一定電流が印加されて予定される満充電電圧を超え且つセルの最大動作電圧以下の充電終了検出電圧まで一定電流の印加を許容し、前記充電終了検出電圧を検出したときに充電を終了するようになっていることは好ましい。
つまり、この電圧監視回路は、予定される満充電電圧を、例えば上限電圧を4.0V等に設定し、充電終了検出電圧を、セルの最大動作電圧(例えば4.2V)に設定した場合、充電終了検出電圧検出まで一定電流の印加を継続する。そして、この充電終了検出電圧を検出したときに充電を終了するのである。
【0018】
この電圧監視回路による充電によれば、IRドロップ分があるため、充電終了検出電圧の検出値が、例えばセルの最大動作電圧(4.2V)であったとしても印加終了により満充電電圧(例えば4.0V)付近まで落ちて、所望の満充電電圧(近傍)を得る。これにより、定電圧充電を行わずに定電流充電のみで所望の満充電電圧までの充電を短時間に行なうことが可能となる。なお、満充電電圧がセルの最大動作電圧よりも低いため、一定電流を印加し、予定される満充電電圧を超えて最大動作電圧まで印加を継続したとしても、短時間であるのでセルの寿命への影響はほとんどなく印加可能である。
【0019】
また、第一の態様に係る電源装置用モジュールにおいて、前記リチウムイオン二次電池が、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を正極活物質とする正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有し、前記リチウムイオンキャパシタが、活性炭を正極活物質とする正極と、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔質炭素材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有するものであり、前記電圧監視回路が、その制御する満充電電圧が、4.0Vであることは好ましい。
【0020】
上記構成におけるリチウムイオン二次電池は、正極活物質がコバルト酸リチウムの場合は、通常最大動作電圧4.2Vまで使用可能である。したがって、本発明において、この最大動作電圧よりも低い値に設定された満充電電圧をたとえば4.0Vとすることで、高性能且つ長寿命の優れた電源装置用モジュールを提供することができる。
また、正極活物質がオリビン酸リチウムの場合は、通常最大動作電圧3.6Vまで使用可能である。この場合は最大動作電圧が低いので長寿命化のためにあえて満充電電圧を最大動作電圧より低い値に制御する必要はない。しかし、先述したようにモジュールの使用可能な領域を低電圧側で広げることができるため、より長時間使用可能なモジュールが提供可能となる。
【0021】
さらに、第一の態様に係る電源装置用モジュールにおいて、前記リチウムイオンキャパシタの負極活物質である複合多孔質炭素材料は、下記の条件(1)および(2)を満たすことが好ましい。
(1) BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)Vm1(cc/g)が、0.01≦Vm1<0.10である。
(2) MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)Vm2(cc/g)が、0.01≦Vm2<0.30である。
【0022】
なおさらに、第一の態様に係る電源装置用モジュールにおいて、前記リチウムイオンキャパシタの正極活物質である活性炭は、下記の条件(3)〜(5)を満たすことが好ましい。
(3) BJH法で算出されたメソ孔量V1(cc/g)が、0.3≦V1<0.8である。
(4) MP法で算出されたマイクロ孔量V2(cc/g)が、0.5≦V2<1.0である。
(5) BET法で測定された比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である。
【0023】
このような構成であれば、上述したセルの満充電電圧の上限電圧(4.0V)等の条件を一層安定して繰り返し充放電可能なセルとすることができる。
さらに、上記課題を解決するために、本発明のうち第二の態様は、モータによって走行可能な電気自動車またはハイブリッド自動車であって、前記モータの電源装置として、第一の態様に係る電源装置用モジュールを備えることを特徴としている。
【0024】
第二の態様に係る自動車によれば、自動車が、モータによって走行可能な電気自動車またはハイブリッド自動車であって、第一の態様に係る電源装置用モジュールをモータの電源装置として備えているので、セルを多直としたモジュールを構成し、これを更に組み合わせてトータルシステムとして所望の電源装置とすれば、例えばモータ起動時の短時間に必要な大電流を出力可能であり、さらに、セルの寿命も大幅に延長させることができる。
【発明の効果】
【0025】
上述のように、本発明によれば、モジュール自身が、瞬間的高エネルギー要求に応答しつつも、充放電の繰り返し寿命を向上させ得る電源装置用モジュールおよびこれを備える自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電源装置用モジュールの一実施形態を説明する模式図であり、同図(a)はその全体図、(b)は最小構成要素となる一つのセルを示す図である。
【図2】本発明に係る電源装置用モジュールを備える電源装置を用いた充電方法の一実施形態を説明する図であり、同図は、電圧監視回路にて実行される充電時の制御処理のフローチャートである。
【図3】本発明の作用効果を説明するグラフであり、同図は放電容量と電圧、およびセルの内部抵抗の関係を示している。
【図4】従来の電源装置用モジュールを説明するグラフであり、同図は放電容量と電圧、およびセルの内部抵抗の関係を示している。
【図5】従来の電源装置用モジュールの一例を説明する模式図であり、同図(a)はその全体図、(b)は一つのセルの構成を示す図である。
【図6】従来の電源装置用モジュールを備える電源装置を用いた充電方法の一例を説明する図であり、同図は、電圧監視回路にて実行される充電時の制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ詳しく説明する。
図1に、本発明に係る電源装置用モジュールの一実施形態を示す。ここで、このモジュール1は、充放電の繰り返しが可能なものである。
詳しくは、同図(a)に示すように、このモジュール1は、直列に接続された複数のセル8と、これら複数のセル8毎の端子電圧を個別に監視する電圧監視回路6とを有している。そして、各セル8は、リチウムイオン二次電池2と、これに並列接続されたリチウムイオンキャパシタ4とから構成されている。すなわち、このモジュール1における一つのセル8は、図1(b)に示すように、一のリチウムイオン二次電池2毎に一のリチウムイオンキャパシタ4が並列接続され、その一のリチウムイオン二次電池2およびリチウムイオンキャパシタ4毎に各端子電圧を個別に電圧監視回路6が監視する構成である。そして、この最小構成要素たるセル8が直列接続されたものがモジュール1になっている。
【0028】
ここで、リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう)2は、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を正極活物質とする正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有するものである。好適には正極活物質としてコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、またはオリビン酸リチウム、負極活物質としてグラファイト、またはコークスが使用される。
【0029】
以下においては、正極活物質としてコバルト酸リチウム、負極活物質としてグラファイトを使用した電池2を代表例として説明する。この電池2の最大動作電圧は、4.2Vである。
また、リチウムイオンキャパシタ(以下、単に「キャパシタ」ともいう)4は、活性炭を正極活物質とする正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有するものである。好適には、負極活物質として、グラファイト、難黒鉛化性炭素材料(ハードカーボン)、または活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔質炭素材料が使用される。
【0030】
なお、上記リチウムイオンキャパシタにかえて、正極活物質と負極活物質がともに活性炭であり水系電解液を有する電気二重層キャパシタを使用することも可能であるが、該電気二重層キャパシタの最大動作電圧は2.5〜3.0Vであるため、満充電電圧を3.3〜4.3Vに設定して利用されることが多いリチウムイオン二次電池と組合せて使用するには直列に2個必要となるので、体積やコストが増加するため好ましくはない。
【0031】
キャパシタ4は、単数または複数枚の正極と負極とセパレータとを積層して電極を形成し、これをアルミラミネートフィルムでパッケージして、電解液注入後に密閉して構成される薄型外装体を使用することが好ましい。この時、電池2の底面積とキャパシタ4の底面積とをほぼ同等にしておけば、電池のみの場合に対してわずかな厚みの増加で無駄なスペースを必要とせずに実装可能となるので好ましい。
【0032】
さらに、電圧監視回路6は、複数のセル8(つまり、前記電池2およびキャパシタ4からなる最小構成要素)の各端子電圧を個別に監視可能に接続され、上述した電池2の最大動作電圧(本実施形態の例では4.2V)よりも低い値に設定された満充電電圧(本実施形態の例では4.0V)になるように充電電流、または充電電流および電圧が制御される。なお、各電池2は、その上限電圧4.0V〜下限電圧3.0Vの範囲で使われ、この電圧監視回路6が、これらを監視(過充電保護、充電検出終了、過放電保護、および必要に応じて定電流充電の停止と定電圧充電への切替)している。
【0033】
なお、上述したキャパシタの負極活物質は、下記の条件(1)および(2)を満たす複合多孔質炭素材料であることがより好ましい。
(1) BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)Vm1(cc/g)が、0.01≦Vm1<0.10である。
(2) MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)Vm2(cc/g)が、0.01≦Vm2<0.30である。
【0034】
また、上述したキャパシタの正極活物質は、下記の条件(3)〜(5)を満たす活性炭であることが好ましい。
(3) BJH法で算出されたメソ孔量V1(cc/g)が、0.3≦V1<0.8である。
(4) MP法で算出されたマイクロ孔量V2(cc/g)が、0.5≦V2<1.0である。
(5) BET法で測定された比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である。
【0035】
上記キャパシタの負極活物質ないし正極活物質が、上記(1)〜(5)を満たせば、この条件を備えてなる複数の電池2およびそのそれぞれに並列接続されたキャパシタ4により、上述した電池2の上限電圧(4.0V)の条件を一層安定して繰り返し充放電可能なセル8とすることができる。本実施形態においては、これら条件(1)〜(5)を満たした電池2およびキャパシタ4を採用してセル8を構成している。
【0036】
次に、上述したモジュール1を備える電源装置の充電方法について図2を参照しつつ説明する。なお、同図は、モジュール1を備える電源装置を用いた充電方法の説明図であり、同図は、電圧監視回路6にて実行される充電制御処理のフローチャートを示している。
この電圧監視回路6を用いた充電方法は、セル8の最大動作電圧である4.2Vから4.0Vを超える領域となる放電初期領域を意図的に使わずに、4.0Vを満充電電圧の設定電圧としている。そして、定電流充電によって充電するものである。つまり、この電圧監視回路6は、セル8が充電されるときに、一定電流が印加されて予定される満充電電圧を超え且つセル8の最大動作電圧以下の充電終了検出電圧まで一定電流の印加を許容し、前記充電終了検出電圧を検出したときに充電を終了するようになっている。
【0037】
詳しくは、この電圧監視回路6にて充電制御処理が実行されると、ステップS1に移行して、定電流充電を開始する。そして、ステップS1では、一の電池2毎に一のキャパシタ4が並列接続されたセル8(図1(b)参照)毎の端子電圧を監視して、セル8毎の端子電圧が充電終了検出電圧に達したか否かを監視する。充電終了検出電圧に達していれば(Y)ステップS3に移行し、そうでなければ(N)ステップS2に移行して定電流充電を継続する。
【0038】
ステップS3では、次第に充電量が増加して全てのセル8が充電終了検出電圧に達したか否かを監視し、全てのセル8が充電終了検出電圧に達していれば(Y)充電を終了し、そうでなければ(N)ステップS4に移行して、充電終了検出電圧に達したセル8については、当該セル8への充電電流をバイパスして上限電圧を維持しつつ他のセル8への定電流充電を継続するようになっている。
【0039】
次に、この電源装置用モジュール1の作用・効果、並びにこのモジュール1を備える電源装置の充電方法の作用・効果について説明する。
まず、このモジュール1の作用効果を携帯電話機に採用する場合を例に、図3および図4を参照しつつ3つのメリットについて説明する。図4は、リチウムイオン二次電池の放電に伴う電圧と内部抵抗の変化を示したグラフである。図3は、本発明のリチウムイオン二次電池と並列接続されたリチウムイオンキャパシタを有するモジュールの放電に伴う電圧と内部抵抗の変化を示したグラフである。
【0040】
ここで、携帯電話機に採用する場合は、モジュール1には一のセル8を備えればよく、図1(b)の構成のみによってモジュール1を構成することができる。なお、図3,4に示す放電曲線(横軸に放電容量、縦軸に電圧または内部抵抗)において符号V1が電池の最大動作電圧(例えば4.2V)、V2が電池の下限電圧(例えば3V)、V3がシステム側で制御する下限電圧(例えば3.3V)である。
【0041】
ところで、図4に示すように、リチウムイオン二次電池の内部抵抗cは、満充電状態に近いときは小さく、放電が進み使用可能容量が少なくなってくると大きくなってくる。しかし、この内部抵抗cが大きくなることは機器を使用する上では大きな問題である。
例えば携帯電話機のGSM等の通信方式では、常時流れているベースの電流が非常に小さい値(例えば1mAや10mA)であるのに対して、ピーク時には大きい値(例えば1A)の電流を流すという通信を行なっている。しかしながら、リチウムイオン二次電池は大電流の場合には取り出せる放電量が小電流の場合に比べて低下するため、図4において、小電流放電が同図の符号aの放電曲線になるのに対し、ピーク時に1Aを流すような大電流放電では同図の符号bの放電曲線になる。
【0042】
今、大電流放電bの場合で実使用時間t1が経過したときに、モジュール(電池パック)の放電が進み内部抵抗cが大きな状態であると、この内部抵抗cによってIRドロップが生じ、これにより、電圧監視回路が検出するセルの電圧がモジュール側の仕様電圧V2(例えば3V)を下回ってしまうことがある。そうすると、過放電による電池の劣化を防ぐために、モジュールの電圧監視回路(過放電保護機能)が放電終了と判断し、放電電流を遮断して放電を停止してしまう。したがって、携帯電話機が実使用時間t1であっても突然使用できない状態になってしまう。そこで、携帯電話機の本体システム側としては、本体システム側で制御する下限電圧V3には、電池の下限電圧V2(例えば3V)に余裕代(例えば0.3V)を見込む下限電圧V3(例えば3.2Vや、3.4V、3.5V等)を設定することで、このような不測のIRドロップによる回路切断を防止している。つまり、実際に使っている範囲は、機器のシステム側で制御され、実質的には、電圧V3でシステム側が切っており、満充電容量に対して実際には80〜90%しか有効に使用されていないのが実情である。したがって、図5に例示したような従来のモジュール101では、モジュールの放電末期部分が有効に使用されないことになる。
【0043】
すなわち、本発明のモジュール1による第一のメリットは、リチウムイオン二次電池2に対して並列にリチウムイオンキャパシタ4を接続しておくことで、ピーク時に1Aが流れた場合であっても、このキャパシタ4が電池2をアシストして、キャパシタ4側からも電流を供給可能な点である。これにより、図3に示すように、電池2とキャパシタ4との協働によって、大電流放電時においても同図の符号b’の放電曲線にシフトすることができる。また、内部抵抗についても符号c’に示すグラフとなる。そのため、このモジュール1によれば、ピーク時にもセル8のIRドロップによる電圧低下を小さく抑えることができる。これにより、携帯電話機のシステム側で制御する下限電圧V3を放電末期側に下げる(同図で右側に移動する)ことができる。したがって、これまで使われていなかった放電末期側領域を有効に使用できる。そのため、使用者側からみれば、従来より長い使用時間を確保することが可能となるのである。
【0044】
さらに、第二のメリットとしては、放電初期領域を意図的に使わずに、4.0Vを最大動作電圧として設定することでモジュール1の寿命を延すことができる点である。
通常、リチウムイオン二次電池は、繰り返し使用することによってモジュール1の劣化が生じ、徐々に満充電容量が減少して、これにより携帯電話機の通話時間も減少していく。このような繰り返し使用によるモジュール1の劣化は、モジュール1内の電解液が分解されてガスが生じ、このガスの発生によって劣化が進行することによる。そして、電池2の放電曲線において4.2V〜4.0Vの領域での繰り返し使用は、このような劣化の程度がこれよりも電圧の低い領域での繰り返し使用と比べて顕著である。
【0045】
つまり、このモジュール1によれば、その電圧監視回路6が上限電圧を4.0Vとしてセル8を個別に管理しているので、この領域を意図的に使用しないことによって、劣化を抑制することができる。そのため、劣化の激しい放電初期の領域を避けて、モジュール1の寿命を延長することができる。
ここで、図3に符号V4で示すように、満充電に対する放電初期の4.2〜4.0Vまでの領域は、4.2〜3.0Vまでの放電曲線aに対しては、全使用時間の約10〜20%の容量をもっている。しかし、放電初期の領域を使用しない場合(上限電圧を4.0Vとして使用した場合)であっても、システム側で制御する下限電圧に余裕があれば、放電末期を有効に使用できる。そして、放電初期の領域を使用しない割合は、上述した第一のメリットによる下限電圧側でのシフトの割合とほぼ同じになる。そのため、上述した第一のメリットと相まって、全体としては有効使用範囲に差異が生じないのである。したがって、これを携帯電話に用いた場合には、実際の通話時間自体は変ることなく使える上でモジュールの寿命を延長することができることになる。
【0046】
さらに、第三のメリットとしては、電圧監視回路6が、電池2の最大動作電圧(4.2V)よりも低い値に設定された上限電圧(4.0V)以下に満充電電圧を制御することで、上述の定電流充電による充電方法を採用すれば、所望の満充電電圧の充電を短時間に行なうことが可能となる点である。
つまり、携帯電話機は、モジュール1の充電に際して、通常、定電流/定電圧充電方式によって充電している。定電流定電圧充電方式は、図6に示したように、放電状態から充電を開始すると、当初電圧は低いため定電流充電となる。そして、次第に充電量が増加して、セルの端子電圧が所定の電圧に達すると、ここからは定電圧充電となり、最大動作電圧4.2Vを超えないように電流量が絞られる。このような定電流/定電圧充電方式では、一般に、数時間の充電時間を必要とする。
【0047】
これに対し、上限電圧が4.0Vで良ければ、一定電流を印加したとして、予定される上限電圧4.0Vを超えて最大動作電圧の4.2Vまで印加を継続したとしても、短時間であるため寿命の低下の問題もなく最大動作電圧まで印加可能である。そのため、この段階を充電終了検出電圧として設定しておき、最大動作電圧より高い過充電検出電圧を検出したときに過充電保護回路が充電を終了するように設定することができる。このとき、上記IRドロップ分があるため、電圧検出値が4.2Vであっても印加終了により4.0V付近まで落ちて、結果的には所望の4.0V近傍の充電を短時間に行なうことが可能となる。
【0048】
このように、リチウムイオン二次電池の欠点の一つはいわゆる急速充電が困難であることだが、このモジュール1を備える電源装置の充電方法によれば、例えばパルス充電方式を採用しなくとも、所望の4.0V近傍の充電を短時間に且つ容易に行なうことが可能となる。そして、上述の電圧監視回路6によれば、過充電時の保護は、多直の場合のトータルの充電電圧ではなく、各直の、すなわち一の電池2ごとの充電電圧によって保護されるのである。
【0049】
特に、このような充電方法は、携帯電話機に好適である。つまり、携帯電話では充電時間を「短い印象」にするために、充電完了表示(例えばランプの色変更)を90分程度で行っているものがある。これは、セルの能力である満充電(最大動作電圧)に対して、例えば90%程度の充電量で満充電表示を行うことになる。したがって、充電完了表示が満充電となっていても実際には充電を継続中なのである。これに対し、本願発明の充電方法を採用すれば、90%を超えて100%に近い充電を短時間に行なうことが可能となるのである。
【0050】
上述したように、このモジュール1によれば、モジュール内の複数の電池2毎にキャパシタ4が並列接続されたセル8を構成しており、さらに、このセル8の各端子電圧を個別に監視する電圧監視回路6を有するので、モジュール1自身が、瞬間的高エネルギー要求に応答しつつも、充放電の繰り返し寿命を向上させることができる。
そして、この電圧監視回路6によれば、過充電時の保護は、多直の場合のトータルの充電電圧ではなく、各直の、すなわち一のセル8ごとの充電電圧によって保護される。また、この電圧監視回路6により、電池2の自己放電量の問題(セルアンバランス補正)についても補償され、特に、上限電圧を4.0Vとして使用するため、より安全側で機能させることができる。
【0051】
これにより、例えば携帯電話等の本体システム側での電源装置の使い勝手が格段に向上し、また、機器の本体システム側の制御回路やプログラムも変えることなくモジュール1を使用することができる。そのため、機器のコストアップも抑制しつつ、本体システムに依存せずに、モジュール1自体の充放電の繰り返し寿命を向上させることができる。
また、このモジュール1によれば、電圧監視回路6が、電池2の最大動作電圧(4.2V)よりも低い値に設定された上限電圧(4.0V)以下に満充電電圧を制御するので、大電流の充放電を繰り返すとその寿命が著しく低減する領域(例えば4.2V〜4.0V)を避けてモジュール1を使用することができる。そのため、充放電の繰り返し寿命をより一層向上させることができる。
【0052】
特に、このモジュール1は、セル8のリチウムイオン二次電池2が、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を正極活物質とする正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有し、リチウムイオンキャパシタ4が、活性炭を正極活物質とする正極と、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔質炭素材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有するものであり、電圧監視回路6は、その制御する満充電電圧が3.3〜4.0Vなので、最大動作電圧3.6〜4.2Vまで使用可能なセル8を提供可能とし、正極活物質がコバルト酸リチウムの場合はその最大動作電圧4.2Vよりも低い値に設定された上限電圧を4.0Vとしても、高性能且つ長寿命の優れた電源装置用モジュールを提供できる。
【0053】
なお、セル8の上限電圧を4.0Vに設定する臨界的意義としては、上述した本実施形態のモジュール1の電池2の最大動作電圧の4.2Vに対して、仮に4.1Vに設定するとキャパシタ4の劣化が進行し易くなるからである。これに対し、4.0Vに設定した場合には、4.1V充電に対して、約10%充電容量が低下するものの、サイクル寿命は大幅に改善される。他方、3.9Vを上限電圧とすると、電圧が低い場合には当然に充電容量が減少するため、例えば携帯電話機に採用した場合の通話時間が短くなるからである。
【0054】
以上説明したように、この電源装置用モジュール1によれば、モジュール1自身が、瞬間的高エネルギー要求に応答しつつも、充放電の繰り返し寿命を向上させることができる。そして、このモジュール1を備える電源装置の充電方法によれば、充電時間を短縮することができる。なお、本発明に係る電源装置用モジュールは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、このモジュール1を備える電源装置を適用する本体側のシステムとして、携帯電話機を例に説明したが、本体側のシステムがこれに限定されないのは勿論であり、例えば、ノートパソコン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、電動自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車、携帯ゲーム機、ロボット、その他の電子機器等の機器に用いることができる。
【0056】
例えば、モータによって走行可能な電気自動車や、ハイブリッド自動車に用いる際には、そのモータの電源装置として、上述の図1(a)に示すように、電池2を4.0Vとして使用して、セル8を多直(例えば6直で24V)としたモジュール1を構成し、これを更に組み合わせてトータルシステムとして例えば600Vの電源装置とすればよい。この電源装置によれば、モータ起動時の短時間に必要な大電流を遅滞なく出力可能であり、さらに、セル8の寿命も大幅に延長させることが可能となる。また、このモジュール1を備える電源装置の充電方法によれば、充電時間を短縮することができる。
【0057】
また、例えば上記実施形態では、電圧監視回路6は、その制御する満充電電圧が、上限電圧4.0Vである例を説明したが、これに限らず、電圧監視回路6は、電池2の最大動作電圧よりも低い値に設定された上限電圧以下に満充電電圧を制御する構成とすることができる。
さらに、上記実施形態では、電源装置の充電方法として、モジュール1を備える電源装置を用いて、これに一定電流を印加して予定される満充電電圧を超えた充電終了検出電圧まで一定電流の印加を継続し、充電終了検出電圧を検出したときに充電を終了するという充電方法について説明したが、本発明に係る電源装置用モジュールに対する充電方法が、これに限定されないのは勿論である。
【0058】
例えば、満充電電圧を電池2の最大動作電圧として、従来の「定電流/定電圧充電方式(CCCV)」を採用してもよい。しかし、充放電の繰り返し寿命を向上させる上では、電池2の最大動作電圧よりも低い値に設定された上限電圧以下に満充電電圧を制御することが好ましい。また、特に携帯電話機の電源装置用モジュールとして使用する場合において、充電時間を短縮する上では、上記実施形態で説明した充電方法が好適である。
【0059】
また、上記実施形態では、キャパシタ4の負極活物質ないし正極活物質が、上記条件(1)〜(5)を満たしたものを採用した例で説明したが、これに限定されず、種々の負極活物質、正極活物質を用いたセルおよびキャパシタに対して適用可能である。しかし、上述した電池2の上限電圧(4.0V)条件を一層安定して繰り返し充放電可能なセルを備えるモジュールを構成する上では、上記条件(1)〜(5)を満たしたものを採用することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の電源装置用モジュールは、電源装置の分野で好適に利用でき、携帯電話等の機器、電気自動車、またはハイブリッド自動車の電源装置として特に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 モジュール
2 電池(リチウムイオン二次電池)
4 キャパシタ(リチウムイオンキャパシタ)
6 電圧監視回路
8 セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電の繰り返しが可能な電源装置に用いられ、セルと、該セルの端子電圧を監視する電圧監視回路とを有するモジュールであって、
前記セルは、リチウムイオン二次電池と、該リチウムイオン二次電池に並列接続されたリチウムイオンキャパシタとを有することを特徴とする電源装置用モジュール。
【請求項2】
直列に接続された複数のセルと、該複数のセルそれぞれの端子電圧を個別に監視する電圧監視回路とを有することを特徴とする請求項1に記載の電源装置用モジュール。
【請求項3】
前記電圧監視回路は、前記セルの最大動作電圧よりも低い値に設定された上限電圧以下に満充電電圧を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置用モジュール。
【請求項4】
前記電圧監視回路は、前記セルが充電されるときに、一定電流が印加されて予定される満充電電圧を超え且つセルの最大動作電圧以下の充電終了検出電圧まで一定電流の印加を許容し、前記充電終了検出電圧を検出したときに充電を終了するようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電源装置用モジュール。
【請求項5】
前記リチウムイオン二次電池は、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を正極活物質とする正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有し、
前記リチウムイオンキャパシタは、活性炭を正極活物質とする正極と、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔質炭素材料を負極活物質とする負極と、リチウムイオンを含む電解質を有機溶媒に溶解させた非水系電解液とを有するものであり、
前記電圧監視回路は、その制御する満充電電圧が、4.0Vであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電源装置用モジュール。
【請求項6】
モータによって走行可能な電気自動車またはハイブリッド自動車であって、前記モータの電源装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電源装置用モジュールを備えることを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−108372(P2011−108372A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259096(P2009−259096)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】