説明

電球形蛍光ランプ装置

【課題】電球形蛍光ランプ装置で低照度まで照明ムラがなく調光できるようにする。
【解決手段】この電球形蛍光ランプ装置は、壁スイッチSWのオン/オフ操作により交流電源が供給、または供給停止される口金4に装着される電球型の装置本体と、装置本体に内蔵された蛍光ランプ本体1と、装置本体に内蔵された発光ダイオード回路LEDと、壁スイッチSWのオン・オフ操作による交流電源の供給または供給停止を検出し、検出した電源の供給状況に応じて蛍光ランプ本体1および発光ダイオード回路LEDを点消灯させる制御回路(AC電源オフ時間検出回路ACPODCおよびインバータ発振停止回路IOSC)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電球形蛍光ランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭などの白熱電球用のソケットに装着可能なE26口金を備え、インバータを内蔵した省電力型の電球形蛍光ランプ装置が商品化されている。
従来の電球形蛍光ランプ装置の多くは、点灯または不点灯のいずれかでしか動作しないため、調光を行うことの要望が多い。
【0003】
この種の先行技術としては、例えば壁スイッチのオン・オフによる商用電源(以下AC電源と称す)の入り・切りで、蛍光ランプ本体の明るさを切り替える機能、すなわち段調光機能が既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の技術の場合、蛍光ランプ単体で通常の点灯状態の60%〜70%程度までの段調光を行うことは可能であるものの、蛍光ランプの点灯維持電圧などを考慮すると、点灯を維持しつつ深く調光するためには、複雑な回路手段が必要になって、白熱電球とほぼ同等の限られた外形の中に蛍光ランプと点灯回路を内蔵するような回路規模では、蛍光ランプの明るさを常夜灯の程度の明るさまで十分に低減するのは困難である。
【0005】
そこで、照明ユニットの中に、第1照明素子(蛍光放電容器)と第2照明素子(LED)とを備え、通常の光とオリエンテーションの光(ナイトランプまたは常夜灯等ともいう)との切り替えを行う技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−119163号公報
【特許文献2】特表2004−538601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2の技術の場合、第1照明素子(蛍光放電容器)と第2照明素子(LED)とを切り替えることの記載はあるものの、具体的にどのような場合にどのように制御を行うかの開示はされていない。
また、特許文献2の技術の場合、第1照明素子の周囲に複数の第2照明素子を配置する構成をとっていることから、第2照明素子を点灯させたナイトランプの状態では、中央部の第1照明素子の影で照明ムラが生じるという問題がある。
さらに、特許文献2の技術の場合、第2照明素子は、第1照明素子の電極付近に配置されていることから熱の影響による劣化が免れないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、単一のランプ装置によって通常照明から低照度まで容易に調光することができる電球形蛍光ランプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、外部のスイッチのオン・オフ操作により交流電源が供給、または供給停止されるソケットに装着される装置本体と;前記装置本体に配設された主光源としての蛍光ランプおよび補助光源と;前記外部のスイッチのオン操作により交流電源が供給されたとき、またはその後の前記スイッチのオフ・オン操作により交流電源の供給が停止された時間が一定時間以上経過した後、交流電源が再供給されたとき、インバータを駆動して前記蛍光ランプを点灯させる一方、前記スイッチのオフ・オン操作により交流電源の供給が停止された時間が前記一定時間以下で前記交流電源が再供給されたとき、前記蛍光ランプを消灯させ、かつ前記インバータを発振停止させると共に、前記補助光源を点灯させる制御回路と;を具備したことを特徴とする。
請求項1記載の発明では、外部スイッチのオン操作で交流電源がはじめて供給されたとき、およびその後の交流電源の供給停止から再供給までの時間が長い場合に蛍光ランプを点灯させるよう回路を構成したことで利用者の使い勝手を向上できる。
このように外部スイッチの入り切りの操作によって交流電源を供給または供給停止することで、蛍光ランプか補助光源のうち少なくとも一方を点灯させるので、電球形蛍光ランプとして低照度での点灯が可能になる。
【0009】
請求項2記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、外部のスイッチのオン・オフ操作により交流電源が供給、または供給停止されるソケットに装着される装置本体と;前記交流電源を直流電圧に変換する整流回路と;前記整流回路から出力される直流電圧を平滑する平滑回路と;前記装置本体に配設された主光源としての蛍光ランプと;前記平滑回路の出力を変換して前記蛍光ランプを点灯させるように駆動するインバータと;前記装置本体に配設され、前記平滑回路と並列的に接続された補助光源と;前記外部のスイッチのオン・オフ操作による交流電源の供給または供給停止を検出し、検出した電源の供給状況に応じて前記蛍光ランプおよび補助光源のいずれか一方が点灯し他方が消灯するように制御する制御回路と;を具備したことを特徴とする。
請求項2記載の発明では、蛍光ランプおよび補助光源のうち、いずれか一方が点灯し他方が消灯するように制御する。補助光源を点灯させたときには、これと同時にインバータの発振を停止するので、発振によるノイズなどの影響をなすことができる。また省電力効果も期待できる。また、補助光源を平滑回路と並列的に接続したことで、平滑前の直流電圧に生じる脈流がなくなり、補助光源による明かりをちらつきのない品質の高いものにできる。
【0010】
請求項3記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、請求項2記載の電球形蛍光ランプ装置において、前記整流回路と前記平滑回路との間、または前記平滑回路と前記インバータとの間に配置された過電流遮断器を備え、前記補助光源への直流電源を前記過電流遮断器の前段からとるよう回路を構成したことを特徴とする。
請求項3記載の発明では、補助光源への直流電源を過電流遮断器の前段からとるように回路を構成したことで、例えば蛍光ランプが寿命末期になり蛍光ランプが消えた場合に、過電流遮断が働いてインバータへの回路を遮断するものの、外部スイッチのオン操作で補助光源への電力供給は行われるので、常夜灯としての機能を維持できる。
一般に、発光ダイオードなどの補助光源は、蛍光ランプの10倍程度の長寿命部品であり、蛍光ランプが先に切れた場合にも、発光ダイオードのみによる明かりを提供することができる。
【0011】
請求項4記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、請求項1乃至3いずれか1記載の電球形蛍光ランプ装置において、前記制御回路は、前記補助光源を、前記蛍光ランプの明るさの50%以下で点灯させる回路を具備したことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、補助光源の点灯時の明るさを、蛍光ランプの明るさの50%以下に抑えるよう回路を構成することで、一つのランプ本体を通常の光とナイトトランプ(常夜灯)の2つの明かりとして利用可能になるとともに、十分な省電力効果を実現できる。
【0012】
請求項5記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、請求項1乃至4いずれか1電球形蛍光ランプ装置において、前記補助光源を前記装置本体のほぼ中心部分に配置する一方、前記補助光源を包囲するように前記蛍光ランプを配置したことを特徴とする。
請求項5記載の発明では、補助光源を装置本体のほぼ中心部分に配置する一方、補助光源を包囲するように蛍光ランプを配置することで、中央部分の補助光源を点灯させた場合には、装置本体の中央付近のみが均等に点灯し、均斉度のよい補助光源のあかりを提供できる。
【0013】
請求項6記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、請求項1乃至5いずれか1記載の電球形蛍光ランプ装置において、前記補助光源を前記蛍光ランプの電極より前記蛍光ランプの頂部側へ離間するように底上げして配置したことを特徴とする。
請求項6記載の発明では、補助光源を蛍光ランプの電極より離すように底上げして配置したことで、発熱量の多い電極部分から補助光源を遠ざけることができ、熱の影響で補助光源が劣化することを回避できる。
一般に、発光ダイオードなどの補助光源は、長寿命部品であるが、熱の影響により寿命特性が低下するので、こうした不具合を抑制することができる。
【0014】
請求項7記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、主光源としての蛍光ランプと;この蛍光ランプに対し補助的な光源として機能する補助光源と;前記蛍光ランプを点灯させるインバータと;前記インバータの電源である直流電源の正極と負極間に、前記補助光源を介して接続されたスイッチ素子と;前記スイッチ素子をオン・オフさせて前記補助光源を点灯させる補助光源点灯回路と;外部のスイッチのオン・オフ操作の時間に応じて前記蛍光ランプまたは補助光源のうちのいずれか一方が点灯させるように前記インバータおよび前記補助光源点灯回路を制御する調光制御回路と;外部のスイッチのオン操作によって前記直流電源からの入力で充電が開始されるコンデンサおよびこのコンデンサの電圧値によってトリガ電圧を前記インバータへ印加する起動回路と;前記調光制御回路の制御により、前記補助光源が点灯したときに、前記コンデンサに電荷が蓄積されないように前記スイッチ素子を介して前記コンデンサの両端間を通電させる放電回路と;を具備することを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明では、調光制御回路によりインバータおよび補助光源の点灯回路が制御されて蛍光ランプが消灯し補助光源が点灯したときに、起動回路のコンデンサに電荷が蓄積されないようにスイッチ素子を介してコンデンサの両端間を通電させるので、コンデンサに電荷が蓄積されなくなり、トリガ素子による不要なトリガパルスの発生をなくすることができ、この結果、回路動作を確実なものとすることができる。
【0016】
請求項8記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、外部の位相制御調光器の操作に応じて、オフ期間が可変する位相制御電圧が供給、または供給停止されるソケットに装着される装置本体と;前記位相制御電圧を直流電圧に変換する整流回路と;前記整流回路から出力される直流電圧を平滑する平滑回路と;前記装置本体に配設された主光源としての蛍光ランプと;前記平滑回路の出力を変換して前記蛍光ランプを点灯させるように駆動するインバータと;前記装置本体に配設され、前記平滑回路と並列的に接続された補助光源と;前記位相制御調光器から入力される前記位相制御電圧を前記整流回路の前段から得ることで、前記位相制御電圧のオフ期間を検出するオフ期間検出回路と;前記オフ期間検出回路により所定期間以上のオフ期間が検出された場合に、前記蛍光ランプを消灯させ、かつ前記補助光源を点灯させる制御回路と;を具備したことを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明では、位相制御調光器から入力される位相制御電圧を整流回路の前段から得て位相制御電圧のオフ期間を検出するオフ期間検出回路を設けたことで、位相制御調光器を取り付けた空間へ電球形蛍光ランプ装置を適用することができるようになり、電球形蛍光ランプ装置の適用範囲を広げることができる。
【0018】
請求項9記載の発明の電球形蛍光ランプ装置は、請求項8記載の電球形蛍光ランプ装置において、前記制御回路は、前記位相制御調光器より入力された前記位相制御電圧の位相の変化に応じて前記補助光源を調光制御することを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明では、位相制御調光器より入力された位相制御電圧の位相の変化に応じて補助光源を調光制御することで、蛍光ランプの調光に比べて誤動作や照明がちらつくことがなくなり、安定した調光制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、電球形蛍光ランプ装置への交流電源の供給状態を変化させることによって、蛍光ランプから補助光源への点灯に切り替えることができるので、単一のランプ装置によって通常照明から低照度まで容易に調光することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1、2に示すように、この電球形蛍光ランプ装置は、蛍光ランプ本体1、点灯回路2、カバー3、口金4、グローブ5、仕切り板6を備えている。蛍光ランプ本体1は、第1発光部である透光性放電容器1a、蛍光体層、放電媒体、電極1b、第2発光部である発光ダイオードD53などを備えている。なお、カバー3、口金4、グローブ5などの外形部分を装置本体といい、内部の蛍光灯の部分を蛍光ランプ本体1という。
【0022】
発光ダイオードD53は、グローブ5に内蔵され、グローブ5または蛍光ランプ本体1のほぼ中心部分に配設されている。発光ダイオードD53は、透光性放電容器1aの端部の電極1bより離すように配線基板2aから底上げし、蛍光ランプ本体1のほぼ中央付近の高さの位置に配設および配線されている。なお、電極1bより離す方向ならば、軸方向にさらに引き離して配置してもよい。
【0023】
透光性放電容器1aは、4本の外径10mmのU字状ガラス管1a1を3つの連結管1a2によって連結し、かつ、各U字状ガラス管1a1が円周上に等配されるように形成されている。すなわち、蛍光ランプとしての各U字状ガラス管1a1は、ほぼ中央部分の発光ダイオードD53を包囲するように配置されている。発光ダイオードD53のみを点灯させた場合、上記高さ位置とあいまって、蛍光ランプ本体1が、ほぼ円形にムラなく点灯するようになる。
【0024】
U字状ガラス管1a1は、その両端にシール部1a3が形成されているとともに、それぞれ1個の細管1a4が一つのシール部1a3から外部へ突出している。細管1a4は、透光性放電容器1aの内部に連通している。連結管1a2は、別に用意した管を用いてガラス溶着して形成してもよい。
【0025】
そして、透光性放電容器1aの内部を排気し、主アマルガム(図示せず)の収納や希ガスの封入する際に利用する。連結管1a2は、吹き破り法によって形成されている。
【0026】
透光性放電容器1aは、内部に屈曲された放電路が形成されるようにコンパクトな形に形成されており、より小形化のためには外径が13mm以下、好ましくは8〜11mm、さらに一層小形化を図るには3〜9mmが好適である。
【0027】
透光性放電容器1aのより一層の小形化のための外径は、上記の数値範囲内で自由に選択できるが、外径が3mm未満であると、ランプ電流が絞られすぎてしまい、所望のランプ入力を確保するためには、ランプ電流が小さくなる分について放電路長を大きくして補わなければならなくなり、小形化を図れなくなる。
【0028】
また、これに伴いランプ電圧が高くなるから、始動電圧も高くなり、点灯回路も大形化するとともに、コストアップになる。反対に、透光性放電容器1aの外径が13mmを超えると、透光性放電容器1aが大きくなりすぎて、コンパクトな蛍光ランプを得にくくなる。なお、透光性放電容器1aの内径は、概ね外径に比例し、透光性放電容器1aの肉厚の2倍を外径から減算した値の平均値である。
さらに、透光性放電容器1aの少なくとも両端には、シール部1a3例えばステムシール部またはピンチシール部が形成されており、さらに要すれば、これに加えて中間にもステムシール部またはピンチシール部が形成される。
【0029】
この例では透光性放電容器1aの一例として、U字状に屈曲した複数のU字状ガラス管1a1を連結管1a2により接続するとともに、各U字状ガラス管1a1の部分を円周上に配列している。各U字状ガラス管1a1の間に形成される空隙部分を一方向から見透せるように前後に揃えて配列する。この他、1本の細長いガラス管を鞍形に湾曲したものを用いることもできる。さらにはガラス管をスパイラルに巻回することによって、透光性放電容器1aをコンパクトな形に形成し、しかも内部に屈曲された放電路を形成することができる。
すなわち、この例では、装置本体の中心部分に発光ダイオードD53を配置する一方、発光ダイオードD53を包囲するように複数のU字状ガラス管1a1を連結してなる透光性放電容器1a(蛍光ランプ本体1)を配置している。
【0030】
透光性放電容器1aの両端に封装した一対の電極1bの間に形成される放電路の長さ、すなわち放電路長は、外径が上記範囲内であれば、電球形蛍光ランプのランプ電力に応じて250〜500mmに設定することができる。
【0031】
透光性放電容器1aは、上記の構造を備えていれば、その材料は制限されないが、一般的にはガラスを用いて構成することができる。この場合、ガラスとしてはソーダライムガラス、鉛ガラス、バリウムシリケートガラスなどの軟質ガラスを用いるのが経済的であるが、要すればホウケイ酸ガラスなどの硬質または半硬質ガラスを用いることもできる。
【0032】
蛍光体層は、放電によって発生した紫外線を波長変換して所望波長域の可視光を得るために用いる。用いる蛍光体の種類は限定されないが、3波長発光形蛍光体は、耐熱特性および負荷特性に優れたものを得ることができるとともに、演色性に優れているので、好適である。
【0033】
蛍光体層は、図示を省略しているが、3波長発光形蛍光体を主体として構成されており、透光性放電容器1aの内面側に図示を省略しているアルミナ微粒子を主体とする保護膜を介して形成されている。
蛍光体層は、透光性放電容器1aの内面に直接形成されていてもよく、また保護膜、反射膜などを介して間接的に形成してもよい。蛍光体層を透光性放電容器1aの内面側に配設する。
【0034】
透光性放電容器1aの両端には一対の電極1bがシール部1a3を介して封装されている。電極1bの構造はフィラメント電極およびセラミックス電極などのいずれであってもよい。
【0035】
電極1bが例えばフィラメント電極によって構成されている場合、電極1bは、タングステン線からなる3重コイルにアルカリ土類金属酸化物からなる電子放射物質の酸化物が塗布される。電極1bがフィラメント電極で、シール部1a3がピンチシール構造の場合には、封着の際にフィラメントの形状が乱れるのを防止するために、ビードマウント構造を採用して透光性放電容器1aの両端にピンチシールする。
【0036】
放電媒体は、透光性放電容器1a内に封入されており、広く普及している水銀および希ガスを用いる。希ガスは、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンなどの一種または複数種を混合して数千〜数万Paの圧力で封入する。
【0037】
水銀は、アマルガムおよびアルゴンから供給される。アマルガムは、主アマルガムおよび補助アマルガムからなる。主アマルガムは、透光性放電容器1aの細管1a4内に収納されている。そして、主アマルガムは、Hgが6質量%のBi−In−Hgからなり、粒径約2.5mmの粒子3個を封入している。
【0038】
電球形蛍光ランプは、点灯中、高温になる。このため、高温下での水銀蒸気圧を最適に制御するためにアマルガムによって供給するのが一般的である。アマルガムを用いることにより、周囲温度の変化に対しても水銀蒸気圧を安定に制御でき、したがって安定した光出力を得ることができる。
【0039】
補助アマルガム(図示しない。)は、ステンレス鋼の薄板にインジウムInを鍍金してなり、主アマルガムの近傍に位置する電極1bの導入線に溶接されている。
電極1bの近傍に補助アマルガムを配設することにより、点灯初期に水銀蒸気を供給して、光束立ち上り特性を良好にすることができる。なお、電極1bの部分は、ランプの寿命末期には発熱量がさらに増加する。電極1bとは遠隔した位置に補助アマルガムが配設される場合には、シール部1a3に基端が封着された適当な導入線のような部材に支持させることができる。
【0040】
補助アマルガムは、アマルガム形成金属例えばインジウムInなどを所要の位置に配設することにより、透光性放電容器1a内において水銀が移動してアマルガムを形成するように構成される。アマルガム形成金属は、ステンレスなどの金属基体に蒸着などによって被着させることができる。
【0041】
カバー3は、白色の遮光性の耐熱性合成樹脂をカップ状の筒体に成形して構成されている。そして、基端3aが細く絞られ、先端3bが開口し、内部が空洞を形成していて、点灯回路2の殆どを包囲している。
【0042】
カバー3は、少なくともその内部に点灯回路2を収納するとともに、蛍光ランプ本体1を支持し、かつ、基端3aに口金4を支持する。さらに、グローブ5を備えた電球形蛍光ランプ装置においては、グローブ5をカバー3に固定することもできる。
【0043】
点灯回路2をカバー3の内部に収納し、かつ、定置するために、補助的な部材、例えば仕切り板6を設ける。すなわち、仕切り板6に配線基板2aを支持させるとともに、仕切り板6をカバー3の開口端を塞ぐようにカバー3に装着することにより、配線基板2aをカバー3内に収納させる。
この場合、さらに仕切り板6をグローブ5と一緒にカバー3に固定する。しかし、要すれば、点灯回路2の配線基板2aを直接カバー3内に支持させて収納してもよい。
【0044】
また、蛍光ランプ本体1をカバー3に支持させるために仕切り板6を用いる。すなわち、蛍光ランプ本体1を仕切り板6に支持させ、仕切り板6をカバー3の開口端に固定する。そうして、カバー3の開口端に仕切り板6を装着することによって、カバー3に不要な開口ができないようにすることができる。
【0045】
さらに、カバー3は、前述したようにその基端3aに口金4を支持するが、白熱電球用照明器具への電球形蛍光ランプ装置の適合率を高めるために、中間部から基端部にかけて細く形成するのがよい。しかし、カバー3全体の形状は、電球形蛍光ランプ装置としてのデザインを考慮して決定されるべきである。なお、後述するグローブ5を備える場合、カバー3の形状は、蛍光ランプ本体1が露出する場合とでは、主としてデザイン的配慮から、異なるのは当然である。
【0046】
例えば、G形グローブの場合には、カバー3をグローブ5と協働してG形バルブに近い形状になるように、球体の一部のような形状にすることができる。また、A形グローブ5の場合にも、カバー3をグローブ5と協働してなるべくA形バルブに近い形状になるような形状にすることができる。
【0047】
口金4は、例えばE26形ねじ口金などの白熱電球と同等のものであり、カバー3の基端3aにポンチによるカシメによって装着されている。口金4は、例えば天井面などに設けられたソケットに装着して商用交流電源(AC電源)を受電する受電手段であると共に、電球形蛍光ランプ装置を機械的に支持する手段として機能する。
【0048】
口金4は、既知の口金を適宜選定して用いることができるが、例えば白熱電球などに多用されているE26形ねじ口金が適当である。しかし、要すれば、異なる仕様の口金を用いてもよい。
【0049】
また、口金4をカバー3に支持させるための手段は、特に制限されないので、既知の支持手段、例えばポンチによる機械的固着、すなわちカシメや接着などによって支持すればよい。
【0050】
グローブ5は、透明ガラスバルブの内面に形成された光拡散性微粒子を含む塗付膜によって乳白色の光拡散性を備え、A形をなしていて、蛍光ランプ本体1を包囲している。つまりグローブ5は、蛍光ランプ本体1の外側を包囲する手段である。
【0051】
グローブ5を配設することにより、電球形蛍光ランプ装置に種々の機能を付与することができる。グローブ5の基端は、カバー3の先端の開口に接続されている。グローブ5およびカバー3は、外囲器AJを形成している。
【0052】
仕切り板6は、蛍光ランプ本体1および配線基板2aを支持するとともに、外囲器AJ内を発光室Aと点灯回路収納室Bとに区分している。また、仕切り板6は、蛍光ランプ本体1および点灯回路2を支持するとともに、グローブ5と一緒にカバー3に固定するために、以下の構造を備えている。
【0053】
すなわち、仕切り板6は、下方に開放した頂部が閉塞した筒部6aおよび筒部6aの外側に突出した鍔部6bを備える。筒部6aの頂面6a1には、U字状ガラス管1a1の両端のシール部近傍を挿入するための挿入孔6a2が形成されている。この挿入孔6a2にU字状ガラス管1a1のシール部近傍を挿入し、シリコーン接着剤(図示せず)により接着して、蛍光ランプ本体1を仕切り板6に支持および固定している。
【0054】
また、仕切り板6の筒部6aの下端内部には、第2の配線基板(図示せず)が挿入され、支持されている。さらに、仕切り板6の鍔部6bがカバー3の開口部近傍の内面に当接するように仕切り板6がカバー3内に挿入され、上からグローブ5の開口端がカバー3の開口端に挿入した状態でシリコーン接着剤(図示せず)によって固着されている。
【0055】
(第1実施形態)
次に、図3を参照して第1実施形態の点灯回路2の回路構成について説明する。
図3に示すように、点灯回路2は、図1に示した配線基板2aに実装されている。配線基板2aは、ほぼ円形をなし、仕切り板6を介してカバー3の開口端近傍に支持されている。
【0056】
点灯回路2は、蛍光ランプ本体1を始動し、高周波点灯するための回路(手段)である。点灯回路2は、低周波交流電源ASの入力端INa,INb、壁スイッチSW、フューズFU1、ノイズフィルタNFおよび整流平滑回路RS、インバータINV、負荷回路LC、駆動信号発生回路DSG、調光制御回路DCC、第2発光部である発光ダイオード回路LED、蛍光ランプ本体1などを有している。なお、点灯回路2は、必要に応じて他の構成を付加したり、または省いたりすることが許容される。
【0057】
蛍光ランプ本体1は、一対の電極1bを介して負荷回路LCの共振コンデンサC5に並列に接続されている。
低周波交流電源ASは、この例の場合、商用100V交流電源、つまり家庭用のAC電源である。入力端INa、INbは、低周波交流電源ASにソケット(図示せず)および口金4を介して接続されている。入力端INaは、外部スイッチとしての壁スイッチSWおよび過電流遮断器としてのフューズFU1を介してブリッジ形全波整流回路FBR1の電源入力端に接続されている。入力端INbは、ブリッジ形全波整流回路FBR1の他の電源入力端に接続されている。
【0058】
整流平滑回路RSは、ブリッジ形全波整流回路FBR1および平滑コンデンサC2からなる。平滑コンデンサC2には、電解コンデンサが用いられている。つまり整流平滑回路RSは、低周波交流を平滑化された直流に変換する手段であって、その交流入力端がノイズフィルタNFおよび口金4などを介して低周波交流電源ASに接続され、直流出力端に平滑化直流を出力するものであり、整流機能および平滑化機能を含んでいる。
【0059】
なお、この例では、ブリッジ形全波整流回路FBR1は、整流機能を実現する手段であり、これ以外に任意所望により各種の整流回路を採用することができる。整流機能を実現する手段としては、ブリッジ形全波整流回路FBR1の他、例えば倍電圧形全波整流回路、センタータップ形全波整流回路、半波整流回路などを用いることができる。
【0060】
平滑コンデンサC2は、平滑化機能を実現する手段であり、脈流を含んだ不完全な平滑化を許容する。平滑化機能については、種々の平滑回路を任意所望に採用することができる。しかし、電球形蛍光ランプの白熱電球との代替性を高めるためおよび高調波含有率を公的な規格値内に収めるためには、平滑化機能の回路素子として用いる電解コンデンサの静電容量をなるべく小さく抑えて、電解コンデンサを小形化することが肝要である。
【0061】
ノイズフィルタNFは、整流平滑回路RSの直流出力側において線路に直列に挿入されたインダクタL1および同じく入力側において線路間に並列的に接続されたコンデンサC1を備える。
【0062】
ノイズフィルタNFは、インバータINVのスイッチングによって発生する高周波ノイズを低周波交流電源AS側に流出させないように除去する回路である。ここで「高周波」とは、周波数10KHz以上を意味し、好ましくは周波数20KHz〜30MHzである。
【0063】
インバータINVは、直流を交流に変換する手段であり、各種回路方式のインバータを用いることができる。その中でも、コストが低くて小形化しやすいハーフブリッジ形インバータが好適である。また、インバータINVは、入力端、出力端および制御端を備えていて、入力端には直流電圧が印加され、出力端には高周波電圧が現れる。
【0064】
インバータINVは、ハーフブリッジ形インバータであり、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2を主体として構成されている。
第1のスイッチング素子Q1は、例えばNチャンネル形MOSFETである。この第1のスイッチング素子Q1のドレインは、整流平滑回路RSの直流出力端の正極に接続されている。
【0065】
第2のスイッチング素子Q2は、例えばPチャンネル形MOSFETである。この第2のスイッチング素子Q2のソースは第1のスイッチング素子Q1のソースに接続されている。第2のスイッチング素子Q2のドレインは、整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
これにより、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路の両端間、すなわちインバータINVの入力端に整流平滑回路RSから出力される平滑化直流電圧が印加される。
【0066】
制御端には第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動するための後述する駆動信号発生回路からの駆動信号が入力する。また、第1および第2のスイッチング素子は、電流駆動形のスイッチング手段、例えばバイポーラ形トランジスタ、ならびに電圧駆動形のスイッチング手段、例えば電界効果形トランジスタ(FET)などいずれの駆動形式のものであってもよい。
【0067】
なお、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2が高周波スイッチングを行なうために、起動回路STなどの付随的な回路を高周波インバータに付設する。起動回路STは、抵抗器R2、R3および後述するドライブ保護回路DPからなる。抵抗器R2は、低周波交流電源ASの一端と第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のゲートとの間に接続されている。抵抗器R3は、第2のスイッチング素子Q2のソース・ドレイン間に接続されている。
【0068】
また、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2は、同一極性および相補形のいずれでもよい。なお、FETは、電圧ドライブ形のスイッチング素子であるため、駆動が容易である。また、MOSFETは、安全動作領域による制約の少ない電力用のスイッチング素子として効果的である。
【0069】
さらに、エンハンスメント形MOSFETは、電源投入時の処理が容易で電力用のスイッチング手段として好適である。また、Nチャンネル形MOSFETが現状では商品ラインアップが豊富であるから、有利である。しかし、要すれば、Pチャンネル形MOSFETを用いることができる。
【0070】
本実施形態では、一方のスイッチング素子にNチャンネル形MOSFETを用い、他方のスイッチング素子にPチャンネル形MOSFETを用いることにより、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2を相補形に構成している。
【0071】
第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2は、駆動端子を備えていることが許容される。そして、駆動端子に所定の極性の駆動信号が供給されたときに駆動、すなわちオンされる。エンハンスメント形MOSFETにおいては、駆動端子であるところのゲートと、ソースとの間に駆動信号であるところのゲート電圧が印加されたときに、チャンネルが形成されてオン状態になる。したがって、ゲート電圧が印加されない状態ではオフ状態を維持する。
【0072】
第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2は、平滑化直流電圧が印加されるように直列的に接続されており、整流平滑回路RSから見て第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2が直列的な接続関係にある。第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2と整流平滑回路RSとの間に他の回路部品、例えばインダクタや抵抗器などが介在していてもよい。また、第1および第2のスイッチング素子の間に回路部品を介在させてもよい。
【0073】
負荷回路LCは、直流カットコンデンサC4、限流インダクタL2および共振コンデンサC5の直列回路によって構成されている。直流カットコンデンサC4の静電容量が相対的に大きいので、主として限流インダクタL2および共振コンデンサC5が負荷共振回路を構成している。
【0074】
つまり負荷回路LCは、インバータから出力される高周波交流により作動して蛍光ランプ本体1を安定に点灯する回路手段である。蛍光ランプ本体1を始動して安定に点灯するために、限流インダクタL2および始動回路などを備える。
【0075】
また、インバータINVから直流成分が負荷回路LCに流入しないように直流カットコンデンサC4を介在させる。
始動回路は、例えば限流インダクタL2と直列共振回路を形成する共振コンデンサC5とを蛍光ランプ本体1と並列的に接続して構成する。
さらに、蛍光ランプ本体1の一対の電極1bを所要温度に加熱するために、電極加熱回路を付加回路に付設する。
【0076】
駆動信号発生回路DSGは、帰還変圧器NST、ドライブ共振回路DRC、インバータ発振停止回路IOSCおよびインバータINVなどを備える帰還形の回路であり、インバータINVを自励式として駆動する。つまり、この駆動信号発生回路DSGは、負荷回路LCに1次巻線wpが直列に挿入された帰還変圧器NSTおよびドライブ共振回路DRCを含む帰還形駆動信号発生回路を主体とする自励式の構成を用いている。
【0077】
駆動信号発生回路DSGは、駆動信号を発生してインバータINVの第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動する手段であるが、インバータINVを自励制御してもよく、他励制御してもよい。自励制御は、インバータINVの高周波出力を帰還して駆動信号を形成し、インバータINVを駆動する。また、他励形の場合には、ドライバICを主体として用いて外部回路を簡単化、かつ、コンパクト化することができる。
【0078】
帰還変圧器NSTは、コア、1次巻線wpおよび2次巻線wsなどからなる。コアは、ドラム形のフェライトコアであり、磁路が開放されている。1次巻線wpは、負荷回路LCの直流カットコンデンサC4とスイッチング素子Q1、Q2のソースの間に挿入されている。2次巻線wsは、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のソースと、ドライブ共振コンデンサC7および結合コンデンサC8の接続点との間に接続されている。
【0079】
ドライブ共振回路DRCは、ドライブ共振コンデンサC7および帰還変圧器NSTを直列に接続することで、ドライブ共振コンデンサC7と帰還変圧器NSTのインダクタンスとの実効的な合成静電容量とで形成される直列共振回路である。
【0080】
インバータ発振停止回路IOSCは、スイッチング素子Q3とダイオードD50からなる。スイッチング素子Q3は、MOSFETであり、ドライブ共振コンデンサC7と並列に接続されている。インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3がオフ状態のときにドライブ共振回路DRCに電圧が印加されてインバータINVが発振する。スイッチング素子Q3がオン状態になると、ドライブ共振回路DRCへの電圧が短絡するためインバータINVの発振が停止する。
【0081】
ドライブ保護回路DPは、一対のツェナーダイオードZD1、ZD2の逆直列回路からなる。ドライブ保護回路DPは、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のゲート・ソース間に接続されている。ドライブ保護回路DPは、所要の駆動電圧を越える電圧を吸収して、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のゲートを過電圧から保護する。
【0082】
調光制御回路DCCは、AC電源オフ検出回路ACPODC、チャージポンプ回路CPC、発光ダイオード回路LEDの点消灯を制御するLED点灯回路LLCなどを有している。AC電源オフ検出回路ACPODCは、電圧比較回路VC、ラッチ回路LTCなどを有している。
【0083】
AC電源オフ検出回路ACPODCは、調光指令信号を識別するためには、例えばコンデンサの放電時定数が異なる時定数回路を主体とする複数の電圧保持回路VH1、VH2からなる電圧比較回路VCを用いて、上記複数の電圧保持回路VH1、VH2の電圧を比較するように構成する。
【0084】
電圧比較回路VCは、抵抗器R4、R5の直列回路、ならびに第1および第2の電圧保持回路VH1、VH2からなる。抵抗器R4、R5の直列回路は、電圧分圧回路を構成している。
【0085】
第1の電圧保持回路VH1は、抵抗器R5に並列接続されたコンデンサC9である。第2の電圧保持回路VH2は、抵抗器R5に並列接続されたダイオードD1および電解コンデンサC10の直列回路である。
【0086】
ラッチ回路LTCは、プログラマブル・ユニジャンクション・トランジスタ1(以下PUT1と称す)、ツェナーダイオードZD3および抵抗器R6、R7から構成されている。PUT1は、抵抗器R6と直列回路を構成し、電解コンデンサC10に並列接続されている。
【0087】
ツェナーダイオードZD3は、PUT1のアノードと制御端子との間に図示極性に接続されている。抵抗器R7は、ダイオードD1のアノードとツェナーダイオードZD3のカソードとの間に接続されている。
【0088】
チャージポンプ回路CPCは、ダイオードD2、抵抗器R8、R9およびコンデンサC11などから構成されている。ダイオードD2のアノードはPUT1および抵抗器R6の接続点に接続されている。
【0089】
ダイオードD2のカソードは、抵抗器R8を介してインバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3のゲートに図示極性のように接続されている。抵抗器R9およびコンデンサC11は、上記スイッチング素子Q3のゲート・ソース間に並列に接続されている。
【0090】
LED点灯回路LLCは、LED点消灯制御用のスイッチング素子Q50と抵抗器R50とを備える。抵抗器R50の一端は、抵抗器R6とPUT1との間に接続されている。また、抵抗器R50の他端は、スイッチング素子Q50のゲートに接続されている。
【0091】
LED点灯回路LLCは、抵抗器R6の両端に電圧が発生し、コンデンサC9、C10が充電された後の放電によりPUT1がオンしたときに抵抗器R6を通してスイッチング素子Q50のゲートに電圧が印加されてスイッチング素子Q50をオンし、スイッチング素子Q50のソース・ドレイン間を導通させる回路である。
【0092】
スイッチング素子Q50がオンすると、整流平滑回路RS(平滑コンデンサC2)から抵抗器R53を通じて発光ダイオードD53に電流が流れ、発光ダイオードD53が点灯する。このとき、インバータ発振停止回路IOSC内のスイッチング素子Q3はオン状態なので、インバータINVは、発振を停止し、蛍光ランプ本体1は消灯する。
【0093】
発光ダイオード回路LEDは、発光ダイオードD53と抵抗器R53とを直列に接続したものである。本例では、4セットの発光ダイオード回路LEDを直列に接続したものが用いられている。抵抗器R53の一端は、ノイズフィルタNFの出力端(インダクタL1)に接続されている。
【0094】
発光ダイオード回路LEDは、蛍光ランプ本体1だけの調光では不可能な明るさ、つまり蛍光ランプ本体1の点灯時の明るさの50%以下で点灯させるよう発光ダイオードD53やその周辺の回路の定数が設定されている。この例では発光ダイオード回路LEDは、蛍光ランプ本体1の点灯時の10%〜20%程度の明るさで点灯させるよう回路が構成されている。
【0095】
具体的には、インダクタL1の出力端(平滑コンデンサC2)には直流140Vが供給され、4セット分の発光ダイオード回路LEDは、消費電力として1.2W程度で点灯する。また、蛍光ランプ本体1は、消費電力は12W程度である。
【0096】
インバータ発振停止回路IOSCは、チャージポンプ回路CPC(ダイオードD2,抵抗器R8等)から供給されるオン信号により、コンデンサC11に電圧をためることで、スイッチング素子Q3をオンさせることで、ハーフブリッジ回路のドライブ用帰還電圧をダイオードD50を通してLOWに落とす回路である。これによりインバータINVは、発振が維持できなくなり発振停止する。
【0097】
つまりAC電源オフ検出回路ACPODCは、壁スイッチSWのオン・オフ操作による低周波交流電源ASからの交流電源の電力供給または供給停止の時間に応じて、インバータ発振停止回路IOSCおよびLED点灯回路LLCを制御して、蛍光ランプ本体1および発光ダイオード回路LEDの点消灯を制御する制御回路(手段)である。
【0098】
「壁スイッチのオン・オフ操作による低周波交流電源ASからの電力供給または供給停止の時間に応じて」とは、壁スイッチのオン・オフ操作の組み合わせ(オン→オフ→オンなど)やオフ時間の長さ(長短など)が含まれる。
【0099】
オン操作およびオフ操作の組み合わせは、例えば低周波交流電源ASからの電源供給を短い間隔で停止したり、オフ操作に引き続くオン操作での電源の再供給を行うことなどであり、それらの有無または操作回数により調光指令信号の内容が識別される。
【0100】
また、オフ時間の長さによる場合とは、例えば3秒を超える長いオフ時間と3秒以内(1〜2秒程度)の短いオフ時間とで異なる内容として識別される。
【0101】
AC電源オフ時間検出回路ACPODCは、電源投入後、抵抗器R4を通じてコンデンサC9を充電する。またAC電源オフ時間検出回路ACPODCは、電源投入後、抵抗器R4,ダイオードD1を通じてコンデンサC10を充電する。
【0102】
充電時には、コンデンサC10の電圧とコンデンサC9の電圧とで電位差が生じる。つまりダイオードD1のフォワード電圧分(約0.6V)だけコンデンサC10の電圧の方が低くなる。
【0103】
PUT1は、ゲート電圧が、アノード電圧よりも0.6V以上低下した場合にオンし、その後、ゲート電圧値に関わらずオンを保持する。
この回路では、PUT1のアノード電圧は、コンデンサC10の電圧(以下VC10という)であり、ゲート電圧は、コンデンサC9の電圧(以下VC9という)であるので、充電時にはPUT1はオンしない(VC9>VC10)。
【0104】
一方、壁スイッチSWのオフ操作によって電源供給が停止されると、コンデンサC9,C10は、共に放電を開始する。コンデンサC9は、抵抗器R5を通して比較的早く放電する。コンデンサC10は、抵抗器R10を通してゆっくりと放電する。このとき、互いの時間差からVC9<VC10の状態が発生する。VC9がVC10よりも0.6V低くなると、PUT1はオンする。この時間を1秒〜2秒程度に設定する。
【0105】
その後、ユーザが壁スイッチSWをオンしてAC電源が点灯回路2に供給されると、抵抗器R4を通してコンデンサC9,C10が充電されるが、一度オンしたPUT1は、電解コンデンサC2の電圧が残っている時間内(約3秒)は、抵抗器R4、ダイオードD1を経て供給される保持電流の効果により、オン状態を解除しない。
PUT1のオン状態が維持されることにより、抵抗器R6の両端に電圧が発生する。この電圧は、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3をオンさせるためのチャージポンプ回路CPCの電源(オン信号)となる。
【0106】
すなわち、AC電源オフ時間検出回路ACPODCおよびインバータ発振停止回路IOSCなどの制御回路は、壁スイッチSWのオン操作によりAC電源が供給されたとき、またはその後の壁スイッチSWのオフ・オン操作によりAC電源の供給が停止された時間が一定時間(3秒)以上経過した後、抵抗器R4、ダイオードD1からPUT1のオンを維持するための保持電流の供給がなくなると、PUT1はオフ状態となり、AC電源が再供給されたとき、インバータINVを駆動して蛍光ランプ本体1を点灯させる一方、壁スイッチSWのオフ・オン操作によりAC電源の供給が停止された時間が一定時間(3秒)以下(1、2秒程度)でAC電源が再供給されたとき、蛍光ランプ本体1を消灯させると共に発光ダイオードD53を点灯させる機能を有している。
【0107】
次に、この電球形蛍光ランプ装置の動作について説明する。
(蛍光ランプ点灯動作)
ユーザが壁スイッチSWをオン操作して低周波交流電源ASから電源を供給すると、整流平滑回路RSにより平滑化された直流電圧がインバータINVの入力端間に印加される。
しかし、インバータINVの第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2は、ゲート電圧が印加されていないので、オフ状態のままである。
【0108】
一方、低周波交流電源ASからの低周波交流電圧は、上記同時に直接起動回路STにも印加される。これにより、抵抗器R2および抵抗器R3を介してドライブ保護回路DPの両端に交流電圧が分圧されて現れる。この結果、ドライブ保護回路DPに生じる電圧降下が第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のゲート・ソース間に対して順方向になるスイッチング素子Q1がオンする。
【0109】
例えば第1のスイッチング素子Q1がオンしたとすると、第2のスイッチング素子Q2は、ドライブ保護回路DPの電圧降下が逆方向なので、オフ状態を維持する。
【0110】
そして、インバータINVが起動し、以後は駆動信号発生回路FDGから発生する駆動信号によってインバータINVが駆動される。すなわち、インバータINVが起動して負荷回路LCに負荷電流が流れると、駆動信号発生回路FDGの帰還変圧器NSTの1次巻線wpに電圧降下が生じ、2次巻線wsに2次電圧が誘起される。
【0111】
そして、2次電圧が2次巻線wpのインダクタンスとドライブ共振コンデンサC7のキャパシタンスとの直列共振がドライブ共振回路DRCに生じてドライブ共振電圧がドライブ共振コンデンサC7の両端に発生する。このドライブ共振電圧は、結合コンデンサC8およびドライブ保護回路DPを介してインバータINVの第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のゲート・ソース間に印加される。
【0112】
この結果、インバータINVは、持続的に自励発振して、その出力端である第2のスイッチング素子Q2の両端間に高周波電圧が連続的に発生する。
【0113】
インバータINVが作動すると、高周波電圧が発生し、その出力端に現れる。その結果、高周波電圧が帰還変圧器NSTの1次巻線wp、負荷回路LCの直流カットコンデンサC4および限流インダクタL2を経由して蛍光ランプ本体1の一対の電極1b、1b間に限流インダクタL2と共振コンデンサC5との直列共振により高められて印加されるので、蛍光ランプ本体1が始動し、ユーザがこのまま壁スイッチSWを何も操作しない場合は、蛍光ランプ本体1が点灯する。
【0114】
(発光ダイオードD53の点灯動作)
点灯回路2へ電源が供給されると、始動中の蛍光ランプ本体1は通常どおり点灯し、発光ダイオード回路LEDは消灯したままになる。一方、電源供給後、ユーザが壁スイッチSWをオフ操作→オン操作を1秒〜2秒の間にすばやく行うことで、始動中の蛍光ランプ本体1の点灯を停止させて、発光ダイオード回路LEDを点灯させて暗い明かりの状態へ調光することができる。
【0115】
以下、このときの回路動作について説明する。
ユーザが壁スイッチSWを始めてオン操作することで低周波交流電源ASから電源が供給されると、上述したようにインバータINVが起動するのと同時に調光制御回路DCCにも平滑化された直流電圧が印加される。
【0116】
この結果、電圧比較回路VCの第1の電圧保持回路VH1を構成するコンデンサC9および第2の電圧保持回路VH2の電解コンデンサC10がともに充電時定数が同じなので、同時に充電される。
【0117】
しかし、第1の電圧保持回路VH1による保持電圧V1の方が第2の電圧保持回路VH2による保持電圧V2よりダイオードD1における電圧降下の分の0.6Vだけ高くなっている。
【0118】
このため、ラッチ回路LTCでは、そのPUT1の制御端子に抵抗器R7を介して印加される電圧V1がアノードの電位V2より0.6V高く、PUT1がオフしたままでいる。
【0119】
この結果、チャージポンプ回路CPCが動作せず、インバータ発振停止回路IOSC内のスイッチング素子Q3はオフのまま、ドライブ共振回路DRCのキャパシタンスがドライブ共振コンデンサC7の静電容量となり、インバータINVが発振し、蛍光ランプ本体1を点灯させるために始動する。
【0120】
始動後、ユーザが壁スイッチSWをオフ操作し、低周波交流電源ASからの交流電源の供給が停止すると、第1および第2の電圧保持回路VH1、VH2は、共に放電を開始する。
【0121】
このとき、第1の電圧保持回路VH1は、抵抗器R5を経由して放電するので、その放電時定数が比較的小さい。ただし、充電時定数よりは大きい。したがって、第1の電圧保持回路VH1は、急速に放電する。
【0122】
これに対して、第2の電圧保持回路VH2は、抵抗器R10の抵抗値が大きいため、主な放電経路は、ツェナーダイオードZD3および抵抗器R7、R5を経由して放電するので、その放電時定数が相対的に大きい。
【0123】
したがって、第2の電圧保持回路VH2は、緩やかに放電する。このため、ラッチ回路LTCにおけるPUT1の制御端子の電位は、第2の電圧保持回路VH2からツェナーダイオードZD3を経由して印加される電位の方が抵抗器R7を経由して印加される電位より高くなるが、ツェナーダイオードZD3の電圧降下の0.6VだけPUT1のアノードの電位より低くなる。互いの電位差が0.6Vを超えると、PUT1がオンする。
PUT1を確実にオンさせるため、比較的、順方向電圧降下の大きいツェナーダイオードをZD3に用いるのが効果的である。順方向降下電圧が0.6V以上あれば、一般のダイオードでも良い。
【0124】
回路定数の設定により、放電時にコンデンサC9の電圧VC9がコンデンサC10の電圧VC10よりも0.6V低くなる時間を1秒〜2秒程度に設定しておく。なお、そのまま壁スイッチSWがオン操作されずに放電が進むと、平滑コンデンサC2の放電も進み、抵抗器R4、ダイオードD1を通してPUT1の保持電流を供給できなくなり、PUT1はオフする。
【0125】
壁スイッチSWがオフ操作されてから3秒以内に壁スイッチSWが再度オン操作されてAC電源が供給されると、抵抗器R4を通して、コンデンサC9,C10が充電されるが、一度オンしたPUT1は、抵抗器R4、ダイオードD1からの保持電流があるので、オン状態を解除しない。
【0126】
PUT1のオンが維持されることにより、抵抗器R6の両端に電圧が発生する。この電圧は、スイッチング素子Q3をオンさせるためのチャージポンプ回路CPCの電源となる。
【0127】
これにより、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3のゲートへオン信号が供給されて、スイッチング素子Q3をオンする。ラッチ回路LTCは、PUT1のオン状態にラッチするので、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3もオン状態に維持される。
【0128】
インバータ発振停止回路IOSCは、スイッチング素子Q3のオンにより、スイッチング素子Q3のソース・ドレイン間が導通し、ハーフブリッジ回路のドライブ帰還電圧がダイオードD50を通してLOWに落ちる。これにより、インバータINVは、発振が維持できなくなり発振停止し、始動中だった蛍光ランプ本体1は消灯する。
【0129】
インバータ発振停止回路IOSCの回路動作をさらに詳述すれば、ラッチ回路LTCのPUT1がオンすると、抵抗器R6に電圧降下が生じ、チャージポンプ回路CPCのダイオードD2および抵抗器R8を経由してコンデンサC11を充電するので、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q3は、そのゲート電位がソース電位に対して正のスレッシュホールド電圧より高くなった段階でオンする。
【0130】
すると、スイッチング素子Q3のソース・ドレイン間が導通し、ハーフブリッジ回路のドライブ帰還電圧がダイオードD50を通してLOWに落ち、インバータINVの発振が停止し、始動中だった蛍光ランプ本体1は消灯する。
【0131】
一方、PUT1のオンで抵抗器R6の両端に電圧が発生すると、その電圧が抵抗器R50を通じてスイッチング素子Q50のゲートに供給されてスイッチング素子Q50をオンさせ、ソース・ドレイン間が導通する。
【0132】
すると、全波整流回路(平滑コンデンサC2の一端)から抵抗器R53を通じて発光ダイオードLEDに電流が流れ、発光ダイオードLEDは点灯する。このとき、インバータ発振停止回路IOSC内のスイッチング素子Q3はオン状態なので、蛍光ランプ本体1は消灯している。
【0133】
このようにこの第1実施形態の点灯回路を備える電球形蛍光ランプ装置によれば、装置本体に蛍光ランプ本体1と発光ダイオード回路LEDとを内蔵し、壁スイッチSWの操作によりAC電源を初めに投入したとき、またはAC電源のオフ時間が一定時間以上経過した後、AC電源を再投入したときに、蛍光ランプ本体1を点灯させる一方、AC電源のオフ時間が一定時間以内でAC電源を再投入したときには、蛍光ランプ本体1を消灯すると共に発光ダイオード回路LEDを点灯させるので、壁スイッチSWの操作に応じて通常のあかり(蛍光ランプの点灯によるあかり)と常夜灯程度のあかり(発光ダイオードD53の点灯によるあかり)の2つのあかりに調光することができる。
【0134】
(第2実施形態)
次に、図4を参照して第2実施形態の点灯回路20を備える電球形蛍光ランプ装置について説明する。
この第2実施形態は、第1実施形態の点灯回路2の発光ダイオード回路LEDの電源の取り方を変えた例である。なお発光ダイオード回路LEDの部分以外の回路構成は、第1実施形態と同様でありその説明は省略する。
【0135】
図4に示すように、この点灯回路20は、ブリッジ形全波整流回路FBR2を備える。ブリッジ形全波整流回路FBR2の入力端の一端は、フューズFU2を介して、壁スイッチSWとフューズFU1との間の接続点に接続されている。また、ブリッジ形全波整流回路FBR2の入力端の他端は、入力端INbに接続されている。
【0136】
ブリッジ形全波整流回路FBR2の各出力端は、それぞれ発光ダイオード回路LEDに接続されている。フューズFU1は、これ以外にも過電流遮断器であれば、他のものも利用できる。発光ダイオード回路LEDは、抵抗器R53と発光ダイオードD53とを直列に接続したものである。
【0137】
この第2実施形態では、壁スイッチSWとフューズFU1との間のAC電源(交流電源)より発光ダイオード回路LEDの電源を取るよう回路が接続されている。
【0138】
このようにAC電源から直接電源供給されるブリッジ形全波整流回路FBR2を介在させることで、発光ダイオード回路LEDには、電源サイクルの2倍の脈流が発生する。
【0139】
この第2実施形態の点灯回路20の場合、壁スイッチSWのオン操作で、低周波交流電源ASより電源が供給されると、発光ダイオード回路LEDは、インバータINVの動作や蛍光ランプ本体1の点灯状況に関係なく常時点灯する。
インバータINVが壁スイッチSWのオン・オフ操作で発振または発振停止する動作は第1実施形態の点灯回路2と同じである。
【0140】
一般に、発光ダイオードは、蛍光ランプに比べて寿命が10倍程度、長いことが知られている。例えば蛍光ランプの寿命が6000時間であるのに対して、発光ダイオードの寿命は6万時間とも言われている。
【0141】
これを前提にすると、この電球形蛍光ランプ装置のように、装置本体内に、蛍光ランプ本体1と発光ダイオード回路LEDとを内蔵する機器では、蛍光ランプ本体1の寿命が先に到来し、フューズFU1が切れることになるが、この第2実施形態の点灯回路20のように回路を構成することで、フューズFU1が切れた場合でも、発光ダイオード回路LEDは、壁スイッチSWに連動して点消灯を維持するので、蛍光ランプ本体1が点灯しない場合でも、この電球形蛍光ランプ装置を常夜灯として利用を継続できる。
【0142】
また、通常の用途では、蛍光ランプ本体1と発光ダイオード回路LEDとを共に点灯させたとしても、蛍光ランプ本体1の方が十分明るいため、発光ダイオード回路LEDの点灯による色ムラなどの影響を受けることはない。
【0143】
さらに、この回路構成では、第1実施形態のようなLED点灯回路は不要なので、製品コストを削減できる。
【0144】
次に、図5を参照して第3実施形態の点灯回路30を備える電球形蛍光ランプ装置について説明する。
図5に示すように、この第3実施形態は、第1実施形態の点灯回路2の発光ダイオード回路LEDの電源の取り方を変えた例である。なお発光ダイオード回路LEDの部分以外の回路構成は、第1実施形態と同様でありその説明は省略する。発光ダイオード回路LEDは、抵抗器R53と発光ダイオードD53とを直列に接続したものである。
【0145】
すなわち、この点灯回路30は、ノイズフィルタNFの出力端と平滑コンデンサC2の一端との間にフューズFU3を接続すると共に、フューズFU3とノイズフィルタNFの出力端との間、つまりフューズFU3の前段に、発光ダイオード回路LEDの電源をとるための接続点を設け、この接続点に発光ダイオード回路LEDの抵抗器R53の一端を接続している。発光ダイオード回路LEDの発光ダイオードD53の一端は、接地している。つまり、平滑コンデンサC2と並列に発光ダイオード回路LEDを接続している。
【0146】
(第3実施形態)
この第3実施形態では、第1実施形態と同様に、平滑コンデンサC2の効果で発光ダイオード回路LEDへは平滑された直流電流が流れることになり、ちらつきなどのない、高品質のあかりを提供できる。
【0147】
この第3実施形態の点灯回路30の場合、第2実施形態と同様に、壁スイッチSWのオン操作で、低周波交流電源ASより電源が供給されると、発光ダイオード回路LEDは、インバータINVの動作や蛍光ランプ本体1の点灯状況に関係なく常時点灯する。
【0148】
装置本体内に、蛍光ランプ本体1と発光ダイオード回路LEDとを内蔵する電球形蛍光ランプ装置では、蛍光ランプ本体1の寿命が先に到来し、フューズFU3が切れることになるが、この第3実施形態の点灯回路30のように回路を構成することで、フューズFU3が切れた場合でも、壁スイッチSWに連動して発光ダイオード回路LEDは点消灯動作を維持するので、蛍光ランプ本体1が点灯しない場合でも、この電球形蛍光ランプ装置を常夜灯として利用を継続できる。
【0149】
また、通常の用途では、蛍光ランプ本体1と発光ダイオード回路LEDとを共に点灯させたとしても、蛍光ランプ本体1の方が十分明るいため、発光ダイオード回路LEDの点灯による色ムラなどの影響を受けることはない。
【0150】
さらに、この回路構成では、第1実施形態のようなLED点灯回路LLCや第2実施形態のようなブリッジ形全波整流回路FBR2は不要なので、製品コストを削減できる。
【0151】
(第4実施形態)
次に、図6を参照して第4実施形態の点灯回路40を備える電球形蛍光ランプ装置について説明する。
図6に示すように、この第4実施形態は、第3実施形態の点灯回路30の発光ダイオード回路LEDの点灯のさせ方を変えた例である。なお発光ダイオード回路LEDとLED点灯回路LLCの部分以外の回路構成は、第1実施形態と同様でありその説明は省略する。
【0152】
発光ダイオード回路LEDは、抵抗器R53と発光ダイオードD53とを直列に接続したものである。LED点灯回路LLCは、ドレインが発光ダイオード回路LEDの発光ダイオードD53に接続されたスイッチング素子Q50と、このスイッチング素子Q50のゲートに接続された抵抗器50とを備えるものである。
【0153】
すなわち、この点灯回路40は、抵抗器R4の一端と第1のスイッチング素子Q1のドレイン間にフューズFU4を接続すると共に、フューズFU4と抵抗器R4との間に抵抗器R52の一端を接続する。
【0154】
抵抗器R52の他端は、LED点灯回路LLCの抵抗器50に接続されている。抵抗器R52の他端にはダイオードD52のアノードが接続されている。ダイオードD52のカソードは、ドライブ保護回路DPの抵抗器R3に接続されている。コンデンサC52は、一端は接地され、他端はダイオードD52のアノードに接続されている。
【0155】
つまりフューズFU4の前段に、発光ダイオード回路LEDの電源をとるための接続点を設け、この接続点に発光ダイオード回路LEDの抵抗器R53の一端を接続している。また、発光ダイオード回路LEDは、平滑コンデンサC2と並列に接続されている。
【0156】
この第4実施形態では、第3実施形態と同様に、平滑コンデンサC2の効果で発光ダイオード回路LEDへは平滑された直流電流が流れることになり、ちらつきなどのない、高品質のあかりを提供できる。
【0157】
また、この場合、壁スイッチSWのオン操作で、低周波交流電源ASより電源が供給されると、インバータINVが動作して蛍光ランプ本体1が点灯する。
【0158】
蛍光ランプ本体1が点灯時には、第1および第2のスイッチング素子Q1,Q2はスイッチング動作し、ダイオードD52を通じて第2のスイッチング素子Q2により放電されるため、コンデンサC52の電圧はLOWとなる。
【0159】
コンデンサC52の電圧がLOWの場合、抵抗器R50からLED点灯回路LLCのスイッチング素子Q50のゲートには、スイッチング素子Q50がオンするだけの信号が印加されないため、スイッチング素子Q50はオフしている。このため、発光ダイオード回路LEDは点灯しない。つまり発光ダイオード回路LEDは消灯状態となる。
【0160】
一方、ユーザが壁スイッチSWをオフしないにもかかわらず、蛍光ランプ本体1が消灯し、フューズFU4が切れ、インバータINVが停止すると、抵抗器R52を通じてコンデンサC52が充電され、コンデンサC52の電圧が上昇し、LED点灯回路LLCの抵抗器R50を通じてスイッチング素子Q50をオンさせるだけの電圧(オン信号)が印加されると、スイッチング素子Q50がオンし、発光ダイオード回路LEDが点灯するようになる。
【0161】
この第4実施形態の点灯回路40のように回路を構成することで、通常は、蛍光ランプ本体1が点灯し、発光ダイオード回路LEDが消灯する。そして、壁スイッチSWのオン・オフ操作や、寿命などで蛍光ランプ本体1が消灯したり、フューズFU4が切れた場合でも、壁スイッチSWに連動して発光ダイオード回路LEDが点消灯動作を維持するようになるので、蛍光ランプ本体1が点灯しない場合でも、この電球形蛍光ランプ装置を常夜灯として利用を継続できる。
【0162】
(第5実施形態)
次に、図7を参照して第5実施形態の点灯回路50を備える電球形蛍光ランプ装置について説明する。この第5実施形態は、上記第1実施形態〜第4実施形態で示した第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2に代わり、バイポーラ形トランジスタを用いたスイッチング素子Q101、Q102を適用した回路構成とした例である。
【0163】
図7に示すように、点灯回路50は、商用の低周波交流電源が壁スイッチを通じて供給されるポートPortV1、PortV2、過電流遮断器としてのフューズFU1、コンデンサC1とコイルL1から構成されるノイズフィルタNF、整流平滑回路RS、インバータINV、発光ダイオード回路LED、調光制御回路DCC、放電回路DIS、スイッチオフ検出回路SC、起動回路ST、インバータ発振停止回路IOSC、蛍光ランプ本体1(図ではLampと記載)、ソフトスタート回路SSなどを有している。
【0164】
すなわち、この点灯回路50は、主光源としての蛍光ランプを点灯させるインバータ回路と、補助光源としての発光ダイオード回路LED(発光ダイオードLD1,LD2,LD3)を点灯させる回路と、ユーザの好みのままに蛍光ランプ本体1および発光ダイオードLD1,LD2,LD3のうちのいずれか一方を点灯させるように壁スイッチなどがオン・オフされ、そのオン・オフ操作により入力電圧が変化した場合に、その変化に応じて各光源を点消灯制御する調光制御回路DCC(制御回路)とを有している。なお、点灯回路50は、必要に応じて他の構成を付加したり、または省いたりすることが許容される。
上記発光ダイオードLD1,LD2,LD3は、蛍光ランプ本体1に対して補助的な光源として機能する。
補助光源としては、上記発光ダイオードLD1,LD2,LD3の他に、例えば有機ELなどを用いることができる。
【0165】
ノイズフィルタNFは、整流平滑回路RSの直流出力側において線路に直列に挿入されたインダクタL1および同じく入力側において線路間に並列的に接続されたコンデンサC1を備える。
【0166】
ノイズフィルタNFは、インバータINVのスイッチングによって発生する高周波ノイズを低周波交流電源側に流出させないように除去する回路である。ここで「高周波」とは、周波数10KHz以上を意味し、好ましくは周波数20KHz〜30MHzである。
【0167】
蛍光ランプ本体1は、一対のフィラメント電極1bにはそれぞれ端子K3,K4、K5,K6が設けられている。端子K3、K5には共振コンデンサC5が並列に接続されている。他方の一対の端子K4、K6には、ソフトスタート回路SSが接続されている。
【0168】
ソフトスタート回路SSは、例えば温度可変抵抗素子PTCを利用した回路であり、電流が温度可変抵抗素子PTCに流れることで、温度可変抵抗素子PTCが自己発熱しインピーダンスを変化させて蛍光ランプ本体1を徐々に加熱する。
【0169】
低周波交流電源は、この例の場合、商用100V交流電源、つまり家庭用のAC電源である。ポートPortV1は、フューズFU1を介して全波整流回路FBR1の入力端に接続されている。ポートPortV2は、全波整流回路FBR1の他の入力端に接続されている。ポートPortV1、PortV2は、低周波交流電源が供給されるソケット(図示せず)に取り付けられる口金4および点灯回路50の電源入力端がこれに相当する。
【0170】
外部スイッチとしての壁スイッチは、スイッチオフのときに発光するネオン管等の発光素子が抵抗成分として直列に接続されたもの(通称:OFFピカスイッチ)と、抵抗などが無挿入のものとがあり、本回路は、両方のスイッチを入力側の負荷として利用できる。
【0171】
整流平滑回路RSは、全波整流回路FBR1および平滑コンデンサC2からなる。平滑コンデンサC2には、電解コンデンサが用いられている。つまり整流平滑回路RSは、低周波交流を平滑化された直流に変換する手段であり、直流出力端に平滑化直流を出力するものである。つまり整流平滑回路RSは、インバータINVの電源、つまり直流電源である。
【0172】
なお、この例では、全波整流回路FBR1は、整流機能を実現する手段であり、これ以外に任意所望により各種の整流回路を採用することができる。整流機能を実現する手段としては、全波整流回路FBR1の他、例えば倍電圧形全波整流回路、センタータップ形全波整流回路、半波整流回路などを用いることができる。
【0173】
平滑コンデンサC2は、平滑化機能を実現する手段であり、脈流を含んだ不完全な平滑化を許容する。平滑化機能については、種々の平滑回路を任意所望に採用することができる。しかし、電球形蛍光ランプの白熱電球との代替性を高めるためおよび高調波含有率を公的な規格値内に収めるためには、平滑化機能の回路素子として用いる電解コンデンサの静電容量をなるべく小さく抑えて、電解コンデンサを小形化することが肝要である。
【0174】
インバータINVは、ハーフブリッジ形インバータであり、第1および第2のスイッチング素子Q101、Q102を主体とし、コンデンサC104,抵抗器R102,R103,R104、R105,R106、駆動トランスCT、起動回路STなどを含む回路によって構成されている。抵抗R104,R106は、通称:エミッタ抵抗と呼ばれる負帰還抵抗である。このインバータINVは、交互にスイッチング動作を行う2つのスイッチング素子Q101,Q102からなる直列回路を直流電源に接続して構成される。
【0175】
抵抗器R103,R104、R105,R106には、チップ抵抗が用いられている。チップ抵抗の大きさは、2mm×1.25mm(通称:2012と呼ばれる)EIA規格0805サイズである。
【0176】
このように第1のスイッチング素子Q101および第2のスイッチング素子10Q2周辺の抵抗素子をチップ抵抗とすることで、例えば放電ランプの寿命末期時を含む異常時などに、スイッチング素子Q101,Q102に過電流が継続して流れた場合に、チップ抵抗が開放破壊を起こし、ランプの点灯を停止させる。つまり、チップ抵抗がヒューズの役目を果たし、過電流による過発熱などの異常動作を防止できる。
【0177】
なお、チップ抵抗は、過電流破壊によって開放モードになる素子なので、チップコンデンサやダイオードに比べて寿命末期時にインバータINVの発振を停止させるための素子として好適である。
【0178】
第1のスイッチング素子Q101および第2のスイッチング素子Q102は、バイポーラ形トランジスタである。この第1のスイッチング素子Q101のコレクタは、整流平滑回路RSの直流出力端の正極に接続されている。
【0179】
第1のスイッチング素子Q101のエミッタは、抵抗器R104を介してダイオードD101のカソードに接続されている。コンデンサC104および抵抗器R102は、整流平滑回路RSの直流出力端の正極とダイオードD101のカソードに、並列に接続されている。コンデンサC104は、スイッチング改善用のスナバ素子であり、電流の流れをON/OFFする第1のスイッチング素子Q101にて切り替わりの過渡状態で発生する高いスパイク電圧を防止する。
【0180】
第2のスイッチング素子Q102のコレクタは、ダイオードD101のカソードに接続されている。第2のスイッチング素子Q102のエミッタは、抵抗器R106を介して整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
これにより、第1のスイッチング素子Q101および第2のスイッチング素子Q102の直列回路の両端間、すなわちインバータINVの入力端に整流平滑回路RSから出力される平滑化直流電圧が印加される。
【0181】
インバータINVを起動する起動回路STは、抵抗器R101,R121、ダイオードD101、起動用のコンデンサC103、トリガ素子であるトリガダイオードDB3などからなる。抵抗器R121とコンデンサC103は、時定数回路である。
【0182】
つまり、起動回路STは、インバータINVの起動用として、抵抗器R121とコンデンサC103を含む時定数回路と、コンデンサC103の電圧値によってブレークオーバーするトリガダイオードDB3とを有する回路である。
抵抗器R101は、ダイオードD101のアノードとカソード間に接続されている。
起動用のコンデンサC3は、ダイオードD1のアノードと整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
【0183】
ダイオードD101は、コンデンサC103に蓄えられた電荷を、第2のスイッチング素子Q102がオンしたときに第2のスイッチング素子Q102のコレクタ・エミッタを通じて放電、つまり抜くためのものである。
【0184】
トリガダイオードDB3は、商用100Vの交流電源からの電圧供給によって、インバータINVを起動させるときに、起動用のコンデンサC103の電圧が上昇し、ブレークオーバー電圧を超えると、通電状態になり、第2のスイッチング素子Q102のベースに起動パルスを与え、インバータINVの発振を開始させる。
【0185】
抵抗器R103は、第1のスイッチング素子Q101のベースと駆動トランスCTに接続されている。抵抗器R105は、第2のスイッチング素子Q102のベースと駆動トランスCTに接続されている。
【0186】
すなわち、インバータINVは、直流を交流に変換する手段であり、各種回路方式のインバータを用いることができる。その中でも、コストが低くて小形化しやすいハーフブリッジ形インバータが好適である。
【0187】
第1のスイッチング素子Q101および第2のスイッチング素子Q102と整流平滑回路RSとの間に他の回路部品、例えばインダクタや抵抗器などを介在させていてもよい。また第1のスイッチング素子Q101と第2のスイッチング素子Q102との間に回路部品を介在させてもよい。
【0188】
コンデンサC106は、整流平滑回路RSの直流出力端の正極と放電ランプ本体1の端子K3に接続されている。コンデンサC106は、直流成分カット用のカップリングコンデンサ(結合コンデンサ)である。コンデンサC106は、インバータINVから直流成分が負荷回路LCに流入しないようにするための手段である。コンデンサC107およびインダクタL3は直列共振回路である。
【0189】
直列共振回路は、インバータINVから出力される高周波交流により作動して蛍光ランプ本体1を安定に点灯させる回路である。また、この点灯回路2は、蛍光ランプ本体1を始動して安定に点灯させるためにソフトスタート回路SSを備える。
【0190】
ソフトスタート回路SSは、例えばインダクタL3と直列共振回路を形成する共振コンデンサC107と温度可変抵抗素子PTCとを蛍光ランプ本体1と並列的に接続して構成する。温度可変抵抗素子PTCは、蛍光ランプ本体1の一対のフィラメント電極1bを所要温度に加熱するための付加回路である。
【0191】
インバータ発振停止回路IOSCは、スイッチング素子Q103とコンデンサC108からなる。スイッチング素子Q103は、MOSFETを利用している。スイッチング素子Q103がオフ状態のときにインバータINVが発振する。スイッチング素子Q103がオン状態になると、第2のスイッチング素子Q102のべースが短絡するためインバータINVは発振しない。
【0192】
調光制御回路DCCは、スイッチオフ検出回路SC、発光ダイオード回路LED、LED点灯回路LLC、ラッチ回路LTCなどを有している。調光制御回路DCCは、外部のスイッチのオン・オフ操作の時間(タイミング)に応じて蛍光ランプ本体1または発光ダイオード回路LEDのうちのいずれか一方を点灯させるようにインバータINVおよびLED点灯回路LLCを制御する。外部のスイッチとしては、壁スイッチの他、リモコンなども含まれる。
【0193】
複数の電圧保持回路VH1、VH2は、壁スイッチのオン・オフ操作による調光指令信号を識別するために、例えばコンデンサの放電時定数が異なる時定数回路を主体とする回路である。スイッチオフ検出回路SCは、スイッチング素子Q105とツェナーダイオードZD6と抵抗器R115を有している。スイッチング素子Q105には、例えばPNP接合のトランジスタが利用されている。
【0194】
スイッチオフ検出回路SCは、壁スイッチとして、通称「OFFピカスイッチ」などと呼ばれる、ネオン管などの発光素子が抵抗成分としてスイッチ回路に対して並列接続されたスイッチが入力側の負荷として接続された場合の誤動作を防止するための回路である。
【0195】
抵抗成分入りの壁スイッチがOFFされた場合、壁スイッチの抵抗成分を介して電流が流れ続けるために、回路電位はゼロにはならない。このため、回路電位がツェナーダイオードZD6のクランプ電圧(例えば16Vなど)以下になった場合にスイッチング素子Q5をオフしてスイッチング素子Q105のエミッタ・コレクタ間の通電を遮断することで、ラッチ回路LTCの電圧保持状態が強制的に解除される。なお、コンデンサC111は、スイッチオフ検出回路SCのノイズフィルタとして作用するものである。
【0196】
抵抗器R111,R112,R113から供給される電圧を抵抗器R114にて分流し、第1の電圧保持回路VH1、第2の電圧保持回路VH2およびラッチ回路LTCに供給する。
【0197】
電圧保持回路VHは、抵抗器R117とこれに並列接続されたコンデンサC112およびコンデンサC113とダイオードD104とからなる。
【0198】
コンデンサC112とコンデンサC113は、体積を小型化するためにセラミックチップコンデンサを2つ用いているが、取り付けスペースが確保できれば一つでも良い。コンデンサC12とコンデンサC113は、同じ定数のものが利用されている。ダイオードD4のアノードは、スイッチング素子Q105のコレクタに接続され、ダイオードD104のカソードは、コンデンサC12およびコンデンサC113の接点に接続されている。なお、コンデンサC112とコンデンサC113は、電解コンデンサであっても良い。
【0199】
ラッチ回路LTCは、PUT1、コンデンサC114、抵抗器R116、R118、R119から構成されている。PUT1は、抵抗器R118と直列回路を構成し、電解コンデンサC115に並列に接続されている。
【0200】
抵抗器R116は、ダイオードD4のアノードとPUT1のゲートとに接続されている。抵抗器R119は、PUT1のカソードとスイッチング素子Q103のゲートに接続されている。
【0201】
放電回路DICは、抵抗器R120とダイオードD106との直列回路により構成されている。抵抗器R120の他の一端は、コンデンサC103とトリガダイオードDB3の接点に接続されている。ダイオードD106のカソードは、スイッチング素子Q104のソースに接続されている。
【0202】
放電回路DICは、調光制御回路DCCによりLED点灯回路LLCおよびインバータINVが制御されて蛍光ランプ本体1が消灯し発光ダイオード回路LEDの各LD1,LD2,LD3が点灯したときに、コンデンサC103に電荷が蓄積されないようにスイッチング素子Q4を介して整流平滑回路RSに負極へ通電する回路である。
【0203】
発光ダイオード回路LEDは、直列に接続された限流用の抵抗器R107,R108,R109と、これら抵抗器R107,R108,R109と直列に接続された発光ダイオードLD1,LD2,LD3、ダイオードD102を有している。抵抗器R107,R108,R109は、定数設定のためと発熱を分散させるため複数個としたが、一つでもさらに多くても良い。このように用いる抵抗を限流用抵抗50という。
【0204】
限流用抵抗50の一端は、整流平滑回路RSの直流出力端の正極に接続されており、他端は、発光ダイオードLD1のアノードに接続されている。ダイオードD102のカソードは、発光ダイオードLD1のアノードに接続されている。ダイオードD102のアノードは、発光ダイオードLD3のカソードに接続されている。
【0205】
LED点灯回路LLCは、発光ダイオード回路LEDの点消灯を制御する回路であり、LED点消灯の機能とコンデンサC103の電荷放電機能とを兼用するスイッチング素子Q104と抵抗器R113とコンデンサC109とを備える。
【0206】
抵抗器R113の一端は、抵抗器R118とPUT1との間に接続されている。また、抵抗器R113の他端は、スイッチング素子Q4のゲートに接続されている。コンデンサC109は、スイッチング素子Q104のゲートと整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
【0207】
スイッチング素子Q104のソースには、ダイオードLD3のカソードが接続されている。スイッチング素子Q104のドレインは、整流平滑回路RSの直流出力端の負極に接続されている。
つまり、スイッチング素子Q104は、インバータINVの電源である整流平滑回路RS(直流電源)の正極と負極間に、補助光源としての発光ダイオード回路LED(発光ダイオードLD1,LD2,LD3)を介して接続されている。
【0208】
LED点灯回路LLCは、抵抗器R118の両端に電圧が発生し、コンデンサC111、C112、C113が充電された後の放電によりPUT1がオンしたときに抵抗器R113を通してスイッチング素子Q104のゲートに電圧を印加してスイッチング素子Q104をオンし、スイッチング素子Q104のソース・ドレイン間を導通させる回路である。LED点灯回路LLCは、スイッチング素子Q104をオン・オフさせて発光ダイオード回路LED(発光ダイオードLD1,LD2,LD3)を点灯および消灯させる。
【0209】
スイッチング素子Q104がオンすると、整流平滑回路RSから抵抗器R107,R108,R109を通じて発光ダイオードLD1,LD2,LD3に電流が流れ、発光ダイオードLD1,LD2,LD3が点灯する。このとき、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q103はオン状態なので、インバータINVは発振を停止し、蛍光ランプ本体1は消灯する。
【0210】
また、スイッチング素子Q104がオンすると、コンデンサC103に電荷が蓄積されないように抵抗器R120を通じてスイッチング素子Q104から整流平滑回路RSの負極へ通電される。
【0211】
発光ダイオード回路LEDは、蛍光ランプ本体1だけの調光では不可能な明るさ、つまり蛍光ランプ本体1の点灯時の明るさの50%以下で点灯させるよう発光ダイオードLD1,LD2,LD3やその周辺の回路の定数が設定されている。この例では発光ダイオード回路LEDは、蛍光ランプ本体1の点灯時の10%〜20%程度の明るさ、つまりベビー球と同等の明るさで点灯させるよう回路が構成されている。
【0212】
具体的には、インダクタL1の出力端(平滑コンデンサC2)には全波整流された直流電圧として、例えば140Vが供給され、3つの発光ダイオードLD1,LD2,LD3からなる発光ダイオード回路LEDは、発光色がアンバー色で、約10mA〜20mA程度の電流が流れるようにしている。蛍光ランプ本体1は、回路の消費電力を含めた消費電力が13W程度で、電球色の場合、810lmの全光束となるように回路設計を行っている。
【0213】
インバータ発振停止回路IOSCは、調光制御回路DCCから供給されるオン信号により、コンデンサC108に電荷を溜めてスイッチング素子Q103をオンさせることで、スイッチング素子Q102のベース電圧を落とし、インバータINVの発振を確実に停止する。
【0214】
調光制御回路DCCでは、壁スイッチのオン・オフ操作による電源供給時間、または供給停止の時間に応じて、インバータ発振停止回路IOSCおよびLED点灯回路LLCを制御して、蛍光ランプ本体1および発光ダイオード回路LEDのうちのいずれかを点消灯せる制御を行う制御回路(手段)である。
【0215】
「壁スイッチのオン・オフ操作による低周波交流電源ASからの電力供給または供給停止の時間に応じて」とは、壁スイッチのオン・オフ操作の組み合わせ(オン→オフ→オンなど)やオフ時間の長さ(長短など)が含まれる。
【0216】
オン操作およびオフ操作の組み合わせは、例えば電源供給を短い間隔で停止したり、オフ操作に引き続くオン操作での電源の再供給を行うことなどであり、それらの有無または操作回数により調光指令信号の内容が識別される。
【0217】
また、オフ時間の長さによる場合とは、例えば3秒を超える長いオフ時間と3秒以内(1〜2秒程度)の短いオフ時間とで異なる内容として調光制御回路DCCで識別される。
【0218】
調光制御回路DCCでは、電源投入後、抵抗器R110,R111,R112を通じてコンデンサC110が充電されると共に、スイッチング素子Q105を通じてコンデンサC111が充電される。また、電源投入後、スイッチング素子Q105およびダイオードD104を通じてコンデンサC112,C113が充電される。
【0219】
充電時には、コンデンサC111の電圧(点Tの電位)とコンデンサC112,C113の合成電圧(点Uの電位)とで電位差が生じる。つまりダイオードD104のフォワード電圧分(約0.6V)だけコンデンサC112,C113の合成電圧(点Uの電位)の方が低くなる。
【0220】
PUT1は、アノード電圧よりもゲート電圧が0.6V以上低下した場合にオンし、その後、ゲート電圧値に関わらずオンを保持する。
この回路では、PUT1のアノード電圧は、コンデンサC112,C113の合成電圧(点Uの電位)であり、ゲート電圧は、コンデンサC111の電圧(点Tの電位)であるので、充電時にはPUT1は、オンしない(T>U)。
【0221】
一方、壁スイッチのオフ操作によって回路電位が低下し、スイッチング素子Q105がオフして以降の回路(ラッチ回路LTCなど)への電源供給が停止されると、コンデンサC111,C112,C113が蓄積した電荷の放電を開始する。コンデンサC111は、コンデンサC112,C113に比べて容量が小さく自己放電により素早く放電する。
【0222】
また、コンデンサC112,C113は、抵抗器R117を通してゆっくりと放電する。このとき、互いの時間差からT<Uの状態が発生する。点Tの電位が点Uの電位よりも0.6V低くなると、PUT1はオンする。この例では、T<Uの状態が発生する時間が1秒〜3秒程度になるよう回路定数を設定している。
【0223】
調光制御回路DCCは、壁スイッチのオン操作により交流電源が供給された後、壁スイッチのオフ操作により交流電源の供給が停止され、一定時間(3秒)以上経過後に引き続き、抵抗器R110,R111,R112、ダイオードD104からPUT1のオンを維持するための保持電流の供給がない場合、PUT1はオフ状態となり、交流電源が再供給されたとき、インバータINVを駆動して蛍光ランプ本体1を点灯させる。
【0224】
また、調光制御回路DCCは、壁スイッチのオフ・オン操作により交流電源の供給が停止された時間が一定時間(3秒)以下(1、2秒程度)で交流電源が再供給されたとき、蛍光ランプ本体1を消灯させると共に発光ダイオードLD1、LD2,LD3を点灯させる。
【0225】
すなわち、この電球形蛍光ランプ装置は、放電ランプ本体1を点灯させる回路(インバータINV)と、発光ダイオードLD1、LD2,LD3を点灯させる回路(限流用の抵抗素子R107,R108,R109)を有する一体型光源であって、ユーザの好みの時間で壁スイッチがオン・オフ操作された場合に放電ランプ本体1または発光ダイオードLD1、LD2,LD3のうちのいずれか一方が点灯するように回路を切り替えるものであり、発光ダイオードLD1、LD2,LD3を点灯させる回路部品の一つである限流用の抵抗素子R107,R108,R109を、放電ランプ本体1と配線基板2aとの間に、配線基板2aから浮かせるようにして実装した配線基板2aを仕切り部材6に固定している。
【0226】
次に、この電球形蛍光ランプ装置の動作について説明する。
(蛍光ランプ点灯動作)
ユーザが壁スイッチをオン操作してポートPortV1,V2に交流電源が供給されると、整流平滑回路RSにより平滑化された直流電圧がインバータINVの入力端間に印加される。
【0227】
すると、整流平滑回路RSにより平滑化された直流電圧は、起動回路STにも印加される。これにより、コンデンサC103が充電されてトリガダイオードDB3がブレークオーバーすると、トリガパルスを第2のスイッチング素子Q102のベース端子に供給し、第2のスイッチング素子Q102がオンする。
【0228】
そして、インバータINVが起動して駆動トランスCTの誘起に基づく自励発振により、スイッチング素子Q101,Q102が交互にオン・オフ動作を行い、2次電圧が誘起される。この2次電圧がインダクタL3と共振コンデンサC107との直列共振により高められて蛍光ランプ本体1に印加される。また、ソフトスタート回路SSにより、フィラメント電極1bが適正に予熱された後に、蛍光ランプ本体1が始動し、ユーザがこのまま壁スイッチを何も操作しない場合は、蛍光ランプ本体1が点灯する。
【0229】
(発光ダイオードLD1,LD2,LD3の点灯動作)
点灯回路2へ電源が供給されると、始動中の蛍光ランプ本体1は通常どおり点灯し、発光ダイオード回路LEDは消灯したままになる。
一方、電源供給後、ユーザが壁スイッチをオフ操作→オン操作を1秒〜2秒の間にすばやく行うことで、上記調光制御回路DCCの動作により、始動中の蛍光ランプ本体1の点灯を停止させて、発光ダイオード回路LEDを点灯させて暗い明かりの状態へ調光することができる。
【0230】
以下、このときの回路動作について説明する。
ユーザが壁スイッチを始めてオン操作することで低周波交流電源から電源が供給されると、上述したようにインバータINVが起動するのと同時に調光制御回路DCCにも平滑化された直流電圧が印加される。
【0231】
この結果、第1の電圧保持回路VH1を構成するコンデンサC111および第2の電圧保持回路VH2のコンデンサC112,C113が同時に充電される。
【0232】
しかし、第1の電圧保持回路VH1による保持電圧の方が、第2の電圧保持回路VH2による保持電圧よりダイオードD104における電圧降下の分の0.6Vだけ高くなっている。
【0233】
このため、ラッチ回路LTCでは、そのPUT1の制御端子に抵抗器R116を介して印加される電圧がアノードの電位より0.6V高く、PUT1がオフしたままでいる。
【0234】
この結果、抵抗器R119を通じてオン信号は供給されず、インバータ発振停止回路IOSC内のスイッチング素子Q103はオフのまま、インバータINVが発振し、蛍光ランプ本体1を点灯させるために始動する。
【0235】
始動後、ユーザが壁スイッチをオフ操作し、交流電源からの電源供給が停止すると、第1および第2の電圧保持回路VH1、VH2は、共に放電を開始する。このとき、第1の電圧保持回路VH1は、急速に放電する。これに対して、第2の電圧保持回路VH2は、抵抗器R17の抵抗値が大きいため、ゆっくりと放電する。
【0236】
このため、ラッチ回路LTCにおけるPUT1の制御端子(ゲート)の電位は、PUT1のアノードの電位より低くなる。互いの電位差が0.6Vを超えると、PUT1がオンする。
【0237】
なお、PUT1を確実にオンさせるためには、比較的、順方向電圧降下の大きいツェナーダイオードを用いてもよい。
【0238】
回路定数の設定により、放電時にコンデンサC11の電圧(点Tの電位)がコンデンサC112,C113の合成電圧(点Uの電位)以上低くなる時間を1秒〜3秒程度、好ましくは1.5秒〜2.5秒程度に設定しておく。
【0239】
なお、そのまま壁スイッチがオン操作されずにコンデンサC112,C113の放電が進むと、コンデンサC112,C113の合成電圧(点Uの電位)は、0Vとなり(T=U)、また平滑コンデンサC2の電荷は、コンデンサC112,C113よりも速く放電されるので、抵抗器R110,R111,R112、ダイオードD104を介するPUT1の保持電流も供給できなくなり、PUT1はオフする。
【0240】
その後、壁スイッチをオン操作すると、PUT1がオフのため、スイッチング素子Q103,Q104もオフ状態であることから、起動回路STが動作してインバータINVが発振し、蛍光ランプ本体1が点灯する。
【0241】
一方、壁スイッチSWがオフ操作されてから3秒以内に壁スイッチが再度オン操作されて交流電源が供給されると、オン状態を保持したままのPUT1に抵抗器110,R111,R112を介してコンデンサC111,C112が充電されるが、一度オンしたPUT1には、平滑コンデンサC2から抵抗器R110,R111,R112、ダイオードD104を介した保持電流が供給されるので、オン状態が解除されない。
【0242】
PUT1のオンが維持されることにより、抵抗器R118の両端に電圧が発生する。この電圧は、スイッチング素子Q103をオンさせるためのオン信号となる。
【0243】
これにより、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q103のゲートへオン信号が供給されて、スイッチング素子Q103をオンする。ラッチ回路LTCは、PUT1のオン状態にラッチするので、インバータ発振停止回路IOSCのスイッチング素子Q103もオン状態に維持される。
【0244】
インバータ発振停止回路IOSCは、スイッチング素子Q103のオンにより、スイッチング素子Q103のソース・ドレイン間が導通し、第2のスイッチング素子Q102のベース電圧がLOWに落ちる。これにより、インバータINVは、発振が維持できなくなり発振停止し、始動中だった蛍光ランプ本体1は消灯する。
【0245】
インバータ発振停止回路IOSCの回路動作をさらに詳述すれば、ラッチ回路LTCのPUT1がオンすると、抵抗器R118に電圧降下が生じ、抵抗器R119を経由してコンデンサC108を充電するので、スイッチング素子Q103は、そのゲート電位がソース電位に対して正のスレッシュホールド電圧より高くなった段階でオンする。
【0246】
すると、スイッチング素子Q103のソース・ドレイン間が導通し、第2のスイッチング素子Q102のベース電圧がLOWに落ち、インバータINVは発振しない。
【0247】
一方、PUT1のオンで抵抗器R118の両端に電圧が発生すると、その電圧が抵抗器R113を通じてスイッチング素子Q104のゲートに供給されてスイッチング素子Q104をオンさせ、ソース・ドレイン間が導通する。
【0248】
すると、全波整流回路(平滑コンデンサC2の一端)から抵抗器R107,R108,R109を通じて発光ダイオード回路LEDに電流が流れ、発光ダイオードLD1,LD2,LD3が点灯する。
【0249】
また、スイッチング素子Q104をオンすると、起動回路STの起動用のコンデンサC103に電荷が蓄積されないように、抵抗器R120、ダイオードD106およびスイッチング素子Q104を通じた経路で通電される。
【0250】
これにより、トリガダイオードDB3がトリガ動作しなくなり、スイッチング素子Q2のベースへ起動のためのトリガが与えられなくなり、インバータINVが不所望に動作して蛍光ランプが微放電したり、蛍光ランプ本体1のフィラメント電極1bを劣化させる等の不具合の発生が確実に防止される。
【0251】
このようにこの第5実施形態の電球形蛍光ランプ装置によれば、バイポーラ形トランジスタを用いたインバータINVを構成する上で、点灯回路50に放電回路DICを設けたことで、蛍光ランプ本体1を消灯させつつ発光ダイオードLD1,LD2,LD3を点灯させたときに、インバータ起動用のコンデンサC103に電荷が蓄積されないようにスイッチング素子Q4を介して整流平滑回路RSの負極へ通電するので、トリガダイオードDB3による不要なトリガパルスの発生をなくすることができる。この結果、インバータINVとLED点灯回路LLCとを含む回路の動作を安定させ、回路動作を確実なものとすることができる。
【0252】
(第6実施形態)
次に、図8乃至図11を参照して第6実施形態の点灯回路60を備える電球形蛍光ランプ装置について説明する。
この第6実施形態は、家屋の壁に、壁スイッチSWの代わりに取り付けた位相制御調光器DMに、電球形蛍光ランプ装置を対応させた例である。具体的には、この第6実施形態では、第1実施形態(図3)で示した点灯回路2の電圧比較回路VCへの電源の供給の仕方を変えている。なお、電源の供給の仕方以外の回路構成は、第1実施形態と同様でありその説明は省略する。
【0253】
すなわち、図8に示すように、点灯回路60のフューズFU1とブリッジ形全波整流回路FBR1の入力端との間には、電圧比較回路VCの抵抗器R4の一端が接続されている。
また、家屋に引き込まれた商用電源である低周波電源ASには、位相制御調光器DMを介して電球用のソケット(図示せず)が接続されている。位相制御調光器DMは、部屋の壁などに設置されるものであり、壁スイッチSWと交換して設置される。
【0254】
この点灯回路60を搭載した電球形蛍光ランプ装置の口金4を上記ソケットに取り付けることで、位相制御調光器DMと点灯回路60の入力端INbが接続される。
ソケットには、外部の位相制御調光器DMの調光ボリュームの操作に応じて、オフ期間が可変する位相制御された交流電源(以下「位相制御電圧」と称す。)が位相制御調光器DMから供給される。位相制御調光器DMには、調光ボリュームの最小位置(MIN)よりもさらにボリュームを絞った位置にoff接点があり、このoff接点の位置では位相制御電圧の供給が停止される。
【0255】
位相制御調光器DMは、図9に示すように、端子p1、p2、トライアックTRIAC、操作回路OCおよびコンデンサC21を備えている。端子p1は、電源AS側に接続されている。端子p2は、電球用のソケットにそれぞれ接続されている。
【0256】
また、端子p1、p2間には、位相制御素子の一つであるトライアックTRIACおよびコンデンサC21が並列接続されている。トライアックTRIACは、サイリスタなどの無接点スイッチ素子である。コンデンサC21は、トライアックTRIACのスイッチングに伴って発生するノイズを吸収するためのものである。
【0257】
操作回路OCは、トライアックTRIACの制御端子に所望位相の導通信号を供給する回路であり、移相回路PSCおよびダイアックDIACを備えている。つまり操作回路OCは、トライアックTRIACのオン位相を制御する回路である。ダイアックは、トリガー素子である。
【0258】
移相回路PSCは、可変抵抗器R21およびコンデンサC22の直列回路からなる。可変抵抗器R21は、利用者によって操作される回動式または摺動式のボリュームであり、回動操作または摺動操作により抵抗値が可変する。
【0259】
移相回路PSCは、トライアックTRIACに並列接続されている。ダイアックDIACは、移相回路PSCの移相出力端子24とトライアックTRIACのトリガー端子25との間に接続されている。
【0260】
フューズFU1は、例えば点灯回路60の配線基板2aに一体に形成されたパターンヒューズなどであり、低周波交流電源ASから位相制御調光器DMを介して電球形蛍光ランプ装置の点灯回路60に流入する入力電流が過電流になった際に、溶断して回路が焼損しないように保護する。
【0261】
なお、位相制御調光器DMは、家屋(部屋)の壁ではなく、電球形蛍光ランプ装置の側に内蔵してもよい。
【0262】
この位相制御調光器DMを経由して電球形蛍光ランプ装置を低周波交流電源ASに接続した場合、位相制御調光器DMのボリュームを最大に合わせたとしても、図10に示すように、口金4から流入する入力電圧に休止期間、つまりオフ期間T1が生じる。休止期間とは、位相制御により電源電圧を0Vに制御している期間である。
【0263】
例えばある位相制御調光器DMの出力端にテスト用の負荷(250Ω)を接続すると共に、入力端に商用交流電圧100V(50Hz)を印加した場合、ボリューム最大位置(MAX)で、約1.3msecのオフ期間T1が検出された。
【0264】
また、ボリュームを最小位置(MIN)まで絞り込んだとき、つまり調光下限では、図11に示すような波形となり、約7.3msecのオフ期間T2が検出された。
【0265】
これらのオフ期間T1,T2は、第1実施形態(図3)で示した壁スイッチSWのオンオフ操作の時間(2〜3秒)に比較して極めて短く、第1実施形態(図3)の回路構成のまま平滑コンデンサC2からの平滑された電圧を電圧比較回路VCに入力しても、電圧が平滑されているため、msecオーダーのオフ期間を検出できず、利用者が位相制御調光器DMを調光操作しても光源の切り替え、つまり発光ダイオード回路LEDを点灯させることはできない。
【0266】
そこで、この第6実施形態では、第1実施形態(図3)の点灯回路2のように平滑コンデンサC2からの平滑された電圧を電圧比較回路VCへ供給するのではなく、ブリッジ形全波整流回路FBR1の前段で、フューズFU1を通過した位相制御電圧をそのまま電圧比較回路VCへ入力する。
【0267】
この場合、電圧比較回路VCの抵抗器R5およびコンデンサC9、コンデンサC10および抵抗器R10の両者の時定数の組み合わせで、オフ期間T1,T2の検出の速さが決まるため、位相制御調光器DMのボリューム最大位置(MAX)で蛍光ランプ本体1が点灯し、その位置からボリュームが絞られると、発光ダイオードD53を点灯させるようにする必要がある。
このためには、1.3msecのオフ期間T1についてはAC電源オフ時間検出回路ACPODCが検出せず、それよりも長い期間、例えば1.5msec以上のオフ期間を検出したときに、調光制御回路DCCが、蛍光ランプ本体1を消灯させて、発光ダイオードD53を点灯させるよう電圧比較回路VCの上記時定数を設定することが良い。
【0268】
すなわち、電圧比較回路VCおよびAC電源オフ時間検出回路ACPODCは、位相制御調光器DMから入力される位相制御電圧をブリッジ形全波整流回路FBR1の前段から得ることで、位相制御電圧のmsecオーダーのオフ期間を検出するオフ期間検出回路として機能する。
商用電源の周波数が、例えば50Hzであれば、その周期の半分の期間(半周期)に一回、位相制御調光器DMの出力波形(位相制御電圧)にオフ期間が発生するため、電圧比較回路VCおよびAC電源オフ時間検出回路ACPODCを1.5msec〜10msec程度までのオフ期間を検出できるよう時定数を調整するものとする。
【0269】
AC電源オフ検出回路ACPODCおよびLED点灯回路LLCなどを含む調光制御回路DCCは、所定の期間(この例では1.5msec)以上のオフ期間が検出された場合に、AC電源オフ検出回路ACPODCからオン信号をインバータ発振停止回路IOSCとLED点灯回路LLCへ出力して蛍光ランプ本体1を消灯させ、かつ発光ダイオードD53を点灯させる制御回路として機能する。
調光制御回路DCCは、位相制御調光器DMより入力された位相制御電圧の位相の変化に応じて発光ダイオードD53を調光制御する。
【0270】
なお、位相制御調光器DMと電球形蛍光ランプ装置とを組み合わせた場合に、トライアックが不所望にオフし、電球形蛍光ランプ装置の点灯回路60の入力電流が増加してインバータINVの寿命が短命化したり、誤動作を起こして明るさのちらつきが発生したりすることがある。
【0271】
しかし、この実施形態では、ボリューム最大位置(MAX)以外では蛍光ランプ本体1は消灯され、発光ダイオードD53を点灯して照明が調光されるので、蛍光ランプ本体1側の短命化やちらつきなどの不具合が生じ難くなる。
【0272】
ここで、図12を参照してこの第6実施形態の点灯回路における点灯特性について説明する。
図12に示す特性図は、蛍光ランプ本体1に対して50%以下の明るさを持つ発光ダイオードD53を用いた場合の例である。
特性図において、横軸は時間、左縦軸は点灯出力(%)、右縦軸は位相調光器DMの半周期当たりのオフ期間(msec)を示す。特性図の実線は左縦軸に対応し、破線は右縦軸に対応している。
この場合、位相制御調光器DMのボリュームの位置が「off」の位置では、壁スイッチSWのオフ状態と同じであるため、位相制御電圧が点灯回路60へ供給されず、蛍光ランプ本体1および発光ダイオードD53は共に点灯せず、点灯出力は0%、AC電源(50Hz)の半周期の全期間である10msecがオフ期間である。
【0273】
そして、利用者が位相制御調光器DMのボリュームを、「off」の位置から最小位置(MIN)へ操作すると、位相制御電圧が供給される。このとき位相制御電圧のオフ期間は、7.3msecであるため、AC電源オフ時間検出回路ACPODCによりオン信号が出力されて発光ダイオードD53が点灯され、かつ蛍光ランプ本体1は消灯される。このとき位相制御量に応じた位相制御電圧の実効値は小さく(図11参照)、発光ダイオードD53は、点Taの点灯状態で暗く点灯される。
【0274】
この位置から利用者が位相制御調光器DMのボリュームを徐々にMAX方向へ操作すると、位相制御電圧の実効値が大きくなり、発光ダイオードD53の点灯状態は、徐々に明るくなってゆく。
【0275】
そして、位相制御電圧のオフ期間が1.5msec程度(点Tb)になるまで、発光ダイオードD53は、明るくなる方向に調光される。
【0276】
さらに、オフ期間が1.5msecを下回り、例えば1.3msec程度までになると(図10参照)、AC電源オフ時間検出回路ACPODCからのオン信号の出力が停止され、発光ダイオードD53が消灯され、インバータINVが駆動を開始し、蛍光ランプ本体1が点灯され、100%の全灯状態となる。
【0277】
この逆に、MAXの位置のボリュームを利用者が徐々にMIN方向へ操作すると、少しの操作で、オフ期間が1.5msecを超えるため、AC電源オフ時間検出回路ACPODCからオン信号が出力され、インバータINVの駆動が停止されると共に、発光ダイオードD53が点灯され、以降、「off」の位置まで、発光ダイオードD53による調光点灯状態となる。
【0278】
このようにこの第6実施形態の電球形蛍光ランプ装置によれば、位相制御調光器DMが設けられた家屋(部屋)に電球形蛍光ランプ装置を用いる場合、位相制御調光器DMから入力される位相制御電圧をブリッジ形全波整流回路FBR1の前段から得て位相制御電圧のmsecオーダーのオフ期間を検出することで、蛍光ランプ本体1と発光ダイオードD53との点灯を確実に切り替えることができる。
また、全灯時以外に発光ダイオードD53を点灯させて、位相制御調光器DMにて調光を行えるようにしたので、誤動作や照明がちらつくことなく調光することができる。
【0279】
すなわち、入力電圧の位相制御により、主光源から補助光源へと切り替わり、全灯から補助光源の明るさ程度へと変化する調光を実現することができる。
【0280】
なお、通常、蛍光ランプ本体1に比べて発光ダイオードD53の明るさの方が暗いため、図12の特性では、蛍光ランプ本体1と発光ダイオードD53との光源切り替え時の点灯状態に明るさに差異(段差)が生じる。このように明るさの差異が大きな2つの光源を使用することで、調光の下限をより深くすることができる。
【0281】
これに対して、高輝度の発光ダイオードD53を利用して蛍光ランプ本体1との明るさの差異をなくすことで、光源切り替え時にも滑らかな調光を行えるようになる。
このように使用する2つの光源(主光源および補助光源)の明るさの差異をつけたり、互いの明るさを合わることで、照明する空間や利用者の志向に合わせた調光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0282】
【図1】本発明の一つの実施形態の電球形蛍光ランプ装置の構成を示す一部断面正面図である。
【図2】グローブを透視した平面図である。
【図3】電球形蛍光ランプ装置の点灯回路の第1実施形態を示す図である。
【図4】電球形蛍光ランプ装置の点灯回路の第2実施形態を示す図である。
【図5】電球形蛍光ランプ装置の点灯回路の第3実施形態を示す図である。
【図6】電球形蛍光ランプ装置の点灯回路の第4実施形態を示す図である。
【図7】電球形蛍光ランプ装置の点灯回路の第5実施形態を示す図である。
【図8】電球形蛍光ランプ装置の点灯回路の第6実施形態を示す図である。
【図9】位相制御調光器の回路構成の一例を示す図である。
【図10】ボリューム最大位置(MAX)における位相制御電圧の波形を示す図である。
【図11】ボリューム最小位置(MIN)における位相制御電圧の波形を示す図である。
【図12】位相制御調光器のボリューム可変範囲に対し点灯状態の変化を示す点灯特性図である。
【符号の説明】
【0283】
1…蛍光ランプ本体、2…点灯回路、20…点灯回路、30…点灯回路、40…点灯回路、R50…抵抗器、INa,INb…入力端、ACPODC…電源オフ時間検出回路、ACPODC…電源オフ検出回路、AS…低周波交流電源、C1、C9,C10,C11,C52…コンデンサ、C2…平滑コンデンサ、C4…直流カットコンデンサ、C5…共振コンデンサ、C7…ドライブ共振コンデンサ、C8…結合コンデンサ、CPC…チャージポンプ回路、D1,D2,D50,D52…ダイオード、D53…発光ダイオード、FBR1,FBR2…ブリッジ形全波整流回路、FU1,FU2,FU3,FU4…フューズ、INV…インバータ、IOSC…インバータ発振停止回路、LED…発光ダイオード回路、LLC…LED点灯回路、PUT1…プログラマブル・ユニジャンクション・トランジスタ、Q1,Q2,Q3,Q50…スイッチング素子、R1,R10,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R50,R52,R53…抵抗器、RS…整流平滑回路、SW…壁スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のスイッチのオン・オフ操作により交流電源が供給、または供給停止されるソケットに装着される装置本体と;
前記装置本体に配設された主光源としての蛍光ランプおよび補助光源と;
前記外部のスイッチのオン操作により交流電源が供給されたとき、またはその後の前記スイッチのオフ・オン操作により交流電源の供給が停止された時間が一定時間以上経過した後、交流電源が再供給されたとき、インバータを駆動して前記蛍光ランプを点灯させる一方、前記スイッチのオフ・オン操作により交流電源の供給が停止された時間が前記一定時間以下で前記交流電源が再供給されたとき、前記蛍光ランプを消灯させ、かつ前記インバータを発振停止させると共に、前記補助光源を点灯させる制御回路と;
を具備したことを特徴とする電球形蛍光ランプ装置。
【請求項2】
外部のスイッチのオン・オフ操作により交流電源が供給、または供給停止されるソケットに装着される装置本体と;
前記交流電源を直流電圧に変換する整流回路と;
前記整流回路から出力される直流電圧を平滑する平滑回路と;
前記装置本体に配設された主光源としての蛍光ランプと;
前記平滑回路の出力を変換して前記蛍光ランプを点灯させるように駆動するインバータと;
前記装置本体に配設され、前記平滑回路と並列的に接続された補助光源と;
前記外部のスイッチのオン・オフ操作による交流電源の供給または供給停止を検出し、検出した電源の供給状況に応じて前記蛍光ランプおよび補助光源のいずれか一方が点灯し他方が消灯するように制御する制御回路と;
を具備したことを特徴とする電球形蛍光ランプ装置。
【請求項3】
前記整流回路と前記平滑回路との間、または前記平滑回路と前記インバータとの間に配置された過電流遮断器を備え、
前記補助光源への直流電源を前記過電流遮断器の前段からとるように回路を構成したことを特徴とする請求項2記載の電球形蛍光ランプ装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記補助光源を、前記蛍光ランプの明るさの50%以下で点灯させる回路を具備したことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1記載の電球形蛍光ランプ装置。
【請求項5】
前記補助光源を前記装置本体のほぼ中心部分に配置する一方、前記補助光源を包囲するように前記蛍光ランプを配置したことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1記載の電球形蛍光ランプ装置。
【請求項6】
前記補助光源を前記蛍光ランプの電極より前記蛍光ランプの頂部側へ離間するように底上げして配置したことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1記載の電球形蛍光ランプ装置。
【請求項7】
主光源としての蛍光ランプと;
この蛍光ランプに対し補助的な光源として機能する補助光源と;
前記蛍光ランプを点灯させるインバータと;
前記インバータの電源である直流電源の正極と負極間に、前記補助光源を介して接続されたスイッチ素子と;
前記スイッチ素子をオン・オフさせて前記補助光源を点灯させる補助光源点灯回路と;
外部のスイッチのオン・オフ操作の時間に応じて前記蛍光ランプまたは補助光源のうちのいずれか一方が点灯させるように前記インバータおよび前記補助光源点灯回路を制御する調光制御回路と;
外部のスイッチのオン操作によって前記直流電源からの入力で充電が開始されるコンデンサおよびこのコンデンサの電圧値によってトリガ電圧を前記インバータへ印加する起動回路と;
前記調光制御回路の制御により、前記補助光源が点灯したときに、前記コンデンサに電荷が蓄積されないように前記スイッチ素子を介して前記コンデンサの両端間を通電させる放電回路と;
を具備することを特徴とする電球形蛍光ランプ装置。
【請求項8】
外部の位相制御調光器の操作に応じて、オフ期間が可変する位相制御電圧が供給、または供給停止されるソケットに装着される装置本体と;
前記位相制御電圧を直流電圧に変換する整流回路と;
前記整流回路から出力される直流電圧を平滑する平滑回路と;
前記装置本体に配設された主光源としての蛍光ランプと;
前記平滑回路の出力を変換して前記蛍光ランプを点灯させるように駆動するインバータと;
前記装置本体に配設され、前記平滑回路と並列的に接続された補助光源と;
前記位相制御調光器から入力される前記位相制御電圧を前記整流回路の前段から得ることで、前記位相制御電圧のオフ期間を検出するオフ期間検出回路と;
前記オフ期間検出回路により所定期間以上のオフ期間が検出された場合に、前記蛍光ランプを消灯させ、かつ前記補助光源を点灯させる制御回路と;
を具備したことを特徴とする電球形蛍光ランプ装置。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記位相制御調光器より入力された前記位相制御電圧の位相の変化に応じて前記補助光源を調光制御することを特徴とする請求項8記載の電球形蛍光ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−227342(P2007−227342A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217403(P2006−217403)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】