説明

電磁弁

【課題】コンパクト且つ経済的な構成で、振動の発生を可及的に阻止することができ、騒音を良好に抑制することを可能にする。
【解決手段】電磁弁10は、ボディ部30内に設けられる弁座44と、前記弁座44に着座可能なメインピストン52を有するプランジャ部70と、前記プランジャ部70から突出するプランジャピン72と、前記プランジャピン72を囲繞するスリット付きガイドリング82と、前記メインピストン52を前記弁座44側に付勢するスプリング84と、通電により前記プランジャピン72に吸引力を付与するコイル78とを備える。プランジャピン72の外径は、外力が付与されない状態のガイドリング82の内径以上の寸法に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルに通電することにより、プランジャと一体の弁体を弁座に対して着脱させる電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体、例えば、高圧ガス(燃料ガス)を燃料タンクに貯留する燃料供給システムにおいて、前記燃料タンクに前記高圧ガスを充填する一方、前記燃料タンクから前記高圧ガスを供給するために、電磁弁が用いられている。
【0003】
この種の電磁弁は、一般的に、流体流路に設けられた弁座にスプリングを介して弁体を押し付けることにより、前記流体流路を閉塞(閉弁)している。そして、流体流路を流通する流体の圧力を介し、弁体がスプリングの弾性力に抗して弁座から離間することにより、前記流体流路を開放(開弁)して燃料タンク内に前記流体を供給している。一方、コイルに通電してプランジャと一体の弁体を弁座から離間させることにより、燃料タンク内の流体を流体流路に導出するように構成されている。
【0004】
ところが、従来の電磁弁では、開弁時に流体が急激に流通する際や、流体による圧力とスプリングの弾性力とが拮抗した際に、弁体の開閉動作が頻繁になり易い。このため、弁体の開閉時の振動による音、すなわち、振動騒音が発生するという問題がある。
【0005】
そこで、振動騒音が発生しない弁を得るために、例えば、特許文献1に開示されている逆止弁が知られている。この逆止弁は、図12に示すように、筒状を有する弁ハウジング1を備えており、この弁ハウジング1の軸部には、流体通路2が形成されている。流体通路2の途上には、弁座3が設けられるとともに、弁ハウジング1内には、弁ガイド4が固定されている。
【0006】
弁ガイド4は、有底ガイド筒4aを有し、前記有底ガイド筒4aの開放側には、弁体5の有底筒状部5aが摺動自在に嵌合(外嵌)している。有底ガイド筒4aと有底筒状部5aとは、圧力室6を形成するとともに、この圧力室6は、エアダンパ作用を有しており、前記圧力室6には、圧縮ばね7が収納されている。弁体5の先端部は、弁座3に対応するテーパ形状を有し、Oリング8が装着されている。
【0007】
このように構成される逆止弁では、圧力室6内の圧力によりエアダンパ作用が得られるため、開弁時に振動現象が生じることがなく、振動に基因する騒音も生じない、としている。
【0008】
また、特許文献2に開示されている冷媒配管振動防止装置では、図13に示すように、電磁弁1bの電磁弁コイル2bの部分に、振動防止材取り付け金具3bが取り付けられるとともに、この振動防止材取り付け金具3bには、振動防止材4bが巻き付けられている。
【0009】
これにより、電磁弁1bを介して、配管5bの振動を抑制することができるとともに、前記振動防止材4bは、電磁弁コイル2bの部分に取り付けてあり、これらの振動を抑制することができ、前記電磁弁1bに生じる不快音を低減することも可能である、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−99340号公報
【特許文献2】特開平7−218042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1では、弁ガイド4及び弁体5に圧力室6が形成されるため、構造が相当に複雑化し、逆止弁の製造コストが高騰するという問題がある。しかも、圧力室6には、圧縮ばね7が収納されるため、この圧縮ばね7自体が小型化されてしまい、ばね力が制限されるという問題がある。
【0012】
また、上記の特許文献2では、電磁弁1bの外部に、振動防止材取り付け金具3bを介して振動防止材4bが取り付けられており、装置全体が相当に大型化してしまう。このため、特に狭小なスペースに電磁弁1bを配置することができず、汎用性が低下するという問題がある。
【0013】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、コンパクト且つ経済的な構成で、振動の発生を可及的に阻止することができ、騒音を良好に抑制することが可能な電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る電磁弁は、流体流路が設けられるボディ部と、前記ボディ部内に前記流体流路の途上に位置して設けられる弁座と、前記弁座に着座可能な弁体を有するプランジャ部と、前記プランジャ部の外周に配置され、通電により前記プランジャ部に吸引力を付与するコイルと、前記弁体を前記弁座に着脱させる方向に向かって前記プランジャ部から突出するピン部と、前記ボディ部の内壁部に当接するとともに、前記ピン部を囲繞するスリット付きガイドリングと、一端が前記スリット付きガイドリングに支持される一方、他端が前記プランジャ部に支持され、前記弁体を前記弁座側に付勢するスプリングとを備えている。
【0015】
そして、ピン部とスリット付きガイドリングとを組み立てる前に、前記ピン部の外径は、前記スリット付きガイドリングの内径以上の寸法に設定されている。
【0016】
また、本発明に係る電磁弁は、流体流路が設けられるボディ部と、前記ボディ部内に前記流体流路の途上に位置して設けられる弁座と、前記弁座に着座可能な弁体を有するプランジャ部と、前記プランジャ部の外周に配置され、通電により前記プランジャ部に吸引力を付与するコイルと、前記弁体を前記弁座に着脱させる方向に向かって前記ボディ部から突出するピン部と、前記プランジャ部の内壁部に当接するとともに、前記ピン部を囲繞するスリット付きガイドリングと、一端が前記スリット付きガイドリングに支持される一方、他端が前記ボディ部に支持され、前記弁体を前記弁座側に付勢するスプリングとを備えている。
【0017】
そして、ピン部とスリット付きガイドリングとを組み立てる前に、前記ピン部の外径は、前記スリット付きガイドリングの内径以上の寸法に設定されている。
【0018】
さらに、スリット付きガイドリングは、スプリングが外装されるリング部を有し、前記リング部の外径は、組み立て前の前記スプリングの内径以上の寸法に設定されることが好ましい。
【0019】
さらにまた、電磁弁は、燃料タンクに装着されるとともに、前記燃料タンクは、燃料の導入及び導出を行うタンク開口を有し、ボディ部は、前記タンク開口の内部に配設されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プランジャ部から突出するピン部又はボディ部から突出するピン部とスリット付きガイドリングとを組み立てる前に、前記ピン部の外径は、前記スリット付きガイドリングの内径以上の寸法に設定されている。このため、ピン部にスリット付きガイドリングが外装された状態で、弁体が開閉動作すると、前記ピン部と前記スリット付きガイドリングとの間には、これら同士を接触させる径方向の力が働いており、比較的大きな摺動抵抗が発生する。
【0021】
従って、摺動抵抗は、弁体の起振力とは逆方向に作用し、ダッシュポットの効果が得られる。これにより、コンパクト且つ経済的な構成で、振動の発生を可及的に阻止することができ、騒音を良好に抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電磁弁が適用される燃料供給システムの概略説明図である。
【図2】前記電磁弁の概略構成説明図である。
【図3】前記電磁弁を構成するプランジャピン、ガイドリング及びスプリングの拡大図である。
【図4】前記ガイドリングの斜視説明図である。
【図5】前記ガイドリングの正面説明図である。
【図6】前記スプリングの説明図である。
【図7】燃料タンクに水素ガスを充填する際の説明図である。
【図8】前記燃料タンクから水素ガスを供給するパイロット開弁時の説明図である。
【図9】前記燃料タンクから水素ガスを供給するメイン開弁時の説明図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る電磁弁の概略構成説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る電磁弁の概略構成説明図である。
【図12】特許文献1に開示された逆止弁の断面説明図である。
【図13】特許文献2に開示された電磁弁の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る電磁弁10は、燃料供給システム12を構成する燃料タンク14に組み込まれる。燃料供給システム12は、図示しないが、燃料電池車両に搭載されている。
【0024】
燃料タンク14のタンク開口16に、電磁弁10が装着されるとともに、このタンク開口16には、管路18の一端が接続される。管路18の他端は、管路20の途上に連通する。管路20の一端には、燃料供給口として逆止弁24が設けられるとともに、前記管路20の他端には、圧力調整弁26を介して燃料電池28が接続される。逆止弁24には、外部からの高圧水素ガス充填用ノズルが接続自在である。
【0025】
図2に示すように、電磁弁10は、ボディ部30を備える。このボディ部30は、円柱部分の外周に形成された雄ねじ部32が燃料タンク14のタンク開口16の内周面に形成された雌ねじ部34に螺合する。ボディ部30の外周部とタンク開口16の内周壁面との間には、Oリング36及びバックアップリング38が介装される。
【0026】
ボディ部30の先端には、水素通路(流体流路)40が形成される。この水素通路40は、ボディ部30の先端に設けられる大径なフランジ部42の外周一端から径方向内方に延在した後、軸方向(矢印A1方向)に延在する略L字状に構成される。水素通路40の内方側端部には、弁座44が設けられるとともに、前記弁座44に連なる内壁面には、雌ねじ部46が設けられる。雌ねじ部46には、メインピストンガイド48が螺合するとともに、前記メインピストンガイド48の先端と弁座44の外周との間に、メインゴム50が介装される。
【0027】
メインピストンガイド48の内周には、メインピストン(弁体)52が弁座44に着脱自在に配置される。このメインピストン52の外周とメインピストンガイド48の内周との間には、複数の通路54が形成される。この通路54は、実質的に、メインピストンガイド48の内壁面に形成されたスリットにより構成される。
【0028】
メインピストン52の中央には、孔部56が貫通形成され、この孔部56の小径側端部には、矢印A1方向に延在して円筒部58が設けられる。円筒部58には、軸方向に貫通してガイド孔60が形成される。円筒部58内には、パイロットピストン62が配設されるとともに、前記パイロットピストン62の先端には、メインピストン52を構成するパイロット弁座64に着脱自在なパイロットゴム(パイロット弁体)66が設けられる。
【0029】
パイロットピストン62には、軸方向にピン68が圧入されるとともに、前記ピン68は、メインピストン52のガイド孔60に隙間を設けて遊嵌し、且つ、プランジャ部70の先端部に嵌合する。プランジャ部70には、メインピストン52と反対側の端部に、前記メインピストン52を弁座44に離脱させる方向(矢印A1方向)に前記プランジャ部70から突出するプランジャピン(ピン部)72が装着される。
【0030】
プランジャピン72は、ボディ部30に設けられたコア74の段付き孔部76内に進退自在に配設されるとともに、前記ボディ部30には、前記プランジャピン72の外周に位置してコイル78が設けられる。
【0031】
図3に示すように、段付き孔部76の大径部側には、この大径部側を形成する内壁面80に当接するとともに、プランジャピン72を囲繞するスリット付きガイドリング82と、一端が前記ガイドリング82に支持される一方、他端がプランジャ部70に支持され、メインピストン52を弁座44側に付勢するスプリング84とが配置される。
【0032】
ガイドリング82は、樹脂系材料、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等で構成される。図4及び図5に示すように、ガイドリング82は、大径なフランジ部86と、前記フランジ部86に同心上に一体成形される小径なリング部88とを有する。ガイドリング82は、フランジ部86からリング部88にわたって切り欠いて軸方向に延在するスリット90を有する。ガイドリング82の径寸法は、スリット90を介して拡縮自在である。
【0033】
ガイドリング82の内周面92は、このガイドリング82に外力が付与されない状態、例えば、組み立て前の状態で、内径D1に設定されるとともに、リング部88は、同様に組み立て前の状態で、外径D2に設定される。
【0034】
図3に示すように、ガイドリング82が装着されるプランジャピン72は、直径D3を有し、この直径D3は、前記ガイドリング82の内径D1以上の寸法に設定される(D1≦D3、より好ましくは、D1<D3)。
【0035】
スプリング84は、図6に示すように、組み立て前に、すなわち外力が付与されない状態で、内径D4が設定される。この内径D4は、ガイドリング82を構成するリング部88の外径D2よりも小さな寸法に設定される(D2≧D4、より好ましくは、D2>D4)。
【0036】
図2に示すように、ボディ部30には、燃料タンク14内をメインピストンガイド48の通路54に連通するポート96が形成される。コイル78には、リード線98が接続されており、このリード線98は、フランジ部42から外方に取り出されて、図示しない電源(例えば、12V電源)に接続される。
【0037】
このように構成される電磁弁10の動作について、燃料供給システム12との関連で、以下に説明する。
【0038】
先ず、燃料タンク14に、高圧燃料ガス(例えば、水素ガス)を充填する際には、逆止弁24に高圧水素ガス充填用ノズルが接続される一方、圧力調整弁26が閉塞され、管路20から管路18に高圧水素ガスが供給される。水素ガスは、電磁弁10のボディ部30に設けられている水素通路40に導入され、メインピストン52を矢印A1方向に押圧する。
【0039】
このため、図7に示すように、燃料タンク14の内部の圧力と充填される水素の圧力との圧力差により、メインピストン52は、矢印A1方向に移動する。従って、メインピストン52のガイド孔60に遊嵌するピン68が、このガイド孔60の内壁面に押圧され、前記ピン68と一体のプランジャ部70は、スプリング84の弾性力に抗して矢印A1方向に移動する。これにより、メインピストン52は、弁座44から離脱してメイン弁が開弁され、水素通路40からポート96を通って燃料タンク14内に水素ガスが充填される。
【0040】
この場合、第1の実施形態では、プランジャピン72の直径D3は、ガイドリング82に外力が付与されない状態で(組み立て前の状態で)、前記ガイドリング82の内径D1以上の寸法に設定されている。このため、プランジャピン72にガイドリング82が介装された状態で、前記プランジャピン72と前記ガイドリング82とを接触させる径方向の力が働いている。
【0041】
従って、メインピストン52が径方向(矢印A1方向)に移動すると、プランジャピン72とガイドリング82との間には、比較的大きな摺動抵抗が発生する。
【0042】
これにより、摺動抵抗は、メインピストン52の起振力とは逆方向に作法し、ダッシュポットの効果が得られる。このため、電磁弁10は、簡単且つ経済的な構成で、振動の発生を可及的に阻止することができ、騒音を良好に抑制することが可能になるという効果が得られる。
【0043】
次いで、燃料タンク14内に水素ガスが充填されて、この燃料タンク14の内部の圧力と水素通路40に供給される水素の圧力との圧力差が減少すると、あるいは、管路20への水素ガスの供給が停止されると、メインピストン52は、スプリング84の弾性作用下に、矢印A2方向(矢印A1方向とは逆方向)に移動する。
【0044】
従って、弁座44にメインピストン52が着座して、閉弁される。その際、プランジャピン72とガイドリング82との間には、比較的大きな振動抵抗が発生し、振動の抑制が図られ、騒音の発生を可及的に阻止することができる。
【0045】
さらに、第1の実施形態では、スプリング84は、組み立て前に、すなわち、外力が付与されない状態で、内径D4が設定されるとともに、この内径D4は、ガイドリング82を構成するリング部88の外形D2よりも小さな寸法に設定されている。このため、電磁弁10が組み立てられた状態で、ガイドリング82のリング部88の外周にスプリング84が所定の状態で外装されている。
【0046】
ここで、リング部88とスプリング84とを接触される径方向の力が働くこととなるため、メインピストン52の開閉時に、ガイドリング82を構成するリング部88とスプリング84との間には、比較的大きな摺動抵抗が発生する。これにより、特に経年変化によりガイドリング82自体の弾性力が低下した際にも、前記ガイドリング82とスプリング84との間に確実に摺動抵抗を発生させることが可能になる。このため、メインピストン52の振動の発生を可及的に阻止することができ、騒音を良好に抑制することが可能になる。
【0047】
次に、燃料タンク14から燃料電池28に水素ガスを供給する際には、図8に示すように、リード線98を介してコイル78に通電が開始される。従って、プランジャピン72は、コイル78に発生する吸引力を介して矢印A1方向に移動する。プランジャピン72は、プランジャ部70に固定されており、このプランジャ部70には、ピン68が圧入されている。これにより、パイロットピストン62が、矢印A1方向に移動して、前記パイロットピストン62に設けられたパイロットゴム66は、パイロット弁座64から離脱して開弁される。
【0048】
このため、燃料タンク14内の水素ガスは、ポート96から通路54及びメインピストン52の孔部56を通って、水素通路40に導出される。そして、燃料タンク14の内部圧力と水素通路40の圧力とが均圧化されると、図9に示すように、コイル78の吸引作用下に、プランジャピン72、プランジャ部70及びピン68を介して、メインピストン52が矢印A1方向に移動する。
【0049】
従って、メインピストン52は、弁座44から離脱して開弁され、燃料タンク14内の水素ガスは、ポート96及び通路54を通って水素通路40に導出される。水素通路40に導出された水素ガスは、図1に示すように、管路20に導入され、圧力調整弁26の減圧作用下に、燃料電池28に燃料ガスとして供給され、前記燃料電池28による発電が行われる。
【0050】
なお、第1の実施形態では、ガイドリング82をPTFE樹脂で構成しているが、これに限定されるものではなく、他の樹脂やゴム、又は金属等を使用してもよい。また、以下に説明する第2の実施形態以降においても、同様である。
【0051】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る電磁弁100の概略構成説明図である。
【0052】
なお、第1の実施形態に係る電磁弁10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0053】
電磁弁100は、プランジャ部102を備えるとともに、前記プランジャ部102には、メインピストン52と反対側の端部に、前記メインピストン52を弁座44に離脱させる方向(矢印A1方向)に前記プランジャ部102から突出するピン部104が一体成形される。
【0054】
このように構成される第2の実施形態では、プランジャ部102にピン部104が一体成形されており、部品点数が削減される他、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る電磁弁110の概略構成説明図である。
【0056】
電磁弁110を構成するボディ部30には、コア112が設けられるとともに、前記コア112の先端凸部には、ピン部114が装着される。ピン部114は、プランジャ部116に設けられた段付き孔部118内に進退自在に配設される。
【0057】
段付き孔部118の大径部側には、この大径部側を形成する内壁面120に当接するとともに、ピン部114を囲繞するスリット付きガイドリング82と、一端が前記ガイドリング82に支持される一方、他端がコア112に支持され、メインピストン52を弁座44側に付勢するスプリング84とが配置される。
【0058】
このように構成される第3の実施形態では、ピン部114の直径は、ガイドリング82に外力が付与されない状態で(組み立て前の状態で)、前記ガイドリング82の内径以上の寸法に設定されている。このため、電磁弁110は、簡単且つ経済的な構成で、振動の発生を可及的に阻止することができ、騒音を良好に抑制することが可能になる等、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
また、第3の実施形態では、コア112の先端凸部に、ピン部114が装着されているが、これに代えて、第2の実施形態と同様に、前記ピン部114を前記コア112の先端凸部に一体成形してもよい。
【0060】
なお、本発明は、第1〜第3の実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
10、100、110…電磁弁 12…燃料供給システム
14…燃料タンク 16…タンク開口
18、20…管路 28…燃料電池
30…ボディ部 40…水素通路
42、86…フランジ部 44…弁座
48…メインピストンガイド 50…メインゴム
52…メインピストン 54…通路
56、76…孔部 58…円筒部
60…ガイド孔 62…パイロットピストン
64…パイロット弁座 66…パイロットゴム
68…ピン 70、102、116…プランジャ部
72…プランジャピン 74、112…コア
78…コイル 80、120…内壁面
82…ガイドリング 84…スプリング
88…リング部 90…スリット
104、114…ピン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路が設けられるボディ部と、
前記ボディ部内に前記流体流路の途上に位置して設けられる弁座と、
前記弁座に着座可能な弁体を有するプランジャ部と、
前記プランジャ部の外周に配置され、通電により前記プランジャ部に吸引力を付与するコイルと、
前記弁体を前記弁座に着脱させる方向に向かって前記プランジャ部から突出するピン部と、
前記ボディ部の内壁部に当接するとともに、前記ピン部を囲繞するスリット付きガイドリングと、
一端が前記スリット付きガイドリングに支持される一方、他端が前記プランジャ部に支持され、前記弁体を前記弁座側に付勢するスプリングと、
を備え、
前記ピン部と前記スリット付きガイドリングとを組み立てる前に、前記ピン部の外径は、前記スリット付きガイドリングの内径以上の寸法に設定されることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
流体流路が設けられるボディ部と、
前記ボディ部内に前記流体流路の途上に位置して設けられる弁座と、
前記弁座に着座可能な弁体を有するプランジャ部と、
前記プランジャ部の外周に配置され、通電により前記プランジャ部に吸引力を付与するコイルと、
前記弁体を前記弁座に着脱させる方向に向かって前記ボディ部から突出するピン部と、
前記プランジャ部の内壁部に当接するとともに、前記ピン部を囲繞するスリット付きガイドリングと、
一端が前記スリット付きガイドリングに支持される一方、他端が前記ボディ部に支持され、前記弁体を前記弁座側に付勢するスプリングと、
を備え、
前記ピン部と前記スリット付きガイドリングとを組み立てる前に、前記ピン部の外径は、前記スリット付きガイドリングの内径以上の寸法に設定されることを特徴とする電磁弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電磁弁において、前記スリット付きガイドリングは、前記スプリングが外装されるリング部を有し、
前記リング部の外径は、組み立て前の前記スプリングの内径以上の寸法に設定されることを特徴とする電磁弁。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁弁において、前記電磁弁は、燃料タンクに装着されるとともに、
前記燃料タンクは、燃料の導入及び導出を行うタンク開口を有し、前記ボディ部は、前記タンク開口の内部に配設されることを特徴とする電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−149502(P2011−149502A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11587(P2010−11587)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】