露光ヘッドおよび画像形成装置
【課題】多くの光をレンズへ取り込んで良好な露光を可能とする技術を提供する。
【解決手段】第1の方向LGDの長さがW1であるとともに第1の方向LGDに直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板2991、光透過性基板2991に配設された第1のレンズLS11、および光透過性基板299に第1のレンズLS11の第1の方向LGDに配設された第2のレンズLS12を有するレンズアレイ299を備え、第1のレンズLS11および第2のレンズLS12が第1の方向LGDで接続している。
【解決手段】第1の方向LGDの長さがW1であるとともに第1の方向LGDに直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板2991、光透過性基板2991に配設された第1のレンズLS11、および光透過性基板299に第1のレンズLS11の第1の方向LGDに配設された第2のレンズLS12を有するレンズアレイ299を備え、第1のレンズLS11および第2のレンズLS12が第1の方向LGDで接続している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のレンズを配したレンズアレイを用いた露光ヘッドおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなレンズアレイとしては、例えば特許文献1の図2等に記載されているように、長手方向に所定のピッチで複数のレンズを並べたものが知られている。このレンズアレイでは、長手方向に隣接するレンズは互いに所定間隔を空けて並んでおり、各レンズは入射してきた光を結像する。そして、各レンズが結像した光により感光体ドラム等の潜像担持体が露光されて、潜像が形成される。
【0003】
【特許文献1】特開平6−278314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、露光を良好に行なうとの観点からは、レンズに入射する光の量は多いことが好適である。そこで、例えば、レンズの直径を大きくすることが考えられる。しかしながら、長手方向(第1方向)に各レンズ間が所定間隔を空けて並ぶ上記構成においてレンズの直径を大きくした場合、長手方向(第1方向)におけるレンズピッチが大きくなってしまい、所望の解像度が得られない可能性があった。つまり、従来の技術では、レンズへの入射光量を多くしたのと引き換えに、解像度が低下してしまう場合があった。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込んで良好な露光を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1の方向の長さがW1であるとともに第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、光透過性基板に配設された第1のレンズ、および光透過性基板に第1のレンズの第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、第1のレンズに光を発光する第1の発光素子、および第2のレンズに光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、を備え、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向で接続していることを特徴としている。
【0007】
このように構成された露光ヘッドでは、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向で接続している。したがって、第1のレンズおよび第2のレンズの第1の方向への間隔を広げること無く、より多くの光を第1のレンズおよび第2のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0008】
また、レンズアレイは、光透過性基板に第1のレンズの第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、第3のレンズおよび第1のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第1のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0009】
さらには、第3のレンズおよび第2のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第2のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0010】
このように、第1のレンズまたは第2のレンズとこれらのレンズの第2方向側に配された第3のレンズとを接続した構成では、第1のレンズまたは第2のレンズと第3のレンズとの間隔を広げることなく、多くの光量をレンズに取り込むことができる。換言すれば、レンズアレイの第2方向への幅を抑制することが可能な構成である。その結果、各レンズに対応して発光素子が配置される領域も、第2の方向において比較的省スペース化することが可能となる。したがって、発光素子が配置されるヘッド基板では、第2の方向の両側にスペースを空けることができる。そこで、この空いたスペースに発光素子を駆動する駆動回路を配設すると良い。つまり、ヘッド基板は、第1の発光素子および第2の発光素子の第2の方向側に第1の発光素子および第2の発光素子を駆動する駆動回路を有するように構成すると良い。このさい、駆動回路はTFTにより構成することができる。
【0011】
また、発光素子が有機EL素子である構成に対しては、本発明を適用することが特に好適である。つまり、発光素子として有機EL素子を用いた場合、LED等を用いた場合と比較して発光素子の光量が少ない。特に、ボトムエミッション型の有機EL素子を発光素子として用いた場合はなおさらである。そこで、このような構成に対しては本発明を適用して、レンズに多くの光を取り込むことが好適である。
【0012】
また、レンズアレイ基板はガラスにより形成されても良い。つまり、ガラスは線膨張係数が比較的小さい。したがって、レンズアレイ基板をガラスにより形成することで、温度変化によるレンズアレイの変形を抑制することができ、温度に依らず良好な露光が実現可能となる。
【0013】
また、レンズは光硬化性樹脂により形成されても良い。つまり、光硬化性樹脂は光を照射することで硬化する。したがって、この光硬化性樹脂によりレンズを形成することで、簡便にレンズアレイを製造することができるため、レンズアレイのコストを抑制することが可能となる。
【0014】
また、レンズは自由曲面レンズであるように構成しても良い。なぜなら、自由曲面レンズを採用することで、レンズの結像特性が向上して、より良好な露光が実現可能となるからである。
【0015】
また、この発明の別態様にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1の方向の長さがW1であるとともに第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、光透過性基板に配設された第1のレンズ、および光透過性基板に第1のレンズの第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、第1のレンズにより結像される光を発光する発光素子と、第2のレンズにより結像される光を発光する発光素子とを備え、第1のレンズの頂点の位置を第1の位置としたとき、x:第1の位置を原点とする第1の方向の位置、y:第1の位置を原点とする第2の方向の位置、h:第1の位置での光透過性基板から第1のレンズの頂点までの高さ、f(x、y):座標(x、y)での第1のレンズまたは第2のレンズのレンズ面から第1の位置までの高さ、p:第1のレンズと第2のレンズの第1の方向への間隔が、次式、
f(p/2、0)<h
の関係を有することを特徴としている。
【0016】
このように構成された露光ヘッドでは、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向に接続することとなる。したがって、第1のレンズおよび第2のレンズの第1の方向への間隔を広げること無く、より多くの光を第1のレンズおよび第2のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0017】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、潜像担持体と、潜像担持体を露光する露光ヘッドとを備え、露光ヘッドは、第1の方向の長さがW1であるとともに第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、光透過性基板に配設された第1のレンズ、および光透過性基板に第1のレンズの第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、第1のレンズにより潜像担持体に結像される光を発光する第1の発光素子、および第2のレンズにより潜像担持体に結像される光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、を有し、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向に接続していることを特徴としている。
【0018】
このように構成された画像形成装置では、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向に接続している。したがって、第1のレンズおよび第2のレンズの第1の方向への間隔を広げること無く、より多くの光を第1のレンズおよび第2のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0019】
また、潜像担持体は感光体ドラムである構成では、感光体ドラムが円筒形状を有しているため、第1レンズおよび第3のレンズの形状を同じにすると、レンズによっては結像位置が感光体ドラムの表面からずれてしまう場合がある。その結果、良好な露光が実行できない場合がある。そこで、レンズアレイは、光透過性基板に第1のレンズの第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、ヘッド基板は、第3のレンズにより潜像担持体に結像される光を発光する第3の発光素子を有し、第1のレンズで結像された第1の発光素子からの光の結像位置および第3のレンズで結像された第3の発光素子からの光の結像位置が感光体ドラムの形状に応じた位置となるように、第1のレンズおよび第3のレンズの形状を構成しても良い。
【0020】
また、第3のレンズおよび第1のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第1のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0021】
さらには、第3のレンズおよび第2のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第2のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0022】
このように、第1のレンズまたは第2のレンズとこれらのレンズの第2方向側に配された第3のレンズとを接続した構成では、第1のレンズまたは第2のレンズと第3のレンズとの間隔を広げることなく、多くの光量をレンズに取り込むことができる。換言すれば、レンズアレイの第2方向への幅を抑制することが可能な構成である。したがって、露光ヘッドの幅を小型化して、潜像担持体の周りにスペースを空けることができる。その結果、この空きスペースに他の機能部を配置することができ、画像形成装置の小型化を図ることが可能となる。
【0023】
また、この発明にかかるレンズアレイは、上記目的を達成するために、光透過性のレンズアレイ基板を有し、レンズアレイ基板では複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられており、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続していることを特徴としている。
【0024】
また、この発明にかかるラインヘッドは、上記目的を達成するために、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループを複数配したヘッド基板と、光透過性のレンズアレイ基板に対してレンズが発光素子グループ毎に配されているレンズアレイとを備え、レンズアレイ基板では複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられており、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続していることを特徴としている。
【0025】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループを複数配したヘッド基板と、光透過性のレンズアレイ基板に対してレンズが発光素子グループ毎に配されているレンズアレイとを有するラインヘッドと、ラインヘッドにより露光されて潜像が形成される潜像担持体とを備え、レンズアレイ基板では複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられており、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続していることを特徴としている。
【0026】
このように構成された発明(レンズアレイ、ラインヘッド、画像形成装置)では、光透過性のレンズアレイ基板に複数のレンズが設けられている。このレンズアレイ基板では、複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられている。そして、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続している。つまり、この発明では、第1方向に隣接するレンズの間には従来技術のような間隔が設けられておらず、これら隣接するレンズが相互に接続されている。したがって、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0027】
また、レンズアレイ基板では第1方向に直交もしくは略直交する第2方向に複数のレンズ行が配されており、第2方向に隣接するレンズ行のレンズが相互に接続しているように構成しても良い。このように、第2方向においてもレンズが接続することで、より多くの光をレンズに入射させることができ、より良好な露光が可能となるからである。
【0028】
また、レンズアレイ基板はガラスにより形成されても良い。つまり、ガラスは線膨張係数が比較的小さい。したがって、レンズアレイ基板をガラスにより形成することで、温度変化によるレンズアレイの変形を抑制することができ、温度に依らず良好な露光が実現可能となる。
【0029】
また、レンズは光硬化性樹脂により形成されても良い。つまり、光硬化性樹脂は光を照射することで硬化する。したがって、この光硬化性樹脂によりレンズを形成することで、簡便にレンズアレイを製造することができるため、レンズアレイのコストを抑制することが可能となる。
【0030】
また、レンズは自由曲面レンズであるように構成しても良い。なぜなら、自由曲面レンズを採用することで、レンズの結像特性が向上して、より良好な露光が実現可能となるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下では、最初に本明細書で用いる用語について説明する(「A.用語の説明」の項参照)。この用語の説明に続いて、本発明の実施形態について説明する(「B.第1実施形態」、「C.第2実施形態」の項等参照)。
【0032】
A.用語の説明
図1および図2は、本明細書で用いる用語の説明図である。ここで、これらの図を用いて本明細書において用いる用語について整理する。本明細書では、感光体ドラム21の表面(像面IP)の搬送方向を副走査方向SDと定義し、該副走査方向SDに直交あるいは略直交する方向を主走査方向MDと定義している。また、ラインヘッド29は、その長手方向LGDが主走査方向MDに対応し、その幅方向LTDが副走査方向SDに対応するように、感光体ドラム21の表面(像面IP)に対して配置されている。
【0033】
レンズアレイ299が有する複数のレンズLSに一対一の対応関係でヘッド基板293に配置された、複数(図1および図2においては8個)の発光素子2951の集合を、発光素子グループ295と定義する。つまり、ヘッド基板293において、複数の発光素子2951からなる発光素子グループ295は、複数のレンズLSのそれぞれに対して配置されている。また、発光素子グループ295からの光ビームが該発光素子グループ295に対応するレンズLSにより結像されて、像面IPに形成される複数のスポットSPの集合を、スポットグループSGと定義する。つまり、複数の発光素子グループ295に一対一で対応して、複数のスポットグループSGを形成することができる。また、各スポットグループSGにおいて、主走査方向MDおよび副走査方向SDに最上流のスポットを、特に第1のスポットと定義する。そして、第1のスポットに対応する発光素子2951を、特に第1の発光素子と定義する。
【0034】
また、図2の「像面上」の欄に示すように、スポットグループ行SGR、スポットグループ列SGCを定義する。つまり、主走査方向MDに並ぶ複数のスポットグループSGをスポットグループ行SGRと定義する。そして、複数行のスポットグループ行SGRは、所定のスポットグループ行ピッチPsgrで副走査方向SDに並んで配置される。また、副走査方向SDにスポットグループ行ピッチPsgrで且つ主走査方向MDにスポットグループピッチPsgで並ぶ複数(同図においては3個)のスポットグループSGをスポットグループ列SGCと定義する。なお、スポットグループ行ピッチPsgrは、副走査方向SDに互いに隣接する2つのスポットグループ行SGRそれぞれの幾何重心の、副走査方向SDにおける距離である。また、スポットグループピッチPsgは、主走査方向MDに互いに隣接する2つのスポットグループSGそれぞれの幾何重心の、主走査方向MDにおける距離である。
【0035】
同図の「レンズアレイ」の欄に示すように、レンズ行LSR、レンズ列LSCを定義する。つまり、長手方向LGDに並ぶ複数のレンズLSをレンズ行LSRと定義する。そして、複数行のレンズ行LSRは、所定のレンズ行ピッチPlsrで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDにレンズ行ピッチPlsrで且つ長手方向LGDにレンズピッチPlsで並ぶ複数(同図においては3個)のレンズLSをレンズ列LSCと定義する。なお、レンズ行ピッチPlsrは、幅方向LTDに互いに隣接する2つのレンズ行LSRそれぞれの幾何重心の、幅方向LTDにおける距離である。また、レンズピッチPlsは、長手方向LGDに互いに隣接する2つのレンズLSそれぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0036】
同図の「ヘッド基板」の欄に示すように、発光素子グループ行295R、発光素子グループ列295Cを定義する。つまり、長手方向LGDに並ぶ複数の発光素子グループ295を発光素子グループ行295Rと定義する。そして、複数行の発光素子グループ行295Rは、所定の発光素子グループ行ピッチPegrで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDに発光素子グループ行ピッチPegrで且つ長手方向LGDに発光素子グループピッチPegで並ぶ複数(同図においては3個)の発光素子グループ295を発光素子グループ列295Cと定義する。なお、発光素子グループ行ピッチPegrは、幅方向LTDに互いに隣接する2つの発光素子グループ行295Rそれぞれの幾何重心の、幅方向LTDにおける距離である。また、発光素子グループピッチPegは、長手方向LGDに互いに隣接する2つの発光素子グループ295それぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0037】
同図の「発光素子グループ」の欄に示すように、発光素子行2951R、発光素子列2951Cを定義する。つまり、各発光素子グループ295において、長手方向LGDに並ぶ複数の発光素子2951を発光素子行2951Rと定義する。そして、複数行の発光素子行2951Rは、所定の発光素子行ピッチPelrで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDに発光素子行ピッチPelrで且つ長手方向LGDに発光素子ピッチPelで並ぶ複数(同図においては2個)の発光素子2951を発光素子列2951Cと定義する。なお、発光素子行ピッチPelrは、幅方向LTDに互いに隣接する2つの発光素子行2951Rそれぞれの幾何重心の、幅方向LTDにおける距離である。また、発光素子ピッチPelは、長手方向LGDに互いに隣接する2つの発光素子2951それぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0038】
同図の「スポットグループ」の欄に示すように、スポット行SPR、スポット列SPCを定義する。つまり、各スポットグループSGにおいて、長手方向LGDに並ぶ複数のスポットSPをスポット行SPRと定義する。そして、複数行のスポット行SPRは、所定のスポット行ピッチPsprで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDにスポットピッチPsprで且つ長手方向LGDにスポットピッチPspで並ぶ複数(同図においては2個)のスポットをスポット列SPCと定義する。なお、スポット行ピッチPsprは、副走査方向SDに互いに隣接する2つのスポット行SPRそれぞれの幾何重心の、副走査方向SDにおける距離である。また、スポットピッチPspは、主走査方向MDに互いに隣接する2つのスポットSPそれぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0039】
B−1.第1実施形態
図3は本発明の適用対象であるラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図である。また、図4は図3の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図3は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0040】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図3においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0041】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラムは、軸方向が主走査方向MDに略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図3において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0042】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0043】
ラインヘッド29は、その長手方向が主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向が副走査方向SDに対応するように、感光体ドラム21に対して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDと略平行となっている。ラインヘッド29は、長手方向に並べて配置された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光が照射されて、該表面に静電潜像が形成される。
【0044】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0045】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0046】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0047】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図3において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図3に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0048】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0049】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0050】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0051】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0052】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0053】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。したがって、次に説明するようにブレード対向ローラ83が移動する場合は、ブレード対向ローラ83と一緒にクリーナブレード711及び廃トナーボックス713も移動することとなる。
【0054】
図5は、第1実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図である。また、図6は、図5に示したラインヘッドのA−A線部分断面図である。なお、A−A線は後述するレンズ列を構成する各レンズの光軸を含む線であり、図6はA−A線を含みレンズの光軸に平行な断面である。上述した通り、その長手方向LGDが主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向LTDが副走査方向SDに対応するように、ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して配置されている。なお、長手方向LGDと幅方向LTDは、互いに直交もしくは略直交している。後述するように、このラインヘッド29では、ヘッド基板293に複数の発光素子が形成されており、各発光素子は感光体ドラム21の表面に向けて光ビームを射出する。そこで、本明細書では、長手方向LGDおよび幅方向LTDに直交する方向であって、発光素子から感光体ドラム表面に向う方向を、光ビームの進行方向Doaとする。この光ビームの進行方向Doaは、後述する光軸OAと平行もしくは略平行である。
【0055】
ラインヘッド29は、ケース291を備えるとともに、かかるケース291の長手方向LGDの両端には、位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そして更に、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
【0056】
ケース291の内部には、ヘッド基板293、遮光部材297、および2枚のレンズアレイ299(299A,299B)が配置されている。ヘッド基板293の表面293−hにはケース291の内部が当接する一方、ヘッド基板293の裏面293−tには裏蓋2913が当接している。この裏蓋2913は、固定器具2914によりヘッド基板293を介してケース291内部に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291内部側(図6における上側)に押圧する弾性力を有しており、かかる弾性力により裏蓋が押圧されることで、ケース291の内部が光密に(換言すれば、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉される。なお、固定器具2914は、ケース291の長手方向LGDに複数箇所設けられている。
【0057】
ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループ295が設けられている。ヘッド基板293はガラス等の光透過性部材で形成されており、発光素子グループ295の各発光素子が射出した光ビームは、ヘッド基板293の裏面293−tから表面293−hへと透過可能である。この発光素子はボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子であり、封止部材294により覆われている。このヘッド基板293の裏面293−tにおける、発光素子の配置の詳細は次の通りである。
【0058】
図7はヘッド基板の裏面の構成を示す図であり、ヘッド基板の表面から裏面を見た場合に相当する。また、図8は、ヘッド基板裏面に設けられた発光素子グループの構成を示す図である。図7に示すように、発光素子グループ295は8個の発光素子2951をグループ化して構成されている。そして、各発光素子グループ295において、8個の発光素子2951は次のように配置されている。つまり、図8に示すように、発光素子グループ295では、長手方向LGDに沿って4個の発光素子2951を並べて発光素子行2951Rが構成されるとともに、2個の発光素子行2951Rが幅方向LTDに発光素子行ピッチPelrで並んで設けられている。また、各発光素子行2951Rは長手方向LGDに素子ピッチPelだけ相互にずれており、各発光素子2951の長手方向LGDにおける位置は互いに異なる。
【0059】
また、ヘッド基板293の裏面293−tでは、このように構成された発光素子グループ295が複数配置されている。つまり、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個の発光素子グループ295を配置して発光素子グループ列295Cが構成されるとともに、複数の発光素子グループ列295Cが長手方向LGDに沿って並んでいる。各発光素子グループ列295Cでは、3個の発光素子グループ295が長手方向LGDに発光素子グループピッチPegだけ互いにずらして配置されており、その結果、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置PTEは互いに異なる。換言すれば、ヘッド基板293の裏面293−tでは、長手方向LGDに複数の発光素子グループ295を並べて発光素子グループ行295Rが構成されるとともに、3行の発光素子グループ行295Rが幅方向LTDに設けられている。また、各発光素子グループ行295Rは長手方向LGDに発光素子グループピッチPegだけ互いにずらして配置されており、その結果、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置PTEは互いに異なる。このように本実施形態では、ヘッド基板293において複数の発光素子グループ295が2次元的に配置されている。なお、同図においては、発光素子グループ295の位置は発光素子グループ295の重心位置で代表されており、発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置PTEは、発光素子グループ295の位置から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0060】
このようにしてヘッド基板293に形成された各発光素子2951は、例えばTFT(Thin Film Transistor)回路等からの駆動を受けて、互いに等しい波長の光ビームを射出する。この発光素子2951の発光面はいわゆる完全拡散面光源であり、発光面から射出される光ビームはランバートの余弦則に従う。
【0061】
図5、図6に戻って説明を続ける。ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が当接配置されている。遮光部材297には、複数の発光素子グループ295毎に導光孔2971が設けられている(換言すれば、複数の発光素子グループ295に対して一対一で複数の導光孔2971が設けられている)。各導光孔2971は、光ビームの進行方向Doaに貫通する孔として、遮光部材297に形成されている。また、遮光部材297の上側(ヘッド基板293の反対側)には、2枚のレンズアレイ299が光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。
【0062】
このように、光ビームDoaの進行方向において、発光素子グループ295とレンズアレイ299との間には、発光素子グループ295毎に導光孔2971を設けた遮光部材297が配置されている。したがって、発光素子グループ295から出た光ビームは、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971を通過してレンズアレイ299へと向う。逆に言うと、発光素子グループ295から射出された光ビームのうち、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971以外に向う光ビームは、遮光部材297により遮光されることとなる。こうして、1つの発光素子グループ295から出た光は全て同一の導光孔2971を介してレンズアレイ299へ向うとともに、異なる発光素子グループ295から出た光ビーム同士の干渉が遮光部材297により防止されている。
【0063】
図9は、第1実施形態におけるレンズアレイの平面図であり、像面側(光ビームの進行方向Doa側)からレンズアレイを見た場合に相当する。なお、同図における各レンズLSはレンズアレイ基板2991の裏面2991−tに形成されており、同図はこのレンズアレイ基板裏面2991−tの構成を示している。また、同図において、発光素子グループ295が記載されているが、これは発光素子グループ295とレンズLSとの対応関係を示すためであり、レンズアレイ基板裏面2991−tに発光素子グループ295が設けられていることを示すものではない。レンズアレイ299では、発光素子グループ295毎にレンズLSが設けられている。つまり、レンズアレイ299では、幅方向LTDの異なる位置に配された3個のレンズLSを配置してレンズ列LSCが構成されるとともに、複数のレンズ列LSCが長手方向LTDに沿って並んでいる。各レンズ列LSCでは、3個のレンズが長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ互いにずらして配置されており、その結果、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは互いに異なる。
【0064】
換言すれば、レンズアレイ299では、長手方向LGDに複数のレンズLSを並べてレンズ行LSRが構成されるとともに、3行のレンズ行LSRが幅方向LTDに設けられている。また、各レンズ行LSRは長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ互いにずらして配置されており、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは互いに異なる。このように、レンズアレイ299において複数のレンズLSは2次元的に配置されている。なお、同図においては、レンズLSの位置は、レンズLSの頂点(つまり、サグが最大となる点)で代表されており、レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは、レンズLSの頂点から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0065】
そして、図9に示すように本実施形態では、各レンズ行LSRにおいて、長手方向LGDに隣接するレンズLSは相互に接続している。一方、幅方向LTDにおいて、各レンズ行LSR間には間隔(クリアランス)CLが設けられており、各レンズ行LSRは互いに離間して配置されている。
【0066】
また、図9に示すように、レンズ行LSRによってレンズLSの形状が異なっている。つまり、幅方向LTDにおいて、最上流のレンズ行LSRに属する上流レンズLS−u、および最下流のレンズ行LSRに属する下流レンズLS−dのそれぞれは、長方形に円弧を接続したような形状を有している。また、幅方向LTDにおいて真ん中のレンズ行LSRに属する中央レンズLS−mの形状は、略長方形である。また、図5に示すように、導光孔2971は、対応するレンズLSに応じた形状を有している。つまり、上流レンズLS−uに対応する導光孔2971−u、および下流レンズLS−dに対応する導光孔2971−dは、いずれも長方形に円弧を接続したような形状を有している。また、中央レンズLS−mに対応する導光孔2971−mの形状は略長方形である。
【0067】
図10は、レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図であり、レンズアレイに形成されたレンズLSの光軸を含む長手方向断面を示している。レンズアレイ299は光透過性のレンズアレイ基板2991を有している。本実施形態では、このレンズアレイ基板2991は、線膨張係数の比較的小さいガラスにより形成されている。レンズアレイ基板2991の表面2991−hおよび裏面2991−tのうち、レンズアレイ基板2991裏面2991−tにレンズLSが形成されている。このレンズアレイ299は、例えば特開2005−276849号公報等に記載の方法により形成される。つまり、レンズLSの形状に応じた凹部を有する金型が、レンズアレイ基板2991としてのガラス基板に対して当接される。金型と光透過性基板との間には、光硬化性樹脂が充填される。この光硬化性樹脂に光が照射されると、光硬化性樹脂が硬化して、光透過性基板にレンズLSが形成される。そして、光硬化性樹脂が硬化してレンズLSが形成されると、金型が離型される。このように本実施形態では、光を照射することで速やかに硬化させることができる光硬化性樹脂によりレンズLSが形成される。したがって、簡便にレンズLSを形成することができるため、レンズアレイ299の作成工程を簡素化して、レンズアレイ299のコスト低下が可能となっている。また、レンズアレイ基板2991が線膨張係数の小さいガラスにより形成されているため、温度変化によるレンズアレイ299の変形が抑制されて、温度に依らず良好な露光が実現可能となっている。
【0068】
このラインヘッド29では、このような構成を有するレンズアレイ299が2枚(299A,299B)光ビームの進行方向Doaに並べて配置されており、光の進行方向Doaに並ぶ2枚のレンズLS1,LS2が各発光素子グループ295毎に配置されることとなる(図5、図6、図10)。また、互いに同じ発光素子グループ295に対応する第1レンズLS1および第2レンズLS2それぞれのレンズ中心を通る光軸OA(図10二点鎖線)は、ヘッド基板293の裏面293−tに直交もしくは略直交している。ここで、光ビームの進行方向Doaの上流側のレンズアレイ299AのレンズLSが第1レンズLS1であり、光ビームの進行方向Doaの下流側のレンズアレイ299BのレンズLSが第2レンズLS2である。このように、本実施形態では、複数のレンズアレイ299が光ビームの進行方向Doaに並べて配置されているため、光学設計の自由度を向上させることが可能となっている。
【0069】
このように、ラインヘッド29は、第1・第2レンズLS1,LS2を有する光学系を備えている。したがって、発光素子グループ295から射出された光ビームは、第1レンズLS1および第2レンズLS2により結像されて、感光体ドラム表面(像面)にスポットSPが形成される。一方、上述のとおり、感光体ドラム表面は、スポット形成に先立って帯電部23により帯電されている。したがって、スポットSPが形成された領域は除電されて、スポット潜像Lspが形成される。そして、このように形成されたスポット潜像Lspは感光体ドラム表面に担持されながら、副走査方向SDの下流側へと搬送される。そして、次に説明するように、スポットSPは感光体ドラム表面の移動に応じたタイミングで形成されて、主走査方向MDに並ぶ複数のスポット潜像Lspが形成される。
【0070】
図11はラインヘッドにより形成されるスポットを説明するための斜視図である。なお、図11においてレンズアレイ299の記載は省略されている。図11に示すように、各発光素子グループ295は、主走査方向MDにおいて互いに異なる露光領域ERにスポットグループSGを形成可能である。ここで、スポットグループSGは、発光素子グループ295の全発光素子2951が同時発光して形成される複数のスポットSPの集合である。同図に示すように、主走査方向MDに連続する露光領域ERにスポットグループSGを形成可能である3個の発光素子グループ295は、幅方向LTDに相互にずらして配置されている。つまり、例えば、主走査方向MDに連続する露光領域ER_1,ER_2,ER3にスポットグループSG_1,SG2,SG3を形成可能である3個の発光素子グループ295_1,295_2,295_3は、幅方向LTDに相互にずらして配置されている。これら3個の発光素子グループ295は発光素子グループ列295Cを構成し、複数の発光素子グループ列295Cが長手方向LGDに沿って並ぶ。その結果、図7の説明の際にも述べたが、3行の発光素子グループ行295R_A,295R_B,295R_Cが幅方向LTDに並ぶとともに、各発光素子グループ行295R_A等は、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置にスポットグループSGを形成する。
【0071】
つまり、このラインヘッド29では、複数の発光素子グループ295(例えば、発光素子グループ295_1,295_2,295_3)は、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置されている。そして、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置された各発光素子グループ295は、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置にスポットグループSG(例えば、スポットグループSG_1,SG_2,SG_3)を形成する。
【0072】
換言すれば、このラインヘッド29では、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に複数の発光素子2951が配置されている(例えば、発光素子グループ295_1に属する発光素子2951と、発光素子グループ295_2に属する発光素子2951とは、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置されている)。そして、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置された各発光素子2951は、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置にスポットSPを形成する(例えば、スポットグループSG_1に属するスポットSPと、スポットグループSG_2に属するスポットSPとは、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置に形成される)。
【0073】
このように、発光素子2951によって副走査方向SDにおけるスポットSPの形成位置が異なる。したがって、複数のスポット潜像Lspを主走査方向MDに並べて形成するためには(つまり、複数のスポット潜像Lspを副走査方向SDにおいて同じ位置に形成するためには)、かかるスポット形成位置の違いを考慮する必要がある。そこで、このラインヘッド29では、各発光素子2951は感光体ドラム表面の移動に応じたタイミングで発光する。
【0074】
図12は、上述のラインヘッドによるスポット形成動作を示す図である。以下に、図7、図11、図12を用いてラインヘッドによるスポット形成動作を説明する。概略的には、感光体ドラム表面(潜像担持体表面)が副走査方向SDに移動するとともに、ヘッド制御モジュール54(図4)が感光体ドラム表面の移動に応じたタイミングで発光素子2951を発光させることで、主走査方向MDに並ぶ複数のスポット潜像Lspが形成される。
【0075】
まず、幅方向LTDに最上流の発光素子グループ295_1,295A4等に属する発光素子行2951R(図11)のうち、幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、レンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。なお、レンズLSは倒立特性を有し、発光素子2951からの光ビームは倒立して結像される。こうして、図12の「1回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。なお、同図において、白抜きの丸印は、未だ形成されておらず今後形成される予定のスポット潜像を表す。また、同図において、符号295_1〜295_4でラベルされたスポット潜像は、それぞれに付された符号に対応する発光素子グループ295により形成されるスポット潜像であることを示す。
【0076】
次に、同発光素子グループ295_1,295A4等に属する発光素子行2951Rのうち、幅方向LTDの上流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「2回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。ここで、幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rから順番に発光させたのは、レンズLSが倒立特性を有することに対応するためである。
【0077】
次に、幅方向上流側から2番目の発光素子グループ295_2等に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「3回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。
【0078】
次に、幅方向上流側から2番目の発光素子グループ295_2等に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの上流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「4回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。
【0079】
次に、幅方向上流側から3番目の発光素子グループ295_3等に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「5回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。
【0080】
そして最後に、幅方向上流側から3番目の発光素子グループ295_3に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの上流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「6回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。このように、1〜6回目までの発光動作を実行することで、副走査方向SDの上流側のスポットSPから順番にスポットSPが形成されて、主走査方向MDに並ぶ複数のスポット潜像Lspが形成される。
【0081】
上述してきたとおり、第1実施形態では、光透過性のレンズアレイ基板2991に複数のレンズLSが設けられている。このレンズアレイ基板2991では、複数のレンズLSを長手方向LGD(第1方向)に並べたレンズ行LSRが設けられている。そして、レンズ行LSRでは長手方向LGDに隣接するレンズLSが相互に接続している。つまり、第1実施形態では、長手方向LGDに隣接するレンズLSの間には従来技術のような間隔が設けられておらず、これら隣接するレンズLSが相互に接続されている。したがって、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0082】
ところで、上記実施形態では、発光素子2951として有機EL素子が用いられており、この有機EL素子はLED(Light Emitting Diode)等と比較して光量が少ないため、レンズLSに取り込める光量は少なくなる傾向にある。特にボトムエミッション型の有機EL素子を用いた場合、有機EL素子から射出された光ビームの一部はヘッド基板293に吸収されるため、レンズLSに取り込める光量がなおさら少なくなる。これに対して、上記実施形態では、長手方向LGDに隣接するレンズLSが相互に接続されており、多くの光をレンズLSに取り込むことが可能となっている。したがって、発光素子2951としてボトムエミッション型の有機EL素子を用いた構成においても、良好な露光が可能となっている。
【0083】
B−2.第2実施形態
図13は、第2実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図である。また、図14は、第2実施形態におけるレンズアレイの平面図であり、像面側(光ビームの進行方向Doa側)からレンズアレイを見た場合に相当する。なお、図14における各レンズLSはレンズアレイ基板2991の裏面2991−tに形成されており、同図はこのレンズアレイ基板裏面2991−tの構成を示している。また、同図において、発光素子グループ295が記載されているが、これは発光素子グループ295とレンズLSとの対応関係を示すためであり、レンズアレイ基板裏面2991−tに発光素子グループ295が設けられていることを示すものではない。以下では、第2実施形態と第1実施形態との差異点について主に説明することとし、共通部分については相当符号を付して説明を省略する。
【0084】
図14に示すように、第2実施形態においても、長手方向LGDに複数のレンズLSを並べてレンズ行LSRが構成されるとともに、3行のレンズ行LSRが幅方向LTDに設けられている。また、各レンズ行LSRは長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ互いにずらして配置されており、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは互いに異なる。また、各レンズ行LSRにおいて、長手方向LGDに隣接するレンズLSは相互に接続している。一方、第2実施形態では、第1実施形態のような間隔CLは各レンズ行間で設けられておらず、幅方向LTDに隣接するレンズ行LSRのレンズLSが相互に接続している。
【0085】
また、図14に示すように、第2実施形態においても、レンズ行LSRによってレンズLSの形状が異なっている。つまり、幅方向LTDにおいて、最上流のレンズ行LSRに属する上流レンズLS−u、および最下流のレンズ行LSRに属する下流レンズLS−dのそれぞれは、五角形(ホームベース状の五角形)に円弧を接続したような形状を有している。また、幅方向LTDにおいて真ん中のレンズ行LSRに属する中央レンズLS−mの形状は、略六角形である。また、図13に示すように、導光孔2971は、対応するレンズLSに応じた形状を有している。つまり、上流レンズLS−uに対応する導光孔2971−u、および下流レンズLS−dに対応する導光孔2971−dは、いずれもホームベース状の五角形に円弧を接続したような形状を有している。また、中央レンズLS−mに対応する導光孔2971−mの形状は略六角形である。
【0086】
このように、第2実施形態においても、レンズ行LSRでは長手方向LGD(第1方向)に隣接するレンズLSが相互に接続している。つまり、長手方向LGDに隣接するレンズLSの間には従来技術のような間隔が設けられておらず、これら隣接するレンズLSが相互に接続されている。したがって、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0087】
また、第2実施形態では、レンズアレイ基板2991では幅方向LTD(第2方向)に複数のレンズ行LSRが配されており、幅方向LTDに隣接するレンズ行LSRのレンズLSが相互に接続している。つまり、第2実施形態では、長手方向LGDのみならず幅方向LTDにおいてもレンズLSが接続している。したがって、より多くの光をレンズLSに入射させることができ、より良好な露光が可能となっている。
【0088】
B−3.第3実施形態
ところで、図14に示した構成では、レンズLS−u(第1のレンズ、第2のレンズ)と、レンズLS−m(第3のレンズ)とが相互に接続されており、レンズLS−uとレンズLS-mとの間隔を広げること無く、多くの光量をレンズに取り込むことができる。また、レンズLS−m(第1のレンズ、第2のレンズ)と、レンズLS−d(第3のレンズ)とが相互に接続されており、レンズLS−mとレンズLS-dとの間隔を広げること無く、多くの光量をレンズに取り込むことができる。換言すれば、図14の構成は、レンズアレイ299の幅方向LTD(第2の方向)への幅を抑制することが可能な構成である。その結果、ヘッド基板293で各レンズLSに対応して発光素子2951が配置される領域も、幅方向LTDにおいて省スペース化することが可能となる。したがって、発光素子2951が配置されるヘッド基板293では、幅方向LTDの両側にスペースを空けることができる。そこで、この空いたスペースに発光素子を駆動する駆動回路を配置すると良い。具体的には次のとおりである。
【0089】
図15は第3実施形態のヘッド基板の構成を示す平面図である。同図が示すように、ヘッド基板293の幅方向LTDの両側に空いたスペースに、TFTで構成された駆動回路DCが配置されている。この駆動回路DCは、配線WLにより発光素子2951に接続されており、各発光素子2951に駆動信号を与える。このように、ヘッド基板293の幅方向LTDの両側に空いたスペースに駆動回路DCを配置することで、駆動回路DCを発光素子2951の比較的近くに配置することができる。よって、配線WLを短くすることができ、配線WLの浮遊容量に起因した鈍りの少ない駆動信号を発光素子2951に供給して、良好な露光動作を実行することができる。
【0090】
B−4.第4実施形態
図16は、第4実施形態にかかるレンズアレイの構成を示す平面図である。このレンズアレイ299は、ガラスを基材とするレンズアレイ基板2991(光透過性基板)を備える。このレンズアレイ基板2991は、長手方向LGDに長さW1を有し、幅方向LTDに幅W2(長さW2)を有する。また、長さW1>幅W2となっており、レンズアレイ基板2991は長手方向LGDに長尺である。レンズアレイ基板2991の表面2991−hには、複数のレンズLSが2次元的に配置されている。各レンズ行LSRで長手方向LGDに間隔pで隣接するレンズLSが長手方向LGDで互いに接続されている。また、同図では、レンズアレイ基板表面2991−hのうち、レンズLSが形成されていない平らな領域が平坦領域Ap(第1の領域)として示されている。
【0091】
また、図16では、レンズアレイ基板表面2991−hでの位置を示すためにx−y座標(x、y)が示されている。x軸は長手方向LGDに平行もしくは略平行な座標軸であり、y軸は幅方向LTDに平行もしくは略平行な座標軸であり、x軸とy軸とは互いに直交する。また、このx−y座標では、同図左上のレンズLS11の頂点Lt11(をx−y平面に投影した位置)を原点としている。なお、レンズLSの頂点Ltは、平坦領域ApからのレンズLSの高さが最高となる位置である。このように、xは頂点Lt11を原点とする長手方向LGDの位置を示し、yは頂点Lt11を原点とする幅方向LTDの位置を示している。そして、各レンズLSのレンズ面は、次のように構成されている。
【0092】
図17は、レンズのレンズ面の構成を示す図であり、同図の「平面図」は光ビームの進行方向Doaから平面視した場合に相当し、同図の「断面図」はレンズLSの頂点Ltを含む長手方向LGD断面図である。同図では、長手方向LGDに隣接する2つのレンズLSの関係を示すために、レンズLS11とレンズLSとが代表して示されている。以下、必要に応じて、レンズLS11を「第1のレンズ」と称し、レンズLS12を「第2のレンズ」と称することとする。
【0093】
同図の「断面図」に示す符号hは、各レンズLSのレンズ面において、平坦領域Apからの高さが最高となる位置(頂点Lt)の当該平坦領域Apからの高さを示している。つまり、符号hは各レンズLSのレンズ頂点Ltの平坦領域Ap(換言すれば、レンズアレイ基板表面2991−h)からの高さであり、各レンズLSは同じ高さhを有している。また、関数f(x、y)は、座標(x、y)のレンズ面から、レンズLSの頂点Lt(第1の位置)までの高さである。そして、この実施形態では、次式、
f(p/2、0)<h
が満たされている。つまり、第1のレンズLS11と第2のレンズLS12とは長手方向LGDに相互に接続しており、第1のレンズLS11と第2のレンズLS12との境界BDは平坦領域Apから高さΔ(=h−f(p/2、0)>0)を有している。
【0094】
このように本実施形態においても、長手方向LGDにおいて隣接するレンズLSが相互に接続している。したがって、レンズLSの間隔pを広げること無く、より多くの光をレンズLSに取り込むことが可能となっている。これについて詳述すると次のとおりである。
【0095】
図18は、本発明の効果の説明図である。同図の「未接続」の欄は、長手方向LGDにおいて隣接するレンズLSが接続されていない場合に相当し、同図の「接続」の欄は、長手方向LGDにおいてレンズLSが接続されている場合(つまり、本発明を適用した場合)に相当する。また、同図の二点鎖線円で囲まれた領域はレンズLSの有効領域LSeを示し、同図の実線円はレンズLSのレンズ外周LScを示している。一般に、レンズ外周LSc近傍のレンズ面は面精度の保証ができない。そこで、レンズ外周LScとレンズLSの有効領域LSeとの間には余裕dを設ける必要がある。そして、「未接続」の欄に示すように、長手方向LGDに隣接するレンズLSを接続しない場合は、レンズ外周LScの全周にわたって余裕dを設ける必要がある。これに対して、「接続」の欄に示すように、長手方向LGDに隣接するレンズLSを相互に接続することにより、長手方向LGDには余裕dを設ける必要がなくなる。その結果、レンズ間隔pを変えること無く、レンズ有効領域LSeを拡大することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態のように、相互に接続されるレンズLSの境界BDが高さΔを有する構成は、次のような利点を有する。つまり、上述した金型を用いてレンズアレイ299を作成する場合、金型とレンズアレイ基板2991との間に、レンズLSの基材である光硬化性樹脂を充填する。この際、精度の高い面形状を有するレンズLSを形成するためには、レンズアレイ基板2991の略全体に渡って光硬化性樹脂を行き渡らせることが望ましく、そのためには、光硬化性樹脂の流動性の確保が重要となる。これに対して、本実施形態では、境界BDが高さΔを有するため、金型も境界BDに対応する部分に所定の高さを有することとなる。したがって、この境界BDに対応する部分を介して光硬化性樹脂を流動させることができ、その結果、高精度な面形状を有するレンズLSを形成することが可能となっている。
【0097】
さらに、本実施形態では、レンズLSの間隔pを広げる必要がなく、換言すればレンズの間隔pを短く抑えることができる。その結果、本実施形態は次のような効果を奏することができる。図19は本発明のさらなる効果の説明図である。上述のとおり、ラインヘッド29の長手方向LGDは感光体ドラム21の軸方向(つまり、主走査方向MD)に平行となるように、ラインヘッド29は配置される。しかしながら、場合によっては、ラインヘッド29の長手方向LGDが主走査方向MDに対してスキューした取り付けられることがある。その結果、図19に示すように、第1のレンズLS11が形成する複数のスポット潜像Lspと、第2のレンズLS12が形成する複数のスポット潜像Lspとの間に、副走査方向SDに段差gが発生してしまう。なお、図19では、図12での表記に対応して、第1のレンズLS11によるスポット潜像に符号295_1を付するとともに、第2のレンズLS12によるスポット潜像に符号295_4を付している。このようにスキューの発生により段差gが発生するものの、本実施形態では、レンズLSの間隔pが短く抑えられているため、この段差gを比較的小さく抑えることができる。その結果、スキューの発生に依らず、良好な露光動作を実行することが可能となっている。
【0098】
C.その他
このように上記実施形態では、長手方向LGDおよび主走査方向MDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDおよび副走査方向SDが本発明の「第2の方向」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当している。また、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当している。
【0099】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、発光素子グループ295は、2個の発光素子行2951Rから構成されている。しかしながら、発光素子グループ295を構成する発光素子行2951Rの個数は2個に限られず、例えば1個であっても良い。また、上記実施形態では、発光素子行2951Rは4個の発光素子2951から構成されている。しかしながら、発光素子行2951Rを構成する発光素子2951の個数は4個に限られない。したがって、次に示すように、発光素子グループ295を構成することもできる。
【0100】
図20は、発光素子グループの別の構成を示す平面図である。また、図21は、図20の発光素子グループを複数配したヘッド基板の裏面の構成を示す図であり、ヘッド基板の表面から裏面を見た場合に相当する。図20に示す別の構成では、長手方向LGDに15個の発光素子2951が並んで発光素子行2951Rが構成されている。この発光素子行2951Rにおいて、各発光素子2951は素子ピッチPel(=0.021[mm])の4倍のピッチ(=0.084[mm])で並んでいる。そして、このように構成された発光素子行2951Rが4個(2951R−1,2951R−2,2951R−3,2951R−4)幅方向LTDに並んでいる。幅方向LTDにおいて、発光素子行2951R−4と発光素子行2951R−1との間のピッチは0.1155[mm]であり、発光素子行2951R−4と発光素子行2951R−2との間のピッチは0.084[mm]であり、発光素子行2951R−4と発光素子行2951R−3との間のピッチは0.0315[mm]である。また、発光素子グループ295の中心(重心)を通って幅方向LTDに平行な直線を中心線CTLとしたとき、発光素子行2951R−1および発光素子行2951R−4それぞれと、中心線CTLとのピッチは0.05775[mm]である。
【0101】
また、図20において、中心線CTLより上側の2行2951R−1,2951R−2で1つの発光素子行組2951RTが構成されるとともに、中心線CTLより下側の2行2951R−3,2951R−4で1つの発光素子行組2951RTが構成されている。発光素子行組2951RTそれぞれでは、2つの発光素子行2951Rが長手方向LGDに素子ピッチPel(=0.021[mm])の2倍(=0.042[mm])だけ相互にずれている。しかも、2つの発光素子行組2951RTは、長手方向LGDに素子ピッチPel(=0.021[mm])だけ相互にずれている。したがって、4個の発光素子行2951Rは、長手方向LGDに素子ピッチPel(=0.021[mm])だけ相互にずれることとなり、その結果、長手方向LGDにおいて各発光素子2951の位置は異なっている。ここで、発光素子グループ295の長手方向LGDにおける両端に位置する発光素子2951を端部発光素子2951xとすると、長手方向LGDにおける端部発光素子2951x間のピッチは1.239[mm]であり、長手方向LGDにおける端部発光素子2951xと発光素子グループ295中心とのピッチは0.6195[mm]となる。
【0102】
図21に示す例では、図20に示した発光素子グループ295が2次元的に配置されている。図21に示すように、長手方向LGDに複数の発光素子グループ295が並んで発光素子グループ行295Rが構成されている。この発光素子グループ行295Rにおいて、各発光素子グループ295は発光素子グループピッチPegの3倍のピッチ(=1.778[mm])で並んでいる。そして、このように構成された発光素子グループ行295Rが3個(295R−1,295R−2,295R−3)幅方向LTDに、発光素子グループ行ピッチPegr(=1.77[mm])で並んでいる。また、各発光素子グループ行295Rは長手方向LGDにおいて発光素子グループピッチPeg(約0.593[mm])だけ相互にずれている。つまり、発光素子グループ行295R−1と発光素子グループ行295R−2とは、長手方向LGDに0.59275[mm]だけずれており、発光素子グループ行295R−2と発光素子グループ行295R−3とは、長手方向LGDに0.5925[mm]だけずれており、発光素子グループ行295R−3と発光素子グループ行295R−1とは、長手方向LGDに0.59275[mm]だけずれている。したがって、発光素子グループ行295R−1と発光素子グループ行295R−3とは、長手方向LGDに1.18525[mm]だけずれている。
【0103】
また、上記実施形態では、レンズアレイ299は、レンズアレイ基板の裏面2991−tにレンズLSを形成して構成されている。しかしながら、レンズアレイの構成態様はこれに限られない。つまり、レンズアレイ基板の表面2991−hにレンズLSを形成してレンズアレイ299を構成しても良く、あるいは、レンズアレイ基板の両面2991−t,2991−hにレンズLSを形成してレンズアレイ299を構成しても良い。
【0104】
また、上記実施形態では、3個のレンズ行LSRが幅方向LTDに並んでいる。しかしながら、レンズ行LSRの個数は3個に限られず、例えば1個であっても良い。
【0105】
また、上記実施形態では、2枚のレンズアレイ299が用いられているが、レンズアレイ299の枚数はこれに限られない。
【0106】
また、上記実施形態では、発光素子2951として有機EL素子が用いられている。しかしながら、有機EL素子以外のものを発光素子2951として用いても良く、例えば、LED(Light Emitting Diode)を発光素子2951として用いても良い。
【実施例】
【0107】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0108】
図22は実施例における光学系を示す図であり、主走査方向MDにおける断面を示している。この実施例では、光ビームの進行方向Doaにおいて第1レンズLS1の手前に絞りDIAが設けられており、絞りDIAにより絞られた光ビームが第1レンズLS1に入射する。同図では、光軸OA上の物点OB0から出て像点IM0に結像する光ビームの光路と、光軸OAとは異なる物点OB1から出て像点IM1に結像する光ビームの光路とが示されている。絞りDIA以外の構成は、第1実施形態等で示したのと略同様であり、図5、図9等に示したA−A線方向において、3つのレンズLS−u,LS−m,LS−dが並んでレンズ列を構成するように、各レンズLSを含む光学系が並んでいる。
【0109】
図23は、実施例1におけるラインヘッドおよび感光体ドラムのA−A線部分断面図である。同図が示すように、発光素子グループ295、絞りDIA、およびレンズアレイ299A,299Bで構成されるラインヘッドは、感光体ドラム21に対向配置されている。この感光体ドラム21は回転軸CC21を中心とした略円筒形状を有しており、感光体ドラム表面は有限の曲率を有している。ここで、この感光体表面の形状を特に「曲率形状」と称することとする。
【0110】
この実施例では、各光学系は図23における左右方向に等ピッチで並んでいるとともに、中央レンズLS−mを含む光学系の光軸OAは感光体ドラム21の回転軸CC21を通る。したがって、各光学系による光ビームの結像位置を感光体ドラム表面に略一致させるためには、光ビームの進行方向Doa(光軸OA方向)における結像位置を光学系毎に調整する必要がある。図23に示す例では、上流レンズLS−uを含む光学系と下流レンズLS−dを含む光学系との間では、光ビームの進行方向Doaにおける結像位置FPは互いに等しい。一方、上流レンズLS−u(または下流レンズLS−d)を含む光学系との間では、光ビームの進行方向Doaにおける結像位置は距離ΔFPだけ異なる。そこで、以下のデータに示すように、この実施例では、レンズLS−u,LS−dを含む光学系と、レンズLS−mを含む光学系との間で、構成が異なる。
【0111】
図24は実施例における光学系諸元を表す図である。同図に示すように、発光素子から射出される光ビームの波長は690[nm]である。また、感光体の直径は40[mm]である。図25は、中央レンズを含む光学系のデータを示す図である。同図が示すように、中央レンズLS−mを含む光学系では、第1レンズLS1のレンズ面(面番号S4)および第2レンズLS2のレンズ面(面番号S7)は何れも自由曲面(XY多項式面)である。図26はXY多項式面の定義式を示す図であり、第1レンズLS1のレンズ面形状は同定義式と図27に示す係数で与えられ、第2レンズLS2のレンズ面形状は同定義式と図28に示す係数で与えられる。ここで、図27は中央レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図であり、図28は中央レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図である。
【0112】
図29は、上流レンズ、下流レンズを含む光学系のデータを示す図である。同図が示すように、上流レンズLS−u,下流レンズLS−dを含む光学系においても、第1レンズLS1のレンズ面(面番号S4)および第2レンズLS2のレンズ面(面番号S7)は何れも自由曲面(XY多項式面)である。第1レンズLS1のレンズ面形状は図26の定義式と図30に示す係数で与えられ、第2レンズLS2のレンズ面形状は同定義式と図31に示す係数で与えられる。ここで、図30は上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図であり、図31は上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図である。
【0113】
このように上記実施例では、レンズアレイ299のレンズLSは自由曲面レンズである。ここで、自由曲面レンズとはレンズ面が自由曲面であるレンズである。したがって、レンズの結像特性が向上して、より良好な露光が実現可能となるっている。
【0114】
なお、この実施例では、幅方向LTDにおいては各レンズLSは接続されておらず、つまり、レンズLS−u、LS−m、LS−dは接続されていない。しかしながら、各レンズLS−u、LS−m、LS−dを幅方向LTDに相互に接続しても良い。これにより、各レンズLS−u、LS−m、LS−dの幅方向LTDの間隔を広げること無く、多くの光量をレンズLS−u、LS−m、LS−dに取り込むことができる。換言すれば、レンズアレイ299の幅方向LTDへの幅を抑制することが可能となり、その結果、ラインヘッド29の幅を小型化して、感光体ドラム21の周りにスペースを空けることができる。したがって、この空きスペースに他の機能部を集約して配置することができ、画像形成装置の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本明細書で用いる用語の説明図。
【図2】本明細書で用いる用語の説明図。
【図3】本発明にかかる画像形成装置の一例を示す図。
【図4】図3の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図5】第1実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図6】図5に示したラインヘッドのA−A線部分断面図。
【図7】ヘッド基板の裏面の構成を示す図。
【図8】ヘッド基板裏面に設けられた発光素子グループの構成を示す図。
【図9】第1実施形態におけるレンズアレイの平面図。
【図10】レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図。
【図11】ラインヘッドにより形成されるスポットを説明するための斜視図。
【図12】上述のラインヘッドによるスポット形成動作を示す図。
【図13】第2実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図14】第2実施形態におけるレンズアレイの平面図。
【図15】第3実施形態のヘッド基板の構成を示す平面図。
【図16】第4実施形態にかかるレンズアレイの構成を示す平面図。
【図17】レンズのレンズ面の構成を示す図。
【図18】本発明の効果の説明図。
【図19】本発明のさらなる効果の説明図。
【図20】発光素子グループの別の構成を示す平面図。
【図21】図20の発光素子グループを複数配したヘッド基板裏面を示す図。
【図22】実施例における光学系を示す図。
【図23】実施例1におけるラインヘッド等のA−A線部分断面図。
【図24】実施例における光学系諸元を表す図。
【図25】中央レンズを含む光学系のデータを示す図。
【図26】XY多項式面の定義式を示す図。
【図27】中央レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図。
【図28】中央レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図。
【図29】上流レンズ、下流レンズを含む光学系のデータを示す図。
【図30】上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図。
【図31】上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図。
【符号の説明】
【0116】
21Y、21K…感光体ドラム(潜像担持体)、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 295…発光素子グループ、 2951…発光素子、 299,299A,299B…レンズアレイ、 2991…レンズアレイ基板、 LS,LS1,LS2…レンズ、 SP…スポット、 Lsp…スポット潜像、 MD…主走査方向(第1方向), SD…副走査方向(第2方向)、 LGD…長手方向(第1方向)、 LTD…幅方向(第2方向)
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のレンズを配したレンズアレイを用いた露光ヘッドおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなレンズアレイとしては、例えば特許文献1の図2等に記載されているように、長手方向に所定のピッチで複数のレンズを並べたものが知られている。このレンズアレイでは、長手方向に隣接するレンズは互いに所定間隔を空けて並んでおり、各レンズは入射してきた光を結像する。そして、各レンズが結像した光により感光体ドラム等の潜像担持体が露光されて、潜像が形成される。
【0003】
【特許文献1】特開平6−278314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、露光を良好に行なうとの観点からは、レンズに入射する光の量は多いことが好適である。そこで、例えば、レンズの直径を大きくすることが考えられる。しかしながら、長手方向(第1方向)に各レンズ間が所定間隔を空けて並ぶ上記構成においてレンズの直径を大きくした場合、長手方向(第1方向)におけるレンズピッチが大きくなってしまい、所望の解像度が得られない可能性があった。つまり、従来の技術では、レンズへの入射光量を多くしたのと引き換えに、解像度が低下してしまう場合があった。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込んで良好な露光を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1の方向の長さがW1であるとともに第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、光透過性基板に配設された第1のレンズ、および光透過性基板に第1のレンズの第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、第1のレンズに光を発光する第1の発光素子、および第2のレンズに光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、を備え、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向で接続していることを特徴としている。
【0007】
このように構成された露光ヘッドでは、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向で接続している。したがって、第1のレンズおよび第2のレンズの第1の方向への間隔を広げること無く、より多くの光を第1のレンズおよび第2のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0008】
また、レンズアレイは、光透過性基板に第1のレンズの第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、第3のレンズおよび第1のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第1のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0009】
さらには、第3のレンズおよび第2のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第2のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0010】
このように、第1のレンズまたは第2のレンズとこれらのレンズの第2方向側に配された第3のレンズとを接続した構成では、第1のレンズまたは第2のレンズと第3のレンズとの間隔を広げることなく、多くの光量をレンズに取り込むことができる。換言すれば、レンズアレイの第2方向への幅を抑制することが可能な構成である。その結果、各レンズに対応して発光素子が配置される領域も、第2の方向において比較的省スペース化することが可能となる。したがって、発光素子が配置されるヘッド基板では、第2の方向の両側にスペースを空けることができる。そこで、この空いたスペースに発光素子を駆動する駆動回路を配設すると良い。つまり、ヘッド基板は、第1の発光素子および第2の発光素子の第2の方向側に第1の発光素子および第2の発光素子を駆動する駆動回路を有するように構成すると良い。このさい、駆動回路はTFTにより構成することができる。
【0011】
また、発光素子が有機EL素子である構成に対しては、本発明を適用することが特に好適である。つまり、発光素子として有機EL素子を用いた場合、LED等を用いた場合と比較して発光素子の光量が少ない。特に、ボトムエミッション型の有機EL素子を発光素子として用いた場合はなおさらである。そこで、このような構成に対しては本発明を適用して、レンズに多くの光を取り込むことが好適である。
【0012】
また、レンズアレイ基板はガラスにより形成されても良い。つまり、ガラスは線膨張係数が比較的小さい。したがって、レンズアレイ基板をガラスにより形成することで、温度変化によるレンズアレイの変形を抑制することができ、温度に依らず良好な露光が実現可能となる。
【0013】
また、レンズは光硬化性樹脂により形成されても良い。つまり、光硬化性樹脂は光を照射することで硬化する。したがって、この光硬化性樹脂によりレンズを形成することで、簡便にレンズアレイを製造することができるため、レンズアレイのコストを抑制することが可能となる。
【0014】
また、レンズは自由曲面レンズであるように構成しても良い。なぜなら、自由曲面レンズを採用することで、レンズの結像特性が向上して、より良好な露光が実現可能となるからである。
【0015】
また、この発明の別態様にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1の方向の長さがW1であるとともに第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、光透過性基板に配設された第1のレンズ、および光透過性基板に第1のレンズの第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、第1のレンズにより結像される光を発光する発光素子と、第2のレンズにより結像される光を発光する発光素子とを備え、第1のレンズの頂点の位置を第1の位置としたとき、x:第1の位置を原点とする第1の方向の位置、y:第1の位置を原点とする第2の方向の位置、h:第1の位置での光透過性基板から第1のレンズの頂点までの高さ、f(x、y):座標(x、y)での第1のレンズまたは第2のレンズのレンズ面から第1の位置までの高さ、p:第1のレンズと第2のレンズの第1の方向への間隔が、次式、
f(p/2、0)<h
の関係を有することを特徴としている。
【0016】
このように構成された露光ヘッドでは、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向に接続することとなる。したがって、第1のレンズおよび第2のレンズの第1の方向への間隔を広げること無く、より多くの光を第1のレンズおよび第2のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0017】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、潜像担持体と、潜像担持体を露光する露光ヘッドとを備え、露光ヘッドは、第1の方向の長さがW1であるとともに第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、光透過性基板に配設された第1のレンズ、および光透過性基板に第1のレンズの第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、第1のレンズにより潜像担持体に結像される光を発光する第1の発光素子、および第2のレンズにより潜像担持体に結像される光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、を有し、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向に接続していることを特徴としている。
【0018】
このように構成された画像形成装置では、第1のレンズおよび第2のレンズが第1の方向に接続している。したがって、第1のレンズおよび第2のレンズの第1の方向への間隔を広げること無く、より多くの光を第1のレンズおよび第2のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0019】
また、潜像担持体は感光体ドラムである構成では、感光体ドラムが円筒形状を有しているため、第1レンズおよび第3のレンズの形状を同じにすると、レンズによっては結像位置が感光体ドラムの表面からずれてしまう場合がある。その結果、良好な露光が実行できない場合がある。そこで、レンズアレイは、光透過性基板に第1のレンズの第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、ヘッド基板は、第3のレンズにより潜像担持体に結像される光を発光する第3の発光素子を有し、第1のレンズで結像された第1の発光素子からの光の結像位置および第3のレンズで結像された第3の発光素子からの光の結像位置が感光体ドラムの形状に応じた位置となるように、第1のレンズおよび第3のレンズの形状を構成しても良い。
【0020】
また、第3のレンズおよび第1のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第1のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0021】
さらには、第3のレンズおよび第2のレンズが接続しているように構成しても良い。このように構成することで、第3のレンズおよび第2のレンズの間隔を広げること無く、より多くの光を第3のレンズおよび第1のレンズに取り込むことができ、良好な露光が可能となる。
【0022】
このように、第1のレンズまたは第2のレンズとこれらのレンズの第2方向側に配された第3のレンズとを接続した構成では、第1のレンズまたは第2のレンズと第3のレンズとの間隔を広げることなく、多くの光量をレンズに取り込むことができる。換言すれば、レンズアレイの第2方向への幅を抑制することが可能な構成である。したがって、露光ヘッドの幅を小型化して、潜像担持体の周りにスペースを空けることができる。その結果、この空きスペースに他の機能部を配置することができ、画像形成装置の小型化を図ることが可能となる。
【0023】
また、この発明にかかるレンズアレイは、上記目的を達成するために、光透過性のレンズアレイ基板を有し、レンズアレイ基板では複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられており、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続していることを特徴としている。
【0024】
また、この発明にかかるラインヘッドは、上記目的を達成するために、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループを複数配したヘッド基板と、光透過性のレンズアレイ基板に対してレンズが発光素子グループ毎に配されているレンズアレイとを備え、レンズアレイ基板では複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられており、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続していることを特徴としている。
【0025】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループを複数配したヘッド基板と、光透過性のレンズアレイ基板に対してレンズが発光素子グループ毎に配されているレンズアレイとを有するラインヘッドと、ラインヘッドにより露光されて潜像が形成される潜像担持体とを備え、レンズアレイ基板では複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられており、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続していることを特徴としている。
【0026】
このように構成された発明(レンズアレイ、ラインヘッド、画像形成装置)では、光透過性のレンズアレイ基板に複数のレンズが設けられている。このレンズアレイ基板では、複数のレンズを第1方向に並べたレンズ行が設けられている。そして、レンズ行では第1方向に隣接するレンズが相互に接続している。つまり、この発明では、第1方向に隣接するレンズの間には従来技術のような間隔が設けられておらず、これら隣接するレンズが相互に接続されている。したがって、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0027】
また、レンズアレイ基板では第1方向に直交もしくは略直交する第2方向に複数のレンズ行が配されており、第2方向に隣接するレンズ行のレンズが相互に接続しているように構成しても良い。このように、第2方向においてもレンズが接続することで、より多くの光をレンズに入射させることができ、より良好な露光が可能となるからである。
【0028】
また、レンズアレイ基板はガラスにより形成されても良い。つまり、ガラスは線膨張係数が比較的小さい。したがって、レンズアレイ基板をガラスにより形成することで、温度変化によるレンズアレイの変形を抑制することができ、温度に依らず良好な露光が実現可能となる。
【0029】
また、レンズは光硬化性樹脂により形成されても良い。つまり、光硬化性樹脂は光を照射することで硬化する。したがって、この光硬化性樹脂によりレンズを形成することで、簡便にレンズアレイを製造することができるため、レンズアレイのコストを抑制することが可能となる。
【0030】
また、レンズは自由曲面レンズであるように構成しても良い。なぜなら、自由曲面レンズを採用することで、レンズの結像特性が向上して、より良好な露光が実現可能となるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下では、最初に本明細書で用いる用語について説明する(「A.用語の説明」の項参照)。この用語の説明に続いて、本発明の実施形態について説明する(「B.第1実施形態」、「C.第2実施形態」の項等参照)。
【0032】
A.用語の説明
図1および図2は、本明細書で用いる用語の説明図である。ここで、これらの図を用いて本明細書において用いる用語について整理する。本明細書では、感光体ドラム21の表面(像面IP)の搬送方向を副走査方向SDと定義し、該副走査方向SDに直交あるいは略直交する方向を主走査方向MDと定義している。また、ラインヘッド29は、その長手方向LGDが主走査方向MDに対応し、その幅方向LTDが副走査方向SDに対応するように、感光体ドラム21の表面(像面IP)に対して配置されている。
【0033】
レンズアレイ299が有する複数のレンズLSに一対一の対応関係でヘッド基板293に配置された、複数(図1および図2においては8個)の発光素子2951の集合を、発光素子グループ295と定義する。つまり、ヘッド基板293において、複数の発光素子2951からなる発光素子グループ295は、複数のレンズLSのそれぞれに対して配置されている。また、発光素子グループ295からの光ビームが該発光素子グループ295に対応するレンズLSにより結像されて、像面IPに形成される複数のスポットSPの集合を、スポットグループSGと定義する。つまり、複数の発光素子グループ295に一対一で対応して、複数のスポットグループSGを形成することができる。また、各スポットグループSGにおいて、主走査方向MDおよび副走査方向SDに最上流のスポットを、特に第1のスポットと定義する。そして、第1のスポットに対応する発光素子2951を、特に第1の発光素子と定義する。
【0034】
また、図2の「像面上」の欄に示すように、スポットグループ行SGR、スポットグループ列SGCを定義する。つまり、主走査方向MDに並ぶ複数のスポットグループSGをスポットグループ行SGRと定義する。そして、複数行のスポットグループ行SGRは、所定のスポットグループ行ピッチPsgrで副走査方向SDに並んで配置される。また、副走査方向SDにスポットグループ行ピッチPsgrで且つ主走査方向MDにスポットグループピッチPsgで並ぶ複数(同図においては3個)のスポットグループSGをスポットグループ列SGCと定義する。なお、スポットグループ行ピッチPsgrは、副走査方向SDに互いに隣接する2つのスポットグループ行SGRそれぞれの幾何重心の、副走査方向SDにおける距離である。また、スポットグループピッチPsgは、主走査方向MDに互いに隣接する2つのスポットグループSGそれぞれの幾何重心の、主走査方向MDにおける距離である。
【0035】
同図の「レンズアレイ」の欄に示すように、レンズ行LSR、レンズ列LSCを定義する。つまり、長手方向LGDに並ぶ複数のレンズLSをレンズ行LSRと定義する。そして、複数行のレンズ行LSRは、所定のレンズ行ピッチPlsrで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDにレンズ行ピッチPlsrで且つ長手方向LGDにレンズピッチPlsで並ぶ複数(同図においては3個)のレンズLSをレンズ列LSCと定義する。なお、レンズ行ピッチPlsrは、幅方向LTDに互いに隣接する2つのレンズ行LSRそれぞれの幾何重心の、幅方向LTDにおける距離である。また、レンズピッチPlsは、長手方向LGDに互いに隣接する2つのレンズLSそれぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0036】
同図の「ヘッド基板」の欄に示すように、発光素子グループ行295R、発光素子グループ列295Cを定義する。つまり、長手方向LGDに並ぶ複数の発光素子グループ295を発光素子グループ行295Rと定義する。そして、複数行の発光素子グループ行295Rは、所定の発光素子グループ行ピッチPegrで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDに発光素子グループ行ピッチPegrで且つ長手方向LGDに発光素子グループピッチPegで並ぶ複数(同図においては3個)の発光素子グループ295を発光素子グループ列295Cと定義する。なお、発光素子グループ行ピッチPegrは、幅方向LTDに互いに隣接する2つの発光素子グループ行295Rそれぞれの幾何重心の、幅方向LTDにおける距離である。また、発光素子グループピッチPegは、長手方向LGDに互いに隣接する2つの発光素子グループ295それぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0037】
同図の「発光素子グループ」の欄に示すように、発光素子行2951R、発光素子列2951Cを定義する。つまり、各発光素子グループ295において、長手方向LGDに並ぶ複数の発光素子2951を発光素子行2951Rと定義する。そして、複数行の発光素子行2951Rは、所定の発光素子行ピッチPelrで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDに発光素子行ピッチPelrで且つ長手方向LGDに発光素子ピッチPelで並ぶ複数(同図においては2個)の発光素子2951を発光素子列2951Cと定義する。なお、発光素子行ピッチPelrは、幅方向LTDに互いに隣接する2つの発光素子行2951Rそれぞれの幾何重心の、幅方向LTDにおける距離である。また、発光素子ピッチPelは、長手方向LGDに互いに隣接する2つの発光素子2951それぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0038】
同図の「スポットグループ」の欄に示すように、スポット行SPR、スポット列SPCを定義する。つまり、各スポットグループSGにおいて、長手方向LGDに並ぶ複数のスポットSPをスポット行SPRと定義する。そして、複数行のスポット行SPRは、所定のスポット行ピッチPsprで幅方向LTDに並んで配置される。また、幅方向LTDにスポットピッチPsprで且つ長手方向LGDにスポットピッチPspで並ぶ複数(同図においては2個)のスポットをスポット列SPCと定義する。なお、スポット行ピッチPsprは、副走査方向SDに互いに隣接する2つのスポット行SPRそれぞれの幾何重心の、副走査方向SDにおける距離である。また、スポットピッチPspは、主走査方向MDに互いに隣接する2つのスポットSPそれぞれの幾何重心の、長手方向LGDにおける距離である。
【0039】
B−1.第1実施形態
図3は本発明の適用対象であるラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図である。また、図4は図3の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図3は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0040】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図3においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0041】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラムは、軸方向が主走査方向MDに略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図3において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0042】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0043】
ラインヘッド29は、その長手方向が主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向が副走査方向SDに対応するように、感光体ドラム21に対して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDと略平行となっている。ラインヘッド29は、長手方向に並べて配置された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光が照射されて、該表面に静電潜像が形成される。
【0044】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0045】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0046】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0047】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図3において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図3に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0048】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0049】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0050】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0051】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0052】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0053】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。したがって、次に説明するようにブレード対向ローラ83が移動する場合は、ブレード対向ローラ83と一緒にクリーナブレード711及び廃トナーボックス713も移動することとなる。
【0054】
図5は、第1実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図である。また、図6は、図5に示したラインヘッドのA−A線部分断面図である。なお、A−A線は後述するレンズ列を構成する各レンズの光軸を含む線であり、図6はA−A線を含みレンズの光軸に平行な断面である。上述した通り、その長手方向LGDが主走査方向MDに対応するとともに、その幅方向LTDが副走査方向SDに対応するように、ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して配置されている。なお、長手方向LGDと幅方向LTDは、互いに直交もしくは略直交している。後述するように、このラインヘッド29では、ヘッド基板293に複数の発光素子が形成されており、各発光素子は感光体ドラム21の表面に向けて光ビームを射出する。そこで、本明細書では、長手方向LGDおよび幅方向LTDに直交する方向であって、発光素子から感光体ドラム表面に向う方向を、光ビームの進行方向Doaとする。この光ビームの進行方向Doaは、後述する光軸OAと平行もしくは略平行である。
【0055】
ラインヘッド29は、ケース291を備えるとともに、かかるケース291の長手方向LGDの両端には、位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そして更に、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
【0056】
ケース291の内部には、ヘッド基板293、遮光部材297、および2枚のレンズアレイ299(299A,299B)が配置されている。ヘッド基板293の表面293−hにはケース291の内部が当接する一方、ヘッド基板293の裏面293−tには裏蓋2913が当接している。この裏蓋2913は、固定器具2914によりヘッド基板293を介してケース291内部に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291内部側(図6における上側)に押圧する弾性力を有しており、かかる弾性力により裏蓋が押圧されることで、ケース291の内部が光密に(換言すれば、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉される。なお、固定器具2914は、ケース291の長手方向LGDに複数箇所設けられている。
【0057】
ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループ295が設けられている。ヘッド基板293はガラス等の光透過性部材で形成されており、発光素子グループ295の各発光素子が射出した光ビームは、ヘッド基板293の裏面293−tから表面293−hへと透過可能である。この発光素子はボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子であり、封止部材294により覆われている。このヘッド基板293の裏面293−tにおける、発光素子の配置の詳細は次の通りである。
【0058】
図7はヘッド基板の裏面の構成を示す図であり、ヘッド基板の表面から裏面を見た場合に相当する。また、図8は、ヘッド基板裏面に設けられた発光素子グループの構成を示す図である。図7に示すように、発光素子グループ295は8個の発光素子2951をグループ化して構成されている。そして、各発光素子グループ295において、8個の発光素子2951は次のように配置されている。つまり、図8に示すように、発光素子グループ295では、長手方向LGDに沿って4個の発光素子2951を並べて発光素子行2951Rが構成されるとともに、2個の発光素子行2951Rが幅方向LTDに発光素子行ピッチPelrで並んで設けられている。また、各発光素子行2951Rは長手方向LGDに素子ピッチPelだけ相互にずれており、各発光素子2951の長手方向LGDにおける位置は互いに異なる。
【0059】
また、ヘッド基板293の裏面293−tでは、このように構成された発光素子グループ295が複数配置されている。つまり、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個の発光素子グループ295を配置して発光素子グループ列295Cが構成されるとともに、複数の発光素子グループ列295Cが長手方向LGDに沿って並んでいる。各発光素子グループ列295Cでは、3個の発光素子グループ295が長手方向LGDに発光素子グループピッチPegだけ互いにずらして配置されており、その結果、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置PTEは互いに異なる。換言すれば、ヘッド基板293の裏面293−tでは、長手方向LGDに複数の発光素子グループ295を並べて発光素子グループ行295Rが構成されるとともに、3行の発光素子グループ行295Rが幅方向LTDに設けられている。また、各発光素子グループ行295Rは長手方向LGDに発光素子グループピッチPegだけ互いにずらして配置されており、その結果、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置PTEは互いに異なる。このように本実施形態では、ヘッド基板293において複数の発光素子グループ295が2次元的に配置されている。なお、同図においては、発光素子グループ295の位置は発光素子グループ295の重心位置で代表されており、発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置PTEは、発光素子グループ295の位置から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0060】
このようにしてヘッド基板293に形成された各発光素子2951は、例えばTFT(Thin Film Transistor)回路等からの駆動を受けて、互いに等しい波長の光ビームを射出する。この発光素子2951の発光面はいわゆる完全拡散面光源であり、発光面から射出される光ビームはランバートの余弦則に従う。
【0061】
図5、図6に戻って説明を続ける。ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が当接配置されている。遮光部材297には、複数の発光素子グループ295毎に導光孔2971が設けられている(換言すれば、複数の発光素子グループ295に対して一対一で複数の導光孔2971が設けられている)。各導光孔2971は、光ビームの進行方向Doaに貫通する孔として、遮光部材297に形成されている。また、遮光部材297の上側(ヘッド基板293の反対側)には、2枚のレンズアレイ299が光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。
【0062】
このように、光ビームDoaの進行方向において、発光素子グループ295とレンズアレイ299との間には、発光素子グループ295毎に導光孔2971を設けた遮光部材297が配置されている。したがって、発光素子グループ295から出た光ビームは、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971を通過してレンズアレイ299へと向う。逆に言うと、発光素子グループ295から射出された光ビームのうち、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971以外に向う光ビームは、遮光部材297により遮光されることとなる。こうして、1つの発光素子グループ295から出た光は全て同一の導光孔2971を介してレンズアレイ299へ向うとともに、異なる発光素子グループ295から出た光ビーム同士の干渉が遮光部材297により防止されている。
【0063】
図9は、第1実施形態におけるレンズアレイの平面図であり、像面側(光ビームの進行方向Doa側)からレンズアレイを見た場合に相当する。なお、同図における各レンズLSはレンズアレイ基板2991の裏面2991−tに形成されており、同図はこのレンズアレイ基板裏面2991−tの構成を示している。また、同図において、発光素子グループ295が記載されているが、これは発光素子グループ295とレンズLSとの対応関係を示すためであり、レンズアレイ基板裏面2991−tに発光素子グループ295が設けられていることを示すものではない。レンズアレイ299では、発光素子グループ295毎にレンズLSが設けられている。つまり、レンズアレイ299では、幅方向LTDの異なる位置に配された3個のレンズLSを配置してレンズ列LSCが構成されるとともに、複数のレンズ列LSCが長手方向LTDに沿って並んでいる。各レンズ列LSCでは、3個のレンズが長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ互いにずらして配置されており、その結果、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは互いに異なる。
【0064】
換言すれば、レンズアレイ299では、長手方向LGDに複数のレンズLSを並べてレンズ行LSRが構成されるとともに、3行のレンズ行LSRが幅方向LTDに設けられている。また、各レンズ行LSRは長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ互いにずらして配置されており、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは互いに異なる。このように、レンズアレイ299において複数のレンズLSは2次元的に配置されている。なお、同図においては、レンズLSの位置は、レンズLSの頂点(つまり、サグが最大となる点)で代表されており、レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは、レンズLSの頂点から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0065】
そして、図9に示すように本実施形態では、各レンズ行LSRにおいて、長手方向LGDに隣接するレンズLSは相互に接続している。一方、幅方向LTDにおいて、各レンズ行LSR間には間隔(クリアランス)CLが設けられており、各レンズ行LSRは互いに離間して配置されている。
【0066】
また、図9に示すように、レンズ行LSRによってレンズLSの形状が異なっている。つまり、幅方向LTDにおいて、最上流のレンズ行LSRに属する上流レンズLS−u、および最下流のレンズ行LSRに属する下流レンズLS−dのそれぞれは、長方形に円弧を接続したような形状を有している。また、幅方向LTDにおいて真ん中のレンズ行LSRに属する中央レンズLS−mの形状は、略長方形である。また、図5に示すように、導光孔2971は、対応するレンズLSに応じた形状を有している。つまり、上流レンズLS−uに対応する導光孔2971−u、および下流レンズLS−dに対応する導光孔2971−dは、いずれも長方形に円弧を接続したような形状を有している。また、中央レンズLS−mに対応する導光孔2971−mの形状は略長方形である。
【0067】
図10は、レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図であり、レンズアレイに形成されたレンズLSの光軸を含む長手方向断面を示している。レンズアレイ299は光透過性のレンズアレイ基板2991を有している。本実施形態では、このレンズアレイ基板2991は、線膨張係数の比較的小さいガラスにより形成されている。レンズアレイ基板2991の表面2991−hおよび裏面2991−tのうち、レンズアレイ基板2991裏面2991−tにレンズLSが形成されている。このレンズアレイ299は、例えば特開2005−276849号公報等に記載の方法により形成される。つまり、レンズLSの形状に応じた凹部を有する金型が、レンズアレイ基板2991としてのガラス基板に対して当接される。金型と光透過性基板との間には、光硬化性樹脂が充填される。この光硬化性樹脂に光が照射されると、光硬化性樹脂が硬化して、光透過性基板にレンズLSが形成される。そして、光硬化性樹脂が硬化してレンズLSが形成されると、金型が離型される。このように本実施形態では、光を照射することで速やかに硬化させることができる光硬化性樹脂によりレンズLSが形成される。したがって、簡便にレンズLSを形成することができるため、レンズアレイ299の作成工程を簡素化して、レンズアレイ299のコスト低下が可能となっている。また、レンズアレイ基板2991が線膨張係数の小さいガラスにより形成されているため、温度変化によるレンズアレイ299の変形が抑制されて、温度に依らず良好な露光が実現可能となっている。
【0068】
このラインヘッド29では、このような構成を有するレンズアレイ299が2枚(299A,299B)光ビームの進行方向Doaに並べて配置されており、光の進行方向Doaに並ぶ2枚のレンズLS1,LS2が各発光素子グループ295毎に配置されることとなる(図5、図6、図10)。また、互いに同じ発光素子グループ295に対応する第1レンズLS1および第2レンズLS2それぞれのレンズ中心を通る光軸OA(図10二点鎖線)は、ヘッド基板293の裏面293−tに直交もしくは略直交している。ここで、光ビームの進行方向Doaの上流側のレンズアレイ299AのレンズLSが第1レンズLS1であり、光ビームの進行方向Doaの下流側のレンズアレイ299BのレンズLSが第2レンズLS2である。このように、本実施形態では、複数のレンズアレイ299が光ビームの進行方向Doaに並べて配置されているため、光学設計の自由度を向上させることが可能となっている。
【0069】
このように、ラインヘッド29は、第1・第2レンズLS1,LS2を有する光学系を備えている。したがって、発光素子グループ295から射出された光ビームは、第1レンズLS1および第2レンズLS2により結像されて、感光体ドラム表面(像面)にスポットSPが形成される。一方、上述のとおり、感光体ドラム表面は、スポット形成に先立って帯電部23により帯電されている。したがって、スポットSPが形成された領域は除電されて、スポット潜像Lspが形成される。そして、このように形成されたスポット潜像Lspは感光体ドラム表面に担持されながら、副走査方向SDの下流側へと搬送される。そして、次に説明するように、スポットSPは感光体ドラム表面の移動に応じたタイミングで形成されて、主走査方向MDに並ぶ複数のスポット潜像Lspが形成される。
【0070】
図11はラインヘッドにより形成されるスポットを説明するための斜視図である。なお、図11においてレンズアレイ299の記載は省略されている。図11に示すように、各発光素子グループ295は、主走査方向MDにおいて互いに異なる露光領域ERにスポットグループSGを形成可能である。ここで、スポットグループSGは、発光素子グループ295の全発光素子2951が同時発光して形成される複数のスポットSPの集合である。同図に示すように、主走査方向MDに連続する露光領域ERにスポットグループSGを形成可能である3個の発光素子グループ295は、幅方向LTDに相互にずらして配置されている。つまり、例えば、主走査方向MDに連続する露光領域ER_1,ER_2,ER3にスポットグループSG_1,SG2,SG3を形成可能である3個の発光素子グループ295_1,295_2,295_3は、幅方向LTDに相互にずらして配置されている。これら3個の発光素子グループ295は発光素子グループ列295Cを構成し、複数の発光素子グループ列295Cが長手方向LGDに沿って並ぶ。その結果、図7の説明の際にも述べたが、3行の発光素子グループ行295R_A,295R_B,295R_Cが幅方向LTDに並ぶとともに、各発光素子グループ行295R_A等は、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置にスポットグループSGを形成する。
【0071】
つまり、このラインヘッド29では、複数の発光素子グループ295(例えば、発光素子グループ295_1,295_2,295_3)は、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置されている。そして、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置された各発光素子グループ295は、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置にスポットグループSG(例えば、スポットグループSG_1,SG_2,SG_3)を形成する。
【0072】
換言すれば、このラインヘッド29では、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に複数の発光素子2951が配置されている(例えば、発光素子グループ295_1に属する発光素子2951と、発光素子グループ295_2に属する発光素子2951とは、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置されている)。そして、幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に配置された各発光素子2951は、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置にスポットSPを形成する(例えば、スポットグループSG_1に属するスポットSPと、スポットグループSG_2に属するスポットSPとは、副走査方向SDにおいて互いに異なる位置に形成される)。
【0073】
このように、発光素子2951によって副走査方向SDにおけるスポットSPの形成位置が異なる。したがって、複数のスポット潜像Lspを主走査方向MDに並べて形成するためには(つまり、複数のスポット潜像Lspを副走査方向SDにおいて同じ位置に形成するためには)、かかるスポット形成位置の違いを考慮する必要がある。そこで、このラインヘッド29では、各発光素子2951は感光体ドラム表面の移動に応じたタイミングで発光する。
【0074】
図12は、上述のラインヘッドによるスポット形成動作を示す図である。以下に、図7、図11、図12を用いてラインヘッドによるスポット形成動作を説明する。概略的には、感光体ドラム表面(潜像担持体表面)が副走査方向SDに移動するとともに、ヘッド制御モジュール54(図4)が感光体ドラム表面の移動に応じたタイミングで発光素子2951を発光させることで、主走査方向MDに並ぶ複数のスポット潜像Lspが形成される。
【0075】
まず、幅方向LTDに最上流の発光素子グループ295_1,295A4等に属する発光素子行2951R(図11)のうち、幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、レンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。なお、レンズLSは倒立特性を有し、発光素子2951からの光ビームは倒立して結像される。こうして、図12の「1回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。なお、同図において、白抜きの丸印は、未だ形成されておらず今後形成される予定のスポット潜像を表す。また、同図において、符号295_1〜295_4でラベルされたスポット潜像は、それぞれに付された符号に対応する発光素子グループ295により形成されるスポット潜像であることを示す。
【0076】
次に、同発光素子グループ295_1,295A4等に属する発光素子行2951Rのうち、幅方向LTDの上流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「2回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。ここで、幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rから順番に発光させたのは、レンズLSが倒立特性を有することに対応するためである。
【0077】
次に、幅方向上流側から2番目の発光素子グループ295_2等に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「3回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。
【0078】
次に、幅方向上流側から2番目の発光素子グループ295_2等に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの上流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「4回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。
【0079】
次に、幅方向上流側から3番目の発光素子グループ295_3等に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの下流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「5回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。
【0080】
そして最後に、幅方向上流側から3番目の発光素子グループ295_3に属する発光素子行2951Rのうち幅方向LTDの上流側の発光素子行2951Rを発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームはレンズLSにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットSPが形成される。こうして、図12の「6回目」のハッチングパターンの位置にスポット潜像Lspが形成される。このように、1〜6回目までの発光動作を実行することで、副走査方向SDの上流側のスポットSPから順番にスポットSPが形成されて、主走査方向MDに並ぶ複数のスポット潜像Lspが形成される。
【0081】
上述してきたとおり、第1実施形態では、光透過性のレンズアレイ基板2991に複数のレンズLSが設けられている。このレンズアレイ基板2991では、複数のレンズLSを長手方向LGD(第1方向)に並べたレンズ行LSRが設けられている。そして、レンズ行LSRでは長手方向LGDに隣接するレンズLSが相互に接続している。つまり、第1実施形態では、長手方向LGDに隣接するレンズLSの間には従来技術のような間隔が設けられておらず、これら隣接するレンズLSが相互に接続されている。したがって、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0082】
ところで、上記実施形態では、発光素子2951として有機EL素子が用いられており、この有機EL素子はLED(Light Emitting Diode)等と比較して光量が少ないため、レンズLSに取り込める光量は少なくなる傾向にある。特にボトムエミッション型の有機EL素子を用いた場合、有機EL素子から射出された光ビームの一部はヘッド基板293に吸収されるため、レンズLSに取り込める光量がなおさら少なくなる。これに対して、上記実施形態では、長手方向LGDに隣接するレンズLSが相互に接続されており、多くの光をレンズLSに取り込むことが可能となっている。したがって、発光素子2951としてボトムエミッション型の有機EL素子を用いた構成においても、良好な露光が可能となっている。
【0083】
B−2.第2実施形態
図13は、第2実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図である。また、図14は、第2実施形態におけるレンズアレイの平面図であり、像面側(光ビームの進行方向Doa側)からレンズアレイを見た場合に相当する。なお、図14における各レンズLSはレンズアレイ基板2991の裏面2991−tに形成されており、同図はこのレンズアレイ基板裏面2991−tの構成を示している。また、同図において、発光素子グループ295が記載されているが、これは発光素子グループ295とレンズLSとの対応関係を示すためであり、レンズアレイ基板裏面2991−tに発光素子グループ295が設けられていることを示すものではない。以下では、第2実施形態と第1実施形態との差異点について主に説明することとし、共通部分については相当符号を付して説明を省略する。
【0084】
図14に示すように、第2実施形態においても、長手方向LGDに複数のレンズLSを並べてレンズ行LSRが構成されるとともに、3行のレンズ行LSRが幅方向LTDに設けられている。また、各レンズ行LSRは長手方向LGDにレンズピッチPlsだけ互いにずらして配置されており、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置PTLは互いに異なる。また、各レンズ行LSRにおいて、長手方向LGDに隣接するレンズLSは相互に接続している。一方、第2実施形態では、第1実施形態のような間隔CLは各レンズ行間で設けられておらず、幅方向LTDに隣接するレンズ行LSRのレンズLSが相互に接続している。
【0085】
また、図14に示すように、第2実施形態においても、レンズ行LSRによってレンズLSの形状が異なっている。つまり、幅方向LTDにおいて、最上流のレンズ行LSRに属する上流レンズLS−u、および最下流のレンズ行LSRに属する下流レンズLS−dのそれぞれは、五角形(ホームベース状の五角形)に円弧を接続したような形状を有している。また、幅方向LTDにおいて真ん中のレンズ行LSRに属する中央レンズLS−mの形状は、略六角形である。また、図13に示すように、導光孔2971は、対応するレンズLSに応じた形状を有している。つまり、上流レンズLS−uに対応する導光孔2971−u、および下流レンズLS−dに対応する導光孔2971−dは、いずれもホームベース状の五角形に円弧を接続したような形状を有している。また、中央レンズLS−mに対応する導光孔2971−mの形状は略六角形である。
【0086】
このように、第2実施形態においても、レンズ行LSRでは長手方向LGD(第1方向)に隣接するレンズLSが相互に接続している。つまり、長手方向LGDに隣接するレンズLSの間には従来技術のような間隔が設けられておらず、これら隣接するレンズLSが相互に接続されている。したがって、高解像度においても多くの光をレンズへ取り込むことができ、良好な露光が可能となっている。
【0087】
また、第2実施形態では、レンズアレイ基板2991では幅方向LTD(第2方向)に複数のレンズ行LSRが配されており、幅方向LTDに隣接するレンズ行LSRのレンズLSが相互に接続している。つまり、第2実施形態では、長手方向LGDのみならず幅方向LTDにおいてもレンズLSが接続している。したがって、より多くの光をレンズLSに入射させることができ、より良好な露光が可能となっている。
【0088】
B−3.第3実施形態
ところで、図14に示した構成では、レンズLS−u(第1のレンズ、第2のレンズ)と、レンズLS−m(第3のレンズ)とが相互に接続されており、レンズLS−uとレンズLS-mとの間隔を広げること無く、多くの光量をレンズに取り込むことができる。また、レンズLS−m(第1のレンズ、第2のレンズ)と、レンズLS−d(第3のレンズ)とが相互に接続されており、レンズLS−mとレンズLS-dとの間隔を広げること無く、多くの光量をレンズに取り込むことができる。換言すれば、図14の構成は、レンズアレイ299の幅方向LTD(第2の方向)への幅を抑制することが可能な構成である。その結果、ヘッド基板293で各レンズLSに対応して発光素子2951が配置される領域も、幅方向LTDにおいて省スペース化することが可能となる。したがって、発光素子2951が配置されるヘッド基板293では、幅方向LTDの両側にスペースを空けることができる。そこで、この空いたスペースに発光素子を駆動する駆動回路を配置すると良い。具体的には次のとおりである。
【0089】
図15は第3実施形態のヘッド基板の構成を示す平面図である。同図が示すように、ヘッド基板293の幅方向LTDの両側に空いたスペースに、TFTで構成された駆動回路DCが配置されている。この駆動回路DCは、配線WLにより発光素子2951に接続されており、各発光素子2951に駆動信号を与える。このように、ヘッド基板293の幅方向LTDの両側に空いたスペースに駆動回路DCを配置することで、駆動回路DCを発光素子2951の比較的近くに配置することができる。よって、配線WLを短くすることができ、配線WLの浮遊容量に起因した鈍りの少ない駆動信号を発光素子2951に供給して、良好な露光動作を実行することができる。
【0090】
B−4.第4実施形態
図16は、第4実施形態にかかるレンズアレイの構成を示す平面図である。このレンズアレイ299は、ガラスを基材とするレンズアレイ基板2991(光透過性基板)を備える。このレンズアレイ基板2991は、長手方向LGDに長さW1を有し、幅方向LTDに幅W2(長さW2)を有する。また、長さW1>幅W2となっており、レンズアレイ基板2991は長手方向LGDに長尺である。レンズアレイ基板2991の表面2991−hには、複数のレンズLSが2次元的に配置されている。各レンズ行LSRで長手方向LGDに間隔pで隣接するレンズLSが長手方向LGDで互いに接続されている。また、同図では、レンズアレイ基板表面2991−hのうち、レンズLSが形成されていない平らな領域が平坦領域Ap(第1の領域)として示されている。
【0091】
また、図16では、レンズアレイ基板表面2991−hでの位置を示すためにx−y座標(x、y)が示されている。x軸は長手方向LGDに平行もしくは略平行な座標軸であり、y軸は幅方向LTDに平行もしくは略平行な座標軸であり、x軸とy軸とは互いに直交する。また、このx−y座標では、同図左上のレンズLS11の頂点Lt11(をx−y平面に投影した位置)を原点としている。なお、レンズLSの頂点Ltは、平坦領域ApからのレンズLSの高さが最高となる位置である。このように、xは頂点Lt11を原点とする長手方向LGDの位置を示し、yは頂点Lt11を原点とする幅方向LTDの位置を示している。そして、各レンズLSのレンズ面は、次のように構成されている。
【0092】
図17は、レンズのレンズ面の構成を示す図であり、同図の「平面図」は光ビームの進行方向Doaから平面視した場合に相当し、同図の「断面図」はレンズLSの頂点Ltを含む長手方向LGD断面図である。同図では、長手方向LGDに隣接する2つのレンズLSの関係を示すために、レンズLS11とレンズLSとが代表して示されている。以下、必要に応じて、レンズLS11を「第1のレンズ」と称し、レンズLS12を「第2のレンズ」と称することとする。
【0093】
同図の「断面図」に示す符号hは、各レンズLSのレンズ面において、平坦領域Apからの高さが最高となる位置(頂点Lt)の当該平坦領域Apからの高さを示している。つまり、符号hは各レンズLSのレンズ頂点Ltの平坦領域Ap(換言すれば、レンズアレイ基板表面2991−h)からの高さであり、各レンズLSは同じ高さhを有している。また、関数f(x、y)は、座標(x、y)のレンズ面から、レンズLSの頂点Lt(第1の位置)までの高さである。そして、この実施形態では、次式、
f(p/2、0)<h
が満たされている。つまり、第1のレンズLS11と第2のレンズLS12とは長手方向LGDに相互に接続しており、第1のレンズLS11と第2のレンズLS12との境界BDは平坦領域Apから高さΔ(=h−f(p/2、0)>0)を有している。
【0094】
このように本実施形態においても、長手方向LGDにおいて隣接するレンズLSが相互に接続している。したがって、レンズLSの間隔pを広げること無く、より多くの光をレンズLSに取り込むことが可能となっている。これについて詳述すると次のとおりである。
【0095】
図18は、本発明の効果の説明図である。同図の「未接続」の欄は、長手方向LGDにおいて隣接するレンズLSが接続されていない場合に相当し、同図の「接続」の欄は、長手方向LGDにおいてレンズLSが接続されている場合(つまり、本発明を適用した場合)に相当する。また、同図の二点鎖線円で囲まれた領域はレンズLSの有効領域LSeを示し、同図の実線円はレンズLSのレンズ外周LScを示している。一般に、レンズ外周LSc近傍のレンズ面は面精度の保証ができない。そこで、レンズ外周LScとレンズLSの有効領域LSeとの間には余裕dを設ける必要がある。そして、「未接続」の欄に示すように、長手方向LGDに隣接するレンズLSを接続しない場合は、レンズ外周LScの全周にわたって余裕dを設ける必要がある。これに対して、「接続」の欄に示すように、長手方向LGDに隣接するレンズLSを相互に接続することにより、長手方向LGDには余裕dを設ける必要がなくなる。その結果、レンズ間隔pを変えること無く、レンズ有効領域LSeを拡大することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態のように、相互に接続されるレンズLSの境界BDが高さΔを有する構成は、次のような利点を有する。つまり、上述した金型を用いてレンズアレイ299を作成する場合、金型とレンズアレイ基板2991との間に、レンズLSの基材である光硬化性樹脂を充填する。この際、精度の高い面形状を有するレンズLSを形成するためには、レンズアレイ基板2991の略全体に渡って光硬化性樹脂を行き渡らせることが望ましく、そのためには、光硬化性樹脂の流動性の確保が重要となる。これに対して、本実施形態では、境界BDが高さΔを有するため、金型も境界BDに対応する部分に所定の高さを有することとなる。したがって、この境界BDに対応する部分を介して光硬化性樹脂を流動させることができ、その結果、高精度な面形状を有するレンズLSを形成することが可能となっている。
【0097】
さらに、本実施形態では、レンズLSの間隔pを広げる必要がなく、換言すればレンズの間隔pを短く抑えることができる。その結果、本実施形態は次のような効果を奏することができる。図19は本発明のさらなる効果の説明図である。上述のとおり、ラインヘッド29の長手方向LGDは感光体ドラム21の軸方向(つまり、主走査方向MD)に平行となるように、ラインヘッド29は配置される。しかしながら、場合によっては、ラインヘッド29の長手方向LGDが主走査方向MDに対してスキューした取り付けられることがある。その結果、図19に示すように、第1のレンズLS11が形成する複数のスポット潜像Lspと、第2のレンズLS12が形成する複数のスポット潜像Lspとの間に、副走査方向SDに段差gが発生してしまう。なお、図19では、図12での表記に対応して、第1のレンズLS11によるスポット潜像に符号295_1を付するとともに、第2のレンズLS12によるスポット潜像に符号295_4を付している。このようにスキューの発生により段差gが発生するものの、本実施形態では、レンズLSの間隔pが短く抑えられているため、この段差gを比較的小さく抑えることができる。その結果、スキューの発生に依らず、良好な露光動作を実行することが可能となっている。
【0098】
C.その他
このように上記実施形態では、長手方向LGDおよび主走査方向MDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDおよび副走査方向SDが本発明の「第2の方向」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当している。また、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当している。
【0099】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、発光素子グループ295は、2個の発光素子行2951Rから構成されている。しかしながら、発光素子グループ295を構成する発光素子行2951Rの個数は2個に限られず、例えば1個であっても良い。また、上記実施形態では、発光素子行2951Rは4個の発光素子2951から構成されている。しかしながら、発光素子行2951Rを構成する発光素子2951の個数は4個に限られない。したがって、次に示すように、発光素子グループ295を構成することもできる。
【0100】
図20は、発光素子グループの別の構成を示す平面図である。また、図21は、図20の発光素子グループを複数配したヘッド基板の裏面の構成を示す図であり、ヘッド基板の表面から裏面を見た場合に相当する。図20に示す別の構成では、長手方向LGDに15個の発光素子2951が並んで発光素子行2951Rが構成されている。この発光素子行2951Rにおいて、各発光素子2951は素子ピッチPel(=0.021[mm])の4倍のピッチ(=0.084[mm])で並んでいる。そして、このように構成された発光素子行2951Rが4個(2951R−1,2951R−2,2951R−3,2951R−4)幅方向LTDに並んでいる。幅方向LTDにおいて、発光素子行2951R−4と発光素子行2951R−1との間のピッチは0.1155[mm]であり、発光素子行2951R−4と発光素子行2951R−2との間のピッチは0.084[mm]であり、発光素子行2951R−4と発光素子行2951R−3との間のピッチは0.0315[mm]である。また、発光素子グループ295の中心(重心)を通って幅方向LTDに平行な直線を中心線CTLとしたとき、発光素子行2951R−1および発光素子行2951R−4それぞれと、中心線CTLとのピッチは0.05775[mm]である。
【0101】
また、図20において、中心線CTLより上側の2行2951R−1,2951R−2で1つの発光素子行組2951RTが構成されるとともに、中心線CTLより下側の2行2951R−3,2951R−4で1つの発光素子行組2951RTが構成されている。発光素子行組2951RTそれぞれでは、2つの発光素子行2951Rが長手方向LGDに素子ピッチPel(=0.021[mm])の2倍(=0.042[mm])だけ相互にずれている。しかも、2つの発光素子行組2951RTは、長手方向LGDに素子ピッチPel(=0.021[mm])だけ相互にずれている。したがって、4個の発光素子行2951Rは、長手方向LGDに素子ピッチPel(=0.021[mm])だけ相互にずれることとなり、その結果、長手方向LGDにおいて各発光素子2951の位置は異なっている。ここで、発光素子グループ295の長手方向LGDにおける両端に位置する発光素子2951を端部発光素子2951xとすると、長手方向LGDにおける端部発光素子2951x間のピッチは1.239[mm]であり、長手方向LGDにおける端部発光素子2951xと発光素子グループ295中心とのピッチは0.6195[mm]となる。
【0102】
図21に示す例では、図20に示した発光素子グループ295が2次元的に配置されている。図21に示すように、長手方向LGDに複数の発光素子グループ295が並んで発光素子グループ行295Rが構成されている。この発光素子グループ行295Rにおいて、各発光素子グループ295は発光素子グループピッチPegの3倍のピッチ(=1.778[mm])で並んでいる。そして、このように構成された発光素子グループ行295Rが3個(295R−1,295R−2,295R−3)幅方向LTDに、発光素子グループ行ピッチPegr(=1.77[mm])で並んでいる。また、各発光素子グループ行295Rは長手方向LGDにおいて発光素子グループピッチPeg(約0.593[mm])だけ相互にずれている。つまり、発光素子グループ行295R−1と発光素子グループ行295R−2とは、長手方向LGDに0.59275[mm]だけずれており、発光素子グループ行295R−2と発光素子グループ行295R−3とは、長手方向LGDに0.5925[mm]だけずれており、発光素子グループ行295R−3と発光素子グループ行295R−1とは、長手方向LGDに0.59275[mm]だけずれている。したがって、発光素子グループ行295R−1と発光素子グループ行295R−3とは、長手方向LGDに1.18525[mm]だけずれている。
【0103】
また、上記実施形態では、レンズアレイ299は、レンズアレイ基板の裏面2991−tにレンズLSを形成して構成されている。しかしながら、レンズアレイの構成態様はこれに限られない。つまり、レンズアレイ基板の表面2991−hにレンズLSを形成してレンズアレイ299を構成しても良く、あるいは、レンズアレイ基板の両面2991−t,2991−hにレンズLSを形成してレンズアレイ299を構成しても良い。
【0104】
また、上記実施形態では、3個のレンズ行LSRが幅方向LTDに並んでいる。しかしながら、レンズ行LSRの個数は3個に限られず、例えば1個であっても良い。
【0105】
また、上記実施形態では、2枚のレンズアレイ299が用いられているが、レンズアレイ299の枚数はこれに限られない。
【0106】
また、上記実施形態では、発光素子2951として有機EL素子が用いられている。しかしながら、有機EL素子以外のものを発光素子2951として用いても良く、例えば、LED(Light Emitting Diode)を発光素子2951として用いても良い。
【実施例】
【0107】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0108】
図22は実施例における光学系を示す図であり、主走査方向MDにおける断面を示している。この実施例では、光ビームの進行方向Doaにおいて第1レンズLS1の手前に絞りDIAが設けられており、絞りDIAにより絞られた光ビームが第1レンズLS1に入射する。同図では、光軸OA上の物点OB0から出て像点IM0に結像する光ビームの光路と、光軸OAとは異なる物点OB1から出て像点IM1に結像する光ビームの光路とが示されている。絞りDIA以外の構成は、第1実施形態等で示したのと略同様であり、図5、図9等に示したA−A線方向において、3つのレンズLS−u,LS−m,LS−dが並んでレンズ列を構成するように、各レンズLSを含む光学系が並んでいる。
【0109】
図23は、実施例1におけるラインヘッドおよび感光体ドラムのA−A線部分断面図である。同図が示すように、発光素子グループ295、絞りDIA、およびレンズアレイ299A,299Bで構成されるラインヘッドは、感光体ドラム21に対向配置されている。この感光体ドラム21は回転軸CC21を中心とした略円筒形状を有しており、感光体ドラム表面は有限の曲率を有している。ここで、この感光体表面の形状を特に「曲率形状」と称することとする。
【0110】
この実施例では、各光学系は図23における左右方向に等ピッチで並んでいるとともに、中央レンズLS−mを含む光学系の光軸OAは感光体ドラム21の回転軸CC21を通る。したがって、各光学系による光ビームの結像位置を感光体ドラム表面に略一致させるためには、光ビームの進行方向Doa(光軸OA方向)における結像位置を光学系毎に調整する必要がある。図23に示す例では、上流レンズLS−uを含む光学系と下流レンズLS−dを含む光学系との間では、光ビームの進行方向Doaにおける結像位置FPは互いに等しい。一方、上流レンズLS−u(または下流レンズLS−d)を含む光学系との間では、光ビームの進行方向Doaにおける結像位置は距離ΔFPだけ異なる。そこで、以下のデータに示すように、この実施例では、レンズLS−u,LS−dを含む光学系と、レンズLS−mを含む光学系との間で、構成が異なる。
【0111】
図24は実施例における光学系諸元を表す図である。同図に示すように、発光素子から射出される光ビームの波長は690[nm]である。また、感光体の直径は40[mm]である。図25は、中央レンズを含む光学系のデータを示す図である。同図が示すように、中央レンズLS−mを含む光学系では、第1レンズLS1のレンズ面(面番号S4)および第2レンズLS2のレンズ面(面番号S7)は何れも自由曲面(XY多項式面)である。図26はXY多項式面の定義式を示す図であり、第1レンズLS1のレンズ面形状は同定義式と図27に示す係数で与えられ、第2レンズLS2のレンズ面形状は同定義式と図28に示す係数で与えられる。ここで、図27は中央レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図であり、図28は中央レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図である。
【0112】
図29は、上流レンズ、下流レンズを含む光学系のデータを示す図である。同図が示すように、上流レンズLS−u,下流レンズLS−dを含む光学系においても、第1レンズLS1のレンズ面(面番号S4)および第2レンズLS2のレンズ面(面番号S7)は何れも自由曲面(XY多項式面)である。第1レンズLS1のレンズ面形状は図26の定義式と図30に示す係数で与えられ、第2レンズLS2のレンズ面形状は同定義式と図31に示す係数で与えられる。ここで、図30は上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図であり、図31は上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図である。
【0113】
このように上記実施例では、レンズアレイ299のレンズLSは自由曲面レンズである。ここで、自由曲面レンズとはレンズ面が自由曲面であるレンズである。したがって、レンズの結像特性が向上して、より良好な露光が実現可能となるっている。
【0114】
なお、この実施例では、幅方向LTDにおいては各レンズLSは接続されておらず、つまり、レンズLS−u、LS−m、LS−dは接続されていない。しかしながら、各レンズLS−u、LS−m、LS−dを幅方向LTDに相互に接続しても良い。これにより、各レンズLS−u、LS−m、LS−dの幅方向LTDの間隔を広げること無く、多くの光量をレンズLS−u、LS−m、LS−dに取り込むことができる。換言すれば、レンズアレイ299の幅方向LTDへの幅を抑制することが可能となり、その結果、ラインヘッド29の幅を小型化して、感光体ドラム21の周りにスペースを空けることができる。したがって、この空きスペースに他の機能部を集約して配置することができ、画像形成装置の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本明細書で用いる用語の説明図。
【図2】本明細書で用いる用語の説明図。
【図3】本発明にかかる画像形成装置の一例を示す図。
【図4】図3の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図5】第1実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図6】図5に示したラインヘッドのA−A線部分断面図。
【図7】ヘッド基板の裏面の構成を示す図。
【図8】ヘッド基板裏面に設けられた発光素子グループの構成を示す図。
【図9】第1実施形態におけるレンズアレイの平面図。
【図10】レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図。
【図11】ラインヘッドにより形成されるスポットを説明するための斜視図。
【図12】上述のラインヘッドによるスポット形成動作を示す図。
【図13】第2実施形態におけるラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図14】第2実施形態におけるレンズアレイの平面図。
【図15】第3実施形態のヘッド基板の構成を示す平面図。
【図16】第4実施形態にかかるレンズアレイの構成を示す平面図。
【図17】レンズのレンズ面の構成を示す図。
【図18】本発明の効果の説明図。
【図19】本発明のさらなる効果の説明図。
【図20】発光素子グループの別の構成を示す平面図。
【図21】図20の発光素子グループを複数配したヘッド基板裏面を示す図。
【図22】実施例における光学系を示す図。
【図23】実施例1におけるラインヘッド等のA−A線部分断面図。
【図24】実施例における光学系諸元を表す図。
【図25】中央レンズを含む光学系のデータを示す図。
【図26】XY多項式面の定義式を示す図。
【図27】中央レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図。
【図28】中央レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図。
【図29】上流レンズ、下流レンズを含む光学系のデータを示す図。
【図30】上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S4の係数値を示す図。
【図31】上流レンズ、下流レンズを含む光学系の面S7の係数値を示す図。
【符号の説明】
【0116】
21Y、21K…感光体ドラム(潜像担持体)、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 295…発光素子グループ、 2951…発光素子、 299,299A,299B…レンズアレイ、 2991…レンズアレイ基板、 LS,LS1,LS2…レンズ、 SP…スポット、 Lsp…スポット潜像、 MD…主走査方向(第1方向), SD…副走査方向(第2方向)、 LGD…長手方向(第1方向)、 LTD…幅方向(第2方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向の長さがW1であるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、前記光透過性基板に配設された第1のレンズ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、
前記第1のレンズに光を発光する第1の発光素子、および前記第2のレンズに光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、
を備え、
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズが前記第1の方向で接続していることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記レンズアレイは、前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、
前記第3のレンズおよび第1のレンズが接続している請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記第3のレンズおよび前記第2のレンズが接続している請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記ヘッド基板は、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子の前記第2の方向側に前記第1の発光素子および前記第2の発光素子を駆動する駆動回路を有する請求項2または3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記駆動回路はTFTにより構成されている請求項4に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子は有機EL素子である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
前記有機EL素子はボトムエミッション型である請求項6に記載の露光ヘッド。
【請求項8】
前記光透過性基板はガラスにより形成されている請求項1ないし7のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項9】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズは光硬化性樹脂により形成されている請求項1ないし8のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項10】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズは自由曲面レンズである請求項1ないし9のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項11】
第1の方向の長さがW1であるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、前記光透過性基板に配設された第1のレンズ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、
前記第1のレンズにより結像される光を発光する発光素子と、
前記第2のレンズにより結像される光を発光する発光素子と
を備え、
前記第1のレンズの頂点の位置を第1の位置としたとき、
x:前記第1の位置を原点とする前記第1の方向の位置、
y:前記第1の位置を原点とする前記第2の方向の位置、
h:前記第1の位置での前記光透過性基板から前記第1のレンズの頂点までの高さ、
f(x、y):座標(x、y)での前記第1のレンズまたは前記第2のレンズのレンズ面から前記第1の位置までの高さ、
p:前記第1のレンズと前記第2のレンズの前記第1の方向への間隔
が、次式、
f(p/2、0)<h
の関係を有することを特徴とする露光ヘッド。
【請求項12】
潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光する露光ヘッドと
を備え、
前記露光ヘッドは、第1の方向の長さがW1であるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、前記光透過性基板に配設された第1のレンズ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、前記第1のレンズにより前記潜像担持体に結像される光を発光する第1の発光素子、および前記第2のレンズにより前記潜像担持体に結像される光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、を有し、
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズが前記第1の方向に接続していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記潜像担持体は感光体ドラムであり、
前記レンズアレイは、前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、
前記ヘッド基板は、前記第3のレンズにより前記潜像担持体に結像される光を発光する第3の発光素子を有し、
前記第1のレンズで結像された前記第1の発光素子からの光の結像位置および前記第3のレンズで結像された前記第3の発光素子からの光の結像位置が前記感光体ドラムの形状に応じた位置となるように、前記第1のレンズおよび前記第3のレンズの形状を構成する請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第3のレンズおよび前記第1のレンズが接続している請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第3のレンズおよび前記第2のレンズが接続している請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項1】
第1の方向の長さがW1であるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、前記光透過性基板に配設された第1のレンズ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、
前記第1のレンズに光を発光する第1の発光素子、および前記第2のレンズに光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、
を備え、
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズが前記第1の方向で接続していることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記レンズアレイは、前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、
前記第3のレンズおよび第1のレンズが接続している請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記第3のレンズおよび前記第2のレンズが接続している請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記ヘッド基板は、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子の前記第2の方向側に前記第1の発光素子および前記第2の発光素子を駆動する駆動回路を有する請求項2または3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記駆動回路はTFTにより構成されている請求項4に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子は有機EL素子である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
前記有機EL素子はボトムエミッション型である請求項6に記載の露光ヘッド。
【請求項8】
前記光透過性基板はガラスにより形成されている請求項1ないし7のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項9】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズは光硬化性樹脂により形成されている請求項1ないし8のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項10】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズは自由曲面レンズである請求項1ないし9のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項11】
第1の方向の長さがW1であるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、前記光透過性基板に配設された第1のレンズ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、
前記第1のレンズにより結像される光を発光する発光素子と、
前記第2のレンズにより結像される光を発光する発光素子と
を備え、
前記第1のレンズの頂点の位置を第1の位置としたとき、
x:前記第1の位置を原点とする前記第1の方向の位置、
y:前記第1の位置を原点とする前記第2の方向の位置、
h:前記第1の位置での前記光透過性基板から前記第1のレンズの頂点までの高さ、
f(x、y):座標(x、y)での前記第1のレンズまたは前記第2のレンズのレンズ面から前記第1の位置までの高さ、
p:前記第1のレンズと前記第2のレンズの前記第1の方向への間隔
が、次式、
f(p/2、0)<h
の関係を有することを特徴とする露光ヘッド。
【請求項12】
潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光する露光ヘッドと
を備え、
前記露光ヘッドは、第1の方向の長さがW1であるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向の長さがW2でありW1>W2の関係を有する光透過性基板、前記光透過性基板に配設された第1のレンズ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第1の方向に配設された第2のレンズを有するレンズアレイと、前記第1のレンズにより前記潜像担持体に結像される光を発光する第1の発光素子、および前記第2のレンズにより前記潜像担持体に結像される光を発光する第2の発光素子を有するヘッド基板と、を有し、
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズが前記第1の方向に接続していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記潜像担持体は感光体ドラムであり、
前記レンズアレイは、前記光透過性基板に前記第1のレンズの前記第2の方向側に配設された第3のレンズを有し、
前記ヘッド基板は、前記第3のレンズにより前記潜像担持体に結像される光を発光する第3の発光素子を有し、
前記第1のレンズで結像された前記第1の発光素子からの光の結像位置および前記第3のレンズで結像された前記第3の発光素子からの光の結像位置が前記感光体ドラムの形状に応じた位置となるように、前記第1のレンズおよび前記第3のレンズの形状を構成する請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第3のレンズおよび前記第1のレンズが接続している請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第3のレンズおよび前記第2のレンズが接続している請求項14に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2009−190397(P2009−190397A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306479(P2008−306479)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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