露光装置およびこの露光装置を備えた画像形成装置
【課題】レンズアレイおよび発光素子を用いても、より高度にピントを合わせる。
【解決手段】マトリックス状に2次元配列されたレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3が発光素子支持部材4dに支持されている。第3位置調整機構52eで発光素子支持部材4dをθ方向に移動させることで、中央の発光素子4b2の副走査方向の露光位置が調整される。また、第1および第2位置調整機構52c,52dで発光素子支持部材4dをそれぞれδおよびε方向に移動させることで、両端部の発光素子4b1,4b3の副走査方向の露光位置が調整される。これにより、露光装置4は、各発光素子4b1,4b2,4b3からの光のピントが合った状態に調整される。
【解決手段】マトリックス状に2次元配列されたレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3が発光素子支持部材4dに支持されている。第3位置調整機構52eで発光素子支持部材4dをθ方向に移動させることで、中央の発光素子4b2の副走査方向の露光位置が調整される。また、第1および第2位置調整機構52c,52dで発光素子支持部材4dをそれぞれδおよびε方向に移動させることで、両端部の発光素子4b1,4b3の副走査方向の露光位置が調整される。これにより、露光装置4は、各発光素子4b1,4b2,4b3からの光のピントが合った状態に調整される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を有する発光素子アレイと発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイとを有する露光装置の技術分野に関する。また、この露光装置を備えかつ液体現像剤を用いた、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元的にそれぞれ配設された複数の発光素子を有する発光素子アレイと発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイとを有する露光装置が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。特許文献1に記載の露光装置では、これらの発光素子アレイおよびレンズアレイは、主走査方向である第1の方向および前記第1の方向と直交または略直交する走査方向である第2の方向に配接されている。そして、発光素子からの光により、感光体が2列のスポットで露光される。また、特許文献2に記載の露光装置では、複数列の発光素子からの光が感光体にライン状に照射されて潜像が形成される。その場合、すべての発光素子からの光が1つの光学系レンズで感光体に結像される。
【0003】
レンズアレイを用いると、レンズアレイを用いない従来の露光装置よりも大きい発光素子を用いることが可能となる。したがって、レンズアレイを用いることで、露光強度の増加、寿命延長、発光素子の選択肢の拡大などの利点が得られる。
【特許文献1】特開平6−278314号公報。
【特許文献2】特開2001−63139号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レンズアレイを用いると、発光素子からの光の感光体へのピント合わせが難しい。したがって、従来、2次元的にそれぞれ配列された発光素子アレイおよびレンズアレイを有する露光装置を画像形成装置に組み込んだとき、ピントが合わない場合が生じている。このため、ピント合わせの所定の基準を満たして合格する露光装置が低減し、露光装置の歩留まりが悪いという問題がある。
しかしながら、前述の特許文献1および2に記載の露光装置では、この問題を効果的に解決することは難しい。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、レンズアレイおよび発光素子を用いても、より高度にピントを合わせることのできる露光装置およびこの露光装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明に係る露光装置および画像形成装置では、発光素子アレイおよびレンズアレイを支持する支持部材を移動させて感光体へ露光位置を調整する露光位置調整機構とを備えている。これにより、各発光素子の露光位置を、ピントの合った位置に設定することができる。したがって、レンズアレイの前述の利点に相俟って、像担持体にピントの合った良好な潜像を描くことができる。
【0007】
また、本発明では、露光位置調整機構に、前述の支持部材を第1の方向の軸を中心として回転させる回転露光位置調整部を設けている。これにより、第1の方向と直交またはほ
ぼ直交する第2の方向の各発光素子の露光位置を、より一層高度にピントの合った位置に簡単に設定することができる。第1の方向は感光体の長手方向に沿うようにすることが好ましい。
【0008】
更に、本発明では、露光位置調整機構に、支持部材を前述の第2の方向に移動させる第2の方向露光位置調整部を設けている。これにより、各発光素子の露光位置を、更に一層高度にピントの合った位置に簡単に設定することができる。
【0009】
更に、本発明では、支持部材の第1の方向の一側端を、感光体または感光体を支持するフランジに第2の方向に2点で支持するか、あるいは、支持部材の一側端を、感光体または感光体を支持するフランジに第2の方向に2点以上で支持しかつ支持部材の他側端を、感光体または感光体を支持するフランジに1点以上で支持している。これにより、回転露光位置調整機構を簡単な構成にすることが可能となる。特に、発光素子アレイおよびレンズアレイを感光体を支持するフランジに支持することで、感光体から発生する振動の影響を抑制でき、像の安定した書込が可能となる。
【0010】
更に、本発明では、感光体またはこの感光体を支持するフランジに支持される支持部材の一側端の支持点の第2の方向の最大幅を、発光素子からの光が照射される感光体における照射領域の第2の方向の最大幅より大きく設定する。したがって、露光装置4の安定した位置決めを行うことが可能となる。また、各発光素子および各レンズアレイの位置調整操作量に対しておよび各発光素子アレイおよび各レンズアレイの照射位置の調整量が小さくなる。これにより、各発光素子アレイおよび各レンズアレイの照射位置の調整をよりきめ細かく、より正確にかつより簡単に行うことが可能となる。
【0011】
更に、本発明では、露光位置調整機構に、発光素子アレイおよびレンズアレイを、前述の第1および第2の方向のいずれにも直交する方向に移動させる第1および第2の方向直交方向露光位置調整部を設けている。これによっても、各発光素子の露光位置を、より一層ピントの合った位置に簡単に設定することができる。
【0012】
しかも、各発光素子の露光位置をピントの合った位置に設定できることから、露光装置を画像形成装置に組み込んだとき、不合格となる露光装置を低減できる。したがって、露光装置の歩留まりを向上することができる。
【0013】
更に、各発光素子の露光位置をピントの合った位置に設定することができる本発明の露光装置を、液体現像剤を用いた画像形成装置の露光装置に適用することで、現像電界が比較的弱い1ドット幅縦線(第2の方向)画像においても、液体現像剤を用いることで生じる液体キャリヤのリブによる乱れを抑制することができる。
【0014】
更に、本発明に係る露光装置および画像形成装置において露光位置を調整するためには、発光素子アレイおよびレンズアレイを支持する支持部材を前述第2の方向に移動させて、露光位置における第2の方向の中央位置を調整する。次に、露光位置における前述の第2の方向の両端部の位置を調整する。これにより、各発光素子の露光位置をピントの合った位置に、より簡単に設定することができる。特に、露光位置における前述の第2の方向の両端部の位置の調整を、前述の第1の方向の軸を中心として回転させることで行うことにより、各発光素子の露光位置を、より一層高度にピントの合った位置に簡単に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す
図である。
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
各感光体2Y,2M,2C,2Kは、図1に示す例ではいずれも、感光体ドラムから構成されている。なお、各感光体2Y,2M,2C,2Kは、無端ベルト状に構成することもできる。
【0016】
これらの感光体2Y,2M,2C,2Kは、いずれも作動時に図1に矢印αで示すように時計回りに回転するようにされている。各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、帯電装置3Y,3M,3C,3Kが設けられている。また、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光装置4Y,4M,4C,4K、現像装置5Y,5M,5C,5K、感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6K、一次転写装置7Y,7M,7C,7K、および除電装置8Y,8M,8C,8Kが配設されている。なお、図示しないが、各除電装置8Y,8M,8C,8Kと各帯電装置3Y,3M,3C,3Kとの間には、それぞれ感光体クリーニング装置が配設されている。
【0017】
また、画像形成装置1は、中間転写媒体である無端状の中間転写ベルト10を備えている。この中間転写ベルト10は図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ11および一対の従動ローラ12,13に張架されて図1において反時計回りに回転可能に設けられている。その場合、ベルト駆動ローラ11と一方の従動ローラ12は互いに、搬送されてくる紙等の記録材の矢印で示す移動方向(図1において下から上方向)に所定間隔を置いて隣接して配設されている。更に、ベルト駆動ローラ11と他方の従動ローラ13は互いに各感光体2Y,2M,2C,2Kのタンデム配置方向に沿って離間して配設されている。更に、中間転写ベルト10はテンションローラ14によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。
【0018】
なお、この例の画像形成装置1では、各感光体2Y,2M,2C,2Kおよび各現像装置5Y,5M,5C,5Kは中間転写ベルト10の移動方向上流側から色Y、M、C、Kの順に配設されているが、これらの各色Y、M、C、Kの配置順は任意に設定することができる。
【0019】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kより中間転写ベルト10の回転方向下流側の各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kの近傍には、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kが配設されている。更に、中間転写ベルト10のベルト駆動ローラ11側には二次転写装置16が設けられ、また中間転写ベルト10の従動ローラ13側には中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。
【0020】
なお、図示しないが、この例の画像形成装置1は、二次転写を行う従来の一般的な画像形成装置と同様に、二次転写装置16より記録材搬送方向上流側に例えば紙等の記録材を収納する記録材収納装置と、この記録材収納装置からの記録材を二次転写装置16へ搬送供給するレジストローラ対とを備えている。また、この画像形成装置1は、同様に二次転写装置16より記録材搬送方向下流側に定着装置および排紙トレイを備えている。
【0021】
各帯電装置3Y,3M,3C,3Kはそれぞれ、例えば帯電ローラ等の帯電部材からなる。各帯電装置3Y,3M,3C,3Kには、図示しない電源装置から液体現像剤の帯電極性と同極性のバイアスがそれぞれ印加される。そして、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kは
、それぞれ、対応する感光体2Y,2M,2C,2Kを帯電するようになっている。
【0022】
図2は露光装置の斜視図であり、図3は露光装置の横断面を模式的に示す図である。各露光装置4Y,4M,4C,4Kは、いずれも同じ構成を有している。したがって、以下の露光装置の説明においては、図2および図3に示すように、各露光装置4Y,4M,4C,4Kの符号Y,M,C,Kを削除して説明する。
【0023】
図2および図3において、露光装置4は、レンズアレイ4aおよび複数の発光素子4bを有する発光素子アレイを備えている。これらのレンズアレイ4aおよび発光素子4bは、それぞれ所定の数だけ感光体2の長手方向(感光体2の軸方向)に沿う第1の方向である主走査方向に直線状に配列される。更に、これらのレンズアレイ4aおよび発光素子4bの列がそれぞれ所定の列数(図示例では、3列;以下、この3列で説明する)だけ、前述の第1の方向と直交またはほぼ直交する第2の方向である副走査方向(感光体2の移動方向)に、マトリックス状に2次元配列されている。その場合、レンズアレイ4aおよび発光素子4bは、主走査方向に長尺状に配列される。なお、発光素子4bの数はレンズアレイ4aの数以上にされる。
【0024】
各レンズアレイ4aおよび各発光素子4bは、それぞれ、主走査方向に沿って延設された発光素子支持部材4d(本発明の支持部材に相当)に支持されている。その場合、レンズアレイ4aは各列につき所定数隣接して配置されるとともに、発光素子4bは3列の各レンズアレイ4aにそれぞれ対応して配置されて発光素子群を形成している。これら3列に並列された各レンズアレイ4a、各発光素子4b、および発光素子支持部材4dにより、この例の露光装置4におけるラインヘッドが構成されている。
【0025】
レンズアレイ4aおよび発光素子4bの各列は、図3において右端部の第1列に中央の第2列が隣接するとともに中央の第2列に左側の第3列が隣接するようにして配置されている。発光素子群の各発光素子4bには、例えば半導体レーザ、LED、あるいは有機ELなどを使用することができる。そして、各発光素子4bから発せられた光が感光体2の表面に、それぞれ対応するレンズアレイ4aを通して焦点(ピント)が合わせられて照射される。その場合、各発光素子4bからの光は、結像可能な範囲であるビームスポット4eで感光体2の表面に照射される。これにより、感光体2への印字(像の書込み)が行われ、感光体2の表面に静電潜像が形成される。
【0026】
例えば、各発光素子4bにより横線(感光体2の軸方向に延びる直線)を感光体2に印字する場合、感光体2が第1列における各発光素子4bの点灯によってそれぞれビームスポット4eで照射されることで、図4に示すように感光体2上に第1ビームスポット横列4fが形成される。このとき、各ビームスポット4e内には、それぞれ発光素子4bからの光の照射によって感光体2の電位が落ちて結像4gが形成される。ビームスポット4e内の結像4g以外の領域は光が弱いため、感光体2の電位が落ちなく結像は形成されない。この結像4gによって、感光体2の表面に横線画像の静電潜像4g1が印字される。
【0027】
同様にして、第2および第3列における各発光素子4bによってそれぞれビームスポット4h,4iで照射されることで、感光体2上に第2および第3ビームスポット横列4j,4nがそれぞれ形成される。そして、各ビームスポット4h,4i内に形成される結像4o,4pによって、感光体2の表面に横線画像の静電潜像4o1,4p1がそれぞれ印字される。
【0028】
各列の各発光素子4bによる各横線画像の静電潜像4g1,4o1,4p1が横一直線の静電潜像51となるように、第1ないし第3列の各発光素子4bがそれぞれ感光体2の回転速度に応じて点灯される。すなわち、感光体2が矢印α方向(図3において反時計回り)
に回転するとすると、まず第1列の各発光素子4bがそれぞれ点灯され、次いで第2列の各発光素子4bがそれぞれ感光体2の回転速度に応じて点灯され、最後に第3列の各発光素子4bがそれぞれ感光体2の回転速度に応じて点灯される。その場合、感光体2の回転にむらが生じると、静電潜像は横一直線とはならず、乱れた静電潜像51′となる。したがって、感光体2の回転は可能な限りむらを生じないようにすることが求められる。
【0029】
各現像装置5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ、現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kと、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと、現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kと、現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kとを備えている。
【0030】
各現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ、固形分トナーであるトナー粒子および不揮発性液体キャリアからなる液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを収納する現像剤容器24Y,24M,24C,24Kと、現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kと、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kと、現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kとを備えている。
【0031】
各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内に収納される液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、いずれも、高粘度(例えば、粘度30〜2000mPa・s)の不揮発性液体キャリア(例えば、シリコーンオイル、ミネラルオイルなどのトナーの帯電を逃がさない絶縁油)中に固形分トナー(トナー粒子)(画像形成時には帯電される)を分散させたものである。トナー粒子としては、トナーに使用される公知の熱可塑性樹脂中へ同じく公知の顔料等の着色剤を分散させた例えば平均粒径1μmの粒子を用いることができる。
【0032】
各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、それぞれ、各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを汲み上げて各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kに供給するローラである。各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、いずれも図1において矢印で示す時計まわりに回転するようにされている。また、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも、円筒状の部材で表面に微細かつ一様に螺旋状の溝を形成したローラである。溝の寸法は、例えば、溝ピッチが約170μm、溝深さが約30μmに設定される。もちろん、溝の寸法はこれらの値に限定されることはない。各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと同じ方向で図1において矢印で示す反時計まわりに回転するようにされている。なお、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと連れ回りで回転するようにすることもできる。すなわち、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの回転方向は、限定されず任意である。
【0033】
各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接して設けられている。これらの現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接する、ウレタンゴム等からなるゴム部と、このゴム部を支持する金属等の板とから構成されている。そして、各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの溝部以外の表面に付着する液体現像剤をゴム部で掻き落として除去する。したがって、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、それらの溝部内に付着する液体現像剤のみを各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに供給するようになっている。
【0034】
各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kは、いずれも、例えば幅約320mmの円
筒状の部材であり、例えば鉄等金属シャフトの外周部に、導電性ウレタンゴム等の弾性体と樹脂層やゴム層を備えたものである。これらの現像ローラ19Y,19M,19C,19Kはそれぞれ各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接され、かつ図1において矢印で示すように反時計まわりに回転するようにされている。
【0035】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、図1において矢印で示すように時計まわりに回転するようにされている。そして、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kはそれぞれ電圧を印加されて、対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kを帯電するようになっている。その場合、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に設定されている。なお、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に交流電圧(AC)が重畳された電圧に設定することもできる。各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、直流電圧のみであっても、直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との重畳電圧であっても、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの間でパッシェンの法則に従って放電を開始する放電開始電圧より大きく設定される。
【0036】
これらのコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kによる各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの帯電で、それぞれ、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに押し付けられる。
【0037】
ところで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの電気抵抗が比較的重要である。すなわち、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの抵抗が低い場合には火花放電が発生し、各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kや各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20K、および各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを損傷させてしまう。そこで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは実抵抗値でLog7Ω以上であることが、このような損傷を生じることなく、各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの良好なコンパクションを均一に行ううえで好ましい。
【0038】
更に、図1には明瞭に示していないが、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、それらの外周面が対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に対して所定のギャップ(μm)を置いて配置されている。その場合、これらの各ギャップは、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kから供給された液体現像剤23Y,23M,23C,23Kで各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に形成された現像剤層の膜厚(μm)より大きく設定されている。したがって、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kに対して非接触コンパクションを行う。
【0039】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kには、それぞれ、コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kと、コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kとが設けられている。これらのコンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kは、それぞれ対応するコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kは、それぞれ、各コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kによってコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kか
ら掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0040】
更に、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、対応する現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kによって現像ローラ19Y,19M,19C,19Kから掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0041】
更に、この例の画像形成装置1は、それぞれ液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに補給する現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kを備えている。これらの現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kは、それぞれ、トナータンク31Y,31M,31C,31Kと、キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kと、撹拌装置33Y,33M,33C,33Kとを備えている。
【0042】
各トナータンク31Y,31M,31C,31Kには、それぞれ、固形分トナーが含まれた高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kが収納されている。また、各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kには、それぞれ各液体キャリア(キャリアオイル)35Y,35M,35C,35Kが収納されている。更に、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kには、各トナータンク31Y,31M,31C,31Kからの所定量の各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kと各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kからの所定量の各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kとが供給されるようになっている。
【0043】
そして、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kおよび各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kをそれぞれ混合撹拌して各現像装置5Y,5M,5C,5Kで使用する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを作製する。各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kでそれぞれ作製された各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、それぞれ各現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに供給されるようになっている。
【0044】
各感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ、スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kと、スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと、スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kとを備えている。各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの当接部(ニップ部)より各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向下流側に設置されている。そして、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと逆方向(図1において反時計回り)に回転されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを除去するようになっている。
【0045】
各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kとしては、いずれも、金属製芯金の表面に導電性ウレタンゴム等の弾性部材とフッ素樹脂製表層を配した弾性ローラが好適である。また、各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kは、いずれもゴム等の弾性体からなり、それぞれ対応するスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kの表面に当接され、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kに残留する液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き落として除去するものである。更に、各スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kは、それぞれ対応するスクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kが掻き落とした現像
剤を貯留するタンク等の容器である。
【0046】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接させる一次転写用のバックアップローラ39Y,39M,39C,39Kを備えている。各バックアップローラ39Y,39M,39C,39Kは、トナー粒子の帯電極性と逆極性の例えば約−200Vが印加されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の各色のトナー像(液体現像剤像)を中間転写ベルト10に一次転写する。
また、各除電装置8Y,8M,8C,8Kは、それぞれ、一次転写後に各感光体2Y,2M,2C,2Kに残留する電荷を除去するものである。
【0047】
各中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kは、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42Y,42C,42K,42Kとを備えている。各中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ中間転写ベルト10上の対応する色の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収するものである。また、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kのローラ上の回収した液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き取るものである。これらの中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなっている。更に、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42M,42C,42K,42Kは、それぞれ各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kで掻き取った液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収貯留するものである。
【0048】
二次転写装置16は、互いに記録材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の二次転写ローラを備えている。これらの一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向の上流側に配置される二次転写ローラが上流側二次転写ローラ43である。この上流側二次転写ローラ43はベルト駆動ローラ11に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。また、一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向の下流側に配置される二次転写ローラが下流側二次転写ローラ44である。この下流側二次転写ローラ44は従動ローラ12に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。すなわち、これらの上、下流側二次転写ローラ43,44は、それぞれ、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12に掛けられた中間転写ベルト10に記録材を当接させて、中間転写ベルト10上の各色のトナー像が合わせられたカラーのトナー像(液体現像剤像)を記録材に二次転写するようになっている。
【0049】
その場合、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12は、それぞれ二次転写時の二次転写ローラ43,44のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ11は二次転写装置16において従動ローラ12より記録材の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ12は二次転写装置16においてベルト駆動ローラ11より記録材の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
更に、二次転写時に、上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11に圧接される荷重は下流側二次転写ローラ44が従動ローラ12に圧接される荷重より大きく設定されている。
【0050】
したがって、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、上流側二次転写ローラ43とベルト駆動ローラ11との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領
域で中間転写ベルト10に密着される。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルトに密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0051】
更に、上流側二次転写ローラ43の少なくとも表層部の硬さはベルト駆動ローラ11の少なくとも表層部の硬さより小さく(柔らかく)されている。したがって、図2に示すように二次転写時に上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11に中間転写ベルト10を介して圧接されたとき、上流側二次転写ローラ43の圧接部(ニップ部)が若干円弧状に凹むようになっている。
【0052】
一方、下流側二次転写ローラ44の径は、従動ローラ12の径より小さく設定される。また、下流側二次転写ローラ44の少なくとも表層部の硬さは従動ローラ12の少なくとも表層部の硬さより大きく(硬く)されている。したがって、図2に示すように二次転写時に下流側二次転写ローラ44が従動ローラ12に中間転写ベルト10を介して圧接されたとき、従動ローラ12の圧接部(ニップ部)が若干円弧状に凹むようになっている。
【0053】
これにより、シート状の記録材は、前述の記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10により効果的に密着されて二次転写がより効率よく行われるとともに、下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接位置の通過後に中間転写ベルト10から容易に剥離するようになる。その場合、上流側二次転写ローラ43および従動ローラ12の各凹みは比較的小さいので、記録材は各ローラの各圧接位置で若干湾曲するだけである。したがって、各圧接位置での記録材の通過性は良好に保持される。
【0054】
また、二次転写装置16は、一対の二次転写ローラ43,44に対してそれぞれ二次転写ローラクリーナ45,46と二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48とを備えている。各二次転写ローラクリーナ45,46は、ともに各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなる。そして、これらの二次転写ローラクリーナ45,46は、それぞれ二次転写ローラ43,44に当接されて二次転写後に各二次転写ローラ43,44の表面に残留する現像剤を掻き落として除去する。また、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48は、それぞれ各二次転写ローラクリーナ45,46によって各二次転写ローラ43,44から掻き落とされた現像剤を回収して貯留する。
【0055】
中間転写ベルトクリーニング装置17は、中間転写ベルトクリーナ49と中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50とを備えている。中間転写ベルトクリーナ49は中間転写ベルト10に当接されて二次転写後に中間転写ベルト10の表面に残留する現像剤を掻き落として除去するものである。その場合、従動ローラ13は中間転写ベルトクリーニング時のバックアップローラとしても機能する。この中間転写ベルトクリーナ49はゴム等の弾性体からなっている。また、中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50は、中間転写ベルトクリーナ49が中間転写ベルト10から掻き落とした現像剤を回収して貯留するものである。
【0056】
このように構成されたこの例の画像形成装置1においては、画像形成動作が開始されると、各感光体2Y,2M,2C,2Kがそれぞれ各帯電装置3Y,3M,3C,3Kによって一様帯電される。次いで、各感光体2Y,2M,2C,2Kに、それぞれ各露光装置4Y,4M,4C,4Kによって各色の静電潜像が形成される。
【0057】
そして、イエローYの現像装置5Yにおいて、イエローYの液体現像剤23Yが現像剤汲み上げローラ25Yによってアニロックスローラ26Yに汲み上げられる。アニロックスローラ26Yに付着した液体現像剤23Yは、現像剤規制ブレード27Yによってアニ
ロックスローラ26Yの溝内に適正量付着される。このアニロックスローラ26Yの溝内の液体現像剤23Yは現像ローラ19Yに供給される。更に、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションでその現像ローラ19Yに押し付けられる。この状態で、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、現像ローラ19Yの回転によって感光体2Yの方へ搬送される。
【0058】
コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションが終了してコンパクションローラ20Yに残留するキャリア35Yは、コンパクションローラクリーナブレード28Yによってコンパクションローラ20Yから除去される。
【0059】
イエローYの感光体2Yに形成された静電潜像が現像装置5YにおいてイエローYの液体現像剤23Yで現像され、感光体2YにイエローYの液体現像剤像が形成される。現像が終了して現像ローラ19Yに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Yによって現像ローラ19Yから除去される。感光体2Y上のイエローYの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Yにより感光体2Y上の液体キャリア35Yが回収されてイエローYのトナー像とされる。更に、このイエローYのトナー像は一次転写装置7Yで中間転写ベルト10に転写される。中間転写ベルト10上のイエローYのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Yにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Yが回収されながらマゼンタMの一次転写装置7Mの方へ搬送される。
【0060】
次いで、マゼンタMの感光体2Mに形成された静電潜像が現像装置5Mにおいて、イエローYの場合と同様にして搬送されてきたマゼンタMの液体現像剤で現像され、感光体2MにマゼンタMの液体現像剤像が形成される。このとき、コンパクションローラ20Mによる非接触コンパクションの終了後コンパクションローラ20Mに残留するキャリア35Mは、コンパクションローラクリーナブレード28Mによってコンパクションローラ20Mから除去される。また、現像が終了して現像ローラ19Mに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Mによって現像ローラ19Mから除去される。
【0061】
感光体2M上のマゼンタMの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Mにより感光体2M上の液体キャリア35Mが回収されてマゼンタMのトナー像とされ、このマゼンタMのトナー像は一次転写装置7Mで中間転写ベルト10にイエローYのトナー像と色重ねされて転写される。同様にして、色重ねされたイエローYとマゼンタMのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Mにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Mが回収されながらシアンCの一次転写装置7Cの方へ搬送される。以下、同様にして、シアンのトナー像およびブラックのトナー像が中間転写ベルト10に順次色重ねされて転写され、中間転写ベルト10にフルカラーのトナー像が形成される。
【0062】
次いで、二次転写装置16により、中間転写ベルト10上のカラーのトナー像が紙等の記録材の転写面に二次転写される。このとき、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、ベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43との圧接開始位置(ニップ開始位置)から従動ローラ12と下流側二次転写ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10に密着される。すなわち、上下流側のニップ位置間のニップ位置にない中間転写ベルト10においても記録材は中間転写ベルト10に密着した状態となる。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルト10に密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0063】
しかも、前述のように上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11との圧接によってニップ位置で凹むので、このニップ位置を通過した記録材が中間転写ベルト10の方へ付勢される。このため、このニップ位置を通過した記録材は中間転写ベルト10により
効果的に密着されるようになる。これにより、一層良好な二次転写が行われる。更に、上流側二次転写ローラ43のベルト駆動ローラ11への圧接力が下流側二次転写ローラ43の従動ローラ12への圧接力より大きいので、これらの両圧接位置(ニップ位置)間において記録材が中間転写ベルト10から剥離し難くなる。したがって、更に一層良好な二次転写が行われる。
【0064】
更に、下流側二次転写ローラ44の径が従動ローラ12の径より小さく設定されるとともに、前述のように従動ローラ12が下流側二次転写ローラ44との圧接によってニップ位置で凹むので、このニップ位置を通過した記録材が中間転写ベルト10から離間する方向へ付勢される。これにより、記録材への二次転写がより一層良好に行われるとともに、記録材が下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接位置の通過後に中間転写ベルト10から容易に剥離するようになる。
【0065】
二次転写後に上、下流側二次転写ローラ43,44にそれぞれ残留する液体現像剤は、それぞれ二次転写ローラクリーナ45,46によって掻き落とされて各ローラ43,44から除去される。除去された液体現像剤は、それぞれ、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48に回収されて貯留される。
【0066】
記録材上に転写されたカラーのトナー像は、従来と同様に図示しない定着器によって定着される。更に、フルカラーの定着像が形成された記録材は排紙トレイに搬送されて、カラー画像形成動作が終了する。
【0067】
ところで、この例の露光装置4では、図2に示すように発光素子支持部材4dがその両端部において2つの第1および第2露光位置調整装置52,53(本発明の露光位置調整機構に相当)に支持されている。これらの第1および第2露光位置調整装置52,53は互いに同じ構成を有しており、それぞれ図示しない装置本体に支持されている。
【0068】
図5は、露光位置調整装置を模式的に示し、図2におけるV−V線に沿う断面図である。なお、図5には一方の第1露光位置調整装置52が示されているが、他方の第2露光位置調整装置53についてはこの第1露光位置調整装置52の構成とまったく同じであることから、第1露光位置調整装置52の構成要素に、括弧を付した符号で示すことで、図示を省略する。なお、以下の明細書の説明においては、第2露光位置調整装置53の各構成要素の符号については括弧を付さない。
【0069】
図5に示すように、第1および第2露光位置調整装置52,53は、それぞれ、発光素子支持部材4dの幅方向に3列並設されたレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3を備えている。各第1および第2露光位置調整装置52,53は、コ字状の露光装置支持部材52a,53aと、弾性背板52b,53bと、第1ないし第3位置調整機構52c,53c;52d,53d;52e,53eとを備えている。第1および第2位置調整機構52c,53c;52d,53dは、互いにまったく同じに構成されている。
露光装置支持部材52a、53aは上底52a1,53a1とこの上底52a1,53a1の両側縁にそれぞれ立設された側壁52a2,53a2;52a3,53a3とからなる側面視コ字状に形成されている。この露光装置支持部材52a,53aは副走査方向に延設されて装置本体に固定されている。
【0070】
弾性背板52b,53bはゴム等の弾性材からなり、露光装置支持部材52a,53aの幅方向(感光体2の副走査方向)の中央位置で露光装置支持部材52a,53aと発光素子支持部材4dとの間に介在されている。そして、発光素子支持部材4dは、露光装置支持部材52a,53aの幅方向中央位置にこの弾性背板52b,53bを介して弾性的に支
持されている。
【0071】
第1位置調整機構52c,53cは第1位置調整ねじ52c1,53c1を備えている。この第1位置調整ねじ52c1,53c1は発光素子支持部材4dの一端側に螺合されてこの発光素子支持部材4dを図5において上下方向に貫通している。第1位置調整ねじ52c1,53c1の下端には、例えば潤滑性を有する樹脂等からなる半球状の潤滑部材52c2,53c2が固定されている。この潤滑部材52c2,53c2は、その球面部が感光体2の非画像部の外周面に当接されている。
【0072】
第2位置調整機構52d,53dは第2位置調整ねじ52d1,53d1を備えている。この第2位置調整ねじ52d1,53d1は、発光素子支持部材4dの他端側の、弾性背板52b,53bの上下方向の中心線と線対称の位置に螺合されてこの発光素子支持部材4dを図5において上下方向に貫通している。第2位置調整ねじ52d1,53d1の下端には、例えば潤滑性を有する樹脂等からなる半球状の潤滑部材52d2,53d2が固定されている。この潤滑部材52d2,53d2も、その球面部が感光体2の非画像部の外周面に当接されている。したがって、レンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3は、それぞれそれらの長尺方向の両端が4点で感光体2の非画像部の外周面に支持される。
【0073】
第3位置調整機構52e,53eは第3位置調整ねじ52e1,53e1を備えている。この第3位置調整ねじ52e1,53e1は、露光装置支持部材52aの一方の側壁52a3,53a3を図5において左右方向(上下方向および第3位置調整機構52e,53e)の長手方向と直交する方向)に貫通している。第3位置調整ねじ52e1,53e1の左端は、発光素子支持部材4dの一側の側縁面に当接されている。また、発光素子支持部材4dの他側の側縁面には、ゴム等からなる弾性部材52e2,53e2が固定されている。この弾性部材52e2,53e2は露光装置支持部材52a,53aの他方の側壁52a2,53a2に当接されている。
【0074】
そして、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1をそれぞれ矢印β,β′およびγ、γ′方向に回転させる。すると、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1は発光素子支持部材4dに対して感光体2の方に向かって相対移動するかまたは感光体2から離れる方向に向かって相対移動する。その場合、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の回転時に、潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2によって第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1と感光体2との摩擦が低減する。そして、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の発光素子支持部材4dに対する相対移動により、露光装置4が感光体2に対して矢印δ,δ′およびε.ε′方向に移動して、感光体2と露光装置4との間の距離が調整される。つまり、第1ないし第3列の各発光素子4bの感光体2への露光位置が調整される。
【0075】
その場合、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1を発光素子支持部材4dに対して互いに逆方向に同じ量だけ相対移動させる。すると、発光素子支持部材4dが、各発光素子4bの露光位置であって副走査方向の中央位置での主走査方向の軸を略中心として回転するようになっている。すなわち、第1および第2位置調整機構52c,53c;52d,53dは、レンズアレイ4aおよび発光素子4bをこの軸を略中心として回転させて露光位置を調整する回転露光位置調整部を構成している。
【0076】
また、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1がそれぞれ潤滑部材52c2,53c2;,52d2,53d2を介して感光体2へ圧接されるが、その圧接力の反力、つまり感光体2が第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1
を介して発光素子支持部材4dを押す力が弾性部材52b,53bに矢印ζ,ζ′方向に伝達される。したがって、感光体2の発光素子支持部材4dを押す力は弾性部材52b53bが弾性変形することで吸収される。これにより、感光体2に回転むらが発生して感光体2の発光素子支持部材4dを押す力が変動しても、この力の変動が弾性部材52b,3bによって吸収されるので、露光装置4の発光素子4bおよびレンズアレイ4aの矢印δ、δ′方向およびε、ε′方向の位置ずれが抑制される。
【0077】
一方、第3位置調整ねじ52e1,53e1を矢印η,η′方向に回転して側壁52a3,53a3に対して露光装置4の方に向かって相対移動させ、また露光装置4から離れる方に向かって相対移動させる。これにより、露光装置4(つまり、レンズアレイ4aおよび発光素子4bの位置)が第3位置調整ねじ52e1,53e1の移動方向と同方向に移動して、副走査方向である矢印θ,θ′方向の露光位置が調整される。すなわち、第3位置調整機構52e.53eは、レンズアレイ4aおよび発光素子4bをθ.θ′方向に移動させて副走査方向の露光位置を調整する副走査方向露光位置調整機構(本発明の第2の方向露光位置調整部に相当)を構成している。
【0078】
また、露光装置4の発光素子支持部材4dに固定されている弾性部材52e2,53e2が露光装置支持部材52a,53aの側壁52a2,53a2に当接されることで、第3位置調整ねじ52e1,53e1からの力が発光素子支持部材4dを介して弾性部材52e2,53e2に矢印ι,ι′方向に伝達される。更に、感光体2の矢印α方向の回転により、その回転力も潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1、および発光素子支持部材4dを介して弾性部材52e2,53e2に同様に矢印ι,ι′方向に伝達される。したがって、感光体2の回転により発光素子支持部材4dを押す力は弾性部材52e2,53e2が弾性変形することで吸収される。これにより、感光体2に回転むらが発生して感光体2の回転による発光素子支持部材4dを押す力が変動しても、この力の変動が弾性部材52e2,53e2によって吸収されるので、露光装置4の発光素子4bおよびレンズアレイ4aの矢印θ,θ′方向の位置ずれが抑制される。
【0079】
次に、第1ないし第3位置調整機構52c,53c;52d,53d;52e,53eによる、レンズアレイ4aおよび発光素子4bにおける露光位置調整手順(方法)の一例について説明する。3列の発光素子4bのうち、まず、中央の発光素子4b2の露光位置が調整される。
【0080】
(中央の発光素子4b2の露光位置調整手順の説明)
中央の発光素子4b2の露光位置調整手順では、まず、表1に示すように各方向δ,ε,θ,δ′,ε′,θ′における調整量の下限値および上限値が設定される。なお、表1において、図2における各方向δ,ε,θ,δ′,ε′,θ′の矢印の向きを正としている。
【0081】
【表1】
【0082】
表1に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の調整量下限値は、−dδに設定され、第1位置調整機構52cのε方向の調整量下限値は、−dεに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量下限値は、−dθに設定される。また、第1位置調整機構52cのδ方向の調整量上限値は、+dδに設定され、第1位置調整機構52cのε方向の調整量上限値は、+dεに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量上限値は、+dθに設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の調整量下限値は、−dδ′に設定され、第2位置調整機構53cのε′方向の調整量下限値は、−dε′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量下限値は、−dθ′に設定される。また、第2位置調整機構53cのδ′方向の調整量上限値は、+dδ′に設定され、第2位置調整機構53cのε′方向の調整量上限値は、+dε′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量上限値は、+dθ′に設定される。これらの調整量下限値および調整量上限値は、画像形成装置の形状、仕様、使用条件等により種々異なるので、一般化のため記号dθ,dε,………で示されている。
【0083】
次に、表2に示すように中央の発光素子4b2の露光位置を調整するために初期印字する露光位置調整画像の露光位置調整パターンを、この例では4つのパターンA,B,C,Dが設定される。これらのパターンA,B,C,Dは、δ,ε,θ,δ′,ε′,θ′方向の各初期位置の種々異なる組合せである。なお、これらの各初期位置の組合せは、4つに限定されることはなく、任意の数の組合せが可能である。また、各方向の初期位置は表2に示されている位置に限定されることはなく、任意に設定可能である。以下、便宜上、表2に記載されている事項にしたがって説明する。
【0084】
【表2】
【0085】
まず、パターンAについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδ
、ε、およびθ方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδ、+dε、および+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′、ε′、およびθ′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδ′、−dε′、および−dθ′の位置に設定される。
【0086】
次に、パターンBについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδおよび+dεに設定される。また、第1位置調整機構52cのθ方向の初期位置がその調整量下限値である−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδおよび−dεに設定される。また、第2位置調整機構53cのθ′方向の初期位置がその調整量上限値である+dθ′の位置に設定される。
【0087】
次に、パターンCについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδおよび−dεに設定される。また、第1位置調整機構52cのθ方向の初期位置がその調整量上限値である+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδおよび+dεに設定される。また、第2位置調整機構53cのθ′方向の初期位置がその調整量下限値である−dθ′の位置に設定される。
【0088】
次に、パターンDについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδ、ε、およびθ方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδ、−dε、および−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′、ε′、およびθ′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδ′、+dε′、および+dθ′の位置に設定される。
【0089】
図6は、初期印字した露光位置調整画像を模式的に示す図である。なお、図6に示す露光位置調整画像は、各パターンA,B,C,Dにおける露光位置調整画像を一般化して示している。
図6に示すように、第1および第2位置調整機構52c,53cの各方向を初期位置に設定した状態で、記録材(紙)54に露光位置調整画像55を印字すると、この露光位置調整画像(露光部)55は、ピントが合っている露光位置調整画像の範囲55aと、ピントが合っていない露光位置調整画像の範囲55bを有する。
【0090】
そして、ピントが合っていない露光位置調整画像の範囲55bを顕微鏡で観察すると、この範囲55bには、後述の図11に示すように1ドット幅縦線が乱れている状態、または、1ドット幅縦線がかすれている状態、または、潜像が浅過ぎて現像できないために印字ができていない状態の少なくともいずれかが存在している。また、ピントが合っている露光位置調整画像の範囲55aを顕微鏡で観察すると、この範囲55aには、1ドット幅縦線がまっすぐに出ている状態となっている。したがって、露光位置調整画像を顕微鏡で露光位置調整画像のこれらの状態を観察することで、露光位置調整画像がピントが合っているか、あるいは合っていないかが判断される。
【0091】
なお、図6中、55cはピントが合っている露光位置調整画像の範囲の幅方向の中央、LLは露光位置調整画像(露光部)の最大幅、LCはピントが合っている範囲の中央55cと露光位置調整画像(露光部)の第1第1露光位置調整装置52側の端部との間の距離、μは感光体2の回転方向を記録材54上に対応させた方向、νは第1第1露光位置調整装置52のθ方向に対応させた方向である。
このような露光位置調整画像(露光部)において、中央の発光素子4b2のピントが合
っている範囲が最大であるときの露光調整位置を表3に示す
【0092】
【表3】
【0093】
まず、パターンAにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、−dδ+(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、−dε+(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、+dδ′−(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、+dε′−(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0094】
次に、パターンBにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、−dδ+(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、−dε+(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、+dθ−(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、+dδ′−(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、+dε′−(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′+(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0095】
更に、パターンCにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、+dδ−(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、+dε−(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、−dδ′+(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、−dε′+(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0096】
更に、パターンDにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、+dδ−(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、+dε−(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、+dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、−dδ′+(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、−dε′+(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0097】
そして、第1および第2位置調整機構52c,53Cの各方向の露光調整位置が、このように各パターンA,B,C,Dにおける中央の発光素子4b2のピント合致範囲が最大のときの露光調整位置に調整される。これにより、中央の発光素子4b2の露光位置がより最大にピントが合うように調整される。次に、両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置が調整される。
【0098】
(両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置調整手順の説明)
両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置調整手順では、表4に示すように両端部の発光素子4b1,4b3の各露光位置を調整するために初期印字する露光位置調整画像の露光位置調整パターンを、この例では2つのパターンE,Fが設定される。これらのパターンE,Fは、δ,ε,δ′,ε′方向の各初期位置の種々異なる組合せである。なお、これらの各初期位置の組合せは、2つに限定されることはなく、任意の数の組合せが可能である。また、各方向の初期位置は表4に示されている位置に限定されることはなく、任意に設定
可能である。以下、便宜上、表4に記載されている事項にしたがって説明する。
【0099】
【表4】
【0100】
まず、パターンEについて説明する。表4に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれ、−κおよび+κに設定される。つまり、第1位置調整機構52cの両端部が、それぞれδおよびε方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれ、+λおよび−λに設定される。つまり、同様に第2位置調整機構53cの両端部が、それぞれδ′およびε′方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。ここで、κ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方であり、また、λ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方である。
【0101】
次に、パターンFについて説明する。表4に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれ、+κおよび−κに設定される。つまり、第1位置調整機構52cの両端部が、それぞれδおよびε方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれ、−λおよび+λに設定される。つまり、同様に第2位置調整機構53cの両端部が、それぞれδ′およびε′方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。ここで、κ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方であり、また、λ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方である。
【0102】
なお、パターンEおよびFにおいて、前述のように第1および第2位置調整機構52c,53cの両端部が、それぞれ、初期に反対方向に同量だけ移動されることにより、レンズアレイ4aおよび発光素子4bが、すでに調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置を通る主走査方向の軸を略中心として回転する。これにより、調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。また、パターンEおよびFにおいて
、θおよびθ′方向の初期位置が設定されないことで、同じく中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。
このようなパターンEおよびFにおいて、両端部の発光素子4b1,4b3のピントが合っている範囲が最大であるときの露光調整位置を表5に示す。
【0103】
【表5】
【0104】
まず、パターンEにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表5に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、−κ+(κ+λ)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、+κ−(κ+λ)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、+λ−(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、−λ+(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。このときの調整でも、前述と同様に、すでに調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。
【0105】
次に、パターンFにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表5に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、+κ−(κ+λ)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、−κ+(κ+λ)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、−λ+(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、+λ−(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。このときの調整でも、前述と同様に、すでに調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。
【0106】
そして、第1および第2位置調整機構52c,53Cの各方向の露光調整位置が、このように各パターンE,Fにおける両端部の発光素子4b1,4b3のピント合致範囲が最大のときの露光調整位置に調整される。これにより、両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置がより最大にピントが合うように調整される。こうして、3列の発光素子4b1,4b2,4b3の露光位置がより最大にピントが合うように調整される。
【0107】
図7は、露光位置調整装置による露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
図7に示すように、まずステップS1で露光位置調整が開始される。次いで、ステップS2で、露光装置4を各パターンA,B,C,D毎にそれらのパターンの初期位置に設定する。その後、各パターンA,B,C,D毎に中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線(副走査方向)画像を印字する。次に、ステップS3でピントが合っている範囲55aが最大幅であるパターンを選択する。
【0108】
次いで、ステップS4で表3に記載されたパターンのうち、選択されたパターンの露光調整位置にしたがって露光位置を調整する。次にステップS5で、再度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次にステップS6で、各々の調整位置をδ、ε、θ、δ′、ε′、θ′方向の新たな位置として表3を適用して、露光位置を再度調整する。
【0109】
次に、ステップS7で、再度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次いで、ステップS8で、印字された1ドット幅縦線画像のピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS9で露光装置4を表4に記載されているパターンEまたはFの初期位置に設定する。その後、両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次に、ステップS10で表5に記載されたパターンEまたはFの露光調整位置にしたがって露光位置を調整する。次にステップS11で、再度、両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。
【0110】
次いで、ステップS12で、印字された1ドット幅縦線画像のピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS13で露光装置4の3列の発光素子4bのすべてのピントがより最大に合ったとして、露光位置の調整を終了する。
【0111】
また、ステップS8またはS12でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLでないと判断したときは、ステップS14でその露光装置4を破棄して、別の露光装置4に交換する。その後、ステップS1に移行して、露光位置調整を開始する。以後、前述と同様に、ステップS1ないしS14の各処理を再度実行する。
【0112】
このように構成されたこの実施の形態の画像形成装置1の露光装置4によれば、2次元配列されたレンズアレイ4aと2次元配列された発光素子4bとを、各発光素子4bの露光位置であって副走査方向の中央位置での主走査方向の軸を略中心として回転調整する第1および第2位置調整機構52c53c,52d53dを設けている。また、これらのレンズアレイ4aと2次元配列された発光素子4bとを、副走査方向に移動調整する第3位置調整機構52e53e)を設けている。これにより、各発光素子4bの露光位置を、ピントの合った位置に設定することができる。したがって、レンズアレイ4aの前述の利点に相俟って、感光体2にピントの合ったより一層良好な潜像を描くことができる。
【0113】
しかも、各発光素子4bの露光位置をピントの合った位置に設定できることから、露光装置4を画像形成装置1に組み込んだとき、不合格となる露光装置4を低減できる。したがって、露光装置4の歩留まりを向上することができる。
【0114】
更に、レンズアレイ4aおよび発光素子4bを主走査方向の少なくとも一側端を感光体2に副走査方向に2点で支持している。これにより、回転露光位置調整機構を簡単な構成にすることが可能となる。
【0115】
更に、この例の露光位置調整方法によれば、まず、各発光素子4bおよび各レンズアレイ4aを副走査方向に移動させて、各露光位置における副走査方向の中央位置を調整して
いる。次に、各発光素子4bおよび各レンズアレイ4aを、各露光位置における副走査方向の中央位置での主走査方向の軸を略中心として回転させて、各露光位置における副走査方向の両端部の位置を調整する。これにより、各発光素子4bの露光位置をより一層高度にピントの合った位置に、より簡単に設定することができる。
【0116】
なお、本発明の露光装置は、レンズアレイ4aと発光素子4bとを副走査方向に移動調整可能にし、かつ主走査方向および副走査方向のいずれにも直交する方向に移動調整可能にすることもできる。この場合には、前述の例のようにレンズアレイ4aおよび発光素子4bの回転による位置調整は行われないが、前述の所期の効果を得ることができ、前述の本願発明の課題を解決することができる。しかし、各発光素子4bの露光位置をより高度にピントのあった位置に設定するためには、前述の例のようにレンズアレイ4aと発光素子4bの位置を、副走査方向の移動と主走査方向の軸を中心とする回転とにより調整することが好ましい。
【0117】
ところで、この例の画像形成装置1では、液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが用いられている。図13に示すように、液体現像剤23は、前述のように高粘度の不揮発性液体キャリア35中に固形分トナー(トナー粒子)34aを含んだ液体トナー34を分散させたものである。
【0118】
そして、液体キャリア35は高粘度であることから、現像ローラ19のω方向の回転によって搬送されてきた液体現像剤23は、現像ローラ19と感光体2とのニップ部を通過した後、液体キャリア35は現像ローラ6に付着した液体キャリア35′と感光体2に付着した液体キャリア35″とに分離する。このとき、液体キャリア35は、両液体キャリア35′,35″が泣き別れするキャリア分離部35aで矢印ρ,ρ′方向に引っ張られる。このため、分離した液体キャリア35″に脈動が生じて、図14に示すように感光体2には、盛り上がっている部分35b″と凹んでいる部分35c″とが交互に存在したリブ35dが形成される。このリブ35dは、略主走査方向に波打って形成される。そして、液体キャリア35中の固形分トナー34aがリブ35dによって乱されるようになる。
【0119】
一方、露光の大きさと潜像電位は図15に示す関係にある。すなわち、露光された感光体2の帯電電位2aは露光エネルギによって低減される。図15において、帯電電位2a1は1ドット露光による露光部の帯電電位であり、図15に示すように帯電電位2a2は2ドット露光による露光部の帯電電位である。その場合、2ドット露光による露光部の帯電電位2a2はドット露光による露光部の帯電電位2a1より小さくなっており、2ドット露光による露光電位は1ドット露光による露光電位より大きい。つまり、1ドットを重ねた2ドット以上の露光の露光エネルギは、1ドット露光の露光エネルギより大きい。したがって、図13に示す矢印ψ方向の現像装置5と感光体2との間の現像電界は、2ドット以上の露光の露光部の方が1ドット露光の露光部より強くなる。
【0120】
そして、発光素子4bからの光の露光焦点がずれると、つまり、発光素子4bからの光のピントが合わないと、露光エネルギが低くなり、1ドット露光による感光体2の帯電電位が浅くなる(感光体2の一様帯電時の帯電電位から大きく変化しない)。したがって、前述のように1ドット露光における現像電界が弱いことから、1ドット幅縦線画像が前述のリブ35dによって揺さぶられる。このため、図16に示すように1ドット幅縦線画像58は、2ドット露光幅縦線画像59および3ドット露光幅縦線画像60に比べて乱れが発生する。
【0121】
したがって、各発光素子4bの露光位置をピントの合った位置に設定することができる本発明の露光装置4を、液体現像剤23を用いた画像形成装置1の露光装置に適用することで、現像電界が比較的弱い1ドット幅縦線画像も、前述の液体現像剤23のリブ35d
による乱れを抑制することができる。なお、図15中、5aは1ドット幅露光における現像幅、5bは2ドット幅露光における現像幅、5dは現像ローラ19の現像電位である。
【0122】
次に、本発明の露光装置の露光位置調整装置の実施例および比較例について説明する。実施例および比較例は、それぞれ実施例1,2、および比較例1,2の2つずつを行った。各例とも、図3に示す3列の発光素子4bを有する露光装置4を用いて、露光調整終了後に1ドット幅縦線画像の印字を行った。このとき、図1に示す液体現像剤を用いたタンデム型の画像形成装置1のシアンCの露光装置4Cをそれぞれ露光位置調整装置を取り付けた露光装置4に代えて、シアンの画像形成部のみを駆動して印字を行った。その場合、シアンCの感光体2Cから、中間転写ベルト10を経由して記録材54へシアンCのトナー像を転写した。感光体2Cには公知のアモルファスシリコンの感光体を用いた。使用としたトナーは、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂に、シアンの顔料フタロシアニンブルーを分散させた、例えば平均粒径2μmの粒子からなるシアンCのトナーを用いた。また、記録54として富士ゼロックス社製J紙を用いて実験を行った。その他の条件は、以下に述べることは以外は、実施例1,2および比較例1,2とも、同じ条件で実験を行った。そして、1ドット幅縦線画像を顕微鏡で観察して、ピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであることが認められたときを合格として、それ以外を不合格とした。
【0123】
(実施例1)
実施例1では、図2および図5に示されている第1および第2露光位置調整装置52,53を用いて、図7に示されている露光位置調整の手順のフローにしたがって、露光位置の調整を行った。
【0124】
(実施例2)
実施例2では、図8および図9に示されている第1および第2露光位置調整装置52,53を用いて、図10に示されている露光位置調整の手順のフローにしたがって、露光位置の調整を行った。すなわち、図8および図9に示すように、この実施例2では露光装置4の発光素子支持部材4dと露光装置支持部材52a,53aの上底52a1,53a1との間に、予め設定された設定厚の背面スペーサ52b′,53b′が所定枚数(図示例では、3枚)設けられる。そして、図示しない調整ねじにより発光素子支持部材4dを露光装置支持部材52a,53aにねじ止めすることで、発光素子支持部材4dの幅方向中央に位置するレンズアレイ4a2と感光体2とのξ,ξ′方向の距離を調整する。なお、図8には、ξおよびξ′方向の露光位置調整を行う調整ねじが図示省略されている。ξおよびξ′方向の露光位置調整を行う位置調整機構の調整ねじは、実施例1の第1および第2位置調整機構52c,53c;52d,53dの第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1)と同じものが用いられる。このξおよびξ′方向の露光位置調整を行う位置調整機構は、本発明の第1および第2の方向直交方向露光位置調整部である主副走査方向直交方向露光位置調整部を構成している。
【0125】
また、発光素子支持部材4dと露光装置支持部材52a,53aの一方の側壁52a2,53a2との間に、予め設定された設定厚の背面スペーサ52e′,53e′が所定枚数(図示例では、1枚)設けられる。そして、側面ねじ52e1′,53e1′により発光素子支持部材4dを露光装置支持部材52a,53aにねじ止めすることで、感光体2に対する各レンズアレイ4a1,4a2,4a3のθ,θ′方向の位置を調整する。
したがって、実施例2では、実施例1と同様のθおよびθ′方向の露光位置調整と、露光装置4の幅方向中央位置でのξおよびξ′方向の露光位置調整を行った。
【0126】
そして、実施例1と同様に、この実施例2でも調整量下限値、調整量上限値、異なる初期位置の組合せであるパターン、およびピント合致範囲が最大であるときの露光調整位置がそれぞれ設定されている。それらを、それぞれ表6ないし表8に示す。
【0127】
【表6】
【0128】
表6に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の調整量下限値は、−dξに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量下限値は、−dθに設定される。また、第1位置調整機構52cのξ方向の調整量上限値は、+dξに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量上限値は、+dθに設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の調整量下限値は、−dξ′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量下限値は、−dθ′に設定される。また、第2位置調整機構53cのξ′方向の調整量上限値は、+dξ′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量上限値は、+dθ′に設定される。
【0129】
【表7】
【0130】
表7に示すように、中央の発光素子4b2の露光位置を調整するために初期印字する露光位置調整画像の露光位置調整パターンを、この例では4つのパターンG,H,I,Jが設定される。これらのパターンG,H,I,Jは、ξ,θ,ξ′,θ′方向の各初期位置の種々異なる組合せである。
【0131】
まず、パターンGについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ−dξおよび+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ+dξ′および−dθ′の位置に設定される。
【0132】
次に、パターンHについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ−dξおよび−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ+dξ′および+d
θ′の位置に設定される。
【0133】
次に、パターンIについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ+dξおよび+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ−dξ′および−dθ′の位置に設定される。
【0134】
次に、パターンJについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ+dξおよび−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ−dξ′および+dθ′の位置に設定される。
【0135】
【表8】
【0136】
次に、パターンGにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表
8に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、−dξ+(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、+dθ−(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、+dξ′−(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′+(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0137】
次に、パターンHにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、−dξ+(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、+dξ′−(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0138】
更に、パターンIにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、+dξ−(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、+dθ−(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、−dξ′+(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′+(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0139】
更に、パターンJにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、+dξ−(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、−dξ′+(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0140】
次に、実施例2における露光位置調整の手順について説明する。図10は、図8および図9に示す第1および第2位置調整機構52c,53Cによる露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
図10に示すように、まずステップS21で露光位置調整が開始される。次いで、ステップS22で、露光装置4を各パターンG,H,I,J毎にそれらのパターンの初期位置に設定する。その後、各パターンG,H,I,J毎に中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次に、ステップS23でピントが合っている範囲55aが最大幅であるパターンを選択する。
【0141】
次いで、ステップS24で表8に記載されたパターンのうち、選択されたパターンの露光調整位置にしたがって露光位置を調整する。次にステップS25で、再度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次にステップS26で、各々の調整位置をξ、θ、ξ′、θ′方向の新たな位置として表8を適用して、露光位置を再度調整する。次にステップS27で、再々度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。
【0142】
次いで、ステップS28でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS29で、ステップS26での再度調整位置で両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次に、ステップS30で各々の調整位置を新たなξ,θ,ξ′,θ′方向の位置として表8を適用し、露光位置を再々度調整する。次にステップS31で、再々度、両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。
【0143】
次いで、ステップS32でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS33で露光装置4の3列の発光素子4bのすべてのピントがより最大に合ったとして、露光位置の調整を終了する。
【0144】
また、ステップS28またはS32でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLでないと判断したときは、ステップS34でその露光装置4を破棄して、別の露光装置4に交換する。その後、ステップS21に移行して、露光位置調整を開始する。以後、前述と同様に、ステップS21ないしS34の各処理を再度実行する。
【0145】
(比較例1)
比較例1では、露光位置調整画像として1ドット幅横線(主走査方向)画像を用いた。横線画像を印字する場合は、連続する像が描けるように、感光体2の移動速度に合わせて、中央の発光素子4b2、両端部の発光素子4b1,4b3の点灯タイミングを制御する。この比較例1では、露光装置の初期位置での調整は実施例1の場合と同様に行うが、本発明における露光位置の調整は行われない。この比較例1では、図11に示すようにピントが合っていないと、1ドット幅横線潜像が浅くなることで前述のリブにより揺さぶられ、横線画像56に横線が途切れる部分56a、横線の幅が乱れる部分56b、横線がかすれた部分56cが発生したりした。このように、発光素子4bのピントが合っていないと、正常な画像を得ることは難しい。なお、図11には、説明の便宜上、横線が途切れる部分56aや横線の幅が乱れる部分56bなどのピントが合っていないと判断されるいくつかの場合を一緒に示してある。また、露光位置調整画像を横線画像とした場合、横線の幅乱れの程度が小さいばかりでなく、感光体2の回転速度むらによっても横線の幅乱れが生じるので、1ドット幅横線ではピントが合っている範囲を正確に判断することは難しい。
【0146】
(比較例2)
比較例2では、露光位置調整画像として1ドット画像と1ドット幅縦線画像とを用いた。この比較例2でも、露光装置の初期位置での調整は実施例1の場合と同様に行うが、本発明における露光位置の調整は行われない。図12(a)に示すように、1ドット画像57では、1ドット画像57の領域57aではドット画像57が比較的整列しているので、ピントが合っていると判断される可能性がある。しかし、図12(b)に示すように、同じ露光装置4で露光位置調整画像として1ドット幅縦線画像58を描くと、領域58a(前述の領域57aに相当)では連続した1ドット幅縦線画像が描かれず、ピントが合っていないことが検知される。したがって、1ドット画像でも前述の1ドット幅横線の場合と同様にピントが合っている範囲を正確に判断することは難しい。したがって、露光位置調整画像として1ドット幅縦線画像58を用いることが、ピントが合っている範囲を正確に判断することができるので、好ましい。
【0147】
実施例1,2および比較例1,2における露光装置4の合格率を表9に示す。その場合、初期位置での露光位置調整でピントの合っている幅が略露光部最大幅LLである場合には、合格とし、この幅が略露光部最大幅LL未満である場合には、不合格とした。そして、表9において露光装置4の合格率は、約1ヶ月間に1万個当たり合格した露光装置の数の百分率で表されている。そして、露光装置4の合格率が80%以上を良と判定し、80%未満を不良と判定した。
【0148】
【表9】
【0149】
表9に示すように、実施例1では露光装置4の合格率が99. 99%であり、また、実施例2では露光装置4の合格率が81. 35%であった。また、比較例1では露光装置4の合格率が78. 82%であり、また、比較例2では露光装置4の合格率が66. 47%であった。これにより、レンズアレイと発光素子群とを用いた露光装置において、本発明の露光位置調整を行うことで、感光体2にピントの合った良好な潜像を描くことができることが確認された。また、同じ露光装置において、本発明の露光位置調整を行わないと、感光体2にピントの合った良好な潜像を描くことができないことが確認された。
【0150】
図17は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
図17に示すようにこの例の露光装置4では、第2露光位置調整装置53が、図5に示す例の露光装置4の2つの第1および第2位置調整機構53c,53dに代えて、1つの第4位置調整機構53fを備えている。この第4位置調整機構53fは、発光素子支持部材4dにその長手方向の中央または略中央に位置して設けられた第4位置調整ねじ53f1を備えている。その場合、第4位置調整ねじ53f1は発光素子支持部材4dに図17において上下方向に螺合されて貫通している。第4位置調整ねじ53f1の下端にも、例えば潤滑性を有する樹脂等からなる半球状の潤滑部材53f2が固定される。この潤滑部材53f2は、その球面部が感光体2の非画像部の外周面に当接される。
【0151】
第1露光位置調整装置52は、図2および図5に示す実施例1の第1露光位置調整装置52と同じである。したがって、この例の露光装置4は、第1露光位置調整装置52側が2点支持で、また第2露光位置調整装置52側が1点支持の3点支持とされている。この例の画像形成装置1および露光装置4の他の構成は、それぞれ実施例1と同じである。
そして、この例の露光装置4でも、実施例1と同様の手順にしたがって、露光位置の調整が行われる。この例の露光装置4でも、前述の実施例1と同等の作用効果を得ることが可能となる。
【0152】
図18は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
図18に示すようにこの例の露光装置4では、第1および第2露光位置調整装置52,53が、それぞれ図5に示す実施例1と同様に2つの第1および第2位置調整機構53c,53dを備えている。その場合、この例でも、実施例1と同様にこれらの第1および第2位置調整機構53c,53dは、それぞれ第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1を有している。各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の下端には、実施例1と同様の半球状の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2が固定されている。そして、各潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の球面部が、それぞれ感光体2の近傍に位置する装置本体1a(本発明の感光体2を支持するフラ
ンジに相当)の図18において上面1a1に支持されている。この例における画像形成装置1および露光装置4の他の構成は、それぞれ実施例1と同じである。そして、この例の露光装置4でも、実施例1と同様の手順にしたがって、露光位置の調整が行われる。
【0153】
この例の露光装置4によれば、レンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3を感光体2の近傍に位置する装置本体12aに支持することで、感光体2から発生する振動の影響を抑制でき、像の安定した書込が可能となる。この例の露光装置4の他の作用効果は、前述の実施例1と同様である。
【0154】
図19は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
図19に示すようにこの例の露光装置4では、第1および第2露光位置調整装置52,53が、それぞれ図5に示す実施例1と同様に2つの第1および第2位置調整機構53c,53dを備えている。その場合、この例でも、実施例1と同様にこれらの第1および第2位置調整機構53c,53dは、それぞれ第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1を有している。各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の下端には、実施例1と同様の半球状の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2が固定されている。そして、各潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の球面部が、それぞれ感光体2の非画像部の外周面に当接されている。
【0155】
また、3列のレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3の感光体2表面への照射位置4e1,4e2,4e3は、いずれも、副走査方向で各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の球面部の感光体2への当接位置(支持点)の間となるように設定されている。したがって、各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の感光体2への支持点の副走査方向の最大幅W1が、3列のレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3の感光体2表面への照射位置4e1,4e2,4e3の副走査方向の最大幅W2(つまり、発光素子4b1,4b2,4b3の照射領域の副走査方向の最大幅)より大きく設定される(W1>W2)。この例における画像形成装置1および露光装置4の他の構成は、それぞれ実施例1と同じである。そして、この例の露光装置4でも、実施例1と同様の手順にしたがって、露光位置の調整が行われる。
【0156】
この例の露光装置4によれば、各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の感光体2への支持点の副走査方向の最大幅W1を各レンズアレイ4a1,4a2,4a3および各発光素子4b1,4b2,4b3の感光体2表面への照射位置4e1,4e2,4e3の副走査方向の最大幅W2より大きく設定している。したがって、露光装置4の安定した位置決めが可能となる。また、各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の調整操作量に対して各レンズアレイ4a1,4a2,4a3および各発光素子4b1,4b2,4b3の照射位置4e1,4e2,4e3の調整量が小さくなる。これにより、各レンズアレイ4a1,4a2,4a3および各発光素子4b1,4b2,4b3の照射位置4e1,4e2,4e3の調整をよりきめ細かく、より正確にかつより簡単に行うことが可能となる。この例における画像形成装置1および露光装置4の他の作用効果は、それぞれ実施例1と同じである。
【0157】
図20は、本発明の画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す図である。
前述の実施の形態の各例では、いずれも、画像形成装置1の装置本体1aに支持された第1および第2露光位置調整装置52,53に露光装置1を支持している。前述の実施の形態の各例では、いずれも、露光装置1が第1および第2露光位置調整装置52,53を
備えていない。これに対して、図20に示すように、この例の画像形成装置1は、第1および第2露光位置調整装置52,53が露光装置4に組み込まれている。すなわち、この例の露光装置4は第1および第2露光位置調整装置52,53を備えている。そして、露光装置4自体が装置本体1aに支持されている。その場合、露光装置4の第1および第2露光位置調整装置52,53が装置本体1aに支持される。この例の露光装置4によれば、第1および第2露光位置調整装置52,53を備えているので、露光装置4の装置本体への組付けが容易になる。
この例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は、前述の各例と同じである。
【0158】
なお、本発明は前述の実施の形態の各例に限定されることはなく、第1の方向である主走査方向および第1の方向である副走査方向に2次元にそれぞれ配列された発光素子アレイとレンズアレイとを備える露光装置およびそれを備えた画像形成装置であれば、どのような露光装置およびそれを備えた画像形成装置にも適用することができる。また、本発明の露光位置調整機構は、前述の例のねじによる露光位置調整機構の他に、他の露光位置調整機構を用いることもできる。要は、本発明は特許請求の範囲に記載されて事項の範囲内で、種々設計変更可能とである。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に用いられている露光装置の斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う断面を模式的に示す図である。
【図4】図2に示す露光装置によるビームスポットおよび結像を説明する図である。
【図5】この例の露光位置調整装置を模式的に示し、図2におけるV−V線に沿う断面図である。
【図6】初期印字した露光位置調整画像を模式的に示す図である。
【図7】図5に示す例の露光位置調整装置による露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
【図8】他の例の露光位置調整装置を模式的に示し、図5と同様の断面図である。
【図9】図8に示す例の露光位置調整装置を模式的に示し、図2と同様の斜視図である。
【図10】図8に示す例の露光位置調整装置による露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
【図11】比較例1における横線画像を示す図である。
【図12】比較例2における横線画像を示し、(a)は1ドット画像を示す図、(b)は1ないし3ドット幅縦線画像を示す図である。
【図13】現像ローラから感光体へ移行する液体現像剤の挙動を説明する図である。
【図14】液体現像剤におけるリブを説明する図である。
【図15】露光の大きさと潜像電位との関係を示す図である。
【図16】1ドット幅縦線画像の乱れについて説明する図である。
【図17】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【図18】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【図19】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【図20】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【符号の説明】
【0160】
1…画像形成装置、1a…装置本体、2Y,2M,2C,2K…各色の感光体、3Y,3M,3C,3K…帯電装置、4,4Y,4M,4C,4K…露光装置、4a…レンズアレイ、4a1,3…両端部のレンズアレイ、4a2…中央のレンズアレイ、4b…発光素子、4b1,3…両端部の発光素子、4b2…中央の発光素子、4d…発光素子支持部材、5Y,5M,5C,5K…各色の現像装置、19,19Y,19M,19C,19K…現像ローラ、52…第1露光位置調整装置、53…第2露光位置調整装置、52a,53a…露光装置支持部材、52b,53b…弾性背板、52c,53c…第1位置調整機構、52c1,53c1…第1位置調整ねじ、52d,53d第2位置調整機構、52d1,53d1…第2位置調整ねじ、52e,53e第3位置調整機構、52e1,53e1…第3位置調整ねじ、53f1…第4位置調整ねじ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を有する発光素子アレイと発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイとを有する露光装置の技術分野に関する。また、この露光装置を備えかつ液体現像剤を用いた、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元的にそれぞれ配設された複数の発光素子を有する発光素子アレイと発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイとを有する露光装置が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。特許文献1に記載の露光装置では、これらの発光素子アレイおよびレンズアレイは、主走査方向である第1の方向および前記第1の方向と直交または略直交する走査方向である第2の方向に配接されている。そして、発光素子からの光により、感光体が2列のスポットで露光される。また、特許文献2に記載の露光装置では、複数列の発光素子からの光が感光体にライン状に照射されて潜像が形成される。その場合、すべての発光素子からの光が1つの光学系レンズで感光体に結像される。
【0003】
レンズアレイを用いると、レンズアレイを用いない従来の露光装置よりも大きい発光素子を用いることが可能となる。したがって、レンズアレイを用いることで、露光強度の増加、寿命延長、発光素子の選択肢の拡大などの利点が得られる。
【特許文献1】特開平6−278314号公報。
【特許文献2】特開2001−63139号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レンズアレイを用いると、発光素子からの光の感光体へのピント合わせが難しい。したがって、従来、2次元的にそれぞれ配列された発光素子アレイおよびレンズアレイを有する露光装置を画像形成装置に組み込んだとき、ピントが合わない場合が生じている。このため、ピント合わせの所定の基準を満たして合格する露光装置が低減し、露光装置の歩留まりが悪いという問題がある。
しかしながら、前述の特許文献1および2に記載の露光装置では、この問題を効果的に解決することは難しい。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、レンズアレイおよび発光素子を用いても、より高度にピントを合わせることのできる露光装置およびこの露光装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明に係る露光装置および画像形成装置では、発光素子アレイおよびレンズアレイを支持する支持部材を移動させて感光体へ露光位置を調整する露光位置調整機構とを備えている。これにより、各発光素子の露光位置を、ピントの合った位置に設定することができる。したがって、レンズアレイの前述の利点に相俟って、像担持体にピントの合った良好な潜像を描くことができる。
【0007】
また、本発明では、露光位置調整機構に、前述の支持部材を第1の方向の軸を中心として回転させる回転露光位置調整部を設けている。これにより、第1の方向と直交またはほ
ぼ直交する第2の方向の各発光素子の露光位置を、より一層高度にピントの合った位置に簡単に設定することができる。第1の方向は感光体の長手方向に沿うようにすることが好ましい。
【0008】
更に、本発明では、露光位置調整機構に、支持部材を前述の第2の方向に移動させる第2の方向露光位置調整部を設けている。これにより、各発光素子の露光位置を、更に一層高度にピントの合った位置に簡単に設定することができる。
【0009】
更に、本発明では、支持部材の第1の方向の一側端を、感光体または感光体を支持するフランジに第2の方向に2点で支持するか、あるいは、支持部材の一側端を、感光体または感光体を支持するフランジに第2の方向に2点以上で支持しかつ支持部材の他側端を、感光体または感光体を支持するフランジに1点以上で支持している。これにより、回転露光位置調整機構を簡単な構成にすることが可能となる。特に、発光素子アレイおよびレンズアレイを感光体を支持するフランジに支持することで、感光体から発生する振動の影響を抑制でき、像の安定した書込が可能となる。
【0010】
更に、本発明では、感光体またはこの感光体を支持するフランジに支持される支持部材の一側端の支持点の第2の方向の最大幅を、発光素子からの光が照射される感光体における照射領域の第2の方向の最大幅より大きく設定する。したがって、露光装置4の安定した位置決めを行うことが可能となる。また、各発光素子および各レンズアレイの位置調整操作量に対しておよび各発光素子アレイおよび各レンズアレイの照射位置の調整量が小さくなる。これにより、各発光素子アレイおよび各レンズアレイの照射位置の調整をよりきめ細かく、より正確にかつより簡単に行うことが可能となる。
【0011】
更に、本発明では、露光位置調整機構に、発光素子アレイおよびレンズアレイを、前述の第1および第2の方向のいずれにも直交する方向に移動させる第1および第2の方向直交方向露光位置調整部を設けている。これによっても、各発光素子の露光位置を、より一層ピントの合った位置に簡単に設定することができる。
【0012】
しかも、各発光素子の露光位置をピントの合った位置に設定できることから、露光装置を画像形成装置に組み込んだとき、不合格となる露光装置を低減できる。したがって、露光装置の歩留まりを向上することができる。
【0013】
更に、各発光素子の露光位置をピントの合った位置に設定することができる本発明の露光装置を、液体現像剤を用いた画像形成装置の露光装置に適用することで、現像電界が比較的弱い1ドット幅縦線(第2の方向)画像においても、液体現像剤を用いることで生じる液体キャリヤのリブによる乱れを抑制することができる。
【0014】
更に、本発明に係る露光装置および画像形成装置において露光位置を調整するためには、発光素子アレイおよびレンズアレイを支持する支持部材を前述第2の方向に移動させて、露光位置における第2の方向の中央位置を調整する。次に、露光位置における前述の第2の方向の両端部の位置を調整する。これにより、各発光素子の露光位置をピントの合った位置に、より簡単に設定することができる。特に、露光位置における前述の第2の方向の両端部の位置の調整を、前述の第1の方向の軸を中心として回転させることで行うことにより、各発光素子の露光位置を、より一層高度にピントの合った位置に簡単に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す
図である。
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
各感光体2Y,2M,2C,2Kは、図1に示す例ではいずれも、感光体ドラムから構成されている。なお、各感光体2Y,2M,2C,2Kは、無端ベルト状に構成することもできる。
【0016】
これらの感光体2Y,2M,2C,2Kは、いずれも作動時に図1に矢印αで示すように時計回りに回転するようにされている。各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、帯電装置3Y,3M,3C,3Kが設けられている。また、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光装置4Y,4M,4C,4K、現像装置5Y,5M,5C,5K、感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6K、一次転写装置7Y,7M,7C,7K、および除電装置8Y,8M,8C,8Kが配設されている。なお、図示しないが、各除電装置8Y,8M,8C,8Kと各帯電装置3Y,3M,3C,3Kとの間には、それぞれ感光体クリーニング装置が配設されている。
【0017】
また、画像形成装置1は、中間転写媒体である無端状の中間転写ベルト10を備えている。この中間転写ベルト10は図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ11および一対の従動ローラ12,13に張架されて図1において反時計回りに回転可能に設けられている。その場合、ベルト駆動ローラ11と一方の従動ローラ12は互いに、搬送されてくる紙等の記録材の矢印で示す移動方向(図1において下から上方向)に所定間隔を置いて隣接して配設されている。更に、ベルト駆動ローラ11と他方の従動ローラ13は互いに各感光体2Y,2M,2C,2Kのタンデム配置方向に沿って離間して配設されている。更に、中間転写ベルト10はテンションローラ14によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。
【0018】
なお、この例の画像形成装置1では、各感光体2Y,2M,2C,2Kおよび各現像装置5Y,5M,5C,5Kは中間転写ベルト10の移動方向上流側から色Y、M、C、Kの順に配設されているが、これらの各色Y、M、C、Kの配置順は任意に設定することができる。
【0019】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kより中間転写ベルト10の回転方向下流側の各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kの近傍には、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kが配設されている。更に、中間転写ベルト10のベルト駆動ローラ11側には二次転写装置16が設けられ、また中間転写ベルト10の従動ローラ13側には中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。
【0020】
なお、図示しないが、この例の画像形成装置1は、二次転写を行う従来の一般的な画像形成装置と同様に、二次転写装置16より記録材搬送方向上流側に例えば紙等の記録材を収納する記録材収納装置と、この記録材収納装置からの記録材を二次転写装置16へ搬送供給するレジストローラ対とを備えている。また、この画像形成装置1は、同様に二次転写装置16より記録材搬送方向下流側に定着装置および排紙トレイを備えている。
【0021】
各帯電装置3Y,3M,3C,3Kはそれぞれ、例えば帯電ローラ等の帯電部材からなる。各帯電装置3Y,3M,3C,3Kには、図示しない電源装置から液体現像剤の帯電極性と同極性のバイアスがそれぞれ印加される。そして、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kは
、それぞれ、対応する感光体2Y,2M,2C,2Kを帯電するようになっている。
【0022】
図2は露光装置の斜視図であり、図3は露光装置の横断面を模式的に示す図である。各露光装置4Y,4M,4C,4Kは、いずれも同じ構成を有している。したがって、以下の露光装置の説明においては、図2および図3に示すように、各露光装置4Y,4M,4C,4Kの符号Y,M,C,Kを削除して説明する。
【0023】
図2および図3において、露光装置4は、レンズアレイ4aおよび複数の発光素子4bを有する発光素子アレイを備えている。これらのレンズアレイ4aおよび発光素子4bは、それぞれ所定の数だけ感光体2の長手方向(感光体2の軸方向)に沿う第1の方向である主走査方向に直線状に配列される。更に、これらのレンズアレイ4aおよび発光素子4bの列がそれぞれ所定の列数(図示例では、3列;以下、この3列で説明する)だけ、前述の第1の方向と直交またはほぼ直交する第2の方向である副走査方向(感光体2の移動方向)に、マトリックス状に2次元配列されている。その場合、レンズアレイ4aおよび発光素子4bは、主走査方向に長尺状に配列される。なお、発光素子4bの数はレンズアレイ4aの数以上にされる。
【0024】
各レンズアレイ4aおよび各発光素子4bは、それぞれ、主走査方向に沿って延設された発光素子支持部材4d(本発明の支持部材に相当)に支持されている。その場合、レンズアレイ4aは各列につき所定数隣接して配置されるとともに、発光素子4bは3列の各レンズアレイ4aにそれぞれ対応して配置されて発光素子群を形成している。これら3列に並列された各レンズアレイ4a、各発光素子4b、および発光素子支持部材4dにより、この例の露光装置4におけるラインヘッドが構成されている。
【0025】
レンズアレイ4aおよび発光素子4bの各列は、図3において右端部の第1列に中央の第2列が隣接するとともに中央の第2列に左側の第3列が隣接するようにして配置されている。発光素子群の各発光素子4bには、例えば半導体レーザ、LED、あるいは有機ELなどを使用することができる。そして、各発光素子4bから発せられた光が感光体2の表面に、それぞれ対応するレンズアレイ4aを通して焦点(ピント)が合わせられて照射される。その場合、各発光素子4bからの光は、結像可能な範囲であるビームスポット4eで感光体2の表面に照射される。これにより、感光体2への印字(像の書込み)が行われ、感光体2の表面に静電潜像が形成される。
【0026】
例えば、各発光素子4bにより横線(感光体2の軸方向に延びる直線)を感光体2に印字する場合、感光体2が第1列における各発光素子4bの点灯によってそれぞれビームスポット4eで照射されることで、図4に示すように感光体2上に第1ビームスポット横列4fが形成される。このとき、各ビームスポット4e内には、それぞれ発光素子4bからの光の照射によって感光体2の電位が落ちて結像4gが形成される。ビームスポット4e内の結像4g以外の領域は光が弱いため、感光体2の電位が落ちなく結像は形成されない。この結像4gによって、感光体2の表面に横線画像の静電潜像4g1が印字される。
【0027】
同様にして、第2および第3列における各発光素子4bによってそれぞれビームスポット4h,4iで照射されることで、感光体2上に第2および第3ビームスポット横列4j,4nがそれぞれ形成される。そして、各ビームスポット4h,4i内に形成される結像4o,4pによって、感光体2の表面に横線画像の静電潜像4o1,4p1がそれぞれ印字される。
【0028】
各列の各発光素子4bによる各横線画像の静電潜像4g1,4o1,4p1が横一直線の静電潜像51となるように、第1ないし第3列の各発光素子4bがそれぞれ感光体2の回転速度に応じて点灯される。すなわち、感光体2が矢印α方向(図3において反時計回り)
に回転するとすると、まず第1列の各発光素子4bがそれぞれ点灯され、次いで第2列の各発光素子4bがそれぞれ感光体2の回転速度に応じて点灯され、最後に第3列の各発光素子4bがそれぞれ感光体2の回転速度に応じて点灯される。その場合、感光体2の回転にむらが生じると、静電潜像は横一直線とはならず、乱れた静電潜像51′となる。したがって、感光体2の回転は可能な限りむらを生じないようにすることが求められる。
【0029】
各現像装置5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ、現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kと、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと、現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kと、現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kとを備えている。
【0030】
各現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ、固形分トナーであるトナー粒子および不揮発性液体キャリアからなる液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを収納する現像剤容器24Y,24M,24C,24Kと、現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kと、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kと、現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kとを備えている。
【0031】
各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内に収納される液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、いずれも、高粘度(例えば、粘度30〜2000mPa・s)の不揮発性液体キャリア(例えば、シリコーンオイル、ミネラルオイルなどのトナーの帯電を逃がさない絶縁油)中に固形分トナー(トナー粒子)(画像形成時には帯電される)を分散させたものである。トナー粒子としては、トナーに使用される公知の熱可塑性樹脂中へ同じく公知の顔料等の着色剤を分散させた例えば平均粒径1μmの粒子を用いることができる。
【0032】
各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、それぞれ、各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを汲み上げて各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kに供給するローラである。各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、いずれも図1において矢印で示す時計まわりに回転するようにされている。また、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも、円筒状の部材で表面に微細かつ一様に螺旋状の溝を形成したローラである。溝の寸法は、例えば、溝ピッチが約170μm、溝深さが約30μmに設定される。もちろん、溝の寸法はこれらの値に限定されることはない。各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと同じ方向で図1において矢印で示す反時計まわりに回転するようにされている。なお、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと連れ回りで回転するようにすることもできる。すなわち、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの回転方向は、限定されず任意である。
【0033】
各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接して設けられている。これらの現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接する、ウレタンゴム等からなるゴム部と、このゴム部を支持する金属等の板とから構成されている。そして、各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの溝部以外の表面に付着する液体現像剤をゴム部で掻き落として除去する。したがって、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、それらの溝部内に付着する液体現像剤のみを各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに供給するようになっている。
【0034】
各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kは、いずれも、例えば幅約320mmの円
筒状の部材であり、例えば鉄等金属シャフトの外周部に、導電性ウレタンゴム等の弾性体と樹脂層やゴム層を備えたものである。これらの現像ローラ19Y,19M,19C,19Kはそれぞれ各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接され、かつ図1において矢印で示すように反時計まわりに回転するようにされている。
【0035】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、図1において矢印で示すように時計まわりに回転するようにされている。そして、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kはそれぞれ電圧を印加されて、対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kを帯電するようになっている。その場合、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に設定されている。なお、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に交流電圧(AC)が重畳された電圧に設定することもできる。各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、直流電圧のみであっても、直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との重畳電圧であっても、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの間でパッシェンの法則に従って放電を開始する放電開始電圧より大きく設定される。
【0036】
これらのコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kによる各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの帯電で、それぞれ、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに押し付けられる。
【0037】
ところで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの電気抵抗が比較的重要である。すなわち、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの抵抗が低い場合には火花放電が発生し、各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kや各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20K、および各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを損傷させてしまう。そこで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは実抵抗値でLog7Ω以上であることが、このような損傷を生じることなく、各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの良好なコンパクションを均一に行ううえで好ましい。
【0038】
更に、図1には明瞭に示していないが、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、それらの外周面が対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に対して所定のギャップ(μm)を置いて配置されている。その場合、これらの各ギャップは、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kから供給された液体現像剤23Y,23M,23C,23Kで各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に形成された現像剤層の膜厚(μm)より大きく設定されている。したがって、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kに対して非接触コンパクションを行う。
【0039】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kには、それぞれ、コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kと、コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kとが設けられている。これらのコンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kは、それぞれ対応するコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kは、それぞれ、各コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kによってコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kか
ら掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0040】
更に、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、対応する現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kによって現像ローラ19Y,19M,19C,19Kから掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0041】
更に、この例の画像形成装置1は、それぞれ液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに補給する現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kを備えている。これらの現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kは、それぞれ、トナータンク31Y,31M,31C,31Kと、キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kと、撹拌装置33Y,33M,33C,33Kとを備えている。
【0042】
各トナータンク31Y,31M,31C,31Kには、それぞれ、固形分トナーが含まれた高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kが収納されている。また、各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kには、それぞれ各液体キャリア(キャリアオイル)35Y,35M,35C,35Kが収納されている。更に、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kには、各トナータンク31Y,31M,31C,31Kからの所定量の各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kと各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kからの所定量の各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kとが供給されるようになっている。
【0043】
そして、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kおよび各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kをそれぞれ混合撹拌して各現像装置5Y,5M,5C,5Kで使用する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを作製する。各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kでそれぞれ作製された各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、それぞれ各現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに供給されるようになっている。
【0044】
各感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ、スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kと、スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと、スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kとを備えている。各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの当接部(ニップ部)より各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向下流側に設置されている。そして、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと逆方向(図1において反時計回り)に回転されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを除去するようになっている。
【0045】
各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kとしては、いずれも、金属製芯金の表面に導電性ウレタンゴム等の弾性部材とフッ素樹脂製表層を配した弾性ローラが好適である。また、各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kは、いずれもゴム等の弾性体からなり、それぞれ対応するスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kの表面に当接され、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kに残留する液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き落として除去するものである。更に、各スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kは、それぞれ対応するスクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kが掻き落とした現像
剤を貯留するタンク等の容器である。
【0046】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接させる一次転写用のバックアップローラ39Y,39M,39C,39Kを備えている。各バックアップローラ39Y,39M,39C,39Kは、トナー粒子の帯電極性と逆極性の例えば約−200Vが印加されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の各色のトナー像(液体現像剤像)を中間転写ベルト10に一次転写する。
また、各除電装置8Y,8M,8C,8Kは、それぞれ、一次転写後に各感光体2Y,2M,2C,2Kに残留する電荷を除去するものである。
【0047】
各中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kは、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42Y,42C,42K,42Kとを備えている。各中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ中間転写ベルト10上の対応する色の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収するものである。また、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kのローラ上の回収した液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き取るものである。これらの中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなっている。更に、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42M,42C,42K,42Kは、それぞれ各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kで掻き取った液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収貯留するものである。
【0048】
二次転写装置16は、互いに記録材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の二次転写ローラを備えている。これらの一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向の上流側に配置される二次転写ローラが上流側二次転写ローラ43である。この上流側二次転写ローラ43はベルト駆動ローラ11に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。また、一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向の下流側に配置される二次転写ローラが下流側二次転写ローラ44である。この下流側二次転写ローラ44は従動ローラ12に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。すなわち、これらの上、下流側二次転写ローラ43,44は、それぞれ、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12に掛けられた中間転写ベルト10に記録材を当接させて、中間転写ベルト10上の各色のトナー像が合わせられたカラーのトナー像(液体現像剤像)を記録材に二次転写するようになっている。
【0049】
その場合、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12は、それぞれ二次転写時の二次転写ローラ43,44のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ11は二次転写装置16において従動ローラ12より記録材の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ12は二次転写装置16においてベルト駆動ローラ11より記録材の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
更に、二次転写時に、上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11に圧接される荷重は下流側二次転写ローラ44が従動ローラ12に圧接される荷重より大きく設定されている。
【0050】
したがって、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、上流側二次転写ローラ43とベルト駆動ローラ11との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領
域で中間転写ベルト10に密着される。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルトに密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0051】
更に、上流側二次転写ローラ43の少なくとも表層部の硬さはベルト駆動ローラ11の少なくとも表層部の硬さより小さく(柔らかく)されている。したがって、図2に示すように二次転写時に上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11に中間転写ベルト10を介して圧接されたとき、上流側二次転写ローラ43の圧接部(ニップ部)が若干円弧状に凹むようになっている。
【0052】
一方、下流側二次転写ローラ44の径は、従動ローラ12の径より小さく設定される。また、下流側二次転写ローラ44の少なくとも表層部の硬さは従動ローラ12の少なくとも表層部の硬さより大きく(硬く)されている。したがって、図2に示すように二次転写時に下流側二次転写ローラ44が従動ローラ12に中間転写ベルト10を介して圧接されたとき、従動ローラ12の圧接部(ニップ部)が若干円弧状に凹むようになっている。
【0053】
これにより、シート状の記録材は、前述の記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10により効果的に密着されて二次転写がより効率よく行われるとともに、下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接位置の通過後に中間転写ベルト10から容易に剥離するようになる。その場合、上流側二次転写ローラ43および従動ローラ12の各凹みは比較的小さいので、記録材は各ローラの各圧接位置で若干湾曲するだけである。したがって、各圧接位置での記録材の通過性は良好に保持される。
【0054】
また、二次転写装置16は、一対の二次転写ローラ43,44に対してそれぞれ二次転写ローラクリーナ45,46と二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48とを備えている。各二次転写ローラクリーナ45,46は、ともに各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなる。そして、これらの二次転写ローラクリーナ45,46は、それぞれ二次転写ローラ43,44に当接されて二次転写後に各二次転写ローラ43,44の表面に残留する現像剤を掻き落として除去する。また、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48は、それぞれ各二次転写ローラクリーナ45,46によって各二次転写ローラ43,44から掻き落とされた現像剤を回収して貯留する。
【0055】
中間転写ベルトクリーニング装置17は、中間転写ベルトクリーナ49と中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50とを備えている。中間転写ベルトクリーナ49は中間転写ベルト10に当接されて二次転写後に中間転写ベルト10の表面に残留する現像剤を掻き落として除去するものである。その場合、従動ローラ13は中間転写ベルトクリーニング時のバックアップローラとしても機能する。この中間転写ベルトクリーナ49はゴム等の弾性体からなっている。また、中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50は、中間転写ベルトクリーナ49が中間転写ベルト10から掻き落とした現像剤を回収して貯留するものである。
【0056】
このように構成されたこの例の画像形成装置1においては、画像形成動作が開始されると、各感光体2Y,2M,2C,2Kがそれぞれ各帯電装置3Y,3M,3C,3Kによって一様帯電される。次いで、各感光体2Y,2M,2C,2Kに、それぞれ各露光装置4Y,4M,4C,4Kによって各色の静電潜像が形成される。
【0057】
そして、イエローYの現像装置5Yにおいて、イエローYの液体現像剤23Yが現像剤汲み上げローラ25Yによってアニロックスローラ26Yに汲み上げられる。アニロックスローラ26Yに付着した液体現像剤23Yは、現像剤規制ブレード27Yによってアニ
ロックスローラ26Yの溝内に適正量付着される。このアニロックスローラ26Yの溝内の液体現像剤23Yは現像ローラ19Yに供給される。更に、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションでその現像ローラ19Yに押し付けられる。この状態で、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、現像ローラ19Yの回転によって感光体2Yの方へ搬送される。
【0058】
コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションが終了してコンパクションローラ20Yに残留するキャリア35Yは、コンパクションローラクリーナブレード28Yによってコンパクションローラ20Yから除去される。
【0059】
イエローYの感光体2Yに形成された静電潜像が現像装置5YにおいてイエローYの液体現像剤23Yで現像され、感光体2YにイエローYの液体現像剤像が形成される。現像が終了して現像ローラ19Yに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Yによって現像ローラ19Yから除去される。感光体2Y上のイエローYの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Yにより感光体2Y上の液体キャリア35Yが回収されてイエローYのトナー像とされる。更に、このイエローYのトナー像は一次転写装置7Yで中間転写ベルト10に転写される。中間転写ベルト10上のイエローYのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Yにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Yが回収されながらマゼンタMの一次転写装置7Mの方へ搬送される。
【0060】
次いで、マゼンタMの感光体2Mに形成された静電潜像が現像装置5Mにおいて、イエローYの場合と同様にして搬送されてきたマゼンタMの液体現像剤で現像され、感光体2MにマゼンタMの液体現像剤像が形成される。このとき、コンパクションローラ20Mによる非接触コンパクションの終了後コンパクションローラ20Mに残留するキャリア35Mは、コンパクションローラクリーナブレード28Mによってコンパクションローラ20Mから除去される。また、現像が終了して現像ローラ19Mに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Mによって現像ローラ19Mから除去される。
【0061】
感光体2M上のマゼンタMの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Mにより感光体2M上の液体キャリア35Mが回収されてマゼンタMのトナー像とされ、このマゼンタMのトナー像は一次転写装置7Mで中間転写ベルト10にイエローYのトナー像と色重ねされて転写される。同様にして、色重ねされたイエローYとマゼンタMのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Mにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Mが回収されながらシアンCの一次転写装置7Cの方へ搬送される。以下、同様にして、シアンのトナー像およびブラックのトナー像が中間転写ベルト10に順次色重ねされて転写され、中間転写ベルト10にフルカラーのトナー像が形成される。
【0062】
次いで、二次転写装置16により、中間転写ベルト10上のカラーのトナー像が紙等の記録材の転写面に二次転写される。このとき、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、ベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43との圧接開始位置(ニップ開始位置)から従動ローラ12と下流側二次転写ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10に密着される。すなわち、上下流側のニップ位置間のニップ位置にない中間転写ベルト10においても記録材は中間転写ベルト10に密着した状態となる。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルト10に密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0063】
しかも、前述のように上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11との圧接によってニップ位置で凹むので、このニップ位置を通過した記録材が中間転写ベルト10の方へ付勢される。このため、このニップ位置を通過した記録材は中間転写ベルト10により
効果的に密着されるようになる。これにより、一層良好な二次転写が行われる。更に、上流側二次転写ローラ43のベルト駆動ローラ11への圧接力が下流側二次転写ローラ43の従動ローラ12への圧接力より大きいので、これらの両圧接位置(ニップ位置)間において記録材が中間転写ベルト10から剥離し難くなる。したがって、更に一層良好な二次転写が行われる。
【0064】
更に、下流側二次転写ローラ44の径が従動ローラ12の径より小さく設定されるとともに、前述のように従動ローラ12が下流側二次転写ローラ44との圧接によってニップ位置で凹むので、このニップ位置を通過した記録材が中間転写ベルト10から離間する方向へ付勢される。これにより、記録材への二次転写がより一層良好に行われるとともに、記録材が下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接位置の通過後に中間転写ベルト10から容易に剥離するようになる。
【0065】
二次転写後に上、下流側二次転写ローラ43,44にそれぞれ残留する液体現像剤は、それぞれ二次転写ローラクリーナ45,46によって掻き落とされて各ローラ43,44から除去される。除去された液体現像剤は、それぞれ、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48に回収されて貯留される。
【0066】
記録材上に転写されたカラーのトナー像は、従来と同様に図示しない定着器によって定着される。更に、フルカラーの定着像が形成された記録材は排紙トレイに搬送されて、カラー画像形成動作が終了する。
【0067】
ところで、この例の露光装置4では、図2に示すように発光素子支持部材4dがその両端部において2つの第1および第2露光位置調整装置52,53(本発明の露光位置調整機構に相当)に支持されている。これらの第1および第2露光位置調整装置52,53は互いに同じ構成を有しており、それぞれ図示しない装置本体に支持されている。
【0068】
図5は、露光位置調整装置を模式的に示し、図2におけるV−V線に沿う断面図である。なお、図5には一方の第1露光位置調整装置52が示されているが、他方の第2露光位置調整装置53についてはこの第1露光位置調整装置52の構成とまったく同じであることから、第1露光位置調整装置52の構成要素に、括弧を付した符号で示すことで、図示を省略する。なお、以下の明細書の説明においては、第2露光位置調整装置53の各構成要素の符号については括弧を付さない。
【0069】
図5に示すように、第1および第2露光位置調整装置52,53は、それぞれ、発光素子支持部材4dの幅方向に3列並設されたレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3を備えている。各第1および第2露光位置調整装置52,53は、コ字状の露光装置支持部材52a,53aと、弾性背板52b,53bと、第1ないし第3位置調整機構52c,53c;52d,53d;52e,53eとを備えている。第1および第2位置調整機構52c,53c;52d,53dは、互いにまったく同じに構成されている。
露光装置支持部材52a、53aは上底52a1,53a1とこの上底52a1,53a1の両側縁にそれぞれ立設された側壁52a2,53a2;52a3,53a3とからなる側面視コ字状に形成されている。この露光装置支持部材52a,53aは副走査方向に延設されて装置本体に固定されている。
【0070】
弾性背板52b,53bはゴム等の弾性材からなり、露光装置支持部材52a,53aの幅方向(感光体2の副走査方向)の中央位置で露光装置支持部材52a,53aと発光素子支持部材4dとの間に介在されている。そして、発光素子支持部材4dは、露光装置支持部材52a,53aの幅方向中央位置にこの弾性背板52b,53bを介して弾性的に支
持されている。
【0071】
第1位置調整機構52c,53cは第1位置調整ねじ52c1,53c1を備えている。この第1位置調整ねじ52c1,53c1は発光素子支持部材4dの一端側に螺合されてこの発光素子支持部材4dを図5において上下方向に貫通している。第1位置調整ねじ52c1,53c1の下端には、例えば潤滑性を有する樹脂等からなる半球状の潤滑部材52c2,53c2が固定されている。この潤滑部材52c2,53c2は、その球面部が感光体2の非画像部の外周面に当接されている。
【0072】
第2位置調整機構52d,53dは第2位置調整ねじ52d1,53d1を備えている。この第2位置調整ねじ52d1,53d1は、発光素子支持部材4dの他端側の、弾性背板52b,53bの上下方向の中心線と線対称の位置に螺合されてこの発光素子支持部材4dを図5において上下方向に貫通している。第2位置調整ねじ52d1,53d1の下端には、例えば潤滑性を有する樹脂等からなる半球状の潤滑部材52d2,53d2が固定されている。この潤滑部材52d2,53d2も、その球面部が感光体2の非画像部の外周面に当接されている。したがって、レンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3は、それぞれそれらの長尺方向の両端が4点で感光体2の非画像部の外周面に支持される。
【0073】
第3位置調整機構52e,53eは第3位置調整ねじ52e1,53e1を備えている。この第3位置調整ねじ52e1,53e1は、露光装置支持部材52aの一方の側壁52a3,53a3を図5において左右方向(上下方向および第3位置調整機構52e,53e)の長手方向と直交する方向)に貫通している。第3位置調整ねじ52e1,53e1の左端は、発光素子支持部材4dの一側の側縁面に当接されている。また、発光素子支持部材4dの他側の側縁面には、ゴム等からなる弾性部材52e2,53e2が固定されている。この弾性部材52e2,53e2は露光装置支持部材52a,53aの他方の側壁52a2,53a2に当接されている。
【0074】
そして、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1をそれぞれ矢印β,β′およびγ、γ′方向に回転させる。すると、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1は発光素子支持部材4dに対して感光体2の方に向かって相対移動するかまたは感光体2から離れる方向に向かって相対移動する。その場合、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の回転時に、潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2によって第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1と感光体2との摩擦が低減する。そして、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の発光素子支持部材4dに対する相対移動により、露光装置4が感光体2に対して矢印δ,δ′およびε.ε′方向に移動して、感光体2と露光装置4との間の距離が調整される。つまり、第1ないし第3列の各発光素子4bの感光体2への露光位置が調整される。
【0075】
その場合、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1を発光素子支持部材4dに対して互いに逆方向に同じ量だけ相対移動させる。すると、発光素子支持部材4dが、各発光素子4bの露光位置であって副走査方向の中央位置での主走査方向の軸を略中心として回転するようになっている。すなわち、第1および第2位置調整機構52c,53c;52d,53dは、レンズアレイ4aおよび発光素子4bをこの軸を略中心として回転させて露光位置を調整する回転露光位置調整部を構成している。
【0076】
また、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1がそれぞれ潤滑部材52c2,53c2;,52d2,53d2を介して感光体2へ圧接されるが、その圧接力の反力、つまり感光体2が第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1
を介して発光素子支持部材4dを押す力が弾性部材52b,53bに矢印ζ,ζ′方向に伝達される。したがって、感光体2の発光素子支持部材4dを押す力は弾性部材52b53bが弾性変形することで吸収される。これにより、感光体2に回転むらが発生して感光体2の発光素子支持部材4dを押す力が変動しても、この力の変動が弾性部材52b,3bによって吸収されるので、露光装置4の発光素子4bおよびレンズアレイ4aの矢印δ、δ′方向およびε、ε′方向の位置ずれが抑制される。
【0077】
一方、第3位置調整ねじ52e1,53e1を矢印η,η′方向に回転して側壁52a3,53a3に対して露光装置4の方に向かって相対移動させ、また露光装置4から離れる方に向かって相対移動させる。これにより、露光装置4(つまり、レンズアレイ4aおよび発光素子4bの位置)が第3位置調整ねじ52e1,53e1の移動方向と同方向に移動して、副走査方向である矢印θ,θ′方向の露光位置が調整される。すなわち、第3位置調整機構52e.53eは、レンズアレイ4aおよび発光素子4bをθ.θ′方向に移動させて副走査方向の露光位置を調整する副走査方向露光位置調整機構(本発明の第2の方向露光位置調整部に相当)を構成している。
【0078】
また、露光装置4の発光素子支持部材4dに固定されている弾性部材52e2,53e2が露光装置支持部材52a,53aの側壁52a2,53a2に当接されることで、第3位置調整ねじ52e1,53e1からの力が発光素子支持部材4dを介して弾性部材52e2,53e2に矢印ι,ι′方向に伝達される。更に、感光体2の矢印α方向の回転により、その回転力も潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2、第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1、および発光素子支持部材4dを介して弾性部材52e2,53e2に同様に矢印ι,ι′方向に伝達される。したがって、感光体2の回転により発光素子支持部材4dを押す力は弾性部材52e2,53e2が弾性変形することで吸収される。これにより、感光体2に回転むらが発生して感光体2の回転による発光素子支持部材4dを押す力が変動しても、この力の変動が弾性部材52e2,53e2によって吸収されるので、露光装置4の発光素子4bおよびレンズアレイ4aの矢印θ,θ′方向の位置ずれが抑制される。
【0079】
次に、第1ないし第3位置調整機構52c,53c;52d,53d;52e,53eによる、レンズアレイ4aおよび発光素子4bにおける露光位置調整手順(方法)の一例について説明する。3列の発光素子4bのうち、まず、中央の発光素子4b2の露光位置が調整される。
【0080】
(中央の発光素子4b2の露光位置調整手順の説明)
中央の発光素子4b2の露光位置調整手順では、まず、表1に示すように各方向δ,ε,θ,δ′,ε′,θ′における調整量の下限値および上限値が設定される。なお、表1において、図2における各方向δ,ε,θ,δ′,ε′,θ′の矢印の向きを正としている。
【0081】
【表1】
【0082】
表1に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の調整量下限値は、−dδに設定され、第1位置調整機構52cのε方向の調整量下限値は、−dεに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量下限値は、−dθに設定される。また、第1位置調整機構52cのδ方向の調整量上限値は、+dδに設定され、第1位置調整機構52cのε方向の調整量上限値は、+dεに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量上限値は、+dθに設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の調整量下限値は、−dδ′に設定され、第2位置調整機構53cのε′方向の調整量下限値は、−dε′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量下限値は、−dθ′に設定される。また、第2位置調整機構53cのδ′方向の調整量上限値は、+dδ′に設定され、第2位置調整機構53cのε′方向の調整量上限値は、+dε′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量上限値は、+dθ′に設定される。これらの調整量下限値および調整量上限値は、画像形成装置の形状、仕様、使用条件等により種々異なるので、一般化のため記号dθ,dε,………で示されている。
【0083】
次に、表2に示すように中央の発光素子4b2の露光位置を調整するために初期印字する露光位置調整画像の露光位置調整パターンを、この例では4つのパターンA,B,C,Dが設定される。これらのパターンA,B,C,Dは、δ,ε,θ,δ′,ε′,θ′方向の各初期位置の種々異なる組合せである。なお、これらの各初期位置の組合せは、4つに限定されることはなく、任意の数の組合せが可能である。また、各方向の初期位置は表2に示されている位置に限定されることはなく、任意に設定可能である。以下、便宜上、表2に記載されている事項にしたがって説明する。
【0084】
【表2】
【0085】
まず、パターンAについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδ
、ε、およびθ方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδ、+dε、および+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′、ε′、およびθ′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδ′、−dε′、および−dθ′の位置に設定される。
【0086】
次に、パターンBについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδおよび+dεに設定される。また、第1位置調整機構52cのθ方向の初期位置がその調整量下限値である−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδおよび−dεに設定される。また、第2位置調整機構53cのθ′方向の初期位置がその調整量上限値である+dθ′の位置に設定される。
【0087】
次に、パターンCについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδおよび−dεに設定される。また、第1位置調整機構52cのθ方向の初期位置がその調整量上限値である+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδおよび+dεに設定される。また、第2位置調整機構53cのθ′方向の初期位置がその調整量下限値である−dθ′の位置に設定される。
【0088】
次に、パターンDについて説明する。表2に示すように、第1位置調整機構52cのδ、ε、およびθ方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量下限値である−dδ、−dε、および−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのδ′、ε′、およびθ′方向の初期位置が、それぞれそれらの調整量上限値である+dδ′、+dε′、および+dθ′の位置に設定される。
【0089】
図6は、初期印字した露光位置調整画像を模式的に示す図である。なお、図6に示す露光位置調整画像は、各パターンA,B,C,Dにおける露光位置調整画像を一般化して示している。
図6に示すように、第1および第2位置調整機構52c,53cの各方向を初期位置に設定した状態で、記録材(紙)54に露光位置調整画像55を印字すると、この露光位置調整画像(露光部)55は、ピントが合っている露光位置調整画像の範囲55aと、ピントが合っていない露光位置調整画像の範囲55bを有する。
【0090】
そして、ピントが合っていない露光位置調整画像の範囲55bを顕微鏡で観察すると、この範囲55bには、後述の図11に示すように1ドット幅縦線が乱れている状態、または、1ドット幅縦線がかすれている状態、または、潜像が浅過ぎて現像できないために印字ができていない状態の少なくともいずれかが存在している。また、ピントが合っている露光位置調整画像の範囲55aを顕微鏡で観察すると、この範囲55aには、1ドット幅縦線がまっすぐに出ている状態となっている。したがって、露光位置調整画像を顕微鏡で露光位置調整画像のこれらの状態を観察することで、露光位置調整画像がピントが合っているか、あるいは合っていないかが判断される。
【0091】
なお、図6中、55cはピントが合っている露光位置調整画像の範囲の幅方向の中央、LLは露光位置調整画像(露光部)の最大幅、LCはピントが合っている範囲の中央55cと露光位置調整画像(露光部)の第1第1露光位置調整装置52側の端部との間の距離、μは感光体2の回転方向を記録材54上に対応させた方向、νは第1第1露光位置調整装置52のθ方向に対応させた方向である。
このような露光位置調整画像(露光部)において、中央の発光素子4b2のピントが合
っている範囲が最大であるときの露光調整位置を表3に示す
【0092】
【表3】
【0093】
まず、パターンAにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、−dδ+(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、−dε+(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、+dδ′−(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、+dε′−(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0094】
次に、パターンBにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、−dδ+(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、−dε+(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、+dθ−(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、+dδ′−(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、+dε′−(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′+(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0095】
更に、パターンCにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、+dδ−(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、+dε−(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、−dδ′+(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、−dε′+(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0096】
更に、パターンDにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、+dδ−(dδ+dδ′)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、+dε−(dε+dε′)×LC/LLである。更に、θ方向の露光調整位置は、+dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、−dδ′+(dδ+dδ′)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、−dε′+(dε+dε′)×(LL−LC)/LLである。更に、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0097】
そして、第1および第2位置調整機構52c,53Cの各方向の露光調整位置が、このように各パターンA,B,C,Dにおける中央の発光素子4b2のピント合致範囲が最大のときの露光調整位置に調整される。これにより、中央の発光素子4b2の露光位置がより最大にピントが合うように調整される。次に、両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置が調整される。
【0098】
(両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置調整手順の説明)
両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置調整手順では、表4に示すように両端部の発光素子4b1,4b3の各露光位置を調整するために初期印字する露光位置調整画像の露光位置調整パターンを、この例では2つのパターンE,Fが設定される。これらのパターンE,Fは、δ,ε,δ′,ε′方向の各初期位置の種々異なる組合せである。なお、これらの各初期位置の組合せは、2つに限定されることはなく、任意の数の組合せが可能である。また、各方向の初期位置は表4に示されている位置に限定されることはなく、任意に設定
可能である。以下、便宜上、表4に記載されている事項にしたがって説明する。
【0099】
【表4】
【0100】
まず、パターンEについて説明する。表4に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれ、−κおよび+κに設定される。つまり、第1位置調整機構52cの両端部が、それぞれδおよびε方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれ、+λおよび−λに設定される。つまり、同様に第2位置調整機構53cの両端部が、それぞれδ′およびε′方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。ここで、κ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方であり、また、λ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方である。
【0101】
次に、パターンFについて説明する。表4に示すように、第1位置調整機構52cのδおよびε方向の初期位置が、それぞれ、+κおよび−κに設定される。つまり、第1位置調整機構52cの両端部が、それぞれδおよびε方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。一方、第2位置調整機構53cのδ′およびε′方向の初期位置が、それぞれ、−λおよび+λに設定される。つまり、同様に第2位置調整機構53cの両端部が、それぞれδ′およびε′方向において初期に反対方向に同量だけ移動される。ここで、κ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方であり、また、λ≦dδおよびdδ′のどちらか小さい方である。
【0102】
なお、パターンEおよびFにおいて、前述のように第1および第2位置調整機構52c,53cの両端部が、それぞれ、初期に反対方向に同量だけ移動されることにより、レンズアレイ4aおよび発光素子4bが、すでに調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置を通る主走査方向の軸を略中心として回転する。これにより、調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。また、パターンEおよびFにおいて
、θおよびθ′方向の初期位置が設定されないことで、同じく中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。
このようなパターンEおよびFにおいて、両端部の発光素子4b1,4b3のピントが合っている範囲が最大であるときの露光調整位置を表5に示す。
【0103】
【表5】
【0104】
まず、パターンEにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表5に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、−κ+(κ+λ)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、+κ−(κ+λ)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、+λ−(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、−λ+(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。このときの調整でも、前述と同様に、すでに調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。
【0105】
次に、パターンFにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表5に示すように、第1位置調整機構52cのδ方向の露光調整位置は、+κ−(κ+λ)×LC/LLである。また、ε方向の露光調整位置は、−κ+(κ+λ)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのδ′方向の露光調整位置は、−λ+(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。また、ε′方向の露光調整位置は、+λ−(κ+λ)×(LL−LC)/LLである。このときの調整でも、前述と同様に、すでに調整された中央の発光素子4b2の露光調整位置がずれるのが防止される。
【0106】
そして、第1および第2位置調整機構52c,53Cの各方向の露光調整位置が、このように各パターンE,Fにおける両端部の発光素子4b1,4b3のピント合致範囲が最大のときの露光調整位置に調整される。これにより、両端部の発光素子4b1,4b3の露光位置がより最大にピントが合うように調整される。こうして、3列の発光素子4b1,4b2,4b3の露光位置がより最大にピントが合うように調整される。
【0107】
図7は、露光位置調整装置による露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
図7に示すように、まずステップS1で露光位置調整が開始される。次いで、ステップS2で、露光装置4を各パターンA,B,C,D毎にそれらのパターンの初期位置に設定する。その後、各パターンA,B,C,D毎に中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線(副走査方向)画像を印字する。次に、ステップS3でピントが合っている範囲55aが最大幅であるパターンを選択する。
【0108】
次いで、ステップS4で表3に記載されたパターンのうち、選択されたパターンの露光調整位置にしたがって露光位置を調整する。次にステップS5で、再度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次にステップS6で、各々の調整位置をδ、ε、θ、δ′、ε′、θ′方向の新たな位置として表3を適用して、露光位置を再度調整する。
【0109】
次に、ステップS7で、再度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次いで、ステップS8で、印字された1ドット幅縦線画像のピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS9で露光装置4を表4に記載されているパターンEまたはFの初期位置に設定する。その後、両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次に、ステップS10で表5に記載されたパターンEまたはFの露光調整位置にしたがって露光位置を調整する。次にステップS11で、再度、両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。
【0110】
次いで、ステップS12で、印字された1ドット幅縦線画像のピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS13で露光装置4の3列の発光素子4bのすべてのピントがより最大に合ったとして、露光位置の調整を終了する。
【0111】
また、ステップS8またはS12でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLでないと判断したときは、ステップS14でその露光装置4を破棄して、別の露光装置4に交換する。その後、ステップS1に移行して、露光位置調整を開始する。以後、前述と同様に、ステップS1ないしS14の各処理を再度実行する。
【0112】
このように構成されたこの実施の形態の画像形成装置1の露光装置4によれば、2次元配列されたレンズアレイ4aと2次元配列された発光素子4bとを、各発光素子4bの露光位置であって副走査方向の中央位置での主走査方向の軸を略中心として回転調整する第1および第2位置調整機構52c53c,52d53dを設けている。また、これらのレンズアレイ4aと2次元配列された発光素子4bとを、副走査方向に移動調整する第3位置調整機構52e53e)を設けている。これにより、各発光素子4bの露光位置を、ピントの合った位置に設定することができる。したがって、レンズアレイ4aの前述の利点に相俟って、感光体2にピントの合ったより一層良好な潜像を描くことができる。
【0113】
しかも、各発光素子4bの露光位置をピントの合った位置に設定できることから、露光装置4を画像形成装置1に組み込んだとき、不合格となる露光装置4を低減できる。したがって、露光装置4の歩留まりを向上することができる。
【0114】
更に、レンズアレイ4aおよび発光素子4bを主走査方向の少なくとも一側端を感光体2に副走査方向に2点で支持している。これにより、回転露光位置調整機構を簡単な構成にすることが可能となる。
【0115】
更に、この例の露光位置調整方法によれば、まず、各発光素子4bおよび各レンズアレイ4aを副走査方向に移動させて、各露光位置における副走査方向の中央位置を調整して
いる。次に、各発光素子4bおよび各レンズアレイ4aを、各露光位置における副走査方向の中央位置での主走査方向の軸を略中心として回転させて、各露光位置における副走査方向の両端部の位置を調整する。これにより、各発光素子4bの露光位置をより一層高度にピントの合った位置に、より簡単に設定することができる。
【0116】
なお、本発明の露光装置は、レンズアレイ4aと発光素子4bとを副走査方向に移動調整可能にし、かつ主走査方向および副走査方向のいずれにも直交する方向に移動調整可能にすることもできる。この場合には、前述の例のようにレンズアレイ4aおよび発光素子4bの回転による位置調整は行われないが、前述の所期の効果を得ることができ、前述の本願発明の課題を解決することができる。しかし、各発光素子4bの露光位置をより高度にピントのあった位置に設定するためには、前述の例のようにレンズアレイ4aと発光素子4bの位置を、副走査方向の移動と主走査方向の軸を中心とする回転とにより調整することが好ましい。
【0117】
ところで、この例の画像形成装置1では、液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが用いられている。図13に示すように、液体現像剤23は、前述のように高粘度の不揮発性液体キャリア35中に固形分トナー(トナー粒子)34aを含んだ液体トナー34を分散させたものである。
【0118】
そして、液体キャリア35は高粘度であることから、現像ローラ19のω方向の回転によって搬送されてきた液体現像剤23は、現像ローラ19と感光体2とのニップ部を通過した後、液体キャリア35は現像ローラ6に付着した液体キャリア35′と感光体2に付着した液体キャリア35″とに分離する。このとき、液体キャリア35は、両液体キャリア35′,35″が泣き別れするキャリア分離部35aで矢印ρ,ρ′方向に引っ張られる。このため、分離した液体キャリア35″に脈動が生じて、図14に示すように感光体2には、盛り上がっている部分35b″と凹んでいる部分35c″とが交互に存在したリブ35dが形成される。このリブ35dは、略主走査方向に波打って形成される。そして、液体キャリア35中の固形分トナー34aがリブ35dによって乱されるようになる。
【0119】
一方、露光の大きさと潜像電位は図15に示す関係にある。すなわち、露光された感光体2の帯電電位2aは露光エネルギによって低減される。図15において、帯電電位2a1は1ドット露光による露光部の帯電電位であり、図15に示すように帯電電位2a2は2ドット露光による露光部の帯電電位である。その場合、2ドット露光による露光部の帯電電位2a2はドット露光による露光部の帯電電位2a1より小さくなっており、2ドット露光による露光電位は1ドット露光による露光電位より大きい。つまり、1ドットを重ねた2ドット以上の露光の露光エネルギは、1ドット露光の露光エネルギより大きい。したがって、図13に示す矢印ψ方向の現像装置5と感光体2との間の現像電界は、2ドット以上の露光の露光部の方が1ドット露光の露光部より強くなる。
【0120】
そして、発光素子4bからの光の露光焦点がずれると、つまり、発光素子4bからの光のピントが合わないと、露光エネルギが低くなり、1ドット露光による感光体2の帯電電位が浅くなる(感光体2の一様帯電時の帯電電位から大きく変化しない)。したがって、前述のように1ドット露光における現像電界が弱いことから、1ドット幅縦線画像が前述のリブ35dによって揺さぶられる。このため、図16に示すように1ドット幅縦線画像58は、2ドット露光幅縦線画像59および3ドット露光幅縦線画像60に比べて乱れが発生する。
【0121】
したがって、各発光素子4bの露光位置をピントの合った位置に設定することができる本発明の露光装置4を、液体現像剤23を用いた画像形成装置1の露光装置に適用することで、現像電界が比較的弱い1ドット幅縦線画像も、前述の液体現像剤23のリブ35d
による乱れを抑制することができる。なお、図15中、5aは1ドット幅露光における現像幅、5bは2ドット幅露光における現像幅、5dは現像ローラ19の現像電位である。
【0122】
次に、本発明の露光装置の露光位置調整装置の実施例および比較例について説明する。実施例および比較例は、それぞれ実施例1,2、および比較例1,2の2つずつを行った。各例とも、図3に示す3列の発光素子4bを有する露光装置4を用いて、露光調整終了後に1ドット幅縦線画像の印字を行った。このとき、図1に示す液体現像剤を用いたタンデム型の画像形成装置1のシアンCの露光装置4Cをそれぞれ露光位置調整装置を取り付けた露光装置4に代えて、シアンの画像形成部のみを駆動して印字を行った。その場合、シアンCの感光体2Cから、中間転写ベルト10を経由して記録材54へシアンCのトナー像を転写した。感光体2Cには公知のアモルファスシリコンの感光体を用いた。使用としたトナーは、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂に、シアンの顔料フタロシアニンブルーを分散させた、例えば平均粒径2μmの粒子からなるシアンCのトナーを用いた。また、記録54として富士ゼロックス社製J紙を用いて実験を行った。その他の条件は、以下に述べることは以外は、実施例1,2および比較例1,2とも、同じ条件で実験を行った。そして、1ドット幅縦線画像を顕微鏡で観察して、ピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであることが認められたときを合格として、それ以外を不合格とした。
【0123】
(実施例1)
実施例1では、図2および図5に示されている第1および第2露光位置調整装置52,53を用いて、図7に示されている露光位置調整の手順のフローにしたがって、露光位置の調整を行った。
【0124】
(実施例2)
実施例2では、図8および図9に示されている第1および第2露光位置調整装置52,53を用いて、図10に示されている露光位置調整の手順のフローにしたがって、露光位置の調整を行った。すなわち、図8および図9に示すように、この実施例2では露光装置4の発光素子支持部材4dと露光装置支持部材52a,53aの上底52a1,53a1との間に、予め設定された設定厚の背面スペーサ52b′,53b′が所定枚数(図示例では、3枚)設けられる。そして、図示しない調整ねじにより発光素子支持部材4dを露光装置支持部材52a,53aにねじ止めすることで、発光素子支持部材4dの幅方向中央に位置するレンズアレイ4a2と感光体2とのξ,ξ′方向の距離を調整する。なお、図8には、ξおよびξ′方向の露光位置調整を行う調整ねじが図示省略されている。ξおよびξ′方向の露光位置調整を行う位置調整機構の調整ねじは、実施例1の第1および第2位置調整機構52c,53c;52d,53dの第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1)と同じものが用いられる。このξおよびξ′方向の露光位置調整を行う位置調整機構は、本発明の第1および第2の方向直交方向露光位置調整部である主副走査方向直交方向露光位置調整部を構成している。
【0125】
また、発光素子支持部材4dと露光装置支持部材52a,53aの一方の側壁52a2,53a2との間に、予め設定された設定厚の背面スペーサ52e′,53e′が所定枚数(図示例では、1枚)設けられる。そして、側面ねじ52e1′,53e1′により発光素子支持部材4dを露光装置支持部材52a,53aにねじ止めすることで、感光体2に対する各レンズアレイ4a1,4a2,4a3のθ,θ′方向の位置を調整する。
したがって、実施例2では、実施例1と同様のθおよびθ′方向の露光位置調整と、露光装置4の幅方向中央位置でのξおよびξ′方向の露光位置調整を行った。
【0126】
そして、実施例1と同様に、この実施例2でも調整量下限値、調整量上限値、異なる初期位置の組合せであるパターン、およびピント合致範囲が最大であるときの露光調整位置がそれぞれ設定されている。それらを、それぞれ表6ないし表8に示す。
【0127】
【表6】
【0128】
表6に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の調整量下限値は、−dξに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量下限値は、−dθに設定される。また、第1位置調整機構52cのξ方向の調整量上限値は、+dξに設定され、第1位置調整機構52cのθ方向の調整量上限値は、+dθに設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の調整量下限値は、−dξ′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量下限値は、−dθ′に設定される。また、第2位置調整機構53cのξ′方向の調整量上限値は、+dξ′に設定され、第2位置調整機構53cのθ′方向の調整量上限値は、+dθ′に設定される。
【0129】
【表7】
【0130】
表7に示すように、中央の発光素子4b2の露光位置を調整するために初期印字する露光位置調整画像の露光位置調整パターンを、この例では4つのパターンG,H,I,Jが設定される。これらのパターンG,H,I,Jは、ξ,θ,ξ′,θ′方向の各初期位置の種々異なる組合せである。
【0131】
まず、パターンGについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ−dξおよび+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ+dξ′および−dθ′の位置に設定される。
【0132】
次に、パターンHについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ−dξおよび−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ+dξ′および+d
θ′の位置に設定される。
【0133】
次に、パターンIについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ+dξおよび+dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ−dξ′および−dθ′の位置に設定される。
【0134】
次に、パターンJについて説明する。表7に示すように、第1位置調整機構52cのξおよびθ方向の初期位置が、それぞれ+dξおよび−dθの位置に設定される。一方、第2位置調整機構53cのξ′およびθ′方向の初期位置が、それぞれ−dξ′および+dθ′の位置に設定される。
【0135】
【表8】
【0136】
次に、パターンGにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表
8に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、−dξ+(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、+dθ−(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、+dξ′−(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′+(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0137】
次に、パターンHにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、−dξ+(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、+dξ′−(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0138】
更に、パターンIにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、+dξ−(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、+dθ−(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、−dξ′+(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、−dθ′+(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0139】
更に、パターンJにおけるピント合致範囲の最大のときの露光調整位置を説明する。表3に示すように、第1位置調整機構52cのξ方向の露光調整位置は、+dξ−(dξ+dξ′)×LC/LLである。また、θ方向の露光調整位置は、−dθ+(dθ+dθ′)×LC/LLである。一方、第2位置調整機構53cのξ′方向の露光調整位置は、−dξ′+(dξ+dξ′)×(LL−LC)/LLである。また、θ′方向の露光調整位置は、+dθ′−(dθ+dθ′)×(LL−LC)/LLである。
【0140】
次に、実施例2における露光位置調整の手順について説明する。図10は、図8および図9に示す第1および第2位置調整機構52c,53Cによる露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
図10に示すように、まずステップS21で露光位置調整が開始される。次いで、ステップS22で、露光装置4を各パターンG,H,I,J毎にそれらのパターンの初期位置に設定する。その後、各パターンG,H,I,J毎に中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次に、ステップS23でピントが合っている範囲55aが最大幅であるパターンを選択する。
【0141】
次いで、ステップS24で表8に記載されたパターンのうち、選択されたパターンの露光調整位置にしたがって露光位置を調整する。次にステップS25で、再度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次にステップS26で、各々の調整位置をξ、θ、ξ′、θ′方向の新たな位置として表8を適用して、露光位置を再度調整する。次にステップS27で、再々度、中央の発光素子4b2のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。
【0142】
次いで、ステップS28でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS29で、ステップS26での再度調整位置で両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。次に、ステップS30で各々の調整位置を新たなξ,θ,ξ′,θ′方向の位置として表8を適用し、露光位置を再々度調整する。次にステップS31で、再々度、両端部の発光素子4b1,4b3のみによる1ドット幅縦線画像を印字する。
【0143】
次いで、ステップS32でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLであるか否かを判断する。この幅が略露光部最大幅LLであると判断したときは、ステップS33で露光装置4の3列の発光素子4bのすべてのピントがより最大に合ったとして、露光位置の調整を終了する。
【0144】
また、ステップS28またはS32でピントが合っている範囲55aの幅が略露光部最大幅LLでないと判断したときは、ステップS34でその露光装置4を破棄して、別の露光装置4に交換する。その後、ステップS21に移行して、露光位置調整を開始する。以後、前述と同様に、ステップS21ないしS34の各処理を再度実行する。
【0145】
(比較例1)
比較例1では、露光位置調整画像として1ドット幅横線(主走査方向)画像を用いた。横線画像を印字する場合は、連続する像が描けるように、感光体2の移動速度に合わせて、中央の発光素子4b2、両端部の発光素子4b1,4b3の点灯タイミングを制御する。この比較例1では、露光装置の初期位置での調整は実施例1の場合と同様に行うが、本発明における露光位置の調整は行われない。この比較例1では、図11に示すようにピントが合っていないと、1ドット幅横線潜像が浅くなることで前述のリブにより揺さぶられ、横線画像56に横線が途切れる部分56a、横線の幅が乱れる部分56b、横線がかすれた部分56cが発生したりした。このように、発光素子4bのピントが合っていないと、正常な画像を得ることは難しい。なお、図11には、説明の便宜上、横線が途切れる部分56aや横線の幅が乱れる部分56bなどのピントが合っていないと判断されるいくつかの場合を一緒に示してある。また、露光位置調整画像を横線画像とした場合、横線の幅乱れの程度が小さいばかりでなく、感光体2の回転速度むらによっても横線の幅乱れが生じるので、1ドット幅横線ではピントが合っている範囲を正確に判断することは難しい。
【0146】
(比較例2)
比較例2では、露光位置調整画像として1ドット画像と1ドット幅縦線画像とを用いた。この比較例2でも、露光装置の初期位置での調整は実施例1の場合と同様に行うが、本発明における露光位置の調整は行われない。図12(a)に示すように、1ドット画像57では、1ドット画像57の領域57aではドット画像57が比較的整列しているので、ピントが合っていると判断される可能性がある。しかし、図12(b)に示すように、同じ露光装置4で露光位置調整画像として1ドット幅縦線画像58を描くと、領域58a(前述の領域57aに相当)では連続した1ドット幅縦線画像が描かれず、ピントが合っていないことが検知される。したがって、1ドット画像でも前述の1ドット幅横線の場合と同様にピントが合っている範囲を正確に判断することは難しい。したがって、露光位置調整画像として1ドット幅縦線画像58を用いることが、ピントが合っている範囲を正確に判断することができるので、好ましい。
【0147】
実施例1,2および比較例1,2における露光装置4の合格率を表9に示す。その場合、初期位置での露光位置調整でピントの合っている幅が略露光部最大幅LLである場合には、合格とし、この幅が略露光部最大幅LL未満である場合には、不合格とした。そして、表9において露光装置4の合格率は、約1ヶ月間に1万個当たり合格した露光装置の数の百分率で表されている。そして、露光装置4の合格率が80%以上を良と判定し、80%未満を不良と判定した。
【0148】
【表9】
【0149】
表9に示すように、実施例1では露光装置4の合格率が99. 99%であり、また、実施例2では露光装置4の合格率が81. 35%であった。また、比較例1では露光装置4の合格率が78. 82%であり、また、比較例2では露光装置4の合格率が66. 47%であった。これにより、レンズアレイと発光素子群とを用いた露光装置において、本発明の露光位置調整を行うことで、感光体2にピントの合った良好な潜像を描くことができることが確認された。また、同じ露光装置において、本発明の露光位置調整を行わないと、感光体2にピントの合った良好な潜像を描くことができないことが確認された。
【0150】
図17は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
図17に示すようにこの例の露光装置4では、第2露光位置調整装置53が、図5に示す例の露光装置4の2つの第1および第2位置調整機構53c,53dに代えて、1つの第4位置調整機構53fを備えている。この第4位置調整機構53fは、発光素子支持部材4dにその長手方向の中央または略中央に位置して設けられた第4位置調整ねじ53f1を備えている。その場合、第4位置調整ねじ53f1は発光素子支持部材4dに図17において上下方向に螺合されて貫通している。第4位置調整ねじ53f1の下端にも、例えば潤滑性を有する樹脂等からなる半球状の潤滑部材53f2が固定される。この潤滑部材53f2は、その球面部が感光体2の非画像部の外周面に当接される。
【0151】
第1露光位置調整装置52は、図2および図5に示す実施例1の第1露光位置調整装置52と同じである。したがって、この例の露光装置4は、第1露光位置調整装置52側が2点支持で、また第2露光位置調整装置52側が1点支持の3点支持とされている。この例の画像形成装置1および露光装置4の他の構成は、それぞれ実施例1と同じである。
そして、この例の露光装置4でも、実施例1と同様の手順にしたがって、露光位置の調整が行われる。この例の露光装置4でも、前述の実施例1と同等の作用効果を得ることが可能となる。
【0152】
図18は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
図18に示すようにこの例の露光装置4では、第1および第2露光位置調整装置52,53が、それぞれ図5に示す実施例1と同様に2つの第1および第2位置調整機構53c,53dを備えている。その場合、この例でも、実施例1と同様にこれらの第1および第2位置調整機構53c,53dは、それぞれ第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1を有している。各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の下端には、実施例1と同様の半球状の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2が固定されている。そして、各潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の球面部が、それぞれ感光体2の近傍に位置する装置本体1a(本発明の感光体2を支持するフラ
ンジに相当)の図18において上面1a1に支持されている。この例における画像形成装置1および露光装置4の他の構成は、それぞれ実施例1と同じである。そして、この例の露光装置4でも、実施例1と同様の手順にしたがって、露光位置の調整が行われる。
【0153】
この例の露光装置4によれば、レンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3を感光体2の近傍に位置する装置本体12aに支持することで、感光体2から発生する振動の影響を抑制でき、像の安定した書込が可能となる。この例の露光装置4の他の作用効果は、前述の実施例1と同様である。
【0154】
図19は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
図19に示すようにこの例の露光装置4では、第1および第2露光位置調整装置52,53が、それぞれ図5に示す実施例1と同様に2つの第1および第2位置調整機構53c,53dを備えている。その場合、この例でも、実施例1と同様にこれらの第1および第2位置調整機構53c,53dは、それぞれ第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1を有している。各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の下端には、実施例1と同様の半球状の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2が固定されている。そして、各潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の球面部が、それぞれ感光体2の非画像部の外周面に当接されている。
【0155】
また、3列のレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3の感光体2表面への照射位置4e1,4e2,4e3は、いずれも、副走査方向で各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の球面部の感光体2への当接位置(支持点)の間となるように設定されている。したがって、各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の潤滑部材52c2,53c2;52d2,53d2の感光体2への支持点の副走査方向の最大幅W1が、3列のレンズアレイ4a1,4a2,4a3および発光素子4b1,4b2,4b3の感光体2表面への照射位置4e1,4e2,4e3の副走査方向の最大幅W2(つまり、発光素子4b1,4b2,4b3の照射領域の副走査方向の最大幅)より大きく設定される(W1>W2)。この例における画像形成装置1および露光装置4の他の構成は、それぞれ実施例1と同じである。そして、この例の露光装置4でも、実施例1と同様の手順にしたがって、露光位置の調整が行われる。
【0156】
この例の露光装置4によれば、各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の感光体2への支持点の副走査方向の最大幅W1を各レンズアレイ4a1,4a2,4a3および各発光素子4b1,4b2,4b3の感光体2表面への照射位置4e1,4e2,4e3の副走査方向の最大幅W2より大きく設定している。したがって、露光装置4の安定した位置決めが可能となる。また、各第1および第2位置調整ねじ52c1,53c1;52d1,53d1の調整操作量に対して各レンズアレイ4a1,4a2,4a3および各発光素子4b1,4b2,4b3の照射位置4e1,4e2,4e3の調整量が小さくなる。これにより、各レンズアレイ4a1,4a2,4a3および各発光素子4b1,4b2,4b3の照射位置4e1,4e2,4e3の調整をよりきめ細かく、より正確にかつより簡単に行うことが可能となる。この例における画像形成装置1および露光装置4の他の作用効果は、それぞれ実施例1と同じである。
【0157】
図20は、本発明の画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す図である。
前述の実施の形態の各例では、いずれも、画像形成装置1の装置本体1aに支持された第1および第2露光位置調整装置52,53に露光装置1を支持している。前述の実施の形態の各例では、いずれも、露光装置1が第1および第2露光位置調整装置52,53を
備えていない。これに対して、図20に示すように、この例の画像形成装置1は、第1および第2露光位置調整装置52,53が露光装置4に組み込まれている。すなわち、この例の露光装置4は第1および第2露光位置調整装置52,53を備えている。そして、露光装置4自体が装置本体1aに支持されている。その場合、露光装置4の第1および第2露光位置調整装置52,53が装置本体1aに支持される。この例の露光装置4によれば、第1および第2露光位置調整装置52,53を備えているので、露光装置4の装置本体への組付けが容易になる。
この例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は、前述の各例と同じである。
【0158】
なお、本発明は前述の実施の形態の各例に限定されることはなく、第1の方向である主走査方向および第1の方向である副走査方向に2次元にそれぞれ配列された発光素子アレイとレンズアレイとを備える露光装置およびそれを備えた画像形成装置であれば、どのような露光装置およびそれを備えた画像形成装置にも適用することができる。また、本発明の露光位置調整機構は、前述の例のねじによる露光位置調整機構の他に、他の露光位置調整機構を用いることもできる。要は、本発明は特許請求の範囲に記載されて事項の範囲内で、種々設計変更可能とである。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に用いられている露光装置の斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う断面を模式的に示す図である。
【図4】図2に示す露光装置によるビームスポットおよび結像を説明する図である。
【図5】この例の露光位置調整装置を模式的に示し、図2におけるV−V線に沿う断面図である。
【図6】初期印字した露光位置調整画像を模式的に示す図である。
【図7】図5に示す例の露光位置調整装置による露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
【図8】他の例の露光位置調整装置を模式的に示し、図5と同様の断面図である。
【図9】図8に示す例の露光位置調整装置を模式的に示し、図2と同様の斜視図である。
【図10】図8に示す例の露光位置調整装置による露光調整位置を行う手順のフローを示す図である。
【図11】比較例1における横線画像を示す図である。
【図12】比較例2における横線画像を示し、(a)は1ドット画像を示す図、(b)は1ないし3ドット幅縦線画像を示す図である。
【図13】現像ローラから感光体へ移行する液体現像剤の挙動を説明する図である。
【図14】液体現像剤におけるリブを説明する図である。
【図15】露光の大きさと潜像電位との関係を示す図である。
【図16】1ドット幅縦線画像の乱れについて説明する図である。
【図17】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【図18】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【図19】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【図20】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示す、図5と同様の図である。
【符号の説明】
【0160】
1…画像形成装置、1a…装置本体、2Y,2M,2C,2K…各色の感光体、3Y,3M,3C,3K…帯電装置、4,4Y,4M,4C,4K…露光装置、4a…レンズアレイ、4a1,3…両端部のレンズアレイ、4a2…中央のレンズアレイ、4b…発光素子、4b1,3…両端部の発光素子、4b2…中央の発光素子、4d…発光素子支持部材、5Y,5M,5C,5K…各色の現像装置、19,19Y,19M,19C,19K…現像ローラ、52…第1露光位置調整装置、53…第2露光位置調整装置、52a,53a…露光装置支持部材、52b,53b…弾性背板、52c,53c…第1位置調整機構、52c1,53c1…第1位置調整ねじ、52d,53d第2位置調整機構、52d1,53d1…第2位置調整ねじ、52e,53e第3位置調整機構、52e1,53e1…第3位置調整ねじ、53f1…第4位置調整ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向および前記第1の方向と直交または略直交する第2の方向に配設された複数の発光素子を有する発光素子アレイと、前記発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイと、前記発光素子アレイと前記レンズアレイとを支持する支持部材と、前記支持部材を、前記第1の方向の軸を中心または略中心として回転させる回転調整部を有する露光位置調整機構と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記露光位置調整機構は、前記支持部材を前記第2の方向に移動させる第2の方向露光位置調整部を有することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記露光位置調整機構は、前記支持部材を、前記第1の方向および前記第2の方向のいずれにも直交する方向に移動させる第1および第2の方向直交方向露光位置調整部を有することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
静電潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に前記静電潜像を書き込む請求項1ないし3のいずれか1に記載の露光装置と、
前記静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
静電潜像が形成される潜像担持体と、
第1の方向および前記第1の方向と直交または略直交する第2の方向に配設された複数の発光素子を有する発光素子アレイ、前記発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイ、及び前記発光素子アレイと前記レンズアレイとを支持する支持部材と、を有する露光装置と、
前記支持部材を、前記第1の方向の軸を中心または略中心として回転させる回転調整部を有する露光位置調整機構と、
前記静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記現像装置は、前記静電潜像をトナーと液体キャリアとを揺する液体現像剤で現像する現像装置であることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持部材は、一側端が感光体または前記感光体を支持するフランジに2点で支持されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記支持部材は、一側端が感光体または前記感光体を支持するフランジに2点以上で支持されるとともに、他側端が前記感光体または前記感光体を支持するフランジに1点以上で支持されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記支持部材の前記一側端の支持点の前記第2の方向の最大幅が、前記発光素子からの光が照射される前記感光体における照射領域の前記第2の方向の最大幅より大きいことを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記回転調整部は、前記支持部材を、前記露光位置における前記第2の方向の中央位置での前記第1の方向の軸を中心または略中心として回転させることを特徴とする請求項4ないし9のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
第1の方向および前記第1の方向と直交または略直交する第2の方向に配設された複数の発光素子を有する発光素子アレイと、前記発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイと、前記発光素子アレイと前記レンズアレイとを支持する支持部材と、前記支持部材を、前記第1の方向の軸を中心または略中心として回転させる回転調整部を有する露光位置調整機構と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記露光位置調整機構は、前記支持部材を前記第2の方向に移動させる第2の方向露光位置調整部を有することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記露光位置調整機構は、前記支持部材を、前記第1の方向および前記第2の方向のいずれにも直交する方向に移動させる第1および第2の方向直交方向露光位置調整部を有することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
静電潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に前記静電潜像を書き込む請求項1ないし3のいずれか1に記載の露光装置と、
前記静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
静電潜像が形成される潜像担持体と、
第1の方向および前記第1の方向と直交または略直交する第2の方向に配設された複数の発光素子を有する発光素子アレイ、前記発光素子からの光を結像するレンズを複数有するレンズアレイ、及び前記発光素子アレイと前記レンズアレイとを支持する支持部材と、を有する露光装置と、
前記支持部材を、前記第1の方向の軸を中心または略中心として回転させる回転調整部を有する露光位置調整機構と、
前記静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記現像装置は、前記静電潜像をトナーと液体キャリアとを揺する液体現像剤で現像する現像装置であることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持部材は、一側端が感光体または前記感光体を支持するフランジに2点で支持されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記支持部材は、一側端が感光体または前記感光体を支持するフランジに2点以上で支持されるとともに、他側端が前記感光体または前記感光体を支持するフランジに1点以上で支持されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記支持部材の前記一側端の支持点の前記第2の方向の最大幅が、前記発光素子からの光が照射される前記感光体における照射領域の前記第2の方向の最大幅より大きいことを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記回転調整部は、前記支持部材を、前記露光位置における前記第2の方向の中央位置での前記第1の方向の軸を中心または略中心として回転させることを特徴とする請求項4ないし9のいずれか1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−83467(P2009−83467A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148924(P2008−148924)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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