静電容量センサ装置、ヘッドレストおよび着座装置
【課題】静電容量センサ機能の検出精度を確保するのに有利な静電容量センサ装置1、ヘッドレストおよび着座装置を提供する。
【解決手段】静電容量センサ装置1は、静電容量により対象物Mを検出する静電容量センサ機能を発揮する電極2と、電極2を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する。静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱機能を停止する制御部7が設けられている。
【解決手段】静電容量センサ装置1は、静電容量により対象物Mを検出する静電容量センサ機能を発揮する電極2と、電極2を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する。静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱機能を停止する制御部7が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電容量センサ装置、静電容量センサ装置を搭載するヘッドレストおよび着座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定間隔を隔て互いに対向する2枚のフィルムと、各フィルムの対向面に配置した電極と、フィルムの外面側に積層した発熱層とを有するセンサ・発熱体組み合わせ体が知られている(特許文献1)。このものでは、荷重が入力されると、2枚のフィルムの空間が狭くなり、電極同士が導通するため、荷重が検出される。
【0003】
また、シートの着座面に作用する荷重を検出するセンサを有するフィルム部材を配設すると共に、フィルム部材にヒータ手段を設けた着座センサが知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特表2003−533311号公報
【特許文献2】特表2004−175291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1、2に係る技術によれば、センサは原理的には荷重を検出する荷重検出センサである。荷重検出センサであれば、荷重検出センサによるセンシングと発熱部による通電とを同時期に実行したとしても、荷重検出センサによるセンシングは、発熱部による通電の影響を受けにくい。従って荷重検出センサによるセンシングを良好に行うことができる。
【0005】
ここで、非接触でシート着座者等の対象物を検出したい場合に、特許文献2のセンサを静電容量センサに置き換えると、上記通電の影響を受け易いことが本発明者らの検討により明らかとなった。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、静電容量センサ機能の検出精度を確保するのに有利な静電容量センサ装置、ヘッドレストおよび着座装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様相1に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、電極を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする。静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、発熱機能を有する部分に通電すれば、検出精度はその電界の影響を受け易い。この点様相1によれば、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。このため通電の影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【0008】
様相2に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、荷重を検出する荷重検出部と、電極を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき発熱機能を停止するとともに、荷重検出部により荷重を検出するとき発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする。様相2によれば、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。また荷重検出部により荷重を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。このため通電の影響を避けつつ、静電容量センサ機能および荷重検出機能が良好に発揮される。
【0009】
様相3に係るヘッドレストは、着座シートに取り付けられるヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体のうち人の頭部に対面する側に設けられ人の頭部に関する情報を検出するセンサとを具備するヘッドレストにおいて、センサは、前記様相に係る静電容量センサ装置であることを特徴とする。様相3によれば、人の頭部によよる静電容量変化を検出できる。これにより静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【0010】
様相4に係る着座装置は、人が着座する着座部と、着座部に設けられ人の着座を検出するセンサとを具備する着座装置において、センサは、前記した様相に係る静電容量センサ装置であることを特徴とする。様相4によれば、人の着座による静電容量変化を検出できる。これにより静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。このため通電の影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
静電容量センサ装置は、コンデンサの原理を応用して対象物を検出するものである。本発明に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、電極を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する。基部は電極を直接または他の部材を介して搭載するものである。基部は例えばウレタン等の材料で形成できる。静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は発熱機能を停止する。電極は導電性を有する部材で形成できる。基部は一般的には静電容量センサ装置の本体となるものであり、電極を搭載する。発熱機能は、静電容量センサ機能を発揮する電極に対して別個に設けられた発熱部に通電して実現できる。あるいは、発熱機能は、静電容量センサ機能を発揮する電極自体を発熱部として使用し、ジュール熱を発生させる発熱電流を電極に通電して実現したりできる。発熱機能は、暖房または基部の過冷化を防止するヒータとして利用できる。
【0013】
様相2に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、荷重を検出する荷重検出部(感圧検出部)と、電極および荷重検出部をもつ基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する。静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は荷重検出を停止する。この場合、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、荷重検出を停止すると共に発熱機能を停止することができる。荷重検出部は荷重を検出するできるものであれば、センサ原理は静電容量式に限定されず、例えばメンブレン式や圧電式等を採用しても良い。
【0014】
制御部は、発熱部をデューティ制御し、発熱部への通電時間をt1とし、発熱部への通電停止時間をt2とする形態を例示することができる。この場合、制御部は、発熱部への通電時間t1において静電容量センサ装置の検出処理を実行せず、発熱部への通電停止時間t2において静電容量センサ装置の検出処理を実行する形態を採用することができる。デューティ比は適宜選択でき、例えば10〜90%の範囲内で選択できる。
【0015】
本発明は、次の各形態を例示することができる。次の形態のうちの一つまたは二つ以上を併用することができる。
【0016】
・発熱機能は、静電容量センサ機能を発揮する電極と物理的な別個に設けられた発熱部により実行される。発熱部としては、例えば印刷、蒸着などの成膜手段により膜として形成したり、あるいは、発熱材料で形成された発熱シートを配置して形成できる。発熱部としては、昇温時に電気抵抗が増加するPTC特性(自己温度制御特性)を有するものを例示できる。
【0017】
・静電容量センサ機能を発揮する電極と発熱部とは、互いに対向して配置されている形態を例示することができる。この場合、投影図においては電極および発熱部が重なるように配置されているため、搭載スペースを節約できる。
【0018】
・発熱部はある程度剛性をもつことがある。この場合、荷重検出部が設けられている領域に発熱部が設けられていると、発熱部の製造バラツキが大きいため、荷重検出部の検出精度に影響を与えることがある。このような場合、荷重検出部と発熱部とは、互いに対向しないように配置されている形態を例示することができる。即ち、荷重検出部が設けられている領域には、発熱部が設けられていない。つまり、投影するとき、荷重検出部と発熱部とは互いに重合しておらず、対面していない。従って、発熱部が荷重検出部の検出精度に影響を与えることが低減または回避される。
【0019】
・対象物が存在する側から順に、静電容量センサ機能を発揮する電極、発熱部、基部の順に配置されている形態を例示することができる。この場合、対象物に電極が近いため、静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。なお、静電容量センサ装置は、対象物からの距離が長いと、検出精度が低下する傾向がある。
【0020】
・対象物が存在する側に表皮部材が設けられると共に、静電容量センサ機能を発揮する電極と発熱部との間に中間層が設けられている形態を例示することができる。この場合、対象物が存在する側から順に、表皮部材、静電容量センサ機能を発揮する電極、中間層、発熱部、基部の順に配置されている形態を例示することができる。この場合、対象物に電極が近いため、静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。発熱部が基部に近いため、発熱部により基部を良好に暖めることができる。荷重検出センサ等が搭載されているときには、寒冷地等においては、荷重検出センサ等を保持する基部の特性(弾性等)が低温の影響で変化し、荷重検出センサ等の検出精度が低下するおそれがある。この場合、発熱部により基部を良好に暖めることができ、基部の特性(弾性等)を確保でき、検出センサ等の検出精度が確保される。
【0021】
・基部または大気の温度を直接または間接的に検出する温度検出部が設けられており、制御部は、温度検出部により検出した温度が基準温度域よりも低いとき発熱機能を発揮させると共に、昇温に伴い発熱機能を停止させる。寒冷地等においては、低温の影響で基部の特性(弾性等)が変化することがある。この場合、発熱部により基部を良好に暖めることができ、基部の特性(弾性等)を確保できる。
【0022】
・静電容量センサ機能を発揮する電極は発熱機能を兼務し、静電容量センサ機能を発揮する電極に通電することにより発熱機能は実行される。この場合、電極は静電容量センサ機能および発熱機能を兼務するため、部品点数が削減される。この場合、電極としては、電極機能および発熱機能を兼務する材料を選択することが好ましい。
【0023】
・本発明に係る静電容量センサ装置は、車両等の乗物用の検出センサとして利用でき、例えば、車両の乗員を検出する乗員検出センサとして利用できる。
【0024】
・ヘッドレストは、着座装置に取り付けられるヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体のうち人の頭部に対面する側に設けられ人の頭部に関する情報(例えば頭部位置情報、頭部荷重情報等)を検出するセンサとを具備する。センサは、上記した各様相に係る静電容量センサ装置である。この場合、ヘッドレストに対面する人の頭部の存在を良好に検出できる。ヘッドレストは、人の頭部を支えるように着座装置に取り付けられるものである。ヘッドレストは、車両等の乗物のシート装置、車椅子の着座装置、事務机の椅子、リクライニングチェア、マッサージチェア等に使用される。
【0025】
・着座装置は、人が着座する着座部と、前記着座部に設けられ人の着座を検出するセンサとを具備する。センサは、前記した各様相に係る静電容量センサ装置である。この場合、着座装置に着座する人の頭部の存在を良好に検出できる。着座装置としては、車両等の乗物に使用されるシート装置(チャイルドシートを含む)、車椅子に使用される着座装置、トイレに使用される便座装置が例示される。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明の実施例1について図1および図2を参照して具体的に説明する。本実施例に係る静電容量センサ装置1は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する面状の電極2と、面状の発熱部3と、面状の第1基部4および面状の第2基部5とを備える。第1基部4および第2基部5は例えば樹脂材やゴム材等を基材とするフィルムで形成できる。
【0027】
図1に示すように、対象物Mが存在する側に第1基部4が設けられている。静電容量センサ機能を発揮する電極2と発熱部3との間には、面状の中間層6(例えば樹脂材、ゴム材または粘着材)が設けられている。そして、対象物Mが存在する側から順に、つまり、外方から内部に向けて矢印A1方向に沿って、第1基部4、静電容量センサ機能を発揮する電極2、中間層6、発熱部3、第2基部5の順に配置されている。
【0028】
この場合、対象物Mは第1基部4の外側に位置する。この場合、対象物Mと電極2とが距離的に離れていると、静電容量センサ機能の検出精度が低下するおそれがある。また発熱部3は面状であるため、発熱部3が電極2よりも対象物Mに近いと、広い面積の発熱部3が電極2と対象物Mとの間に障害物として存在することになる。この場合、電極2による静電容量センサ機能を低下させるおそれがある。この点本実施例によれば、図1に示すように、発熱部3よりも電極2が対象物Mに近いため、広い面積の発熱部3が電極2と対象物Mとの間に障害物として存在することが防止される。従って、電極2による静電容量センサ機能を良好に発揮させるのに有利である。
【0029】
更に、発熱部3に通電することにより発熱部3を発熱させて暖房に利用することができる。更に、第1基部4および第2基部5を暖めることができ、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。
【0030】
殊に、図1に示すように、厚み方向において、第1基部4、発熱部3および第2基部5が重複するように配置されている。このため発熱部3により第1基部4および第2基部5を速やかに暖めることができ、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。更に、発熱部3が第2基部5が対面しており、発熱部3が第2基部5に近いため、発熱部3により第2基部5を良好に暖めることができ、第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。なお、発熱部3を発熱させる必要がないときには、発熱部3に給電する操作スイッチ77をオフにして発熱部3を断電し、発熱部3をグラウンドに接地しておく。
【0031】
制御部7と電極2との間には、静電容量の変化を検出するための第1検出回路71が設けられている。制御部7と発熱部3との間には、発熱部3への通電をデューティ制御するためのPWM回路等のパルス制御回路73が操作スイッチ77を介して設けられている。大気または第2基部5の温度を検出する温度センサ75(温度検出部)が設けられている。温度センサ75の検出信号は信号線75xにより制御部7に入力される。
【0032】
人体からの熱の伝達により第1基部4および第2基部5の温度が上昇する環境で使用される場合には、大気の温度が低くても、第1基部4および第2基部5の温度が高いことがある。このため、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を正確に検出するためには、温度センサ75は、大気の温度よりも第1基部4および第2基部5の温度を検出することが好ましい。図1では、温度センサ75を第2基部5に配置して第2基部5の温度を検出している。なお、第1基部4および第2基部5は温度的に大差ないと考えられる。
【0033】
静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3に通電していると、電界により検出精度がその影響を受け易い。そこで本実施例によれば、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するときには、発熱部3への通電を停止し、発熱部3による発熱機能を停止する。即ち、制御部7は、発熱部3を発熱作動させているとき、静電容量センサ装置1による検出処理を実行しない。換言すると、制御部7は、発熱部3を発熱作動させていないとき、静電容量センサ装置1による検出処理を実行する。このように本実施例によれば、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3への通電を停止し、発熱機能を停止する。このため発熱部3への通電による影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【0034】
更に説明を加える。本実施例によれば、発熱部3はパルス制御回路73により所定のデューティ比でデューティ制御される。デューティ制御によれば、図2(A)に示すように、発熱部3への通電時間をt1とし、発熱部3への通電停止時間をt2とし、tallをt1+t2とするとき、デューティ比はt1/tallを意味する。また、図2(B)に示すように、時間t1内において、発熱部3への通電のオンオフを繰り返しても良い。本実施例によれば、図2(C)に示すように、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)は、発熱部3への通電停止時間t2において実行される。
【0035】
ここで、発熱部3に通電する電流のデューティ比が過剰に小さいと、発熱部3の通電停止時間t2が長くなるため、静電容量センサ装置1による検出時間が確保されるものの、発熱部3の発熱時間が短縮されるため、単位時間あたりの発熱部3の発熱量が低下する傾向がある。これに対して、前記したデューティ比が過剰に大きいと、発熱部3の発熱時間が長くなり、単位時間あたりの発熱部3の発熱量が確保されるものの、発熱部3の通電停止時間t2が短くなるため、静電容量センサ装置1による検出時間が短くなる。上記した各事情を考慮して発熱部3に通電するとき、デューティ比を選択することが好ましい。
【0036】
本実施例によれば、発熱部3への通電時間t1においては、図2(C)に示すように、静電容量センサ装置1の検出処理(Δta)を実行しない。これに対して発熱部3への通電停止時間t2においては、静電容量センサ装置1の検出処理(Δta)を実行する。
【0037】
静電容量センサ装置1のサイズの小型化を図るためには、発熱部3を小型化することが好ましいが、この場合には発熱部3の単位時間あたりの発熱量には限界がある。デューティ比が過剰に小さいと、発熱部3の単位時間あたりの発熱量を確保しにくい。このため本実施例によれば、デューティ比としては20%以上、30%以上、40%以上とすることができる。これに対して、デューティ比が過剰に大きいと、前述したように発熱部3の通電停止時間が短くなり、静電容量センサ装置1による検出時間が短くなる。このため、静電容量センサ装置1による検出時間を確保するためには、デューティ比としては90%以下、80%以下、70%以下とすることができる。ここで、制御部7は基準電圧を変化させることにより、発熱部3へ通電される電流のパルス巾を変化させ、デューティ比を任意に変化させる。
【0038】
発熱部3は乗員等を暖める暖房としても機能できる。この場合、速やかに昇温させる必要がある。発熱部3およびその配線に多大な電流が流れる場合には、発熱部3に繋がる配線を金属箔(例えば銅箔、銀箔)とすることができる。
【0039】
図3は制御部7が実行するフローチャートの1例を示す。まず、発熱部3を発熱させる操作スイッチ77がオンかオフか判定する(ステップS2)。操作スイッチ77がオンであれば(ステップS2のYES)、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させる(ステップS10)。更に、ステップS12に進み、時分割検出処理を行なう。
【0040】
これに対して発熱部3の操作スイッチ77がオフであれば(ステップS2のNO)、温度センサ75の検出温度が所定温度T1(適宜選択できるが、例えば温度T1=マイナス10℃)よりも低温か否か判定する(ステップS4)。温度センサ75の検出温度が所定温度T1よりも高温であれば(ステップS4のNO)、雰囲気温度が過剰低温領域ではないため、制御部7は、静電容量センサ装置1による検出処理を行う(ステップS6)。この場合、発熱部3への通電は行われず、発熱部3は発熱していない。
【0041】
これに対して、温度センサ75の検出温度が所定温度T1よりも低温であれば(ステップS4のYES)、雰囲気温度が過剰低温領域であるため、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させる(ステップS8)。更に、時分割検出処理を行なう(ステップS12)。この時分割検出処理においては、図2に示すように、発熱部3への通電時間t1においては静電容量センサ装置1の検出処理を実行しないが、発熱部3への通電停止時間t2においては静電容量センサ装置1の検出処理を実行する。このように発熱部3への通電停止時間t2において静電容量センサ装置1の検出処理を実行するため、発熱部3への通電の影響を避けつつ、電極2による静電容量センサの検出精度が良好に得られる。
【実施例2】
【0042】
図4は実施例2を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。対象物Mが存在する側には、意匠用の表皮部材45が設けられる。静電容量センサ機能を発揮する電極2と発熱部3との間に、中間層6が設けられている。この場合、対象物Mが存在する側から順に、つまり、矢印A1方向に沿って、表皮部材45、第1基部4、静電容量センサ機能を発揮する電極2、中間層6、発熱部3、第2基部5の順に配置されている。この場合、仮に対象物Mと電極2とが距離的に離れていると、検出精度が低下するおそれがある。この点本実施例によれば、図4に示すように、発熱部3よりも電極2が対象物Mに近い側に配置されているため、静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。更に、図4に示すように、発熱部3が第2基部5と表皮部材45とに挟まれているため、発熱部3により第2基部5および表皮部材45を良好に暖めることができる。寒冷地等においては、低温の影響で第2基部5および表皮部材45の特性(弾性等)が変化することがある。この場合、発熱部3により第2基部5および表皮部材45(人体側)を良好に暖めることができ、第2基部5および表皮部材45の特性(弾性等)を確保できる。本実施例においても、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3への通電を停止し、発熱機能を停止する。このため発熱部3への通電による影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【実施例3】
【0043】
図5および図6は実施例3を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。本実施例に係る静電容量センサ装置1は、静電容量により対象物Mを検出する静電容量センサ機能を発揮する電極2と、荷重を検出する荷重検出センサ8(荷重検出部)と、電極2を搭載する第1基部4および第2基部5とを備える。対象物Mが存在する側には、第1基部4(例えばPEN等の樹脂製のフィルム)が設けられている。静電容量センサ機能を発揮する電極2と発熱部3との間には、中間層6(樹脂材またはゴム材)が設けられている。
【0044】
そして図5に示すように、対象物Mが存在する側から順に、つまり、外方から内部に向けて矢印A1方向に沿って、第1基部4、静電容量センサ機能を発揮する電極2、中間層6、発熱部3、第2基部5(例えば樹脂製のフィルム)の順に配置されている。この場合、発熱部3よりも電極2が対象物Mに距離的に近いため、電極2と対象物Mとの間に発熱部3が障害物として存在することが防止される。従って、発熱部3が電極2を障害物として遮蔽することが抑えられる。故に、電極2による静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。
【0045】
図5に示すように、制御部7と電極2との間には、静電容量の変化を検出するための第1検出回路71が設けられている。制御部7と発熱部3との間には、発熱部3をデューティ制御するためのPWM回路等のパルス制御回路73が設けられている。制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3による発熱機能を停止する。即ち、制御部7は、発熱部3を発熱作動させているとき、静電容量センサ装置1による検出処理を実行しない。このように本実施例によれば、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱機能を停止する。このため発熱部3への通電の影響を避けつつ、電極2による静電容量センサ機能が良好に発揮される。なお、本実施例においても、発熱部3の発熱は所定のデューティ比でデューティ制御される。
【0046】
荷重検出センサ8(感圧センサ)は、静電容量センサ装置1に隣接して一体的に設けられている。荷重検出センサ8による荷重信号を検出する第2検出回路74が設けられている。図5に示すように、荷重検出センサ8は、静電容量センサ装置1に組み付けられており、静電容量センサ装置1用の第1基部4および第2基部5と、スペーサ部材83と、第1導電パス部84および第2導電パス部85と、導通スイッチ部86とを備える。
【0047】
図5に示すように、スペーサ部材83は、第1基部4と第2基部5との間に介在しており、内壁面83iと外壁面83pとをもつ。内壁面83iは、円形の空間状をなす感圧室89を区画する円形状をなしている。スペーサ部材83は、粘着材83mにより第1基部4と第2基部5との間に固定されている。
【0048】
図5に示すように、荷重検出センサ8は、第1導電パス部84に繋がる第1配線部87と、第2導電パス部85に繋がる第2配線部88とをもつ。第1導電パス部84に電気的に繋がる第1配線部87は、第1導電パス部84と共に第1基部4の搭載面に設けられている。第2導電パス部85に電気的に繋がる第2配線部は、第2導電パス部85と共に第1基部4の搭載面に設けられている。第1配線部87および第2配線部88のうち一方は信号線にでき、他方はグランド線にできる。第1導電パス部84は、第1配線部87のうち感圧室89内に設けられているパス部分をいう。第2導電パス部85は、第2配線部88のうち感圧室89内に設けられているパス部分をいう。
【0049】
図5に示すように、導通スイッチ部86は、感圧室89を介して第1導電パス部84および第2導電パス部85に対面するように、第2基部5の搭載面に設けられている。導通スイッチ部86は、感圧室89に臨むように配置されている。導通スイッチ部86は、導電物質を成膜する成膜手段(蒸着、スパッタリング、印刷など)により形成されている。荷重が入力されると、第1基部4と第2基部5との間の距離LB(図5参照)が短縮される。このとき、感圧室89において、第1導電パス部84および第2導電パス部85は、導通スイッチ部86に接触して導通する。これにより荷重の入力が検出される。荷重の入力が解除されると、第1基部4と第2基部5との間の距離LB(図5参照)が復元し、第1導電パス部84および第2導電パス部85は、導通スイッチ部86に非接触となり、非導通となる。これにより荷重の解除が検出される。
【0050】
ところで、低温の影響で、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)が変化(硬化)することがある。この場合、発熱部3により第1基部4および第2基部5を暖めることができ、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。殊に本実施例によれば、図5から理解できるように、厚み方向において、第1基部4、発熱部3および第2基部5が互いに重複するように配置されているため、発熱部3の熱を第1基部4および第2基部5に速やかに伝達でき、第1基部4および第2基部5を効果的に暖めることができる。
【0051】
ところで、発熱部3の材料または製法によっては、発熱部3はある程度剛性をもつことがある。この場合、荷重検出センサ8が設けられている領域に、仮に発熱部3が設けられていると、発熱部3の剛性の影響で、発熱部3の荷重伝達がバラツキ、荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることがある。この点本実施例によれば、図5に示すように、荷重検出センサ8が設けられている領域には、発熱部3が設けられていない。つまり、荷重検出センサ8と発熱部3とは互いに重合しておらず、互いに対面していない。従って、発熱部3が剛性を有するときであっても、荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることが回避される。
【0052】
図6は制御部7が実行するフローチャートの1例を示す。まず、発熱部3を発熱させる操作スイッチ77がオンかオフか判定する(ステップSA2)。操作スイッチ77がオンであれば(ステップSA2のYES)、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させ(ステップSA10)、更にステップSA12に進み、時分割検出処理を行なう。これに対して温度センサ75の検出温操作スイッチ77がオフであれば(ステップSA2のNO)、温度センサ75の検出温度が所定温度T1(適宜選択できるが、例えば零下10℃)以下か否か判定する(ステップSA4)。温度センサ75の検出温度が所定温度T1以上であれば(ステップSA4のNO)、雰囲気温度が過剰低温領域ではないため、制御部7は、静電容量センサ装置1による検出処理と、荷重検出センサ8による検出処理の双方を行う(ステップSA6)。この場合、雰囲気温度が高温領域であるため、発熱部3への通電は行われず、発熱部3を発熱させない。
【0053】
これに対して、温度センサ75の検出温度が所定温度T1以下であれば(ステップSA4のYES)、雰囲気温度が過剰低温領域である。このため、基部4および5が低温のため硬化すると、荷重検出センサ8の検出精度が低下するおそれがある。そこで、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させ(ステップSA8)、基部4および5の硬化を防止する。更に、時分割検出処理を行なう(ステップSA12)。時分割検出処理においては、発熱部3への通電時間t1においては、静電容量センサ装置1による検出処理と荷重検出センサ8による検出処理を実行しない。この場合、双方の検出処理の精度が発熱部3への通電による電界の影響を受けず、双方の検出処理の精度が良好に確保される。
【0054】
これに対して、発熱部3への通電停止時間t2においては、静電容量センサ装置1の検出処理と、荷重検出センサ8による検出処理との双方を実行する。この結果、発熱部3への通電の影響を避けつつ、電極2による静電容量センサ機能および荷重検出センサ機能の双方が良好に発揮される。
【実施例4】
【0055】
図7は実施例4を示す。本実施例は実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。発熱部3は所定のデューティ比でデューティ制御される。デューティ制御によれば、図7(A)に示すように、発熱部3への通電時間をt1とし、発熱部3への通電停止時間をt2とし、tallをt1+t2とする。図7(B)に示すように、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)は、発熱部3への通電停止時間t2において実行される。更に本実施例によれば、図7(C)に示すように、荷重検出センサ8による検出処理(Δtc)は、発熱部3への通電時間t1において実行される。このため、発熱部3の通電停止時間t2においては、荷重検出センサ8による検出処理(Δtc)を実行せずとも良く、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)のみを実行すれば良い。
【0056】
ところで、発熱部3の発熱量を大きく確保するためには、発熱部3に通電する電流のデューティ比が高くなる。この場合、発熱部3への通電時間t1が長くなるため、発熱部3の通電停止時間t2が短い時間となる。発熱材料などの制約、小型化等の要請により、発熱部3の単位時間あたりの発熱量を小さくすることがある。この場合には、発熱部3への通電時間t1が長くなり、通電停止時間t2がかなり短くなるおそれがある。このような場合においても、発熱部3の通電停止時間t2においては、荷重検出センサ8による検出処理(Δtc)を実行せずとも良く、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)のみを実行すれば良いため、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)を良好に行うことができる。
【実施例5】
【0057】
図8は実施例5を示す。本実施例は実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。発熱部3は、発熱部3は、昇温時に電気抵抗が増加する特性(PTC特性)を有しており、このため温度が高くなると、発熱部3に通電される電流値が自動的に減少し、発熱温度を制御する自己温度制御機能を果たす。このため発熱部3の過熱が防止される。この場合には、発熱部3は自己温度制御機能を果たすため、必ずしも、発熱部3をデューティ制御せずとも良い。従って、発熱部3を長い時間通電した後に、発熱部3をオフとする制御も採用しても良い。勿論、この場合といえども、発熱部3をデューティ制御しても良い。
【0058】
図8に示すように、荷重検出センサ8は、静電容量センサ装置1に隣接して設けられている。図5に示すように、荷重検出センサ8は第1ベース部81と、第2ベース部82と、スペーサ部材83と、第1導電パス部84および第2導電パス部85と、導通スイッチ部86とを備える。第1ベース部81および第2ベース部82は、互いに対向しており、荷重検出センサ8の主要素を形成するものであり、樹脂で形成された膜体とされている。第1ベース部81および第2ベース部82は、第1基部4および第5基部5に対して別体とされている。
【0059】
スペーサ部材83は、第1ベース部81と第2ベース部82との間に介在しており、内壁面83iと外壁面83pとをもつ。内壁面83iは、円形の空間状をなす感圧室89を区画する円形状をなしている。スペーサ部材83は、粘着材83mにより第1ベース部81と第2ベース部82との間に固定されている。
【0060】
本実施例においても、図8に示すように、静電容量センサ装置1の長さ方向LKにおいて、荷重検出センサ8が設けられている領域には、発熱部3が設けられていない。つまり、荷重検出センサ8と発熱部3とは互いに重合しておらず、両者は互いに対面していない。従って、発熱部3の剛性が高いときであっても、発熱部3が荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることが回避される。従って、発熱部3を構成する材料の選択の自由度を高めることができる。
【実施例6】
【0061】
図9は実施例6を示す。本実施例は荷重検出センサ8を搭載する実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。静電容量センサ機能を発揮する電極2は、発熱機能を兼務する。静電容量センサ機能を発揮する電極2に通電することにより発熱機能は実行される。
【実施例7】
【0062】
図10は実施例7を示す。本実施例は荷重検出センサ8を搭載する実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。第2基部5の内部には発熱部3Eが埋設されている。発熱部3Eは、荷重検出センサ8が設けられている領域にも発熱部3が延設されている。
【実施例8】
【0063】
図11は実施例8を示す。このヘッドレスト100は、車両の衝突時において乗員の首部をむち打ち症から保護する制御システムに使用される。図11に示すように、ヘッドレスト100は、車両等に装備される着座装置に取り付けられるヘッドレスト本体102と、ヘッドレスト本体102のうち人の頭部に対面する側に設けられたセンサ搭載面104とをもつ。
【0064】
ヘッドレスト本体102のセンサ搭載面104には、静電容量センサ装置1の電極2が併設されている。静電容量センサ装置1は人の頭部の後側に対向するものであり、荷重検出センサ8と独立して人の頭部を静電容量の変化により検出する。静電容量センサ装置1の電極2は導電材料で形成されており、センサ搭載面104の外縁104cに沿って形成された面状の外縁電極部20と、外縁電極部20よりも内側に形成された面状の内電極部22とを有する。図11に示すように、外縁電極部20および内電極部22により、多数の荷重検出センサ8が包囲されている。即ち、センサ搭載面104において、外縁電極部20と内電極部22との間に多数の荷重検出センサ8が人の頭部の後側に対向するように配置されている。従って、センサ搭載面104の近傍に人の頭部が存在するとき、荷重検出センサ8および静電容量センサ装置1の双方がそれぞれ独立して人の頭部の存在を検出する。これによりセンサの信頼性を高めている。
【0065】
上記したようにヘッドレスト100では、人の頭部による荷重を荷重検出センサ8により検出することにより、人の頭部の有無を検出する。更に、人の頭部の接近による静電容量の変化を静電容量センサ装置1により検出することにより、人の頭部の接近の有無を検出する。これによりヘッドレスト100を使用している人の頭部の有無の検出が一層容易となり、センサの精度を更に高めることができる。人の髪の毛は多様性がある。髪の毛は、条件によっては、静電容量センサ装置1の感度に影響を与えることがある。この点本実施例のようにヘッドレスト100のセンサ搭載面104には、荷重検出センサ8によるセンシングと、静電容量センサ装置1によるセンシングとを併有させれば、上記した髪の影響等を回避するのに有利である。
【0066】
荷重検出センサ8の検出精度は、荷重検出センサ8を保持するヘッドレスト100を構成する材料の弾性の硬化の影響を受けることがある。そこで低温の影響で、ヘッドレスト100を構成する材料の弾性が硬化するおそれがあるときには、ヘッドレスト100の温度を検出する温度センサ75の検出信号に基づいて、発熱部3を発熱させれば、材料の弾性の過剰硬化が防止され、荷重検出センサ8による検出精度が確保される。温度センサ75はヘッドレスト100に組みこまれている。
【0067】
本実施例によれば、電極2の裏面側に、電極2と対向する位置において、面状の発熱部3が設けられている。そして、荷重検出センサ8が設けられている領域には、発熱部3が設けられていない。つまり、投影するとき、荷重検出センサ8と発熱部3とは互いに重合しておらず、両者は互いに対面していない。従って、発熱部3がある程度の剛性を有するときであっても、発熱部3が荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることが回避される。
【実施例9】
【0068】
図12は実施例9を示す。図12に示すように、着座装置400は車両用などに使用されるものであり、人の尻に対面するシートクッション401と人の背中に対面するシートバック402とをもつ着座装置本体403と、着座装置本体403のうちシートクッション401に設けられ人の荷重を検出するセンサとをもつ。センサは、上記した各実施例の係る荷重検出センサ8を有する静電容量センサ装置1、あるいは、荷重検出センサ8を有しない静電容量センサ装置1である。このセンサは、着座装置400への着座を検出する着座センサとして用いられている。なお、シートバック402のうち人の背中に対面する部分に、上記した各実施例の係る荷重検出センサ8を有する静電容量センサ装置1、あるいは、荷重検出センサ8を有しない静電容量センサ装置1を取り付けることにしても良い。
【0069】
その他、本発明は上記しかつ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更して実施できる。例えば発熱部3は面状とされているが、線状としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は車両等の乗物に搭載されるシート装置などの着座装置、車椅子の着座装置、トイレの便座装置等に搭載される人体検出センサ、乗員検出センサなどに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図2】実施例1に係り、発熱部の制御と静電容量センサ装置による検知時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図3】実施例1に係り、制御部が実行するフローチャートである。
【図4】実施例2に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図5】実施例3に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図6】実施例3に係り、制御部が実行するフローチャートである。
【図7】実施例4に係り、発熱部の制御と静電容量センサ装置による検知時間と荷重検知センサによる検知時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図8】実施例5に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図9】実施例6に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図10】実施例7に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図11】実施例8に係り、シート装置に搭載されるヘッドレストに静電容量センサ装置を組みこんでいる状態を示す構成図である。
【図12】実施例9に係り、シート装置に静電容量センサ装置を組みこんでいる状態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0072】
1は静電容量センサ装置、2は電極、3は発熱部、4は第1基部、5は第2基部、6は中間層、7は制御部、100はヘッドレスト、102ヘッドレスト本体、104はセンサ搭載面、20は外縁電極部、22は内電極部、401はシートクッション、402はシートバック、403は着座装置本体、401はシートクッション、402はシートバック、8は荷重検出センサ(荷重検出部)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は静電容量センサ装置、静電容量センサ装置を搭載するヘッドレストおよび着座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定間隔を隔て互いに対向する2枚のフィルムと、各フィルムの対向面に配置した電極と、フィルムの外面側に積層した発熱層とを有するセンサ・発熱体組み合わせ体が知られている(特許文献1)。このものでは、荷重が入力されると、2枚のフィルムの空間が狭くなり、電極同士が導通するため、荷重が検出される。
【0003】
また、シートの着座面に作用する荷重を検出するセンサを有するフィルム部材を配設すると共に、フィルム部材にヒータ手段を設けた着座センサが知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特表2003−533311号公報
【特許文献2】特表2004−175291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1、2に係る技術によれば、センサは原理的には荷重を検出する荷重検出センサである。荷重検出センサであれば、荷重検出センサによるセンシングと発熱部による通電とを同時期に実行したとしても、荷重検出センサによるセンシングは、発熱部による通電の影響を受けにくい。従って荷重検出センサによるセンシングを良好に行うことができる。
【0005】
ここで、非接触でシート着座者等の対象物を検出したい場合に、特許文献2のセンサを静電容量センサに置き換えると、上記通電の影響を受け易いことが本発明者らの検討により明らかとなった。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、静電容量センサ機能の検出精度を確保するのに有利な静電容量センサ装置、ヘッドレストおよび着座装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様相1に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、電極を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする。静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、発熱機能を有する部分に通電すれば、検出精度はその電界の影響を受け易い。この点様相1によれば、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。このため通電の影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【0008】
様相2に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、荷重を検出する荷重検出部と、電極を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき発熱機能を停止するとともに、荷重検出部により荷重を検出するとき発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする。様相2によれば、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。また荷重検出部により荷重を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。このため通電の影響を避けつつ、静電容量センサ機能および荷重検出機能が良好に発揮される。
【0009】
様相3に係るヘッドレストは、着座シートに取り付けられるヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体のうち人の頭部に対面する側に設けられ人の頭部に関する情報を検出するセンサとを具備するヘッドレストにおいて、センサは、前記様相に係る静電容量センサ装置であることを特徴とする。様相3によれば、人の頭部によよる静電容量変化を検出できる。これにより静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【0010】
様相4に係る着座装置は、人が着座する着座部と、着座部に設けられ人の着座を検出するセンサとを具備する着座装置において、センサは、前記した様相に係る静電容量センサ装置であることを特徴とする。様相4によれば、人の着座による静電容量変化を検出できる。これにより静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、発熱機能を停止する。このため通電の影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
静電容量センサ装置は、コンデンサの原理を応用して対象物を検出するものである。本発明に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、電極を搭載する基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する。基部は電極を直接または他の部材を介して搭載するものである。基部は例えばウレタン等の材料で形成できる。静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は発熱機能を停止する。電極は導電性を有する部材で形成できる。基部は一般的には静電容量センサ装置の本体となるものであり、電極を搭載する。発熱機能は、静電容量センサ機能を発揮する電極に対して別個に設けられた発熱部に通電して実現できる。あるいは、発熱機能は、静電容量センサ機能を発揮する電極自体を発熱部として使用し、ジュール熱を発生させる発熱電流を電極に通電して実現したりできる。発熱機能は、暖房または基部の過冷化を防止するヒータとして利用できる。
【0013】
様相2に係る静電容量センサ装置は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、荷重を検出する荷重検出部(感圧検出部)と、電極および荷重検出部をもつ基部とを具備すると共に、基部を加熱する発熱機能を有する。静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は荷重検出を停止する。この場合、静電容量センサ機能により対象物を検出するとき、制御部は、荷重検出を停止すると共に発熱機能を停止することができる。荷重検出部は荷重を検出するできるものであれば、センサ原理は静電容量式に限定されず、例えばメンブレン式や圧電式等を採用しても良い。
【0014】
制御部は、発熱部をデューティ制御し、発熱部への通電時間をt1とし、発熱部への通電停止時間をt2とする形態を例示することができる。この場合、制御部は、発熱部への通電時間t1において静電容量センサ装置の検出処理を実行せず、発熱部への通電停止時間t2において静電容量センサ装置の検出処理を実行する形態を採用することができる。デューティ比は適宜選択でき、例えば10〜90%の範囲内で選択できる。
【0015】
本発明は、次の各形態を例示することができる。次の形態のうちの一つまたは二つ以上を併用することができる。
【0016】
・発熱機能は、静電容量センサ機能を発揮する電極と物理的な別個に設けられた発熱部により実行される。発熱部としては、例えば印刷、蒸着などの成膜手段により膜として形成したり、あるいは、発熱材料で形成された発熱シートを配置して形成できる。発熱部としては、昇温時に電気抵抗が増加するPTC特性(自己温度制御特性)を有するものを例示できる。
【0017】
・静電容量センサ機能を発揮する電極と発熱部とは、互いに対向して配置されている形態を例示することができる。この場合、投影図においては電極および発熱部が重なるように配置されているため、搭載スペースを節約できる。
【0018】
・発熱部はある程度剛性をもつことがある。この場合、荷重検出部が設けられている領域に発熱部が設けられていると、発熱部の製造バラツキが大きいため、荷重検出部の検出精度に影響を与えることがある。このような場合、荷重検出部と発熱部とは、互いに対向しないように配置されている形態を例示することができる。即ち、荷重検出部が設けられている領域には、発熱部が設けられていない。つまり、投影するとき、荷重検出部と発熱部とは互いに重合しておらず、対面していない。従って、発熱部が荷重検出部の検出精度に影響を与えることが低減または回避される。
【0019】
・対象物が存在する側から順に、静電容量センサ機能を発揮する電極、発熱部、基部の順に配置されている形態を例示することができる。この場合、対象物に電極が近いため、静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。なお、静電容量センサ装置は、対象物からの距離が長いと、検出精度が低下する傾向がある。
【0020】
・対象物が存在する側に表皮部材が設けられると共に、静電容量センサ機能を発揮する電極と発熱部との間に中間層が設けられている形態を例示することができる。この場合、対象物が存在する側から順に、表皮部材、静電容量センサ機能を発揮する電極、中間層、発熱部、基部の順に配置されている形態を例示することができる。この場合、対象物に電極が近いため、静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。発熱部が基部に近いため、発熱部により基部を良好に暖めることができる。荷重検出センサ等が搭載されているときには、寒冷地等においては、荷重検出センサ等を保持する基部の特性(弾性等)が低温の影響で変化し、荷重検出センサ等の検出精度が低下するおそれがある。この場合、発熱部により基部を良好に暖めることができ、基部の特性(弾性等)を確保でき、検出センサ等の検出精度が確保される。
【0021】
・基部または大気の温度を直接または間接的に検出する温度検出部が設けられており、制御部は、温度検出部により検出した温度が基準温度域よりも低いとき発熱機能を発揮させると共に、昇温に伴い発熱機能を停止させる。寒冷地等においては、低温の影響で基部の特性(弾性等)が変化することがある。この場合、発熱部により基部を良好に暖めることができ、基部の特性(弾性等)を確保できる。
【0022】
・静電容量センサ機能を発揮する電極は発熱機能を兼務し、静電容量センサ機能を発揮する電極に通電することにより発熱機能は実行される。この場合、電極は静電容量センサ機能および発熱機能を兼務するため、部品点数が削減される。この場合、電極としては、電極機能および発熱機能を兼務する材料を選択することが好ましい。
【0023】
・本発明に係る静電容量センサ装置は、車両等の乗物用の検出センサとして利用でき、例えば、車両の乗員を検出する乗員検出センサとして利用できる。
【0024】
・ヘッドレストは、着座装置に取り付けられるヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体のうち人の頭部に対面する側に設けられ人の頭部に関する情報(例えば頭部位置情報、頭部荷重情報等)を検出するセンサとを具備する。センサは、上記した各様相に係る静電容量センサ装置である。この場合、ヘッドレストに対面する人の頭部の存在を良好に検出できる。ヘッドレストは、人の頭部を支えるように着座装置に取り付けられるものである。ヘッドレストは、車両等の乗物のシート装置、車椅子の着座装置、事務机の椅子、リクライニングチェア、マッサージチェア等に使用される。
【0025】
・着座装置は、人が着座する着座部と、前記着座部に設けられ人の着座を検出するセンサとを具備する。センサは、前記した各様相に係る静電容量センサ装置である。この場合、着座装置に着座する人の頭部の存在を良好に検出できる。着座装置としては、車両等の乗物に使用されるシート装置(チャイルドシートを含む)、車椅子に使用される着座装置、トイレに使用される便座装置が例示される。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明の実施例1について図1および図2を参照して具体的に説明する。本実施例に係る静電容量センサ装置1は、静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する面状の電極2と、面状の発熱部3と、面状の第1基部4および面状の第2基部5とを備える。第1基部4および第2基部5は例えば樹脂材やゴム材等を基材とするフィルムで形成できる。
【0027】
図1に示すように、対象物Mが存在する側に第1基部4が設けられている。静電容量センサ機能を発揮する電極2と発熱部3との間には、面状の中間層6(例えば樹脂材、ゴム材または粘着材)が設けられている。そして、対象物Mが存在する側から順に、つまり、外方から内部に向けて矢印A1方向に沿って、第1基部4、静電容量センサ機能を発揮する電極2、中間層6、発熱部3、第2基部5の順に配置されている。
【0028】
この場合、対象物Mは第1基部4の外側に位置する。この場合、対象物Mと電極2とが距離的に離れていると、静電容量センサ機能の検出精度が低下するおそれがある。また発熱部3は面状であるため、発熱部3が電極2よりも対象物Mに近いと、広い面積の発熱部3が電極2と対象物Mとの間に障害物として存在することになる。この場合、電極2による静電容量センサ機能を低下させるおそれがある。この点本実施例によれば、図1に示すように、発熱部3よりも電極2が対象物Mに近いため、広い面積の発熱部3が電極2と対象物Mとの間に障害物として存在することが防止される。従って、電極2による静電容量センサ機能を良好に発揮させるのに有利である。
【0029】
更に、発熱部3に通電することにより発熱部3を発熱させて暖房に利用することができる。更に、第1基部4および第2基部5を暖めることができ、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。
【0030】
殊に、図1に示すように、厚み方向において、第1基部4、発熱部3および第2基部5が重複するように配置されている。このため発熱部3により第1基部4および第2基部5を速やかに暖めることができ、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。更に、発熱部3が第2基部5が対面しており、発熱部3が第2基部5に近いため、発熱部3により第2基部5を良好に暖めることができ、第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。なお、発熱部3を発熱させる必要がないときには、発熱部3に給電する操作スイッチ77をオフにして発熱部3を断電し、発熱部3をグラウンドに接地しておく。
【0031】
制御部7と電極2との間には、静電容量の変化を検出するための第1検出回路71が設けられている。制御部7と発熱部3との間には、発熱部3への通電をデューティ制御するためのPWM回路等のパルス制御回路73が操作スイッチ77を介して設けられている。大気または第2基部5の温度を検出する温度センサ75(温度検出部)が設けられている。温度センサ75の検出信号は信号線75xにより制御部7に入力される。
【0032】
人体からの熱の伝達により第1基部4および第2基部5の温度が上昇する環境で使用される場合には、大気の温度が低くても、第1基部4および第2基部5の温度が高いことがある。このため、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を正確に検出するためには、温度センサ75は、大気の温度よりも第1基部4および第2基部5の温度を検出することが好ましい。図1では、温度センサ75を第2基部5に配置して第2基部5の温度を検出している。なお、第1基部4および第2基部5は温度的に大差ないと考えられる。
【0033】
静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3に通電していると、電界により検出精度がその影響を受け易い。そこで本実施例によれば、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するときには、発熱部3への通電を停止し、発熱部3による発熱機能を停止する。即ち、制御部7は、発熱部3を発熱作動させているとき、静電容量センサ装置1による検出処理を実行しない。換言すると、制御部7は、発熱部3を発熱作動させていないとき、静電容量センサ装置1による検出処理を実行する。このように本実施例によれば、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3への通電を停止し、発熱機能を停止する。このため発熱部3への通電による影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【0034】
更に説明を加える。本実施例によれば、発熱部3はパルス制御回路73により所定のデューティ比でデューティ制御される。デューティ制御によれば、図2(A)に示すように、発熱部3への通電時間をt1とし、発熱部3への通電停止時間をt2とし、tallをt1+t2とするとき、デューティ比はt1/tallを意味する。また、図2(B)に示すように、時間t1内において、発熱部3への通電のオンオフを繰り返しても良い。本実施例によれば、図2(C)に示すように、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)は、発熱部3への通電停止時間t2において実行される。
【0035】
ここで、発熱部3に通電する電流のデューティ比が過剰に小さいと、発熱部3の通電停止時間t2が長くなるため、静電容量センサ装置1による検出時間が確保されるものの、発熱部3の発熱時間が短縮されるため、単位時間あたりの発熱部3の発熱量が低下する傾向がある。これに対して、前記したデューティ比が過剰に大きいと、発熱部3の発熱時間が長くなり、単位時間あたりの発熱部3の発熱量が確保されるものの、発熱部3の通電停止時間t2が短くなるため、静電容量センサ装置1による検出時間が短くなる。上記した各事情を考慮して発熱部3に通電するとき、デューティ比を選択することが好ましい。
【0036】
本実施例によれば、発熱部3への通電時間t1においては、図2(C)に示すように、静電容量センサ装置1の検出処理(Δta)を実行しない。これに対して発熱部3への通電停止時間t2においては、静電容量センサ装置1の検出処理(Δta)を実行する。
【0037】
静電容量センサ装置1のサイズの小型化を図るためには、発熱部3を小型化することが好ましいが、この場合には発熱部3の単位時間あたりの発熱量には限界がある。デューティ比が過剰に小さいと、発熱部3の単位時間あたりの発熱量を確保しにくい。このため本実施例によれば、デューティ比としては20%以上、30%以上、40%以上とすることができる。これに対して、デューティ比が過剰に大きいと、前述したように発熱部3の通電停止時間が短くなり、静電容量センサ装置1による検出時間が短くなる。このため、静電容量センサ装置1による検出時間を確保するためには、デューティ比としては90%以下、80%以下、70%以下とすることができる。ここで、制御部7は基準電圧を変化させることにより、発熱部3へ通電される電流のパルス巾を変化させ、デューティ比を任意に変化させる。
【0038】
発熱部3は乗員等を暖める暖房としても機能できる。この場合、速やかに昇温させる必要がある。発熱部3およびその配線に多大な電流が流れる場合には、発熱部3に繋がる配線を金属箔(例えば銅箔、銀箔)とすることができる。
【0039】
図3は制御部7が実行するフローチャートの1例を示す。まず、発熱部3を発熱させる操作スイッチ77がオンかオフか判定する(ステップS2)。操作スイッチ77がオンであれば(ステップS2のYES)、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させる(ステップS10)。更に、ステップS12に進み、時分割検出処理を行なう。
【0040】
これに対して発熱部3の操作スイッチ77がオフであれば(ステップS2のNO)、温度センサ75の検出温度が所定温度T1(適宜選択できるが、例えば温度T1=マイナス10℃)よりも低温か否か判定する(ステップS4)。温度センサ75の検出温度が所定温度T1よりも高温であれば(ステップS4のNO)、雰囲気温度が過剰低温領域ではないため、制御部7は、静電容量センサ装置1による検出処理を行う(ステップS6)。この場合、発熱部3への通電は行われず、発熱部3は発熱していない。
【0041】
これに対して、温度センサ75の検出温度が所定温度T1よりも低温であれば(ステップS4のYES)、雰囲気温度が過剰低温領域であるため、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させる(ステップS8)。更に、時分割検出処理を行なう(ステップS12)。この時分割検出処理においては、図2に示すように、発熱部3への通電時間t1においては静電容量センサ装置1の検出処理を実行しないが、発熱部3への通電停止時間t2においては静電容量センサ装置1の検出処理を実行する。このように発熱部3への通電停止時間t2において静電容量センサ装置1の検出処理を実行するため、発熱部3への通電の影響を避けつつ、電極2による静電容量センサの検出精度が良好に得られる。
【実施例2】
【0042】
図4は実施例2を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。対象物Mが存在する側には、意匠用の表皮部材45が設けられる。静電容量センサ機能を発揮する電極2と発熱部3との間に、中間層6が設けられている。この場合、対象物Mが存在する側から順に、つまり、矢印A1方向に沿って、表皮部材45、第1基部4、静電容量センサ機能を発揮する電極2、中間層6、発熱部3、第2基部5の順に配置されている。この場合、仮に対象物Mと電極2とが距離的に離れていると、検出精度が低下するおそれがある。この点本実施例によれば、図4に示すように、発熱部3よりも電極2が対象物Mに近い側に配置されているため、静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。更に、図4に示すように、発熱部3が第2基部5と表皮部材45とに挟まれているため、発熱部3により第2基部5および表皮部材45を良好に暖めることができる。寒冷地等においては、低温の影響で第2基部5および表皮部材45の特性(弾性等)が変化することがある。この場合、発熱部3により第2基部5および表皮部材45(人体側)を良好に暖めることができ、第2基部5および表皮部材45の特性(弾性等)を確保できる。本実施例においても、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3への通電を停止し、発熱機能を停止する。このため発熱部3への通電による影響を避けつつ、静電容量センサ機能が良好に発揮される。
【実施例3】
【0043】
図5および図6は実施例3を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。本実施例に係る静電容量センサ装置1は、静電容量により対象物Mを検出する静電容量センサ機能を発揮する電極2と、荷重を検出する荷重検出センサ8(荷重検出部)と、電極2を搭載する第1基部4および第2基部5とを備える。対象物Mが存在する側には、第1基部4(例えばPEN等の樹脂製のフィルム)が設けられている。静電容量センサ機能を発揮する電極2と発熱部3との間には、中間層6(樹脂材またはゴム材)が設けられている。
【0044】
そして図5に示すように、対象物Mが存在する側から順に、つまり、外方から内部に向けて矢印A1方向に沿って、第1基部4、静電容量センサ機能を発揮する電極2、中間層6、発熱部3、第2基部5(例えば樹脂製のフィルム)の順に配置されている。この場合、発熱部3よりも電極2が対象物Mに距離的に近いため、電極2と対象物Mとの間に発熱部3が障害物として存在することが防止される。従って、発熱部3が電極2を障害物として遮蔽することが抑えられる。故に、電極2による静電容量センサ機能を発揮するのに有利である。
【0045】
図5に示すように、制御部7と電極2との間には、静電容量の変化を検出するための第1検出回路71が設けられている。制御部7と発熱部3との間には、発熱部3をデューティ制御するためのPWM回路等のパルス制御回路73が設けられている。制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱部3による発熱機能を停止する。即ち、制御部7は、発熱部3を発熱作動させているとき、静電容量センサ装置1による検出処理を実行しない。このように本実施例によれば、制御部7は、静電容量センサ機能により対象物Mを検出するとき、発熱機能を停止する。このため発熱部3への通電の影響を避けつつ、電極2による静電容量センサ機能が良好に発揮される。なお、本実施例においても、発熱部3の発熱は所定のデューティ比でデューティ制御される。
【0046】
荷重検出センサ8(感圧センサ)は、静電容量センサ装置1に隣接して一体的に設けられている。荷重検出センサ8による荷重信号を検出する第2検出回路74が設けられている。図5に示すように、荷重検出センサ8は、静電容量センサ装置1に組み付けられており、静電容量センサ装置1用の第1基部4および第2基部5と、スペーサ部材83と、第1導電パス部84および第2導電パス部85と、導通スイッチ部86とを備える。
【0047】
図5に示すように、スペーサ部材83は、第1基部4と第2基部5との間に介在しており、内壁面83iと外壁面83pとをもつ。内壁面83iは、円形の空間状をなす感圧室89を区画する円形状をなしている。スペーサ部材83は、粘着材83mにより第1基部4と第2基部5との間に固定されている。
【0048】
図5に示すように、荷重検出センサ8は、第1導電パス部84に繋がる第1配線部87と、第2導電パス部85に繋がる第2配線部88とをもつ。第1導電パス部84に電気的に繋がる第1配線部87は、第1導電パス部84と共に第1基部4の搭載面に設けられている。第2導電パス部85に電気的に繋がる第2配線部は、第2導電パス部85と共に第1基部4の搭載面に設けられている。第1配線部87および第2配線部88のうち一方は信号線にでき、他方はグランド線にできる。第1導電パス部84は、第1配線部87のうち感圧室89内に設けられているパス部分をいう。第2導電パス部85は、第2配線部88のうち感圧室89内に設けられているパス部分をいう。
【0049】
図5に示すように、導通スイッチ部86は、感圧室89を介して第1導電パス部84および第2導電パス部85に対面するように、第2基部5の搭載面に設けられている。導通スイッチ部86は、感圧室89に臨むように配置されている。導通スイッチ部86は、導電物質を成膜する成膜手段(蒸着、スパッタリング、印刷など)により形成されている。荷重が入力されると、第1基部4と第2基部5との間の距離LB(図5参照)が短縮される。このとき、感圧室89において、第1導電パス部84および第2導電パス部85は、導通スイッチ部86に接触して導通する。これにより荷重の入力が検出される。荷重の入力が解除されると、第1基部4と第2基部5との間の距離LB(図5参照)が復元し、第1導電パス部84および第2導電パス部85は、導通スイッチ部86に非接触となり、非導通となる。これにより荷重の解除が検出される。
【0050】
ところで、低温の影響で、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)が変化(硬化)することがある。この場合、発熱部3により第1基部4および第2基部5を暖めることができ、第1基部4および第2基部5の特性(弾性等)を良好に確保できる。殊に本実施例によれば、図5から理解できるように、厚み方向において、第1基部4、発熱部3および第2基部5が互いに重複するように配置されているため、発熱部3の熱を第1基部4および第2基部5に速やかに伝達でき、第1基部4および第2基部5を効果的に暖めることができる。
【0051】
ところで、発熱部3の材料または製法によっては、発熱部3はある程度剛性をもつことがある。この場合、荷重検出センサ8が設けられている領域に、仮に発熱部3が設けられていると、発熱部3の剛性の影響で、発熱部3の荷重伝達がバラツキ、荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることがある。この点本実施例によれば、図5に示すように、荷重検出センサ8が設けられている領域には、発熱部3が設けられていない。つまり、荷重検出センサ8と発熱部3とは互いに重合しておらず、互いに対面していない。従って、発熱部3が剛性を有するときであっても、荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることが回避される。
【0052】
図6は制御部7が実行するフローチャートの1例を示す。まず、発熱部3を発熱させる操作スイッチ77がオンかオフか判定する(ステップSA2)。操作スイッチ77がオンであれば(ステップSA2のYES)、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させ(ステップSA10)、更にステップSA12に進み、時分割検出処理を行なう。これに対して温度センサ75の検出温操作スイッチ77がオフであれば(ステップSA2のNO)、温度センサ75の検出温度が所定温度T1(適宜選択できるが、例えば零下10℃)以下か否か判定する(ステップSA4)。温度センサ75の検出温度が所定温度T1以上であれば(ステップSA4のNO)、雰囲気温度が過剰低温領域ではないため、制御部7は、静電容量センサ装置1による検出処理と、荷重検出センサ8による検出処理の双方を行う(ステップSA6)。この場合、雰囲気温度が高温領域であるため、発熱部3への通電は行われず、発熱部3を発熱させない。
【0053】
これに対して、温度センサ75の検出温度が所定温度T1以下であれば(ステップSA4のYES)、雰囲気温度が過剰低温領域である。このため、基部4および5が低温のため硬化すると、荷重検出センサ8の検出精度が低下するおそれがある。そこで、制御部7は、発熱部3をデューティ制御して発熱部3を発熱させ(ステップSA8)、基部4および5の硬化を防止する。更に、時分割検出処理を行なう(ステップSA12)。時分割検出処理においては、発熱部3への通電時間t1においては、静電容量センサ装置1による検出処理と荷重検出センサ8による検出処理を実行しない。この場合、双方の検出処理の精度が発熱部3への通電による電界の影響を受けず、双方の検出処理の精度が良好に確保される。
【0054】
これに対して、発熱部3への通電停止時間t2においては、静電容量センサ装置1の検出処理と、荷重検出センサ8による検出処理との双方を実行する。この結果、発熱部3への通電の影響を避けつつ、電極2による静電容量センサ機能および荷重検出センサ機能の双方が良好に発揮される。
【実施例4】
【0055】
図7は実施例4を示す。本実施例は実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。発熱部3は所定のデューティ比でデューティ制御される。デューティ制御によれば、図7(A)に示すように、発熱部3への通電時間をt1とし、発熱部3への通電停止時間をt2とし、tallをt1+t2とする。図7(B)に示すように、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)は、発熱部3への通電停止時間t2において実行される。更に本実施例によれば、図7(C)に示すように、荷重検出センサ8による検出処理(Δtc)は、発熱部3への通電時間t1において実行される。このため、発熱部3の通電停止時間t2においては、荷重検出センサ8による検出処理(Δtc)を実行せずとも良く、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)のみを実行すれば良い。
【0056】
ところで、発熱部3の発熱量を大きく確保するためには、発熱部3に通電する電流のデューティ比が高くなる。この場合、発熱部3への通電時間t1が長くなるため、発熱部3の通電停止時間t2が短い時間となる。発熱材料などの制約、小型化等の要請により、発熱部3の単位時間あたりの発熱量を小さくすることがある。この場合には、発熱部3への通電時間t1が長くなり、通電停止時間t2がかなり短くなるおそれがある。このような場合においても、発熱部3の通電停止時間t2においては、荷重検出センサ8による検出処理(Δtc)を実行せずとも良く、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)のみを実行すれば良いため、静電容量センサ装置1による検出処理(Δta)を良好に行うことができる。
【実施例5】
【0057】
図8は実施例5を示す。本実施例は実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。発熱部3は、発熱部3は、昇温時に電気抵抗が増加する特性(PTC特性)を有しており、このため温度が高くなると、発熱部3に通電される電流値が自動的に減少し、発熱温度を制御する自己温度制御機能を果たす。このため発熱部3の過熱が防止される。この場合には、発熱部3は自己温度制御機能を果たすため、必ずしも、発熱部3をデューティ制御せずとも良い。従って、発熱部3を長い時間通電した後に、発熱部3をオフとする制御も採用しても良い。勿論、この場合といえども、発熱部3をデューティ制御しても良い。
【0058】
図8に示すように、荷重検出センサ8は、静電容量センサ装置1に隣接して設けられている。図5に示すように、荷重検出センサ8は第1ベース部81と、第2ベース部82と、スペーサ部材83と、第1導電パス部84および第2導電パス部85と、導通スイッチ部86とを備える。第1ベース部81および第2ベース部82は、互いに対向しており、荷重検出センサ8の主要素を形成するものであり、樹脂で形成された膜体とされている。第1ベース部81および第2ベース部82は、第1基部4および第5基部5に対して別体とされている。
【0059】
スペーサ部材83は、第1ベース部81と第2ベース部82との間に介在しており、内壁面83iと外壁面83pとをもつ。内壁面83iは、円形の空間状をなす感圧室89を区画する円形状をなしている。スペーサ部材83は、粘着材83mにより第1ベース部81と第2ベース部82との間に固定されている。
【0060】
本実施例においても、図8に示すように、静電容量センサ装置1の長さ方向LKにおいて、荷重検出センサ8が設けられている領域には、発熱部3が設けられていない。つまり、荷重検出センサ8と発熱部3とは互いに重合しておらず、両者は互いに対面していない。従って、発熱部3の剛性が高いときであっても、発熱部3が荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることが回避される。従って、発熱部3を構成する材料の選択の自由度を高めることができる。
【実施例6】
【0061】
図9は実施例6を示す。本実施例は荷重検出センサ8を搭載する実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。静電容量センサ機能を発揮する電極2は、発熱機能を兼務する。静電容量センサ機能を発揮する電極2に通電することにより発熱機能は実行される。
【実施例7】
【0062】
図10は実施例7を示す。本実施例は荷重検出センサ8を搭載する実施例3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例3と異なる部分を中心として説明する。第2基部5の内部には発熱部3Eが埋設されている。発熱部3Eは、荷重検出センサ8が設けられている領域にも発熱部3が延設されている。
【実施例8】
【0063】
図11は実施例8を示す。このヘッドレスト100は、車両の衝突時において乗員の首部をむち打ち症から保護する制御システムに使用される。図11に示すように、ヘッドレスト100は、車両等に装備される着座装置に取り付けられるヘッドレスト本体102と、ヘッドレスト本体102のうち人の頭部に対面する側に設けられたセンサ搭載面104とをもつ。
【0064】
ヘッドレスト本体102のセンサ搭載面104には、静電容量センサ装置1の電極2が併設されている。静電容量センサ装置1は人の頭部の後側に対向するものであり、荷重検出センサ8と独立して人の頭部を静電容量の変化により検出する。静電容量センサ装置1の電極2は導電材料で形成されており、センサ搭載面104の外縁104cに沿って形成された面状の外縁電極部20と、外縁電極部20よりも内側に形成された面状の内電極部22とを有する。図11に示すように、外縁電極部20および内電極部22により、多数の荷重検出センサ8が包囲されている。即ち、センサ搭載面104において、外縁電極部20と内電極部22との間に多数の荷重検出センサ8が人の頭部の後側に対向するように配置されている。従って、センサ搭載面104の近傍に人の頭部が存在するとき、荷重検出センサ8および静電容量センサ装置1の双方がそれぞれ独立して人の頭部の存在を検出する。これによりセンサの信頼性を高めている。
【0065】
上記したようにヘッドレスト100では、人の頭部による荷重を荷重検出センサ8により検出することにより、人の頭部の有無を検出する。更に、人の頭部の接近による静電容量の変化を静電容量センサ装置1により検出することにより、人の頭部の接近の有無を検出する。これによりヘッドレスト100を使用している人の頭部の有無の検出が一層容易となり、センサの精度を更に高めることができる。人の髪の毛は多様性がある。髪の毛は、条件によっては、静電容量センサ装置1の感度に影響を与えることがある。この点本実施例のようにヘッドレスト100のセンサ搭載面104には、荷重検出センサ8によるセンシングと、静電容量センサ装置1によるセンシングとを併有させれば、上記した髪の影響等を回避するのに有利である。
【0066】
荷重検出センサ8の検出精度は、荷重検出センサ8を保持するヘッドレスト100を構成する材料の弾性の硬化の影響を受けることがある。そこで低温の影響で、ヘッドレスト100を構成する材料の弾性が硬化するおそれがあるときには、ヘッドレスト100の温度を検出する温度センサ75の検出信号に基づいて、発熱部3を発熱させれば、材料の弾性の過剰硬化が防止され、荷重検出センサ8による検出精度が確保される。温度センサ75はヘッドレスト100に組みこまれている。
【0067】
本実施例によれば、電極2の裏面側に、電極2と対向する位置において、面状の発熱部3が設けられている。そして、荷重検出センサ8が設けられている領域には、発熱部3が設けられていない。つまり、投影するとき、荷重検出センサ8と発熱部3とは互いに重合しておらず、両者は互いに対面していない。従って、発熱部3がある程度の剛性を有するときであっても、発熱部3が荷重検出センサ8の検出精度に影響を与えることが回避される。
【実施例9】
【0068】
図12は実施例9を示す。図12に示すように、着座装置400は車両用などに使用されるものであり、人の尻に対面するシートクッション401と人の背中に対面するシートバック402とをもつ着座装置本体403と、着座装置本体403のうちシートクッション401に設けられ人の荷重を検出するセンサとをもつ。センサは、上記した各実施例の係る荷重検出センサ8を有する静電容量センサ装置1、あるいは、荷重検出センサ8を有しない静電容量センサ装置1である。このセンサは、着座装置400への着座を検出する着座センサとして用いられている。なお、シートバック402のうち人の背中に対面する部分に、上記した各実施例の係る荷重検出センサ8を有する静電容量センサ装置1、あるいは、荷重検出センサ8を有しない静電容量センサ装置1を取り付けることにしても良い。
【0069】
その他、本発明は上記しかつ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更して実施できる。例えば発熱部3は面状とされているが、線状としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は車両等の乗物に搭載されるシート装置などの着座装置、車椅子の着座装置、トイレの便座装置等に搭載される人体検出センサ、乗員検出センサなどに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図2】実施例1に係り、発熱部の制御と静電容量センサ装置による検知時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図3】実施例1に係り、制御部が実行するフローチャートである。
【図4】実施例2に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図5】実施例3に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図6】実施例3に係り、制御部が実行するフローチャートである。
【図7】実施例4に係り、発熱部の制御と静電容量センサ装置による検知時間と荷重検知センサによる検知時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図8】実施例5に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図9】実施例6に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図10】実施例7に係り、静電容量センサ装置の断面図である。
【図11】実施例8に係り、シート装置に搭載されるヘッドレストに静電容量センサ装置を組みこんでいる状態を示す構成図である。
【図12】実施例9に係り、シート装置に静電容量センサ装置を組みこんでいる状態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0072】
1は静電容量センサ装置、2は電極、3は発熱部、4は第1基部、5は第2基部、6は中間層、7は制御部、100はヘッドレスト、102ヘッドレスト本体、104はセンサ搭載面、20は外縁電極部、22は内電極部、401はシートクッション、402はシートバック、403は着座装置本体、401はシートクッション、402はシートバック、8は荷重検出センサ(荷重検出部)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、前記電極を搭載する基部とを具備すると共に、前記基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、
前記静電容量センサ機能により前記対象物を検出するとき前記発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項2】
静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、荷重を検出する荷重検出部と、前記電極を搭載する基部とを具備すると共に、前記基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、
前記静電容量センサ機能により前記対象物を検出するとき前記発熱機能を停止するとともに、前記荷重検出部により荷重を検出するとき前記発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記制御部は前記発熱部をデューティ制御し、前記発熱部への通電時間をt1とし、前記発熱部への通電停止時間をt2とするとき、前記制御部は、前記発熱部への通電時間t1において前記静電容量センサ装置の検出処理を実行せず、前記発熱部への通電停止時間t2において静電容量センサ装置の検出処理を実行することを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記発熱機能は、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極に対して物理的に別個に設けられた発熱部により実行されることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極と、前記発熱機能を発揮する前記発熱部とは、直接または他の部材を介して互いに対向して配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項6】
請求項4または5において、前記発熱部は、昇温時に電気抵抗が増加する特性を有することを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項において、前記対象物が存在する側から順に、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極、前記発熱部、前記基部の順に配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか一項において、前記対象物が存在する側に表皮部材が設けられると共に、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極と前記発熱部との間に中間層が設けられており、
且つ、対象物が存在する側から順に、前記表皮部材、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極、前記中間層、前記発熱部、前記基部の順に配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか一項において、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極は前記発熱機能を兼務し、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極に通電することにより発熱機能は実行されることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一項において、前記基部または前記大気の温度を直接または間接的に検出する温度検出部が設けられており、前記制御部は、前記温度検出部により検出した温度が基準温度域よりも低いとき前記発熱機能を発揮させると共に、昇温に伴い前記発熱機能を停止させることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項11】
請求項4〜10のうちのいずれか一項において、前記荷重検出部と前記発熱部とは、互いに対向しないように配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項12】
着座装置に取り付けられるヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体のうち人の頭部に対面する側に設けられ人の頭部に関する情報を検出するセンサとを具備するヘッドレストにおいて、
前記センサは、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の静電容量センサ装置であることを特徴とするヘッドレスト。
【請求項13】
人が着座する着座部と、前記着座部に設けられ人の着座を検出するセンサとを具備する着座装置において、
前記センサは、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の静電容量センサ装置であることを特徴とする着座装置。
【請求項1】
静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、前記電極を搭載する基部とを具備すると共に、前記基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、
前記静電容量センサ機能により前記対象物を検出するとき前記発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項2】
静電容量により対象物を検出する静電容量センサ機能を発揮する電極と、荷重を検出する荷重検出部と、前記電極を搭載する基部とを具備すると共に、前記基部を加熱する発熱機能を有する静電容量センサ装置において、
前記静電容量センサ機能により前記対象物を検出するとき前記発熱機能を停止するとともに、前記荷重検出部により荷重を検出するとき前記発熱機能を停止する制御部が設けられていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記制御部は前記発熱部をデューティ制御し、前記発熱部への通電時間をt1とし、前記発熱部への通電停止時間をt2とするとき、前記制御部は、前記発熱部への通電時間t1において前記静電容量センサ装置の検出処理を実行せず、前記発熱部への通電停止時間t2において静電容量センサ装置の検出処理を実行することを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記発熱機能は、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極に対して物理的に別個に設けられた発熱部により実行されることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極と、前記発熱機能を発揮する前記発熱部とは、直接または他の部材を介して互いに対向して配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項6】
請求項4または5において、前記発熱部は、昇温時に電気抵抗が増加する特性を有することを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項において、前記対象物が存在する側から順に、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極、前記発熱部、前記基部の順に配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか一項において、前記対象物が存在する側に表皮部材が設けられると共に、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極と前記発熱部との間に中間層が設けられており、
且つ、対象物が存在する側から順に、前記表皮部材、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極、前記中間層、前記発熱部、前記基部の順に配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか一項において、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極は前記発熱機能を兼務し、前記静電容量センサ機能を発揮する前記電極に通電することにより発熱機能は実行されることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一項において、前記基部または前記大気の温度を直接または間接的に検出する温度検出部が設けられており、前記制御部は、前記温度検出部により検出した温度が基準温度域よりも低いとき前記発熱機能を発揮させると共に、昇温に伴い前記発熱機能を停止させることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項11】
請求項4〜10のうちのいずれか一項において、前記荷重検出部と前記発熱部とは、互いに対向しないように配置されていることを特徴とする静電容量センサ装置。
【請求項12】
着座装置に取り付けられるヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体のうち人の頭部に対面する側に設けられ人の頭部に関する情報を検出するセンサとを具備するヘッドレストにおいて、
前記センサは、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の静電容量センサ装置であることを特徴とするヘッドレスト。
【請求項13】
人が着座する着座部と、前記着座部に設けられ人の着座を検出するセンサとを具備する着座装置において、
前記センサは、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の静電容量センサ装置であることを特徴とする着座装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−114122(P2007−114122A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307699(P2005−307699)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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