説明

非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型及びその製造方法

一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型は、非結晶性フッ素樹脂からなる。前記鋳型は、前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドを利用して製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に様々な大きさ(nmからcmまで)のパターンを形成するための鋳型に関し、より詳しくは、集積回路、電子素子、光電素子、磁気素子などの製造工程において基板(例えば、シリコン基板、セラミック基板、金属層、高分子層など)上にパターン(超微細パターン、微細パターン、パターンなど)を形成するのに使用される非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、半導体、電子、光電、磁気、表示素子、微細電気機械素子などを製造するとき、基板上に微細パターンを形成する工程を行うことになるが、このように基板上に微細パターンを形成する代表的な技法として、光を用いて微細パターンを形成するフォトリソグラフィ(photolithography)方法がある。
【0003】
上記のフォトリソグラフィ方法は、光に対する反応性を有する高分子物質(例えば、フォトレジストなど)をパターニングしようとする物質が積層(または蒸着)された基板上に塗布し、目標とする任意のパターンに設計されたレティクルにより高分子物質上に光を透過させて露光し、現像工程により露光された高分子物質を除去することによって、パターニングしようとする物質上に目標パターンを有するパターンマスク(またはエッチングマスク)を形成する。その後、パターンマスクを用いるエッチング工程を行うことによって、基板上に積層された物質を所望のパターンにパターニングする。
【0004】
一方、上述したようなフォトリソグラフィ方法は、回路線幅(またはパターン線幅)が露光工程に使用される光の波長によって決定される。よって、現在の技術水準を考慮すると、フォトリソグラフィ工程を利用して基板上に超微細パターン、例えば、線幅が100nm以下の超微細パターンの形成は極めて困難であるというのが現状である。
【0005】
また、このような従来のフォトリソグラフィ方法は、様々な段階の工程(例えば、基板洗浄、基板表面処理、感光性高分子コーティング、低温熱処理、露光、現像、洗浄、高温熱処理など)を介さなければならないため、工程が複雑であり、多くの工程時間がかかるだけでなく、高価の工程装備を必要とするという問題があり、このような問題によって、製造コストの上昇及び生産性低下をもたらす根本的な欠点を有する。
【0006】
上述したような従来のフォトリソグラフィ方法が有する限界を克服するための方法として、非伝統的方式によるリソグラフィ方法が提案されている。
【0007】
上記の非伝統的方式によるリソグラフィ方法の1つとして、ナノインプリントリソグラフィ(nano−imprint lithography)方法があるが、この方法では、まず所望のパターンが製造されたケイ素(Si)などの硬い鋳型を設けて熱可塑性高分子薄膜がコーティングされた基板と対向させた後、プレス板の間に入れて高温、高圧で処理した後、鋳型と基板を分離する方式で、基板の高分子薄膜パターンに鋳型のパターンを転写させる。
【0008】
このようなナノインプリントリソグラフィ方法の利点は、Siなどの硬い鋳型(hard mold)を使用するため、超微細パターンを容易に実現できるということにある。実際に、文献によって報告されたところによれば、実現した最小パターンの大きさが略7nmであると提示されている。
【0009】
しかし、従来のナノインプリントリソグラフィ方法は、高温、高圧工程を行った後に鋳型と基板との分離が容易でないという問題があり、高い圧力によって鋳型及び基板が破損する恐れがあるという問題があり、高温で加熱された高分子物質の流動性を利用してパターニングするため、サイズが大きいパターンの場合、完璧なパターニングにかかる時間が極めて長くなるという問題、すなわち、工程時間が長くなる問題がある。
【0010】
次に、非伝統的方式によるリソグラフィ方法の他の例として、微細接触印刷法(μCP;micro−contact printing)、微細毛細管モールディング(MIMIC;micro−molding in capillaries)、微細転移モールディング(μTM;micro−transfer molding)、軟性成形モールディング(soft−molding)、毛細管力リソグラフィ(CFL;capillary force lithography)などの方法があり、このような方法の共通点は、鋳型として高分子弾性体の一種であるPDMS(polydimethylsiloxane)を使用するということにある。
【0011】
ここで使用されるPDMS鋳型の利点として、弾性体であるため、パターニングする基板表面との均一な接触(conformal contact)が容易であることや、表面エネルギーが低い物質であるため、他の物質表面との接着力が弱く、パターニング後に基板表面から容易に分離が可能であること、3次元網目構造(net−work structure)に起因した高い気体透過性(high gas permeability)により溶媒の吸収が容易であることが挙げられる。
【0012】
その反面、PDMS鋳型は、機械的強度が低い弾性体であるため、変形が生じ易く微細パターン(例えば、略500μm以下)の実現が不可能であり、実現するパターンの縦横比に大きく依存すると共に、トルエンなどの一般的な有機溶媒によって膨潤されて変形が発生するため、パターニングに使用する高分子及び溶媒の選定に相当な制約があるといった欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、パターンを形成しようとする基板との分離が容易であり、優れた気体透過性を有し、柔軟性と機械的強度を適切に保持することができる非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、一側面に形成された少なくとも1層構造のパターンを利用して基板上に目標パターンを形成するのに使用される鋳型において、前記鋳型の材質が非結晶性フッ素樹脂であり、前記鋳型は、そのパターン構造面の対向する面に所定の厚さの高分子弾性体が接着された2層構造の鋳型であることを特徴とする鋳型を提供する。
【0015】
本発明の他の一実施形態によれば、一側面に形成された少なくとも1層構造のパターンを利用して基板上に目標パターンを形成するのに使用される鋳型において、前記鋳型の材質が非結晶性フッ素樹脂と高分子弾性体が混合された複合体であることを特徴とする鋳型を提供する。
【0016】
前記目的を達成するための他の観点の一形態による本発明は、一側面に形成された少なくとも1層構造のパターンを利用して基板上に目標パターンを形成するのに使用される鋳型を製造する方法において、前記超微細パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドを利用する圧縮成形技法により前記鋳型を製造し、前記鋳型の材質が非結晶性フッ素樹脂であることを特徴とする鋳型製造方法を提供する。
【0017】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、一側面に形成された少なくとも1層構造のパターンを利用して基板上に目標パターンを形成するのに使用される鋳型を製造する方法において、前記パターンに対向するパターン構造が一側面に形成された鋳型枠を利用する射出成形技法により前記鋳型を製造し、前記鋳型の材質が非結晶性フッ素樹脂であることを特徴とする鋳型製造方法を提供する。
【0018】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、一側面に形成された少なくとも1層構造のパターンを利用して基板上に目標パターンを形成するのに使用される鋳型を製造する方法において、前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドをそのパターン構造面が上方を向くようにして容器内部の所定の位置に配置する第2過程と、前記容器内部に非結晶性フッ素樹脂溶液を満たす第3過程と、前記非結晶性フッ素樹脂溶液を硬化させる第4過程と、前記容器から硬化された非結晶性フッ素樹脂を取り外して鋳型を完成する第5過程とを含むことを特徴とする鋳型製造方法を提供する。
【0019】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、一側面に形成された少なくとも1層構造のパターンを利用して基板上に目標パターンを形成するのに使用される鋳型を製造する方法において、高分子弾性体オリゴマーと非結晶性フッ素樹脂溶液を混合した後、溶媒を蒸発させる過程と、前記溶媒が蒸発された混合溶液に硬化剤を添加して複合体を生成する過程と、前記複合体を前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドが内部に配置された容器に注入する過程と、前記注入された複合体を硬化させる過程と、前記容器から硬化された複合体を取り外して複合体鋳型を完成する過程とを含むことを特徴とする鋳型製造方法を提供する。
【0020】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、一側面に形成された少なくとも1層構造のパターンを利用して基板上に目標パターンを形成するのに使用される鋳型を製造する方法において、高分子弾性体オリゴマー、非結晶性フッ素樹脂及び硬化剤を混合して複合体を生成する過程と、前記複合体を前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドが内部に配置された容器に注入する過程と、前記注入された複合体を硬化させる過程と、前記容器から硬化された複合体を取り外して複合体鋳型を完成する過程とを含むことを特徴とする鋳型製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の前記及びその他の目的と様々な利点は、この技術分野に熟練した人によって添付の図面を参照して下記に記述される本発明の好適な実施形態からさらに明確になるだろう。
【0022】
以下、添付した図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0023】
まず、本発明の核心技術思想は、基板上にパターンを形成するための鋳型として、低い機械的強度により変形に脆く、有機溶媒に起因する膨潤による変形に脆い高分子弾性体の一種であるPDMSを使用する上述した従来の技術とは異なり、基板上にパターン(nm〜cmの大きさのパターン)を形成するための鋳型の材料として、非結晶性テフロン(登録商標)、すなわち、低い表面エネルギーによって鋳型分離が容易であり、適切な機械的強度を有し、高い気体透過度及び有機溶媒への非膨潤特性及び基板表面との均一な接触を提供することができる非結晶性フッ素樹脂のテフロン(登録商標)を使用するということで、このような技術的手段により、本発明で目的とするところを容易に達成することができる。
【0024】
ここで、非結晶性フッ素樹脂を利用する本発明の鋳型は、非結晶性フッ素樹脂粉末を用いた圧縮成形、射出成形などの方法で製造するか、あるいは、非結晶性フッ素樹脂溶液状態を用いたコーティング、キャスティングなどの方法で製造することができる。
【0025】
また、鋳型の材料として利用される非結晶性フッ素樹脂としては、アメリカのデュポン社により開発されたTeflon AF(登録商標)を使用することができるが、これは非結晶性テフロンの一種で、TFE(tetrafluoroethylene)、PDD(2,2−bistrifluoromethyl−4,5−difluoro−1、3−dioxole)の共重合高分子樹脂であり、共重合比率は全領域にかけて可能であり、商用製品としてTFEとPDDの共重合比率が異なるAF−1600、AF−2400などがある。
【0026】
よって、非結晶性フッ素樹脂からなる鋳型は、従来のPDMS鋳型と比較してみると、次のような利点を有する。
【0027】
第1に、低い表面エネルギーを有するため、パターニング後、基板からの分離が容易である。
【0028】
第2に、気体透過性が優れると共に特定溶媒により膨潤されないため、変形に強い。
【0029】
第3に、弾性体に比べて相対的に大きい機械的強度、例えば、500nm以下の超微細パターニングが可能な程度の強度を有する。
【0030】
第4に、極めて薄く柔軟な薄膜形態の加工が可能であるため、基板との均一な接触を実現することができる。
【0031】
次に、上述したような非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程について説明する。
【0032】
図1A及び1Bは、本発明の第1実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【0033】
図1Aに示すように、設けられた治具102の内側に任意のパターン構造、すなわち、製造しようとする鋳型のパターンと対向するパターン構造を有するマスターモールド104をそのパターン構造面が上方を向くようにして配置し、治具102の内部を必要とする適切な厚さだけのテフロンAF粉末106aを充填させる。
【0034】
次に、圧着のためのプレス板、詳細には、その内部にヒーター110が内蔵されたプレス板108を設けた後、任意の工程条件、例えば、温度340℃、圧力3000psiの工程条件で、プレス板108をテフロンAF粉末106aに所定時間(例えば、120分)圧縮成形させる。
【0035】
その後、プレス板108を持ち上げた後、治具102から圧縮成形されたテフロンAF粉末を分離することにより、一例として図1Bに示すようなパターン構造を有する鋳型106を完成する。このように、完成された非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型は、基板上にパターン(nmからcmまでの大きさ)を形成するのに使用される。
【0036】
一方、本発明では、上述した方法とは異なって、治具内部にまずテフロンAF粉末を充填し、プレス板で圧着して平坦な板を形成した後、治具から分離し、また平坦な板と任意のパターン構造面を有するマスターモールドをプレスで圧着する圧縮成形方式(一種のインプリント方式)で製造することもできる。
【0037】
他に、本発明のフッ素樹脂を用いた鋳型は、上述したような圧縮成形方法ではなく、一側に任意のパターン構造(すなわち、射出成形で製造しようとする鋳型のパターンと対向するパターン構造)を形成した鋳型枠などを利用する射出成形方法で製造することができる。
【0038】
図2A及び図2Bは、本発明の第2実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【0039】
図2Aに示すように、設けられた容器202の内側に任意のパターン構造、すなわち、製造しようとする鋳型のパターンと対向するパターン構造を有するマスターモールド204をそのパターン構造面が上方を向くようにして配置し、容器202の内部に適切量のテフロンAF溶液206aを満たす。ここで、容器202の内部に溶液を満たす方法として、例えば、スピンコーティング(spin coating)、スプレーコーティング(spray coating)、ディップコーティング(dip coating)、溶液キャスティングなどの方式を使用することができる。
【0040】
次に、所定の工程温度(例えば、25℃)で所定時間(例えば、240分)処理して溶媒を蒸発させることにより、テフロンAF溶液を硬化させる。このような硬化工程は、高温熱処理(または高温真空熱処理)条件で行い、溶液に含有されている溶媒の蒸発を促進させることにより、さらに迅速に実現できるだけでなく、テフロンAF溶液が入っている容器を高速回転させて溶液に含有されている溶媒の蒸発を促進させることにより、さらに迅速に実現できる。
【0041】
その後、容器202から硬化されたテフロンAFを分離することにより、一例として図2Bに示すようなパターン構造を有する鋳型206を完成する。このように、完成された非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型は、基板上にパターン(nmからcmまでの大きさ)を形成するのに使用される。
【0042】
一方、本実施形態では、マスターモールド204が入った容器202の内部にテフロンAF溶液を入れた後、溶媒を蒸発させて、再びその上にテフロンAF溶液を入れた後に蒸発させる過程を必要な回数だけ繰り返して行う方式により、所望の目標の厚さを有する鋳型を得ることができる。
【0043】
図3A及び図3Bは、本発明の第3実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【0044】
図3Aに示すように、設けられた治具または容器302の内側に任意のパターン構造を有するマスターモールド304をそのパターン構造面が上方を向くようにして配置し、上述した実施形態1または実施形態2の方法及びその変形方法を利用して、治具または容器302内に数μm〜数百μmの厚さを有する圧縮成形または硬化されたテフロンAF鋳型層306を形成する。
【0045】
次に、圧縮成形または硬化されたテフロンAF鋳型層306の上部にPDMS、PUなどの高分子弾性体溶液308aを所定の量だけ満たした後、硬化工程を行って高分子弾性体鋳型308aを硬化させる。
【0046】
この後、治具または容器302からテフロンAF鋳型層306と高分子弾性体鋳型層308の2層構造からなる鋳型を分離することにより、一例として図3Bに示すようなパターン構造を有する2層構造の鋳型を完成する。このように、完成された非結晶性フッ素樹脂を用いた2層構造の鋳型は、基板上にパターン(nmからcmまでの大きさ)を形成するのに使用される。
【0047】
本実施形態によって製造される鋳型は、非結晶性フッ素樹脂の鋳型に高分子弾性体(PDMS、PUなどの高分子弾性体)が取付けられた形態を有するため、基板上に様々な大きさのパターンを形成するための鋳型の取扱をより円滑にすることができる。
【0048】
一方、本発明による鋳型は、非結晶性樹脂であるテフロンの材質で形成するか、あるいは、テフロンの一端側(すなわち、パターン構造が形成されていない側)に高分子弾性体(PDMS、PUなどの高分子弾性体)を取付けた2層構造に形成することに限定されるものではなく、非結晶性フッ素樹脂と高分子弾性体を混合した複合体材質で形成することができるのは勿論である。
【0049】
このように、テフロンなどの非結晶性フッ素樹脂とPDMS、PUなどの高分子弾性体を混合した材質からなる複合体鋳型は、高分子弾性体のオリゴマーと非結晶性フッ素樹脂溶液を適正な割合で混合した後に溶媒を蒸発させ、この後、硬化剤を添加した後によく混合して複合体を作って、かかる複合体をマスターモールドが挿入された容器に注いで硬化(例えば、熱、紫外線などを利用して硬化)させた後、マスターモールドから取り外す方式で製造することができる。
【0050】
ここで、溶媒の除去促進のために、上述した実施形態と同様に、高温熱処理または高温真空熱処理工程を行うか、または、容器を高速回転させる工程を行うことができる。
【0051】
また、複合体鋳型は、前記方式とは異なって、nmの大きさの極めて微細な非結晶性フッ素樹脂粉末と高分子弾性体オリゴマー及び硬化剤を同時に混合して複合体を作り、これをマスターモールドが挿入された容器に注いで硬化(例えば、熱、紫外線などを利用して硬化)させた後、マスターモールドから取り外す方式で製造することができる。ここで上記と同様に、熱または紫外線などを利用して硬化させることができる。
【0052】
本発明の発明者は、非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造し、これを用いて基板上に微細パターンを形成する実験を行った。
【0053】
マスターモールドとしてパターンが形成されたシリコン基板を使用して温度340℃、圧力2000psi、時間5分の工程条件及び常温まで自然冷却させる方式で非結晶性テフロン鋳型が製造される場合、非結晶性テフロン鋳型は、1μm間隔のラインアンドスペースパターンを有する。本実験例では、マスターモールドとしてシリコン基板を使用し、高分子物質としてポリスチレンを使用し、非結晶性テフロン鋳型を利用する毛細管力リソグラフィ方法(工程条件:温度150℃、時間30分)でパターニングを行った。
【0054】
本発明者による実験結果によれば、パターニング後に基板との分離が容易であり、気体透過性が優れると共に、特定溶媒に起因する変形に強く、弾性体に比べて大きい機械的強度を有し、柔軟性確保により基板との均一な接触が可能な非結晶性テフロン鋳型を得ることができ、かかる非結晶性テフロン鋳型を利用して基板上に安定、且つ、信頼性の高い微細パターンを形成することができる。
【0055】
以上説明したように本発明によれば、基板上にパターンを形成するための鋳型として、低い機械的強度によって変形に脆く、有機溶媒に起因する膨潤による変形に脆い高分子弾性体の一種であるPDMSを使用する上述した従来の技術とは異なって、基板上に様々な大きさのパターンを形成するための鋳型の材料として非結晶性テフロン、すなわち、低い表面エネルギーにより鋳型の分離が容易であり、適切な機械的強度を有し、高い気体透過度及び有機溶媒への非膨潤特性及び基板表面度の均一な接触を提供することができる非結晶性フッ素樹脂であるテフロンを使用することにより、パターニング後に基板との分離が容易であり、気体透過性が優れると共に特定溶媒に起因する変形に強く、弾性体に比べて大きい機械的強度を有し、柔軟性確保により基板との均一な接触を実現することができる。
【0056】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、請求範囲に開示された本発明の技術的範囲内で当業者により多様に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】本発明の第1実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【図1B】本発明の第1実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【図2A】本発明の第2実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【図2B】本発明の第2実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【図3A】本発明の第3実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。
【図3B】本発明の第3実施形態によって非結晶性フッ素樹脂を用いた鋳型を製造する過程を示す工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型において、
前記鋳型が非結晶性フッ素樹脂からなることを特徴とする鋳型。
【請求項2】
前記鋳型は、前記パターンに対向する面に所定の厚さの高分子弾性体が接着された2層構造の鋳型であることを特徴とする請求項1に記載の鋳型。
【請求項3】
一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型において、
前記鋳型が非結晶性フッ素樹脂と高分子弾性体が混合された複合体からなることを特徴とする鋳型。
【請求項4】
一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型の製造方法において、
前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドを利用する圧縮成形技法により前記鋳型を製造し、前記鋳型が非結晶性フッ素樹脂からなることを特徴とする鋳型の製造方法。
【請求項5】
前記マスターモールドをそのパターン構造面が上方を向くようにして治具内部の所定の位置に配置する工程と、
前記治具内部に非結晶性フッ素樹脂粉末を充填する工程と、
設けられたプレス板を前記非結晶性フッ素樹脂粉末に接触させて配置する工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂を所定の工程条件下で圧縮成形して圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂を生成する工程と、
前記圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂を前記マスターモールドから分離して前記鋳型を完成する工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記マスターモールドを、そのパターン構造面が上方を向くようにして治具内部の所定の位置に配置する工程と、
前記治具内部に非結晶性フッ素樹脂粉末を充填する工程と、
設けられたプレス板を前記非結晶性フッ素樹脂粉末に接触させて配置する工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂を所定の工程条件下で圧縮成形して圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂を生成する工程と、
前記治具内部で圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂の上部にPDMS弾性体前駆体を満たす工程と、
前記PDMS弾性体前駆体を硬化させPDMS弾性体を形成する工程と、
前記圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂と硬化されたPDMS弾性体からなる2層構造物を前記マスターモールドから分離して2層構造の鋳型を完成する工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記治具内部に非結晶性フッ素樹脂粉末を所定の厚さだけ充填する工程と、
設けられたプレス板を前記非結晶性フッ素樹脂粉末に接触させて配置する工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂を所定の工程条件下で圧縮成形して非結晶性フッ素樹脂板を形成する工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂板を前記マスターモールドのパターン構造に整列させる工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂板を圧縮成形して圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂を生成する工程と、
前記圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂を前記マスターモールドから分離して前記鋳型を完成する工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
前記治具内部に非結晶性フッ素樹脂粉末を所定の厚さだけ充填する工程と、
設けられたプレス板を前記非結晶性フッ素樹脂粉末に接触させて配置する工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂を所定の工程条件下で圧縮成形して非結晶性フッ素樹脂板を形成する工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂板を前記マスターモールドのパターン構造に整列させる工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂板を圧縮成形して圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂を生成する工程と、
前記治具内部で圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂の上部にPDMS弾性体前駆体を満たす工程と、
前記PDMS弾性体前駆体を硬化させPDMS弾性体を形成する工程と、
前記圧縮成形された非結晶性フッ素樹脂と硬化されたPDMS弾性体からなる2層構造物を前記マスターモールドから分離して2層構造の鋳型を完成する工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項9】
一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型の製造方法において、
前記鋳型は、前記パターンに対向するパターン構造が一側面に形成された鋳型枠を利用する射出成形技法により製造され、前記鋳型が非結晶性フッ素樹脂からなることを特徴とする鋳型製造方法。
【請求項10】
一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型の製造方法において、
前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドを、そのパターン構造面が上方を向くようにして容器内部の所定の位置に配置する工程と、
前記容器内部に非結晶性フッ素樹脂溶液を充填する工程と、
前記非結晶性フッ素樹脂溶液を硬化させ、硬化された非結晶性フッ素樹脂を生成する工程と、
前記マスターモールドから硬化された非結晶性フッ素樹脂を分離する工程とを含むことを特徴とする鋳型の製造方法。
【請求項11】
前記硬化工程は、高温熱処理工程により促進されることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記硬化工程は、高温真空熱処理工程により促進されることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記硬化工程は、前記容器を高速回転させることにより促進されることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
硬化された非結晶性フッ素樹脂の上部にPDMS弾性体前駆体を充填する工程と、
前記PDMS弾性体前駆体を硬化させる工程とを前記分離工程前にさらに含み、
前記鋳型は、前記硬化された非結晶性フッ素樹脂とPDMS弾性体からなる2層構造物であることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項15】
一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型を製造する方法において、
高分子弾性体オリゴマーと非結晶性フッ素樹脂溶液を混合して混合溶液を生成する工程と、
溶媒を蒸発させて溶媒が蒸発された混合溶液を生成する工程と、
前記溶媒が蒸発された混合溶液に硬化剤を添加して複合体を生成する工程と、
前記複合体を前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドが内部に配置された容器に注入する工程と、
前記複合体を硬化させ、硬化された複合体を生成する工程と、
前記マスターモールドから前記硬化された複合体を分離する工程とを含むことを特徴とする鋳型の製造方法。
【請求項16】
前記蒸発工程は、高温熱処理工程により促進されることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記蒸発工程は、高温真空熱処理工程により促進されることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項18】
前記蒸発工程は、前記容器を高速回転させることにより促進されることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項19】
前記硬化工程は、熱または紫外線を利用して行われることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項20】
一側面に形成されたパターンを利用して基板上に目標パターンを形成する鋳型を製造する方法において、
高分子弾性体オリゴマー、非結晶性フッ素樹脂及び硬化剤を混合して複合体を生成する工程と、
前記複合体を前記パターンに対向するパターン構造を有するマスターモールドが内部に配置された容器に注入する工程と、
前記複合体を硬化させる工程と、
前記マスターモールドから硬化された複合体を分離する工程とを含むことを特徴とする鋳型の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate


【公表番号】特表2007−536107(P2007−536107A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511266(P2007−511266)
【出願日】平成16年5月4日(2004.5.4)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001041
【国際公開番号】WO2005/105401
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501409382)ミヌタ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】