説明

音声再生装置

【課題】 送信する変調信号の周波数を設定する作業を容易にする。
【解決手段】 ナビゲーション装置は、車両に搭載可能であり、音声信号を取得するTV受信機およびメモリI/Fと、取得された音声信号を、複数の周波数のいずれか1つの周波数の変調信号に変調し、送信するFMトランスミッタと、複数の地域各々に複数の周波数から選択された周波数を対応付けた周波数テーブルAを記憶するROMと、複数の地域のいずれかの指定を受け付ける地域指定受付手段(S01)と、FMトランスミッタに、取得された音声信号を受け付けられた地域と周波数テーブルAにより対応付けられた周波数の変調信号に変調させる送信制御手段(S05)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は音声再生装置に関し、特に車両に搭載可能な音声再生装置関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンテナからFM変調信号を送出するFMトランスミッタを備えたナビゲーション装置が登場している。FMトランスミッタは、ナビゲーション装置が出力する音声信号をFMの周波数の変調信号に変換し、変調信号を送信する。FMトランスミッタが送信する変調信号の周波数は、FM放送局が使用する周波数帯と重なる場合があるため、それと異なる周波数の変調信号を送信しなければならない。特開平9−130699号公報(特許文献1)には、複数の周波数の中からユーザが選択した周波数の変調信号を送信するFMトランスミッタが記載されている。
【0003】
しかしながら、ユーザが、FM放送局により使用されている周波数と混信しないように、FMトランスミッタで使用する周波数を設定するためには、すべてのFM放送局により使用されている周波数を知らなければならない。特に、ナビゲーション装置は、車両に搭載されるため、車両の移動先の地域をカバーするすべてのFM放送局が使用する周波数帯を、ユーザは知らなければならない。このため、FMトランスミッタに設定する周波数を選択する作業が困難であるといった問題があった。
【特許文献1】特開平9−130699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、送信する変調信号の周波数を設定する作業を容易にした音声再生装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的の1つは、放送局により使用されている周波数と混信しない周波数の変調信号を送信可能な音声再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、音声再生装置は、車両に搭載可能な音声再生装置であって、音声信号を取得する音声取得手段と、音声取得手段により取得された音声信号を、複数の周波数のいずれか1つの周波数の変調信号に変調し、送信する送信手段と、複数の地域各々と複数の周波数から選択された周波数とを対応付けて記憶する記憶手段と、複数の地域のいずれかの指定を受け付ける地域指定受付手段と、送信手段に、取得された音声信号を受け付けられた地域と対応付けられた周波数の変調信号に変調させる送信制御手段と、を備える。
【0007】
この局面に従えば、複数の地域各々と複数の周波数から選択された周波数とが対応付けて記憶され、複数の地域のいずれか1つが受け付けられると、取得された音声信号が、受け付けられた地域と対応付けられた周波数の変調信号に変調され、送信される。複数の地域各々と、複数の周波数から既に使用されていない周波数とを対応付ければ、既に使用されている周波数の変調信号が送信されないので、混信しない周波数で変調信号を送信することができる。その結果、既に使用されている周波数と混信しない周波数の変調信号を送信可能な音声再生装置を提供することができる。また、ユーザは、地域ごとに使用される周波数を知る必要がないので、送信する変調信号の周波数を設定する作業を容易にした音声再生装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の局面によれば、音声再生装置は、車両に搭載される音声再生装置であって、音声信号を取得する音声取得手段と、音声取得手段により取得された音声信号を、複数の周波数のいずれか1つの周波数の変調信号に変調し、送信する送信手段と、複数の地域各々と既に使用されている周波数とを対応付けて記憶する記憶手段と、現在の位置を検出する位置検出手段と、検出された現在位置を含む地域と対応付けられた周波数を取得し、複数の周波数のうちから取得された周波数以外の周波数を変調信号の周波数として選択する選択手段と、送信手段に、取得された音声信号を選択された周波数の変調信号に変調させる送信制御手段と、を備える。
【0009】
この局面に従えば、複数の地域各々と既に使用されている周波数とが対応付けて記憶され、現在の位置を含む地域と対応付けられた周波数が取得され、複数の周波数のうちから取得された周波数以外の周波数が変調信号の周波数として選択され、音声信号が選択された周波数の変調信号に変調される。このため、現在の位置を含む地域で既に使用されている周波数以外の周波数が変調信号の周波数に選択されるので、既に使用されている周波数と混信しない変調信号を送信することができる。その結果、混信しない変調信号を送信可能な音声再生装置を提供することができる。
【0010】
好ましくは、選択手段は、検出された現在位置を含む地域および該地域の周辺の地域でそれぞれ使用されている周波数を検出し、検出された周波数以外の周波数を変調信号の周波数として選択する。
【0011】
この局面に従えば、検出された現在位置を含む地域および該地域の周辺の地域でそれぞれ使用されている周波数が検出されるので、現在の位置を含む地域から周辺の地域に移動した後であっても、変調信号が混信するのを回避することができる。
【0012】
好ましくは、検出された現在位置から目的地までの経路を探索するルート検索手段と、選択手段は、探索された目的地までの経路を含む地域のすべてでそれぞれ既に使用されている周波数以外の周波数を複数の周波数のうちから変調信号の周波数として選択する。
【0013】
この局面に従えば、現在位置から目的地までの経路を含む地域のすべてでそれぞれ既に使用されている周波数以外の周波数が複数の周波数のうちから変調信号の周波数として選択されるので、現在位置から目的地まで移動する間に、変調信号の周波数を変更する必要がない。
【0014】
この発明のさらに他の局面によれば、車両に搭載される音声再生装置であって、音声信号を取得する音声取得手段と、ラジオ放送を受信する受信手段と、音声取得手段により取得された音声信号を、複数の周波数のいずれか1つの周波数の変調信号に変調し、送信する送信手段と、受信手段にラジオ放送を受信させ、ラジオ放送に使用されている周波数を検出するスキャン手段と、複数の周波数のうちからスキャン手段により検出された周波数以外の周波数を選択する選択手段と、送信手段に、取得された音声信号を選択された周波数の変調信号に変調させる送信制御手段と、を備える。
【0015】
この局面に従えば、ラジオ放送に使用されている周波数が検出され、複数の周波数のうちから検出された周波数以外の周波数が選択され、音声信号が選択された周波数の変調信号に変調される。このため、ラジオ放送に使用されている周波数以外の周波数が変調信号の周波数に選択されるので、混信しない変調信号を送信することができる。その結果、混信しない変調信号を送信可能な音声再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。しがたってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態におけるナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示す機能ブロック図である。図1を参照して、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10の全体を制御するための中央演算装置(CPU)11と、CPU11が実行するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)19と、CPU11の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)21と、GPS受信機13と、TV受信機14と、液晶表示装置(LCD)23と、バックライト31と、タッチスクリーン25と、操作キー27と、オーディオコーデック29と、オーディオコーデック29に接続された増幅器33と、増幅器33と接続されたスピーカ35と、ビデオデコーダ37と、メモリインターフェース(I/F)15と、シリアル通信I/F17と、を含む。
【0018】
バックライト31は、LCD23の裏側に配置され、LCD23に向けて光を照射する。なお、LCD23に代えて、有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイを用いるようにしてもよい。
【0019】
タッチスクリーン25は、透明な部材からなり、LCD23の表示面上に設けられる。タッチスクリーン25は、ユーザが指等で指示したLCD23の表示面における位置を検出し、CPU11に出力する。CPU11は、LCD23に各種ボタンを表示することにより、タッチスクリーンにより検出される指示された位置と組み合わせて、各種の操作指示を受け付ける。CPU11がLCD23に表示する操作画面は、ナビゲーション装置10を操作するための操作画面を含む。
【0020】
TV受信機14は、TVチューナを備え、選択されたチャンネルのテレビジョン放送信号を受信し、映像信号に変換してCPU11に出力する。CPU11は、TV受信機14から入力されるデジタルの映像信号をビデオデコーダ37およびオーディオコーデック29に出力する。
【0021】
ビデオデコーダ37は、入力されるデジタルデータをアナログの映像信号に変換する復号回路を含む。ビデオデコーダ37は、CPU11により制御され、圧縮符号化された映像データが入力されると、それをアナログのビデオ信号に変換し、LCD23に出力する。
【0022】
オーディオコーデック29は、アナログの音声信号をデジタルデータに変換する回路と、デジタルデータをアナログの音声信号に変換する回路とを含み、音声データを処理する。オーディオコーデック29は、圧縮符号化されたデジタルのデータが入力されると、アナログの音声信号に変換し、増幅器33またはFMトランスミッタ39に出力する。増幅器33は、オーディオコーデック29から入力される音声信号を増幅し、スピーカ35に出力する。これにより、スピーカ35から音が出力される。
【0023】
なお、ここでは、TV受信機14が受信するテレビジョン放送信号は、デジタル信号の場合を例に説明するが、アナログテレビジョンの放送信号を受信するようにしてもよい。この場合、CPU11は、受信したアナログの放送信号をビデオデコーダ37に出力することなく、増幅してLCD23に出力する。
【0024】
メモリI/F15には、着脱可能なメモリカード15Aが装着される。CPU11は、メモリカード15Aに、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)などの規格で圧縮符号化された映像データが記憶されている場合、その映像データを読み出し、ビデオデコーダ37に出力する。また、CPU11は、メモリカード15Aに、例えば、MP3(MPEG Audio Layer−3)などの規格で圧縮符号化された音データが記憶されている場合、その音データを読み出し、オーディオコーデック29に出力する。
【0025】
GPS受信機13は、全地球測位システム(GPS)におけるGPS衛星から送信される電波を受信し、現在の地図上の位置を計測する。そして、計測した位置をCPU11に出力する。CPU11は、メモリカード15Aに記憶された地図データを読み出し、GPS受信機13から入力される現在位置を地図上に記した画像をLCD23に表示する。
【0026】
FMトランスミッタ39は、複数の周波数のいずれか1つの変調信号をアンテナから送信する。FMトランスミッタ39は、CPU11により制御され、CPU11から入力される音声信号をCPU11により指示された周波数の変調信号に変調し、変調した変調信号をアンテナから送信する。ここでは、FMトランスミッタ39は、FMの電波をアンテナから送信する。なお、FMに限らず、AMの電波を送信するようにしてもよいし、デジタルの音声信号を送信するようにしてもよい。
【0027】
CPU11は、ビデオコーダ37によりデコードされ、出力される音声データを、FMトランスミッタ39に出力する。従って、FMトランスミッタ39は、テレビジョン信号に含まれる音データ、メモリカード15Aに記憶されているMPEG規格で圧縮符号化された映像データに含まれる音データ、または、メモリカード15Aに記憶されているMP3規格で圧縮符号化された音データのいずれかを送信する。
【0028】
図2は、第1の周波数設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。第1の周波数設定処理は、CPU11が周波数設定プログラムを実行することによりCPU11により実行される処理である。図2を参照して、CPU11は、地域変更指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。LCD23に表示された地域変更指示画面に従って、ユーザがタッチスクリーン25に地域の変更を指示すると、地域変更指示を受け付ける。
【0029】
図3は、LCDに表示される画面の一例を示す図である。図3(A)は、メニュー画面の一例を示す。メニュー画面は、地域変更指示画面の表示を指示するための「エリア変更」の文字が表されたボタンを含む。ユーザが「エリア変更」の文字が表されたボタンを指示すれば、地域変更指示画面が表示される。図3(B)は、地域変更指示画面の一例を示す第1の図である。地域変更指示画面は、都道府県名が表された複数のボタンを含む。
【0030】
CPU11は、ユーザが複数のボタンのいずれかを指示すれば、指示されたボタンに対応する都道府県を選択する。そして、それまで設定されていた都道府県と、選択された都道府県とが異なれば、選択された都道府県に地域が変更されたことを示す地域変更指示を受け付ける。
【0031】
なお、ここでは地域を都道府県としたが、複数の都道府県を含む地方を地域とするようにしてもよい。この場合、地域変更指示画面においては、地方を選択する画面が用いられる。図3(C)は、地域変更指示画面の一例を示す第2の図である。図3(B)に示した地域変更指示画面が、都道府県名が表された複数のボタンを含んでいたのに対して、図3(C)に示す地域変更指示画面は、複数の都道府県を含む地方名が表された複数のボタンを含む。CPU11は、ユーザが複数のボタンのいずれかを指示すれば、指示されたボタンに対応する地方を選択する。そして、それまで設定されていた地方と、選択された地方とが異なれば、選択された地方に地域が変更されたことを示す地域変更指示を受け付ける。
【0032】
図2に戻って、ステップS01において、地域変更指示を受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、地域変更指示を受け付けたならば(ステップS01でNO)、処理をステップS02に進める。すなわち、周波数設定処理は、地域変更指示を受け付けることを条件に実行される処理である。
【0033】
ステップS02においては、ROM19に記憶された周波数テーブルAを読み出す。周波数テーブルAは、複数の地域ごとにFMトランスミッタ39で使用する周波数を対応付けたテーブルである。
【0034】
図4は、周波数テーブルAの一例を示す図である。周波数テーブルAは、都道府県名と、その都道府県で使用されているテレビジョン放送のための周波数と、FMトランスミッタ39で使用可能な周波数とを関連付けたレコードを含む。図4を参照して、周波数テーブルAは、地域、テレビ放送局名、テレビ受信周波数、チャンネル番号、FMトランスミッタ周波数の項目を含む。地域の項目は、都道府県名が設定され、テレビ放送局名の項目は、テレビジョン放送局の名称が設定され、テレビ受信周波数の項目は、テレビジョン放送局が使用可能に割り当てられたテレビジョン放送のための周波数が設定され、チャンネル番号の項目は、テレビジョン放送のための周波数に割り当てられた番号が設定され、FMトランスミッタ周波数の項目は、FMトランスミッタ39が使用可能な周波数が設定される。
【0035】
FMトランスミッタ39が使用可能な周波数は、地域の項目に設定された都道府県名の都道府県に存在するすべてのFM放送局それぞれに割り当てられているFMの周波数以外の周波数である。
【0036】
なお、図4においては、2つの県のレコードを示しているが、実際にはすべての都道府県それぞれに対応するレコードを周波数テーブルAは含む。
【0037】
図2に戻って、ステップS03においては、読み出された周波数テーブルAを参照し、ステップS01において受け付けられた地域変更指示で特定される変更後の地域に対応する周波数を取得し、FMトランスミッタ39で使用する周波数に決定する。例えば、地域変更指示により「ABC」県が特定されるならば、周波数FCに決定する。
【0038】
ステップS04においては、読み出された周波数テーブルAを参照し、ステップS01において受け付けられた地域変更指示で特定される変更後の地域に対応する複数のテレビ周波数を、TV受信機14が使用するチャンネルに設定する。これにより、TV受信機14で受信する周波数が、地域に存在するテレビジョン放送局に割り当てられた周波数に設定される。
【0039】
ステップS05においては、FMトランスミッタ39で使用する周波数を、ステップS03において決定された周波数に設定する。ステップS05において設定される周波数は、ステップS01において受け付けられた地域変更指示で特定される地域に存在するFM放送局に割り当てられたれ周波数以外の周波数なので、車両に搭載されたラジオ受信機でFM電波を受信する際に、混信することがない。このため、車両に搭載されたラジオ受信機は、FMトランスミッタ39が送信する変調信号を受信することができる。
【0040】
ステップS06においては、ステップS03において決定された周波数の値を、LCD23に表示する。これにより、ユーザは、FMトランスミッタ39が送信する電波の周波数を知ることができるので、車両に搭載されたラジオ受信機が受信する周波数を設定することができる。
【0041】
以上説明したように第1の実施の形態におけるナビゲーション装置10は、複数の都道府県各々に対応してFMトランスミッタ39が送信可能な複数の周波数のうちから選択された周波数を定義する周波数テーブルAがROM19に記憶されており、ユーザが地域変更指示を入力すると、FMトランスミッタ39が地域変更指示に含まれる都道府県と周波数テーブルAにより対応付けられた周波数に設定される。周波数テーブルAが複数の都道府県各々に対応して、複数の周波数のうちから既に使用されていない周波数を定義するので、FMトランスミッタ39は、既に使用されている周波数の変調信号を送信しない。このため、FM放送局の電波と、FMトランスミッタ39が送信する電波とが混信しない。ユーザは、地域ごとに使用されている周波数を知る必要がないので、FMトランスミッタ39にそれが主要する周波数を設定する操作を容易にすることができる。
【0042】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態においけるナビゲーション装置10は、複数の地域ごとに、その地域に存在するFM放送局に割り当てられた周波数を関連付けた周波数テーブルBをROM19に記憶する。以下、第1の実施の形態にけるナビゲーション装置10と、異なる点を主に説明する。
【0043】
図5は、第2の周波数設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2の周波数設定処理は、CPU11が周波数設定プログラムを実行することによりCPU11により実行される処理である。図5を参照して、CPU11は、現在位置を取得する(ステップS11)。GPS受信機13が出力する現在の地図上の位置を取得する。そして、取得した現在位置が、既に設定されている地域と異なる地域か否かを判断する(ステップS12)。CPU11は、GPS受信機13が出力する位置情報を取得するごとに、取得した位置情報で特定される位置が、都道府県のいずれにあるかをRAM21に記憶する。先にRAM21に記憶されている都道府県名が、ステップS11で取得された位置情報で特定される位置を含む都道府県と異なれば処理をステップS15に進めるが、そうでなければ処理をステップS13に進める。
【0044】
ステップS13においては、地域変更指示を受け付けたか否かを判断する。LCD23に表示された地域変更指示画面に従って、ユーザがタッチスクリーン25に地域の変更を指示すると、地域変更指示を受け付ける。地域変更指示を受け付けたならば処理をステップS15に進め、そうでなければ処理をステップS14に進める。
【0045】
ステップS14においては、ルート探索指示を受け付けたか否かを判断する。ルート探索は、ユーザがLCD23に表示された地図の任意の位置を指示する操作をタッチスクリーン25で受け付け、受け付けられた位置を目的地に設定し、現在位置から目的地までの経路を探索する処理である。ユーザが目的地の指示と、ルート探索処理を実行するための指示とをタッチスクリーン25に入力すれば、ルート探索指示を受け付け、処理をステップS20に進めるが、そうでなければ処理をステップS11に戻す。
【0046】
すなわち、第2の周波数設定処理は、車両が別の都道府県に移動した時、ユーザが地域変更指示をナビゲーション装置10に入力した時、または、ユーザがルート探索指示をナビゲーション装置10に入力した時のいずれかの場合に実行される。
【0047】
現在の位置が設定されていた都道府県と異なる都道府県となった時、またはユーザが地域変更指示をナビゲーション装置10に入力した時、ステップS15において、ROM19に記憶されている周波数テーブルBを読み出す。周波数テーブルBは、複数の地域ごとに、その地域に存在するすべてのFM放送局それぞれに割り当てられた周波数を対応付けたテーブルである。
【0048】
図6は、周波数テーブルBの一例を示す図である。周波数テーブルは、都道府県名と、その都道府県に存在するFM放送局に割り当てられた周波数と、FMトランスミッタ39で使用可能な周波数とを関連付けたレコードを含む。図6を参照して、周波数テーブルBは、地域、FM放送局名、FM送信周波数、混信のないFM周波数の項目を含む。地域の項目は、都道府県名が設定され、FM放送局名の項目は、FM放送局の名称が設定され、FM送信周波数の項目は、FM放送局が使用可能に割り当てられたFM放送のための周波数が設定され、混信のないFM周波数の項目は、FMトランスミッタ39が送信可能な複数の周波数のうちFM送信周波数の項目に設定されている周波数以外の周波数が設定される。
【0049】
なお、図6においては、2つの県のレコードを示しているが、実際にはすべての都道府県それぞれに対応するレコードを周波数テーブルBは含む。
【0050】
図5に戻って、ステップS16においては、読み出された周波数テーブルBを参照し、ステップS11において取得された現在位置で特定される位置を含む地域、またはステップS13において受け付けられた地域変更指示で特定される変更後の地域と、その地域に隣接する周辺の地域で使用されている周波数を取得する。例えば、ステップS11において取得された現在位置で特定される位置を含む地域、またはステップS13において受け付けられた地域変更指示で特定される変更後の地域が、大阪府の場合、大阪府に隣接する周辺の都道府県は、京都府、兵庫県、和歌山県および奈良県である。このため、大阪府、京都府、兵庫県、和歌山県および奈良県それぞれに存在するすべてのFM放送局それぞれに使用可能に割り当てられている周波数を、周波数テーブルBから取得する。
【0051】
次のステップS17においては、FMトランスミッタ39に設定するための周波数を混信のない周波数に決定する。具体的には、FMトランスミッタ39が送信可能な複数の周波数のうちから、ステップS16において取得された周波数以外の周波数のうちから1つを混信のない周波数に決定する。
【0052】
そして、FMトランスミッタ39で使用する周波数を、ステップS17において決定された周波数に設定する(ステップS18)。次のステップS19においては、ステップS18において決定された周波数の値を、LCD23に表示する。これにより、ユーザは、FMトランスミッタ39が送信する電波の周波数を知ることができるので、車両に搭載されたラジオ受信機が受信する周波数を設定することができる。
【0053】
一方、ステップS20においては、ステップS14において受け付けられたルート探索指示に従って現在位置から目的地までのルートを探索する。次のステップS21においては、ステップS20において探索されたルートに基づいて、現在位置から目的地までの間に通過する地域を抽出する。例えば、現在位置が大阪府であり、目的地を広島県とすれば、現在位置から目的地までの間で通過する通過地域として、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県を抽出する。
【0054】
次のステップS22においては、ROM19に記憶されている周波数テーブルBを読み出す。そして、周波数テーブルBを参照し、ステップS20において探索されたルートに基づいて、現在位置から目的地までの間に通過する通過地域それぞれで使用されている周波数を取得する(ステップS23)。ここでは、通過地域として抽出された大阪府、兵庫県、岡山県および広島県それぞれに存在するすべてのFM放送局それぞれに使用可能に割り当てられている周波数を、周波数テーブルBから取得する。
【0055】
そして、ステップS24においては、FMトランスミッタ39に設定するための周波数を混信のない周波数に決定する。具体的には、FMトランスミッタ39が送信可能な複数の周波数のうちから、ステップS23において取得された周波数以外の周波数のうちから1つの周波数を決定する。そして、FMトランスミッタ39で使用する周波数を、ステップS24において決定された周波数に設定し(ステップS18)、ステップS24において決定された周波数の値を、LCD23に表示する(ステップS19)。
【0056】
以上説明したように第2の実施の形態におけるナビゲーション装置10は、複数の都道府県各々に対応して既に使用されている周波数を対応付けた周波数テーブルBをROM19に記憶しており、現在の位置を含む都道府県で既に使用されている周波数を取得し、FMトランスミッタ39が使用可能な複数の周波数のうちから取得された周波数以外の周波数を変調信号の周波数として決定し、FMトランスミッタ39の周波数を決定した周波数に設定する。このため、現在の位置を含む地域で既に使用されている周波数以外の周波数が変調信号の周波数に選択されるので、その地域に存在するFM放送局が送信する電波と混信しないようにすることができる。
【0057】
また、ナビゲーション装置10は、周波数テーブルBを参照して、現在の位置を含む都道府県と、その都道府県に隣接する周辺の都道府県それぞれに存在するすべてのFM放送局に割り当てられた周波数を取得するので、現在の位置を含む都道府県から周辺の都道府県に移動した後であっても、FMトランスミッタ39が送信する電波が、FM放送局の送信する電波と混信するのを回避することができる。
【0058】
さらに、ナビゲーション装置10は、現在位置から目的地までの経路を探索するルートする場合、周波数テーブルBを参照して、現在地から目的地までの経路を含む都道府県のすべてに存在するFM放送局のすべてにそれぞれ割り当てられている周波数を取得し、複数の周波数のうちから取得した周波数以外の周波数をFMトランスミッタ39に設定する。このため、現在の位置から目的地に到着するまでの間に、FMトランスミッタ39が送信する電波が、FM放送局の送信する電波と混信するのを回避することができるとともに、FMトランスミッタ39に設定された周波数を変更する必要がない。
【0059】
<第3の実施の形態>
図7は、第3の実施の形態におけるナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示す機能ブロック図である。図7を参照して、第3の実施の形態におけるナビゲーション装置10Aは、図1に示した第1のナビゲーション装置10と異なる点は、ラジオ受信機41が追加された点である。その他のハードウェア構成は、第1の実施の形態におけるナビゲーション装置10と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0060】
ラジオ受信機41は、ラジオチューナを備え、選択されたチャンネルのラジオ放送信号を受信し、音声信号に変換してCPU11に出力する。また、ラジオ受信機41は、受信可能な周波数で順に受信し、受信されるラジオ放送信号の電波強度を検出し、使用されている周波数を検出するスキャン動作を実行可能であり、CPU11からの指示に従ってスキャン動作を実行し、使用されている周波数と検出された周波数のすべてをCPU11に出力する。
【0061】
図8は、第3の周波数設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。第3の周波数設定処理は、CPU11が周波数設定プログラムを実行することによりCPU11により実行される処理である。図8を参照して、CPU11は、現在位置を取得する(ステップS31)。GPS受信機13が出力する現在の地図上の位置を取得する。そして、取得した現在位置が、既に設定されている地域と異なる地域か否かを判断する(ステップS32)。CPU11は、GPS受信機13が出力する位置情報を取得するごとに、取得した位置情報で特定される位置が、都道府県のいずれにあるかをRAM21に記憶する。先にRAM21に記憶されている都道府県名が、ステップS31で取得された位置情報で特定される位置を含む都道府県と異なれば処理をステップS34に進めるが、そうでなければ処理をステップS33に進める。
【0062】
ステップS33においては、地域変更指示を受け付けたか否かを判断する。LCD23に表示された地域変更指示画面に従って、ユーザがタッチスクリーン25に地域の変更を指示すると、地域変更指示を受け付ける。地域変更指示を受け付けたならば処理をステップS34に進め、そうでなければ処理をステップS31に戻す。すなわち、第3の周波数設定処理は、車両が別の都道府県に移動したとき、または、ユーザが地域変更指示をナビゲーション装置10Aに入力したときに実行される。
【0063】
ステップS34においては、チャンネルスキャンを実行する。具体的には、ラジオ受信機41にスキャン動作を実行する指示を出力する。そして、ラジオ受信機41がスキャン動作を実行して出力する、使用されている周波数を取得する。
【0064】
そして、ステップS36においては、FMトランスミッタ39に設定するための周波数を混信のない周波数に決定する。具体的には、FMトランスミッタ39が送信可能な複数の周波数のうちから、ステップS35において取得された周波数以外の周波数のうちから1つの周波数を決定する。そして、FMトランスミッタ39で使用する周波数を、ステップS35において決定された周波数に設定し(ステップS37)、決定された周波数の値を、LCD23に表示する(ステップS38)。
【0065】
以上説明したように第3の実施の形態におけるナビゲーション装置10Aは、ラジオ受信機41によりラジオ放送に使用されている周波数が検出され、FMトランスミッタ39が使用可能な複数の周波数のうちから検出された周波数以外の周波数が選択され、FMトランスミッタ39が使用する周波数が、選択された周波数に設定される。このため、FMトランスミッタ39がラジオ放送に使用されている周波数以外の周波数で変調信号を送信するので、FMトランスミッタ39が送信する電波が、FM放送局が送信する電波と混信するのを回避することができる。
【0066】
なお、上述した実施の形態においては、音声再生装置の一例としてナビゲーション装置10,10Aを例に説明したが、音声を再生する機能、およびFMトランスミッタを備えた装置であれば、DVDプレーヤ等のディスク再生装置、メモリプレーヤ、携帯電話機等であってもよい。さらに、図2、図5および図8に示した処理を実行するための周波数設定方法または周波数設定方法をコンピュータに実行させるための周波数設定プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0068】
<付記>
(1) ユーザの操作を受け付ける操作受付手段をさらに備え、
前記位置検出手段は、前記操作受付手段により所定の操作が受け付けられることに応じて、現在位置を検出する、請求項2に記載の音声再生装置。
(2) 前記選択手段は、前記位置検出手段により所定の位置が検出されることに応じて、変調信号の周波数を選択する、請求項2または3に記載の音声再生装置。
(3) ユーザの操作を受け付ける操作受付手段をさらに備え、
前記スキャン手段は、前記操作受付手段により所定の操作が受け付けられることに応じて、ラジオ放送に使用されている周波数を検出する、請求項5に記載の音声再生装置。
(4) 現在の車両の位置を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記スキャン手段は、前記位置検出手段により所定の位置が検出されることに応じて、ラジオ放送に使用されている周波数を検出する、請求項5に記載の音声再生装置。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施の形態におけるナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示す機能ブロック図である。
【図2】第1の周波数設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】LCDに表示される画面の一例を示す図である。
【図4】周波数テーブルAの一例を示す図である。
【図5】第2の周波数設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】周波数テーブルBの一例を示す図である。
【図7】第3の実施の形態におけるナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示す機能ブロック図である。
【図8】第3の周波数設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10 ナビゲーション装置、11 CPU、13 GPS受信機、14 TV受信機、15 メモリI/F、15A メモリカード、17 シリアル通信I/F、23 LCD、25 タッチスクリーン、27 操作キー、29 オーディオコーデック、31 バックライト、33 増幅器、35 スピーカ、37 ビデオデコーダ、39 FMトランスミッタ、41 ラジオ受信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載可能な音声再生装置であって、
音声信号を取得する音声取得手段と、
前記音声取得手段により取得された音声信号を、複数の周波数のいずれか1つの周波数の変調信号に変調し、送信する送信手段と、
複数の地域各々と前記複数の周波数から選択された周波数とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記複数の地域のいずれかの指定を受け付ける地域指定受付手段と、
前記送信手段に、前記取得された音声信号を前記受け付けられた地域と対応付けられた周波数の変調信号に変調させる送信制御手段と、を備えた音声再生装置。
【請求項2】
車両に搭載される音声再生装置であって、
音声信号を取得する音声取得手段と、
前記音声取得手段により取得された音声信号を、複数の周波数のいずれか1つの周波数の変調信号に変調し、送信する送信手段と、
複数の地域各々と既に使用されている周波数とを対応付けて記憶する記憶手段と、
現在の位置を検出する位置検出手段と、
前記検出された現在位置を含む地域と対応付けられた周波数を取得し、前記複数の周波数のうちから前記取得された周波数以外の周波数を変調信号の周波数として選択する選択手段と、
前記送信手段に、前記取得された音声信号を前記選択された周波数の変調信号に変調させる送信制御手段と、を備えた音声再生装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記検出された現在位置を含む地域および該地域の周辺の地域でそれぞれ使用されている周波数を検出し、前記検出された周波数以外の周波数を変調信号の周波数として選択する、請求項2に記載の音声再生装置。
【請求項4】
前記検出された現在位置から目的地までの経路を探索するルート検索手段と、
前記選択手段は、前記探索された目的地までの経路を含む地域のすべてでそれぞれ既に使用されている周波数以外の周波数を前記複数の周波数のうちから変調信号の周波数として選択する、請求項2に記載の音声再生装置。
【請求項5】
車両に搭載される音声再生装置であって、
音声信号を取得する音声取得手段と、
ラジオ放送を受信する受信手段と、
前記音声取得手段により取得された音声信号を、複数の周波数のいずれか1つの周波数の変調信号に変調し、送信する送信手段と
前記受信手段にラジオ放送を受信させ、ラジオ放送に使用されている周波数を検出するスキャン手段と、
前記複数の周波数のうちから前記スキャン手段により検出された周波数以外の周波数を選択する選択手段と、
前記送信手段に、前記取得された音声信号を前記選択された周波数の変調信号に変調させる送信制御手段と、を備えた音声再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−133774(P2009−133774A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311248(P2007−311248)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】