説明

音波を用いた探知方法、非接触音響探知システム、そのシステムで用いるプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】探知対象物の位置を正確に把握することができる探知方法およびその探知方法を行うことができる非接触音響探知システムの提供。
【解決手段】探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音波を用いた探知方法、非接触音響探知システム、そのシステムで用いるプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
音波を照射し、それによる物体の表面の振動等を検出して、その内部の構造を把握する方法等が、従来、いくつか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スピーカー等を用いて音を照射してコンクリート構造物にたわみ振動を励起し、レーザ変位計やレーザドップラー振動計を用いてたわみ振動を検出し、たわみ振動の振動数と振幅から、コンクリート構造物の内部の空洞の位置を特定する検査方法が記載されている。また、これに関連する方法および装置が、特許文献2〜6および非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−69301号公報
【特許文献2】特開2001−264302号公報
【特許文献3】特開2002−168841号公報
【特許文献4】特開2002−228642号公報
【特許文献5】特開平8−248006号公報
【特許文献6】特開平4−83156号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】James M.Sabatier、Ning Xiang、「An Investigation ofAcoustic-to-Seismic Coupling to Detect Buried Antitank Landmines」,IEEE TRANSACTIONS ON GEOSCIENCE AND REMOTE SENSING,VOL.39,NO.6,JUNE2001,p.1146-1154
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来法では、コンクリート構造物の内部の空洞等の探知対象物の位置を正確に把握することができなかった。
本発明は、探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、探知対象物の位置を正確に把握することができる探知方法を提供することを目的とする。また、その探知方法を行うことができるシステムを提供することを目的とする。また、そのシステムで用いるプログラムを提供することを目的とする。また、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(i)〜(vi)である。
(i)探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、
音波発信源から音波を照射し、前記被照射体の表面を振動させる工程と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定個所を、各々、P、P・・・P・・P(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定し、Pにおける前記振動速度の波形をf(t)(tは時間)とし、次式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める工程と、
【数1】

(式(1)において、jは虚数を意味する。)
式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、次式(2)〜(7)によってPにおける位相角θ(ω)を求める工程と、
【数2】

隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する工程と
を備える探知方法。
(ii)前記被照射体の表面の振動速度をレーザ振動計またはレーザ変位計を用いて測定する、上記(i)に記載の探知方法。
(iii)探知対象物を内部に含む被照射体の表面の複数個所に音波を照射し、その表面における振動速度の情報から、前記探知対象物の位置を特定する非接触音響探知システムであって、
前記被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、
前記被照射体の表面の振動速度を測定する計測器と、
前記被照射体の表面における振動速度の情報から、前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定するために用いる解析装置とを有し、
上記(i)または(ii)に記載の探知方法を行うことができる、非接触音響探知システム。
(iv)被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所であるP、P・・・P・・P(xは1〜nの整数)の各々に角周波数がωの音波を照射し、Pにおける振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを計測して、その振動速度および時間データを出力する計測器と、
前記計測器から出力された振動速度および時間データを入力し、前記被照射体の表面における位相差分布から前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定する解析装置とを有し、
前記解析装置が、
入力された振動速度および時間データからPにおける振動速度の波形であるf(t)(tは時間)を求め、これを前記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、前記式(2)〜(7)によってPにおける位相角θ(ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理と
を行う、上記(iii)に記載の非接触音響探知システム。
(v)探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する処理を、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラムであって、
音響発信源から音波を照射して、前記被照射体の表面を振動させ、前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所を、P、P・・・P・・P(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定することで得られたPにおける振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを用いて、Pにおける振動速度の波形であるf(t)(tは時間)を求め、これを前記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、前記式(2)〜(7)によってPにおける位相角θ(ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理とを、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラム。
(vi)上記(v)に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、探知対象物の位置を正確に把握することができる探知方法を提供することができる。また、その探知方法を行うことができる非接触音響探知システムを提供することができる。また、そのシステムで用いるプログラムを提供することができる。また、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の非接触音響探知システムの好適態様を示す概略図である。
【図2】図1における被照射体1の表面および2つの音響発信源11を上側から見た概略図である。
【図3】実部および虚部のデータの実例である。
【図4】図1における被照射体1の表面および2つの音響発信源11を上側から見た別の概略図である。
【図5】位相差分布図の作成方法を説明するための概略図である。
【図6】位相差分布図の作成方法を説明するための別の概略図である。
【図7】実施例における実験セットアップ図である。
【図8】図8(a)は埋設物として中空プラスチック容器を用いた場合の各ポイントの位相を示すグラフであり、図8(b)は位相差を示すグラフである。
【図9】図9(a)は埋設物として砂を詰めた中空プラスチック容器を用いた場合の各ポイントの位相を示すグラフであり、図9(b)は位相差を示すグラフである。
【図10】埋設物として中空プラスチックを用いた場合の位相差分布図である。
【図11】埋設物として中空プラスチックを用いた場合の別の位相差分布図である。
【図12】埋設物として中空プラスチックを用いた場合の別の位相差分布図である。
【図13】埋設物として砂を詰めた中空プラスチックを用いた場合の別の位相差分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について説明する。
本発明は探知方法、非接触音響探知システム、そのシステムで用いるプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体(コンパクトディスク(CD)やフレキシブルディスク(FD)など)であり、本発明の探知方法および本発明の非接触音響探知システムによれば、被照射体の内部の探知対象物の位置を正確に把握することができる。被照射体としては、例えば、コンクリート構造物、地面(土、砂、石、アスファルト等)、木、液体、人体が挙げられる。具体的には、本発明の探知方法および本発明の非接触音響探知システムによれば、例えば、地面に埋められている地雷の位置を正確に把握することができる。この場合、地雷が探知対象物である。また、コンクリート構造物の内部の欠陥部の位置を正確に把握することができる。この場合、欠陥部が探知対象物である。また、人体の内部に存在する腫瘍等の位置を正確に把握することができる。この場合、腫瘍等が探知対象物である。また、各種製品等の内部の欠陥部の位置を正確に把握することができる(すなわち、非破壊検査することができる)。この場合、欠陥部が探知対象物である。また、池、海、湖等の液面の近くに位置する探知対象物(周囲の液体と音響インピーダンスが異なる物体)の位置を正確に把握することができる。
【0011】
本発明の探知方法は、探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面における振動速度の情報から、前記探知対象物の位置を特定する非接触音響探知システムである本発明の非接触音響探知システムによって実現することが好ましい。本発明の非接触音響探知システムは、前記被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、前記被照射体の表面の振動速度を測定する計測器と、前記被照射体の表面における振動速度の情報から、前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定する解析装置とを有し、前記解析装置によって特定の情報処理を行うことができる。本発明の非接触音響探知システムとして、具体的には、例えば図1に示す装置が挙げられる。
【0012】
図1は、被照射体1の表面を振動させ得る音波を発生させる2つの音響発信源11、11と、被照射体1の表面の振動速度を測定する計測器13と、被照射体1の表面における振動速度の情報から被照射体1の内部の探知対象物3の位置を特定するために用いる解析装置151を含むコンピュータ15とを有する装置10を示す概略図である。図1に示す装置10は、さらに、任意波形発生装置17およびアンプ19を有しており、加えて、コンピュータ15は制御装置152および表示部153を含んでおり、制御装置152によって任意波形発生装置17を制御して、所望の角周波数の音波を2つの音響発信源11、11から発生することができる。任意波形発生装置17が発生するトリガ信号に制御装置152を同期させて計測することもできる。表示部153には、後に説明する位相差分布図を表示することができる。表示部とはディスプレイ画面等を意味する。
【0013】
図1に示す本発明の非接触音響探知システム(装置10)において、音響発信源11はフラットスピーカであり、図1に示すように2つのフラットスピーカを向い合せ、被照射体1の表面に対して20°傾けて(フラットスピーカ面と被照射体1の表面とのなす角度が70°となるように)配置している。このように傾けて配置するとフラットスピーカから発生する空中放射音波から地中内への第2種縦波に変換される割合が大きくなるので好ましい。第2種縦波は、被照射体の表面が砂や土からなる多孔質な面の場合、その表面を好ましく振動させることができる。
なお、本発明の非接触音響探知システムにおいて音響発信源の数やスピーカの角度等は特に限定されない。
【0014】
音響発信源はフラットスピーカの他、パラメトリックスピーカも好ましく用いることができ、また、具体的に、アメリカンテクノロジー社製のLRAD(登録商標)を好ましく用いることができる。また、ラウドスピーカを用いることもできるが、この場合は、音響発信源と被照射体との距離を比較的近くする。その他に用いることができる音響発信源としては、パルスレーザ、高圧ガスガン、衝撃波管が挙げられる。
【0015】
また、音響発信源から被照射体へ照射される音波は、所望の角周波数(ω)に調整することができ、かつ、被照射体の表面をその振動速度が計測器によって測定できる程度に、表面に平行方向ではない方向(好ましくは、表面に垂直方向)へ振動させることができる音波であればよく、空気中で振動振幅が減衰し難い可聴帯域の音波(音響波)が好ましい。なお、超音波は用い難い。超音波は空気中で振動振幅の減衰が大きいからである。
また、被照射体の共振周波数帯が不明な場合には、音響発信源から被照射体へ照射される音波は、ホワイトノイズであることが好ましい。全ての周波数を含んでいるからである。
【0016】
図1に示す本発明の非接触音響探知システム(装置10)において、計測器13はレーザドップラー振動計であり、レーザ131を被照射体1に照射して、その表面の振動速度を測定することができる。得られた振動速度のデータは解析装置151で解析するために用いられる。
なお、本発明の非接触音響探知システムにおいて計測器は、被照射体の表面の振動速度を非接触で測定できるものであれば特に限定されず、例えばレーザ変位計を用いることができ、レーザドップラー振動計であることが好ましい。被照射体と計測器とが比較的離れていても、被照射体の表面の振動を正確に測定することができるからである。
また、1度に1点の振動計測が可能なシングルレーザタイプのレーザ振動計を用いることは可能であるが、スキャニングレーザタイプのレーザ振動計を用いることが好ましい。スキャニング振動計であるレーザドップラー振動計としては、具体的に、ポリテックジャパン社製のPSV400−H4が挙げられる。このレーザドップラー振動計は解析装置の一部および制御装置を含むものである。
【0017】
図1に示す本発明の非接触音響探知システム(装置10)において、解析装置151は、被照射体1における探知対象物3の位置を特定するための特定の情報処理を行うことができるものであれば特に限定されない。この特定の情報処理は本発明の探知方法および本発明のプログラムが備えるものであり、後に詳細に説明する。例えば、この解析装置自体に、前記被照射体の表面上でスキャンされた振動速度等のデータが蓄積されていき、後の解析時に利用される。
【0018】
図1に示す本発明の非接触音響探知システム(装置10)において、任意波形発生装置17は、制御装置152の指令によって所望の角周波数の音波を音響発信源11から発生させることができる装置である。この装置として、例えば、ノイズ波やバースト波を発生可能な市販のファンクションジェネレータ等を用いることができる。送信する音波の波形は通常この任意波形発生装置により制御することができる。通常は簡単のために手動で制御するが、解析装置側から制御するようにシステムを構成することも可能である。任意波形発生装置17が発生するトリガ信号に制御装置152を同期させて計測することもできる。
また、アンプ19は特に限定されず、例えば、市販オーディオアンプ等を用いることができる。
【0019】
次に、本発明の探知方法について説明する。
なお、本発明のプログラムは、本発明の探知方法と同様の内容であるので、以下では主に本発明の探知方法について説明する。
本発明の探知方法は、探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報(位相差分布図等)から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、音波発信源から音波を照射し、前記被照射体の表面を振動させる工程を備える。この工程は、例えば前述の本発明の非接触音響探知システムを用い、音響発信源から被照射体へバースト波またはホワイトノイズを照射して行うことができる。バースト波の周波数は、ホワイトノイズを照射して得た位相差分布図から求めることができるが、本発明者が既に提案したOFR法(本発明者が特願2010−120901号に示した。また、本発明者が「社団法人電子情報通信学会、電子情報通信学会技術研究報告 信学技報 Vol.109 No.425、2010年2月17日」に示した。また、本発明者が「社団法人日本音響学会、日本音響学会2010年春季研究発表会講演論文集、2010年3月1日」に示した。)によって求めることもできる。なお、本発明はOFR法と組み合わせて用いることができる。埋設物の中心部で振動速度が大きいものはOFR法を適用することが好ましく、埋設物の輪郭(エッジ部)の振動を検出する場合は本発明を適用することが好ましい。ある埋設物に対してOFR法を適用し、得られた最適周波数を考慮したバースト波を用いて本発明を適用すると、埋設物の位置をより明確に把握することができるので好ましい。
また、本発明の非接触音響探知システムはコンピュータに本発明のプログラムをインストールしたものであることが好ましい。
また、本発明の探知方法は、さらに、以下に説明する特定の情報処理を行う各工程を備える。
【0020】
本発明の探知方法は、特定の情報処理を行う工程として、前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定個所を、各々、P、P・・・P・・P(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定し、Pにおける前記振動速度の波形をf(t)(tは時間)とし、後述する式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める工程とを備える。
【0021】
この工程について、図2を用いて具体的に説明する。
図2は、図1における被照射体1の表面および2つの音響発信源11を上側(計測器13が存在する側)から見た図である。
図2においてn箇所の測定箇所は碁盤の目状に配置されており、図2に示すように、左下から右上へ向かってP、P、P・・・・Px−1、P、Px+1・・・Pn−2、Pn−1、Pと付されている。ただし、本発明の探知方法において測定箇所の配置は特に限定されず、例えばランダムに配置されていてもよい。
そして、n箇所の測定箇所の各々において、音響発信源11から照射した音波の角周波数がωである場合の被照射体1の表面の振動速度を測定する。また、その振動速度を測定するタイミングを示す時間データ(t)を測定する。ここで、照射した音波の角周波数がωである場合のP(xは1〜nの整数)における振動速度をf(t)とする。すなわち、各測定箇所におけるωと振動速度の波形を示すf(t)との関係を把握する。
振動速度およびその振動速度を測定するタイミングを示す時間データ(t)の測定は、例えば前述の本発明の非接触音響探知システムを用い、レーザドップラー振動計などのレーザ変位計によって行うことができる。
【0022】
このようにして得られたデータを用いて、次式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める。
【0023】
【数3】

【0024】
式1において、jは虚数を意味する。
【0025】
ここで式(1)はフーリエ変換の一般式であり、f(t)が連続関数であり、−∞から∞まで積分することとなっている。しかし、実際に測定されたデータを計算機の有限なメモリ長の中で行うので、実際は、離散フーリエ変換を行ってF(ω)を求める。離散フーリエ変換のよると上限周波数の限られたF(ω)を求めることができる。
【0026】
次に、本発明の探知方法は、特定の情報処理を行う工程として、上記の式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、後述する次式(2)〜(7)によってPにおける位相角θ(ω)を求める工程を備える。
【0027】
【数4】

【0028】
このような方法で位相角θ(ω)を求めることは、実数部のR、虚数部のIをガウス平面上に示して位相角θ(ω)を求めることと同義である。
【0029】
このような方法で、角周波数ωの音波を照射した場合のPにおける振動速度の位相角θ(ω)を求める。
【0030】
なお、レーザドップラー振動計としてポリテックジャパン社製のPSV400−H4を用いた場合、出力されるデータは各周波数毎になるため、特定周波数の位相を計算することになる。図3(a)、(b)に出力される実部および虚部のデータを例示する。図3(a)は周波数(Hz)と実部の振動速度スペクトル(m/s)、図3(b)は周波数(Hz)と虚部の振動速度スペクトル(m/s)との関係を示している。
【0031】
次に、本発明の探知方法は、特定の情報処理を行う工程として、隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する工程を備える。
【0032】
この工程について、図4および図5を用いて具体的に説明する。
図4は、図2と同様に、図1における被照射体1の表面を上側から見た図であるが、理解を容易にするために、測定箇所を16箇所としている。図4において16箇所の実際の測定箇所は碁盤の目状に配置されており、左下から右上へ向かって、P、P、P・・・・P15、P16と付されている。
【0033】
測定箇所が図4に示すように配置されている場合、隣接する2つの測定箇所とは、上下または左右において隣接する2つの測定箇所とすることができる。例えばPと隣接する測定箇所を、P、P、PおよびP10の4つの測定箇所とすることができ、例えばPと隣接する測定箇所は、PおよびPの2つの測定箇所とすることができる。ただし、例えばP、P、PおよびP11をPと隣接する測定箇所としてもよい。ここでは理解を容易にするために、隣接する2つの測定箇所は、上下または左右において隣接する2つの測定箇所として説明する。
【0034】
次に、隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求める。例えばPの位相角であるθ(ω)からPの位相角であるθ(ω)を引算し、θ(ω)−θ(ω)=Δθ2−6を求める。
ここで、隣接する2つの測定箇所における位相角を第1の位相角と第2の位相角とした場合、第1の位相角から第2の位相角を引算して差を求めるのか、第2の位相角から第1の位相角を引算して差を求めるかは、実際の測定箇所の配置に基づいて、全ての測定箇所における位相角について、規則的に行えばよい。例えば、測定箇所が図4に示すような配置であれば、全てについて、左に位置する測定箇所における位相角から、右に位置する測定箇所における位相角を引算し、全てについて、下に位置する測定箇所における位相角から、上に位置する測定箇所における位相角を引算する。すなわち、測定箇所に付された番号が小さいものから大きいものを差し引く。また、全てについて、逆であってもよい。すなわち、測定箇所に付された番号が大きいものから小さいものを差し引いてもよい。
以下では、全てについて、左に位置する測定箇所における位相角から、右に位置する測定箇所における位相角を引算して求めた値を用いて説明する。すなわち、θ(ω)−θ(ω)=Δθ5−6とし、θ(ω)−θ(ω)=Δθ6−7とし、θ(ω)−θ(ω)=Δθ7−8とする。また、全てについて、下に位置する測定箇所における位相角から、上に位置する測定箇所における位相角を引算して求めた値を用いて説明する。すなわち、θ(ω)−θ(ω)=Δθ2−6とし、θ(ω)−θ10(ω)=Δθ6−10とし、θ10(ω)−θ14(ω)=Δθ10−14とする。
【0035】
このようにして隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求めると、位相差がπ以上または−π以下となる場合があるが、このような場合、エリアシングが生じていると判断して位相角の差を補正することが好ましい。前述の式(2)〜式(7)で位相角を求めると、実際の位相が2π以上または0以下であったとしても、0から2πの間の位相となってしまうが、このような現象をエリアシングという。
位相角の差の補正は、次の式(8)で行うことが好ましい。
【0036】
【数5】

【0037】
式(8)においてkは、任意の正数を意味する。例えば図4に示した場合であれば、kは1〜15のいずれかの整数を意味する。
【0038】
このようにして求めた位相角の差を、実際のP、P・・・P・・P(図4、図5を用いた説明においては、n=16、1≦X≦16)の位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成する。位相差分布図には、位相角の差を数値として示してもよいし、その数値の大きさを色で示してもよい。例えば、後に実施例で示す位相差分布図は、位相角の差を色で示している。
【0039】
例えば図4に示した場合であれば、Pの位相角であるθ(ω)からPの位相角であるθ(ω)を引算して求めたΔθ2−6の値を、図5にp(2−6)で示した位置に配置することができる。p(2−6)で示した位置は、PとPと中間の位置を示している。同様に、例えば、Pの位相角であるθ(ω)からPの位相角であるθ(ω)を引算して求めたΔθ5−6の値をp(5−6)で示した位置に配置し、例えば、Pの位相角であるθ(ω)からP10の位相角であるθ10(ω)を引算して求めたΔθ6−10の値をp(6−10)で示した位置に配置することができる。このようにして、位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成することができる。
【0040】
なお、ここではPの位相角であるθ(ω)からPの位相角であるθ(ω)を引算して求めたΔθ2−6の値を、PとPと中間の位置を示すp(2−6)の位置に配置したが、例えば、Δθ2−6の値をPまたはPの位置に配置してもよい。
例えば、Δθ2−6の値をPの位置へ、Δθ6−10の値をPの位置へ、Δθ10−14の値をP10の位置へというように規則的に配置し、さらに、Δθ5−6の値をPの位置へ、Δθ6−7の値をPの位置へ、Δθ7−8の値をPの位置へというように規則的に配置すると、例えばPにはΔθ6−10の値とΔθ6−7の値とが配置されることとなる。そこで、これらΔθ6−10の値とΔθ6−7の値とを加算した値をPに配置する。そして、空欄となるP、P、P12、P13、P14、P15およびP16に0を配置する。
このような処理を行って、位相差分布図を作成することができる。
このような処理を、以下では位相差表示処理という。
【0041】
また、例えば図5のように位相角の差を実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置した後、さらに補間処理を施したものを位相差分布図としてもよい。
補間処理とは、図5のように位相角の差を配置した後、隙間部分に、その隙間部分の周辺に配置された位相角の差の平均値を配置する処理をいう。例えば、図5のp(2−3)、p(2−6)、p(3−7)およびp(6−7)に囲まれた隙間部分、すなわち、図6に示したp(106)の位置に、Δθ2−3、Δθ2−6、Δθ3−7およびΔθ6−7の平均値を配置する。また、例えば、図5のp(2−6)、p(5−6)、p(6−7)およびp(6−10)に囲まれた隙間部分、すなわち、図6に示したp(109)の位置(図4に示したPの位置)に、Δθ2−6、Δθ5−6、Δθ6−7およびΔθ6−10の平均値を配置する。また、例えば、図5のp(1−2)、p(2−3)およびp(2−6)に囲まれた隙間部分、すなわち、図6に示したp(102)の位置(図4に示したPの位置)に、Δθ1−2、Δθ2−3およびΔθ2−6の平均値を配置する。
このような補間処理を施すと、得られる位相差分布図がより明確で、分かりやすい図となるので好ましい。
【0042】
また、位相角の差は負の値となる場合があるが、位相角の差の絶対値を用いて位相差分布図を作成することが好ましい。位相差分布図がより明確になるからである。
【0043】
なお、本発明の非接触音響探知システムでは、位相差分布図を表示部(ディスプレイ等)に表示することができる。また、本発明のプログラムでは、位相差分布図を表示部(ディスプレイ等)に表示する。
【実施例】
【0044】
本発明の実施例を説明する。
【0045】
1.探査方法
図1に示した装置を用い、音波発信源から照射した音波によって励起した地表面の振動をレーザドップラー振動計(SLDV、ポリテック社製、PSV400−H4)によって取得した。このレーザ振動計(SLDV)が取得する振動は地表面の垂直方向振動である。もし地表面付近に埋設物が存在すると、その埋設物と周囲の土壌の振動特性に差が生じる。音響発信源としては、平面スピーカ(FPSCorp,2030M3P1R)を2個使用し、図1に示すように互いに向かい合う配置にして音波の送振を行った。第二種縦波を発生させるため、平面スピーカを約20°傾けた状態で実験を行った。
【0046】
2.実験セットアップ
粒径300μm前後に粒径を揃えた砂を用いた研究室内の砂槽(110cm×135cm×50cm)にて実験を行った。実験セットアップ図を図7に示す。埋設物には中空プラスチック容器(11cm×11cm×6cm、85g)と、そこへ砂を詰めたプラスチック容器とを用いた。埋設深度は2cmとした。送振波形は1秒間出力のnoise波と、0.2秒間出力、150Hzのsin波形バースト波を用いた。バースト波の周波数を150Hzにした理由は、中空プラスチック容器の応答周波数が150Hz近辺にあることが確認されているためである。
【0047】
3.位相の計算方法
SLDV のソフトウェアはFFTを行う際の実部、虚部を表示、出力することが可能である。出力されたデータは周波数に対応しているため、特定周波数の位相を計算することになる。また位相差を計算する場合は隣接するポイント同士で計算を行う。位相差が180°以上を示した場合は、計算に用いた2ポイントの位相のどちらかが折り返していると判断してこれを補正した。
【0048】
4.1ライン上の位相、位相差変化
埋設物上を含む横方向1ライン上の位相と位相差の変化状況を確認した。埋設物として中空プラスチック容器を用いた場合の各ポイントの位相を図8(a)に、位相差のグラフを図8(b)に示す。図8は150Hzバースト波のデータを用いており、149Hzから151Hzまで、0.5Hz間隔で示している。埋設物は、図8中に矢印で示したように、5から8ポイント目の間に埋設されている。図8を見ると周波数によって値こそ異なるものの、各周波数で似た動きをしている。150Hzと150.5Hzで値が飛んでいる箇所は折り返し現象が起きていると考えられる。また埋設ポイント上とその周辺で位相が変化しており、埋設物上ではほぼ一定の値を示すことが見て取れる。図8(b)の位相差ではどの周波数でもほぼ同一の値を示す。また埋設物上では位相差が0°近辺の値を示し、埋設物と周辺の境界で位相差が大きく変化することが分かった。
【0049】
次に、埋設物として、砂を詰めたプラスチック容器を用いた場合の各ポイントの位相を図9(a)に、位相差のグラフを図9(b)に示す。砂を詰めたプラスチック容器を用いた場合、中空プラスチック容器の結果よりも、位相、位相差共に顕著な結果が得られた。埋設位置と周囲で位相が変化し、位相差からは埋設位置上で0°付近の応答を示していることがわかる。
【0050】
5.位相差を用いた埋設物の検出、映像化
<5.1>
中空プラスチック容器を埋設し、位相差を用いてスキャンエリアの映像化を行った。映像化を行うに当たって、位相差を縦方向と横方向でそれぞれ計算し、それを足し合わせて一枚の映像を作成した。ここで、差を出す関係で実際のポイント数よりも縦方向では1行、横方向では1列データが減ってしまうが、減った分は0を代入してデータ数を揃えた。すなわち、位相差表示処理を施して位相差分布図を作成した。映像は算出した位相差に絶対値を掛けて表示した。図10(a)にnoise波の、図10(b)150Hzバースト波の結果を示す。これらの映像は147.5Hzから152.5Hzまで0.5Hz間隔で位相差を計算し、その結果を平均したものである。図10(a)のnoise波結果ではノイズ応答が多いものの、埋設物周辺で高い値を示し、埋設物上ではほぼ0°を示していることが分かる。一方、図10(b)のバースト波の結果では、送振周波数を含むためかノイズ応答は少なく、埋設物を囲むような応答が見られた。
【0051】
<5.2>
中空プラスチック容器を埋設し、150Hzバースト波送振の映像結果を図11に示す。図11(b)が位相差自体に絶対値を掛け、マイナスの位相差もプラス側に折り返して表示して場合であり、図11(a)が絶対値を掛けない場合である。また、映像化を行うに当たっては、図6を用いて説明した補間処理を行った。いずれの映像も、埋設物上と周囲との境界で位相差が大きく動き、埋設物を囲む映像が作成されている。しかし、図11(b)に比べると図11(a)は分かり難い結果となった。
【0052】
<5.3>
上記の<5.1>と同様に、中空プラスチック容器を埋設し、位相差を用いてスキャンエリアの映像化を行った。ただし、映像化を行うに当たっては、図6を用いて説明した補間処理を行った。
図12(a)に埋設位置、図12(b)にnoise波の、図12(c)に150Hzバースト波の結果を示す。これらの映像は147.5Hzから152.5Hzまで0.5Hz間隔で位相差を計算し、その結果を平均したものである。図12(b)のnoise波結果ではノイズ応答が多いものの、埋設物周辺で高い値を示し、埋設物上ではほぼ0°を示していることが分かる。一方、図12(c)のバースト波の結果では、送振周波数を含むためかノイズ応答は少なく、埋設物を囲むような応答が見られた。
【0053】
<5.4>
砂を詰めた中空プラスチック容器を埋設し、位相差を用いてスキャンエリアの映像化を行った。映像は算出した位相差に絶対値を掛けて表示した。さらに、<5.2>および<5.3>と同様に、映像化を行うに当たって、図6を用いて説明した補間処理を行った。
図13(a)に埋設位置、図13(b)にnoise波の、図13(c)に150Hzバースト波の結果を示す。これらの映像は147.5Hzから152.5Hzまで0.5Hz間隔で位相差を計算し、その結果を平均したものである。図13(b)のnoise波結果ではノイズ応答が多いものの、埋設物周辺で高い値を示し、埋設物上ではほぼ0°を示していることが分かる。一方、図13(c)のバースト波の結果では、送振周波数を含むためかノイズ応答は少なく、埋設物を囲むような応答が見られた。
【0054】
6.まとめと今後の課題
各ポイントの位相を求め、ポイント間の位相差を出すことで埋設物の検出が行えるか検討した。埋設物上では位相は揃い、また埋設物上と周辺の境界で大きく変化することが分かった。映像化を行った結果、noise波、バースト波双方で埋設物の周囲を囲む応答を示し、映像化が可能だということが分かった。noise波ではノイズ応答を多く含んでしまったが、バースト波では綺麗な映像化が行えた。今後は内容物や材質の異なる埋設物に対しても映像化が行えるのか検討する予定である。
【符号の説明】
【0055】
1 被照射体
3 探知対象物
10 本発明の非接触音響探知システム
11 音響発信源
13 計測器
131 レーザ
15 コンピュータ
151 解析装置
152 制御装置
153 表示部
17 任意波形発生装置
19 アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、
音波発信源から音波を照射し、前記被照射体の表面を振動させる工程と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定個所を、各々、P、P・・・P・・P(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定し、Pにおける前記振動速度の波形をf(t)(tは時間)とし、次式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める工程と、
【数1】

(式(1)において、jは虚数を意味する。)
式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、次式(2)〜(7)によってPにおける位相角θ(ω)を求める工程と、
【数2】

隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する工程と
を備える探知方法。
【請求項2】
前記被照射体の表面の振動速度をレーザ振動計またはレーザ変位計を用いて測定する、請求項1に記載の探知方法。
【請求項3】
探知対象物を内部に含む被照射体の表面の複数個所に音波を照射し、その表面における振動速度の情報から、前記探知対象物の位置を特定する非接触音響探知システムであって、
前記被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、
前記被照射体の表面の振動速度を測定する計測器と、
前記被照射体の表面における振動速度の情報から、前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定するために用いる解析装置とを有し、
請求項1または2に記載の探知方法を行うことができる、非接触音響探知システム。
【請求項4】
被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所であるP、P・・・P・・P(xは1〜nの整数)の各々に角周波数がωの音波を照射し、Pにおける振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを計測して、その振動速度および時間データを出力する計測器と、
前記計測器から出力された振動速度および時間データを入力し、前記被照射体の表面における位相差分布から前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定する解析装置とを有し、
前記解析装置が、
入力された振動速度および時間データからPにおける振動速度の波形であるf(t)(tは時間)を求め、これを前記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、前記式(2)〜(7)によってPにおける位相角θ(ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理と
を行う、請求項3に記載の非接触音響探知システム。
【請求項5】
探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する処理を、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラムであって、
音響発信源から音波を照射して、前記被照射体の表面を振動させ、前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所を、P、P・・・P・・P(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定することで得られたPにおける振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを用いて、Pにおける振動速度の波形であるf(t)(tは時間)を求め、これを前記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、前記式(2)〜(7)によってPにおける位相角θ(ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP、P・・・P・・Pの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理とを、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図3】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−42421(P2012−42421A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186206(P2010−186206)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者:社団法人日本音響学会、刊行物名:日本音響学会2010年春季研究発表会講演論文集、発行日:2010年3月1日
【出願人】(593232206)学校法人桐蔭学園 (33)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】