説明

風速計測機能付風力発電装置

【課題】風力発電装置において、風速計によって風速を検知し、風速の大きさによって風車の回転速度をコントロールすることが行われている。風速計は風車と別途設置されることが多く、組み込むために配線が煩雑になりコストがかかることから、風力発電装置において、簡易に風速を測定できる装置が要求されている。
【解決手段】風車1で風を受け発電機2で発電する風力発電装置において、発電機2と電力供給手段6によって風車駆動手段を構成し、風車1は、電力供給手段6からの供給電力により発電機2を力行運転することによって回転させる。また、電力供給手段6は、切替え素子としてのリレー6aと、発電機2へ供給する電力を制御する出力調整手段6bを有している。風車駆動手段が発電機2へ供給する電力と、そのときの風の力とによって風車は回転し、そのときの電力に相当する風速を算出することで風速測定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然風を受けて回転し、その回転エネルギーを電気エネルギーに変換する風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー利用の多様化及び発電技術の向上により、環境に配慮したクリーンな発電システムとして、風力発電装置が注目されており、大型のものから比較的小容量の風力発電装置まで幅広く設置されるようになっている。
【0003】
従来、風力発電装置は、風車の電気的損失、機械的損失を超える風速(起動風速)まで風が吹かなければ風車が回転しないため、回転機会を増加させるために低風速域において風車が回転をはじめるべく力行運転を行っており、そのためのトリガーとして強制的に回転させたり、風速計を使用して、回転をはじめる風速の閾値に到達すれば運転させる方法が示されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
一方、風速計は、風速を測るためだけの目的で構成されており、発電装置として利用できない装置構成となっている。また、風車を利用した風速計においては、風車の電気的損失、機械的損失を超える風速まで風が吹かなければ風車が回転しないため、低風速域の計測は困難である(例えば特許文献2参照)。
【0005】
以下、特許文献1における風力発電装置について、図6を参照しながら説明する。
【0006】
図6に示すように、風力発電装置は、風車16により駆動させる発電機17をコンバータ18及びインバータ19により構成した発電制御装置20を介して電力系統に接続している。この中で、風速判別器21及び回転数判別器22により風速は発電可能風速であるが、ロータ回転数Nがロータ停止回転数NO≦N≦発電開始回転数NPであると判別されると、出力調整回路23内の出力電流特性と電流検出器CT1で検出されたコンバータ18の出力電流及びロータ回転数Nとに基づいてコンバータ18の出力電流を制御して発電機17の力行運転が開始され、ロータ回転数Nが発電開始回転数NPに上昇すると、発電機17を回生運転に切り換えて発電を開始するように制御している。さらに、発電可能風速においても風車16が起動しない時は、力行運転により強制的にロータを回転させて確実に発電させるように構成されている。
【0007】
この構成において、低風速時(回転を始動する風速以下)は発電を開始する風速以下であるので、力行運転は行わず、風車は回転しない装置となっている。
【特許文献1】特開平8−322298号公報
【特許文献2】特許第2935400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような一般的な風速計では、発電する機能は持ち合わせていない。一方、通常の風力発電装置では、低風速の場合に風車は回転せず、風速を計測することはできない。また、特許文献1で示すような風力発電装置によると、風速計を用いて発電可能な風速以上の場合のみ力行運転を行うため、風速計測用の風車等を別途設けなければならない。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、風力発電装置を用いて風速の計測ができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の風速計測機能付風力発電装置は、風車と、風車の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機で構成される風力発電装置において、風車を外力を与えて回転させる風車駆動手段を有し、回転開始時の風車駆動手段に与える外力の大きさによってその時の風速を判定するものである。
【0011】
また、別の手段は、電源と、電源の電力で風車を回転させる風車駆動手段と、風車駆動手段への供給電力を検出する供給電力検出手段と、風車の回転を検出する回転検出手段とを備え、前記風車駆動手段が風車を回転させ始めることができる電力とそのときの風速との関係式を記憶した始動電力−風速テーブルを有し、風車非回転時に風車駆動手段に電力を供給し、回転検出手段が風車の回転を検出した際に風車駆動手段が入力する供給電力を供給電力検出手段が検出し、その供給電力と前記始動電力−風速テーブルによって風速を判定するものである。
【0012】
これらの手段により、自然風が弱くても風力発電装置によって風速を計測することができる。
【0013】
また、別の手段は、風車駆動手段は、周期的に風車を回転させるものである。この手段により、常時風車を駆動せずに消費電力を抑えながら、定期的に風速計測を行うことができる。
【0014】
また、別の手段は、風車駆動手段は、発電機と発電機に電力を供給する電力供給手段で構成し、発電機を電動機として駆動するものである。この手段により、風車を回転させる手段を別途も受けることなく、風が弱いときに風車を回転させることができる。
【0015】
また、別の手段は、風車の回転数を検出する回転数計測手段と、風車の回転数とその時の風速との関係式を記憶した回転数−風速テーブルを有し、回転数計測手段は、風車駆動手段に外力を与えていないときに風車の回転数を検出し、その回転数と前記回転数−風速テーブルによって風速を判定するものである。この手段により、風の強いときにも風速計測が可能となる。
【0016】
また、別の手段は、時刻判定手段と記憶装置を備え、前記始動電力−風速テーブルまたは回転数−風速テーブルにもとづいて計測された風速計測値とその時刻を記憶装置に記憶するものである。この手段により、記憶された風速データを気象データとして活用することが可能となる。
【0017】
また、別の手段は、記憶装置に記憶された過去の風速計測値から発電可能時間帯を判別し、発電可能時間帯でない時間帯は風車駆動手段による風車の駆動周期を長く設定するものである。
【0018】
また、別の手段は、記憶装置に記憶された過去の風速計測値から発電可能性度合を判別し、その発電可能性度合に応じて風車駆動手段による風車の駆動周期を変化させるものである。
【0019】
これらの手段により、風の弱い時間帯に風車を駆動する頻度を下げることによって消費電力を抑えることができる。
【0020】
また、別の手段は、記憶装置に記憶された過去の風速計測値から指定した風速以上の風速計測値であるかを判別し、過去の回転頻度を再現するように風車駆動手段により風車を回転させるものである。この手段により、自然風による風車の回転に近い回転を実現することができる。
【0021】
また、別の手段は、風車は、サボニウス型であることを特徴とするものであり、風向に関係なく風速計測ができる。
【0022】
また、別の手段は、電源は、太陽電池と蓄電池で構成されるものであり、設置場所に商用電源がなくても独立して設置することができる。
【0023】
また、別の手段は、始動電力と風速の関係を入力することのできるデータ入力手段を備え、風車駆動手段が風車を回転させ始めることができる電力とそのときの風速との関係式を変更するものである。
【0024】
また、別の手段は、回転数と風速の関係を入力することのできるデータ入力手段を備え、風車の回転数とそのときの風速との関係式を変更するものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、力行運転時に徐々に電圧を上げていき、風の力を受けている状態を考慮して風速を計測するため、風車を使用した風速計では実現することのできない無風状態もしくは無風状態に近い風速を計測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の請求項1記載の発明は、風車と、風車の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機で構成される風力発電装置において、風車を外力を与えて回転させる風車駆動手段を有し、回転開始時の風車駆動手段に与える外力の大きさによってその時の風速を判定するものである。
【0027】
また、本発明の請求項2記載の発明は、電源と、電源の電力で風車を回転させる風車駆動手段と、風車駆動手段への供給電力を検出する供給電力検出手段と、風車の回転を検出する回転検出手段とを備え、前記風車駆動手段が風車を回転させ始めることができる電力とそのときの風速との関係式を記憶した始動電力−風速テーブルを有し、風車非回転時に風車駆動手段に電力を供給し、回転検出手段が風車の回転を検出した際に風車駆動手段が入力する供給電力を供給電力検出手段が検出し、その供給電力と前記始動電力−風速テーブルによって風速を判定するものであり、自然風が弱くても風力発電装置によって風速を計測することができる。
【0028】
また、本発明の請求項3記載の発明は、風車駆動手段は、周期的に風車を回転させるものであり、常時風車を駆動せずに消費電力を抑えながら、定期的に風速計測を行うことができる。
【0029】
また、本発明の請求項4記載の発明は、風車駆動手段は、発電機と発電機に電力を供給する電力供給手段で構成し、発電機を電動機として駆動するものであり、風車を回転させる手段を別途も受けることなく、風が弱いときに風車を回転させることができる。
【0030】
また、本発明の請求項5記載の発明は、風車の回転数を検出する回転数計測手段と、風車の回転数とその時の風速との関係式を記憶した回転数−風速テーブルを有し、回転数計測手段は、風車駆動手段に外力を与えていないときに風車の回転数を検出し、その回転数と前記回転数−風速テーブルによって風速を判定するものであり、風の強いときにも風速計測が可能となる。
【0031】
また、本発明の請求項6記載の発明は、時刻判定手段と記憶装置を備え、前記始動電力−風速テーブルまたは回転数−風速テーブルにもとづいて計測された風速計測値とその時刻を記憶装置に記憶するものであり、記憶された風速データを気象データとして活用することが可能となる。
【0032】
また、本発明の請求項7記載の発明は、記憶装置に記憶された過去の風速計測値から発電可能時間帯を判別し、発電可能時間帯でない時間帯は風車駆動手段による風車の駆動周期を長く設定するものであり、風の弱い時間帯に風車を駆動する頻度を下げることによって消費電力を抑えることができる。
【0033】
また、本発明の請求項8記載の発明は、記憶装置に記憶された過去の風速計測値から発電可能性度合を判別し、その発電可能性度合に応じて風車駆動手段による風車の駆動周期を変化させるものであり、風の弱い時間帯に風車を駆動する頻度を下げることによって消費電力を抑えることができる。
【0034】
また、本発明の請求項9記載の発明は、記憶装置に記憶された過去の風速計測値から指定した風速以上の風速計測値であるかを判別し、過去の回転頻度を再現するように風車駆動手段により風車を回転させるものであり、自然風による風車の回転に近い回転を実現することができる。
【0035】
また、本発明の請求項10記載の発明は、風車は、サボニウス型であることを特徴とするものであり、風向に関係なく風速計測ができる。
【0036】
また、本発明の請求項11記載の発明は、電源は、太陽電池と蓄電池で構成されるものであり、設置場所に商用電源がなくても独立して設置することができる。
【0037】
また、本発明の請求項12記載の発明は、始動電力−風速テーブルにおいて、始動電力と風速の関係を入力することのできるデータ入力手段を備え、風車の経年変化によって風車駆動手段が風車を回転させ始めることができる電力とそのときの風速との関係式に変化が生じたときに、風車駆動手段が風車を回転させ始めることができる電力とそのときの風速との関係式を変更することができる。
【0038】
また、本発明の請求項13記載の発明は、回転数−風速テーブルにおいて、回転数と風速の関係を入力することのできるデータ入力手段を備え、風車の経年変化によって風車の回転数と風速との関係式に変化が生じたときに、風車の回転数とそのときの風速との関係式を変更することができる。
【0039】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1はこの発明の風力発電装置の構成図を示す。図に示すように、風車1(サボニウス型風車)で風を受けて発電する風力発電手段として発電機2と、発電機2により発電した電力を蓄える発電電力貯蔵手段3(例えば鉛蓄電池など)と、発電機2で発生する交流電力を直流電力に整流する整流回路4(例えばダイオードブリッジ)と、発電機2で発電した電力を発電電力貯蔵手段3へ貯蔵するための電力変換手段5(例えばコンバータ回路)を備えている。風車駆動手段は、発電機2と発電機2に接続された電力供給手段6によって構成され、風車1は、電力供給手段6からの供給電力により発電機2を力行運転することによって回転させることができるようになっている。また、電力供給手段6は、切替え素子としてのリレー6aと、発電機2へ供給する電力を制御する出力調整手段6b(例えばインバータ)を有している。リレー6aの切替え、出力調整手段6bへの出力指示は、制御装置7によって制御されている。制御装置7は、マイクロコンピュータを備えている(図示せず)。
【0041】
回転数検出手段8(例えばホール素子)は、風車1の回転数に比例する信号を検知し、風車1の回転したことを制御装置7に伝達する。供給電力検出手段9は、出力調整手段6bが発電機2に出力する電力を検出し、制御装置7へ伝達する。また、記憶装置10(例えばハードディスク)は、発電機2を力行運転する際の風車1が回転し始めた時に出力された電力値や、回生運転時の回転数ならびにその時の発電電力などを記憶する。なお、記録装置10は記録したデータを別の記録媒体に移す、または通信機能を付加してデータを読み取ることが可能である。
【0042】
制御装置7は、プログラム7aにより動作し、力行運転時には除々に出力を上昇させるように制御信号(例えば出力指示値などの電圧出力信号)を出力調整手段6bに伝える。さらに、制御装置7は、プログラム7bによって、力行運転時の始動電力と風速の関係式、ならびに回生運転時に得られる回転数と風速の関係式より風速を算出し、そのときの日付と時刻を併せて記憶装置10に記憶する。また、制御装置7は、時刻判定手段(図示せず)としての時計機能を有している。
【0043】
この構成において、回転数検出手段8は、ある一定の時間間隔Tで、風車1が回転しているかどうかを検知し、制御装置7へ送信する。風車1が回転していないと判断した場合、制御装置7は、電力供給手段6のリレー6aを発電機2が力行運転するように切替える。次に、制御装置7は出力調整手段6bが発電機2への力行運転出力Vを出力△Vずつ徐々に上昇させていく信号を出力する。力行運転出力Vを出力△Vずつ徐々に上げていくと、その時に吹いている風力に応じた力行運転出力で風車1が回転し始めることになり、無風または微風時においても風車は回転することになる。これらの動きは、プログラム7aに相当するものであり、のフローチャート(図4)に示す通りである。風車が回転を始めたとき、回転数検出手段8は、その回転をはじめた時点を検知し、供給電力検出手段9は、そのときの発電機2への出力を検出する。制御装置7は、回転開始時の発電機2への始動電力と、始動電力と風速の関係式(始動電力−風速テーブル。図2に記載)により、そのときの風速を算出する。ここで、図2に示す検出された回転開始時の発電機2への始動電力と風速の関係は、あらかじめ測定し、記憶装置10に記憶させておく。また、その関係は、図2に示すとおり、無風時の始動電力は最も大きく、微風時には無風時より少ない始動電力で風車が回転を始める関係となり、さらには起動風速時に始動電圧がかからない状態となる。算出された風速は、時刻判定手段から出力される風速計測時の時刻とともに記憶装置10に記憶される。これらの動きは、プログラム7bに相当するものであり、フローチャート(図5のブロックA)に示す通りである。また、この始動電力と風速の関係は、経年変化により風車の機械的損失に変化を与えるため、あらかじめ記憶した始動電力と風速の関係式を変更する必要がある。そのため、始動電力と風速をデータ入力手段(図示せず)によって数点入力し、関係式を変更することができる。
【0044】
一方、風車1が風力により回転していると判断した場合、電力供給手段6のリレー6aを回生運転するように切替え、発電機2が風力による発電を行えるようにする。回転数検出手段8は、風車1の回転数を検出する。制御装置7は、この風車の回転数と、回転数と風速の関係(回転数−風速テーブル。図3)により、そのときの風速を算出する。ここで、図3に示す風車の回転数と風速の関係は、起動風速以降の状態となり、あらかじめ測定を行い、記憶装置10に記憶させておく。算出された風速は、時刻判定手段から出力される風速計測時の時刻とともに記憶装置10に記憶される。これらの動きは、プログラム7bに相当するものであり、フローチャート(図5のブロックB)に示す通りである。また、この回転数と風速の関係は、経年変化により風車の機械的損失に変化を与えるため、あらかじめ記憶した回転数と風速の関係式を変更する必要がある。そのため、回転数と風速をデータ入力手段(図示せず)によって数点入力し、関係式を変更することができる。
【0045】
なお、電力供給手段6が発電機2へ供給する電源は、発電電力貯蔵手段3を用いる。あるいは、商用電源を用いてもよい。また、太陽電池を併設し、太陽電池による発電電力を発電電力貯蔵手段3に蓄積しても良い。この場合には本装置を独立して設置することが可能となる。
【0046】
また、発電機2を力行運転させるタイミングを数分間隔にするなど、周期的に行うことによって、定期的な風速データ収集が行え、また、風車1が停止したままの状態が長時間継続することがなく、景観上の効果も与えることができる。さらに、発電機2を力行運転させて風車1を回転させると、自然風がある程度吹いているが、風車1の回転し始める起動トルクを超える風力以下の場合にも風車1を回転させて発電することが可能になるという効果がある。
【0047】
以上のように、風が弱くて風力発電が不可能なときにも、風力発電装置を力行運転させ、その時の出力と記憶させておいた力行運転出力対風速の関係を参照することによって、風力発電装置を用いて風速を計測できる。また、風が強いときには、風車の回転数対風速の関係を参照することによって風速の計測ができる。
【0048】
また、記憶装置10によって計測した風速を記憶することが可能となり、気象データとしての活用が可能になる。
【0049】
なお、風車はプロペラ形でも良いが、サボニウス形にすると、風向きに関係なく風速の計測が可能となる。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態2では、その構成は、図1に示す実施の形態1と同じ構成である。
【0051】
制御装置7は、記憶装置10に蓄積された過去の風速ならびに日付と時刻の情報を元に、風が吹いている時間帯(以下、発電可能時間帯)を判別する。発電可能時間帯では風車を力行運転させるタイミングを短い周期で行うことによって、風車の回転機会を増加させ、効率良く発電させることが可能となる。一方、発電が行われていない時間帯は、効率の良い発電が期待できないことから、風車を力行運転させるタイミングを長く設定することによって、必要以上の電力を消費することなく、かつ景観上の効果も与えることができる。
【0052】
(実施の形態3)
実施の形態3では、その構成は、図1に示す実施の形態1と同じ構成である。
【0053】
制御装置7は、記憶装置10に蓄積された過去の風速と日付・時刻の情報を元に、自然風によって発電を行っている度合い(以下、発電可能性度合)を判別する。制御装置7は、その発電可能性度合が高い時間帯には、風車を力行運転させるタイミングを短い周期で行うことによって、風車の回転機会を増加させ、効率良く発電させることが可能となる。一方、発電可能性度合が低い時間帯には効率の良い発電が期待できないことから、風車を力行運転させるタイミングを長く設定することによって、必要以上の電力を消費することなく、かつ景観上の効果も与えることができる。
【0054】
(実施の形態4)
実施の形態4では、その構成は、図1に示す実施の形態1と同じ構成である。
【0055】
記憶装置10は、ある任意の風速値を閾値として記憶している。この閾値とは、その風速以上で風車を動作させるための値である。例えば、風車近傍に木の葉や旗がある場合、それらがゆれる風速に合わせて風車を動作させるためである。
【0056】
制御装置7は、記憶装置10に蓄積された過去の風速と日付・時刻の情報を元に、そのとき(その日時)に吹いていると推測される風速(以下、推定風速)を算出する。その推定風速と閾値として指定した風速と比較し、推定風速が大きければ風車を力行運転。
【0057】
このように、過去の風速測定結果に合わせて、より自然に近い動きを再現でき、かつ景観上の効果も与えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
風力発電装置において風速を測定できる機能を付加することが可能となり、気象計測だけに用いられた風車にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1の風力発電装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における始動電力−風速テーブルを示す図
【図3】本発明の実施の形態1における回転数−風速テーブルを示す図
【図4】プログラム7aの概略を示すフローチャート
【図5】プログラム7bの概略を示すフローチャート
【図6】従来の風力発電装置の構成図
【符号の説明】
【0060】
1 風車
2 発電機
3 発電電力貯蔵手段
3a 蓄電素子
4 整流回路
5 電力変換手段
6 電力供給手段
6a リレー
6b 出力調整手段
7 制御装置
7a プログラム
7b プログラム
8 回転数検出手段
8a ホール素子
9 供給電力検出手段
10 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車と、風車の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機で構成される風力発電装置において、風車に外力を与えて回転させる風車駆動手段を有し、回転開始時の風車駆動手段に与える外力の大きさによってその時の風速を判定する風速計測機能付風力発電装置。
【請求項2】
電源と、電源の電力で風車を回転させる風車駆動手段と、風車駆動手段への供給電力を検出する供給電力検出手段と、風車の回転を検出する回転数検出手段とを備え、前記風車駆動手段が風車を回転させ始めることができる電力とそのときの風速との関係式を記憶した始動電力−風速テーブルを有し、風車非回転時に風車駆動手段に電力を供給し、回転数検出手段が風車の回転を検出した際に風車駆動手段に入力する供給電力を供給電力検出手段が検出し、その供給電力と前記始動電力−風速テーブルによって風速を判定する請求項1記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項3】
風車駆動手段は、周期的に風車を回転させることを特徴とする請求項1または2に記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項4】
風車駆動手段は、発電機と発電機に電力を供給する電力供給手段で構成し、発電機を電動機として駆動することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項5】
風車の回転数を検出する回転数計測手段と、風車の回転数とその時の風速との関係式を記憶した回転数−風速テーブルを有し、回転数計測手段は、風車駆動手段に外力を与えていないときに風車の回転数を検出し、その回転数と前記回転数−風速テーブルによって風速を判定する請求項1〜4いずれかに記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項6】
時刻判定手段と記憶装置を備え、前記始動電力−風速テーブルまたは回転数−風速テーブルにもとづいて計測された風速計測値とその時刻を記憶装置に記憶することができる請求項5記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項7】
記憶装置に記憶された過去の風速計測値から発電可能時間帯を判別し、発電可能時間帯でない時間帯は風車駆動手段による風車の駆動周期を長く設定する請求項6記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項8】
記憶装置に記憶された過去の風速計測値から発電可能性度合を判別し、その発電可能性度合に応じて風車駆動手段による風車の駆動周期を変化させる請求項6記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項9】
記憶装置に記憶された過去の風速計測値から指定した風速以上の風速計測値であるかを判別し、過去の回転頻度を再現するように風車駆動手段により風車を回転させる請求項6記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項10】
風車は、サボニウス型であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項11】
電源は、太陽電池と蓄電池で構成される請求項2に記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項12】
始動電力と風速の関係を入力することのできるデータ入力手段を備え、風車駆動手段が風車を回転させ始めることができる電力とそのときの風速との関係式を変更することのできる請求項2に記載の風速計測機能付風力発電装置。
【請求項13】
回転数と風速の関係を入力することのできるデータ入力手段を備え、風車の回転数とその時の風速との関係式を変更することのできる請求項5に記載の風速計測機能付風力発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−157171(P2008−157171A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349185(P2006−349185)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】