説明

駆動装置、画像形成装置

【課題】低コストで適切に駆動手段のフィードフォワード制御を行うことができる駆動装置、及び、その駆動装置を用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動源と、駆動源により駆動される被駆動部と、被駆動部での非周期的な速度変動を検知する速度変動検知手段と、速度変動検知手段により検知された非周期的な速度変動を低減するように予め設定されたフィードフォワード目標値を用いてフィードフォワード制御を行なう駆動制御部とからなる駆動装置において、上記速度変動検知手段により検知される速度変動は所定時間幅と所定振幅とからなる正弦波であり、上記フィードフォワード目標値は、上記所定時間幅と上記所定振幅とから求められる上記正弦波を矩形近似した矩形波とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる駆動装置、及び、その駆動装置を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー画像形成装置において、感光体上のトナー像を、一次転写部で中間転写ドラムや中間転写ベルトなどの中間転写体上に一次転写し、この中間転写体上の4色のトナー像を二次転写部でシート状部材に二次転写する中間転写方式が多く採用されている。この中間転写体を用いた画像形成装置においては、薄紙や厚紙、はがき、封筒などさまざまな種類のシート状部材が使用可能で汎用性が高いという利点を有する。
【0003】
ところが、ある程度以上の厚さを有するシート状部材が二次転写部に突入する際には、それまで一定速度で駆動されていた中間転写体の速度が短時間の間変動し、一次転写部で画像に乱れが生じるという不具合が発生していた。
【0004】
また、カラー画像形成装置の小型化に伴い、二次転写部と定着部とが近接されるようになり、シート状部材上で画像の転写と定着とが同時に行われる装置もある。この装置においても、ある程度以上の厚さを有するシート状部材が定着部に突入する際に、それまで一定速度で駆動されていた定着ローラ或いは定着ベルトの速度が短時間の間変動し、二次転写部で画像に乱れが生じるという不具合が発生していた。
【0005】
これらの不具合は、シート状部材が二次転写部や定着部に突入する前に、その突入によって中間転写体等に速度変動が発生するタイミングを予測し、シート状部材の突入時に中間転写体等の速度を上げることで速度変動を打ち消すフィードフォワード制御によって回避可能である(特許文献1及び特許文献2など)。速度変動が発生するタイミングの予測は、例えば特許文献3に記載の画像形成装置のように定着部などの直前に設置したシート状部材検知センサを用いて行うことができる。つまり、シート状部材検知センサがシート状部材を検知してからシート状部材が定着部へ突入するまでの時間を予め計測しておき、シート状部材の検知を起点にその計測した時間を速度変動が発生するタイミングとして用いる。
【0006】
【特許文献1】特開2003―215870号公報
【特許文献2】特開2005―107118号公報
【特許文献3】特開2004―54120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図15にフィードフォワード制御の概念図を示す。速度変動Vaは図15(a)に示すように所定期間における速度成分の波形で表すことができる。例えば中間転写体に速度変動Vaが生じる場合のフィードフォワード制御としては、速度変動Vaが生じるときに図15(a)に示すような速度変動Vaを打ち消す速度Vbで中間転写体が駆動するように制御する。これにより、図15(b)に示すように速度変動Vaを打ち消すことができ一定速度で中間転写体を駆動させることが可能となる。
【0008】
ここで、速度変動Vaが100msに渡って生じており、速度変動Vaを打ち消すように中間転写体の速度を1msごとに制御する場合、速度変動Vaを打ち消す速度のデータを100個、記憶部に記憶しておく必要がある。さらに、複数の異なる速度変動に対応するためには、より多くのデータを記憶部に記憶させる必要がある。そのため、記憶部に大きな記憶領域が必要となる。また、フィードフォワード制御を行うときには、速度変動が生じている100msの間、1msごとに上記データを記憶部から演算部が読み出し、その読み出したデータを中間転写体の駆動を制御する駆動制御部へ出力する必要がある。そのため、演算部に高負荷がかかり演算処理能力が低下して適切にフィードフォワード制御ができない恐れがある。
【0009】
これらに対処するために、記憶領域の大きい記憶部を設けたり高負荷に耐えられる高性能な演算部を設けたりすることが考えられる。しかしながら、記憶領域の大きい記憶部を設けたり高負荷に耐えられる高性能な演算部を設けたりすると製造コストが高くなってしまうといった問題が生じる。
【0010】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、低コストで適切に駆動手段のフィードフォワード制御を行うことができる駆動装置、及び、その駆動装置を用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動源と、該駆動源により駆動される被駆動部と、該被駆動部での非周期的な速度変動を検知する速度変動検知手段と、該速度変動検知手段により検知された非周期的な速度変動を低減するように予め設定されたフィードフォワード目標値を用いてフィードフォワード制御を行なう駆動制御部とからなる駆動装置において、該速度変動検知手段により検知される速度変動は所定時間幅と所定振幅とからなる正弦波であり、該フィードフォワード目標値は、該所定時間幅と該所定振幅とから求められる該正弦波を矩形近似した矩形波であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の駆動装置において、上記矩形波は、上記正弦波の面積と略同一の面積を有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の駆動装置において、上記フィードフォワード目標値は、その振幅が上記正弦波の最大振幅であり、その時間幅が該正弦波の最大振幅までの時間幅であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の駆動装置において、上記フィードフォワード目標値は、その振幅が上記正弦波の最大振幅であり、その時間幅が該正弦波の最大振幅の半分の振幅での時間幅であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の駆動装置において、上記速度変動の情報は、上記被駆動部で生じる複数回分の速度変動の平均値であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、潜像担持体上の該潜像をトナー像に現像する現像手段と、潜像担持体上のトナー像を中間転写体に転写する中間転写手段と、該中間転写体に転写されたトナー像をシート状部材に転写する二次転写手段と、該シート状部材に転写されたトナー像をシート状部材上に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置において、中間転写手段と定着手段との少なくとも一方の駆動手段として、請求項1、2、3、4または5の駆動装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記シート状部材が上記中間転写手段と上記二次転写手段とで構成される二次転写部に突入するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した突入タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6または7の画像形成装置において、上記シート状部材が上記中間転写手段と上記二次転写手段とで構成される二次転写部から離脱するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した離脱タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6、7または8の画像形成装置において、上記シート状部材が上記定着手段の定着部に突入するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した突入タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6、7、8または9の画像形成装置において、上記シート状部材が上記定着手段の定着部から離脱するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した離脱タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項7、8、9または10の画像形成装置において、上記予測手段は、上記シート状部材を検知するシート状部材検知手段であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、後述するように低コストで適切に駆動手段のフィードフォワード制御を行うことができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施形態1]
図1は本発明を適用可能な駆動装置の一例を示す図である。本駆動装置は、駆動源1と、小径ギア2および大径ギア3からなる駆動伝達部と、駆動制御部4と、駆動ローラ5および従動ローラ6からなる被駆動部と、被駆動部の回転情報を得る回転情報取得手段7と、被駆動部に生じる衝撃的な速度変動を予測する予測手段8から構成される。
【0014】
駆動源1は、ブラシレスDCモータ、パルスモータ、超音波モータ、ダイレクトドライブモータなどが使用可能である。
【0015】
駆動伝達部は図1に示すギア列の他、プーリとVベルト、ウォームギア、ギアと歯付ベルト、遊星歯車機構などの減速機構を使用可能である。また、駆動源に超音波モータやダイレクトドライブモータが使用される場合は、それらのモータの特性上、駆動伝達系を使用せず直接被駆動部を駆動することが可能である。
【0016】
駆動制御部4は、主にフィードバックコントローラ、フィードフォワードコントローラ、駆動ドライバからなり、駆動源1の駆動制御を行う。フィードバックコントローラは、回転情報取得手段7から被駆動部の回転情報を受け、被駆動部が目標値通りに駆動するよう制御を行う。フィードフォワードコントローラは、予測可能な衝撃的な速度変動を打ち消すフィードフォワード制御を行う。駆動ドライバは、フィードバックコントローラとフィードフォワードコントローラからの指令値に応じて、駆動源1に電力を供給する。
【0017】
被駆動部は、図1に示すローラ対の他、ローラ単体、駆動ローラと支持ローラにベルトが張架された構成など、回転あるいは走行可能に支持された負荷によって構成される。
【0018】
回転情報取得手段7は、ローラと同軸上に支持されるロータリーエンコーダや、ローラあるいはベルト表面に施されたリニアスケールを読み取るリニアエンコーダを使用可能である。また、駆動源の回転情報を被駆動部の回転情報として代用しても良い。この場合も、駆動源の回転情報を得る方法としてロータリーエンコーダやリニアエンコーダを使用可能な他、駆動源から回転速度に応じて出力されるFG信号を利用しても良い。また、駆動源1にパルスモータや超音波モータを使用する場合には、回転情報取得手段7を設置せず、開ループ制御で駆動することも可能である。
【0019】
被駆動部に生じる衝撃的な駆動変動を予測する予測手段8は、衝撃的な速度変動の原因となる被駆動部における急激な負荷変動を予測する。例えば、図1において、回転駆動される駆動ローラ5と従動ローラ6とからなるローラ対に、シート状部材9が噛み込まれる場合、駆動ローラ5に衝撃的な速度変動が生じる。このとき、予測手段8はシート状部材を検知するセンサであり、予測手段8がシート状部材を検知してから、シート状部材搬送速度とセンサからローラ圧接部までの距離とで決まる時間後に、被駆動部において速度変動が生じることが予測可能である。センサには、光学式センサ、磁気センサ、超音波センサなどが使用可能である。
【0020】
また、被駆動部において、回転駆動されるローラやベルトに対して、摺動部材や回転部材が接触あるいは離間するような場合にも、衝撃的な速度変動が生じる。例えば、図1において、従動ローラ6が図示しない駆動手段によって、駆動ローラ5に対して接触あるいは離間する場合、従動ローラ6の移動を検知する変位センサを予測手段8とし、衝撃的な速度変動を予測する。変位センサとして光学式センサ、ひずみゲージ、加速度センサなどが使用可能である。また、摺動部材や回転部材の接触、離間動作を行う駆動源の動作信号や動作指令信号を予測手段8として使用することも可能である。
【0021】
図2に、フィードフォワード制御の概念図を示す。フィードフォワード制御は、被駆動部に生じる衝撃的な速度変動Vaに対して、その速度変動を打ち消すように、被駆動部を速度Vbで駆動する。このように制御を行うことで、被駆動部の速度変動を打ち消し、一定速度で駆動することが可能である。
【0022】
図3に、駆動制御部4の詳細を示す。駆動制御部4は、フィードバックコントローラ60、位相補償器61、フィードフォワードコントローラ62、タイミングコントローラ63、記憶部64、演算部65、I/O部66、駆動ドライバ67などから構成される。
フィードバックコントローラ60は、回転情報取得手段7からの回転情報と、記憶部64に格納されているフィードバック目標値との比較を行い、それらの偏差が0に近づくように駆動指令値を算出し、駆動源1の制御を行う。位相補償器61は、ゲイン余裕および位相余裕の補償を行う。
【0023】
フィードフォワードコントローラ62は、I/O部66が予測手段8からの予測検知信号を受けると、記憶部64に格納されているフィードフォワード目標値をフィードフォワード駆動指令値へと変換する。フィードフォワード目標値は、駆動ローラ5に生じる速度変動と同等の速度変動が生じる実験機を用いてその速度変動を計測し、その計測した速度変動をコンピュータによってフィードフォワード目標値に変換することで求められる。このように予め実験機などを用いて求められたフィードフォワード目標値を記憶部64に格納している。また、フィードフォワード目標値は、生じる速度変動のプロファイルによって異なるので、予め実験機などによって各速度変動に対応するフィードフォワード目標値を求め、それらを記憶部64に格納しておく。タイミングコントローラ63は、記憶部64に格納してあるフィードフォワードタイミングに応じて、フィードフォワード駆動指令値の出力を行う。なお、フィードフォワードタイミングとは、予測手段8が速度変動の発生を予測してから実際に被駆動部で速度変動が生じるまでの時間である。
【0024】
フィードバックコントローラから出力された駆動指令値とフィードフォワードコントローラから出力されたフィードフォワード駆動指令値とは加算され、駆動ドライバ67へ出力される。指令値の加算は、オペアンプなどを使用した加算器を使用してもよいし、駆動制御部4内でデジタル的に処理を行っても良い。駆動ドライバ67は、受けた指令値に応じて駆動源1に電力を供給し、駆動源1の駆動を行う。
【0025】
[実施例1]
本発明では、上記のようなフィードフォワード制御において、フィードフォワード目標値を矩形波状に変換し、記憶部に格納することを特徴とする。以下にその詳細を示す。なお、フィードフォワード目標値を矩形波状に変換するのは、上記実験機によって計測された速度変動の計測データを上記コンピュータによってフィードフォワード目標値に変換するときに行うこととする。
【0026】
図4に被駆動部における速度変動から従来型のフィードフォワード目標値への変換の概念図を示す。速度変動の計測データから、オフセット量となる被駆動部の定常速度Vsを減じ、正負を反転させて、速度変動部分のみを切り出したものが従来型フィードフォワード目標値となる。また、被駆動部における速度変動の変動量がばらつく場合には、複数回分の速度変動の平均値をフィードフォワード目標値へ変換することにより、ばらつきが生じた場合においても安定したフィードフォワード制御効果を得ることが可能である。従来はこのように求めた従来型フィードフォワード目標値をそのまま記憶部に格納していた。
【0027】
例えば、図4中の速度変動が100msに渡って生じており、制御周期が1msであった場合、100ms÷1ms=100個のデータをフィードフォワード目標値として記憶部に格納する必要がある。ゆえに、複数の異なる速度変動に対応するためには、大きな記憶領域を必要とするという問題があった。
【0028】
図5に、フィードフォワード目標値を矩形波に変換する方法の概念図を示す。図5中では、従来型フィードフォワード目標値を破線で示し、矩形波型フィードフォワード目標値を実線で示してある。矩形波に変換する方法の一つは、図5に示すように矩形波型フィードフォワード目標値の振幅Vfを従来型フィードフォワード目標値の最大振幅とし、矩形波型フィードフォワード目標値の時間幅Tfを従来型フィードフォワード目標値の最大振幅までの時間とする方法である。
【0029】
また、駆動指令値に対して、駆動源及び被駆動部の追従性が高い場合には、図6に示すように、矩形波型フィードフォワード目標値の時間幅Tfを従来型フィードフォワード目標値の半値幅の時間としても良い。これらの方法で変換した矩形波型フィードフォワード目標値を使用しても制御効果が十分でない場合は、各駆動システムに応じて振幅Vfと時間幅Tfを微調整すればよい。
【0030】
ここで、フィードフォワード目標値を矩形波に変換することによって、振幅Vfと時間幅Tfのみを記憶部に格納すればよく、使用記憶領域の大幅な低減が可能であり、複数の速度変動に対応することも容易に実現可能である。また、従来型フィードフォワード目標値を使用した場合、制御周期ごとに目標値を記憶部から読み出し、フィードフォワードコントローラへと出力する必要があり、演算部の負荷も大きくなってしまう。一方、矩形波型フィードフォワード目標値を使用する場合は、一度振幅Vfを記憶部から読み出せば、時間幅Tfの間継続してVfを出力すればよく、演算部の負荷も大幅に低減することが可能である。
【0031】
つまり、速度変動を表す波形の逆位相の矩形波の振幅をフィードフォワード目標値とすることで、矩形波の振幅は一定のため速度変動が生じている期間中のいずれの時刻に対してもフィードフォワード目標値が同じになる。よって、フィードフォワード制御を行うときには制御手段が記憶手段から一度だけフィードフォワード目標値を読み出し、その読み出したフィードフォワード目標値だけを上記期間中のフィードフォワード目標値として用いてフィードフォワード制御を行う。これにより、上記期間中に制御手段が記憶手段からフィードフォワード目標値を読み出す回数を少なくすることができ、記憶手段からフィードフォワード目標値を読み出すことで制御手段にかかる負荷を低減させることができる。したがって、高性能な制御手段が必要ないのでその分装置の製造コストを低減することができる。
【0032】
また、フィードフォワード目標値を矩形波に変換することによる別の効果として、フィードフォワード制御後の被駆動部の速度をフィードフォワード目標値により近づけることができるためフィードフォワード制御の精度を向上することができるという点が挙げられる。その点について以下図7及び図8を用いて説明する。
【0033】
図7、図8は被駆動部としての中間転写ベルトの定常駆動状態において所定のフィードフォワード目標値のみを入力して駆動制御を行なった場合のベルト速度変化を表したものである。図7は、従来の正弦波状のフィードフォワード目標値を使用した場合であり、図8は、本発明における矩形波状のフィードフォワード目標値(従来の目標値と振幅は同じで、時間幅を半値幅に変換したもの。図6参照。)を使用した場合である。図7に示すように従来の正弦波状のフィードフォワード目標値(破線)を使用した場合には、中間転写ベルトの速度は所望のフィードフォワード目標値に対して鈍った波形(実線)、つまり振幅が小さく、時間幅が大きくなっている。つまり、フィードフォワード目標値と、その目標値を用いたフィードフォワード制御後の実際のベルト速度とにはかなりのズレが生じているということになる。これに対して、図8に示すように上記正弦波状の所望のフィードフォワード目標値を矩形波状に変換したフィードフォワード目標値を使用した場合(破線)には、ベルト速度の変化が急峻となっており(実線)、図7において破線で示した所望のフィードフォワード目標値の波形にかなり近い速度変化となることが分かる。
【0034】
実際に、矩形波型フィードフォワード目標値を使用した場合の制御効果について、実験結果を示して説明する。
【0035】
本実験は、図9に示すベルト駆動装置を使用して行った。本ベルト駆動装置は、図1の駆動システムにおいて、被駆動部が駆動ローラ73、支持ローラ74、75、76、従動ローラ77、無端状ベルト78によって構成されたものである。また、駆動ローラ73と従動ローラ77との圧接部において、シート状部材82が挟持、搬送される構成となっており、シート状部材82が圧接部に突入する時に無端状ベルト78において衝撃的な速度変動が生じる。無端状ベルト78の速度は、支持ローラ74と同軸上に設置されたロータリーエンコーダ79によって計測されている。無端状ベルト78に生じる速度変動を予測する手段としては、光学式センサ81を使用し、シート状部材の先端を検知することによって、シート状部材がローラ圧接部に突入するタイミングを予測している。
【0036】
図10に、シート状部材82が圧接部に突入するときの無端状ベルト78の速度変動を示す。図10から、フィードフォワード制御を行わない場合、速度変動1と速度変動2とが生じており、これらの速度変動を打ち消すフィードフォワード制御を行う必要がある。
【0037】
図11に、図5に示した方法で変換したフィードフォワード目標値を示す。矩形波型フィードフォワード目標値を実線で示し、従来型フィードフォワード目標値を破線で示した。
【0038】
図12に、従来型フィードフォワード目標値を使用してフィードフォワード制御を行った場合の無端状ベルトの速度変動を示す。また、図13に、矩形波型フィードフォワード目標値を使用してフィードフォワード制御を行った場合の無端状ベルトの速度変動を示す。図10と図12とを比較、または、図10と図13とを比較すると、フィードフォワード制御を行った図12及び図13の場合、フィードフォワード制御を行っていない図10の場合と比較して、シート状部材突入時の衝撃的な速度変動が抑制されている。また、図12と図13とを比較すると、シート状部材突入時の無端状ベルトの速度変動のP-P値(ピークトゥピーク値。図中矢印で示した値。)は矩形波型フィードフォワード目標値を使用した図13の方が小さくなっており、矩形波型フィードフォワード目標値を使用した方がより高いフィードフォワード制御効果が得られていることがわかる。このように、矩形波型フィードフォワード目標値を使用した場合、従来型フィードフォワード目標値を使用した場合よりも高い制御効果が得られることが示された。
【0039】
以上のように、本発明を適用し、矩形波型フィードフォワード目標値を用いたフィードフォワード制御によって、使用する記憶領域と演算部の負荷を大幅に低減することが可能である。また、被駆動部において生じる衝撃的な駆動変動を抑制することが可能である。
【0040】
[実施形態2]
本発明は実施例1に示す構成の駆動装置全てにおいて、有効な技術であるが、本発明の効果が最も顕著に現れる構成として、電子写真方式の画像形成装置が挙げられる。画像形成装置中で、中間転写装置や定着装置などにおいて本発明を適用することが可能である。様々な構成の画像形成装置が存在するが、ここでは、代表的な方式として、中間転写方式のタンデム型画像形成装置である複写機を例に説明する。
【0041】
図14に、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。同図において符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)をそれぞれ示す。その他の符号は詳細な説明中で直接引用する。
【0042】
複写装置本体100には、中央に、中間転写体として無端状の中間転写ベルト13を設ける。中間転写ベルト13は、図示例では駆動ローラ14と2つの支持ローラ15、16に掛け回して同図中時計回りに回転移動可能とする。駆動ローラ14は、図示しない駆動源、駆動制御部、駆動伝達部によって駆動制御されている。以後、ベルトの回転移動を部分的に見るときは単に移動と呼ぶ。支持ローラ15の図中左に、画像転写後に中間転写ベルト13上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17を設ける。また、支持ローラ15は中間転写ベルトの張力を一定に保つテンションローラの機能も兼ねており、中間転写ベルトの内側から外側へと図示しないバネなどの弾性部材によって圧力が加えられている。
【0043】
また、駆動ローラ14と支持ローラ15との間に張り渡した中間転写ベルト13上には、その移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。そのタンデム画像形成装置20の上には、さらに露光装置21を設ける。
【0044】
一方、中間転写ベルト13を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、二次転写装置22を備える。二次転写装置22は、二次転写ローラ23を、中間転写ベルト13を介して支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写ベルト13上の画像をシート状部材に転写すると同時にシート状部材を定着装置へと搬送する。二次転写装置22の横には、シート状部材上の転写画像を定着する定着装置24を設ける。二次転写装置22には、画像転写後のシート状部材をこの定着装置24へと搬送するシート状部材搬送機能も備えてなる。
【0045】
定着装置24は、加熱ローラ26と定着ローラ27に張架される定着ベルト25と、定着ローラ27に対して定着ベルト25を介して圧接される加圧ローラ28から構成される。加熱ローラ26は定着ベルト25の張力を一定に保つテンションローラの機能も兼ねており、定着ベルトの内側から外側へと図示しないバネなどの弾性部材によって圧力が加えられている。定着ベルト25は、加熱ローラ26によって画像定着に必要な温度まで加熱される。シート状部材上の転写画像は、熱と圧力を与えられ、シート状部材に定着される。
【0046】
なお、上記図示例では、このような二次転写装置22及び定着装置24の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シート状部材の両面に画像を記録すべくシート状部材を反転するシート状部材反転装置29を備える。
【0047】
この複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0048】
原稿読み取りに並行して、駆動ローラ14を回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト13を回転駆動させる。同時に、個々の画像形成手段18において感光体ドラム40を回転して各感光体ドラム40上にそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いて露光現像し、単色のトナー画像を形成する。そして、中間転写ベルト13の移動とともに、それらの単色のトナー画像を順次転写して中間転写ベルト13上に合成カラー画像を形成する。
【0049】
一方、画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシート状部材を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシート状部材を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト13上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト13と二次転写装置22との間にシート状部材を送り込み、二次転写装置22で転写してシート状部材上にカラー画像を記録する。
【0050】
画像転写後のシート状部材は、定着装置24で熱と圧力とを加えて転写画像が定着された後、搬送ローラ54で排紙トレイ方向へと搬送され、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置29に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0051】
一方、画像転写後の中間転写ベルト13は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト13上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シート状部材の紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0052】
この電子写真装置を用いて、黒のモノクロコピーを取る事も良く行われる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト13を感光体ドラム40Y、40C、40Mから離れるようにする。これらの感光体ドラムは一時的に駆動を止めておき、黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト13に接触して画像の形成と転写が行われる。
【0053】
[実施例2]
本実施形態の複写機において、ある厚さ以上のシート状部材が二次転写装置22に突入あるいは、二次転写装置22から離脱する場合に、中間転写ベルト13において衝撃的な速度変動が生じる。また、定着装置においても同様の速度変動が生じる。本発明を中間転写装置や定着装置などに適用することによって、上記課題を解決することが可能である。
【0054】
中間転写装置に本発明を適用する場合、レジストローラ49と二次転写装置22との間にシート状部材検知手段を設置する必要がある。検知手段は光学式センサ、超音波センサ、磁気センサなどが使用可能である。シート状部材検知手段がシート状部材を検知すると、実施例1と同様の制御手法により駆動ローラ14の駆動制御を行い、中間転写ベルト13に生じる衝撃的な速度変動を抑制する。
【0055】
シート状部材検知手段を設置できない場合は、レジストローラ49の動作制御信号や、図示しないレジストクラッチの制御信号など二次転写装置22より前段部の構成要素の動作信号を利用しても良い。また、シート状部材が二次転装置22に突入する前に、シート状部材を中間転写ベルト13に接触させ、そのときの中間転写ベルト13の速度変動や変位量を検知することによってシート状部材の突入を検知しても良い。
【0056】
シート状部材の離脱に対してフィードフォワード制御を行う場合は、シート状部材検知手段がシート状部材の後端を検知することによって、中間転写装置における衝撃的な速度変動を予測する。制御手法はシート状部材突入時の場合と同様であるが、フィードフォワード目標値はシート状部材離脱時の速度変動に対応したものが必要である。
【0057】
定着装置に本発明を適用する場合、二次転写装置22と加圧ローラ28との間にシート状部材検知手段を設置する必要がある。検知手段は中間転写装置の場合と同様の種類のものが使用可能である。また、中間転写装置で同様のフィードフォワード制御を行っている場合には、中間転写装置側のシート状部材検知手段を利用しても良い。
【0058】
シート状部材検知手段が設置できない場合は、レジストローラ49の動作制御信号や、レジストクラッチの制御信号など二次転写装置前段部の動作信号を利用しても良い。また、二次転写装置22にシート状部材が突入する時の中間転写ベルト13、支持ローラ16、二次転写ローラ23などの速度変動を検知し、定着装置へのシート状部材の突入を検知しても良い。また、中間転写装置の場合と同様に、一度シート状部材を定着ベルトに接触させる方法を用いてもよい。
【0059】
定着装置からのシート状部材の離脱に対してフィードフォワード制御を行う場合は、中間転写装置の場合と同様に、シート状部材検知手段がシート状部材の後端を検知することによって、定着装置における衝撃的な速度変動を予測する。あるいは、二次転写装置22からシート状部材が離脱する時の中間転写ベルト13、支持ローラ16、二次転写ローラ23などの速度変動を検知し、定着装置からのシート状部材の離脱を検知しても良い。制御手法はシート状部材突入時の場合と同様であるが、フィードフォワード目標値はシート状部材離脱時の速度変動に対応したものが必要である。
【0060】
以上、各実施形態によれば、駆動源と、駆動源により駆動される被駆動部と、被駆動部での非周期的な速度変動を検知する速度変動検知手段と、速度変動検知手段により検知された非周期的な速度変動を低減するように予め設定されたフィードフォワード目標値を用いてフィードフォワード制御を行なう駆動制御部とからなる駆動装置において、上記速度変動検知手段により検知される速度変動は所定時間幅と所定振幅とからなる正弦波であり、上記フィードフォワード目標値は、上記所定時間幅と上記所定振幅とから求められる上記正弦波を矩形近似した矩形波とするものである。速度変動情報を表す矩形波の振幅をフィードフォワード目標値とすることで、矩形波の振幅は一定のため速度変動が生じている期間中のいずれの時刻に対してもフィードフォワード目標値が同じになる。よって、フィードフォワード制御を行うときには制御手段が記憶手段から一度だけフィードフォワード目標値を読み出し、その読み出したフィードフォワード目標値だけを上記期間中のフィードフォワード目標値として用いてフィードフォワード制御を行う。これにより、上記期間中に制御手段が記憶手段からフィードフォワード目標値を読み出す回数を少なくすることができ、記憶手段からフィードフォワード目標値を読み出すことで制御手段にかかる負荷を低減させることができる。したがって、高性能な制御手段が必要ないのでその分装置の製造コストを低減させることができる。
また、上記期間中のいずれの時刻に対してもフィードフォワード目標値が同じになるので、上記期間中におけるフィードフォワード目標値として一つだけ記憶手段に記憶させれば良く、記憶手段の使用領域を少なくすることができる。したがって、記憶領域の大きい記憶手段が必要ないのでその分装置の製造コストを低減させることができる。
また、各実施形態によれば、上記矩形波が上記正弦波の面積と略同一の面積を有することで上述したように、より高精度なフィードフォワード制御を行うことができる。
また、各実施形態によれば、上記フィードフォワード目標値は、その振幅が上記正弦波の最大振幅であり、その時間幅が上記正弦波の最大振幅までの時間幅であることで、上述したように高精度なフィードフォワード制御を行うことができる。
また、各実施形態によれば、上記フィードフォワード目標値は、その振幅が上記正弦波の最大振幅であり、その時間幅が上記正弦波の最大振幅の半分の振幅での時間幅であることで、フィードフォワード制御の精度を保ちつつ制御手段にかかる負荷をより低減させることができる。
また、各実施形態によれば、上記速度変動の情報は、被駆動部で生じる複数回分の速度駆動変動の平均をとったものである。複数回の速度変動情報を平均した値を用いて、フィードフォワード目標値を算出することにより、被駆動部で生じる速度変動にばらつきが生じる場合でも、安定したフィードフォワード制御効果を得ることができる。
また、実施形態2によれば、潜像を担持する潜像担持体である感光体ドラム40と、感光体ドラム40上の潜像をトナー像に現像する現像手段である現像装置と、感光体ドラム40上のトナー像を中間転写体である中間転写ベルト13に転写する中間転写手段と、中間転写ベルト13に転写されたトナー像を転写材であるシート状部材に転写する二次転写手段である二次転写装置22と、シート状部材に転写されたトナー像をシート状部材上に定着させる定着手段である定着装置24とを備えた画像形成装置である複写機において、中間転写手段が有する駆動ローラ14を駆動させる駆動手段と定着装置24との少なくとも一方の駆動装置として、本発明の駆動装置を用いることにより、中間転写ドラム、中間転写ベルト、定着ローラ、定着ベルトなどに生じる衝撃的な速度変動(位置変動、加速度変動)を抑制し、形成される画像の劣化を抑制することができる。また、フィードフォワード目標値を矩形波状に変換することで、演算部負荷と使用記憶部量を大幅に低減し、より低コストでフィードフォワード制御を実装することができる。
また、各実施形態によれば、上記予測手段は、シート状部材を検知するシート状部材検知手段であることでシート状部材が衝突することによって生じる衝撃的な速度変動に対して適切なタイミングでフィードフォワード制御を行うことができる。
また、実施形態2によれば、上記シート状部材検知手段によってシート状部材が二次転写装置22の二次転写部へ突入することを予測した場合に、駆動制御部4が駆動ローラ14を駆動させる駆動手段のフィードフォワード制御を行うことで、シート状部材が二次転写装置22の二次転写部に突入する時に中間転写ベルト13に生じる衝撃的な速度変動を抑制することが可能である。
また、実施形態2によれば、上記シート状部材検知手段によってシート状部材が二次転写装置22の二次転写部から離脱することを予測した場合に、駆動制御部4が駆動源1のフィードフォワード制御を行うことで、シート状部材が二次転写装置22の二次転写部から離脱する時に中間転写ドラムや中間転写ベルトに生じる衝撃的な速度変動を抑制することが可能である。
また、実施形態2によれば、上記シート状部材検知手段によってシート状部材が定着装置24の定着部へ突入することを予測した場合に、駆動制御部4が駆動源1のフィードフォワード制御を行うことで、シート状部材が定着装置24の定着部に突入する時に定着ローラ27や定着ベルト25に生じる衝撃的な速度変動を抑制することが可能である。
また、実施形態2によれば、上記シート状部材検知手段によってシート状部材が定着装置24の定着部から離脱することを予測した場合に、駆動制御部4が駆動源1のフィードフォワード制御を行うことで、シート状部材が定着装置24の定着部から離脱する時に定着ローラ27や定着ベルト25に生じる衝撃的な速度変動を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】駆動システムの模式図。
【図2】フィードフォワード制御の概念図。
【図3】駆動制御装置のブロック図。
【図4】従来型フィードフォワード目標値の生成方法の説明図。
【図5】従来型から矩形波型フィードフォワード目標値への変換を説明した図。
【図6】従来型から矩形波型フィードフォワード目標値への変換を説明した図。
【図7】従来型フィードフォワード目標値を用いた場合のベルト速度変化を示すグラフ。
【図8】矩形波型フィードフォワード目標値を用いた場合のベルト速度変化を示すグラフ。
【図9】ベルト駆動装置の概略構成図。
【図10】シート状部材突入時の速度変動を示したグラフ。
【図11】従来型及び矩形波型のフィードフォワード目標値を示すグラフ。
【図12】従来型フィードフォワード目標値を使用してフィードフォワード制御時の速度変動を示すグラフ。
【図13】矩形波型フィードフォワード目標値を使用してフィードフォワード制御時の速度変動を示すグラフ。
【図14】実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図15】(a)速度変動Vaと速度変動Vaを打ち消す速度Vbとを示したフィードフォワード制御の概念図。(b)フィードフォワード制御により速度変動が打ち消された状態を示すグラフ。
【符号の説明】
【0062】
1 駆動源
4 駆動制御部
7 回転情報取得手段
8 予測手段
13 中間転写ベルト
24 定着装置
64 記憶部
65 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
該駆動源により駆動される被駆動部と、
該被駆動部での非周期的な速度変動を検知する速度変動検知手段と、
該速度変動検知手段により検知された非周期的な速度変動を低減するように予め設定されたフィードフォワード目標値を用いてフィードフォワード制御を行なう駆動制御部とからなる駆動装置において、
該速度変動検知手段により検知される速度変動は所定時間幅と所定振幅とからなる正弦波であり、該フィードフォワード目標値は、該所定時間幅と該所定振幅とから求められる該正弦波を矩形近似した矩形波であることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1の駆動装置において、
上記矩形波は、上記正弦波の面積と略同一の面積を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2の駆動装置において、
上記フィードフォワード目標値は、その振幅が上記正弦波の最大振幅であり、その時間幅が該正弦波の最大振幅までの時間幅であることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1または2の駆動装置において、
上記フィードフォワード目標値は、その振幅が上記正弦波の最大振幅であり、その時間幅が該正弦波の最大振幅の半分の振幅での時間幅であることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の駆動装置において、
上記速度変動の情報は、上記被駆動部で生じる複数回分の速度変動の平均値であることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
潜像を担持する潜像担持体と、
潜像担持体上の該潜像をトナー像に現像する現像手段と、
潜像担持体上のトナー像を中間転写体に転写する中間転写手段と、
該中間転写体に転写されたトナー像をシート状部材に転写する二次転写手段と、
該シート状部材に転写されたトナー像をシート状部材上に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置において、
中間転写手段と定着手段との少なくとも一方の駆動手段として、請求項1、2、3、4または5の駆動装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記シート状部材が上記中間転写手段と上記二次転写手段とで構成される二次転写部に突入するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した突入タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6または7の画像形成装置において、
上記シート状部材が上記中間転写手段と上記二次転写手段とで構成される二次転写部から離脱するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した離脱タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6、7または8の画像形成装置において、
上記シート状部材が上記定着手段の定着部に突入するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した突入タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項6、7、8または9の画像形成装置において、
上記シート状部材が上記定着手段の定着部から離脱するタイミングを予測する予測手段を有しており、該予測手段により予測した離脱タイミングに基づいて上記フィードフォワード制御を行なうことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項7、8、9または10の画像形成装置において、
上記予測手段は、上記シート状部材を検知するシート状部材検知手段であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−153250(P2009−153250A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326798(P2007−326798)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】