説明

駆動装置

【課題】リニアポテンショメータにより行程位置を検出し、ホールセンサによりスピンドル回転を検出構造において、コンパクトかつ単純な構造の駆動装置を提供する。
【解決手段】スピンドル動力機構はねじ付きスピンドル6とこれに嵌置されたスピンドルナット7を備え、第1第2構造部品が軸方向に相対移動できるよう駆動する。スピンドル動力機構は、回転駆動体から回転駆動可能な駆動シャフト23によりねじ付きスピンドル6と同軸で延びる回転軸中心に回転駆動でき、第2構造部品の行程位置を検出する行程検出センサと、スピンドル回転を検出するスピンドルセンサとを含む。行程検出センサは、回転位置を検出する定置型センサエレメントと、検出すべき回転位置に対応し回転可能な回転型センサエレメントとを備えた連続式回転位置センサであり、回転型センサエレメントはリダクションギヤを介し駆動シャフトにより駆動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動構造部品のための、特に車両のフラップのための駆動装置であって、定置の第1構造部品と結合できる第1締結エレメントを有し、この第1締結エレメントの反対側の端においてこれに相対して軸方向に移動でき、その第1締結エレメントの反対側の端で可動構造部品である第2構造部品と締結できる第2締結エレメントを有し、ねじ付きスピンドルとこのねじ付きスピンドルに嵌置されたスピンドルナットを備え、第1構造部品と第2構造部品を互いに相対して軸方向に移動できるように駆動できるスピンドル動力機構、詳細には、回転駆動体から駆動できる駆動シャフトにより、ねじ付きスピンドルと同軸で延びる回転軸を中心として回転自在に駆動できるスピンドル動力機構を有し、第2構造部品の行程位置を検出する行程検出センサを有し、また、スピンドル回転を検出するスピンドルセンサを有する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駆動装置では、リニアポテンショメータにより行程位置を検出し、ホールセンサによりスピンドル回転を検出することが知られている。この構造は、必要な構造スペースが大きく、組み立てに手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、コンパクトかつ単純な構造を有する冒頭に挙げた種類の駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明のように、行程検出センサが、回転位置を検出する定置型センサエレメントと、検出すべき回転位置に対応して回転できるセンサエレメントを備えた連続式回転位置センサであり、回転可能なセンサエレメントがリダクションギヤを介して駆動シャフトにより回転自在に駆動可能であることによって達成される。
【0005】
連続式行程検出センサは、給電中断後も、駆動装置が現実に占めた行程位置を検出できる。この回転位置センサとしての作りによって、小型化が可能となる。
【0006】
大きい調整行程が可能である場合、一義的な位置検出のために回転型センサエレメントが360゜より小さい回転運動しか実行しないよう、リダクションギヤによって回転型センサエレメントの回転運動が減じられる。
【0007】
極めてコンパクトな作りでは、リダクションギヤは、駆動シャフトの偏心板により振動駆動できる回転しないリングギヤを備え、このリングギヤの中に、リングギヤの内径より小さい直径のホイールが回転軸と同軸で配置されていて、リングギヤと噛み合っており、リングギヤにより回転自在に駆動でき、ここで、そのホイールにより回転型センサエレメントが回転自在に駆動可能である。
【0008】
偏心板により生じさせられた回転軸を中心とする円軌道運動をリングギヤに与え、同時に回転運動を回避できるようにするために、単純な仕方で、リングギヤは、軸方向に動かない円形横断面のピボットが中に入り込む複数の軸方向ボア穴を備えていてよい。ここで、軸方向ボア穴の直径は、ピボットの直径より偏心板の偏心量の2倍だけ大きいものとする。
【0009】
リダクションギヤは、歯車装置であると好ましい。
【0010】
リングギヤの歯数とホイールの歯数が近ければ近いほど、すなわち、伝動比が高ければ高いほど、歯の形を変える必要があるだろう。伝動比がさらに高くなる場合は、リダクションギヤがフリクションギヤであると有利である。
【0011】
いかなる種類であれ、他の適当なギヤ、例えばサイクロギヤ、ウェッジスライドギヤなどもリダクションギヤとして利用できるのは自明である。
【0012】
基本的に、定置型センサエレメントと回転型センサエレメントは互いに径方向に配置されていてよい。
【0013】
しかし、定置型センサエレメントと回転型センサエレメントが互いに軸方向に配置してあると、径方向サイズが小さくなる。
【0014】
回転型センサエレメントがすべりクラッチを介してホイールと連結されている場合は、据え付け時に定置型センサエレメントについて粗調整をしさえすればよい。そうすれば、運転開始時に回転型センサエレメントは、定置型センサエレメントに相対する回転型センサエレメントの固定範囲の端位置を決定するストッパに当たるまで回転でき、ホイールが更に回転してもそれ以上共に回転することがなくなる。
【0015】
これにより、回転型センサエレメントと定置型センサエレメントは互いに正確に位置決めされたことになる。
【0016】
その単純な作りでは、回転型センサエレメントが同心軌道上で位置調節できるようにホイールと連結されていて、定置型センサエレメントの径方向の部分周回溝に食い込む軸方向突出ストッパを備え、ここで、溝の端が、定置型センサエレメントに相対する回転型センサエレメントの位置調節範囲を決定する止まり端となっている。
【0017】
ここでは、単純に回転型センサエレメントが非噛み合い方式でホイールと連結されている。
【0018】
構造部品と構造スペースを節約する形で、回転型センサエレメントと軸方向突出ストッパは、非噛み合い方式でホイールの同軸ボア穴に嵌め込まれた、回転軸と同心のスリーブを備えるサポートに配置してあってよい。
【0019】
連続式回転位置センサはロータリポテンショメータ、回転型センサエレメントはポテンショメータスリップリング、定置型センサエレメントはリング状ポテンショメータトラックであると有利である。
【0020】
加えて、定置型センサエレメントは、定置型のリングディスク状センサキャリヤの上に配置されていてよい。
【0021】
連続式回転位置センサは、接触なしで絶対距離を感知するために、偏心して取り付けなければならない磁気抵抗型センサも備えてよい。
【0022】
加えて、回転型センサエレメントが特定の回転位置、好ましくは端位置にある時に信号を発生させようとする時は、第2の回転型センサエレメントがリダクションギヤを介して駆動シャフトにより回転自在に駆動可能であってよく、これにより第2の定置型センサエレメントが特定の回転位置で接触可能であってよい。
【0023】
その場合、第2の回転型センサエレメントがサポートに配置され、第2の定置型センサエレメントがセンサキャリヤに配置されていると、構造部品の二重機能により、構造部品の数ならびに駆動装置のサイズは減少させられる。
【0024】
単純な作りでは、第2の回転型センサエレメントはすべり接点であり、第2の定置型センサエレメントは接点エレメントである。
【0025】
代替の一実施形態では、連続式回転位置センサは、回転型センサエレメントとして磁石を含み、定置型センサエレメントとしてリード接点を含む。
【0026】
更なる形態では、リード接点はセンサキャリヤの窓の中又は脇に配置され、磁石はサポートに配置されている。
【0027】
更なる代替の一実施形態では、連続式回転位置センサは、回転型センサエレメントとしてサポートに作り付けられたフラッグを含み、定置型センサエレメントとしてプリテンション式リード接点を含む。
【0028】
有利な形態では、プリテンション式リード接点はセンサキャリヤの窓の中又は脇に配置されている。
【0029】
スピンドルセンサは、好ましくは、出発速度を検出できるようにし、並列の駆動装置との同期化に利用できるようにする回転パルスセンサである。
【0030】
有利な作りでは、スピンドルセンサは1つ以上の定置型ホールセンサを備え、これと向き合う形で、駆動シャフトと不動連結された磁石リングが配置されている。
ここで、1つ以上のホールセンサはセンサキャリヤ上に配置してあってよい。
【0031】
所望の回転検出精度に応じて、磁石リングは1つ又は多数の磁極対を備えていてよい。
【0032】
磁石リングとホールセンサは互いに径方向に配置されていてよい。
【0033】
磁石リングとホールセンサが互いに軸方向に配置してあると、径方向サイズを小さくすることができる。
【0034】
代替の一実施形態では、スピンドルセンサは1つ以上の定置型ホールセンサを備え、これと向き合う形でそれぞれ定置磁石が配置されており、ホールセンサと磁石の間に、駆動シャフトと不動連結された扇板が配置されている。
【0035】
更なる形態では、扇板は磁石の磁場に影響する凹部と凸部を備える。
【0036】
更なる代替の一実施形態では、スピンドルセンサは1つ以上のプレテンション式の定置型ホールセンサを備え、これと向き合う形で、駆動シャフトと不動連結された扇板が配置されている。
【0037】
行程検出センサとスピンドルセンサとリダクションギヤが1つの構造ユニットをなす形で、内部を駆動シャフトが貫通するハウジングの中に配置されている時、この構造ユニットは前もって組み立てできる。これにより、駆動装置の組み立てが単純化される。
【0038】
加えて、リングギヤとホイールとサポートとセンサキャリヤと磁石リングが互いにサンドウィッチ状に配置された上でポット状に形成されたハウジングの中に嵌め込んであってよい。ここで、ハウジングが、ハウジングカバーで密閉できるハウジングポットを備えると好ましい。
【0039】
好ましくは、回転駆動体は、その駆動シャフトによりスピンドル動力機構が回転自在に駆動できる電動モータである。
【0040】
回転駆動体をスピンドル駆動体との結合から外すために、スピンドル駆動体は、開放可能なクラッチを介して回転駆動体により回転自在に駆動可能であってよい。
【0041】
回転数を減らし、トルクを高めるために、スピンドル動力機構は、歯車装置を介して回転駆動体により回転自在に駆動可能であってよい。
【0042】
回転駆動体及び/又は歯車装置が、好ましくは回転軸と同軸で延びるハウジングパイプの中に動かないように配置されていると、コンパクトな作りが達成される。
【0043】
締結エレメントの一方又は両方がボールジョイントの球形頭又は球形キャップである時、回転軸に対して任意の回転位置で組み立て可能な単純な構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】駆動装置の断面図である。
【図2】図1に示した駆動装置のセンサ構造ユニットの範囲内の拡大図を一部切り欠いた図である。
【図3a】図1に示した駆動装置のセンサ構造ユニットの分解斜視図である。
【図3b】図3aに示した構造部品の詳細図である。
【図4】図1に示した駆動装置のセンサ構造ユニットの代替の一実施形態の分解斜視図である。
【図5】図1に示した駆動装置のセンサ構造ユニットの更なる一実施形態の分解斜視図である。
【図6】図1に示した駆動装置のセンサ構造ユニットの更なる一実施形態の分解斜視図である。
【図7】図1に示した駆動装置のセンサ構造ユニットの更なる一実施形態の分解斜視図である。
【図8】図1に示した駆動装置のセンサ構造ユニットの更なる一実施形態の分解斜視図である。
【図9】図5に示したセンサアセンブリの詳細図である。
【図10】図6に示したセンサアセンブリの詳細図である。
【図11】図7に示したセンサアセンブリの図解的詳細図である。
【図12】図8に示したセンサアセンブリの図解的詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面にそって詳細に説明する。
【0046】
図に示された駆動装置は、内部に電動モータ2、この電動モータ2により駆動できる歯車装置3、及びセンサアセンブリ4が一列に前後する形で配置されたハウジングパイプ1を有する。
【0047】
また、クラッチ・カップリング(Kupplung)を駆動系の中に配置することが可能である。その場合、好ましくは、手動によるフラップ運動も感知できるようにするためにセンサアセンブリ4をクラッチの後に接続することができる。
【0048】
センサアセンブリ4にはスピンドルアダプタ5が直列に接続されており、これがベアリング5aで支持され、回転自在に軸受けされたねじ付きスピンドル6と同軸で連結されている。
【0049】
ねじ付きスピンドル6にはスピンドルナット7が嵌置されている。スピンドルナット7は回転不動であるが、ハウジングパイプ1と同軸で不動連結された案内管8の中を軸方向にシフトできるようになっている。
【0050】
スピンドルナット7は、その回り止めのために、径方向外方に突出する支持ピボット9により案内管8の内壁にある軸方向スリット10に食い込む。
【0051】
ねじ付きスピンドル6は、その自由端に案内スリーブ11を有しており、これにより、ねじ付きスピンドル6はスピンドル管12の中を軸方向にシフトできるように案内される。スピンドル管は、その一端でスピンドルナット7を支持し、ねじ付きスピンドル6の反対側の他端で第1の締結エレメントを形成する第1の球形キャップ13を支持している。
【0052】
第1の球形キャップ13の側では、覆い管14がその一端でスピンドル管12に締結されている。この覆い管は、スピンドル管12を同軸で間隔をあけて包囲し、その他端部でばねスリーブ20に入り込み、軸方向にシフトできるように案内される。ばねスリーブ20は、その一端に内向きのカラー21を有し、これによりばねスリーブはハウジングパイプ1と軸方向で接している。
【0053】
ハウジングパイプ1の、第1の球形キャップ13と反対側の端部には、第2の締結エレメントを形成する第2の球形キャップ15と、電動モータ2の給電線ならびに信号線16のための線路ブッシング17が配置される。ここで信号線は、ハウジングパイプ1の中で、センサアセンブリ4から線路ブッシング17に通じている。
【0054】
一方ではスピンドル管12と案内管8との間隔、他方では覆い管14とばねスリーブ20との間隔により作られたリングスペース18の中には、圧縮コイルばね19が配置される。圧縮コイルばね19の一端はスピンドル管12と覆い管14の結合部域22で支えられ、他端はカラー21を介してばねスリーブ20を軸方向でハウジングパイプ1に押し付けている。
【0055】
第1と第2の球形キャップ13、15を用いて、駆動装置は、自動車の定置ボディ部分と、フラップとして形成された自動車可動構造部品と、にヒンジ連結可能である。
【0056】
センサアセンブリ4には、回転軸29を中心に回転自在に軸受けされた駆動シャフト23が軸方向に貫通している。駆動シャフト23は、歯車装置3を介して電動モータ2により回転自在に駆動可能である。これにより、回転運動がスピンドルアダプタ5を介してねじ付きスピンドル6に伝達できるようになっている。
【0057】
センサアセンブリ4は、ハウジングカバー24により密閉可能なハウジングポット25を備える円筒形ハウジングの中に、前もって組み立てできる形で配置されている。
【0058】
図3aは、センサアセンブリ4の第1の形態を示す。ここでは、ハウジングポット25のモータ側底部26において、第1のスペーサ用円板27を介し、内歯車として形成されたリングギヤ28が支えられている。このリングギヤは、同軸ボア穴30により駆動シャフト23の偏心板31の上に回転自在に嵌置されているので、リングギヤ28は駆動シャフト23の回転時に偏心運動を実行する。しかしながら、スペーサ用円板27は、別個の構造部品としてではなく、ハウジングポット25の底部26に隆起部域として形成されてもよいことに留意されたい。図4に示した通り、偏心板31は貫通穴を備え、貫通穴は、駆動シャフト23に形成された多歯輪郭部品53と協働する多歯輪郭を有する。
【0059】
リングギヤ28が偏心運動時に回転しないよう、ハウジングポット25の底部26から軸方向に突出し直径方向に互いに向き合う断面円形の2つのピボット32が、リングギヤ28の軸方向ボア穴33に入り込む。ここで、軸方向ボア穴33の直径は、ピボット32の直径より偏心板31の偏心量の2倍だけ大きい。
【0060】
これにより、駆動シャフト23の回転時、リングギヤ28は偏心板31により回転することなく振動運動に向けて駆動される。
【0061】
リングギヤ28の内部には、回転軸29と同軸であり外歯車として形成された、リングギヤ28の内径より小さい直径のホイール34が配置されており、その周囲部域の歯がリングギヤ28の歯と噛み合い、リングギヤ28と共にリダクションギヤ35を作る。その噛み合い範囲はリングギヤ28の振動運動時に変移する。これにより、駆動シャフト23の回転運動を例えば14:1に減速させることになる。
【0062】
ホイール34は、第2のスペーサ用円板36を介して、同軸ボア穴30を有するリングギヤ28の円板部分37に軸方向で支えられている。しかしながら、第2のスペーサ用円板36は、別個の構造部品としてではなく、円板部分37又はホイール34に隆起部域として形成されてもよい。
【0063】
ホイール34は、スリーブ39が非噛み合い方式で嵌め込まれた同軸ボア穴38を有し、該スリーブは、同軸ボア穴38から突出すると共にモータ側の反対側の端に円板状に径方向に拡がるサポート40を備える。サポート40は、互いに連結され、又は電気短絡された2つのすべり接点エレメント57、58を有するポテンショメータスリップリング69を含む。
【0064】
サポート40のホイール34と反対側では、ボードとして形成されたリング状の定置型センサキャリヤ41が同軸でサポート40に接続されている。図3bに示すように、定置型センサキャリヤは、サポート40に面した側に、同心のスリップリングトラック54と、このスリップリングトラック54を包囲する同心のポテンショメータトラック55を備え、このポテンショメータトラックがポテンショメータの抵抗トラックをなす。
【0065】
ホイール34により共に回転されるサポート40が回転すると、ホイール34のその時々の回転位置はポテンショメータトラック55を介してピックアップされる。対応する信号が、信号線16を介し、線路ブッシングと、図示しない評価電子部に伝送される。
【0066】
ポテンショメータスリップリング69とポテンショメータトラック55は、そこで連続式行程検出センサをなす。すなわち、どの時点でも、行程に対応する電圧信号が存在するということである。行程検出センサの移動距離は、リダクションギヤ35により360゜未満に減じられ、他方、ねじ付きスピンドル6は、駆動シャフトにより多重回転に向けて駆動可能となる。
【0067】
サポート40には更に、センサキャリヤ41のモータ側正面において図示しない軸方向部分周回溝に食い込む軸方向突出ストッパ43が配置されている。溝の端は、ストッパ43にとって止まり端をなし、ポテンショメータスリップリング69とポテンショメータトラック55の位置調節範囲を限定する。
【0068】
これにより、センサアセンブリ4の組み立て時には、ストッパ43が溝に食い込みさえすればよい。これにより、サポート40とセンサキャリヤ41の相互の正確な位置決めが運転開始時に自動的に行われる。ストッパ43が止まり端にぶつかると、スリーブ39とホイール34の同軸ボア穴38の間の締め合いが克服され、サポート40は、ポテンショメータスリップリング69と共にスリップリングトラック54とポテンショメータトラック55に対して正確に位置決めされる。
【0069】
ボードとして形成されたセンサキャリヤ41の、軸方向で電動モータ2とは反対側の正面には、少なくとも1つのホールセンサ44が同心円上に配置されている。これが軸方向の窓45を通って、センサキャリヤ41を支持するセンサキャリヤホルダ46の中に突き入っており、駆動シャフト23が同軸の貫通穴47を通って延びている。
【0070】
更に、センサキャリヤの同じ側に複数の導体接点接続子59が配置されており、これに、図1に示した接続線路16が接続される。
【0071】
センサキャリヤホルダ46、また共にセンサキャリヤ41は、回転しないようにハウジングの中に配置されている。
【0072】
センサキャリヤホルダ46の、サポート40の反対側には、ホールセンサ44と軸方向に向き合った多数の磁極対を備えた磁石リング48が同軸で位置している。
【0073】
磁石リング48は同軸の六角開口部49を有し、この中に偏心板31の六角頭50が入り込む。これによって、磁石リング48は駆動シャフト23によりその回転数をもって回転自在に駆動されることになる。
【0074】
この回転運動は、磁極対と共に1つのスピンドルセンサを形成するホールセンサ44により検出可能である。対応する信号は、更なる信号線16を介して評価電子部に線路ブッシング17を介して伝送可能である。
【0075】
センサアセンブリ4の互いにサンドウィッチ状に配置された部分を遊びなしにハウジング内部で保持するために、磁石リング48は、弾性Oリング51を介して軸方向でハウジングカバー24に支えられている。
【0076】
ハウジングカバー24は、その外周に沿って均一に分布する形で配置されると共にハウジングポット25に対して軸方向に突出する、複数の掛止アーム52を有する。ハウジングが組み立てられた状態にある時、これらの掛止アームはその自由端に配置されたフックによりハウジングポット25の底部26の外縁をつかむことができる。
【0077】
ポテンショメータトラックの代わりに接点エレメント42を有する点で図3aに示したものとは異なる、本発明の更なる実施形態を図4に示す。更に、球欠形(kalottenartigen)のすべり接点57’、58’を設けたサポート40の代替構造が描かれている。
【0078】
サポート40の回転時にすべり接点58’が、好ましくは駆動装置の出発位置を限定する接点エレメント42に達すると、対応する信号が、信号線16を使い、線路ブッシング17を介して評価電子部に伝送される。
【0079】
磁石リングの代わりに、好ましくは強磁性材料を含む扇板60を備える代替の実施形態を、図5に示す。扇板60では、径方向に延びる歯形凸部62により、径方向凹部61が形成される。ハウジングカバーには、ホールセンサ44に割り当てられると共に協働する磁石63(点線で示す)が配置されている。ここで、磁石63はホールセンサ44と対向する位置にあるが、わずかなずれがあってもよく、その場合には磁石63がホールセンサ44と厳密に対向しなくてもよい。ホールセンサ44により感知される磁束は、扇板60により対応して変化し、ホール出力の状態変化につながる。
【0080】
図6は、ホールセンサ44の代わりに、プリテンション式ホールセンサ144を備える更なる実施形態を示す。ここで、扇板60は、歯車センサに対応して感知される。扇板60の回転は、ホール出力の状態変化と磁束変化につながる。プリテンション式ホールセンサ144の構造は、図9にも図解的に示されている。
【0081】
図7は、センサアセンブリ4の更なる実施形態を示す。サポート40には、図示しないリード接点65と協働する磁石64が配置されている。センサキャリヤ41には窓66があり、これを越えてモータ2の反対側にはリード接点65が配置されている。リード接点65は、回転する磁石64により作動させられる。
【0082】
図8は、センサアセンブリ4の更なる実施形態を示す。サポート40は、径方向外向きに突出するフラッグ67を備えており、これが、窓66の背後に配置された、図8には示さないプリテンション式リード接点68と協働する。このプリテンション式リード接点は、センサキャリヤ41において、モータ2とは反対側に位置する。
【0083】
図9は、すでに図5に関して述べた、ホールセンサ44および磁石63の、扇板60に対する配置を図解的に示す。
【0084】
図10は、図6に関して述べた、プリテンション式ホールセンサ144の扇板60に対する配置を図解的に示す。
【0085】
図11は、図7に関して述べた、リード接点65に対する磁石64の配置を図解的に示す。
【0086】
図12は、図8に関して述べた、プリテンション式リード接点68に対するサポート40とフラッグ67の配置を図解的に示す。
【符号の説明】
【0087】
1 ハウジングパイプ
2 電動モータ
3 歯車装置
4 センサアセンブリ
5 スピンドルアダプタ
5a ベアリング
6 ねじ付きスピンドル
7 スピンドルナット
8 案内管
9 支持ピボット
10 軸方向スリット
11 案内スリーブ
12 スピンドル管
13 第1の球形キャップ
14 覆い管
15 第2の球形キャップ
16 信号線
17 線路ブッシング
18 リングスペース
19 圧縮コイルばね
20 ばねスリーブ
21 カラー
22 結合部域
23 駆動シャフト
24 ハウジングカバー
25 ハウジングポット
26 底部
27 第1のスペーサ用円板
28 リングギヤ
29 回転軸
30 同軸ボア穴
31 偏心板
32 ピボット
33 軸方向ボア穴
34 ホイール
35 リダクションギヤ
36 第2のスペーサ用円板
37 円板部分
38 同軸ボア穴
39 スリーブ
40 サポート
41 センサキャリヤ
42 接点エレメント
43 ストッパ
44 ホールセンサ
45 窓
46 センサキャリヤホルダ
47 貫通穴
48 磁石リング
49 六角開口部
50 六角頭
51 Oリング
52 掛止アーム
53 多歯輪郭部品
54 スリップリングトラック
55 ポテンショメータトラック
56 接点エレメント
57 第1の接点
58 第2の接点
59 導体接点接続子
60 扇板
61 凹部
62 凸部
63 磁石
64 磁石
65 リード接点
66 窓
67 フラッグ
68 リード接点
69 ポテンショメータスリップリング
144 ホールセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置の第1構造部品と締結できる第1締結エレメントと、
この第1締結エレメントの反対側の端においてこれに相対して軸方向に移動でき、前記第1締結エレメントの反対側の端で可動構造部品である第2構造部品と締結できる第2締結エレメントと、
ねじ付きスピンドルと、
このねじ付きスピンドルに嵌置されたスピンドルナットと、を備える、可動構造部品のための特に車両のフラップのための駆動装置であって、
前記第1構造部品と前記第2構造部品とが相対的に軸方向に移動できるように、回転駆動体により駆動可能な駆動シャフトにより、前記ねじ付きスピンドルと同軸で延びる回転軸を中心として回転自在に駆動可能であるスピンドル動力機構を有し、前記スピンドル動力機構が、前記第2構造部品の行程位置を検出する行程検出センサと、スピンドル回転を検出するスピンドルセンサと、を有し、
前記行程検出センサが、回転位置を検出する定置型センサエレメントと、検出すべき回転位置に対応して回転可能な回転型センサエレメントと、を備えた連続式回転位置センサであり、前記回転型センサエレメントが、リダクションギヤ(35)を介して前記駆動シャフト(23)により回転自在に駆動可能であることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記リダクションギヤ(35)が、前記駆動シャフト(23)の偏心板(31)により振動駆動できる回転しないリングギヤ(28)を備え、このリングギヤ(28)の中に、該リングギヤ(28)の内径より小さい直径のホイール(34)が回転軸(29)と同軸で配置されていて、前記リングギヤ(28)と噛み合っており、該リングギヤ(28)により回転自在に駆動でき、前記ホイール(34)により前記回転型センサエレメントが回転自在に駆動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記リングギヤ(28)が、軸方向に動かない断面円形のピボット(32)が中に入り込む複数の軸方向ボア穴(33)を有しており、前記軸方向ボア穴(33)の直径が前記ピボット(32)の直径より前記偏心板(31)の偏心量の2倍だけ大きいことを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記リダクションギヤ(35)が歯車装置であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記リダクションギヤがフリクションギヤであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記定置型センサエレメントと前記回転型センサエレメントが互いに径方向に配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記定置型センサエレメントと前記回転型センサエレメントが互いに軸方向に配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記回転型センサエレメントが同心軌道上で位置調節できるように前記ホイール(34)と連結されていて、前記定置型センサエレメントの径方向の部分周回溝に食い込む軸方向突出ストッパ(43)を備え、前記溝の端が、前記定置型センサエレメントに相対する前記回転型センサエレメントの位置調節範囲を決定する止まり端となっていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記回転型センサエレメントが非噛み合い方式で前記ホイール(34)と連結されていることを特徴とする、請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記回転型センサエレメントと前記軸方向突出ストッパ(43)が、非噛み合い方式で前記ホイール(34)の同軸ボア穴(38)に嵌め込まれた、前記回転軸(29)と同心のスリーブ(39)を備えるサポート(40)に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記連続式回転位置センサがロータリポテンショメータ、前記回転型センサエレメントがポテンショメータスリップリング(69)、前記定置型センサエレメントが少なくとも1つのリング状ポテンショメータトラックを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記定置型センサエレメントが、定置型のリングディスク状センサキャリヤ(41)上に配置されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項13】
第2の回転型センサエレメントが前記リダクションギヤを介して前記駆動シャフト(23)により回転自在に駆動可能であり、これにより第2の定置型センサエレメントが特定の回転位置で接触可能であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記第2の回転型センサエレメントが前記サポート(40)に配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記第2の定置型センサエレメントが前記センサキャリヤ(41)に配置されていることを特徴とする、請求項13又は14に記載の駆動装置。
【請求項16】
前記第2の回転型センサエレメントがすべり接点であり、前記第2の定置型センサエレメントが接点エレメントであることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項17】
前記連続式回転位置センサが、前記回転型センサエレメントとして磁石(64)を含み、前記定置型センサエレメントとしてリード接点を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項18】
前記リード接点が前記センサキャリヤ(41)の窓(66)の中又は脇に配置されていることを特徴とする、請求項17に記載の駆動装置。
【請求項19】
前記磁石(64)が前記サポート(40)に配置されていることを特徴とする、請求項17又は18に記載の駆動装置。
【請求項20】
前記連続式回転位置センサが、回転型センサエレメントとして前記サポート(40)に作り付けられたフラッグ(67)を含み、定置型センサエレメントとしてプリテンション式リード接点を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項21】
前記プリテンション式リード接点が前記センサキャリヤ(41)の窓(66)の中又は脇に配置されていることを特徴とする、請求項17に記載の駆動装置。
【請求項22】
前記スピンドルセンサが回転パルスセンサであることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項23】
前記スピンドルセンサが1つ以上の定置型ホールセンサ(44)を備え、これと対向して、前記駆動シャフト(23)と不動連結された磁石リング(48)が配置されていることを特徴とする、請求項17に記載の駆動装置。
【請求項24】
前記1つ以上のホールセンサ(44)が前記センサキャリヤ(41)上に配置されていることを特徴とする、請求項18に記載の駆動装置。
【請求項25】
前記磁石リング(48)が1つ以上の磁極対を備えていることを特徴とする、請求項18又は19に記載の駆動装置。
【請求項26】
前記磁石リング(48)とホールセンサ(44)が互いに軸方向に配置されていることを特徴とする、請求項18〜20のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項27】
前記スピンドルセンサが1つ以上の定置型ホールセンサ(44)を備え、これと向き合う形でそれぞれ定置磁石(63)が配置されており、前記ホールセンサ(44)と磁石(63)の間に、前記駆動シャフト(23)と不動連結された扇板(60)が配置されていることを特徴とする、請求項17に記載の駆動装置。
【請求項28】
前記扇板(60)が前記磁石(63)の磁場に影響する凹部(61)および凸部(62)を備えることを特徴とする、請求項22に記載の駆動装置。
【請求項29】
前記スピンドルセンサが1つ以上のプレテンション式の定置型ホールセンサ(144)を備え、これと対向して、前記駆動シャフト(23)と不動連結された扇板(60)が配置されていることを特徴とする、請求項17に記載の駆動装置。
【請求項30】
前記行程検出センサとスピンドルセンサとリダクションギヤとが1つの構造ユニットを形成し、前記駆動シャフト(23)が貫通するハウジングの中に配置されることを特徴とする、請求項1〜29のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項31】
前記リングギヤ(28)とホイール(34)とサポート(40)とセンサキャリヤ(41)と磁石リング(48)が互いにサンドウィッチ状に配置された上でポット状に形成された前記ハウジングの中に嵌め込まれていることを特徴とする、請求項22に記載の駆動装置。
【請求項32】
前記ハウジングが、ハウジングカバー(24)により密閉できるハウジングポット(25)を備えることを特徴とする、請求項18に記載の駆動装置。
【請求項33】
前記回転駆動体は、前記駆動シャフトによりスピンドル動力機構が回転自在に駆動できる電動モータ(2)であることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項34】
前記スピンドル動力機構が、開放可能なクラッチを介して前記回転駆動体により回転自在に駆動可能であることを特徴とする、請求項1〜33のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項35】
前記スピンドル動力機構が、歯車装置(3)を介して前記回転駆動体により回転自在に駆動可能であることを特徴とする、請求項1〜34のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項36】
前記回転駆動体及び/又は歯車装置(3)がハウジングパイプ(1)の中に不動で配置されていることを特徴とする、請求項1〜35のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項37】
前記締結エレメントの一方又は両方がボールジョイントの球形頭又は球形キャップ(13、15)であることを特徴とする、請求項1〜36のいずれか1項に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−192081(P2009−192081A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28259(P2009−28259)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(593136649)スタビルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)
【氏名又は名称原語表記】Stabilus GmbH
【住所又は居所原語表記】Wallersheimer Weg 100, D−56070 Koblenz Germany
【Fターム(参考)】