説明

駐車支援システム、ナビゲーション装置

【課題】駐車場において複数の駐車区画が駐車可能である場合に、適切な駐車区画を対象として駐車支援を行う。
【解決手段】ナビゲーション装置1の制御部10において、自車両が駐車場において駐車しようとしているか否かを判断し、駐車しようとしている場合は、各カメラ2に対して、各カメラ2の動作を制御するための制御信号を出力する。そして、各カメラ2から出力される画像信号を受信して自車両の周囲の撮影画像を取得し、これに基づいて、自車両の全周囲を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する。アラウンドビュー画像においてユーザが入力装置17の操作によりいずれかの空き駐車区画を指定すると、その駐車区画を対象として自車両の駐車支援を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における車両の駐車を支援する駐車支援システムおよびナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に取り付けられたカメラで車両の後方や周囲を撮影し、撮影された画像を車載の表示装置に表示すると共に、車両の現在位置から駐車区画へ進入するための経路を画像上に表示することで駐車を支援するシステムが知られている。このような駐車支援システムにおいて、たとえば特許文献1には、公道上で車両が縦列駐車しようとしているか否かを判断し、縦列駐車しようとしていると判断した場合に駐車支援装置を自動的に起動するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−76586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来の駐車支援装置によれば、縦列駐車しようとしていると判断すると駐車支援装置を自動的に起動することで、駐車支援時の運転者の操作を省略することができる。しかし、駐車場において複数の駐車区画が駐車可能である場合、駐車支援装置を自動的に起動しても、どの駐車区画を対象として駐車支援を行えばよいかを判断することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による駐車支援システムは、車両の駐車を支援するものであって、車両の周囲を撮影するための撮影手段と、車両が駐車場に進入したか否かを判定する進入判定手段と、進入判定手段により車両が駐車場に進入したと判定されたときに、撮影手段を動作させて車両の周囲について撮影画像を取得する撮影制御手段と、撮影制御手段により取得された撮影画像に基づいて、駐車場において車両の周囲を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する画像合成手段と、画像合成手段により合成されたアラウンドビュー画像を画面表示する表示制御手段と、駐車場においてアラウンドビュー画像に対応する範囲内に存在する駐車区画のうちで駐車可能ないずれかの駐車区画を選択する選択手段と、選択手段により選択された駐車区画を対象として車両の駐車支援を行う駐車支援手段とを備えるものである。
本発明によるナビゲーション装置は、地図データを記憶する記憶手段と、車両の位置を検出する位置検出手段と、地図データと位置検出手段により検出された車両の位置とに基づいて、車両が駐車場に進入したか否かを判定する進入判定手段と、進入判定手段により車両が駐車場に進入したと判定されたときに、車両の周囲を撮影するために車両に設置された撮影手段を動作させて車両の周囲について撮影画像を取得する撮影制御手段と、撮影制御手段により取得された撮影画像に基づいて、駐車場において車両の周囲を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する画像合成手段と、画像合成手段により合成されたアラウンドビュー画像を画面表示する表示制御手段と、駐車場においてアラウンドビュー画像に対応する範囲内に存在する駐車区画のうちで駐車可能ないずれかの駐車区画を選択する選択手段と、選択手段により選択された駐車区画に車両を駐車するための車両の軌跡を算出する軌跡算出手段と、軌跡算出手段により算出された車両の軌跡をアラウンドビュー画像に重畳して画面表示する重畳表示手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駐車場において複数の駐車区画が駐車可能である場合に、適切な駐車区画を対象として駐車支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による駐車支援システムの構成図である。
【図2】アラウンドビュー画像の一例である。
【図3】別のアラウンドビュー画像の一例である。
【図4】また別のアラウンドビュー画像の一例である。
【図5】さらに別のアラウンドビュー画像の一例である。
【図6】駐車支援処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態による駐車支援システムの構成を図1に示す。この駐車支援システムは、ナビゲーション装置1および複数のカメラ2によって構成される。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、表示モニタ15、スピーカ16および入力装置17を備えている。
【0009】
ナビゲーション装置1には、複数のカメラ2が接続されている。各カメラ2は、自車両の周囲をそれぞれ異なる撮影範囲で撮影するためのものであり、自車両のボディ、バンパー、ドアミラー等の各部に設置されている。各カメラ2により撮影された画像は、画像信号に変換され、ナビゲーション装置1の制御部10へ出力される。なお、自車両に搭載されるカメラ2の個数および設置位置は、各カメラ2の撮影範囲を合わせると自車両の全周囲をカバーできるように定められている。
【0010】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、自車両を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、自車位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。
【0011】
また制御部10は、本実施形態の駐車支援システムにおいて駐車支援を行うために必要な各種の処理を実行することもできる。この処理の具体的な内容については、後で詳しく説明する。
【0012】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の走行速度を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、制御部10において自車両の移動方向および移動量が求められる。
【0013】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0014】
HDD13に記録された地図データは、経路計算データと、道路データと、背景データとを含む。経路計算データは、目的地までの推奨経路を探索する際などに用いられるデータである。道路データは、道路の形状や種別などを表すデータである。なお、地図データにおいて各道路の最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクにより構成される。背景データは、地図の背景を表すデータである。なお、地図の背景とは、地図上に存在する道路以外の様々な構成物である。たとえば、河川、鉄道、緑地帯、各種構造物などが背景データによって表される。
【0015】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、これらをHDD以外の記録媒体に記録することとしてもよい。たとえば、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードなどに記録された地図データを用いることができる。すなわち、本実施の形態によるナビゲーション装置では、どのような記録媒体を用いてこれらのデータを記憶してもよい。
【0016】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて、自車位置を制御部10において算出することができる。このGPS信号に基づく自車位置の算出結果と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の各検出結果に基づく移動方向および移動量の算出結果とにより、所定時間ごとに自車位置が検出される。
【0017】
表示モニタ15は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ15により、地図画面の表示や、後述するアラウンドビュー画像の表示などが行われる。表示モニタ15に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ15は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0018】
スピーカ16は、制御部10の制御により、車両の走行に関する様々な音声情報を出力する。たとえば、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などが出力される。
【0019】
入力装置17は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置17を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置17を表示モニタ15と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0020】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、前述のようにして検出された自車位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路が探索されると、探索された推奨経路にしたがってルート案内が行われ、自車両が目的地まで誘導される。
【0021】
次に、本実施形態による駐車支援システムの動作内容について説明する。本実施形態による駐車支援システムは、ナビゲーション装置1とカメラ2が協働して動作することにより駐車支援を行う。具体的には、ナビゲーション装置1の制御部10において、自車両が駐車場において駐車しようとしているか否かを判断し、駐車しようとしている場合は、各カメラ2に対して、各カメラ2の動作を制御するための制御信号を出力する。そして、各カメラ2から出力される画像信号を受信して自車両の周囲の撮影画像を取得し、これに基づいてアラウンドビュー画像を合成する。アラウンドビュー画像とは、自車両の全周囲を俯瞰した様子を示す画像であり、各カメラ2の撮影画像をその撮影方向に応じて座標変換した上で繋ぐことによって合成されるものである。合成されたアラウンドビュー画像は、表示モニタ15において画面表示される。
【0022】
上記のアラウンドビュー画像においてユーザが入力装置17の操作によりいずれかの空き駐車区画を指定すると、その駐車区画を対象として自車両の駐車支援が行われる。具体的には、指定された駐車区画に自車両を駐車するための軌跡が制御部10により算出され、その軌跡が表示モニタ15においてアラウンドビュー画像に重畳して画面表示される。ユーザは、アラウンドビュー画像を見ながら、そこに表示された軌跡に従って自車両を操作することで、自車両を容易に駐車することができる。
【0023】
以上説明した駐車支援の具体例を図2〜5を用いて説明する。図2は、自車両が駐車しようとしているときに画面表示されるアラウンドビュー画像の例である。図2において、自車両20の周囲には、左右4区画ずつ、合計で8つの駐車区画が表示されている。そのうち他車両21〜23が駐車されているもの以外が空き駐車区画として認識される。これらの空き駐車区画には、符号31〜35に示すようなカーソル枠がそれぞれ表示される。ユーザは、入力装置17を操作してカーソル枠31〜35のいずれかを画面上で選択することにより、そのカーソル枠の位置に対応する駐車区画を駐車支援の対象として指定することができる。
【0024】
例として、カーソル枠32が選択されたときの駐車支援の様子を以下に説明する。図3は、このとき画面表示されるアラウンドビュー画像の例である。図3において、矢印41は、選択されたカーソル枠32に対応する左下の駐車区画に自車両を駐車するための自車両の軌跡を示している。ユーザは、この矢印41によって示された軌跡に従って、アラウンドビュー画像を見ながら自車両を左方向に操舵させつつ後退させることにより、自車両を当該駐車区画に駐車することができる。なお、その際には、自車両の移動に応じてアラウンドビュー画像および矢印41の内容が逐次更新される。このようにして駐車支援が行われる。
【0025】
また別の例として、カーソル枠33が選択されたときの駐車支援の様子を以下に説明する。図4は、このとき画面表示されるアラウンドビュー画像の例である。図4において、矢印42は、選択されたカーソル枠33に対応する右上の駐車区画に自車両を駐車するために自車両が最初にとるべき軌跡を示している。ユーザは、この矢印42によって示された軌跡に従って、自車両を左方向に操舵させつつ前進させることにより、当該駐車区画へ自車両を駐車するためのアプローチを開始することができる。
【0026】
図5は、上記のようにして駐車区画へのアプローチが行われた後、自車両の切り返し点において画面表示されるアラウンドビュー画像の例である。図5において、矢印43は、当該駐車区画に自車両を駐車するための自車両の軌跡を示している。ユーザは、この矢印43によって示された軌跡に従って、アラウンドビュー画像を見ながら自車両を右方向に操舵させつつ後退させることにより、自車両を当該駐車区画に駐車することができる。このようにして駐車支援が行われる。
【0027】
以上説明したような駐車支援を実現するための駐車支援処理のフローチャートを図6に示す。このフローチャートは、ナビゲーション装置1において制御部10により実行されるものである。
【0028】
ステップS10において、制御部10は、自車両が駐車場に進入したか否かを判定する。この判定は、HDD13により記憶された地図データと、前述のようにして検出された自車位置とに基づいて行われる。すなわち、検出された自車位置と地図データとを比較し、自車位置が地図データにおいて示された駐車場の範囲内にある場合は、自車両が駐車場に進入したと判定してステップS20へ進む。一方、自車位置が駐車場の範囲外にある場合は、自車両が駐車場に進入していないと判定してステップS10に留まる。
【0029】
ステップS20において、制御部10は、車速センサ12により検出された自車両の速度が所定速度以下であるか否かを判定する。所定速度以下であればステップS30へ進み、所定速度を超えている場合はステップS20に留まる。なお、この判定に用いる所定速度は、駐車場内の制限速度やカメラ2の撮影性能などに応じて定めることができる。あるいは、ユーザが駐車の意思があると確実に判断できるような速度としてもよい。たとえば、時速5〜10km程度を所定速度とすることができる。
【0030】
ステップS30において、制御部10は、カメラ2に制御信号を出力してカメラ2を起動させる。これにより、各カメラ2が動作を開始し、各カメラ2により撮影された自車両周囲の撮影画像に基づく画像信号が各カメラ2から制御部10に出力されるようになる。次のステップS40において、制御部10は、各カメラ2から出力される画像信号を受信することで、自車両の周囲についての撮影画像を取得する。
【0031】
ステップS50において、制御部10は、ステップS40で取得した撮影画像に基づいて、自車両の周囲において駐車可能な空き駐車区画を認識する。ここでは、カメラ2の撮影範囲(アラウンドビュー画像の表示範囲)内に含まれる各駐車区画について、他の車両が駐車しているかどうかを撮影画像に基づいて判断する。この判断には、周知の様々な画像処理手法を用いることができる。たとえば、駐車区画の境界線を検出するためのライン検出処理、撮影画像において他の車両に該当する部分を抽出するためのエッジ抽出処理やテンプレートマッチング処理などを用いることができる。こうした判断の結果により、他の車両が駐車していない駐車区画を空き駐車区画として認識する。
【0032】
ステップS60において、制御部10は、ステップS50で空き駐車区画が認識されたか否かを判定する。空き駐車区画が認識された場合はステップS70へ進む。一方、空き駐車区画が認識されなかった場合は、ステップS40へ戻って撮影画像を再度取得し、空き駐車区画の認識を継続する。
【0033】
ステップS70において、制御部10は、ステップS40で取得した各カメラ2の撮影画像に基づいて、図2〜5に例示したようなアラウンドビュー画像を合成する。これにより、ステップS10で自車両が進入したと判定した駐車場において自車両の周囲を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像が合成される。
【0034】
ステップS80において、制御部10は、ステップS70で合成したアラウンドビュー画像を表示モニタ15に画面表示する。このとき、図2に例示したように、ステップS50で認識された空き駐車区画の各々に対して、その位置を示すカーソル枠31〜35をアラウンドビュー画像上に表示する。このようにして、アラウンドビュー画像において駐車可能な駐車区画の位置が識別可能に表示される。
【0035】
ステップS90において、制御部10は、ユーザから空き駐車区画の指定があったか否かを判定する。ステップS80で表示したアラウンドビュー画像において、ユーザが入力装置17を操作していずれかのカーソル枠を選択することにより、空き駐車区画の指定が行われたら、制御部10は続くステップS100へ進む。一方、いずれのカーソル枠も選択されず、空き駐車区画の指定が行われない場合、制御部10はステップS40へ戻る。この場合、前述のような処理を繰り返すことにより、いずれかの空き駐車区画がユーザに指定されるまでアラウンドビュー画像を更新し続ける。
【0036】
ステップS100において、制御部10は、ステップS90でユーザに指定された空き駐車区画、すなわちアラウンドビュー画像でユーザが選択したカーソル枠の位置に対応する駐車区画を、以降の処理対象として選択する。これにより、ステップS10で自車両が進入したと判定した駐車場において、ステップS80で画面表示したアラウンドビュー画像に対応する範囲内に存在する駐車区画のうちで駐車可能ないずれかの駐車区画が選択される。
【0037】
ステップS110において、制御部10は、ステップS100で選択した駐車区画に自車両を駐車するための自車両の軌跡を算出する。ここでは、たとえば、ステップS80で画面表示したアラウンドビュー画像に基づいて、自車両と当該駐車区画との位置および向きの関係を把握し、これらの関係から自車両の前後進行方向や操舵角を判断することで、自車両の軌跡を算出することができる。
【0038】
ステップS120において、制御部10は、ステップS110で算出した自車両の軌跡を、ステップS80で表示したアラウンドビュー画像に重畳して画面表示する。これにより、図3〜5に例示したような自車両の軌跡を示す矢印41〜43がアラウンドビュー画像上に表示される。こうしてステップS120の処理が実行されることにより、ステップS100で選択した駐車区画を対象として、ステップS110で算出した自車両の軌跡に基づく自車両の駐車支援が行われる。
【0039】
ステップS130において、制御部10は、自車両が駐車を完了したか否かを判定する。ここでは、たとえば、ステップS100で選択した駐車区画と自車両の位置が一致した場合や、自車両のシフトレバーの位置が「P」になった場合に、自車両が駐車を完了したと判定することができる。自車両が駐車を完了したら図6のフローチャートを終了する。一方、自車両がまだ駐車を完了していない場合はステップS40へ戻る。この場合、制御部10は、ステップS40で取得した撮影画像に基づいてステップS70およびS80の処理を再度行うことで、アラウンドビュー画像を更新する。さらに、既に指定された空き駐車区画を対象としてステップS110、S120の処理を再度行うことで、自車両の軌跡を更新する。このようにして、自車両が駐車を完了するまでの間、自車両の駐車支援を継続して行う。なお、この際にステップS50、S60、S90およびS100の各処理を省略してもよい。
【0040】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0041】
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、自車両が駐車場に進入したか否かを判定し(ステップS10)、駐車場に進入したと判定したときにカメラ2を動作させて(ステップS30)、自車両の周囲について撮影画像を取得する(ステップS40)。こうして取得した撮影画像に基づいて、当該駐車場において自車両の周囲を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成し(ステップS70)、合成したアラウンドビュー画像を表示モニタ15に画面表示する(ステップS80)。そして、当該駐車場においてアラウンドビュー画像に対応する範囲内に存在する駐車区画のうちで駐車可能ないずれかの駐車区画を選択し(ステップS100)、選択した駐車区画を対象として自車両の駐車支援を行う(ステップS120)。このようにしたので、駐車場において複数の駐車区画が駐車可能である場合に、適切な駐車区画を対象として駐車支援を行うことができる。
【0042】
(2)制御部10は、ステップS10において自車両が駐車場に進入したと判定し、かつ、ステップS20において車速センサ12により検出された自車両の速度が所定速度以下であると判定したときに、ステップS30およびS40の処理を実行して、カメラ2を動作させて撮影画像を取得するようにした。これにより、たとえば自車両が駐車場内を移動しているときのように駐車支援が不要な場合は、カメラ2を停止して無駄な電力消費を抑えると共に、ユーザが意図しないタイミングで駐車支援動作が行われるのを回避することができる。
【0043】
(3)制御部10は、ステップS40で取得した撮影画像に基づいて、自車両の周囲において駐車可能な空き駐車区画を認識する(ステップS50)。そして、空き駐車区画が認識されたか否かを判定し(ステップS60)、認識されたときにステップS80の処理を実行して、アラウンドビュー画像を画面表示するようにした。これにより、自車両の周囲に空き駐車区画がなく駐車支援を行うことができない場合は、不要なアラウンドビュー画像の表示を停止することができる。
【0044】
(4)制御部10は、ステップS80においてアラウンドビュー画像を画面表示する際、ステップS50で認識された駐車可能な空き駐車区画の位置を示すカーソル枠を表示することで、その位置をアラウンドビュー画像において識別可能に表示する。ステップS100では、このアラウンドビュー画像でユーザに指定された位置に対応する駐車区画を選択する。このようにしたので、駐車可能な空き駐車区画の中から駐車支援の対象とする駐車区画をユーザに容易に選択させることができる。
【0045】
(5)制御部10は、ステップS100で選択した駐車区画に自車両を駐車するための自車両の軌跡を算出する(ステップS110)。ステップS120では、この軌跡をアラウンドビュー画像に重畳して画面表示することで、当該軌跡に基づいて自車両の駐車支援を行うようにした。これにより、ユーザにとって分かり易い駐車支援を実現することができる。
【0046】
なお、以上説明した実施の形態において、ステップS10で自車両が駐車場に進入したと判定した後に、自車両がいずれの駐車区画にも駐車せずにその駐車場を退出したときには、カメラ2を停止させて撮影画像の取得を中止し、図6のフローチャートを終了することが好ましい。このようにすれば、駐車場を退出した後にカメラ2によって不要な撮影が継続されるのを防ぐことができる。
【0047】
以上説明した実施の形態では、ステップS120において自車両を駐車するための軌跡をアラウンドビュー画像に重畳表示することで駐車支援を行うこととしたが、他の方法により駐車支援を行ってもよい。たとえば、ステップS110で算出した自車両の軌跡に応じて、自車両のアクセル、ブレーキ、トランスミッション、操舵角などを制御し、対象とする駐車区画に自車両を自動的に駐車するようにしてもよい。あるいは、自車両を駐車するための軌跡をアラウンドビュー画像に重畳表示しつつ、このような自動駐車制御を行うようにしてもよい。
【0048】
また、以上説明した実施の形態では、ステップS90でユーザに指定された駐車区画を、ステップS100において以降の処理対象として選択することとしたが、こうした駐車区画の選択を自動的に行うようにしてもよい。たとえば、自車両から最も近い位置にある空き駐車区画や、軌跡の長さが最短となる空き駐車区画を自動的に選択し、その駐車区画を対象として駐車支援を行うことができる。
【0049】
以上説明した実施の形態では、カメラ2の撮影画像をナビゲーション装置1により取得して駐車支援を行うこととしたが、ナビゲーション装置以外の車載装置を用いてこれを実現してもよい。あるいは、ナビゲーション装置とは別個に設けられた駐車支援装置を用いてこれを行ってもよい。
【0050】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
1:ナビゲーション装置、2:カメラ、10:制御部、11:振動ジャイロ、
12:車速センサ、13:HDD、14:GPS受信部、15:表示モニタ、
16:スピーカ、17:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車を支援する駐車支援システムであって、
前記車両の周囲を撮影するための撮影手段と、
前記車両が駐車場に進入したか否かを判定する進入判定手段と、
前記進入判定手段により前記車両が駐車場に進入したと判定されたときに、前記撮影手段を動作させて前記車両の周囲について撮影画像を取得する撮影制御手段と、
前記撮影制御手段により取得された前記撮影画像に基づいて、前記駐車場において前記車両の周囲を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段により合成された前記アラウンドビュー画像を画面表示する表示制御手段と、
前記駐車場において前記アラウンドビュー画像に対応する範囲内に存在する駐車区画のうちで駐車可能ないずれかの駐車区画を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された駐車区画を対象として前記車両の駐車支援を行う駐車支援手段とを備えることを特徴とする駐車支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援システムにおいて、
前記車両の速度を検出する速度検出手段をさらに備え、
前記撮影制御手段は、前記進入判定手段により前記車両が駐車場に進入したと判定され、かつ、前記速度検出手段により検出された前記車両の速度が所定値以下であるときに、前記撮影手段を動作させて前記撮影画像を取得することを特徴とする駐車支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駐車支援システムにおいて、
前記撮影制御手段により取得された前記撮影画像に基づいて、前記車両の周囲において駐車可能な駐車区画を認識する駐車区画認識手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記駐車区画認識手段により前記車両の周囲において駐車可能な駐車区画が認識されたときに、前記アラウンドビュー画像を画面表示することを特徴とする駐車支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車支援システムにおいて、
前記表示制御手段は、前記駐車区画認識手段により認識された前記駐車可能な駐車区画の位置を前記アラウンドビュー画像において識別可能に表示し、
前記選択手段は、前記アラウンドビュー画像でユーザに指定された位置に対応する駐車区画を選択することを特徴とする駐車支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の駐車支援システムにおいて、
前記選択手段により選択された駐車区画に前記車両を駐車するための前記車両の軌跡を算出する軌跡算出手段をさらに備え、
前記駐車支援手段は、前記軌跡算出手段により算出された前記車両の軌跡に基づいて、前記車両の駐車支援を行うことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の駐車支援システムにおいて、
前記撮影制御手段は、前記進入判定手段により前記車両が前記駐車場に進入したと判定された後、前記車両が前記駐車場を退出したときには、前記撮影手段を停止させて前記撮影画像の取得を中止することを特徴とする駐車支援システム。
【請求項7】
地図データを記憶する記憶手段と、
車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記地図データと前記位置検出手段により検出された前記車両の位置とに基づいて、前記車両が駐車場に進入したか否かを判定する進入判定手段と、
前記進入判定手段により前記車両が駐車場に進入したと判定されたときに、前記車両の周囲を撮影するために前記車両に設置された撮影手段を動作させて前記車両の周囲について撮影画像を取得する撮影制御手段と、
前記撮影制御手段により取得された前記撮影画像に基づいて、前記駐車場において前記車両の周囲を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段により合成された前記アラウンドビュー画像を画面表示する表示制御手段と、
前記駐車場において前記アラウンドビュー画像に対応する範囲内に存在する駐車区画のうちで駐車可能ないずれかの駐車区画を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された駐車区画に前記車両を駐車するための前記車両の軌跡を算出する軌跡算出手段と、
前記軌跡算出手段により算出された前記車両の軌跡を前記アラウンドビュー画像に重畳して画面表示する重畳表示手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235677(P2011−235677A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106548(P2010−106548)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】