説明

駐車支援装置

【課題】ハンドルを戻すべき位置を容易に把握することができるとともに、現在のハンドルの舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる「駐車支援装置」を提供すること。
【解決手段】走行補助線表示処理装置24は、タイヤ軌跡の一部をなし、自車両の後端部側から、タイヤ軌跡とこのタイヤ軌跡に接する駐車スペースの奥行き方向に平行な接線との接点に至る第1の線分と、前記接線の一部をなし、第1の線分に前記接点において接続され、前記接点から自車両の後方側へと向かう第2の線分とを算出した上で、第1の線分に対応する画像である第1の補助線部と、第2の線分に対応する画像である第2の補助線部とからなる走行補助線26,27を生成するように形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置に係り、特に、自車両を駐車スペースに駐車させるための自車両の後退走行を補助する走行補助線を表示することによって自車両の駐車のための運転操作を支援するのに好適な駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載カメラ技術および画像処理技術の進展により、車載カメラの撮影映像を利用して所望の駐車スペースへの自車両の駐車のための運転操作を支援する駐車支援装置を搭載した自動車の普及が高まりつつある。
【0003】
このような駐車支援装置では、駐車場において、車載カメラの撮影映像を用いて自車両の周辺の所定の監視領域を監視するための車両周辺監視画像を生成してディスプレイに表示するとともに、この車両周辺監視画像上に、自車両を駐車場の所定の駐車スペースに駐車させるための自車両の後退走行を補助する走行補助線として、自車両の予想されるタイヤ軌跡に対応した形状を有する走行補助線を重ねて表示することが行われていた。なお、タイヤ軌跡は、通常、自車両のハンドルの舵角に基づいて算出されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−319851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単純にタイヤ軌跡に沿っただけの走行補助線を表示する駐車支援装置は、迅速かつ適切な駐車の支援を妨げる種々の問題点を有していた。
【0006】
例えば、図14は、この種の駐車支援装置による走行補助線の表示方法の一例を示したものであり、この図14においては、車両周辺監視画像としての自車両およびその周辺を自車両の上方から見下ろした俯瞰画像1上に、自車両の左右の後輪のタイヤ軌跡に対応した形状を有する2本の走行補助線2,3を重畳表示している。
【0007】
なお、図14に示す俯瞰画像1は、自車両の前方を見下ろした前方俯瞰画像1a、自車両の左側方を見下ろした左側方俯瞰画像1b、自車両の右側方を見下ろした右側方俯瞰画像1c、自車両の後方を見下ろした後方俯瞰画像1dおよび自車両のイラスト画像5によって形成されている。より具体的には、図14の俯瞰画像1は、複数の駐車スペースが白線によって区画された駐車場において、自車両が駐車しようとしている1つの駐車スペースに向かって自車両がハンドルを左に切った(左回りに回転させた)状態として曲線走行をともなう後退走行を行う模様を示している。
【0008】
ここで、図14における走行補助線2,3は終始曲線であるため、ユーザは、どの位置でハンドルを戻せば(直線走行が可能な状態にすれば)よいのかが分かり難く、却って運転操作に時間がかかり、駐車を円滑に行うことができないといった問題があった。
【0009】
さらに、図14においては、左後輪側の走行補助線2が、自車両が駐車しようとしている駐車スペースを超えて左隣の駐車スペースに駐車している他車両に重なっているため、自車両が他車両と衝突してしまうかの印象をユーザに与える虞があった。この場合には、ユーザが、現在のハンドルの舵角のままで適切な駐車が不可能であると誤解してしまい、現在の舵角を変更することによって却って適切な駐車が不可能となる事態を招く可能性が高いといった問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、ハンドルを戻すべき位置を容易に把握することができるとともに、現在のハンドルの舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができ、ひいては、迅速かつ適切な駐車を支援することができる駐車支援装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、本発明の駐車支援装置は、自車両の周辺の所定の撮影領域を撮影する撮影装置と、この撮影装置による撮影映像を用いて自車両の周辺の所定の監視領域を監視するための車両周辺監視画像を生成し、生成された前記車両周辺監視画像を表示部に表示する車両周辺監視画像表示処理装置と、前記自車両を駐車スペースに駐車させる際に、前記自車両のハンドルの舵角に基づいて、前記自車両における左後方側部位の予想軌跡として、前記自車両の左後輪の予想されるタイヤ軌跡または前記自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するとともに、前記自車両における右後方側部位の予想軌跡として、前記自車両の右後輪の予想されるタイヤ軌跡または前記自車両における実際もしくは仮想上の右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出する軌跡算出装置と、前記自車両を前記駐車スペースに駐車させる際に、前記自車両の全長方向または車幅方向に対する前記駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出する傾き算出装置と、前記軌跡算出装置の算出結果と前記傾き算出装置の算出結果とを用いて、前記自車両を前記駐車スペースに駐車させるための前記自車両の後退走行を補助する走行補助線を生成し、生成された前記走行補助線を前記駐車スペースが含まれる前記車両周辺監視画像上に重畳表示する走行補助線表示処理装置とを備え、前記走行補助線表示処理装置は、前記左後方側部位の予想軌跡の一部をなす左側の第1の線分であって、前記左後方側部位の予想軌跡を描く前記左後輪または前記左後方側角部から、前記左後方側部位の予想軌跡とこの予想軌跡に接する前記駐車スペースの奥行き方向に平行な接線との接点に至るような左側の第1の線分と、前記右後方側部位の予想軌跡の一部をなす右側の第1の線分であって、前記右後方側部位の予想軌跡を描く前記右後輪または前記右後方側角部から、前記右後方側部位の予想軌跡とこの予想軌跡に接する前記駐車スペースの奥行き方向に平行な接線との接点に至るような右側の第1の線分と、前記左後方側部位の予想軌跡に接する前記接線の一部をなす左側の第2の線分であって、前記左側の第1の線分が至る前記接点において前記左側の第1の線分に接続され、当該接点から前記駐車スペースの奥側へと向かうような左側の第2の線分と、前記右後方側部位の予想軌跡に接する前記接線の一部をなす右側の第2の線分であって、前記右側の第1の線分が至る前記接点において前記右側の第1の線分に接続され、当該接点から前記駐車スペースの奥側へと向かうような右側の第2の線分とを算出した上で、前記走行補助線として、前記左側の第1の線分に対応する画像である左側の第1の補助線部および前記左側の第2の線分に対応する画像である左側の第2の補助線部からなる左側の走行補助線と、前記右側の第1の線分に対応する画像である右側の第1の補助線部および前記右側の第2の線分に対応する画像である右側の第2の補助線部からなる右側の走行補助線との2本の走行補助線を生成するように形成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、予想軌跡を反映した第1の補助線部と駐車スペースの奥行き方向を反映した第2の補助線部とからなる走行補助線を表示することによって、ユーザが、第1の補助線部と第2の補助線部との接続点がハンドルを戻すべき位置を示していることを容易に把握することができるとともに、第2の補助線部が駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かによって現在のハンドルの舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる。
【0013】
また、前記軌跡算出装置は、前記舵角の変更にともなって、前記予想軌跡の算出結果を変更可能に形成され、前記傾き算出装置は、前記自車両の後退走行の進行にともなって、前記傾きの算出結果を変更可能に形成され、前記走行補助線表示処理装置は、前記予想軌跡の変更および前記自車両の後退走行の進行の少なくとも一方に基づいて、前記第1の補助線部を変更可能に形成されているとともに、前記予想軌跡の変更および前記傾き算出装置の算出結果の変更の少なくとも一方に基づいて、前記第2の補助線部を変更可能に形成されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、駐車のための運転操作の進行状況に応じて走行補助線を動的(可変)に表示することができるので、ユーザが、より正確なハンドルを戻すべき位置を把握することができるとともに、駐車スペースへの適切な駐車の可否をより正確に判断することができる。
【0015】
さらに、前記自車両が、前記ハンドルが切られた状態として前記左側および右側の第1の補助線部に沿って前記駐車スペースに向かう曲線走行をともなう後退走行を行った際に、前記左後輪または前記左後方側角部が、前記左側の第1の補助線部と前記左側の第2の補助線部との接続点に対応する位置に到達し、前記右後輪または前記右後方側角部が、前記右側の第1の補助線部と前記右側の第2の補助線部との接続点に対応する位置に到達した時点において、前記ハンドルを戻すことを促す警告を出力するハンドル戻し用警告出力装置を備えることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、ハンドル戻し用警告出力装置による警告の出力によって、ユーザが、ハンドルを戻すべき位置をさらに容易に把握することができる。
【0017】
さらにまた、前記ハンドル戻し用警告出力装置は、音声および画像の少なくとも一方を用いて前記警告を出力するように形成されていることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、音声および画像の少なくとも一方を用いた警告によって、ユーザが、ハンドルを戻すべき位置をさらに容易に把握することができる。
【0019】
また、前記傾き算出装置は、前記撮影装置によって撮影された前記駐車スペースを区画する白線の撮影映像に基づいて、前記傾きの算出を行うように形成されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、車両周辺監視画像の生成にも用いられる撮影装置による白線の撮影映像を有効に利用して駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出することができるので、走行補助線の表示を迅速、適切かつ効率的に行うことができる。
【0021】
さらに、前記傾き算出装置は、前記撮影装置によって撮影された前記駐車スペースを形成するパレットの撮影映像に基づいて、前記傾きの算出を行うように形成されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、車両周辺監視画像の生成にも用いられる撮影装置によるパレットの撮影映像を有効に利用して駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出することができるので、走行補助線の表示を迅速、適切かつ効率的に行うことができる。
【0023】
さらにまた、前記傾き算出装置は、前記撮影装置によって撮影された前記自車両の周辺に駐車されている他車両の撮影映像に基づいて、前記傾きの算出を行うように形成されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、車両周辺監視画像の生成にも用いられる撮影装置による他車両の撮影映像を有効に利用して駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出することができるので、走行補助線の表示を迅速、適切かつ効率的に行うことができる。また、駐車スペースを明確に識別するための白線等が存在しない場合であっても、撮影装置による他車両の撮影映像に基づいて駐車スペースの奥行き方向を算出して走行補助線の表示に用いることができるので、汎用性を向上させることができる。
【0025】
また、前記自車両の周辺に駐車されている複数台の他車両の配置状態を検出するための検出装置を備え、前記傾き算出装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて前記傾きの算出を行うように形成されていることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、駐車スペースを明確に識別するための白線等が存在しない場合であっても、検出装置による複数台の他車両の配置状態の検出結果に基づいて駐車スペースの奥行き方向を算出して走行補助線の表示に用いることができるので、汎用性を向上させることができる。
【0027】
さらに、前記検出装置は、超音波センサを有することが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、超音波センサによって他車両の配置状態を適切に検出することができるので、走行補助線の表示を低コストで行うことができる。
【0029】
さらにまた、前記第2の補助線部の傾きを入力操作にしたがって調整する調整装置を備えることが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、傾き算出装置によって算出された駐車スペースの奥行き方向の傾きに誤差があるために、基準方向に対する第2の補助線部の傾きが、車両周辺監視画像上の駐車スペースの奥行き方向に対して平行とはならないような傾きとなった場合であっても、調整装置によって第2の補助線部の傾きを事後的に調整することによって、適切な走行補助線を表示することができる。
【0031】
また、前記調整装置は、前記表示部に、前記第2の補助線部の傾きの調整方向を指示するタッチパネル方式の矢印マークを表示するように形成され、前記矢印マークをタッチする入力操作にしたがって、前記第2の補助線部の傾きの調整を行うように形成されていることが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、矢印マークを介した入力操作によって第2の補助線部の傾きを簡便に調整することができ、利便性を向上させることができる。
【0033】
さらに、前記第2の補助線部が前記駐車スペースに対して当該駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かに基づいて、前記駐車スペースへの前記自車両の適切な駐車の可否を判定する駐車可否判定装置と、この駐車可否判定装置によって前記自車両が前記駐車スペースに適切に駐車することが不可能である旨の判定が行われた場合に、現在の前記舵角では前記駐車スペースへの適切な駐車が不可能である旨の警告を出力する駐車不可通知用警告出力装置とを備えることが好ましい。
【0034】
このような構成によれば、駐車不可通知用警告出力装置による警告の出力によって、ユーザが、現在の舵角では駐車スペースへの適切な駐車が不可能であることをさらに確実に認識することができる。
【0035】
さらにまた、前記駐車不可通知用警告出力装置は、音声および画像の少なくとも一方を用いて前記警告を出力するように形成されていることが好ましい。
【0036】
このような構成によれば、音声および画像の少なくとも一方を用いた警告によって、ユーザが、現在の舵角では駐車スペースへの適切な駐車が不可能であることをより確実に認識することができる。
【0037】
また、前記車両周辺監視画像は、前記自車両およびその周辺を前記自車両の上方から見下ろした俯瞰画像とされていることが好ましい。
【0038】
このような構成によれば、第1の補助線部と第2の補助線部とからなる走行補助線を俯瞰画像上に表示する場合であっても、ユーザが、第1の補助線部と第2の補助線部との接続点がハンドルを戻すべき位置を示していることを容易に把握することができるとともに、第2の補助線部が駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かによって現在の舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる。
【0039】
さらに、前記車両周辺監視画像は、前記自車両の後方を監視するためのリアビュー画像とされていることが好ましい。
【0040】
このような構成によれば、第1の補助線部と第2の補助線部とからなる走行補助線をリアビュー画像上に表示する場合であっても、ユーザが、第1の補助線部と第2の補助線部との接続点がハンドルを戻すべき位置を示していることを容易に把握することができるとともに、第2の補助線部が駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かによって現在の舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、ハンドルを戻すべき位置を容易に把握することができるとともに、現在のハンドルの舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができ、ひいては、迅速かつ適切な駐車を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る駐車支援装置の第1実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。
【0043】
なお、従来と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0044】
図1に示すように、本実施形態における駐車支援装置7は、自車両の周辺の所定の撮影領域を撮影する撮影装置としての4台の車載カメラ8,9,10,11を有している。これら4台の車載カメラ8,9,10,11のうちの1台は、自車両の前部(例えば、エンブレム内)に取り付けられたフロントカメラ8とされており、このフロントカメラ8は、自車両の前方の所定の視野角(例えば190°)内に存在する物体(路面や他車両等)を撮影するようになっている。残りの3台の車載カメラ9,10,11のうちの1台は、自車両の後部(例えば、リアナンバープレートの近傍位置)に取り付けられたバックカメラ9とされており、このバックカメラ9は、自車両の後方の所定の視野角内に存在する物体を撮影するようになっている。残りの2台の車載カメラ10,11のうちの1台は、自車両の左側部(例えば、左ドアミラー内)に取り付けられた左サイドカメラ10とされており、この左サイドカメラ10は、自車両の左側方の所定の視野角内に存在する物体を撮影するようになっている。残りの1台の車載カメラ11は、自車両の右側部(例えば、右ドアミラー内)に取り付けられた右サイドカメラ11とされており、この右サイドカメラ11は、自車両の右側方の所定の視野角内に存在する物体を撮影するようになっている。これらの車載カメラ8,9,10,11は、CCDやCMOS等の固体撮像素子および魚眼レンズ等の広角レンズを備えたカメラであってもよい。
【0045】
各車載カメラ8,9,10,11には、カメラ映像取得部12が接続されており、このカメラ映像取得部12は、各車載カメラ8,9,10,11の撮影映像を取得するようになっている。
【0046】
カメラ映像取得部12には、車両周辺監視画像表示処理装置としての車両周辺監視画像表示処理部14が接続されており、この車両周辺監視画像表示処理部14は、カメラ映像取得部12によって取得された各車載カメラ8,9,10,11の撮影映像を適宜用いることによって、自車両の周辺の所定の監視領域を監視するための車両周辺監視画像を生成するようになっている。なお、車両周辺監視画像は、車載カメラ8,9,10,11の撮像面座標系上の撮影映像を、後述するディスプレイ15の座標系上の画像へと変換する座標変換によって生成することができる。この座標変換には、撮像面座標系上の画素とディスプレイ座標系上の画素との対応関係を記述したマッピングテーブル等を用いることができる。また、車両周辺監視画像は、前述した俯瞰画像1であってもよい。さらに、車両周辺監視画像表示処理部14は、ボタンの押下げ等の車両周辺監視画像を表示するためのユーザの入力操作が行われたことにともなって車両周辺監視画像を生成するようになっている。
【0047】
車両周辺監視画像表示処理部14の出力側には、表示部としてのディスプレイ15が接続されている。車両周辺監視画像表示処理部14は、生成された車両周辺監視画像をディスプレイ15に表示するようになっている。
【0048】
駐車支援装置7は、舵角情報取得部16を有しており、この舵角情報取得部16は、現在の自車両のハンドルの舵角を示す舵角情報を取得するようになっている。この舵角情報取得部16は、公知の舵角センサであってもよい。
【0049】
舵角情報取得部16には、軌跡算出装置としての軌跡算出部17が接続されており、この軌跡算出部17は、例えば、自車両のギア位置や車速に基づいて駐車スペースへの自車両の駐車のための運転操作が行われることを検知すると、舵角情報取得部16から舵角情報を取得するようになっている。そして、軌跡算出部17は、舵角情報取得部16から取得された舵角情報に基づいて、自車両における左後方側部位が現在の舵角に応じて描くであろうと予想される軌跡すなわち左後方側部位の予想軌跡として、本実施形態における左後方側部位である自車両の左後輪の予想されるタイヤ軌跡を算出するようになっている。また、このとき、軌跡算出部17は、舵角情報に基づいて、自車両における右後方側部位が現在の舵角に応じて描くであろうと予想される軌跡すなわち右後方側部位の予想軌跡として、本実施形態における右後方側部位である自車両の右後輪の予想されるタイヤ軌跡を算出するようになっている。これらのタイヤ軌跡は、いわゆるアッカーマンのタイヤ軌跡であってもよい。
【0050】
駐車支援装置7は、傾き算出装置としての駐車スペース傾き算出部19を有しており、この駐車スペース傾き算出部19とカメラ映像取得部12との間には、画像認識部20が接続されている。
【0051】
画像認識部20は、例えば、自車両のギア位置や車速に基づいて駐車スペースへの駐車のための自車両の運転操作が行われることを検知すると、カメラ映像取得部12から車載カメラ8,9,10,11の撮影映像を取得するようになっている。そして、画像認識部20は、カメラ映像取得部12から取得された撮影映像に対する画像認識によって、検出対象として、駐車スペースを区画する白線、駐車スペースを形成するパレット、または自車両の周辺に駐車されている他車両の側面部等を検出するようになっている。
【0052】
そして、駐車スペース傾き算出部19は、画像認識部20によって検出対象が検出された場合には、検出結果に基づいて、自車両の全長方向に対する駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出するようになっている。なお、駐車スペース傾き算出部19は、複数の検出対象が同時に検出された場合には、信頼性が高い検出対象を優先的に用いることによって駐車スペースの前記傾きを検出するようにしてもよい。例えば、画像認識部20によって白線とともに他車両の側面部が検出された場合には、他車両の全長方向が駐車スペースの奥行き方向に対して傾いている可能性を考慮して、白線の方に基づいて駐車スペースの前記傾きを検出するようにしてもよい。
【0053】
軌跡算出部17および駐車スペース傾き算出部19には、走行補助線表示処理装置としての走行補助線表示処理部24が接続されており、この走行補助線表示処理部24は、車両周辺監視画像の表示の際に、軌跡算出部17の算出結果と、駐車スペース傾き算出部19の算出結果とを用いて、自車両を駐車スペースに駐車させるための自車両の後退走行を補助する走行補助線を生成するようになっている。
【0054】
この走行補助線の生成の際に、走行補助線表示処理部24は、図2に示すように、軌跡算出部17によって算出された左後輪のタイヤ軌跡(予想されるタイヤ軌跡)LL(1)の一部をなす左側の第1の線分として、自車両の左後輪から、左後輪のタイヤ軌跡LL(1)とこれに接する駐車スペースの奥行き方向に平行な接線(以下、左後輪側接線TL(1)と称する)との接点(以下、左後輪側接点PL(1)と称する)に至るような左後輪側第1線分S1L(1)を算出するようになっている。
【0055】
これと同時に、走行補助線表示処理部24は、図2に示すように、軌跡算出部17によって算出された右後輪のタイヤ軌跡(予想されるタイヤ軌跡)LR(1)の一部をなす右側の第1の線分として、自車両の右後輪から、右後輪のタイヤ軌跡LR(1)とこれに接する駐車スペースの奥行き方向に平行な接線(以下、右後輪側接線TR(1)と称する)との接点(以下、右後輪側接点PR(1)と称する)に至るような右後輪側第1線分S1R(1)を算出するようになっている。
【0056】
次いで、走行補助線表示処理部24は、図3に示すように、左後輪側接線TL(1)の一部をなす左側の第2の線分として、左後輪側第1線分S1L(1)に左後輪側接点PL(1)において接続され、左後輪側接点PL(1)から駐車スペースの奥側へと向かうような左後輪側第2線分S2L(1)を算出するようになっている。
【0057】
これと同時に、走行補助線表示処理部24は、図3に示すように、右後輪側接線TR(1)の一部をなす右側の第2の線分として、右後輪側第1線分S1R(1)に右後輪側接点PR(1)において接続され、右後輪側接点PR(1)から駐車スペースの奥側へと向かうような右後輪側第2線分S2R(1)を算出するようになっている。
【0058】
なお、これら左後輪側第2線分S2L(1)および右後輪側第2線分S2R(1)の後端部の延出位置は、コンセプトに応じて種々変更することができ、例えば、各第2線分S2L(1),S2R(1)の後端部を、駐車スペースの後端部(最も奧)に相当する位置まで延出させるようにしてもよい。
【0059】
次いで、走行補助線表示処理部24は、左後輪側第1線分S1L(1)、右後輪側第1線分S1R(1)、左後輪側第2線分S2L(1)および右後輪側第2線分S2R(1)のそれぞれを、実世界上の座標系において定義された各線分からディスプレイ15の座標系上の画像へと座標変換するようになっている。この座標変換により、左後輪側第1線分S1L(1)は、これに対応する画像である左側の第1の補助線部としての左後輪側第1補助線部26a(図4参照)に変換されるようになっている。また、右後輪側第1線分S1R(1)は、これに対応する画像である右側の第1の補助線部としての右後輪側第1補助線部27a(図4参照)に変換されるようになっている。さらに、左後輪側第2線分S2L(1)は、これに対応する画像である左側の第2の補助線部としての左後輪側第2補助線部26b(図4参照)に変換されるようになっている。さらにまた、右後輪側第2線分S2R(1)は、これに対応する画像である右側の第2の補助線部としての右後輪側第2補助線部27b(図4参照)に変換されるようになっている。このようにして、例えば、図4に示すように、車両周辺監視画像としての俯瞰画像1上に重畳表示される走行補助線として、左後輪側第1補助線部26aおよびこれに接続された左後輪側第2補助線部26bからなる左後輪側走行補助線26と、右後輪側第1補助線部27aおよびこれに接続された右後輪側第2補助線部27bからなる右後輪側走行補助線27との2本の走行補助線が生成されるようになっている。
【0060】
そして、走行補助線表示処理部24は、生成された左後輪側走行補助線26および右後輪側走行補助線27を、図4に示すように、車両周辺監視画像としての例えば俯瞰画像1上に重畳表示するようになっている。
【0061】
このような左後輪側走行補助線26および右後輪側走行補助線27が表示されることによって、ユーザは、左後輪側第1補助線部26aと左後輪側第2補助線部26bとの接続点(換言すれば境界)、および、右後輪側第1補助線部27aと右後輪側第2補助線部27bとの接続点(境界)が、ハンドルを戻すべき位置を示していることを容易に把握することができる。なお、これらの接続点は、実際に走行補助線26,27上に表示されなくても、ユーザは、第1補助線部26a,27aと第2補助線部26b,27bとの明らかな形状の違い(曲線と直線との違い)によって、接続点を直感的に把握することができ、ハンドルを戻すべき位置を容易に把握することができる。
【0062】
また、ユーザは、左後輪側第2補助線部26bおよび右後輪側第2補助線部27bが俯瞰画像1上の駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かによって現在のハンドルの舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる。
【0063】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、軌跡算出部17は、舵角の変更にともなって、算出されるタイヤ軌跡を変更可能に形成されている。また、駐車スペース傾き算出部19は、自車両の後退走行の進行にともなって、算出される傾きを変更可能に形成されている。さらに、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果の変更および自車両の後退走行の進行の少なくとも一方に基づいて、左後輪側第1補助線部26aおよび右後輪側第1補助線部27aを変更可能に形成されている。さらにまた、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果の変更および駐車スペース傾き算出部19の算出結果の変更の少なくとも一方に基づいて、左後輪側第2補助線部26bおよび右後輪側第2補助線部27bを変更可能に形成されている。
【0064】
これにより、左後輪側走行補助線26および右後輪側走行補助線27を、駐車のための運転操作の進行状況に応じて動的に表示することができるので、ユーザは、より正確なハンドルを戻すべき位置を把握することができるとともに、駐車スペースへの適切な駐車の可否をより正確に判断することができる。
【0065】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、車両周辺監視画像表示処理部14および走行補助線表示処理部24には、ハンドル戻し用警告出力装置としての警告出力部29が接続されており、この警告出力部29には、スピーカ30が接続されている。警告出力部29は、自車両が、ハンドルが切られた状態として各第1補助線部26a,27aに沿って駐車スペースに向かう曲線走行をともなう後退走行を行った際に、自車両の左後輪が、左後輪側第1補助線部26aと左後輪側第2補助線部26bとの接続点に対応する位置(以下、左後輪側接続点対応位置と称する)に到達したことを検出するようになっている。また、前記後退走行の際に、警告出力部29は、自車両の右後輪が、右後輪側第1補助線部27aと右後輪側第2補助線部27bとの接続点に対応する位置(以下、右後輪側接続点対応位置と称する)に到達したことを検出するようになっている。これらの検出は、駐車スペースに向かう後退走行の進行にともなって車両周辺監視画像表示処理24によって動的に生成される車両周辺監視画像と、後退走行の進行にともなって走行補助線表示処理部24によって動的に生成される走行補助線26,27とに対する画像認識に基づいて行うようにしてもよい。ただし、このように、自車両の左右の後輪がそれぞれ左後輪側または右後輪側接続点対応位置に到達したことを画像認識に基づいて検出する場合には、車両周辺監視画像における自車両の左右の後輪に相当する位置に、左右の後輪を模した画像(図4参照)や図示しない後輪側の車軸を模した画像を表示することが好ましい。
【0066】
そして、警告出力部29は、自車両の左後輪が左後輪側接続点対応位置に到達し、また、自車両の右後輪が右後輪側接続点対応位置に到達したことを検出した時点において、切られているハンドルを戻す(換言すれば、タイヤを真正面に向けて直線走行が可能な状態にする)ことを促す警告を、スピーカ30を介して音声によって出力するようになっている。
【0067】
これにより、ユーザは、ハンドルを戻すべき位置をさらに容易に把握することができる。なお、警告出力部29は、ハンドルを戻すことを促す警告を、ディスプレイ15への画像の表示によって行うようにしてもよい。
【0068】
上記構成に加えて、さらに、ディスプレイ15には、タッチパネル32が配設されており、このタッチパネル32、ディスプレイ15および走行補助線表示処理部24には、調整装置としての第2補助線部傾き調整部33が接続されている。
【0069】
この第2補助線部傾き調整部33は、図4および図5に示すように、ディスプレイ15に、第2補助線部26b,27bの傾きの調整方向を指示するタッチパネル方式の矢印マーク34,35を表示するようになっている。なお、図4および図5における左側の矢印マーク34は、両方の第2補助線部26b,27bを、図4および図5における反時計方向に一体的に回転させて傾きを調整するための入力操作を許容する矢印マーク34とされている。一方、図4および図5における右側の矢印マーク35は、両方の第2補助線部26b,27bを、図4および図5における時計方向に一体的に回転させて傾きを調整するための入力操作を許容する矢印マーク35とされている。
【0070】
そして、第2補助線部傾き調整部33は、左側の矢印マーク34のタッチ操作にともなって、第2補助線部26b,27bを、第1補助線部26a,27aとの接続点を回転中心として、反時計方向に回転させるようになっている。また、第2補助線部傾き調整部33は、右側の矢印マーク35のタッチ操作にともなって、第2補助線部26b,27bを、第1補助線部26a,27aとの接続点を回転中心として、時計方向に回転させるようになっている。なお、このような第2補助線部26b,27bの回転は、矢印マーク34,35に触れ続けている時間が長くなるほど回転角度が大きくなるような回転であってもよいし、矢印マーク34,35の断続的なタッチ回数の増加にともなって回転角度が増加するような回転であってもよい。
【0071】
これにより、駐車スペース傾き算出部19によって算出された駐車スペースの奥行き方向の傾きに誤差があるために、図5に示すように、基準方向(例えば、図5の縦方向)に対する第2補助線部26b,27bの傾きが、俯瞰画像1上の駐車スペースの奥行き方向に対して平行とならないような傾きとなった場合であっても、第2補助線部26b,27bの傾きを事後的に調整することによって、図4に示すような適切な走行補助線26,27に修正することができる。
【0072】
次に、本実施形態の主たる作用について、説明する。
【0073】
なお、便宜上、初期状態において、自車両は、駐車場内における白線によって区画された1つの駐車スペースの近傍に位置されているものとする。
【0074】
そして、初期状態から、ユーザが、俯瞰画像1を表示するための入力操作とともに、ギアをリバースに入れて駐車スペースへの駐車のための後退走行の準備を行うと、車両周辺監視画像表示処理部14は、カメラ映像取得部12によって取得された各車載カメラ8,9,10,11の撮影映像を用いることによって俯瞰画像1を生成する。具体的には、フロントカメラ8の撮影映像を用いることによって前方俯瞰画像1aを、左サイドカメラ10の撮影映像を用いることによって左側方俯瞰画像1bを、右サイドカメラ11の撮影映像を用いることによって右側方俯瞰画像1cを、バックカメラ9の撮影映像を用いることによって後方俯瞰画像1dをそれぞれ生成し、さらに、これら監視画像と自車両のイラスト画像5とを合成することによって俯瞰画像1を生成する。そして、車両周辺監視画像表示処理部14は、図6(a)に示すように、生成された俯瞰画像1をディスプレイ15に表示する。
【0075】
このとき、軌跡算出部17は、自車両のギア位置に基づいて自車両の駐車スペースへの駐車のための運転操作が行われることを検知し、舵角情報取得部16から舵角情報を取得する。次いで、軌跡算出部17は、舵角情報取得部16から取得された舵角情報に基づいて、自車両の左右の後輪の予想されるタイヤ軌跡を算出する。
【0076】
また、このとき、画像認識部20は、カメラ映像取得部12から車載カメラ8,9,10,11の撮影映像を取得し、取得された撮影映像に対する画像認識によって、駐車スペースを区画する白線を検出する。
【0077】
次いで、駐車スペース傾き算出部19は、画像認識部20によって検出された白線に基づいて、自車両の全長方向に対する駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出する。
【0078】
次いで、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果と、駐車スペース傾き算出部19の算出結果とを用いて、図2および図3に示した手法によって、左後輪側第1補助線部26aおよび左後輪側第2補助線部26bからなる左後輪側走行補助線26と、右後輪側第1補助線部27aおよび右後輪側第2補助線部27bからなる右後輪側走行補助線27とを生成する。
【0079】
そして、走行補助線表示処理部24は、図6(a)に示すように、生成された左後輪側走行補助線26と右後輪側走行補助線27とを俯瞰画像1上に重畳表示する。
【0080】
なお、図6(a)においては、右後輪側第2補助線部27bが俯瞰画像1上の駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているが、このことによって、ユーザは、ハンドルの左への切り方が甘い(左回りの舵角が小さい)ため、現在の舵角による駐車スペースへの適切な駐車が不可能であると判断することができる。
【0081】
次いで、ユーザは、図6(a)の状態から、ハンドルをもう少し多めに左に切ると、図6(b)に示すように、舵角の変更に応じて走行補助線26,27の表示状態が変化し、左後輪側第2補助線部26bおよび右後輪側第2補助線部27bがともに俯瞰画像1上の駐車スペース内に収まった走行補助線26,27が表示される。この図6(b)の状態は、図4に示した状態と同様である。
【0082】
次いで、ユーザは、図6(b)の状態から、舵角を維持しながら駐車スペースに向かう後退走行を開始すると、俯瞰画像1上の駐車スペースに対する自車両(イラスト画像5)の相対的な位置および傾きが変化するとともに、左後輪側第1補助線部26aおよび右後輪側第1補助線部27aの長さが短縮されていく。
【0083】
そして、図6(c)に示すように、自車両の左後輪が左後輪側接続点対応位置に到達し、自車両の右後輪が右後輪側接続点対応位置に到達すると、警告出力部29は、切られているハンドルを戻すことを促す警告を、スピーカ30を介して音声によって出力する。
【0084】
これにより、ユーザは、ハンドルを戻すべき位置を容易に把握することができる。
【0085】
以上述べたように、本実施形態によれば、タイヤ軌跡を反映した第1補助線部26a,27aと駐車スペースの奥行き方向を反映した第2補助線部26b,27bとからなる走行補助線26,27を表示することによって、ユーザが、第1補助線部26a,27aと第2補助線部26b,27bとの接続点に対応する地点を、ハンドルを戻すべき位置であると容易に把握することができるとともに、第2補助線部26b,27bが駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かによって現在の舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る駐車支援装置の第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心として図7乃至図9を新たに参照して説明する。
【0087】
なお、第1実施形態と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0088】
本実施形態における駐車支援装置7は、図1に示したものと同様の基本構成を有している。
【0089】
ただし、第1実施形態とは異なり、本実施形態における軌跡算出部17は、自車両における左後方側部位の予想軌跡として、本実施形態における左後方側部位である自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するようになっている。また、軌跡算出部17は、自車両における右後方側部位の予想軌跡として、本実施形態における右後方側部位である自車両における実際もしくは仮想上の右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するようになっている。
【0090】
ここで、自車両における実際の左後方側角部とは、自車両の実際の平面形状が角張っていることにより、自車両における左後端部に実際に形成されている角部(より正確には角部の頂点)をいうものとする。同様に、自車両における実際の右後方側角部とは、自車両の実際の平面形状が角張っていることにより、自車両における右後端部に実際に形成されている角部(より正確には角部の頂点)をいうものとする。
【0091】
一方、自車両における仮想上の左後方側角部とは、図7および図8に示すように、自車両の実際の平面形状が丸みを帯びていることにより、自車両における左後端部に実際には角部が形成されていない場合であっても、自車両の左端部(例えば、左ドアミラーを除いたボディの左端部)に接する車両全長方向に延びる接線と、自車両の後端部に接する車幅方向に延びる接線とを交わらせることによって仮想的に形成することができる角部(より正確には角部の頂点)をいうものとする。同様に、自車両における仮想上の右後方側角部とは、自車両の実際の平面形状が丸みを帯びていることにより、自車両における右後端部に実際には角部が形成されていない場合であっても、自車両の右端部(例えば、右ドアミラーを除いたボディの右端部)に接する車両全長方向に延びる接線と、自車両の後端部に接する車幅方向に延びる接線とを交わらせることによって仮想的に形成することができる角部(より正確には角部の頂点)をいうものとする。
【0092】
なお、図7および図8には、自車両における仮想上の左後方側角部として、仮想左後方側角部CL(2)が示されているとともに、自車両における仮想上の右後方側角部として、仮想右後方側角部CR(2)が示されている。
【0093】
また、前記予想される移動軌跡とは、現在の自車両のハンドルの舵角の下で自車両が走行した場合に、この自車両の走行にともなって、自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部および右後方側角部がどのような軌跡を描いて移動するのかを予想したものをいう。
【0094】
この予想される移動軌跡は、軌跡算出部17が、予め取得された自車両に関する車両情報に基づいて、自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部および右後方側角部の実世界上における座標位置を把握した上で、これらの座標位置と、舵角情報取得部16から取得される舵角情報とに基づいて算出することができる。なお、この予想される移動軌跡を算出するにあたって、必要に応じて第1実施形態に示したタイヤ軌跡や自車両の寸法等の車両情報を利用してもよい。
【0095】
なお、軌跡算出部17は、自車両における実際の左後方側角部および右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するか、または、自車両における仮想上の左後方側角部および右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するかについては、設計コンセプトに応じて選択することができる。この場合に、軌跡算出部17は、予め取得された車両情報に示される自車両の形状が、実際の左後方側角部および右後方側角部を有するものである場合には、実際の左後方側角部および右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出し、車両情報に示される自車両の形状が、実際の左後方側角部および右後方側角部を有しないものである場合には、仮想上の左後方側角部および右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するようにしてもよい。
【0096】
また、軌跡算出部17は、自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部および右後方側角部についての予想される移動軌跡の算出を、自車両のギア位置や車速に基づいて駐車スペースへの自車両の駐車のための運転操作が行われることを検知した上で行うようにしてもよい。
【0097】
そして、本実施形態において、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果と、第1実施形態と同様の駐車スペース傾き算出部19の算出結果とを用いて走行補助線を生成するようになっている。
【0098】
具体例として、走行補助線表示処理部24は、走行補助線の生成の際に、図7に示すように、軌跡算出部17によって算出された仮想左後方側角部CL(2)についての予想される移動軌跡LL(2)の一部をなす左側の第1の線分として、仮想左後方側角部CL(2)から、移動軌跡LL(2)とこれに接する駐車スペースの奥行き方向に平行な接線(以下、左後方側接線TL(2)と称する)との接点(以下、左後方側接点PL(2)と称する)に至るような左後方側第1線分S1L(2)を算出するようになっている。
【0099】
これと同時に、走行補助線表示処理部24は、図7に示すように、軌跡算出部17によって算出された仮想右後方側角部CR(2)についての予想される移動軌跡LR(2)の一部をなす右側の第1の線分として、仮想右後方側角部CR(2)から、移動軌跡LR(2)とこれに接する駐車スペースの奥行き方向に平行な接線(以下、右後方側接線TR(2)と称する)との接点(以下、右後方側接点PR(2)と称する)に至るような右後方側第1線分S1R(2)を算出するようになっている。
【0100】
次いで、走行補助線表示処理部24は、図8に示すように、左後方側接線TL(2)の一部をなす左側の第2の線分として、左後方側第1線分S1L(2)に左後方側接点PL(2)において接続され、左後方側接点PL(2)から駐車スペースの奥側へと向かうような左後方側第2線分S2L(2)を算出するようになっている。
【0101】
これと同時に、走行補助線表示処理部24は、図8に示すように、右後方側接線TR(2)の一部をなす右側の第2の線分として、右後方側第1線分S1R(2)に右後方側接点PR(2)において接続され、右後方側接点PR(2)から駐車スペースの奥側へと向かうような右後方側第2線分S2R(2)を算出するようになっている。
【0102】
次いで、走行補助線表示処理部24は、左後方側第1線分S1L(2)、右後方側第1線分S1R(2)、左後方側第2線分S2L(2)および右後方側第2線分S2R(2)のそれぞれを、実世界上の座標系において定義された各線分からディスプレイ15の座標系上の画像へと座標変換するようになっている。この座標変換により、左後方側第1線分S1L(2)は、これに対応する画像である左側の第1の補助線部としての左後方側第1補助線部46a(図9参照)に変換されるようになっている。また、右後方側第1線分S1R(2)は、これに対応する画像である右側の第1の補助線部としての右後方側第1補助線部47a(図9参照)に変換されるようになっている。さらに、左後方側第2線分S2L(2)は、これに対応する画像である左側の第2の補助線部としての左後方側第2補助線部46b(図9参照)に変換されるようになっている。さらにまた、右後方側第2線分S2R(2)は、これに対応する画像である右側の第2の補助線部としての右後方側第2補助線部47b(図9参照)に変換されるようになっている。このようにして、例えば、図9に示すように、車両周辺監視画像としての俯瞰画像1上に重畳表示される走行補助線として、左後方側第1補助線部46aおよびこれに接続された左後方側第2補助線部46bからなる左後方側走行補助線46と、右後方側第1補助線部47aおよびこれに接続された右後方側第2補助線部47bからなる右後方側走行補助線47とが生成されるようになっている。
【0103】
そして、走行補助線表示処理部24は、生成された左後方側走行補助線46および右後方側走行補助線47を、図9に示すように、車両周辺監視画像としての例えば俯瞰画像1上に重畳表示するようになっている。
【0104】
このような左後方側走行補助線46および右後方側走行補助線47が表示されることによって、ユーザは、左後方側第1補助線部46aと左後方側第2補助線部46bとの接続点、および、右後方側第1補助線部47aと右後方側第2補助線部47bとの接続点が、ハンドルを戻すべき位置を示していることを容易に把握することができる。また、ユーザは、左後方側第2補助線部46bおよび右後方側第2補助線部47bが俯瞰画像1上の駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かによって現在のハンドルの舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる。
【0105】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、軌跡算出部17は、舵角の変更にともなって、算出される前記移動軌跡を変更可能に形成されている。また、駐車スペース傾き算出部19は、自車両の後退走行の進行にともなって、算出される傾きを変更可能に形成されている。さらに、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果の変更および自車両の後退走行の進行の少なくとも一方に基づいて、左後方側第1補助線部46aおよび右後方側第1補助線部47aを変更可能に形成されている。さらにまた、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果の変更および駐車スペース傾き算出部19の算出結果の変更の少なくとも一方に基づいて、左後方側第2補助線部46bおよび右後方側第2補助線部47bを変更可能に形成されている。
【0106】
これにより、左後方側走行補助線46および右後方側走行補助線47を、駐車のための運転操作の進行状況に応じて動的に表示することができるので、ユーザは、より正確なハンドルを戻すべき位置を把握することができるとともに、駐車スペースへの適切な駐車の可否をより正確に判断することができる。
【0107】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、警告出力部29は、自車両が、ハンドルが切られた状態として各第1補助線46a,47aに沿って駐車スペースに向かう曲線走行をともなう後退走行を行った際に、自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部が、左後方側第1補助線部46aと左後方側第2補助線部46bとの接続点に対応する位置(以下、左後方側接続点対応位置と称する)に到達したことを検出するようになっている。また、前記後退走行の際に、警告出力部29は、自車両における実際もしくは仮想上の右後方側角部が、右後方側第1補助線部47aと右後方側第2補助線部47bとの接続点に対応する位置(以下、右後方側接続点対応位置と称する)に到達したことを検出するようになっている。これらの検出は、第1実施形態と同様に、駐車スペースに向かう後退走行の進行にともなって車両周辺監視画像表示処理24によって動的に生成される車両周辺監視画像と、後退走行の進行にともなって走行補助線表示処理部24によって動的に生成される走行補助線46,47とに対する画像認識に基づいて行うようにしてもよい。そして、警告出力部29は、自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部が左後方側接続点対応位置に到達し、自車両における実際もしくは仮想上の右後方側角部が右後方側接続点対応位置に到達したことを検出した時点において、切られているハンドルを戻すことを促す警告を、スピーカ30を介して音声によって出力するようになっている。
【0108】
これにより、ユーザは、ハンドルを戻すべき位置をさらに容易に把握することができる。
【0109】
なお、その他の構成は、第1実施形態とほぼ同様であるので、説明は省略する。
【0110】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る駐車支援装置の第3実施形態について、第1実施形態との差異を中心として図10乃至図12を新たに参照して説明する。
【0111】
なお、第1実施形態と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0112】
本実施形態における駐車支援装置7は、図1に示したものと同様の基本構成を有している。
【0113】
ただし、第1実施形態とは異なり、本実施形態における軌跡算出部17は、ハンドルが切られた状態としての駐車スペースへの自車両の駐車のための後退走行が行われる際に、自車両における左後方側部位の予想軌跡として、自車両の左後輪が内輪となる場合には、自車両の左後輪の予想されるタイヤ軌跡を算出し、左後輪が外輪となる場合には、自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するようになっている。また、この後退走行の際に、軌跡算出部17は、自車両における右後方側部位の予想軌跡として、自車両の右後輪が内輪となる場合には、自車両の右後輪の予想されるタイヤ軌跡を算出し、右後輪が外輪となる場合には、自車両における実際もしくは仮想上の右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するようになっている。
【0114】
前記タイヤ軌跡については、第1実施形態に示したものと同様であり、また、前記移動軌跡については、第2実施形態に示したものと同様である。さらに、第2実施形態と同様に、軌跡算出部17は、実際の左後方側角部、右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するのか、または、仮想上の左後方側角部、右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するのかについては、設計コンセプトに応じて選択することができる
なお、軌跡算出部17は、ハンドルが切られた状態としての駐車スペースへの後退走行が行われることを、自車両のギア位置、車速、および、舵角情報取得部16によって取得された舵角情報に基づいて検出することができる。
【0115】
そして、本実施形態において、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果と、第1実施形態と同様の駐車スペース傾き算出部19の算出結果とを用いて走行補助線を生成するようになっている。
【0116】
具体例として、本実施形態における走行補助線表示処理部24は、走行補助線の生成の際に、図10に示すように、軌跡算出部17によって算出された内輪となる左後輪の予想されるタイヤ軌跡LL(3)の一部をなす左側の第1の線分として、左後輪から、タイヤ軌跡LL(3)とこれに接する駐車スペースの奥行き方向に平行な接線(以下、左後輪側接線TL(3)と称する)との接点(以下、左後輪側接点PL(3)と称する)に至るような左後輪側第1線分S1L(3)を算出するようになっている。
【0117】
これと同時に、走行補助線表示処理部24は、図10に示すように、軌跡算出部17によって算出された外輪側の角部となる仮想上の右後方側角部(以下、仮想右後方側角部CR(3)と称する)についての予想される移動軌跡LR(3)の一部をなす右側の第1の線分として、仮想右後方側角部CR(3)から、移動軌跡LR(3)とこれに接する駐車スペースの奥行き方向に平行な接線(以下、右後方側接線TR(3)と称する)との接点(以下、右後方側接点PR(3)と称する)に至るような右後方側第1線分S1R(3)を算出するようになっている。
【0118】
次いで、走行補助線表示処理部24は、図11に示すように、左後輪側接線TL(3)の一部をなす左側の第2の線分として、左後輪側第1線分S1L(3)に左後輪側接点PL(3)において接続され、左後輪側接点PL(3)から駐車スペースの奥側へと向かうような左後輪側第2線分S2L(3)を算出するようになっている。
【0119】
これと同時に、走行補助線表示処理部24は、図11に示すように、右後方側接線TR(3)の一部をなす右側の第2の線分として、右後方側第1線分S1R(3)に右後方側接点PR(3)において接続され、右後方側接点PR(3)から駐車スペースの奥側へと向かうような右後方側第2線分S2R(3)を算出するようになっている。
【0120】
次いで、走行補助線表示処理部24は、左後輪側第1線分S1L(3)、右後方側第1線分S1R(3)、左後輪側第2線分S2L(3)および右後方側第2線分S2R(3)のそれぞれを、実世界上の座標系において定義された各線分からディスプレイ15の座標系上の画像へと座標変換するようになっている。この座標変換により、左後輪側第1線分S1L(3)は、これに対応する画像である左側の第1の補助線部としての左後輪側第1補助線部56a(図12参照)に変換されるようになっている。また、右後方側第1線分S1R(3)は、これに対応する画像である右側の第1の補助線部としての右後方側第1補助線部57a(図12参照)に変換されるようになっている。さらに、左後輪側第2線分S2L(3)は、これに対応する画像である左側の第2の補助線部としての左後輪側第2補助線部56b(図12参照)に変換されるようになっている。さらにまた、右後方側第2線分S2R(3)は、これに対応する画像である右側の第2の補助線部としての右後方側第2補助線部57b(図12参照)に変換されるようになっている。このようにして、例えば、図12に示すように、車両周辺監視画像としての俯瞰画像1上に重畳表示される走行補助線として、左後輪側第1補助線部56aおよびこれに接続された左後輪側第2補助線部56bからなる左後輪側走行補助線56と、右後方側第1補助線部57aおよびこれに接続された右後方側第2補助線部57bからなる右後方側走行補助線57とが生成されるようになっている。
【0121】
そして、走行補助線表示処理部24は、生成された左後輪側走行補助線56および右後方側走行補助線57を、図12に示すように、車両周辺監視画像としての例えば俯瞰画像1上に重畳表示するようになっている。
【0122】
このような左後輪側走行補助線56および右後方側走行補助線57が表示されることによって、ユーザは、左後輪側第1補助線部56aと左後輪側第2補助線部56bとの接続点、および、右後方側第1補助線部57aと右後方側第2補助線部57bとの接続点が、ハンドルを戻すべき位置を示していることを容易に把握することができる。また、ユーザは、左後輪側第2補助線部56bおよび右後方側第2補助線部57bが俯瞰画像1上の駐車スペースに対して駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かによって現在のハンドルの舵角による駐車スペースへの適切な駐車の可否を正確に判断することができる。
【0123】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、軌跡算出部17は、舵角の変更にともなって、内輪となる左後輪または右後輪の予想されるタイヤ軌跡の算出結果と、外輪側の角部となる自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部または右後方側角部についての予想される移動軌跡の算出結果とを変更可能に形成されている。また、駐車スペース傾き算出部19は、自車両の後退走行の進行にともなって、算出される傾きを変更可能に形成されている。さらに、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果の変更および自車両の後退走行の進行の少なくとも一方に基づいて、左後輪側第1補助線部56aおよび右後方側第1補助線部57aを変更可能に形成されている。さらにまた、走行補助線表示処理部24は、軌跡算出部17の算出結果の変更および駐車スペース傾き算出部19の算出結果の変更の少なくとも一方に基づいて、左後輪側第2補助線部56bおよび右後方側第2補助線部57bを変更可能に形成されている。
【0124】
これにより、左後輪側走行補助線56および右後方側走行補助線57を、駐車のための運転操作の進行状況に応じて動的に表示することができるので、ユーザは、より正確なハンドルを戻すべき位置を把握することができるとともに、駐車スペースへの適切な駐車の可否をより正確に判断することができる。
【0125】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、警告出力部29は、自車両が、ハンドルが切られた状態として各第1補助線部56a,57aに沿って駐車スペースに向かう曲線走行をともなう後退走行を行った際に、内輪となる自車両の左後輪または右後輪が、内輪側の第1の補助線部と第2の補助線部との接続点に対応する位置(以下、内輪側接続点対応位置と称する)に到達したことを検出するようになっている。また、その際に、警告出力部29は、外輪側の角部となる自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部または右後方側角部が、外輪側の第1の補助線部と第2の補助線部との接続点に対応する位置(以下、外輪側接続点対応位置と称する)に到達したことを検出するようになっている。
【0126】
なお、図12の例でいえば、内輪側接続点対応位置は、左後輪側第1補助線部56aと左後輪側第2補助線部56bとの接続点に対応する位置となり、外輪側接続点対応位置は、右後方側第1補助線部57aと右後方側第2補助線部57bとの接続点に対応する位置となる。
【0127】
これらの接続点対応位置の検出は、第1実施形態と同様に、駐車スペースに向かう後退走行の進行にともなって車両周辺監視画像表示処理24によって動的に生成される車両周辺監視画像と、後退走行の進行にともなって走行補助線表示処理部24によって動的に生成される走行補助線56,57とに対する画像認識に基づいて行うようにしてもよい。そして、警告出力部29は、自車両の内輪側の後輪が内輪側接続点対応位置に到達し、自車両における実際もしくは仮想上の外輪側の角部が外輪側接続点対応位置に到達したことを検出した時点において、切られているハンドルを戻すことを促す警告を、スピーカ30を介して音声によって出力するようになっている。
【0128】
これにより、ユーザは、ハンドルを戻すべき位置をさらに容易に把握することができる。
【0129】
なお、その他の構成は、第1実施形態とほぼ同様であるので、説明は省略する。
【0130】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0131】
例えば、自車両の周辺に駐車されている複数台の他車両の配置状態を検出するための検出装置として、超音波センサを備えた検出装置を設け、駐車スペース傾き算出部19が、当該検出装置の検出結果に基づいて自車両の全長方向に対する前記駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出するようにしてもよい。この場合であっても、他車両の配置状態に基づいて、駐車スペースの前記傾きを適正に算出することができる。また、白線やパレットが存在しない駐車スペースにも対応することができるので、汎用性を向上させることができる。
【0132】
また、駐車スペース傾き算出部19が、自車両の幅方向に対する前記駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出するように構成してもよい。
【0133】
さらに、第2補助線部26b,27bが駐車スペースに対して当該駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かに基づいて、駐車スペースへの自車両の適切な駐車の可否を判定する駐車可否判定装置を設けるとともに、駐車可否判定装置によって自車両が駐車スペースに適切に駐車することが不可能である旨の判定が行われた場合に、現在の舵角では駐車スペースへの適切な駐車が不可能である旨の警告を出力する駐車不可通知用警告出力装置を設けるようにしてもよい。このようにすれば、前述した図6(a)の状態において、ユーザが駐車不可通知用警告出力装置から警告を出力されることにより、現在の舵角では駐車スペースへの駐車が不可能であることをさらに確実に認識することができる。
【0134】
さらにまた、本発明は、バックカメラ9の撮影映像に基づいて生成された図13に示す車両周辺監視画像としてのリアビュー画像37上に表示される走行補助線26,27にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る駐車支援装置の第1実施形態を示すブロック図
【図2】本発明に係る駐車支援装置の第1実施形態において、走行補助線の生成工程を示す説明図
【図3】本発明に係る駐車支援装置の第1実施形態において、図2に続く走行補助線の生成工程を示す説明図
【図4】本発明に係る駐車支援装置の第1実施形態において、俯瞰画像上への走行補助線の表示状態を示す図
【図5】本発明に係る駐車支援装置の第1実施形態において、第2補助線部の不適切な表示状態を、これを解消する手段とともに示す図
【図6】本発明に係る駐車支援装置の第1実施形態において、(a)は、駐車スペースへの適切な駐車が不可能であることを示す走行補助線の表示状態であり、(b)は、駐車スペースへの適切な駐車が可能であることを示す走行補助線の表示状態であり、(c)は、ハンドルを戻すべき位置への自車両の到達状態である。
【図7】本発明に係る駐車支援装置の第2実施形態において、走行補助線の生成工程を示す説明図
【図8】本発明に係る駐車支援装置の第2実施形態において、図7に続く走行補助線の生成工程を示す説明図
【図9】本発明に係る駐車支援装置の第2実施形態において、俯瞰画像上への走行補助線の表示状態を示す図
【図10】本発明に係る駐車支援装置の第3実施形態において、走行補助線の生成工程を示す説明図
【図11】本発明に係る駐車支援装置の第3実施形態において、図10に続く走行補助線の生成工程を示す説明図
【図12】本発明に係る駐車支援装置の第3実施形態において、俯瞰画像上への走行補助線の表示状態を示す図
【図13】本発明に係る駐車支援装置の実施形態において、リアビュー画像上への走行補助線の表示状態を示す図
【図14】従来の走行補助線の表示方法の一例を示す図
【符号の説明】
【0136】
1 俯瞰画像
7 駐車支援装置
8 フロントカメラ
9 バックカメラ
10 左サイドカメラ
11 右サイドカメラ
14 車両周辺監視画像表示処理部
15 ディスプレイ
17 軌跡算出部
19 駐車スペース傾き算出部
24 走行補助線表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺の所定の撮影領域を撮影する撮影装置と、
この撮影装置による撮影映像を用いて自車両の周辺の所定の監視領域を監視するための車両周辺監視画像を生成し、生成された前記車両周辺監視画像を表示部に表示する車両周辺監視画像表示処理装置と、
前記自車両を駐車スペースに駐車させる際に、前記自車両のハンドルの舵角に基づいて、前記自車両における左後方側部位の予想軌跡として、前記自車両の左後輪の予想されるタイヤ軌跡または前記自車両における実際もしくは仮想上の左後方側角部についての予想される移動軌跡を算出するとともに、前記自車両における右後方側部位の予想軌跡として、前記自車両の右後輪の予想されるタイヤ軌跡または前記自車両における実際もしくは仮想上の右後方側角部についての予想される移動軌跡を算出する軌跡算出装置と、
前記自車両を前記駐車スペースに駐車させる際に、前記自車両の全長方向または車幅方向に対する前記駐車スペースの奥行き方向の傾きを算出する傾き算出装置と、
前記軌跡算出装置の算出結果と前記傾き算出装置の算出結果とを用いて、前記自車両を前記駐車スペースに駐車させるための前記自車両の後退走行を補助する走行補助線を生成し、生成された前記走行補助線を前記駐車スペースが含まれる前記車両周辺監視画像上に重畳表示する走行補助線表示処理装置と
を備え、
前記走行補助線表示処理装置は、
前記左後方側部位の予想軌跡の一部をなす左側の第1の線分であって、前記左後方側部位の予想軌跡を描く前記左後輪または前記左後方側角部から、前記左後方側部位の予想軌跡とこの予想軌跡に接する前記駐車スペースの奥行き方向に平行な接線との接点に至るような左側の第1の線分と、
前記右後方側部位の予想軌跡の一部をなす右側の第1の線分であって、前記右後方側部位の予想軌跡を描く前記右後輪または前記右後方側角部から、前記右後方側部位の予想軌跡とこの予想軌跡に接する前記駐車スペースの奥行き方向に平行な接線との接点に至るような右側の第1の線分と、
前記左後方側部位の予想軌跡に接する前記接線の一部をなす左側の第2の線分であって、前記左側の第1の線分が至る前記接点において前記左側の第1の線分に接続され、当該接点から前記駐車スペースの奥側へと向かうような左側の第2の線分と、
前記右後方側部位の予想軌跡に接する前記接線の一部をなす右側の第2の線分であって、前記右側の第1の線分が至る前記接点において前記右側の第1の線分に接続され、当該接点から前記駐車スペースの奥側へと向かうような右側の第2の線分と
を算出した上で、
前記走行補助線として、前記左側の第1の線分に対応する画像である左側の第1の補助線部および前記左側の第2の線分に対応する画像である左側の第2の補助線部からなる左側の走行補助線と、前記右側の第1の線分に対応する画像である右側の第1の補助線部および前記右側の第2の線分に対応する画像である右側の第2の補助線部からなる右側の走行補助線との2本の走行補助線を生成するように形成されていることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記軌跡算出装置は、前記舵角の変更にともなって、前記予想軌跡の算出結果を変更可能に形成され、
前記傾き算出装置は、前記自車両の後退走行の進行にともなって、前記傾きの算出結果を変更可能に形成され、
前記走行補助線表示処理装置は、前記予想軌跡の変更および前記自車両の後退走行の進行の少なくとも一方に基づいて、前記第1の補助線部を変更可能に形成されているとともに、前記予想軌跡の変更および前記傾き算出装置の算出結果の変更の少なくとも一方に基づいて、前記第2の補助線部を変更可能に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記自車両が、前記ハンドルが切られた状態として前記左側および右側の第1の補助線部に沿って前記駐車スペースに向かう曲線走行をともなう後退走行を行った際に、前記左後輪または前記左後方側角部が、前記左側の第1の補助線部と前記左側の第2の補助線部との接続点に対応する位置に到達し、前記右後輪または前記右後方側角部が、前記右側の第1の補助線部と前記右側の第2の補助線部との接続点に対応する位置に到達した時点において、前記ハンドルを戻すことを促す警告を出力するハンドル戻し用警告出力装置を備えたこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記ハンドル戻し用警告出力装置は、音声および画像の少なくとも一方を用いて前記警告を出力するように形成されていること
を特徴とする請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記傾き算出装置は、前記撮影装置によって撮影された前記駐車スペースを区画する白線の撮影映像に基づいて、前記傾きの算出を行うように形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記傾き算出装置は、前記撮影装置によって撮影された前記駐車スペースを形成するパレットの撮影映像に基づいて、前記傾きの算出を行うように形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記傾き算出装置は、前記撮影装置によって撮影された前記自車両の周辺に駐車されている他車両の撮影映像に基づいて、前記傾きの算出を行うように形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記自車両の周辺に駐車されている複数台の他車両の配置状態を検出するための検出装置を備え、
前記傾き算出装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて前記傾きの算出を行うように形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記検出装置は、超音波センサを有することを特徴とする請求項8に記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記第2の補助線部の傾きを入力操作にしたがって調整する調整装置を備えたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項11】
前記調整装置は、前記表示部に、前記第2の補助線部の傾きの調整方向を指示するタッチパネル方式の矢印マークを表示するように形成され、前記矢印マークをタッチする入力操作にしたがって、前記第2の補助線部の傾きの調整を行うように形成されていること
を特徴とする請求項10に記載の駐車支援装置。
【請求項12】
前記第2の補助線部が前記駐車スペースに対して当該駐車スペースの間口方向における外側に逸脱しているか否かに基づいて、前記駐車スペースへの前記自車両の適切な駐車の可否を判定する駐車可否判定装置と、
この駐車可否判定装置によって前記自車両が前記駐車スペースに適切に駐車することが不可能である旨の判定が行われた場合に、現在の前記舵角では前記駐車スペースへの適切な駐車が不可能である旨の警告を出力する駐車不可通知用警告出力装置とを備えたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項13】
前記駐車不可通知用警告出力装置は、音声および画像の少なくとも一方を用いて前記警告を出力するように形成されていること
を特徴とする請求項12に記載の駐車支援装置。
【請求項14】
前記車両周辺監視画像は、前記自車両およびその周辺を前記自車両の上方から見下ろした俯瞰画像とされていること
を特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項15】
前記車両周辺監視画像は、前記自車両の後方を監視するためのリアビュー画像とされていること
を特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−71659(P2009−71659A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238996(P2007−238996)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】