説明

高分子半導体化合物、薄膜トランジスタおよび薄膜トランジスタを製造する方法

【課題】熱アニーリングを行わずに高い電界効果移動度を達成する高分子半導体を提供する。
【解決手段】式1で示される高分子半導体化合物である。


(1)
(式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せからなる群より選択される側鎖であり、かつ、R、R、RおよびR側鎖の少なくとも1つは水素原子でなく、kは、1から200の反復単位の数を表し、Aは二価結合であり、かつ、BおよびCは、独立に、結合、二価結合、およびそれらの組合せからなる群より選択され、m、n、pおよびqは、各々個別に0から20を表し、前記BおよびCの両方がチエノ[3,2−b]チオフェンである場合、mおよびnは1ではなく、かつpおよびqは1ではなく、かつ、R、R、RおよびRは、高い移動度を促進し、弱い側鎖相互作用をもたらす形で配置されている。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子半導体化合物、薄膜トランジスタおよび薄膜トランジスタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンテッド有機エレクトロニクス(POE:printed organic electronics)の製造は、そのような装置が超低コストであり、溶液での加工が可能であり(solution processable)、機械的耐久性および構造的柔軟性を有するため、深い関心が寄せられている。POEの1つの種類である、プリンテッド薄膜トランジスタ(TFT)は、それが、例えば、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード、電子ペーパ、高周波識別タグ(RFID)における適用のための、有望な、シリコン技術の低コスト代替物であるために、近年大きな注目を浴びている。
【0003】
上記の特徴は、柔軟なTFTをプラスチック基板を含む多数の基板上で製造するために望ましい。高分子半導体を備えたプラスチック基板の使用により、硬いシリコンTFTを、機械的に耐久性が高く、構造的に柔軟なTFTに変換することができる。この変換は、大面積画像センサ、電子ペーパおよびその他のディスプレイ媒体などの大面積装置に特に価値があり得る。
【0004】
高分子半導体、例えば、ポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ビチオフェン](PQT)の移動度は0.1から0.2cm/V・sである。しかしながら、PQTの反復単位中の2つの置換もしくは非置換チオフェン環がともに縮合する場合、PQT誘導体、例えば、ポリ(2,5’−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェン)およびポリ(2,5’−ビス(2−チエニル)−3,6−ジアルキルチエノ[3,2−b]チオフェン)の移動度は、少なくとも2倍増加する。この結果は、縮合環が大きいほど、より良い分子間π共役およびより良い分子内π−πスタッキングを誘導し、従ってより良い移動度を誘導することを示す。しかしながら、2つのチオフェン環が高分子の主鎖に対して直線的にまたは平行に縮合される場合、低い溶解度がもたらされる場合が多い。
【0005】
さらに、基板の加熱または「アニーリング」は、このPQTおよびその誘導体高分子に基づく現在のPOE装置を製造する際に重要な工程である。この時間とエネルギを消費するアニーリング工程は、低コストPOEを製造するために用いられるロールツーロール(roll−to−roll)の大規模製造プロセスには適合しない。
【0006】
上記およびその他の問題点は、本出願によって取り組まれ、その実施形態において、本出願は、主鎖の方向に対してほぼ直角に(perpendicular)伸張されて弱い側鎖相互作用を生じるπ共役を含む高分子半導体のクラスに関する。主鎖に対してほぼ直角に伸張されたπ共役を含む高分子半導体は、溶解度および結晶化度を促進する。また、弱い側鎖相互作用をもつ高分子半導体は、高温アニーリングの必要なく、高性能の高分子半導体の作製を可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本出願は、先行する高分子半導体を上回る利点を達成し、かつ、様々な側鎖が、側鎖相互作用がないかまたは弱い側鎖相互作用をもたらすような形で配置されており、従って熱アニーリングを行わずに高い電界効果移動度を達成する高分子半導体を開示する。本出願はまた、先行する高分子半導体を上回る利点を達成し、かつ、縮合している環構造が共役主鎖に対してほぼ直角に伸張されており、従って高い移動度に対して良好な溶解度および高い結晶化度の両方を達成する高分子半導体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態では、式1で示される高分子半導体化合物が提供される。
【化1】


(1)
(式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せからなる群より選択される側鎖であり、かつ、R、R、RおよびR側鎖の少なくとも1つは水素原子でなく、kは、1から約200の反復単位の数を表し、Aは二価結合であり、かつ、BおよびCは、独立に、結合、二価結合、およびそれらの組合せからなる群より選択され、m、n、pおよびqは、各々個別に、0から約20を表し、BおよびCの両方がチエノ[3,2−b]チオフェンである場合、mおよびnは1ではなく、かつpおよびqは1ではなく、かつR、R、RおよびRは、高い移動度を促進し、弱い側鎖相互作用をもたらす形で配置されている。)
【0009】
さらなる実施形態では、式1で示される高分子半導体化合物を有する高分子半導体層を含む薄膜トランジスタが提供される。
【化2】


(1)
(式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せからなる群より選択される側鎖であり、かつ、R、R、RおよびR側鎖の少なくとも1つは水素原子でなく、kは、1から約200の反復単位の数を表し、Aは二価結合であり、かつ、BおよびCは、独立に、結合、二価結合、およびそれらの組合せからなる群より選択され、m、n、pおよびqは、各々個別に、0から約20を表し、BおよびCの両方がチエノ[3,2−b]チオフェンである場合、mおよびnは1ではなく、かつpおよびqは1ではなく、かつR、R、RおよびRは、高い移動度を促進し、弱い側鎖相互作用をもたらす形で配置されている。)
【0010】
さらに、基板と、ゲート電極と、ゲート誘電体層と、絶縁層と、ソース電極およびドレイン電極と、ソース/ドレイン電極およびゲート誘電体層と接触している、式1で示される高分子半導体化合物を含む半導体層と、を含む薄膜トランジスタを製造する方法であって、
【化3】


(1)
(式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せからなる群より選択される側鎖であり、かつ、R、R、RおよびR側鎖の少なくとも1つは水素原子でなく、kは、1から約200の反復単位の数を表し、Aは二価結合であり、かつ、BおよびCは、独立に、結合、二価結合、およびそれらの組合せからなる群より選択され、m、n、pおよびqは、各々個別に、0から約20を表し、BおよびCの両方がチエノ[3,2−b]チオフェンである場合、mおよびnは1ではなく、かつpおよびqは1ではなく、かつ、R、R、RおよびRは、高い移動度を促進し、弱い側鎖相互作用をもたらす形で配置されている。)
その方法は、ゲート電極およびゲート誘電体層を形成する工程と、式1の高分子半導体化合物を基板に蒸着して基板の表面に高分子半導体化合物の活性層を形成する工程であって、この際、高分子半導体化合物の活性層の形成の後に高温のアニーリングは行われない工程と、および、ソース電極およびドレイン電極を蒸着する工程と、を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施形態では、高分子半導体は、式(1)から(6)で表され得る。
【化4】


(1)
【化5】


(2)
【化6】


(3)
【化7】


(4)
【化8】


(5)
【化9】


(6)
【0012】
式中、各R、R、R、RおよびRは、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子であってもよく、m、n、pおよびqは、約1から約5000、約2から約3000または約5から約1000、約5から約800、約5から約200または約5から約75のチエニレン単位の数を表すことができ、kは、約1から約5000、約2から約3000または約5から約1000、約5から約800、約5から約200または約5から約75の反復単位の数を表すことができる。式(1)は、高分子半導体化合物の一般的な構造を表す。
【0013】
特に断りのない限り、R、R’、R、R、RおよびRに対する置換基を特定する際、語句「炭化水素基」は、非置換の炭化水素基および置換されている炭化水素基の両方を包含する。非置換の炭化水素基は、例えば、約1から約50個の炭素原子、約1から約30個の炭素原子、約5から約40個の炭素原子または約10から約35個の炭素原子を含み得る。しかしながら、前記高分子半導体化合物中の少なくとも1つの置換基、R、R、RおよびRは水素原子であってはならない。実施形態では、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、炭化水素基である。非置換の炭化水素基の例としては、例えば、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、およびアリールアルキル基を挙げることができる。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびそれらの異性体を挙げることができる。
【0014】
置換炭化水素基は、例えば、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、硫黄、アミノ、ニトロ、シアノ、メトキシル、エトキシル、プロポキシ、またはそれらの組合せで置換された、例えば約1から約70個の炭素原子、約1から約40個の炭素原子、約10から約60個の炭素原子および約20から約50個の炭素原子を含み得る。置換炭化水素基は、例えばヘテロ原子を含む、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、およびアリールアルキル基であってもよい。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびそれらの異性体を挙げることができる。実施形態では、炭化水素基は、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールであってもよい。
【0015】
特に断りのない限り、R、R’、R、R、RおよびRに対する置換基を特定する際、用語「ヘテロ原子」には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、硫黄、窒素、酸素、またはそれらの組合せが含まれる。さらに、ヘテロ原子は、例えば、塩素もしくはフッ素などの単一の原子、または、例えば、アミノ化合物(NH)中の窒素原子(N)およびSO化合物中の硫黄原子(S)などの化合物に含まれる単一の原子であってよい。
【0016】
実施形態では、高分子半導体は、対称性のある反復単位を有し得る。本明細書において、用語「対称性のある反復単位」とは、高分子半導体の主鎖から下に対称な形で反復される同じ置換基または炭化水素基を含む高分子半導体をさす。
【0017】
高分子の数平均分子量(Mn)は、例えば、約1,000から約150,000を含む、約500から約400,000であってもよく、重量平均分子量(Mw)は、約1,500から約200,000を含む、約600から約500,000であってもよく、両方ともにポリスチレン標準品を用いるゲル浸透クロマトグラフィにより測定される。
【0018】
実施形態では、Aは、共役した縮合環二価結合である。縮合環二価結合は、π共役を形成するために少なくとも8個の電子を有する。例えば、8から30個の電子、または10から20個の電子でπ共役が形成される。実施形態では、縮合環のπ共役は、主鎖に対して直角に伸張される。
【0019】
さらなる実施形態では、高分子半導体化合物においてAは、少なくとも4個の炭素原子、例えば、約4から約40個の炭素原子、約6から約30個の炭素原子、約8から約24個の炭素原子および約8から約16個の炭素原子を有する任意の二価結合から選択され得る。二価結合の例としては、例えば、以下の結合またはそれらの組合せを挙げることができる。R’の例としては、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子またはそれらの組合せを挙げることができる。
【0020】
【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】

【0021】
一層さらなる実施形態では、高分子半導体化合物中のBおよびCは、結合ならびに少なくとも4個の炭素原子、例えば、約4から約40個の炭素原子、約6から約30個の炭素原子、約8から約24個の炭素原子および約8から約16個の炭素原子などを有する任意の二価結合から選択され得る。二価結合の例としては、例えば、以下の結合またはそれらの組合せを挙げることができる。R’の例としては、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子またはそれらの組合せを挙げることができる。
【0022】
【化16】


【化17】


【化18】


【化19】


【化20】


【化21】


【化22】


【化23】


【化24】


【化25】


【化26】


【化27】


【化28】


【化29】

【0023】
本明細書において、高分子半導体の置換基間の、語句「結合」は、化学結合である。この化学結合は、例えば、共有結合、水素結合、配位錯体結合、またはイオン結合、あるいは異なる化学結合の混合体の形態をとり得る。実施形態では、結合は共有結合である。
【0024】
実施形態では、BおよびCの両方が下記のチエノ[3,2−b]チオフェンであれば、式(1)および式(2)のmおよびnとして特徴付けられる反復単位の数は、ともに1に等しくなり得ない。
【化30】

【0025】
さらに実施形態では、BおよびCの両方が下記のチエノ[3,2−b]チオフェンであれば、式(1)および式(2)のpおよびqとして特徴付けられる反復単位の数は、ともに1に等しくなり得ない。
【化31】

【0026】
下記の図にさらに図解されるように、2つの置換基または炭化水素基が高分子半導体の構造内の任意の2つの隣接するチオフェン単位に対して3および3’位に存在する場合を除いて、高分子半導体は、共重合体または非対称の反復単位の任意の組合せ中で配置されることができる。
【0027】
【化32】

【0028】
言い換えれば、2つの隣接するチオフェン単位の第3環位(3および3’)での同時置換は許容されない。3環位に置換基が同時に存在すると、共平面からの2つの隣接するチオフェン単位のねじれ偏差(torsional deviation)を引き起こし、従って高分子半導体のπ共役を有意に短くする可能性がある。π共役を短くすることは、短いπの非局在化をもたらし、従って、結果として弱い電荷担体輸送能および低い移動度がもたらされる可能性がある。
【0029】
さらなる実施形態では、高分子半導体の式(1)および(2)の構造は、弱い側鎖相互作用に起因する高移動度を促進するいずれの形で配置されてもよく、高温の熱アニーリングを必要としない。本明細書において、語句「高移動度」は、0.1cm/V・sよりも大きい、高分子半導体化合物の任意の移動度であり、それは、上に述べたように、PQT化合物に対する移動度の上限である。
【0030】
高分子半導体内の弱い側鎖相互作用は、1)側鎖の反復間隔(repeating distance)を狭くして、側鎖の相互嵌合(interdigitation)をなくすこと、2)側鎖間の反復間隔を広くして、非常に緩い側鎖の相互嵌合を形成すること、または3)高分子半導体の主鎖に対して直角にかさ高い炭化水素基を置換すること、により達成され得る。
【0031】
図3は、ポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ビチオフェン](PQT)半導体高分子の隣接する側鎖と側鎖の相互嵌合の間の反復間隔を図示する。図3に示すように、高分子主鎖の片側での隣接する2つの側鎖間の距離は、約12オングストロームである。この距離は、別の高分子の1つのアルキル側鎖をこの空間に入り込ませ、相互嵌合作用(interdigitation interaction)を形成させるのに十分である。この場合、PQT半導体は強い側鎖相互作用を有する。熱特性に関して、側鎖の相転移、例えば側鎖の溶融は、Digital Scanning Colormeter(DSC)熱線図に見出すことができた。
【0032】
実施形態では、高分子半導体は、側鎖が弱い側鎖相互作用をもたらすような形で配置されている限り、この望ましくない強い側鎖相互作用を達成することはない。高分子半導体の熱特性に関して、そのDSC熱線図における側鎖の相転移、例えば、側鎖の溶融は起こらない。
【0033】
実施形態では、高分子半導体の弱い側鎖相互作用は、側鎖の相互嵌合がないように側鎖間の反復間隔を狭めることにより達成され得る。図4には、側鎖間の反復間隔が、PQTの距離(12オングストローム)よりも狭い9.3オングストロームの距離まで狭められている高分子半導体が図示される。この距離は、別の高分子を側鎖がこの空間に入らせ、任意の相互嵌合作用を形成させるには狭すぎる。言い換えれば、このシナリオは「側鎖の相互嵌合の不在」を具体化する。
【0034】
実施形態では、高分子半導体上の側鎖は、約10オングストロームから約4.5オングストロームおよび約8オングストロームから約5オングストロームの距離まで狭められ得る。この距離が側鎖の分布様式に応じて変化し得ることは理解されたい。例えば、空間が、上の例に示されるように、同時に2つの側鎖を導入する必要がある場合、側鎖の相互嵌合を避けるために必要とされる距離は上記とは異なり得る。
【0035】
高分子半導体の弱い側鎖相互作用はまた、緩い相互嵌合を促進するように側鎖間の反復間隔を広くすることにより達成され得る。図5に示されるように、2つの隣接する側鎖間の距離は、PQTの距離(12オングストローム)よりも大きい約16.1オングストロームである。従って、別の高分子の側鎖がこの空間に入り込む場合、側鎖間の相互作用は相互嵌合作用を形成するには弱すぎる。
【0036】
実施形態では、緩い相互嵌合は、側鎖間の距離を、約14オングストロームから約50オングストロームおよび約16オングストロームから約25オングストロームの距離まで広げることにより得られ得る。
【0037】
この弱い側鎖相互作用はまた、高分子半導体の主鎖に対して直角にかさ高い炭化水素基を置換することにより達成され得る。本明細書において、かさ高い炭化水素基という語句中の語「かさ高い(bulky)」は、少なくとも10個の炭素原子、例えば、約10から約500個の炭素原子、約20から約200個の炭素原子、約30から約100個の炭素原子および約40から約75個の炭素原子を含有する任意の炭化水素基である。
【0038】
実施形態では、「縮合芳香族(fused aromatic)」または、主鎖に対して直角に伸張される、増大したπ共役を有する高分子半導体は、溶解度を増大させ、結晶化度を促進する。高分子半導体の溶解度は、約1.5から約3、約1.75から約2.75および約2.0から約2.25倍増大し得る。高分子半導体の結晶化度は、1.5から約3、約1.75から約2.75および約2.0から約2.25倍増加し得る。本明細書において、語句「縮合芳香族」は、共有されるC−C結合によって結合される任意の2つの芳香族化合物として定義され得る。例としては、以下の芳香族化合物またはそれらの混合物が挙げられ得る。
【0039】
【化33】

【0040】
弱い側鎖相互作用をもつ高分子半導体は、高分子主鎖を再配列(reorder)するための高温アニーリング温度の必要なく、高い移動度を促進する。しかしながら、アニーリングが必要とされる場合、高分子半導体に対するアニーリング温度は、約180℃未満、例えば、約150℃未満、約100℃未満、約75℃未満または約50℃未満であってもよい。
【0041】
式(1)の高分子半導体は、普通の塗布溶媒に可溶性または実質的に可溶性である、例えば、実施形態では、それらは、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、などの溶媒中、少なくとも約0.1重量%、より具体的には、約0.5重量%から約10重量%、または約0.5重量%から約50重量%の溶解度を有する。さらに、本明細書において説明される式の高分子半導体は、安定な導電率、例えば、従来の四探針での導電率測定(four−probe conductivity measurement)により決定される、約10−9S/cmから約10−4S/cm、より具体的には、約10−8S/cmから約10−5S/cmを与える。
【0042】
さらに他の実施形態では、
(a)ゲート誘電体層、
(b)ゲート電極、
(c)半導体層、
(d)ソース電極、
(e)ドレイン電極、および
(f)基板層
を含み、ゲート誘電体層、ゲート電極、半導体層、ソース電極、ドレイン電極および基板層は、ゲート電極と半導体層が両方ともにゲート誘電体層と接触し、ソース電極とドレイン電極が両方ともに半導体層と接触してさえいればどのような順序であってもよく、かつ、半導体層が本明細書に記載される高分子半導体化合物を含む、薄膜トランジスタが提供される。
【0043】
実施形態では、さらに本開示に関して、基板層は、一般に、適当な形態の様々なシリコン、ガラスプレート、プラスチック膜またはシート、および意図される適用に応じた同様のものを含めたシリコン材料であり得る。構造的に柔軟な装置には、プラスチック基板、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドシートなどが選定され得る。基板の厚さは、例えば、約10μmから約100mmであってもよく、特に、柔軟なプラスチック基板について、具体的な厚さは約50から約100μm、さらに、硬い基板、例えばガラスまたはシリコンについて、約1から約10mmであってもよい。
【0044】
ソースおよびドレイン電極からゲート電極を分離することができ、半導体層に接しているゲート誘電体層は、一般に、無機材料膜、有機高分子膜、または有機無機複合膜であってもよい。ゲート誘電体層の厚さは、例えば、約10nmから約1μmであってもよく、より具体的な厚さは約100nmから約500nmであってもよい。誘電体層として適した無機材料の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、バリウムジルコネートチタネートなどが挙げられ得る。誘電体層のための有機高分子の例としては、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリ(ビニルフェノール)、ポリイミド類、ポリスチレン、ポリ(メタクリレート)類、ポリ(アクリレート)類、エポキシ樹脂などが挙げられ得る。無機有機複合材料の例としては、高分子、例えばポリエステル、ポリイミド、エポキシ樹脂などの中に分散しているナノサイズ金属酸化物粒子が挙げられ得る。ゲート誘電体層は、一般に、用いる誘電体の誘電率に応じて約50nmから約500nmの厚さである。より具体的には、誘電体の誘電率は、例えば、少なくとも約3であり、従って、約300nmの適した誘電体厚は、所望のキャパシタンス、例えば、約10−9から約10−7F/cmを与えることができる。
【0045】
例えば、誘電体層とソース/ドレイン電極の間に接触して位置しているのは、本明細書において示される式の高分子半導体を含む活性半導体層であり、この層の厚さは、一般に、例えば、約10nmから約1μm、または約40から約100nmである。この層は、一般に、溶液処理、例えば、本開示の高分子半導体の溶液のスピンコーティング、キャスティング、スクリーン、スタンプ、またはジェットプリンティングにより製造され得る。
【0046】
ゲート電極は、薄い金属膜、導電性高分子膜、導電性インクまたはペーストから生成された導電膜、または基板自体(例えば高濃度ドープシリコン)であってもよい。ゲート電極材料の例としては、金、クロム、酸化インジウムスズ、導電性高分子、例えばポリスチレンスルホネートをドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS/PEDOT)など、高分子バインダ、例えばAcheson Colloids Companyより入手可能なElectrodagなどの中に含まれているカーボンブラック/グラファイトまたはコロイド状銀分散体を含む導電性インク/ペースト、およびNoelle Industriesより入手可能な銀充填導電性熱可塑性インク、などが挙げられ得る。ゲート層は、真空蒸発、金属または導電性金属酸化物のスパッタリング、導電性高分子溶液または導電性インク、または分散体からのスピンコーティング、キャスティングまたはプリンティングによるコーティングにより調製され得る。ゲート電極層の厚さは、例えば、約10nmから約10μmであってもよく、具体的な厚さは、例えば、金属膜については約10から約200nm、高分子導体については約1から約10μmであってもよい。
【0047】
ソースおよびドレイン電極層は、半導体層への低抵抗オーム接触をもたらす材料から製造され得る。ソースおよびドレイン電極としての使用に適した典型的な材料としては、ゲート電極材料の材料、例えば、金、ニッケル、アルミニウム、白金、導電性高分子、および導電性インクが挙げられ得る。この層の典型的な厚さは、例えば、約40nmから約1μmであってもよく、より具体的な厚さは約100から約400nmであってもよい。TFTデバイスは、幅Wおよび長さLを有する半導体チャネルを含む。半導体チャネル幅は、例えば、約10μmから約5mmであってもよく、具体的なチャネル幅は約100μmから約1mmであってもよい。半導体チャネル長さは、例えば、約1μmから約1mmであってもよく、より具体的なチャネル長さは約5μmから約100μmであってもよい。
【0048】
ソース電極を接地させ、一般に、例えば、約0ボルトから約−80ボルトのバイアス電圧をドレイン電極に印加して、一般に、例えば、約+10ボルトから約−80ボルトの電圧をゲート電極に印加する際に半導体チャネル上を輸送される電荷担体を収集する。
【0049】
実施形態では、本明細書の式に従う高分子半導体化合物を有する高分子半導体層を含む薄膜トランジスタのためのアニーリング温度は、約150℃またはそれ未満、約125℃またはそれ未満、あるいは約100℃またはそれ未満である。
【0050】
図1は、ゲート電極(18)およびゲート電極(18)を含むゲート誘電体層(14)と接触している基板(16)を含むTFT構成を示す。ゲート誘電体層(14)の上に、ソース電極(20)およびドレイン電極(22)がある。このソース電極(20)とドレイン電極(22)の上方およびそれらの間に位置するのが高分子半導体層(12)である。ゲート電極(18)は、基板(16)の中、ゲート誘電体層(14)の中など全体の中に含まれ得る。
【0051】
図2は、ゲート電極(18)およびゲート電極(18)を含むゲート誘電体層(14)と接触している基板(16)を含むTFT構成を示す。ゲート誘電体層(14)の上に、高分子半導体層(12)がある。高分子半導体層(12)の上方にはソース電極(20)およびドレイン電極(22)がある。
【0052】
本明細書に列挙されていない、本開示のTFTデバイスの様々な構成要素に対するその他の既知の適した材料もまた、実施形態において選定することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
式(1)に従う高分子半導体である、ポリ(4,8−ジドデシル−2,6−ビス−(3−メチルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン)の合成反応は、以下の図で表すことができる。この高分子は、広い側鎖間隔に起因して弱い側鎖相互作用を有する。
【0055】
【化34】

【0056】
<3−メチルチオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル[4]の形成>
100mLの三つ口丸底フラスコをアルゴンガスでフラッシュし、次に、減圧下で加熱しながら排気した。この手順を2回繰り返した後、削り状マグネシウム(1.65g、67.8mmol)を加えた。このフラスコを再びアルゴンで10分間フラッシュした後、10mLの無水エーテルを撹拌しながら加え、それに続いて20mL無水エーテル中、2−ブロモ−3−メチルチオフェン(10.0g、56.5mmol)の5mL溶液をゆっくり加えた。反応混合物をヒートガンでわずかに加熱して反応を開始させ、反応は約3分後にガス発生とともに生じた。その後、全ての残留2−ブロモ−3−メチルチオフェン溶液を加え、室温にてさらに2時間反応を進行させた。
【0057】
得られる反応混合物を別の100mLフラスコに移し、−78℃まで冷却し、その後、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(17.3mL、169.5mmol)を注入器で加えた。得られる溶液を室温にて18時間撹拌した後、15mLの水を反応混合物に加え、有機層と水層を分離した。水性部分をCHCl(3×50mL)で抽出し、抽出物を有機部分と合わせて、無水MgSOで乾燥させ、蒸発乾固させた。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィによる残渣の精製(溶出液:ヘキサン/ジクロロメタン、4/1、v/v)により、真空乾燥後、白色粉末として10.1g(収率:80%)の純粋な生成物を得た。
【0058】
<4,8−ジドデシル−2,6−ビス−(3−メチルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン[5]の形成>
100mLの三つ口反応フラスコに、1.0g(1.46mmol)の2,6−ジブロモ−4,8−ジドデシルベンゾ[1,2−b:4,5;b’]ジチオフェン、0.82g(3.65mmol)の3−メチルチオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル、および25mLのトルエンを加えた。得られる混合物を撹拌し、アルゴンでパージした後、0.034gのテトラキス(トリフェニルホスフィン パラジウム(0))(Pd(PhP))、5mLトルエン中0.36gのアリコート(Aliquat)、および4.2mLの2M NaCO水溶液の混合物を加えた。その後、反応混合物を105℃にて26時間、撹拌しながら加熱し、室温まで冷却した。
【0059】
次に、100mLのトルエンを加え、有機層を分離し、水で3回洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過した。蒸発後、濾液は固形の残渣を生じ、それをシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(溶出液:ヘキサン/ジクロロメタン、7/1、v/v)で精製し、次いで2−プロパノ−ルからさらに再結晶させて、0.57gの純粋な生成物(収率:57%)を黄色い針状結晶として得た。
【0060】
<ポリ(4,8−ジドデシル−2,6−ビス−(3−メチルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン[2a]の形成>
0.41gの4,8−ジドデシル−2,6−ビス−(3−メチルチオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェンのクロロベンゼン10mL溶液を、アルゴン雰囲気下、50mLの丸底フラスコ中のクロロベンゼン10mL中0.46gのFeClのよく撹拌した混合物に1分にわたり滴下した。得られる混合物を65℃に加熱し、この温度にて48時間、アルゴンブランケット下で維持した。
【0061】
室温まで冷却した後、15mLのクロロベンゼンを加えた。得られる混合物を200mLのメタノールに注入し、20分間超音波処理した(ultrasonicated)後、室温にて1時間撹拌すると沈殿が形成された。沈殿生成物を濾過し、200mLメタノールおよび50mLの30%アンモニア水溶液のよく撹拌した混合物に加えた。次に、沈殿生成物を再び5分間超音波処理し、室温にて3日間撹拌して固体を形成した。この固体を濾過し、メタノール、次いでヘプタンを用いるソックスレ抽出に付して低分子量材料を除去した。残った固形残渣を200mLクロロベンゼンで16時間抽出して、褐色のクロロベンゼン抽出物を得て、溶媒除去および真空乾燥により0.12g(収率46%)の純粋な褐色の金属様(metallic−like)高分子半導体を得た。
【0062】
<デバイスの製造および評価>
ポリ(4,8−ジドデシル−2,6−ビス−(3−メチルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン)を半導体層として含む、ボトムゲート、トップコンタクト型TFT試験デバイスを、周囲条件下、空気、湿度および周囲光を排除する特別な注意を払わずに、シリコンウエハ上に作製した。熱(thermal)二酸化ケイ素(SiO)の200nmのトップ層を含む、高濃度でn−ドープされたシリコンウエハを、ゲート誘電体としての役割を果たすSiOトップ層を含む基板/ゲート電極として用いた。ウエハのSiO表面を酸素プラズマで洗浄した後、洗浄されたウエハをオクチルトリクロロシラン(OTS−8)のトルエン中0.1M溶液に60℃にて30分間浸漬した。次に、ウエハをトルエンおよび2−プロパノールですすぎ、次に空気乾燥させた。
【0063】
次に、ポリ(4,8−ジドデシル−2,6−ビス−(3−メチルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン)の1,2−ジクロロベンゼン中の温溶液(約50℃)(0.5重量%)を1000rpmにて30秒間スピンコーティングすることにより、シラン処理したSiO表面の上部に高分子半導体層を蒸着し、この基板を70℃にて10分間真空乾燥させて40から100nm厚さの高分子半導体層を形成した。熱アニーリングは適用しなかった。その後、一組の金ソース/ドレイン電極対を、シャドーマスクを介して真空蒸着させることにより高分子半導体層の表面に蒸着した。これにより様々なチャネル長さ(L)および幅(W)寸法をもつ一組のTFTが作製される。チャネル長さが40、90または190μm、チャネル幅が1または5mmの得られるTFTデバイスは、空気中、黒色の金属箱中の、Keithley SCS−4200でパターン化され特性決定された。
【0064】
FET移動度を、ゲート掃引からの飽和領域の次の方程式を用いて抽出した。
=μCi(V−V(W/2L)
ここで式中、Iは、ドレイン電流であり、μは、電界効果移動度であり、Ciは、ゲート誘電体層の単位面積あたりのキャパシタンスであり(SiO、200nm、Ci=15nF cm−2)、VおよびVはそれぞれゲート電圧および閾値電圧である。Vは、飽和領域のIの平方根とVとの間の関係から、測定データをI=0と推定して算出した。WおよびLはそれぞれチャネル幅および長さである。このTFTデバイスは、移動度0.15cm/V・sおよび電流オン/オフ比10を示した。
【0065】
上記に開示される種々の特徴および機能およびその他の特徴および機能、あるいはその代替形態が、多くのその他の異なるシステムまたは適用に組み合わされてもよいことは理解されたい。また、様々な現在予見されないまたは予期されない代替、変更、またはその改良も、その後に当業者により作製される可能性があり、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本開示の様々な代表的実施形態を示す図である。本明細書に示される式の高分子半導体は、薄膜トランジスタ(TFT)配置中の半導体材料として選択される。
【図2】本開示の様々な代表的実施形態が示す図である。本明細書に示される式の高分子半導体は、薄膜トランジスタ(TFT)配置中の半導体材料として選択される。
【図3】PQT半導体高分子の隣接する側鎖と側鎖の相互嵌合(interdigitation)間の反復間隔を示す図である。
【図4】本明細書に示される式の高分子半導体を示す図である。この場合、2つの隣接する側鎖間の反復間隔は9.3オングストロームに狭められており、従って別の高分子の側鎖がこの狭い空間に入り込み、何らかの相互嵌合作用(interdigitation interaction)を形成することができなくなっている。
【図5】本明細書に示される式の高分子半導体を示す図である。2つの隣接する側鎖間の反復間隔は16.1オングストロームに広げられている。広くなった側鎖間隔により別の高分子の側鎖を空間内に入らせることはできるが、相互嵌合が非常に緩いため、異なる高分子分子の側鎖間の相互作用は弱い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1で示される高分子半導体化合物。
【化1】


(1)
(式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せからなる群より選択される側鎖であり、かつ、R、R、RおよびR側鎖の少なくとも1つは水素原子でなく、
kは、1から200の反復単位の数を表し、Aは二価結合であり、かつ、BおよびCは、独立に、結合、二価結合、およびそれらの組合せからなる群より選択され、
m、n、pおよびqは、各々個別に0から20を表し、
前記BおよびCの両方がチエノ[3,2−b]チオフェンである場合、mおよびnは1ではなく、かつpおよびqは1ではなく、かつ、
、R、RおよびRは、高い移動度を促進し、弱い側鎖相互作用をもたらす形で配置されている。)
【請求項2】
式1で示される高分子半導体化合物を有する高分子半導体層を含む薄膜トランジスタ。
【化2】


(1)
(式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せからなる群より選択される側鎖であり、かつ、R、R、RおよびR側鎖の少なくとも1つは水素原子でなく、
kは、1から200の反復単位の数を表し、Aは二価結合であり、かつ、BおよびCは、独立に、結合、二価結合、およびそれらの組合せからなる群より選択され、
m、n、pおよびqは、各々個別に、0から20を表し、
前記BおよびCの両方がチエノ[3,2−b]チオフェンである場合、mおよびnは1ではなく、かつpおよびqは1ではなく、かつ、
、R、RおよびRは、高い移動度を促進し、弱い側鎖相互作用をもたらす形で配置されている。)
【請求項3】
基板と、ゲート電極と、ゲート誘電体層と、ソース電極およびドレイン電極と、前記ソース/ドレイン電極および前記ゲート誘電体層と接触している、式1で示される高分子半導体化合物を含む半導体層と、を含む薄膜トランジスタを製造する方法であって、
【化3】


(1)
(式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せからなる群より選択される側鎖であり、かつ、R、R、RおよびR側鎖の少なくとも1つは水素原子でなく、
kは、1から200の反復単位の数を表し、Aは二価結合であり、かつ、BおよびCは、独立に、結合、二価結合、およびそれらの組合せからなる群より選択され、
m、n、pおよびqは、各々個別に、0から20を表し、
前記BおよびCの両方がチエノ[3,2−b]チオフェンである場合、mおよびnは1ではなく、かつpおよびqは1ではなく、かつ、
、R、RおよびRは、高い移動度を促進し、弱い側鎖相互作用をもたらす形で配置されている。)
前記ゲート電極および前記ゲート誘電体層を形成する工程と、
式1の前記高分子半導体化合物を前記基板に蒸着して前記基板の表面に前記高分子半導体化合物の活性層を形成する工程であって、前記高分子半導体化合物の前記活性層の形成の後に高温のアニーリングが行われない工程と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極を蒸着する工程と、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−170906(P2009−170906A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2100(P2009−2100)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】