説明

高特性相互接続用カーボンナノチューブはんだ複合材料

本発明の実施例は、相互接続技術に関する。カーボンナノチューブ(CNT)が調製される。所定の体積比でCNTとはんだとを含む、CNT−はんだ複合材ペーストが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、ナノテクノロジーの分野に関し、特に、カーボンナノチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は、ナノテクノロジーにおいて有望な素子である。これらのカーボンナノチューブは、フラーレン関連構造であり、グラフェン(graphene)円柱からなる。カーボンナノチューブを用いることが有意な適用例には、将来のパッケージの際の熱に対する要望のための、高熱伝導性材料が含まれる。シリコン(Si)ダイと基板の間の相互接続に使用されるはんだは、主として、電気的比抵抗および低い強度もしくは剛性のため、電気泳動に対して固有の低い耐性を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的なはんだは、シリコンダイの金属化処理に使用される銅(Cu)に比べて、約102倍小さな電気泳動値を有する臨界積を有する。電気泳動が問題となる臨界電流密度は、Cuの場合、約106A/cm2である。従って、Cuに比べて102倍低いはんだの場合、電気泳動が問題となる臨界電流密度は、約104A/cm2である。換言すれば、既存のはんだは、電流密度が約104A/cm2に達した場合、電気泳動の大きなリスクを抱えていることになる。この電流密度は、既存の技術により対処される。現在、はんだの電気泳動は、界面反応および/または欠陥(例えば、ボイドもしくはトラップされたフィラー)により駆動され、これは、必ずしもはんだに固有の電気泳動によるものではない。電気泳動の問題は、他の技術によって処理され得るが、はんだは、それが約104A/cm2またはそれ以上の電流密度での電気泳動損傷に曝されると、すぐに電気泳動のリスクに直面する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例は、本発明の実施例の説明に使用される以下の説明および添付図面を参照することにより、明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の実施例は、相互接続技術である。カーボンナノチューブ(CNT)が調製される。予め定められた体積率のCNTおよびはんだを含む、CNT−はんだ複合材ペーストが形成される。次に、CNT−はんだ複合材ペーストは、ダイと基板の間の相互接続に適用される。
【0006】
以下の記載では、多くの特定の実施例について示す。しかしながら、本発明の実施例は、これらの特定の詳細を含まずに、実施することができることが理解される。例えば他の例では、この記載の理解を妨げることを避けるため、周知の回路、構造および技術は、示されていない。
【0007】
本発明の一実施例は、通常、フローチャート、フロー図、構造図、またはブロック図として示される方法として、説明される。フローチャートは、一連のプロセスとしての作動を示すものであるが、多くの作動は、並列にまたは同時に実施することも可能である。また、作動の順番は、再配置されても良い。プロセスは、その作動が完遂した際に終了する。プロセスは、方法、プログラム、手順、製作もしくは加工方法等に対応しても良い。
【0008】
本発明の実施例は、高い特性を有する相互接続用の複合材ペーストを形成する技術である。複合材ペーストは、パッケージ基板へのダイの取付等、いかなる相互接続用途に使用されても良い。複合材ペーストは、所定の体積率で、はんだペースト内に分散されたカーボンナノチューブ(CNT)を含む。はんだペーストは、はんだ粉末とペースト成分の混合物を含む。CNTは、金属の単層壁のまたはマルチ壁のCNTであっても良い。
【0009】
CNTは、いくつかの点で、金属材料よりも優れた熱的および電気特性を有する。先ず第1に、金属単層壁のまたはマルチ壁のCNTは、管の軸に沿った、管の全長に無関係な弾道導体である。例えば、5乃至10μmの全長の金属CNTは、銅(Cu)または銀(Ag)よりも数倍低い電気的比抵抗を有する。第2に、CNTは、強固な共有結合のため、109A/cm2を超えても破損しない、優れた通電能を有する。実験では、CNTは、250℃の109A/cm2の電流密度で、300時間以上、劣化を示さないことが示されている。第3に、CNTは、管の軸に沿って、約3000W/Kmの極めて高い熱伝導性を示す。この熱伝導性は、約420W/Kmの伝導率を有する銅のような、最良の金属材料、または約2000W/Kmの導電率を有するダイアモンドをも凌駕する。はんだペーストにCNTを導入し、これをマイクロ電子相互接続に使用することにより、104A/cm2の電流密度を超えて、はんだ技術を拡張することができる。得られるCNTはんだ複合材ペーストは、多くの用途に供される。まず、CNTは、高導電性経路を提供する。第2に、はんだを介した電子ウィンドは、CNTを介した優先的な導電性により、抑制され、その結果、はんだ内での電気泳動損傷が抑制される。第3に、CNTは、はんだマトリクスを強化し、これにより、信頼性が向上する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例を実施する際のシステム100を示す図である。システム100は、ウェハ加工段階105と、ウェハ調製段階110と、ウェハのダイシング段階120と、複合材ペーストを形成する段階125と、被覆段階130と、評価段階140と、ボード組立段階150とを有する。システム100は、半導体のパッキングプロセスの製造フローを表している。
【0011】
ウェハ加工段階105では、多くのダイスを有するウェハが加工される。個々のダイスは、マイクロプロセッサ、メモリ装置、インターフェース回路等、いかなるマイクロ電子装置であっても良い。ウェハ加工段階105は、半導体加工の典型的なプロセスを有し、例えば、ウェハ表面の調製、二酸化珪素(SiO2)の成長処理、パターン処理とその後の、所望の電気的特性を得るためのドーパントの注入処理もしくは拡散処理、ゲート誘電体の成長もしくは成膜処理、絶縁材料の成長もしくは成膜処理、ならびに金属および絶縁材料の層の成膜と、それを所望のパターンにするエッチング処理等を有する。通常の場合、金属層は、アルミニウム、または最近は銅で構成される。「ビア」と呼ばれる絶縁材料内のエッチングホールにより、各種金属層が相互接続される。
【0012】
ウェハ調製段階110では、パッキング用および評価用のダイスを有するウェハが調製される。この段階の間、ウェハは、パターン処理後に仕分けされる。ウェハの欠陥をチェックするため、検査が実施される。その後、ウェハは、バッキングテープに取り付けられ、ウェハの背面がこのテープに接着される。接着テープは、その後の段階の間、ハンドリング用の機械的な支持を提供する。
【0013】
ウェハのダイシング段階120では、ウェハが個々のダイスにダイカットされ、切断され、または裁断される。高精度の切断刃および画像認識ユニットが使用されても良い。ウェハ上に、脱イオン水を分散することにより、ダイシング段階での、いかなる残量粒子または汚染物も除去することができる。その後、ウェハは、高回転速度でのスピン乾燥処理により乾燥される。
【0014】
複合材ペーストを形成する段階125では、組立体の各種相互接続操作に使用される複合材ペーストが加工または製作される。これらは、被覆段階130におけるダイの取付処理、またはボード組立段階150でのパッケージ取付処理を含んでも良い。複合材ペーストは、はんだペースト中に分散されたCNTを有し、これにより電気泳動損傷が抑制され、はんだマトリクスが強化され、信頼性が高まり、高導電性の経路を提供することができる。
【0015】
被覆段階130では、ダイスおよびパッケージ基板が取り囲まれる。ダイスは、均一なものであっても、不均一なものであっても良い。被覆処理は、複合材ペースト形成段階125により提供された複合材ペーストを用いて、該複合材ペーストを印刷するステップ、ダイスを配置するステップ、フリップチップをフラクシングし、配置するステップ、リフロー処理するステップ、検査するステップ、十分に分散させるステップ、および硬化処理するステップ等を有する。統合熱拡散器(HIS)をダイと基板の組立体に設置しても良い。ダイスおよび基板の被覆された組立体は、評価を行うことが可能なパッケージとなる。
【0016】
評価段階140では、各種条件下で、パッケージに対して、1または2以上の試験が実施される。試験は、高加速応力試験(HAST)またはバイアス化HASTであっても良い。パッケージは、電力供給されても、されなくても良い。評価段階140は、任意であっても良い。
【0017】
ボード組立段階150では、パッケージが印刷回路ボードに組み立てられる。この段階では、装置パッケージがボードに取り付けられる。この段階は、各種はんだ処理プロセス、リフロー処理、試験および検査を含んでも良い。複合材ペースト形成段階125により提供される複合材ペーストは、はんだ処理およびリフロー処理に使用しても良い。その後、組み立てられたボードは、システムまたはユニットのプラットフォームに装着される。
【0018】
図2Aは、本発明の一実施例を実施する際のパッケージ200を示す図である。パッケージ200は、図1に示した被覆段階130において完成したパッケージを表す。このパッケージは、基板210およびダイ220を有する。
【0019】
基板210は、ダイ220に対して、支持および電気的相互接続を提供するパッケージ基板210である。基板210は、いかなる適当な材料であっても良く、シリコン、いかなるセラミックまたは高分子の基板であっても良い。基板210は、基板パッド212および基板隆起部215を有する。基板パッド212は、基板210の上部表面に配置され、ダイ220との相互接続用の接触点が提供される。基板隆起部215は、ダイ220に設置されるはんだ隆起部を提供する。あるパッケージ技術では、基板隆起部215は、任意であっても良い。
【0020】
ダイ220は、いかなる半導体ダイであっても良い。これは、マイクロプロセッサ、メモリ、インターフェースチップ、集積回路等のマイクロ電子装置を有しても良い。ダイ220は、多くのダイ隆起部225により、基板210に取り付けられる。ダイ隆起部225は、基板210上の基板パッド212または基板隆起部215との相互接続を提供する。ダイ隆起部225は、いかなる標準的な製作技術または加工技術を用いて、加工されても良い。ダイ220は、予備はんだ付け処理、フラクシング処理、およびリフロー処理段階において、基板210に取り付けられる。使用される場合、基板隆起部215とダイ隆起部215の少なくとも一つは、図1に示した複合材ペースト形成段階125により提供された、複合材ペーストで構成される。
【0021】
通常の場合、基板隆起部215もしくはダイ隆起部225のいずれかのはんだ隆起部は、蒸着のようなドライ処理、またはめっきのような湿式処理のいずれかを通じて、複合材ペーストを徐々に成膜する処理により構成される。蒸着隆起化技術は、通常、制御された崩壊チップ接続(C4)処理のような、ウェハの隆起化に使用される。この場合、ウェハ上の結合パッドに対して、金属マスク(例えばモリブデン)が整列され、これがクランプ締めされる。アルミニウムパッドへの蒸着を介して、下地隆起金属(UBM)が成膜される。次に、UBM表面への蒸着により、所定の体積率のCNTとはんだペーストとを有する複合材ペーストが成膜される。その後、金属マスクが除去される。形成されるはんだ隆起部は、しばしば、はんだを溶融するためリフロー処理される。同様に、ウェハの隆起化に、めっき隆起化技術が使用されても良い。最初にウェハは、シードメタルにより金属化される。次に、これは、フォトレジストを用いて、所望の隆起位置を露光することにより、パターン化される。次に、めっき浴を介して、ウェハをカソードとして、静的またはパルス電流が印加される。めっき後、フォトレジストが剥離され、シード金属がエッチング処理される。その後、隆起位置に複合材ペーストが成膜される。その後、複合材ペーストは、フラックスを用いてリフロー処理され、はんだ隆起部が形成される。
【0022】
また、いかなる他のはんだ隆起化技術を使用しても良い。これらの技術では、複合材ペーストは、平坦はんだの代わりに使用される。これらの隆起化技術は、液体はんだ輸送プロセス(例えば、メニスカス隆起化、ジェット隆起化)と、固体はんだ輸送プロセス(例えば、ワイヤ隆起化、球溶接、レーザ取付、転写はんだ輸送、粘着性ドットはんだ輸送、ピックアンドプレイスはんだ輸送、フラックスレスはんだ球隆起化)と、はんだペースト隆起化処理(印刷分離リフロー、印刷リフロー分離、分散処理)とを含む。使用隆起化技術に関わらず、改良された相互接続を提供するため、複合材ペーストは、通常のはんだの代わりに使用される。
【0023】
図2Bは、本発明の一実施例による複合材ペーストにより構成された、はんだ隆起部215/225を示した図である。はんだ隆起部215/225は、はんだペースト230とCNT240と含む混合物である。
【0024】
はんだペースト230は、はんだ粉末232およびペースト成分235の混合物である。はんだ粉末232は、錫−鉛(Sn/Pb)または適切な組成の鉛フリー合金のような、適当なはんだ材料の粉末であっても良い。通常の場合、共晶合金粉末が使用される。ペースト成分235は、フラックスのようないかなる適当な成分であっても良く、あるいは金属酸化物を除去することの可能で、はんだの拡散を促進する、いかなる他の化学的助剤であっても良い。
【0025】
CNT240は、金属の単層壁のまたはマルチ壁のCNTであっても良く、このCNTは、所定の体積率で、はんだペースト230内に分散され、あるいは埋設される。これらは、複合材ペーストを形成する処理に応じて、長CNTであっても短CNTであっても良い。長CNTは、約10μmから30μmの範囲の全長を有しても良い。短CNTは、最大約10μmの範囲の全長を有しても良い。体積率は、ある所望の電気的特性により定められても良い。これは、はんだ隆起部215/225全体に対するCNTの重量、または全重量に対するCNTの重量百分率の間の比である。これは、30%から40%の間であっても良い。CNT240は、カーバイド形成元素により、コーティングされても良い。カーバイド形成元素は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびタンタル(Ta)のいずれかであっても良い。
【0026】
図3は、本発明の一実施例による複合材ペーストを形成するための処理300を示すフローチャートである。
【0027】
スタートでは、処理300により、カーボンナノチューブ(CNT)が調製される(ブロック310)。CNTは、金属単層壁のまたは多層壁のCNTであっても良い。CNTは、例えば、カーボンアーク処理もしくは電気アーク放電処理、レーザ蒸発もしくはアブレーション、および触媒化学気相成膜法(CVP)などの、いかなる標準的な技術を用いて、調製され、合成され、機能化され、または取得されても良い。次に、処理300により、コーティングが必要かどうかが定められる(ブロック320)。コーティングは、リフロー処理後に、CNTとはんだの間のいかなる接触抵抗も最小化することが好ましい。コーティングが不要な場合、処理300は、ブロック340に進む。コーティングが必要な場合、処理300において、めっき、物理蒸着成膜法(PVD)、および化学気相成膜法(CVD)のいずれかを用いて、カーバイド形成元素により、CNTがコーティングされる(ブロック330)。カーバイド形成元素は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびタンタル(Ta)のいずれかであっても良い。
【0028】
次に、処理300により、所定の体積比で、CNTとはんだとを含む、CNT−はんだ複合材ペースが形成される(ブロック340)。図4Aおよび4Bに示すように、CNTはんだ複合材ペーストを形成するための、少なくとも2通りの方法がある。体積比は、ある所望の特性により、定められても良い(例えば30%乃至40%)。次に、処理300により、CNTはんだ複合材ペーストが、ダイと基板の間の相互接続に適用される(ブロック350)。はんだのリフロー処理後、はんだは、CNTを濡らし、信頼性のあるCNT−はんだナノ複合材相互接続が形成される。その後、処理300が完了する。
【0029】
図4Aは、本発明の一実施例による、長CNTを用いたCNT−はんだ複合材ペーストを形成するための処理340を示すフローチャートである。
【0030】
スタートでは、処理340により、CNTと、はんだ粉末およびペースト成分とが混合される(ブロック410)。10μmを超える長さの長CNTは、最も長い弾道導電性電子経路が提供される点で好ましい。混合処理は、所望の体積比または重量比で実施される。ペースト成分は、溶媒、フラックス等の、いかなる適当な成分、助剤、添加物であっても良い。その後、処理340が完了する。
【0031】
図4Bは、本発明の一実施例による、短CNTを用いたCNT−はんだ複合材ペーストを形成するための処理340を示すフローチャートである。
【0032】
スタートでは、処理340により、高分子−金属複合処理を用いて、CNT−はんだ複合材インゴットが形成される(ブロック430)。通常の場合、このプロセスでは、全長が10μm未満の短CNTが好ましい。高分子−金属複合処理は、追い込み成形法(squeeze casting)、および粉末混合法の後に圧密化処理する方法のうちの一つである。次に、処理340において、CNTはんだ複合材インゴットから、粉末処理プロセスを用いて、CNT−はんだ複合材粉末が形成される(ブロック440)。ガスアトマイズ法など、いかなる標準的な粉末処理法が使用されても良い。通常のガスアトマイズ処理法を使用した場合、CNT−はんだ複合材インゴットは、加熱坩堝から、溶融供給管を介して流れる。その後、これは、高速ガス流に曝され、オリフィスから排出される。その後、アトマイズ領域において、液体が分解され、液滴が収集される。液滴は、自由落下の間に球状になり、粉末状に固化される。この方法では、極めて微細な粉末を得ることができる。次に、処理340では、CNT−はんだ複合材粉末が、フラックスのようなペースト成分と混合され、CNT−はんだ複合材ペーストが形成される(ブロック450)。その後、処理340が終了する。
【0033】
図5は、本発明の一実施例によるCNT体積率の関数としての抵抗率を示した図である。曲線510および曲線520の、2種類の曲線が示されている:。曲線は、体積率の関数としてのCNT−Cu複合材の抵抗率の低下を示している。垂直軸は、抵抗率であり、単位はマイクロΩ-cm(μΩ-cm)である。水平軸は、単位が百分率(%)で表される、体積比、重量比、または充填因子である。
【0034】
曲線510および520は、Cuと混合された単一壁のCNTに対する計算結果である。曲線510は、整列されたCNTに対応する。曲線520は、無秩序なCNTに対応する。0%の割合、または純Cuでは、抵抗率は、約1.65μΩ-cmである。従って、この値の半分は、約0.825μΩ-cmである。これは、50%Cuの場合として、直線530により示されている。曲線510および520と、直線530との交点である、点AおよびBは、それぞれ、30%および40%の体積率にほぼ対応する。従って、30%から40%の間の体積率では、純Cuに対して、50%だけ抵抗率が低くなり得る。
【0035】
電気泳動現象は、導電性電子と拡散金属原子の間の、運動量輸送による金属の物質移動の結果として生じる。電気泳動による金属原子の流束は、静電的なアナログと、ポテンシャル場における拡散のアインシュタインの式を用いて、以下のように表される:
【0036】
【数1】

ここで、Jは原子流束であり、Dは、適当な物質輸送機構での拡散係数、Z*は、運動量交換の符号および絶対とを表す有効価数または有効電荷、ρは比抵抗、jは、電流密度である。kTは、単位原子当たりの平均熱エネルギーである。
【0037】
式(1)から、物質流束を誘起させる電気泳動は、特に、抵抗率、電流密度および拡散係数と直接比例する。従って、抵抗率の低下は、電気泳動原子流束Jを低下させ、これにより、はんだ内での電気泳動過程全体が抑制される。従って、CNTとはんだとを含むCNT−はんだ複合材ペーストは、曲線510および520に従って、抵抗率を低下させ、これにより、はんだに対する全電気泳動損傷が抑制される。
【0038】
いくつかの実施例に関して、本発明を説明したが、当業者には、本発明が、記載された実施例に限定されないことが認識され、本発明は、特許請求の範囲の思想から逸脱しないで、変更および修正を実施することができる。従って、記載は、本発明を限定するものではなく、本発明の一例であると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例を実行する際のシステムを示した図である。
【図2A】本発明の一実施例によるパッケージを示す図である。
【図2B】本発明の一実施例による複合材ペーストにより形成された、はんだ隆起部を示す図である。
【図3】本発明の一実施例による複合材ペーストを形成するための方法を示すフローチャートである。
【図4A】本発明の一実施例による、長CNTを用いてCNT−はんだ複合材ペーストを形成するための方法を示すフローチャートである。
【図4B】本発明の一実施例による、短CNTを用いてCNT−はんだ複合材ペーストを形成するための方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例によるCNT体積率の関数としての、抵抗率の低下を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ(CNT)を調製するステップと、
所定の体積比で前記CNTおよびはんだを含む、CNT−はんだ複合材ペーストを形成するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
さらに、
めっき、物理気相成膜法(PVD)、および化学気相成膜法(CVD)の一つを用いて、前記CNTをカーバイド形成元素でコーティングするステップを有し、
前記カーバイド形成元素は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびタンタル(Ta)の一つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、
前記CNT−はんだ複合材ペーストを、ダイと基板の間の相互接続に適用するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CNT−はんだ複合材ペーストを形成するステップは、前記CNTをはんだ粉末およびペースト成分と混合するステップを有し、
前記CNTは、長CNTであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CNT−はんだ複合材ペーストを形成するステップは、
短CNTとともに、高分子−金属複合材処理法を用いて、CNT−はんだ複合材インゴットを形成するステップと、
粉末処理法を用いて、前記CNT−はんだ複合材インゴットから、CNT−はんだ複合材粉末を形成するステップと、
前記CNT−はんだ複合材粉末をペースト成分と混合して、前記CNT−はんだ複合材ペーストを形成するステップと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CNT−はんだ複合材インゴットを形成するステップは、前記高分子−金属複合材処理法を用いて、前記CNT−はんだ複合材インゴットを形成するステップを有し、
前記高分子−金属複合材処理法は、追い込み成形法、および粉末混合法の後に圧密化処理する方法のうちの一つであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記CNT−はんだ複合材粉末を形成するステップは、ガスアトマイズ法を用いて、前記CNT−はんだ複合材インゴットから、CNT−はんだ複合材粉末を形成するステップを有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
はんだ粉末、および該はんだ粉末と混合されたペースト成分を含むはんだペーストと、
所定の体積比で、前記はんだペースト内に分散されたカーボンナノチューブ(CNT)と、
を有する複合材ペースト。
【請求項9】
前記CNTは、カーバイド形成元素でコーティングされた、長CNTまたは短CNTを有することを特徴とする請求項8に記載の複合材ペースト。
【請求項10】
前記カーバイド形成元素は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびタンタル(Ta)の一つであることを特徴とする請求項9に記載の複合材ペースト。
【請求項11】
前記所定の体積比は、約30%から40%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の複合材ペースト。
【請求項12】
前記ペースト成分は、フラックスであることを特徴とする請求項8に記載の複合材ペースト。
【請求項13】
前記長CNTは、約10μmから30μmの範囲の全長を有することを特徴とする請求項9に記載の複合材ペースト。
【請求項14】
前記短CNTは、最大約10μmの範囲の全長を有することを特徴とする請求項9に記載の複合材ペースト。
【請求項15】
ダイ隆起部を有するダイと、
前記ダイ隆起部を介して前記ダイに取り付けられた、基板隆起部を有するパッケージ基板と、
を有するパッケージであって、
前記ダイ隆起部と前記基板隆起部の少なくとも一つは、複合材ペーストにより形成され、
該複合材ペーストは、
はんだ粉末、および該はんだ粉末と混合されたペースト成分を有する、はんだペーストと、
所定の体積比で、前記はんだペースト内に分散されたカーボンナノチューブ(CNT)と、
を有することを特徴とするパッケージ。
【請求項16】
前記CNTは、カーバイド形成元素でコーティングされた、長CNTまたは短CNTを有することを特徴とする請求項15に記載のパッケージ。
【請求項17】
前記カーバイド形成元素は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびタンタル(Ta)の一つであることを特徴とする請求項16に記載のパッケージ。
【請求項18】
前記所定の体積比は、約30%から40%の範囲であることを特徴とする請求項15に記載のパッケージ。
【請求項19】
前記ペースト成分は、フラックスであることを特徴とする請求項15に記載のパッケージ。
【請求項20】
前記CNTは、約5μmから30μm範囲の全長を有することを特徴とする請求項9に記載のパッケージ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−519136(P2009−519136A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545674(P2008−545674)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/046889
【国際公開番号】WO2007/120228
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(593096712)インテル コーポレイション (931)
【Fターム(参考)】