説明

11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1のサイクリックウレアおよびカルバメートインヒビター

本発明は、式(I)の新規の化合物、その薬学的に許容され得る塩、およびその医薬組成物に関し、これらは哺乳動物における11β-HSD1の調節または阻害に関連する疾患の治療に有用である。本発明はさらに、該新規化合物の医薬組成物、および細胞におけるコルチゾールの産生の減少もしくは調節または細胞におけるコルチゾンのコルチゾールへの変換の阻害におけるそれらの使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年2月26日に出願され、その全教示が参照により本明細書中に援用される米国仮特許出願第60/903,473号の恩恵を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD1)のインヒビター、その医薬組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
コルチゾール(ヒドロコルチゾン)等のグルココルチコイドは、脂肪の代謝、機能および分配を制御し、炭水化物、タンパク質および脂肪の代謝において作用するステロイドホルモンである。グルココルチコイドはまた、発生、神経生物学、炎症、血圧、代謝およびプログラム細胞死において生理学的な効果を有することが知られている。コルチゾールおよび他のコルチコステロイドは、核ホルモンレセプタースーパーファミリーの一員であるグルココルチコイドレセプター(GR)およびミネラルコルチコイドレセプター(MR)の両方に結合し、インビボでコルチゾール機能を媒介することが示されている。これらのレセプターは、DNA結合ジンクフィンガードメインおよび転写活性化ドメインを介して直接的に転写を調節する。
【0004】
最近まで、グルココルチコイド機能の主要な決定因子は、3種類の主要な要素(1) グルココルチコイドの循環レベル(最初に視床下部-脳下垂体-副腎(HPA)軸により制御される);(2) 循環中のグルココルチコイドのタンパク質結合;および(3) 標的組織中の細胞内レセプター密度が原因であるとされていた。最近、グルココルチコイド機能の4番目の決定因子、グルココルチコイド活性化および不活性化酵素による組織特異的なプレレセプター代謝が同定された。これらの11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD)プレレセプター調節酵素は、グルココルチコイドホルモンの制御によりGRおよびMRの活性化を調節する。今日では、11β-HSDの2種類の異なるアイソザイム、11β-HSD1(11-β-HSD1型、11βHSD1、HSD11B1、HDLおよびHSD11Lとしても公知)および11β-HSD2がクローニングされ特徴づけがなされている。11β-HSD1は不活性型11-ケト形態から活性型コルチゾールを再生する2方向性オキシドレダクターゼであり、11β-HSD2は生物学的に活性なコルチゾールをコルチゾンに変換することで不活性化する1方向性デヒドロゲナーゼである。
【0005】
2種類のアイソフォームは異なる組織特異的様式で発現し、それらの生理学的な役割の違いと一致する。11β-HSD1は、ラットおよびヒト組織に広く分布しており、該酵素および対応するmRNAの発現は、ヒトの肝臓、脂肪組織、肺、精巣、骨および毛様体上皮で検出される。脂肪組織において、高いコルチゾール濃度により脂肪細胞の分化が刺激され、内臓肥満を促進するように機能し得る。眼では、11β-HSD1は眼内圧を制御し得、緑内障の原因となり得るが、いくつかのデータによると11β-HSD1の阻害により眼内高圧を有する患者の眼内圧の低下が生じ得ることが示唆されている(Kotelevstev et al. (1997), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94(26): 14924-9)。11β-HSD1は11-β-脱水素反応および逆の11-酸化還元反応の両方を触媒するが、11β-HSD1は完全な細胞および組織中で主にNADPH-依存型オキソレダクターゼとして作用し、不活性型コルチゾンから活性型コルチゾールの形成を触媒する(Low et al. (1994) J. Mol. Endocrin. 13: 167-174)。それに対して、11β-HSD2発現は主に、腎臓(皮質および髄質)、胎盤、S字結腸および直腸、唾液腺ならびに結腸上皮細胞系統などのミネラルコルチコイド標的組織で見られる。11β-HSD2はコルチゾールのコルチゾンへの不活性化を触媒するNAD-依存型デヒドロゲナーゼとして作用し(Albiston et al. (1994) Mol. Cell. Endocrin. 105: R11-R17)、グルココルチコイド過剰(例えば、高レベルのレセプター活性化コルチゾール)からMRを保護することが示されている(Blum, et al. (2003) Prog. Nucl. Acid Res. Mol. Biol. 75:173-216)。
【0006】
11β-HSD1または11β-HSD2遺伝子のいずれかの変異はヒトの病理を生じる。例えば、11β-HSD2に変異を有する個体は11β-HSD2のコルチゾール不活性化活性を欠失し、その結果、高血圧、低カリウム血症およびナトリウム貯蔵を特徴とする明らかなミネラルコルチコイド過剰の症候(「SAME」とも称される)が現れる(Edwards et al. (1988) Lancet 2: 986-989;Wilson et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. 95: 10200-10205)。同様に、11β-HSD1および共局在するNADPH-産生酵素をコードする遺伝子、ヘキソース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(H6PD)の変異は、コルチゾンレダクターゼ欠失(CRD)を生じ得、これらの個体は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に類似した表現型のACTH-媒介性アンドロゲン過剰(多毛、生理不順、高アンドロゲン血症)を示す(Draper et al. (2003) Nat. Genet. 34: 434-439)。
【0007】
とりわけ、分泌もしくは作用の欠失または過剰のいずれかによるHPA軸のホメオスタシスの乱れはそれぞれクッシング症候群またはアジソン病を生じる(Miller and Chrousos (2001) Endocrinology and Metabolism, Felig and Frohman編 (McGraw-Hill, New York), 第4版: 387-524)。クッシング症候群を有するかまたはグルココルチコイド療法を受ける患者は、可逆性内臓脂肪肥満を発症する。クッシング症候群患者の表現型はReaven'sメタボリックシンドローム(シンドロームXまたはインスリン抵抗性症候群としても公知)の表現型に非常に類似しており、その症状としては内臓肥満、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、高血圧、2型糖尿病および高脂血症が挙げられる(Reaven (1993) Ann. Rev. Med. 44: 121-131)。ヒトの肥満におけるグルココルチコイドの役割は完全には特徴付けられていないが、11β-HSD1活性が肥満およびメタボリックシンドロームにおいて重要な役割を担うという多くの証拠がある(Bujalska et al. (1997) Lancet 349: 1210-1213)、(Livingstone et al. (2000) Endocrinology 131: 560-563;Rask et al. (2001) J. Clin. Endocrinol. Metab. 86: 1418-1421、Lindsay et al. (2003) J. Clin. Endocrinol. Metab. 88: 2738-2744;Wake et al. (2003) J. Clin. Endocrinol. Metab. 88: 3983-3988)。
【0008】
トランスジェニックモデルマウスの研究からのデータは、脂肪細胞の11β-HSD1活性が内臓肥満およびメタボリックシンドロームにおいて中心的な役割を果たすという仮説を裏付ける(Alberts et al. (2002) Diabetologia. 45(11): 1526-32)。トランスジェニックマウス中でaP2プロモーターの調節下にある脂肪組織における11β-HSD1の過剰発現はヒトのメタボリックシンドロームに極めて類似した表現型を生じた(Masuzaki et al. (2001) Science 294: 2166-2170;Masuzaki et al. (2003) J. Clinical Invest. 112: 83-90)。さらに、これらのマウス中での11β-HSD1の高い活性は、ヒトの肥満において観察されるものに非常に類似している(Rask et al. (2001) J. Clin. Endocrinol. Metab. 86: 1418-1421)。また、相同組換えにより作製した11β-HSD1欠損マウスを用いた研究からのデータは、活性なグルココルチコイドレベルの組織特異的な欠損のために、11β-HSD1の欠失によりインスリン感受性およびグルコース耐性の増加が生じることを示す(Kotelevstev et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94: 14924-14929;Morton et al. (2001) J. Biol. Chem. 276: 41293-41300;Morton et al. (2004) Diabetes 53: 931-938)。
【0009】
公開されたデータは、11β-HSD1の増加した発現が脂肪組織におけるコルチゾンのコルチゾールへの局所的な変換の増加に寄与するという仮説を裏付け、そのために11β-HSD1がヒトにおける中心性肥満の病因およびメタボリックシンドロームの発現に作用するという仮説が裏付けられる(Engeli, et al., (2004) Obes. Res. 12: 9-17)。従って、11β-HSD1は、メタボリックシンドロームの治療のための有望な医薬標的である(Masuzaki, et al., (2003) Curr. Drug Targets Immune Endocr. Metabol. Disord. 3: 255-62)。さらに、11β-HSD1活性の阻害は、多くのグルココルチコイド関連障害の治療に有益であることが明らかになり得る。例えば、11β-HSD1インヒビターは、グルコース不耐性、インスリン耐性、高グルコース血症、高血圧および/または高脂血症などの、肥満および/またはメタボリックシンドロームクラスターの局面に対抗する点に有効であり得る(Kotelevstev et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94: 14924-14929;Morton et al. (2001) J. Biol. Chem. 276: 41293-41300;Morton et al. (2004) Diabetes 53: 931-938)。また、11β-HSD1活性の阻害は、グルコース刺激性インスリン放出の促進など膵臓に有益な効果があり得る(Billaudel and Sutter (1979) Horm. Metab. Res. 11: 555-560;Ogawa et al. (1992) J. Clin. Invest. 90: 497-504;Davani et al. (2000) J. Biol. Chem. 275: 34841-34844)。さらに、一般的な認知機能における個体間の差がグルココルチコイドへの長期間の曝露の変動性に関連すると仮定し(Lupien et al. (1998) Nat. Neurosci. 1: 69-73)、特定の脳内領域におけるグルココルチコイド過剰への慢性的な曝露を生じるHPA軸の制御異常が認知機能の低下に寄与すると仮説を立てると(McEwen and Sapolsky (1995) Curr. Opin. Neurobiol. 5: 205-216)、11β-HSD1の阻害により脳内でのグルココルチコイドへの曝露を低減し、それにより認知障害、痴呆および/またはうつなどの神経機能におけるグルココルチコイドの有害な影響を防ぐことができると期待され得る。
【0010】
グルココルチコイドおよび11β-HSD1が眼内圧(IOP)の制御において機能するという証拠もあり(Stokes et al. (2000) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 41: 1629-1683;Rauz et al. (2001) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 42: 2037-2042)、高いIOPを治療せずにそのままにしておくことで部分的な視野の喪失、最終的には失明を生じ得る。従って、眼における11β-HSD1の阻害は局所的なグルココルチコイドの集中およびIOPを減少し得、それにより11β-HSD1は潜在的に、緑内障および他の視覚的障害を治療または予防するために使用することができる。
【0011】
トランスジェニックaP2-11βHSD1マウスは、高い動脈血圧を示し、食餌の塩に対して高い感受性を有する。さらに、血漿アンジオテンシノゲンレベルは、アンジオテンシンIIおよびアルドステロンと同様に該トランスジェニックマウスで上昇し、アンジオテンシンIIアンタゴニストを用いたマウスの治療により高血圧が改善される(Masuzaki et al. (2003) J. Clinical Invest. 112: 83-90)。このことは、11β-HSD1活性により高血圧が生じ得るかまたは悪化し得ることを示唆する。従って、11β-HSD1インヒビターは、高血圧および高血圧関連心臓血管障害の治療に有用であり得る。
【0012】
グルココルチコイドは骨格組織に対して有害な影響を有し得、適度な量のグルココルチコイドであったとしても長時間の曝露により骨粗しょう症を生じ得る(Cannalis (1996) J. Clin. Endocrinol. Metab. 81: 3441-3447)。また、11β-HSD1はヒトの始原骨芽細胞および成人の骨由来の細胞の培養物中に存在することが示されており(Cooper et al. (2000) Bone 27: 375-381)、11β-HSD1インヒビターカルベノキソロンは骨小結節の形成におけるグルココルチコイドの負の効果を弱めることが示されている(Bellows et al. (1998) Bone 23: 119-125)。従って、11β-HSD1の阻害は骨芽細胞および破骨細胞中の局所的なグルココルチコイドの集中を減少させ、それにより骨粗しょう症などの種々の形態の骨の疾患において有用な効果をもたらすことが期待される。
【0013】
本明細書において明らかなように、11β-HSD1を抑制する新規かつ改良された薬物について継続的な必要性が存在する。本発明の新規の化合物は11β-HSD1の効果的なインヒビターである。
【発明の概要】
【0014】
(発明の概要)
本発明は、とりわけ、構成要素が以下のように本明細書に規定される式I:


(式中:
QはNR3、OまたはSである;
R1は、
(1) H;または
(2) (C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルチオ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルスルフィニル(C1-C4)アルキル、および(C1-C4)アルキルスルホニル(C1-C4)アルキル;または
(3) フェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリール(C1-C4)アルキル
からなる群より選択される;
Xは独立して、ハロゲン、OH、CH2OH、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)ハロアルキル、OR*、O((C1-C3)ハロアルキル)、CN、CH2CN、NO2、CH2NO2、SH、SR*、SO2H、CH2SO2H、SO2R*、CH2SO2R*、SO2NH2、SO2NHR*、SO2NR*2、CH2SO2NH2、CH2SO2NHR*、CH2SO2NR*2、SO2CF3、CH2SO2CF3、CONH2、CONHR*、CONR*2、CH2CONH2、CH2CONHR*、CH2CONR*2、CO2H、CH2CO2H、NH2、NHR*、NR*2、(C1-C3)アルキル(NH2)、(C1-C3)アルキル(NHR*)、(C1-C3)アルキル(NR*2)、アリール、ヘテロアリールおよびさらにSO3H、CH2SO3Hならびに任意にアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシまたはオキソで置換されるヘテロシクリルからなる群より選択される;
さらに、R1がヘテロシクリルまたはヘテロアリールである場合、Xは、カルボニル基またはN-オキシドが形成されるようにオキソでもあり得る;
mは0、1、2または3である;
R2およびR3は独立して、
(1) H;または
(2) 任意に、独立してハロゲン、OH、(=O)、CONH2、CO2H、COCH3、C(O)2CH3、NH2、NHR*、NR*2、アリール、ヘテロアリールおよびさらにシアノ、OR*、SR*、S(=O)R*、S(=O)2R*、OP(=O)(OH)2、NHSO2R*、NR*SO2R*、NHC(=O)R*、NR*C(=O)R*、NHC(=O)OR*、NR*C(=O)OR*、NHC(=O)NH2、NHC(=O)NHR*、NHC(=O)N(R*)2、NR*C(=O)NH2、NR*C(=O)NHR*、NR*C(=O)N(R*)2、OC(=O)NH2、OC(=O)NHR*、OC(=O)N(R*)2、NHS(=O)2OR*、NR*S(=O)2OR*、NHS(=O)2NH2、NHS(=O)2NHR*、NHS(=O)2N(R*)2、NR*S(=O)2NH2、NR*S(=O)2NHR*、NR*S(=O)2N(R*)2、OS(=O)2NH2、OS(=O)2NHR*、OS(=O)2N(R*)2、ヘテロシクリルからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換される(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルチオ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルスルフィニル(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルスルホニル(C1-C4)アルキル;または
(3) 独立して、OH、CH2OH、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)ハロアルキル、OR*、O((C1-C3)ハロアルキル)、CN、CH2CN、NO2、CH2NO2、SH、SR*、SO2H、CH2SO2H、SO2R*、CH2SO2R*、SO2NH2、SO2NHR*、SO2NR*2、CH2SO2NH2、CH2SO2NHR*、CH2SO2NR*2、SO2CF3、CH2SO2CF3、CONH2、CONHR*、CONR*2、CH2CONH2、CH2CONHR*、CH2CONR*2、CO2H、CH2CO2H、NH2、NHR*、NR*2、(C1-C3)アルキル(NH2)、(C1-C3)アルキル(NHR*)、(C1-C3)アルキル(NR*2)、アリール、ヘテロアリールならびにさらにSO3HおよびCH2SO3Hからなる群より選択される1〜3個の置換基で任意に置換されるフェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C4)アルキル
からなる群より選択される;
ただし
1) Eが結合である場合、R1およびR2が両方水素でない;および
2) mが0よりも大きい場合、R1は水素でないことを条件とする;
各R*は独立してC1-C3アルキルである;
OおよびSがR1に結合することを条件とすると、Eは結合、CH2、CHMe、CMe2、CH2CH2、OCH2、OCHMe、OCMe2、SCH2、SCHMe、SCMe2である;
Gは1、2または3個の炭素アルキレン鎖である;
Yは独立して、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、CF3、CONH2、CH2CONH2、CO2H、CH2CO2H、(C1-C3)アルキルアミノ(C1-C3)アルキルおよびジ(C1-C3)アルキルアミノ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される;
nはO、1、2または3である;
Aは結合、CH2、CHMe、CMe2またはCH2CH2である;
Cyは、1〜2個の炭素原子が任意に、独立してNおよびOから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、任意に、独立してハロゲン、シアノ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1-C3)アルキル、アミノ、(C1-C4)アシルアミノ、(C1-C3)アルキルスルホニルアミノ、CH2CH2CO2H、(C1-C3)アルキルカルバモイル、ジ(C1-C3)アルキルカルバモイル、(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、ジ(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、オキソ置換ヘテロアリール、アミノ置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ置換ヘテロシクリルおよびC(=NOH)NH2CON(R4)2、CH2CON(R4)2、SO2N(R4)2、CO2R4、CH2CO2R4、SO2R4、NR4COR4、NR4CO2R4、NR4SO2R4、およびさらにOC(=O)N(R4)から選択される1〜3個の基で置換される(C7-C12)ビシクロアルキルまたは(C9-C12)トリシクロアルキルである、
ここで各R4は独立して水素、(C1-C10)アルキル、アリールまたはアラルキルである)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体もしくは薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0015】
好ましくは、式Iの化合物について、QはOまたはNR3であり、残りの変数の値は式(I)に記載される通りである。より好ましくは、QはNHまたはNMeであり、R1は(C1-C6)アルキル、(C3-C7)シクロアルキルまたはフェニルであり、R2はMeであり、G(Y)nはCH2またはCH2CH2であり、Cyは1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-ヒドロキシメチル-4-アダマンチル、または1-カルバモイル-4-アダマンチルであり、残りの変数の値は式(I)に記載される通りである。あるいは、QはOであり、R1は(C1-C6)アルキル、(C3-C7)シクロアルキルまたはフェニルであり、R2はMeであり、G(Y)nはCH2またはCH2CH2であり、Cyは1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-ヒドロキシメチル-4-アダマンチル、または1-カルバモイル-4-アダマンチルであり、残りの変数の値は式(I)に記載される通りである。
【0016】
別の好ましい態様において、本発明は、式I(式中、nは0であり、Eは結合であり、残りの変数の値は上述される通りである)の化合物である。より好ましくは、R1はtert-ブチルである。
【0017】
別の態様において、本発明は、式I(式中、Eは結合であり、R1はフェニルであり、Xはフッ素であり、mは0、1または2であり、残りの変数の値は式(I)について上述される通りである)の化合物である。
【0018】
別の態様において、本発明は、式I(式中、Eは結合であり、R1はフェニルであり、Xはモノフルオロフェニルまたはジフルオロフェニルであり、mは1であり、残りの変数の値は式(I)について上述される通りである)の化合物である。
【0019】
別の態様において、本発明は、式I(式中、Eは結合であり、R1はフェニルであり、Xは任意に置換されたピリジルであるかまたはXは任意に、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシでさらに置換されたオキソ置換ヘテロシクリルであり、mは1であり、残りの変数の値は式(I)について上述された通りである)の化合物である。
【0020】
別の態様において、本発明は、式I(式中、R2はヒドロキシ(C2-C5)アルキル、ω-H2NC(=O)(C1-C3)アルキル、ω-MeSO2NH(C1-C3)アルキルまたは2-(4-モルホリノ)エチルであり、残りの変数の値は式(I)について上述された通りである)の化合物である。
【0021】
別の好ましい態様において、本発明は式I:
(式中
QはNR3またはOである;
R3はHまたは(C1-C6)アルキルである;
Eは結合、CH2、CHMe、CMe2またはCH2CH2である;
R1はH、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、フェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C4)アルキルである;
XはF、Cl、Br、CN、OH、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキシ、(C1-C3)アルキルスルホニル、またはCONH2である;
mは0、1、2または3である;
R2はH、MeまたはCH2OHである;
ただし
1) Eが結合である場合、R1およびR2は両方水素ではない;および
2) mが0より大きい場合、R1は水素ではないことを条件とする;
G(Y)nはCH2、CH(C1-C3)アルキル、C((C1-C3)アルキル)2またはCH2CH2である;
nは0、1または2である;
Aは結合、CH2である;
Cyは1〜2個の炭素原子が任意に、独立してNおよびOから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、任意に、独立してハロゲン、シアノ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1-C3)アルキル、アミノ、(C1-C4)アシルアミノ、(C1-C3)アルキルスルホニルアミノ、CH2CH2CO2H、(C1-C3)アルキルカルバモイル、ジ(C1-C3)アルキルカルバモイル、(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、ジ(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、オキソ置換ヘテロアリール、アミノ置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ置換ヘテロシクリルおよびC(=NOH)NH2、CON(R4)2、CH2CON(R4)2、SO2N(R4)2、CO2R4、CH2CO2R4、SO2R4、NR4COR4、NR4CO2R4、およびNR4SO2R4から選択される1〜3個の基で置換される(C7-C12)ビシクロアルキルおよび(C9-C12)トリシクロアルキルである。Cyについての好ましい値は1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-3-アダマンチル、1-(ヒドロキシメチル)-3-アダマンチル、1-カルバモイル-3-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-(ヒドロキシメチル)-4-アダマンチル、1-カルバモイル-4-アダマンチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、1-カルバモイル-4-ビシクロ[2.2.2]オクチル、9-ビシクロ[3.3.1]ノニルまたは3-カルバモイル-9-ビシクロ[3.3.1]ノニルである;
各R4は独立して水素、(C1-C10)アルキル、アリールまたはアラルキルである)
の化合物またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体もしくは薬学的に許容され得る塩である。
【0022】
より好ましくは、R3はHまたはMeであり;Eは結合またはメチレンであり;R1はH、(C1-C8)アルキルまたは(C3-C7)シクロアルキルであり;XはCl、BrまたはOHであり;mは0または1であり;R2はH、MeまたはCH2OHであり;G(Y)nはCH2、CHCH3、またはCH2CH2であり;Aは結合またはメチレンであり;Cyは1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-ヒドロキシメチル-4-アダマンチルまたは1-カルバモイル-4-アダマンチルである。残りの変数の値は上述の通りである。
【0023】
式I
(式中、
QはNR3またはOである;
R3はHまたはMeである;
Eは結合またはCH2である;
R1はH、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルまたはPhである;
XはCl、BrまたはOHである;
mは0または1である;
R2はH、MeまたはCH2OHである;
G(Y)nはCH2、CHMeまたはCH2CH2である;
nは0または1である;
Aは結合またはCH2である;
Cyは1-アダマンチル、2-アダマンチルまたは1-ヒドロキシ-4-アダマンチルである)、の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体もしくは薬学的に許容され得る塩がより好ましい。
【0024】
式Iの具体的に好ましい化合物は:
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(1-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-(2-クロロフェニル)オキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-(t-ブチル)オキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-tert-ブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-メチル-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン;
(R)-3-(2-アダマンチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン;
(4R,5S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-4-メチル-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-1-(2-アダマンチル)-4-tert-ブチルイミダゾリジン-2-オン;
(S)-1-(2-アダマンチル)-3-メチル-4-tert-ブチル-イミダゾリジン-2-オン;
5-(4-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン;
(S)-1-(1-アダマンチル)-4-フェニルイミダゾリジン-2-オン
4-tert-ブチル-1-(2-アダマンチル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
(S)-4-シクロヘキシル-1-(2-アダマンチル)イミダゾリジン-2-オン
(S)-4-イソプロピル-1-(2-アダマンチル)イミダゾリジン-2-オン
5-(3-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン
1-(2-アダマンチル)-4-(ヒドロキシメチル)-4-イソブチルイミダゾリジン-2-オン
5-(ビフェニル-3-イル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン
5-(ビフェニル-4-イル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オンであるか、
またはそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体もしくは薬学的に許容され得る塩である。
【0025】
本発明はさらに、11β-HSD1を本発明の式Iの化合物と接触させることにより11β-HSD1を阻害する方法を提供する。
【0026】
本発明はさらに、本発明の式Iの化合物を用いた、細胞におけるコルチゾンのコルチゾールへの変換を阻害する方法を提供する。
【0027】
本発明はさらに、本発明の式Iの化合物を用いた、細胞におけるコルチゾールの産生を阻害する方法を提供する。
【0028】
本発明はさらに、本発明の式Iの化合物を用いた、インスリン感受性を高める方法を提供する。
【0029】
本発明はさらに、本発明の式Iの化合物を用いた、11β-HSD1の発現の活性に関連する疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0030】
(発明の詳細な説明)
定義:
用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味し、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。
【0031】
用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する飽和炭化水素環を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0032】
用語「ビシクロアルキル」は、全部で7〜12個の炭素原子を有する2つの飽和炭化水素環を意味し、1,1-融合、1,2-融合または1,n-融合により結合して、スピロ環状環系、融合環系および架橋環系のそれぞれを生じる。スピロ環状環系としては、例えばスピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。融合環系としては、例えばビシクロ[4.1.0]ヘプタン、オクタヒドロ-1H-インデン、デカヒドロナフタレン等が挙げられる。架橋環系としては、例えばビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
【0033】
用語「トリシクロアルキル」は、全部で9〜12個の炭素原子を有する3つの飽和炭化水素環を意味し、1,1-融合、1,2-融合または1,n-融合の任意の組合せにより結合し、例えばアダマンチル、ノルアダマンチル等が挙げられる。
【0034】
用語「アルコキシ」および「チオアルコキシ」は、1〜6個の炭素原子からなるO-アルキルまたはS-アルキルである。
【0035】
用語「アリール」は、フェニル基、フェニルアルキル基、アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、CO2H、CONH2、N-モノアルキル置換アミドおよびN,N-ジアルキル置換アミドから選択される1〜4個の置換基で置換されたフェニル基である芳香族基を意味する。
【0036】
用語「ヘテロアリール」は、任意に、N、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む環に融合され得る5-および6員ヘテロ芳香族基を意味し、例えばアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、CO2H、CONH2、N-モノアルキル置換アミドおよびN,N-ジアルキル置換アミドから選択される置換基またはオキソにより任意に置換されてN-オキシドを形成する2-または3-チエニル、2-または3-フラニル、2-または3-ピロリル、2-、3-または4-ピリジニル、2-ピラジニル、2-、4-または5-ピリミジニル、3-または4-ピリダジニル、1H-インドール-6-イル、1H-インドール-5-イル、1H-ベンズイミダゾール-6-イル、1H-ベンズイミダゾール-5-イル、2-、4-または5-チアゾリル、3-、4-または5-ピラゾリル、2-、4-または5-イミダゾリル等であるヘテロ芳香族基が挙げられる。
【0037】
用語「ヘテロシクリル」は、独立してN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、4-、5-、6-および7-員飽和または部分不飽和ヘテロ環状環を意味し、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、イソキサゾリジン、1,3-ジオキソラン、1,3-ジチオラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3-ジチアン、1,4-ジチアン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン1,1-ジオキシド、テトラヒドロ-2H-1,2-チアジン1,1-ジオキシドおよびイソチアゾリジン1,1-ジオキシドおよびアゼチジンが挙げられる。用語「オキソ置換ヘテロシクリル」は、独立してN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む4-、5-、6-および7-員飽和または部分不飽和ヘテロ環状環を意味し、ピロリジン-2-オン、ピペリジン-2-オン、1,2-ジヒドロ-2-オキソピリジン、3,4-ジヒドロ-4-オキソピリミジン、テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オンが挙げられる。このように、環炭素がオキソで置換されたヘテロシクリルは前記位置でケトンを形成し、環窒素がオキソで置換されたヘテロシクリルは前記位置でn-オキシドを形成する。ヘテロシクリル基は任意に1〜4個の置換基で置換され得る。代表的な置換基としてはオキソ、アルキル、ハロアルキルおよびヒドロキシが挙げられる。
【0038】
用語「アダマンチル」は、アダマンタンの1または2位を介して別の原子に結合するアダマンタン部分を意味する。適切なアダマンチル基の例としては、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-3-アダマンチル、1-(ヒドロキシメチル)-3-アダマンチル、1-カルバモイル-3-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-(ヒドロキシメチル)-4-アダマンチル、1-カルバモイル-4-アダマンチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、1-カルバモイル-4-ビシクロ[2.2.2]オクチル、9-ビシクロ[3.3.1]ノニルまたは3-カルバモイル-9-ビシクロ[3.3.1]ノニルが挙げられる。
【0039】
用語「哺乳動物」は、本明細書で使用される場合、ヒトを含むがこれに限定されない全ての哺乳動物を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」および「患者」は交換可能に使用されてもよく、例えばペット(例えば、イヌ、ネコ等)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)などの治療を必要とする哺乳動物を意味する。典型的に、被験体は治療を必要とするヒトである。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」または「治療」とは、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることをいう。該効果は予防的または治療的であり得、部分的または実質的に1つ以上の以下の結果:疾患、障害もしくは症候の程度の部分的または全体的な減少;臨床的症状または障害に関連する指標の緩和または改善;疾患、障害または症候群の進行の可能性の遅延、阻害または減少;あるいは疾患、障害または症候群の開始または発症の可能性の部分的または全体的な遅延、阻害または減少を達成することを含む。
【0042】
開示された化合物またはその薬学的に許容され得る塩が命名されるかまたは構造で示される場合、化合物の溶媒和物もしくは水和物またはその薬学的に許容され得る塩も含まれることが理解されよう。「溶媒和物」とは結晶化の際に溶媒分子が結晶格子に取り込まれる結晶形態のことをいう。溶媒和物には、水またはエタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミンおよびEtOAcなどの非水性溶媒が含まれてもよい。結晶格子に取り込まれる溶媒分子が水であるような溶媒和物は、典型的には「水和物」と称される。水和物としては、化学量論的水和物ならびに種々の量の水を含む組成物が挙げられる。
【0043】
特定の開示された化合物は、種々の化学量論的形態で存在し得る。立体異性体はその空間的配置においてのみ異なる化合物である。エナンチオマーは、最も一般的にはキラル中心として機能する非対称に置換された炭素原子を含むために、その鏡像を重ね合わせることができない立体異性体のペアである。「エナンチオマー」は、互いに鏡像であり重ね合わせることができない分子のペアの一方を意味する。ジアステレオマーは、最も一般的には2つ以上の非対称に置換された炭素原子を含むために、鏡像としては関係のない立体異性体である。構造式中の記号「*」は、キラル炭素中心の存在を表す。「R」および「S」は1つ以上のキラル炭素原子の周りの置換基の配置を表す。従って、「R*」および「S*」は、1つ以上のキラル炭素原子の周りの置換基の相対的な配置を示す。
【0044】
「ラセミ体」または「ラセミ混合物」は、等モル量の2つのエナンチオマーの化合物を意味し、このような混合物は光学活性を示さず、つまり該化合物は局在した光の面を回転しない。
【0045】
「幾何学異性体」は、炭素-炭素二重結合、シクロアルキル環、または架橋二環系と関連する置換基原子の配向が異なる異性体を意味する。炭素-炭素二重結合の両側にある原子(H以外)は、E(置換基が炭素-炭素二重結合の反対側にある)またはZ(置換基が同じ側に配向される)配置にあり得る。
【0046】
「R」、「S」、「S*」、「R*」、「E」、「Z」、「シス」および「トランス」はコア分子に対する配置を示す。
【0047】
本発明の化合物は、異性体特異的合成により個々の異性体として調製され得るか、または異性体混合物から分解され得る。従来の分解技術としては、光学的に活性な酸を使用して異性体ペアの各々の異性体の遊離塩基の塩を形成する(その後分別結晶化および遊離塩基の再生を行う)こと、光学的に活性なアミンを使用して異性体ペアの各々の異性体の酸形態の塩を形成する(その後分別結晶化および遊離酸の再生を行う)こと、光学的に純粋な酸、アミンまたはアルコールを使用して異性体ペアの各々の異性体のエステルまたはアミドを形成する(その後キラル補助基のクロマトグラフィー分離および除去を行う)こと、または種々の周知のクロマトグラフィー法を使用して開始物質または最終生成物のいずれかの異性体混合物を分解することが挙げられる。
【0048】
開示された化合物の原子の空間的配置を命名または構造により示す場合は、命名または示された立体異性体は、他の立体異性体に対して少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%純粋である。単一のエナンチオマーを命名または構造により示す場合は、示されたまたは命名されたエナンチオマーは、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%光学的に純粋である。光学的純粋度の重量%は、エナンチオマーの重量+その光学異性体の重量に対するエナンチオマーの重量の比である。
【0049】
開示された化合物が原子の空間的配置を示すことなく命名または構造により示され、該化合物が少なくともひとつのキラル中心を有する場合、該名称または構造には対応する光学異性体を含まない化合物の1つのエナンチオマー、該化合物のラセミ体混合物および対応する光学異性体に対しての1つのエナンチオマーが多く含まれた(enriched)混合物を包含することが解されよう。
【0050】
開示された化合物が原子の空間的配置を示すことなく命名または構造により示され、少なくとも2つのキラル中心を有する場合、該名称または構造には他のジアステレオマーを含まないジアステレオマー、他のジアステレオマーペアを含まないジアステレオマーのペア、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーペアの混合物、他の(1つまたは複数の)ジアステレオマーに対して1つのジアステレオマーが多く含まれたジアステレオマーの混合物、他の(1つまたは複数の)ジアステレオマーペアに対して1つのジアステレオマーペアが多く含まれたジアステレオマーペアの混合物を包含することが解されよう。
【0051】
本発明の化合物は、薬学的に許容され得る塩の形態で存在し得る。医薬における使用について、本発明の化合物の塩は無毒性の「薬学的に許容され得る塩」のことをいう。薬学的に許容され得る塩の形態としては、薬学的に許容され得る酸性/アニオンまたは塩基性/カチオン塩が挙げられる。
【0052】
薬学的に許容され得る塩基性/カチオン塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ジエタノールアミン、n-メチル-D-グルカミン、L-リジン、L-アルギニン、アンモニア、エタノールアミン、ピペラジンおよびトリエタノールアミンの塩が挙げられる。
【0053】
薬学的に許容され得る酸性/アニオン塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾエート、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、ジヒドロクロライド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グリセプト酸塩(glyceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、硫酸メチル、ムケート(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、およびトリエチオジド塩が挙げられる。
【0054】
以下の略語は指定された意味を有する:





【0055】
合成の一般的な説明
式Iの化合物はいくつかの過程により調製することができる。以下の議論において、R1〜R3、A、Cy、E、G、Q、X、Y、mおよびnは、他に示されない限り先に示された意味を有する。以下に記載される式Iの合成中間体および最終生成物が、例えばアミノ、ヒドロキシル、チオールおよびカルボン酸基などの望ましい反応を阻害し得る潜在的な反応性官能基を含む場合、中間体の保護形態を使用することが有利であり得る。保護基の選択、導入およびその後の除去の方法は当業者に周知である。(T. W. Greene and P. G. M. Wuts "Protective Groups in Organic Synthesis" John Wiley & Sons, Inc., New York 1999)。かかる保護基の操作は以下の議論中で推定され、明確に記載されない。一般的に、反応式中の試薬は、等モル量で使用されるが、特定の場合において反応を完全に進行させるために過剰な量のある試薬を使用することが望ましくあり得る。これは特に、過剰な試薬が蒸発または抽出により容易に除去され得る場合である。反応混合物中でHClの中和に使用される塩基は、一般的に、わずか〜実質的に過剰(1.05〜5当量)で使用される。
【0056】
第1の過程において、式Iの化合物は、THF、CH2Cl2、トルエンまたはMeCNなどの不活性溶媒中、通常トリエチルアミンまたはNaHCO3などの有機もしくは無機塩基の存在下で、式IIの中間体と式III(式中、Z1およびZ2はそれぞれ塩素、1-イミダゾリルまたは酸化アリールなどの離脱基である)の試薬の反応により-10℃〜120℃で調製することができる:

【0057】
試薬IIIの特定の例は市販されているので特に都合がよい。例えば、Z1およびZ2が両方塩素である場合、IIIはホスゲンである。Z1およびZ2が両方1-イミダゾリルである場合、IIIはカルボニルジイミダゾールである。Z1が塩素でZ2がp-ニトロフェノキシドである場合、IIIはp-ニトロフェニルクロロフォルメートである。Z1およびZ2が両方OCCl3である場合、IIIはトリホスゲンであり、1/3モル当量程度の少なさで使用することができる。
【0058】
式II(式中、QはOであり、GはCH2であり、nは0である)の中間体は、BH3.THF溶液、BH3.Me2SまたはLiAlH4などの水素化試薬を使用して、THFまたはDMEなどの不活性エーテル(ethereal)溶媒中、20℃〜100℃で1時間〜48時間、式IVのアミドを還元することで調製することができる:

【0059】
式IVの中間体は、CH2Cl2などの不活性溶媒中、0〜30℃で1時間〜24時間、HOBtおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下でEDCなどの標準的なペプチドカップリング試薬を使用して、式Vのα-ヒドロキシ酸と式VIのアミンをカップリングすることにより調製することができる:

【0060】
式Vの特定のα-ヒドロキシ酸は市販されている。式Vのα-ヒドロキシ酸はH2SO4中でNaNO2を使用した式VIIのα-アミノ酸のジアゾ化により調製することができる:

【0061】
式Vのα-ヒドロキシ酸はまた、式IXのシアノヒドリンを介して式VIIIのケトンから調製することができる:

【0062】
ケトンをシアノヒドリンに変換する方法はSmith, M. B. and March, J. "March's Advanced Organic Chemistry" pp 1239-1240, 第5版, Wiley, New York, NY, 2001に記載される。シアノヒドリンをα-ヒドロキシ酸に加水分解する方法は、Smith, M. B. and March, J. "March's Advanced Organic Chemistry" p1179, 第5版, Wiley, New York, NY, 2001に記載される。
【0063】
式V(式中、Eが結合である場合R1はHではなく、R2はHではない)のα-ヒドロキシ酸はまた、触媒の存在下でまたは塩化ナトリウムおよびTEMPOを使用して、例えば酸素を用いた式Xのジオールの酸化により調製することができる:

【0064】
式VI(式中、AはCH2である)のアミン中間体は、THFまたはDMEなどの不活性エーテル溶媒中、20℃〜100℃で1時間〜48時間、BH3.THF溶液、BH3.Me2SまたはLiAlH4などの水素化試薬を使用して式XIのアミドの還元により調製することができる:

【0065】
式VI(式中、Aは結合である)のアミン中間体は式XIIIのオキシムを介して式XIIのケトンから調製することができる:

【0066】
ケトンのオキシムへの変換方法は、Smith, M. B. and March, J. "March's Advanced Organic Chemistry" pp1194-1195, 第5版, Wiley, New York, NY, 2001に記載される。オキシムの1級アミンへの還元方法は、Smith, M. B. and March, J. "March's Advanced Organic Chemistry" p 1555, 第5版, Wiley, New York, NY, 2001に記載される。
【0067】
式II(式中、QはOであり、GはCH2であり、nは0である)の中間体は、Smith, M. B. and March, J. "March's Advanced Organic Chemistry" p504, 第5版, Wiley, New York, NY, 2001に記載されるように、式XIVのエポキシドと式VIのアミンの反応により調製することができる:

【0068】
式XIVのエポキシド化合物は、順に、B. M. Trost, I. Fleming and Stuart L. Schreiber編、"Comprehensive Organic Synthesis"の1巻、3.2章のAube, J. "Epoxidation and Related Processes" Pergamon Press, New York, 1992に記載されるように、多くの方法で調製することができる。
【0069】
式II(式中、GはCH2CH2である)の別の中間体は、Smith, M. B. and March, J. "March's Advanced Organic Chemistry" p505, 第5版, Wiley, New York, NY, 2001に記載されるように、式XVのオキセタンと式VIのアミンの反応により調製することができる:

【0070】
式II(式中AはCH2である)の中間体は、THFまたはDMEなどの不活性エーテル溶媒中、20℃〜100℃で1時間〜48時間、BH3.THF溶液、BH3.Me2SまたはLiAlH4などの水素化試薬を使用して式XVIのアミド中間体の還元により調製することができる:

【0071】
式XVIのアミド中間体は、式XVIIのアミノ-アルコール中間体と式XVIII(式中、Z3は塩素、またはN-ヒドロキシスクシニミドエステルなどの活性化エステルである)の活性カルボン酸の反応により調製することができる:

【0072】
式XVII(式中、GはCH2であり、nは0である)のアミノ-アルコール中間体は、式XIVのエポキシドとアジ化物イオンを反応させて式XIXのアジド-アルコールを生成し、その後水素ガスでまたは水中でトリフェニルホスフィンを使用してアジド部分を還元することにより調製することができる:

【0073】
式XVII(式中、GはCH2CH2であり、nは0である)のアミノ-アルコール中間体は、式XIVのエポキシドとシアニドイオンを反応させて、その後得られた式XXのヒドロキシニトリルを触媒の存在下で水素ガスにより、またはLiAlH4などの水素供給源により還元することにより調製することができる:

【0074】
式II(式中、QはNであり、R3はHであり、GはCH2であり、nは0である)の中間体は、THFまたはDMEなどの不活性エーテル溶媒中、20℃〜100℃で1時間〜48時間、BH3.THF溶液、BH3.Me2SまたはLiAlH4などの水素化試薬を使用して、式XXIのα-アミノアミドを還元することにより調製することができる:

【0075】
式XXIのα-アミノアミドは、CH2Cl2などの不活性溶媒中、0〜30℃で1時間〜24時間、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下でHOBtまたはHATUを有するEDCなどの標準的なペプチドカップリング試薬を使用して、適切にN保護した式XXIIのα-アミノ酸と式VIのアミンをカップリングし、保護基を除去することにより調製することができる:

【0076】
式II(式中、QはNであり、R3はMeであり、GはCH2であり、nは0である)の中間体は、THFまたはDMEなどの不活性エーテル溶媒中、還流で6時間〜72時間、LiAlH4を使用して、式XXIIIのα-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アミドを還元することにより調製することができる:

【0077】
式II(式中、QはNであり、R3はHであり、GはCH2CH2であり、nは0である)の中間体は、THFまたはDMEなどの不活性エーテル溶媒中、20℃〜100℃で、1時間〜48時間、BH3.THF溶液、BH3.Me2SまたはLiAlH4などの水素化試薬を使用して、式XXIVのβ-アミノアミドを還元することにより調製することができる:

【0078】
式IIの中間体は、式XXV(式中、PGはBocまたはTsなどの保護基である)のアジリジンを式VIのアミンで開環し、その後PGを除去することにより調製することができる:

【0079】
式II(式中、GはCH2であり、nは0である)の中間体はまた、例えばNaCNBH3またはNaBH(OAc)3を還元剤として使用し、式XXVIのアルデヒド中間体を式VIのアミンにより還元アミノ化することにより調製することができる:

【0080】
式II(式中、Q=NR3)の1,2-ジアミン中間体の合成のためのさらなる方法は、Lucet, D.;Le Gall, T.;Mioskowski, C. Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 2580-2617に記載される。
【0081】
第2の過程において、式I(式中、QはOである)の化合物は、THFまたはDMFなどの溶媒中、0℃〜80℃で、NaHなどの強塩基の存在下、式XXVII(式中、Raはアルキルまたはベンジルである)のカルバメート中間体と式XIVのエポキシド中間体の反応により調製することができる:

【0082】
式XXVIIのカルバメート中間体は、CH2Cl2またはTHFなどの不活性溶媒中、0℃〜25℃で1時間〜24時間、ピリジンまたはトリエチルアミンなどの塩基の存在下、式VIのアミンと式XXVIIIのクロロホルメートを反応させることにより調製することができる:

【0083】
本発明の第3の過程において、式Iの化合物は式Iの別の化合物から調製することができる。例えば:
(1) 式I(式中、CyはCO2H置換基を有する)の化合物をSOCl2または(COCl)2での処理により対応する酸塩化物に変換して、その後アンモニアと反応させ式I(式中、CyはCONH2置換基を有する)の化合物を生成することができる。
(2) 式I(式中、CyはCONH2置換基を有する)の化合物を(CF3CO)2OまたはPOCl3などの脱水剤で処理して、式I(式中、CyはCN置換基を有する)の化合物に転換することができる。
(3) 式I(式中、CyはCO2Me置換基を有する)の化合物を、例えばTHF中でLiBH4またはLiAlH4で還元して、式I(式中、CyはCH2OH置換基を有する)の化合物を生成することができる。
(4) 式I(式中、CyはCO2Me置換基を有する)の化合物を過剰なMeLlまたはMeMgBrと反応させ、式I(式中、CyはC(CH3)2OH置換基を有する)の化合物を生成することができる。
(5) 式I(式中、QはNR3であり、R3はHである)の化合物をNaHなどの強塩基、その後(C1-C8)アルキルハロゲン化物、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキルハロゲン化物またはフェニル(C1-C4)アルキルハロゲン化物と反応させ、式I(式中、QはNR3であり、R3は(C1-C8)アルキル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキルまたはフェニル(C1-C4)アルキルである)の化合物を生成することができる。
(6) 式I(式中、R1はアリールまたはヘテロアリールであり、Xは臭素またはヨウ素である)の化合物をパラジウム触媒の存在下で、ボロン酸アリールもしくはボロン酸ヘテロアリールまたはエステルと反応させ、式I(式中、R1はアリールまたはヘテロアリールであり、Xはアリールまたはヘテロアリールである)の化合物を生成することができる。
【0084】
精製方法
本発明の化合物は、以下の条件を用いて、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し得る。他に特定されない場合、分取HPLCとは、Gilson 215システムで行う、0.01%TFAを含む水/アセトニトリル勾配で溶出するC-18カラム上の分取逆相HPLCのことをいう。
【0085】
分析方法
LC-MS(3分)
カラム:Chromolith SpeedRod、RP-18e、50x4.6mm;移動相:A:0.01%TFA/水、B:0.01%TFA/CH3CN;流速:1mL/分;勾配:

【0086】
LC-MS(4分)
カラム:YMC ODS-AQ、S-5mm、12nm、50x2.0mm ID;カラム温度40℃;移動相:A:H2O+0.1%TFA、B:MeCN+0.05%TFA;流速:0.8mL/分;勾配:

【0087】
LC-MS(16分)
カラム:Chromolith SpeedRod、RP-18e、50x4.6mm、移動相:A:0.01%TFA/水、B:0.01%TFA/CH3CN;流速:1mL/分;勾配:

【実施例】
【0088】
実施例1
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン


工程1
アダマンタン-1-カルボン酸(10g、55mmol)を、不活性大気中2時間、塩化チオニル(15mL)およびジメチルホルムアミド(1滴)と共に還流で加熱した。余分な塩化チオニルを真空下で蒸留除去した。残渣をTHF(30mL)に溶解して、0℃で濃縮アンモニア水溶液(135mL)に添加した。反応物を室温で2時間攪拌した。混合物を10℃に冷却し、ろ過して粗生成物を得、これを水で洗浄して乾燥させ、アダマンタン-1-カルボキサミド(6.6g、67%)を得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ=1.71-2.04 (t, 15H), 5.66-5.75 (d, 2H).
【0089】
工程2
THF(50mL)中のアダマンタン-1-カルボキサミド(2g、11.17mmol)の溶液に、窒素下でBH3.Me2S(10.2M、3.4mL、34.7mmol)を添加した。還流で混合物を一晩加熱した。溶液を室温に冷却した。溶液にメタノール(20mL)を添加した。真空下で混合物を濃縮して粗生成物を得て、それをシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製して、(1-アダマンチル)メチルアミン(1.09g、59%)を得た。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=1.44-1.96 (m, 15H), 2.30 (s, 2H).
【0090】
工程3
CH2Cl2(15mL)中の(1-アダマンチル)メチルアミン(100mg、0.61mmol)、(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸(92mg、0.61mmol)、EDCl(239mg、1.22mmol)およびHOBt(164mg、1.22mmol)の溶液に、DIEA(391mg、3.03mmol)を添加し、得られた混合物を一晩攪拌した。真空下で溶液を濃縮して粗生成物を得、それを分取TLCで精製して(S)-N-((1-アダマンチル)メチル)-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトアミド(85mg、47%)を得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=1.34-1.91 (m, 15H), 2.86 (q, 1H), 3.02 (q, 1H), 5.04 (s, 1H), 5.93 (s, 1H), 7.25-7.43 (m, 5H).
【0091】
工程4
THF(10mL)中の(S)-N-((1-アダマンチル)メチル)-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトアミド(85mg、0.28mmol)の溶液に、窒素下でBH3.Me2S(10M、85μL、8.5mmol)を添加した。還流下で混合物を一晩加熱してその後室温に冷却した。反応をメタノールで停止した。真空下で混合物を濃縮して粗生成物を得、それを分取TLCで精製して、(S)-2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)-1-フェニルエタノール(40mg、50%)を得た。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ=1.31-2.01 (m, 15H), 2.42 (q, 2H), 2.81 (d, 2H), 4.88 (t, 1H), 7.21-7.43(m, 5H).
【0092】
工程5
CH2Cl2(2mL)中の(S)-2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)-1-フェニルエタノール(35mg、0.12mmol)、Et3N(24.8mg、0.25mmol)の溶液に、0℃でトリホスゲン(14.6mg、0.05mmol)を添加して混合物を30分間攪拌した。真空下で混合物を濃縮して粗生成物を得て、それを分取TLCで精製して(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン(10mg、26%)を得た。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ=1.51-1.95 (m, 15H), 2.89 (q, 2H), 3.55 (q, 1H), 4.10 (t, 1H), 5.57 (q, 1H), 7.34-7.45 (m, 5H); MS m/z = 312.
【0093】
実施例2
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン
実施例1に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸を使用して表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 0.97 (d, 6H),1.40-1.97 (m, 18H), 2.81 (dd, 2H), 3.78 (t, 1H), 4.63 (m, 1H); MS m/z = 292
【0094】
実施例3
(R)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン
実施例1工程3〜5に記載されるものと同様の手順で、工程3で(R)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸を使用して表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 1.62(m, 6H), 1.64-1.96(m, 6H), 2.05(m, 3H), 3.01(m, 2H), 3.65(m, 1H), 4.19(m, 1H), 5.66(m, 1H), 7.49(m, 5H); MS m/z = 312.
【0095】
実施例4
(S)-3-(1-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン
実施例1工程3〜5に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸および1-アミノアダマンタンを使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 0.99(d, 6H), 1.46(m, 1H), 1.59-1.90(m, 9H), 2.11(m, 9H), 3.25(m, 1H), 3.78(t, 1H), 4.49(m, 1H); MS m/z = 278
【0096】
実施例5
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン
実施例1工程3〜5に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸および塩酸2-アミノアダマンタンを使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 0.98(d, 6H), 1.49(m, 1H), 1.61-2.02(m, 14H), 2.28(m, 1H), 2.40(m, 1H), 3.36(m, 1H), 3.65(m, 1H), 3.90(t, 1H), 4.61(m, 1H); MS m/z = 278
【0097】
実施例6
(S)-5-ベンジル-3-((1-アダマンチル)メチル)オキサゾリジン-2-オン
実施例1に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパン酸を使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 1.39(m, 6H), 1.64(m, 6H), 1.90(m, 3H), 2.72(dd, 2H), 3.00(m, 2H), 3.42(m, 1H), 3.67(t, 1H), 4.75(m, 1H), 7.29(m, 5H); MS m/z = 326
【0098】
実施例7
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-(2-クロロフェニル)オキサゾリジン-2-オン
実施例1に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-(2-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸を使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 1.50(m, 6H), 1.62(m, 6H), 1.92(m, 3H), 2.90(m, 2H), 3.51(m, 1H), 4.23(m, 1H), 5.84(m, 1H), 7.46(m, 4H); MS m/z = 346
【0099】
実施例8
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-(t-ブチル)オキサゾリジン-2-オン
実施例1に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシ-3,3-ジメチルブタン酸を使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 0.95(s, 9H), 1.58(m, 6H), 1.72(m, 6H), 1.99(m, 3H), 2.88(dd, 2H), 3.48(m, 1H), 3.66(m, 1H), 4.28(m, 1H); MS m/z = 292
【0100】
実施例9
(±)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-(3-クロロフェニル)オキサゾリジン-2-オン
実施例1に記載されるものと同様の手順で、工程3で2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸を使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 1.48-1.85(m, 12H), 1.95(m, 3H), 2.90(m, 2H), 3.52(m, 1H), 4.11(m, 1H), 5.56(m, 1H), 7.29-7.48(m, 4H); MS m/z = 346.
【0101】
実施例10
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-エチルオキサゾリジン-2-オン
実施例1に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシブタン酸を使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 1.00(t, 3H), 1.52(m, 6H), 1.56-1.72(m, 8H), 1.98(m, 3H), 2.86(dd, 2H), 3.25(m, 1H), 3.69(m, 1H), 4.42(m, 1H); MS m/z = 264.
【0102】
実施例11
(S)-3-((2-アダマンチル)メチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン
実施例1工程3〜5に記載されるものと同様の手順で、工程3で(2-アダマンチルメチル)アミンを使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 1.5(m, 2H), 1.72(m,6H),1.82-2.00(m, 7H), 3.38(m, 2H), 3.51(m, 1H), 3.90(t, 1H), 5.48(t, 1H), 7.36-7.44(m, 5H); MS m/z = 312.
【0103】
実施例12
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-tert-ブチルオキサゾリジン-2-オン
実施例1工程3〜5に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシ-3,3-ジメチルブタン酸および塩酸2-アミノアダマンタンを使用して、表題の化合物を調製した。1H NMR (CDCl3) 0.94 (s, 9H), 1.60-2.0 ( 12H), 2.26 (br s, 1H), 2.42 (br s, 1H), 3.43 (t, 1H), 3.62 (t, 1H), 3.69 (br s, 1H), 4.14 (t, 1H); LC-MS (3分) tR= 2.09分, m/z = 278.
【0104】
実施例13
(S)-3-(1-ヒドロキシ-4-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン
実施例1工程3〜5に記載されるものと同様の手順で、工程3で(S)-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸および1-ヒドロキシ-4-アミノアダマンタンを使用して、表題の化合物を調製した。分取HPLCにより異性体を分離して、(S)-3-(1-ヒドロキシ-4-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン異性体Aおよび(S)-3-(1-ヒドロキシ-4-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン異性体Bを得た。異性体A: 1H NMR (MeOD, 400 MHz): δ 0.98(d, 6H),1.52(m, 3H), 1.76(m, 8H), 1.86(m, 3H), 2.14(m, 1H), 2.46(m, 1H), 2.64(m, 1H), 3.56(m, 1H), 3.87(t, 1H), 4.60(m, 1H).; MS m/z = 294. 異性体B: 1H NMR (MeOD, 400 MHz) δ 0.98(d, 6H), 1.48(m, 3H) 1.60(m, 2H), 1.74(m 7H), 1.88(m, 3H), 2.10(m, 1H), 2.56(m, 1H), 2.65(m, 1H), 3.47(m, 1H), 3.86(t, 1H), 4.60(m, 1H), MS m/z = 294.
【0105】
実施例14
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン
表題の化合物を、実施例1工程3で(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸および塩酸2-アミノアダマンタンを使用して実施例1工程3〜5に記載されるものと類似した手順に従って調製した。1H NMR(MeOD, 400MHz):δ1.55(m, 6H), 1.67(d, 2H), 1.75(m, 2H), 1.91(m, 8H), 2.28(m, 1H), 2.49(m, 1H), 3.58(m, 1H), 3.74(m, 1H), 4.09(m, 1H), 5.49(m, 1H), 7.40(m, 5H);MS m/z = 298.
【0106】
実施例15
(R)-3-(2-アダマンチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン
表題の化合物を、実施例1工程3で(R)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸および塩酸2-アミノアダマンタンを使用して実施例1工程3〜5に記載されるものと類似した手順に従って調製した。1H NMR(MeOD, 400MHz):δ1.56(m, 3H), 1.66(d, 2H), 1.86(m, 8H), 2.28(m, 1H), 2.48(m, 1H), 3.54(t, 1H), 3.75(m, 1H), 4.07(m, 1H), 5.48(t, 1H), 7.400(m, 5H); MS m/z = 298
【0107】
実施例16
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-メチル-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン
表題の化合物を、実施例1工程3で(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルプロパン酸および塩酸2-アミノアダマンタンを使用して実施例1工程3〜5に記載されるものと類似した手順に従って調製した。1H NMR(CDCl3)1.50-1.90(15H), 2.26(br s, 1H), 2.43(br s, 1H), 3.72(s, 1H), 3.79(m, 2H), 7.25-7.45(5H); LC-MS(3分) tR = 2.11分, m/z = 286.
【0108】
実施例17
3-(1-アダマンチルメチル)-5-(4-ヒドロキシフェニル)オキサゾリジン-2-オン


工程1
4-ヒドロキシベンズアルデヒド(28.2g, 231mmol)、炭酸カリウム(47.9g, 35mmol)、ヨウ化カリウムおよびDMF(280mL)の撹拌した混合物に、臭化ベンジルを0℃でゆっくりと添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、EtOAcおよび水で希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、1N HCl水溶液で洗浄し、乾燥した。溶液を、濃縮し、4-ベンジルオキシベンズアルデヒド(46.5g, 95%)を得た。1H NMR:(CDCl3, 400MHz) δ=5.15(s, 2H), 7.06(m, 2H), 7.42(m, 5H), 7.84(m, 2H), 9.89(s, 1H).
【0109】
工程2
NaH(60%, 0.5g, 23.6mmol)を、DMSO(50mL)中に希釈し、窒素下の室温で30分間撹拌した。ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(7.8g, 35.37mmol)を0℃で分けて添加した。反応混合物を1時間撹拌した。次に、THF(15mL)中の4-ベンジルオキシベンズアルデヒド(5g, 23.58mmol)の溶液を添加した。反応溶液を室温で3時間撹拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、エーテルで抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)オキシランを得、更なる精製なしで次の工程に使用した。
【0110】
工程3
2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)オキシラン(2g, 8.8mmol)および(1-アダマンチルメチル)アミン(1.46g, 8.8mol)を、イソプロピルアルコール(30mL)に溶解し、還流して一晩加熱した。混合物を濃縮し、粗生成物を得、カラムクロマトグラフィーで精製し、1-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)エタノール(0.8g, 23%)を得た。1H NMR:(CDCl3, 400MHz) δ=1.51(m, 6H), 1.60-1.72(m, 6H), 1.97(m, 3H), 2.32&2.45(dd, 2H), 2.64(m, 1H), 2.73(m, 1H), 2.94(m, 1H), 3.40(brs, 3H), 4.79(m, 1H), 6.93(m, 2H), 7.26-7.43(m, 7H).
【0111】
工程4
MeOH(10ml)中の1-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)エタノール(0.8g, 2.05mmol)の溶液に、Pd(OH)2(80mg)を添加した。混合物を、H2下の室温で30分間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮し、4-(2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)フェノール(0.5g, 収率:81%)を得た。 1H NMR:(CDCl3,400MHz) δ=1.53(m, 6H), 1.65(m, 6H), 1.97(m, 3H), 2.26&2.36(dd, 2H), 2.62&2.83(dd, 2H), 4.60(m, 1H), 6.78(m, 2H), 7.22(m, 2H).
【0112】
工程5
4-(2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)フェノール(50mg, 0.166mmol)およびEt3N(34mg, 0.33mmol)を、乾燥CH2Cl2(1mL)中に溶解し、溶液を0℃に冷却した。乾燥CH2Cl2(1mL)中のトリホスゲン(19.7mg, 0.066mmol)を、ゆっくりと滴下した。混合物を、室温に温めて一晩撹拌した。溶液を濃縮し、残渣を得、分取HPLCで精製し、3-アダマンタン-1-イルメチル-5-(4-ヒドロキシ-フェニル)-オキサゾリジン-2-オン(2.40mg, 4.4%)を得た。1H NMR:(CDCl3, 400MHz): δ=1.54(s, 6H), 1.58-1.65(d, 3H), 1.66-1.75(d, 3H), 1.99(s, 3H), 2.80-2.87(d, 1H), 3.02-3.08(d, 1H), 3.50-3.56(t, 1H), 3.93-4.00(t, 1H), 5.40-5.48(t, 1H), 6.82-6.90(d, 1H), 7.20-7.26(d, 1H); MS m/z = 328
【0113】
実施例18
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン


工程1
乾燥CH3OH(5mL)中の(S)-2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)-1-フェニルエタノール(50mg, 0.18mmol)の溶液に、触媒としてPtO2(10mg)を添加した。混合物を、水素(55psi)下の60〜70℃で一晩撹拌した。濾過後に、濾液を蒸発させて残渣を得、分取TLCで精製し、(S)-1-シクロヘキシル-2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)エタノール(20mg, 40%)を得た。1H NMR(MeOD, 400MHz): δ=1.07-1.99(m, 25H), 2.35-2.51(q, 2H), 2.63(t, 1H), 2.80(d, 1H), 3.51(m, 1H).
【0114】
工程2
0℃で乾燥CH2Cl2(2mL)中の(S)-1-シクロヘキシル-2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)エタノール(22mg, 0.077mmol)およびEt3N(15.6mg, 0.154mmol)の溶液に、乾燥CH2Cl2(2mL)中のトリホスゲン(9.2mg, 0.031mmol)を添加した。混合物を、30分間撹拌し、次に真空中で濃縮し、粗生成物を得、分取TLCで精製し、(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン(5mg, 21%)を得た。 1H NMR(MeOD, 400MHz): δ=1.18-1.97(m, 25H), 2.75-2.95(m, 2H), 3.42(t, 1H), 3.72(t, 1H), 4.83(m, 1H); MS: m/z = 318.
【0115】
実施例19
(S)-3-((2-アダマンチル)メチル)-5-シクロへキシルオキサゾリジン-2-オン
表題の化合物を、実施例18工程1で(S)-2-((2-アダマンチルメチル)アミノ)-1-フェニルエタノールを使用して実施例18に記載されるものと類似した手順に従って調製した。 1H NMR(MeOD, 400MHz): δ1.04(m, 2H), 1.22(m, 3H), 1.56(m, 8H), 1.72(m, 7H), 1.80-2.00(m, 6H), 3.25(m, 2H), 3.47(m, 2H), 4.20(m, 1H); MS m/z = 318.
【0116】
実施例20
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン
表題の化合物を、実施例18工程1で(S)-2-(2-アダマンチルアミノ)-1-フェニルエタノールを使用して実施例18に記載されるものと類似した手順に従って調製した。1H NMR (MeOD, 400MHz): δ0.96-1.18(m, 3H), 1.19-1.36(m, 3H), 1.48-1.62(m, 9H), 1.76(m, 4H), 1.77-1.99(m, 9H), 2.23(m, 1H), 2.44(m, 1H), 3.38(t, 1H), 3.70(m, 2H), 4.18(m, 1H); MS m/z = 304.
【0117】
実施例21
(R)-3-(2-アダマンチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン
表題の化合物を、実施例18工程1で(R)-2-(2-アダマンチルアミノ)-1-フェニルエタノールを使用して実施例18に記載されるものと類似した手順に従って調製した。 1H NMR(MeOD, 400MHz): δ0.97-1.16(m, 3H), 1.18-1.36(m, 4H), 1.49-1.72(m, 11H), 1.75(m, 5H), 1.77-2.01(m, 9H), 2.23(m, 1H), 2.44(m, 1H), 3.39(t, 1H), 3.60(m, 2H), 4.17(m, 1H); MS m/z = 304.
【0118】
実施例22
3-(1-アダマンチルメチル)-5-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)オキサゾリジン-2-オン


工程1
MeOH(10mL)中の4-(2-((1-アダマンチルメチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)フェノール(0.3g, 1mmol)の溶液に、PtO2(60mg)を添加した。混合物を、水素(50psi)下の60℃で2日間撹拌した。溶媒を除去し、分取TLCで精製し、4-(2-(1-アダマンチルメチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール(100mg, 32%)を得た。1H NMR:(400MHz, CDCl3) δ=0.90-1.40(m, 5H), 1.46(m, 6H), 1.50-1.65(m, 6H), 1.66-1.82(m, 2H), 1.92(m, 3H), 2.25(m, 2H), 3.30(m, 5H), 4.41(m, 1H).
【0119】
工程2
CH2Cl2(2mL)中の4-(2-(1-アダマンチルメチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール(180mg, 0.58mmol)およびトリエチルアミン(117mg, 1.16mmol)の溶液にトリホスゲン(70mg, 0.23mmol)を添加した。混合物を、室温で一晩撹拌した。溶媒を除去し、残渣を分取TLCで精製し、粗3-(2-アダマンチル)-5-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)オキサゾリジン-2-オンを得、MSトリガーHPLCによって分離し、異性体A(9.57mg)および異性体B(2.27mg)を得た。
異性体A 1H NMR:(400MHz, CDCl3) δ=1.14-1.31(m, 4H), 1.56(m, 11H), 1.63&1.73(m, 4H), 2.05(m, 4H), 2.74&2.99(dd, 2H), 3.32(m, 1H), 3.62(m, 2H), 4.23(m, 1H); MS m/z = 334.
異性体B 1H NMR:(400MHz, CDCl3) δ=1.31-1.50(m, 3H), 1.50(m, 6H), 1.62&1.71(m, 6H), 1.82(m, 2H), 2.00(m, 3H), 2.16(m, 6H), 2.72&3.03(dd, 2H), 3.35(m, 1H), 3.64(m, 1H), 4.08(m, 1H), 4.30(m, 1H); MS m/z = 334.
【0120】
実施例23
3-((1-アダマンチル)メチル)-6-イソブチル-1,3-オキサジナン-2-オン


工程1
0℃でCH2Cl2(150mL)中の2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオン(14.4g, 0.1mol)およびピリジン(19.4mL)の溶液に、CH2Cl2(140mL)中の3-メチルブチリルクロライド(12g, 0.1mmol)の溶液をゆっくりと添加した。反応混合物を、0℃で1時間撹拌し、室温でさらに1時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を得、EtOAc(500mL)で希釈して濾過した。濾液を、10% Na2CO3水溶液(200mL)および水(200mL)で洗浄した。合わせた水層をEtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、粗5-(3-メチルブタノイル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオン(26g)を得、更なる精製なしで次の工程に使用した。
【0121】
工程2
無水1,4-ジオキサン(10mL)中の5-(3-メチルブタノイル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオン(2.76g, 12mmol)および(1-アダマンチルメチル)アミン(2g, 12mmol)の溶液を、還流して2時間加熱した。溶媒を真空下で除去した。残渣を、EtOAc(50mL)で希釈し、水、K2CO3水溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、乾燥状態まで濃縮した。残渣を、20:1 PE/EtOAcで溶出されるシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーで精製し、N-(1-アダマンチルメチル)-5-メチル-3-オキソへキサンアミド(1.90g, 54.4%)を得た。1H NMR: (400MHz, CDCl3): δ=0.92(s, 3H), 0.96(s, 3H), 1.54(s, 7H), 1.62-1.73(m, 9H), 1.98(s, 4H), 2.12(m, 1H), 2.45(d, 2H), 2.95(d, 2H), 3.65(s, 2H).
【0122】
工程3
無水THF(15mL)中のN-(1-アダマンチルメチル)-5-メチル-3-オキソへキサンアミド(1.5g, 5.1mmol)の溶液を、無水THF(5mL)中のLAH(500mg, 13.1mmol)の懸濁液にN2下の0℃でゆっくりと添加した。反応混合物を、70℃に加熱して、この温度で一晩撹拌した。水(0.5mL)および10%NaOH水溶液(0.5mL)を添加して、反応をクエンチした。得られたスラリーを濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を10:1 PE/EtOAcで溶出されるシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーで精製し、1-(1-アダマンチルメチルアミノ)-5-メチルへキサン-3-オール(900mg, 63.3%)を得た。 MS(M+1): 280.
【0123】
工程4
無水CH2Cl2(500μL)中のトリホスゲン(35mg, 0.12mmol)の溶液を、0℃で無水CH2Cl2(2mL)中の1-(1-アダマンチルメチルアミノ)-5-メチルへキサン-3-オール(100mg, 0.36mmol)およびEt3N(50μL, 0.257mmol)の溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を、1時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を分取TLCで精製し、3-((1-アダマンチル)メチル)-6-イソブチル-1,3-オキサジナン-2-オン(80mg, 74%)を得た。1H NMR(MeOD, 400MHz): δ=0.93-0.98(q, 6H), 1.35-1.44(m, 1H), 1.50-2.08(m, 18H), 2.87-2.94(d, 1H), 3.12-3.20(d, 1H), 3.30-3.40(m, 1H), 3.49-3.61(m, 1H), 4.35-4.45(m, 1H); MS m/z = 306.
【0124】
実施例24
(S)-1-((1-アダマンチル)メチル)-4-(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン-2-オン


工程1
無水CH2Cl2(50mL)中の(1-アダマンチルメチル)アミン(15g, 52mmol)の溶液に、tert-ブチル2-((tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)アジリジン-1-カルボキシレート(13g, 78.3mmol)を添加した。混合物を10分間撹拌し、溶媒を真空下で除去し、残渣を40℃で5時間撹拌した。混合物をEtOAc(500mL)で希釈し、水(100mL)、1N HCl水溶液(50mL)、飽和NaHCO3水溶液(50ml)およびブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶液を濃縮し、残渣を得、シリカゲル上のクロマトグラフィーで精製し、(S)-tert-ブチル1-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-((1-アダマンチルメチル)アミノ)プロパン-2-イルカルバメート(10g, 24%)を得た。1H NMR:(CDCl3, 400MHz): δ=0.041(s, 6H), 0.882(s, 9H), 1.44(s, 9H), 1.49(s, 6H), 1.65(m, 6H), 1.94(s, 3H), 2.23(s, 2H), 2.62-2.81(m, 2H), 3.67(m, 3H), 5.30(s, 1H).
【0125】
工程2
CH3OH(30mL)中の1N HCl中の(S)-tert-ブチル1-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-((1-アダマンチルメチル)アミノ)プロパン-2-イルカルバメート(10g, 22mmol)の溶液を、室温で3時間撹拌した。反応が完了した後に、溶液を濃縮し、HCl塩として粗(S)-2-アミノ-3-((1-アダマンチルメチル)アミノ)プロパン-1-オールを得、精製なしで次の工程に使用した。
【0126】
工程3
無水CH2Cl2(20mL)中の(S)-2-アミノ-3-((1-アダマンチルメチル)アミノ)プロパン-1-オールHCl塩(1.2g, 3.8mmol)の溶液に、0℃でDIEA(1.9g, 15.2mmol)、DMAP(2.3mg, 0.02mmol)およびTBDPSCl(1.2g, 4.2mmol)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応溶液をCH2Cl2(100mL)および水(20mL)で抽出した。有機層を、ブライン(20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、粗生成物を得、分取TLC(PE:EtOAc 10/1)で精製し、(S)-3-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-N1-(1-アダマンチルメチル)プロパン-1,2-ジアミン(620mg, 29%)を得た。1H NMR:(CDCl3,400MHz): δ=1.05(s, 9H), 1.54(s, 6H), 1.62-1.73(m, 6H), 1.98(s, 3H), 2.32(d, 1H), 2.45(d, 1H), 2.56(d, 1H), 2.85(d, 1H), 3.15(m, 4H), 3.65(m, 2H), 7.4(m, 6H), 7.62(m, 4H).
【0127】
工程4
無水CH2Cl2(2mL)中のトリホスゲン(124mg, 0.42mmol)の溶液を、0℃で無水CH2Cl2(10mL)中の(S)-3-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-N1-(1-アダマンチルメチル)プロパン-1,2-ジアミン(600mg, 1.26mmol)およびトリエチルアミン(140mg、1.4mmol)の溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を、もう1時間撹拌した。混合物を水で希釈し、CH2Cl2(50mL)で抽出した。有機層を、0.1N HCl水溶液(2 x 20mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、残渣を得、分取TLCで精製し、(S)-4-((tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)-1-(1-アダマンチルメチル)イミダゾリジン-2-オン(330mg, 52%)を得た。 1H NMR:(CDCl3, 400MHz): δ=1.05(s, 9H), 1.54(s, 6H), 1.62-1.73(m, 8H), 1.98(s, 3H), 2.77(m, 2H), 3.21(m, 1H), 3.55(t, 1H), 3.65(m, 2H), 3.82(m, 1H), 4.57(s, 1H), 7.4(m, 6H), 7.62(m, 4H).
【0128】
工程5
TBAF(400mg, 1.6mmol)を、0℃で無水THF(5mL)中の(S)-4-((tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)-1-(1-アダマンチルメチル)イミダゾリジン-2-オン(261mg, 0.52mmol)の溶液に添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣を得、分取TLC(PE/EtOAc 1/1)で精製し、(S)-1-(1-アダマンチルメチル)-4-(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン-2-オン(45mg, 10%)を得た。1H NMR:(CDCl3, 400MHz): δ=1.54(s, 6H), 1.62-1.73(m, 6H), 1.98(s, 3H), 2.77(m, 2H), 3.35(m, 1H), 3.55-3.75(m, 3H), 3.82(m, 1H); MS m/z = 265
【0129】
実施例25
(4R,5S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-4-メチル-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン


工程1
CH2Cl2(50mL)中の(1S,2R)-2-アミノ-1-フェニルプロパン-1-オール(1.50g, 9.9mmol)、DIEA(4.4mL, 24.8mmol)の氷冷撹拌した溶液に、固体アダマンタン-1-カルボニルクロライド(4.34g, 21.8mmol)を添加した。混合物を一晩撹拌し、エーテル(150mL)で希釈し、5% HCl水溶液(50mL)および飽和NaHCO3水溶液(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を除去し、泡(4.78g)を得、THF(50mL)およびMeOH(100mL)中に溶解した。5% NaOH水溶液(50mL)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を回転蒸発させて、有機溶媒を除去し、水性残渣をEtOAc(150mL)で抽出した。EtOAc抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、粘り気のあるオフホワイト固体としてN-((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド(3.07g, 98%)を得た。 LC-MS(3分) tR = 1.78分, m/z = 314, 296.
【0130】
工程2
乾燥THF(50mL)中のN-((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド(3.07g, 9.8mmol)の撹拌した溶液を氷浴中で冷却し、THF中の1M BH3(50mL, 50mmol)を添加した。氷浴を溶かして、混合物を室温で週末中撹拌した。混合物を、5% HCl水溶液(50mL)に注いだ。混合物を、回転式エバポレーター上で濃縮し、白色固体を得、5% HCl水溶液(75mL)中に採取し、エーテル(150mL)で洗浄した。水層を、NaOHの添加によって強塩基性にし、
EtOAc(2 x 100mL)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物をMgSO4で乾燥し、濃縮し、オイル状として(1S,2R)-2-(1-アダマンチルメチルアミノ)-1-フェニルプロパン-1-オール(2.28g, 77%)を得た。 LC-MS(3分) tR = 1.32分, m/z = 300.
【0131】
工程3
CH2Cl2(50mL)中の(1S,2R)-2-(1-アダマンチルメチルアミノ)-1-フェニルプロパン-1-オール(715mg, 2.4mmol)およびDIEA(1.3mL, 7.2mmol)の氷冷撹拌した溶液に、固体トリホスゲン(233mg, 0.79mmol)を添加した。氷浴を溶かして、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物をエーテル(150mL)で希釈し、5% HCl水溶液(50mL)および飽和NaHCO3水溶液(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を除去し、白色固体として(4R,5S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-4-メチル-5-フェニルオキサゾリジン-2-オンを得た。1H NMR(CDCl3) 0.76(d, 3H), 1.5-1.8(12H), 2.01(3H), 2.52(d, 1H), 3.30(d, 1H), 4.09(m, 1H), 5.63(d, 1H), 7.25-7.40(5H); LC-MS(3分) tR = 2.26分, m/z = 326, 348.
【0132】
実施例26
3-((1-アダマンチル)メチル)-6-メチル-1,3-オキサジナン-2-オン


工程1
アダマンタン-1-カルボン酸(404mg, 2.24mmol)、4-アミノ-ブタン-2-オール(200mg, 2.24mmol)、EDCl(885mg, 4.48mmol)およびHOBt(605mg, 4.48mmol)を無水CH2Cl2に溶解した。DIEA(1.444g, 11.2mmol)を、窒素下の0℃で上記混合物に添加した。混合物を一晩撹拌し、濃縮し、残渣を得、分取TLCで精製し、N-(3-ヒドロキシブチル)アダマンタン-1-カルボキサミド(170mg, 30%)を得た。1H NMR(MeOD, 400MHz): δ=1.20(d, 3H), 1.66-2.04(m, 17H), 2.87(m, 2H), 3.79(m, 1H).
【0133】
工程2
THF(1.5mL)中のLiAlH4(51mg, 1.36mmol)の懸濁液に、0℃でTHF中のN-(3-ヒドロキシブチル)アダマンタン-1-カルボキサミド(170mg, 0.68mmol)の溶液を添加した。混合物を撹拌し、還流して一晩加熱した。反応をH2O(2mL)でクエンチした。混合物を濾過し、4-(1-アダマンチルメチルアミノ)ブタン-2-オール(50mg, 31%)を得た。 1H NMR(CD3OD, 400MHz) δ=1.12(d, 3H), 1.58-1.88(m, 17H) 2.28(t, 2H), 2.65(m, 2H), 3.79(m, 1H)
【0134】
工程3
N2下の0℃でCH2Cl2(5mL)中の4-(1-アダマンチルメチルアミノ)ブタン-2-オール(50mg, 0.21mmol)およびEt3N(42.4mg, 0.42mmol)の溶液に、CH2Cl2(1mL)中のトリホスゲン(25mg, 0.084mmol)の溶液を滴下した。混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、粗生成物を得、分取TLCで精製し、3-((1-アダマンチル)メチル)-6-メチル-1,3-オキサジナン-2-オン(12mg, 21%)を得た。1H NMR(CD3OD, 400MHz) δ=1.46(d, 3H), 1.72-2.18(m, 17H), 3.02(d, 1H), 3.34(d, 1H), 3.44(m, 1H), 3.63(m, 1H), 4.58(m, 1H), MS m/z =264
【0135】
実施例27
(S)-1-(2-アダマンチル)-4-tert-ブチルイミダゾリジン-2-オン


工程1
CH2Cl2(30mL)中のBoc-t-Leu-OH(1.59g, 6.8mmol)、塩酸2-アミノアダマンタン(1.28g, 6.8mmol)およびDIEA(3.0mL, 17.0mmol)の撹拌したスラリーに、固体HATU(2.86g, 7.5mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、エーテル(150mL)で希釈し、5%HCl水溶液(50mL)および飽和NaHCO3水溶液(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を除去し、黄褐色固体として粗(S)-tert-ブチル1-(2-アダマンチルアミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イルカルバメート(2.08g, 83%)を得た。LC-MS(3分) tR = 2.17分, m/z = 365.
【0136】
工程2
乾燥THF(20mL)中の粗(S)-tert-ブチル1-(2-アダマンチルアミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イルカルバメート(2.08g, 5.7mmol)の撹拌した溶液を、氷浴中で冷却し、THF中の1M BH3(40mL, 40mmol)を添加した。混合物を、室温で一晩撹拌し、10% NaHCO3水溶液(200mL)に注いだ。混合物をEtOAc(2 x 100mL)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、白色固体(1.84g)を得た。この物質をCH2Cl2(30mL)中に溶解し、TFA(5mL)を添加した。1.5時間撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液(100mL)を添加し、混合物をCH2Cl2(3 x 50mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物をNa2SO4で乾燥し、濃縮し、白色固体(1.92g,)を得、精製なしで次の工程に使用した。LC-MSは、(S)-N1-(2-アダマンチル)-3,3-ジメチルブタン-1,2-ジアミンの存在を示した LC-MS(3分) tR = 0.74分, m/z = 251および(S)-N1-(2-アダマンチル)-N2,3,3-トリメチルブタン-1,2-ジアミン LC-MS(3分) tR = 1.16分, m/z = 265.
【0137】
工程3
CH2Cl2(20mL)中の工程2の粗生成物(793mg, 3.17mmol)およびDIEA(2mL, 11.1mmol)の撹拌した溶液を、氷浴中で冷却し、固体トリホスゲン(310mg, 1.05mmol)を添加した。氷浴を溶かした。混合物を室温で一晩撹拌し、エーテル(80mL)で希釈し、5% HCl水溶液(2 x 20mL)および飽和NaHCO3水溶液(20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を除去し、シロップ状物(0.80g)を得た。へキサン中の0〜100%EtOAcの勾配で溶出される40-gシリカゲルカートリッジ上のクロマトグラフィーで白色固体として(S)-4-tert-ブチル-1-(2-アダマンチル)イミダゾリジン-2-オン(80mg)を得た。1H NMR(CDCl3) 0.90(s, 9H), 1.5-2.0(12H), 2.27(s, 1H), 2.39(s, 1H), 3.35(m, 2H), 3.58(t, 1H), 3.63(s, 1H), 4.42(s, 1H); LC-MS(3分) tR = 2.01分, m/z = 277.また、粗(S)-1-(2-アダマンチル)-4-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリジン-2-オンを含む混合画分(171mg)を、単離した。
【0138】
実施例28
(S)-1-(2-アダマンチル)-4-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリジン-2-オン


実施例27工程3の混合画分の一部を、分取HPLCで精製し、(S)-1-(2-アダマンチル)-4-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリジン-2-オン(1.2mg)を得た。1H NMR(CDCl3)0.96(s, 9H), 1.5-2.0(12H), 2.36(br s, 1H), 2.39(br s, 1H), 2.89(s, 3H), 3.06(dd, 1H), 3.21(dd, 1H), 3.42(t, 1H), 3.58(s, 1H); LC-MS(3分) tR= 2.21分, m/z = 291.
【0139】
実施例29
(±)-5-(4-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン


表題の化合物を、4-ブロモスチレンおよび2-アミノアダマンタンを使用して実施例17工程3〜5に記載されるものと類似した手順に従って調製した。 1H NMR (CDCl3) 1.6-2.0(12H), 2.28(s, 1H), 2.44(s, 1H), 3.52(t, 1H), 3.75(s, 1H), 4.09(t, 1H), 5.41(t, 1H), 7.24(d, 2H), 7.53(d, 2H); LC-MS(3分) tR = 2.22分, m/z = 376, 378.
【0140】
実施例30
(S)-1-(1-アダマンチル)-4-フェニルイミダゾリジン-2-オン


表題の化合物を、(S)-Boc-Phg-OHを使用して実施例27に記載されるものと類似した手順に従って調製した。1H NMR(MeOD, 400MHz): δ1.6-2.2(15H), 3.25(m, 1H), 3.90(m, 1H), 4.14(m, 1H), 7.2-7.4(5H); MS m/z =297.
【0141】
実施例31
(±)-4-tert-ブチル-1-(2-アダマンチル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン


表題の化合物を、(±)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4,4-ジメチルペンタン酸を使用して実施例27に記載されるものと類似した手順に従って調製した。1H NMR(CDCl3) 5.34(br s, 1H), 4.09(s, 1H), 3.64(m, 1H), 3.31(td, 1H), 3.07(m, 1H), 2.19(s, 2H), 1.98-1.74(m, 10H), 1.72(s, 2H), 1.64(m, 4H), 0.97(s, 9H); LC-MS(3分) tR = 2.07分, m/z = 291.
【0142】
実施例32
(S)-4-シクロヘキシル-1-(2-アダマンチル)イミダゾリジン-2-オン


表題の化合物を、(S)-Boc-シクロへキシルグリシンを使用して実施例27に記載されるものと類似した手順に従って調製した。MS m/z = 303.
【0143】
実施例33
(S)-4-イソプロピル-1-(2-アダマンチル)イミダゾリジン-2-オン


表題の化合物を、(S)-Boc-Val-OHを使用して実施例27に記載されるものと類似した手順に従って調製した。MS m/z = 263.
【0144】
実施例34
(±)-5-(3-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン


表題の化合物を、3-ブロモスチレンおよび2-アミノアダマンタンを使用して実施例17工程3〜5に記載されるものと類似した手順に従って調製した。1.60-2.00(12H), 2.27(s, 1H), 2.47(s, 1H), 3.54(t, 1H), 3.74(s, 1H), 4.09(t, 1H), 5.42(t, 1H), 7.20-7.60(4H). LC-MS(3分) tR = 2.20分, m/z = 376, 378.
【0145】
実施例35
(±)-1-(2-アダマンチル)-4-(ヒドロキシメチル)-4-イソブチルイミダゾリジン-2-オン


表題の化合物を、(±)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルペンタン酸を使用して実施例27に記載されるものと類似した手順に従って調製した。 MS m/z = 307.
【0146】
実施例36
(±)-1-(1-アダマンチルメチル)-4-(ヒドロキシメチル)-4-イソブチルイミダゾリジン-2-オン


表題の化合物を、(±)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルペンタン酸および1-(アミノメチル)アダマンタンを使用して実施例27に記載されるものと類似した手順に従って調製した。 MS m/z = 321.
【0147】
実施例37
(±)-5-(ビフェニル-3-イル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン


(±)-5-(3-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン(65mg, 0.17mmol)、PhB(OH)2(32mg, 0.26mmol)およびn-PrOH(2mL)の混合物を、N2雰囲気下の室温で0.5時間撹拌した。固体Pd(OAac)2(2mg, 0.009mmol)およびPPh3(7mg, 0.027mmol)を添加して、続いて水(1mL)中のNa2CO3(28mg, 0.26mmol)の溶液を添加した。混合物を還流して1時間加熱した。混合物を冷却し、エーテル(150mL)で希釈し、1M NaOH水溶液(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、茶色残渣(69mg)を得た。残渣を2-gシリカカートリッジに加えて、ヘキサン中の0、10、25、50、75および100% EtOAc(それぞれ15mL)で連続的に溶出して6画分を得た。画分3を濃縮し、オイル状として表題の化合物を得た。 1H NMR(CDCl3)δ1.60-2.00(12H), 2.26(s, 1H), 2.48(s, 1H), 3.61(t, 1H), 3.75(s, 1H), 4.12(t, 1H), 5.52(t, 1H), 7.30-7.65(9H). LC-MS(3分) tR = 2.24分, m/z = 374.
【0148】
実施例38
(±)-5-(ビフェニル-4-イル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン


表題の化合物を、(±)-5-(4-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オンを使用して実施例37に記載されるものと類似した手順に従って調製した。 1H NMR (CDCl3)δ1.60-2.00(12H), 2.28(s, 1H), 2.48(s, 1H), 3.60(t, 1H), 3.77(s, 1H), 4.13(t, 1H), 5.49(t, 1H), 7.30-7.65(9H). LC-MS(3分) tR= 2.30分, m/z = 374.
【0149】
予言的実施例
以下の表1〜7は、本明細書に記載される方法によって調製され得る本発明の化合物のさらなる実施例を提供する。
【0150】



【0151】



【0152】



【0153】



【0154】



【0155】



【0156】




【0157】
本発明の化合物は、広く様々な経口および非経口投薬形態で調製され、かつ投与され得る。従って、本発明の化合物は、注射によって、即ち、静脈、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸または腹腔に投与され得る。さらに、本発明の化合物は、鼻腔または経皮に投与され得る。以下の投薬形態が、活性成分として本発明の化合物または化合物の対応する薬学的に許容され得る塩のいずれかを含み得ることが当業者に明らかである。
【0158】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容され得る担体は固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物としては、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ、坐薬および分散可能な顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル化物質としても機能し得る1つ以上の物質であり得る。粉末では、担体は、微細に分割された活性成分と共に混合物中に存在する微細に分割された固体である。
【0159】
錠剤では、活性成分は、適切な割合で必要な結合性質を有する担体と混合され、所望の形状および大きさに固められる。
【0160】
粉末および錠剤は、好ましくは約1〜約70%の活性成分を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、スターチ、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。錠剤、粉末、カシェ、ロゼンジ、速く溶ける細長片(strip)、カプセルおよび丸薬が、経口投与に適切な活性成分を含む固体投薬形態として使用され得る。
【0161】
坐薬の調製のために、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物などの低融点ワックスを最初に溶かし、例えば撹拌によって、活性成分を均一に分散させる。次に、均一に溶けた混合物は、都合のよい大きさの型に注がれ、冷却させて、固める。
【0162】
液体形態調製物としては、溶液、懸濁液、停留浣腸液およびエマルション、例えば水またはプロピレングリコール水溶液が挙げられる。非経口注射のために、液体調製物がポリエチレングリコール水溶液の溶液中に配合され得る。
【0163】
経口投与に適切な水溶液は、水中に活性成分を溶解させて、所望の適切な着色剤、風味剤、安定化剤、および増粘剤を添加することによって調製され得る。経口投与用の水性懸濁液は、微細に分割された活性成分を、粘性物質、例えば天然ゴムまたは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁剤と共に水中に分散させることによって調製され得る。
【0164】
医薬組成物は好ましくは単位投薬形態である。このような形態において、組成物は、適切な量の活性成分を含む単位用量に分けられる。単位投薬形態はパッケージ調製物であり得、パッケージには、例えばバイアルまたはアンプル中の個別の量の錠剤、粉末、およびカプセルが含まれる。また、単位投薬形態は、錠剤、カシェ、カプセル、またはロゼンジ自体であり得るか、あるいはこれはパッケージ形態中の適切な量のこれらのいずれかであり得る。
【0165】
単位用量調製物中の活性成分の量は、変化し得るか、または約0.1mg〜約1000.0mg、好ましくは約0.1mg〜約100mgに調整され得る。しかし、投薬量は、患者の要求、治療される病気の重篤度、および使用される化合物に応じて変化し得る。特定の状況に適切な投薬量の決定は、当該技術分野の技術範囲内である。また、医薬組成物は、必要であれば、他の適合する治療剤を含み得る。
【0166】
治療において、または11β-HSD1のインヒビターもしくは細胞中のコルチゾールの産生におけるインヒビターのような使用法として、活性成分は、好ましくは上記に開示される固体投薬形態で毎日用量あたり約0.1mg〜約100mgの量で経口投与され、該用量は毎日一回または毎日一回より多く投与される。
【0167】
生物アッセイ
式Iの化合物による精製11β-HSD1の阻害を、シンチレーション近接アッセイを用いて以下のように測定した。全ての反応は、96ウェルフレキシブルMicrobeta反応プレート中で室温で行われた。アッセイは、1μMの最終濃度で開始する片対数増加量(8点)で予め希釈された、DMSOの0.1mMの式Iの化合物の溶液の1μlを添加することによって始まる。この点に50μlの基質溶液(50mM HEPES, pH 7.4, 100mM KCl, 5mM NaCl, 20μlの3Hコルチゾンを含む2mM MgCl2, 1mM NADPH)を添加した。10分間インキュベーションした後、(大腸菌で発現させて、アフィニティー精製した)20nM組み換え11β-HSD1を含む50μlの酵素溶液を添加した。反応は、90分間インキュベートされ、50μlのSPAビーズミックス(18-β-グリシルレチン酸、最終10μM, 5mg/ml プロテインA被覆YSi SPAビーズ,および1μg/ml α-コルチゾール抗体(East Coast Biologics)を添加することによって停止した。プレートを120分間振とうして、3Hコルチゾールに対応する放射活性を、Wallac Microbetaで測定した。
【0168】
ミクロソーム11β-HSD1の阻害を同じ方法で行った。
【0169】
全細胞中の式Iの化合物による11β-HSD1の阻害を以下のように測定した。96ウェルプレート中で培養した大網(omental)脂肪細胞をZen-Bio, Inc.から購入し、脂肪生成および脂質生成ホルモン(ヒトインシュリン、デキサメタゾン、イソブチルメチルキサンチンおよびPPAR-γアゴニスト)を添加した培地中で始めて、前駆体である前脂肪細胞から分化して少なくとも2週間後に使用した。細胞を、37℃、5%CO2での完全脂肪細胞培地(DMEM/Ham's F-12(1:1,v/v)、HEPES pH 7.4、ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびアンホテリシンB, Zen-Bio, Inc.によって供給される)中で維持し、血清なしでフェノールレッドなしの培地に移し、一晩インキュベートした。アッセイを200μlの全容積で行った。エタノール中の[3H]コルチゾン(50Ci/mmol, ARC, Inc.)を添加する少なくとも1時間前に、0.1%(v/v)のDMSOおよび種々の濃度の式Iの化合物を含む血清なしでフェノールレッドなしの培地で細胞を予めインキュベートし、コルチゾンの最終濃度100nMを達成した。細胞を、37℃、5%CO2で3〜4インキュベートした。陰性対照を、放射性基質なしでインキュベートし、インキュベーションの最後に同量の[3H]コルチゾンを入れた。[3H]コルチゾールの形成を、シンチレーション近接アッセイ(SPA)で各25μlの上清を分析することによってモニターした。(Solly, K,; Mundt, S.S.;Zokian, H.J.;Ding, G.J.; Hermanowski-Vosatka, A.; Strulovici, B,; Zheng, W. Assay Drug Dev. Technol. 2005, 3, 377-384)
【0170】



【0171】
本発明の化合物は、コルチゾールレベルの減少が疾患状態の治療に有効である障害または疾患の改善または治療に有用である。従って、本発明の化合物は、真性糖尿病、肥満(特に腹部肥満)、メタボリックシンドロームの症状、血栓形成促進状態、前炎症状態、グルコース不耐性、高血糖症、高血圧、高脂血症、インスリン抵抗性、心臓血管疾患、異脂肪血症、アテローム動脈硬化症、脂肪異栄養症、骨粗鬆症、緑内障、クッシング症候群、アジソン病、グルココルチコイド治療に関連する内臓脂肪肥満、抑鬱、不安、アルツハイマー病、痴呆、認知の衰え(加齢性認知の衰えを含む)、多嚢胞卵巣症候群、不妊症および性機能亢進症の治療または予防に使用され得る。また、化合物は、免疫系のB細胞およびT細胞の機能を調節し、従って結核、らい病および乾癬などの疾患を治療するために使用され得る。これらは、特に糖尿病患者における創傷治癒を促進するために使用され得る。
【0172】
11β-HSD1活性に関連するさらなる疾患または障害としては、脂質障害、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、血管再狭窄、すい臓炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜障害、腎症、神経障害、糖尿病、冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、クッシング症候群、高インスリン血症、ウイルス疾患、およびシンドロームXからなる群より選択されるものが挙げられる。
【0173】
本発明の医薬組成物は、代替的にまたは式Iの化合物の他に、式Iの化合物の薬学的に許容され得る塩、またはかかる化合物もしくは塩のプロドラッグもしくは薬学的に活性な代謝物、および1つ以上の薬学的に許容され得る担体を含み得る。
【0174】
本発明の組成物は、11β-HSD1インヒビターである。前記組成物は、11β-HSD1に対して約1,000nM〜約0.001nM; 好ましくは約50nM〜約0.001nM;より好ましくは約5nM〜約0.001nMの平均阻害定数(IC50)を有する化合物を含む。
【0175】
本発明は、治療または改善の必要がある被験体に、有効量の式Iの化合物、またはその組成物のそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは塩を投与する工程を含む、治療または改善の必要がある被験体において11β-HSD1媒介障害を治療または改善する治療方法を含む。
【0176】
本発明の態様には、11β-HSD1を阻害する式Iの化合物もしくはその組成物単独または糖尿病、異脂肪血症、心臓血管疾患、高血圧、肥満、癌もしくは緑内障の治療のための1つ以上のさらなる薬剤との併用治療で投与することが含まれる。糖尿病の治療のための薬剤としては、インスリン、例えば、ヒューマリン(登録商標)(Eli Lilly)、ランタス(登録商標)(Sanofi Aventis)、ノボリン(NovoNordisk)、およびエクスベラ(登録商標)(Pfizer);PPARγアゴニスト、例えばアバンディア(登録商標)(マレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitizone)、GSK)およびアクトス(登録商標)(塩酸ピオグリタゾン、Takeda/Eli Lilly); スルホニル尿素、例えばアマリール(登録商標)(グリメピリド、Sanofi Aventis)、ダイアベータ(登録商標)(グリブリド、Sanofi Aventis)、ミクロナーゼ(Micronase)(登録商標)/グリナーゼ(Glynase)(登録商標)(グリブリド、Pfizer)、およびグルコトロール(登録商標)/グルコトロールXL(登録商標)および(グリピジド、Pfizer); メグリチニド、例えばプランジン(登録商標)/ノボノーム(登録商標)(レパグリニド、Novo Nordisk)、スターリックス(登録商標)(ナテグリニド、Novartis)、およびグルファスト(登録商標)(ミチグリニド、Takeda); ビグアニド、例えばグルコファーゼ(登録商標)/グルコファーゼ XR(登録商標)(メトホルミンHCl, Bristol Myers Squibb)およびグルメトザ(メトホルミンHCl、Depomed); チアゾリジンジオン; アミリンアナログ、GLP-1アナログ; DPP-IVインヒビター; PTB-1Bインヒビター; プロテインキナーゼインヒビター(AMP活性化プロテインキナーゼインヒビターを含む);グルカゴンアンタゴニスト、グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3βインヒビター; グルコース-6-ホスファターゼインヒビター; グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター; ナトリウムグルコースコトランスポーターインヒビター、およびα-グルコシダーゼインヒビター、例えば、プレコース(登録商標)/グルコバイ(登録商標)/プランダーゼ(Prandase)(登録商標)/グルコール(Glucor)(登録商標)(アカルボース、Bayer)およびグリセット(Glyset)(登録商標)(ミグリトール、Pfizer)が挙げられる。異脂肪血症および心臓血管疾患の治療のための薬剤としては、スタチン、フィブレート、およびエゼチンベ(ezetimbe)が挙げられる。高血圧の治療のための薬剤としては、αブロッカー、βブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、ACEおよび中性エンドペプチダーゼ(NEP)二重インヒビター、アンジオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、アルドステロンシンターゼインヒビター、アルドステロンレセプターアンタゴニスト、またはエンドセリンレセプターアンタゴニストが挙げられる。肥満の治療のための薬剤としては、オルリスタット、フェンテルミン、シブトラミンおよびリモナバンが挙げられる。
【0177】
本発明の態様には、1つ以上の他の11β-HSD1インヒビター(かかるインヒビターがまた、式Iの化合物または異なるクラス/属の化合物であろうとも)を用いた併用療法で、またはアバンダメト(Avandamet)(登録商標)(メトホルミンHClおよびマレイン酸ロシグリタゾン、GSK); アバンダリール(Avandaryl)(登録商標)(グリメピリドおよびマレイン酸ロシグリタゾン、GSK); メタグリプ(Metaglip)(登録商標)(グリピジドおよびメトホルミンHCl, Bristol Myers Squibb);ならびにグルコバンス(Glucovance)(登録商標)(グリブリドおよびメトホルミンHCl, Bristol Myers Squibb)などの併用製品と共に、11β-HSD1を阻害する式Iの化合物またはその組成物を投与することが含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)


(式中:
Q=NR3、OまたはS;
R1
(1) H;または
(2) (C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルチオ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルスルフィニル(C1-C4)アルキル、および(C1-C4)アルキルスルホニル(C1-C4)アルキル;または
(3) フェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリール(C1-C4)アルキル
からなる群より選択される;
Xは独立して、ハロゲン、OH、CH2OH、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)ハロアルキル、OR*、O((C1-C3)ハロアルキル)、CN、CH2CN、NO2、CH2NO2、SH、SR*、SO2H、CH2SO2H、SO2R*、CH2SO2R*、SO2NH2、SO2NHR*、SO2NR*2、CH2SO2NH2、CH2SO2NHR*、CH2SO2NR*2、SO2CF3、CH2SO2CF3、CONH2、CONHR*、C0NR*2、CH2CONH2、CH2CONHR*、CH2CONR*2、CO2H、CH2CO2H、NH2、NHR*、NR*2、(C1-C3)アルキル(NH2)、(C1-C3)アルキル(NHR*)、(C1-C3)アルキル(NR*2)、アリール、ヘテロアリール、SO3H、CH2SO3Hおよび任意にオキソ、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシルで置換されるヘテロシクリルからなる群より選択される;
R1がヘテロシクリルまたはヘテロアリールの場合、Xはまたオキソでもあり得る;
m=0、1、2または3;
R2およびR3は独立して
(1) H;または
(2) それぞれ任意に、独立してハロゲン、OH、(=O)、CONH2、CO2H、COCH3、C(O)2CH3、NH2、NHR*、NR*2、アリール、ヘテロアリール、シアノ、OR*、SR*、S(=O)R*、S(=O)2R*、OP(=O)(OH)2、NHSO2R*、NR*SO2R*、NHC(=O)R*、NR*C(=O)R*、NHC(=O)OR*、NR*C(=O)OR*、NHC(=O)NH2、NHC(=O)NHR*、NHC(=O)N(R*)2、NR*C(=O)NH2、NR*C(=O)NHR*、NR*C(=O)N(R*)2、OC(=O)NH2、OC(=O)NHR*、OC(=O)N(R*)2、NHS(=O)2OR*、NR*S(=O)2OR*、NHS(=O)2NH2、NHS(=O)2NHR*、NHS(=O)2N(R*)2、NR*S(=O)2NH2、NR*S(=O)2NHR*、NR*S(=O)2N(R*)2、OS(=O)2NH2、OS(=O)2NHR*、OS(=O)2N(R*)2、およびヘテロシクリルからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換される(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルチオ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルスルフィニル(C1-C4)アルキル、および(C1-C4)アルキルスルホニル(C1-C4)アルキル;または
(3) それぞれ任意に、独立してハロゲン、OH、CH2OH、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)ハロアルキル、OR*、O((C1-C3)ハロアルキル)、CN、CH2CN、NO2、CH2NO2、SH、SR*、SO3H、CH2SO3H、SO2R*、CH2SO2R*、SO2NH2、SO2NHR*、SO2NR*2、CH2SO2NH2、CH2SO2NHR*、CH2SO2NR*2、SO2CF3、CH2SO2CF3、CONH2、CONHR*、CONR*2、CH2CONH2、CH2CONHR*、CH2CONR*2、CO2H、CH2CO2H、NH2、NHR*、NR*2、(C1-C3)アルキル(NH2)、(C1-C3)アルキル(NHR*)、(C1-C3)アルキル(NR*2)アリール、ヘテロアリール、SO2H、およびCH2SO2Hからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されるフェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール(C1-C4)アルキル
からなる群より選択される;
各R*は独立してC1-C3アルキルである;
ただし
1) Eが結合である場合R1およびR2は両方水素ではない;および
2) mが0より大きい場合R1は水素ではないことを条件とする;
OおよびSがR1に結合していることを条件とするとEは結合、CH2、CHMe、CMe2、CH2CH2、OCH2、OCHMe、OCMe2、SCH2、SCHMe、またはSCMe2である;
Gは1、2または3個の炭素アルキレン鎖である;
Yは独立してハロゲン、(C1-C3)アルキル、CF3、CONH2、CH2CONH2、CO2H、CH2CO2H、(C1-C3)アルキルアミノ(C1-C3)アルキルおよびジ(C1-C3)アルキルアミノ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される;
n=0、1、2または3;
A=結合、CH2、CHMe、CMe2、またはCH2CH2
Cy=1〜2個の炭素原子が任意に、独立してNおよびOから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、独立してハロゲン、シアノ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1-C3)アルキル、アミノ、(C1-C4)アシルアミノ、(C1-C3)アルキルスルホニルアミノ、CH2CH2CO2H、(C1-C3)アルキルカルバモイル、ジ(C1-C3)アルキルカルバモイル、(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、ジ(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、オキソ置換ヘテロアリール、アミノ置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ置換ヘテロシクリルおよびC(=NOH)NH2、CON(R4)2、CH2CON(R4)2、SO2N(R4)2、CO2R4、CH2CO2R4、SO2R4、NR4COR4、NR4CO2R4、NR4SO2R4およびOC(=O)N(R4)2から選択される1〜3個の基で任意に置換される(C7-C12)ビシクロアルキルまたは(C9-C12)トリシクロアルキル、
ここで各R4は独立して水素、(C1-C10)アルキル、アリールまたはアラルキルである)
の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
Q=NR3、OまたはS;
R1
(1) H;または
(2) (C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルチオ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルスルフィニル(C1-C4)アルキル、および(C1-C4)アルキルスルホニル(C1-C4)アルキル;または
(3) フェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリール(C1-C4)アルキル
からなる群より選択される;
Xは独立してハロゲン、OH、CH2OH、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)ハロアルキル、OR*、O((C1-C3)ハロアルキル)、CN、CH2CN、NO2、CH2NO2、SH、SR*、SO2H、CH2SO2H、SO2R*、CH2SO2R*、SO2NH2、SO2NHR*、SO2NR*2、CH2SO2NH2、CH2SO2NHR*、CH2SO2NR*2、SO2CF3、CH2SO2CF3、CONH2、CONHR*、CONR*2、CH2CONH2、CH2CONHR*、CH2CONR*2、CO2H、CH2CO2H、NH2、NHR*、NR*2、(C1-C3)アルキル(NH2)、(C1-C3)アルキル(NHR*)、(C1-C3)アルキル(NR*2)、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択される;
m=0、1、2または3;
R2およびR3は独立して
(1) H;または
(2) それぞれ任意に、独立してハロゲン、OH、(=O)、CONH2、CO2H、COCH3、C(O)2CH3、NH2、NHR*、NR*2、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換される(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルチオ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルスルフィニル(C1-C4)アルキル、および(C1-C4)アルキルスルホニル(C1-C4)アルキル;または
(3) それぞれ任意に、独立してハロゲン、OH、CH2OH、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)ハロアルキル、OR*、O((C1-C3)ハロアルキル)、CN、CH2CN、NO2、CH2NO2、SH、SR*、SO2H、CH2SO2H、SO2R*、CH2SO2R*、SO2NH2、SO2NHR*、SO2NR*2、CH2SO2NH2、CH2SO2NHR*、CH2SO2NR*2、SO2CF3、CH2SO2CF3、CONH2、CONHR*、CONR*2、CH2CONH2、CH2CONHR*、CH2CONR*2、CO2H、CH2CO2H、NH2、NHR*、NR*2、(C1-C3)アルキル(NH2)、(C1-C3)アルキル(NHR*)、(C1-C3)アルキル(NR*2)アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されるフェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール(C1-C4)アルキル
からなる群より選択される;
各R*は独立してC1-C3アルキルである;
ただし
1) Eが結合である場合R1およびR2は両方水素ではない;および
2) mが0より大きい場合R1は水素ではないことを条件とする;
OおよびSがR1に結合することを条件とすると、Eは結合、CH2、CHMe、CMe2、CH2CH2、OCH2、OCHMe、OCMe2、SCH2、SCHMe、またはSCMe2である;
G=1、2または3個の炭素アルキレン鎖;
Yは独立してハロゲン、(C1-C3)アルキル、CF3、CONH2、CH2CONH2、CO2H、CH2CO2H、(C1-C3)アルキルアミノ(C1-C3)アルキルおよびジ(C1-C3)アルキルアミノ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される;
n=0、1、2または3;
A=結合、CH2、CHMe、CMe2、またはCH2CH2
Cy=1〜2個の炭素原子が任意に、独立してNおよびOから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、任意に、独立してハロゲン、シアノ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1-C3)アルキル、アミノ、(C1-C4)アシルアミノ、(C1-C3)アルキルスルホニルアミノ、CH2CH2CO2H、(C1-C3)アルキルカルバモイル、ジ(C1-C3)アルキルカルバモイル、(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、ジ(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、オキソ置換ヘテロアリール、アミノ置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ置換ヘテロシクリルおよびC(=NOH)NH2、CON(R4)2、CH2CON(R4)2、SO2N(R4)2、CO2R4、CH2CO2R4、SO2R4、NR4COR4、NR4CO2R4およびNR4SO2R4から選択される1〜3個の基で置換される(C7-C12)ビシクロアルキルまたは(C9-C12)トリシクロアルキル;
ここでR4は独立して水素、(C1-C10)アルキル、アリールまたはアラルキルである、請求項1記載の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
QがOまたはNR3である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
QがNHまたはNMeであり、R1が(C1-C6)アルキル、(C3-C7)シクロアルキルまたはフェニルであり、R2がMeであり、G(Y)nがCH2またはCH2CH2であり、Cyが1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-ヒドロキシメチル-4-アダマンチルまたは1-カルバモイル-4-アダマンチルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
QがOであり、R1が(C1-C6)アルキル、(C3-C7)シクロアルキルまたはフェニルであり、R2がMeであり、G(Y)nがCH2またはCH2CH2であり、Cyが1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-ヒドロキシメチル-4-アダマンチルまたは1-カルバモイル-4-アダマンチルである、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
nが0であり、Eが結合である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項7】
R1がtert-ブチルである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
式I


(式中:
QはNR3またはOである;
R3はH、または(C1-C6)アルキルである;
Eは結合、CH2、CHMe、CMe2、またはCH2CH2である;
R1はH、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、フェニル、フェニル(C1-C4)アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C4)アルキルである;
XはF、Cl、Br、CN、OH、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキシ、(C1-C3)アルキルスルホニル、またはCONH2である;
mは0、1、2または3である;
R2はH、Me、またはCH2OHである;
ただし
1) Eが結合である場合R1およびR2は両方水素ではない;および
2) mが0より大きい場合R1は水素ではないことを条件とする;
G(Y)nはCH2、CH(C1-C3)アルキル、C((C1-C3)アルキル)2、またはCH2CH2である;
nは0、1または2である;
Aは結合またはCH2である;
Cyは、1〜2個の炭素原子が任意に、独立してNおよびOから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、任意に、独立してハロゲン、シアノ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1-C3)アルキル、アミノ、(C1-C4)アシルアミノ、(C1-C3)アルキルスルホニルアミノ、CH2CH2CO2H、(C1-C3)アルキルカルバモイル、ジ(C1-C3)アルキルカルバモイル、(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、ジ(C1-C3)アルキルアミノスルホニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、オキソ置換ヘテロアリール、アミノ置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ置換ヘテロシクリルおよびC(=NOH)NH2、CON(R4)2、CH2CON(R4)2、SO2N(R4)2、CO2R4、CH2CO2R4、SO2R4、NR4COR4、NR4CO2R4およびNR4SO2R4から選択される1〜3個の基で置換される(C7-C12)ビシクロアルキルまたは(C9-C12)トリシクロアルキルである;
ここでR4は水素、(C1-C10)アルキル、アリールまたはアラルキルである)
の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
Cyが1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-3-アダマンチル、1-(ヒドロキシメチル)-3-アダマンチル、1-カルバモイル-3-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-(ヒドロキシメチル)-4-アダマンチル、1-カルバモイル-4-アダマンチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、1-カルバモイル-4-ビシクロ[2.2.2]オクチル、9-ビシクロ[3.3.1]ノニルまたは3-カルバモイル-9-ビシクロ[3.3.1]ノニルである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R3がHまたはMeであり、Eが結合またはメチレンであり、R1がH、(C1-C8)アルキルまたは(C3-C7)シクロアルキルであり、XがCl、BrまたはOHであり、mが0または1であり、R2がH、MeまたはCH2OHであり、G(Y)nがCH2、CHCH3またはCH2CH2であり、Aが結合またはメチレンであり、Cyが1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ヒドロキシ-4-アダマンチル、1-ヒドロキシメチル-4-アダマンチルまたは1-カルバモイル-4-アダマンチルである、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
Eが結合であり、R1がフェニルであり、Xがフッ素であり、mが0、1または2である、請求項1、2または8記載の化合物。
【請求項12】
Eが結合であり、R1がフェニルであり、Xがモノフルオロフェニルまたはジフルオロフェニルであり、mが1である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項13】
Eが結合であり、R1がフェニルであり、Xがアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、CO2H、CONH2、N-モノアルキル置換アミドおよびN,N-ジアルキル置換アミドもしくはオキソで任意に置換されたピリジルであるか、またはXがアルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシで任意にさらに置換されたオキソ置換ヘテロシクリルであり、mが1である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項14】
R2がヒドロキシ(C2-C5)アルキル、ω-H2NC(=0)(C1-C3)アルキル、ω-MeSO2NH(C1-C3)アルキルまたは2-(4-モルホリノ)エチルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項15】
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(1-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-イソブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-(2-クロロフェニル)オキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-(t-ブチル)オキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-tert-ブチルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-メチル-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-3-(2-アダマンチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン;
(R)-3-(2-アダマンチル)-5-シクロヘキシルオキサゾリジン-2-オン;
(4R,5S)-3-((1-アダマンチル)メチル)-4-メチル-5-フェニルオキサゾリジン-2-オン;
(S)-1-(2-アダマンチル)-4-tert-ブチルイミダゾリジン-2-オン;
(S)-1-(2-アダマンチル)-3-メチル-4-tert-ブチル-イミダゾリジン-2-オン;
5-(4-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン;
(S)-1-(1-アダマンチル)-4-フェニルイミダゾリジン-2-オン
4-tert-ブチル-1-(2-アダマンチル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
(S)-4-シクロヘキシル-1-(2-アダマンチル)イミダゾリジン-2-オン
(S)-4-イソプロピル-1-(2-アダマンチル)イミダゾリジン-2-オン
5-(3-ブロモフェニル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン
1-(2-アダマンチル)-4-(ヒドロキシメチル)-4-イソブチルイミダゾリジン-2-オン
5-(ビフェニル-3-イル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン
5-(ビフェニル-4-イル)-3-(2-アダマンチル)オキサゾリジン-2-オン
からなる群より選択される化合物、またはそれらのエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
薬学的に許容され得る担体中に、請求項1〜15いずれか記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量を含む医薬組成物。
【請求項17】
11β-HSD1の活性または発現に関連する疾患を有する哺乳動物に、請求項1〜15いずれか記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量を投与する工程を含む、該疾患の治療方法。
【請求項18】
かかる治療を必要とする哺乳動物に、請求項1〜15いずれか記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量を投与する工程を含む、11β-HSD1の調節方法。

【公表番号】特表2010−519304(P2010−519304A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550944(P2009−550944)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/002517
【国際公開番号】WO2008/106128
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509235556)ヴァイティー ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】