説明

2−ピリドン誘導体を有効成分とする医薬組成物

【課題】
細胞接着阻害活性を有し、炎症等白血球浸潤が関与する病態の予防及び治療に有用な2−ピリドン誘導体を提供する。
【解決手段】
2-ピリドン誘導体は、次式(I)で表される。式中、R1は、例えば、フェニル基やピリジル基を示し、R2は、例えば、フェニル基を示し、R3は、例えば、低級アルキル基を示し、R4は、例えば、低級アルキル基を示し、R5は、例えば、低級アルキル基を示し、そして、R6は、例えば、低級アルキル基を示す。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強力な細胞接着阻害活性を有し、具体的には、炎症や、アレルギー、リウマチ、癌転移、喘息、糖尿病、自己免疫疾患等の好中球などの白血球浸潤が関与する病態の予防及び治療に有用な新規化合物、並びにこれを有効成分とする医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、白血球浸潤が原因で起きる炎症等に対して、NSAID(非ステロイド抗炎症薬)や、COX-II阻害剤などがよく使用されてきた。しかしながら、アラキドン酸カスケードの中で、サイトカイン等のケミカルメディエーターは多彩な生理活性を有するため、これらを抑制すると副作用も生じる問題がある。従って、投与薬の使用量に制限があり、薬効と副作用とのバランスを考慮する必要がある。
各種のアレルギーなどを含む炎症を伴う疾患は、過剰な免疫反応による炎症部位の組織損傷が原因となって生じる。この際に、白血球などの遊走免疫細胞が、接着分子の発現と表出を経て活性化され、炎症局所近傍の血管内皮細胞に接着し、血管外へ浸潤する機構、即ち、細胞接着が重要なステップであると考えられている(Cell, 65, 859-873, 1991; Cell, 67, 1033-1036, 1991; Immunol Today, 14, 99-102, 1993; Cell, 76, 301-314, 1994)。また、免疫反応以外にも、癌の転移などの現象においても細胞接着が大きく関与する。
細胞接着分子をターゲットとする薬剤は、病態発症機序の中流で直接作用し、接着分子が活性化された状態で作用するため、副作用が生じにくいとされている。薬物の長期投与が可能となる。
【0003】
このため、近年、細胞接着を制御することを目的とする研究が広く行われている。特に炎症の進展においては、まず好中球が中心的な役割を果たすことから(N. Engl. J. Med., 317(11), 687-694, 1987; Ann. Intern. Med., 109, 127-142, 1988; N. Engl. J. Med., 320(6), 365-376, 1989; 医学のあゆみ, 191(2), 143-147, 1999)、その接着分子であるLFA-1やMac-1と血管内皮細胞上のリガンドICAM-1との相互作用についての解明が進められ(Pathol. Biol., 46, 164-170, 1998)、実際に急性炎症との関連性が確認されている(J. Immunol., 150, 655-663, 1993)。また、LFA-1/ICAM-1の相互作用は抗原提示細胞とTリンパ球の間での抗原認識にも働いているため、マウス心移植モデルでのモノクローナル抗体を用いた研究により、臓器移植における拒絶反応の抑制、生着延長の効果が明らかにされている(Science, 255, 1125-1127, 1992)。また、慢性関節リウマチについては、ラットのアジュバント関節炎モデルにおいて、LFA-1/ICAM-1経路の阻害による炎症抑制効果が報告されている(J. Immunol., 147, 4167-4171, 1991)。その他、動脈硬化症(N. Engl. J. Med., 340, 115-126, 1999)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)様の急性肺障害モデル(J. Immunol., 150, 2407-2417, 1993)、虚血再灌流障害(Am. J. Pathol., 143, 410-418, 1993; Neurology, 44, 1747-1751, 1994)など各種の疾病モデルに対してLFA-1/ICAM-1のモノクローナル抗体が有効であることが確認されている。
【0004】
しかしながら、抗体は、その抗原性や経口吸収性の低さなどの点がしばしば問題となるため、それらの欠点を解決するために、低分子化合物をターゲットとする細胞接着阻害剤の研究が広く行われているが、その多くはまだ開発段階にある。
これまでに、例えば、LFA-1/ICAM-1介在の細胞接着阻害剤として、メビノリン及びその類縁体(特許文献1)、ジアリールスルフィド誘導体(特許文献2)、シンナミド化合物(特許文献3)、ジアザビシクロアルカンジオン誘導体(特許文献4)、イミダゾリジンジオン誘導体(特許文献5)、置換ジアゼパン類(特許文献6)、ジアザシクロアルカンジオン誘導体(特許文献7)、ヒダントイン化合物(特許文献8)、フェニルアラニン誘導体(特許文献9)、ピリダジノン誘導体(特許文献10)、アミノ酸誘導体がBioorg.&Med. Chem. Lett., 13, 1015, 2003(非特許文献1)、その他(特許文献11、12)に開示されている。また、抗炎症作用を有する2−ピリドン骨格を有する化合物も開示されている(特許文献13)。
しかしながら、上述の技術文献において、本発明のような、特定の部位に、スルフィド又は置換スルフィド基を有する2-ピリドン骨格を有し、細胞接着阻害効果があり、白血球浸潤抑制活性できる化合物については、全く開示も示唆もされていない。
【0005】
【特許文献1】特表2001-514221号公報
【特許文献2】特表2002-541141号公報
【特許文献3】特表2002-533434号公報
【特許文献4】特開2003-2834号号公報
【特許文献5】特表2003-535087号公報
【特許文献6】特表2003-51144号公報7
【特許文献7】特表2004-510768号公報
【特許文献8】特表2004-519435号公報
【特許文献9】WO2002/018320号明細書
【特許文献10】WO2000/09488号明細書
【特許文献11】特開2005-2116号公報
【特許文献12】特表2004-502672号公報
【特許文献13】英国特許1,238,959号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、強力な細胞接着阻害活性を有し、炎症等白血球浸潤が関与する病態の予防及び治療に有用な新規化合物を有効成分とする医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意研究を行った結果、特定の構造を有する2-ピリドン誘導体が、強力な細胞接着阻害活性を有し、白血球浸潤が関与する病態の予防及び治療用の医薬組成物として有用であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、以下の発明に関するものである。
1.次式(I)、
【化1】

【0008】
(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
4は、低級アルキル基、アリール基、-C(=O)-R6、又は-CH(OH)-R6(式中、R6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)であり、そして
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で表される2-ピリドン誘導体又はその医薬上許容される塩。
【0009】
2.有効成分として上記1項に記載の2−ピリドン誘導体又はその医薬上許容されるプロドラッグ又は塩を含有することを特徴とする医薬組成物。
3.式(I)、
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示し、そして
6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で表される2-ピリドン誘導体を調製する方法であって、
次式(IV)、
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R1、R3、R5及びR6は、上記定義の通りである。)
で示される化合物(IV)を、次式(V)、







【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R2は、上記定義の通りであり、Xは、ハロゲン原子である。)
で示される化合物(V)を反応させることを特徴とする方法。
4.式(I)、
【化5】

【0016】
(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示し、そして
6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で表される2-ピリドン誘導体を調製する方法であって、
(1)次式(IV)、
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、R1、R3、R5及びR6は、上記定義の通りである。)
で示される化合物(IV)を、次式(VI)、





【0019】
【化7】

【0020】
(式中、Yは、ハロゲン原子である。)
で示される化合物(VI)を反応させて、次式(I−b)、
【0021】
【化8】

【0022】
(式中、R1、R3、R5、R6及びYは、上記定義の通りである。)
で示される化合物(I-b)を得る工程、そして、
(2)前記化合物(I-b)に、HSR2(式中、R2は、上記定義の通りである。)を反応させる工程、
を含むことを特徴とする方法。
5.次式(I)、
【0023】
【化9】

【0024】
(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
4は、低級アルキル基、アリール基、-C(=O)-R6、又は-CH(OH)-R6(式中、R6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)であり、
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で示される化合物(I)を製造する方法であって、
(1)次式(XII)、
【0025】
【化10】

【0026】
(式中、R1〜R5は、上記定義の通りである。)
で示される化合物(XII)を調製する工程、
(2)前記化合物(XII)を、塩基で処理する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【0027】
(発明の好ましい態様)
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の2−ピリドン誘導体は、上記の式(I)で表されるものである。式中、R1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示す。
1としての低級アルキル基において、「低級」とは、炭素原子数が、1〜8個、好ましくは、炭素原子数が、1〜5個を有するものを言う。具体的には、低級アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、そしてオクチル基が好適に挙げられる。これらの低級アルキル基は、直鎖状でも、分岐していてもよく、任意に、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)や、水酸基、フェニル基、低級アルコキシ基、フェニルオキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基等が好適に挙げられる。ここで、低級アルコキシ基におけるアルキル基の範囲は、上記低級アルキル基の範囲と同様である。
【0028】
1としてのシクロアルキル基としては、炭素原子数3〜10個、好ましくは、3〜8個のシクロアルキル基が好適に挙げられる。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンタンや、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が好適に挙げられる。なお、シクロアルキル基は、任意に置換基を有していてもよく、例えば、上記低級アルキル基で示した置換基に加えて、アルキル基も置換基として含まれる。アルキル基は、直鎖状でも、分岐していてもよく、低級アルキル基が好適であり、その範囲は、上記の低級アルキル基の範囲と同様である。
1としてのアリール基としては、例えば、フェニル基や、ビフェニル基等が好適に挙げられ、特にフェニル基が好ましい。アリール基は、任意に置換基を有していてもよく、例えば、上記低級アルキル基で示した置換基に加えて、アルキル基やシクロアルキル基も置換基として含まれる。アルキル基は、直鎖状でも、分岐していてもよく、低級アルキル基が好適であり、その範囲は、上記の低級アルキル基の範囲と同様である。また、シクロアルキル基の範囲は、上記R1としてのシクロアルキル基の範囲と同様である。アリール基における置換基の数は、1〜5個、好ましくは、1〜3個であることが適当である。
【0029】
1としての芳香族複素環基としては、例えば、チアゾール基や、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基等が好適に挙げられる。芳香族複素環基は、任意に、置換基を有していてもよく、その置換基の範囲は、上記アリール基に関して言及した置換基が特に制限されることなく、使用できる。また、芳香族複素環基における置換基の数は、1〜5個、好ましくは、1〜3個であることが適当である。
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基、又は芳香族複素環基を示す。ハロゲン原子の範囲は、上記R1の置換基として示したハロゲン原子の範囲と同様である。
2における低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基の範囲は、R1に関して説明した範囲と同様である。
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、これらの基の範囲は、上記の通りである。
4は、低級アルキル基、アリール基、-C(=O)-R6、又は-CH(OH)-R6(式中、R6は、低級アルキル基又はアリール基を示す)である。ここで、低級アルキル基及びアリール基の範囲は、R1で説明したものと同様のものが好適に挙げられる。
【0030】
5は、水素原子、低級アルキル基、又はアリール基を示す、ここで、低級アルキル基及びアリール基の範囲は、R1で説明したものと同様のものが好適に挙げられる。
本発明の2-ピリドン誘導体は、そのまま、又は、薬理学上許容される塩として、更には、そのプロドラッグとして使用することができる。
本発明の2−ピリドン誘導体の塩としては、特に制限されないが、例えば、塩酸塩や、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等など鉱酸の酸付加塩、又は酢酸塩、安息香酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩などのような有機酸の酸付加塩等が好適に挙げられる。
なお、本発明の2−ピリドン誘導体の塩を構成する金属としては、例えば、ナトリウムや、カリウム、カルシウムなどのようなアルカリ金属や、アルカリ土類金属などとの塩などが好適に挙げられる。
【0031】
本発明の2-ピリドン誘導体の官能基が保護された化合物を、プロドラッグとして使用する場合には、薬理学上許容される化合物であれば特に制限されないが、例えば、水酸基の保護体として、水酸基とエーテル又はエステルを形成したエーテル系保護体や、エステル系保護体、ジオール系保護体が挙げられ、カルボニル基の保護体として、アセタール系保護体、ケタール系保護体が挙げられ、カルボキシル保護体として、エステル保護体、アミド保護体、ヒドラジド保護体が挙げられる。チオール基の保護体として、チオエステル保護体、チオエーテル保護体が挙げられ、アミノ基の保護体として、カルバメート保護体、アミド保護体、アリルアミン保護体、ベンジルアミン保護体、ニトロベンジルアミン保護体等が挙げられる。
【0032】
次に、本発明の2−ピリドン誘導体の製造方法について説明する。
本発明の2-ピリドン誘導体は、例えば、次に示す製造法A〜Cにより製造することができる。但し、製造法Cは、参考のため記載したものである。

【化11】

【0033】
(式中、Xは、Sであり、R1、R2、R3、R5及びXR6は、上記式(I)中で定義した通りである。又、Etは、エチル基、Yは、ハロゲン原子を表し、R8は、水素原子、アルキル基又はアリール基等を表す。)
【0034】
(製造法A)
(工程1)
公知の方法(例えば、米国特許第2,824,121号明細書; Mem. Fac. Eng., Osaka City Univ. 21, 175-181, 1980; Z. Naturforsch. B Anorg. Chem. Org. Chem. 34, 283-289, 1979; Chem. Ber. 114, 3471-3484, 1981など)又はこれらに記載の方法に準じて得られる化合物(II)と化合物(III)を不活性溶媒の存在下又は非存在下で反応させることにより、化合物(IV)を製造することができる。化合物(III)は、市販品(例えば、アルドリッチ社製等)を使用するか、又は公知の方法(例えば、S. R. Sandler and W. Karo, “Organic Functional Group Preparations”, vol.1, Academic (1983), p377など)又はこれに記載の方法に準じて製造することができる。
【0035】
ここで必要に応じて使用される不活性溶媒としては、例えば、メタノールや、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒又はこれらの有機溶媒と水の混合溶媒を好適に挙げることができる。
反応温度は、主に原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、0℃〜200℃で行われるが、好適には室温〜120℃である。
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、5分間〜24時間であり、好適には15分間〜1時間である。
【0036】
(工程2)
化合物(IV)と化合物(V)を、不活性溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、化合物(I-a)を製造することができる。化合物(V)は、市販品(例えば、アルドリッチ社製等)を使用するか、又は公知の方法(例えば、Collect. Czech. Chem. Commun. 1987, 52(7), 1811-1833など)又はこれに記載の方法に準じて製造することができる。
ここで使用される不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、又はこれらの混合溶媒を好適に挙げることができる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミンや、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、炭酸カリウムや、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド等が好適に挙げられる。
【0037】
反応温度は、主に原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、0℃〜200℃で行われるが、好適には、室温〜120℃である。
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、1時間〜48時間であり、好適には12時間〜24時間である。
【0038】
(製造法B)
(工程3)
製造法Aの工程1により得た化合物(IV)と、化合物(VI)を、工程2と同様に不活性溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、化合物(I-b)を製造することができる。化合物(VI)は、市販品(例えば、アルドリッチ社製等)又は公知の方法(例えば、Org. Synth. IV 715, 1963など)又はこれに記載の方法に準じて製造することができる。
【0039】
(工程4)
化合物(I-b)と化合物(VII)を、不活性溶媒中、塩基の存在下又は不存在下に、必要に応じて触媒を用いて反応させることにより、化合物(I-a)を製造することができる。
ここで、不活性溶媒としては、例えば、メタノールや、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒又はこれらの有機溶媒と水の混合溶媒を好適に挙げることができる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミンや、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
【0040】
触媒としては、例えば、銅粉や、1価のハロゲン化銅、1価の酸化銅、2価の酸化銅等の銅塩、ハロゲン化パラジウム、酢酸パラジウム、0価のパラジウム触媒等が好適に挙げられる。
反応温度は、主に原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、0℃〜250℃で行われるが、好適には80℃〜160℃である。
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、1時間〜48時間であり、好適には3時間〜24時間である。
【0041】
(製造法C)(参考)
(工程5)
化合物(I-b)と、ボロン酸(VIII)を、公知の方法(例えば、Chem. Rev. 95, 2457-2483, 1995など)又はこれに記載の方法に準じて反応させることにより、化合物(I-c)を製造することができる。ボロン酸(VIII)は、市販品(例えば、アルドリッチ社製等)又は公知の方法(例えば、J. Am. Chem. Soc. 87, 1526, 1965; Tetrahedron Lett. 49, 7113, 7115, 1990など)又はこれに記載の方法に準じて製造することができる。
【0042】
(製造法D)
【化12】

(式中、Zは、−SR2を表し、R1、R2、R3及びR6は、上記式(I)中で定義した通りである。)
化合物(I-e)は、製造法A又はBに準じて製造された化合物(I-d)(式(I-a)において、R5が水素原子であるもの)を、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、水又はこれらの混合溶媒中、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物、ボラン等の水素化ホウ素化合物等の還元剤の存在下、通常0℃〜室温で5分間〜24時間反応させることにより製造することができる。
【0043】
(製造法E)
【化13】

【0044】
(式中、Zは、−SR2を表し、R1、R2、R3及びR6は、上記式(I)中で定義した通りである。)
化合物(I-f)は、製造法A又はBに準じて製造された化合物(I-d)(式(I-a)において、R5が水素原子であるもの)を、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、水又はこれらの混合溶媒中、場合により塩酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの酸存在下、スズ、亜鉛、アルミニウム、銅、ニッケル、パラジウムなどの金属又は金属塩又はそれらの合金を用いて、通常0℃〜120℃で1時間〜48時間反応させることにより製造することができる。
【0045】
(製造法F)
【化14】

【0046】
(式中、Xは、Sを表し、R1、R2、R3、R4及びR5は、上記式(I)中で定義した通りである。また、Yは、ハロゲン原子を示す。)
(工程1)
化合物(XI)は、公知の方法(例えば、Tetrahedron Lett. 52, 5167, 1973など)又はこれらに記載の方法に準じて化合物(IX)と化合物(X)を反応させることにより製造することができる。化合物(IX)は、公知の方法(例えば、J. Am. Chem. Soc. 68, 988, 1946など)又はこれらに記載の方法に準じて製造することができる。化合物(X)は、市販品(例えば、アルドリッチ社製等)を使用するか、又は公知の方法に準じて製造することができる。
【0047】
(工程2)
化合物(XI)と化合物(V)を、製造法Aの工程2と同様に、不活性溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、化合物(XII)を製造することができる。又は化合物(XII)は、工程1において化合物(XI)を単離することなく、同一系内で化合物(V)と反応させることにより製造することができる。
(工程3)
化合物(I-i)は、化合物(XII)を、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド等の塩基存在下、通常0℃〜120℃で1時間〜48時間反応させることにより製造することができる。
【0048】
本発明の2−ピリドン誘導体は、白血球浸潤が関与する病態の予防又は治療に有用である。
また、本発明の2−ピリドン誘導体は、細胞接着阻害作用を有する医薬組成物を製造するのに有用である。
また、本発明の2−ピリドン誘導体は、皮膚炎、アレルギー、喘息、癌転移、臓器移植拒絶反応、慢性関節リウマチ、動脈硬化症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血再灌流の予防又は治療に有用である。
また、本発明の2−ピリドン誘導体は、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリトマトーデス(SLE)、乾癬、骨粗鬆症の予防又は治療に有用である。
白血球浸潤関連病態としては、具体的には、炎症や、皮膚炎、アレルギー、喘息、癌転移、臓器移植拒絶反応、慢性関節リウマチ、動脈硬化症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血再灌流、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリトマトーデス(SLE)、乾癬、骨粗鬆症、糖尿病、自己免疫疾患等などが挙げられる。
【0049】
本発明の2−ピリドン誘導体は、そのまま、あるいは慣用の製剤担体と共に動物及び人に投与することができる。1日の好ましい有効投与量は、例えば、0.01〜1000mg/kg体重/日、好ましくは、0.1〜500mg/kg体重/日であることが好適であり、一回で又は数回に分けて投与することができる。
又は、本発明の2−ピリドン誘導体は、医薬組成物の質量に基づいて、例えば、0.001〜100質量%、好ましくは、0.01〜50質量%の量で配合されることが適当である。
本発明の医薬組成物は、各種の形態の製剤として調製することができる。例えば、錠剤や、カプセル剤、クリーム剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤等の各種の形態で製剤化することができる。
【0050】
本発明においては、製剤の形態に応じて、例えば、任意成分として、白糖や、乳糖、結晶セルロース等の賦形剤や、ヒドロキシプロピルセルロースや、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の結合剤、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム等の崩壊剤、ラウリル硫酸ナトリウムや、プルロニック、ポリソルベート等の界面活性剤、ステアリン酸マグネシウムや、タルク、ショ糖脂肪酸エステル等の滑沢剤、二酸化ケイ素や、無水リン酸水素カルシウム等の流動促進剤、アルギン酸ナトリウムや、ローカストビーンガム、ポリアクリル酸ナトリウム等の増粘剤、生理食塩水や、ブドウ糖水溶液等の希釈剤、矯味矯臭剤、保湿剤、着色剤、殺菌剤、防腐剤、香料等が好適に挙げられる。
また、必要に応じて、本発明の医薬組成物は、その他の医薬等を任意に組合せて配合することができる。
【実施例】
【0051】
以下に、本発明について、実施例及び試験例を挙げて、更に具体的に詳述するが、本発明は、これらの実施例及び試験例によって何等限定されるものではない。尚、略号として、m.p.は融点を表す。
【0052】
実施例1
5-アセチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-4-メチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(以下の表に示す化合物番号1の化合物1(以下、同様に表示))の調製(化合物(I-a)に対応)(製造法A)
(a)3-フェニルアミノメチレン-ペンタン-2,4-ジオン(化合物(IV)に対応。ただし、R5=水素原子)(化合物(a))の調製(工程1)
アニリン(3.0ml, 33.0mmol)(化合物(III)に対応)に、室温撹拌下、3-エトキシメチレン-ペンタン-2,4-ジオン(6.69g, 42.8mmol)(化合物(II)に対応)を加えた。加え終わると同時に反応系は発熱し、約10分後に全体が固化した。減圧乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1で溶出)により精製し、表題の化合物(a)(6.78g, 定量的)を白色結晶として得た。更に、ヘキサン/酢酸エチルから再結晶することにより、無色針状結晶の表題化合物(a)を得た。

m.p. 86.2-87.0℃; 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 2.39 (3H, s), 2.57 (3H, s), 7.19 (2H, d, J=7.6Hz), 7.23 (1H, t, J=7.6Hz), 7.42 (2H, t, J=7.6Hz), 8.25 (1H, d, J=13.0Hz), 12.76 (1H, brd, J=13.0Hz)

(b)5-アセチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-4-メチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(化合物1)の調製(工程2)
3-フェニルアミノメチレン-ペンタン-2,4-ジオン(化合物(a))(3.82g, 18.8mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液に、60%水素化ナトリウム(2.0g, 50.0mmol)を加え、40分間撹拌した。その後、(4-フルオロフェニルチオ)アセチルクロリド(化合物(V)に対応)(3.80ml, 24.4mmol)を加え、16時間反応させた。これに水を加えて、10分間撹拌した後、更に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。反応混合物を酢酸エチルで2回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、フォーム状の表題の化合物1(3.49g, 57.6%)を得た。更に、ヘキサン/酢酸エチルから再結晶することにより、無色直方状結晶の表題化合物1を得た。

m.p. 124.8-126.6℃; 1H NMR (400MHz, CDCl3) TM; 2.47 (3H, s), 2.84 (3H, s), 6.89-6.96 (2H, m), 7.29-7.37 (4H, m), 7.43-7.53 (3H, m), 8.03 (1H, s); 13C NMR (100MHz, CDCl3) TM 21.0, 28.5, 115.9, 116.1, 119.6, 126.4, 129.6, 131.4, 131.5, 140.3, 142.8, 155.6, 159.8, 160.6, 163.0, 195.1.
【0053】
実施例2
(5-アセチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-1-(4-メトキシベンジル)-4-メチル-1H-ピリジン-2-オン)(化合物31)(化合物(I-a)に対応)(製造法A)
(a)3-[(4-メトキシ-ベンジルアミノ)-メチレン]-ペンタン-2,4-ジオン(化合物(b))(化合物(IV)に対応)の調製(工程1)
4-メトキシベンジルアミン(化合物(III)に対応)(1.40ml, 10.7mmol)に室温撹拌下、3-エトキシメチレン-ペンタン-2,4-ジオン(化合物(II)に対応)(2.0g, 12.9mmol)を加えた。30分間撹拌後、減圧にて乾燥、析出した結晶をヘキサン、酢酸エチルの順で洗浄した後、再び乾燥させ、結晶性の(3-[(4-メトキシ-ベンジルアミノ)-メチレン]-ペンタン-2,4-ジオン)(化合物(b))(2.68g, 定量的)を得た。更に、ヘキサン/酢酸エチルから再結晶することにより、黄色直方状結晶の化合物(b)を得た。

m.p. 91.2-92.2℃; 1H NMR (400MHz, CDCl3) TM; 2.24 (3H, s), 2.48 (3H, s), 3.81 (3H, s), 4.47 (2H, d, J=5.0Hz), 6.88-6.93 (2H, m), 7.16-7.21 (2H, m), 7.79 (1H, d, J=12.6Hz), 11.26 (1H, br)

(b)5-アセチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-1-(4-メトキシベンジル)-4-メチル-1H-ピリジン-2-オン(化合物31)の調製(工程2)
上記化合物(b)(648mg, 2.62mmol)を実施例1(b)と同様に処理して、ペースト状の化合物31(580mg, 55.8%)を得た。

1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 2.37 (3H, s), 2.73 (3H, s), 3.81 (3H, s), 5.09 (2H, s), 6.86-6.96 (4H, m), 7.19-7.27 (4H, m), 7.91 (1H, s)
【0054】
実施例3(1位の脱離反応)
5-アセチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-4-メチル-1H-ピリジン-2-オン(化合物42)の調製
上記化合物(化合物31)(458mg, 1.15mmol)をトリフルオロ酢酸(57.5ml)に溶解させ、還流下、16時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=10:1からクロロホルム:メタノール=10:1で溶出)にて精製し、表題の化合物42(241mg, 75.5%)を黄色結晶として得た。

m.p.236-238℃(クロロホルム/メタノール)1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 2.47 (3H, s), 2.76 (3H, s), 6.93-6.97 (2H, m), 7.17-7.21 (2H, m), 8.07 (1H, s), 12.55 (1H, br)
【0055】
実施例4
5-アセチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-4,6-ジメチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(化合物62)(化合物(I-a)に対応)(製造法A)
(a)3-(フェニルアミノエチリデン)-ペンタン-2,4-ジオン(化合物(c))の調製(工程1)
3-(エトキシエチリデン)-ペンタン-2,4-ジオン(Russian Journal of General Chemistry Vol.64, No.1, Part2, 1994, p123)(化合物(II)に対応)(2.49g, 14.6mmol)をトルエン(75ml)に溶解させ、アニリン(化合物(III)に対応)(1.64ml, 17.5mmol)を加え、還流下、16時間撹拌した。放冷後、反応混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1で溶出)にて精製し、化合物(c)(1.15g, 36.3%)を淡黄色シロップとして得た。

1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 2.05 (3H, s), 2.25 (3H, brs), 2.46 (3H, brs), 7.10-7.14 (2H, m), 7.17-7.21 (1H, m), 7.36-7.41 (2H, m), 13.73 (1H, brs)
(b)5-アセチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-4,6-ジメチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(化合物62)の調製(工程2)
上記化合物(c)(450mg, 2.07mmol)を実施例1(b)と同様に処理して、ペースト状の表題の化合物62(499mg, 65.6%)を得た。

1H NMR (400MHz, CDCl3) TM; 1.91 (3H, s), 2.47 (3H, s), 2.52 (3H, s), 6.87-6.95 (2H, m), 7.11-7.16 (2H, m), 7.25-7.34 (2H, m), 7.40-7.51 (3H, m)
【0056】
実施例と同様にして得た化合物(本発明の化合物及び参考化合物)の構造を以下の表1に示す。尚、表中の略号は、Phは、フェニル基を、Meは、メチル基を、Etは、エチル基を、Bnは、ベンジル基を、iBuは、イソブチル基を、nBuは、ノルマルブチル基を表す。
【0057】
【化15】




























【0058】
【表1】








【0059】
【表2】

【0060】
上記化合物の1H NMRスペクトルを以下の表2に示す。









【0061】
【表3】

【0062】
【表4】



【0063】
【表5】

【0064】
【表6】

【0065】
実施例5(参考)
5-アセチル-3-ブロモ-4-メチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(化合物70)(化合物(I-b)に対応)の調製(製造法B、工程3)
実施例1(a)で得た化合物(a)と、ブロモアセチルクロリド(化合物(VI)に対応)とを原料とし、実施例1(b)と同様に処理して表題の化合物70(参考化合物)(41.4%)を白色針状結晶として得た。

m.p.166.5-167.4℃(ヘキサン/酢酸エチル)1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 2.46 (3H, s), 2.69 (3H, s), 7.36-7.42 (2H, m), 7.45-7.57 (3H, m), 7.96 (1H, s)
【0066】
実施例6(参考)
5-アセチル-4-メチル-2-オキソ-1-フェニル-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-カルボニトリル(化合物71)の調製
実施例5で得た化合物70(1.84g, 6.0mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(15ml)溶液に、シアン化銅(I)(645mg, 7.2mmol)を加え、165℃で5時間加熱撹拌した。室温に戻した後、28%アンモニア水(100ml)及びシアン化ナトリウム(2.94g, 60mmol)を加え更に1時間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで2回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1から1:4)にて精製し、白色粉末状の表題の化合物71(参考化合物)(865mg, 57.7%)を得た。

m.p.215.4-216.8℃(ヘキサン/酢酸エチル); 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 2.48 (3H, s), 2.81 (3H, s), 7.36-7.41 (2H, m), 7.51-7.59 (3H, m), 8.16 (1H, s)
【0067】
実施例7
5-アセチル-4-メチル-1-フェニル-3-(ピリミジン-2-イルチオ)-1H-ピリジン-2-オン(化合物74)の調製(製造法B、工程4)
60%水素化ナトリウム(53.0mg, 1.32mmol)にN,N-ジメチルホルムアミド(5.1ml)を加え、更に2-メルカプトピリミジン(化合物(VII)に対応)(171mg, 1.53mmol)を加えて室温で20分間撹拌した。これをそのまま以下の反応に用いた。
即ち、実施例5で得た化合物70(312mg, 1.02mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5.1ml)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(11.8mg, 0.0102mmol)を加え、140℃で20分間加熱撹拌した。ここに、上記の調製した2-メルカプトピリミジン試薬を加え、更に140℃で1.5時間加熱撹拌した。室温に戻し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1から1:2で溶出)にて精製し、結晶性の表題の化合物74(113mg, 33.0%)を得た。更に、ヘキサン/酢酸エチルから再結晶することにより、黄色板状結晶の表題化合物74を得た。

m.p. 184.5-185.3℃; 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 2.49 (3H, s), 2.81 (3H, s), 6.96 (1H, t, J=4.7Hz), 7.39-7.54 (5H, m), 8.12 (1H, s), 8.46 (2H, d, J=4.7Hz)

上記実施例1〜4と同様にして、得られた化合物(本発明の化合物及び参考化合物)の構造を以下の表3に示す。尚、表中の略号は、表1と同様である。
【0068】
【化16】





【0069】
【表7】

【0070】
上記化合物70〜76の1H NMRスペクトルを以下の表4に示す。
【表8】

【0071】
実施例9
3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-5-(1-ヒドロキシエチル)-4-メチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(化合物77)(製造法D)
実施例1(b)で得た化合物1(373mg, 1.06mmol)のメタノール(10.6ml)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(40.1mg, 1.06mmol)を加えた。室温で10分間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1から1:1)にて精製し、淡黄色シロップ状の表題の化合物77(282mg, 75.2%)を得た。

1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 1.50 (3H, d, J=6.5Hz), 1.86 (1H, br), 2.59 (3H, s), 4.97 (1H, brq, J=6.5Hz), 6.88-6.94 (2H, m), 7.25-7.31 (3H, m), 7.32-7.41 (2H, m), 7.42-7.47 (2H, m), 7.55 (1H, s)

上記の実施例と同様にして、得られた本発明の化合物の構造を以下の表5に示す。尚、表中の略号は、表1と同様である。






【0072】
【化17】

【0073】
【表9】

【0074】
上記化合物の1H NMRスペクトルを以下の表6に示す。
【0075】
【表10】

【0076】
実施例10
5-エチル-3-(4-フルオロ-フェニルチオ)-4-メチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(化合物80)の調製(製造法E)
粉末状亜鉛(654mg, 10mmol)に0.5N塩酸(15ml)を加え、5分間撹拌した。これを蒸留水を用いてデカンテーションの操作により2回洗浄した。再び蒸留水を加え、更に硫酸銅(II)・5水和物(12.5mg, 0.05mmol)を加え、10分間撹拌した。再びデカンテーションして(蒸留水×2)、これを乾燥させずにそのまま以下の反応に用いた。
実施例1(b)で得た化合物1(177mg, 0.5mmol)の酢酸(5ml)溶液に、上記の調製した試薬を加え、更に1N塩酸(5ml)を加えた。室温にて1時間撹拌した後、更に粉末状亜鉛(654mg, 10mmol)及び1N塩酸(5ml)を加えた。80℃で1時間加熱撹拌した後、室温に戻し、亜鉛を濾別し、濾液に水を加え、ヘキサン-酢酸エチル混合溶媒にて抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、白色粉末状の表題の化合物80(125mg, 73.5%)を得た。

m.p.116.8-118.7℃(ヘキサン/酢酸エチル); 1H NMR (400MHz, CDCl3) TM; 1.20 (3H, t, J=7.2Hz), 2.50 (2H, q, J=7.2Hz), 2.54 (3H, s), 6.88-6.95 (2H, m), 7.16 (1H, s), 7.25-7.48 (7H, m)
【0077】
上記の実施例と同様にして、得られた本発明の化合物の構造を以下の表7に示す。尚、表中の略号は、表1と同様であり、n-Pntはノルマルペンチルを表す。
【0078】
【化18】

【0079】
【表11】

【0080】
化合物81の1H NMRスペクトルを以下に示す。
【0081】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 0.91 (3H, brt, J=6.8Hz), 1.33-1.39 (4H, m), 1.50-1.58 (2H, m), 2.44 (2H, dd, J=8.0, 8.6Hz), 2.53 (3H, s), 6.88-6.94 (2H, m), 7.17 (1H, s), 7.25-7.30 (2H, m), 7.34-7.39 (3H, m), 7.42-7.47 (2H, m)
【0082】
実施例11
3-(4-メトキシ-フェニルチオ)-4,5,6-トリメチル-1-フェニル-1 H -ピリジン-2-オン(化合物82)の調製(製造法F)
(a)3-メチル-4-フェニルアミノ-3-ペンテン-2-オン(化合物(d))(化合物(XI)に対応)の調製(工程1)
3-メチル-4-フェニルイミノ-3-ブテン-2-オン(化合物(IX)に対応)(Tetrahedron Lett. 52, 5167, 1973)(2.15g, 12.4mmol)をジエチルエーテル(62ml)に溶解させ、氷冷撹拌下、メチルマグネシウムブロミド(化合物(X)に対応)(1.0M THF溶液, 12.4ml, 12.4mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=2:1)にて精製し、淡黄色シロップ状の表題の化合物(d)(1.63g, 69.4%)を得た。

1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 1.92 (3H, s), 2.02 (3H, s), 2.22 (3H, s), 7.03-7.08 (2H, m), 7.14-7.19 (1H, m), 7.30-7.35 (2H, m)
【0083】
(b-1)N-(1,2-ジメチル-3-オキソ-1-ブテニル)-2-(4-メトキシ-フェニルチオ)-N-フェニル-アセトアミド)(化合物(e))(化合物(XII)に対応)の調製(工程2)
上記で得た化合物(d)(690mg, 3.65mmol)のテトラヒドロフラン(36.5ml)溶液に、氷冷撹拌下、塩基としてのメチルマグネシウムブロミド(1.0M THF溶液, 4.01ml, 4.01mmol)を加えた。10分後、(4-メトキシ-フェニルチオ)-アセチルクロリド(化合物(V)に対応)(1.03g, 4.75mmol)を加えた。室温にして15時間撹拌した後、水を加えて10分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで2回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、ペースト状の表題の化合物(e)(375mg, 27.8%)を得た。

1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 1.80-2.00 (6H, br), 2.30-2.40 (3H, br), 3.50-3.70 (2H, br), 3.70-3.85 (3H, br), 6.75-6.95 (2H, br), 7.10-7.60 (7H, br)
【0084】
(b-2)N-(1,2-ジメチル-3-オキソ-1-ブテニル)-2-(4-メトキシ-フェニルチオ)-N-フェニル-アセトアミド)化合物(e)(化合物(XII)に対応)の調製(工程1〜2)(化合物(XI)を単離しないで一度に反応させる方法)
3-メチル-4-フェニルイミノ-3-ブテン-2-オン(化合物(IX)に対応)(693mg, 4.00mmol)をジエチルエーテル(20ml)に溶解させ、氷冷撹拌下、メチルマグネシウムブロミド(化合物(X)に対応)(1.0M THF溶液, 4.40ml, 4.40mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、(4-メトキシ-フェニルチオ)-アセチルクロリド(化合物(V)に対応)(1.13g, 5.2mmol)を加えた。室温にして15時間撹拌した後、水を加えて10分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで2回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、ペースト状の表題の化合物(e)(249mg, 16.8%)を得た。
【0085】
(c)3-(4-メトキシ-フェニルチオ)-4,5,6-トリメチル-1-フェニル-1H-ピリジン-2-オン(化合物82)(化合物(I-i)に対応)(工程3)
上記で得た化合物(e)(624mg, 1.69mmol)のテトラヒドロフラン(17ml)溶液に、氷冷撹拌下、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(1.26ml, 8.45mmol)を加えた。室温で14時間撹拌した後、水を加えて10分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで2回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、ペースト状の表題の化合物82(284mg, 47.8%)を得た。

1H NMR (400MHz, CDCl3) δ; 1.96 (3H, s), 2.11 (3H, s), 2.57 (3H, s), 3.75 (3H, s), 6.73-6.78 (2H, m), 7.10-7.14 (2H, m), 7.27-7.33 (2H, m), 7.36-7.41 (1H, m), 7.43-7.48 (2H, m)
【0086】
上記の実施例と同様にして、得られた本発明の化合物の構造を以下の表8に示す。尚、表中の略号は、表1と同様である。
【0087】
【化19】






【0088】
【表12】

【0089】
化合物83の1H NMRスペクトルを以下に示す。

1H NMR (400MHz, CDCl3) TM; 0.96 (3H, t, J=7.6Hz), 2.12 (3H, s), 2.36 (2H, q, J=7.6Hz), 2.57 (3H, s), 3.75 (3H, s), 6.74-6.78 (2H, m), 7.13-7.16 (2H, m), 7.28-7.33(2H, m), 7.37-7.49 (3H, m)
【0090】
製剤例
錠剤
下記の組成を有し、直径9mm、重量200mgの錠剤を製造した。
化合物69 1.0g
ヒドロキシプロピルセルロース 0.8g
二酸化ケイ酸 0.2g
結晶セルロース 0.5g
タルク 0.5g
【0091】
硬カプセル剤充填剤
下記の組成を有する硬カプセル剤充填剤を製造した。
化合物69 1.0g
結晶セルロース 1.0g
乳糖 1.5g
二酸化ケイ酸 0.2g
【0092】
顆粒剤
下記の組成を有する顆粒剤を製造した。
化合物69 2.0g
乳糖 2.0g
ヒドロキシプロピルセルロース 3.0g
タルク 0.2g
【0093】
クリーム剤
下記の組成を有するクリームを製造した。
(組成) (質量%)
化合物69 1.0
コレステロール 0.5
コレステリルイソステアレート 1.0
ポリエーテル変性シリコーン 1.5
環状シリコーン 15
メチルフェニルポリシロキサン 2.0
メチルポリシロキサン 2.0
硫酸マグネシウム 0.5
50%エタノール 5.0
カルボキシメチルキチン 0.5
精製水 残量
計 100.0
【0094】
細胞接着阻害試験及び好中球浸潤に対する作用の試験方法
細胞接着阻害試験及び好中球浸潤に対する作用の試験方法に関しては、文献記載を参考に測定できる。例として以下の文献に活性試験方法が記載されている。Carbohydrate Letters, Volume 1, pp.261-268; J. Pharm. Exp. Therapeutics Vol.269, No. 3, pp917。
試験例1 細胞接着阻害作用試験
予めキーホールリンペットヘモシアニンでコートした96ウェル培養プレートに、ジメチルスルホキシドに溶解した被検化合物をDMEMでジメチルスルホキシド終濃度1%となるように希釈して、0.05mL添加した。健常人の肘正中皮静脈から採血し、モノ・ポリ分離液、及び遠心操作により好中球を分取した。分取した好中球を、1×106cells/mLの濃度になるようにDMEMに懸濁させ、0.1ml添加した。また、40ng/mL 腫瘍壊死因子(TNF)-αを、DMEMで希釈調整し、終濃度10ng/mLとなるように0.05mL添加した。CO2インキュベータ内で37℃、30分間静置した後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS(-)、GIBCO社製)0.2mlで3回洗浄した。更に、10% アラマーブルー(alamar blue) DMEM溶液0.1mlを添加し、CO2インキュベータ内で、37℃、3時間静置後、接着好中球の蛍光強度を測定(Ex:544nm、Em:590nm)した。無刺激群を非接着対照群、TNF-α刺激群を接着対照群とし、本発明化合物の各濃度における細胞接着阻害率を算出し、細胞接着阻害率からプロビット法を用いて50%阻害濃度(IC50)を算出した。被検化合物の種類を代えて、試験を行った。
上記試験の結果を以下の表9に示す。
【0095】
【表13】

上記の結果から、特に、本発明の化合物IC50 (μM)において、式中のXが硫黄である場合には、それが炭素又は酸素である場合(化合物20及び55)に比べて、IC50 (μM)が、非常に優れていることが分かる。
【0096】
試験例2 ザイモザン誘発好中球浸潤に対する作用
前日より絶食させた6週齢の雄性ICRマウスに被検化合物を経口投与した。被検化合物は、3%ジメチルスルホキシド/カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液に懸濁させ、30mg/kg/10mlの割合で投与した。1時間後、0.01%ザイモザン生理食塩水溶液1mlを腹腔内に投与した。3時間後、生理食塩水5mLを腹腔内に投与し、30秒間軽くマッサージした。小切開を加え、パスツールピペットにより腹腔内液を回収した。その後、回収液を遠心(20,000g、20分、4℃)し、ペレットを50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で洗浄し、遠心した。ペレットに0.5% ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(HTAB)を加え、遠心後の上清を酵素源とした。酵素源15μLに1.154mM o-ジアニシジン 200μLと0.005%過酸化水素50μLを加え、(反応開始後90秒のOD450)-(反応開始後30秒 OD450)の値をMPO活性とした。OD450値を1分間に0.001上昇させる活性を1単位とし、MPO活性を算出した。MPO活性は、好中球がもつ酵素であり、MPO活性の低下は好中球浸潤の抑制を表す。結果を、図1に示す。
ここで、Normalは、ザイモザン誘発なし(生理食塩水のみを腹腔内投与)の場合を示し、Vehicleは、ザイモザン誘発前、検体を含まない溶媒を経口投与の場合を示す。
図1から好中球浸潤抑制作用がわかる。即ち、化合物1、化合物62及び化合物69投与群は、Vehicleに対してMPO活性が低下しており、好中球の浸潤が抑制されていることがわかる。特に、化合物62及び化合物69は、優れた好中球浸潤抑制作用があることがわかる。
【0097】
試験例3 単回投与毒性試験
使用動物:ICR系雄性マウス(5週齢)、購入後1週間の予備飼育後試験に供した。各群5例で実施した。観察項目外観(死亡、衰弱など)、体位(横転など)、意識(興奮、昏睡など)、行動(痙攣など)、糞便の性状、尿中異物など。
【0098】
投与化合物 単回投与量 結果
化合物1 1g/kg 死亡例なし、重篤な副作用なし
化合物69 2g/kg 死亡例なし、重篤な副作用なし
【0099】
(発明の効果)
以上の実験結果から、本発明の化合物は、白血球と血管内皮細胞間における強力な細胞接着阻害活性を有し、ザイモザン誘発モデルにおける好中球浸潤抑制効果を有することが判明した。また、単回投与毒性試験の結果から本発明の化合物が低毒性であることも明らかである。従って、本発明の化合物及びそれ含有する医薬組成物は、白血球が種々の細胞に接着することに起因する疾患、例えば、炎症疾患、アレルギー疾患、免疫疾患に有用であり、更にリウマチ、癌転移、喘息、糖尿病、自己免疫疾患等白血球浸潤が関与する病態の予防及び治療に使用することができ、例えばアトピー性皮膚炎、乾癬、接触皮膚炎、湿疹などの炎症性皮膚炎、創傷、火傷、新生物腫瘍又は癌性腫瘍の浸潤・転移、臓器移植拒絶反応、喘息、慢性関節リウマチ、動脈硬化症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血再灌流、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリトマトーデス(SLE)、骨粗鬆症等の予防及び治療に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明により強力な細胞接着阻害作用を有し、白血球浸潤作用を抑制し、優れた抗炎症作用、抗喘息作用、抗リウマチ作用、抗動脈硬化作用、抗アレルギー作用、癌移転抑制作用、手術や処置等に伴う炎症障害抑制作用、虚血再灌流障害抑制作用、臓器移植拒絶抑制作用、抗乾癬作用、急性肺損傷抑制作用を有し、炎症性腸疾患治療、火傷治療に有用な2-ピリドン誘導体が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、ザイモザン誘発モデルにおける好中球浸潤抑制効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)、
【化1】


(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
4は、低級アルキル基、アリール基、-C(=O)-R6、又は-CH(OH)-R6(式中、R6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)であり、
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で表される2-ピリドン誘導体又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
有効成分として請求項1に記載の2−ピリドン誘導体又はその医薬上許容されるプロドラッグ又は塩を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項3】
白血球浸潤が関与する病態の予防又は治療用である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式(I)、
【化2】

(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示し、そして
6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で表される2-ピリドン誘導体を調製する方法であって、
次式(IV)、
【化3】

(式中、R1、R3、R5及びR6は、上記定義の通りである。)
で示される化合物(IV)を、次式(V)、
【化4】


(式中、R2は、上記定義の通りであり、Xは、ハロゲン原子である。)
で示される化合物(V)を反応させることを特徴とする方法。
【請求項5】
式(I)、
【化5】

(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示し、そして
6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で表される2-ピリドン誘導体を調製する方法であって、
(1)次式(IV)、
【化6】

(式中、R1、R3、R5及びR6は、上記定義の通りである。)
で示される化合物(IV)を、次式(VI)、
【化7】

(式中、Yは、ハロゲン原子である。)
で示される化合物(VI)を反応させて、次式(I−b)、
【化8】

(式中、R1、R3、R5、R6及びYは、上記定義の通りである。)
で示される化合物(I-b)を得る工程、そして、
(2)前記化合物(I-b)に、HSR2(式中、R2は、上記定義の通りである。)を反応させる工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
次式(I)、
【化9】

(式中、
1は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示し、
3は、低級アルキル基又はアリール基を示し、
4は、低級アルキル基、アリール基、-C(=O)-R6、又は-CH(OH)-R6(式中、R6は、低級アルキル基又はアリール基を示す。)であり、
5は、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示す。)
で示される化合物(I)を製造する方法であって、
(1)次式(XII)、
【化10】

(式中、R1〜R5は、上記定義の通りである。)
で示される化合物(XII)を調製する工程、
(2)前記化合物(XII)を、塩基で処理する工程、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−8877(P2007−8877A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192821(P2005−192821)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(592142670)佐藤製薬株式会社 (17)
【Fターム(参考)】