説明

2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリルの安息香酸塩の多形及びそれらの使用方法

化合物Iが、1以上の多形形態で存在する、化合物Iを含む組成物が提供される。化合物Iの1以上の多形を含む組成物を有するキット及び製品、並びに種々の疾患を治療するための当該組成物の使用方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリルの安息香酸塩(本明細書中では「化合物I」という)の多形;化合物Iの多形を含む組成物、キット及び製品;並びにそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
ジペプチジルペプチダーゼIV(IUBMB酵素命名法EC.3.4.14.5)は、DPP4、DP4、DAP−IV、FAPβアデノシンデアミナーゼ複合タンパク質2、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV;Xaa−Pro−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ;Gly−Proナフチルアミダーゼ;ポストプロリンジペプチジルアミノペプチダーゼIV;リンパ球抗原CD26;糖タンパク質GP110;ジペプチジルペプチダーゼIV;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;X−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;pep X;白血球抗原CD26;グリシルプロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル−ペプチドヒドロラーゼ;グリシルプロリルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル−アミノペプチダーゼIV;DPP IV/CD26;アミノアシル−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;T細胞刺激分子(T cell triggering molecule)Tp103;X−PDAPを含む多種多様な名称によって、文献中で参照されているII型膜タンパク質である。ジペプチジルペプチダーゼIVを本明細書中では「DPP−IV」と呼ぶ。
【0003】
DPP−IVは、ポリペプチド及びタンパク質のアミノ末端(N−末端)からXaa−Proジペプチドを取り去る非古典的なセリンアミノジペプチダーゼである。X−Gly又はX−Ser型のジペプチドのDPP−IV依存性の緩やかな遊離もまた、いくつかの天然ペプチドについて報告されている。
【0004】
DPP−IVは、種々の異なる組織(腸、肝臓、肺、腎臓及び胎盤)の上皮細胞及び内皮細胞上に構成的に発現し、体液中にもまた見られる。DPP−IVはまた、循環するT−リンパ球上にも発現し、細胞表面抗原であるCD−26と同意義であることが示されている。DPP−IVは、多数の疾患状態(そのうちのいくつかは後述する)にかかわっている。
【0005】
DPP−IVは、特定の内因性ペプチド(GLP−1(7−36)、グルカゴン)のインビボでの代謝性の切断に寄与し、種々の他のペプチド(GHRH、NPY、GLP−2、VIP)に対するインビトロでのタンパク質分解活性が実証されている。
【0006】
GLP−1(7−36)は、小腸におけるプログルカゴンの翻訳後プロセシングに由来する29個のアミノ酸のペプチドである。GLP−1(7−36)は、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、満腹状態の促進、及び胃内容排出の遅延を含む、インビボでの複数の作用を有する。その生理学的プロファイルに基づき、GLP−1(7−36)の作用は、II型糖尿病及び潜在的に肥満の予防並びに治療において有益であると考えられている。例えば、糖尿病患者におけるGLP−1(7−36)の外因性の投与(持続注入)は、この患者集団において有効であることが見出されている。残念なことに、GLP−1(7−36)は、インビボでは急速に分解され、短いインビボ半減期(t1/2=1.5分)を有することが示されている。
【0007】
遺伝的に繁殖させたDPP−IVノックアウトマウスの研究及び選択的DPP−IVインヒビターを用いたインビボ/インビトロ研究に基づき、DPP−IVは、インビボにおけるGLP−1(7−36)の主要な分解酵素であることが示されている。GLP−1(7−36)は、DPP−IVによりGLP−1(9−36)へと効率的に分解され、GLP−1(9−36)は、GLP−1(7−36)に対する生理学的アンタゴニストとして作用すると推測されている。したがって、インビボでのDPP−IVの阻害は、GLP−1(7−36)の内因性レベルの増強及びそのアンタゴニストGLP−1(9−36)の形成の減弱に有用であると考えられている。したがって、DPP−IVインヒビターは、DPP−IVにより媒介される状態、特に糖尿病、より詳細には、2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常(diabetic dislipidemia)、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満の、予防、進行の遅延、及び/又は治療用の有用な薬剤であると考えられている。
【0008】
DPP−IV発現は、分裂促進性又は抗原性の刺激時に、T細胞において増大する(Mattem, T., et al., Scand. J. Immunol., 1991, 33, 737)。DPP−IVのインヒビター及びDPP−IVに対する抗体は、マイトジェン刺激されたT細胞及び抗原刺激されたT細胞の増殖を、用量依存的様式で抑制することが報告されている(Schon, E., et al., Biol. Chem., 1991, 372, 305)。Tリンパ球の様々な他の機能、例えば、サイトカイン産生、IL−2媒介細胞増殖及びB細胞ヘルパー活性が、DPP−IV活性に依存することが示されている(Schon, E., et al., Scand. J. Immunol., 1989, 29, 127)。不安定ではあるがボロプロリン(boroProline)(Flentke, G. R., et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1991, 88, 1556)に基づくDPP−IVインヒビターは、マウスCD4+Tヘルパー細胞における抗原に誘導されるリンパ球増殖及びIL−2産生を阻害するのに有効であった。そのようなボロン酸インヒビターは、マウスにおけるインビボ効果を有することが示されており、免疫チャレンジにより誘導される抗体産生の抑制を生じる(Kubota, T. et al., Clin. Exp. Immun., 1992, 89, 192)。Tリンパ球活性化の制御におけるDPP−IVの役割はまた、部分的には、膜貫通ホスファターゼであるCD45とのその細胞表面結合にも起因し得る。DPP−IVインヒビター又は非活性部位リガンドは、CD45−DPP−IV結合をおそらく破壊し得る。CD45は、T細胞シグナリング機構の不可欠な構成要素であることが公知である。DPP−IVは、CD4+T細胞におけるHIV−1及びHIV−2ウイルスの侵入及び感染力に不可欠であることが報告されている(Wakselman, M., Nguyen, C., Mazaleyrat, J.-P., Callebaut, C., Krust, B., Hovanessian, A. G., CD26のDPP−IV活性の強力なシクロペプチド性インヒビターによるCD26−細胞ではなくCD26+細胞のHIV−1感染の阻害。第24回European Peptide Symposium 1996の要約P.44)。さらに、DPP−IVは、T細胞の表面上で酵素アデノシンデアミナーゼ(ADA)と結合することが示されている(Kameoka, J., et al., Science, 193, 26 466)。ADA欠損は、ヒトにおいて重症複合型免疫不全症(SCID)を引き起こす。このADA−CD26相互作用は、SCIDの病態生理学の手がかりを提供し得る。したがって、DPP−IVのインヒビターは、とりわけ、臓器移植拒絶反応、自己免疫疾患(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び関節リウマチ)の治療、ならびに、AIDSの治療に有用な免疫抑制剤(又はサイトカイン遊離抑制薬物)であり得ることとなる。
【0009】
肺内皮細胞DPP−IVは、肺転移性のラット乳房及び前立腺ガン細胞の接着分子であることが示されている(Johnson, R. C., et al., J. Cell. Biol., 1993, 121, 1423)。DPP−IVは、フィブロネクチンに結合することが公知であり、いくつかの転移性腫瘍細胞は、それらの表面上に多量のフィブロネクチンを持つことが公知である。強力なDPP−IVインヒビターは、例えば、乳房及び前立腺(prostrate)の腫瘍の肺への転移を予防するための薬物として有用であり得る。
【0010】
高レベルのDPP−IV発現はまた、乾癬、関節リウマチ(RA)及び扁平苔癬を持つ患者由来のヒト皮膚線維芽細胞において見出されている(Raynaud, F., et al., J. Cell. Physiol., 1992, 151, 378)。したがって、DPP−IVインヒビターは、乾癬及び扁平苔癬などの皮膚疾患を治療するための薬剤として有用であり得る。
【0011】
高いDPP−IV活性は、良性前立腺肥大を持つ患者由来の組織ホモジネートにおいて及びプロスタトソーム(prostatosome)において、見出されている。これらは、精子の前方への運動性の増強に重要な前立腺由来の細胞小器官である(Vanhoof, G., et al., Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem., 1992, 30, 333)。DPP−IVインヒビターはまた、精子の運動性を抑制するように作用しえ、したがって、男性避妊薬として作用し得る。逆に言えば、DPP−IVインヒビターは、不妊症、特に、卵巣嚢(ovarian capsule)の肥厚及び多発性毛包嚢腫の形成によって特徴付けられる状態である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS、Stein−Leventhal症候群)に起因するヒト女性の不妊症の治療については新規であるとの含意がある。それは、不妊症及び無月経を招く。
【0012】
DPP−IVは、(造血細胞を刺激する)様々なサイトカイン、成長因子及び神経ペプチドの切断に関与すると考えられている。
【0013】
刺激された造血細胞は、インビボの造血細胞又はその前駆体の数の減少によって特徴付けられる障害の治療に有用である。そのような状態は、免疫抑制された患者(例えば、ガンに対する化学療法及び/又は放射線療法の結果として)においてしばしば生じる。IV型ジペプチジルペプチダーゼのインヒビターは、外来的に添加されたサイトカイン又は他の成長因子あるいは間質細胞の非存在下で、造血細胞の増殖及び分化を刺激するのに有用であることが発見された。この発見は、造血細胞刺激の分野における定説(これは、サイトカイン又はサイトカインを産生する細胞(間質細胞)の添加が、培養中の造血細胞の増殖及び分化を維持し刺激するのに必須の要素であることを定めている)に矛盾する。(例えば、WO94/03055として公開されたPCT国際出願番号PCT/US93/017173を参照のこと)。
【0014】
ヒト血漿中のDPP−IVは、成長ホルモン放出因子からN末端のTyr−Alaを切断し、このホルモンの不活性化をもたらすことが示されている。したがって、DPP−IVのインヒビターは、成長ホルモン不足に起因する低身長(小人症)の治療において、そして、GHに依存する組織増殖又は再増殖(re−growth)を促進するために、有用であり得る。
【0015】
DPP−IVはまた、神経ペプチドを切断することができ、神経刺激性ペプチドサブスタンスP、神経ペプチドY及びCLIPの活性を調節することが示されている(Mentlein, R., Dahms, P., Grandt, D., Kruger, R., ジペプチジルペプチダーゼIVによる神経ペプチドY及びペプチドYYのタンパク質分解プロセシング, Regul. Pept., 49, 133, 1993; Wetzel, W., Wagner, T., Vogel, D., Demuth, H.-U., Balschun, D., レム睡眠エピソードの持続時間に対するCLIPフラグメントACTH 20−24の影響, Neuropeptides, 31, 41, 1997)。したがって、DPP−IVインヒビターはまた、神経障害の制御又は正常化に有用な薬剤であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
有利な効能、安定性、選択性、毒性、及び/又は薬力学的性質を有するDPP−IVインヒビターであって、したがって、DPP−IVの阻害により疾患の状態を治療するために医薬組成物において効果的に使用され得るDPP−IVインヒビターに対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の要旨
式:
【0018】
【化1】

【0019】
を有する、2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリルの安息香酸塩(本明細書中では化合物Iと呼ぶ)は、2005年3月15日に出願された米国特許出願第11/080,992号に記載されたDPP−IVインヒビターであり、本明細書中での参照によって、その全体が援用される。
【0020】
本発明は、化合物Iの新規な多形、並びに該新規の多形を1以上含む組成物を提供する。容易に参照できるように、本明細書中に記載される多形を、一貫して、形態A及びアモルファス形態1と呼ぶ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
1.形態A
一実施形態において、本発明は、本明細書中で形態Aと呼ぶ化合物Iの多形に関する。その物理的性質に基づくと、形態Aは結晶形態である。
【0022】
形態Aは、以下の物理的性質の1以上を有することで特徴付けられ得る(形態Aの存在が示されるためには、組成物がこれらの性質の全てを呈する必要はないことに留意する):
(a)以下の任意の溶媒系から結晶化によって形成され得る(i)アセトン、(ii)アセトニトリル;(iii)ブタノール、(iv)ジメチルスルホキシド;(v)ジオキサン;(vi)エタノール;(vii)エタノール及びイソプロピルアルコール;(viii)エタノール及び水;(ix)酢酸エチル;(x)ヘプタン;(xi)イソプロパノール;(xii)酢酸イソプロピル;(xiii)メタノール;(xiv)メチルエチルケトン;(xv)メチルイソブチルケトン;(xvi)2,2,2−トリフルオロエタノール;(xvii)テトラヒドロフラン;(xviii)トルエン;(xix)水;並びに(xx)エタノール及びヘプタン。
(b)顕著な特徴が以下に示される主要回折線である、粉末X線回折のパターンを有し、
【0023】
【表1】

【0024】
かつ、特に、以下の特徴的なピークを有する:
【0025】
【表2】

【0026】
(c)830、876、910、950、987、1004、1026、1063、1094、1135、1173、1212、1231、1284、1316、1334、1365、1384、1447、1458、1474、1532、1592、1613、1697、2082、2230、2540、2596、2743、2860、2958、2979及び3085cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトルを有し;
1212、1365、1447、1613及び1697cm−1の独自のFT−IRピーク位置(±4cm−1内に他のピークを示さず、独自のセットを構成するピーク)を含むIRスペクトルをもつ;
(d)825、881、910、918、987、1003、1027、1039、1065、1084、1103、1135、1157、1167、1172、1184、1206、1235、1288、1337、1365、1385、1417、1446、1461、1474、1557、1577、1597、1624 1652、1689、2230、2860、2883、2957、2970、2983、3026、3053及び3070cm−1のFT−ラマンピーク位置を有し;
1065、1103、1235、1288、1337、1365、1624、1689、2883、2983及び3026cm−1の独自のFT−ラマンピーク位置(±4cm−1内に他のピークを示さず、独自のセットを構成するピーク)をもつ;
(e)約173℃から約195℃の吸熱範囲、必要に応じて約180℃から約190℃の吸熱範囲、必要に応じて186℃にて吸熱、を有する示差走査熱量測定スペクトルを有する;
(f)26〜159℃で0.2%の重量減少を示す熱重量分析データを有する;及び/又は
(g)アモルファス形態1に、熱、高い相対湿度若しくは有機蒸気で圧力を加えることによる、又はアモルファス形態1の水での湿式粉砕によるアモルファス形態1の転換によって形成される。
【0027】
2.アモルファス形態1
アモルファス形態1は、以下の物理的性質の1以上を有することで特徴付けられ得る(アモルファス形態1の存在が示されるためには、組成物がこれらの性質の全てを呈する必要はないことに留意する):
(a)(i)メタノールからのロトエバポレーション(rotoevaporation);(ii)水からの高速蒸発(fast evaporation);(iii)水からの凍結乾燥;(iv)酢酸エチル及びヘキサンからの結晶化;並びに(v)酢酸イソプロピル及びヘキサンからの結晶化、によって形成され得る;
(b)特定のピークが存在しない幅広いハローを示す粉末X線回折のパターンを有する;
(c)809、833、868、948、1024、1068、1084、1119、1134、1172、1228、1286、1375、1440、1541、1599、1652、1703、2136、2225、2571、2861、2949及び3062cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトルを有し;
809、868、1119、1599及び1703cm−1の独自のFT−IRピーク位置(±4cm−1内に他のピークを示さず、独自のセットを構成するピーク)を含むIRスペクトルをもつ;
(d)805、834、904、1002、1024、1045、1134、1168、1205、1280、1386、1443、1578、1600、1654、1703、2225、2864、2958及び3065cm−1のFT−ラマンピーク位置を有し;
805、1280及び1703cm−1の独自のFT−ラマンピーク位置(±4cm−1内に他のピークを示さないピーク)をもつ;
(e)Tg=70℃(開始)、132℃での発熱(最大値)、及び183℃での吸熱(開始温度)を有する示差走査熱量測定(サイクリックDSC)スペクトルを有する;及び/又は
(f)25〜151℃で4%の重量減少を示す熱重量分析データを有する。
【0028】
これらの物理的性質を同定するために上記に参照した分析が行われた方法は、実施例中に記載されている。
【0029】
本発明は、以下に記載されるように、化合物Iが形態A又はアモルファス形態1として存在する化合物Iを含む組成物に関する。化合物Iの他の結晶性及びアモルファス形態もまた、組成物中に存在し得ることに留意する。
【0030】
1つの変形態様において、組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含み、ここで1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、形態A又はアモルファス形態1として組成物中に存在する。組成物は必要に応じて、医薬組成物であり得る。医薬組成物は必要に応じてさらに、1以上の医薬担体を含有し得る。
【0031】
化合物Iが形態A又はアモルファス形態1として存在する、化合物Iを含む組成物を含むキット及び他の製品もまた提供される。1つの変形態様において、組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含み、ここで1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、形態A又はアモルファス形態1として組成物中に存在する。キット及び製品中の組成物は必要に応じて、医薬組成物であり得る。医薬組成物は必要に応じてさらに、1以上の医薬担体を含み得る。
【0032】
医薬組成物を含む上記実施形態の各々に関して、医薬組成物は、化合物の一部分が、少なくとも部分的に所定の多形形態で保存される任意の様式で処方され得る。必要に応じて、医薬製剤のヒトへの投与後一定期間、化合物の一部分が、少なくとも部分的に所定の多形形態で保存される。
【0033】
3.形態A及びアモルファス形態1を作製する方法
形態A及びアモルファス形態1を作製する種々の方法がまた提供される。形態A及びアモルファス形態1を含む医薬組成物、キット及び他の製品を製造する種々の方法もまた提供される。
【0034】
4.形態A及びアモルファス形態1を使用する方法
形態A及び/又はアモルファス形態1を含む医薬組成物、キット及び他の製品を使用し、種々の疾患を治療する方法もまた提供される。
【0035】
一実施形態において、本発明は、対象(例、人体)に、組成物中に、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、形態A又はアモルファス形態1として存在する組成物を投与することを含む、ジペプチジルペプチダーゼの阻害方法に関する。必要に応じて、組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、化合物Iを投与することによって化合物Iで対象(例、人体)におけるジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法に関し、ここで、化合物が投与されるときに、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、形態A又はアモルファス形態1として組成物中に存在する。必要に応じて、組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、化合物Iを投与することによって化合物Iで対象(例、人体)におけるジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法に関し、ここで、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、ヒトへの該化合物の投与後一定期間、形態A又はアモルファス形態1として組成物中に存在する。必要に応じて、組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。
【0038】
さらに別の実施形態においては、本発明は、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが有する疾患状態を治療する方法を提供し、当該方法は、投与時に組成物中に1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、形態A又はアモルファス形態1として存在する組成物を、対象(例、人体)へと投与することを含む。必要に応じて、組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。
【0039】
さらに別の実施形態においては、本発明は、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが有する疾患状態を治療する方法であって、組成物を対象(例、人体)中に存在させることを含む方法を提供し、ここで、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、ヒトへの組成物の投与後一定期間、形態A又はアモルファス形態1として組成物中に存在する。必要に応じて、組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。
【0040】
別の実施形態において、DPP−IVによって媒介される状態、特に糖尿病、そしてより詳細には2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御及び肥満の予防、進行の遅延、及び/又は治療方法を提供する。
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は、化合物1の新規な多形、及び化合物Iを含み、化合物Iの少なくとも一部分が、形態A又はアモルファス形態1として該組成物中に存在する組成物を提供する。
【0042】
化合物Iを含む組成物を有するキット及び他の製品であって、化合物Iの少なくとも一部分が、形態A又はアモルファス形態1として該組成物中に存在するキット及び他の製品もまた提供される。
【0043】
種々の方法(開示された形態A及びアモルファス形態1を作製する方法、化合物Iを含む医薬組成物を製造するための方法であって、化合物Iの少なくとも一部分が形態A及びアモルファス形態1として該組成物中に存在する方法、並びに化合物Iを含む組成物を使用する方法であって、化合物Iの少なくとも一部分が形態A又はアモルファス形態1として該組成物中に存在する方法を含む)もまた提供される。
【0044】
1.化合物Iの調製
化合物Iを合成するための種々の方法が使用され得る。化合物Iを合成するための代表的な方法を実施例1に提供する。しかし、化合物Iを合成するための他の合成ルート(2005年3月15日に出願された米国特許出願第11/080,992号に開示されたものが挙げられ、これは、本明細書中での参照によって、その全体が援用される)もまた使用され得ることに留意する。
【0045】
2.多形の調製
一般的に、化合物の所定の多形は、該化合物の直接的な結晶化により、又は、該化合物の結晶化とこれに続く別の多形形態若しくはアモルファス状態からの相互変換により、得られ得る。以下の実施例は、化合物Iの溶解度を試験するための方法及び化合物Iの結晶化状態のスクリーニングのための方法を記載する。
【0046】
化合物が結晶化される方法に依存して、得られた組成物は、アモルファス物質とは対照的に、異なる量の化合物を、結晶性形態で含有し得る。また、得られた組成物は、上記化合物の異なる多形形態の異なる混合物を含有し得る。
【0047】
「結晶性」とは、当該用語が本明細書中で用いられる場合、特定の化合物を含有する物質であって、水和及び/又は溶媒和され得、かつ十分な結晶性含有量を有し、XRPD又は他の回折技術により、認識可能な回折パターンを示す物質をいう。しばしば、溶液中に溶解される化合物の直接的な結晶化又は異なる結晶化状態の下で得られる結晶の相互変換により得られる結晶性物質は、結晶化に用いられる溶媒(結晶性溶媒と呼ばれる)を含有する結晶を有するであろう。また、結晶化が行われる特定の溶媒系及び物理的実施形態は、まとめて結晶化状態と呼ばれ、該結晶化状態に独特の物理的及び化学的性質を有する結晶性物質を生じ得る。これは一般的に、結晶内での化合物の互いの化学的部分の配向、及び/又は該化合物の特定の多形形態が結晶性物質において優勢であることに起因する。
【0048】
組成物中に存在する化合物の多形形態に依存して、アモルファス固体状態の種々の量の化合物がまた、初期の結晶化の副生成物及び/又は結晶性物質を含有する結晶の分解の生成物のいずれかとして、存在し得る。したがって、結晶性とは、この用語が本明細書中で用いられる場合、組成物がアモルファス成分を含み得ること(アモルファス物質中の結晶性物質の存在を、認識可能な回折パターンを有する組成物により、他の方法間で検出可能であること)を意図する。
【0049】
結晶性物質のアモルファス成分は、物質の粉砕又は微粉砕により増加し得る。このことは、粉砕前の結晶性物質と比較して、回折及び他のスペクトル線が広くなることにより立証される。十分な粉砕及び/又は微粉砕は、粉砕前の結晶性物質と比較して、XRPD又は他の結晶特異的スペクトルが認識不能になる程度まで上記線を広げ得、これによって、この物質は実質的にアモルファス又は準アモルファスとなり得る。
【0050】
「アモルファス」とは、当該用語が本明細書中で用いられる場合、XRPD又は他の回折技術により認識可能なパターンを生み出すには、含有される化合物の結晶含量が少なすぎる化合物を含む組成物をいう。ガラス状物質は、アモルファス物質の一種である。アモルファス物質には、真正の結晶格子がなく、その結果、真正の固体ではなくガラス状であり、非常に粘性の非晶質液体と技術的に類似する。ガラスは、真正の固体ではなく、準固体アモルファス物質といったほうが、より適切であり得る。したがって、アモルファス物質とは、準固体の、ガラス状物質をいう。化合物の溶液からの沈殿(これは、しばしば溶媒の高速蒸発により影響を受ける)では、アモルファス固体を形成している化合物が、結晶に対して有利であることが知られている。アモルファス状態の化合物は、溶媒和化合物を溶媒から高速蒸発させることにより、あるいは、結晶性状態にある間の該化合物の粉砕、微粉砕又はその他の物理的な負荷若しくは擦過により、生成され得る。化合物を沈殿及び結晶化するための一般的な方法が、本明細書中に記載の種々の多形を調製するために、適用され得る。これらの一般的な方法は、有機合成化学及び医薬製剤の分野の当業者に公知であり、例えば、J.March,“Advanced Organic Chemistry;Reactions,Mechanisms and Structure,”第4版(New York:Wiley−Interscience,1992)に記載される。
【0051】
「広い(broad)」又は「広げられた(broadened)」は、当該用語が本明細書中でスペクトル線(XRPD、NMR及びIR分光法線が挙げられる)を記述するために用いられる場合、基線スペクトルの線幅に対する相対的な用語である。基線スペクトルはしばしば、所定の物理的及び化学的条件(溶媒組成、並びに温度及び圧力のような性質)下で直接取得される、特定の化合物の未操作の結晶性形態のスペクトルである。例えば、広げられた、は、粉砕又は微粉砕された、結晶性化合物を含む物質のXRPDスペクトルのスペクトル線を、粉砕前の物質と比較して記述するために用いられ得る。構成分子、イオン又は原子が、溶媒和又は水和した場合に、迅速に転回(tumbling)しない物質では、線の広幅化は、該化合物の化学的部分の配向における無秩序性の増加を示唆し、したがって、アモルファス含有量の増加を示す。異なる結晶化状態を介して得られた結晶性物質間で比較をした場合、より広いスペクトル線は、相対的により広いスペクトル線を生じる物質が、より高レベルのアモルファス物質を有することを示す。
【0052】
粉砕を継続すると、アモルファス含有量が増加し、XRPDパターンが更に広くなる(XRPDパターンが、もはやノイズを超えて認識されなくなるまで広がることを限界とする)ことが予想される。XRPDパターンが認識不能な限界まで広げられた場合、物質は、もはや結晶性物質とはみなされず、その代わりに完全にアモルファスであるとみなされ得る。アモルファス含有量が増加した物質及び完全にアモルファスである物質に関しては、粉砕により別の形態が生じることを示すピークは観察されないはずである。
【0053】
より高いパーセントの結晶含量を含む組成物(例、格子欠陥がより少なく、それに比例してより少ないガラス状物質を有する結晶を形成すること)は、一般的に、より緩やかな結晶形成を好む状態(溶媒蒸発を遅らせるもの及び動態学に影響するものを含む)が用いられた場合に調製される。結晶化状態は、より高品質の結晶性物質を、必要に応じて取得するために、適当に調整され得る。したがって、例えば、僅かな結晶が初期の結晶化条件下で形成される場合、結晶化を遅らせるために、初期の結晶化条件に対して、溶媒温度を低下し得、溶液上の周囲圧力を増加し得る。
【0054】
理解されるように、所定の化合物を含む組成物の製造方法によって、次いで、いったん製造されたら、該組成物の保管方法及び操作方法によって、該組成物の結晶性含有量が影響される。したがって、組成物が結晶成分を全く含まないか、又は、より高濃度の結晶成分を含み得る可能性がある。
【0055】
化合物が所定の組成物中に、一以上の異なる多形形態で存在し得ること、及び必要に応じてアモルファス物質としてもまた存在し得ることがさらに留意される。これは、(a)二以上の異なる多形形態を物理的に混合すること;(b)二以上の異なる多形形態を、結晶化状態から生成させること;(c)所定の多形形態の全部又は一部分を、別の多形形態へと変換させること;(d)アモルファス状態の化合物の全部又は一部分を、二以上の多形形態へと変換させること;並びに他の多くの理由の結果であり得る。
【0056】
理解され得るように、化合物を含む組成物の調製方法により、所定の多形形態中の化合物の重量パーセントは、0%〜100%まで様々であり得る。本発明によれば、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、若しくは99%又はそれを超える化合物I(重量)が、形態A又はアモルファス形態1として組成物中に存在する組成物が提供される。
【0057】
3.化合物Iの多形
化合物Iの形態A及びアモルファス形態1が本明細書中に記載される。
【0058】
種々の試験(粉末X線回折(「XRPD」)、示差走査熱量測定(「DSC」)、熱重量分析(「TGA」)、ホットステージ顕微鏡法(hot stage microscopy)、赤外分光法(「IR」)、ラマン分光法及びカールフィッシャー分析が挙げられるが、これらに限定されない)が、化合物Iの結晶状態を物理的に特徴付けるために行われ得る。以下の実施例は、本明細書中で報告された種々の分析を行うのに用いられた方法を記述する。可能である場合、各々の異なる多形についての各試験の結果が、本明細書中に提供される。
【0059】
A.化合物Iの形態Aを作製する方法
以下は、化合物Iの形態A多形が化合物Iの異なるサンプルから作製される手順を記述する。
【0060】
サンプル番号1924−73−02:アセトン中の化合物Iのスラリーを、0.2μmナイロンシリンジフィルターに通して、清潔なバイアルへと濾過した。高速蒸発のために、周囲条件下、ドラフト中でバイアルの蓋をとった状態のままにし、二日後に形態A固体を得た。
【0061】
サンプル番号1924−73−08:メタノール中の化合物Iのスラリーを、0.2μmナイロンシリンジフィルターに通して、清潔なバイアルへと濾過した。バイアルを、針穴で穿孔したアルミニウム箔で覆い、低速蒸発のために、周囲条件でドラフト中に置き、二日後に形態A固体を得た。
【0062】
サンプル番号1924−67−05:60℃に設定したホットプレート上で、化合物Iを、アセトニトリル中でスラリーにし、この混合物を、温かいうちに0.2μmナイロンシリンジフィルターに通して、清潔な、温かいバイアルへと濾過した。このバイアルを、ホットプレート上に置き、次いでホットプレートのスイッチをオフにして、ゆっくりと周囲温度にまで冷却させた。一日後、形態A固体を濾過により収集した。
【0063】
サンプル番号1994−82−01:化合物I(123mg)を、還流下で99:1のエタノール/酢酸イソプロピル(1mL)中に溶解し、次いで、20℃/時間の速度で周囲温度まで冷却した。固体が沈殿し、得られたスラリーを、4時間、周囲温度で撹拌した。溶媒をデカントして、固体を乾燥した。実験により、形態A固体が得られた。
【0064】
B.化合物Iの形態Aの特徴付け
図1は、形態AのXRPDパターンを図示する。主要な回折線は、°2θについて、およそ9.44、10.84、17.82、18.75、25.87及び28.52で観察される。XRPDパターンは、物質が結晶相であることが確かめられた(これを、形態Aと称した)ことを示す傾向がある。
【0065】
化合物Iの無色のプレートを、エタノール−水溶液から収集した。斜方晶セルパラメーター(orthorhombic cell parameter)及び算出した容積は:a=8.0869(2)、b=9.9030(3)、c=28.5471(10)Å、V=2286.18(12)Åである。Z=4及び461.53gの式量に関しては、算出した密度は1.34g/cmである。得られた構造の質は、0.068のR値により示されるように、良好である。通常、0.02〜0.06の範囲のR値は、最も信頼して決定された構造に関して引用される。化合物IのORTEP図は、結晶構造が提案された構造と同一であることを示す。非対称性の単位は、一の遊離塩基カチオン及び一の安息香酸塩対イオンを含有することに留意された。単一の結晶データ及び化合物Iの形態Aの実験的なXRPDパターンから生成した算出粉末パターンは非常に類似しているが、温度効果のために、ピークの°2θ位置において、小さな差異がある。単一の結晶データを150Kで収集した一方で、実験的なXRPDパターンを、周囲温度で測定した。強度の差異はおそらく、好ましい配向に起因する。
【0066】
形態Aに関する熱重量測定及びDSCデータを、以下の表1Aに要約し、図2においてプロットした。図2から理解され得るように、DSC曲線は、数個の吸熱事象を示す。最も支配的な事象に関する吸熱最大は、186℃周辺に位置する。融点実験により、この吸熱事象が、物質の融解と関連していることが確認された。融解吸熱を超えた一連の吸熱事象を、さらに特徴付けはしなかったが、おそらくサンプルの分解に対応する。このサンプルの融解吸熱未満に位置する広い吸熱事象もまた、形態AのサンプルのDSCプロット中で見られ得る。この事象は、形態AのサンプルのTGAプロットで観察される、対応する質量損失と同一の温度領域で生じ、サンプルからの揮発性物質の損失と一致している。
【0067】
【表3】

【0068】
形態A(ロット番号QZ−656−17(1))のIRスペクトルを図3にプロットする。
【0069】
形態A(ロット番号QZ−656−17(1))のラマンスペクトルを図4に提供する。
【0070】
形態Aの水分吸着/脱着の性質に関するデータを、以下の表2Aにまとめる。分析により、周囲条件〜55%RHで、およそ0.035%の初期重量増加が示され、9%RHと95%RHとの間では約0.05%の重量減少が示された。脱着周期は、吸着経路とは僅かに異なる経路に従い、ここで、吸着周期の間に増加した質量は、種々のRH間隔での脱着の際にわずかな量ずつが失われる。吸着周期に関する重量変化値は、化合物Iの分子量と共に用いられ、95%RHでは結晶中に水分子が存在しないと計算され得る。この計算は、分析の最後の、5%RH工程ではサンプル中に水が存在しないと仮定する。水分吸着/脱着後のサンプルを、XRPDにより形態Aとして同定した。個別の実験では、形態Aを種々のRH状態下で室温にて負荷をかけた(表3A)。数週間後、これらのサンプルのいずれもが、相転移を経ていなかった。このことは、上記サンプルについてのそれぞれのXRPDパターンにおいて明らかであり、これらはすべて形態Aに対応する。RH負荷時の、形態Aの相転移の欠如と関係した、水分吸着/脱着プロファイルで検査されたRHレベルの範囲を通して観察された、質量の漸次的な増加/減少は、この固体相が、周囲環境(environment)のRHに依存する可変量の水を含有し得ることを示す。このタイプの水和相は、可変又は非化学量論水和物と呼ばれる。
【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
C.化合物Iのアモルファス形態1を作製する方法
サンプル番号1994−26−01:化合物Iのスラリーを、80℃に設定したホットプレート上に置いた。混合物を、0.2μmナイロンシリンジフィルターに通して、温かいバイアルへと濾過した。次いで、このバイアルを、ホットプレート上に置き、次いで、このホットプレートを40℃に設定し、溶液を冷却した。十分なヘキサンを添加し、濁った懸濁液を形成させた。微細な固体を濾過により収集し、風乾させた。実験により、アモルファス固体を得た。
【0074】
サンプル番号1994−07−01:未溶解の固体が残存するように、十分な化合物Iをメタノールに添加した。得られたスラリーを、0.2μmナイロンシリンジフィルターに通して、フラスコへと濾過した。ロータリーエバポレーター(Buchi、R−114)を用いて、減圧下でこの溶液を蒸発させて乾燥させた。アモルファス固体をデシケーター中で保管した。
【0075】
D.化合物Iのアモルファス形態1の特徴付け
【0076】
多形アモルファス形態1:
図5は、アモルファス形態1(サンプル番号1994−12−01)のXRPDパターンを図示する。XRPDデータは、乏しいシグナル:ノイズを示す。上記XRPDパターンは、形態1が化合物Iのアモルファス形態であることを示す傾向がある。
【0077】
アモルファス形態1に関する熱重量測定及びDSCデータを、以下の表1Bに要約し、図6中にプロットする。アモルファス形態1を、上に記載のようにして、いくつかの方法により調製した。この物質は、85%RH未満では、非常に吸湿性で重量が10%増加したが、RHが85%を超えると重量は減少した(このことは、結晶化を示す)。水分バランス後のXRPDパターンの後は、形態Aと一致した。TGA重量の減少は、25℃〜168℃の間では4%であり、これはおそらくは、吸収された水分に起因する。したがって、サンプルを乾燥させ、次いで、ガラス転移温度Tg(開始は70℃であった)を決定するためにサイクルDSC実験を行った。発熱再結晶事象を、132℃で記録し、続いて、183℃(開始)での急激な吸熱を記録した。これは、ホットステージ顕微鏡により決定された融解(172℃)の開始と相関していた。これは、アモルファス固体が加熱の間に形態Aに結晶化したことを示唆する。
【0078】
【表6】

【0079】
アモルファス形態1(サンプル番号1994−07−01)についてのIR及びFT−Ramanスペクトルを、図7及び図8にそれぞれプロットする。
【0080】
アモルファス形態1の水分吸着/脱着の性質に関するデータを、以下の表2Bに要約する。水分吸着/脱着データは、周囲条件〜5%RHでは、およそ1%の初期重量損失を示し、次いで、5%RHと95%RHとの間では約6.5%の重量増加を示す。85%RHと95%RHとの間では、サンプルは、約5%の重量を失い、これは、結晶化事象を示唆する。水分吸着/脱着実験後に回収されたサンプルを、形態Aを含むものとして暫定的に同定した。
【0081】
【表7】

【0082】
4.形態A又はアモルファス形態1の少なくとも特定の一つが存在する、化合物Iを含む医薬組成物
本発明の多形は、種々の医薬組成物中で用いられ得る。このような医薬組成物は、化合物Iを、当該組成物中に0.005%〜100%(重量/重量)間の範囲で存在するように含み得、残りの医薬組成物は、本明細書中に記載されるようなさらなる物質を含み得る。特定の変形態様では、医薬組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。化合物Iの多形形態の所定の一つは、医薬組成物中に、少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%(重量/重量)の化合物Iを含み得る。
【0083】
一般的に、本発明の医薬組成物は、気体、液体、準液体(semi−liquid)、ゲル又は固体の形態で調製され得、用いられるべき投与経路に適した様式で処方され得る。ここで、化合物Iの少なくとも一部分が、組成物中に、特定の多形形態として存在する。
【0084】
本発明の医薬組成物は、種々の経路のいずれかにより、投与に適合され得る。例えば、本発明の医薬組成物は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬(transbuccally)、鼻腔内、リポソーム、経吸入、膣、眼内、経局所送達(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内、関節内、又は髄腔内で、必要に応じて徐放投薬形態で、投与され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、経口、吸入により、又は皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射若しくは脳脊髄液への直接的な注射により、投与される。
【0085】
化合物Iに加えて、医薬組成物は、化合物Iの使用に有害に影響しない、一以上のさらなる成分を含み得る。例えば、医薬組成物は、化合物Iに加えて、従来の医薬上の賦形剤;希釈剤;滑沢剤;結合剤;湿潤剤;崩壊剤;流動促進剤(glidant);甘味剤;香料;乳化剤;可溶化剤;pH緩衝化剤;芳香剤;表面安定化剤;懸濁剤;及び他の従来の、医薬上不活性な薬剤を含有し得る。特に、医薬組成物は、乳糖、ショ糖、リン酸二カルシウム、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、デンプン、天然ゴム(例、アカシアゴムゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidine)、セルロース及びこれらの誘導体)、ポビドン、酢酸クロスポビドン(crospovidones acetate)、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン及び他のそのような薬剤を含み得る。このような剤形を調製する方法は、当該分野で公知であり、当業者に明らかであろう(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第19版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)を参照のこと)。投与される医薬組成物は、いずれにしても、インビボでのジペプチジルペプチダーゼ活性を十分に減少させ、所望の治療効果を提供するのに十分な量の化合物Iを含有するべきである。
【0086】
本発明の組成物は、他の活性な薬剤と投与又は同時投与され得る。これらのさらなる活性な薬剤としては、例えば、他の一以上の医薬上活性な薬剤が挙げられ得る。本発明の文脈において、同時投与とは、一種を超える治療用薬剤(これらのうち、一種は化合物Iを含有する)の投与を意味することが意図される。そのような同時投与はまた、同一の広がりをもつ(即ち、重複した期間の間に行われる)ものであってもよいし、連続的(即ち、重複しない期間の間に行われる)であってもよい。
【0087】
以下は、必要に応じて、化合物Iとともに用いられ得る、経口製剤、静脈内製剤及び錠剤製剤の特定の例である。これらの組成物は、当該組成物が使用されるべき適応症に依存して変更され得ることが留意される。
【0088】
例示的なカプセル製剤は、以下の通りである:
【0089】
1錠当り12.5mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリル(安息香酸塩) 17.0mg
(2)乳糖一水和物、NF、Ph、Eur 224.6mg
(FOREMOST 316FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース、NF、Ph、Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム、NF、Ph、Eur 32.0mg
(AC−DI−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素、NF、Ph、Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph、Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT、非ウシHyqual)
総計(1錠当り) 400.0mg

フィルムコート(全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0090】
1錠当り25mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリル(安息香酸塩) 34.0mg
(2)乳糖一水和物、NF、Ph、Eur 207.6mg
(FOREMOST 316FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース、NF、Ph、Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム、NF、Ph、Eur 32.0mg
(AC−DI−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素、NF、Ph、Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph、Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT、非ウシHyqual)
総計(1錠当り) 400.0mg

フィルムコート(全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0091】
1錠当り50mg(遊離塩基形態の重量)の化合物I
コア錠剤製剤
(1)2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリル(安息香酸塩) 68.0mg
(2)乳糖一水和物、NF、Ph、Eur 173.6mg
(FOREMOST 316FAST FLO)
(3)微結晶性セルロース、NF、Ph、Eur 120.1mg
(AVICEL PH 102)
(4)クロスカルメロースナトリウム、NF、Ph、Eur 32.0mg
(AC−DI−SOL)
(5)コロイド状二酸化ケイ素、NF、Ph、Eur 3.2mg
(CAB−O−SIL M−5P)
(6)ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph、Eur 3.2mg
(MALLINCKRODT、非ウシHyqual)
総計(1錠当り) 400.0mg

フィルムコート(全体で12.0mg)
(1)Opadry II 85F18422、白色−部分1(COLORCON)
(2)Opadry II 85F18422、白色−部分2(COLORCON)
(3)Opadry II 85F18422、白色−部分3(COLORCON)
【0092】
例示的な静脈内及び錠剤製剤は、以下の通りである:
【0093】
静脈内製剤
本発明の化合物 0.1−10mg
デキストロース一水和物 等張になるまで適量
クエン酸一水和物 1.05mg
水酸化ナトリウム 0.18mg
注射用水 1.0mLになるまで適量
【0094】
錠剤製剤
本発明の化合物 1%
微結晶性セルロース 73%
ステアリン酸 25%
コロイド状シリカ 1%
【0095】
形態A又はアモルファス形態1の一以上を含む製剤の、より詳細な例が、限定ではなく例示の目的で、実施例に提供される。
【0096】
5.化合物Iの使用の適応症
一実施形態では、化合物I並びに化合物Iを含む組成物、キット及び製品が、DPP−IVを阻害するために用いられる。化合物I並びに化合物Iを含む組成物、キット及び製品はまた、DPP−IVが疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性を有する疾患状態を治療するために用いられる。
【0097】
化合物Iは、対象内のDPP−IV活性が変更された、好ましくは低減された対象に投与され得る。
【0098】
別の実施形態では、化合物Iを投与することを含む治療方法が提供される。別の実施形態では、細胞を有効量の化合物Iに接触させることを含む、細胞増殖の阻害方法が提供される。別の実施形態では、患者に治療上有効な量の化合物Iを投与することを含む、患者中の細胞増殖の阻害方法が提供される。
【0099】
別の実施形態では、DPP−IVにより媒介されることが知られているか、又はDPP−IVインヒビターにより治療されることが知られている、患者中の状態を治療する方法であって、該患者に、治療上有効な量の化合物Iを投与することを含む方法。別の実施形態では、DPP−IVにより媒介されることが知られているか、又はDPP−IVインヒビターにより治療されることが知られている疾患状態の治療に使用するための医薬を製造するための、化合物Iの使用方法が提供される。
【0100】
別の実施形態では、DPP−IVが、疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性を有する疾患状態を治療するための方法が提供され、該方法は、化合物Iを対象に投与することを含み、その結果、化合物Iの遊離塩基形態が、対象中に、該疾患状態に対して治療上有効な量で存在する。
【0101】
別の実施形態では、細胞増殖疾患状態を治療するための方法が提供され、該方法は、細胞が、化合物Iの遊離塩基形態を抗増殖性薬剤と組み合わせて処置されるように化合物Iを投与することを含み、ここで該細胞は、該細胞が抗増殖性薬剤で処置されるのと同時に、及び/又は処置された後に、化合物Iの遊離塩基形態で処置される(本明細書中で併用療法と呼ぶ)。一の薬剤を用いた後に別の薬剤を用いる処置は、それらの薬剤がまた一緒に投与される場合であっても、本明細書中では、連続療法と呼ばれることに留意すべきである。併用療法は、薬剤が互いの前後に投与される場合(連続療法)並びにこれらの薬剤が同時に投与される場合を網羅することが意図されることに留意すべきである。
【0102】
本発明の化合物I及び組成物の投与により治療され得る疾患の例としては、DPP−IVにより媒介される状態、特に糖尿病、より詳細には2型糖尿病、糖尿病性脂質代謝異常、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲制御、肥満、免疫抑制剤又はサイトカイン放出制御、自己免疫疾患(例えば、炎症性腸疾患)、多発性硬化症及び慢性関節リューマチ、AIDS、癌(転移、例えば、乳腺及び前立腺腫瘍から肺への転移の防止)、皮膚科学的疾患(例えば、乾癬及び扁平苔癬)、女性不妊症の治療、骨粗鬆症、男性避妊及び神経学的障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
6.化合物I多形を含有するキット及び製品
本発明はまた、ジペプチジルペプチダーゼに関連する疾患を治療するためのキット及び他の製品に関する。疾患は、ジペプチジルペプチダーゼが状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性を有する全ての状態を網羅することが意図されることに留意すべきである。
【0104】
一実施形態では、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、形態A又はアモルファス形態1のうちの特定の一つとして当該組成物中に存在する、化合物Iを含有する医薬組成物と、キットを用いるための使用説明書と、を含むキットが提供される。必要に応じて、当該組成物は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。使用説明書は、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は当該組成物の投与方法に関する指示を示し得る。キットはまた、包装材料を含み得る。包装材料は、組成物を収容するための容器を含み得る。キットはまた、必要に応じて、組成物の投与のための注射器のようなさらなる構成要素を含み得る。キットは、単回又は複数回投与形態で、組成物を含み得る。
【0105】
別の実施形態においては、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は99%(重量)を超える化合物Iが、形態A又はアモルファス形態1のうちの特定の1つとして組成物中に存在する、化合物Iを含む医薬組成物と、包装材料と、を含む製品が提供される。必要に応じて、当該組成物は少なくとも0.25%、0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の化合物Iを含む。包装材料は、組成物を収容するための容器を含み得る。容器は、必要に応じて、当該組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示すラベルを含み得る。製品はまた、必要に応じて、追加要素(例えば、組成物の投与のための注射器)を含み得る。製品は、単回又は複数回投与形態で、組成物を含み得る。
【0106】
本発明のキット及び製品で使用される包装材料は、複数の分割された容器(例えば、分割されたボトル又は分割されたホイルパケット)を形成し得ることが留意される。容器は、医薬上許容される材料で作られた当分野で公知のような任意の慣用の形状又は形態(例えば、紙又は段ボール箱、ガラス又はプラスチックのボトル又はジャー、再封止可能なバッグ(例えば、異なる容器への配置のために錠剤の「詰め替え品」を保持するための)、又は治療スケジュールに従ってパックから押し出すための個々の投与量を有するブリスターパック)であり得る。用いられる容器は、関与する正確な剤形に依存するだろう(例えば、慣用の段ボール箱は、液体懸濁液を保持するためには通常使用されないだろう)。1より多い容器が、単一剤形を市販するための単一パッケージ中で、一緒に使用され得ることが可能である。例えば、錠剤がボトルに収容され、次いで、それが箱の中に収容され得る。典型的には、キットは、別個の成分を投与するための指示を含む。当該キットの形態は、別個の成分が、異なる剤形(例、経口、局所、経皮及び非経口)で好ましくは投与される場合、異なる投薬間隔で投与される場合、又は、組み合わせの個々の成分の滴定が処方する医師によって望まれる場合、特に有利である。
【0107】
本発明のキットの一特定の例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業で周知であり、医薬の単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、一般的に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルでカバーされた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセスの間に、凹部がプラスチックホイルに形成される。当該凹部は、詰められるべき個々の錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有するか、又は、複数の詰められるべき錠剤及び/又はカプセル剤を収容するようなサイズ及び形状を有し得る。次に、錠剤又はカプセル剤が当該凹部にそれ相応に配置され、比較的硬い材料のシートが、凹部が形成された方向とは逆にあるプラスチックホイルの面にてプラスチックホイルに対して封止される。その結果、錠剤又はカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の凹部に、所望に応じて、個別に封止されるか又は集合的に封止される。好ましくは、シートの強度は、凹部に手で圧力を付与し、それによって、シートの凹部の場所に開口部が形成されることにより、ブリスターパックから錠剤又はカプセル剤が取り出され得るようなものである。次いで、錠剤又はカプセル剤は、当該開口部を介して取り出され得る。
【0108】
キットの別の具体的な実施形態は、その意図される用途の順序で1日量を1つずつ分注するように設計された分注器である。好ましくは、分注器は、レジメンへのコンプライアンスをさらに容易にするために、記録補助具を備える。そのような記録補助具の例は、分注された1日量の数を示す機械的カウンタである。そのような記録補助具の別の例は、液晶読み出し部、又は、例えば、最後の1日量を摂取した日付を読み上げ及び/又は次の用量を摂取すべき日付を思い出させる可聴式のリマインダーシグナルと一緒になった電池式のマイクロチップメモリである。
【0109】
7.剤形
本発明の組成物は、必要に応じて、ヒト及び動物への投与のために例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、吸入器用の乾燥粉末、顆粒剤、滅菌非経口溶液又は懸濁液、経口溶液又は懸濁液、及び適切な量の化合物Iを含む油-水エマルジョン、の単位投与形態又は複数回投与形態で提供される。本明細書中で用いるように、単位投薬形態は、ヒト及び動物対象にとって適切な、当分野において公知であるようにして個別に包装された物理的に分離された単位をいう。各単位投与量は医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と関連して、所望の治療効果を生み出すのに十分な所定量の化合物Iを含む。単位投薬形態の例としては、アンプル及び注射器、並びに個々に包装された錠剤又はカプセル剤が挙げられる。単位投与形態は、その一部又は複数で投与され得る。複数回投薬形態は、単一容器に包装された分離された単位投与形態で投与されるべき複数の同一の単位投薬形態である。複数回投与形態の例としては、バイアル、錠剤若しくはカプセル剤のボトル、又はパイント若しくはガロンのボトルが挙げられる。したがって、複数回投与形態は、包装物中で分離されていない複数の単位投与とみなされ得る。
【0110】
一般的に、本発明の医薬組成物中の化合物Iの総量は、所望される治療効果に十分足るものであるべきである。この量は、1日につき1回の投薬、1日につきある時間間隔で投与される複数回投薬、又は持続性徐放製剤として送達され得る。剤形又は組成物は、必要に応じて、化合物Iを、0.005%〜100%(重量/重量)の範囲で含み得、残りの部分は、本明細書中に記載されたような追加の物質を含み得る。経口投与の場合、医薬上許容できる組成物は、例えば医薬品等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム等の一般的に用いられる任意の1以上の賦形剤を、必要に応じて含み得る。そのような組成物としては、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、粉末剤、吸入器用の乾燥粉末及び徐放製剤(例えば、インプラント及びマイクロカプセル化した送達システム、並びに、コラーゲン、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及びその他のような生分解性、生体適合性ポリマーであるが、これらに限定されない)が挙げられる。これらの製剤を調製する方法は、当業者に公知である。組成物は、必要に応じて0.01%〜100%(重量/重量)の化合物I、必要に応じて0.1〜95%、及び必要に応じて1〜95%、を含み得る。本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、吸入器用の乾燥粉末、顆粒剤、滅菌非経口溶液又は懸濁液、及び滅菌経口溶液又は懸濁液、並びに適切な量の化合物(特にその医薬的に許容できる塩、好ましくはナトリウム塩)を含む油−水エマルジョン、等の単位投薬形態でのヒト及び動物への投与用に、必要に応じて提供される。医薬上治療上活性な化合物及びそれらの誘導体は、典型的には単位投薬形態又は複数回投薬形態で処方され、投与される。本明細書中、単位投与形態はヒト及び動物対象にとって適切な、当分野において公知であるようにして個別に包装された、物理的に分離された単位をいう。各単位投与量は、医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と関連して、所望の治療効果を生み出すのに十分な所定量の治療上活性な化合物を含む。単位投与形態の例としては、アンプル及び注射器、個々に包装された錠剤又はカプセル剤が挙げられる。単位投与形態は、その一部又は複数で投与され得る。複数回投薬形態は、単一容器に包装された分離された単位投与形態で投与されるべき複数の同一の単位投薬形態である。複数回投与形態の例としては、バイアル、錠剤若しくはカプセル剤のボトル、又はパイント若しくはガロンのボトルが挙げられる。したがって、複数回投与形態は、包装物中で分離されていない複数の単位投与である。剤形又は組成物は、必要に応じて化合物Iを、0.005%〜100%(重量/重量)の範囲で含み得、残りの部分は、本明細書中に記載されたような追加の物質を含み得る。経口投与の場合、医薬上許容できる組成物は、例えば医薬品等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム等の一般的に用いられる任意の1以上の賦形剤を、必要に応じて含み得る。そのような組成物としては、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、粉末剤、吸入器用の乾燥粉末及び徐放製剤(例えば、インプラント及びマイクロカプセル化した送達システム、並びに、コラーゲン、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及びその他のような生分解性、生体適合性ポリマーであるが、これらに限定されない)が挙げられる。これらの製剤を調製する方法は、当業者に公知である。組成物は必要に応じて、0.01%〜100%(重量/重量)の化合物I、必要に応じて0.1〜95%、及び必要に応じて1〜95%、を含み得る。
【0111】
一実施形態においては、医薬組成物は経口投与に適合された丸剤又はカプセル剤である。別の実施形態では、医薬組成物は丸剤、錠剤、カプセル剤、乳剤、懸濁剤、マイクロサスペンション、ウェハース、細粒、チューインガム、散剤、凍結乾燥粉末、顆粒剤、及びトローチからなる群から選択される、経口剤形である。さらに別の実施形態では、医薬組成物は懸濁剤、マイクロサスペンション、乳剤、注射前の懸濁又は乳化に適した個体形態、並びに移植可能なデバイスからなる群から選択される、非経口剤形である。さらに別の実施形態では、医薬組成物は局所又は経皮投与に適合される。さらなる実施形態においては、医薬組成物は懸濁剤、マイクロサスペンション、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、ローション、チンキ、ペースト、散剤、フォーム、エアロゾル、灌注、スプレー、座剤、包帯及び皮膚パッチからなる群から選択される、局所又は経皮剤形である。なおさらなる実施形態においては、医薬組成物は粉末剤、エアロゾル、懸濁剤、マイクロサスペンション及び乳剤からなる群から選択される、経肺剤形である。
【0112】
A.経口投与用の製剤
経口の医薬剤形は、化合物Iが多型形のうちの1つで保持される固形剤、ゲル剤又は液剤であり得る。固形剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、及び原末が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な経口錠剤の例としては、圧縮された、チュアブルのロゼンジ及び錠剤(これは、腸溶性コーティング、糖衣又はフィルムコートされ得る)が挙げられる。カプセル剤の例としては、硬又は軟ゼラチンカプセル剤が挙げられる。顆粒剤及び散剤は非発泡性又は発泡性の形態で提供され得る。各々は、当業者にとって公知の他の成分と組み合わされ得る。
【0113】
特定の実施形態においては、化合物Iは固体剤形、好ましくはカプセル剤又は錠剤として提供される。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ等は、一種以上の以下の成分、又は同様の性質の化合物;結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑沢剤;流動促進剤;甘味剤;及び香料を必要に応じて含み得る。
【0114】
使用され得る結合剤の例としては、微結晶セルロース、トラガントガム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、ショ糖及びデンプンペーストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
使用され得る滑沢剤の例としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、石松子及びステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
使用され得る希釈剤の例としては、乳糖、ショ糖、デンプン、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸二カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
使用され得る流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。
【0118】
使用され得る崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、バレイショデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
使用され得る着色剤の例としては、承認され証明された水溶性FD&C色素のいずれか、それらの混合物;及び水酸化アルミニウム(alumina hydrate)に懸濁された水不溶性のFD&C色素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
使用され得る甘味剤の例としては、ショ糖、乳糖、マンニトール並びにサイクラミン酸ナトリウム及びサッカリン等の人工甘味剤、並びに任意の数のスプレー乾燥香料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
使用され得る香料の例としては、果物等の植物から抽出された天然香料及び好ましい感覚を生じる化合物の合成混合物(例えば、ペパーミント及びサリチル酸メチルであるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
使用され得る湿潤剤の例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
使用され得る制吐コーティングの例としては、脂肪酸、脂質、ワックス、シェラック、アンモニア処理されたシェラック及びセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
使用され得るフィルムコーティングの例としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及びセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
経口投与が望ましい場合、化合物Iは、それを胃の酸性環境から保護する組成物中に、必要に応じて提供され得る。例えば、組成物は、胃内でその完全性を維持し、そして腸内で活性な化合物を放出する腸溶性コーティング中に製剤化され得る。組成物はまた、制酸剤又は他のそのような成分と組み合わせて製剤化され得る。
【0126】
投薬単位形態がカプセル剤である場合、それは、必要に応じて、脂肪油などの液体担体をさらに含み得る。さらに、投薬単位形態は、必要に応じて、投薬単位の物理形態を改変する種々の他の材料、例えば、糖及び他の腸溶性薬剤のコーティングをさらに含み得る。
【0127】
化合物Iはまた、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウェハース、細粒、チューイングガムなどの成分として投与され得る。シロップは、必要に応じて、活性な化合物に加えて、甘味剤としてのショ糖、ならびに特定の保存剤、色素及び着色剤及び香料を含み得る。
【0128】
正確な投薬量及び治療の持続時間は、組成物が非経口投与される部位、担体、及び、公知の試験プロトコールを用いて実験的に、あるいはインビボ又はインビトロ試験データからの推定によって決定され得る他の変数の関数であろうことが理解される。濃度及び投薬量の値はまた、当技術分野において公知であるように、当業者にとって公知の他の判断基準よりも特に、患者又は動物の年齢、体重、及び健康状態に究極的には依存し得ることが留意されるべきである。任意の特定の対象については、個々の必要性、及び製剤を投与する人物又は製剤の投与を監督する人物の専門的な判断に従って、具体的な投薬量レジメンを経時的に調整する必要性があり得ることがさらに理解されるべきである。したがって、本明細書中に記載した濃度範囲は、例示的なものであることが意図され、特許請求した製剤の範囲又は実施を制限することは意図されない。
【実施例】
【0129】
実施例1;化合物Iの調製
【0130】
【化2】

【0131】
【化3】

【0132】
2−(6−クロロ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(B)。6−クロロウラシル(20g、122mmol)のDMF−DMSO混合溶液(6:1、600mL)に、窒素下、0℃で、水素化ナトリウム(60%、5.5g、137mmol)を分割して加えた。0.5時間後、臭化リチウム(8g、96mmol)を混合液に加え、15分間、0℃で攪拌した。α−ブロモ−o−トルニトリル(25.1g、128mmol)のDMF溶液(30mL)を滴下して加え、この温度で1時間撹拌した後、室温で1晩撹拌した。混合物を、減圧下で、蒸発及び水と共蒸発させ、DMFの大部分を除去した後、氷水(1L)中に注いだ。沈殿物をろ過により収集した。粗生成物を、熱いAcOEt−CHClに懸濁し、5分間超音波処理し、0℃で1時間放置した後、ろ過して表題化合物の白色固体(19g)を収率54%で得た。H−NMR(400MHz,DMSO):δ 11.82(s,1H),7.87(d,1H,J=7.6Hz),7.71(t,IH,J=7.6Hz),7.51(t,1H,J=7.6Hz),7.37(d,1H,J=8Hz),6.06(s,1H),5.31(s,2H)。MS(ES)[m+H] C12ClNの計算値262.0;実測値262.0。
【0133】
【化4】

【0134】
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(C)。ベンジル化した6−クロロウラシル 2(10g、38mmol)の冷たい(0℃)DMF−THF溶液(1:1、300mL)に、窒素下で、NaH(60%、1.6g、39.9mmol)を分割して加えた後、LiBr(2g)を加えた。混合物を室温にて20分間撹拌した。ヨードメタン(5.4mL、76mmol)を加えた後、フラスコを密封し、この温度で10分間、室温で2時間、35℃で一晩攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をCHClに溶解し、水と塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)して、ろ過し、次いで減圧下で濃縮した。粗生成物を、THF−ヘキサンから結晶化し、7.6g(72%)の表題化合物3を得た。 H NMR(400MHz,DMSO):δ 7.87(d,1H,J=7.6Hz),7.70(t,1H,J=7.6Hz),7.51(t,1H,J=7.6Hz),7.40(d,1H,J=8Hz),6.21(s,1H),5.38(s,2H),3.28(s,3H)。MS(ES)[m+H] C1311ClNの計算値276.1;実測値276.1。
【0135】
【化5】

【0136】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(D)。2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2−H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(330mg、1.08mmol)、(R)−3−アミノ−ピペリジンジヒドロクロリド(246mg、1.4mmol)及び重炭酸ナトリウム(500mg、5.4mmol)を、200mgの活性モレキュラーシーブ(4A)を用いて、乾燥MeOH(5mL)中、100℃で2時間攪拌した。反応物を、セライト(Celite)を通してろ過し、減圧下で濃縮した後、CHClで希釈して、水で洗浄した。水層をCHClで抽出して、組み合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過した。TFA(1mL)を溶液に加えた後、減圧下で濃縮した。残渣を少量のMeOHに溶解し、EtOを加えて強制的に沈殿させた。混合物を室温で一晩放置した。溶媒をデカントし、固体をEtOで2回洗浄して、270mgの生成物を白色粉体として得た。 H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.82(d,1H,J=7.6Hz),7.65(t,1H,J=7.6Hz),7.46(t,1H,J=7.6Hz),7.23(d,1H,J=8.0Hz),5.42(s,1H),5.50−5.00(ABq,2H,J=41.6,15.2Hz),3.30(m,2H),3.16(s,3H),2.91(m,1H),2.76(m,2H),1.93(m,1H),1.79(m,1H),1.51(m,2H)。MS(ES)[m+H] C1822の計算値340.2;実測値340.2。
【0137】
【化6】

【0138】
ベンゾニトリル生成物(D)を安息香酸で処理して2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−ベンゾニトリルベンゾエートを形成することにより、安息香酸塩を形成した。安息香酸塩の調製及び単離は、酸付加塩の形成についての慣用的な方法により行った。 H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.82(d,1H,J=7.6Hz),7.65(t,1H,J=7.6Hz),7.46(t,1H,J=7.6Hz),7.23(d,1H,J=8.0Hz),5.42(s,1H),5.50−5.00(ABq,2H,J=41.6,15.2Hz),3.30(m,2H),3.16(s,3H),2.91(m,1H),2.76(m,2H),1.93(m,1H),1.79(m,1H),1.51(m,2H)。MS(ES)[m+H] C1822の計算値340.2;実測値340.2。
【0139】
実施例2:異なる溶媒における化合物Iの溶解度の特徴付け
【0140】
異なる溶媒及び溶媒系における化合物Iの溶解度を決定するため、以下の実験を行った。この情報を後に使用して、化合物Iの潜在的な結晶状態を同定した。
【0141】
材料及び試薬
特に明記されない限り、このサンプルから調製された化合物Iの形態A及びアモルファス材料が、全ての結晶化実験の開始材料として用いられた。溶媒及び他の試薬は、ACS又はHPLCグレードであり、受け取ったままで使用した。
【0142】
溶解度の評価
化合物Iの秤量されたサンプルを、試験溶媒の一定分量で、室温にて処理した。混合物を、一定分量の添加の間に超音波処理し、溶解を促進させた。試験材料の完全な溶解は、目視検査によって決定した。完全な溶解を提供するのに用いられた総溶媒に基づいて、これらの実験から、溶解度を評価した。多すぎる一定分量の溶媒の使用により、又は遅い速度での溶解のため、実際の溶解度は、算出された溶解度を超え得る。溶解度は、実験中に溶解が起こらなかった場合、「未満」と表されている。一度のみの一定分量の添加の結果、完全な溶解が達成された場合、溶解度は、「を超える」と表されている。
【0143】
【表8】

【0144】
形態A多形は、水(8mg/mL)、メタノール(13mg/mL)、ジメチルホルミド(dimethylformide)(6mg/mL)、メチルエチルケトン(3mg/mL)並びにアセトン、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン、全て<3mg/mLであった)に可溶性であることが見出された。熱解析は、この固相が172℃超で熱的に安定であることを示す。DSC解析及び融点決定は、形態Aが172℃前後で融解することを決定した。形態Aの水分吸着/脱着解析は、この多形が、可変性の水和物であることを実証する。
表5.化合物Iの多形スクリーン―溶液ベースの実験
【0145】
【表9】

【0146】
【表10】

【0147】
【表11】

【0148】
【表12】

【0149】
サンプルの調製
一般的な方法
低速蒸発(SE):形態Aを目的の溶媒に添加した。溶解を補助するために超音波を使用した。混合物が溶解したことを目視検査で判定すると、水溶液を0.2μmのナイロンフィルターに通して清潔なバイアルへと移し、アルミホイルで覆い、穴を開けた。水溶液を環境条件化で蒸発させた。
【0150】
高速蒸発(FE):溶液を覆わないで放置して蒸発させた以外は、低速蒸発の方法に従ってサンプルを調製した。
【0151】
低速冷却(SC):形態Aの濃縮溶液を、周囲温度又は上昇した温度で種々の溶媒中で調製した。濃縮溶液を0.2μmのナイロンフィルターに通して清潔なバイアルへとろ過した。溶液を緩やかに室温へと冷却させた。サンプルを冷蔵庫又は冷凍庫中に置くことによって、周囲温度よりも低い温度へのさらなる冷却を達成した。
【0152】
高速冷却(FC):形態Aの濃縮溶液を、上昇した温度で種々の溶媒中で調製した。濃縮溶液を0.2μmのナイロンフィルターに通して清潔なバイアルへとろ過した。溶液を熱源から取り出し、室温に置いた。サンプルを冷蔵庫又は冷凍庫中に置くことによって、周囲温度よりも低い温度へのさらなる冷却を達成した。
【0153】
ロータリーエバポレーション(RE):形態Aの濃縮溶液を種々の試験溶媒中で調製した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターに通して清潔な容器へと移し、Buechi R−114ロータリーエバポレータを用いて、サンプルを乾くまで揮散させた。蒸発の間は、サンプルを30又は40℃の設定温度で水浴中に浸漬し、回転させた。
【0154】
急速沈殿(CP):形態Aの濃縮溶液を、上昇した温度で異なる溶媒中で調製した。溶液を0.2μmのナイロンフィルターに通して清潔なバイアルへと移した。次いでサンプル溶液に貧溶媒を加えた。形成した沈殿を減圧濾過によって収集した。
【0155】
スラリー:過剰な固体を含む形態Aの飽和溶液を様々な溶媒で調製した。サンプルを振盪器のブロック上に置き、設定温度で一定時間攪拌した。後に、水溶液をデカントすることによって、又は減圧濾過することによって、固体を解析用に収集した。
【0156】
蒸気拡散(VD):形態Aを試験溶媒に溶解した。これらの溶液を0.2μmのフィルターに通して小バイアルへと移した。小バイアルを、覆いをせずに、混和性の貧溶媒を含む大バイアル中に置いた。大バイアルにふたをし、パラフィルム(登録商標)で封じて環境条件下で保存した。形成した固体を単離し、解析した。
【0157】
蒸気負荷実験(VS):形態Aを小バイアルに分注し、それをふたをせずに拡散用溶媒を含む大バイアル中に置いた。大バイアルに封をして周囲温度で保管した。オーブン中で上昇させた温度で、及び異なる相対湿度条件下でもまた、サンプルに負荷をかけた。
【0158】
キャピラリー蒸発(CE):形態Aの溶液を遠心によってガラスキャピラリーに充填した。次いでキャピラリーサンプルを蒸発させた。
【0159】
急激冷却(CC):異なる溶媒中で形態Aのサンプルを調製し、0.2μmのナイロンフィルターに通して清潔なバイアルへと移した。次いで溶液を含んだバイアルをドライアイス/アセトン浴中に数秒間沈没させることによって、急速に冷却した。沈殿する固体をろ過によって収集し、乾燥させた。
【0160】
粉砕実験:少量の形態Aを粉砕ホルダーに粉砕ボールとともに入れ、そのホルダーにふたをした。次いで30Hzの振動数で、測定した時間間隔にて、ミキサー粉砕機中でサンプルを粉砕した。固体を、光学顕微鏡を用いて調査した。粉砕する前にサンプルに十分な水を加えることによって湿らせ、いくつかのサンプルを湿式粉砕した。
【0161】
凍結粉砕(cryogrind)実験:少量の形態Aを10Hzの振動数で合計6分間、液体窒素で満たされたSpex Centriprep 6750凍結粉砕機を用いて粉砕した。2分の粉砕周期後ごとにサンプルを1分間冷却させた。サンプルを粉砕機から取り出し、大型乾燥機中で室温まで平衡化した。
【0162】
実施例3:粉末X線回折
粉末X線回折解析をShimadzu XRD−6000粉末X線回折計を用い、Cu Kα線を用いて行った。この機器は長径高精度焦点型X線管を備えている。管電圧及びアンペア数はそれぞれ40kV及び40mAに設定した。発散及び散乱スリットは1°に設定し、受光スリットは0.15mmに設定した。回折された放射線はNaIシンチレーション検出器によって検出した。2.5から40°までの2θで、3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)でθ−2θ連続スキャンを用いた。機器のアライメントをチェックするためにシリコン標準品を解析した。XRD−6000 v.4.1を用いてデータを収集及び解析した。サンプルをシリコンインサートとともにアルミニウムホルダー中に置くことによって、解析用のサンプルを調製した。
【0163】
120°の2θ範囲をもつCPS(曲線位置高感度(Curved Position Sensitive))検出器を備えたInel XRG−3000回折計を用いた粉末X線回折(XRPD)解析もまた行った。0.03°の2θの分解能でおよそ4°の2θから開始するCu−Kα線を用いてリアルタイムデータを収集した。管電圧及びアンペア数はそれぞれ40kV及び30mAに設定した。モノクロメータのスリットは5mm×80μmに設定した。2.5〜40°の2θでパターンを表示する。解析用のサンプルを、それらを薄壁のガラスキャピラリーに詰めることによって調製した。各キャピラリーを、データ取得中にキャピラリーの回転を可能にするためにモーターを取り付けたゴニオメータのヘッドに取り付けた。サンプルを5分間解析した。機器の校正は、ケイ素参照標準を用いて行った。
【0164】
データ収集:およそ0.50×0.35×0.28mmの寸法を有するC1822、Cの無色プレートをランダムな配向でグラスファイバー上に取り付けた。グラファイト結晶の入射光モノクロメータを備えたNonius KappaCCDで、Mo Kα線(λ=0.71073Å)で予備試験及びデータ収集を行った。2<θ<27°の範囲において、13398の反射光の設定角を用いて、最小二乗法の精密化からデータ収集のためのセル定数を得た。DENZO/SCALEPACKから精密化されたモザイク角は0.41°であり、良好な結晶品質を示した。XPREPプログラムによって空間群を決定した。h00 h=2n,0k0 k=2n,00l l=2nの体系的存在及び引き続いての最小二乗法の精密化から、空間群はP2(no.19)であると決定した。423Kの温度でデータを収集した。最大55.1°の2θまでデータを収集した。
【0165】
データ整理:合計13398の反射光を収集し、そのうち4589が固有であった。フレームはDENZO−SMNで統合した。データにローレンツ及び偏光補正を適用した。Mo Kα線については、線形吸収係数は0.9/cmである。SCALEPACKを用いて実験的吸収補正を適用した。透過係数は0.943〜0.976の範囲にわたった。二次減光補正を適用した。等価反射強度を平均した。平均化のための同意係数は強度に基づいて10.2%であった。
【0166】
構造解析及び精密化:SIR2002を用いた直接法によって構造を解いた。続く差フーリエ合成において残存原子の場所を決めた。精密化においては水素原子を含めたが、それらが結合する原子に乗ることは抑止した。関数
【0167】
【数1】

【0168】
を最小化することによって、フルマトリックス最小二乗法で構造を精密化した。重量wをl/[σ(F)+(0.1225P)]と定義した。ここで、P=(F+2F)/3である。
【0169】
散乱係数は「結晶学の国際表」から選び取った。精密化に用いた4589の反射光のうち、F>2σ(F)の2414の反射光のみをRの計算に用いた。精密化の最終サイクルは321の可変パラメータを含み、そして
【0170】
【数2】

【0171】
【数3】

の非加重及び加重同意係数に収斂(最大パラメータシフト<そのパラメータの推定標準偏差の0.01倍)した。
【0172】
単位重量の観察の標準偏差は1.06であった。最終差フーリエにおける最大ピークは高さ0.34e/Aであった。負の最小ピークは高さ−0.45e/Aであった。絶対構造を決定するための係数は−1.00に精密化された。精密化はSHELX−97を用いてLINUX PC上で行った。結晶学的な描画はORTEPプログラムを用いて行った。
【0173】
無秩序の計算及び粉砕サンプルのアモルファス含量:粉砕サンプルの結晶化度の重量パーセントを、2つのソフトウェアパッケージを用いた計算によって決定した。Shimadzu XRD−6000ソフトウェアパッケージの一部であるShimadzuパーセント結晶化度モジュールを、有意なアモルファス含量をもつサンプルについて用いた。Shimadzuソフトウェアは低アモルファス濃度では精度が低いので、ほぼ結晶質のサンプルについては社内のソフトウェアを用いた。社内のソフトウェアに関しては、粉末X線データは最初に平滑化し、次いで一連のデジタルフィルターを適用してデータを3つの成分(結晶質、アモルファス及び無秩序)に分離した。バックグラウンド補正もまた適用した。次いでアモルファスのパーセント含量を、全3成分の合計に対するアモルファスの比率を決定することによって算出した。両方法は非GMP条件で実行して、そして概算値のみを提供する。
【0174】
粉砕研究:周囲温度及び液体窒素温度での形態Aの乾燥粉砕は、無秩序な形態Aを生じた。ピーク幅の拡幅、基線の消失、及びシグナル強度の減少が、乾燥粉砕サンプルのXRPDパターンに特徴的であった。形態A及び水分を伴うアモルファス物質を水で含湿粉砕することにより、結晶性の形態Aの固体を製造した。4つの粉砕サンプルをXRPDによって解析した。全てのパターンは形態Aと一致し、眼に見えるアモルファス含有物はなかった。
【0175】
粉砕サンプルのアモルファス含有量の計算:化合物I形態Aの粉砕サンプルのXRPDパターンは、ピークの拡幅並びにアモルファスハローを示した。これは結晶化度の喪失に2つの過程が寄与していることを示唆していて:それはピーク拡幅を引き起こす結晶サイズの減少及び基線の消失を引き起こすアモルファスの形成である。(30分間粉砕した)乾燥粉砕サンプル1966−04−02を研究用に選択し、形態A(ロット番号QZ−656−17(1))のXRPDパターンを形態Aの標準試料として用いた。乾燥粉砕サンプル1966−04−02のアモルファス物質の重量パーセントを、計算によって58%前後と推定した。ロット635−181−1は、重量で13%前後のアモルファス含有物を含んでいた。計算により決定された値は、特に低アモルファス含量では、概算値である。
【0176】
実施例4:示差走査熱量測定(DSC)
TA Instruments示差走査熱量計2920を用いて示差走査熱量測定を行った。アルミニウムのDSC皿にサンプルを置き、重量を正確に記録した。皿をふたで覆い、次いで圧着した。サンプルのセルを周囲温度で平衡化し、窒素でパージしながら10℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。校正標準品としてインジウム金属を用いた。記録した温度は、相転移の最大値である。
【0177】
アモルファス物質のガラス相転移温度(T)研究のため、サンプルのセルを室温にて平衡化し、次いで窒素下で、10℃/分の速度で、100℃にまで加熱した。次いでサンプルのセルを再び10℃/分の速度で最終温度350℃にまで加熱する前に、−40℃に冷却した。Tは相転移の変曲点から記録した。
【0178】
正確に計量したサンプルを、圧着していない皿に置くことによって、サイクリックDSC実験を行った。サンプルを窒素下で、10℃/分の速度で、150℃又は180℃のいずれかにまで加熱し、次いで−40℃に冷却した。サンプルを250℃に加熱する前に、この手順を2回繰り返した。
【0179】
実施例5:熱重量分析(TGA)
TA Instruments 2950熱重量分析計を用いて熱重量分析を行った。各サンプルをアルミニウムのサンプル皿に置き、TG加熱炉へと挿入した。最初に加熱炉を周囲温度にて平衡化し、次いで窒素下で、10℃/分の速度で、最終温度350℃にまで加熱した。ニッケル及びAlumel(登録商標)を校正標準品に用いた。
【0180】
実施例6:ホットステージ顕微鏡法(HSM)
Leica DM LP顕微鏡に取り付けたLinkamホットステージを用いてホットステージ顕微鏡法を行った。交差した偏光板のついたラムダプレートで、20倍の対物レンズを用いてサンプルを観察した。サンプルを2枚のカバーグラス間に挟み、ステージを加熱しながら、視覚的に観察した。SPOT Insight(登録商標)カラーデジタルカメラとSPOTソフトウェアv.3.5.8を用いてイメージを捕捉した。スルファピリジン及びバニリンのUSP融点標準品を用いてホットステージを校正した。
【0181】
実施例7:フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)
Ever−Glo中/遠IR線源、臭化カリウム(KBr)ビームスプリッタ、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を備えたMagna−IR 860(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)で赤外スペクトルを取得した。非凹面端部がついたATR Thunderdomeアクセサリをサンプリングに用いた。サンプルをゲルマニウム結晶上に置き、結晶に対してその物質を、プランジャを用いて押圧してサンプルを調製した。各スペクトルは4cm−1のスペクトル分解能で収集された256の共付加スキャンを表す。大気バックグラウンドデータセットを取得した。これら2組のデータセットのお互いの比をとることによってLog 1/R(R=反射率)スペクトルを取得した。波長校正はポリスチレンを用いて行った。
【0182】
赤外スペクトルをまた、拡散反射アクセサリ(Collector(登録商標)、Thermo Spectra−Tech)を用いて取得した。サンプルを直径13mmのカップに置いてサンプルを調製した。代わりに、アライメントミラーでバックグラウンドデータセットを取得した。これら2組のデータセットのお互いの比をとることによってLog 1/R(R=反射率)スペクトルを取得した。波長校正はポリスチレンを用いて行った。
【0183】
実施例8:ラマン分光法
FT−ラマン960分光計(Thermo Nicolet)でFT−ラマンスペクトルを取得した。この分光計は、1064nmの励起波長を用いる。サンプルの照射には、およそ0.6〜0.8WのNd:YVOレーザー出力を用いた。ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器でラマンスペクトルを測定した。物質をガラスキャピラリー又はNMR管に入れることによって、解析用サンプルを調製した。Happ−Genzelアポダイゼーションを用いて、4cm−1のスペクトル分解能にて、400〜3600cm−1で、全部で256のサンプルのスキャンを収集した。波長校正は硫黄及びシクロヘキサンを用いて行った。
【0184】
実施例9:NMR分光法
Bruker Instruments AM−250分光計で、磁場強度5.87テスラ(Hラーモア周波数=250MHz)にて、周囲温度で、溶液のH NMRスペクトルを取得できる。サンプルはNMRグレードのDMSO−dに溶解できる。8.5μs(90°)のHパルス幅、2.5秒の取得時間、5.0秒のスキャン間の遅延、32キロデータポイントでの6400.0Hzのスペクトル幅、及び32の共付加スキャンでスペクトルを取得できる。各自由誘導減衰(FID)は、GRAMS/32 AI ソフトウェアv.6.00で、取得ポイント数の2倍[又は、ゼロ充填を用いる場合には、より大きな倍数]に等しいフーリエ数と、感度を改善するための0.2Hzの指数関数型線幅拡大因子で処理できる。GRAMSソフトウェアのピーク選択アルゴリズムによって、ピークテーブルを作り出せる。これらのスペクトルに関して、重水素化が不完全なDMSO−d由来の残存ピークが、およそ2.50ppmに位置する。
【0185】
実施例10:水分吸着/脱着解析
VTI SGA−100蒸気吸着解析装置で水分吸着/脱着データを収集した。5%〜95%の相対湿度(RH)範囲にわたって、10%のRH間隔で窒素でパージしながら吸着及び脱着データを収集した。解析前にはサンプルを乾燥しなかった。解析用に用いた平衡基準は、5分間内での0.0100%未満の重量変化であった。重量基準が満たされなかった場合の最大平衡時間は3時間であった。サンプルの初期水分含量については、データを修正しなかった。NaCl及びPVPを、校正標準品として用いた。
【0186】
実施例11:カールフィッシャー水分分析
カールフィッシャー(滴定による)水分分析は、U.S. Pharmacopoeia, vol.24, method 921, U.S.P. Pharmacopeial Convention, Inc, Rockville, Mdに従って行うことができる。多形の水分含量については、電量計を、公表された手順及び製造業者の電量計取扱説明書に従って用いたカールフィッシャー滴定によって試験することができる。
【0187】
上で詳述した特定の実施形態及び実施例を参照して本発明を開示するが、これらの実施形態及び実施例は、限定ではなく例示であることが意図されることが理解されるべきである。したがって、種々の改変及び変形態様が当業者に明らかであろうことが予期され、それらの改変及び変形態様が本発明及び添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。本願で引用したすべての特許、特許出願、学術論文、及び書籍は、その全体が本明細書中で参照として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】図1は、形態AのXRPDパターンを図示し、ここで「XRPDパターン」とは、回折線の強度のプロットである。
【図2】図2は、形態AのTGAデータ及びDSCデータのプロットである。
【図3】図3は、形態AのIR吸収スペクトルのプロットである。
【図4】図4は、形態AのFT−ラマン吸収スペクトルのプロットである。
【図5】図5は、アモルファス形態1のXRPDパターンを図示し、ここで「XRPDパターン」とは、回折線の強度のプロットである。
【図6】図6は、アモルファス形態1のTGAデータ及びDSCデータのプロットである。
【図7】図7は、アモルファス形態1のIR吸収スペクトルのプロットである。
【図8】図8は、アモルファス形態1のFT−ラマン吸収スペクトルのプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物Iを含む組成物であって、化合物Iの少なくとも一部分が:
顕著な特徴が以下のような主要回折線である、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン:
【表1】


1212、1365、1447、1613及び1697cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
1065、1103、1235、1288、1337、1365、1624、1689、2883、2983及び3026cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
約173℃から約195℃の吸熱範囲を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられる多形形態Aで存在する、組成物。
【請求項2】
化合物Iを含む組成物であって、化合物Iの少なくとも一部分が:
顕著な特徴が以下のような主要回折線である、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン:
【表2】


830、876、910、950、987、1004、1026、1063、1094、1135、1173、1212、1231、1284、1316、1334、1365、1384、1447、1458、1474、1532、1592、1613、1697、2082、2230、2540、2596、2743、2860、2958、2979及び3085cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
825、881、910、918、987、1003、1027、1039、1065、1084、1103、1135、1157、1167、1172、1184、1206、1235、1288、1337、1365、1385、1417、1446、1461、1474、1557、1577、1597、1624、1652、1689、2230、2860、2883、2957、2970、2983、3026、3053及び3070cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
約173℃から約195℃の吸熱範囲を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられる多形形態Aで存在する、組成物。
【請求項3】
化合物I
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
顕著な特徴が以下のような主要回折線である、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン:
【表3】


1212、1365、1447、1613及び1697cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
1065、1103、1235、1288、1337、1365、1624、1689、2883、2983及び3026cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
約173℃から約195℃の吸熱範囲を有する示差走査熱量測定スペクトルを有すること;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられる多形形態Aで存在する)と、
1以上の医薬担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項4】
化合物I
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
顕著な特徴が以下のような線での主要回折線である、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン:
【表4】


830、876、910、950、987、1004、1026、1063、1094、1135、1173、1212、1231、1284、1316、1334、1365、1384、1447、1458、1474、1532、1592、1613、1697、2082、2230、2540、2596、2743、2860、2958、2979及び3085cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
825、881、910、918、987、1003、1027、1039、1065、1084、1103、1135、1157、1167、1172、1184、1206、1235、1288、1337、1365、1385、1417、1446、1461、1474、1557、1577、1597、1624、1652、1689、2230、2860、2883、2957、2970、2983、3026、3053及び3070cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;
約173℃から約195℃の吸熱範囲を有する示差走査熱量測定スペクトルを有すること;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられる多形形態Aで存在する)と、
1以上の医薬担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項5】
組成物が、経口投与に適合された丸剤又はカプセル剤である、請求項3及び4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
組成物が、丸剤、錠剤、カプセル剤、乳剤、懸濁剤、マイクロサスペンション、ウェハース、細粒、チューインガム、散剤、凍結乾燥粉末、顆粒剤、及びトローチ剤からなる群より選択される経口剤形である、請求項3及び4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
組成物が、懸濁剤、マイクロサスペンション、乳剤、注射に先立って懸濁又は乳化するのに適した固体形態、及び移植可能なデバイスからなる群より選択される非経口剤形である、請求項3及び4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
組成物が、局所又は経皮投与に適合された、請求項3及び4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
組成物が、懸濁剤、マイクロサスペンション、乳剤、クリーム、ゲル、軟膏、ローション、チンキ、ペースト、散剤、フォーム、エアロゾル、灌注、スプレー、座剤、包帯、及び皮膚パッチからなる群より選択される局所又は経皮剤形である、請求項3及び4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
組成物が、散剤、エアロゾル、懸濁剤、マイクロサスペンション、及び乳剤からなる群より選択される経肺剤形である、請求項3及び4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
化合物の多形形態が、投与後一定期間にわたって少なくとも部分的に保存される、請求項3及び4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
1%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
5%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
50%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
75%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
90%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
95%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
97%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
99%(重量)を超える化合物Iが、形態Aとして組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
化合物Iを含む医薬組成物
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
顕著な特徴が以下のような線での主要回折線である、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン:
【表5】


1212、1365、1447、1613及び1697cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
1065、1103、1235、1288、1337、1365、1624、1689、2883、2983及び3026cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;及び
約173℃から約195℃の吸熱範囲を有する示差走査熱量測定スペクトルを有すること;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられる多形形態Aで存在する)と、
組成物が投与されるべき疾患状態を示すこと、組成物用の保管情報、投薬情報及び組成物の投与方法に関する指示からなる群より選択される1以上の情報形態を含む使用説明書と
を含む、キット。
【請求項21】
化合物Iを含む医薬組成物
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
顕著な特徴が以下のような線での主要回折線である、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン:
【表6】


830、876、910、950、987、1004、1026、1063、1094、1135、1173、1212、1231、1284、1316、1334、1365、1384、1447、1458、1474、1532、1592、1613、1697、2082、2230、2540、2596、2743、2860、2958、2979及び3085cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
825、881、910、918、987、1003、1027、1039、1065、1084、1103、1135、1157、1167、1172、1184、1206、1235、1288、1337、1365、1385、1417、1446、1461、1474、1557、1577、1597、1624、1652、1689、2230、2860、2883、2957、2970、2983、3026、3053及び3070cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;及び
約173℃から約195℃の吸熱範囲を有する示差走査熱量測定スペクトルを有すること;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられる多形形態Aで存在する)と、
組成物が投与されるべき疾患状態を示すこと、組成物用の保管情報、投薬情報及び組成物の投与方法に関する指示からなる群より選択される1以上の情報形態を含む使用説明書と
を含む、キット。
【請求項22】
キットが、複数回投与形態で組成物を含む、請求項20及び21のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物と、
包装材料と
を含む、製品。
【請求項24】
包装材料が組成物を収容するための容器を含む、請求項23に記載の製品。
【請求項25】
容器が、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示からなる群のうちの1以上のものを示すラベルを含む、請求項24に記載の製品。
【請求項26】
製品が、複数回投与形態で組成物を含む、請求項23に記載の製品。
【請求項27】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、治療方法。
【請求項28】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物を、対象中に存在させることを含む、ジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法。
【請求項29】
疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが有する疾患状態を治療する方法であって、該方法が請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
化合物Iの少なくとも一部分が多形形態Aで存在する化合物Iの製造方法であって、該方法が:
(a)以下の(i)アセトン、(ii)アセトニトリル;(iii)ブタノール、(iv)ジメチルスルホキシド;(v)ジオキサン;(vi)エタノール;(vii)エタノール及びイソプロピルアルコール;(viii)エタノール及び水;(ix)酢酸エチル;(x)ヘプタン;(xi)イソプロパノール;(xii)酢酸イソプロピル;(xiii)メタノール;(xiv)メチルエチルケトン;(xv)メチルイソブチルケトン;(xvi)2,2,2−トリフルオロエタノール;(xvii)テトラヒドロフラン;(xviii)トルエン;(xix)水;並びに(xx)エタノール及びヘプタン;を含む任意の溶媒系からの結晶化、又は
(b)アモルファス形態1に熱、高い相対湿度若しくは有機蒸気で圧力を加えることによる、若しくはアモルファス形態1の水での湿式粉砕による、アモルファス形態1の転換による
を含む、方法。
【請求項31】
化合物Iを含む組成物であって、化合物Iの少なくとも一部分が:
特定のピークが存在しない幅広いハローを示す、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン;
1703、1599、1119、868及び809cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
805、1280及び1703cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
Tg=70℃(開始)、132℃での発熱、及び183℃での吸熱開始を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられるアモルファス形態1で存在する、組成物。
【請求項32】
化合物Iを含む組成物であって、化合物Iの少なくとも一部分が:
特定のピークが存在しない幅広いハローを示す、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン;
3062、2949、2861、2571、2225、2136、1703、1652、1599、1541、1440、1375、1286、1228、1172、1134、1119、1084、1068、1024、948、868、833、及び809cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
805、834、904、1002、1024、1045、1134、1168、1205、1280、1386、1443、1578、1600、1654、1703、2225、2864、2958及び3065cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
Tg=70℃(開始)、132℃での発熱、及び183℃での吸熱開始を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられるアモルファス形態1で存在する、組成物。
【請求項33】
化合物I
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
特定のピークが存在しない幅広いハローを示す、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン;
1703、1599、1119、868及び809cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
805、1280及び1703cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
Tg=70℃(開始)、132℃での発熱、及び183℃での吸熱開始を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられるアモルファス形態1で存在する)と、
1以上の医薬担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項34】
化合物I
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
特定のピークが存在しない幅広いハローを示す、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン;
3062、2949、2861、2571、2225、2136、1703、1652、1599、1541、1440、1375、1286、1228、1172、1134、1119、1084、1068、1024、948、868、833、及び809cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
805、834、904、1002、1024、1045、1134、1168、1205、1280、1386、1443、1578、1600、1654、1703、2225、2864、2958及び3065cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
Tg=70℃(開始)、132℃での発熱、及び183℃での吸熱開始を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられるアモルファス形態1で存在する)と、
1以上の医薬担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項35】
組成物が、経口投与に適合された丸剤又はカプセル剤である、請求項33及び34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
組成物が、丸剤、錠剤、カプセル剤、乳剤、懸濁剤、マイクロサスペンション、ウェハース、細粒、チューインガム、散剤、凍結乾燥粉末、顆粒剤、及びトローチ剤からなる群より選択される経口剤形である、請求項33及び34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
組成物が、懸濁剤、マイクロサスペンション、乳剤、注射に先立って懸濁又は乳化するのに適した固体形態、及び移植可能なデバイスからなる群より選択される非経口剤形である、請求項33及び34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
組成物が、局所又は経皮投与に適合された、請求項33及び34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
組成物が、懸濁剤、マイクロサスペンション、乳剤、クリーム、ゲル、軟膏、ローション、チンキ、ペースト、散剤、フォーム、エアロゾル、灌注、スプレー、座剤、包帯、及び皮膚パッチからなる群より選択される局所又は経皮剤形である、請求項33及び34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
組成物が、散剤、エアロゾル、懸濁剤、マイクロサスペンション、及び乳剤からなる群より選択される経肺剤形である、請求項33及び34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
化合物の多形形態が、投与後一定期間にわたって少なくとも部分的に保存される、請求項33及び34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
1%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
5%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
50%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
75%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
90%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
95%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
97%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
99%(重量)を超える化合物Iが、アモルファス形態1として組成物中に存在する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
化合物Iを含む医薬組成物
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
特定のピークが存在しない幅広いハローを示す、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン;
1703、1599、1119、868及び809cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
805、1280及び1703cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
Tg=70℃(開始)、132℃での発熱、及び183℃での吸熱開始を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられるアモルファス形態1で存在する)と、
組成物が投与されるべき疾患状態を示すこと、組成物用の保管情報、投薬情報及び組成物の投与方法に関する指示からなる群より選択される1以上の情報形態を含む使用説明書と
を含む、キット。
【請求項51】
化合物Iを含む医薬組成物
(ここで、化合物Iの少なくとも一部分が:
特定のピークが存在しない幅広いハローを示す、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折のパターン;
3062、2949、2861、2571、2225、2136、1703、1652、1599、1541、1440、1375、1286、1228、1172、1134、1119、1084、1068、1024、948、868、833、及び809cm−1に吸収ピークを含むIRスペクトル;
805、834、904、1002、1024、1045、1134、1168、1205、1280、1386、1443、1578、1600、1654、1703、2225、2864、2958及び3065cm−1のピークを含むFT−ラマンスペクトル;並びに
Tg=70℃(開始)、132℃での発熱、及び183℃での吸熱開始を有する示差走査熱量測定スペクトル;
からなる群より選択される1以上の物理的性質によって特徴付けられるアモルファス形態1で存在する)と、
組成物が投与されるべき疾患状態を示すこと、組成物用の保管情報、投薬情報及び組成物の投与方法に関する指示からなる群より選択される1以上の情報形態を含む使用説明書と
を含む、キット。
【請求項52】
キットが、複数回投与形態で組成物を含む、請求項50及び51のいずれか1項に記載のキット。
【請求項53】
請求項31〜49のいずれか1項に記載の組成物と、
包装材料と
を含む、製品。
【請求項54】
包装材料が組成物を収容するための容器を含む、請求項53に記載の製品。
【請求項55】
容器が、組成物が投与されるべき疾患状態、保管情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示からなる群のうちの1以上のものを示すラベルを含む、請求項54に記載の製品。
【請求項56】
製品が、複数回投与形態で組成物を含む、請求項53に記載の製品。
【請求項57】
請求項31〜49のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、治療方法。
【請求項58】
請求項31〜49のいずれか1項に記載の組成物を、対象中に存在させることを含む、ジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法。
【請求項59】
疾患状態の病理学及び/又は徴候学に寄与する活性をジペプチジルペプチダーゼが有する疾患状態を治療する方法であって、当該方法が、請求項31〜49のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項60】
化合物Iの少なくとも一部分がアモルファス形態1で存在する化合物Iの製造方法であって、該方法が:
(a)メタノールからのロトエバポレーション(rotoevaporation);
(b)水からの高速蒸発;
(c)水からの凍結乾燥;
(d)酢酸エチル及びヘキサンからの結晶化;並びに酢酸イソプロピル及びヘキサンからの結晶化、並びに溶媒から化合物Iを単離すること
からなる群より選択される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−514798(P2009−514798A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531290(P2008−531290)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/035701
【国際公開番号】WO2007/035372
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】