3次元計測システム、3次元計測方法およびプログラム
【課題】3次元計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】3次元計測システム1は、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する特定部34と、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する決定部35とを備える。
【解決手段】3次元計測システム1は、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する特定部34と、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する決定部35とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元計測システム(特に画像式の3次元計測システム)およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
加工部品等が要求寸法(設計寸法)通りに出来ているか否かなどを調べるため、3次元計測システムが用いられることがある。3次元計測システムを用いれば、加工品の加工精度等を正確に計測することができる。
【0003】
このような3次元計測システムとしては、たとえば、光切断法等を用いた画像式の計測システムなどが存在する。光切断法は、照射レーザ光の撮影画像に基づいて、三角測量の原理を用いて当該撮影画像内の各点の3次元位置を求める手法である。なお、3次元計測システムとしては、プローブ等を検査対象物に接触させていくことによって検査対象物の形状を計測する接触式のものも存在するが、光切断法等を用いた画像式の3次元計測システムは、接触式のものに比べて、非接触式であることに起因して様々な利点を有している。
【0004】
なお、3次元計測に係る技術としては、特許文献1などが存在する。ただし、特許文献1に記載の3次元計測技術は画像式の計測技術に関するものではない。
【0005】
【特許文献1】特開平8−190575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像式の3次元計測システムの計測者は、カメラ等を有する計測部の位置および姿勢を手動操作によって試行錯誤で決定することを要求される。そのため、当該システムの操作性は必ずしも十分なものではない。
【0007】
そこで、この発明の課題は、3次元計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、3次元計測システムであって、計測用カメラを含む画像式の3次元計測手段と、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する特定手段と、前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る3次元計測システムにおいて、前記計測対象物に関する前記アノテーション情報を、前記CADデータの中から検索して取得する検索手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る3次元計測システムにおいて、ユーザの操作入力によって前記計測対象物に関する前記アノテーション情報の指定を受け付ける指定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記内包球の中心を注視点とするように前記計測用カメラの姿勢を決定することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6の発明に係る3次元計測システムにおいて、前記計測用カメラの姿勢は、前記計測用カメラの視線軸と前記プリミティブとの交点における前記プリミティブの法線が前記視線軸に対して同一方向に配置されるように、決定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項4から請求項7のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記計測用カメラと前記内包球の中心との距離Lが、前記計測用カメラの画角θと前記内包球の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように、前記計測用カメラの位置を決定することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記特定されたプリミティブが平面の場合には、内包球として、前記平面の所定方向における幅を有する基準線分を内包する球、または、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する球を想定し、前記内包球を視野内に収めるように前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記プリミティブが非平面の場合には、当該非平面のうち、その法線と前記計測用カメラの視線軸との間の角度が所定値以内となる部分を1回の撮影動作による計測対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記アノテーション情報は、円柱形状物の上面と底面との相互間の面間距離情報を含み、前記特定手段は、前記円柱形状物の上面と底面とをそれぞれプリミティブとして特定することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記アノテーション情報は、円柱形状物の径情報を含み、前記特定手段は、前記円柱形状物の円柱側面をプリミティブとして特定することを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記アノテーション情報は、平面に設けられた穴の径情報を含み、前記特定手段は、前記平面をプリミティブとして特定することを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明は、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明は、コンピュータに、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程とを実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1から請求項15に記載の発明によれば、計測対象物のうちアノテーション情報に基づいて特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が決定されるので、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0024】
特に、請求項2に記載の発明によれば、アノテーション情報が自動的に検索されるので、計測の自動化を一層促進させることができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、計測対象物を計測用カメラの視野内に収め且つ当該視野内で大きく撮影することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
<1.第1実施形態>
<システム構成概要>
図1は、第1実施形態に係る3次元計測システム1を示す概略図である。図1に示すように、3次元計測システム1は、計測ユニット10と駆動用アーム20とコントローラ30とを備える。
【0028】
計測ユニット10は、非接触式の3次元計測ユニットであり、より具体的には、光切断法を用いた画像式の3次元計測ユニットである。光切断法は、照射レーザ光の撮影画像に基づいて、三角測量の原理を用いて当該撮影画像内の各点の3次元位置のデータを求める手法である。また、計測ユニット10は、計測用カメラ(CCDカメラ)11とレーザ光出射部12と位置算出部13とを有している(図2参照)。計測ユニット10は、レーザ光出射部12からスリット状のレーザ光を計測対象物に対して照射し、その反射光を計測用カメラ11で受光し、当該レーザ光が照射された状態の計測対象物の画像を計測用カメラ11で撮影する。位置算出部13は、三角測量の原理を用いて被写体との距離を画面内の各位置において算出する。これによって、計測対象物の表面の3次元座標値が算出される。また、算出された3次元座標値はコントローラ30に出力される。なお、位置算出部13で算出される3次元座標値はカメラ座標系で表現された値である。
【0029】
駆動用アーム20は、その先端部に計測ユニット10を装着する。駆動用アーム20は、複数の自由度を有するアームであり、先端部に装着された計測ユニット10の位置および姿勢を変更することができる。具体的には、駆動用アーム20は、鉛直方向に駆動可能な1つの直動関節と水平方向に駆動可能な2つの回転関節とを有しており、計測ユニット10の位置を3次元空間内の所定範囲の任意の位置に変更することが可能である。また、駆動用アーム20は、さらにその手先部に3つの回転自由度を有する回転駆動部を有しており、計測ユニット10の姿勢を所定範囲内の任意の姿勢に変更することが可能である。したがって、コントローラ30は、計測ユニット10の撮影位置および撮影姿勢を適宜に設定することができる。なお、駆動用アーム20の位置および姿勢は、コントローラ30からの指令に基づいて制御される。
【0030】
コントローラ30は、コンピュータシステム(以下、単に「コンピュータ」とも称する)として構成される。具体的には、当該コンピュータ(コントローラ)30は、CPU2と、記憶部3と、メディアドライブ4と、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示部5と、キーボード6aおよびマウス6bなどの操作入力部6と、計測ユニット10および駆動用アーム20との間で情報の授受を行う入出力部7とを備えている。記憶部3は、ハードディスクドライブ(HDD)3aと、RAM(半導体メモリ)3bとを有している。また、メディアドライブ4は、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク、メモリカードなどの可搬性の記録媒体9からその中に記録されている情報を読み出すことができる。
【0031】
コントローラ30は、記録媒体9に記録されたソフトウエアプログラム(以下、単に「プログラム」とも称する)PG(不図示)を読み込み、そのプログラムPGをCPU2等を用いて実行することによって、後述するような各種の機能(計測制御機能等)を実現する。なお、各機能を有するプログラムは、記録媒体9を介して供給される場合に限定されず、LANおよびインターネットなどのネットワークを介して、このコンピュータに対して供給されてもよい。
【0032】
図2は、コントローラ30の機能ブロックを示す図である。図2に示すように、コントローラ30は、3次元CAD31と、座標変換部32と、検索部33と、特定部34と、決定部35と、記憶部36と、検査部37と、制御部38とを有している。
【0033】
コントローラ30は、計測ユニット10の位置算出部13によって算出された計測対象物の3次元座標値と、カメラ座標系およびベース座標系相互間の関係とに基づいて、計測対象物のベース座標系における3次元座標位置を算出する。ベース座標系は空間内に固定された基準となる座標系である。複数の位置および姿勢で撮影されて取得された(計測ユニット10による)カメラ座標系による3次元座標値をそれぞれベース座標系に変換することによって、これら3次元座標値を統一的に扱うことが可能になる。この座標変換処理は、コントローラ30内の座標変換部32(図2)で行われる。また、得られた3次元座標値の集合すなわち3次元データは記憶部36に格納される。そして、コントローラ30の検査部37は、取得された計測対象物に関する3次元データと、3次元CAD31のデータとを用いて、計測対象物が設計時の指示通りに加工されているか否かを検査する。
【0034】
また、この実施形態においては、計測時における駆動用アーム20の位置および姿勢は、計測対象物(検査対象物)の情報に基づいて、コントローラ30によって適宜に決定される。具体的には、後に詳述するように、コントローラ30の検索部33は、まず、アノテーション情報(後述)を3次元CAD31のデータ中から検索して取得する。次に、特定部34は、取得されたアノテーション情報に基づいて計測対象物のプリミティブを特定する。そして、決定部35は、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。
【0035】
なお、制御部38は、駆動用アーム20の駆動制御を行うとともに、計測ユニット10に対する制御動作(制御指令の送出等を含む)を行う機能部である。
【0036】
以下では、計測ユニット10の位置および姿勢の決定動作を詳細に説明する。ここでは、円柱形状を有する部品61(図5参照)を計測対象物として3次元データの計測動作を行った上で、当該部品61の良否を検査する場合を想定する。
【0037】
<動作概要>
図3は、計測対象物に関する検査動作を示すフローチャートである。計測対象物としての部品61が適宜の保持部材(不図示)によって3次元計測システム1内の適宜の位置に固定され、操作者の開始指示が上記の操作入力部6等を介して入力されると、ステップSP1以降の処理が開始される。なお、正確な計測動作のためには、ステップSP1に先立ってキャリブレーションを行い、計測対象物の配置状態と3次元CADデータとの対応関係を予め求めておくことが好ましい。ここでは、ステップSP1に先立ってプレ撮影動作を行い、計測対象物の位置および姿勢がCADデータ内の所定の位置および姿勢となるように、3次元CADデータの座標系に合わせて計測対象物の実際の配置状態を調整するものとする。なお、実際の位置合わせを行う必要はなく、計測対象物の実際の配置状態と3次元CADデータとの対応関係を求めておけば十分である。このようなキャリブレーション動作(座標系相互間における対応関係の同定動作)によって、本3次元計測システム1は、計測対象物の配置状態を3次元CADデータに基づいてより正確に把握することが可能になる。
【0038】
この実施形態においては、計測ユニット10の位置および姿勢の決定動作に際して、「アノテーション情報」を利用する。ここで、アノテーション情報(注釈情報)は、3次元CADデータに含まれる情報であり、寸法情報と公差情報とを含む情報として構成される。
【0039】
図4は、アノテーション情報を構成するデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、アノテーション情報は、「アノテーション情報名」、「種類」、「第1要素(プリミティブ)」、「第2要素(プリミティブ)」、「設計値」(mm)、「公差+」(mm)、「公差−」(mm)の各項目のデータを有している。
【0040】
ここでは各項目のデータは、それぞれ、アノテーション情報名=S、種類=面間距離、第1要素=平面Pa、第2要素=Pb、設計値(mm)=100、公差+(mm)=+0.5、公差−(mm)=−0.5、を表す値を有している。すなわち、このアノテーション情報は、平面Paと平面Pbとの間の距離(面間距離)に関する情報であること示すとともに、当該面間距離の設計値は100mmであり、当該設計値に関する公差は+0.5,−0.5であることを示している。この実施形態においては、円柱形状部品61の上面である平面Paと底面(下面)である平面Pbとの間の距離が上記の公差の範囲内に収まっていることを検査する。より詳細には、上面Pa上の各点と底面Pb上の各対応点との距離の全てが、上記の公差の範囲内の値に収まっているか否かを検査する。
【0041】
なお、このようなアノテーション情報は、設計時等に設計情報として3次元CADにおいてデータ入力されていることが多く、そのような場合(すなわち既に設計時等に入力されている場合)には、検査目的のためだけにわざわざ入力する必要はない。
【0042】
さて、ステップSP1(図3)において、コントローラ30の検索部33は、計測対象物に関するアノテーション情報を、3次元CADデータの中から検索して取得する。この後、この取得動作によって取得されたアノテーション情報に関する3次元データの計測動作、およびその計測結果と設計データとの照合による検査動作が行われることになる。すなわち、この取得動作によって、検査内容が決定されることになる。ここでは、図4のアノテーション情報の内容が取得され、平面Paと平面Pbとの面間距離Sを検査することが決定される場合を例示する。
【0043】
次に、ステップSP2において、コントローラ30の特定部34は、アノテーション情報Sに基づいて、計測対象物のプリミティブ(基本形状)を特定する。
【0044】
図4および図5に示すように、このアノテーション情報Sには2つのプリミティブ、具体的には、部品61の平面(上面)Paと平面(底面)Pbとが含まれる。そのため、2つのプリミティブのそれぞれについて順次に以降の動作(ステップSP3〜SP5)が行われる。ここでは、まず平面Paが1つ目のプリミティブとして特定されたものとする。
【0045】
ステップSP3において、コントローラ30は、特定されたプリミティブに相当する部分を視野(画面)内に収めて撮影することが可能となるように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。
【0046】
図6は、計測ユニット10(より詳細には計測用カメラ11)の位置および姿勢の決定動作を説明するための概念図である。ここでは、図1に示すように、部品61は、その平面Pa,Pbがそれぞれ床面に対して平行となるように固定されて保持されているものとする。図6は、このような保持状態を示す側面図である。
【0047】
コントローラ30の決定部35は、プリミティブである平面Pa(より詳細には平面Paにおける基準線分UL1)を内包する内包球CS1を想定し、この内包球CS1を用いて計測用カメラの位置および姿勢を決定する。内包球CS1は、円形状を有する平面Paの中心(すなわち当該円形状の中心)を中心とし、且つ、平面Paの図の横方向における幅(ここでは平面Paの円形状の直径に等しい)を直径とする仮想球である。この内包球CS1は、平面Paの所定方向における幅を有する基準線分UL1を内包する球であるとも表現される。
【0048】
具体的には、まず、内包球CS1の中心CC1を注視点とするように計測用カメラの姿勢を決定する。詳細には、平面Paの中心点(重心)CC1を通る法線BZ1と計測用カメラの視線軸AZ1とが同一軸上に配置され且つ計測用カメラの視線が被写体に向かうような姿勢が、計測時における計測用カメラの姿勢として決定される。言い換えれば、平面Paの計測時における計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ1と平面Paとの交点(ここでは平面Paの中心)CC1における平面Paの法線が、視線軸AZ1に対して同一方向に配置されるように決定される。
【0049】
また、コントローラ30の決定部35は、計測用カメラの位置を次のように決定する。具体的には、平面Paの中心点CC1を通る法線BZ1上の位置であって、計測用カメラと内包球CS1の中心との間の距離Lが、計測用カメラの画角θと内包球の半径rとを用いて表現される次の値、すなわち(r/sin(θ/2))となるような位置に決定する。この値は、r/L=sin(θ/2)の幾何学的関係を満たす値として算出される。ただし、画角θは、計測用カメラの焦点距離等によって決定される値であり、0〜180度の範囲の値である。
【0050】
このような位置および姿勢によれば、計測対象物を的確に計測用カメラの視野内に収めることができる。特に、内包球CS1が計測用カメラの視野内に丁度収まるように、(詳細には、計測用カメラの矩形状の視野領域を規定する4辺のうち対向する2辺に内包球CS1が接するように、)計測用カメラの位置および姿勢が決定されているので、計測対象物に関する画像は、計測対象物のうち平面Paが計測用カメラの視野内において大きく写された状態で取得される。なお、計測対象物における平面Paは、最初に特定されたプリミティブに相当する部分であるとも表現される。
【0051】
その後、ステップSP4において、コントローラ30は、ステップSP3で求めた位置および姿勢を実現するための各駆動変位の目標変位を求め、当該目標変位を実現するための駆動指令を駆動用アーム20に対して送出する。そして、目標変位が実現されると、計測ユニット10による3次元位置計測が行われる。すなわち、計測ユニット10は、レーザ光出射部12からのレーザ光を出射するとともにその反射光を計測用カメラ11で受光して撮影画像を取得する。
【0052】
その後、計測ユニット10は、計測対象物の表面の3次元座標値を光切断法を用いて算出する。これにより、平面Pa上の各格子点における3次元座標値が算出される。
【0053】
そして、算出された3次元座標値はコントローラ30に出力され、コントローラ30の座標変換部32は、カメラ座標系による3次元座標値をベース座標系による3次元座標値へと変換する。変換後のベース座標系による3次元座標値は、コントローラ30内の記憶部36に記憶される。
【0054】
以上のようにして、1つ目のプリミティブである平面Paに関する計測動作が行われる。
【0055】
その後、1つ目のプリミティブに関する計測動作が終了したことが判定(ステップSP6)され、さらに、計測未完了のプリミティブが残存していることが判定(ステップSP7)されると、再び、ステップSP2に戻り、2つ目のプリミティブである平面Pbを処理対象として特定した後、同様に、2つ目のプリミティブである平面Pbに関する計測動作等(ステップSP3〜SP5)が行われる。これによって、2つ目のプリミティブである平面Pbに関する計測動作が行われる。
【0056】
なお、平面Pbに関する計測動作においては、計測用カメラは図6のように部品61の下側に移動する。具体的には、平面Pbの計測時における計測用カメラの位置は、平面Pbの中心点CC2を通る外向き法線BZ2上の位置であって、計測用カメラと内包球CS2の中心との間の距離Lが、計測用カメラの画角θと内包球CS2の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように決定される。また、平面Pbの計測時における計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ2と平面Pbとの交点(ここでは平面Pbの中心)CC2における平面Pbの法線が、視線軸AZ2に対して同一方向に配置されるように決定される。内包球CS2は、円形状を有する平面Pbの中心点CC2を中心とし、且つ、平面Pbの図6の横方向における幅を有する基準線分UL2を内包する仮想球である。
【0057】
このような位置および姿勢によれば、計測対象物を的確に計測用カメラの視野内に収めることができる。また、計測対象物に関する画像は、計測対象物のうち平面Pbが計測用カメラの視野内において大きく写された状態で取得される。なお、計測対象物における平面Pbは、2番目に特定されたプリミティブに相当する部分であるとも表現される。
【0058】
以上の処理によって両方のプリミティブ(すなわち平面Pa,Pb)に関する3次元データが得られたことが判定(ステップSP7)されると、次に検査動作が行われる(ステップSP8)。この検査動作においては、アノテーション情報に含まれるデータ、具体的には、設計値と公差とに関するデータを利用する。
【0059】
図7は、計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。図7においては、上面Pa上の各点と底面Pb上の各点とを図の横方向に展開してそれぞれ一列に並べた様子を示している。また、図7の縦方向はZ軸方向(円柱の高さ方向)に対応する。
【0060】
コントローラ30の検査部37は、上面Pa上の各点のZ座標と、底面Pb上の各点のZ座標とを対応点相互間で比較し、その差Siを求める。そして、全ての差Siが設計値に対して公差の範囲内に収まっていると判定される場合に、当該部品61の面間距離Sが指示通りに仕上げられている旨を判定する。具体的には、各Siが、いずれも、(100.0−0.5)≦Si≦(100.0+0.5)を満たす場合に合格であると判定する。
【0061】
以上のように、上面Paと底面Pbとの面間距離Sに関する検査動作が行われる。
【0062】
このような態様によれば、3次元CADデータに含まれるアノテーション情報Sに基づいて、計測対象物のプリミティブ(平面Pa,Pb)が特定され(ステップSP2)、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が自動的に決定される。したがって、計測対象物の中から計測すべき部分が適切に選択され、当該部分を撮影するための撮影位置および姿勢が自動的に決定される。このように、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0063】
なお、上記実施形態においては、内包球の直径を、円形状を有する平面Paの直径の設計値に設定していたが、これに限定されない。たとえば、内包球の直径を、設計値に対して誤差α(たとえば数パーセント程度の誤差)を含む大きな値(端的に言えば若干大きめの値)に設定するようにしてもよい。すなわち、平面Paの所定方向における幅(すなわち、平面Paの円形状の直径)に調整用の値αを加えた幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて計測用カメラの位置および姿勢を決定するようにしてもよい。
【0064】
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、円柱形成物の面間距離の検査を行う場合について説明したが、この第2実施形態においては、円柱形状物の径(直径)の検査を行う場合について説明する。より詳細には、円柱側面上の各点の3次元座標値を用いることによって、円柱の中心軸に直交する各断面における直径が所定の条件を満たすように、当該円柱形状部品が加工されているか否かを検査する場合を例示する。
【0065】
この第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同様の構成等を有しており、以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
図8は、この第2実施形態での検査対象となる部品62を示す図であり、図9は、部品62について設計段階で入力されたアノテーション情報を示す図である。
【0067】
図9に示すように、このアノテーション情報には、アノテーション情報名=Rc、種類=円柱直径、第1要素=円柱側面Sc、第2要素=なし、設計値(mm)=30、公差+(mm)=0、公差−(mm)=−0.2、を表す値を有している。すなわち、このアノテーション情報は、円柱側面Scを有する円柱の直径に関する情報であること示すとともに、当該円柱直径の設計値は30mmであり、当該設計値に関する公差は+0,−0.2であることを示している。
【0068】
この第2実施形態における動作も図3のフローチャートで示される動作と同様である。以下、図3を参照しながら説明する。
【0069】
まず、ステップSP1(図3)において、コントローラ30の検索部33は、計測対象物に関するアノテーション情報を、3次元CADデータの中から検索して取得する。ここでは、図9のアノテーション情報Rcの内容が取得され、円柱側面Scを有する円柱の直径Rcを検査することが決定される。
【0070】
次に、ステップSP2において、コントローラ30の特定部34は、アノテーション情報Sに基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する。図9に示すように、アノテーション情報Rcには1つのプリミティブ、具体的には、円柱側面Scが含まれ、この円柱側面Scがプリミティブとして特定される。
【0071】
ステップSP3において、コントローラ30は、特定されたプリミティブに相当する部分を、画面内に収めて撮影することが可能となるように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。
【0072】
図10は、測定用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明するための概念図である。ここでは、図1に示すように、計測対象物である円柱は、その上面および底面がそれぞれ床面に対して平行となるように固定されて保持されているものとする。図10は、このような保持状態を示す上面図である。
【0073】
コントローラ30の決定部35は、円柱側面を側方から撮影することによって、円柱側面の計測動作を行うことを決定し、計測動作時の計測用カメラの位置および姿勢を決定する。具体的には、プリミティブである円柱側面Sc(より詳細には円柱側面Scに関する基準線分UL4等)を内包する内包球CS5を想定し、この内包球CS5を視野内に収めるように計測用カメラの位置および姿勢を決定する。ここで、内包球CS5は、点CC5を中心とし、次述する直径を有する球である。なお、図11に示すように、点CC5は、円柱側面Scを有する円柱の中心軸BZ3と当該円柱を高さ方向に二等分する平面Prとの交点である。
【0074】
また、この実施形態においては、円柱側面Scの幅Rcをそのまま内包球CS5の直径として決定するのではなく、円柱側面Scの幅Rcに調整用の値αを加えた値(Rc+α)を基準線分UL4の長さであるとして定め、この基準線分UL4の長さを内包球CS5の直径として決定する。調整用の値αは、撮影画面上において、円柱側面領域に対する余白領域を設けるための値であり、たとえば、ゼロ以上、且つ、直径Rcの数パーセントの値以下の適宜の値に設定される。すなわち、内包球CS5は、円柱側面Scの所定方向における幅(ここでは当該円柱側面Scを側方からみたときの円柱の横方向における幅、すなわち円柱上面の円の直径Rcに等しい)に調整用の値αを加えた幅を有する基準線分UL4を内包する球である。この内包球CS5は、基準線分UL4を直径とする仮想球であるとも表現される。
【0075】
また、円柱側面の計測動作は円柱側面を側方から撮影する動作を伴うため、反対側の円柱側面部分を撮影すること即ち計測することができない。そこで、この実施形態においては、複数(ここでは4つ)の位置(M1〜M4)からの計測動作を繰り返すことによって、全周にわたる円柱表面上の各点の3次元座標値を求める。言い換えれば、円柱上面側からみた内包球の中心角を90度ずつの複数(4つ)の範囲に区分し、各区分領域に対応する部分ごとに、計測用カメラの位置および姿勢を決定し、複数回(4回)の撮影動作を行う。
【0076】
まず、第1の計測位置姿勢M1を求める。具体的には、計測用カメラの姿勢は、内包球CS5の中心CC5を注視点とするように決定される。より詳細には、計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ11と円柱側面Scとの交点CP11における円柱側面Scの法線BZ11が視線軸AZ11に対して同一方向に配置されるように決定される。また、計測用カメラの位置は、計測用カメラと内包球CS5の中心との間の距離Lが計測用カメラの画角θと内包球CS5の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように決定される。第1の計測位置姿勢M1における位置は、このような関係を満たすいずれかの位置、より詳細には平面Prと内包球との交線である円上のいずれかの位置に決定される。
【0077】
そして、第1の計測位置姿勢M1による計測動作等が行われる。具体的には、まず駆動用アーム20が駆動されて第1の計測位置姿勢M1が実現され、計測ユニット10による3次元位置計測が行われる(ステップSP4)。また、計測ユニット10は、計測対象物の表面の3次元座標値を光切断法を用いて算出し、コントローラ30は、計測ユニット10から送出されてきたカメラ座標系による3次元座標値をベース座標系による3次元座標値へと変換して記憶する(ステップSP5)。
【0078】
図10に示すように、第1の計測位置姿勢M1による撮影によって、画角θの撮影領域に含まれる円柱側面(中心角度(π−θ)に対応する弧面領域)が撮影されることになるが、円柱側面の周辺部においては当該周辺部の面法線DRと計測用カメラの視線軸AZ11との間の角度が大きくなり、データの精度が低下する。そのため、画面全体のうち周辺部を除いた一部領域を計測可能範囲として設定することが好ましい。
【0079】
そこで、この実施形態においては、円柱側面(非平面)のうち、その法線BZ10と計測用カメラの視線AZ11との間の角度が所定値(ここでは45度)以内となる部分を1回の撮影動作による計測対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。なお、本願では、2直線相互間の角度を0度〜90度で表現するものとする。また、この決定動作は、中心角度(π−θ)よりも小さな所定の角度に対応する弧面領域Sa(図11参照)を計測可能範囲として設定するものであるとも表現される。たとえばθ=60度と仮定すると、120度(=180度−60度)よりも小さな中心角度90度に対応する弧面領域Sa(図11参照)が計測可能範囲として設定されることになる。
【0080】
この結果、図11に示すように、円柱側面Scの全周のうち1/4に相当する弧面領域(斜線領域)Saの3次元位置データが取得される。
【0081】
その後、このプリミティブに関する計測動作が未だ終了していないことが判定(ステップSP6)されると、再びステップSP3に戻る。
【0082】
ステップSP3では、次の計測位置姿勢、すなわち、第2の計測位置姿勢M2が求められる。この第2の計測位置姿勢M2における「位置」は、計測用カメラが平面Pr上において中心点CC5を中心にして時計回りに所定角度(ここでは90度)回転した位置となり、第2の計測位置姿勢M2における「姿勢」は、計測用カメラの新たな視線軸AZ12が同様に内包球の中心CC5へと向かうように決定される。換言すれば、新たな計測位置姿勢M2は、中心点CC5との関係については第1の計測位置姿勢M1と同様の関係を維持しつつ、第1の計測位置姿勢M1から中心点CC5回りに90度回転した状態となる。なお、計測用カメラと内包球CS5の中心点CC5との間の距離Lは同じ値に維持される。
【0083】
そして、ステップSP4,SP5において、第2の計測位置姿勢M2による計測動作等が行われる。その後、未だこのプリミティブに関する計測動作が終了していないことが判定(ステップSP6)されると、再びステップSP3に戻る。
【0084】
さらに、ステップSP3では、次の計測位置姿勢、すなわち、第3の計測位置姿勢M3が求められる。第3の計測位置姿勢M3は、中心点CC5との関係については第1の計測位置姿勢M1と同様の関係を維持しつつ、第1の計測位置姿勢M1から中心点CC5回りに180度回転した状態となる。
【0085】
そして、ステップSP4,SP5において、第3の計測位置姿勢M3による計測動作等が行われ、未だこのプリミティブに関する計測動作が終了していないことが判定(ステップSP6)されると、再びステップSP3に戻る。
【0086】
さらに、ステップSP3では、最後の計測位置姿勢、すなわち、第4の計測位置姿勢M4が求められる。第4の計測位置姿勢M4は、中心点CC5との関係については第1の計測位置姿勢M1と同様の関係を維持しつつ、第1の計測位置姿勢M1から中心点CC5回りに270度回転した状態となる。
【0087】
そして、ステップSP4,SP5において、第4の計測位置姿勢M4による計測動作等が行われ、このプリミティブに関する計測動作が終了したことが判定(ステップSP6)されると、ステップSP7に進む。さらに、ステップSP7において、このプリミティブ(すなわち円柱側面Sc)に関する計測動作が終了したことが判定されると、ステップSP8に進み、検査動作が行われる。
【0088】
この検査動作においては、アノテーション情報に含まれるデータ、具体的には、設計値と公差とに関するデータが利用される。
【0089】
図12は、計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。図12においては、円柱の中心軸BZ3に直交する一断面における円柱側面上の点が配置されている。なお、他の断面についても同様の3次元データが得られている。
【0090】
図12においては、半径((Rc+d1)/2)の円Raと、半径((Rc−d2)/2)の円Rbとを想定している。ここで、値d1は+側の公差の値(絶対値)であり、値d2は−側の公差の値(絶対値)である。また、両円Ra,Rbの中心は、いずれも、各断面とZ軸BZ3との交点である。また、実線D2は、得られた円柱側面の3次元データを表している。なお、図12においては、円柱側面の半径方向における位置の相違が実際よりも誇張されて表現されている。
【0091】
そして、コントローラ30の検査部37は、或る断面において、取得された円柱側面に関する3次元座標値が両円Ra,Rbの間に存在する場合には当該断面について合格であると判定する。そして、同様の動作を繰り返し、全ての断面において合格であると判定されれば、円柱直径の検査結果を合格として判定する。
【0092】
以上のような態様によれば、3次元CADデータに含まれるアノテーション情報Rcに基づいて、計測対象物のプリミティブ(円柱側面Sc)が特定され(ステップSP2)、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が自動的に決定される(ステップSP3)。したがって、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0093】
<3.第3実施形態>
この第3実施形態においては、穴の直径の検査を行う場合について説明する。より詳細には、穴が設けられた平面上の各点の3次元座標値を用いることによって、当該穴の直径が所定の条件を満たすように当該穴が加工されているか否かを検査する場合を例示する。
【0094】
この第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同様の構成等を有しており、以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
図13は、この第3実施形態での検査対象となる部品63を示す図であり、図14は、部品63について設計段階で入力されたアノテーション情報を示す図である。
【0096】
図14に示すように、このアノテーション情報には、アノテーション情報名=Rh、種類=穴の直径、第1要素=平面Ph、第2要素=なし、設計値(mm)=20、公差+(mm)=+0.2、公差−(mm)=0、を表す値を有している。すなわち、このアノテーション情報は、平面Phに設けられた穴の直径に関する情報であること示すとともに、当該穴の直径の設計値は20mmであり、当該設計値に関する公差は+0.2,−0であることを示している。
【0097】
この第3実施形態における動作も図3のフローチャートと同様である。以下、図3を参照しながら説明する。
【0098】
まず、ステップSP1(図3)において、コントローラ30の検索部33は、計測対象物に関するアノテーション情報を、3次元CADデータの中から検索して取得する。ここでは、図14のアノテーション情報Rhの内容が取得され、平面Phに設けられた穴の直径Rhを検査することが決定される。
【0099】
次に、ステップSP2において、コントローラ30の特定部34は、アノテーション情報Rhに基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する。図14に示すように、アノテーション情報Rhには1つのプリミティブ、具体的には、穴を有する平面Phが含まれ、この平面Phがプリミティブとして特定される。
【0100】
ステップSP3において、コントローラ30は、特定されたプリミティブに相当する部分を画面内に収めて撮影することが可能となるように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。以下では、平面Ph上における穴の直径を、この平面Phを上方から撮影することなどによって計測する場合を例示する。
【0101】
図15および図16は、計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明するための概念図である。ここでは、図15に示すように、計測対象物である部品63は、その上面および底面がそれぞれ床面に対して平行となるように固定されて保持されているものとする。図16は、このような保持状態を示す側面面である。
【0102】
コントローラ30の決定部35は、プリミティブである平面Ph(より詳細には平面Phにおける基準線分UL7)を内包する内包球CS7を想定し、この内包球CS7を視野内に収めるように計測用カメラの位置および姿勢を決定する。ここで、内包球CS7は、平面Phの中心(ここでは当該平面Phの重心)CC7を中心とし、平面Phの所定方向における幅(ここでは正方形状を有する平面Phの1辺の長さに等しい)を直径とする仮想球である。この内包球CS7は、平面Phの所定方向における幅を有する基準線分UL7を内包する球であるとも表現される。なお、点CC7は、穴の中心軸BZ7と平面Phとの交点でもある。
【0103】
計測用カメラの計測位置および姿勢は次のようにして求められる。具体的には、計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ20が内包球の中心CC7へと向かうように決定される。また、計測用カメラの位置は、計測用カメラと内包球CS7の中心との間の距離Lが計測用カメラの画角θと内包球CS7の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように決定される。
【0104】
そして、この位置および姿勢による計測動作等が行われる。具体的には、まず駆動用アーム20が駆動されて図16に示すような位置および姿勢が実現され、計測ユニット10による3次元位置計測が行われる(ステップSP4)。また、計測ユニット10は、計測対象物の表面の3次元座標値を光切断法を用いて算出し、コントローラ30は、計測ユニット10から送出されてきたカメラ座標系による3次元座標値をベース座標系による3次元座標値へと変換して記憶する(ステップSP5)。
【0105】
そして、全プリミティブ(すなわち平面Ph)に関する計測動作が終了したことが判定(ステップSP6,SP7)されると、ステップSP8に進み、検査動作が行われる。
【0106】
この検査動作においては、アノテーション情報に含まれるデータ、具体的には、設計値と公差とに関するデータが利用される。
【0107】
穴の直径に関する検査は、上述した円柱直径と同様の手法を用いて行うことができる。ただし、円柱直径においては複数の断面を想定したが、ここでは1つの平面Ph上における穴の直径についてのみ検査を行うものとする。
【0108】
以上のような態様によれば、3次元CADデータに含まれるアノテーション情報Rhに基づいて、計測対象物のプリミティブ(穴を有する平面Ph)が特定され(ステップSP2)、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が自動的に決定される(ステップSP3)。したがって、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0109】
<4.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0110】
たとえば、上記実施形態においては、3次元CADデータに単一のアノテーション情報のみが含まれる場合について説明しているが、これに限定されず、複数のアノテーション情報が含まれる場合にも適用可能である。2つ目以降のアノテーション情報に対しても、ステップSP1〜SP8の動作等を繰り返して行えばよい。
【0111】
また、上記実施形態においては、単一の部品で構成される計測対象物を計測する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、複数の部品で構成される計測対象物を計測する場合にも本発明を適用することができる。特に、大きな計測対象物における小さな一部分を計測する場合においても、アノテーション情報からプリミティブを特定することなどによって、適切に当該小さな一部分を計測するための撮影位置および姿勢を的確に決定することが可能になる。
【0112】
さらに、上記実施形態においては、コントローラ30が3次元CADのデータの中から、計測対象のアノテーション情報を自動的に検索して決定する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、ユーザの操作入力によって計測対象物に関するアノテーション情報の指定を受け付けるようにしてもよい。具体的には、コントローラ30の表示部5に所定の入力画面を表示し、当該入力画面に表示された複数のアノテーション情報の中から、所望のアノテーション情報を計測対象として指定するようにすればよい。
【0113】
また、上記実施形態においては、各種寸法情報に対する合格判定手法を例示したが、合格判定の手法は上述のものに限定されず、様々な手法を用いることができる。たとえば、第1実施形態においては、全ての差Siが設計値に対して公差の範囲内に収まっていることを検査における合格条件として設定する場合を例示しているが、これに限定されず、上面Paの各点のZ座標値の平均値と底面Pbの各点のZ座標値の平均値との差が、設計値に対して公差の範囲内に収まっていることを合格条件として設定するようにしてもよい。あるいは、第2および第3実施形態において、中心点を挟んで対向する点同士の距離Diを仮想的な直径とみなし、当該距離Diが、全ての対応点の組合せについて、設計値に対する公差の範囲内であることを合格条件として設定するようにしてもよい。
【0114】
さらに、上記実施形態においては、主に等方性を有するプリミティブについて内包球を求める場合を例示したが、異方性を有するプリミティブについても同様の処理を施すことができる。具体的には、プリミティブ(の撮影対象面)の縦横比R1(=縦方向の長さ/横方向の長さ)と、撮影カメラの画面の縦横比R2(=縦方向の長さ/横方向の長さ)とを比較し、縦方向および横方向のうちいずれの方向に伸びる基準線分を基準にするかを決定する。詳細には、R1<R2のときには横方向の基準線分を基準にすることを決定し、R1>R2のときには縦方向の基準線分を基準にすることを決定する。そして、決定された方向におけるプリミティブの幅を有する基準線分を内包する内包球を想定すればよい。
【0115】
また、上記実施形態においては、カメラ座標系で表現された計測対象物の3次元座標値を計測ユニット10内で予め算出し、その後コントローラ30に転送してベース座標系による3次元座標値に変換する場合について例示したが、これに限定されない。たとえば、カメラ座標系で表現された計測対象物の3次元座標値をもコントローラ30で算出するようにしてもよい。
【0116】
さらに、上記実施形態においては、6自由度を有する駆動用アーム20を例示しているが、これに限定されず、駆動用アームの自由度は、必要に応じて7以上の値であってもよく5以下の値であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】3次元計測システムを示す概略図である。
【図2】コントローラの機能ブロックを示す図である。
【図3】計測対象物に関する検査動作を示すフローチャートである。
【図4】アノテーション情報を構成するデータ構造の一例を示す図である。
【図5】円柱形状の部品を示す斜視図である。
【図6】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である。
【図7】計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。
【図8】第2実施形態での検査対象となる部品を示す図である。
【図9】第2実施形態での検査対象部品のアノテーション情報を示す図である。
【図10】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である
【図11】或る計測位置姿勢における計測可能範囲を示す図である。
【図12】計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。
【図13】第3実施形態での検査対象となる部品を示す図である。
【図14】第3実施形態での検査対象部品のアノテーション情報を示す図である。
【図15】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である。
【図16】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0118】
1 3元計測システム
10 計測ユニット
20 駆動用アーム
30 コントローラ
31 3次元CAD
61,62,63 円柱形状部品(計測対象物)
AZ1,AZ2,AZ11,AZ12,AZ20 視線軸
BZ1,BZ2 法線
CS1,CS2,CS5,CS7 内包球
Pa,Pb,Ph,Sc プリミティブ
Rc,RH,S アノテーション情報
θ 画角
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元計測システム(特に画像式の3次元計測システム)およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
加工部品等が要求寸法(設計寸法)通りに出来ているか否かなどを調べるため、3次元計測システムが用いられることがある。3次元計測システムを用いれば、加工品の加工精度等を正確に計測することができる。
【0003】
このような3次元計測システムとしては、たとえば、光切断法等を用いた画像式の計測システムなどが存在する。光切断法は、照射レーザ光の撮影画像に基づいて、三角測量の原理を用いて当該撮影画像内の各点の3次元位置を求める手法である。なお、3次元計測システムとしては、プローブ等を検査対象物に接触させていくことによって検査対象物の形状を計測する接触式のものも存在するが、光切断法等を用いた画像式の3次元計測システムは、接触式のものに比べて、非接触式であることに起因して様々な利点を有している。
【0004】
なお、3次元計測に係る技術としては、特許文献1などが存在する。ただし、特許文献1に記載の3次元計測技術は画像式の計測技術に関するものではない。
【0005】
【特許文献1】特開平8−190575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像式の3次元計測システムの計測者は、カメラ等を有する計測部の位置および姿勢を手動操作によって試行錯誤で決定することを要求される。そのため、当該システムの操作性は必ずしも十分なものではない。
【0007】
そこで、この発明の課題は、3次元計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、3次元計測システムであって、計測用カメラを含む画像式の3次元計測手段と、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する特定手段と、前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る3次元計測システムにおいて、前記計測対象物に関する前記アノテーション情報を、前記CADデータの中から検索して取得する検索手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る3次元計測システムにおいて、ユーザの操作入力によって前記計測対象物に関する前記アノテーション情報の指定を受け付ける指定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記内包球の中心を注視点とするように前記計測用カメラの姿勢を決定することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6の発明に係る3次元計測システムにおいて、前記計測用カメラの姿勢は、前記計測用カメラの視線軸と前記プリミティブとの交点における前記プリミティブの法線が前記視線軸に対して同一方向に配置されるように、決定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項4から請求項7のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記計測用カメラと前記内包球の中心との距離Lが、前記計測用カメラの画角θと前記内包球の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように、前記計測用カメラの位置を決定することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記特定されたプリミティブが平面の場合には、内包球として、前記平面の所定方向における幅を有する基準線分を内包する球、または、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する球を想定し、前記内包球を視野内に収めるように前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記決定手段は、前記プリミティブが非平面の場合には、当該非平面のうち、その法線と前記計測用カメラの視線軸との間の角度が所定値以内となる部分を1回の撮影動作による計測対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記アノテーション情報は、円柱形状物の上面と底面との相互間の面間距離情報を含み、前記特定手段は、前記円柱形状物の上面と底面とをそれぞれプリミティブとして特定することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記アノテーション情報は、円柱形状物の径情報を含み、前記特定手段は、前記円柱形状物の円柱側面をプリミティブとして特定することを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る3次元計測システムにおいて、前記アノテーション情報は、平面に設けられた穴の径情報を含み、前記特定手段は、前記平面をプリミティブとして特定することを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明は、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明は、コンピュータに、CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程とを実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1から請求項15に記載の発明によれば、計測対象物のうちアノテーション情報に基づいて特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が決定されるので、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0024】
特に、請求項2に記載の発明によれば、アノテーション情報が自動的に検索されるので、計測の自動化を一層促進させることができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、計測対象物を計測用カメラの視野内に収め且つ当該視野内で大きく撮影することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
<1.第1実施形態>
<システム構成概要>
図1は、第1実施形態に係る3次元計測システム1を示す概略図である。図1に示すように、3次元計測システム1は、計測ユニット10と駆動用アーム20とコントローラ30とを備える。
【0028】
計測ユニット10は、非接触式の3次元計測ユニットであり、より具体的には、光切断法を用いた画像式の3次元計測ユニットである。光切断法は、照射レーザ光の撮影画像に基づいて、三角測量の原理を用いて当該撮影画像内の各点の3次元位置のデータを求める手法である。また、計測ユニット10は、計測用カメラ(CCDカメラ)11とレーザ光出射部12と位置算出部13とを有している(図2参照)。計測ユニット10は、レーザ光出射部12からスリット状のレーザ光を計測対象物に対して照射し、その反射光を計測用カメラ11で受光し、当該レーザ光が照射された状態の計測対象物の画像を計測用カメラ11で撮影する。位置算出部13は、三角測量の原理を用いて被写体との距離を画面内の各位置において算出する。これによって、計測対象物の表面の3次元座標値が算出される。また、算出された3次元座標値はコントローラ30に出力される。なお、位置算出部13で算出される3次元座標値はカメラ座標系で表現された値である。
【0029】
駆動用アーム20は、その先端部に計測ユニット10を装着する。駆動用アーム20は、複数の自由度を有するアームであり、先端部に装着された計測ユニット10の位置および姿勢を変更することができる。具体的には、駆動用アーム20は、鉛直方向に駆動可能な1つの直動関節と水平方向に駆動可能な2つの回転関節とを有しており、計測ユニット10の位置を3次元空間内の所定範囲の任意の位置に変更することが可能である。また、駆動用アーム20は、さらにその手先部に3つの回転自由度を有する回転駆動部を有しており、計測ユニット10の姿勢を所定範囲内の任意の姿勢に変更することが可能である。したがって、コントローラ30は、計測ユニット10の撮影位置および撮影姿勢を適宜に設定することができる。なお、駆動用アーム20の位置および姿勢は、コントローラ30からの指令に基づいて制御される。
【0030】
コントローラ30は、コンピュータシステム(以下、単に「コンピュータ」とも称する)として構成される。具体的には、当該コンピュータ(コントローラ)30は、CPU2と、記憶部3と、メディアドライブ4と、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示部5と、キーボード6aおよびマウス6bなどの操作入力部6と、計測ユニット10および駆動用アーム20との間で情報の授受を行う入出力部7とを備えている。記憶部3は、ハードディスクドライブ(HDD)3aと、RAM(半導体メモリ)3bとを有している。また、メディアドライブ4は、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク、メモリカードなどの可搬性の記録媒体9からその中に記録されている情報を読み出すことができる。
【0031】
コントローラ30は、記録媒体9に記録されたソフトウエアプログラム(以下、単に「プログラム」とも称する)PG(不図示)を読み込み、そのプログラムPGをCPU2等を用いて実行することによって、後述するような各種の機能(計測制御機能等)を実現する。なお、各機能を有するプログラムは、記録媒体9を介して供給される場合に限定されず、LANおよびインターネットなどのネットワークを介して、このコンピュータに対して供給されてもよい。
【0032】
図2は、コントローラ30の機能ブロックを示す図である。図2に示すように、コントローラ30は、3次元CAD31と、座標変換部32と、検索部33と、特定部34と、決定部35と、記憶部36と、検査部37と、制御部38とを有している。
【0033】
コントローラ30は、計測ユニット10の位置算出部13によって算出された計測対象物の3次元座標値と、カメラ座標系およびベース座標系相互間の関係とに基づいて、計測対象物のベース座標系における3次元座標位置を算出する。ベース座標系は空間内に固定された基準となる座標系である。複数の位置および姿勢で撮影されて取得された(計測ユニット10による)カメラ座標系による3次元座標値をそれぞれベース座標系に変換することによって、これら3次元座標値を統一的に扱うことが可能になる。この座標変換処理は、コントローラ30内の座標変換部32(図2)で行われる。また、得られた3次元座標値の集合すなわち3次元データは記憶部36に格納される。そして、コントローラ30の検査部37は、取得された計測対象物に関する3次元データと、3次元CAD31のデータとを用いて、計測対象物が設計時の指示通りに加工されているか否かを検査する。
【0034】
また、この実施形態においては、計測時における駆動用アーム20の位置および姿勢は、計測対象物(検査対象物)の情報に基づいて、コントローラ30によって適宜に決定される。具体的には、後に詳述するように、コントローラ30の検索部33は、まず、アノテーション情報(後述)を3次元CAD31のデータ中から検索して取得する。次に、特定部34は、取得されたアノテーション情報に基づいて計測対象物のプリミティブを特定する。そして、決定部35は、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。
【0035】
なお、制御部38は、駆動用アーム20の駆動制御を行うとともに、計測ユニット10に対する制御動作(制御指令の送出等を含む)を行う機能部である。
【0036】
以下では、計測ユニット10の位置および姿勢の決定動作を詳細に説明する。ここでは、円柱形状を有する部品61(図5参照)を計測対象物として3次元データの計測動作を行った上で、当該部品61の良否を検査する場合を想定する。
【0037】
<動作概要>
図3は、計測対象物に関する検査動作を示すフローチャートである。計測対象物としての部品61が適宜の保持部材(不図示)によって3次元計測システム1内の適宜の位置に固定され、操作者の開始指示が上記の操作入力部6等を介して入力されると、ステップSP1以降の処理が開始される。なお、正確な計測動作のためには、ステップSP1に先立ってキャリブレーションを行い、計測対象物の配置状態と3次元CADデータとの対応関係を予め求めておくことが好ましい。ここでは、ステップSP1に先立ってプレ撮影動作を行い、計測対象物の位置および姿勢がCADデータ内の所定の位置および姿勢となるように、3次元CADデータの座標系に合わせて計測対象物の実際の配置状態を調整するものとする。なお、実際の位置合わせを行う必要はなく、計測対象物の実際の配置状態と3次元CADデータとの対応関係を求めておけば十分である。このようなキャリブレーション動作(座標系相互間における対応関係の同定動作)によって、本3次元計測システム1は、計測対象物の配置状態を3次元CADデータに基づいてより正確に把握することが可能になる。
【0038】
この実施形態においては、計測ユニット10の位置および姿勢の決定動作に際して、「アノテーション情報」を利用する。ここで、アノテーション情報(注釈情報)は、3次元CADデータに含まれる情報であり、寸法情報と公差情報とを含む情報として構成される。
【0039】
図4は、アノテーション情報を構成するデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、アノテーション情報は、「アノテーション情報名」、「種類」、「第1要素(プリミティブ)」、「第2要素(プリミティブ)」、「設計値」(mm)、「公差+」(mm)、「公差−」(mm)の各項目のデータを有している。
【0040】
ここでは各項目のデータは、それぞれ、アノテーション情報名=S、種類=面間距離、第1要素=平面Pa、第2要素=Pb、設計値(mm)=100、公差+(mm)=+0.5、公差−(mm)=−0.5、を表す値を有している。すなわち、このアノテーション情報は、平面Paと平面Pbとの間の距離(面間距離)に関する情報であること示すとともに、当該面間距離の設計値は100mmであり、当該設計値に関する公差は+0.5,−0.5であることを示している。この実施形態においては、円柱形状部品61の上面である平面Paと底面(下面)である平面Pbとの間の距離が上記の公差の範囲内に収まっていることを検査する。より詳細には、上面Pa上の各点と底面Pb上の各対応点との距離の全てが、上記の公差の範囲内の値に収まっているか否かを検査する。
【0041】
なお、このようなアノテーション情報は、設計時等に設計情報として3次元CADにおいてデータ入力されていることが多く、そのような場合(すなわち既に設計時等に入力されている場合)には、検査目的のためだけにわざわざ入力する必要はない。
【0042】
さて、ステップSP1(図3)において、コントローラ30の検索部33は、計測対象物に関するアノテーション情報を、3次元CADデータの中から検索して取得する。この後、この取得動作によって取得されたアノテーション情報に関する3次元データの計測動作、およびその計測結果と設計データとの照合による検査動作が行われることになる。すなわち、この取得動作によって、検査内容が決定されることになる。ここでは、図4のアノテーション情報の内容が取得され、平面Paと平面Pbとの面間距離Sを検査することが決定される場合を例示する。
【0043】
次に、ステップSP2において、コントローラ30の特定部34は、アノテーション情報Sに基づいて、計測対象物のプリミティブ(基本形状)を特定する。
【0044】
図4および図5に示すように、このアノテーション情報Sには2つのプリミティブ、具体的には、部品61の平面(上面)Paと平面(底面)Pbとが含まれる。そのため、2つのプリミティブのそれぞれについて順次に以降の動作(ステップSP3〜SP5)が行われる。ここでは、まず平面Paが1つ目のプリミティブとして特定されたものとする。
【0045】
ステップSP3において、コントローラ30は、特定されたプリミティブに相当する部分を視野(画面)内に収めて撮影することが可能となるように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。
【0046】
図6は、計測ユニット10(より詳細には計測用カメラ11)の位置および姿勢の決定動作を説明するための概念図である。ここでは、図1に示すように、部品61は、その平面Pa,Pbがそれぞれ床面に対して平行となるように固定されて保持されているものとする。図6は、このような保持状態を示す側面図である。
【0047】
コントローラ30の決定部35は、プリミティブである平面Pa(より詳細には平面Paにおける基準線分UL1)を内包する内包球CS1を想定し、この内包球CS1を用いて計測用カメラの位置および姿勢を決定する。内包球CS1は、円形状を有する平面Paの中心(すなわち当該円形状の中心)を中心とし、且つ、平面Paの図の横方向における幅(ここでは平面Paの円形状の直径に等しい)を直径とする仮想球である。この内包球CS1は、平面Paの所定方向における幅を有する基準線分UL1を内包する球であるとも表現される。
【0048】
具体的には、まず、内包球CS1の中心CC1を注視点とするように計測用カメラの姿勢を決定する。詳細には、平面Paの中心点(重心)CC1を通る法線BZ1と計測用カメラの視線軸AZ1とが同一軸上に配置され且つ計測用カメラの視線が被写体に向かうような姿勢が、計測時における計測用カメラの姿勢として決定される。言い換えれば、平面Paの計測時における計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ1と平面Paとの交点(ここでは平面Paの中心)CC1における平面Paの法線が、視線軸AZ1に対して同一方向に配置されるように決定される。
【0049】
また、コントローラ30の決定部35は、計測用カメラの位置を次のように決定する。具体的には、平面Paの中心点CC1を通る法線BZ1上の位置であって、計測用カメラと内包球CS1の中心との間の距離Lが、計測用カメラの画角θと内包球の半径rとを用いて表現される次の値、すなわち(r/sin(θ/2))となるような位置に決定する。この値は、r/L=sin(θ/2)の幾何学的関係を満たす値として算出される。ただし、画角θは、計測用カメラの焦点距離等によって決定される値であり、0〜180度の範囲の値である。
【0050】
このような位置および姿勢によれば、計測対象物を的確に計測用カメラの視野内に収めることができる。特に、内包球CS1が計測用カメラの視野内に丁度収まるように、(詳細には、計測用カメラの矩形状の視野領域を規定する4辺のうち対向する2辺に内包球CS1が接するように、)計測用カメラの位置および姿勢が決定されているので、計測対象物に関する画像は、計測対象物のうち平面Paが計測用カメラの視野内において大きく写された状態で取得される。なお、計測対象物における平面Paは、最初に特定されたプリミティブに相当する部分であるとも表現される。
【0051】
その後、ステップSP4において、コントローラ30は、ステップSP3で求めた位置および姿勢を実現するための各駆動変位の目標変位を求め、当該目標変位を実現するための駆動指令を駆動用アーム20に対して送出する。そして、目標変位が実現されると、計測ユニット10による3次元位置計測が行われる。すなわち、計測ユニット10は、レーザ光出射部12からのレーザ光を出射するとともにその反射光を計測用カメラ11で受光して撮影画像を取得する。
【0052】
その後、計測ユニット10は、計測対象物の表面の3次元座標値を光切断法を用いて算出する。これにより、平面Pa上の各格子点における3次元座標値が算出される。
【0053】
そして、算出された3次元座標値はコントローラ30に出力され、コントローラ30の座標変換部32は、カメラ座標系による3次元座標値をベース座標系による3次元座標値へと変換する。変換後のベース座標系による3次元座標値は、コントローラ30内の記憶部36に記憶される。
【0054】
以上のようにして、1つ目のプリミティブである平面Paに関する計測動作が行われる。
【0055】
その後、1つ目のプリミティブに関する計測動作が終了したことが判定(ステップSP6)され、さらに、計測未完了のプリミティブが残存していることが判定(ステップSP7)されると、再び、ステップSP2に戻り、2つ目のプリミティブである平面Pbを処理対象として特定した後、同様に、2つ目のプリミティブである平面Pbに関する計測動作等(ステップSP3〜SP5)が行われる。これによって、2つ目のプリミティブである平面Pbに関する計測動作が行われる。
【0056】
なお、平面Pbに関する計測動作においては、計測用カメラは図6のように部品61の下側に移動する。具体的には、平面Pbの計測時における計測用カメラの位置は、平面Pbの中心点CC2を通る外向き法線BZ2上の位置であって、計測用カメラと内包球CS2の中心との間の距離Lが、計測用カメラの画角θと内包球CS2の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように決定される。また、平面Pbの計測時における計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ2と平面Pbとの交点(ここでは平面Pbの中心)CC2における平面Pbの法線が、視線軸AZ2に対して同一方向に配置されるように決定される。内包球CS2は、円形状を有する平面Pbの中心点CC2を中心とし、且つ、平面Pbの図6の横方向における幅を有する基準線分UL2を内包する仮想球である。
【0057】
このような位置および姿勢によれば、計測対象物を的確に計測用カメラの視野内に収めることができる。また、計測対象物に関する画像は、計測対象物のうち平面Pbが計測用カメラの視野内において大きく写された状態で取得される。なお、計測対象物における平面Pbは、2番目に特定されたプリミティブに相当する部分であるとも表現される。
【0058】
以上の処理によって両方のプリミティブ(すなわち平面Pa,Pb)に関する3次元データが得られたことが判定(ステップSP7)されると、次に検査動作が行われる(ステップSP8)。この検査動作においては、アノテーション情報に含まれるデータ、具体的には、設計値と公差とに関するデータを利用する。
【0059】
図7は、計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。図7においては、上面Pa上の各点と底面Pb上の各点とを図の横方向に展開してそれぞれ一列に並べた様子を示している。また、図7の縦方向はZ軸方向(円柱の高さ方向)に対応する。
【0060】
コントローラ30の検査部37は、上面Pa上の各点のZ座標と、底面Pb上の各点のZ座標とを対応点相互間で比較し、その差Siを求める。そして、全ての差Siが設計値に対して公差の範囲内に収まっていると判定される場合に、当該部品61の面間距離Sが指示通りに仕上げられている旨を判定する。具体的には、各Siが、いずれも、(100.0−0.5)≦Si≦(100.0+0.5)を満たす場合に合格であると判定する。
【0061】
以上のように、上面Paと底面Pbとの面間距離Sに関する検査動作が行われる。
【0062】
このような態様によれば、3次元CADデータに含まれるアノテーション情報Sに基づいて、計測対象物のプリミティブ(平面Pa,Pb)が特定され(ステップSP2)、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が自動的に決定される。したがって、計測対象物の中から計測すべき部分が適切に選択され、当該部分を撮影するための撮影位置および姿勢が自動的に決定される。このように、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0063】
なお、上記実施形態においては、内包球の直径を、円形状を有する平面Paの直径の設計値に設定していたが、これに限定されない。たとえば、内包球の直径を、設計値に対して誤差α(たとえば数パーセント程度の誤差)を含む大きな値(端的に言えば若干大きめの値)に設定するようにしてもよい。すなわち、平面Paの所定方向における幅(すなわち、平面Paの円形状の直径)に調整用の値αを加えた幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて計測用カメラの位置および姿勢を決定するようにしてもよい。
【0064】
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、円柱形成物の面間距離の検査を行う場合について説明したが、この第2実施形態においては、円柱形状物の径(直径)の検査を行う場合について説明する。より詳細には、円柱側面上の各点の3次元座標値を用いることによって、円柱の中心軸に直交する各断面における直径が所定の条件を満たすように、当該円柱形状部品が加工されているか否かを検査する場合を例示する。
【0065】
この第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同様の構成等を有しており、以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
図8は、この第2実施形態での検査対象となる部品62を示す図であり、図9は、部品62について設計段階で入力されたアノテーション情報を示す図である。
【0067】
図9に示すように、このアノテーション情報には、アノテーション情報名=Rc、種類=円柱直径、第1要素=円柱側面Sc、第2要素=なし、設計値(mm)=30、公差+(mm)=0、公差−(mm)=−0.2、を表す値を有している。すなわち、このアノテーション情報は、円柱側面Scを有する円柱の直径に関する情報であること示すとともに、当該円柱直径の設計値は30mmであり、当該設計値に関する公差は+0,−0.2であることを示している。
【0068】
この第2実施形態における動作も図3のフローチャートで示される動作と同様である。以下、図3を参照しながら説明する。
【0069】
まず、ステップSP1(図3)において、コントローラ30の検索部33は、計測対象物に関するアノテーション情報を、3次元CADデータの中から検索して取得する。ここでは、図9のアノテーション情報Rcの内容が取得され、円柱側面Scを有する円柱の直径Rcを検査することが決定される。
【0070】
次に、ステップSP2において、コントローラ30の特定部34は、アノテーション情報Sに基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する。図9に示すように、アノテーション情報Rcには1つのプリミティブ、具体的には、円柱側面Scが含まれ、この円柱側面Scがプリミティブとして特定される。
【0071】
ステップSP3において、コントローラ30は、特定されたプリミティブに相当する部分を、画面内に収めて撮影することが可能となるように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。
【0072】
図10は、測定用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明するための概念図である。ここでは、図1に示すように、計測対象物である円柱は、その上面および底面がそれぞれ床面に対して平行となるように固定されて保持されているものとする。図10は、このような保持状態を示す上面図である。
【0073】
コントローラ30の決定部35は、円柱側面を側方から撮影することによって、円柱側面の計測動作を行うことを決定し、計測動作時の計測用カメラの位置および姿勢を決定する。具体的には、プリミティブである円柱側面Sc(より詳細には円柱側面Scに関する基準線分UL4等)を内包する内包球CS5を想定し、この内包球CS5を視野内に収めるように計測用カメラの位置および姿勢を決定する。ここで、内包球CS5は、点CC5を中心とし、次述する直径を有する球である。なお、図11に示すように、点CC5は、円柱側面Scを有する円柱の中心軸BZ3と当該円柱を高さ方向に二等分する平面Prとの交点である。
【0074】
また、この実施形態においては、円柱側面Scの幅Rcをそのまま内包球CS5の直径として決定するのではなく、円柱側面Scの幅Rcに調整用の値αを加えた値(Rc+α)を基準線分UL4の長さであるとして定め、この基準線分UL4の長さを内包球CS5の直径として決定する。調整用の値αは、撮影画面上において、円柱側面領域に対する余白領域を設けるための値であり、たとえば、ゼロ以上、且つ、直径Rcの数パーセントの値以下の適宜の値に設定される。すなわち、内包球CS5は、円柱側面Scの所定方向における幅(ここでは当該円柱側面Scを側方からみたときの円柱の横方向における幅、すなわち円柱上面の円の直径Rcに等しい)に調整用の値αを加えた幅を有する基準線分UL4を内包する球である。この内包球CS5は、基準線分UL4を直径とする仮想球であるとも表現される。
【0075】
また、円柱側面の計測動作は円柱側面を側方から撮影する動作を伴うため、反対側の円柱側面部分を撮影すること即ち計測することができない。そこで、この実施形態においては、複数(ここでは4つ)の位置(M1〜M4)からの計測動作を繰り返すことによって、全周にわたる円柱表面上の各点の3次元座標値を求める。言い換えれば、円柱上面側からみた内包球の中心角を90度ずつの複数(4つ)の範囲に区分し、各区分領域に対応する部分ごとに、計測用カメラの位置および姿勢を決定し、複数回(4回)の撮影動作を行う。
【0076】
まず、第1の計測位置姿勢M1を求める。具体的には、計測用カメラの姿勢は、内包球CS5の中心CC5を注視点とするように決定される。より詳細には、計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ11と円柱側面Scとの交点CP11における円柱側面Scの法線BZ11が視線軸AZ11に対して同一方向に配置されるように決定される。また、計測用カメラの位置は、計測用カメラと内包球CS5の中心との間の距離Lが計測用カメラの画角θと内包球CS5の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように決定される。第1の計測位置姿勢M1における位置は、このような関係を満たすいずれかの位置、より詳細には平面Prと内包球との交線である円上のいずれかの位置に決定される。
【0077】
そして、第1の計測位置姿勢M1による計測動作等が行われる。具体的には、まず駆動用アーム20が駆動されて第1の計測位置姿勢M1が実現され、計測ユニット10による3次元位置計測が行われる(ステップSP4)。また、計測ユニット10は、計測対象物の表面の3次元座標値を光切断法を用いて算出し、コントローラ30は、計測ユニット10から送出されてきたカメラ座標系による3次元座標値をベース座標系による3次元座標値へと変換して記憶する(ステップSP5)。
【0078】
図10に示すように、第1の計測位置姿勢M1による撮影によって、画角θの撮影領域に含まれる円柱側面(中心角度(π−θ)に対応する弧面領域)が撮影されることになるが、円柱側面の周辺部においては当該周辺部の面法線DRと計測用カメラの視線軸AZ11との間の角度が大きくなり、データの精度が低下する。そのため、画面全体のうち周辺部を除いた一部領域を計測可能範囲として設定することが好ましい。
【0079】
そこで、この実施形態においては、円柱側面(非平面)のうち、その法線BZ10と計測用カメラの視線AZ11との間の角度が所定値(ここでは45度)以内となる部分を1回の撮影動作による計測対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。なお、本願では、2直線相互間の角度を0度〜90度で表現するものとする。また、この決定動作は、中心角度(π−θ)よりも小さな所定の角度に対応する弧面領域Sa(図11参照)を計測可能範囲として設定するものであるとも表現される。たとえばθ=60度と仮定すると、120度(=180度−60度)よりも小さな中心角度90度に対応する弧面領域Sa(図11参照)が計測可能範囲として設定されることになる。
【0080】
この結果、図11に示すように、円柱側面Scの全周のうち1/4に相当する弧面領域(斜線領域)Saの3次元位置データが取得される。
【0081】
その後、このプリミティブに関する計測動作が未だ終了していないことが判定(ステップSP6)されると、再びステップSP3に戻る。
【0082】
ステップSP3では、次の計測位置姿勢、すなわち、第2の計測位置姿勢M2が求められる。この第2の計測位置姿勢M2における「位置」は、計測用カメラが平面Pr上において中心点CC5を中心にして時計回りに所定角度(ここでは90度)回転した位置となり、第2の計測位置姿勢M2における「姿勢」は、計測用カメラの新たな視線軸AZ12が同様に内包球の中心CC5へと向かうように決定される。換言すれば、新たな計測位置姿勢M2は、中心点CC5との関係については第1の計測位置姿勢M1と同様の関係を維持しつつ、第1の計測位置姿勢M1から中心点CC5回りに90度回転した状態となる。なお、計測用カメラと内包球CS5の中心点CC5との間の距離Lは同じ値に維持される。
【0083】
そして、ステップSP4,SP5において、第2の計測位置姿勢M2による計測動作等が行われる。その後、未だこのプリミティブに関する計測動作が終了していないことが判定(ステップSP6)されると、再びステップSP3に戻る。
【0084】
さらに、ステップSP3では、次の計測位置姿勢、すなわち、第3の計測位置姿勢M3が求められる。第3の計測位置姿勢M3は、中心点CC5との関係については第1の計測位置姿勢M1と同様の関係を維持しつつ、第1の計測位置姿勢M1から中心点CC5回りに180度回転した状態となる。
【0085】
そして、ステップSP4,SP5において、第3の計測位置姿勢M3による計測動作等が行われ、未だこのプリミティブに関する計測動作が終了していないことが判定(ステップSP6)されると、再びステップSP3に戻る。
【0086】
さらに、ステップSP3では、最後の計測位置姿勢、すなわち、第4の計測位置姿勢M4が求められる。第4の計測位置姿勢M4は、中心点CC5との関係については第1の計測位置姿勢M1と同様の関係を維持しつつ、第1の計測位置姿勢M1から中心点CC5回りに270度回転した状態となる。
【0087】
そして、ステップSP4,SP5において、第4の計測位置姿勢M4による計測動作等が行われ、このプリミティブに関する計測動作が終了したことが判定(ステップSP6)されると、ステップSP7に進む。さらに、ステップSP7において、このプリミティブ(すなわち円柱側面Sc)に関する計測動作が終了したことが判定されると、ステップSP8に進み、検査動作が行われる。
【0088】
この検査動作においては、アノテーション情報に含まれるデータ、具体的には、設計値と公差とに関するデータが利用される。
【0089】
図12は、計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。図12においては、円柱の中心軸BZ3に直交する一断面における円柱側面上の点が配置されている。なお、他の断面についても同様の3次元データが得られている。
【0090】
図12においては、半径((Rc+d1)/2)の円Raと、半径((Rc−d2)/2)の円Rbとを想定している。ここで、値d1は+側の公差の値(絶対値)であり、値d2は−側の公差の値(絶対値)である。また、両円Ra,Rbの中心は、いずれも、各断面とZ軸BZ3との交点である。また、実線D2は、得られた円柱側面の3次元データを表している。なお、図12においては、円柱側面の半径方向における位置の相違が実際よりも誇張されて表現されている。
【0091】
そして、コントローラ30の検査部37は、或る断面において、取得された円柱側面に関する3次元座標値が両円Ra,Rbの間に存在する場合には当該断面について合格であると判定する。そして、同様の動作を繰り返し、全ての断面において合格であると判定されれば、円柱直径の検査結果を合格として判定する。
【0092】
以上のような態様によれば、3次元CADデータに含まれるアノテーション情報Rcに基づいて、計測対象物のプリミティブ(円柱側面Sc)が特定され(ステップSP2)、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が自動的に決定される(ステップSP3)。したがって、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0093】
<3.第3実施形態>
この第3実施形態においては、穴の直径の検査を行う場合について説明する。より詳細には、穴が設けられた平面上の各点の3次元座標値を用いることによって、当該穴の直径が所定の条件を満たすように当該穴が加工されているか否かを検査する場合を例示する。
【0094】
この第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同様の構成等を有しており、以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
図13は、この第3実施形態での検査対象となる部品63を示す図であり、図14は、部品63について設計段階で入力されたアノテーション情報を示す図である。
【0096】
図14に示すように、このアノテーション情報には、アノテーション情報名=Rh、種類=穴の直径、第1要素=平面Ph、第2要素=なし、設計値(mm)=20、公差+(mm)=+0.2、公差−(mm)=0、を表す値を有している。すなわち、このアノテーション情報は、平面Phに設けられた穴の直径に関する情報であること示すとともに、当該穴の直径の設計値は20mmであり、当該設計値に関する公差は+0.2,−0であることを示している。
【0097】
この第3実施形態における動作も図3のフローチャートと同様である。以下、図3を参照しながら説明する。
【0098】
まず、ステップSP1(図3)において、コントローラ30の検索部33は、計測対象物に関するアノテーション情報を、3次元CADデータの中から検索して取得する。ここでは、図14のアノテーション情報Rhの内容が取得され、平面Phに設けられた穴の直径Rhを検査することが決定される。
【0099】
次に、ステップSP2において、コントローラ30の特定部34は、アノテーション情報Rhに基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する。図14に示すように、アノテーション情報Rhには1つのプリミティブ、具体的には、穴を有する平面Phが含まれ、この平面Phがプリミティブとして特定される。
【0100】
ステップSP3において、コントローラ30は、特定されたプリミティブに相当する部分を画面内に収めて撮影することが可能となるように、計測用カメラの位置および姿勢を決定する。以下では、平面Ph上における穴の直径を、この平面Phを上方から撮影することなどによって計測する場合を例示する。
【0101】
図15および図16は、計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明するための概念図である。ここでは、図15に示すように、計測対象物である部品63は、その上面および底面がそれぞれ床面に対して平行となるように固定されて保持されているものとする。図16は、このような保持状態を示す側面面である。
【0102】
コントローラ30の決定部35は、プリミティブである平面Ph(より詳細には平面Phにおける基準線分UL7)を内包する内包球CS7を想定し、この内包球CS7を視野内に収めるように計測用カメラの位置および姿勢を決定する。ここで、内包球CS7は、平面Phの中心(ここでは当該平面Phの重心)CC7を中心とし、平面Phの所定方向における幅(ここでは正方形状を有する平面Phの1辺の長さに等しい)を直径とする仮想球である。この内包球CS7は、平面Phの所定方向における幅を有する基準線分UL7を内包する球であるとも表現される。なお、点CC7は、穴の中心軸BZ7と平面Phとの交点でもある。
【0103】
計測用カメラの計測位置および姿勢は次のようにして求められる。具体的には、計測用カメラの姿勢は、計測用カメラの視線軸AZ20が内包球の中心CC7へと向かうように決定される。また、計測用カメラの位置は、計測用カメラと内包球CS7の中心との間の距離Lが計測用カメラの画角θと内包球CS7の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように決定される。
【0104】
そして、この位置および姿勢による計測動作等が行われる。具体的には、まず駆動用アーム20が駆動されて図16に示すような位置および姿勢が実現され、計測ユニット10による3次元位置計測が行われる(ステップSP4)。また、計測ユニット10は、計測対象物の表面の3次元座標値を光切断法を用いて算出し、コントローラ30は、計測ユニット10から送出されてきたカメラ座標系による3次元座標値をベース座標系による3次元座標値へと変換して記憶する(ステップSP5)。
【0105】
そして、全プリミティブ(すなわち平面Ph)に関する計測動作が終了したことが判定(ステップSP6,SP7)されると、ステップSP8に進み、検査動作が行われる。
【0106】
この検査動作においては、アノテーション情報に含まれるデータ、具体的には、設計値と公差とに関するデータが利用される。
【0107】
穴の直径に関する検査は、上述した円柱直径と同様の手法を用いて行うことができる。ただし、円柱直径においては複数の断面を想定したが、ここでは1つの平面Ph上における穴の直径についてのみ検査を行うものとする。
【0108】
以上のような態様によれば、3次元CADデータに含まれるアノテーション情報Rhに基づいて、計測対象物のプリミティブ(穴を有する平面Ph)が特定され(ステップSP2)、計測対象物のうち、特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、計測用カメラの位置および姿勢が自動的に決定される(ステップSP3)。したがって、計測時の計測位置および姿勢を容易に決定し、3次元計測における操作性を向上させることができる。
【0109】
<4.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0110】
たとえば、上記実施形態においては、3次元CADデータに単一のアノテーション情報のみが含まれる場合について説明しているが、これに限定されず、複数のアノテーション情報が含まれる場合にも適用可能である。2つ目以降のアノテーション情報に対しても、ステップSP1〜SP8の動作等を繰り返して行えばよい。
【0111】
また、上記実施形態においては、単一の部品で構成される計測対象物を計測する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、複数の部品で構成される計測対象物を計測する場合にも本発明を適用することができる。特に、大きな計測対象物における小さな一部分を計測する場合においても、アノテーション情報からプリミティブを特定することなどによって、適切に当該小さな一部分を計測するための撮影位置および姿勢を的確に決定することが可能になる。
【0112】
さらに、上記実施形態においては、コントローラ30が3次元CADのデータの中から、計測対象のアノテーション情報を自動的に検索して決定する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、ユーザの操作入力によって計測対象物に関するアノテーション情報の指定を受け付けるようにしてもよい。具体的には、コントローラ30の表示部5に所定の入力画面を表示し、当該入力画面に表示された複数のアノテーション情報の中から、所望のアノテーション情報を計測対象として指定するようにすればよい。
【0113】
また、上記実施形態においては、各種寸法情報に対する合格判定手法を例示したが、合格判定の手法は上述のものに限定されず、様々な手法を用いることができる。たとえば、第1実施形態においては、全ての差Siが設計値に対して公差の範囲内に収まっていることを検査における合格条件として設定する場合を例示しているが、これに限定されず、上面Paの各点のZ座標値の平均値と底面Pbの各点のZ座標値の平均値との差が、設計値に対して公差の範囲内に収まっていることを合格条件として設定するようにしてもよい。あるいは、第2および第3実施形態において、中心点を挟んで対向する点同士の距離Diを仮想的な直径とみなし、当該距離Diが、全ての対応点の組合せについて、設計値に対する公差の範囲内であることを合格条件として設定するようにしてもよい。
【0114】
さらに、上記実施形態においては、主に等方性を有するプリミティブについて内包球を求める場合を例示したが、異方性を有するプリミティブについても同様の処理を施すことができる。具体的には、プリミティブ(の撮影対象面)の縦横比R1(=縦方向の長さ/横方向の長さ)と、撮影カメラの画面の縦横比R2(=縦方向の長さ/横方向の長さ)とを比較し、縦方向および横方向のうちいずれの方向に伸びる基準線分を基準にするかを決定する。詳細には、R1<R2のときには横方向の基準線分を基準にすることを決定し、R1>R2のときには縦方向の基準線分を基準にすることを決定する。そして、決定された方向におけるプリミティブの幅を有する基準線分を内包する内包球を想定すればよい。
【0115】
また、上記実施形態においては、カメラ座標系で表現された計測対象物の3次元座標値を計測ユニット10内で予め算出し、その後コントローラ30に転送してベース座標系による3次元座標値に変換する場合について例示したが、これに限定されない。たとえば、カメラ座標系で表現された計測対象物の3次元座標値をもコントローラ30で算出するようにしてもよい。
【0116】
さらに、上記実施形態においては、6自由度を有する駆動用アーム20を例示しているが、これに限定されず、駆動用アームの自由度は、必要に応じて7以上の値であってもよく5以下の値であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】3次元計測システムを示す概略図である。
【図2】コントローラの機能ブロックを示す図である。
【図3】計測対象物に関する検査動作を示すフローチャートである。
【図4】アノテーション情報を構成するデータ構造の一例を示す図である。
【図5】円柱形状の部品を示す斜視図である。
【図6】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である。
【図7】計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。
【図8】第2実施形態での検査対象となる部品を示す図である。
【図9】第2実施形態での検査対象部品のアノテーション情報を示す図である。
【図10】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である
【図11】或る計測位置姿勢における計測可能範囲を示す図である。
【図12】計測動作によって得られた3次元データを表す概念図である。
【図13】第3実施形態での検査対象となる部品を示す図である。
【図14】第3実施形態での検査対象部品のアノテーション情報を示す図である。
【図15】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である。
【図16】計測用カメラの位置および姿勢の決定動作を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0118】
1 3元計測システム
10 計測ユニット
20 駆動用アーム
30 コントローラ
31 3次元CAD
61,62,63 円柱形状部品(計測対象物)
AZ1,AZ2,AZ11,AZ12,AZ20 視線軸
BZ1,BZ2 法線
CS1,CS2,CS5,CS7 内包球
Pa,Pb,Ph,Sc プリミティブ
Rc,RH,S アノテーション情報
θ 画角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測用カメラを含む画像式の3次元計測手段と、
CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する特定手段と、
前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元計測システムにおいて、
前記計測対象物に関する前記アノテーション情報を、前記CADデータの中から検索して取得する検索手段、
をさらに備えることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の3次元計測システムにおいて、
ユーザの操作入力によって前記計測対象物に関する前記アノテーション情報の指定を受け付ける指定手段、
をさらに備えることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記内包球の中心を注視点とするように前記計測用カメラの姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項7】
請求項6に記載の3次元計測システムにおいて、
前記計測用カメラの姿勢は、前記計測用カメラの視線軸と前記プリミティブとの交点における前記プリミティブの法線が前記視線軸に対して同一方向に配置されるように、決定されていることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記計測用カメラと前記内包球の中心との距離Lが、前記計測用カメラの画角θと前記内包球の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように、前記計測用カメラの位置を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記特定されたプリミティブが平面の場合には、内包球として、前記平面の所定方向における幅を有する基準線分を内包する球、または、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する球を想定し、前記内包球を視野内に収めるように前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記プリミティブが非平面の場合には、当該非平面のうち、その法線と前記計測用カメラの視線軸との間の角度が所定値以内となる部分を1回の撮影動作による計測対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記アノテーション情報は、円柱形状物の上面と底面との相互間の面間距離情報を含み、
前記特定手段は、前記円柱形状物の上面と底面とをそれぞれプリミティブとして特定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項12】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記アノテーション情報は、円柱形状物の径情報を含み、
前記特定手段は、前記円柱形状物の円柱側面をプリミティブとして特定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項13】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記アノテーション情報は、平面に設けられた穴の径情報を含み、
前記特定手段は、前記平面をプリミティブとして特定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項14】
CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、
前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程と、
を含むことを特徴とする3次元計測方法。
【請求項15】
コンピュータに、
CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、
前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
計測用カメラを含む画像式の3次元計測手段と、
CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する特定手段と、
前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元計測システムにおいて、
前記計測対象物に関する前記アノテーション情報を、前記CADデータの中から検索して取得する検索手段、
をさらに備えることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の3次元計測システムにおいて、
ユーザの操作入力によって前記計測対象物に関する前記アノテーション情報の指定を受け付ける指定手段、
をさらに備えることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する内包球を用いて前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記内包球の中心を注視点とするように前記計測用カメラの姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項7】
請求項6に記載の3次元計測システムにおいて、
前記計測用カメラの姿勢は、前記計測用カメラの視線軸と前記プリミティブとの交点における前記プリミティブの法線が前記視線軸に対して同一方向に配置されるように、決定されていることを特徴とする3次元計測システム。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記計測用カメラと前記内包球の中心との距離Lが、前記計測用カメラの画角θと前記内包球の半径rとを用いて表現される値(r/sin(θ/2))となるように、前記計測用カメラの位置を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記特定されたプリミティブが平面の場合には、内包球として、前記平面の所定方向における幅を有する基準線分を内包する球、または、前記特定されたプリミティブの所定方向における幅に調整用の値を加えた幅を有する基準線分を内包する球を想定し、前記内包球を視野内に収めるように前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記決定手段は、前記プリミティブが非平面の場合には、当該非平面のうち、その法線と前記計測用カメラの視線軸との間の角度が所定値以内となる部分を1回の撮影動作による計測対象領域とするように、前記計測用カメラの位置および姿勢を決定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記アノテーション情報は、円柱形状物の上面と底面との相互間の面間距離情報を含み、
前記特定手段は、前記円柱形状物の上面と底面とをそれぞれプリミティブとして特定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項12】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記アノテーション情報は、円柱形状物の径情報を含み、
前記特定手段は、前記円柱形状物の円柱側面をプリミティブとして特定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項13】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の3次元計測システムにおいて、
前記アノテーション情報は、平面に設けられた穴の径情報を含み、
前記特定手段は、前記平面をプリミティブとして特定することを特徴とする3次元計測システム。
【請求項14】
CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、
前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程と、
を含むことを特徴とする3次元計測方法。
【請求項15】
コンピュータに、
CADデータに含まれるアノテーション情報に基づいて、計測対象物のプリミティブを特定する工程と、
前記計測対象物のうち、前記特定されたプリミティブに相当する部分を撮影対象領域とするように、画像式3次元計測手段における計測用カメラの位置および姿勢を決定する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−208097(P2006−208097A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18543(P2005−18543)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]