説明

6−アミノイソキノリン化合物

キナーゼの作用に影響を与える、あるいは、キナーゼの作用を阻害又は低下させる6−アミノイソキノリン化合物が提供される。治療的有効量の6−アミノイソキノリン化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供される。また、癌、肥満症及び緑内障等の病状又は病気に影響を与えるために上記化合物及び/又は組成物を使用する様々な方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2007年1月10日に出願された米国特許出願第11/621,887号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、細胞におけるキナーゼの機能に影響を与え、治療薬として又は治療薬との併用で有用である6−アミノイソキノリン化合物に関する。特に、これらの化合物は、緑内障等の眼疾患及び癌等の異常増殖によって特徴付けられる疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
様々なホルモン、神経伝達物質及び生物活性物質は、細胞膜内に位置する特異的受容体を介して生体機能を制御、調節又は調整する。これらの受容体の多くは、受容体が結合するグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を活性化することによって細胞内シグナルの伝達を媒介する。そのような受容体は一般にGタンパク質共役受容体(GPCR)と呼ばれ、特に、α−アドレナリン作動性受容体、β−アドレナリン作動性受容体、オピオイド受容体、カンナビノイド受容体及びプロスタグランジン受容体が挙げられる。これらの受容体の作用は直接的ではないが、細胞内タンパク質の宿主によって媒介される。これらの二次タンパク質、すなわち「下流」タンパク質の重要性は、現在になってから認識され、病状における可能性のある治療介入箇所(intervention point)として研究されている。これらの下流タンパク質の中で最も重要な部類の一つは「キナーゼ」の部類である。
【0003】
各種キナーゼが様々な生理的機能の調節で重要な役割を果たしている。一例として、キナーゼは、狭心症、本態性高血圧、心筋梗塞、上室性および心室性不整脈、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、腎不全、糖尿病等の心臓疾患の兆候、喘息、慢性気管支炎、気管支攣縮、気腫、気道閉塞等の呼吸器系疾患の徴候、鼻炎、季節性アレルギー等の上気道系疾患の徴候、炎症性疾患、外傷による炎症、リウマチ様関節炎を含む複数の病状に関与しているが、それらに限定されない。リウマチ様関節炎のための新規薬剤としてのp38MAPK阻害剤の重要性は、ここ数年にわたって開発されている多くの化合物によって示されている(J. Westra and P. C. Limburg Mini-Reviews in Medicinal Chemistry Volume 6, Number 8, August 2006)。他の病気としては、慢性炎症性腸疾患、緑内障、高ガストリン血症、酸性消化性疾患、びらん性食道炎、胃腸液の分泌過多(gastrointestinal hypersecretion)、肥満細胞症、消化管逆流、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群等の胃腸疾患の徴候、疼痛、肥満症、神経性大食症、鬱病、強迫性障害、内臓奇形(例えば、心奇形)、パーキンソン病やアルツハイマー病等の神経変性病、多発性硬化症、エプスタイン・バーウイルス感染症及び癌が挙げられる(Nature Reviews Drug Discovery 1, 493-502 2002)。他の病状におけるキナーゼの役割は、現在になってから明らかになりつつある。網膜は、光や色を脳が解釈する電気信号に変換するために高度に特殊化された、多数の相互接続した細胞層からなる複雑な組織である。主として光を感じる細胞(光受容体)の損傷又は死は、視力に壊滅的な影響を与える結果となる。遺伝的網膜変性を引き起こす多数の突然変異が同定されているにも関わらず、最初の突然変異から光受容体のアポトーシスに至る細胞及び分子の機序は十分に分かっていないが、wnt経路が関わっていると思われる(AS Hackam The WntSignaling Pathway in Retinal Degeneration IUBMB Life Volume 57, Number 6 / June 2005)。
【0004】
慢性骨髄性白血病の治療におけるチロシンキナーゼ阻害剤STI571(グリベック(Gleevec))の成功(Nature Reviews Drug Discovery 2, 296-313 2003)によって、広範囲な他の癌の治療のための他のキナーゼ阻害剤を開発する大きな取り組みに拍車がかかった(Nature Reviews Cancer 3, 650-665 2003)。細胞内シグナルの開始と不活性化との間のバランスによって、作用薬等の刺激に対する受容体の応答の強度及び持続時間を調節する。脱感作が生じると、受容体が結合するGタンパク質によって媒介又は調節される生理的機能の媒介又は調節が低下又は停止する。例えば、特定の受容体の活性化による疾患又は病気を治療するために作用薬が投与される場合、受容体はGRKの作用に対して脱感作されるため、その後、作用薬の投与によって適切な受容体が治療的に活性化することはない。その時、作用薬の投与によって治療対象の疾患又は病気に十分又は効果的な制御又は影響を与えることはもはや不可能である。
【0005】
多くの病状におけるキナーゼの役割を考慮すると、キナーゼの活性を阻害又は調節するリガンドの緊急かつ継続的な必要性が存在する。理論に束縛されることは望まないが、本発明の化合物によってキナーゼの活性化を調節することによってそれらの有益な効果が得られると思われる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の側面では、式(I)で表わされる化合物が提供される:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Aは−CHNH−、−NH−、−N(−CH)−、−SCH−、−CHS(O)−、−CHS(O)(O)−、−S(O)CH−、−S(O)(O)CH−、−CHCH−、−CH(R10)CH−、−CHCH(R10)、−CH=CH−、
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R10は、水素、無置換のC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はアミノである)であり、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、かつ、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【0011】
第2の側面では、式IIで表わされる化合物が提供される:
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルであり、かつ、
Bは0〜3個の構成原子(member atom)を含む鎖であり、Xは、一緒になって環構造を形成する、独立して選択されるn個の構成原子を表し、nは約0〜約5の整数である)。
【0014】
別の側面では、式IIIで表わされる化合物が提供される:
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、X、X及びXのうちの1つは、CH、O、S、S(O)、S(O)(O)、−NH−、及び−N(−R10)−から独立して選択され、X、X及びXの残りの2つは、CH、O、S、S(O)、S(O)(O)、−NH−、−N(−R10)−及び結合から独立して選択され、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル及びC〜Cカルボキシルであり、かつ、
及びR10は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【0017】
本発明の別の側面では、式IVで表わされる化合物が提供される:
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、Aは、少なくとも1個の構成原子、多くとも4個の構成原子からなる置換又は無置換のリンカーであり、該リンカーは、ハロゲン、シアノ、ニトロ又はC〜Cアルキルで一置換又は二置換されていてもよく、あるいは、該置換原子は該主鎖に逆結合して環を形成していてもよく、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、かつ、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【0020】
さらに別の側面では、細胞、組織又は生存する哺乳類におけるキナーゼの作用に影響を与える方法であって、該細胞、組織、又は哺乳類への請求項1、6、12又は16に係る少なくとも1種の化合物の投与又はそれらとの接触を含む方法、あるいは、細胞、組織又は生存する哺乳類における別の治療薬の有効性を向上させる方法であって、該細胞、組織又は哺乳類への請求項1、6、12又は16に係る少なくとも1種の化合物の治療的有効量の投与又はそれらとの接触を含む方法が提供される。
【0021】
本発明のさらに別の側面では、
a)以下の構造を有する6−アミノイソキノリン誘導体:
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、かつ、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)と、
b)担体と、
を含む医薬組成物が提供される。
【0024】
さらに別の側面では、治療を必要とする被験者への6−アミノイソキノリン誘導体の安全かつ有効な量の投与を含む病気の治療方法であって、該病気が、眼疾患、骨疾患、肥満症、心臓疾患、肝疾患、腎疾患、膵炎、癌、心筋梗塞、胃障害、高血圧、生殖能力制御、鼻詰まり、神経因性膀胱、胃腸の障害及び皮膚疾患からなる群から選択される方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示全体にわたって刊行物及び特許を参照する。本明細書で引用されるすべての米国特許は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用されるすべてのパーセント、比、及び割合は、別段の定めがない限り重量%である。
【0026】
新規の6−アミノイソキノリン化合物及び疾患を治療するためのこれらの化合物の使用方法が提供される。
「アルキル」とは、直鎖基及び分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。「アルキル」は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等の基によって例示することができる。アルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。また、その置換基自体も置換されていてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくはC〜Cアルキル、アリール、アミノ、シアノ、ハロゲン、アルコキシ又はヒドロキシルであるが、それらに限定されない。「C〜Cアルキル」とは、炭素原子数1〜4のアルキル基を指す。
【0027】
「アルケニル」とは、直鎖基及び分岐鎖基を含む不飽和脂肪族炭化水素部分を指す。アルケニル部分は、少なくとも1種のアルケンを含んでいなければならない。「アルケニル」は、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル等の基によって例示することができる。アルケニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。また、その置換基自体も置換されていてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくはアルキル、ハロゲン又はアルコキシである。また、その置換基自体も置換されていてもよい。置換基は、アルケン自体又はアルキニル部分の隣接する構成原子に配置されていてもよい。「C〜Cアルケニル」は炭素原子数2〜4のアルケニルを指す。
【0028】
「アルキニル」とは、直鎖基及び分岐鎖基を含む不飽和脂肪族炭化水素部分を指す。アルキニル部分は少なくとも1種のアルキンを含んでいなければならない。「アルキニル」は、エチニル、プロピニル、n−ブチニル等の基によって例示することができる。アルキニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくはアルキル、アミノ、シアノ、ハロゲン、アルコキシル又はヒドロキシルである。また、その置換基自体も置換されていてもよい。置換基は、アルキン自体ではなく、アルキニル部分の隣接する構成原子に位置する。「C〜Cアルキニル」とは、炭素原子数2〜4のアルキニル基を指す。
【0029】
「アシル」又は「カルボニル」とは、−C(O)R基(式中、Rはアルキル、アルケニル、アルキルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素炭素環、C〜Cアルキルアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールである)を指す。C〜Cアルキルカルボニルは、カルボニル部分が炭素原子数1〜4のアルキル鎖の後に位置する基を指す。
【0030】
「アルコキシ」とは、−O−R基(式中、Rはアシル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アリール、炭素環、複素炭素環、ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールである)を指す。
【0031】
「アミノ」とは、−NR’R’基(式中、各R’は、独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールである)を指す。その2つのR’基自体が結合して環を形成していてもよい。
【0032】
「アリール」とは芳香族炭素環基を指す。「アリール」はフェニルによって例示することができる。アリール基は置換されていても置換されていなくてもよい。また、その置換基自体も置換されていてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくはヘテロアリール、アシル、カルボキシル、カルボニルアミノ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロゲン又はヒドロキシルであるが、それらに限定されない。
【0033】
「カルボキシル」とは、−C(=O)O−C〜Cアルキル基を指す。
「カルボニルアミノ」とは、−C(O)NR’R’基(式中、各R’は、独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールである)を指す。その2つのR’基自体が結合して環を形成していてもよい。
【0034】
「C〜Cアルキルアリール」とは、アルキル基を介して結合されるアリール置換基を有するC〜Cアルキル基を指す。「C〜Cアルキルアリール」はベンジルによって例示することができる。
【0035】
「C〜Cアルキルヘテロアリール」とは、アルキル基を介して結合されるヘテロアリール置換基を有するC〜Cアルキル基を指す。
「炭素環基」又は「シクロアルキル」とは、一価の飽和又は不飽和炭化水素環を意味する。炭素環基は単環式、あるいは、縮合二環式、スピロ二環式又は架橋二環式である。単環式炭素環基は、その環に3〜10個の炭素原子、好ましくは4〜7個の炭素原子、より好ましくは5〜6個の炭素原子を含む。二環式炭素環基は、その環に8〜12個の炭素原子、好ましくは9〜10個の炭素原子を含む。炭素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。また、その置換基自体も置換されていてもよい。好ましい炭素環基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル及びシクロヘプチルが挙げられる。より好ましい炭素環基としてはシクロプロピルおよびシクロブチルが挙げられる。最も好ましい炭素環基はシクロプロピルである。炭素環基は芳香族ではない。
【0036】
「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード部分を指す。好ましくは、ハロゲンはフルオロ、クロロ又はブロモである。
「ヘテロアリール」又は「芳香族複素環」とは、炭素環に1個又は2個以上のヘテロ原子を有する単環式又は二環式の芳香族炭素環基を指す。ヘテロアリールは置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基自体も置換されていてもよい。好ましい置換基は、アリール、C〜Cアルキルアリール、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、カルボニルアミノ又はC〜Cアルキルであるが、それらに限定されない。好ましい芳香族複素環基としては、テトラゾイル、トリアゾリル、チエニル、チアゾリル、プリニル、ピリミジル、ピリジル及びフラニルが挙げられる。より好ましい芳香族複素環基としては、ベンゾチオフラニル、チエニル、フラニル、テトラゾイル、トリアゾリル及びピリジルが挙げられる。
【0037】
「ヘテロ原子」とは、複素環基又は芳香族複素環基の環、あるいは、異種の原子からなる基(heterogeneous group)の鎖における炭素以外の原子を意味する。好ましくは、ヘテロ原子は、窒素、硫黄及び酸素原子からなる群から選択される。2個以上のヘテロ原子を含む基は種類の異なるヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0038】
「複素炭素環基」又は「ヘテロシクロアルキル」又は「複素環式」とは、少なくとも1個のヘテロ原子を含む一価の飽和又は不飽和の炭化水素環を意味する。複素炭素環基は単環式、あるいは、縮合二環式、スピロ二環式又は架橋二環式である。単環式複素炭素環基は、その環に3〜10個の炭素原子、好ましくは4〜7個の炭素原子、より好ましくは5〜6個の炭素原子を含む。二環式複素炭素環基は、その環に8〜12個の炭素原子、好ましくは9〜10個の炭素原子を含む。複素炭素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。また、その置換基自体も置換されていてもよい。好ましい複素炭素環基としては、エポキシ、テトラヒドロフラニル、アザシクロペンチル、アザシクロヘキシル、ピペリジル及びホモピペリジルが挙げられる。より好ましい複素炭素環基としては、ピペリジル及びホモピペリジルが挙げられる。最も好ましい複素炭素環基はピペリジルである。複素炭素環基は芳香族ではない。
【0039】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」とは、−OHからなる化学的構成要素(chemical entity)を意味する。アルコールはヒドロキシ基を含む。ヒドロキシ基は、遊離の状態であっても保護されていてもよい。ヒドロキシルの別名はヒドロキシである。
【0040】
「リンカー」とは、n(nは1〜4の整数である)個の構成原子からなる連結鎖を意味する。
「構成原子」とは、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子を意味する。構成原子は、それらの通常の原子価まで置換されていてもよい。置換が特定されていない場合、原子価に必要とされる置換基は水素である。
【0041】
「環」とは、構成原子の環状集合体(collection)を意味する。環は、炭素環、芳香環、複素環又は芳香族複素環であってもよく、置換されていても置換されていなくてもよく、飽和又は不飽和であってもよい。主鎖との環接合部は、縮合環又はスピロ環であってもよい。環は、単環式又は二環式であってもよい。環は、少なくとも3個の構成原子、多くとも10個の構成原子を含む。単環式の環は3〜7個の構成原子を含んでいてもよく、二環式の環は8〜12個の構成原子を含んでいてもよい。二環式の環自体が縮合環又はスピロ環であってもよい。
【0042】
「チオアルキル」とは、−S−アルキル基を指す。
「スルホニル」とは、−S(O)R’基(式中、R’は、アルコキシ、アルキル、アリール、炭素環、複素炭素環、ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールである)を指す。
【0043】
「スルホニルアミノ」とは、−S(O)NR’R’基(式中、各R’は、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールである)を指す。
【0044】
「薬学的に許容される担体」とは、医薬組成物の調製に有用な担体、すなわち、一般に組成物の他の成分と混合可能であり、被投与者に害がなく、生物学的に又はそれ以外においても望ましくないものではない担体を意味する。「薬学的に許容される担体」には、1種及び2種以上の担体の両方が含まれる。いくつかの態様としては、局所投与、経眼投与、非経口投与、静脈投与、腹腔内投与、筋肉内投与、舌下投与、経鼻投与及び経口投与のための担体が挙げられる。また、「薬学的に許容される担体」としては、注射又は分散のための水性分散液及び滅菌粉末の調製のための剤が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用する「賦形剤」としては、医薬組成物の調製に有用な生理的に適合する添加剤が挙げられる。薬学的に許容される担体及び賦形剤の例は、例えば、Remington Pharmaceutical Science, 16th Edを参照することができる。
【0046】
本明細書で使用する「治療的有効量」とは、キナーゼの作用に影響を与える、キナーゼの作用を低下又は阻害する、あるいは、キナーゼの活性化を阻止するために有効な化合物又は組成物の投与量を指す。また、本明細書で使用するこの用語は、動物、好ましくはヒトにおける所望の生体内作用、例えば、眼圧の低下をもたらすのに有効な量を指す場合もある。
【0047】
本明細書で使用する「投与」とは、所望の効果を達成するために必要な化合物の投与を指す。
本明細書で使用する「眼疾患」としては、緑内障、アレルギー、眼癌、眼の神経変性病及びドライアイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
「キナーゼ作用に関連する疾患又は病気」という用語は、1種又は2種以上のキナーゼの阻害によって、全体又は部分的に治療可能な疾患又は病気を意味するように使用する。
「疾患又は病気を制御すること」という用語は、疾患又は病気に影響を与えるための1種又は2種以上のキナーゼの作用を変化させることを意味するように使用する。
【0049】
6−アミノイソキノリン化合物は、式Iによって表わすことができる:
【0050】
【化7】

【0051】
(式中、Aは、少なくとも2個の構成原子、多くとも4個の構成原子からなる置換リンカー又は無置換リンカーであり、そのリンカーは、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル、アルケニル又はアルキニルで一置換又は二置換されていてもよく、あるいは、その置換原子は主鎖に逆結合して環を形成していてもよく、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルであり、かつ、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル及びC〜Cカルボキシルである)。
【0052】
式(I)の好ましい態様では、Aはシクロプロピル環であり、Rは置換芳香環であり、かつ、R及びRは水素である。式(I)の別の好ましい態様では、Aは−CHNH−である。式(I)の別の好ましい態様では、RおよびRは水素であり、かつ、Rは置換芳香環である。
【0053】
別の態様では、6−アミノイソキノリン化合物を式(II)で表わすことができる:
【0054】
【化8】

【0055】
(式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル及びC〜Cカルボキシルであり、かつ、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルであり、かつ、
Bは0〜3個の構成原子を含む鎖であり、
Xは、一緒になって環構造を形成する、独立して選択されるn個の構成原子を表し、nは約0〜約5の整数である)。
【0056】
式IIのいくつかの好ましい態様では、アミノイソキノリンとしては、R及びRが水素であり、かつ、Bが0個の構成原子を含む化合物が挙げられる。さらなる好ましい態様では、Rはメタ又はパラ置換の芳香環である。いくつかの好ましい態様では、Rは、オルト位置ではハロゲンで、パラ位置ではカルボニル基で置換された芳香環である。
【0057】
別の態様では、6−アミノイソキノリン化合物は、式(III)によって表わすことができる:
【0058】
【化9】

【0059】
(式中、1つのXは、CH、O、S、S(O)、S(O)(O)、−NH−、−N(−R10)−から独立してかつ一意的に選択され、かつ、
残りのX基は、安定な部分を形成するために同一のリストから選択されるか、式から除外され、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル及びC〜Cカルボキシルであり、かつ、
及びR10は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【0060】
式IVで表わされる6−アミノイソキノリン化合物がさらに提供される:
【0061】
【化10】

【0062】
(式中、Aは、少なくとも1個の構成原子、多くとも4個の構成原子からなる置換又は無置換のリンカーであり、そのリンカーは、ハロゲン、シアノ、ニトロ又はC〜Cアルキルで一置換又は二置換されていてもよく、あるいは、その置換原子は主鎖に逆結合して環を形成していてもよく、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルであり、かつ、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル及びC〜Cカルボキシルである)。
【0063】
式IVのいくつかの好ましい態様では、アミノイソキノリンとしては、R及びRが水素であり、かつ、Aがエチル又はエテニルである化合物が挙げられる。さらなる好ましい態様では、Rは、メタ又はパラ置換芳香環である。いくつかの好ましい態様では、Rは、オルト位置ではハロゲンで、パラ位置ではカルボニル基で置換された芳香環である。いくつかの好ましい態様では、Aは−O−CH−又は−NH−CH−である。
【0064】
炭素連結の6−アミノイソキノリン化合物を、以下に示す一般的スキームに従って合成することができる:
【0065】
【化11】

【0066】
スキーム1:選択した芳香族エステル(1)をLiOH等の適当な塩基で鹸化して遊離酸(2)を生成した後、DMF中のEDC及びDMAP等を使用する標準的なカップリング法により6−アミノイソキノリンと結合させ、所望の化合物(3)を生成した。あるいは、エステル(1)を6−アミノイソキノリンのトリメチルアルミニウムアミドと反応させてアミド(3)を直接生成した。
【0067】
スキーム1からのIII及びIV型の中間体(1)は、一般的スキーム(以下に示すスキーム2)に従って合成することができる:
【0068】
【化12】

【0069】
スキーム2:選択したエステルをトリメチルスルホキソニウムイリドと反応させて、スキーム1で使用するための所望のシクロプロピル中間体(1)を得た。
III又はIV型の中間体(1)がメタ又はパラ位置でアミド又はエステルで置換された芳香環である場合、以下に示す一般的スキームに従ってそれらを合成する:
【0070】
【化13】

【0071】
スキーム3:選択したアリルエステルをトリメチルスルホキソニウムイリドでシクロプロパンに変換した。次いで、生成したシクロプロパンの芳香族酸基を標準的な手順によりその酸塩化物に変換した後、適当なアルコール又はアミンと反応させて所望の中間体(1)を得た:
【0072】
【化14】

【0073】
スキーム4:適当なエステルをシモンズ・スミス条件下でシクロプロパンに変換して所望の中間体(1)を得た。
スキーム5により、置換6−アミノイソキノリン(1)を用いて式IIIの化合物を調製する。
【0074】
【化15】

【0075】
スキーム5:DMAPの存在下で、クロロ酢酸をEDCで処理した後、置換6−アミノイソキノリンで処理する。得られたアミドをヨウ化ナトリウム及びアミンで処理して最終生成物のアミン(4)を得る。
【0076】
スキーム6により、式IVで表わされるスルホンアミド基を有する化合物を調製することができる。
【0077】
【化16】

【0078】
スキーム6:6−アミノイソキノリンを水素化ナトリウム、次いで、塩化クロロメタンスルホニルで処理してスルホンアミド(5)を得る。ヨウ化ナトリウムの存在下でクロロスルホンアミド(5)をアミンで処理して所望のアミン(6)を得る。
【0079】
スキーム5と同様の反応により、シクロアルキル部分を有する化合物を調製することができる。この化合物は、アニリンの代わりにシクロアルキルアミンを使用して塩化物を置換して得る(スキーム7)。
【0080】
【化17】

【0081】
スキーム7:ヨウ化ナトリウムの存在下でクロロアミド(7)をアミンで処理して所望の生成物(8)を得る。
図示の合成スキームで使用される略語は以下の意味を有する:BocOは二炭酸ジ−tert−ブチルを意味し、DMAPはジメチルアミノピリジンを意味し、DMSOはジメチルスルホキシドを意味し、HATUは2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートを意味し、LDAはリチウムジイソプロピルアミドを意味し、DMFはジメチルホルムアミドであり、THFはテトラヒドロフランであり、EDCはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩を意味する。
【0082】
上記式の6−アミノイソキノリン化合物及びそれらを含む組成物は、キナーゼ阻害作用を有し、そのため、キナーゼの作用に影響を与えるか、キナーゼの作用を阻害するのに有用であり、かつ、キナーゼによって影響される疾患又は病気の治療及び/又は予防に有用である。6−アミノイソキノリンを、生体外細胞又は生体内細胞のどちらか一方におけるキナーゼの作用に影響を与えるか、キナーゼの作用を阻害するのに使用することができる。特に、一態様では、式(I)、(II)、(III)又は(IV)で表わされる化合物の有効阻害量の、アッセイ培地等の培地への添加又は生体外細胞又は生体内細胞のどちらか一方における細胞との接触を含む、キナーゼ作用の阻害方法が提供される。好ましい態様では、阻害されるキナーゼはロー(rho)キナーゼである。式(I)、(II)、(III)又は(IV)で表わされる化合物を、細胞、組織又はヒト等の動物におけるキナーゼの阻害方法であって、1種又は2種以上のこれらの6−アミノイソキノリンの治療的有効量の細胞への投与又は細胞との接触を含む方法に使用する。6−アミノイソキノリンを、生物又は生体の1個又は複数個の細胞へ投与する場合、1種又は2種以上の6−アミノイソキノリンを、好ましくは薬学的に許容される担体に組み込まれているか担体と一緒に存在するような薬学的に許容される剤形で投与する。別の態様では、式(I)、(II)、(III)又は(IV)で表わされる6−アミノイソキノリンを、細胞におけるキナーゼの作用に影響を与える方法であって、細胞におけるキナーゼの作用に影響を与えるために、1種又は2種以上の6−アミノイソキノリンの有効量を細胞に投与又は細胞と接触させることを含む方法で使用する。6−アミノイソキノリンを、生物又は生体の1個又は複数個の細胞へ投与する場合、1種又は2種以上の6−アミノイソキノリンを、好ましくは薬学的に許容される担体に組み込まれているか担体と一緒に存在するような薬学的に許容される剤形で投与する。
【0083】
6−アミノイソキノリンが有用となり得る疾患又は病気の治療又は予防としては、キナーゼ作用と関連する任意の疾患又は病気あるいはキナーゼによって影響される任意の疾患又は病気が挙げられる。これらの種類の疾患の例としては、網膜退化(retinal degradation)、緑内障及び癌が挙げられる。
【0084】
いくつかの態様では、6−アミノイソキノリンを、これらの特異的受容体によって影響される病気又は疾患の治療又は予防を目的とする第2の治療薬又は場合によっては第3の治療薬と共に投与する。6−アミノイソキノリンと他の治療薬との併用投与によって、治療薬が投与される病気又は疾患の軽減又は予防がなされ、その結果、より長期間にわたって所望の効果を有するように治療薬の効能を高める。また、6−アミノイソキノリン製剤と共に治療薬又は受容体作用薬を投与することによって、その他の治療薬をより低用量で長期間にわたって投与することが可能となる。
【0085】
1種又は2種以上の治療薬を、1種又は2種以上の6−アミノイソキノリン化合物と共に投与してもよい。6−アミノイソキノリンを、生物又は哺乳類(好ましくはヒト)の体内の1個又は複数個の細胞に投与する場合、その治療薬及び/又は6−アミノイソキノリン化合物を、好ましく薬学的に許容される担体を有する薬学的に許容される剤形で投与する。
【0086】
式(I)、(II)、(III)又は(IV)の6−アミノイソキノリンを含む組成物を、各種塩又は溶媒和物の形態で得てもよい。塩としては、生理学的に許容される塩又は原料として利用可能な塩を使用する。
【0087】
組成物は、1種又は2種以上の式(I)、(II)、(III)又は(IV)の異性体(存在する場合)を含んでよい。立体中心が存在する場合、各鏡像異性体を別々に使用してもよく、あるいは、それらを任意の割合で組み合わせてもよい。
【0088】
本発明に従って使用される医薬組成物を、1種又は2種以上の生理学的に許容される担体又は賦形剤を使用する従来の方法で製剤化することができる。従って、化合物、それらの生理学的に許容される塩及び溶媒和物を、例えば、固形投与、局所油性剤形(topical oil-based formulation)での点眼、注射、(経口又は経鼻)吸入、経口、口腔、非経口又は直腸投与のために製剤化することができる。技術及び剤形については、通常「Reminington'sPharmaceutical Sciences」 (Meade Publishing Co., Easton, Pa.)を参照することができる。治療用組成物は、通常、製造及び保存条件下で無菌かつ安定でなければならない。
【0089】
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の標記化合物及び薬学的に許容される担体を含有することができる。本明細書で使用する「安全かつ有効な量」とは、正しい医学的判断の範囲内で、治療対象の病気の好ましい変化(positive modification)を顕著に誘発するのに十分であるが、重大な副作用を回避する程に低量の(適切な便益/リスク比の)化合物量を意味する。化合物の安全かつ有効な量は、治療される特定の病気、治療される患者の年齢及び健康状態、病気の重症度、治療期間、併用療法の性質、使用される具体的な薬学的に許容される担体、及び主治医の知識及び専門技術内での同様の因子によって異なる。
【0090】
本発明の化合物A(成分A)の投与経路及び組成物の形態によって、使用される担体(成分B)の種類が決まる。組成物は、例えば、全身投与(例えば、経口、直腸、経鼻、舌下、口腔又は非経口投与)又は局所投与(例えば、皮膚への局所塗布、眼投与、リポソーム送達系又はイオン導入)に適した様々な形態であってもよい。
【0091】
全身投与のための担体は、通常、a)希釈剤、b)滑沢剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、h)酸化防止剤、j)防腐剤、k)流動促進剤(glidant)、m)溶媒、n)懸濁化剤、o)湿潤剤、p)界面活性剤、それらの組み合わせ及びその他のうちの少なくとも1種を含む。全ての担体は、全身用組成物においては任意である。
【0092】
成分a)は希釈剤である。固形投与形態に適した希釈剤としては、グルコース、ラクトース、デキストロース及びスクロース等の糖類;プロピレングリコール等のジオール類;炭酸カルシウム;炭酸ナトリウム;グリセリン等の糖アルコール類;マンニトール及びソルビトールが挙げられる。全身又は局所用組成物中の成分a)の量は、通常、約50〜約90%である。
【0093】
成分b)は滑沢剤である。固形投与形態に適した滑沢剤は、シリカ、タルク、ステアリン酸並びにそのマグネシウム塩及びカルシウム塩、硫酸カルシウムを含む固形滑沢剤;ポリエチレングリコール並びに落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びカカオ脂等の植物油のような液体滑沢剤によって例示される。全身又は局所用組成物中の成分b)の量は、通常、約5〜約10%である。
【0094】
成分c)は結合剤である。固形投与形態に適した結合剤としては、ポリビニルピロリドン;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;コーンスターチ及び馬鈴薯デンプン等のデンプン類;ゼラチン;トラガント;セルロース並びにナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロース等のその誘導体が挙げられる。全身用組成物中の成分c)の量は、通常、約5〜約50%であり、眼用固形投与形態では99%以下である。
【0095】
成分d)は崩壊剤である。固形投与形態に適した崩壊剤としては、寒天、アルギン酸及びそのナトリウム塩、発泡性混合物、クロスカルメロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム(sodium carboxymethyl starch)、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、粘土類及びイオン交換樹脂類が挙げられる。全身又は局所用組成物中の成分d)の量は、通常、約0.1〜約10%である。
【0096】
固形投与形態のための成分e)は、FD&C染料等の着色剤である。成分e)が使用される場合、全身又は局所用組成物中の成分e)の量は、通常、約0.005〜約0.1%である。
【0097】
固形投与形態のための成分f)は、メントール、ペパーミント及び果物香料等の香料である。成分f)が使用される場合、全身又は局所用組成物中の成分f)の量は、通常、約0.1〜約1.0%である。
【0098】
固形投与形態のための成分g)は、アスパルテーム及びサッカリン等の甘味料である。全身又は局所用組成物中の成分g)の量は、通常、約0.001〜約1%である。
成分h)は、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びビタミンE等の酸化防止剤である。全身又は局所用組成物中の成分h)の量は、通常、約0.1〜約5%である。
【0099】
成分j)は、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウム等の防腐剤である。全身又は局所用組成物中の成分j)の量は、通常、約0.01〜約5%である。
【0100】
固形投与形態のための成分k)は、二酸化ケイ素等の流動促進剤である。全身又は局所用組成物中の成分k)の量は、通常、約1〜約5%である。
成分m)は、水、等張食塩水、オレイン酸エチル、グリセリン、ヒドロキシル化ヒマシ油、アルコール類(例えば、エタノール)及びリン酸緩衝液等の溶媒である。全身又は局所用組成物中の成分m)の量は、通常、約0〜約100%である。
【0101】
成分n)は懸濁化剤である。好適な懸濁化剤としては、AVICEL(登録商標)RC−591(ペンシルベニア州フィラデルフィアのFMC Corporation製)及びアルギン酸ナトリウムが挙げられる。全身又は局所用組成物中の成分n)の量は、通常、約1〜約8%である。
【0102】
成分o)は、レシチン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム及びデラウエア州ウィルミントンのAtlas Powder Company製TWEENS(登録商標)等の界面活性剤である。好適な界面活性剤としては、C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Handbook, 1992, pp.587-592; Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed. 1975, pp. 335-337及びMcCutcheon's Volume 1, Emulsifiers & Detergents, 1994, North American Edition, pp. 236-239に開示されている界面活性剤が挙げられる。全身又は局所用組成物中の成分o)の量は、通常、約0.1%〜約5%である。
【0103】
全身用組成物中の成分A及びBの量は、調製される全身用組成物の種類、成分Aのために選択される具体的な誘導体及び成分Bの構成成分に応じて異なるが、一般に、全身用組成物は、0.01%〜50%の成分A及び50〜99.99%の成分Bを含む。
【0104】
非経口投与のための組成物は、通常、A)0.1〜10%の本発明の化合物と、B)a)希釈剤及びm)溶媒を含む90〜99.9%の担体とを含む。一態様では、成分a)はプロピレングリコールを含み、成分m)はエタノール又はオレイン酸エチルを含む。
【0105】
経口投与のための組成物は、様々な投与形態を有することができる。例えば、固形としては、錠剤、カプセル、顆粒及び原末が挙げられる。これらの経口投与形態は、安全かつ有効な量の、通常少なくとも約5%、特に約25%〜約50%の成分A)を含む。経口投与組成物は、約50〜約95%、特に、約50〜約75%の成分B)をさらに含む。
【0106】
錠剤は、圧縮錠、粉薬錠剤(tablet triturate)、腸溶性錠剤、糖衣錠、フィルムコート錠又は多重圧縮(multiple-compressed)錠であってもよい。錠剤は、通常、成分Aと、a)希釈剤、b)滑沢剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、k)流動促進剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む成分B(担体)とを含む。具体的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロースが挙げられる。具体的な結合剤としては、デンプン、ゼラチン及びスクロースが挙げられる。具体的な崩壊剤としては、アルギン酸及びクロスカルメロースが挙げられる。具体的な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクが挙げられる。具体的な着色剤は、外観のために添加することができるFD&C色素である。咀嚼錠は、好ましくはg)アスパルテーム及びサッカリン等の甘味料又はf)メントール、ペパーミント、果物香料等の香料又はそれらの組み合わせを含む。
【0107】
カプセル(持続放出性及び徐放性製剤を含む)は、通常、ゼラチンを含むカプセル内に、成分Aと、上に開示したa)1種又は2種以上の希釈剤を含む担体とを含む。顆粒は、通常、成分Aを含み、好ましくはk)流動特性を向上させるための二酸化ケイ素等の流動促進剤をさらに含む。
【0108】
経口組成物のための担体中の成分の選択は、本発明の目的にとっては重要ではない味、費用及び貯蔵安定性等の二次的検討事項によって異なる。当業者であれば過度な実験をせずに適当な成分を選択する方法を知っているだろう。
【0109】
また、固形組成物を、成分Aが所望の適用箇所近くの消化管で、あるいは、様々な箇所及び時間で放出されて所望の作用が広がるように、通常はpH又は時間依存性被覆剤を用いる慣用的な方法で被覆することができる。被覆剤は、通常、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)被覆剤(ドイツ、ダルムシュタットのRohm & Haas G.M.B.H.製)、ワックス類及びシェラックからなる群から選択される1種又は2種以上の成分を含む。
【0110】
また、経口投与のための組成物は、液体の形態を有することができる。例えば、好適な液体の形態としては、水溶液、乳濁液、懸濁液、非発泡性顆粒から再調製された溶液、非発泡性顆粒から再調製された懸濁液、発泡性顆粒から再調製された発泡性剤、エリキシル剤、チンキ、シロップ剤等が挙げられる。液体の経口投与組成物は、通常、成分Aと、a)希釈剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、j)防腐剤、m)溶媒、n)懸濁化剤及びo)界面活性剤からなる群から選択される成分を含む成分B、すなわち、担体とを含む。経口用液体組成物は、好ましくはe)着色剤、f)香料及びg)甘味料からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を含む。
【0111】
標記化合物の全身送達を達成するのに有用な他の組成物としては、舌下、口腔 及び経鼻投与形態が挙げられる。そのような組成物は、通常、1種又は2種以上の可溶性充填物質、例えば、a)スクロース、ソルビトール及びマンニトール等の希釈剤と、c)アカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤とを含む。そのような組成物は、b)滑沢剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、h)酸化防止剤及びk)流動促進剤をさらに含んでいてもよい。
【0112】
本発明の一態様では、本発明の化合物は局所的に投与される。眼に局所的に適用可能な局所用組成物は、当該技術分野で知られている任意の形態であってもよく、例としては、固形、ゲル化可能な滴、噴霧剤、軟膏又は眼の結膜の盲管(cul-du-sac)又は別の適当な位置に配置される徐放性又は非徐放性単位剤形(unit)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0113】
皮膚に局所的に適用可能な局所用組成物は、固形、溶液、油、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー、流さない/流すタイプのヘアコンディショナー、ミルク、洗浄剤、保湿剤、噴霧剤、皮膚パッチ剤等を含む任意の形態であってもよい。局所用組成物は、成分A、すなわち上記化合物と、成分B、すなわち担体と、を含有する。局所用組成物の担体は、好ましくは化合物を眼に浸透させる手助けをする。成分Bは、1種又は2種以上の任意成分をさらに含んでいてもよい。
【0114】
全身投与のための化合物の投与量範囲は、1日当たり、体重1kgにつき約0.01〜約1000μg、好ましくは約0.1〜約100μg、最も好ましくは約1〜約50μgである。経皮投与量は、当業者に知られている薬物動態学及び経皮剤形の技術に基づいて、同様の血清又は血漿レベルを達成するように設計する。全身投与のための血漿レベルは、0.01〜100ナノグラム/mL(ng/mL)、より好ましくは0.05〜50ng/mL、最も好ましくは0.1〜10ng/mLの範囲であることが求められている。これらの投与量は、1日の投与量に基づくものであるが、臨床的必要量の計算のために週又は月ごとの累積投与量を使用してもよい。
【0115】
投与量は、所望の効果を得るために、治療される患者、治療される病気、治療される病気の重症度、投与経路等に基づいて変更することができる。
本発明の化合物は眼圧の低下に有用である。従って、これらの化合物は緑内障の治療に有用である。緑内障を治療するための好ましい投与経路は、局所的な投与経路である。
【0116】
局所用組成物中の各成分の正確な量は様々な因子によって異なる。局所用組成物に添加される成分Aの量は、ナノモル(nM)単位で通常表わされる成分AのIC50によって決まる。例えば、薬剤のIC50が1nMである場合、成分Aの量は約0.0001〜約0.1%となる。薬剤のIC50が10nMである場合、成分Aの量は約0.01〜約1%となる。薬剤のIC50が100nMである場合、成分Aの量は約0.1〜約10%となる。薬剤のIC50が1000nMである場合、成分Aの量は1〜100%、好ましくは5%〜50%となる。成分Aの量が上に規定した範囲外である(すなわち、上に規定した範囲より低い)場合、治療の有効性は低下することがある。当業者であればIC50の計算方法を知っているだろう。全体が100%の組成物の残りは成分Bである。
【0117】
成分Aと共に用いられる担体の量は、薬剤の単位投与量当たりの投与組成物の実用的な量を得るのに十分な量である。投与形態を本発明の方法で有用なものとするための技術及び組成は、以下の参考文献:Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10, Banker & Rhodes, eds. (1979); Lieberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (1981)及びAnsel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 2nd Ed., (1976)に記載されている。
【0118】
成分Bは、1種の成分あるいは2種以上の成分の組み合わせを含んでいてもよい。局所用組成物では、成分Bは局所用担体を含む。好適な局所用担体は、リン酸緩衝食塩水、等張水、脱イオン水、単官能アルコール類、対称性(symmetrical)アルコール類、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、プロピレングリコール、PPG−2プロピオン酸ミリスチル、ジメチルイソソルビド、ヒマシ油及びそれらの組み合わせ等からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を含む。特に、皮膚適用のための担体としては、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド及び水が挙げられ、特に、リン酸緩衝食塩水、等張水、脱イオン水、単官能アルコール類及び対称性アルコール類が挙げられる。
【0119】
局所用組成物の担体は、q)皮膚軟化剤、r)噴射剤、s)溶媒、t)湿潤剤、u)増粘剤、v)粉末、w)芳香剤、x)顔料及びy)防腐剤からなる群から選択される1種又は2種以上の成分さらに含んでいてもよい。
【0120】
成分q)は皮膚軟化剤である。皮膚用の局所用組成物中の成分q)の量は、通常、約5〜約95%である。好適な皮膚軟化剤としては、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の皮膚軟化剤としては、ステアリルアルコール及びポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0121】
成分r)は噴射剤である。局所用組成物中の成分r)の量は、通常、約0〜約95%である。好適な噴射剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0122】
成分s)は溶媒である。局所用組成物中の成分s)の量は、通常、約0〜約95%である。好適な溶媒としては、水、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロピルアルコール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の溶媒としては、エチルアルコール及びホモトピック(homotopic)アルコール類が挙げられる。
【0123】
成分t)は湿潤剤である。局所用組成物中の成分t)の量は、通常、0〜95%である。好適な湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチン及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の湿潤剤としてはグリセリンが挙げられる。
【0124】
成分u)は増粘剤である。局所用組成物中の成分u)の量は、通常、約0〜約95%である。
成分v)は粉末である。局所用組成物中の成分v)の量は、通常、0〜95%である。好適な粉末としては、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ゴム類、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、モノステアリン酸エチレングリコール及びそれらの組み合わせが挙げられる。眼用の特定の粉末としては、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン及びポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。ゲル状(gel dosing)眼用剤形のために、ポリアクリル酸ナトリウムを使用してもよい。
【0125】
成分w)は芳香剤である。局所用組成物中の成分w)の量は、通常、約0〜約0.5%、特に約0.001〜約0.1%である。眼用では、芳香剤は通常使用されない。
成分x)は顔料である。皮膚適用のための好適な顔料としては、無機顔料、有機レーキ顔料、真珠光沢顔料及びそれらの混合物が挙げられる。本発明で有用な無機顔料としては、カラーインデックスにおいて参照番号CI77,891としてコード化されているルチル又はアナターゼ型酸化チタン;参照番号CI77,499、77,492及び77,491としてコード化されている黒色、黄色、赤色及び褐色酸化鉄;マンガンバイオレット(CI77,742);群青(CI77,007);酸化クロム(CI77,288);水酸化クロム(CI77,289)及びフェリックブルー(ferric blue)(CI77,510)及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0126】
本発明で有用な有機顔料及びレーキとしては、D&C赤色19号(CI45,170)、D&C赤色9号(CI15,585)、D&C赤色21号(CI45,380)、D&C橙色4号(CI15,510)、D&C橙色5号(CI45,370)、D&C赤色27号(CI45,410)、D&C赤色13号(CI15,630)、D&C赤色7号(CI15,850)、D&C赤色6号(CI15,850)、D&C黄色5号(CI19,140)、D&C赤色36号(CI12,085)、D&C橙色10号(CI45,425)、D&C黄色6号(CI15,985)、D&C赤色30号(CI73,360)、D&C赤色3号(CI45,430)、コチニールカルミン(CI75,570)をベースとする染料又はレーキ及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0127】
本発明で有用な真珠光沢顔料としては、酸化チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆された雲母等の白色真珠光沢顔料;酸化鉄で被覆されたチタン雲母、フェリックブルー及び酸化クロム等で被覆されたチタン雲母、上記種類の有機顔料で被覆されたチタン雲母等の有色真珠光沢顔料並びにオキシ塩化ビスマスをベースとするもの及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。局所用組成物中の顔料の量は、通常、約0〜約10%である。眼用では、顔料は通常使用されない。
【0128】
本発明の特に好ましい態様では、通常、成分Aと、精製水等の成分B(担体)と、y)デキストラン、特にマンニトール及びデキストラン70等の糖類又は糖アルコール類、z)セルロース又はそれらの誘導体、aa)塩、bb)EDTA二ナトリウム(エデト酸二ナトリウム)、及びcc)pH調整用添加剤からなる群から選択される1種又は2種以上の成分とを含む、眼用の局所用医薬組成物を調製する。
【0129】
眼用の局所用医薬組成物での使用に適したz)セルロース誘導体の例としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0130】
眼用の局所用医薬組成物での使用に適したaa)塩の例としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
cc)pH調整用添加剤の例としては、眼用の局所用医薬組成物のpHを5.8〜7.5に調整するのに十分な量のHCl又はNaOHが挙げられる。
成分Aは、成分A(上記全身又は局所用組成物あるいは両方)と、情報又は説明書あるいは両方とを含むキット内に含まれていてもよく、そのキットの使用によって、哺乳類(特にヒト)における美容および病気の治療が提供される。情報及び説明書は、言葉又は絵あるいはその両方等の形態であってもよい。また、キットは、薬剤又は組成物あるいはその両方と、好ましくは哺乳類(例えばヒト)における美容及び病気の治療又は予防に有利な、薬剤又は組成物の適用方法に関する情報又は説明書あるいはその両方とを含んでいてもよい。
【0132】
以下の具体的な実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
6−アミノイソキノリンの製造手順を以下の実施例で説明する。
【0133】
温度はすべて摂氏である。試薬及び出発材料は、市販の物を購入したかあるいは既刊文献の手順に従って調製した。
特に断りのない限り、必要に応じてHPLC精製を行なった。化合物を少量のDMSOに再溶解し、0.45ミクロンの(ナイロン製ディスク)注射器フィルターで濾過して、次いで、その溶液を、例えば、50mm Varian Dynamax HPLC 21.4 mm Microsorb Guard-8 C8カラムを用いて精製した。目的化合物に適したものとして、40〜80%のMeOH:HOからなる典型的な初期溶離混合液を選択した。この初期勾配を0.5分間維持した後、5分間かけて100%MeOH:0%HOに増加させた。100%MeOHをさらに2分間維持した後、初期開始勾配に戻して再平衡化させた。典型的な全操作時間は8分間だった。得られた画分を分析し、必要に応じて一緒にした後、蒸発させて精製材料を得た。
【0134】
プロトン磁気共鳴(1H NMR)スペクトルを、Varian INOVA 400 MHz (1H) NMR分光計、Varian INOVA 500 MHz (1H) NMR分光計、Bruker ARX 300 MHz (1H) NMR分光計、Bruker DPX 400 MHz (1H) NMR分光計又はBruker DRX 500 MHz (1H) NMR分光計のいずれかを用いて測定した。全スペクトルを指定の溶媒中で測定した。化学シフトはテトラメチルシランの低磁場側のppmで表わすが、H−NMRの各溶媒ピークの残りのプロトンピークを基準とする。プロトン間の結合定数はヘルツ(Hz)で表わす。Agilent 1100シリーズVWD UV検出器に結合したPhenomenex Aqua 5 micron C18 125Å 50 x 4.60 mmカラムを用いて分析用HPLCを行った。LiOH及び1%CHCN水溶液を含有する中性の0.1%BES(w/v)pH7.1緩衝液を水相として使用した。初期勾配は55%MeOH水性緩衝液であり、3分間かけて100%MeOHに増加させた。100%MeOHを2分間維持した後、初期開始勾配に戻して再平衡化させた。スペクトルを254nmで分析した。Thermofinnigan AQA MS ESI装置を用いてLCMSスペクトルを得た。試料をPhenomenex Aqua 5 micron C18 125Å 50 x 4.60 mmカラム内に通した。その初期勾配は55%MeOH:1%CHCN水溶液であり、3分間かけて100%MeOHに増加させた。100%MeOHを2分間維持した後、初期開始勾配に戻して再平衡化させた。MSプローブの噴霧設定は350μL/分、コーン電圧は25mV、プローブ温度は450℃であった。
【0135】
以下の調製は、中間体の調製手順及び6−アミノイソキノリンの調製法を説明するものである。
実施例1:2−クロロ−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E1)の調製
【0136】
【化18】

【0137】
クロロ酢酸のDMF溶液にEDC、DMAP及び6−アミノイソキノリンを添加した。この混合物を4時間撹拌した。その反応物をNaHCO(飽和)で洗浄、EtOAcで抽出、NaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO、5%MeOH/CHCl)によって2−クロロ−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E1)を得た。
【0138】
実施例2:N−(イソキノリン−6−イル)−3−フェニルプロパンアミド(E2)の調製
【0139】
【化19】

【0140】
0℃に冷却した6−アミノイソキノリンのDMF溶液にNaHを添加し、その溶液を0℃で30分間撹拌した。次いで、塩化ヒドロシンナモイルを添加し、その混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈、NaHCO(飽和)で抽出、NaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO、10%ヘキサン/EtOAc)によってN−(イソキノリン−6−イル)−3−フェニルプロパンアミド(E2)を得た。
【0141】
基本的に実施例1及び2に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物3〜7を調製した。
【0142】
【化20】

【0143】
同様に、基本的に実施例1及び2に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物8〜38を調製した。
【0144】
【化21】

【0145】
【化22】

【0146】
実施例39:2−(イソキノリン−6−イルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル(E39)の調製
【0147】
【化23】

【0148】
N−Boc−グリシンのDMF溶液に、EDC、HOBT及び6−アミノイソキノリンを添加した。この混合物を8時間撹拌した。その反応物を、NaHCO(飽和)で洗浄、EtOAcで抽出、NaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO、MeOH/CHCl)によって2−(イソキノリン−6−イルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル(E39)を得た。
【0149】
実施例40:2−アミノ−N−イソキノリン−6−イル−アセトアミド塩酸塩(E40)の調製
【0150】
【化24】

【0151】
2−(イソキノリン−6−イルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル(E39)のCHCl溶液にHCl(4M)のジオキサン溶液を添加し、その溶液を室温で一晩中撹拌した。その反応物を濃縮して2−アミノ−N−イソキノリン−6−イル−アセトアミド二塩酸塩(E40)を得た。
【0152】
基本的に実施例39及び40に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物41〜57を調製することができる。
【0153】
【化25】

【0154】
【化26】

【0155】
実施例58:2−(ベンジルアミノ)−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E58)の調製
【0156】
【化27】

【0157】
2−クロロ−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E1)のMeOH溶液にKIを添加し、その溶液を40分間60℃に加熱した。その混合物を45℃に冷却し、ベンジルアミンを添加後、45℃で撹拌した。2〜4時間後、溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcに溶解し、NaHCO(飽和)で抽出した。その有機相をNaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。フラッシクロマトグラフィー(SiO、2%NH(2M)を含むMeOH/3%MeOH/CHCl)によって精製2−(ベンジルアミノ)−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E58)を得た。
【0158】
実施例59:N−(イソキノリン−6−イル)−2−(3−メトキシベンジルアミノ)アセトアミド(E59)の例
【0159】
【化28】

【0160】
m−クロロベンズアルデヒドのMeOH溶液に、(実施例40からの)2−アミノ−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド二塩酸塩を添加し、DIPEAでpHを5に調整した。その混合物を室温で2時間撹拌した後、NaCNBHを添加し、酢酸でpHを約5.0に調整した。その混合物を12時間撹拌し、NaCO(飽和)でクエンチ(quench)、EtOAcで抽出、NaSOで乾燥、濾過して蒸発させて、N−(イソキノリン−6−イル)−2−(3−クロロベンジルアミノ)アセトアミド(E59)を得た。
【0161】
基本的に実施例58及び59に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物60〜63を調製した。
【0162】
【化29】

【0163】
同様に、基本的に実施例58及び59に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物64〜86を調製することができる。
【0164】
【化30】

【0165】
【化31】

【0166】
実施例87:ベンジルイソキノリン−6−イルカルバマート(E87)の調製
【0167】
【化32】

【0168】
−40℃の6−アミノイソキノリンのDMF溶液にNaHを添加し、その溶液を30分間0℃に温めた。次いで、クロロギ酸ベンジルを添加し、その反応物を0℃で2時間撹拌した。その溶液をAcOHでクエンチし、NaHCO(飽和)に入れて、EtOAcで抽出、NaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、90%EtOAc/Hex)によってベンジルイソキノリン−6−イルカルバマート(E87)を得た。
【0169】
実施例88:1−ベンジル−3−(イソキノリン−6−イル)尿素(E88)の調製
【0170】
【化33】

【0171】
6−アミノイソキノリンのDMF溶液に、DMAP及びイソシアン酸ベンジルを添加し、その溶液を室温で4時間撹拌した。その混合物をNaHCO(飽和)に入れ、EtOAcで抽出、NaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、5%MeOH/CHCl)によって1−ベンジル−3−(イソキノリン−6−イル)尿素(E88)を得た。
【0172】
基本的に実施例87及び88に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物89〜98を調製した。
【0173】
【化34】

【0174】
同様に、基本的に実施例87及び88に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物99〜104を調製することができる。
【0175】
【化35】

【0176】
【化36】

【0177】
実施例105:N−(イソキノリン−6−イル)−2−モルホリノアセトアミド(E105)の調製
【0178】
【化37】

【0179】
2−クロロ−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E1)のMeOH溶液にKIを添加し、その溶液を40分間60℃に加熱した。その混合物を45℃に冷却し、モルホリンを添加し、45℃で撹拌した。2〜4時間後、溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcに溶解し、NaHCO(飽和)で抽出した。その有機層をNaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(2%NH(2M)/MeOH/3%MeOH/CHCl)によりN−(イソキノリン−6−イル)−2−モルホリノアセトアミド(E105)を得た。
【0180】
基本的に実施例105に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物106〜116を調製することができる。
【0181】
【化38】

【0182】
【化39】

【0183】
実施例117:4−(2−(イソキノリン−6−イルカルバモイル)シクロプロピル)−N−(4−フェノキシフェニル)ベンズアミド(E117d)の合成
【0184】
【化40】

【0185】
4−ホルミル桂皮酸(58.3mmol)のメタノール(130mL)撹拌懸濁液を、凝縮器の端部に取り付けられたCaCl保護管によって大気から保護した。その反応混合物を[ドライアイス/アセトン]を用いて−50〜−45℃の間に維持しながら、塩化チオニル(3当量)をシリンジ・ポンプ(添加速度:0.25mL/分)を用いて1時間にわたって添加した。添加中にその反応物は濃化するが、撹拌し続けた。添加後、その反応物を撹拌し続け、一晩中室温にした。揮発物を減圧下で除去した(Rotovap)。ジクロロメタンを添加した。その反応物を撹拌し、水を慎重に添加した。その混合物を分液漏斗に移した。水層を除去し、廃棄した。有機相を塩水、飽和NaHCO及び塩水で連続的に洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。その固形物をCHCl/ヘキサンから再結晶化して中間体のメチルエステルを得た。
【0186】
メチルエステル(9.31mmol)を300mLのアセトンに溶解した後、75mLの水で希釈した。この懸濁液に、スルファミン酸(1.45当量)及び亜塩素酸ナトリウム(1.40当量)を添加した。その反応物を室温で3時間撹拌した。その反応混合物をEtOAcで抽出し、一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。その材料をEtOAcから再結晶化して中間体の酸E117bを得た。
【0187】
2.2当量のNaH(油中に60%分散)及び2.5当量のトリメチルスルホキソニウムヨージドを窒素下で乾燥フラスコに秤量した。20mLの無水DMSOを添加し、その反応物を室温で1時間撹拌した。6mLの無水DMSOに溶解したその中間体の酸E117b(6.8mmol)を滴下した。室温で2.5時間後、その反応物を1NのHClに入れ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を最少量のチオ硫酸ナトリウム水溶液、次いで塩水で洗浄した。次いで、一緒にした有機層をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮して中間体のシクロプロパンE117cを得た。この材料E117cはこれ以上精製せずに使用した。
【0188】
中間体のシクロプロパン(0.95mmol)を窒素下で5mLの無水CHClに溶解した。2滴の無水DMFを添加した後、1.1当量の塩化オキサリルを添加した。1.5時間後、この溶液を5mLのCHClに溶解した1.0当量の4−フェノキシアニリン及び1.2当量のEtN溶液に滴下した。その反応物を室温で一晩中放置した後、水に入れた。その水層をCHClで抽出した。一緒にした有機層をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。中間体のアミドをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0189】
中間体のアミド(0.125mmol)を1.2mLの3:1=THF:MeOHに溶解した。0℃のこの溶液に、3当量のLiOH・HOの300μLの水溶液を添加した。その反応物を室温に温めた。1時間後、その反応物を飽和NHClでクエンチした後、1NのHClでpHを3に下げた。沈殿物を濾過で回収するか、水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮して中間体の酸を得た。この材料はこれ以上精製せずに使用した。
【0190】
中間体の酸を窒素下で1mLの無水DMFに溶解した。1.6当量のEDCを添加した後、0.08当量のDMAP及び1.3当量の6−アミノイソキノリンを添加し、その反応物を室温で一晩中放置した。反応物を水に入れ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を水で一回洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。最終化合物E117dをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0191】
実施例118:4−(2−(イソキノリン−6−イルカルバモイル)シクロプロピル)−N−(ピリジン−4−イル)ベンズアミド(E118)の合成
【0192】
【化41】

【0193】
実施例117の手順により、中間体118aを調製した。1.2当量の6−アミノイソキノリンを窒素下で乾燥フラスコ中の0.5mLのトルエンに懸濁した。1.2当量の2.0Mトリメチルアルミニウムのヘプタン溶液を滴下した。すべての懸濁材料が1時間後に溶解した。この溶液を窒素下で0.5mLのトルエンに懸濁した0.1mmolの中間体118aに添加した。その反応物を一晩中80℃に加熱した。飽和ロッシェル塩水溶液をその反応物に添加し、これを30分間激しく撹拌した。水層をEtOAcで抽出し、一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。化合物E118bをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0194】
参考例1:細胞に基づくブタ小柱網(PTM)アッセイ
死後4時間以内のブタの眼の前部を回収した。虹彩及び毛様体を除去し、小柱網細胞を鈍的切開によって回収した。細かく刻んだ小柱網組織を20%のウシ胎仔血清(fetal bovine serum:FBS)を含有する199培地を含むコラーゲン被覆した6ウェルプレートに蒔いて培養した。集密した状態での2回の継代培養後、細胞を10%のFBSを含有する低グルコースDMEMに移した。3回目と8回目の継代培養の間の細胞を使用した。
【0195】
化合物の試験の前の日に、標準的な培養状態下で、細胞をフィブロネクチン被覆したガラス製マルチウェルプレートに蒔いて培養した。1%FBS含有DMEM及び1%DMSOの存在下で化合物を細胞に添加した。最適になるように決定された持続時間にわたって化合物を細胞とインキュベートし、培地と化合物を除去し、メタノールを含まない3%のパラホルムアルデヒド中で細胞を20分間固定した。細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、0.5%Triton X-100で2分間透過処理した。PBSでさらに2回洗浄後、F−アクチンをAlexa-fluor 488で標識したファロイジンで染色し、核をDAPIで染色した。
【0196】
データは、平均の直線状アクチン繊維長に換算し、DMSO処理されたコントロール細胞(100%)及び50μMのY−27632(0%)に規格化した。Y−27632は、これらの細胞中のF−アクチンの解重合をもたらすことが知られているロー(rho)キナーゼ阻害剤である。
【0197】
実施例119:2−クロロ−N−(5−クロロ−イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E119a)及び3−(2−(5−クロロイソキノリン−6−イルアミノ)−2−オキソエチルアミノ)−N−メチルベンズアミド(E119b)の調製
【0198】
【化42】

【0199】
クロロ酢酸のDMF溶液に、EDC、DMAP及び5−クロロ−6−アミノイソキノリンを添加する。この混合物を4時間撹拌する。その反応物をNaHCO(飽和)で洗浄、EtOAcで抽出、NaSOで乾燥、濾過して蒸発させる。カラムクロマトグラフィー(SiO、5%MeOH/CHCl)によって2−クロロ−N−(5−クロロ−イソキノリン−6−イル)アセトアミドを得る。
【0200】
【化43】

【0201】
2−クロロ−N−(5−クロロイソキノリン−6−イル)アセトアミドのMeOH溶液にKIを添加し、その溶液を40分間60℃に加熱する。その混合物を45℃に冷却し、3−アミノ−N−メチルベンズアミドを添加し、45℃で撹拌する。2〜4時間後、あるいは、TLCが反応の終了を示した際に、溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcに溶解し、NaHCO(飽和)で抽出する。その有機層をNaSOで乾燥、濾過して蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、NH(2M)を含むMeOH/3%MeOH/CHCl)によって、純粋な3−(2−(5−クロロイソキノリン−6−イルアミノ)−2−オキソエチルアミノ)−N−メチルベンズアミドを得る。
【0202】
実施例119bで示した一般的な手順により、対応する6−アミノイソキノリンから以下の化合物を合成することができる。
【0203】
【化44】

【0204】
実施例136:3−((N−イソキノリン−6−イルスルファモイル)メチルアミノ)−N−メチルベンズアミド(E136)の調製
【0205】
【化45】

【0206】
0℃の6−アミノイソキノリンのDMF溶液にNaHを添加する。30分後、塩化クロロスルホニルをその反応物に添加する。室温で2〜4時間後、あるいは、TLCが終了を示した際に、水を添加して反応をクエンチし、EtOAcで抽出する。一緒にした有機層を塩水で洗浄、NaSOで乾燥、濾過して蒸発させる。カラムクロマトグラフィー(SiO、5%MeOH/CHCl)によって1−クロロ−N−(イソキノリン−6−イル)メタンスルホンアミドを得る。
【0207】
【化46】

【0208】
1−クロロ−N−(イソキノリン−6−イル)メタンスルホンアミドのMeOH溶液にKIを添加し、その溶液を40分間60℃に加熱する。その混合物を45℃に冷却し、3−アミノ−N−メチルベンズアミドを添加し、45℃で撹拌する。2〜4時間後、あるいは、TLCが反応の終了を示した際に、その溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcに溶解し、NaHCO(飽和)で抽出する。その有機層をNaSOで乾燥、濾過して蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィーによって(SiO、2%NH(2M)を含むMeOH/3%MeOH/CHCl)によって3−((N−イソキノリン−6−イルスルファモイル)メチルアミノ)−N−メチルベンズアミドを得る。
【0209】
実施例137〜141
実施例136で示した基本手順により、対応する6−アミノイソキノリンから以下の化合物を合成することができる。
【0210】
【化47】

【0211】
実施例142:実施例119で示した基本手順により、対応するシクロアルキルアミンから以下の化合物を合成した。
【0212】
【化48】

【0213】
実施例143〜147
実施例119で示した基本手順により、対応するシクロアルキルアミンから以下の化合物を合成することができる。
【0214】
【化49】

【0215】
実施例148:2−(4−(1−(4−クロロベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾル−4−イル)フェノキシ)−N−(イソキノリン−6−イル)−アセトアミド(E148)の調製
【0216】
【化50】

【0217】
4−アセトアミドベンゼンスルホニルアジドのアセトニトリル溶液を炭酸セシウムで処理し、室温で5分間撹拌した。2−オキソプロピルホスホン酸ジメチルを添加し、1時間撹拌した。次いで、2−(4−ホルミルフェノキシ)酢酸メチルのMeOH溶液をその反応物に添加し、さらに2時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をジエチルエーテルに溶解し、水及び塩水で洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥、濾過・濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって対応するアルキンを得た。
【0218】
4−クロロベンジルブロミドのアセトン溶液をNaNで処理し、3時間還流した。その反応物を50%に濃縮し、飽和塩化ナトリウム溶液で希釈した。次いで、その反応物をEtOで抽出、塩水で洗浄、NaSOで乾燥、濃縮して1−(アジドメチル)−4−クロロベンゼンを得た。
【0219】
5mLのマイクロ波反応バイアルに2−(4−エチニルフェノキシ)酢酸メチル、1−(アジドメチル)−4−クロロベンゼン、t−BuOH、銅削りくず(copper turning)及び硫酸銅を入れた。その反応物をマイクロ波条件下で25分間125℃に加熱した。その反応物を室温に冷却し、水に入れた。その反応物をCHClで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄、NaSOで乾燥、濾過・濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン/EtOAc)によって、2−(4−(1−(4−クロロベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾル−4−イル)フェノキシ)−N−(イソキノリン−6−イル)−アセトアミド(E148)を得た。
【0220】
実施例149:2−(4−(1−ベンジル−1H−テトラゾル−5−イル)フェノキシ−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E149)の調製
【0221】
【化51】

【0222】
4−シアノフェノール及びブロモ酢酸メチルのCHCN混合物をKCOで処理し、18時間還流した。次いで、その反応物を室温に冷却し、濃縮した。残留物をEtOAcとHOで分配し、有機層を塩水で洗浄、NaSOで乾燥、濾過して蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン/EtOAc)によって、純粋な2−(4−シアノフェノキシ)酢酸メチルを得た。
【0223】
2−(4−シアノフェノキシ)酢酸メチルのDMF溶液をNaN及びNHClで処理し、80℃の油浴中で18時間撹拌した。次いで、その混合物をHOに入れ、EtOで抽出した。水層をHClでpH2〜3に酸性化し、沈殿物を回収して、2−(4−(2H−テトラゾル−5−イル)フェノキシ)酢酸メチルを得た。
【0224】
2−(4−(2H−テトラゾル−5−イル)フェノキシ)酢酸メチルのアセトン溶液をトリエチルアミンで処理し、室温で20分間撹拌した。臭化ベンジルを添加し、60℃で18時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物を逆相分取HPLCによって精製して、2−(4−(1−(4−クロロベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾル−4−イル)フェノキシ)−N−(イソキノリン−6−イル)−アセトアミド(E149)を得た。
【0225】
基本的に実施例148〜149に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物150〜153を調製した。
【0226】
【化52】

【0227】
実施例154
基本的に実施例117及び118に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物154〜157を調製した。
【0228】
【化53】

【0229】
実施例158〜169
本質的に実施例117及び118に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物158〜169を調製することができる。
【0230】
【化54】

【0231】
実施例168:(1S,2S)−N−(イソキノリン−6−イル)−2−フェニルシクロプロパンカルボキサミド(E168)の合成
【0232】
【化55】

【0233】
標記化合物は実施例117に記載した手順で得られる。
実施例169:(1R,2R)−N−(イソキノリン−6−イル)−2−フェニルシクロプロパンカルボキサミド(E169)の合成
【0234】
【化56】

【0235】
標記化合物は実施例117に記載した手順で得られる。
これらの実施例に記載されているキラルな非ラセミ体材料は、以下に示す参考文献:Resolution of trans-phenylcyclopropanecarboxylic acids via the quinine salt: Inouye, Y.; Sugita, T.; Walborsky, H. M. Tetrahedron 1964, 20, 1695; Webster, F. X.; Zeng, X.; Silverstein, R. M. J. Org. Chem. 1982, 47, 5225及びその中で引用されている参考文献並びにReference for resolution of trans-phenylcyclopropane carboxylic acids via separation on a chiral HPLC column: Penmetsa, K. V.; Reddick, C. D.; Fink, S. W.; Kleintop, B. L.; DiDonato, G. C; Volk, K. J.; Klohr, S. E. J. Liq. Chrom. & Rel. Technol. 2000, 23, 831.及びその中で引用されている参考文献に従って得ることができる。
【0236】
実施例170〜178
基本的に実施例117及び118に示した手順を使用するが、シクロプロパン化を水素化で置き換え、適当な出発材料に置き換えて、化合物170〜178を調製した。
【0237】
【化57】

【0238】
【化58】

【0239】
実施例179〜186
基本的に実施例117及び118に示した手順を使用するが、シクロプロパン化を水素化に置き換え、適当な出発材料に置き換えて、化合物179〜186を調製することができる。
【0240】
【化59】

【0241】
実施例187〜188
基本的に実施例117及び118に示した手順を使用するが、シクロプロパン化工程を省き、適当な出発材料に置き換え、化合物187及び188を調製した。
【0242】
【化60】

【0243】
実施例189〜198
基本的に実施例117及び118に示した手順を使用するが、シクロプロパン化工程を省き、適当な出発材料に置き換え、化合物189〜198を調製することができる。
【0244】
【化61】

【0245】
実施例199〜204
基本的に実施例117及び118に示した手順を使用し、適当な出発材料に置き換え、化合物199〜204を調整することができる。
【0246】
【化62】

【0247】
【化63】

【0248】
実施例205:(E)−N−(イソキノリン−6−イル)−3−(4−(2−フェニルアクリロイル)フェニル)アクリルアミド(E205)の合成
【0249】
【化64】

【0250】
凝縮器及びを撹拌子を備えた丸底フラスコに、ベンジル4−ブロモフェニルケトン(27mmol)、酢酸ナトリウム(1.2当量)、アクリル酸tert−ブチル(1.2当量)及びN−メチルピロリジノン(NMP)(35mL)を入れた。別のフラスコでは、50mLのNMPに22.5mgのPd(OAc)を溶解した。この溶液6.75mLを反応物に添加した(0.05mol%)。その反応混合物を40分間135℃に加熱した。室温に冷却後、その反応物を水でクエンチした後、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を水及び塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。この溶液をセライトで濾過して触媒を除去した後、濃縮してエステル中間体E205bを得た。この材料はこれ以上精製せずに使用した。
【0251】
エステル中間体E205bを無水酢酸(4当量)に溶解した後、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン(2.5当量)を注射器で滴下した。40分後、飽和NaHCOを添加し、得られた混合物をEtOAcで抽出した。一緒にした有機層を飽和NaHCO、INのHCl及び塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。その化合物をカラムクロマトグラフィーで精製してアルケン中間体E205cを得た。
【0252】
アルケン中間体E205c(13.8mmol)をDCMに溶解し、0℃に冷却した。15mLのトリフルオロ酢酸を添加し、その反応物を0℃で1時間、次いで室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、固体残留物をエーテルに懸濁した。濾過して中間体の酸を得た。
【0253】
中間体の酸(0.14mmol)を窒素下で0.8mLの無水DMFに溶解した。1.6当量のEDCを添加した後、0.08当量のDMAP及び1.3当量の6−アミノイソキノリンを添加し、その反応物を室温で3時間放置した。その反応物を水に入れ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を水で一回洗浄、NaSOで乾燥し、濾過・濃縮した。その化合物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0254】
実施例206:(E)−N−(イソキノリン−6−イル)−3−(4−(1−フェニルシクロプロパンカルボニル)フェニル)アクリルアミド(E206)の合成
【0255】
【化65】

【0256】
実施例205に示した手順により、中間体の206aを調製した。
2.2当量のNaH(油中に60%分散)及び2.5当量のトリメチルスルホキソニウムヨージドを窒素下で乾燥フラスコに秤量した。無水DMSOを添加し、その反応物を室温で1時間撹拌した。無水DMSOに溶解した中間体の酸E206a(0.36mmol)を滴下した。室温で5分後、その反応物を1NのHClに入れ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を、最少量のチオ硫酸ナトリウム水溶液、次いで塩水で洗浄した。次いで、一緒にした有機層をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮して中間体のシクロプロパンを得た。その材料をフラッシュクロマトグラフィーで精製して中間体の酸を得た。
【0257】
中間体の酸(0.12mmol)を窒素下で無水DMFに溶解した。1.6当量のEDCを添加した後、0.08当量のDMAP及び1.3当量の6−アミノイソキノリンを添加し、その反応物を室温で3時間放置した。その反応物を水に入れ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を水で1回洗浄、MgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。化合物E206bをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0258】
実施例207:(2R)−2−アミノ−3−(3−(4−((E)−3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル)−3−オキソ−2−フェニルプロピルチオ)プロパン酸(E207)の合成
【0259】
【化66】

【0260】
中間体のE207a及び(L)−シスチンを2:1=リン酸緩衝液:ACNに懸濁した。NaOHを添加し、その反応物を室温で撹拌した。LC/MSにより反応が終了した際に、pHを6に調整した。生成した沈殿物を濾過によって回収した。
【0261】
実施例208:N−(イソキノリン−6−イル)−3−(4−(3−フェニルプロパンアミド)フェニル)プロパンアミド(E208b)の合成
【0262】
【化67】

【0263】
3−(4−アミノフェニル)プロピオン酸のメタノール溶液を0℃に冷却した。塩化チオニルを滴下した。添加後、その反応物を一晩中40℃に加熱した。その反応物を濃縮して中間体のメチルエステルを得、これ以上精製せずに使用した。
【0264】
中間体のエステル(0.115)を窒素下で無水THFに溶解した。EDCを添加後、DMAP及びヒドロ桂皮酸を添加した。その反応物を一晩中室温で放置した。その反応物を水に入れ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を水で1回洗浄、MgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。その化合物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して中間体のアミド(E208a)を得た。
【0265】
中間体のアミド(E208a)を3:1のTHF:MeOHに溶解した。LiOH・HOの水溶液を0℃のこの溶液に添加した。その反応物を室温に温めた。1時間後、その反応物を飽和NHClでクエンチした後、1NのHClでpHを3に下げた。沈殿物を濾過で回収するか、水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過・濃縮して中間体の酸を得た。この材料はこれ以上精製せずに使用した。
【0266】
中間体の酸を窒素下で無水DMFに溶解した。1.6当量のEDCを添加した後、0.08当量のDMAP及び1.3当量の6−アミノイソキノリンを添加し、その反応物を室温で一晩中放置した。反応物を水に入れ、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を水で1回洗浄、MgSOで乾燥し、濾過・濃縮した。化合物(E208b)をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0267】
実施例209:N−(4−(3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)−4−メトキシベンズアミド(E209)の合成
【0268】
【化68】

【0269】
標記化合物を実施例208に記載した手順により得た。
実施例210:N−(イソキノリン−6−イル)−3−(4−(3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェニル)プロパンアミド(E110)の合成
【0270】
【化69】

【0271】
実施例208と同様の方法で工程1、3及び4を行った。工程2は以下のようにして行った:3−(4−アミノフェニル)プロピオン酸メチルのDMF溶液にDMAP及びイソシアン酸3−トリフルオロメチルフェニルを添加し、その溶液を室温で4時間撹拌した。その混合物をNaHCO(飽和)に入れ、EtOAcで抽出、NaSOで乾燥し、濾過して蒸発させた。化合物E210bをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0272】
実施例211:(E)−3−(4−(3−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)ウレイド)フェニル)−N−(イソキノリン−6−イル)アクリルアミド(E211)の合成
【0273】
【化70】

【0274】
標記化合物を実施例210に記載した手順により得た。
参考例2:
緑内障に対する薬理学的活性のアッセイ
標記化合物の眼圧低下能力を試験するために設計されたアッセイを使用して、緑内障に対する薬理学的活性を実証することができる。そのようなアッセイの例は、以下の参考文献:C. Liljebris, G. Selen, B. Resul, J. Sternschantz, and U. Hacksell, "Derivatives of 17-Phenyl-18, 19, 20-trinorprostaglandin F Isopropyl Ester: Potential Anti-glaucoma Agents", Journal of Medicinal Chemistry, Vol. 38 (2) 1995, pp. 289-304に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0275】
実施例212
眼圧を低下させるための局所用医薬組成物を慣用の方法で調製し、以下の組成で製剤化した:
成分 量(重量%)
6−アミノイソキノリン誘導体 0.50
デキストラン70 0.1
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
塩化ナトリウム 0.77
塩化カリウム 0.12
EDTA二ナトリウム 0.05
塩化ベンザルコニウム 0.01
HCl及び/又はNaOH pH7.0〜7.2
精製水 100%になるまで適量
本発明に係る化合物は6−アミノイソキノリン誘導体として使用する。その組成物を1日1回眼に局所的に投与する場合、上記組成物により緑内障に罹患した患者の眼圧が低下する。
【0276】
実施例213
本発明に係る(2R)−2−アミノ−3−(3−(4−((E)−3−(イソキノリン−6−イルアミノ)−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル)−3−オキソ−2−フェニルプロピルチオ)プロパン酸(E207)を使用して実施例212を繰り返した。滴を1日4回投与した場合、上記組成物は眼圧の実質的な低下をもたらし、神経保護薬として機能する。
【0277】
実施例214
本発明に係る2−(ベンジルアミノ)−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E58)を用いて実施例212を繰り返した。滴を1日2回投与した場合、上記組成物により眼圧は実質的に低下する。
【0278】
実施例215
本発明に係る2−クロロ−N−(イソキノリン−6−イル)アセトアミド(E1)を用いて実施例212を繰り返した。滴を1日2回投与した場合、上記組成物によりアレルギー症状は実質的に緩和され、ドライアイ症候群が軽減される。
【0279】
実施例216
本発明に係る2−アミノ−N−イソキノリン−6−イル−アセトアミド二塩酸塩(E40)を用いて実施例212を繰り返した。滴を必要に応じて投与した場合、上記組成物により充血、発赤及び眼の炎症は実質的に緩和される。
【0280】
実施例217
本発明に係るN−(イソキノリン−6−イル)−2−(3−メトキシベンジルアミノ)アセトアミド(E59)を用いて実施例212を繰り返した。滴を1日4回投与した場合、上記組成物は眼圧の実質的な低下をもたらし、神経保護薬として機能する。
【0281】
実施例218
本発明に係る3−((N−イソキノリン−6−イルスルファモイル)メチルアミノ)−N−メチルベンズアミド(E136)を用いて実施例212を繰り返した。滴を1日2回投与した場合、上記組成物により眼圧は実質的に低下する。
【0282】
実施例219
本発明に係るベンジルイソキノリン−6−イルカルバマート(E87)を用いて実施例212を繰り返した。滴を1日2回投与した場合、上記組成物によりアレルギー症状は実質的に緩和され、ドライアイ症候群が軽減される。
【0283】
実施例220
本発明に係る1−ベンジル−3−(イソキノリン−6−イル)尿素(E88)を用いて実施例213を繰り返した。滴を必要に応じて投与した場合、上記組成物によりアレルギー症状は実質的に緩和される。
【0284】
実施例221
本発明に係るN−(イソキノリン−6−イル)−2−モルホリノアセトアミド(E105)を用いて実施例213を繰り返した。必要に応じて滴を投与した場合、上記組成物により充血、発赤及び眼の炎症は実質的に緩和される。
【0285】
実施例222
本発明に係る4−(2−(イソキノリン−6−イルカルバモイル)シクロプロピル)−N−(ピリジン−4−イル)ベンズアミド(E118)を用いて実施例213を繰り返した。滴を1日2回又は必要に応じて投与した場合、上記組成物により眼圧は実質的に低下する。
【0286】
実施例223
本発明に係る3−(2−(5−クロロイソキノリン−6−イルアミノ)−2−オキソエチルアミノ)−N−メチルベンズアミド(E119b)を用いて実施例213を繰り返した。滴を1日2回又は必要に応じて投与した場合、上記組成物により眼圧は実質的に低下する。
【0287】
本発明をその特定の態様を参照しながら詳細に説明したが、当業者には、本発明の精神及び範囲を逸脱しない様々な変更及び修正が可能であることは明らかだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表わされる化合物:
【化1】

(式中、Aは、−CHNH−、−NH−、−N(−CH)−、−SCH−、−CHS(O)−、−CHS(O)(O)−、−S(O)CH−、−S(O)(O)CH−、−CHCH−、−CH(R10)CH−、−CHCH(R10)−、−CH=CH−、
【化2】

(式中、R10は、水素、無置換のC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はアミノである)であり、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、かつ、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【請求項2】
Aが
【化3】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
該化合物が単一の鏡像異性体である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
10が水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
式IIで表わされる化合物:
【化4】

(式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルであり、かつ、
Bは、0〜3個の構成原子を含む鎖であり、Xは、一緒になって環構造を形成する、独立して選択されるn個の構成原子を表し、nは約0〜約5の整数である)。
【請求項7】
Bが0又は1個の構成原子を含む鎖であり、Xが、一緒になって環構造を形成する、独立して選択されるn個の構成原子を表し、nが1〜4の整数である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
及びRが、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、メチル、エチル、アミノ、ニトロ又はシアノである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、アシル又はカルボキシルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
nが1である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
nが1であり、Xが、−CR’R’−、−NH−又は−O−であり、各R’が、独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
Xが、−CR’R’−であり、Bが0であり、各R’が、独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項13】
Xが−CR’R’−であり、各R’が、独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、アミノ又はシアノである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールである、請求項6に記載の化合物。
【請求項15】
がアリールであり、Xが−CR’R’−であり、各R’が、独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、アミノ又はシアノである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
以下の化合物から選択される、請求項6に記載の化合物。
【化5】

【化6】

【請求項17】
式IIIで表わされる化合物:
【化7】

(式中、X、X及びXのうち一つは、CH、O、S、S(O)、S(O)(O)、−NH−及び−N(−R10)−から独立してから選択され、X、X及びXの他の二つは、CH、O、S、S(O)、S(O)(O)、−NH−、−N(−R10)−及び結合から独立して選択され、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル及びC〜Cカルボキシルであり、かつ、
及びR10は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【請求項18】
及びRが、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、メチル、エチル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cチオアルキル及びC〜Cカルボキシルであり、
が、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール又はC〜Cアルキルヘテロアリールであり、かつ
10が、水素、メチル又はエチルである、
請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
及びRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アミノ又はメチルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
がCH、O及びNHから選択され、XがCH又はNHから選択され、XがCH又はNHから選択されるか、該式から除外される、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
が−NH−又は−O−であり、X及びXがどちらも−CH−である、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
が、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル又はカルボニルアミノである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
以下の化合物の中の1つから選択される、請求項17に記載の化合物。
【化8】

【化9】

【請求項24】
式IVで表わされる化合物:
【化10】

(式中、Aは、少なくとも1個の構成原子、多くとも4個の構成原子からなる置換又は無置換のリンカーであり、該リンカーは、ハロゲン、シアノ、ニトロ又はC〜Cアルキルで一置換又は二置換されていてもよく、あるいは、該置換原子は該主鎖に逆結合して環を形成していてもよく、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、かつ
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【請求項25】
が、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル又はカルボニルアミノである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
細胞、組織又は生存する哺乳類におけるキナーゼの作用に影響を与える方法であって、該細胞、組織、又は哺乳類への請求項1、6、17又は24に記載の少なくとも1種の化合物の投与又はそれらとの接触を含む方法、あるいは、細胞、組織又は生存する哺乳類における別の治療薬の有効性を向上させる方法であって、該細胞、組織又は哺乳類への請求項1、6、17又は24に記載の少なくとも1種の化合物の治療的有効量の投与又はそれらとの接触を含む方法。
【請求項27】
影響される該キナーゼがチロシンキナーゼである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
影響される該キナーゼがROK−I、ROK−II、PKA、PKC、CAMキナーゼ、GRK−2、GRK−3、GRK−5又はGRK−6である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
該化合物が請求項1に記載されている化合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
該化合物が請求項6に記載されている化合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
該化合物が請求項17に記載されている化合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
該化合物が請求項24に記載されている化合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
a)以下の構造を有する6−アミノイソキノリン誘導体と、
【化11】

(式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、かつ、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)
b)担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項34】
該担体が全身用及び局所用担体からなる群から選択される、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
該組成物が約0.001%〜10%の該6−アミノイソキノリン誘導体と、90〜99.999%の該全身用担体とを含む請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
治療を必要とする被験者への6−アミノイソキノリン誘導体の安全かつ有効な量の投与を含む病気の治療方法であって、該病気が、眼疾患、骨疾患、肥満症、心臓疾患、肝疾患、腎疾患、膵炎、癌、心筋梗塞、胃障害、高血圧、生殖能力制御、鼻詰まり、神経因性膀胱、胃腸の障害及び皮膚疾患からなる群から選択される方法。
【請求項37】
該誘導体が請求項1に記載の式Iで表わされる誘導体であり、式中、Aが−CHNH−、−NH−、−N(−CH)−、−SCH−、−CHS(O)−、−CHS(O)(O)−、−S(O)CH−、−S(O)(O)CH−、−CHCH−、−CH(R10)CH−、−CHCH(R10)−、−CH=CH−、
【化12】

であり、かつ、R10が、水素、無置換のC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はアミノである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
該病気が眼疾患を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
該病気が緑内障又は神経変性眼疾患を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
6−アミノイソキノリン誘導体が以下の構造を有する請求項36に記載の方法:
【化13】

(式中、Arは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、アルコキシ、フェノキシ、アミノ、シアノ、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【請求項41】
6−アミノイソキノリン誘導体が式IVで表わされる請求項36に記載の方法:
【化14】

(式中、Aは、少なくとも1個の構成原子、多くとも4個の構成原子からなる置換又は無置換のリンカーであり、該リンカーは、ハロゲン、シアノ又はC〜Cアルキルで一置換又は二置換されていてもよく、あるいは、該置換原子は該主鎖に逆結合して環を形成していてもよく、
及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、C〜Cカルボニル、C〜Cカルボニルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜Cスルホニル、C〜Cスルホニルアミノ、C〜Cチオアルキル又はC〜Cカルボキシルであり、かつ、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル、カルボニルアミノ、チオアルキル、スルホニル、スルホニルアミノ、アシル又はカルボキシルである)。
【請求項42】
が、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、C〜Cアルキルアリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキルヘテロアリール、カルボニル又はカルボニルアミノである、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
以下の化合物から選択される化合物。
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】


【公表番号】特表2010−515739(P2010−515739A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545622(P2009−545622)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/050374
【国際公開番号】WO2008/086269
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(509195515)アエリエ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】