説明

ACF貼付装置

【課題】ACFテープの位置ズレを防止して、高精度の位置決めを行うことができるようにする。
【解決手段】ACF貼付装置1は、第1のガイドローラ17と、第2のガイドローラ24と、押付機構26と、圧着ツール3を備える。第1のガイドローラ17は、ACFテープ110の一端部を保持する。押付機構26は、ACFテープ110の一端部を表示基板100に押し付ける。第2のガイドローラ24は、ACFテープ110の他端部を保持する。更に、第2のガイドローラ24は、第1の押付機構25によって表示基板100に一端部が押し付けられたACFテープ110を鉛直方向へ押し下げて表示基板100に接触させる。そして、圧着ツール3は、表示基板100に押し付けられたACFテープ110のACF109を表示基板100に圧着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示基板にACF(異方性導電フィルム、Anisotropic Conductive Film)を貼付するACF貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶やプラズマ、有機ELなどのFPD(Flat Panel Display)、すなわち表示基板には、複数の処理ステーションによって、その周囲に様々な電子部品が接続又は実装される。実装される電子部品の具体例としては、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのいわゆるTAB(Tape Automated Bonding)及び、PCB(周辺基板:Printed Circuit Board)及び駆動ICなどが挙げられる。
【0003】
ここで、一般的なACF貼付装置に用いられる表示基板について、図8及び図9を参照して説明しておく。
図8は、表示基板を示す正面図、図9は、表示基板とTABとの接続状態を示す斜視図である。
【0004】
図8に示すように、表示基板100は、カラーフィルタ基板101と、TFT(Thin Film Transistor)アレイ基板102と、カラーフィルタ基板101とTFTアレイ基板102の間に封入される液晶とから構成されている。TFTアレイ基板102の少なくとも1辺には、ICチップ103を搭載したフレキシブル基板からなる複数のTAB105を介してプリント基板(PCB)106が設けられている。なお、図8では、TFTアレイ基板102の2辺にプリント基板106を設けた例を示す。
【0005】
図9に示すように、TFTアレイ基板102には、所定数のリード部104が形成されている。そして、このリード部104には、複数のTAB105が接続されている。TAB105には、ICチップ103が搭載されており、このICチップ103を間に挟むようにして、第1のリード部107と、第2のリード部108が設けられている。
【0006】
表示基板100とTAB105との接続には、ACF(異方性導電フィルム、Anisotropic Conductive Film)109が用いられている。このACF109は、粘着性のある電気絶縁物質からなる熱硬化性樹脂(バインダ樹脂)に導電性を持つ微細な金属粒子を分散させてフィルム状に成形したものである。そして、ACF109は、複数のリード部104の略全体にわたるように、TFTアレイ基板101,102の一辺の略全体にわたって表示基板100に貼り付けられている。
【0007】
一般的に、ACFは、一面に剥離層を形成したセパレータテープに所定の厚みで積層されることでACFテープを構成している。このACFテープは、供給リールに巻き付けられている。使用時には、供給リールから所定の長さ分のACFテープを引き出し、ACFテープを表示基板の貼付面に対向される。そして、表示基板の貼付面と対向したACFテープを圧着ツールによって圧着し、ACFをセパレータテープから剥離することで表示基板の一辺の略全体にわたって貼り付けられる。
【0008】
また、特許文献1に記載された技術では、供給リールから引き出したACFテープを表示基板の貼付面と対向させた後に、貼り付けローラによってACFテープを表示基板に押し付け、ACFテープを表示基板に仮貼りしている。そして、この表示基板に仮貼りしたACFテープを圧着することで、ACFが表示基板に貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−340616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のACF貼付装置では、圧着ツールでACFを表示基板に押し付ける際に、ACFテープと表示基板の間に隙間があった。更に、表示基板のサイズが大きくなると、ACFテープを貼る長さが長くなる。そのため、ACFテープを表示基板の貼付面に対向させている時に、ACFテープが風や振動によって揺れて、ACFを仮付けする位置にずれが生じていた。その結果、従来のACF貼付装置では、高精度な位置決めを行うことが困難である、という問題を有していた。
【0011】
また、特許文献1に記載された技術では、表示基板の貼付面に対向するACFテープの両端を保持するためのテープ保持具のテープ保持面が貼付面の上方に配置されている。そのため、貼付性の悪いACFテープを用いた際に、貼り付けローラでACFテープを表示基板に押し付けても、ACFテープがテープ保持具に引っ張られて、ACFテープが表示基板の貼付面から剥がれるおそれがあった。その結果、特許文献1に記載された技術でも、圧着ツールで貼り付けを行うときには、ACFテープと表示基板との間に隙間が生じ、高精度な位置決めを行うことができない、という問題を有していた。
【0012】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、ACFテープの位置ズレを防止して、高精度の位置決めを行うことができるACF貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のACF貼付装置は、表示基板が載置される受け台と、受け台の一側に配置され、ACFテープの一端部を保持する第1のガイドローラと、受け台を間に挟んで第1のガイドローラの反対側に配置されてACFテープの他端部を保持する第2のガイドローラと、を備えている。また、ACFテープの一端部を表示基板に押し付ける第1の押付機構と、第1の押付機構によって表示基板に一端部が押し付けられたACFテープを鉛直方向へ押し下げて表示基板に接触させる第2の押付機構と、を備えた。更に、表示基板に押し付けられたACFテープのACFを表示基板に圧着する圧着ツールと、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のACF貼付装置によれば、圧着ツールでACFを表示基板に仮付けする際に、ACFテープを表示基板に接触させて、表示基板とACFテープとの間に隙間が生じないようにしている。その結果、ACFテープが風や装置の振動によって揺れ難くすることができ、位置ズレが生じ難くなり、高精度の位置決めを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のACF貼付装置の第1の実施の形態例を示す正面図である。
【図2】本発明のACF貼付装置の第1の実施の形態例にかかるACFの貼り付け動作の要部を示す説明図である。
【図3】本発明のACF貼付装置の第2の実施の形態例にかかるACFの貼り付け動作の要部を示す説明図である。
【図4】本発明のACF貼付装置の第3の実施の形態例にかかる要部を示す模式図である。
【図5】本発明のACF貼付装置の第4の実施の形態例にかかるACFの貼り付け動作の要部を示す説明図である。
【図6】本発明のACF貼付装置の第5の実施の形態例を示す正面図である。
【図7】本発明のACF貼付装置の第6の実施の形態例にかかるACFの貼り付け動作の要部を示す説明図である。
【図8】表示基板を示す正面図である。
【図9】表示基板とTABとの接続状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のACF貼付装置の実施の形態例について、図1〜図7を参照して説明するが、既に背景技術の説明に用いた図8、図9についても適宜参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態例
1−1.ACF貼付装置の構成例
1−2.ACF貼付装置の動作
2.第2の実施の形態例
3.第3の実施の形態例
4.第4の実施の形態例
5.第5の実施の形態例
6.第6の実施の形態例
【0017】
<1.第1の実施の形態例>
1−1.ACF貼付装置の構成例
まず、図1〜図2を参照して本発明のACF貼付装置の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)について説明する。
図1は、ACF貼付装置を模式的に示す正面図、図2は、ACF貼付装置の要部を模式的に示す正面図である。
【0018】
本例のACF貼付装置1は、図8に示す液晶やプラズマ、有機ELなどのFPDの表示基板100の少なくとも一辺にACF109を貼り付ける装置である(図9参照)。図1に示すように、ACF貼付装置1は、ACFテープ110が巻回された供給リール2と、ACF109を表示基板100に圧着する圧着ツール3と、使用済みのACFテープ110を巻き取る回収リール4と、受け台6と、第1の押付機構26(以下、単に「押付機構26」とする。)と、を有している。更に、このACF貼付装置1は、テンション機構14と、テープ引出機構29と、を有している。受け台6の上には、保持台(不図示)に着脱可能に固定された表示基板100の一辺が載置される。
【0019】
ここで、ACFテープ110は、セパレータテープ111と、このセパレータテープ111に積層されたACF109とから構成されている(図2(a)参照)。ACF109は、粘着性のある電気絶縁物質からなる熱硬化性樹脂(バインダ樹脂)に導電性を持つ微細な金属粒子を分散させてフィルム状に成型されている。
【0020】
圧着ツール3は、受け台6と鉛直方向に対向して配置された加圧刃7と、加圧刃7が取り付けられた昇降ブロック8と、鉛直方向への駆動力を発生する駆動部9とから構成されている。この圧着ツール3は、受け台6と加圧刃7の間に配置される表示基板100及びACFテープ110を挟んで両者を熱圧着するものである。
【0021】
駆動部9は、駆動力を発生させるアクチュエータ11と、このアクチュエータ11によって駆動される送りネジ12とを有している。この駆動部9の送りネジ12には、昇降ブロック8が連結されている。昇降ブロック8は、鉛直方向に沿って延在する2本のガイドレール13,13に移動可能に支持されている。そして、駆動部9が駆動力を発生すると、送りネジ12によって昇降ブロック8が鉛直方向に沿って移動し、加圧刃7が受け台6に対して接近又は離間する。
【0022】
また、加圧刃7には、加圧刃7を加熱するヒータ(不図示)が内蔵されている。これにより、ヒータによって加熱された加圧刃7がACFテープ110に接触することで、ACF109の樹脂が軟化する。そのため、ACF109がセパレータテープ111から剥離されると共に表示基板100の貼付面にACF109が貼り付けられる。
【0023】
圧着ツール3及び受け台6の一側には、供給リール2が配置されており、圧着ツール3及び受け台6の他側には、回収リール4が配置されている。すなわち、供給リール2と回収リール4は、表示基板100が載置される受け台6を間に挟むようにして配置されている。供給リール2の近傍には、ACFテープ110を引き出すフィーダ用のガイドローラ16と、第1のガイドローラである第1の水平ガイドローラ17とが配置されている。また、ガイドローラ16と、第1の水平ガイドローラ17との間には、ハーフカット機構18が設けられている。
【0024】
ハーフカット機構18は、2つの可動カッタ19,19とカッタ受け部21と、ACF除去部22と、を備えている。2つの可動カッタ19,19及びACF除去部22は、カッタ受け部21に対して近接及び離間する方向に移動可能となっている。そして、2つの可動カッタ19,19は、所定の間隔を開けて配置され、この2つの可動カッタ19,19の間にACF除去部22が設けられている。
【0025】
また、可動カッタ19がカッタ受け部21に最も近接した位置における可動カッタ19とカッタ受け部21の間隔は、ACFテープ110のセパレータテープ111の厚みと同じか、それより僅かに短い間隔に設定されている。そのため、この2つの可動カッタ19がカッタ受け部21に近接すると、ACFテープ110のACF109のみに所定の間隔の2本の切れ込みが入れられる。そして、ACF除去部22によって2つの可動カッタ19,19の間に配置されたACF109がセパレータテープ111から剥離される。その結果、ACFテープ110からACF109のみが所定の長さ分だけ取り除かれ、セパレータテープ111が露出した状態となる。
【0026】
ガイドローラ16と供給リール2との間にはテンション機構14が設けられている。テンション機構14は、ACFテープ110に所定のテンションを与えるものである。このテンション機構14は、2つの固定ローラ14a,14bと、可動ローラ14cと、レール部14dとから構成されている。可動ローラ14cは、2つの固定ローラ14a,14bの間に配置されている。この可動ローラ14cは、レール部14dに沿って上下方向に移動可能に支持されている。そして、稼働ローラ14cがレール部14dに沿って上下方向に移動することで、ACFテープ110に所定のテンションが付与される。
【0027】
また、受け台6の他側である回収リール4の近傍には、第2のガイドローラである第2の水平ガイドローラ24が配置されている。第1の水平ガイドローラ17と第2の水平ガイドローラ24は、ACFテープ110をその走行経路において水平方向にガイドするためのものである。すなわち、第1の水平ガイドローラ17は、表示基板100に貼付するACFテープ110における長手方向の一端部を保持し、第2の水平ガイドローラ24は、ACFテープ110における長手方向の他端部を保持する。これにより、第1の水平ガイドローラ17と第2の水平ガイドローラ24は、受け台6と加圧刃7の間にACFテープ110を略水平にガイドしている。
【0028】
この第1の水平ガイドローラ17及び第2の水平ガイドローラ24は、円筒部の両側に鍔部を設けたものである。そして、2つの鍔部の間にACFテープ110が挿入される。そのため、この第1の水平ガイドローラ17及び第2の水平ガイドローラ24によって、ACFテープ110の幅方向への移動を制限することができる。
【0029】
また、第2の水平ガイドローラ24と回収リール4との間には、テープ引出機構29が設けられている。テープ引出機構29は、第1の巻き取りローラ29aと第2の巻き取りローラ29bとから構成されている。第1の巻き取りローラ29aと第2の巻き取りローラ29bによってACFテープ110が挟持される。そして、このテープ引出機構29によって、供給リール2からACFテープ110を引き出すと共に、引き出すACFテープ110の長さを規定している。
【0030】
更に、第2の水平ガイドローラ24は、鉛直方向に沿って伸びるガイド部25に移動可能に支持されている。そして、この第2の水平ガイドローラ24は、図2(a)に示す初期状態では、受け台6に載置された表示基板100の貼付面の鉛直方向の上方に位置し、ACFテープ110を圧着ツール3で表示基板100に貼付する際には、鉛直方向へ下方に移動する。このように、第2の水平ガイドローラ24は、ACFテープ110を表示基板100に押し下げる第2の押付機構としての役割も兼ねている。
【0031】
また、押付機構26は、受け台6の上方で、且つ第1の水平ガイドローラ17側に配置されている。この押付機構26は、押圧部27と、この押圧部27を鉛直方向に沿って移動可能に支持する案内部28と、を有している。押圧部27は、案内部28によって鉛直方向に沿って移動することで、ACFテープ110を受け台6に載置された表示基板100の貼付面に押し付ける。
【0032】
なお、本例では、第2の水平ガイドローラ24と押圧部27が鉛直方向に沿って移動する例を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、第2の水平ガイドローラ24及び押圧部27の昇降移動は、鉛直方向だけでなく上下の斜め方向に移動するものも含まれる。
【0033】
更に、使用済みのACFテープ110を回収リール4によって巻き取って回収する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、回収リール4の代わりに、内部に負圧が発生する吸引部を設け、この吸引部で使用済みのACFテープ110を吸引させて回収してもよい。
【0034】
1−2.ACF貼付装置の動作
次に、図2を参照して本例のACF貼付装置1を用いたACF109の貼り付け動作について説明する。
まず、テープ引出機構29によって、供給リール2に巻回されたACFテープ110を所定量引き出し、図2(a)に示すように、表示基板100の貼付面の上方にACFテープ110を対向させる。なお、予めACFテープ110の供給側では、ハーフカット機構18によってACFテープ110からACF109のみが所定の長さ分だけ取り除かれ、セパレータテープ111が露出している。これにより、圧着ツール3によって、余分なACF109が表示基板100に貼り付けられることを防止することができる。
【0035】
次に、図2(b)に示すように、押付機構26の押圧部27が鉛直方向に沿って表示基板100の貼付面上に下降する。これにより、押圧部27によってACFテープ110における第1の水平ガイドローラ17側の一部が表示基板100に押し付けられる。なお、ACFテープ110の一部を押圧部27によって表示基板100に押し付けた状態で、ACFテープ110の表示基板100に対する位置合わせが行われる。
【0036】
そして、図2(c)に示すように、第2の水平ガイドローラ24が、表示基板100の貼付面よりも下方へ移動する。すると、第1の水平ガイドローラ17及び第2の水平ガイドローラ24の間に配置されているACFテープ110の両端部が、押付機構26の押圧部27と、第2の水平ガイドローラ24によって、表示基板100に接触する。すなわち、表示基板100に貼付されるACFテープ110全体が、表示基板100に押し付けられる。その結果、ACFテープ110は、表示基板100に押し付けられているため、風や装置の振動によって、ACFテープ110に揺れやねじれが生じ難くなり、位置ズレを防止することができる。
【0037】
次に、図2(d)に示すように、ACFテープ110を表示基板100に押し付けた状態で、圧着ツール3の加圧刃7を受け台6側に押下げ、ACFテープ110を表示基板100に圧着する。このとき、加圧刃7は、例えば約150度に加熱されている。これにより、ACFテープ110のACF109の樹脂が加圧刃7によって軟化し、セパレータテープ111から剥離されると共に表示基板100の貼付面にACF109が仮貼りされる。これにより、表示基板100に対するACF109の貼付作業が完了する。
【0038】
また、この押圧部27は、ACFテープ110からACF109を除去した箇所を押圧している。そのため、ACF109の端部まで、確実に圧着ツール3によって圧着することができる。なお、押圧部27は、ACFテープ110からACF109を除去していない箇所を表示基板100に押圧してもよい。
【0039】
本例のACF貼付装置1によれば、受け台6の一側に設けられた押付機構26と、受け側6の他側に設けたガイド部25に沿って移動可能とされた第2の水平ガイドローラ24により、ACFテープ110を表示基板100に押し付けるようにしている。これにより、ACFテープ110と表示基板100の間に隙間が生じない状態で圧着ツール3による圧着を行うことができる。その結果、風や振動によってACFテープ110の貼り付け位置にズレが生じることを防止でき、高精度の位置決めを行うことが可能となる。
【0040】
また、本例では、ACFテープ110の粘着力ではなく、押付機構26及び第2の水平ガイドローラ24を表示基板100側に移動させることでACFテープ110を強制的に表示基板に押し付けている。そのため、貼付性の低いACFテープ110を用いた場合でも、ACFテープ110と表示基板100との間に隙間が生じる心配がない。
【0041】
<2.第2の実施の形態例>
次に、図3を参照して第2の実施の形態例にかかるACF貼付装置について説明する。
図3は、第2の実施の形態例にかかるACF貼付装置30の要部を模式的に示す説明図である。
【0042】
図3(a)に示すように、この第2の実施の形態例にかかるACF貼付装置30は、第2の水平ガイドローラの代わりに第2の押付機構として押付ローラ機構を用いて、ACFテープ110を表示基板100に押し付けるものである。そのため、ここでは、主に押付ローラについて説明し、ACF貼付装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0043】
図3(a)に示すように、ACF貼付装置30には、第1の水平ガイドローラ32と、第2の水平ガイドローラ33の間に、押付ローラ機構34が設けられている。この押付ローラ機構34は、第1ローラ36と、第2ローラ37と、第1ローラ36及び第2ローラ37を鉛直方向に沿って移動可能に支持する支持部38と、から構成されている。そして、この押付ローラ機構34は、不図示のスライド機構によって第1の水平ガイドローラ32と第2の水平ガイドローラ33との間を水平方向へ移動可能としている。
【0044】
第1ローラ36は、第1の水平ガイドローラ32側に配置されており、第2ローラ37は、第2の水平ガイドローラ33側に配置されている。図3(b)に示すように、第1ローラ36は、支持部38によって鉛直方向の下方に移動した際に、ACFテープ110を表示基板100の貼付面に押し付ける。
【0045】
また、第2ローラ37は、第1の水平ガイドローラ32及び第2の水平ガイドローラ33と同様に、円筒部の両側に鍔部を設けたものである。そして、2つの鍔部の間にACFテープ110が挿入されることで、この第2ローラ37でACFテープ110の位置合わせを行うことができる。
【0046】
次に、この第2の実施の形態例にかかるACF貼付装置30を用いたACF109の貼り付け動作について説明する。
まず、上述したテープ引出機構29によって、所定量のACFテープ110を引き出し、図3(a)に示すように、表示基板100の貼付面の上方にACFテープ110を対向させる。
【0047】
次に、図3(b)に示すように、押付機構26の押圧部27が鉛直方向に沿って表示基板100側に移動する。更に、この押圧部27と同様に、押付ローラ機構34の第1ローラ36及び第2ローラ37が表示基板100側に移動する。これにより、ACFテープ110の第1の水平ガイドローラ32側の一部が、押圧部27と押付ローラ機構34の第1ローラ36によって、表示基板100に押し付けられる。
【0048】
そして、図3(c)に示すように、押付ローラ機構34が、第1ローラ36でACFテープ110を表示基板100に押し付けながら、第1の水平ガイドローラ32側から第2の水平ガイドローラ33側に移動する。この時、ACFテープ110は、押付ローラ機構34の第2ローラ37によって表示基板100に対する位置合わせが行われる。
【0049】
また、ACFテープ110の第2の水平ガイドローラ33側は、押付ローラ機構34の第1ローラ36によって表示基板100に押し付けられている。そのため、ACFテープ110の両端部が、押圧部27と第1ローラ36によって表示基板100に押し付けられる。その結果、使用するACFテープ110の略全体が、表示基板100の貼付面に押し付けられる。このように、第2ローラ37によってACFテープ110の位置合わせを行いながら、第1ローラ36でACFテープ110を表示基板100に押し付けているため、より精度の高い位置決めを行うことができる。
【0050】
次に、図3(d)に示すように、ACFテープ110を表示基板100に押し付けた状態で、圧着ツール3の加圧刃7を受け台6側に押下げ、ACFテープ110を表示基板100に圧着する。これにより、表示基板100に対するACF109の貼付作業が完了する。
【0051】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するACF貼付装置30によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
なお、第2の水平ガイドローラ33と押付ローラ機構34の間で、且つ第2の水平ガイドローラ33の近傍に、ACFテープ110を保持するチャック部材を設けてもよい。そして、このチャック部材は、押付ローラ機構34の移動に対応して鉛直方向の下方に移動する。その結果、押付ローラ機構34が第1の水平ガイドローラ32から第2の水平ガイドローラ33へ移動する際に、ACFテープ110のテンションを一定に保つことができる。
【0053】
<3.第3の実施の形態例>
次に、図4を参照して第3の実施の形態例にかかるACF貼付装置について説明する。
図4は、第3の実施の形態例にかかるACF貼付装置40の要部を模式的に示す説明図である。
図4に示すように、この第3の実施の形態例にかかるACF貼付装置40は、押付機構41の押付部42が第1の水平ガイドローラ43と表示基板100の間に配置されている。そして、この押付部42は、表示基板100の貼付面上ではなく、表示基板100と第1の水平ガイドローラ43との間に下降する。
【0054】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するACF貼付装置40によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
なお、この第3の実施の形態例にかかるACF貼付装置40によれば、表示基板100の端部にまでACF109を貼り付けることができる。
【0056】
<4.第4の実施の形態例>
次に、図5を参照して第4の実施の形態例にかかるACF貼付装置について説明する。
図5は、第4の実施の形態例にかかるACF貼付装置50の要部を模式的に示す説明図である。
【0057】
この第4の実施の形態例にかかるACF貼付装置50は、第1の水平ガイドローラ側だけでなく、第2の水平ガイドローラ側にも押付機構を設けたものである。そのため、ここでは、2つの押付機構について説明し、ACF貼付装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0058】
図5(a)に示すように、第1の水平ガイドローラ51側には、第1の押付機構53が配置されており、第2の水平ガイドローラ52側には、第2の押付機構55が配置されている。第1の押付機構53は、ACFテープ110の一端部を押圧する一側押圧部54と、この一側押圧部54を鉛直方向に沿って移動可能に支持する一案内部(不図示)と、を有している。同様に、第2の押付機構55は、ACFテープ110の他端部を押圧する他側押圧部56と、この他側押圧部56を鉛直方向に沿って移動可能に支持する他側案内部(不図示)と、を有している。
【0059】
次に、この第4の実施の形態例にかかるACF貼付装置50を用いたACF109の貼り付け動作について説明する。
まず、上述したテープ引出機構29によって、所定量のACFテープ110を引き出し、表示基板100の貼付面の上方にACFテープ110を対向させる。
【0060】
次に、図5(b)に示すように、ACFテープ110の供給側である第1の水平ガイドローラ51側に配置された第1の押付機構53の一側押圧部54が、ACFテープ110の一端部を表示基板100に押し付ける。その後、図5(c)に示すように、ACFテープ110の排出側である第2の水平ガイドローラ52側に配置された第2の押付機構55の他側押圧部56が、ACFテープ110の他端部を表示基板100に押し付ける。これにより、ACFテープ110の両側が、一側押圧部54と他側押圧部56によって表示基板100に押し付けられるため、ACFテープ110全体が表示基板100の貼付面に隙間無く押し付けられる。
【0061】
次に、図5(d)に示すように、ACFテープ110を表示基板100に押し付けた状態で、圧着ツール3の加圧刃7を受け台6側に押下げ、ACFテープ110を表示基板100に圧着する。これにより、表示基板100に対するACF109の貼付作業が完了する。
【0062】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するACF貼付装置50によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
<5.第5の実施の形態例>
次に、図6を参照して第5の実施の形態例にかかるACF貼付装置について説明する。
図6は、第5の実施の形態例にかかるACF貼付装置1Aを模式的に示す正面図である。
この第5の実施の形態例にかかるACF貼付装置1Aと上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1で異なる点は、テープ引出機構及び第2の水平ガイドローラの構成である。そのため、ここでは、テープ引出機構及び第2の水平ガイドローラについて説明し、ACF貼付装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0064】
図6に示すように、テープ引出機構57は、ACFテープ110を挟む可動チャック57aと、第1のガイド部57bと、第2のガイド部57cとを有している。第1のガイド部57bは、受け台6の上方に配置されており、第2のガイド部57cは、受け台6の他側に配置されている。
【0065】
可動チャック57aは、第1のガイド部57bによって受け台6の一側から他側に水平方向に移動可能に支持されている。更に、この可動チャック57aは、第2のガイド部57bによって上下方向、すなわち鉛直方向に移動可能に支持されている。そして、このテープ引出機構57は、可動チャック57aがACFテープ110を挟持し、第1のガイド部57bに沿って受け台6の一側から他側に移動することで、供給リール2から所定量のACFテープ110を引き出す。
【0066】
また、テープ引出機構57と第2の水平ガイドローラ24Aとの間には、ACFテープ110の位置を固定するテープ位置固定機構58が設けられている。このテープ位置固定機構58は、ACFテープ110を挟持する固定チャック58aと、ガイド部58bとから構成されている。固定チャック58は、ガイド部58bによって上下方向に移動可能に支持されている。
【0067】
更に、この第5の実施の形態例にかかるACF貼付装置1Aでは、第2の水平ガイドローラ24Aは、所定の位置に固定されている。そして、テープ引出機構57の可動チャック57aと、テープ位置固定機構58の固定チャック58aが昇降動作することで、ACFテープ110を表示基板100に押し下げる。すなわち、テープ引出機構57の可動チャック57aとテープ位置固定機構58の固定チャック58aは、第2の押付機構としての役割も兼ねている。
【0068】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するACF貼付装置1Aによっても、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
<6.第6の実施の形態例>
次に、図7を参照して第6の実施の形態例にかかるACF貼付装置について説明する。
図7は、第6の実施の形態例にかかるACF貼付装置60の要部を模式的に示す説明図である。
この第6の実施の形態例にかかるACF貼付装置60は、ACFテープを表示基板に押し付ける押付機構と、圧着ツールを一体に形成したものである。ここでは、ACF貼付装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0070】
図7(a)に示すように、ACF貼付装置60は、圧着ツール61の加圧刃62が鉛直方向だけでなく、点Pを中心に回動可能としている。このような構成を有するACF貼付装置60では、まず圧着ツール61の加圧刃62は、第1の水平ガイドローラ63側に傾く。これにより、ACFテープ110の第1の水平ガイドローラ63側の一部が加圧刃62によって、表示基板100に押し付けられる。
【0071】
次に、図7(b)に示すように、加圧刃62がACFテープ110を押し付けた箇所である点Pを支点にして回動する。これにより、ACFテープ110全体が表示基板100に押し付けられると共に、圧着ツール61によってACFテープ110のACF109が表示基板100に圧着される。このACF貼付装置60の場合は、ACFテープ110が圧着ツール61の加圧刃62に当接することで、位置ズレを防止している。
【0072】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するACF貼付装置60によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0073】
なお、この第6の実施の形態例にかかるACF貼付装置60によれば、上述した第1の実施の形態例にかかるACF貼付装置1よりも押付機構26の部品点数を削減することができる。
【0074】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A,30,40,50,60…ACF貼付装置、 2…供給リール、 3,61…圧着ツール、 4…回収リール、 6…受け台、 7,62…加圧刃、 14…テンション機構、 17,32,43,51,63…第1の水平ガイドローラ(第1のガイドローラ)、 18…ハーフカット機構、 24,33,52…第2の水平ガイドローラ(第2のガイドローラ)、 26,41,53…押付機構(第1の押付機構)、 27,54…押圧部(一側押圧部)、 28…案内部(一側案内部)、29,57…テープ引出機構、 34…押付ローラ機構(第2の押付機構)、 36…第1ローラ、 37…第2ローラ、 42…押付部 55…第2の押付機構、 56…他側押圧部、 100…表示基板、 109…ACF、 110…ACFテープ、 111…台紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板が載置される受け台と、
前記受け台の一側に配置され、ACFテープの一端部を保持する第1のガイドローラと、
前記受け台を間に挟んで前記第1のガイドローラの反対側に配置されて前記ACFテープの他端部を保持する第2のガイドローラと、
前記ACFテープの一端部を前記表示基板に押し付ける第1の押付機構と、
前記第1の押付機構によって前記表示基板に前記一端部が押し付けられた前記ACFテープを鉛直方向へ押し下げて前記表示基板に接触させる第2の押付機構と、
前記表示基板に押し付けられた前記ACFテープのACFを前記表示基板に圧着する圧着ツールと、を備えた
ことを特徴とするACF貼付装置。
【請求項2】
前記第1の押付機構は、前記ACFテープを前記表示基板に押圧する一側押圧部と、前記一側押圧部を移動可能に支持する一側案内部と
からなることを特徴とする請求項1に記載のACF貼付装置。
【請求項3】
前記第2のガイドローラは、鉛直方向へ移動可能に構成され、前記第2の押付機構を兼ねる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のACF貼付装置。
【請求項4】
前記第2の押付機構は、前記ACFテープを前記表示基板に押し付ける第1ローラを有し、前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとの間を移動可能で且つ鉛直方向に移動可能である押付ローラ機構である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のACF貼付装置。
【請求項5】
前記押付ローラ機構は、前記ACFテープの位置合わせを行う第2ローラを有する
ことを特徴とする請求項4に記載のACF貼付装置。
【請求項6】
前記第2の押付機構は、前記ACFテープの他端部を前記表示基板に押し付ける他側押圧部と、前記他側押圧部を移動可能に支持する他側案内部と
からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のACF貼付装置。
【請求項7】
前記第1の押付機構は、前記ACFテープから前記ACFを除去した部分を前記表示基板に押し付ける
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のACF貼付装置。
【請求項8】
表示基板が載置される受け台と、
前記受け台の一側に配置され、ACFテープの一端部を保持する第1のガイドローラと、
前記受け台を間に挟んで前記第1のガイドローラの反対側に配置されて前記ACFテープの他端部を保持する第2のガイドローラと、
前記ACFテープにおける前記第1のガイドローラ側の一端部を前記表示基板に押し付けてから、押し付け箇所を支点に回動し、前記ACFテープのACFを前記表示基板に圧着する圧着ツールと、を備えた
ことを特徴とするACF貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−142139(P2011−142139A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−782(P2010−782)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】