説明

ALC補強鉄筋籠の持上げ補助装置

【課題】重量物作業であるALC補強鉄筋籠の組立て工程において、重量物の持上げを補助し、作業負荷の軽減と作業効率の向上が可能となり、旋回性と直進性を両立したALC補強鉄筋籠持上げ補助装置を提供する
【解決手段】メインフレーム(2)、第1昇降フレーム(3)、および、第2昇降フレーム(6)は、レール部材により略同一平面内で鉛直方向に摺動可能に構成される。シリンダ(10)は、空気圧によりピストンを鉛直方向に変位させ、ワイヤ部材(5)の一端がメインフレーム(2)に固定され、ワイヤ部材(5)の他端がプーリー(4)を経由して第2昇降フレーム(6)に固定されていることにより、倍速機構が構成される。従って、シリンダ(10)の中におけるピストンの変位によって、メインフレーム(2)に対して第1昇降フレーム(3)が同じ変位で昇降するとともに、前述の倍速機構により、第2昇降フレーム(6)が2倍の変位で昇降する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外壁材などとして用いられるALC(軽量気泡コンクリート)の製造工程において、ALC補強鉄筋籠の組立て工程で使用されるALC補強鉄筋籠の持上げ補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ALCパネルは、一般に、鋼鉄線材を溶接して籠状に組み立てた補強鉄筋籠を配置した型枠内に、けい石、生石灰、およびセメントなどを主成分とするALC原料スラリーに、発泡剤としてアルミ粉末を添加して、注入し、発泡・硬化して半硬化状態となったALCブロックを型枠から取り出して、所定の張力で緊張させたピアノ線等のワイヤで所定の大きさのパネル状に切断する。続いて、切断された半硬化状態のALCパネルを、オートクレーブ等で養生した後、適宜、表面加工等を施して、製品化される。
【0003】
このように生産されるALCパネルの内部には、補強鉄筋籠が固定されるが、生産工程の途中において、補強鉄筋籠を保持する方法としては、補強鉄筋籠の長辺側に支持ピン挿入口を設けておき、支持ピン挿入口に支持ピンを差し込む方法が採用されている。支持ピンは、型枠の上方に橋状に渡された支持ピンフレームから、突起によって吊るしておく。
【0004】
補強鉄筋籠には、例えば特許第3116823号公報に記載されているように、一般に直径4mm〜8mm程度の鉄筋を溶接して籠状にして用いられ、通常は、鉄筋が格子状に溶接された2枚の鉄筋網を、所定の間隔を空けて平行に配置し、組み合わせた形状である。2枚の鉄筋網の間の接続は、支持ピン挿入口となるスペーサ鉄筋を両側長辺小口に溶接する場合と、大きな1枚の鉄筋網をコの字状に折り曲げてから、長辺開放面側のみにスペーサ鉄筋を溶接して行なう場合とがある。
【0005】
得られた補強鉄筋籠を支持ピンに取り付ける際は、作業し易いように、支持ピンの先を、地上から1,600mm〜1,700mm程度の高さに配置しておき、補強鉄筋籠を人の手で持ち上げて、取り付ける。しかし、補強鉄筋籠の質量は、製造しようとするALCパネルの幅と長さにもよるが、最大では1枚で30kgを超えるため、作業負荷が高く、ALCパネルの生産工程の中でも、特段の重量物作業であり、作業者の腰痛発症リスクの排除と省力化が求められていた。
【0006】
また、従来、ALC補強鉄筋籠をその製造・保管場所より、ALCパネルの製造場所まで移動させるためには、一般的な手押し式搬送台車が用いられている。かかる一般的な手押し式搬送台車では、図6に示した底面図のように、床面に対して略平行である底面(2b)には、進行方向の一方側で幅方向の両側に、回転軸が固定された2つの固定キャスター(1a、1b)が、進行方向の他方側で幅方向の両側に、回転軸が回転自在である2つの旋回キャスター(1c、1d)がそれぞれ取り付けられている。
【0007】
従って、かかる搬送台車においては、停止した状態から発進する方向が、旋回キャスターの状態に依存した方向に発進することになり、異なる方向に向かうためには、固定キャスターを軸として全体を回転させてから改めて発進させるか、あるいは、発進させた後に、回転軸が回転自在である旋回キャスターを少しずつ回転させて旋回させるか、いずれかを選択することになる。このように、従来の搬送台車においては、発進する方向が限定されるという問題がある。
【0008】
また、従来の搬送台車を走行させている間、回転軸が回転自在である旋回キャスターのホイールが、ハンドルフレームを押す時の力に含まれる左右方向の微妙な力や、床面の凹凸によって、常に方向を変化させるので、ハンドルフレームを走行させる進行方向に向かうように、押し方に対して常に気を使わなければならないという問題がある。
【0009】
さらに、発進させてからそのまま直進させたい場合においても、回転軸が回転自在である旋回キャスターにおける偏芯値の大きさと回転速度に応じて、進行させたい方向から外れるという問題がある。
【0010】
このように、従来の搬送台車では、ハンドルフレームを押して発進させる時と、直進している時とにおいて、進行方向が安定しないという問題点があり、さらに、たとえば旋回するスペースがないような狭い倉庫において、発進した向きと異なる方向に進行させる動作や、または、その場で旋回させるような動作ができないことから、手間を要するという問題がある。
【0011】
特に、補強鉄筋籠のような重量物を搬送するに際しては、搬送作業を極めて煩わしいものとさせ、かつ、無理な操作により補強鉄筋籠が落下するなどの危険性を伴うものとなっている。
【特許文献1】特許第3116823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、重量物作業であるALC補強鉄筋籠の組立て工程において、重量物の持上げおよび搬送を補助し、作業負荷の軽減と作業効率の向上が可能とし、かつ、搬送に際して、旋回性と直進性を両立したALC補強鉄筋籠持上げ補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るALC補強鉄筋籠持上げ補助装置は、
ピストンを鉛直方向に変位させるシリンダと、
該シリンダが上向きに固定されたメインフレームと、
前記ピストンに連結され、上端側に回転軸が水平であるプーリーを備え、前記メインフレームに対して鉛直方向に摺動可能に配置された第1昇降フレームと、
該第1昇降フレームに対して鉛直方向に摺動可能に配置された第2昇降フレームと、
該第2昇降フレームの上端側に固定されたワーク台と、
一端が、前記メインフレームの下端側に固定され、他端が前記第2昇降フレームの下端側に固定され、かつ、中間部において前記プーリー懸架されているワイヤ部材と、
を備える。
【0014】
かかる構造により、前記シリンダの中におけるピストンの変位によって、前記メインフレームに対して第1昇降フレームが同じ変位で昇降するとともに、第2昇降フレームが2倍の変位で昇降する。
【0015】
前記ワーク台と第2昇降フレームとは、ワーク台の重心に対して鉛直線上にある1点で、ピン支持により接続され、これによりワーク台が第2昇降フレームに対して揺動可能とすることが好ましい。
【0016】
また、搬送可能なように、前記メインフレームの下端部底面に、キャスターを配置することが好ましい。
【0017】
なお、かかるキャスターに関して、従来の一般的な搬送台車におけるキャスター配置と異なり、次にようにキャスターを配置することが好ましい。
【0018】
すなわち、前記メインフレームの下端部底面の四隅に、幅方向の一方側に進行方向に沿って2つの固定キャスターが、幅方向の他方側に進行方向に沿って2つの旋回キャスターがそれぞれ配置され、かつ、昇降旋回キャスターが、前記2つの固定キャスターの進行方向略中間位置に配置されており、
前記固定キャスターは、回転面が進行方向に沿うように回転軸が前記底面に固定され、
前記旋回キャスターは、回転軸が該底面と平行な状態で回転自在に前記底面に固定され、
前記昇降旋回キャスターは、回転軸が底面に対して昇降自在であり、かつ、回転軸が底面と平行な状態で回転自在に前記底面に固定され、さらに、該昇降旋回キャスターを底面に対して最も遠い位置と最も近い位置で固定する昇降ロック機構を備え、該昇降旋回キャスターが底面に対して最も遠い位置で固定される状態では、2つの旋回キャスターおよび昇降旋回キャスターが接地し、昇降旋回キャスターが底面に対して最も近い位置で固定される状態では、2つの固定キャスターおよび2つの旋回キャスターが接地するようにすることが好ましい。
【0019】
これにより、昇降旋回キャスターの接地状態では、当該補助装置が3点で旋回キャスターにより支持され、旋回走行が可能となり、昇降旋回キャスターの非接地状態では、当該補助装置が、固定キャスターと旋回キャスターにより支持され、直進走行が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置が、シリンダのバランサ機能によりALC補強鉄筋籠の質量のほとんどを持上げるので、作業者の肉体的な負担が軽減され、さらには、作業効率を向上することができる。
【0021】
さらに、伸長する構造を倍速機構としているので、第1昇降フレームと第2昇降フレームが最も下に位置する時のワーク台の高さを、作業者に負担が掛り難い高さとなるように、詳しくは、腰辺りの高さである800mm程度となるように低く設定しても、ALC補強鉄筋籠を組み立てる時にワーク台が到達させることが必要な高さである1,600mm〜1,700mm程度までの高さを確保することが可能となる。
【0022】
さらに、ワーク台と第2昇降フレームとは、ワーク台の重心に対して鉛直線上にある1点で、ピン支持により接続したことにより、ワーク台が第2昇降フレームに対して揺動可能となる。これにより、ALC補強鉄筋籠のスペーサ部に支持ピンを挿入する際に、手組みの時と同様、ALC補強鉄筋籠の位置および角度の調整が可能となって、負荷を増加させることなく、作業効率が向上するという効果が得られる。
【0023】
さらに、昇降可能な状態で回転自在である昇降旋回キャスターを宙に浮かせれば、進行方向は、固定キャスターのホイールの回転方向に依存して直進し、たとえば、固定キャスターのホイールを、接地面との摩擦係数が大きな素材にしておけば、進行方向の拘束力は強まるため、直進性はより安定する。これにより、2地点間の直線往復走行などにおいては、走行軸のズレも無く、安定した直進性が得られる。一方、昇降旋回キャスターを接地させれば、2つの旋回キャスターとにより接地することになり、前後左右へ自由自在に旋回することが可能となる。よって、ALC補強鉄筋籠の搬送における作業性が著しく向上し、かつ、従来の搬送台車による作業と比較して、安全性も著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図面に示す一実施形態に基づいて具体的に説明する。図1に、本発明のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置の一実施形態を、斜視図で示す。図2に、図1のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置を伸長させた状態を、斜視図で示す。図3に、本発明のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置にALC補強鉄筋籠を載せ、伸長させた状態を、斜視図で示す。
【0025】
メインフレーム(2)は、進行方向に平行に伸長する2本の脚部と、該脚部を進行方向中間で連結する連結部と、該脚部より、連結部と進行方向における位置がずれた状態で鉛直方向に伸長するアーム部とを備える。前記脚部と連結部とが下端部に相当する。なお、下端部は、一実施態様では、図1および図2に示すように、H字状としているが、図4および図5に示すように、従来の搬送台車の底面と同様に平板の構造を採用してもよく、他の構造を支持でき、さらには、キャスターを適切に固定できる構造であれば任意の形状を採用できる。
【0026】
メインフレーム(2)の下端部である連結部の上面側には、シリンダ(10)が上向きに固定される。シリンダ(10)は、空気圧ないしは油圧などの手段により、ピストンを鉛直方向に変位させる。より具体的には、シリンダ(10)は、荷重体の荷重を空気圧に変換して荷重をバランスさせる力を作用させるバランサとして機能し、これにより、作業者の僅かな力によって荷重体を自由に上下方向に移動させることができる。かかるバランサ機構としては、公知のものを採用できる。
【0027】
第1昇降フレーム(3)は、鉛直方向に伸長する2本の縦フレームと、幅方向に伸長する2本の横フレームからなる略矩形のフレーム部材からなる。縦フレームと下端側の横フレームは、同一平面内にあるが、上端側のフレームは、略コの字形状をしており、上記平面より進行方向一方側に突出している。
【0028】
第1昇降フレーム(3)の幅は、メインフレーム(2)内に幅方向に収まるように規定され、メインフレーム(2)のアーム部の幅方向内側と、第1昇降フレーム(3)の縦フレームの幅方向外側とに、それぞれレール部材(7)もしくはレール機構を設けることで、第1昇降フレーム(3)がメインフレーム(2)に対して、鉛直方向に摺動可能となるように配置される。また、第1昇降フレーム(3)の上端側のアームの下端側には、シリンダ(10)のピストンロッドの端部が固定されており、第1昇降フレーム(3)は、ピストンロッドの鉛直方向の変位に伴い、移動可能である。
【0029】
第1昇降フレーム(3)の上端側の横フレームには幅方向2カ所に、回転軸が水平であるプーリー(4)が固定される。具体的には、該横フレームに平板状の支持部材を溶接等で固定し、該支持部材にプーリー(4)の回転軸を固定する。
【0030】
第2昇降フレーム(6)は、鉛直方向に伸長する2本の縦フレームと、幅方向に伸長する2本の横フレームからなり、同一平面内にある略矩形のフレーム部材からなる。第2昇降フレーム(6)の幅は、第1昇降フレーム(3)内に幅方向に収まるように規定され、第1昇降フレーム(3)の縦フレームの幅方向内側と、第2昇降フレーム(6)の縦フレームの幅方向外側とに、それぞれレール部材(7)もしくはレール機構を設けることで、第2昇降フレーム(6)が第1昇降フレーム(3)に対して、鉛直方向に摺動可能となるように配置される。
【0031】
第2昇降フレーム(6)の上端側横フレームには、上向きにワーク台(8)が固定される。
【0032】
また、ワイヤ部材(5)の一端がメインフレーム(2)の連結部材に固定され、ワイヤ部材(5)の他端がプーリー(4)を経由して第2昇降フレーム(6)の下端側の横フレームに固定される。該ワイヤ部材は、プーリー(4)に掛け渡され懸架される。
【0033】
第1昇降フレーム(3)の上昇に伴い、プーリー(4)を介して、ワイヤ部材(5)が第2昇降フレーム(6)を引き上げるように作用する。これにより、第2昇降フレームは、メインフレーム(2)に対して、第1昇降フレーム(3)の倍速で上昇する倍速機構が構成される。すなわち、シリンダ(10)のピストンの変位によって、メインフレーム(2)に対して第1昇降フレーム(3)が同じ変位で昇降するとともに、前述の倍速機構により、第2昇降フレーム(6)が2倍の変位で昇降する。
【0034】
それぞれの部材は、鋼材や強化プラスチックなど、ALC補強鉄筋籠のような重量物を支持可能な材料により、公知の加工技術により形成される。
【0035】
この様な構造を採用することで、既存の空気圧システムもしくは油圧システムを用いたシリンダのバランサ機能により、荷重体であるALC補強鉄筋籠(30)の荷重がかかるピストンを自動駆動させることが可能となり、ALC補強鉄筋籠(30)を組み付ける時の重量物作業が補助され、作業者の負荷が軽減され、作業効率の向上が達成される。
【0036】
変位の量については、最も低い高さを、作業者に負担が掛かりにくい800mm程度に設定しても、バランサ機能を保ちつつ、最も高い高さを、組立て完了時の高さである1,600mm〜1,700mm程度までに設定することが可能である。
【0037】
また、ワーク台(8)と第2昇降フレーム(6)とは、ワーク台の重心に対して鉛直線上にある1点で、ピン支持により接続され、これによりワーク台(8)を第2昇降フレーム(6)に対して揺動可能とする。このような構造とすることにより、ALC補強鉄筋籠(30)の支持ピン挿入口(31)へ、図示しない支持ピンを通す時に、支持ピンに対してALC補強鉄筋籠(30)がなす角度を自在に調整できるようになるので、組立性の向上が達成できる。
【0038】
メインフレーム(2)には、従来のように、図1〜図3に示されているような固定キャスター(1)が備えられていれば、ALC補強鉄筋籠(30)を載せたまま、組付け場所まで移動させることが可能となり、作業負荷が軽減されるが、図4および図5に示すように、旋回キャスターおよび昇降旋回キャスターを採用することにより、前後左右へ自由自在に走行させることが可能となる。
【0039】
図4に、本発明のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置の異なる実施形態のメインフレームを、投影図で示し、図5に、図4のメインフレームの異なる状態を、投影図で示す。ただし、当該メインフレームの構造がこの様な形状に限定されないことは上述の通りである。
【0040】
メインフレームには、床面に対して略平行である底面(2a)を有し、底面(2a)の四隅には、2つの固定キャスター(1a、1b)および2つの旋回キャスター(1c、1d)が配置され、昇降旋回キャスター(1e)が、固定キャスター(1a、1b)の略中間位置に配置される。2つの固定キャスター(1a、1b)は、回転軸が底面(2a)に対して固定され、かつ、回転面が平行または同一で進行方向前後となるように底面(2a)に固定される。2つの旋回キャスター(1c、1d)は、回転軸が底面(2a)と平行な状態で回転自在に底面(2a)に固定される。昇降旋回キャスター(1e)は、回転軸が底面(2a)に対して昇降自在であり、かつ、回転軸が底面(2a)と平行な状態で回転自在に底面(2a)に固定される。
【0041】
さらに、昇降旋回キャスター(1e)を底面(2a)に対して最も遠い位置と最も近い位置で固定する昇降ロック機構(12)を備え、昇降旋回キャスター(1e)が底面(2a)に対して最も遠い位置で固定される状態では、2つの旋回キャスター(1c、1d)および昇降旋回キャスター(1e)により接地して旋回走行し、昇降旋回キャスター(1e)が底面(2a)に対して最も近い位置で固定される状態では、2つの固定キャスター(1a、1b)および2つの旋回キャスター(1c、1d)により接地して直進走行する。
【0042】
従って、昇降旋回キャスター(1e)が宙に浮く状態では、進行方向が拘束されるため、高い直進性が得られ、さらに、2つの固定キャスター(1a、1b)に、床面素材に対して強い摩擦係数を持つホイールを選定しておくと、進行方向の拘束力はより強くなる。また、回転軸が底面(2a)に対して固定され、かつ、回転面が平行または同一となるように固定された固定キャスターの個数を3つ以上に増加させることで、さらに安定した直進走行性が得られる。
【0043】
また、昇降旋回キャスター(1e)が接地する状態では、前後左右へ自在に走行させることができるようになる。
【0044】
キャスター自体は、重量物を支持できるものであれば、公知技術の何れかのものを任意に採用できる。また、昇降ロック機構(12)については、カム機構やクランプ機構などのように、公知技術のいずれかから、適時、選定すればよい。また、昇降ロック機構(12)の操作方法については、ケーブルによる遠隔操作式や、図示した足踏み式など、適時、選定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置を伸長させた状態を示す斜視図である。
【図3】図1のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置にALC補強鉄筋籠を載せ、伸長させた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置の異なる実施形態のメインフレームを示す投影図である。
【図5】図4のメインフレームの異なる状態を示す投影図である。
【図6】従来の手押し式搬送台車の一般的なキャスター配置を示す底面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 キャスター
1a、1b 固定キャスター
1c、1d 旋回キャスター
1e 昇降旋回キャスター
2 メインフレーム
2a、2b 底面
3 第1昇降フレーム
4 プーリー
5 ワイヤ部材
6 第2昇降フレーム
7 レール部材
8 ワーク台
10 シリンダ
12 昇降ロック機構
30 ALC補強鉄筋籠
31 支持ピン挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンを鉛直方向に変位させるシリンダと、
該シリンダが上向きに固定されたメインフレームと、
前記ピストンのロッドに連結され、上端側に回転軸が水平であるプーリーを備え、前記メインフレームに対して鉛直方向に摺動可能に配置された第1昇降フレームと、
該第1昇降フレームに対して鉛直方向に摺動可能に配置された第2昇降フレームと、
該第2昇降フレームの上端側に固定されたワーク台と、
一端が、前記メインフレームの下端側に固定され、他端が前記第2昇降フレームの下端側に固定され、かつ、中間部において前記プーリー懸架されているワイヤ部材と、
を備えることを特徴とするALC補強鉄筋籠持上げ補助装置。
【請求項2】
前記ワーク台と第2昇降フレームとは、ワーク台の重心に対して鉛直線上にある1点で、ピン支持により接続され、これによりワーク台が第2昇降フレームに対して揺動可能であることを特徴とする請求項1に記載のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置。
【請求項3】
前記メインフレームの下端部底面に、キャスターが配置されている請求項1または2に記載のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置。
【請求項4】
前記メインフレームの下端部底面の四隅に、幅方向の一方側に進行方向に沿って2つの固定キャスターが、幅方向の他方側に進行方向に沿って2つの旋回キャスターがそれぞれ配置され、かつ、昇降旋回キャスターが、前記2つの固定キャスターの進行方向略中間位置に配置されており、
前記固定キャスターは、回転面が進行方向に沿うように回転軸が前記底面に固定され、
前記旋回キャスターは、回転軸が該底面と平行な状態で回転自在に前記底面に固定され、
前記昇降旋回キャスターは、回転軸が底面に対して昇降自在であり、かつ、回転軸が底面と平行な状態で回転自在に前記底面に固定され、さらに、該昇降旋回キャスターを底面に対して最も遠い位置と最も近い位置で固定する昇降ロック機構を備え、該昇降旋回キャスターが底面に対して最も遠い位置で固定される状態では、2つの旋回キャスターおよび昇降旋回キャスターが接地し、昇降旋回キャスターが底面に対して最も近い位置で固定される状態では、2つの固定キャスターおよび2つの旋回キャスターが接地することを特徴とする請求項1または2に記載のALC補強鉄筋籠持上げ補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−173120(P2009−173120A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12744(P2008−12744)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(399117730)住友金属鉱山シポレックス株式会社 (195)
【Fターム(参考)】