説明

C−KITおよびPDGFR受容体を調節するための組成物および方法

本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用である化合物およびその医薬組成物、ならびに異常なまたは無秩序なキナーゼ活性と関連する状態を処置、改善または予防するためのこのような化合物を使用するための方法を提供する。いくつかの態様において、本発明は、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型の異常活性化を含む疾患または障害を処置、改善または予防するためのこのような化合物を使用するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年10月20日出願の米国仮出願番号60/862,430の利益を主張する(これを出典明示によりその全体を本出願に包含させる)。
【0002】
技術分野
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤およびこのような化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
タンパク質キナーゼは、広範囲の細胞過程の制御ならびに細胞機能の制御の維持の中心的役割を有する、タンパク質の大きなファミリーを代表する。これらのキナーゼの部分的、非限定的リストは下記を含む:受容体チロシンキナーゼ、例えば、血小板由来増殖因子受容体キナーゼ(PDGFR)、幹細胞増殖因子受容体(c−kit)、神経増殖因子受容体(trkB)、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR3)およびコロニー刺激因子1受容体(CSF1R);非受容体チロシンキナーゼ、例えば、Abl、融合キナーゼBCR−Abl、Fes、LckおよびSyk;ならびにセリン/スレオニンキナーゼ、例えば、b−RAF、MAPキナーゼ(例えば、MKK6)ならびにSAPK2β。異常なキナーゼ活性は、良性および悪性増殖性障害ならびに免疫系および神経系の不適切な活性化に由来する疾患を含む、多くの疾患状態で観察されている。
【発明の概要】
【0004】
発明の開示
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用であり得る化合物およびその医薬組成物を提供する。
【0005】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化1】

〔式中、
YおよびZは、独立して、CRまたはNであり;
Lは、NR−C(O)、C(O)NR、C(O)NRC(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)NRC(O)、NRC(S)NRCO、NRS(O)0−2またはNRCONRS(O)0−2であり;
およびRは、独立して、ハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSRまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、(CR、(CR1−4OR、(CR1−4NRまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、(CR、(CRORまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、H、ハロまたはC1−6アルキルであり;
は、所望により置換されているC3−7シクロアルキルまたは所望により置換されている5−12員アリール、ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
およびRは、独立して、H、(CRNR、(CROR、(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであるか;または、RおよびRは、それぞれのNRにおけるNと一体となって、所望により置換されている環を形成してもよく;
は、H、(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
それぞれのRは、Hまたは所望によりN、O、=O、Sで置換されているか、または置き換わっている炭素を有するC1−6アルキルであるか;または、(CRの2個のアルキレン基は、アルケニルまたはアルキニルを形成してもよく;
それぞれの所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルは、所望によりハロゲン化されているか、または所望によりN、OまたはSで置換されており;
kは0−6であり;そして、
nは0−2である;
ただし、Rがハロ、(CRNRまたはC5−8ヘテロシクロアルキルであり、そして、RがC1−6アルキルであるとき、LはC(O)NRC(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)NRC(O)、NRC(S)NRCOまたはNRCONRS(O)0−2である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
上記式(1)において、YがCHであり得る。他の例において、ZがNである。さらなる他の例において、nが1であり;そして、RがハロまたはC1−6アルキルである。
【0007】
上記式(1)において、RがC1−6アルキル、(CRO(C1−6アルキル)または(CRであり得;
が、所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたはN、OまたはSを含む5−12員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;そして、
kが0−4である。
【0008】
1つの態様において、本発明は、式(2):
【化2】

〔式中、Rは、ハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSRまたは所望により置換されているC1−6アルキルもしくはC2−6アルケニルであり;
は、C1−6アルキル、(CR)R6’、(CR1−4ORまたは(CR1−4NRであり;
は、ハロまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル、(CRO(C1−6アルキル)または(CRであり;
6’は、所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたは、N、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
は、所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたはN、OまたはSを含む5−12員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
、RおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;または、RおよびRは、一体となって、所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成し;そして、
それぞれのkは0−4である〕
で示される化合物を提供する。
【0009】
上記式(2)において、R6’が、所望により、ハロまたは所望によりハロゲン化されているC1−6アルキルで置換されていてもよく;そして、Rが、所望により1個以上の下記定義の置換基で置換されていてもよい。
【0010】
他の態様において、本発明は、式(3):
【化3】

で示される化合物を提供する。
【0011】
上記式(1)、(2)または(3)において、Rが、ハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSRまたは所望により置換されているC1−6アルキルもしくはC2−6アルケニルであり;
が、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、(CR、(CR1−4ORまたは(CR1−4NRであり;
が、フェニル、C3−7シクロアルキルまたは、N、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり、これらそれぞれは、所望によりハロまたは所望によりハロゲン化されているC1−6アルキルで置換されており;
、RおよびRが、独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;または、RおよびRが、一体となって、所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成してもよく;そして、
それぞれのkが0−4である。
【0012】
上記式(1)、(2)および(3)における適当な5−12員ヘテロ環またはヘテロアリールR基の例は、チアゾリル、チエニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、アゼチジニル、チアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾジオキソリル、インダゾリル、インドリル、インデニル、ジヒドロインデニルまたはジヒドロベンゾフランを含み、これに限定されない。
【0013】
適当なR10基の例は、所望により置換されているフェニル、ピペラジン−2−オニル、モルホリニル、チアゾリル、チエニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾリル、イミダゾリジン−2−オニル、ピラゾリル、フラニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、アゼチジニル、チアジアゾリルまたはテトラヒドロピラニルを含み、これに限定されない。
【0014】
上記式(1)、(2)および(3)において、所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルのそれぞれが、所望によりハロゲン化されているか、または所望によりN、OまたはS(例えば、ヒドロキシル、ウレアイルまたはグアニジニル)で置換されていてもよい。
【0015】
上記式(1)、(2)および(3)において、該所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたはN、OまたはSを含む5−12員ヘテロ環もしくはヘテロアリールのそれぞれが、所望によりハロ、シアノ、ニトロ、NR、NRCOR、NRCO(CRNR、NRCONR(CRNR、(CROR、(CR10および所望によりハロ、ヒドロキシル、C1−6アルコキシまたはシアノで置換されているC1−6アルキルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
それぞれのRが、Hまたは所望によりN、O、=O、Sで置換されているか、または置き換わっている炭素を有するC1−6アルキルであるか;または、(CRの2個のアルキレン基が、アルケニルまたはアルキニルを形成してもよく;
およびRが、独立して、H、C1−6アルキルまたは(CR−R10であるか;または、RおよびRが、それぞれのNRにおけるNと一体となって、所望により置換されている環を形成してもよく;
が、H、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキルまたは(CR10であり;
10が、C3−7シクロアルキル、アリールまたはN、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり、これらそれぞれは、所望により1個以上の該置換基で置換されており;そして、
pが0−4である。
【0016】
他の局面において、本発明は、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
さらに他の局面において、本発明は、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物を必要とする系または対象に投与し、キナーゼ活性を調節する、キナーゼ活性を調節するための方法を提供する。1つの態様において、本発明は、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型を調節するための方法を提供する。他の態様において、本発明は、インビトロまたはインビボでc−kit、PDGFRαまたはPDGFRβと直接接触させ得る、c−kit、PDGFRα、PDGFRβまたはそれらの変異型を調節するための方法を提供する。
【0018】
本発明は、また、キナーゼ活性の調節が疾患または状態の病状および/または総体症状を予防、阻害または改善することができる疾患または状態を処置するための方法であって、系または対象に、所望により治療有効量の第2の薬剤と組み合わせられた、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。第2の薬剤を共に投与するとき、式(1)、(2)または(3)の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物は、第2の薬剤に対して前、同時、後に投与され得る。1つの例において、第2の薬剤は、気管支拡張剤、抗炎症剤、ロイコトリエンアンタゴニストまたはIgE遮断剤である。
【0019】
1つの態様において、本発明は、系または対象に、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物を投与することを含む、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型が介在する疾患または状態を処置するための方法を提供する。特定の例において、本発明は、c−kit、PDGFRαまたはPDGFRβまたはそれらの変異型が介在する疾患または状態を処置するための方法を提供する。
【0020】
本発明の化合物および組成物を使用して介在され得るキナーゼ介在疾患または状態の例は、新生物障害、アレルギー障害、炎症性疾患、過敏性腸症候群(IBS)、自己免疫性疾患、移植片対宿主病、肥満細胞介在疾患、メタボリックシンドローム、CNS関連障害、神経変性障害、疼痛状態、薬物濫用障害、プリオン病、癌、心臓病、線維症、特発性肺高血圧(IPAH)、原発性肺高血圧(PPH)、神経膠腫および心血管疾患を含み、これに限定されない。
【0021】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る肥満細胞介在疾患の例は、アクネおよびアクネ菌、進行性骨化性線維異形成症(FOP)、化学または生物兵器(例えば、炭疽菌および硫黄マスタード)への暴露による炎症および組織破壊、嚢胞性線維症;腎臓疾患、炎症性筋疾患、HIV、II型糖尿病、脳虚血、肥満細胞症、黄斑変性症、鼻ポリープ、薬物依存および禁断症候群、CNS障害、髪喪失、細菌感染、間質性膀胱炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、不確定大腸炎および感染性大腸炎)、腫瘍血管形成、自己免疫性疾患、炎症性疾患、多発性硬化症(MS)、アレルギー性疾患(喘息を含む)および骨損失を含み、これに限定されない。
【0022】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る新生物障害の例は、肥満細胞症、消化管間質腫瘍、小細胞肺癌、非小細胞性肺癌、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌腫、胃癌腫、精巣癌、膠芽細胞腫および星状細胞腫を含み、これに限定されない。
【0023】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得るアレルギー障害の例は、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アナフィラキシー症候群、蕁麻疹、血管浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、皮膚壊死性細静脈炎、虫刺されによる皮膚炎症および吸血寄生虫侵入を含み、これに限定されない。
【0024】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る炎症性疾患の例は、リウマチ性関節炎、結膜炎、リウマチ様脊椎炎、骨関節症および痛風関節炎を含み、これに限定されない。
【0025】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る自己免疫性疾患の例は、多発性硬化症、乾癬、腸炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性、不確定または感染性大腸炎、クローン病、リウマチ性関節炎、多発性関節炎、局所または全身性強皮症、全身性エリテマトーデス、円板状紅斑性狼瘡、皮膚狼瘡、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、結節性汎動脈炎、自己免疫性腸疾患および増殖性糸球体腎炎を含み、これに限定されない。
【0026】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る移植片対宿主病の例は、臓器移植、例えば、腎臓移植、膵臓移植、肝臓移植、心臓移植、肺移植および骨髄移植の移植片拒絶反応を含み、これに限定されない。
【0027】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得るメタボリックシンドロームの例は、I型糖尿病、II型糖尿病および肥満を含み、これに限定されない。
【0028】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得るCNS関連障害の例は、鬱病、気分変調性障害、気分循環性障害、食欲不振、過食症、月経前症候群、月経後症候群、精神機能低下、集中力低下、苦労性(pessimistic worry)、激越、自己非難および性欲減退、不安障害、精神疾患および統合失調症を含み、これに限定されない。
【0029】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る鬱病状態の例は、双極性鬱病、重度またはメランコリー型鬱病、非定型鬱病、難治性鬱病および季節性鬱病を含み、これに限定されない。本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る不安障害の例は、過呼吸と心臓不整脈を伴う不安、恐怖性障害、強迫神経症、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害および全般性不安障害を含み、これに限定されない。本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る精神疾患の例は、精神病を含むパニック発作、妄想性障害、転換性障害、恐怖症、躁病、錯乱状態、解離性健忘、解離性遁走および解離性自殺行動を含む解離性の発症、自虐(self-neglect)、暴力性もしくは攻撃性行動、心的外傷、境界性人格障害、および急性精神病、例えば、妄想型統合失調症、解体型統合失調症、緊張型統合失調症および鑑別不能型統合失調症を含む統合失調症を含み、これに限定されない。
【0030】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る神経変性障害の例は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン疾患、運動ニューロン疾患(MND)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含み、これに限定されない。
【0031】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る疼痛状態の例は、急性疼痛、術後疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、癌疼痛、神経障害性疼痛および心因性疼痛症候群を含み、これに限定されない。
【0032】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る薬物使用障害の例は、薬物耽溺、薬物濫用、薬物嗜癖、薬物依存、退薬症候群および過剰摂取を含み、これに限定されない。
【0033】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る癌の例は、黒色腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌および他の固形腫瘍を含み、これに限定されない。
【0034】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る線維症の例は、心臓線維症、C型肝炎(HCV)、肝臓線維症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、肝硬変症、肺線維症および骨髄線維症を含み、これに限定しない。
【0035】
本発明の化合物および組成物を使用して処置され得る心臓疾患の例は、狭心症、心筋梗塞、鬱血性心不全、心筋症、高血圧、動脈狭窄および静脈狭窄を含み、これに限定されない。
【0036】
1つの態様において、式(1)、(2)または(3)を有する化合物は、過好酸球増加症、線維症、肺高血圧、神経膠腫および心血管疾患を処置するために使用してもよい。
【0037】
さらに、本発明は、キナーゼ、特にc−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型の活性により調節される疾患または状態の処置のための薬物の製造における、所望により治療有効量の第2の薬剤と組み合わせた、式(1)、(2)または(3)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物の使用を提供する。特定の態様において、本発明の化合物は、PDGFRα、PDGFRβ、c−kitキナーゼ受容体またはそれらの変異型により調節される疾患または状態の処置のための薬物の製造において使用される。
【0038】
本発明の化合物を使用するための上記方法において、式(1)、(2)または(3)を有する化合物を細胞または組織を含む系に投与し得る。他の態様において、式(1)、(2)または(3)を有する化合物をヒトまたは動物対象に投与し得る。
【0039】
定義
基および他の基、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシの構造成分としての“アルキル”は、直鎖または分岐鎖であり得る。本明細書で使用される所望により置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、所望によりハロゲン化されているか(例えば、CF)、または、ヘテロ原子、例えば、NR、OまたはSで置換されている、または、置き換えられている1個以上の炭素を有しても良い(例えば、−OCHCHO−、アルキルチオール、チオアルコキシ、アルキルアミン等)。
【0040】
“アリール”は炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチルであり得る。“アリーレン”はアリール基から生じる二価のラジカルを意味する。
【0041】
“ヘテロアリール”は1個以上の環員がヘテロ原子であるときの上記アリールを定義する。ヘテロアリールの例は、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含み、これに限定されない。
【0042】
本明細書で使用される“炭素環式環”は、所望により、例えば、=Oで置換されていてもよい、炭素原子を含む飽和または部分的に不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環を意味する。炭素環式環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどを含み、これに限定されない。
【0043】
本明細書で使用される“ヘテロ環式環”は、1個以上の環炭素がヘテロ原子であるときの上記炭素環式環を定義する。例えば、ヘテロ環式環は、N、O、S、N=、S、S(O)、S(O)またはNRを含んでよく、ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは保護基であり得る。ヘテロ環式環の例は、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イルなどを含み、これに限定されない。
【0044】
他に記載のない限り、置換基が“所望により置換”されていると考えられるとき、それは、置換基が、個々に、かつ独立して、例えば、所望により、ハロゲン化されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、モノおよびジ置換アミノ基を含むアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環式、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、ヒドロキシ、イソシアネート、イソチオシアネート、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアネート、トリハロメタンスルホニルおよびそれらの保護された化合物から選択される1個以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記置換基の保護された化合物を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、そして、文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999、およびKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994で見つけることができる(これらを出典明示によりそれらの内容を本明細書に包含させる)。
【0045】
本明細書で使用される“共投与”または“組合せ投与”などの用語は、個々の患者に選択された治療剤を投与することを含むことを意味し、そして必ずしも薬剤が同じ投与経路によりまたは同時に投与されない処置レジメンを含むことを意図する。
【0046】
本明細書で使用される“薬学的組合せ”なる用語は、活性成分の混合または組合せから得られる生産物を意味し、そして活性成分の固定された組合せおよび固定されていない組合せの両方を含む。“固定された組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、単一の物または投与形で同時に患者に投与されることを意味する。“固定されていない組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、同時に、共にまたは特定の時間制限なしに連続してのいずれかで、別々の物として投与することを意味し、このような投与は、治療有効量の活性成分を患者の体内に提供する。後者は、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも適用する。
【0047】
“治療有効量”なる用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により求められる、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトの生物または医学応答を誘導する対象化合物の量を意味する。
【0048】
対象化合物の“投与”または“投与する”なる用語は、処置を必要とする対象に本発明の化合物およびそのプロドラッグを提供することを意味する。
【0049】
“BCR−Ablの変異型”は、野生型配列からの1個以上のアミノ酸変化を意味する。変異の第1の群(G250E、Q252R、Y253F/H、E255K/V)はATPのためのリン酸結合ループ(Pループとしても既知)を形成するアミノ酸を含む。変異の第2の群(M351T、E355G)は触媒ドメインの近くに集中する。変異の第3の群(H396R/P)はキナーゼ活性化/非活性化を調節する分子スイッチである構造である活性ループに位置する。変異の第4の群(V289A、F311L、T315I、F317L)が、また、報告されている。特に明記しない限り、Bcr−Ablは本酵素の野生型および変異型を意味する。
【0050】
本発明の実施モード
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用であり得る化合物およびその医薬組成物を提供する。
【0051】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化4】

〔式中、
YおよびZは、独立して、CRまたはNであり;
Lは、NR−C(O)、C(O)NR、C(O)NRC(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)NRC(O)、NRC(S)NRCO、NRS(O)0−2またはNRCONRS(O)0−2であり;
およびRは、独立して、ハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSRまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、(CR、(CR1−4OR、(CR1−4NRまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、(CR、(CRORまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、H、ハロまたはC1−6アルキルであり;
は、所望により置換されているC3−7シクロアルキルまたは所望により置換されている5−12員アリール、ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
およびRは、独立して、H、(CRNR、(CROR、(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであるか;または、RおよびRは、それぞれのNRにおけるNと一体となって、所望により置換されている環を形成してもよく;
は、H、(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
それぞれのRは、Hまたは所望によりN、O、=O、Sで置換されているか、または置き換わっている炭素を有するC1−6アルキルであるか;または、(CRの2個のアルキレン基は、アルケニルまたはアルキニルを形成してもよく;
それぞれの所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルは、所望によりハロゲン化されているか、または所望によりN、OまたはSで置換されており;
kは0−6であり;そして、
nは0−2である;
ただし、Rがハロ、(CRNRまたはC5−8ヘテロシクロアルキルであり、そして、RがC1−6アルキルであるとき、LはC(O)NRC(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)NRC(O)、NRC(S)NRCOまたはNRCONRS(O)0−2である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0052】
1つの態様において、本発明は、式(2):
【化5】

〔式中、Rは、ハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSRまたは所望により置換されているC1−6アルキルもしくはC2−6アルケニルであり;
は、C1−6アルキル、(CR)R6’、(CR1−4ORまたは(CR1−4NRであり;
は、ハロまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル、(CRO(C1−6アルキル)または(CRであり;
6’は、所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたは、N、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
は、所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたはN、OまたはSを含む5−12員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
、RおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;または、RおよびRは、一体となって、所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成し;そして、
それぞれのkは0−4である〕
で示される化合物を提供する。
【0053】
他の態様において、本発明は、式(3):
【化6】

で示される化合物を提供する。
【0054】
上記式(1)、(2)または(3)において、R、RおよびRのための他の置換基は、当業者に既知のものを使用できる。例えば、RおよびRは、シアノ、ニトロまたは他の電子求引性または電子供与性置換基であってよい。
【0055】
式(1)、(2)または(3)を有する化合物は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用であり得る。例えば、式(1)、(2)または(3)を有する化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、N−オキシド、プロドラッグおよび異性体は、キナーゼ介在状態または疾患、例えば、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型が介在する疾患の処置のために使用し得る。
【0056】
本発明の化合物は、また、タンパク質キナーゼが介在する状態、例えば、c−kit、PDGFRαまたはPDGFRβ−介在状態を改善するために第2の治療剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの態様において、本発明の化合物は、喘息を処置するために第2の治療剤と組み合わせて使用され得る。例えば、第2の治療剤は、気管支拡張剤、抗炎症剤、ロイコトリエンアンタゴニストまたはIgE遮断剤であり得る。
【0057】
本発明の化合物は、また、リンパ腫、骨肉腫、黒色腫または乳房、腎臓、前立腺、結腸直腸、甲状腺、卵巣、膵臓、神経、肺、子宮または消化器の腫瘍を含み、これに限定されない細胞増殖性障害を処置するために、化学療法剤と組み合わせて使用し得る。本発明の組成物および方法で使用され得る化学療法剤の例は、アントラサイクリン、アルキル化剤(例えば、マイトマイシンC)、スルホン酸アルキル、アジリジン、エチレンイミン、メチルメラミン、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、抗生物質、代謝拮抗剤、葉酸類似体(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤、例えば、メトトレキサート)、プリン類似体、ピリミジン類似体、酵素、ポドフィロトキシン、プラチン含有剤、インターフェロンおよびインターロイキンを含み、これに限定されない。本発明の組成物および方法で使用され得る既知の化学療法剤の特定の例は、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン、ベンゾデパ、カルボクオン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、トリメチロロメラミン、クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロルエタミン、塩酸メクロルエタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、アクラシノマイシン、アクチノマイシンF(1)、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ダウノマイシン、6−ジアゾ−5−オキソ−1−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアナイン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、フルオロウラシル、テガフール、L−アスパラギナーゼ、パルモザイム、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、アンサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、カルボプラチン、シスプラチン、デホファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エルホルニチン、酢酸エリプチニウム、エトグルシド、エトポシド、フルタミド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、ロニダミン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ポドフィリン酸、2−エチルヒドラジド、プロカルバジン、ラゾキサン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、パクリタキセル、タモキシフェン、テニポシド、テヌアゾン酸、トリアジクオン、2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンを含み、これに限定されない。
【0058】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、タンパク質チロシンキナーゼの活性を調節し、タンパク質チロシンキナーゼ、特にc−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型が疾患の病状および/または総体症状に関与する疾患または障害の処置に有用である。
【0059】
c−Kit
肥満細胞は、CD34、c−kitおよびCD13抗原を発現する造血幹細胞の特定のサブセット由来の組織要素である。肥満細胞は、組織の位置および構造に関してのみでなく、機能および組織化学レベルでの不均一性により特徴付けられる。未成熟な肥満前駆細胞は血流中を循環し、種々の組織に分化される。これらの分化および増殖プロセスはサイトカインの影響下にあり、その中の重要な1つはKitリガンド、Steel因子または肥満細胞増殖因子とも呼ばれる幹細胞因子(SCF)である。幹細胞因子受容体は、造血前駆細胞、肥満細胞、胚細胞、カハールの間質細胞(ICC)およびいくつかのヒト腫瘍で発現され、また、非造血細胞によっても発現されるプロトオンコジーンc−kitによりコードされている。
【0060】
チロシンキナーゼは、ATPの末端リン酸塩をタンパク質のチロシン残基に移動させ、シグナル形質導入経路を活性化または不活性化させる受容体型または非受容体型タンパク質である。幹細胞因子受容体であるc−kitは、SCFとの結合により細胞増殖および増殖シグナル形質導入カスケードを開始する3型膜貫通受容体タンパク質チロシンキナーゼである。c−kit受容体とSCFが結合すると、その二量体化、次にそのトランスリン酸化を誘導し、種々の細胞質内基質の補充および活性化を引き起こす。これらの活性化した基質は、細胞増殖および活性化に関与する多数の細胞内シグナル伝達経路を誘導する。これらのタンパク質は、崩壊の場合、異常細胞増殖および移動のような障害、ならびに炎症を引き起こす、多数の細胞メカニズムに関与することが既知である。本発明の化合物は、SCFに関連する細胞過程を阻害し得る、例えば、MAPKキナーゼ(マイトージェン−活性タンパク質キナーゼ)のSCF受容体自己リン酸化およびSCF刺激活性化を阻害する。
【0061】
c−kit受容体タンパク質チロシンキナーゼの活性は、正常細胞で制御されており、c−kit遺伝子産物の正常機能活性は正常造血、メラニン形成、遺伝子形成ならびに肥満細胞の増殖および分化の維持に対して重要である。正常細胞生理学活性におけるその重要性に加えて、c−kitは、あるヒト癌の生物学的局面における役割を果たし、非制御c−kitキナーゼ活性は、ヒト癌およびある型の腫瘍の病因に関連する。c−kitが介在する腫瘍細胞増殖は、リガンド独立活性化で起こるc−kitポリペプチドの特定の変異または受容体の自己分泌刺激により起こる。前記の場合において、SCF結合なしでc−kitキナーゼ活性の構成的活性化を引き起こす変異は、胚細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、消化管間質腫瘍、小細胞肺癌、黒色腫、乳癌、急性骨髄性白血病、神経芽腫および肥満細胞症を含む悪性ヒト癌と関連している。
【0062】
患者の組織に存在する肥満細胞は、疾患、例えば、自己免疫性疾患(多発性硬化症、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患(IBD))、アレルギー性疾患(アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎および喘息)、腫瘍血管形成、炎症性疾患および間質性膀胱炎の発症に関連するか、または発症の一因となる。これらの疾患において、肥満細胞は、異なるプロテアーゼおよびメディエーター、例えば、ヒスタミン、中性プロテアーゼ、脂質由来メディエーター(プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエン)および種々のサイトカイン(IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、TNF−A、GM−CSF、MIP−LA、MIP−lb、MIP−2およびIFN−y)の混合物を放出することにより組織の破壊に関与する。
【0063】
ヒトは、現代社会において、アレルギー性疾患、例えば、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎および喘息にますます苦しめられている。例えば、USAのみで、8700万人以上のヒトがいくつかの型のアレルギー性疾患に対処していると概算される。これらのアレルギー性疾患は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アナフィラキシー症候群、蕁麻疹、血管浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、皮膚壊死性静脈炎および虫刺されによる皮膚炎症を含むが、気管支喘息が、ヒトを非常に苦しめているもっとも一般的で再発性の疾患である。
【0064】
喘息は、気流閉塞、気管支過敏症および気道炎症により特徴付けられる。気道炎症は喘息の発症および永続化における主な因子である。アレルギー性喘息において、アレルゲンがアレルゲン特異的IgEの生産をするTリンパ球介在応答(TH2)を誘導することにより炎症プロセスを開始すると考えられている。IgEはその高親和性受容体である肺肥満細胞のFcεRIに結合し、I型(IgE−介在)即時アレルギー反応を引き起こす。
【0065】
肥満細胞活性化は、種々のエフェクター応答、例えば、アレルギー性メディエーター、プロテアーゼ、ケモカイン、例えば、MCP−1およびRANTES、ロイコトリエン、プロスタグランジンおよびニューロトロフィンの分泌;およびサイトカイン遺伝子転写の誘導(IL−4、IL−5、IL−6、IL−13、TNFAおよびGM−CSF)を誘導する。これらのメディエーターは、内皮細胞、平滑筋細胞および繊維芽細胞ならびに細胞外マトリックスに対する効果により、そして他の炎症細胞を招集することにより、喘息表現型の形成に寄与する。
【0066】
肥満細胞は、ヒト化抗IgEモノクローナル抗体処理により示唆されるとおり喘息において役割を果たし得る。抗IgE治療の原理は、IgEを特異的に標的とし、遊離抗IgEが不活性化させ、さらなるIgE生産を停止させる。加えて、IgEレベルがIgE受容体であるFcεRIの発現レベルの主なレギュレーターであるため、この治療の1つの目的は肥満細胞および好塩基球でのFcεRI発現を減少させ、結果として、活性化されるこれらの細胞の能力を減少させることである。FcεRI発現を減少させるための抗IgEの能力を好塩基球で証明した。好塩基球におけるFcεRI発現の減少は、好塩基球が活性化によりメディエーターを分泌する能力の減少と関連する。
【0067】
C−kit阻害剤は、また、インスリンが細胞によるグルコース吸収の促進において効果がなく、血中のグルコース濃度が増加するときに現れる慢性疾患である、II型糖尿病としても知られている非インスリン依存糖尿病(NLDDM)の処置において使用され得る。この疾患は世界で約1億人が罹患しており、この75%は診断時に肥満である。長年にわたる、グルコース吸収制御の衰えがII型糖尿病を発症させ、血中グルコース濃度を医薬で制御することが必要となる。最終的に、制御されていない血中グルコース濃度は、血管、腎臓および眼損傷、ならびに心臓疾患に関与する。この組織損傷が糖尿病患者の死亡の一因となる。
【0068】
加えて、異なる刺激、例えば、ストレス、外傷、感染ならびに神経伝達物質による肥満細胞の活性化は、CNS障害を引き起こす化学的不均衡の悪化に関与し得る。より具体的には、肥満細胞脱顆粒は、一般的な神経伝達物質、例えば、ニューロテンシン、ソマトスタチン、サブスタンスPおよびアセチルコリンにより、成長または生存因子、特に、例えば、NGFにより刺激される。このような刺激への応答に関連している肥満細胞は脳肥満細胞であり得るだけでなく、最終的に感覚、運動または脳のニューロンに到達する血流にそれらの顆粒の内容物を放出する他の肥満細胞であり得る。脳肥満細胞染色はCTMC染色様であるが、それらが特異性を提示する肥満細胞の特定のサブセットを構成することを意味するMMCの分泌パターンを示す。
【0069】
肥満細胞活性化後、放出された顆粒は神経伝達およびニューロン生存を調節および変化させることができる種々の因子を遊離する。このような因子中で、遊離セロトニンレベルの増加が鬱病患者で観察されているため、セロトニンは重要である。あるいは、セロトニンの突然の増加に続いてセロトニン不足が起こり、疼痛および偏頭痛に至り得る。結果として、肥満細胞がオートクリンまたはパラクリン作用で神経伝達の脱制御を悪化させると考えられている。神経伝達物質、例えば、セロトニンの、例えば、不安またはストレス誘導放出は肥満細胞を活性化させ、それが次にこれらの顆粒の内容物を放出し、さらにCNS障害を引き起こす脳の化学的不均衡に関与する。
【0070】
肥満細胞により放出される他のメディエーターは血管作用性、侵害受容性、炎症性および他の神経伝達物質に分類できる。統合すると、これらの因子は、感覚ニューロンであれ、運動ニューロンであれ、CNSニューロンであれ、ニューロンの活性の顕著な妨害を誘導することができる。加えて、肥満細胞症に罹患している患者は、正常集団より多くCNS障害を発症する傾向がある。これは、肥満細胞の脱顆粒および化学的不均衡および神経伝達変化に関与する因子の突発を誘導するc−kit受容体の活性化変異の存在により説明することができる。
【0071】
いくつかの場合において、活性化された肥満細胞は、また、種々のプロテアーゼと、予め形成された顆粒関連メディエーター(ヒスタミン、プロテオグリカンおよび中性プロテアーゼ)、脂質由来メディエーター(プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエン)および種々のサイトカイン(IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、TNF−A、GM−CSF、MIP−LA、MIP−lb、MIP−2およびIFN−y)の3群に分類されるメディエーターの混合物を放出することにより神経組織の破壊に関与できる。活性化された肥満細胞によるメディエーター(TNF−A、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなど)ならびにプロテアーゼの放出は、i)炎症および血管拡張を誘導し、そしてii)神経組織破壊プロセスに関与し得る。c−kit活性の阻害は細胞増殖を減少させ、疾患および/または状態に関与する肥満細胞を枯渇させ、それにより、c−kit依存疾患および/または状態、例えば、CNS障害の処置におけるc−kitの阻害剤の使用の役割を示唆する。
【0072】
肥満細胞は、また、薬物依存および退薬症状に関与するか、または一因であるとも同定されている。薬物依存は、薬物の最大効果を維持するために薬物用量を増加する必要性がある耐性と呼ばれる現象の、および薬物に対する身体の慣れである身体的依存性の結果である。薬物摂取が停止すると、個体は不快な退薬症候群を経験し得る。
【0073】
サリチル酸誘導体、モルヒネ誘導体、オピオイド、ヘロイン、アンフェタミン、アルコール、ニコチン、鎮痛剤、麻酔剤および抗不安剤を含むが、これに限定されない種々の薬物による肥満細胞の活性化は、薬物嗜癖および退薬症候群を担う化学的不均衡の悪化に関与する肥満細胞の脱顆粒を引き起こす。肥満細胞の活性化後、放出された顆粒は神経伝達を調節および変化させることができる種々の因子を遊離させる。このような因子中で、モルヒネは、肥満細胞顆粒中に捕捉され、貯留される。タバコ煙は、また、イヌ科肥満細胞からメディエーターの放出を誘導し、プロスタグランジン生産を変化させ、喘息に至る。加えて、肥満細胞症に罹患している患者は、正常集団よりも物質使用障害を発症する傾向がある。これは、肥満細胞の脱顆粒および化学的不均衡および神経伝達変化を誘導する因子の突発を誘導するc−kit受容体の活性化変異の存在により説明することができる。
【0074】
現在、これらの物質嗜癖から抜け出すために、個体に対して救済および助けを提供する処置はない。C−kit阻害剤は、肥満細胞を枯渇することができる化合物をこのような処置を必要とするヒトに投与することを含む、薬物濫用障害、特に薬物耽溺、薬物濫用、薬物嗜癖、薬物依存、退薬症候群および過剰摂取を処置するために使用され得る。
【0075】
c−KitはPDGF受容体およびCSF−1受容体(c−Fms)とかなりの相同性を有する。種々の赤血球性および骨髄性細胞系の研究は、分化の早期段階でのc−Kit遺伝子の発現を示す(Andre et al., Oncogene 1989 4:1047-1049)。特定の腫瘍、例えば、膠芽細胞腫細胞は同様にc−Kit遺伝子の顕著な発現を示す。
【0076】
PDGF(血小板由来増殖因子)
PDGF(血小板由来増殖因子)は、一般的に存在する増殖因子であり、正常増殖および、発癌および血管の平滑筋細胞の疾患、例えばアテローム性動脈硬化症および血栓症で見られるような、病的細胞増殖の両方において重要な役割を果たす。本発明の化合物は、PDGF受容体(PDGFR)活性を阻害し得、したがって、神経膠腫、肉腫、前立腺腫瘍、および結腸、乳房および卵巣の腫瘍のような腫瘍疾患の処置に適当であり得る。
【0077】
本発明の化合物は、例えば小細胞肺癌における腫瘍阻害物質としてだけでなく、またアテローム性動脈硬化症、血栓症、乾癬、強皮症および線維症のような非悪性増殖性障害の処置剤としても使用し得る。本発明の化合物は、また、例えば、5−フルオロウラシルのような化学療法剤の血液毒性作用と戦うための幹細胞の保護に有用であり;そして、また、喘息および過好酸球増加症の処置のために有用であり得る。本発明の化合物は、とりわけPDGF受容体キナーゼの阻害に応答する疾患の処置に有用であり得る。
【0078】
本発明の化合物は、移植、例えば、同種移植に起因する障害、とりわけ閉塞性細気管支炎(OB)、すなわち同種肺移植の慢性拒絶のような、組織拒絶反応の処置に有効であることを示し得る。OBのない患者と比較して、OBを有する者は、しばしば気管支肺胞洗浄液中のPDGF濃度の上昇を示す。
【0079】
本発明の化合物は、また、線維症ならびに再狭窄およびアテローム性動脈硬化症のような、血管平滑筋細胞移動および増殖(PDGFおよびPDGFRがしばしば役割を果たす場所である)が関連する疾患に対して有用であり得る。血管平滑筋細胞の増殖または移動に対するインビトロおよびインビボでのこれらの効果およびそれらの結果は、本発明の化合物の投与により、またインビボでの血管内膜の機械的損傷後の肥厚に対する影響の試験により証明し得る。
【0080】
CSF1R(FMS)
この遺伝子によりコードされるタンパク質は、マクロファージの生産、分化および機能を制御するサイトカインである、コロニー刺激因子1に対する受容体である。CSFR1は、このサイトカインの生物学的効果の全部ではないにしてもほとんどを介在する。コードされたタンパク質は、チロシンキナーゼ膜貫通受容体およびチロシン−タンパク質キナーゼのCSF1/PDGF受容体ファミリーメンバーである。この遺伝子の変異は骨髄性悪性腫瘍の素因と関連している(例えば、Casas et al., Leuk. Lymphoma 2003, 44:1935-41参照)。
【0081】
Abl、Trk、Syk、Ras、Raf、MAPK、TGFβ、FGFR3、c−Src、SAPK、Lck、Fes、Csk
アベルソンチロシンキナーゼ(すなわちAbl、c−Abl)は、細胞サイクルの制御、遺伝毒性ストレスに対する細胞応答、およびインテグリンシグナル伝達を介した細胞環境についての情報伝達に関与する。Ablタンパク質は、種々の細胞外および細胞内供給源からのシグナルを統合し、細胞サイクルおよびアポトーシスに関する決定に影響を与える、細胞性モジュールとして複雑な役割を果たしているように見える。アベルソンチロシンキナーゼは、脱制御されたチロシンキナーゼ活性を伴うキメラ融合体(オンコプロテイン)BCR−Ablまたはv−Ablのようなサブタイプ誘導体を含む。
【0082】
融合タンパク質であるBCR−Ablは、AblプロトオンコジーンとBcr遺伝子を融合する相互転座の結果である。そうすると、BCR−Ablはマイトジェン活性の増加を介してB−細胞を形質転換することができる。この増加は、アポトーシスへの感受性を減少させ、CML前駆細胞の接着およびホーミングを変化させる。
【0083】
BCR−Ablは、95%の慢性骨髄性(myelogenous)白血病(CML)および10%の急性リンパ性白血病の病因において重要である。STI571(GLEEVEC(登録商標))は発癌性BCR−Ablチロシンキナーゼの阻害剤であり、慢性骨髄性(myeloid)白血病(CML)の処置に使用されている。しかしながら、CMLの急性転化期にある患者の幾分かは、BCR−Ablキナーゼの変異により、STI−571に耐性である。22を超える変異が今日までに報告されており、例えば、G250E、E255V、T315I、F317LおよびM351Tである。
【0084】
本発明の化合物は、ablキナーゼ、例えば、v−ablキナーゼを阻害し得る。本発明の化合物はまた野生型BCR−AblキナーゼおよびBCR−Ablキナーゼの変異を阻害し得、故に、白血病(とりわけアポトーシス作用の機構が見られるとき、とりわけ慢性骨髄性(myeloid)白血病および急性リンパ芽球性白血病)のようなBcr−abl−陽性癌および腫瘍疾患の処置に適当であり得る。本発明の化合物は、また、白血病性幹細胞に対する効果を示し、これらの細胞を、該細胞を摘出した後(例えば、骨髄摘出)インビトロで精製し、これらの細胞を、それらが癌細胞から浄化された後に再移植する(例えば、精製骨髄細胞の再移植)ために有用であり得る可能性がある。
【0085】
ニューロトロフィン受容体のTrkファミリー(trkA、trkB、trkC)は、腫瘍細胞増殖および生存ならびに分化、遊走および転移を制御することができる。Trk受容体下流のシグナル伝達経路は、Shc、活性化Ras、ERK−1およびERK−2遺伝子を介するMAPK活性化のカスケードならびにPLC−γ形質導入経路を含む(Sugimoto et al., Jpn J Cancer Res. 2001, 92: 152-60)。Trkチロシンキナーゼが、例えば、乳房および前立腺癌を含む種々の癌の発症に関わっていることが証明されている(Guate et al., Expression of p75LNGFR and Trk Neurotrophin Receptors in Normal and Neoplastic Human Prostate, BJU Int. 1999, 84:495 502; Tagliabue et al., J. Biol Chem. 2000, 275:5388 5394)。さらに、Trkキナーゼシグナル伝達の媒介は有益な生物学的効果を提供する証拠がある(LeSauteur et al., Adv. Behav. Biol. 1998, 49:615 625; Zhu et al., (1999) J. Clin. Oncology, 1999, 17:2419 28; Friess et al., Annals of Surgery 1999, 230:615-24)。
【0086】
Sykは、肥満細胞の脱顆粒および好酸球の活性化において重要な役割を果たすチロシンキナーゼである。したがって、Sykキナーゼは種々のアレルギー性疾患、特に喘息に関与する。SykがN−末端SH2ドメインを介してFcεR1受容体のリン酸化されたガンマ鎖に結合し、下流シグナル伝達に重要であることが示されている。
【0087】
Ras−Raf−MEK−ERKシグナル伝達経路は増殖シグナルに対する細胞応答を仲介する。Rasはヒト癌の〜15%で癌形に変異する。Rafファミリーはセリン/スレオニンタンパク質キナーゼに属し、それは3個のメンバー、A−Raf、B−Rafおよびc−Raf(またはRaf−1)を含む。B−Rafは活性化Ras対立遺伝子の関与が必要でないある腫瘍の形成において重要な役割を有し得る(Nature 2002, 417:949-954)。B−Raf変異は悪性黒色腫の多くにおいて検出されている。
【0088】
黒色腫に対する既存の医薬的処置はとりわけ後期黒色腫に対してそれらの有効性が制限される。本発明の化合物は、また、b−Rafキナーゼと関連する細胞過程を阻害し、ヒト癌、とりわけ黒色腫の処置のための新規治療機会を提供する。
【0089】
マイトージェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)は転写因子、翻訳因子および種々の細胞外シグナルに応答する他の標的分子を活性化する保存されたシグナル伝達経路のメンバーである。MAPKはマイトージェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ(MKK)による配列Thr−X−Tyrを有する二重リン酸化モチーフでのリン酸化により活性化される。高等真核生物において、MAPKシグナル伝達の生理学的役割は細胞的事象、例えば、増殖、腫瘍形成、発生および分化と相関している。したがって、これらの経路を介して(特にMKK4およびMKK6を介して)シグナル伝達を調節する能力は、MAPKシグナル伝達と関連するヒトの疾患、例えば、炎症性疾患、自己免疫性疾患および癌に対する処置および予防治療の発達をもたらすことができた。
【0090】
それぞれ異なる遺伝子によりコードされているp38MAPKの多数の型(α、β、γ、δ)は、浸透ストレス、UV光およびサイトカイン介在事象を含む種々の刺激に対する細胞の応答に関与するキナーゼカスケードの部分を形成する。これらのp38の4つのイソ型は細胞内シグナル伝達の異なる局面を調節すると考えられる。その活性化は、炎症性サイトカイン様TNFαの合成および生産を引き起こすシグナル伝達事象のカスケードの部分である。P38は他のキナーゼおよび転写因子を含む下流の基質をリン酸化することにより機能する。p38キナーゼを阻害する薬剤は、TNFα、IL−6、IL−8およびIL−1βを含み、これに限定されないサイトカインの生産を妨害することを示した。
【0091】
末梢血単球(PBMC)は、インビトロでリポ多糖類(LPS)で刺激されたとき、炎症性サイトカインを発現および分泌することが示されている。P38阻害剤は、LPSでの刺激前にPBMCをこのような化合物であらかじめ処理したとき、効果的にこの作用を妨害する。P38阻害剤は炎症性疾患の動物モデルにおいて有効である。多数の疾患状態の破壊的作用は、炎症性サイトカインの過剰生産により引き起こされる。この過剰生産を調節するp38阻害剤の能力により、これらは疾患を調節する薬剤として有用である。
【0092】
p38機能を妨害する分子は、骨吸収、炎症ならびに他の免疫および炎症に基づく病状の阻止に有効であることが示されている。したがって、安全で有効なp38阻害剤は、p38シグナル伝達の調節により制御できる衰弱性疾患を処置するための手段を提供する。したがって、p38活性を阻害する本発明の化合物は、炎症、骨関節症、リウマチ性関節炎、癌、自己免疫性疾患の処置および他のサイトカイン介在疾患の処置に有用である。
【0093】
形質転換成長因子−ベータ(TGFβ)は、例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3を含むタンパク質のスーパーファミリーを意味し、それは細胞増殖および分化、胚および骨発生、細胞外マトリックス形成、造血、免疫性および炎症性応答の多面的モジュレーターである。TGFβファミリーメンバーは、最終的に、細胞サイクルを調節するか、増殖性応答を制御するか、または細胞外シグナル伝達、細胞接着、移動および細胞間伝達を介在する細胞外マトリックスタンパク質に関する、遺伝子発現を引き起こす細胞内シグナル伝達経路を開始する。
【0094】
結果として、TGFβ細胞内シグナル伝達経路の阻害剤である本発明の化合物は、制御されていないTGFβ活性と関連する腎臓障害を含む線維増殖性疾患、および糸球体腎炎(GN)、例えば、メサンギウム増殖性GN、免疫性GNおよび半月体形成性GNを含む過剰な線維化の治療のために有効である。他の腎臓状態は、糖尿病性腎症、腎間質線維症、シクロスポリンを使用している移植患者の腎臓線維症およびHIV関連ネフロパシーを含む。膠原血管病は、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、強皮症、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、局性強皮症、またはレイノー症候群の発症と関連するものを含む。過剰TGFβ活性による肺線維症は、成人呼吸窮迫症候群、COPD、自己免疫性疾患としばしば関連する特発性肺線維症および間質性肺線維症、例えば、全身性エリテマトーデスおよび強皮症、化学品接触性炎症、またはアレルギーを含む。線維増殖性特性と関連するさらなる自己免疫性疾患はリウマチ性関節炎である。線維増殖性状態は外科的眼処置と関連し得る。このような処置は、増殖性硝子体網膜症による網膜復位術、眼内レンズ挿入術を伴う白内障摘出および緑内障後排水手術を含む。
【0095】
繊維芽細胞増殖因子受容体3は骨増殖の負の調節効果および軟骨細胞増殖の阻害を発揮することが示された。致死性異形成は、繊維芽細胞増殖因子受容体3の様々な変異体により引き起こされる。1つの変異、TDII FGFR3は、転写因子Statlを活性化する構成的チロシンキナーゼ活性を有し、細胞周期阻害剤の発現、増殖停止および異常な骨の発達をもたらす(Su et al., Nature, 1997, 386, 288-292)。FGFR3は、また、しばしば多発性骨髄腫型癌において発現される。
【0096】
c−Srcキナーゼは多数の受容体の発癌シグナルを伝達する。例えば、腫瘍におけるEGFRまたはHER2/neuの過剰発現は、悪性細胞の特徴であるが正常細胞には存在しないc−srcの構成的活性化をもたらす。他方、c−src発現を欠損するマウスは大理石骨病表現型を発現し、破骨細胞機能におけるc−srcの重要な関与および関連疾患へ関与している可能性を示す。
【0097】
ヒトリボソームS6タンパク質キナーゼのファミリーは少なくとも8個のメンバー(RSK1、RSK2、RSK3、RSK4、MSK1、MSK2、p70S6Kおよびp70S6Kb)からなる。リボソームタンパク質S6タンパク質キナーゼは重要な多面的な機能を果たし、とりわけ、タンパク質生合成中のmRNA翻訳の調節において重要な役割を果たす(Eur. J. Biochem 2000, 267(21): 6321-30; Exp Cell Res. 1999, 253 (1):100-9; Mol Cell Endocrinol. 1999, 151(1-2):65-77)。p70S6によるS6リボソームタンパク質のリン酸化はまた細胞運動(Immunol. Cell Biol. 2000, 78(4):447-51)および細胞増殖(Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 2000, 65:101-27)の調節と関連しており、故に腫瘍転移、免疫反応および組織修復ならびに他の疾患状態において重要であり得る。
【0098】
SAPK(“jun N−末端キナーゼ”または“JNK”とも呼ばれる)は、c−jun転写因子の活性化およびc−junにより調節される遺伝子の発現をもたらすシグナル伝達経路における最後から2番目の段階を表すタンパク質キナーゼのファミリーである。特に、c−junは遺伝毒性障害により損傷を受けたDNAの修復と関連するタンパク質をコードする遺伝子の転写と関連している。細胞におけるSAPK活性を阻害する薬剤は、DNA修復を防止し、DNA損傷を誘導することにより作用する癌治療法に対して細胞を感受性にする。
【0099】
LckはT細胞シグナル伝達において役割を果たす。Lck遺伝子を欠くマウスは胸腺細胞の発達に対して乏しい能力を有する。T細胞シグナル伝達の正の活性剤としてのLckの機能は、Lck阻害剤が自己免疫疾患、例えば、リウマチ性関節炎を処置するために有用であり得ることを示唆する。
【0100】
Fesは脊髄造血細胞で高度に発現され、骨髄性白血球における分化および生存シグナル伝達経路の両方と関連する。CSKは、癌、特に結腸直腸および乳癌と関連する。
【0101】
前記によって、本発明は、さらに、処置を必要とする対象における、上記のいずれかの疾患または障害を処置する方法であって、該対象に治療的有効量の式(1)、(2)または(3)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。上記の全ての使用に関して、必要な投与量は投与形態、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存して変化する(下記“投与および医薬組成物”参照)。
【0102】
投与および医薬組成物:
一般に、本発明の化合物は単独でまたは1種以上の治療剤との組合せのいずれかで当分野で既知の通常のおよび許容される形式のいずれかを介して、治療有効量を投与される。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康度、使用される化合物の有効性および他の要素に依存して広く変化し得る。一般に、満足な結果は体重あたり約0.03から2.5mg/kgの1日投与量で全身に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおいて指示される1日投与量は、例えば1日に4回までの分割用量でまたは遅延形で都合良く投与される約0.5mgから約100mgの範囲である。経口投与のための適当な単位用量形は約1から50mgの活性成分を含む。
【0103】
本発明の化合物は、医薬組成物として任意の慣用の経路で、特に経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤形もしくはカプセル形で、または非経腸的に、例えば注射溶液形もしくは懸濁液形で、局所的に、例えばローション形、ゲル形、軟膏形もしくはクリーム形で、または経鼻形もしくは座薬形で投与してもよい。
【0104】
少なくとも1種の薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と共に遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を含む医薬組成物を、混合、造粒または被覆方法による慣用の方法で製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分とa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤のために共にc)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;そして所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤を共に含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射組成物は、等張水溶液または懸濁液であり得、そして座薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造し得る。
【0105】
該組成物は滅菌し得そして/またはアジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/またはバッファーを含み得る。加えて、それらはまた、治療に有効な他の物質を含み得る。適当な経皮投与用製剤は有効量の本発明の化合物を担体と含む。担体は宿主の皮膚を介する輸送を助けるために、薬理学的に許容される吸収性溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは裏当て部分、化合物と所望により担体を含む貯蔵部、所望により長時間にわたって制御されたおよび予定された速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリア、および皮膚にデバイスを固定するための手段を含む、バンデージ形である。マトリックス経皮製剤もまた使用され得る。例えば、皮膚および眼への、適当な局所投与用製剤は、当分野で既知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルであり得る。このような製剤は、可溶化剤、安定化剤、等張増加剤、バッファーおよび保存剤を含み得る。
【0106】
本発明の化合物は、治療有効量の1種以上の治療剤との組合せ(薬学的組合せ)で投与され得る。例えばシクロスポリン、ラパマイシン、もしくはアスコマイシン、またはそれらの免疫抑制剤類似体、例えばシクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG、FK−506、ラパマイシン、もしくは同等な化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ブレキナール、レフルノミド、ミゾルビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスパガリン、免疫抑制性抗体、とりわけ白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58もしくはそれらのリガンド、または他の免疫調節化合物、例えばCTLA41gと共に使用されるとき、例えば、相乗効果が、他の免疫調節剤もしくは抗炎症剤と生じ得る。本発明の化合物が他の治療と共に投与されるとき、共投与される化合物の用量は、使用される共薬剤の型、使用される特定の薬剤、処置される状態などに依存して変化する。
【0107】
本発明はまた、a)遊離形または薬学的に許容される塩形の本明細書に記載のとおりの本発明の化合物である第1の薬剤、およびb)少なくとも1つの共薬剤を含む薬学的組合せ、例えばキットを提供する。該キットはその投与のための指示書を含み得る。
【0108】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物を製造するための一般製造法(A−N)を、下記実施例に記載する。記載されている反応において、最終産物において望まれる反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基をこれらの望ましくない反応への参加を避けるために保護し得る。慣用の保護基は、標準的技法にしたがって使用し得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991参照。
【0109】
本発明の化合物を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることにより薬学的に許容される酸付加塩として製造し得る。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより製造し得る。あるいは、塩形の本発明の化合物を出発物質または中間体の塩を使用して製造し得る。
【0110】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物を、対応する塩基付加塩形または酸付加塩形、各々から製造し得る。例えば酸付加塩形の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)と処理することにより対応する遊離塩基に変換し得る。塩基付加塩形の本発明の化合物は、適当な酸(例えば、塩酸など)と処理することにより対応する遊離酸に変換し得る。
【0111】
非酸化形の本発明の化合物を、適当な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、ジオキサン溶液など)中で、0から80℃で還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化物など)と処理することにより本発明の化合物のN−オキシドから製造し得る。
【0112】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る(例えばさらなる詳細のためにSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを本発明の非誘導化化合物を適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより製造し得る。
【0113】
本発明の化合物の保護された誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る。保護基の創造およびその除去に適用できる技術の詳細な説明はT. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999において見ることができる。
【0114】
本発明の化合物を、本発明の工程中に溶媒和物(例えば、水和物)として都合良く製造または形成し得る。本発明の化合物の水和物を、有機溶媒、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを使用し、水性/有機溶媒混合物から再結晶することにより都合良く製造し得る。
【0115】
本発明の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、一組のジアステレオマー化合物を形成し、該ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個々の立体異性体として製造し得る。エナンチオマーの分離は本発明の化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を使用して、または、分離できる複合体を使用することにより(例えば、結晶のジアステレオマー塩)行い得る。ジアステレオマーは異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、そしてこれらの相違を利用して容易に分離し得る。ジアステレオマーをクロマトグラフィー、または溶解度の差異に基づく分割/分離技術により分割し得る。次いで光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化をもたらさないであろう実用的手段により分割剤と共に回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体の分離に適用できる技術のより詳細な説明はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981において見ることができる。
【0116】
手短に言えば、式(1)、(2)または(3)の化合物を下記の工程を含む方法により製造し得る:
(a)実施例に記載されている一般製造工程;ならびに
(b)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(c)所望により塩形の本発明の化合物の非塩形への変換;
(d)所望により非酸化形の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(e)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物の非酸化形への変換;
(f)所望により異性体の混合物からの本発明の化合物の個々の異性体への分離;
(g)所望により本発明の非誘導化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(h)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体のその非誘導化形態への変換。
【0117】
下記実施例は説明するために提供するが、本発明を限定しない。出発物質の製造において特に記載のない限り、化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じてもしくは下記の実施例に記載のとおりに製造し得る。当業者は、下記実施例が本発明の化合物の製造法の単なる代表例であり、そして他の既知の方法を同様に使用し得ることを理解できよう。
【実施例】
【0118】
実施例1
中間体の合成
3−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−7−クロロ−1−メチル−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン(8)
【化7】

2Lフラスコにジエチル1,3−アセトンジカルボキシラート1(160g、0.79mol)、オルトギ酸トリエチル(129g、0.87mol)および無水酢酸(161g、1.58mol)を入れる。得られた混合物を120℃に1.5時間加熱する。混合物を室温に冷却し、揮発性物質を90−100℃で減圧蒸留(150−200mmHg)により除去する。明黄色の油状物を凝縮器に回収する。次にフラスコ内の残留物を氷浴で冷却し、30%アンモニア(65mL)と混合する。反応物を氷浴中に1時間置き、次にpH<5に2NのHClで酸性化する。混合物を真空濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)を使用して精製する。生成物2を無色油状物として単離する。
【0119】
4,6−ジヒドロキシニコチン酸エチルエステル2(5g、0.3mol)を2Lフラスコ中でPOCl(500mL)と混合し、110℃に3時間加熱する。室温に冷却後、大部分のPOClを真空除去する。粗製の暗い色の生成物を少量の氷−水混合物に注ぎ、飽和炭酸ナトリウム水溶液で中和する。生成物を酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液を使用して洗浄し、NaSOで乾燥させる。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:3)を使用して精製し、4,6−ジクロロニコチン酸エチルエステル3である生成物を白色の固体として得る。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 8.85 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 4.43 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.41 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0120】
4,6−ジクロロニコチン酸エチルエステル3(43g、195mmol)をアセトニトリル(600mL)に溶解し、0℃に冷却し、メチルアミン(125mLの40%水溶液、977mmol)をゆっくり加える。反応物を0℃で30分撹拌し、さらに3時間で室温に温める。溶媒を真空除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)を使用して精製する。生成物4を白色の固体として単離する。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 8.66 (s, 1H), 8.12 (bs, 1H), 6.53 (s, 1H), 4.34 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.92 (s, 3H), 1.37 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0121】
6−クロロ−4−メチルアミノニコチン酸エチルエステル4(33g、156mmol)を無水THF(500mL)に溶解し、−78℃に冷却する。溶液にTHF(500mL)中のLAH(12.5g、329mmol)の溶液をゆっくり加える。添加完了後、反応物を−78℃で1時間維持する。混合物を室温に温め、少量のMeOH:酢酸エチル=1:1をゆっくり加え、過剰のLAHを破壊する。粗生成物をセライト栓を介して濾過し、酢酸エチルを使用して2回洗浄する。溶媒を真空除去後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)により精製する。生成物5を白色の固体として得る。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 7.36 (s, 1H), 6.48 (s, 1H), 5.55 (bs, 1H), 4.63 (s, 2H), 2.89 (d, J = 5.1 Hz, 3H)。
【0122】
化合物5(20g、116mmol)をDCM(250mL)に溶解し、MnO(100g、1.16mol)を加える。反応物を室温で一晩撹拌し、次にセライト栓を介して濾過し、酢酸エチルを使用して洗浄する。溶媒を真空除去後、6を得、さらなる精製なしで次の工程に使用する。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 9.85 (s, 1H), 8.59 (bs, 1H), 8.31 (s, 1H), 6.59 (s, 1H), 2.96 (d, J = 5.1 Hz, 3H)。
【0123】
6−クロロ−4−メチルアミノ−ピリジン−3−カルバルデヒド6(19.8g、116mmol)をDMF(1L)中の2−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)酢酸メチルエステル7(27g、151mmol)および炭酸カリウム(48.1g、348mmol)と混合する。混合物を100℃に16時間加熱する。室温に冷却し、溶媒を真空除去後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)を使用して精製する。表題化合物8を青白い固体として得る。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 8.56 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.06 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.74 (dd, J = 2.4, 8.1 Hz, 1H), 6.58 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 3.71 (s, 2H), 2.10 (s, 3H)。
【0124】
メチル2−(5−アミノ−2−メチルフェニル)アセテート(7)
【化8】

2−メチル−5−ニトロ安息香酸9(125g、690mmol)を無水THF(1.25L)に溶解する。ボラン(517mLのTHF中の2Mの溶液、1.04mol)を加えた後、反応物を室温で18時間撹拌する。反応を炭酸カリウム水溶液(2.5Lで112.5g)を使用してクエンチする。THFを真空除去後、水溶液をDCMで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。濾過し、溶媒を真空除去後、生成物10を薄い黄色の固体として得る。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 8.29 (d, J = 3 Hz, 1H), 8.50 (m, 1H), 7.29 (m, 1H), 4.78 (s, 2H), 2.41 (s, 3H)。
【0125】
(2−メチル−5−ニトロフェニル)メタノール10(96g、574mmol)を無水DCM(2.5L)に溶解し、0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(72g、632mmol)およびジ−イソプロピルエチルアミン(89g、689mmol)で30分処理する。反応物を室温に温め、さらに30分撹拌する。それを水(600mL)を加えることによりクエンチする。有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。溶媒を真空除去後、生成物11を黄色の油状物として単離し、さらなる精製なしで次の工程に使用する。
【0126】
アセトニトリル(4L)中の粗物質11(141g、0.575mol)の溶液にシアン化ナトリウム(84.4g、1.7mol)を加え、得られた混合物を還流温度で8時間加熱する。反応物を室温に冷却し、溶媒を真空除去する。粗生成物をDCMに溶解し、濾過する。濾液を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を真空除去後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)を使用して精製する。生成物12を黄色の固体として得る。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 8.25 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.13 (dd, J = 2.4, 8.1 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.78 (s, 2H), 2.48 (s, 3H)。
【0127】
2−(2−メチル−5−ニトロフェニル)エタンニトリル12(87g、494mmol)をメタノール:水=1:1(1.2L)に溶解する。水(1L)中の水酸化カリウム(277g、4.94mol)を加え、反応物を還流温度で14時間加熱する。室温に冷却し、メタノールを真空除去後、水性層をDCMおよびエーテルで洗浄する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。溶媒を真空除去後、生成物13を橙色の固体として得る。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 8.07 (m, 2H), 7.35 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.78 (s, 2H), 2.43 (s, 3H)。
【0128】
2−(2−メチル−5−ニトロフェニル)酢酸13(30g、154mmol)をメタノール(700mL)に溶解し、HCl(79mLの1,4−ジオキサン中で4Mの溶液、316mmol)を加える。反応物を還流温度に14時間加熱する。室温に冷却し、溶媒を真空除去後、粗生成物を水(500mL)に溶解し、2Nの水酸化ナトリウムを使用してpH>12に塩基性にする。溶液を酢酸エチルを使用して抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。溶媒を真空除去後、生成物14を暗黄色の固体として得る。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 8.06 (m, 2H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.72 (s, 2H), 2.41 (s, 3H)。
【0129】
2−(2−メチル−5−ニトロフェニル)酢酸メチルエステル14(32g、153mmol)をエタノール(750mL)に溶解する。この溶液に10%パラジウム炭素(3.2g)を加える。反応フラスコを酸素でパージ後、水素で満たされたバルーンを装着させる。反応物を室温で16時間撹拌する。セライト栓を介して濾過し、溶媒を真空除去することにより触媒を除去後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=5:1)を使用して精製する。生成物7を黄色の油状物として単離する。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 6.9 (d, J = 7.8 Hz), 6.59 (m, 1H), 6.56 (m, 1H), 3.69 (s, 3H)。
【0130】
3−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−1,7−ジメチル−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン(15)
【化9】

ジオキサン(3mL)中の3−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−7−クロロ−1−メチル−1,6−ナフチリジン−2−オン8(0.53mmol)の溶液にトリフェニルホスフィン(0.08mmol)、Pd(dba)(16umol)およびトリメチルアルミニウム(0.8mLのトルエン中で2.0モル溶液)を加える。混合物を10分脱気し、次に反応バイアルを密閉し、10分150℃でマイクロ波を介して加熱する。反応物を室温に冷却し、1MのHCl(30mL)に注ぎ、EtOAcで洗浄する。水性層を3MのNaOHで中和し、EtOAc(3×20mL)で抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、還元し、乾燥させる。粗い黄色の油状物を溶離剤として3−5%のMeOHを有するジクロロメタンでシリカフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、黄色のガラス状固体15を得る。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.67 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.05 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.65 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 6.57 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 3.72 (s, 3H), 2.70 (s, 3H), 2.11 (s, 3H)。MS (m/z) (M+1)+: 280.1。
【0131】
3−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−7−メチル−1−フェニル−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン(20)
【化10】

4,6−ジクロロニコチン酸エチルエステル16(500mg、2.27mmol)を無水ジオキサン(10mL)に溶解し、アニリン(0.66mL、7.72mmol)を加える。反応物を100℃で一晩撹拌する。溶媒を真空除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)を使用して精製し、6−クロロ−4−フェニルアミノ−ニコチン酸エチルエステル17を得る。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.77 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 7.33-7.37 (m, 2H), 7.15-7.21 (m, 3H), 6.80 (s, 1H), 4.31 (q, 2H), 1.34 (t, 3H)。
【0132】
6−クロロ−4−フェニルアミノニコチン酸エチルエステル17(35mg、0.126mmol)を1.2mLの無水THFに溶解し、−78℃に冷却する。溶液にLAH(THF中で1M、0.14mL、0.14mmol)の溶液をゆっくり加える。添加完了後、反応物を−78℃でさらに1時間維持する。混合物を室温に2時間で温め、少量のMeOH:酢酸エチル=1:1をゆっくり加え、過剰のLAHを破壊する。粗生成物をセライト栓を介して濾過し、酢酸エチルで洗浄する。溶媒を真空除去後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)を使用して精製する。対応するアルコールを黄色の固体として得る。アルコール(26mg、0.11mmol)をDCM(2mL)に溶解し、MnO(56mg、0.55mmol)を加える。反応物を室温で一晩撹拌し、次にセライト栓を介して濾過し、酢酸エチルで洗浄する。溶媒を真空除去後、6−クロロ−4−フェニルアミノ−ピリジン−3−カルバルデヒド18を得、さらなる精製なしで次の工程に使用する。
【0133】
6−クロロ−4−フェニルアミノ−ピリジン−3−カルバルデヒド18(21mg、0.09mmol)をDMF(2mL)中の2−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)酢酸メチルエステル7(18mg、0.1mmol)および炭酸カリウム(37mg、0.27mmol)と混合する。混合物を100℃に16時間加熱する。室温に冷却し、溶媒を真空除去後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)を使用して精製する。表題化合物である3−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−7−クロロ−1−フェニル−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン19を青白い固体として得る。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.53 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.53-7.57 (m, 2H), 7.47 -7.51 (dt 1H), 7.20-7.23 (m, 2H), 6.96 (d, 1H), 6.59 (dd, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.52 (s, 1H), 2.05 (s, 3H)。
【0134】
バイアルを19(208mg、0.575mmol)、Pd(dba)(26mg、0.028mmol)およびPhP(37mg、0.14mmol)で満たす。バイアルを脱気し、Nで再び満たす。ジオキサン(12mL)をバイアルに加え、溶液をAlMe(0.86mLのヘキサン中の2Mの溶液、1.72mmol)で処理する。混合物を電子レンジで140℃で20分加熱する。バイアルを室温に冷却し、混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を1NのNaOH溶液、飽和NaHCO溶液および塩水で洗浄する。溶媒を真空除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)を使用して精製し、3−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−7−メチル−1−フェニル−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン20を得る。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.71 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.58-7.63 (m, 2H), 7.52-7.56 (m, 1H), 7.28-7.30 (m, 2H), 7.03 (d, 1H), 6.67 (d, 1H), 6.64 (d, 1H), 6.38 (s, 1H), 5.32 (s, 1H), 3.60 (brs, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.18 (s, 3H)。
【0135】
3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)−N−(3−(1,2−ジヒドロ−1,7−ジメチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)ベンズアミド(22)
【化11】

DMF(5mL)中の3−ブロモ−5−トリフルオロメチル−安息香酸21(193mg、0.716mmol)の溶液にHATU(272mg、0.716mmol)およびジ−イソプロピルエチルアミン(278mg、2.15mmol)を室温で加える。得られた混合物を2分撹拌する。DMF(5mL)中の3−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−1,7−ジメチル−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン15(200mg、0.716mmol)の溶液を加える。反応混合物を室温で一晩撹拌し、EtOAcで希釈し、塩水で3回洗浄する。有機層を(MgSO)で乾燥させ、濃縮する。残渣を自動クロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物22を白色がかった固体として得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.50 (s, 1H), 8.99 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.66 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 8.3, 2.2 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.63 (s, 3H), 2.65 (s, 3H), 2.08 (s, 3H)。
【0136】
3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチル安息香酸(29)
【化12】

メチル3−ブロモ−4−メチルベンゾアート23(2.28g、10.0mmol)、ボロン酸エステル(10mmol)、CsF(3.04g、20.0mmol)およびPd(PPh(1.16g、1mmol)を撹拌棒を備えた10mLのSchlenkフラスコに加える。フラスコを脱気し、窒素で再充填する操作を5回行う。THF(8mL)をシリンジにより加える。Schlenkフラスコを密閉し、140℃で20分マイクロ波で加熱する。反応完了後、溶媒を真空除去する。残渣をDCM(200mL)に溶解し、水で洗浄する。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗生成物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:7)により精製し、2つの異性体の混合物を得、これはさらなる精製なしで次の工程に使用できる。
【0137】
メチル3−アリル−4−メチルベンゾアート24(1.18g、6.18mmol)を含む混合物をCCl:ACN:HO(60mL:60mL:80mL)に溶解させる。次にNaIO(6.6g)およびRuClO(0.21g)を加える。反応混合物を室温で10分撹拌する。混合物を水(100mL)に注ぎ、DCM(100mL)で抽出する。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗生成物を得る。粗生成物25をMeOH(100mL)に溶解し、TMSCHN(18.0mL、ヘキサン中で2M)を溶液にゆっくり加える。反応混合物を室温でさらに10分撹拌する。反応完了後、溶媒を除去し、粗生成物26を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製する。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.86 (s, 1H), 7.84 (d, J = 10 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 10 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.68 (m, 5H), 2.34 (s, 3H)。LC/MS (M+Na, m/z): 245。
【0138】
6−クロロ−4−メチルアミノ−ピリジン−3−カルバルデヒド6(233mg、1.36mmol)をDMF(8mL)中のメチル3−((メトキシカルボニル)メチル)−4−メチルベンゾアート26(303mg、1.36mmol)および炭酸カリウム(564mg、4.08mmol)と混合する。混合物を100℃に16時間加熱する。室温に冷却し、溶媒を真空除去後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を使用して精製する。化合物27を固体として得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.73 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.88 (dd, J = 9.4, 2.5 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.43 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.62 (s, 3H), 2.21 (s, 3H)。LC/MS (M+Na, m/z): 365, 367。
【0139】
メチル3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルベンゾアート27(3g、8.6mmol)、AlMe(13.2mL、26.4mmol)、PPh(318mg、1.29mmol)およびPd(dba)(240mg、0.018mmol)を撹拌棒を備えた50mLのSchlenkフラスコに加える。フラスコを脱気し、窒素で再充填する操作を5回行う。1,4−ジオキサン(50mL)をシリンジにより加える。Schlenkフラスコを密閉し、100℃に16時間加熱する。反応完了後、1NのHClをゆっくり加え(100mL)、反応をクエンチする。混合物をDCM(200mL)で抽出する。有機相をさらに1NのHCl(2×50mL)で洗浄する。合わせた水性相をpH=10まで6NのLiOHで処理する。黄色の固体を濾過し、真空乾燥させ、生成物28を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(DCM中で5−10%のMeOH)により精製する。LC/MS (M+1, m/z):323.1。
【0140】
メチル3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルベンゾアート28(3g、9mmol)をMeOH/水(1:1、mL)の混合物に懸濁し、NaOH(2.2g、55mmol)で80℃で2時間処理する。MeOHを真空除去する。得られた混合物をpH=7に酸性化し、固体生成物を濾過し、水で洗浄し、一晩乾燥させ、29を得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.8 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.88 (dd, J = 7.9, 1.8 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.42 (d, J = 8 Hz, 1H), 3.65 (s, 3H), 2.62 (s, 3H), 2.23 (s, 3H)。LC/MS (M+1, m/z): 309.1。
【0141】
3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルベンゾイルイソシアネート(31)
【化13】

SOCl(2mL)中の3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチル安息香酸29(620mg、2mmol)の溶液を還流温度で2時間加熱する。過剰のSOClを真空除去し、得られた固体をTHFに懸濁し、アンモニア水溶液を室温で加える。得られた固体を濾過し、真空乾燥させ、30を白色の固体として得る。LC/MS (M+1, m/z): 308.1。
【0142】
3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルベンズアミド30(310mg、1mmol)を1,2−ジクロロエタン(2mL)中の塩化オキサリル(1mL)で還流温度で2時間処理する。溶媒を蒸発させ、31を白色の固体として得、これを精製なしで使用する。
【0143】
典型的な化合物の製造
実施例2
3−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−7−クロロ−1−メチル−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン(A1)
一般製造法A
【化14】

DCM(25mL)中の3−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−7−クロロ−1−メチル−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン8(749mg、2.50mmol)および3−トリフルオロメチルベンジルクロライド(521mg、2.50mmol)の溶液にジ−イソプロピルエチルアミン(452mg、3.5mmol)を0℃で加える。反応混合物を室温に温め、16時間撹拌する。溶媒を真空除去する。残渣を酢酸エチル:ヘキサン(0:100から100:0)の勾配を有する自動クロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物A1を明黄色の固体として得る。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.59 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.08 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.65-7.60 (m, 2H), 7.45 (dd, J = 8.2, 2.0 Hz, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.20 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 2.04 (s, 3H)。
【0144】
型Aの構造の化合物もまた、スキーム4にしたがって合成することができる他のN−置換ナフチリジノンを使用して、同じ製造法で製造することができる。表1は適当な薬物を使用して実施例2に記載されている製造法にしたがって製造される化合物を記載している。
表1
【表1】

【0145】
実施例3
N−[3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−[1,6]ナフチリジン−3−イル)−4−メチル−フェニル]−3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド(B1)
一般製造法B
【化15】

DMF(0.8mL)中の3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−安息香酸HCl塩(15.0mg、0.044mmol)およびジ−イソプロピルエチルアミン(21uL、0.121mmol)の溶液にHATU(16.5mg、0.043mmol)を加える。10分室温で撹拌後、DMF(0.25mL)中の3−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−1,7−ジメチル−1H−[1,6]ナフチリジン−2−オン15(11.4mg、0.041mmol)の溶液を反応物に加える。反応混合物を室温で1時間撹拌する。反応混合物をDMSO(1mL)で希釈し、LCMSにより精製し、表題化合物B1をTFA塩として得る。MS m/z 564.5 (M+1)。
【0146】
表2は適当な反応剤を使用して実施例3に記載されている製造法にしたがって製造される化合物を記載している。
表2
【表2】

【表3】

【0147】
【表4】

【表5】

【0148】
【表6】

【表7】

【0149】
【表8】

【表9】

【0150】
【表10】

【表11】

【0151】
【表12】

【表13】

【0152】
【表14】

【表15】

【0153】
【表16】

【表17】

【表18】

【0154】
実施例4
N−[4−メチル−3−(7−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−[1,6]ナフチリジン−3−イル)−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド(C1)
一般製造法C
【化16】

DCM(1mL)およびDMF(0.3mL)中のアミン20(18.7mg、0.0548mmol)および3−(トリフルオロメチル)−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)安息香酸(21.4mg、0.065mmol)の溶液にジ−イソプロピルエチルアミン(28μL、0.16mmol)およびHATU(21mg、0.082mmol)を加える。混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を真空除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)を使用して精製し、C1を得る。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.36 (s, 1H), 8.88 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.70-7.73 (m, 3H), 7.58-7.67 (m, 4H), 7.40-7.42 (m,2H), 7.36 (s, 1H), 7.27 (d, 1H), 6.31 (s, 1H), 3.25-3.30 (m, 4H), 2.3-2.50 (m, 4H), 2.40(s, 3H), 2.21 (s, 3H), 2.18 (s,3H)。
【0155】
型Cの構造の化合物もまた、スキーム4にしたがって合成することができる他のN−置換ナフチリジノンを使用して、同じ製造法で製造することができる。表3は適当な反応剤を使用して実施例4に記載されている製造法にしたがって製造される化合物を記載している。
表3
【表19】

【表20】

【表21】

【0156】
実施例5
N−[3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−[1,6]ナフチリジン−3−イル)−4−メチル−フェニル]−3−ピペラジン−1−イル−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド(D1)
一般製造法D
【化17】

密閉チューブを3−ブロモ−N−[3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−[1,6]ナフチリジン−3−イル)−4−メチル−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド22(25mg、0.047mmol)、ピペラジン(4.9mg、0.056mmol)、Pd(dba)(4.3mg、0.0047mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(6.3mg、0.066mmol)、BINAP(5.9mg、0.094mmol)およびトルエン(0.30mL)で窒素雰囲気下で満たす。密閉チューブを油浴中で80℃で16時間加熱する。溶媒を真空除去する。残渣をDMSO(2mL)に溶解し、分取LCMSにより精製し、生成物D1を白色の固体として得る。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.67 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.57-7.52 (m, 3H), 7.38 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.20 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 3.67 (s, 3H), 3.28-3.26 (m, 4H), 3.03-3.02 (m, 4H), 2.60 (s, 3H), 2.10 (s, 3H), 1.82 (s, 3H)。
【0157】
表4は適当な反応剤を使用して実施例5に記載されている製造法にしたがって製造される化合物を記載している。
表4
【表22】

【0158】
実施例6
N−[4−メチル−3−(1−メチル−2−オキソ−7−プロピル−1,2−ジヒドロ−[1,6]ナフチリジン−3−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(E2)
一般製造法E
【化18】

THFおよび水の混合物(4:1、0.75mL)中のN−[3−(7−クロロ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−[1,6]ナフチリジン−3−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドA1(35.4mg、0.075mmol)、trans−プロペニルボロン酸(9.7mg、0.113mmol)、PdCl(PPh(5.3mg、0.0075mmol)およびNaCO(55.6mg、0.525mmol)の懸濁液を窒素で脱気し、90℃で16時間加熱する。溶媒を真空除去する。残渣を分取LCMSにより精製し、所望の生成物E1を白色の固体として得る。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.97 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.90 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.76-7.73 (m, 2H), 7.61 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.18-7.12 (m, 1H), 6.73 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 2.10 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0159】
MeOH(2mL)中のN−[4−メチル−3−(1−メチル−2−オキソ−7−プロペニル−1,2−ジヒドロ−[1,6]ナフチリジン−3−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドE1(12mg、0.025mmol)の溶液に10%のパラジウム活性炭素(湿性、12mg)を加える。得られた混合物を水素下で室温で1時間撹拌する。Pd/Cを濾取し、濾液を濃縮する。残渣を分取LCMSにより精製し、所望の生成物E2を白色の固体として得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.48 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.27 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.79 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.73 (dd, J = 8.5, 2.2 Hz, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.29 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.67 (s, 3H), 2.84 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.14 (s, 3H), 1.78 (q, J = 7.5 Hz, 3H), 0.96 (t, J = 7.3 Hz, 3H)。
【0160】
表5は適当な反応剤を使用して実施例6に記載されている製造法にしたがって製造される化合物を記載している。
表5
【表23】

【表24】

【0161】
【表25】

【表26】

【0162】
【表27】

【表28】

【0163】
実施例7
1−(3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)−3−(4−メチルベンジル)ウレア(F24)
一般製造法F
【化19】

THF(1mL)中の3−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−1,7−ジメチル−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン15(20mg、0.072mmol)の溶液にトリホスゲン(6.38mg、0.022mmol)およびDIEA(0.158mmol)を加える。反応混合物を室温で30分撹拌し、次に4−メチルベンジルアミン(0.108mmol)を加え、撹拌を8時間室温で続ける。濾液を濃縮する。残渣を分取LCMSにより精製し、所望の生成物F24を得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.04 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.0 (s, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.23 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.16 (m, 4H), 4.22 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 2.71 (s, 3H), 2.49 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 2.06 (s, 3H)。
【0164】
表6は適当な反応剤を使用して実施例7に記載されている製造法にしたがって製造される化合物を記載している。
表6
【表29】

【表30】

【0165】
【表31】

【表32】

【0166】
【表33】

【表34】

【0167】
実施例8
N−(3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニルカルバモイル)−4−メトキシベンズアミド(G8)
一般製造法G
【化20】

1,2−ジクロロエタン(2mL)中の4−メトキシベンズアミド(50mg、0.33mmol)の溶液に塩化オキサリル(0.33mmol)を加える。反応混合物を55℃で1時間加熱する。反応混合物を冷却後、3−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−1,7−ジメチル−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン15(0.16mmol)を加え、加熱を8時間続ける。反応物を濃縮し、分取LCMSにより精製し、所望の生成物G8を得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.03 (s, 1H), 8.05 (m, 3H), 7.76 (s, 1H), 7.50 (m, 2H), 7.28 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 2.72 (s, 3H), 2.51 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 2.07 (s, 3H)。
【0168】
表7は適当な反応剤を使用して実施例8に記載されている製造法にしたがって製造される化合物を記載している。
表7
【表35】

【表36】

【0169】
【表37】

【表38】

【表39】

【0170】
実施例9
1−アセトフェノニル−3−(3−(1,2−ジヒドロ−1,7−ジメチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)チオウレア(H1)
一般製造法H
【化21】

アセトニトリル(3mL)中の塩化ベンゾイル(62μL、0.54mmol)の溶液にKSCN(52mg、0.54mmol)を加え、55℃で1時間加熱する。室温に冷却後、反応物を乾燥濃縮し、エタノール(2mL)に再溶解し、次にトルエン/エタノール(5/1mL)中の15の溶液で処理する。不均一の反応混合物を室温で6時間撹拌し、次に氷浴で冷却し、エタノールと共に濾過する。沈殿を水およびエタノールで洗浄する。白色の固体を真空乾燥させる。1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 12.65 (s, 1H), 11.60 (s, 1H), 8.83 (s, 1H), 8.00-7.97 (m, 3H), 7.72-7.65 (m, 2H), 7.57-7.52 (m, 3H), 7.47 (s, 1H), 7.34 (d, J = 8 Hz, 1H), 3.66 (s, 3H), 2.62 (s, 3H), 2.17 (s, 3H); MS m/z 443.1 (M+1)。
【0171】
実施例10
N−(3−(1,2−ジヒドロ−7−メトキシ−1−メチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)ベンズアミド(I1)
【化22】

N−(3−(7−クロロ−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)ベンズアミドA6(70mg、0.17mmol)をナトリウムメトキシド(0.8mLのメタノール中で0.5M溶液)で処理し、65℃に3時間加熱する。反応物を室温に冷却し、EtOAcおよび水性塩化アンモニウムで分配する。有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去する。粗生成物をDMF(1mL)に溶解し、分取LCMSにより精製し、所望の生成物を得る。1H NMR 400 MHz (MeOD) δ 8.56 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.88 (s, 1H), 7.64-7.46 (m, 5H), 7.28 (d, J = 8 Hz, 1H), 6.84 (1H), 4.05 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 2.20 (s, 3H); MS m/z 400.2 (M+1)。
【0172】
表8は上記の製造法と類似の方法にしたがって製造される本発明の他の典型的な化合物を記載している。
表8
【表40】

【0173】
実施例11
N−(3−(7−(ジメチルアミノ)−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)ベンズアミド(J1)
【化23】

N−(3−(7−クロロ−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)ベンズアミドA6(45mg、0.11mmol)をNMP(1mL)に溶解し、ジメチルアミン(0.56mLのメタノール中で2.0Mの溶液)で処理する。反応混合物を100℃に12時間加熱する。室温に冷却後、反応物を分取LCMSにより精製する。1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 10.23 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.97-7.94 (m, 2H), 7.78 (s, 1H), 7.68-7.66 (m, 2H), 7.61-7.51 (m, 3H), 7.23 (d, J = 9 Hz, 1H), 6.37 (s, 1H), 3.61 (s, 3H), 3.20 (s, 6H), 2.12 (s, 3H); MS m/z 413.2 (M+1)。
【0174】
実施例12
1−(3−(7−(ジメチルアミノ)−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)−3−フェニルウレア(K1)
【化24】

1−(3−(7−クロロ−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)−3−フェニルウレアA6(50mg、0.12mmol)をNMP(1mL)に溶解し、ジメチルアミン(0.60mLのメタノール中で2.0Mの溶液)で処理する。反応混合物を100℃に12時間加熱する。室温に冷却後、反応物を分取LCMSにより精製する。1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 8.65 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.50 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.45-7.42 (m, 2H), 7.38 (d, J = 2 Hz, 1H), 7.29-7.25 (m, 3H), 7.15 (d, J = 8 Hz, 1H), 6.96 (m, 1H), 6.37 (s, 1H), 3.60 (s, 3H), 3.19 (s, 6H), 2.08 (s, 3H); MS m/z 428.2 (M+1)。
【0175】
実施例13
1−メチル−7−(メチルチオ)−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)ベンズアミド(L1)
【化25】

N−(3−(7−クロロ−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルフェニル)ベンズアミドA6(70mg0.17mmol)をNMP(1mL)に溶解し、ナトリウムメタンチオレート(15mg、0.21mmol)で処理する。反応混合物を100℃に12時間加熱する。反応物を室温に冷却し、EtOAcおよび水で分配する。有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去する。粗生成物をDMF(1mL)に溶解し、分取LCMSにより精製する。1H NMR 400 MHz (MeOD) δ 8.82 (s, 1H), 7.95-7.92 (m, 2H), 7.67-7.50 (m, 5H), 7.41 (s, 1H), 7.30 (d, J = 8 Hz, 1H), 3.78 (s, 3H), 2.77 (s, 3H), 2.21 (s, 3H); MS m/z 416.1 (M+1)。
【0176】
実施例14
3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチル−N−(5−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(M6)
【化26】

DMF(1mL)中の3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチル安息香酸29(50mg、0.17mmol)の溶液をHATU(97mg、0.255mmol)、5−メチルピリジン−2−アミン(22mg、0.2mmol)およびDIPEA(0.089mL、0.51mmol)で80℃で2時間処理する。残渣を分取LCMSにより精製し、所望の生成物M6を白色がかった固体として得る。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 9.12 (s, 1H), 8.26 (m, 1H), 8.22 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 8.07 (dd, J = 8, 1.6 Hz, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.86 (m, 1H), 7.57 (d, J = 8 Hz, 1H), 3.85 (s, 3H), 2.87 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 2.35 (s, 3H); LC/MS (M+1, m/z): 399.2。
【0177】
実施例15
3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−N−(5−フルオロピリジン−2−イル)−4−メチルベンズアミド(M32)
【化27】

SOCl(1mL)中の3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチル安息香酸29(154mg、0.5mmol)の溶液を還流温度で2時間加熱する。過剰のSOClを真空除去し、得られた固体を5−フルオロピリジン−2−アミン(112mg、1mmol)およびピリジン(0.4mL、5mmol)の溶液に室温で加える。得られた混合物を30分撹拌し、蒸発させる。残渣を分取LCMSにより精製し、所望の生成物M32を白色がかった固体として得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.84 (s, 1H), 8.28 (m, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.95 (dd, J = 8, 2 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.65 (dt, J = 9.1, 2.9 Hz, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.48 (d, J = 8 Hz, 1H), 3.8 (s, 3H), 2.73 (s, 3H), 2.32 (s, 3H); LC/MS (M+1, m/z): 403.1。
【0178】
表9は上記の製造法と類似の方法にしたがって製造される本発明の他の典型的な化合物を記載している。
表9
【表41】

【表42】

【0179】
【表43】

【表44】

【0180】
【表45】

【表46】

【0181】
【表47】

【表48】

【表49】

【0182】
実施例16
3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチル−N−(フェニルカルバモイル)ベンズアミド(N1)
【化28】

3−(1,7−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−イル)−4−メチルベンゾイルイソシアネート31(10mg、0.03mmol)をアニリン(3mg、0.3mmol)を有するDCMに室温で1時間懸濁する。溶媒を除去し、残渣を分取LCMSにより精製し、所望の生成物N1を得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11 (s, 1H), 10.8 (s, 1H), 8.99 (s, 1H), 8.1 (s, 1H), 8.01 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.48 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.36 (m, 2H), 7.12 (t, J = 7 Hz, 1H), 2.7 (s, 3H), 2.51 (s, 3H), 2.25 (s, 3H); LC/MS (M+1, m/z): 427.2。
【0183】
表10は上記の製造法と類似の方法にしたがって製造される本発明の他の典型的な化合物を記載している。
表10
【表50】

【表51】

【0184】
【表52】

【表53】

【0185】
【表54】

【表55】

【0186】
表11は上記の一般製造法A−Nのいずれかを使用して製造され得る関連化合物および他の化合物を記載している。
表11
【表56】

【表57】

【0187】
【表58】

【表59】

【0188】
【表60】

【表61】

【0189】
【表62】

【表63】

【0190】
【表64】

【表65】

【0191】
【表66】

【表67】

【表68】

【0192】
アッセイ
本発明の化合物を、一般的に下記のアッセイまたは当分野で既知のアッセイを使用して、タンパク質キナーゼ、例えば、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型を阻害する能力についてアッセイする。例えば、本発明の化合物を、野生型Ba/F3細胞ならびにTel c−kitキナーゼおよびTel PDGFR融合チロシンキナーゼで形質転換されたBa/F3細胞の増殖を選択的に阻害する能力、および、Mo7e細胞におけるSCF依存増殖を選択的に阻害する能力を測定するためにアッセイする。
【0193】
増殖アッセイ:BaF3ライブラリー−Bright glo読出しプロトコール
化合物がBa/F3細胞およびTel融合チロシンキナーゼで形質転換されたBa/F3細胞の増殖を阻害する能力を試験する。形質転換されていないBa/F3細胞は組み換えIL3を含む培地で維持する。細胞を1ウェルあたり50μl中で5,000細胞で384−ウェルTCプレートに入れ、0.06nMから10μMの試験化合物を加える。次に細胞を48時間37℃で5%COでインキュベートする。細胞をインキュベート後、25μLのBRIGHT GLO(登録商標)(Promega)を製造業者の指示に従って各ウェルに加え、プレートをAnalyst GT-Luminescence mode-50000 integration time in RLUを使用して読む。50%阻害に必要とする化合物濃度であるIC50値を用量応答曲線から決定する。
【0194】
Ba/F3 FL FLT3増殖アッセイ
使用するマウス細胞系は全長FLT3構築物を発現するBa/F3マウスB前駆細胞系である。これらの細胞を、ペニシリン50μg/mL、ストレプトマイシン50μg/mLおよびLグルタミン200mM、マウス組み換えIL3を添加したRPMI1640/10%胎児ウシ血清(RPMI/FBS)に維持する。Ba/F3全長FLT3細胞を16時間、IL3飢餓条件にし、次に384ウェルTCプレートにウェルあたり25μl培地中で5,000細胞で入れる;そして、0.06nMから10μMの試験化合物を加える。化合物を添加後、FLT3リガンドまたは細胞毒性対照IL3をウェルあたり25μlの培地で適当な濃度で加える。次に細胞を48時間37℃で5%COでインキュベートする。細胞をインキュベート後、25μLのBRIGHT GLO(登録商標)(Promega)を製造業者の指示に従って各ウェルに加え、プレートをAnalyst GT-Luminescence mode-50000 integration time in RLUを使用して読む。
【0195】
Mo7eアッセイ
Mo7e細胞は、増殖をSCFに依存するヒト前巨核球性白血病細胞系である。本明細書に記載されている化合物は、96ウェルフォーマットでc−kitを内在的に発現するMo7e細胞を使用して、SCF依存増殖の阻害について試験する。簡潔には、2倍希釈した試験化合物(Cmax=10μM)をヒト組み換えSCFで刺激されたMo7e細胞の抗増殖活性を評価する。48時間37℃でインキュベーション後、細胞生存をPromegaのMTT比色分析アッセイを使用することにより測定する。
【0196】
細胞性BCR−Abl依存性増殖の阻害(ハイスループット法)
マウス細胞系32D造血前駆細胞系は、BCR−Abl cDNAで形質転換され得る。これらの細胞を、ペニシリン(50μg/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)およびL−グルタミン(200mM)を添加したRPMI/10%胎児ウシ血清(RPMI/FCS)に維持する。形質転換されていない32D細胞を、IL3の源として15%のWEHI馴化培地を添加して同様に維持する。
【0197】
50μlの32Dまたは32D−p210細胞懸濁液を5000細胞/ウェルの密度でGreiner384ウェルマイクロプレート(black)に播種する。50nLの試験化合物(DMSO貯蔵溶液中で1mM)をそれぞれのウェルに加える(STI571を陽性対照として包含する)。細胞を72時間、37℃、5%COでインキュベートする。10μlの60%ALAMAR BLUETM溶液(Tek diagnostics)をそれぞれのウェルに加え、細胞をさらに24時間インキュベートする。蛍光強度(530nmで励起、580nmで放射)でACQUESTTMシステム(Molecular Devices)を使用して定量する。
【0198】
細胞性BCR−Abl依存性増殖の阻害
32D−p210細胞を96ウェルTCプレートに15,000細胞/ウェルの密度で播種する。50μLの試験化合物の2倍連続希釈(Cmaxは40μM)をそれぞれのウェルに添加する(STI571を陽性対照として包含する)。細胞を48時間、37℃、5%COでインキュベート後、15μLのMTT(Promega)をそれぞれのウェルに添加し、細胞をさらに5時間インキュベートする。570nmの光学密度を分光測光により定量し、IC50値を用量応答曲線から決定する。
【0199】
細胞サイクル分布に対する効果
32Dおよび32D−p210細胞を6ウェルTCプレートに、5mlの培地中2.5×10細胞/ウェルで播種し、1または10μMの試験化合物を添加する(STI571を対照として包含する)。細胞を次いで24時間または48時間、37℃、5%COでインキュベートする。2mlの細胞懸濁液をPBSで洗浄し、70%EtOHに1時間固定し、PBS/EDTA/RNase Aで30分処置する。ヨウ化プロピジウム(Cf=10μg/ml)を添加し、蛍光強度をFACScaliburTMシステム(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより定量する。いくつかの態様において、本発明の試験化合物は、32D−p210細胞に対してアポトーシス作用を証明できるが、32D親細胞ではアポトーシスを誘発しない。
【0200】
細胞性BCR−Abl自己リン酸化に対する効果
BCR−Abl自己リン酸化を、c−abl特異的捕捉抗体および抗ホスホチロシン抗体を使用した、捕捉Elisaで定量する。32D−p210細胞を96ウェルTCプレートに、50μLの培地中2×10細胞/ウェルで播種する。50μLの試験化合物の2倍連続希釈(Cmaxは10μM)をそれぞれのウェルに添加する(STI571を陽性対照として包含する)。細胞を、90分、37℃、5%COでインキュベートする。次いで、細胞を1時間、氷上でプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む150μLの融解緩衝液(50mMのTris HCl、pH7.4、150mMのNaCl、5mMのEDTA、1mMのEGTAおよび1%NP−40)で処理する。50μLの細胞融解物を、予め抗abl特異的抗体でコーティングし、ブロックした96ウェルoptiplateに添加する。プレートを、4時間、4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、50μLのアルカリホスファターゼ結合抗ホスホチロシン抗体を添加し、プレートをさらに一晩4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、90μLの発光基質を添加し、発光をACQUESTTMシステム(Molecular Devices)を使用して定量する。
【0201】
Bcr−ablの変異型を発現する細胞の増殖に対する効果
本発明の化合物を、BCR−Ablの野生型または、STI571に対する耐性を付与するか感受性を低下させる変異型(G250E、E255V、T315I、F317L、M351T)のいずれかを発現するBa/F3細胞に対するそれらの抗増殖効果を試験できる。変異体BCR−Abl発現細胞および非形質転換細胞に対するこれらの化合物の抗増殖性効果を、上記のとおり(IL3欠如培地中で)10、3.3、1.1および0.37μMで試験できる。非形質転換細胞に対して毒性がない化合物のIC50値を、上記のとおりに得た用量応答曲線から決定する。
【0202】
FGFR(酵素アッセイ)
精製FGFR3(Upstate)でキナーゼ活性アッセイをキナーゼバッファー(30mMのTris−HCl pH7.5、15mMのMgCl、4.5mMのMnCl、15μMのNaVOおよび50μg/mLのBSA)中の0.25μg/mLの酵素、および基質(5μg/mLのビオチン−ポリ−EY(Glu、Tyr)(CIS-US, Inc.)および3μMのATP)を含む最終容量10μLで行う。2つの溶液を作る:キナーゼバッファー中にFGFR酵素を含む5μlの第1の溶液を、まず384フォーマットProxiPlate(登録商標)(Perkin-Elmer)に分配し、次いでDMSO中に溶解させた50nLの化合物を加える。キナーゼバッファー中に基質(ポリ−EY)およびATPを含む第2の溶液(5μl)をそれぞれのウェルに加える。反応物を室温で1時間インキュベートし、30mMのTris−HCl pH7.5、0.5MのKF、50mMのETDA、0.2mg/mLのBSA、15μg/mLのストレプトアビジン−XL665(CIS-US, Inc.)および150ng/mLのクリプタート結合抗ホスホチロシン抗体(CIS-US, Inc.)を含む10μLのHTRF検出混合物の添加により停止する。ストレプトアビジン−ビオチン相互作用をするため室温で1時間インキュベーション後、時間分解蛍光シグナルはAnalyst GT(Molecular Devices Corp.)で読む。IC50値は12個の濃度(50μMから0.28nMの1:3希釈)でそれぞれの化合物の阻害%の線形回帰分析により計算する。
【0203】
FGFR3(細胞アッセイ)
本発明の化合物をFGFR3細胞キナーゼ活性に依存している形質転換Ba/F3−TEL−FGFR3細胞増殖を阻害する能力に対して試験することができる。Ba/F3−TEL−FGFR3を培養培地として10%の胎児ウシ血清を補ったRPMI 1640を含む懸濁液中に800,000細胞/mLまで培養する。細胞を50μLの培養培地中に5000細胞/ウェルで384ウェル形式のプレート中に分配する。本発明の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、希釈する。一般的に10mMから0.05μMの範囲の濃度勾配を作るため、1:3連続希釈で12点をDMSO中に作る。細胞を50nLの希釈化合物と加え、48時間、細胞培養インキュベーター中でインキュベーションする。増殖している細胞により作られる還元環境をモニタリングするために使用できるALAMAR BLUE(登録商標)(TREK Diagnostic Systems)を最終濃度10%で細胞に加える。37℃で細胞培養インキュベーター内でさらに4時間インキュベーション後、還元ALAMAR BLUE(登録商標)(530nmで励起、580nmで放射)からの蛍光シグナルをAnalyst GT(Molecular Devices Corp.)で定量化する。IC50値は12個の濃度でそれぞれの化合物の阻害%の線形回帰分析により計算する。
【0204】
FLT3およびPDGFRβ
FLT3およびPDGFRβの細胞活性における本発明の化合物の効果を、Ba/F3−TEL−FGFR3、Ba/F3−FLT3−ITDおよびBa/F3−Tel−PDGFRβを使用する代わりに各々を使用すること以外は、FGFR3細胞活性を上記と同じ方法を使用して実施する。
【0205】
b−Raf(酵素アッセイ)
本発明の化合物を、それらのb−Rafの活性を阻害する能力について試験できる。アッセイを、黒色壁かつ透明底の384ウェルMaxiSorpプレート(NUNC)で行う。基質、IκBαをDPBS(1:750)で希釈し、15μlをそれぞれのウェルに添加する。プレートを4℃で一晩インキュベートし、EMBLAプレート洗浄機を使用して、3回TBST(25mMのTris、pH8.0、150mMのNaClおよび0.05%Tween−20)で洗浄する。プレートをSuperblock(15μl/ウェル)で3時間、室温でブロックし、TBSTで3回洗浄し、軽く叩いて乾燥させる。20μMのATP(10μl)含有アッセイ緩衝液、続いて100nlまたは500nlの化合物をそれぞれのウェルに添加する。B−Rafをアッセイ緩衝液で希釈し(25μl中に1μl)、10μlの希釈したb−Rafをそれぞれのウェルに添加する(0.4μg/ウェル)。プレートを室温で2.5時間インキュベートする。キナーゼ反応を、プレートを6回TBSTで洗浄することにより停止させる。Phosph−IκBα(Ser32/36)抗体をSuperblock中で希釈し(1:10,000)、15μlをそれぞれのウェルに添加する。プレートを4℃で一晩インキュベートし、TBSTで6回洗浄する。AP結合ヤギ抗マウスIgGをSuperblockで希釈し(1:1,500)、15μlをそれぞれのウェルに添加する。プレートを室温で1時間インキュベートし、TBSTで6回洗浄する。15μlのAttophos AP基質をそれぞれのウェルに添加し、プレートを室温で15分インキュベートする。プレートをAcquestまたはAnalyst GTで、Fluorescence Intensity Nanxin BBT anion(505ダイクロイックミラー)を使用して読み取る。
【0206】
b−Raf(細胞アッセイ)
本発明の化合物をA375細胞でMEKのリン酸化を阻害する能力に対して試験できる。A375細胞系(ATCC)はヒト黒色腫患者由来であり、B−Raf遺伝子にV599E変異を有する。リン酸化MEKのレベルがB−Raf変異のため上昇する。サブコンフルエントからコンフルエントA375細胞を化合物と2時間37℃で無血清培地中でインキュベーションする。次いで細胞を冷PBSで1回洗浄し、1%のTriton X100を含む溶解バッファーで溶解する。遠心分離後、上清をSDS−PAGEに付し、次いでニトロセルロース膜に移す。次いで膜を抗リン酸−MEK抗体(ser217/221)(細胞シグナル)でウエスタンブロッティングに付す。リン酸化MEKの量はニトロセルロース膜のリン酸−MEKバンドの密度によりモニタリングする。
【0207】
ヒトTG−HA−VSMC増殖アッセイ
ヒトTG−HA−VSMC細胞(ATCC)を、1%のFBSおよび6e4細胞/mLで30ng/mLの組み換えヒトPDGF−BBを補ったDMEM中で再懸濁する前に、10%のFBSを補ったDMEM中で80−90%のコンフルエンスまで培養する。次に細胞を50μL/wellで384ウェルプレートに分配し、20時間37℃でインキュベートし、次に48時間37℃で0.5μLの100×化合物で処理する。処理後、25μLのCellTiter−Gloをそれぞれのウェルに15分で加え、次にプレートをCLIPR(Molecular Devices)で読む。
【0208】
UPSTATE KINASE PROFILERTM−放射酵素的フィルター結合アッセイ
本発明の化合物を、一連のキナーゼの個々のメンバー、例えば、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafおよびb−rafキナーゼを阻害する能力についてアッセイできる。化合物を、10μMの最終濃度でデュプリケートで、この一般的プロトコールに従い試験する。キナーゼ緩衝液組成物および基質は一連の“Upstate Kinase ProfilerTM”を含んでいる異なるキナーゼに対して変化することを留意する。キナーゼ緩衝液(2.5μL、10×−必要であればMnCl含有)、キナーゼ緩衝液中の活性キナーゼ(0.001−0.01単位;2.5μL)、特異的またはポリ(Glu4−Tyr)ペプチド(5−500μMまたは.01mg/ml)およびキナーゼ緩衝液(50μM;5μL)を、氷上でエッペンドルフで混合する。Mg/ATPミックス(10μL;67.5または33.75mMのMgCl、450または225μMのATPおよび1μCi/μl[γ−32P]−ATP(3000Ci/mmol)を添加し、反応物を約30℃で約10分インキュベートする。反応混合物を2cm×2cmのP81(ホスホセルロース、正に荷電したペプチド基質のため)またはWhatman No.1(ポリ(Glu4−Tyr)ペプチド基質のため)方眼紙にスポット(20μL)する。アッセイ升目を4回、それぞれ5分、0.75%リン酸で、そして1回アセトンで5分洗浄する。アッセイ升目をシンチレーションバイアルに移し、シンチレーションカクテル(5ml)を添加し、ペプチド基質への32P取り込み(cpm)をBeckmanシンチレーションカウンターで計数する。それぞれの反応について阻害パーセントを計算する。
【0209】
遊離形の式(1)、(2)または(3)の化合物または薬学的に許容される塩形は、例えば、本出願に記載のインビトロ試験法により示される通り、重要な薬理学的特性を示すことができる。これらの実験におけるIC50値は、阻害剤なしの対照を使用して得られる細胞数よりも50%少ない細胞数となる対象の試験化合物の濃度である。一般的に、本発明の化合物は、1nMから10μMのIC50値を有する。いくつかの例において、本発明の化合物は、0.01μMから5μMのIC50値を示す。他の例において、本発明の化合物は、0.01μMから1μM、または、さらに特に1nMから1μMのIC50値を有する。さらに他の態様において、本発明の化合物は、1nM未満または10μMより大きいIC50値を有する。10μMの濃度で式(1)または(2)の化合物は、1種以上の下記キナーゼ:c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型に対して50%以上の阻害%、または他の態様において、好ましくは約70%以上の阻害%を示すことができる。
【0210】
ここに記載の例および態様は、説明の目的のためのみであり、それに照らした様々な修飾または変化が当業者には示唆され、それらは本発明の精神および範囲の範囲内および添付の特許請求の範囲内に包含されることは理解されるべきである。本明細書で引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的のために引用して本明細書に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

〔式中、
YおよびZは、独立して、CRまたはNであり;
Lは、NR−C(O)、C(O)NR、C(O)NRC(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)NRC(O)、NRC(S)NRCO、NRS(O)0−2またはNRCONRS(O)0−2であり;
およびRは、独立して、ハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSRまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、(CR、(CR1−4OR、(CR1−4NRまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、(CR、(CRORまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
は、H、ハロまたはC1−6アルキルであり;
は、所望により置換されているC3−7シクロアルキルまたは所望により置換されている5−12員アリール、ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
およびRは、独立して、H、(CRNR、(CROR、(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであるか;または、RおよびRは、それぞれのNRにおけるNと一体となって、所望により置換されている環を形成してもよく;
は、H、(CR−Rまたは所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
それぞれのRは、Hまたは所望によりN、O、=O、Sで置換されているか、または置き換わっている炭素を有するC1−6アルキルであるか;または、(CRの2個のアルキレン基は、アルケニルまたはアルキニルを形成してもよく;
それぞれの所望により置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルは、所望によりハロゲン化されているか、または所望によりN、OまたはSで置換されており;
kは0−6であり;そして、
nは0−2である;
ただし、Rがハロ、(CRNRまたはC5−8ヘテロシクロアルキルであり、そして、RがC1−6アルキルであるとき、LはC(O)NRC(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)NRC(O)、NRC(S)NRCOまたはNRCONRS(O)0−2である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
YがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSR、または、所望により置換されているC1−6アルキルもしくはC2−6アルケニルであり;
がC1−6アルキル、C2−6アルケニル、(CR、(CR1−4ORまたは(CR1−4NRであり;
がフェニル、C3−7シクロアルキル、または、N、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり、これらそれぞれは、所望によりハロまたは所望によりハロゲン化されているC1−6アルキルで置換されており;
、RおよびRが、独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;または、RおよびRが、一体となって、所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成してもよく;そして、
それぞれのkが0−4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
nが1であり;そして、RがハロまたはC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がC1−6アルキル、(CRO(C1−6アルキル)または(CRであり;
が所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたはN、OまたはSを含む5−12員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;そして、
kが0−4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
該5−12員ヘテロ環またはヘテロアリールが、チアゾリル、チエニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、アゼチジニル、チアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾジオキソリル、インダゾリル、インドリル、インデニル、ジヒドロインデニルまたはジヒドロベンゾフランである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
該所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキルまたはN、OまたはSを含む5−12員ヘテロ環もしくはヘテロアリールが、所望によりハロ、シアノ、ニトロ、NR、NRCOR、NRCO(CRNR、NRCONR(CRNR、(CROR、(CR10および所望によりハロ、ヒドロキシル、C1−6アルコキシまたはシアノで置換されているC1−6アルキルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されており;
それぞれのRが、Hまたは所望によりN、O、=O、Sで置換されているか、または置き換わっている炭素を有するC1−6アルキルであるか;または、(CRの2個のアルキレン基が、アルケニルまたはアルキニルを形成してもよく;
およびRが、独立して、H、C1−6アルキルまたは(CR−R10であるか;または、RおよびRが、それぞれのNRにおけるNと一体となって、所望により置換されている環を形成してもよく;
が、H、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキルまたは(CR10であり;
10が、C3−7シクロアルキル、アリールまたはN、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり、これらそれぞれは、所望により1個以上の該置換基で置換されており;そして、
pが0−4である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
該化合物が式(2):
【化2】

で示される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、ハロ、(CR、(CRNR、(CROR、(CRSRまたは所望により置換されているC1−6アルキルもしくはC2−6アルケニルであり;
が、C1−6アルキル、(CR)R6’、(CR1−4ORまたは(CR1−4NRであり;
が、ハロまたはC1−6アルキルであり;
が、C1−6アルキル、(CRO(C1−6アルキル)または(CRであり;
6’が、所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキル、または、N、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
が、所望により置換されているフェニル、C3−7シクロアルキル、または、N、OまたはSを含む5−12員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;
、RおよびRが、独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;または、RおよびRが、一体となって、所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成してもよく;そして、
それぞれのkが0−4である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
6’が、所望によりハロまたは所望によりハロゲン化されているC1−6アルキルで置換されおり;そして、Rが、所望によりハロ、シアノ、ニトロ、NR、NRCOR、NRCO(CRNR、NRCONR(CRNR、(CROR、(CR10、所望によりハロ、ヒドロキシル、C1−6アルコキシまたはシアノで置換されているC1−6アルキルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されており;
それぞれのRが、Hまたは所望によりN、O、=O、Sで置換されているか、または置き換わっている炭素を有するC1−6アルキルであるか;または、(CRの2個のアルキレン基が、アルケニルまたはアルキニルを形成してもよく;
およびRが、独立して、H、C1−6アルキルまたは(CR−R10であるか;または、RおよびRが、それぞれのNRにおけるNと一体となって、所望により置換されている環を形成してもよく;
が、H、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキルまたは(CR10であり;
10が、C3−7シクロアルキル、アリールまたはN、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールであり;そして、
pが0−4であり、
ここで、それぞれの該所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたはN、OまたはSを含む5−7員ヘテロ環もしくはヘテロアリールが、該1個以上の置換基でさらに置換されていてもよい、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
該化合物が式(3):
【化3】

で示される化合物である、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
該化合物が:
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
治療有効量の請求項1−13のいずれかに記載の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
キナーゼ活性を調節するための請求項1−13のいずれかに記載の化合物もしくはその医薬組成物の使用であって、該キナーゼが、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、Fms、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型である使用。
【請求項16】
治療有効量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を必要とする系または対象に投与することを含むキナーゼ活性を調節するための方法であって、該キナーゼが、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、Fms、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型である方法。
【請求項17】
インビトロまたはインビボで請求項1に記載の化合物をc−kit、PDGFRαまたはPDGFRβまたはそれらの変異形と直接接触させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
キナーゼ介在状態を処置するための薬物の製造のための、所望により治療有効量の第2の薬剤と組み合わせた、請求項1−13のいずれかに記載の化合物またはそれらの医薬組成物の使用であって、該キナーゼが、c−kit、PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R、Abl、BCR−Abl、CSK、JNK1、JNK2、p38、p70S6K、TGFβ、SRC、EGFR、trkB、FGFR3、Fes、Lck、Syk、RAF、MKK4、MKK6、SAPK2β、BRK、Fms、KDR、c−rafまたはb−rafキナーゼまたはそれらの変異型である使用。
【請求項19】
該キナーゼ介在状態または疾患がc−kit、PDGFRαまたはPDGFRβキナーゼにより介在される、請求項18に記載の化合物の使用。
【請求項20】
第2の薬剤が、気管支拡張剤、抗炎症剤、ロイコトリエンアンタゴニストまたはIgE遮断剤であり;そして、該第2の薬剤が、請求項1に記載の化合物に対して前、同時、後に投与される、請求項18に記載の化合物の使用。
【請求項21】
該キナーゼ介在疾患または状態が、肥満細胞介在疾患、新生物障害、アレルギー障害、炎症性疾患、過敏性腸症候群(IBS)、自己免疫性疾患、移植片対宿主病、メタボリックシンドローム、CNS関連障害、神経変性障害、疼痛状態、薬物濫用障害、プリオン病、癌、心臓病、線維症、特発性肺高血圧(IPAH)、原発性肺高血圧(PPH)、神経膠腫または心血管疾患である、請求項18に記載の化合物の使用。
【請求項22】
該肥満細胞介在疾患が、アクネ、進行性骨化性線維異形成症(FOP)、炎症および組織破壊、嚢胞性線維症;腎臓疾患、炎症性筋疾患、HIV、脳虚血、肥満細胞症、黄斑変性症、鼻ポリープ、髪喪失、細菌感染、間質性膀胱炎、腫瘍血管形成または骨損失の予防または最小化であり;
該新生物障害が、肥満細胞症、消化管間質腫瘍、小細胞肺癌、非小細胞性肺癌、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌腫、胃癌腫、精巣癌、膠芽細胞腫または星状細胞腫であり;
該アレルギー障害が、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アナフィラキシー症候群、蕁麻疹、血管浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、皮膚壊死性細静脈炎、虫刺されによる皮膚炎症または吸血寄生虫侵入であり;
該炎症性疾患が、リウマチ性関節炎、結膜炎、リウマチ様脊椎炎、骨関節症または痛風関節炎であり;
該自己免疫性疾患が、多発性硬化症、乾癬、腸炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD);潰瘍性、不確定または感染性大腸炎;クローン病、リウマチ性関節炎、多発性関節炎、局所または全身性強皮症、全身性エリテマトーデス、円板状紅斑性狼瘡、皮膚狼瘡、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、結節性汎動脈炎、自己免疫性腸疾患または増殖性糸球体腎炎であり;
該移植片対宿主病が、臓器移植移植片拒絶反応であり;
該メタボリックシンドロームが、I型糖尿病、II型糖尿病または肥満であり;
該CNS関連障害が、鬱病、気分変調性障害、気分循環性障害、食欲不振、過食症、月経前症候群、月経後症候群、精神機能低下、集中力低下、苦労性(pessimistic worry)、激越、自己非難および性欲減退、不安障害、精神疾患または統合失調症であり;
該神経変性障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン疾患、運動ニューロン疾患(MND)または筋萎縮性側索硬化症(ALS)であり;
該疼痛状態が、急性疼痛、術後疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、癌疼痛、神経障害性疼痛または心因性疼痛症候群であり;
該薬物使用障害が、薬物耽溺、薬物濫用、薬物嗜癖、薬物依存、退薬症候群または過剰摂取であり;
該癌が、黒色腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌または他の固形腫瘍であり;そして、
該線維症が、心臓線維症、C型肝炎(HCV)、肝臓線維症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、肝硬変症、肺線維症または骨髄線維症である、請求項21に記載の化合物の使用。
【請求項23】
臓器移植が、腎臓移植、膵臓移植、肝臓移植、心臓移植、肺移植または骨髄移植である、請求項22に記載の化合物の使用。
【請求項24】
式:
【化31】

からなる群から選択される化合物またはそれらの薬学的に許容される塩。

【公表番号】特表2010−506948(P2010−506948A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533484(P2009−533484)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/081538
【国際公開番号】WO2008/051757
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】