説明

CVD−Ru膜の形成方法および半導体装置の製造方法

【課題】Cuの濡れ性が良好なCVD−Ru膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、前記Ru膜が成膜された基板に対し、水素含有雰囲気でのアニールを行う工程とによりCVD−Ru膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Cu配線の下地として用いるCVD−Ru膜の形成方法および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体デバイスの高速化、配線パターンの微細化、高集積化の要求に対応して、配線間の容量の低下ならびに配線の導電性向上およびエレクトロマイグレーション耐性の向上が求められており、それに対応した技術として、配線材料にアルミニウム(Al)やタングステン(W)よりも導電性が高くかつエレクトロマイグレーション耐性に優れている銅(Cu)を用い、層間絶縁膜として低誘電率膜(Low−k膜)を用いたCu多層配線技術が注目されている。
【0003】
この際のCu配線の形成方法としては、トレンチやホールが形成されたLow−k膜にTa、TaN、Tiなどからなるバリア層をスパッタリングに代表される物理蒸着法(PVD)で形成し、その上に同じくPVDによりCuシード層を形成し、さらにその上にCuめっきを施す技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
しかしながら、半導体デバイスのデザインルールが益々微細化しており、今後の32nmノード以降においては、上記特許文献1に開示された技術では、ステップカバレッジが本質的に低いPVDでCuシード層をトレンチやホール内に形成することが困難となり、したがって、ホール内にめっきを形成することも困難となることが予想される。
【0005】
これに対し、バリア層の上に化学蒸着法(CVD)によりRu膜を形成し(CVD−Ru膜)、その上にCuめっきを施す方法が提案されている(特許文献2)。CVD−Ru膜はステップカバレッジが良好であり、しかもCu膜との密着性が良好であるため、微細なトレンチやホール内に成膜することが可能である。
【0006】
CVD−Ru膜を成膜する技術としては、成膜原料としてルテニウムのペンタジエニル化合物等を用いたもの(特許文献3)や、ルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)を用いたもの(特許文献4)が知られている。特に、ルテニウムカルボニルを用いてCVD−Ru膜を成膜する場合には、成膜原料中の不純物成分は基本的にCとOのみであるので高純度の膜を得ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−340226号公報
【特許文献2】特開2007−194624号公報
【特許文献3】国際公開第2007/102333号パンフレット
【特許文献4】特開2007−27035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、CVD−Ru膜を成膜した後にCuシード膜を形成する場合に、実際には、特にトレンチやホールの側壁へのCuの濡れ性が悪化し、トレンチやホールをCuめっきで埋める際に、Cuめっきの中にボイドが発生することがある。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、Cuの濡れ性が良好なCVD−Ru膜の形成方法およびそのようなCVD−Ru膜を有する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
また、そのような半導体装置の製造方法を実行するためのプログラムを記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため、まずこのようなCVD−Ru膜に対するCuの濡れ性悪化の原因について検討した。その結果、ルテニウムカルボニルのような有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVD−Ru膜を成膜する場合には、成膜原料にカーボンが多く含まれているため、成膜したままの状態では膜中にカーボンが不純物として残留し、膜表面はCOで終端された状態となっており、その後、Ruの結晶化のために不活性ガス雰囲気でのアニールを行うと、Ru膜表面および膜中にカーボンが偏析した状態となり、このようにRu膜表面に残留したカーボンがCuの濡れ性を悪化させていることが判明した。そこで、このような残留カーボンを低減すべく検討を重ねた結果、アニールを水素含有雰囲気で行うこと、または不活性ガス雰囲気でのアニール後に大気曝露することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、前記Ru膜が成膜された基板に対し、水素含有雰囲気でのアニールを行う工程とを含むことを特徴とするCVD−Ru膜の形成方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、前記Ru膜が成膜された基板に対し、不活性ガス雰囲気でのアニールを行う工程と、前記不活性ガス雰囲気でのアニールの後、前記Ru膜を大気曝露する工程とを含むことを特徴とするCVD−Ru膜の形成方法を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、トレンチおよび/またはホールを有する基板に対し、金属バリア膜を成膜する工程と、前記金属バリア膜の上に、有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、前記Ru膜が成膜された基板に対し、水素含有雰囲気でのアニールを行う工程と、前記アニール工程後のRu膜の上にトレンチおよび/またはホール内にCuめっきを埋め込むためのCuシード膜を成膜する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0014】
さらにまた、本発明は、トレンチおよび/またはホールを有する基板に対し、金属バリア膜を成膜する工程と、前記金属バリア膜の上に、有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、前記Ru膜が成膜された基板に対し、不活性ガス雰囲気でのアニールを行う工程と、前記不活性ガス雰囲気でのアニールの後、前記Ru膜を大気曝露する工程と、前記アニール工程後のRu膜の上にトレンチおよび/またはホール内にCuめっきを埋め込むためのCuシード膜を成膜する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0015】
さらにまた、本発明は、コンピュータ上で動作し、処理装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項6から請求項10のいずれかの半導体装置の製造方法が行われるように、コンピュータに前記処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
【0016】
本発明において、前記水素含有雰囲気でのアニールおよび前記不活性ガス雰囲気でのアニールは150〜400℃で行うことが好ましい。
【0017】
また、前記有機金属化合物としては、ルテニウムカルボニルを含むものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVD−Ru膜を成膜した後、水素含有雰囲気でアニールを行うか、または不活性ガス雰囲気でのアニール後に大気曝露するので、Ru膜表面の残留カーボンが低減され、Cuシード膜の濡れ性が良好となる。このため、Cuめっきの際のボトムアップおよび核生成が速やかに進行し、Cuめっき中のボイドを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施形態の方法の工程断面図である。
【図3】CVD−Ru膜の成膜直後の状態を示す模式図である。
【図4】CVD−Ru膜の成膜後、不活性ガス雰囲気でアニールを行った状態を示す模式図である。
【図5】不活性ガス雰囲気でアニールを行った後のCVD−Ru膜にCuシード膜を形成した状態を示す模式図である。
【図6】図5の状態でCuシード膜が形成されているトレンチ内にCuめっきを埋め込む様子を示す模式図である。
【図7】本発明の第1の実施形態において、CVD−Ru膜成膜後、水素雰囲気でのアニールを行った状態を示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態での水素雰囲気でのアニール後に、Cuシード膜を形成した状態を示す模式図である。
【図9】図8の状態でCuシード膜が形成されているトレンチ内にCuめっきを埋め込む様子を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態の方法の工程断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態において、CVD−Ru膜成膜後、不活性雰囲気でのアニールを行い、さらに大気曝露を行った状態を示す模式図である。
【図13】CVD−Ru膜を成膜後、アニールなしおよび種々の条件でアニールを行った場合の膜厚方向のC濃度を二次イオン質量分析計(SIMS)により分析した結果を示す図である。
【図14】CVD−Ru膜を成膜後、不活性ガスアニールとCuシード膜成膜を行った従来のサンプルと、水素含有雰囲気アニールとCuシード膜成膜を行った第1の実施形態のサンプルとについてCuめっきを施した状態を比較して示す図。
【図15】本発明の第1の実施形態および第2の実施形態の実施に用いるマルチチャンバタイプの処理装置を示す平面図である。
【図16】図15の処理装置に搭載されたCVD−Ru膜成膜ユニットを示す断面図である。
【図17】図15の処理装置に搭載された、上記第1の実施形態の水素含有雰囲気でのアニールを行うアニールユニットを示す断面図である。
【図18】図15の処理装置に搭載された、上記第2の実施形態のアニールを行うアニールユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態の方法を示すフローチャートであり、図2はその工程断面図である。
【0022】
第1の実施形態では、まず、Si基板11上にSiO膜等の層間絶縁膜12を有し、そこにトレンチ13が形成された半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)を準備する(ステップ1、図2(a))。次いで、トレンチ13を含む全面に1〜10nm、例えば4nm程度の厚さでTi等のバリア膜14を例えばスパッタリング等のPVDにより成膜する(ステップ2、図2(b))。次いで、バリア膜14の上に有機金属化合物であるルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)を成膜原料として1〜5nm、例えば4nm程度の厚さのCVD−Ru膜15を成膜する(ステップ3、図2(c))。次いで、CVD−Ru膜を形成したウエハに水素含有雰囲気でのアニールを行う(ステップ4、図2(d))。その後、CVD−Ru膜15の上に例えばPVDにより5〜50nm、例えば20nm程度の厚さでCuシード膜16を形成する(ステップ5、図2(e))。その後、Cuシード膜16の上にCuめっき17を施し、トレンチ13を埋める(ステップ6、図2(f))。
【0023】
ステップ3のCVD−Ru膜成膜工程は、減圧雰囲気中においてウエハを加熱しつつ、バリア膜14上にルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)を供給して熱分解によりバリア膜14の上にCVD−Ru膜15を成膜する。
【0024】
この成膜の際には、ルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)が分解して多量のCOが排出されるため、図3に示すように、CVD−Ru膜15中にカーボン(C)、酸素(O)が不純物として残留し、膜表面はCOで終端された状態となる。この状態で、従来のように不活性ガス、例えばArガス雰囲気でアニールを行うと、膜中のC,Oおよび表面のCOが脱離してRuが結晶化するが、図4に示すように、膜表面および膜中にCが偏析する。CVD−Ru膜15の表面にCが存在すると、Cuシード膜16を形成した際には、その部分におけるCuの濡れ性が悪化する。その影響で図5に示すようにCuの凝集が発生し、膜が不連続になってしまい、CVD−Ru膜15の表面にはCuで覆われていない部分も発生し、この状態でCuめっきのためにウエハが大気曝露されると、Cuに覆われていないCVD−Ru膜15表面は酸化されてRuOとなる。
【0025】
このような状態でCuシード膜16が形成されているトレンチ13内にCuめっきを埋め込む様子を図6を参照して説明する。図6(a)に示すように、CVD−Ru膜15上のCuシード膜16の不連続性は、トレンチ13の側壁で顕著であり、しかもCVD−Ru膜15が露出してRuOとなっている部分も存在するため、抵抗が大きく、Cuめっきの際のトレンチ13内の電流密度が低くなってしまう。このような不連続状態のCuシード膜16に対してCuめっきを開始すると、図6(b)に示すように、Cuめっきの際のボトムアップが遅く、Cu核の発生密度が低く、マイクロボイドも生成する。そして、さらにCuめっきを進行させると、図6(c)に示すように、トレンチ13内にCuめっきが完全に充填する前にトレンチ13の開口が塞がり(ピンチオフ)、センターボイド18が発生してしまう。
【0026】
これに対して、本実施形態では、ステップ3のCVD−Ru膜15の成膜後、ステップ4の水素含有雰囲気でアニールを行うことにより、図7に示すように、膜中のC,Oおよび表面のCOが脱離してRuが結晶化するとともに、水素の作用によりCVD−Ru膜15からCが抜けるため、膜表面および膜中のCの偏析が生じず、CVD−Ru膜15の表面は清浄な状態となる。この状態でステップ5のCuシード膜16の形成を行った際には、CVD−Ru膜15の表面が清浄であるため、Cuが濡れやすく、図8のように、CVD−Ru膜15の表面全体が極薄のCuシード膜16で覆われた状態となる。
【0027】
このような状態でCuシード膜16が形成されているトレンチ13内にCuめっきを埋め込む様子を図9を参照して説明する。図9(a)に示すように、トレンチ側壁におけるCVD−Ru膜15上のCuシード膜16は、連続しており比較的スムースであるため、抵抗は小さく、Cuめっきの際のトレンチ13内の電流密度が高いため、図9(b)に示すように、CuめっきのボトムアップおよびCu核生成がスムースであり、図9(c)に示すように、ボイドを生じさせずにトレンチ13を埋めることができる。
【0028】
このステップ4の水素含有雰囲気におけるアニール工程は、150〜400℃で行うことが好ましい。400℃を超えるとデバイスに悪影響をおよぼすおそれがあり、150℃未満であればCを除去する効果が不十分になるおそれがある。また、このアニール工程において、雰囲気を形成するガスは水素ガスのみであってもよいし、水素ガスと不活性ガス等の他のガスが混合されていてもよい。このときの水素ガスの比率は3〜100%程度が好ましく、また、水素分圧は
4〜1333Pa程度が好ましい。
【0029】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。図10は本発明の第2の実施形態の方法を示すフローチャートであり、図11はその工程断面図である。
【0030】
第2の実施形態では、第1の実施形態のステップ1と同様のウエハを準備し(ステップ11、図11(a))、第1の実施形態のステップ2と同様にバリア膜14を成膜し(ステップ12、図11(b))、次いで第1の実施形態のステップ3と同様にCVD−Ru膜15を成膜する(ステップ13、図11(c))。その後、第1の実施形態のステップ4の水素含有雰囲気でのアニールの代わりに、不活性ガス、例えばArガス雰囲気でアニールを行い(ステップ14、図11(d))、その後、ウエハを大気曝露する(ステップ15、図11(e))。その後、第1の実施形態のステップ5と同様、CVD−Ru膜15の上にCuシード膜16を形成し(ステップ16、図11(f))、その後、Cuシード膜16の上にCuめっき17を施し、トレンチ13を埋める(ステップ17、図11(g))。
【0031】
この実施形態では、ステップ13のCVD−Ru膜15の成膜の後、ステップ14において、従来と同様、不活性ガス雰囲気でのアニールを行うため、上記図4に示すように、膜表面および膜中にCが偏析するが、その後のステップ15の大気曝露により、図12に示すように、偏析したCが大気中の酸素によりCOとなって脱離し、CVD−Ru膜15の表面は清浄な状態となる。したがって、ステップ16のCuシード膜16の形成を行った際には、第1の実施形態と同様、CVD−Ru膜15の表面全体が極薄のCuシード膜16で覆われた状態となり、ステップ17のCuめっきの際に、CuめっきのボトムアップおよびCu核生成がスムースであり、ボイドを生じさせずにトレンチ13を埋めることができる。
【0032】
このステップ14の不活性ガス雰囲気におけるアニール工程は、150〜400℃で行うことが好ましい。400℃を超えるとデバイスに悪影響をおよぼすおそれがあり、150℃未満であればCを除去する効果が不十分になるおそれがある。また、このアニール工程において、チャンバ内圧力は133〜1333Pa程度が好ましい。また、ステップ15の大気曝露は、文字通りシリコン基板を大気に曝してもよいし、減圧雰囲気のチャンバにわずかに大気を導入するだけでもよい。
【0033】
次に、本発明を用いて実際に半導体装置を製造した結果について説明する。ここでは、シリコン基板上に層間絶縁膜であるSiO膜が形成され、トレンチが形成されたウエハを準備し、バリア膜として厚さ4nmのTi膜をPVDにより成膜し、その上にルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)を用いて厚さ4nmのCVD−Ru膜を成膜し、その後厚さ20nmのCuシード膜を成膜する際に、(1)アニールなしでCuシード膜を成膜した場合、(2)Arガスアニールを行い、Cuシード膜を成膜した場合(従来)、(3)Hガスアニールを行い、Cuシード膜を成膜した場合(第1の実施形態)、(4)Arガスアニールを行い、大気曝露した後Cuシード膜を成膜した場合(第2の実施形態)、(5)Hガスアニールを行い、大気曝露した後Cuシード膜を成膜した場合の5通りについて評価した。
【0034】
これらの場合について、膜厚方向のC濃度を二次イオン質量分析計(SIMS)により分析した。その結果を図13に示す。この図から、(1)のアニールなしは、CVD−Ru膜中およびCVD−Ru膜とCuシード膜界面のC濃度が高く、(2)〜(5)のようにアニールを行うことによりCVD−Ru膜中のC濃度が低減することがわかる。ただし、(2)の従来行っていたArガスアニールとCuシード膜成膜の場合には、CVD−Ru膜とCuシード膜の界面におけるC濃度が高い。これに対して、上記第1の実施形態である(3)のHガスアニールとCuシード膜成膜、上記第2の実施形態である(4)のArガスアニールと大気曝露の場合には、CVD−Ru膜とCuシード膜の界面におけるC濃度が低くなっていることがわかる。このことから、CVD−Ru膜とCuシード膜の界面におけるC濃度がCuの濡れ性に影響を与えていることが確認された。なお、(5)のHガスアニールと大気曝露の場合には、(3)のHガスアニールとCuシード膜成膜に比べてC濃度が若干高くなる傾向がある。
【0035】
次に、上記(2)のArガスアニールとCuシード膜成膜(従来)と(3)のHガスアニールとCuシード膜成膜(第1の実施形態)とについて、その後Cuめっきを施した。その際の状態を図14に示す。この図に示すように、従来の(2)の場合には、トレンチ内のCuめっきに大きなセンターボイドが存在していたのに対し、第1の実施形態である(3)の場合には、Cuめっきがほぼ完全にトレンチを埋めていることが確認された。なお、図14において、“センター”とは、シリコン基板の中心付近のトレンチ内の状態を示し、“エッジ”とは、シリコン基板の周辺付近のトレンチ内の状態を示している。
【0036】
次に、以上のような第1の実施形態および第2の実施形態の実施に用いる装置の一例について説明する。
ここでは、第1の実施形態のステップ1〜5、第2の実施形態のステップ11〜16を連続して真空雰囲気下で行うマルチチャンバタイプの処理装置について示す。図15はこのようなマルチチャンバタイプの処理装置を示す平面図である。
【0037】
この処理装置20は、いずれも真空に保持されている、PVD−Ti膜成膜ユニット21と、CVD−Ru膜成膜ユニット22と、アニールユニット23と、Cuシード膜成膜ユニット24とを備えており、これらが六角形をなす搬送室25の各辺にゲートバルブGを介して接続されている。また、搬送室25の他の辺には2つのロードロック室26、27がゲートバルブGを介して接続されている。搬送室25は真空に保持されている。ロードロック室26、27の搬送室25との反対側には大気雰囲気の搬入出室28が設けられており、搬入出室28のロードロック室26、27の接続部分との反対側にはウエハWを収容可能なキャリアCを取り付ける2つのキャリア取り付けポート29、30が設けられている。
【0038】
搬送室25内には、PVD−Ti膜成膜ユニット21、CVD−Ru膜成膜ユニット22、アニールユニット23、Cuシード膜成膜ユニット24、ロードロック室26、27に対して、ウエハWの搬入出を行う搬送装置32が設けられている。この搬送装置32は、搬送室25の略中央に設けられており、回転および伸縮可能な回転・伸縮部33の先端に半導体ウエハWを支持する2つの支持アーム34a,34bを有しており、これら2つの支持アーム34a,34bは互いに反対方向を向くように回転・伸縮部33に取り付けられている。
【0039】
搬入出室28内には、キャリアCに対するウエハWの搬入出およびロードロック室26,27に対するウエハWの搬入出を行う搬送装置36が設けられている。この搬送装置36は、多関節アーム構造を有しており、キャリアCの配列方向に沿ってレール38上を走行可能となっていて、その先端の2つの支持アーム37a、37b上にウエハWを載せてその搬送を行う。
【0040】
この処理装置20は、各構成部を制御する制御部40を有しており、これによりユニット21〜24の各構成部、搬送装置32、36、搬送室25の排気系(図示せず)、ゲートバルブGの開閉等の制御を行うようになっている。この制御部40は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)を備えたプロセスコントローラ41と、ユーザーインターフェース42と、記憶部43とを有している。プロセスコントローラ41には処理装置20の各構成部が電気的に接続されて制御される構成となっている。ユーザーインターフェース42は、プロセスコントローラ41に接続されており、オペレータが処理装置20の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、処理装置20の各構成部の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなっている。記憶部43もプロセスコントローラ41に接続されており、この記憶部43には、処理装置20で実行される各種処理をプロセスコントローラ41の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて処理装置20の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわち処理レシピや、各種データベース等が格納されている。処理レシピは記憶部43の中の記憶媒体(図示せず)に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスク等の固定的に設けられているものであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0041】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース42からの指示等にて所定の処理レシピを記憶部43から呼び出してプロセスコントローラ41に実行させることで、プロセスコントローラ41の制御下で、処理装置20での所望の処理が行われる。
【0042】
このような処理装置20においては、キャリアCから取り出されたウエハWを、搬入出室28の搬送装置36によりロードロック室26,27のいずれかに搬送し、そのロードロック室を真空排気した後、搬送室25の搬送装置32により、そのウエハを取り出し、まずPVD−Ti膜成膜ユニット21に搬送して、ウエハWの層間絶縁膜、例えばSiO膜上にバリア膜としてのTi膜を成膜する。次いで、Ti膜成膜後のウエハWをCVD−Ru成膜ユニット22に搬送してCVD−Ru膜を成膜する。その後、Ru膜を成膜したウエハWをアニールユニット23に搬送して、水素含有雰囲気でのアニール処理、または不活性ガス雰囲気でのアニールと大気曝露を行う。その後、アニール処理後のウエハWをCuシード膜成膜ユニット24に搬送して例えばPVDによりCVD−Ru膜上にCuシード膜を成膜する。このようにしてCuシード膜まで成膜されたウエハWを搬送装置32によりロードロック室26,27のいずれかに搬送し、そのロードロック室を大気雰囲気にした後、搬送装置36によりそのウエハをキャリアCに戻す。
【0043】
このようにしてCuシード膜まで成膜されたウエハは、キャリアCに収容された状態でCuめっき設備に搬送され、Cuめっきに供される。
【0044】
次に、本発明の要部であるCVD−Ru膜の成膜を行うCVD−Ru膜成膜ユニット22について説明する。
【0045】
図16は、CVD−Ru膜成膜ユニットを示す断面図である。このCVD−Ru膜成膜ユニット22は、気密に構成された略円筒状のチャンバ51を有しており、その中には被処理基板であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ52がその中央下部に設けられた円筒状の支持部材53により支持された状態で配置されている。サセプタ52にはヒーター55が埋め込まれており、このヒーター55にはヒーター電源56が接続されている。そして、サセプタ52に設けられた熱電対(図示せず)の検出信号に基づいてヒーターコントローラ(図示せず)によりヒーター電源56を制御して、ウエハWを所定の温度に制御するようになっている。また、サセプタ52には、ウエハWを支持して昇降させるための3本のウエハ昇降ピン(図示せず)がサセプタ52の表面に対して突没可能に設けられている。
【0046】
チャンバ51の天壁には、CVD成膜のための処理ガスをチャンバ51内にシャワー状に導入するためのシャワーヘッド60がサセプタ52と対向するように設けられている。シャワーヘッド60は、後述するガス供給機構80から供給された成膜用のガスをチャンバ51内に吐出するためのものであり、その上部には成膜用のガスを導入するガス導入口61を有している。また、シャワーヘッド60の内部にはガス拡散空間62が形成されており、その底面には多数のガス吐出孔63が形成されている。
【0047】
チャンバ51の底壁には、下方に向けて突出する排気室71が設けられている。排気室71の側面には排気配管72が接続されており、この排気配管72には真空ポンプや圧力制御バルブ等を有する排気装置73が接続されている。そしてこの排気装置73を作動させることによりチャンバ51内を所定の減圧状態とすることが可能となっている。
【0048】
チャンバ51の側壁には、ウエハ搬送室25との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口77と、この搬入出口77を開閉するゲートバルブGとが設けられている。
【0049】
ガス供給機構80は、固体状の成膜原料Sとしてルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)を収容する成膜原料容器81を有している。成膜原料容器81の周囲にはヒーター82が設けられている。成膜原料容器81には、上方からキャリアガス配管83が挿入され、キャリアガス源84からキャリアガス供給配管83を介してキャリアガスとして例えばCOガスを成膜原料容器81内に吹き込むようになっている。また、成膜原料容器81には、ガス供給配管85が挿入されている。このガス供給配管85の他端は、シャワーヘッド60のガス導入口61に接続されている。したがって、キャリアガス供給配管83を介して成膜原料容器81内にキャリアガスを供給することにより、成膜原料容器81内で昇華したルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)ガスをキャリアガスに搬送させた状態でガス供給配管85およびシャワーヘッド60を介してチャンバ51内に供給することができる。
【0050】
なお、キャリアガス供給配管83には流量制御用のマスフローコントローラ86とその前後のバルブ87a,87bが設けられている。また、ガス供給配管85には、ルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)のガス量を把握するための流量計88とその前後のバルブ89a,89bが設けられている。
【0051】
ガス供給配管85の途中には、成膜原料ガスを適宜に希釈するためのガスを供給する希釈ガス供給配管90が接続されている。希釈ガス供給配管90には、Arガス、Nガス等の不活性ガスからなる希釈ガスを供給する希釈ガス源91が接続されており、この希釈ガス源91から希釈ガス供給配管90を介して希釈ガスを供給することにより、原料ガスが適宜の濃度に希釈される。なお、希釈ガス源91からの希釈ガスは、ガス供給配管85、チャンバ51の残留ガスをパージするパージガスとしても機能するようになっている。なお、希釈ガス供給配管90は、流量制御用のマスフローコントローラ92とその前後のバルブ93a,93bを有している。また希釈ガス供給配管90には他のガス、例えばCOガスやHガス等が別途接続されていてもよい。
【0052】
このように構成されるCVD−Ru膜成膜ユニット22においては、まず、ゲートバルブGを開にして搬入出口77からバリア膜成膜後のウエハWをチャンバ51内に搬入し、サセプタ52上に載置する。次いで、ヒーター55によりサセプタ52を介してウエハWを150〜250℃に加熱し、排気装置73の真空ポンプによりチャンバ51内を排気して、チャンバ51内の圧力を2〜67Paに真空排気する。
【0053】
次いで、バルブ87a,87bを開にしてキャリアガス供給配管83を介して成膜原料容器81にキャリアガスとして例えばCOガスを吹き込み、成膜原料容器81内でヒーター82の加熱により昇華して生成されたRu(CO)12ガスをキャリアガスによりキャリアさせた状態でガス供給配管85およびシャワーヘッド60を介してチャンバ51内に導入する。このとき、ウエハW表面では、Ru(CO)12ガスが熱分解して生成されたRuがウエハWのTi膜上に堆積し、所定の膜厚を有するCVD−Ru膜が成膜される。なお、このときのRu(CO)12ガスの流量は、1〜5mL/min(sccm)程度が好ましい。また、所定割合で希釈ガスを導入してもよい。
【0054】
所定の膜厚のCVD−Ru膜が形成された時点で、バルブ87a,87bを閉じてRu(CO)12ガスの供給を停止し、希釈ガス供給源91から希釈ガスをパージガスとしてチャンバ52内に導入してRu(CO)12ガスをパージし、その後、ゲートバルブGを開にして搬入出口77からウエハWを搬出する。
【0055】
次に、本発明にとって最も重要な、CVD−Ru膜成膜後のアニールを行うアニールユニット23について説明する。
【0056】
図17は、図15の処理装置に搭載された、上記第1の実施形態の水素含有雰囲気でのアニールを行うアニールユニットを示す断面図である。このアニールユニットは、気密に構成された略円筒状のチャンバ101を有しており、その底部には被処理基板であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ102が配置されている。サセプタ102にはヒーター103が埋め込まれており、このヒーター103にはヒーター電源104が接続されている。そして、サセプタ102に設けられた熱電対(図示せず)の検出信号に基づいてヒーターコントローラ(図示せず)によりヒーター電源104を制御して、ウエハWを所定の温度に制御するようになっている。また、サセプタ102には、ウエハWを支持して昇降させるための3本のウエハ昇降ピン(図示せず)がサセプタ102の表面に対して突没可能に設けられている。
【0057】
チャンバ101の側壁上部にはガス導入部材105が設けられており、このガス導入部材105を介してガス供給機構110からの雰囲気形成ガスがチャンバ101内に供給される。ガス供給機構110は、Hガス供給源112と、H供給源112からガス導入部材105に至るHガス供給配管111とを有しており、Hガスをチャンバ101内に導入するようになっている。Hガス供給配管111には、流量制御用のマスフローコントローラ113とその前後のバルブ114a,114bが設けられている。また、Hガス供給配管111には、希釈ガスとしてのArガスを供給するためのArガス供給配管115が接続されており、Arガス供給配管115にはArガス供給源116が接続されている。これによりHガスをArガスで希釈してチャンバ101内に導入可能となっている。Arガス供給配管115には、流量制御用のマスフローコントローラ117とその前後のバルブ118a,118bが設けられている。なお、希釈ガスはArガスに限らず他の希ガスや、Nガス等の他の不活性ガスを用いることができる。
【0058】
チャンバ101の底壁には排気口120が設けられており、この排気口120には排気配管121が接続されている。この排気配管121には真空ポンプや圧力制御バルブ等を有する排気装置122が接続されている。そしてこの排気装置122を作動させることによりチャンバ101内を所定の減圧状態とすることが可能となっている。
【0059】
チャンバ101の側壁には、ウエハ搬送室25との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口123と、この搬入出口123を開閉するゲートバルブGとが設けられている。
【0060】
このように構成されるアニールユニットにおいては、まず、ゲートバルブGを開にして搬入出口123からCVD−Ru膜成膜後のウエハWをチャンバ101内に搬入し、サセプタ102上に載置する。次いで、ヒーター103によりサセプタ102を介してウエハWを例えば150〜400℃に加熱し、排気装置122の真空ポンプによりチャンバ101内を排気して、チャンバ101内の圧力を例えば133〜1333Paに真空排気する。
【0061】
次いで、水素ガスを例えば10〜1120mL/min(sccm)、希釈ガスとしてArガスを例えば0〜755mL/min(sccm)としてチャンバ101内にガスを導入し、水素分圧を4〜1333Pa程度として水素含有雰囲気でのアニール処理を行う。
【0062】
このようにして水素含有雰囲気でアニールを行うことにより、膜中のC,Oおよび表面のCOが脱離してRuが結晶化するとともに、水素の作用によりCVD−Ru膜からCが抜けるため、膜表面および膜中のCの偏析が生じず、CVD−Ru膜の表面は清浄な状態となる。これにより、その後のCuシード膜の形成の際に、Cuが濡れやすく、CVD−Ru膜の表面全体が極薄のCuシード膜で覆われた状態とすることができる。
【0063】
アニール処理終了後、Hガスの供給を停止し、チャンバ101内をArガスでパージし、その後、ゲートバルブGを開にして搬入出口123からウエハWを搬出する。
【0064】
図18は、図15の処理装置に搭載された、上記第2の実施形態のアニールを行うアニールユニットを示す断面図である。このアニールユニットは、基本構造は図17のアニールユニットと同様であり、図17と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0065】
このアニールユニットは、不活性ガスであるArガスのみを供給するガス供給機構130を有している。ガス供給機構130は、Arガス供給源132と、Arガス供給源132からガス導入部105に至るArガス供給配管131とを有しており、Arガスをチャンバ101内に導入するようになっている。Arガス配管131には、流量制御用のマスフローコントローラ133とその前後のバルブ134a,134bが設けられている。不活性ガスとしては、Arガスに限るものではなく、Nガス等の他の不活性ガスでもよい。
【0066】
また、チャンバ101の天壁には大気導入口140が設けられており、この大気導入口140には大気導入配管141が接続されており、この大気導入配管141を介してチャンバ101内に大気を導入することが可能となっている。大気導入配管141にはバルブ142が設けられている。
【0067】
このように構成されるアニールユニットにおいては、まず、ゲートバルブGを開にして搬入出口123からCVD−Ru膜成膜後のウエハWをチャンバ101内に搬入し、サセプタ102上に載置する。次いで、ヒーター103によりサセプタ102を介してウエハWを例えば150〜400℃に加熱し、排気装置122の真空ポンプによりチャンバ101内を排気して、チャンバ101内の圧力を例えば133〜1333Paに真空排気する。
【0068】
次いで、Arガスを例えば7〜755mL/min(sccm)の流量でチャンバ101内に導入し、チャンバ101内の圧力を133〜1333Pa程度として不活性ガス雰囲気でのアニール処理を行う。これにより、膜中のC,Oおよび表面のCOが脱離してRuが結晶化するが、膜表面および膜中にCが偏析する。
【0069】
そこで、Arガスアニールの後、バルブ142を開けて、大気導入配管141を介してチャンバ101内に大気を導入し、ウエハWを大気曝露する。これにより、偏析したCが大気中の酸素によりCOとなって脱離し、CVD−Ru膜の表面は清浄な状態となる。したがって、その後のCuシード膜の形成の際に、Cuが濡れやすく、CVD−Ru膜の表面全体が極薄のCuシード膜で覆われた状態とすることができる。
【0070】
アニール処理終了後、ゲートバルブGを開にして搬入出口123からウエハWを搬出する。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、CVD−Ru膜を成膜するための有機金属化合物としてルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)を用いて行う例について示したが、これに限らず、ルテニウムのペンタジエニル化合物等、他の有機金属化合物を成膜原料として用いたものであってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、トレンチが形成されたウエハにCVD−Ru膜およびCuシード膜を形成した例を示したが、ホールを有するウエハでも、トレンチおよびホールを有するウエハであってもよい。
【0073】
さらに、上記実施形態で用いた装置の構成も例示に過ぎず、他の種々の構成の装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0074】
11…Si基板
12…層間絶縁膜
13…トレンチ
14…バリア膜
15…CVD−Ru膜
16…Cuシード膜
17…Cuめっき
20…処理装置
21…PVD−Ti膜成膜ユニット
22…CVD−Ru膜成膜ユニット
23…アニールユニット
24…Cuシード膜成膜ユニット
40…制御部
41…プロセスコントローラ
43…記憶部
W…半導体ウエハ(被処理基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、
前記Ru膜が成膜された基板に対し、水素含有雰囲気でのアニールを行う工程と
を含むことを特徴とするCVD−Ru膜の形成方法。
【請求項2】
前記水素含有雰囲気でのアニールは150〜400℃で行うことを特徴とする請求項1に記載のCVD−Ru膜の形成方法。
【請求項3】
有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、
前記Ru膜が成膜された基板に対し、不活性ガス雰囲気でのアニールを行う工程と、
前記不活性ガス雰囲気でのアニールの後、前記Ru膜を大気曝露する工程と
を含むことを特徴とするCVD−Ru膜の形成方法。
【請求項4】
前記不活性ガス雰囲気でのアニールは150〜400℃で行うことを特徴とする請求項3に記載のCVD−Ru膜の形成方法。
【請求項5】
前記有機金属化合物は、ルテニウムカルボニルを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のCVD−Ru膜の形成方法。
【請求項6】
トレンチおよび/またはホールを有する基板に対し、金属バリア膜を成膜する工程と、
前記金属バリア膜の上に、有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、
前記Ru膜が成膜された基板に対し、水素含有雰囲気でのアニールを行う工程と、
前記アニール工程後のRu膜の上にトレンチおよび/またはホール内にCuめっきを埋め込むためのCuシード膜を成膜する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記水素含有雰囲気でのアニールは150〜400℃で行うことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
トレンチおよび/またはホールを有する基板に対し、金属バリア膜を成膜する工程と、
前記金属バリア膜の上に、有機金属化合物を含む成膜原料を用いてCVDにより基板上にRu膜を成膜する工程と、
前記Ru膜が成膜された基板に対し、不活性ガス雰囲気でのアニールを行う工程と、
前記不活性ガス雰囲気でのアニールの後、前記Ru膜を大気曝露する工程と
前記アニール工程後のRu膜の上にトレンチおよび/またはホール内にCuめっきを埋め込むためのCuシード膜を成膜する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記不活性ガス雰囲気でのアニールは150〜400℃で行うことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記有機金属化合物は、ルテニウムカルボニルを含むことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
コンピュータ上で動作し、処理装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項6から請求項10のいずれかの半導体装置の製造方法が行われるように、コンピュータに前記処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−212601(P2010−212601A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59605(P2009−59605)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】