説明

ETC電子クーポン取得利用システム

【課題】 ETCの料金収受に伴って電子クーポンを取得するとともに、当該電子クーポンを利用できる店舗等の位置をカーナビゲーション装置の経路案内先としてユーザに選択させる。さらに、選択された店舗等の電子クーポンを携帯端末へ転送することで、当該施設や店舗への案内と電子クーポンの利用を可能にし、運転者や同乗者の利便性や満足度を向上させることができるETC電子クーポン取得利用システムを提供する。
【解決手段】カーナビゲーション装置13は、ETCの料金収受に伴って電子クーポンを取得し、当該電子クーポンを利用することができる施設や店舗の位置をカーナビゲーション装置13の経路案内先としてユーザに選択させる。そして、選択された施設や店舗の電子クーポンに関する情報を携帯電話14へ転送することで、当該施設や店舗への案内と電子クーポンの利用とを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETC、カーナビゲーション装置、及び携帯端末を連携させた電子クーポンの取得利用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有料道路の料金所において、自動車を停車させることなく通行料金収受を行うことができるETC(Electronic Toll Collection System)が普及しており、道路渋滞の緩和や料金割引サービスの導入等、道路交通利用の利便性が向上している。また、ETC車載器とカーナビゲーション装置とのシステムを融合させることにより、カーナビゲーション装置に通行料金やETC利用履歴を表示することができるため、ユーザの利便性も向上している。
【0003】
その一方で、カーナビゲーション装置単体でも、ナビゲーションの使用前やナビゲーション使用中に出発地・現在地・経路・目的地周辺の店舗や施設を探索するとともに、当該探索結果を経路案内先としてユーザに選択させることで、ユーザの労力を削減し、操作性や利便性を向上させる機能を搭載している。
【0004】
また、ETCを料金収受以外の用途に使う例としては、特許文献1に記載されているように、ETCゲートを通過して料金収受をする際に、ETCカードに電子クーポンをダウンロードするとともに、ETCカードをクーポンとして利用するという方法がある。また、カーナビゲーション装置が案内先を自動探索する例としては、特許文献2に記載されているように、施設の位置情報及び特典情報が入った記憶媒体をカーナビゲーション装置に挿入して、カーナビゲーション装置が当該記憶媒体を読み取ることによって、その施設への経路案内を行って特典を提供する方法がある。
【0005】
【特許文献1】特許公開2006−293900
【特許文献2】特許公開2001−304902
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在のところETCは有料道路の料金収受が主要な用途であり、更にETC車載器と接続されたカーナビゲーション装置においても、その用途を補助するだけの機能しか搭載されていない。また、料金収受以外の用途としては、特許文献1に記載された技術のように、ETCカードに電子クーポンをダウンロードする方法もあるが、この方法ではETCカードを読み取ることができる施設や店舗でしか電子クーポンを利用することができない上に、施設の場所もユーザには分かりづらい。
【0007】
本発明は、ETCの料金収受に伴って電子クーポンを取得するとともに、当該電子クーポンを利用することができる施設や店舗の位置をカーナビゲーション装置の経路案内先としてユーザに選択させる。さらに、選択された施設や店舗の電子クーポンを携帯端末へ転送することで、当該施設や店舗への案内と電子クーポンの利用を可能にし、運転者や同乗者の利便性や満足度を向上させることができるETC電子クーポン取得利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のETC電子クーポン取得利用システムは、料金所コンピュータと、ETC車載器と、ナビゲーション装置と、携帯端末とを備えたETC電子クーポン取得利用システムであって、前記料金所コンピュータは、電子クーポンに関する情報が登録されているデータベースを記憶する記憶部と、前記ETC車載器からの問い合わせに応じて電子クーポンの格納状態や電子クーポンに関する情報を送信するサーバETC通信処理部とを備え、前記ETC車載器は、前記料金所コンピュータから電子クーポンに関する情報のダウンロードを行うクライアントETC通信処理部と、ダウンロードした電子クーポンに関する情報を前記ナビゲーション装置へ転送するナビゲーション装置通信処理部とを備え、前記ナビゲーション装置は、前記ETC車載器から送信された電子クーポンに関する情報を受信するETC車載器通信処理部と、前記ETC車載器から送信された電子クーポンに関する情報の一覧を表示するとともにユーザに選択させる表示制御部と、ユーザによって選択された電子クーポンに対応する店舗の位置情報である緯度、経度を用いて、電子クーポンを利用することができる施設を経路案内先として登録して、案内を行うナビゲーション部と、選択された電子クーポンに関する情報を前記携帯端末に転送する端末通信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のETC電子クーポン取得利用システムによれば、次のような効果がある。
ETCの料金収受に伴って電子クーポンを取得し、それらを利用することができる施設や店舗の位置をカーナビゲーション装置の経路案内先としてユーザに選択させ、さらに選択された施設や店舗の電子クーポンを携帯端末へ転送することで、当該施設や店舗への案内と電子クーポンの利用を可能にし、運転者や同乗者の利便性や満足度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用したETC電子クーポン取得利用システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態におけるETC電子クーポン取得利用システムは、料金所コンピュータ11、自動車に搭載されているETC車載器12及びナビゲーション装置13、そして携帯端末としての携帯電話14を備えて構成されている。
【0011】
料金所コンピュータ11は、電子クーポンに関する情報である電子クーポンデータベース15および各種情報が記憶された記憶部16、ETC車載器12からの問い合わせに応じて電子クーポンの格納状態や電子クーポンに関する情報を送信するなど、ETC通信の処理を行うサーバETC通信処理部17、ETC通信を行うサーバETCアンテナ18を備える。
【0012】
ETC車載器12は、料金所コンピュータ11と料金収受通信及び電子クーポンに関する情報のダウンロード通信を行うクライアントETC通信処理部19、ナビゲーション装置13へ料金収受情報やダウンロードした電子クーポンに関する情報を転送する通信処理を実行するカーナビゲーション装置通信処理部20、クライアントETCアンテナ21を備えている。ETC車載器12は、ナビゲーション装置13と通信可能に接続されている。
【0013】
ナビゲーション装置13は、ETC車載器12から料金収受情報や電子クーポンに関する情報を受け取る通信処理を実行するETC車載器通信処理部22、モニタ23、ユーザに電子クーポンを選択させる表示制御部24、電子クーポンの位置情報を元に経路案内を行うナビゲーション部25、携帯電話通信処理部26、GPSアンテナ27を備えている。また、ナビゲーション装置13は、携帯電話14へ電子クーポンを転送するために、端末通信部としてのRFID(Radio Frequency Identification)リーダ/ライタ28や、リムーバブルメディアリーダ/ライタ29や、接続ケーブル31を接続することができる。
【0014】
携帯電話14は、RFIDリーダ/ライタ28、またはリムーバブルメディアリーダ/ライタ29を使って電子クーポンに関する情報を書き込んだリムーバブルメディア30、または接続ケーブル31を介して、電子クーポンに関する情報をナビゲーション装置13から受け取る。そして、該当する施設においては電子クーポンの表示や送信を実行することができる。
なお、ETC車載器12、ナビゲーション装置13、RFIDリーダ/ライタ28、リムーバブルメディアリーダ/ライタ29、接続ケーブル31は、車両32に搭載されている。
【0015】
次に、電子クーポンのデータ構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態における電子クーポンのデータ33は、電子クーポンのクーポン名、電子クーポンを利用することができる施設名、電子クーポンを利用することができる施設の緯度及び経度、電子クーポンを利用することができる施設の住所、電子クーポンを利用することができる施設の電話番号、電子クーポンの特典内容、電子クーポンを利用することができる有効期限を有する。
【0016】
次に、料金所コンピュータ11の電子クーポンデータベース15に登録されている電子クーポンの格納状態の一例について説明する。
図3に示すように、料金所コンピュータ11の電子クーポンデータベース15では、図2に示した電子クーポンのデータ33と同等の内容であるクーポン名、施設名、緯度、経度、住所、電話番号、特典内容、有効期限がIDによって管理されている。なお、これらの情報は、地域の店舗の希望や有効期限等により随時更新されるものであることは言うまでもない。
【0017】
次に、ETC電子クーポン取得利用システムを利用して料金所を通過した場合におけるETC車載器12の内部処理について説明する。
図4に示すように、クライアントETC通信処理部19は、まず、料金所コンピュータ11との通信を行うため、無線通信の開始処理を行う(ステップS41)。次に、通常のETC通過時の処理である料金収受処理を行い、その結果が料金所コンピュータ11の記憶部16に保存される(ステップS42)。
【0018】
次に、クライアントETC通信処理部19は、料金所コンピュータ11に対して、ダウンロード可能な電子クーポンが存在するか否かの問い合わせを行うとともに、存在するか否かの判定を行う(ステップS43)。このとき、料金所コンピュータ11のサーバETC通信処理部17は、ダウンロード可能な電子クーポンが存在する場合、存在する旨の情報をETC車載器12へ送信する。
【0019】
電子クーポンが存在すると判定された場合には電子クーポンに関する情報のダウンロードを行う(ステップS44)。このとき、料金所コンピュータ11のサーバETC通信処理部17は、対応する電子クーポンに関する情報をETC車載器12へ送信する。一方、電子クーポンが存在しないと判定された場合にはダウンロード処理は行われない。そして、クライアントETC通信処理部19は、料金所コンピュータ11との無線通信の終了処理を行う(ステップS45)。
【0020】
その後、ナビゲーション装置通信処理部20は、保存していた情報に基づいてナビゲーション装置13へ料金収受情報を転送する(ステップS46)。次に、クライアントETC通信処理部19は、電子クーポンをダウンロードしたか否かの判定を行う(ステップS47)。クライアントETC通信処理部19が電子クーポンをダウンロードしている場合には保存していた電子クーポンをナビゲーション装置13へ転送する(ステップS48)。一方、クライアントETC通信処理部19が電子クーポンをダウンロードしていない場合にはそのまま処理を終了する。
【0021】
次に、ナビゲーション装置13において、ETC車載器12から転送された電子クーポンの一覧をユーザに示す処理について説明する。
図5に示すように、ETC車載器通信処理部22は、まず、ETC車載器12から送信された料金収受情報を受信して図示しない磁気ディスク等の記憶手段に保存する(ステップS51)。次に、電子クーポンに関する情報がETC車載器12から送信されたか否かを判定する(ステップS52)。
【0022】
電子クーポンに関する情報が送信されたと判定した場合には、ETC車載器通信処理部22は、当該電子クーポンに関する情報を受信して記憶手段に保存する(ステップS53)。
その後、表示制御部24は、保存してあった料金収受情報をモニタ23に表示する(ステップS54)。次に、表示制御部24は、電子クーポンに関する情報が記憶手段に保存されているか否かを判定する(ステップS55)。保存されていると判定した場合には、当該電子クーポンの一覧をモニタ23に表示する(ステップS56)。一方、保存されていないと判定した場合には、そのまま処理を終了する。
【0023】
次に、ナビゲーション装置13において、電子クーポンの一覧をモニタ23に表示した状態(図5)から、電子クーポンをユーザに選択させる際の処理について説明する。
図6に示すように、ユーザに電子クーポンが選択されると、表示制御部24は選択された電子クーポンから緯度及び経度に関する情報を抽出する(ステップS61)。そして、ナビゲーション部25に対して経路案内先として当該緯度及び経度を登録するよう指示する(ステップS62)。
【0024】
次に、表示制御部24はモニタ23に、ユーザに対して「選択された電子クーポンを携帯電話へ転送するか」という旨のメッセージを表示する(ステップS63)。
その後、携帯電話通信処理部26は「選択された電子クーポンを携帯電話へ転送するかどうか」という旨のメッセージに対するユーザの選択結果を判定する(ステップS64)。ユーザによって携帯電話14への転送を拒否された場合、電子クーポンに関する情報の転送を行わず、ナビゲーション部25はステップS61で登録された経路案内先への経路案内を開始する(ステップS68)。
【0025】
一方、ステップS64にて、ユーザによって携帯電話14への転送を許可された場合、携帯電話通信処理部26は、まず、携帯電話14へ電子クーポンを転送する為の準備ができているか否かの判定を行う(ステップS65)。ここでいう準備とは、RFIDリーダ/ライタ28またはリムーバブルメディアリーダ/ライタ29が接続されている、もしくは接続ケーブル31を介して携帯電話14が接続されていることを指す。
【0026】
ステップS65にて電子クーポンに関する情報を転送する為の準備ができていなければ、表示制御部24はモニタ23に「電子クーポンを転送する為の準備ができていない」という旨の表示を行い(ステップS66)、再びステップS63へ戻る。一方、ステップS65において電子クーポンを転送するための準備ができている場合には、リムーバブルメディアリーダ/ライタ29を介してリムーバブルメディア30へ電子クーポンに関する情報を転送するか、あるいは接続ケーブル31を介して携帯電話14へ電子クーポンに関する情報を転送する(ステップS67)。その後、ナビゲーション部25はステップS61で登録された経路案内先への経路案内を開始する(ステップS68)。
【0027】
以上のように、本実施形態のETC電子クーポン取得利用システムによれば、次のような効果がある。
・ETCの料金収受に伴って電子クーポンを取得し、当該電子クーポンを利用することができる施設や店舗の位置をカーナビゲーション装置の経路案内先としてユーザに選択させ、さらに選択された施設や店舗の電子クーポンを携帯端末へ転送することで、当該施設や店舗への案内と電子クーポンの利用を可能にする。これにより、運転者や同乗者の利便性や満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステム構成図。
【図2】本発明で使用する電子クーポンのデータ構成図。
【図3】料金所コンピュータの電子クーポンデータベースに登録されている電子クーポンのデータ構成図。
【図4】料金所通過時におけるETC車載器の内部処理を示すフローチャート。
【図5】ナビゲーション装置において、ETC車載器から転送された電子クーポンをユーザに示す処理のフローチャート。
【図6】ナビゲーション装置において、電子クーポンをユーザに選択させた際のフローチャート。
【符号の説明】
【0029】
11…料金所コンピュータ、12…ETC車載器、13…ナビゲーション装置、14…携帯端末としての携帯電話、15…電子クーポンデータベース、16…記憶部、17…サーバETC通信処理部、19…クライアントETC通信処理部、20…ナビゲーション装置通信処理部、22…ETC車載器通信処理部、24…表示制御部、25…ナビゲーション部、28…端末通信部としてのRFIDリーダ/ライタ、29…端末通信部としてのリムーバブルメディアリーダ/ライタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金所コンピュータと、ETC車載器と、ナビゲーション装置と、携帯端末とを備えたETC電子クーポン取得利用システムであって、
前記料金所コンピュータは、
電子クーポンに関する情報が登録されているデータベースを記憶する記憶部と、
前記ETC車載器からの問い合わせに応じて電子クーポンの格納状態や電子クーポンに関する情報を送信するサーバETC通信処理部と
を備え、
前記ETC車載器は、
前記料金所コンピュータから電子クーポンに関する情報のダウンロードを行うクライアントETC通信処理部と、
ダウンロードした電子クーポンに関する情報を前記ナビゲーション装置へ転送するナビゲーション装置通信処理部と
を備え、
前記ナビゲーション装置は、
前記ETC車載器から送信された電子クーポンに関する情報を受信するETC車載器通信処理部と、
前記ETC車載器から送信された電子クーポンに関する情報の一覧を表示するとともにユーザに選択させる表示制御部と、
ユーザによって選択された電子クーポンに対応する店舗の位置情報である緯度、経度を用いて、電子クーポンを利用することができる施設を経路案内先として登録して、案内を行うナビゲーション部と、
選択された電子クーポンに関する情報を前記携帯端末に転送する端末通信部と
を備えることを特徴とするETC電子クーポン取得利用システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−69889(P2009−69889A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234453(P2007−234453)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】