説明

III族窒化物半導体からなる発光素子およびその製造方法

【課題】成長基板としてGaN基板を用いたIII 族窒化物半導体発光素子において、再現性よくGaN基板をメンブレン状に加工すること
【解決手段】GaN基板10表面上に、Al組成比20%のAlGaNからなるストッパー層11を形成し、ストッパー層11上にn型層12、活性層13、p型層14、p電極15を形成し、支持基板16と接合する。次に、中央部が開口した形状にマスク20を形成し、GaN基板10裏面をPECエッチングする。照射する光は、GaNのバンドギャップよりも大きく、Al組成比20%のAlGaNのバンドギャップよりも小さいエネルギーの波長とする。エッチングはストッパー層11に達する深さまで進行すると止まるため、再現性よくメンブレン構造を作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III 族窒化物半導体を成長基板として用いた、III 族窒化物半導体からなる発光素子、およびその製造方法に関するものであり、特に成長基板のエッチング深さが適切に制御された発光素子、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体層の結晶性を向上させるために、成長基板としてGaN基板を用いたIII 族窒化物半導体発光素子が知られている。このような発光素子では、GaN基板裏面を加工することが望ましい。光取り出し効率を向上させたり、配光性を改善したりすることができるからである。
【0003】
一方、GaNをウェットエッチングする方法として、光電気化学(PEC;Photo Enhanced Chemical reaction)エッチングが知られている。これは、GaNをエッチング溶液に浸した状態で、GaNのバンドギャップよりも大きいエネルギーの波長である光をGaNに照射することでエッチング速度を増加させるエッチング方法である。
【0004】
また、特許文献1には、基板に凹部を形成してメンブレン構造としたIII 族窒化物半導体レーザーが示されているが、基板にどのようにして凹部を形成するかについては具体的には示されていない。なお、メンブレン構造とは、基板の中央部に錐台状、柱体状の凹部を形成して基板端部は残した構造であり、凹部底面は基板面に平行な面であり、凹部側面は基板面に対して傾斜したテーパー面、もしくは基板面に対して垂直な面である。
【特許文献1】特開2004−55854
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GaN基板裏面の加工には、機械的研磨やドライエッチングによる加工が考えられるが、これらの方法では量産性に問題がある。そこで、ウェットエッチングをGaN基板裏面の加工に利用することが考えられる。
【0006】
しかし、ウェットエッチングでのGaN基板の加工では、エッチング深さの制御が難しく、加工形状の再現性が悪かった。
【0007】
そこで本発明の目的は、GaN基板が適切な深さまでエッチングされた発光素子、およびその製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、III 族窒化物半導体からなる成長基板の表面側に、III 族窒化物半導体からなる半導体層が積層された発光素子において、半導体層の成長基板側とは反対側で接合された支持基板を有し、成長基板と半導体層との間に、成長基板よりもバンドギャップの大きい材料からなるストッパー層が形成され、成長基板裏面の中央部に、錐台状または柱体状の凹部が形成され、凹部底面にストッパー層または半導体層が露出している、ことを特徴とする発光素子である。
【0009】
III 族窒化物半導体とは、GaN、AlGaN、InGaN、AlGaInNなど、一般式Alx Gay In1-x-y N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表されるものである。n型不純物としては、Siなどが用いられ、p型不純物としてはMgなどが用いられる。
【0010】
成長基板にはc面、m面、a面、r面など各種面方位のものを用いることができる。c面基板を用いる場合には、ストッパー層を形成する側(成長基板表面側、半導体層の成長面側)をGa極性面とすることが望ましい。すなわち、エッチングされる側の面をN極性面とすることが望ましい。Ga極性面はN極性面に比べてエッチングされにくいためである。
【0011】
ストッパー層は、成長基板のバンドギャップよりも大きい材料であればよい。ストッパー層の材料をIII 族窒化物半導体とする場合は、III 族元素の組成比によってバンドギャップを調整することができる。また、ストッパー層は格子定数が成長基板に近い材料であることが望ましい。ストッパー層上に形成される半導体層の結晶性がよくなるためである。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、凹部底面に露出しているのは、ストッパー層であることを特徴とする発光素子である。
【0013】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、ストッパー層は、III 族窒化物半導体であることを特徴とする発光素子である。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、ストッパー層はAlGaNであることを特徴とする発光素子である。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、ストッパー層のAlの組成比は5〜40%であることを特徴とする発光素子である。
【0016】
Al組成比が5%より低いと、成長基板のみを選択的にエッチングすることが難しくなるため望ましくない。また、Al組成比が40%より大きいと、結晶性が悪くなり、ストッパー層上に形成される半導体層の品質に問題が生じるため望ましくない。より望ましいAl組成比は20〜30%である。
【0017】
第6の発明は、第1の発明から第5の発明において、成長基板は、GaN基板であることを特徴とする発光素子である。
【0018】
第7の発明は、第1の発明から第6の発明において、成長基板はc面基板であり、表面側がGa極性面、裏面側がN極性面であることを特徴とする発光素子である。
【0019】
第8の発明は、III 族窒化物半導体からなる成長基板の表面側に、III 族窒化物半導体からなる半導体層が積層された発光素子の製造方法において、成長基板と半導体層との間に、ウェットエッチング溶液に対して耐性を有したストッパー層を形成するストッパー層形成工程と、ウェットエッチングにより、成長基板の裏面側をストッパー層が露出するまでエッチングするウェットエッチング工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0020】
成長基板は、ウェットエッチング工程において一部を除去してもよいし、全部を除去してもよい。
【0021】
ウェットエッチングで用いるエッチング溶液は、たとえば水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液、リン酸などである。
【0022】
第9の発明は、第8の発明において、ストッパー層は、成長基板よりもバンドギャップの大きい材料からなり、ウェットエッチングは、基板のバンドギャップより大きくストッパー層のバンドギャップより小さいエネルギーの波長である光を用いたPECエッチングである、ことを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0023】
第10の発明は、第8の発明または第9の発明において、ストッパー層はIII 族窒化物半導体であることを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0024】
第11の発明は、第10の発明において、ストッパー層はAlGaNであることを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0025】
第12の発明は、第11の発明において、ストッパー層のAlの組成比は5〜40%であることを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0026】
第13の発明は、第8の発明から第12の発明において、成長基板はGaNであることを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0027】
第14の発明は、第8の発明から第13の発明において、成長基板はc面基板であり、表面側がGa極性面、裏面側がN極性面であることを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0028】
第15の発明は、第8の発明から第14の発明において、ウェットエッチング工程は、成長基板の裏面側の中央部に、錐台状または柱体状の凹部を形成し、凹部底面にストッパー層を露出させる工程である、ことを特徴とする発光素子の製造方法である。
【発明の効果】
【0029】
第1の発明では、成長基板裏面の中央部に錐台状または柱体状の凹部が形成された構造(メンブレン構造)であるため、成長基板をすべて除去した場合に比べて機械的強度が強い構造となっている。また、成長基板表面上に成長基板よりもバンドギャップの大きい材料からなるストッパー層を形成するため、PECエッチングによって精度よくメンブレン構造に加工することができ、成長基板の加工形状の再現性が優れた発光素子である。
【0030】
また、第6の発明のように、成長基板と半導体層の間にストッパー層を形成することにより、精度よく成長基板の裏面を加工することができ、特に第7の発明のように、PECエッチングを用いれば、より精度よく加工することができ、また加工形状の再現性も高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0032】
図1は、実施例1の発光素子1の構造を示す図である。発光素子1は、GaN基板10の表面上にストッパー層11が形成され、ストッパー層11上に、n型層12、活性層13、p型層14が順に積層され、p型層14上にp電極15が形成され、p電極15と支持基板16とがはんだ層17を介して接合され、GaN基板10裏面にn電極18が形成された構造である。GaN基板10が本発明の成長基板に相当し、n型層12、活性層13、p型層14は本発明の半導体層に相当する。
【0033】
GaN基板10は、転位密度が1×107 /cm2 以下のc面基板であり、ストッパー層11が形成されている側の面がGa極性面、N電極18が形成されている側の面がN極性面である。またGaN基板10は、GaN基板10裏面からストッパー層11までの深さの凹部19を有したメンブレン構造である。ここでメンブレン構造とは、GaN基板10裏面の中央部に錐台状、または柱体状の凹部19が設けられて、GaN基板10裏面の端部は残された構造である。凹部19の側面19aは、GaN基板10の裏面に対して約60度の傾斜を有している。このメンブレン構造により、GaN基板10がすべて除去されて薄い構造となった発光素子に比べてねじれやたわみなどに対する機械的強度が高くなっている。
【0034】
ストッパー層11は、Alの組成比を20%とし、Siがドープされたn型のAlGaNである。このストッパー層11は、GaN基板10をPECエッチングによりメンブレン構造に加工する際に、エッチング深さを一定にするために形成するものである。なお、Siはドープされていなくてもよい。
【0035】
なお、Alの組成比は20%である必要はないが、5〜40%であることが望ましい。Al組成比が5%より小さいと、GaNとのバンドギャップの差が小さすぎるため、PECエッチングでGaN基板10のみを選択的にエッチングすることが難しくなり、エッチング深さを一定とすることができない。また、Al組成比が40%より大きいと、ストッパー層11の結晶性が悪くなり、ストッパー層11上に形成されるn型層12、活性層13、p型層14の結晶性にも問題が生じるため望ましくない。
【0036】
ストッパー層11の厚さは、ストッパー層11のエッチング耐性が十分に満足される範囲で可能な限り薄くすることができるが、200〜500nmであることが望ましい。200nmよりも薄いと、PECエッチングによってストッパー層11がすべてエッチングされてしまう恐れがあるからである。また、500nmよりも厚いと、n型層12、活性層13、p型層14に悪影響が生じるので望ましくない。
【0037】
n型層12、活性層13、p型層14の構造は、従来より知られている種々の構造を用いることができる。n型層13、p型層15は単層であってもよいし、複層であってもよく、超格子層を含んでいてもよい。たとえば、n型層12はn型コンタクト層とn型クラッド層で構成され、p型層14はp型クラッド層とp型コンタクト層で構成されたものを用いることができる。また、活性層13はMQWやSQWなどの構造を用いることができる。
【0038】
p電極15には、Ag、Rh、Pt、Ru、Alやこれらの金属を主成分とする合金などの高光反射率で低コンタクト抵抗な金属や、Ni、Ni合金、Au合金などを用いることができる。また、ITOなどの透明電極膜と高反射金属膜からなる複合層であってもよい。また、p型層14とp電極15の間にITOとTiO2 などによってDBR(分布ブラッグ反射器)構造を形成して反射率を高めるようにしてもよい。
【0039】
支持基板16には、Si、GaAs、Cu、Cu−Wなどからなる導電性基板を用いることができる。また、絶縁性基板の表面に電極パターンなどを形成したものであってもよい。
【0040】
はんだ層17には、Au−Sn、Au−Si、Ag−Sn−Cu、Sn−Biなどの金属共晶を用いることができる。また、金バンプによって支持基板16と接合してもよい。また、はんだ層17の替わりにAuめっきやAuペーストによって10μm以上の厚いAu層を形成し、Au層と支持基板16を接合する方法を用いてもよい。
【0041】
次に、実施例1の発光素子1の製造方法について、図2を参照に説明する。
【0042】
まず、Ga極性面であるGaN基板10表面上にストッパー層11を形成し、ストッパー層11上にn型層12、活性層13、p型層14を順に形成する(図2(a))。これらはいずれもMOCVD法によって形成し、Ga源としてTMG(トリメチルガリウム)、Al源としてTMA(トリメチルアルミニウム)、In源として(トリメチルインジウム)、N源としてアンモニア、n型ドーパントであるSi源としてシラン、p型ドーパントであるMg源としてCp2 Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)、を用いる。
【0043】
次に、蒸着法によってp型層14上にp電極15を形成したのち、はんだ層17を介して支持基板16と接合する(図2(b))。
【0044】
次に、GaN基板10裏面を機械研磨およびCMP(化学機械研磨)によって研磨し、SiO2 からなるマスク20を形成し、中央部が開口した形状にパターニングを行う(図2(c))。GaN基板10裏面の研磨において、ドライエッチングを併用してもよい。マスク20には、SiO2 以外のウェットエッチング耐性を有した材料を用いてもよく、たとえばレジストや、TiN、Pt、Irなどを用いることができる。
【0045】
次に、PECエッチングによりGaN基板10の裏面をエッチングする。照射する光の波長は、GaNのバンドギャップよりも大きく、Alの組成比20%のAlGaNのバンドギャップよりも小さいエネルギーの波長とし、エッチング溶液には、KOH(水酸化カリウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、リン酸などを用いる。支持基板16にエッチング溶液に対して耐性を持たない材料を用いている場合は、支持基板16上にレジストなどの保護膜を形成しておく。このような波長の光の照射では、光のエネルギーがGaNのバンドギャップよりも大きいためGaNのエッチング速度は増加するが、Al組成比20%のAlGaNのバンドギャップよりも小さいためAlGaNのエッチング速度は非常に遅い。そのため、GaNとAl組成比20%のAlGaNのうち、GaNのみが選択的にエッチングされる。
【0046】
したがって、マスク20に覆われていないGaN基板10の裏面はエッチングされ、GaN基板10の表面側に向かって次第に深くエッチングされて行くが、ストッパー層11に達する深さまでエッチングが進行すると、そこでエッチングはほぼ停止する。その結果、GaN基板10の裏面からストッパー層11までの深さの凹部19が形成され、メンブレン状となる(図2(d))。ここで、GaNに対するウェットエッチングは異方性を有しているため、凹部19は、その側面19aがGaN基板10の裏面に対して約60度の傾斜を有したテーパー形状となる。
【0047】
なお、先に熱リン酸などで通常のウェットエッチングをし、その後PECエッチングによって仕上げをするようにしてもよい。また、エッチング面(凹部の底面や側面)に微細な凹凸が形成されるような条件でエッチングを行ってもよい。凹凸を設けることで光取り出し効率を向上させることができる。また、エッチングをさらに進行させるなどしてn型層13が露出するようにしてもよい。
【0048】
その後、マスク20を除去し、GaN基板10裏面にn電極18を形成することで、図1に示す発光素子1が製造される。
【0049】
なお、マスク20をエッチング溶液に対して耐性を有し、かつGaNに対するコンタクト抵抗の小さい金属によって形成し、PECエッチング工程の後に除去せずにそのまま電極として用いるようにしてもよい。
【0050】
以上のように、GaN基板10表面上に、GaNよりもバンドギャップの大きい材料であるAlGaNからなるストッパー層11を形成したことにより、GaN基板10裏面のPECエッチングはストッパー層11に達する深さで止まるため、再現性よくメンブレン構造に加工することができる。
【実施例2】
【0051】
図3は、実施例2の発光素子2の構造を示す図である。この発光素子2は、発光素子1においてGaN基板10をすべて除去し、ストッパー層11裏面にn電極28が形成された構造である。すなわち、発光素子2は、ストッパー層11表面上にn型層12、活性層13、p型層14が順に形成され、p型層14上にp電極15が形成され、p電極15と支持基板16とがはんだ層17を介して接合され、ストッパー層11裏面にn電極28が形成された構造である。なお、実施例1の発光素子1と同一の構成部分には同一の符号を付している。
【0052】
次に、発光素子2の製造方法について説明する。発光素子2の製造工程は、図2(b)までは発光素子1の製造工程と同一である。図2(b)に示す工程の後、マスク20を形成せずにGaN基板10裏面の全面をPECエッチングする。このエッチングは、実施例1において説明したように、ストッパー層11に達する深さまで進行すると止まる。これにより、GaN基板10がすべて除去された状態となる。その後、エッチングにより露出したストッパー層11の裏面にn電極28を形成することで発光素子2が製造される。
【0053】
このように、ストッパー層11が形成されているため、PECエッチングによって精度よくGaN基板10のみがすべて除去された構造を精度よく再現することができる。
【0054】
また、発光素子2は、成長基板であるGaN基板10をすべて除去した構造であるため、機械的強度は発光素子1に比べて低いが、GaN基板10の除去によって露出した面に微細な凹凸加工を施すことなどにより光取り出し効率や配光性の点で発光素子1よりも有利となる。
【0055】
なお、サファイア基板上に半導体層を形成し、レーザーの照射によってサファイア基板を剥離除去するレーザーリフトオフ(LLO)法を用いることによっても、発光素子2とほぼ同様の構造を実現することができるが、発光素子2はLLOを用いる場合と比較して以下の点で有利である。第1に、LLOによってサファイア基板を除去する場合は、レーザーや物理的な衝撃などによるダメージがあるが、発光素子2はウェットエッチングによってGaN基板を除去しているのでダメージが少なく、LLOに比べてリーク電流が少なく、信頼性が高い点で有利である。第2に、発光素子2はGaN基板上に半導体層をエピタキシャル成長させているため、サファイア基板上に半導体層をエピタキシャル成長させる場合よりも転位が少なく、内部量子効率が高い点で有利である。
【0056】
なお、いずれの実施例においても成長基板としてc面GaN基板を用いているが、本発明はこれに限るものではなく、III 族窒化物半導体からなる基板であればよく、またc面以外にもm面、a面、r面など種々の面方位のIII 族窒化物半導体基板を用いることができる。ただし、c面基板を用いる場合は、PECエッチングする側の面をN極性面とすることが望ましい。Ga極性面に比べてエッチングしやすいからである。
【0057】
また、各実施例ではストッパー層の材料としてAlGaNを用いているが、本発明は成長基板よりもバンドギャップが大きい材料であればよい。また、ストッパー層には不純物がドープされていてもよく、不純物の種類や量によりエッチングレートを制御することも可能である。
【0058】
また、いずれの実施例においても、上下に電極を設けた構造の発光素子としているが、本発明はこのような構造に限るものではない。たとえば、n電極がp電極と同一面側に形成されたフリップチップ型の発光素子に対しても本発明は適用することができる。
【0059】
また、実施例1では成長基板をメンブレン状に加工しているが、本発明は他の形状への加工に対しても適用することができる。
【0060】
また、実施例ではいずれも支持基板と接合させているが、必ずしも支持基板を用いる必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、表示装置や照明装置などに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】発光素子1の構造を示す図。
【図2】発光素子1の製造工程を示す図。
【図3】発光素子2の構造を示す図。
【符号の説明】
【0063】
10:GaN基板
11:ストッパー層
12:n型層
13:活性層
14:p型層
15:p電極
16:支持基板
18、28:n電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III 族窒化物半導体からなる成長基板の表面側に、III 族窒化物半導体からなる半導体層が積層された発光素子において、
前記半導体層の前記成長基板側とは反対側で接合された支持基板を有し、
前記成長基板と前記半導体層との間に、前記成長基板よりもバンドギャップの大きい材料からなるストッパー層が形成され、
前記成長基板裏面の中央部に、錐台状または柱体状の凹部が形成され、
前記凹部底面に前記ストッパー層または前記半導体層が露出している、
ことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記凹部底面に露出しているのは、前記ストッパー層であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記ストッパー層は、III 族窒化物半導体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記ストッパー層はAlGaNであることを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記ストッパー層のAlの組成比は5〜40%であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記成長基板は、GaN基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記成長基板はc面基板であり、表面側がGa極性面、裏面側がN極性面であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
III 族窒化物半導体からなる成長基板の表面側に、III 族窒化物半導体からなる半導体層が積層された発光素子の製造方法において、
前記成長基板と前記半導体層との間に、ウェットエッチング溶液に対して耐性を有したストッパー層を形成するストッパー層形成工程と、
ウェットエッチングにより、前記成長基板の裏面側を前記ストッパー層が露出するまでエッチングするウェットエッチング工程と、
を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記ストッパー層は、前記成長基板よりもバンドギャップの大きい材料からなり、
前記ウェットエッチングは、前記基板のバンドギャップより大きく前記ストッパー層のバンドギャップより小さいエネルギーの波長である光を用いたPECエッチングである、ことを特徴とする請求項8に記載の発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記ストッパー層は、III 族窒化物半導体であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記ストッパー層は、AlGaNであることを特徴とする請求項10に記載の発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記ストッパー層のAlの組成比は5〜40%であることを特徴とする請求項11に記載の発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記成長基板はGaNであることを特徴とする請求項8ないし請求項12のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記成長基板はc面基板であり、表面側がGa極性面、裏面側がN極性面であることを特徴とする請求項8ないし請求項13のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記ウェットエッチング工程は、前記成長基板の裏面側の中央部に、錐台状または柱体状の凹部を形成し、前記凹部底面に前記ストッパー層を露出させる工程である、ことを特徴とする請求項8ないし請求項14のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−87218(P2010−87218A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254287(P2008−254287)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】