説明

IKK阻害剤としてのアニリノピリミジン誘導体ならびにそれに関する組成物および方法

【課題】IKKの選択的阻害剤、特にIKK−2の選択的阻害剤を含んでなる医薬組成物の提供。
【解決手段】次式


(式中、R1は、フェニル基又は特定の複素環基を示し、Rは水素原子を、Rは水素原子又はアルキル基を、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基等を示し、R及びRは、特定の置換基もしくは、共に複素環を形成する)で表される化合物よりなる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は参照によりその全内容を本明細書に組み入れる、2000年12月6日出願の米国仮出願第60/251,816号の利益を主張するものである。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は一般にIκBキナーゼ(IKK)阻害剤、特にIKK-2阻害剤として有用なアニリノピリミジン誘導体、ならびに関連の組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
NF-κBは複数の炎症性遺伝子の発現を調節するヘテロダイマー転写因子である。70を超える既知のタンパク質の発現が、NF-κBがこれらの遺伝子のプロモーター領域の特異的配列エレメントへ結合することで転写調節される(Baeuerle and Baichwal, Advances in Immunology 65:111-137, 1997)。NF-κBは脈管形成(Kochら, Nature 376:517-519, 1995)、アテローム性動脈硬化症(Brandら, J Clin Inv. 97:1715-1722, 1996)、内毒素性ショックおよび敗血症(Bohrerら, J. Clin. Inv. 100:972-985, 1997)、炎症性腸疾患(Panesら, Am J Physiol. 269:H1955-H1964, 1995)、虚血/再潅流傷害(Zwackaら, Nature Medicine 4:698-704, 1998)、およびアレルギー性肺炎症(Gossetら, Int Arch Allergy Immunol. 106:69-77, 1995)をはじめとする多くの病態生理学的プロセスに関連づけられている。炎症性疾患においてNF-κBが中心的役割を果たすので、NF-κB活性化経路の調節タンパク質をターゲッティングすることによるNF-κBの阻害は抗炎症治療薬を作出するための興味深い戦略である。
【0004】
IκBキナーゼ(IKK)はNF-κBの活性化を統括する鍵となる調節シグナル伝達分子である。IKK-1およびIKK-2は2つのセリン活性化ループを有するN末端キナーゼドメイン、ロイシンジッパードメイン、ならびにC末端ヘリックス-ループ-ヘリックスドメインおよびセリンクラスターを含む構造上独特なキナーゼである。IKK酵素は他のキナーゼと比較的低い配列相同性しか示さず、既知のキナーゼ阻害剤による初期プロフィールでは著しい効力を有する化合物は同定されていない。動態分析では、IKK-2は高く、そして相対的に同等の親和性でIκBα、IκBβおよびIκBεと結合してリン酸化することが示されている(Heilkerら, 1999)。組換えIKK-2は、全長IκBαに対してとほぼ同等の親和性でIκBαペプチド26-42をリン酸化するが、天然IKK酵素複合体は全長IκBαを25,000倍効果的にリン酸化し、このことはIκBαのC末端領域における重要な調節配列、または触媒速度を加速化するIKK酵素複合体のさらなる調節タンパク質を示唆するものである(Burkeら, Journal of Biological Chemistry 274:36146-36152, 1999)。IκBαのリン酸化はランダムな一連の動的メカニズムによって起こるが、これはATPまたはIκBαのいずれかがまずIKK-2に結合し、その両者がIκBαのリン酸化が起こりうる前に結合しなければならないことを意味している(PeetおよびLi, Journal of Biological Chemistry 274:32655-32661, 1999)。IKK-2は、p38やJNKのような他のセリン-トレオニンキナーゼに比べて特異的に高い親和性(Ki=130nM)でATPに結合するが、このことはおそらくIKK-2に対して試験した際に多くの広範な特異的キナーゼ阻害剤に対して相対的に低い活性を示す独特なATP結合ポケットを示している。これまでにIKK-2の結晶構造はまだ報告されていない。しかし、ホモロジーモデリングによれば、活性化ループを有するN末端キナーゼドメイン、IKK-1およびIKK-2ホモ/ヘテロダイマーの形成を媒介すると思われるロイシンジッパードメイン、およびセリンが豊富なテールを有する C末端ヘリックス-ループ-ヘリックスドメインを含む3つの構造ドメインが確認されている。IKK-2の活性化は活性化ループまたはTループにおけるセリン177と181のリン酸化に決定的に依存している。アラニンの突然変異は活性を無効にするが、グルタミン酸の変異体は構成的活性酵素を生じる(Mercurioら Science 278:860-866, 1997; Delhaseら, Science 284:30 313, 1999)。
【0005】
IKK-1およびIKK-2はヘテロダイマーとしてもIKK-2ホモダイマーとしても存在し、「IKKシグナルソーム」と呼ばれる700-900kDaの細胞質酵素複合体と会合している(Mercurioら, Science 278:860-866, 1997)。別の成分IKKAP-1またはNEMO/IKKγは明らかな触媒作用を持たないが、IKK-2と直接会合し、NF-κBの完全な活性化に必要である(Mercurioら, Mol Cell Biol. 19:1526-1538, 1999)。TNFα、リポ多糖(LPS)、IL-1、抗-CD28、CD40L、FasL、ウイルス感染、および酸化ストレスをはじめとする免疫メディエーターおよび炎症性メディエーターはNF-κBの活性化をもたらすことが示されている。これらの多様な刺激を変換する受容体複合体はそれらのタンパク質成分が著しく異なっていると考えられるが、これらの刺激という現象の各々がIKKおよびNF-κBの活性化をもたらすと理解される。
【0006】
このIKK複合体はIκBのリン酸化をもたらす多様な炎症シグナルの中枢インテグレーターであると思われる。IKKは2つのセリン残基において、NF-κKB誘導キナーゼ、NIK(Malininら, Nature 385:540-544, 1997)、およびMEKK-1(Yujiriら, Science 282:1911-1914, 1998)をはじめとする上流キナーゼにより活性化される。NIKおよびMEKK-1の活性の違いはまだ明らかではないが、初期のデータはこれらのキナーゼがそれぞれIKK-1およびIKK-2を優先的に活性化することを示している。活性化されたIKKは細胞質阻害性タンパク質IκBをリン酸化し、これはNF-κBと結合し、それにより核局在化シグナルをRelタンパク質内に存在させる(Cramerら, Structure 7:R1-R6, 1999)。セリン32および36におけるIκBのIKKリン酸化はE3リガーゼにより認識される構造モチーフβTRcPを形成する(Yaronら, Nature 396:590-594, 1998)。βTRcPのドッキングの結果、IκBをポリユビキチン化し、26Sプロテオソームによる消化に関してそれをターゲッティングするリガーゼ複合体が形成される。その後、遊離型のNF-κBは、それを核へ輸送して遺伝子プロモーター上の配列特異的調節エレメントと会合させることを可能にする核輸送タンパク質により同定される。
【0007】
両キナーゼともin vitroでIκBをリン酸化することができるが、遺伝子変異体を用いた初期の研究では、IL-1βやTNFαなどの炎症性刺激によるNF-κBの活性化にとってIKK-2は不可欠であるが、IKK-1はそうではないことが示されている。さらにまた、IKK-2の触媒的不活性化変異体だけが単球走化性タンパク質(MCP-1)および細胞内接着分子(ICAM-1)などのNF-κBにより調節される遺伝子の発現を遮断した(Mercurioら, Science 278:860-866, 1997)。IKK-1およびIKK-2ノックアウト動物の研究はこれらの初期の知見を実証している(Huら, Science 284:316-320, 1999; Liら, Genes & Development 13:1322-1328, 1999; Liら, Science 284:321-324, 1999; Takedaら, Science 84:313-316, 1999; Tanakaら, Immunity 10:421-429, 1999)。IKK-1-/-動物は生きて生まれても数時間内に死亡した。子犬は増殖・分化欠陥のため皮膚の異常を示したが、サイトカインにより誘導されるNF-κBの活性化には大きな欠陥を示さなかった。これに対し、IKK-2-/-の胚は、Rec Aノックアウト動物で見られたものと著しく類似した肝臓の退化とアポトーシスにより、妊娠14〜16日目に死亡した(Begら, Nature 376:167-170, 1995)。さらにIKK-2-/-動物由来の胚繊維芽細胞はサイトカイン刺激後にNF-κB活性の著しい低下を示したが、IKK-1-/-では示さなかった。
【0008】
従って、細胞および動物実験は、IKK-2がNF-κBの炎症作用の役割の中心的レギュレーターであることを示す。IKK-2は複数の炎症性刺激およびシグナル伝達経路に応じて活性化され、その多くはIL-1β、LPS、TNFα、CD3/CD28(抗原提示)、CD40L、ウイルス感染、および酸化ストレスをはじめ、呼吸器系疾患に重要な役割を果たしている。NF-κBの偏在発現ならびにその複数の刺激への応答は、肺に存在するあらゆる細胞種が抗-NF-κB/IKK-2療法の可能性のある標的となることを意味している。これには肺胞上皮、マスト細胞、繊維芽細胞、血管内皮、および浸潤白血球、すなわち、好中球、マクロファージ、リンパ球、好酸球および好塩基球が含まれる。シクロオキシゲナーゼ-2および12-リポキシゲナーゼ(炎症性メディエーターの合成)、TAP-1ペプチド輸送体(抗原のプロセッシング)、MHCクラスI H-2KおよびクラスII不変鎖(抗原提示)、E-セクレチンおよび血管細胞接着分子(白血球の動員), インターロイキン-1、2、6、8(サイトカイン)、RANTES、エオタキシン、GM-CSF(ケモカイン)、ならびにスーパーオキシドジスムターゼおよびNADPHキノンオキシドレダクターゼ(反応性酸素種)の発現を阻害することで、IKK-2阻害剤は広範な抗炎症活性を示すものと考えられる。
【0009】
Celltech Therapeutics Limitedの国際公開WO98/18782号には、免疫疾患、マスト細胞または好酸球に関するアレルギー疾患、および不適切な血小板の活性化に関する疾患の予防および治療に有用であると言われている4-ピリジルピリミジン化合物が開示されている。
【0010】
従って、当技術分野にはIKKの選択的阻害剤、特にIKK2阻害剤が必要とされている。また、1を超える阻害剤を含んでなる医薬組成物、ならびにかかる阻害剤に応答する動物の症状を治療する方法が必要とされている。本発明はこれらの要求を満たし、さらなる関連の利点を提供するものである。
【0011】
本願の第2節の参照文献の出典の引用はかかる参照文献が本発明の先行技術であるとみなすものではない。
【発明の概要】
【0012】
3. 発明の概要
要するに本発明はIκBキナーゼ(IKK)、特にIKK-2の阻害剤、特に選択的阻害剤として活性を有する化合物、およびそれに関する組成物および方法に向けられる。
【0013】
本発明の化合物は、R1〜R6が以下の定義の通りである以下の構造(I):
【化1】

を有する「アニリノピリミジン誘導体」であり、その異性体、プロドラッグおよび製薬上許容される塩を含む。
【0014】
一般に本発明は、有効量のアニリノピリミジン誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる、IKK-2阻害に応答する症状の治療または予防方法に向けられる。
【0015】
本発明はまた、有効量のアニリノピリミジン誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる、炎症または自己免疫症状の治療または予防方法に向けられる。
【0016】
本発明はまた、有効量のアニリノピリミジン誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる、心血管性症状、代謝性症状または虚血性症状の治療または予防方法に向けられる。
【0017】
本発明はまた、有効量のアニリノピリミジン誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる、感染症の治療または予防法法に向けられる。
【0018】
本発明はまた、有効量のアニリノピリミジン誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる、癌の治療または予防法法に向けられる。
【0019】
本発明はまた、有効量のアニリノピリミジン誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる、卒中、癲癇、アルツハイマー病、またはパーキンソン病の治療または予防法法に向けられる。
【0020】
本発明のこれら、またその他の態様は以下の詳細な説明および実施例を見れば明らかになる。なお、実施例は本発明の非限定的な実施形態を例示するものである。本明細書では特定の特許その他の文献を本発明の種々の態様をより具体的に示す目的で挙げている。これらの文献は各々参照によりその全内容を本明細書に組み入れるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0021】
4. 発明の詳細な説明
本発明はIκBキナーゼ(IKK)、特にIKK-2の阻害剤、好ましくは選択的阻害剤として活性を有するアニリノピリミジン誘導体、ならびに関連の組成物および方法に向けられる。
【0022】
該アニリノピリミジン誘導体は、その異性体、プロドラッグおよび製薬上許容される塩を含め以下の構造 (I)を有する
【化2】

{式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で任意に置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよびおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である}。
【0023】
本発明のある実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換または無置換アリールであるか、またはピリジルではないヘテロアリールである。R1が置換されている場合、それは以下に定義される1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0024】
本発明のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換または無置換アリール、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルまたはキナゾリニルである。
【0025】
本発明のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換または無置換アリールまたはヘテロアリールである。ただし、このヘテロアリールはイミダゾ[1,2a]ピリド-3-イルまたはピラゾロ[2,3a]ピリド-3-イルではない。R1が置換されている場合、それは以下に定義される1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0026】
本発明のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換または無置換アリール、好ましくはフェニルである。R1が置換アリールである場合、そのアリールは以下に定義される1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0027】
本発明のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって置換または無置換窒素含有非芳香族複素環、好ましくはピペラジニル、ピペリジニルまたはモルホリニルを形成する。
【0028】
R5およびR6がそれらに結合している窒素原子と一緒になって置換ピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニルを形成する場合、そのピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニルは以下に定義される1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、置換基はアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルエーテル、アシル、ピロリジニルまたはピペリジニルであることが好ましい。
【0029】
本発明のある実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR3は水素であり、R4は存在せず、本発明の化合物は以下の構造(II):
【化3】

を有する。
【0030】
本発明はより詳しい実施形態では、構造(II)のアニリノピリミジン誘導体のおいてR1は所望によりR7で置換されていてもよいフェニルであり、以下の構造(III):
【化4】

を有する。
【0031】
本発明のなおさらなる実施形態では、構造(III)のアニリノピリミジン誘導体において以下の構造(IV):
【化5】

によって示されるように、R7はピリミジンに対してパラ位にある。
【0032】
本明細書において上記の用語は以下の意味を有する。
【0033】
「アルキル」とは1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝、飽和または不飽和のアルキル、環式または非環式炭化水素を意味し、「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有すること以外は同じ意味を有する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられ、飽和分枝アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。不飽和アルキルは隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」とも呼ぶ。代表的な直鎖および分枝アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられ、代表的な直鎖および分枝アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニルなどが挙げられる。代表的な飽和環式アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ、不飽和環式アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。シクロアルキルはまた本明細書では「炭素環式」環構造とも呼び、1以上の芳香族(フェニルなど)または非芳香族(シクロヘキサンなど)炭素環式環と縮合したシクロアルキル(シクロペンタンまたはシクロヘキサン)のような、8〜14個の炭素原子を有する二環構造および三環構造を含む。
【0034】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0035】
「ケト」とは、カルボニル基(すなわち、=O)を意味する。
【0036】
「アリール」とは、フェニルまたはナフチルなどの芳香族炭素環部分を意味する。
【0037】
「アリールアルキル」とは、ベンジル、-(CH2)2フェニル、-(CH2)3フェニル、-CH(フェニル)2などのような、少なくとも1つのアルキル水素原子が1つのアリール部分で置換されたアルキルを意味する。
【0038】
「ヘテロアリール」とは、5〜10員で、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ、少なくとも1つの炭素原子を含む、単環および二環構造を含む芳香族複素環を意味する。代表的なヘテロアリールとしては、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルおよびキナゾリニルが挙げられる。
【0039】
「ヘテロアリールアルキル」とは、-CH2ピリジニル、-CH2ピリミジニルなどのような、少なくとも1つのアルキル水素原子が1つのヘテロアリール部分で置換されたアルキルを意味する。
【0040】
「複素環」とは、5〜10個の環原子を含む複素環を意味する。
【0041】
「複素環」とは、5〜7員の単環、または7〜10員の二環の複素環であり、この複素環は飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、この窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化されていてもよく、窒素原子は所望により第四級化されていてもよく、上記複素環のいずれかがベンゼン環と縮合している二環が含まれる。この複素環はいずれのヘテロ原子または炭素原子を介して結合していてもよい。複素環は上記定義のようなヘテロアリールを含む。上記で挙げたヘテロアリールの他、複素環としてはモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリンジニル (tetrahydropyrindinyl)、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなども挙げられる。
【0042】
「複素環アルキル」とは、-CH2モルホリニルなどの、少なくとも1つのアルキル水素原子が複素環で置換されたアルキルを意味する。
【0043】
本明細書において「置換された」とは、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されている上記の基のいずれか(すなわち、アリール、アリールアルキル、複素環および複素環アルキル)を意味する。ケト置換基(「C(=O)」)の場合には2つの水素原子が置換されている。置換基としてはハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル(ハロアルキル、一置換または二置換アミノアルキル、アルキルオキシアルキルなど、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaC(=O)NRaRb、-NRaC(=O)ORb、-NRaSO2Rb、-ORa、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)Ra、-OC(=O)ORa、-OC(=O)NRaRb、-NRaSO2Rb、または式-Y-Z-Raの基(ここで、Yはアルカンジイル、置換アルカンジイル、または直接結合であり、Zは-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-N(Rb)-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-N(Rb)C(=O)-、-C(=O)N(Rb)-または直接結合である)が挙げられ、RaおよびRbは同一であっても異なっていてもよく、水素、アミノ、アルキル、置換アルキル(ハロゲン化アルキルを含む)、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか、あるいはRaおよびRbはそれらが結合している窒素原子とともに複素環または置換複素環を形成している。
【0044】
「ハロアルキル」とは、-CF3などの、1以上の水素原子がハロゲンで置換されているアルキルを意味する。
【0045】
「ヒドロキシアルキル」とは、-CH2OHなどの、1以上の水素原子がヒドロキシで置換されているアルキルを意味する。
【0046】
「スルホニルアルキル」とは、-SO2-(アルキル)を意味する。
【0047】
「スルフィニルアルキル」とは、-SO-(アルキル)を意味する。
【0048】
「チオアルキル」とは、-S-(アルキル)を意味する。
【0049】
「カルボキシル」とは、-COOHを意味する。
【0050】
「アルコキシ」とは、-O-(アルキル)、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、イソ-ブチルオキシなどを意味する。
【0051】
「患者」とは動物を意味し、限定されるものではないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、およびモルモットなどの動物を含み、より好ましくは哺乳類であり、最も好ましくはヒトである。
【0052】
「アシル」とは、アルキル(C=O)を意味する。
【0053】
「ClH」とは、それらの化学構造によって示される化合物の塩酸塩を意味する。
【0054】
「窒素含有非-芳香族複素環」とは、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ヒダントイニル、テトラヒドロピリンジニル、テトラヒドロピリミジニル、オキサゾリニジニル、チアゾリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどを意味する。
【0055】
アニリノピリミジン誘導体は一般に当業者に公知の有機合成技術ならびに以下の一般技術および実施例に示される手順を用いて得ることができる。この目的で、アニリノピリミジン誘導体は以下の反応スキーム1〜9に従って製造することができる。
【0056】
反応スキーム 1
【化6】

適宜置換されたメチルケトンをジメチルホルムアミドジメチルアセタールまたはジメチルホルムアミドジエチルアセタールなどのジメチルホルムアミドアセタールで処理すると、対応するβ-ジメチルアミノブテノンが得られる。このアミノブテノンをナトリウムメトキシドなどの塩基の存在下でチオ尿素で処理した後、ヨウ化メチルなどのアルキルハライドでアルキル化すると4-置換2-アルキルチオピリミジンが得られる。このチオエーテルをm-クロロ過安息香酸またはオキソンなどの有機または無機酸化剤で酸化するとスルホンが得られ、これをp-アミノカルボニルアニリンと縮合させると目的のアニリノピリミジン誘導体が形成される。
【0057】
反応スキーム2
【化7】

同様に、アニリノピリミジン誘導体は2-クロロピリミジン誘導体から製造してもよい。例えば、β-ジメチルアミノブテノンと尿素を縮合させた後、オキシ塩化リンなどの塩素化剤で処理すると4-置換2-クロロピリミジンが得られる。さらに置換アニリンで処理すると目的のアニリノピリミジン誘導体が得られる。
【0058】
反応スキーム3
【化8】

またアニリノピリミジン誘導体はβ-ジメチルアミノブテノンを適宜置換されたグアニジンと縮合させることにより製造することもできる。必要なグアニジンはアニリンを酸の存在下でシアナミドと反応させるか、あるいはピラゾロアミジンと反応させることにより製造すればよい。
【0059】
反応スキーム4
【化9】

アルコキシカルボニルフェニルグアニジンをb-アミノケトンで環化すると4-置換2-(4-カルボキシフェニル)アミノピリミジンが得られる。安息香酸誘導体を好適なアミンと縮合させると目的のアミドが得られる。
【0060】
反応スキーム5
【化10】

安息香酸をN-Boc-ピペラジンと縮合させた後、塩酸などの酸でtert-ブトキシカルボニル基を脱保護するとピペラジンアミドが得られる。次にカルボン酸誘導体と縮合させるとビスアシルピペラジンが得られる。
【0061】
反応スキーム6
【化11】

同様に塩化スルホニルと反応させると対応するスルホンアミドが得られる。
【0062】
反応スキーム7
【化12】

p-アルキル-およびアリールチオ基を有するアセトフェノンはp-クロロアセトフェノンとアルキルおよびアリールチオールを反応させることにより製造することができる。
【0063】
反応スキーム8
【化13】

p-アルキル-およびアリールスルフェニル基を有するアニリノピリミジン誘導体はスルフィドをオキソンなどの酸化剤で制御酸化することにより製造することができる。
【0064】
反応スキーム9
【化14】

p-アルキル-およびアリールスルホニル基を有するアニリノピリミジン誘導体はスルフィドをオキソンなどの酸化剤で酸化することにより製造することができる。
【0065】
アニリノピリミジン誘導体は製薬上許容される塩または遊離塩基の形態であってもよい。遊離塩基の酸付加塩は当技術分野で周知の方法によって製造することができ、有機酸および無機酸から形成されうる。好適な有機酸としてはマレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。好適な無機酸としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。付加塩としては硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸酸、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、二酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が挙げられる。「製薬上許容される塩」とは許容される塩基体のいずれか、また全てを包含するものとする。
【0066】
製薬上許容される塩は、本発明の化合物と上記で開示されたような好適な酸を反応させるなどし、通常の公知の技術によって形成させることができる。このような塩は典型的には適度な温度で高収率で形成され、多くの場合では合成の最終工程で好適な酸性洗液から化合物を単離するだけで調製されうる。塩形成酸はアルカノール、ケトンまたはエステルなど、適当な有機溶媒または水性有機溶媒に溶解しうる。一方、アニリノピリミジン誘導体が遊離塩基の形で望まれる場合は、公知の技術によって塩基性の最終洗浄工程から単離してもよい。例えば塩酸塩を調製する典型的な技術としては、好適な溶媒に遊離塩基を溶かし、モレキュラー・シーブス上などで溶液を十分乾燥させた後、それに塩化水素ガスを通じさせる。
【0067】
アニリノピリミジン誘導体また、配置異性体、幾何異性体、およびコンホメーション異性体をはじめ種々の異性体の形で存在してもよく、また、種々の互変体、特に水素原子の結合点が異なるものとして存在しうる。本明細書において「異性体」とは、互変体型の化合物をはじめ、異性型の化合物全てを包含するものとする。
【0068】
本明細書において「プロドラッグ」とは、動物の体内へ導入された際に活性型へと代謝あるいは変換される該アニリノピリミジン誘導体の任意の誘導体をさす。プロドラッグは製薬化学分野の当業者に周知のものであり、吸収および半減期の促進などの利点をもたらす。本発明のプロドラッグは例えばヒドロキシル基がエステル化またはアルキル化された際、あるいはカルボキシル基がエステル化された際に形成されうる。薬剤送達分野の当業者ならば、その部分の適切な選択によってアニリノピリミジン誘導体の薬物動態特性を調整し、プロドラッグ誘導体を形成できることが容易に分かるであろう。
【0069】
もう1つの実施形態では、IKK-2阻害に応答する症状を治療または予防する方法であって、その異性体、プロドラッグおよび製薬上許容される塩を含む、構造式(I):
【化15】

{式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で任意に置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2およびR3は同一であっても異なっていてもよく、独立に水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよびおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であってもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である}
を有するアニリノピリミジン誘導体の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0070】
もう1つの実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、炎症または自己免疫症状の治療または予防方法を提供する。
【0071】
もう1つの実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、心血管性症状、代謝性症状または虚血性症状の治療または予防方法を提供する。
【0072】
もう1つの実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、感染症の治療または予防方法を提供する。
【0073】
もう1つの実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、癌の治療または予防方法を提供する。
【0074】
もう1つの実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、卒中、癲癇、アルツハイマー病の治療または予防方法を提供する。
【0075】
本方法のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換または無置換アリールまたはヘテロアリール(ただし、このヘテロアリールはピリジルではない)である。R1が置換されている場合、それは上記で定義した1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0076】
本方法のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は 置換または無置換アリール、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルまたはキナゾリニルである。
【0077】
本方法のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換もしくは無置換アリールまたはヘテロアリール(ただし、このヘテロアリールはイミダゾ[1,2a]ピリド-3-イルまたはピラゾロ[2,3a]ピリド-3-イルではない)である。R1が置換されている場合、それは上記で定義した1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0078】
本方法のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換もしくは無置換のアリール、好ましくはフェニルまたはナフチルである。R1が置換アリールである場合、それは以下に定義される1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0079】
本方法のもう1つの実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって置換または無置換窒素含有非芳香族複素環を形成する。
【0080】
本方法のもう1つの実施形態では、窒素含有非芳香族複素環はピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニルである。窒素含有非芳香族複素環が置換ピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニルである場合、その置換基は上記に定義されている。置換されている場合、置換基はアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルエーテル、アシル、ピロリジニルまたはピペリジニルであることが好ましい。
【0081】
本方法で用いる場合、アニリノピリミジン誘導体は所望により製薬上許容される担体またはビヒクルを含んでなる組成物の一成分として投与することができる。
【0082】
アニリノピリミジン誘導体を用いて、あるいはそれを含有する医薬組成物を用いて治療しうる症状としてはIKK阻害、特にIKK-2阻害に応答し、かかる阻害剤の投与から利益を得るいずれの症状も含む。一般に本発明のアニリノピリミジン誘導体は炎症または自己免疫症状、心血管性症状、代謝性症状または虚血性症状、感染症または癌の予防および/または治療に用いうる。これに関して代表的な症状としては、限定されるものではないが、慢性関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、痛風、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性繊維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、ハンチントン病、胃炎、食道炎、肝炎、膵炎、腎炎、多発性硬化症、紅斑性狼瘡、II型糖尿病、骨粗鬆症、勃起不全、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、左心室肥大、心筋梗塞、卒中、心臓、腎臓、肝臓および脳の虚血性疾患、臓器移植拒絶症、移植片対宿主病、内毒素性ショック、多臓器不全、乾癬、湿疹、皮膚炎、癲癇、アルツハイマー病、パーキンソン病、ルー・ゲーリック病、敗血症、結膜炎、急性呼吸窮迫症候群、紫斑病、鼻ポリープ、ウイルス感染症(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスまたはエプスタイン-バーウイルスにより引き起こされるもの)、悪液質、ならびに、大腸、直腸、前立腺、肝臓、肺、気管支、膵臓、脳、頭部、頚部、胃、皮膚、腎臓、子宮頚部、血液、喉頭、食道、口腔、咽頭、膀胱、卵巣、骨髄、胸腺、乳房、骨および子宮などの種々の組織の癌が挙げられる。
【0083】
該アニリノピリミジン誘導体はまた、細胞傷害剤または放射線療法と組み合わせて癌の補助療法に用いることもできる。
【0084】
該アニリノピリミジン誘導体は気管支炎、多発性硬化症、鼻ポリープ、ならびにヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスまたはエプスタイン-バーウイルスにより引き起こされるものなどの感染症の治療および/または予防に特に有用である。
【0085】
該アニリノピリミジン誘導体は、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、粒剤、散剤、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射剤、懸濁剤およびシロップ剤などの通常の周知の剤形で患者に経口または非経口投与することができる。投与に先立ち、該アニリノピリミジン誘導体は、典型的には、1種類以上のかかる化合物の有効用量を1種類(またはそれ以上)の製薬上許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として調剤する。これに関して好適な製剤は賦形剤(例えば、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアガム、ポリエチレングリコール、スクロースまたはデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたはクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルクまたはラウリル硫酸ナトリウム)、香味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、またはオレンジパウダー)、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムまたは酢酸)、沈殿防止剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリクロン、またはステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、および/またはベースワックス(例えば、カカオバター、白色ワセリンまたはポリエチレングリコール)などの通常の有機または無機添加剤を用い、一般に使用される方法により調製することができる。
【0086】
ヒトなどの患者に投与するアニリノピリミジン誘導体の用量は広範に異なり、主治医の判断による。アニリノピリミジン誘導体の有効投与率の一般的な範囲は約0.05mg/日〜約250mg/日、典型的には 約0.25mg/日〜60mg/日である。もちろん一日の様々な時間に一日量を分割した化合物を投与するのが実用的である場合が多い。しかし、いずれの場合でも投与する化合物の量は有効成分の溶解度、製剤の用途、患者の状態(体重など)および/または投与経路といった要因によって異なる。
【0087】
さらに、該アニリノピリミジン誘導体の作用は適宜調剤することで遅延させたり、延長させたりすることができる。例えばアニリノピリミジン誘導体の溶解の遅いペレットを調製し、錠剤またはカプセルに配合してもよい。この技術は、数種の異なる溶解速度のペレットを作製し、そのペレットの混合物をカプセルに充填することで改良することができる。錠剤またはカプセル剤を予定時間の間溶解しないフィルムでコーティングしてもよい。非経口製剤であっても、血清中で化合物を徐々にしか分散させない油性または乳化ビヒクル中に溶解または懸濁させることで、持続作用型とすることもできる。
【0088】
特定の実施形態では、アニリノピリミジン誘導体は例えば補助療法として少なくとも1種の他の治療薬と組み合わせて使用することができる。アニリノピリミジン誘導体と他の治療薬は相加作用、あるいはより好ましくは相乗作用しうる。好ましい実施形態では、アニリノピリミジン誘導体は他の治療薬と同時投与するが、他の治療薬はアニリノピリミジン誘導体と同じ組成物の一部とすることもできるし、あるいはアニリノピリミジン誘導体を含むものとは別の組成物とすることもできる。もう1つの実施形態では、アニリノピリミジン誘導体は別の治療薬の投与の前または後に投与する。アニリノピリミジン誘導体が治療に有用である疾患の多くは慢性疾患であることから、ある実施形態では組合せ療法はアニリノピリミジン誘導体と他の治療薬の交互投与を含む。アニリノピリミジン誘導体または他の治療薬の投与期間は例えば1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年または患者の一生の間といったより長い期間でもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物を限定されるものではないが毒性をはじめとする副作用をもたらす可能性のある他の治療薬と同時投与する場合、他の治療薬は副作用が引き起こされる閾値を下回る用量で投与できることが有利である。
【0089】
この他の治療薬は抗炎症薬であってもよい。有用な抗炎症薬としては、限定されるものではないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビンプロフェン (flurbinprofen)、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、テノキシカム、ナブメトン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾンおよびニメスリドなどの非ステロイド系抗炎症薬;限定されるものではないが、ジレウトン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、およびオーラノフィンをはじめとするロイコトリエンアンタゴニスト;ならびに限定されるものではないが、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、およびベンズブロマロンをはじめとするその他の抗炎症薬が挙げられる。慢性関節リウマチをはじめとする関節炎の治療に特に有効な抗炎症薬としてはエンブレル、インフリキシマブ、アナルキンラ、セレコキシブおよびロフェコキシブが挙げられる。
【0090】
他の治療薬としては抗癌薬がありうる。有用な抗癌薬としては。限定されるものではないが、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミドおよびクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード類;カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)などのニトロソ尿素;ブスルファンおよびトレオスルファンなどのアルキルスルホネート類;ダカルバジンなどのトリアゼン類;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金含有化合物;ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンなどのビンカアルカロイド類;パクリタキセルおよびドセタキソールなどのタキソイド類;エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカンおよびクリスナトルなどのエピポドフィリン類;マイトマイシンCなどのマイトマイシン類;メトトレキサートおよびトリメトレキサートなどのDHFR阻害剤;ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリンおよびEICARなどのIMPデヒドロゲナーゼ阻害剤;ヒドロキシ尿素およびデフェロキサミンなどのリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジンおよびラチトレキセドなどのウラシル類似体;シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシドおよびフルダラビンなどのシトシン類似体;メルカプトプリンおよびチオグアニンなどのプリン類似体;タモキシフェン、ラロキシフェンおよびメゲストロールなどの抗エストロゲン;ゴセレリン (goscrclin) および酢酸ロイプロリドなどのLHRHアゴニスト;フルタミドおよびビカルタミドなどの抗アンドロゲン;B 1089、CB 1093およびKH 1060などのビタミンD3類似体;ベルテポルフィン(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、およびデメトキシヒポクレリンA(2BA-2-DMHA)などの光力学的治療薬;インターフェロン-α、インターフェロン-γおよび腫瘍壊死因子などのサイトカイン類;ロバスタチンなどのイソプレニル化阻害剤;1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオンなどのドーパミン作動性神経毒;スタウロスポリンなどの細胞周期阻害剤;アクチノマイシンD、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン類;ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2およびペプロマイシンなどのブレオマイシン類;ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシンおよびミトキサントロンなどのアントラシクリン類;ベラパミルなどのMDR阻害剤;およびタプシガーギンなどのCa2+ ATPアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0091】
以下の実施例は例示として示すものであって、これに限定されるものではない。この目的で有機化合物の通例の省略表記に従い、表示された構造には1以上の水素原子が省略されていることに注意を要すが、当業者ならばそれらの存在が容易に分かるであろう。
【0092】
以下の実施例の保持時間のデータは以下に詳述する2つの方法のいずれかによって得たものである。
【0093】
方法A
カラム:YMC Pro C-18、3.0μ球形シリカゲル、4.0x50mm、孔径120オングストローム。
【0094】
グラジェント:0〜10分20%A〜90%Aの直線二成分勾配
流速:2.0mL/分
移動相:A, アセトニトリル中0.1%蟻酸;B, 水中0.1%トリフルオロ酢酸
方法B
カラム:YMC ODS-A、5.0μ球形シリカゲル、4.6x250mm、孔径120オングストローム
グラジェント:0〜10分20%A〜90%Aの直線二成分勾配の後、10〜25分100%A
流速:1.0mL/分
移動相:A, アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸;B, 水中0.1%トリフルオロ酢酸
【実施例】
【0095】
実施例1
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミドの合成
【化16】

(2E)-3-(ジメチルアミノ)-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン
1-(4-クロロフェニル)エタン-1-オン(3.0g, 19.3ミリモル)およびN,N,ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール(20ml)の溶液を150℃で16時間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、ヘキサン(20ml)で処理した。得られた固体を濾過回収し、ヘキサンで洗浄して標題の化合物を得た:EI-MS (m/z) 209 [M+1]+
【0096】
4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-チオール
エタノール(25ml)中の(2E)-3-(ジメチルアミノ)-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン(1.5g, 7.2ミリモル)の溶液にチオ尿素(0.60g, 7.9ミリモル)および炭酸カリウム(K2CO3)(1.19g. 8.63ミリモル)を加えた。得られた懸濁液を85℃で12時間加熱した後、周囲温度まで冷却した。得られた固体を回収し、水およびヘキサンで十分洗浄し、ベージュ色の固体を得た :EI-MS (m/z) 222 [M+1]+
【0097】
4(4-クロロフェニル)-2-メチルチオピリミジン
4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-チオール(1.2 g, 5.39ミリモル)を水酸化カリウム(0.453g, 5.39ミリモル)水溶液10mlに溶かした。ヨードメタン(503μl, 5. 39ミリモル)を周囲温度で加え、反応混合物を30分間攪拌した。得られた白色固体を濾過回収し、最少量の水およびヘキサンで洗浄して標題の化合物を得た:EI-MS (m/z) 237 [M+1]+
【0098】
4-(4-クロロフェニル)-2-(メチルスルホニル)ピリミジン
アセトン(30ml)および水(10ml)中、4-(4-クロロフェニル)-2-メチルチオピリミジン(1.1 g, 4.65ミリモル)の溶液にオキソン(7.14g, 11.62ミリモル)を加えた。反応混合物を18時間攪拌した後、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して白色固体を得た:EI-MS (m/z) 269 [M+1]+
【0099】
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミド
密閉容器にて、2-プロパノール(3ml)中、4-(4-クロロフェニル)-2-(メチルスルホニル)ピリミジン(0. 10g, 0.37ミリモル)および4-アミノベンズアミドの溶液を120℃まで14時間加熱した。粗物質を濃縮し、分取HPLCにより精製し、標題化合物をベージュ色の固体として得た:LC/MS 保持時間;6.30分(方法A), M+1; 325。
【0100】
実施例2
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミドの選択的合成
【化17】

N-{(4-アミノカルボニル)フェニル}グアニジンニトレート
70mLのエタノール中、4-アミノカルボニルアニリン(20g, 147ミリモル)およびシアンアミド(14.2g, 338ミリモル)の攪拌溶液に濃硝酸(20mL)を滴下した。反応混合物を一晩加熱還流し、冷却した。揮発成分を蒸発させると粘稠なオイルが得られた。残渣を塩化メチレンおよびメタノールに溶解して黄色固体を得た。この物質を濾過し、エーテルおよび水で洗浄し、50℃で真空乾燥させて目的生成物を得た(17.5g, 収率66%):LC/MS 保持時間;0.63分(方法A), M+1; 179。
【0101】
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミド
密閉容器にて、エタノール(10ml)中、(2E)-3-(ジメチルアミノ)-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン(0.10g, 0.48ミリモル)、4-(アミジノアミノ)ベンズアミドニトレート(0.116g, 0.48ミリモル)、および炭酸カリウム(0.132g, 0.96ミリモル) の溶液を一晩120℃まで加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、得られた固体を回収した後、エタノール、水およびジエチルエーテルで洗浄し、実施例1で製造した化合物と全ての点で同じ標題化合物をベージュ色の固体として得た。
【0102】
実施例3
代表的な化合物の合成
以下に挙げられた化合物は、出発物質として適当なメチルケトンを用い、実施例2の手順に従って製造した。
【表1】



















実施例4
4-[(4-{4-[(4-クロロフェニル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化18】

【化19】

DMF(40mL)中、p-クロロベンゼンチオール(1)(3.2g, 0.022モル)の溶液にNaH(鉱油中60%分散物, 0.8g)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロベンゼンチオール(0.011モル, 0.55当量)を加えた。次にこの溶液を110℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、エーテル(150mL)で希釈した。このエーテル懸濁液を5% NaOH(水溶液, 50mL)、3% HCl(水溶液, 2x50mL)洗浄し、濾過して濃縮し、2.88gのp-クロロフェニルチオアセトフェノン(2)を得た(100%)。次にビアリールスルフィド(2)をアセトン/水(4:1 v/v, 100mL)に溶解した。この溶液にオキソン(13.5g, 2.2当量)を加えた。反応物を室温で4時間攪拌した。その後、アセトンを真空下で除去した。この混合物をエーテル(100mL)および水(100mL)に希釈した。混合物を振盪し、層を分離した。エーテル層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、2.02g(62%)のスルホン3を得た。次にスルホン(3)をジメチルホルムアミドジメチルアセタール(15mL)に溶解し、110℃で12時間攪拌した。次に反応混合物を濃縮して過剰なジメチルホルムアミドジメチルアセタールを除去した。中間体エン-アミノケトン(0.38g, 1.09ミリモル)の一部をエタノール(20mL)に溶解した。この溶液にK2CO3(0.45g, 3当量)および4-グアナジノベンズアミド(4)(0.26g, 1当量)を加えた。反応混合物を密閉試験管にて100℃で12時間加熱した。次にこの混合物室温まで冷却し、水(30mL)で希釈した後に濾過した。固体を水およびエタノールで洗浄した。この物質の一部を分取HPLCにより精製し、15mgの目的化合物を得たが、これは100%の純度であることが分析HPLCにより分かった。LCMS (M+H=465.0@6.47分(方法A))。
【0103】
実施例5
4-({4-[4-(4-ピリジルスルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化20】

上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として2-メルカプトピリジンおよび適当なチオールから製造した。LCMS: (M+H=432.1,@5.50分(方法B))。
【0104】
実施例6
4-({4-[4-(2-ピリジルスルホニル)フェニル]}ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミドの合成
【化21】

上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として2-メルカプトピリジンおよび適当なチオールから製造した。LCMS (M+H=432.0@5.58分(方法B))。
【0105】
実施例7
4-({4-[4-(3-ピリジルスルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化22】

上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として3-メルカプトピリジンおよび適当なチオールから製造した。LCMS (M+H=432.1@5.55分(方法B))。
【0106】
実施例8
4-({4-[4-(3-ヒドロキシプロピルチオ)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化23】

上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として3-メルカプトプロパノールおよび適当なチオールから製造した。LCMS (M+H=381.0@5.55分(方法B))。
【0107】
実施例9
4-[(4-{4-[(3-ヒドロキシプロピル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化24】

【化25】

DMF(40mL)中、3-メルカプトプロパノール(5g, 0.054モル)の溶液にNaH(2.2g, 鉱油中60%分散物)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(5.25mL, 0.041モル, 0.75当量)を加え、混合物を100℃で3時間攪拌した。反応物を冷却し、エーテル(200mL)で希釈し、5% HCl水溶液(2x30mL)、水(2x50mL)および続いて食塩水(40mL)で洗浄した。エーテル層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、チオアリールケトン(5)(6.1g, 0.29モル, 72%)を得た。ケトン(5)(0.72g, 3.4ミリモル)をアセトン/水(4:1v/v, 20mL)に溶解した。オキソン(登録商標)(4.2g)を加え、混合物を2時間攪拌した。次に混合物を濃縮し、エーテル(75mL)で希釈し、水(3x50mL)および続いて食塩水(50mL)で洗浄した。次にエーテル層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、アリールスルホン(6)を得た。標題化合物をこれまでに実施例4で記載されたようにケトン(6)から製造し、39mg(3%)の分析上純粋な物質を得た。LCMS: (M+H=413.0@5.04分(方法A))。
【0108】
実施例10
4-({4-[4-(3-モルホリン-4-イルプロピルチオ)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化26】

【化27】


次にアセトフェノン(5)をトルエン(50mL)に溶かした。この溶液にエチレングリコール(2.6mL, 2当量)およびp-トルエンスルホン酸(0.7g)を加えた。反応物をディーンスタークトラップをつけて2〜3時間還流させた。水を共沸除去した後、反応物を冷却し、その後10% NaHCO3(水溶液, 50mL)、水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄した。有機抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮した。次に粗アセタールをCH2CL2(20mL)に溶かした。分液フラスコで、(COCl)2(2.26mL, 26.0ミリモル)をCH2CL2(20mL)に溶かし、-78℃まで冷却した。次にこの冷溶液にCH2CL2(5mL)中のDMSO(3.7mL, 52.0ミリモル)を滴下した。この混合物を2分間攪拌し、その後、この粗アセタールをCH2CL2(20mL)に加えた。15分間攪拌した後、Et3N(16.5mL, 5当量)をゆっくり加えた。得られた混合物を5分間攪拌した後、1時間かけて室温まで放冷した。次に混合物を分液漏斗に注ぎ、5% NaHCO3(100mL)で洗浄した。その後、有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、粗アルデヒド(7)を得た。次にアルデヒド(7)(0.5g)をMeOH/AcOH(10mL)に溶かした。この溶液にモルホリン(0.21mL)を加えた。この混合物を10分間攪拌し、その後、NaBH3CN(0.19g)を加えた。30分後、反応混合物を濃縮し、3M NaOHで塩基性とし、CH2CL2(3x15mL)で抽出した。有機抽出物を濃縮した後、アセトン/水(9:1v/v, 20mL)に溶かした。次にこの溶液にP-TsOH(0.1g)を加え、混合物を12時間攪拌した。その後、混合物を濃縮し、1M NaOHで塩基性とし、CH2Cl2(3x15mL)で抽出した。次に有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、粗アリールケトン(8)を得、これをジメチルホルムアミドジメチルアセタール(15mL)に溶かし、12時間100℃まで加熱した。次に混合物を濃縮し、EtOH(15mL)に溶かした。この溶液にK2CO3(0.31g)および4-グアナジノベンズアミド(4)(0.14)を加えた。この反応混合物を密閉試験管にて100℃で12時間
加熱した。その後、混合物を室温まで冷却し、水(30mL)で希釈した後に濾過した。固体を水およびエタノールで洗浄した。この物質を分取HPLCで精製し、標題化合物(33mg, 4%)を得た:LCMS 4.62分(方法A), M+H=450。
【0109】
実施例11
4-[(4-{4-[3-(ジメチルアミノ)プロピルチオ]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化28】

標題化合物はアルデヒド(7)の還元的アミノ化の際にモルホリンの代わりにジメチルアミンを用いたこと以外は実施例10の手順によって製造した。LCMS (M+H=408.0@4.62分(方法B))。
【0110】
実施例12
4-[(4-{4-[3-(4-メチルピペラジニル)プロピルチオ]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化29】

標題化合物はアルデヒド(7)の還元的アミノ化の際にモルホリンの代わりにN-メチルピペリジンを用いたこと以外は実施例10の手順によって製造した。LCMS (M+H=463.0@4.47分(方法B))。
【0111】
実施例13
4-[4-{4-[(1-メチル-4-ピペリジル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル]アミノ]ベンズアミドの合成
【化30】

4-メルカプトピリジン(2.8g, 25.0ミリモル)をDMF(25mL)に溶かした。次にこの溶液にNaH(1g, 鉱油中60%分散物)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(1.4mL, 11ミリモル)を加え、混合物を110℃で14時間加熱した。その後、混合物を冷却し、エーテル(100mL)で希釈した。この混合物を5% NaOH(2x50mL)、水(2x50mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。エーテル抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮した。得られたオイルをフラッシュクロマトグラフィー(9:1〜7:3ヘキサン/酢酸エチル勾配)で精製した。目的の画分を濃縮すると1.37g(54%)のチオアセトフェノン(9)が得られた。次にスルフィド(9)(1.37g)をアセトン/水(9:1v/v, 35mL)に溶かした。この溶液にオキソン(登録商標)(7.4g, 2当量)を加えた。混合物を2時間攪拌した。次に混合物を濃縮し、10% NaHCO3で中和し、CH2Cl2(3x50mL)で抽出した。有機抽出液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、ジアリールスルホン(10)(1.25g, 80%)を得た。スルホン(10)(0.53g. 2.0ミリモル)をTHF(7mL)に溶かした。この溶液に室温のSuper Hydride(登録商標)(6.3mL, THF中1M)を加えた。溶液を室温で1時間攪拌した後、MeOH(0.6mL)でクエンチした。次に混合物を濃縮した。残渣を1N HCl(50mL)に溶かした。この水性混合物をエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を廃棄した。水層を塩基性とし、CH2Cl2(3x15mL)で抽出した。有機層を濃縮した。残渣をAcOH/MeOH(1:1v/v, 10mL)に溶かした。CH2O(37%水溶液, 1mL)およびNaBH3CN(0.1g)を加えた。混合物を30分間攪拌した。次に混合物を濃縮し、10% NaOH水溶液で塩基性とし、CH2Cl2(3x15mL)で抽出した。有機抽出液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、粗ケトン(11)を得た。アリールケトン(10)をジメチルホルムアミドジメチルアセタール(15mL)中で還流させ、12時間100℃まで加熱した。次に混合物を濃縮し、EtOH(15mL)に溶かした。この
溶液にK2CO3(0.31g)および4-グアナジノベンズアミド(4)(0.14g)を加えた。反応混合物を密閉試験管にて100℃で12時間加熱した。次に混合物を室温まで冷却し、水(30mL)で希釈した後、濾過した。固体を水およびエタノールで洗浄した。この物質を分取HPLCで精製し、6.0mg(スルホン(10)から0.5%)の標題化合物を得た。LCMS (M+H=452@6.13分(方法A))。
【0112】
実施例14
4-[(4-{4-[(4-メチルピペラジニル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化31】

N-メチルピペリジン(1.16mL, 0.01モル)をCH2Cl2(30mL)およびEt3N(4.4mL, 0.033モル)に溶解した。この溶液を0℃まで冷却し、塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(2.29g, 0.01モル)を一度に加えた。反応物を15分間攪拌し、分液漏斗に注ぎ、水(3x20mL)次いで食塩水(10mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、アリールケトン(12)を得た。ケトン(12)を精製せずに続けて実施例13に記載の標題化合物を製造した。分析サンプルは分取HPLCにより精製した(0.028mg, 0.6%):LCMS (M+H=453.2@5.48分(方法A))。
【0113】
実施例15
4-{2-[(4-カルバモイルフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}安息香酸の合成
【化32】

4-アセチル安息香酸エチル(3.00g, 15.62ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(6.2g, 52.10ミリモル)の混合物を18時間還流させ、冷却し、濃縮して4-[(2E)-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノイル]安息香酸エチルを定量的収量で得た。EtOH(120mL)中、4-[(2E)-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノイル]安息香酸エチル、炭酸カリウム(3.55g, 25.74ミリモル)、および4-(アミジノアミノ)ベンズアミド(3.10g, 12.87ミリモル)の溶液を18時間還流させた。混合物を冷却し、濾過し、EtOH、水、次にエーテルでそれぞれ洗浄し、4-{2-[(4-カルバモイルフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}安息香酸エチル(2.60g, 収率46%)を得た。この化合物をEtOH(30mL)、水(20mL)、およびNaOH(0.640g, 16ミリモル)中で2時間還流させた。反応混合物を冷却し、pH3まで酸性化し、濾過し、1.00g(収率42%)の標題化合物を得た。HPLC/ES-MS (20〜100%アセトニトリル):保持時間4.7分(方法A); (m/z) 335 [M+1]+
【0114】
実施例16
(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)-N,N-ジメチルカルボキシアミドの合成
【化33】

4-グアニジノ-安息香酸メチルエステル
メタノール(600mL)中、4-グアニジノ安息香酸(20.0g, 93ミリモル)の攪拌溶液に塩化チオニル(12mL)を滴下した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応物を真空濃縮して白色粉末を得た。この粗物質をジクロロメタンに溶かして蒸発させ、標題化合物を白色粉末として得た(17.95g, 収率100%): HPLC保持時間; 1.27分(方法A) M+1; 193。
【0115】
(2E)-3-ジメチルアミノ-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン
1-(4-クロロフェニル)エタン-1-オン(35.0g, 226ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール(35mL)の溶液を16時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、ヘキサン(50mL)で処理した。得られた固体を濾過回収し、ヘキサンで洗浄し、標題化合物を黄色固体として得た(47.12g, 収率99%): HPLC保持時間; 6.45分(方法B) M+1 ; 209。
【0116】
4-[4-(4-クロロフェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]安息香酸
1-プロパノール中、4-グアニジノ-安息香酸メチルエステル(17.95g, 93ミリモル)、(2E)3-ジメチルアミノ-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン(19.44g, 93ミリモル)、および炭酸カリウム(38.50g, 279ミリモル)の溶液を24時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した。得られた固体を濾過回収し、エタノールで洗浄して標題化合物を得、これをそれ以上精製せずに用いた。EI MS (m/z) 339 [M+1]+。メタノール(100mL)中、4-[4-(4-クロロフェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]安息香酸メチルエステルの懸濁液に5N NaOH(100mL)を加えた。反応混合物を4時間加熱還流した後、室温まで冷却した。得られた固体を濾過回収し、ヘキサンで洗浄し、真空乾燥させ、標題化合物を黄色固体として得た(27.36g, 収率100%): HPLC保持時間; 7.29分(方法A) M+1; 325。
【0117】
(4-{[4-(4-クロロフェニル)-ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)-N,N-ジメチルカルボキシアミド
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸(200mg, 0.615ミリモル)に、室温で触媒量のDMFとともに塩化チオニル(4mL)を加えた。次に得られた懸濁液を1時間還流させると透明な淡黄色の溶液となり、これを真空濃縮した。次にこのフラスコにテトラヒドロフラン(4.5mL)中、ジメチルアミン(THF中2.0M溶液615μL, 1.23ミリモル)およびトリエチルアミン(124mg, 1.23ミリモル)の溶液を加えた。次にこの溶液を室温で18時間攪拌し、水(5mL)で希釈し、濾過した。残った固体を分取HPLCで精製し、標題化合物を得た。HPLC/ES-MS: 保持時間6.74分(方法A); (m/z) 353 [M+1]+
【0118】
実施例17
さらなる代表的化合物の合成
【化34】

以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表2】

























































実施例18
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸ピペラジンアミド塩酸塩の合成
【化35】

酢酸(61mL)中tert-ブチル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸ピペラジンアミド(3.0g, 6.1ミリモル)の溶液に塩化水素ガスを20分間ゆっくり通じた。この溶液を濃縮し、真空乾燥させ、2.6g(99%)の標題化合物を得た; ES-MS, m/z 394 (M+1)+ LC/MS保持時間5.84分(方法A)。
【0119】
実施例19
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸4-エチルピペラジンアミドの合成
【化36】

ジメチルホルムアミド(15mL)中、4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルピペラジンケトン(0.5g, 1.54ミリモル)、N-エチルピペラジン(0.18g, 1.54ミリモル)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0.44g, 2.31ミリモル)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(0.31g, 2.31ミリモル)の溶液を18時間攪拌した。水(50mL)を加え、固体を濾過した。この固体を分取HPLC(C-18カラム, 30%アセトニトリル〜100%アセトニトリル水溶液、いずれも0.1%トリフルオロ酢酸を含有)で精製し、標題化合物0.27g(収率42%)を得た; ES-MS, m/z 422 (M+1)+ LC/MS保持時間, 5.92分(方法A)。
【0120】
実施例20
4-アシルアミノピペリジンの合成
【化37】

4-アミノピペリジル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルケトン塩酸塩
(tert-ブトキシ)-N-{1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル](4-ピペリジル)}カルボキシアミド(4.00g, 7.87ミリモル)を50mL EtOHに溶かした後、無水塩酸ガスを添加した。反応物を30分間攪拌した後、濃縮して残渣を得た。これに少量のEtOHを加えた後、エーテルで希釈した。黄色固体が生じ、これを濾過して乾燥させ、3.00gの4-アミノピペリジル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルケトン塩酸塩を得た: HPLC保持時間5.89分(方法B) M+1; 408.4。
【0121】
N-{1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]-4ピペリジル}アセトアミド
トリエチルアミン(0.293mg, 2.91ミリモル)を含む10mLのTHF中で4-アミノピペリジル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルケトン塩酸塩(300mg, 0.582ミリモル)を攪拌した。無水酢酸(89mg, 0.873ミリモル)を加え、反応物を40分間攪拌した。この溶液を濃縮し、分取HPLCで精製し、N-{1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]-4-ピペリジル}アセトアミド(0.120g, 収率46%)を得た: HPLC保持時間6.92分(方法B) M+1; 450.4。
【0122】
以下に挙げられた化合物は上記手順に従って製造した。
【表3】



実施例21
ピペラジン酢酸アミドの合成
【化38】

2-{4-[(4-{[4(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸エチル
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸(5g, 15.3ミリモル)をジメチルホルムアミドに溶かした。次にHOBT(2.82g, 18.4ミリモル)およびEDCI(3.53g, 18.4ミリモル)を加えた。反応物を15分間攪拌した後、エチル-2ピペラジニルアセテート(2.14mL, 18.4ミリモル)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌した。水(150mL)を加えた。固体を濾過回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(90%EtOAc/ヘキサン, Rt=0.25)で精製し、4.3g(収率45%)の2-{4-[(4-{[4(4-クロロフェニル)ピリミン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸エチルを得た: HPLC保持時間; 9.932分(方法B) M+1; 480.2。
【0123】
2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸
2-{4-[(4-{[4(4-クロロフェニル)ピリミン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸エチル(5.0g, 15.3ミリモル)に46mLの水中のエタノール(69mL)およびNaOH(1.14g, 29.2ミリモル, 4.1当量)を加えた。反応物を75℃で1.5時間加熱した。反応物をpH=3まで酸性化し、濾過し、乾燥させ、4.3gの酸2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸(83.3%)を得た: HPLC保持時間9.260分(方法B) M+1; 452.3。
【0124】
2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}N-エチルアセトアミド
2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸(0.200g, 0.44ミリモル)をDMFに溶かした後、氷冷食塩水溶液中で15分間攪拌し、その後、HOBT(0.072g, 0.53ミリモル)、次いでEDCI(0.102g, 0.53ミリモル)を加え、さらに30分間攪拌した。エチルアミン(0.030mL, 0.53ミリモル)を加え、反応物を室温で一晩攪拌放置した。この反応物を水10mLでクエンチすると、沈殿が生じた。この沈殿を濾過回収し、分取HPLCで精製し、2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}N-エチルアセトアミドを得た: HPLC保持時間9.508分(方法B) M+1; 479.2。
【0125】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表4】


実施例22
還元的アミノ化
【化39】

4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル4-[(メチルエチル)アミノ]ピペリジルケトン塩酸塩
1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペリジン-4-オン(400mg, 0.980ミリモル)を、イソプロピルアミン(58mg, 0.980ミリモル)とともに10mLのEtOHに溶かした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(62mg, 0.986ミリモル)を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。反応を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した後、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH;90:10)に付し、残渣を得た。これをHCl(g)飽和EtOHに溶かし、エーテルで希釈し、濾過し、4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル4-[(メチルエチル)アミノ]ピペリジルケトン塩酸塩(0.150g, 収率30%)を得た: HPLC保持時間6.02分(方法B) M+1; 450.4。
【0126】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表5】



実施例23
リバーススルホンアミドの合成
【化40】

(2E)-1-(4-ニトロフェニル)-3-ジメチルアミノ)プロパ-2-エン-1-オン
4-ニトロアセトフェノン(20.0g, 121ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(200ml)の混合物を18時間還流させ、冷却し、濃縮して(2E)-1-(4-ニトロフェニル)-3-ジメチルアミノ)プロパ-2-エン-1-オンを定量的収量で得た。
【0127】
1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-ニトロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン
メタノール(6ml)中、(2E)-1-(4-ニトロフェニル)-3-ジメチルアミノ)プロパ-2-エン-1-オン(250mg, 1.14ミリモル)および{4-{(4-アセチルピペラジニル)カルボニルフェニル}アミノカルボキシアミジン(394mg, 1.36ミリモル)の混合物に、メタノール中2.0Mのナトリウムメトキシド溶液2mLを加えた。次に反応混合物を18時間還流させ、その後、1N NClを用いてpH4まで酸性化した。このとき生じた固体を次に濾過し、クロロホルム中10%のメタノールを用いるカラムクロマトグラフィーで精製し、320mg(69%)の目的生成物を得た。
【0128】
1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-アミノフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン
酢酸数滴を含有するメタノール(5mL)中、1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-ニトロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン(150mg, 0.34ミリモル)の溶液に100mgの10%パラジウムカーボンを加えた。次にこの溶液を50psiで6時間水素化したところ、出発物質は残留していなかった。次にこの溶液をセライトパッドで濾過し、135mg(95%)の実質的に純粋な還元物質を褐色のオイルとして得た。
【0129】
1-アセチル-4-{[4-({4-[4-(フェニルスルホニル)アミノフェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)フェニル]カルボニル}ピペラジン
触媒量のDMAPを含有するピリジン(5mL)中、1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-アミノフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン(100mg, 0.24ミリモル)の溶液に塩化ベンゼンスルホニル(50mg, 0.29ミリモル)を加え、この溶液を一晩室温で攪拌した。真空下でピリジンを除去し、残渣を塩化メチレンで抽出し、1N HClで洗浄した。溶媒を蒸発させて粗ピペラジンを得、これを分取HPLC(25分間で10〜60% CH3CN)で精製し、分析上純粋なサンプルを黄色固体として得た: M+1; 557.3 HPLC保持時間9.59分(方法B)。
【0130】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表6】





【0131】
実施例24
さらなる代表的化合物の合成
【化41】

所望のR1部分を有する実施例18の化合物は上記の手順に従って修飾し、本発明のさらなる代表的化合物を得ることができる。例えば上記の手順に従って以下の化合物を製造した。
【表7】











実施例25
スルフィドの合成
【化42】

3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]プロペノン
DMF(100mL)中の4-ヒドロキシブタンチオール(5.0g, 47ミリモル)の攪拌溶液にNaH(鉱油中60%分散物, 2.1g)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(4.3mL, 33ミリモル)を加えた。次にこの溶液を110℃で3時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、エーテル(200mL)で希釈した。このエーテル懸濁液を5% HCl(水溶液, 2x100mL)、水(100mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。エーテル抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、粗1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]エタノンを得、これを精製せずに用いた。1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]エタノンをジメチルホルムアミドジメチルアセタール(100mL)に溶かし、12時間還流させた。混合物を冷却した後、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。ヘキサンを加えて3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]プロペノンを沈殿させた。この混合物を濾過し、ヘキサン(50mL)で洗浄し、乾燥させ、3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシ-ブチルスルファニル)フェニル]プロペノン(6.4g, 23ミリモル)を得た: HPLC保持時間5.58分(方法B) M+1; 279.8。
【0132】
4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸
次に3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)-フェニル]プロペノン(6.4g, 23ミリモル)をnPrOH(150mL)に溶かした。この溶液に4-グアニジノ安息香酸メチルエステル塩酸塩(1.1当量, 5.4g)およびK2CO3(3当量, 9.5g)を加えた。混合物を還流下で24時間攪拌した。その後、10% NaOH(水溶液, 50mL)を加え、混合物を還流下でさらに1時間攪拌した。次に混合物を室温まで冷却し、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。次に混合物のpHをpH4〜5に調整し、4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸を得た。この酸を迅速に濾過し、水(50mL)、冷EtOH(50mL)で洗浄した後、乾燥させた(8.6g, 21ミリモル, 88%): HPLC保持時間6.37分(方法B) M+1; 396.0。
【0133】
[4-(フラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニルメタノン
4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸(0.34g, 0.86ミリモル)をTHF(5mL)に溶かした。この溶液に1-フロイルピペラジン(0.170g)、EDCI(0.180g)、およびHOBt(0.127g)を加えた。混合物を12時間攪拌した。次に混合物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、2% NaOH(水溶液, 30mL)、水(30mL)、次いで食塩水(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。粗固体を分取HPLC(30〜80アセトニトリル/水勾配, 20分)に付した。目的の画分を濃縮してアセトニトリルの大部分を除去した後、水性混合物をCH2Cl2/2% NaOH水溶液で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、[4-(フラン-2-カルボニル)-ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メタノン(0.042g, 9%)を得た: HPLC保持時間10.07分(方法B) M+H=558.3。
【0134】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表8】







実施例26
スルホンアミドの合成
【化43】

1-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]エタノン
CH2Cl2(75mL)およびEt3N(2当量, 7.0mL, 50ミリモル)中、塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(5.5g, 25ミリモル)の懸濁液にモルホリン(1.5当量, 3.3mL, 38ミリモル)を滴下した。この混合物を室温で30分間攪拌した。次に混合物をCH2Cl2(100mL)で希釈し、5%HCl(2x50mL)、水(50mL)、次いで食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮して、粗1-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]エタノン(2)(4.78g, 18ミリモル, 71%)を得た: HPLC保持時間5.82分(方法B) M+1, 270.0。
【0135】
4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-フェニル]-ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸
粗1-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]エタノン(4.78g, 18ミリモル)をジメチルホルムアミドジメチルアセタール(50mL)に懸濁させ、12時間還流させた。反応物を冷却し、混合物をもとの量のほぼ半分まで濃縮した。次にこの溶液をヘキサンとともに粉砕してエネアミノケトン中間体を沈殿させた。このエネアミノケトンを濾過し、ヘキサン(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた後、nPrOH(150mL)に溶かした。この溶液に4-グアニジノ安息香酸メチルエステル塩酸塩(1.1当量, 3.7g)およびK2CO3(3当量, 6.4g)を加えた。混合物を還流下で24時間攪拌した。その後、10% NaOH(水溶液, 50mL)を加え、混合物を還流下でさらに1時間攪拌した。次に混合物を室温まで冷却し、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。次に混合物のpHをpH4〜5に調整して酸を沈殿させた。4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸を迅速に濾過し、水(50mL)、冷EtOH(50mL)で洗浄した後、乾燥させた(4.6g, 10.5ミリモル, 68%): HPLC保持時間6.6分(方法B) M+1, 441.0。
【0136】
[4-(フラン-2-カルボニル)-ピペラジン-1-イル](4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メエタノン
4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-フェニル]-ピリミジン-2-イルアミノ}-安息香酸(0.25g, 0.57ミリモル)をTHF(5mL)中に溶かした。この溶液に1-フロイルピペラジン(0.123g)、EDCI(0.131g)、およびHOBt(0.092g)を加えた。混合物を12時間攪拌した。次に混合物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、2% NaOH(水溶液, 30mL)、水(30mL)、次いで食塩水(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。粗固体を分取HPLC(20〜70アセトニトリル/水勾配, 20分)に付した。目的の画分を濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した後、水性混合物をCH2Cl2/2% NaOH水溶液で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、[4-(フラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル](4{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メエタノン(0.177g, 52%)を得た:HPLC保持時間9.62分(方法B) M+H=603.3。
【0137】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表9】
















実施例27
スルホンの合成
【化44】

1-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルファニル)フェニル]エタノン
水(26mL)中Na2S(17.4g, 0.22モル)の溶液にCS2(14.7mL, 0.24モル)を加えた。混合物を60〜70℃で6時間攪拌した。得られた赤色のNa2CS3溶液に4-クロロテトラヒドロピラン(0.074モル)を加えた。この混合物を60〜70℃で12時間攪拌した。次に混合物を〜10℃まで冷却した。この混合物に濃H2SO4を、曇った黄色が定着するまで攪拌しながら滴下した。次に混合物をCH2Cl2(3x50mL)で抽出した。水層を廃棄し、CH2Cl2層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。この粗チオール(47.5ミリモル,〜64%)をDMF(100mL)に溶かし、NaH(1.9g, 48ミリモル)で処理した。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(4.3mL, 33ミリモル)を加えた。次にこの溶液を110℃で3時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、エーテル(200mL)で希釈した。このエーテル懸濁液を5% HCl(水溶液, 2x100mL)、水(100mL)、次いで食塩水(50mL)で洗浄した。エーテル抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、粗1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルファニル)-フェニル]-エタノン1を得、これをクロマトグラフィー(SiO2, 9:1ヘキサン/EtOAc)で精製し、純粋な1-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルファニル)フェニル]エタノン1(7.4ミリモル, 4-クロロテトラヒドロピランから16%): HPLC保持時間5.41分(方法B) M+1; 269.0。
【0138】
3-ジメチルアミノ-1-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)フェニル]プロペノン
1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルファニル)-フェニル]-エタノン1(7.4ミリモル)をアセトン/水(9:1v/v, 100mL)に溶かした。この溶液にオキソン(登録商標)(2.1当量, 9.1g)を加えた。反応物を室温で5時間攪拌した。混合物を濾過し、大部分のアセトンを真空下で除去した。次にこの溶液を水(50mL)で希釈し、CH2Cl2(3x50mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、中間体テトラヒドロピラニルスルホンを得、これをジメチルホルムアミドジメチルアセタール(100mL)に溶かし、還流下で12時間攪拌した。この混合物を冷却した後、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。ヘキサンを加えてエネアミノケトン中間体を沈殿させた。混合物を濾過し、ヘキサン(50mL)で洗浄し、乾燥させ、3-ジメチルアミノ-1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルホニル)-フェニル]-プロペノン(2.2g, 7ミリモル)を得た: HPLC保持時間5.18分(方法B)M+1; 324.0。
【0139】
4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)-フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸
次に3-ジメチルアミノ-1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルホニル)-フェニル]-プロペノンをnPrOH(80mL)に溶かした。この溶液に4-グアニジノ安息香酸メチルエステル塩酸塩(1.1当量, 1.7g)およびK2CO3(3当量, 2.9g)を加えた。この混合物を還流下で24時間攪拌した。その後、10% NaOH(水溶液, 50mL)を加え、混合物を還流下でさらに1時間攪拌した。次に混合物を室温まで冷却し、もとの量のほぼ半分の量まで濃縮した。次にこの混合物のpHをpH4〜5に調整し、4-{4-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルホニル)-フェニル]-ピリミジン-2-イルアミノ}-安息香酸4を沈殿させた。この酸を迅速に濾過し、水(50mL)、冷EtOH(50mL)で洗浄した後に乾燥させた(2.4g, 5.5ミリモル, 収率79%): HPLC保持時間6.07分(方法B) M+1; 593.3。
【0140】
[4-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メタノン
4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)-フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸4(0.26g, 0.6ミリモル)をTHF(5mL)に溶かした。この溶液に1-(N,N-ジメチルアミノプロピル)ピペラジン(0.130g)、EDCI(0.136g)、およびHOBt(0.096g)を加えた。この混合物を12時間攪拌した。次に混合物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、2% NaOH(水溶液, 30mL)、水(30mL)、次いで食塩水(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。粗固体を分取HPLC(20〜70アセトニトリル/水勾配, 20分)に付した。目的の画分を濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した後、水性混合物をCH2Cl2/2% NaOH水溶液で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、[4-(3-ジメチルアミノ-プロピル)ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メタノン5(0.079g, 22%): HPLC保持時間7.93分(方法B) M+1=593.3。
【0141】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表10】







実施例28
代表的な化合物の活性
本発明の化合物を以下の手順に従い、IKK-2阻害活性に関してアッセイした。
【0142】
IKK-2酵素アッセイ
「希釈バッファー」(20mM HEPES pH7.6, 0.1mM EDTA, 2.5mM MgCl2, 0.004%トリトンX100, 2μg/mlロイペプチン, 20mMβ-グリセロホスフェート, 0.1mM Na3VO4, 2mM DTT)中20%のDMSO中、10μlの試験化合物に、「HBB」(20mM HEPES pH7.6, 50mM NaCl, 0.1mM EDTA, 2.5mM MgCl2, 0.05%トリトンX100)中167μg/mlのGST-IκBα30μlおよび1.33μg/ml(40ng/ウェル)の30μl IKK2EE(his6)を加える。この混合物を室温で15分間プレインキュベートする。「キナーゼバッファー」(20mM HEPES pH7.6, 6.67mM MgCl2, 6.67mM MnCl2, 0.02%トリトンX100, 20mMβ-グリセロホスフェート, 2mM NaF, 2mM DTT, 2mMベンズアミジン, 16mMパラニトロフェニルホスフェート, 5μM ATP, 16.67μCi/ml γ33P-ATP)を加え、室温で1時間反応させる。IκBαを沈殿させ、12.5%のトリクロロ酢酸150μlを添加することでリン酸化を終了させる。30分後、沈殿をフィルタープレート上に回収し、そこにシンチレーション液50μlを加えた後、シンチレーションカウンターで定量する。IC50値は、IκBαのリン酸化が対照値の50%にまで低下する試験化合物の推定濃度として算出する。
【0143】
IκBα分解の検出
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を80%密集まで培養した後、最終濃度0.5%DMSOの化合物(30μM)で前処理する。30分後、細胞をTNFα(30ng/ml)で20分間刺激する。細胞洗浄し、プレートから掻き取り、2xLaemmliバッファーで溶解し、5分間100℃まで加熱する。全細胞溶解物(およそ30μg)をトリス-グリシン緩衝10%SDS-ポリアクリルアミドゲル(Novex, San Diego, CA)上で分離し、ニトロセルロース膜(Amersham, Piscataway, NJ)に移した。膜を5%脱脂粉乳(BioRad, Hercules, CA)でブロッキングし、0.1% Tween-20および5%脱脂粉乳を含むリン酸緩衝生理食塩水中でIκBαに対する抗体(0.2μg/ml#sc-371)(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)、次いでロバ抗ウサギセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗体(1:2500)(Amersham)とともにインキュベートする。免疫反応タンパク質を化学発光およびオートラジオグラフィー(Amersham)で検出する。
【0144】
細胞接着分子の発現の阻害
内皮細胞接着分子の発現を測定するため酵素免疫測定法(ELISA)をBennettら(J Biol Chem. 272:10212-12219, 1997)に記載のようにして行う。要するに、HUVECを96ウェルマイクロタイタープレートにプレーティングし、密集するまで増殖させる。細胞を最終濃度 0.5% DMSOの化合物(30μM)で前処理する。30分後、細胞をTNFα(30ng/ml)で5時間刺激する。実験的処理の後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で一度洗浄し、新しく調製した4%パラホルムアルデヒド溶液 pH7で60分間インキュベートする。次にプレートをPBSで一度洗浄し、PBS中2%ウシ血清アルブミン(BSA)で4℃にて一晩ブロッキングし、PBSで一度洗浄し、PBS中0.1%BSA中、1μg/mlの一次抗体とともに37℃にて2時間インキュベートする。用いるモノクローナル抗体はE-セレクチン(BBA16; R & D Systems, Minneapolis, MN)、VCAM-1(MA10620; Endogen, Woburn, MA)、ICAM-1(BBA3; R & D Systems)、およびICAM-2(AHT0201; Biosource, Camarillo, CA)に対するものである。一次抗体とともにインキュベートした後、細胞をPBS中0.05%のTween-20で3回洗浄し、PBS中0.1%のBSA中、アルカリ性ホスファターゼ結合ヤギ抗マウスIgG(AMI3405; Biosource)とともに37℃にて1時間インキュベートし、PBS中0.05%のTween-20で3回、さらにPBSで一度洗浄する。その後、細胞を発色基質(1Mジエタノールアミン, 0.5mM MgCl2, pH9.8中1mg/mlのp-ニトロフェニルホスフェート)中、37℃にて30分間インキュベートし、ThermoMaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Menlo Park, CA)を用いて405nmで測定した。
【0145】
ラットin vivoLPS誘導TNF-α産生アッセイ
Charlese River Laboratoriesから入手した7週齢の雄CDラットを使用前1週間順化させる。軽いイソフルラン麻酔下、22番over-the-needleタイプのカテーテルを尾部外側静脈に皮下挿入する。ラットには、0.05mg/kg LPS(大腸菌(E. Coli)055:B5)を注射する15〜180分前に尾部静脈のカテーテルを通じた静注、あるいは経口胃管栄養法により試験化合物を投与する。カテーテルを通常注射用の生理食塩水2.5mL/kgでフラッシュする。LPS投与して90分後に心臓穿刺により採血する。リチウムヘパリン分離管を用いて血漿を調製し、分析まで-80℃で冷凍する。TNF-αレベルはラット特異的TNF-αELISAキット(Biosource)を用いて測定する。ED50値は、TNF-α産生が対照値の50%にまで低下する試験化合物の用量として算出する。本発明の好ましい化合物はこのアッセイで1〜30mg/kgの範囲のED50値を有する。
【0146】
実施例29
代表的化合物の活性
本発明の代表的な化合物は実施例21に示されたアッセイによりIKK-2阻害能に関してアッセイすることができる。この点での本発明の好ましい化合物は実施例21のIKK-2酵素アッセイで1μM以下のIC50値を有する。本目的のための本発明の好ましい化合物は、1、3-8、3-9、3-13、3-14、3-15、3-21、3-34、17-2、17-3、17-18、17-20、17-21、17-22、17-23、17-25、17-27、17-28、17-29、17-30、17-31、17-32、17-33、17-34、17-35、17-36、17-54、17-71、17-72、17-86、17-91、17-118、17-127、17-128、17-129、17-131、17-132、17-133、17-136、17-137、17-139、17-141、17-142、17-144、17-147、17-150、17-151、17-152、17-153、17-154、17-158、17-159、17-160、17-161、17-162、17-163、17-169、17-171、17-190、17-215、18、20-1、20-2、20-3、20-4、20-5、20-6、22-10、22-11、25-52である。より好ましくは本発明の化合物は実施例21のIKK-2酵素アッセイで500nM以下のIC50値を有する。この点での本発明のより好ましい化合物は、3-8、3-14、3-21、17-18、17-2、17-20、17-27、17-28、17-29、17-30、17-31、17-32、17-33、17-34、17-35、17-36、17-37、17-86、17-91、17-127、17-129、17-131、17-133、 17-137、17-139、17-141、17-150、17-154、17-159、17-160、17-161、17-162、17-163、17-169、 17-171、17-190、17-215、18、20-1、20-2、20-3、20-4、20-5、20-6、22-10、22-11、25-52である。
【0147】
本発明は実施例で開示された特定の実施形態により範囲を限定されるものではなく、これらの実施例は本発明のいくつかの態様を例示するものであり、機能的に同等な実施形態はいずれも本発明の範囲内にある。実際に、本明細書で示され、述べられたものの他、発明の種々の改変が当業者には明らかであり、それらも添付の特許請求の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

{式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ナフチル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルまたはキナゾリニルであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である}
を有する化合物またはその製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
IKK-2阻害に応答する症状の治療用組成物であって、構造:
【化2】

{式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ナフチル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルまたはキナゾリニルであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である}
を有する化合物またはその製薬上許容される塩の有効量を含んでなる上記組成物。
【請求項3】
上記症状が炎症または自己免疫症状である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
炎症または自己免疫症状が慢性関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、痛風、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性繊維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、肝炎、膵炎、腎炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、多発性硬化症、ルー・ゲーリック病、敗血症、結膜炎、急性呼吸窮迫症候群、紫斑病、鼻ポリープ、または紅斑性狼瘡である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
上記症状が心血管性症状、代謝性症状または虚血性症状である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
上記症状がアテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、左心室肥大、II型糖尿病、骨粗鬆症、勃起不全、悪液質、心不全、心臓、腎臓、肝臓および脳の虚血、臓器移植拒絶症、移植片対宿主病、内毒素性ショック、または多臓器不全である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
上記症状が感染症である、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
上記感染症がウイルス感染症である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
上記ウイルス感染症がヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスまたはエプスタイン-バーウイルスにより引き起こされる、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
上記症状が癌である、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
上記癌が大腸癌、直腸癌、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、気管支癌、膵臓癌、脳癌、頭部癌、頚部癌、胃癌、皮膚癌、腎臓癌、子宮頚癌、血液癌、喉頭癌、食道癌、口腔癌、咽頭癌、精巣癌、膀胱癌、卵巣癌または子宮癌である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
上記症状が卒中、癲癇、アルツハイマー病、またはパーキンソン病である、請求項2に記載の組成物。
【請求項13】
有効量の細胞傷害剤をさらに含んでなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含んでなる、炎症または自己免疫症状の治療用組成物。
【請求項15】
有効量の抗炎症薬をさらに含んでなる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
上記抗炎症薬がサリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビンプロフェン、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、テノキシカム、ナブメトン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾンおよびニメスリド、ジレウトン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、エンブレル、インフリキシマブ、アナキンラ、セレコキシブまたはロフェコキシブである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
炎症または自己免疫症状が慢性関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、痛風、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性繊維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、肝炎、膵炎、腎炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、多発性硬化症、ルー・ゲーリック病、敗血症、結膜炎、急性呼吸窮迫症候群、紫斑病、鼻ポリープ、または紅斑性狼瘡である、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含んでなる、心血管性症状、代謝性症状または虚血性症状の治療用組成物。
【請求項19】
上記症状がアテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、左心室肥大、II型糖尿病、骨粗鬆症、勃起不全、悪液質、心不全、心臓、腎臓、肝臓および脳の虚血、臓器移植拒絶症、移植片対宿主病、内毒素性ショック、または多臓器不全である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含んでなる、感染症の治療用組成物。
【請求項21】
上記感染症がウイルス感染症である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
上記ウイルス感染症がヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスまたはエプスタイン-バーウイルスにより引き起こされる、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含んでなる、癌の治療用組成物。
【請求項24】
有効量の抗癌薬をさらに含んでなる、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
上記抗癌薬がシクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、トレオスルファン、ダカルバジン、シスプラチン、カルボプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、クリスナトル、マイトマイシンC、メトトレキサート、トリメトレキサート、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、EICAR、ヒドロキシ尿素、デフェロキサミン、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド、シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド、フルダラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、タモキシフェン、ラロキシフェン、メゲストロール、ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、フルタミド、ビカルタミド、B 1089、CB 1093、KH 1060、ベルテポルフィン(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、デメトキシヒポクレリンA(2BA-2-DMHA)、インターフェロン-α、インターフェロン-γ、腫瘍壊死因子、ロバスタチン、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン、スタウロスポリン、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、ベラパミルまたはタプシガーギンである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
上記癌が大腸癌、直腸癌、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、気管支癌、膵臓癌、脳癌、頭部癌、頚部癌、胃癌、皮膚癌、腎臓癌、子宮頚癌、血液癌、喉頭癌、食道癌、口腔癌、咽頭癌、精巣癌、膀胱癌、卵巣癌または子宮癌である、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含んでなる、卒中、癲癇、アルツハイマー病、またはパーキンソン病の治療用組成物。

【公開番号】特開2010−1299(P2010−1299A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186202(P2009−186202)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【分割の表示】特願2002−547910(P2002−547910)の分割
【原出願日】平成13年12月5日(2001.12.5)
【出願人】(500475823)シグナル ファーマシューティカルズ, エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】