説明

LC複合部品及びLC複合部品の実装構造

【課題】実装方向性がなく、インダクタンス成分を増加させることができるLC複合部品及びLC複合部品の実装構造を提供する。
【解決手段】LC複合部品は、コンデンサ部とインダクタ部とは積層方向に交互に積層され、かつコンデンサ部とインダクタ部とのいずれか一方が第1の素体主面側と、第2の素体主面側との両方に配置され、第1のコイル線路部と第2のコイル線路部とは、第1の外部導体群の第1の素体端面寄りの外部導体と第2の素体端面寄りの外部導体との間にある外部導体、又は第2の外部導体群の第1の素体端面寄りの外部導体と第2の素体端面寄りの外部接続導体との間にある外部導体に接続され、第1のコイル線路部及び第2のコイル線路部が積層方向へ螺旋状に巻回されるコイルとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装されるLC複合部品及びLC複合部品の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)又は携帯電話等の電子機器は、コンデンサ及びインダクタを複合した複合部品が表面実装された回路基板を有することがある。例えば特許文献1には、LC複合部品としてπ型のLC複合EMIフィルタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−252456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたLC複合部品は、実装方向性がなく電子機器における特定周波数領域のノイズを選択的に除去するものの、近年のLC複合部品では、よりインダクタンス成分を大きくすることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、実装方向性がなく、インダクタンス成分を増加させることができるLC複合部品及びLC複合部品の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し目的を達成するために、LC複合部品は、複数の絶縁体層が積層され、前記複数の絶縁体層の積層方向に交差する第1の素体主面及び第2の素体主面と、前記第1の素体主面及び前記第2の素体主面を連結し互いに対向する第1の素体側面及び第2の素体側面と、前記第1の素体主面及び前記第2の素体主面を連結し、かつ前記第1の素体側面及び前記第2の素体側面を連結し、互いに対向する第1の素体端面及び第2の素体端面と、を含む素体と、前記第1の素体側面にそれぞれ配置され、3以上の外部導体を有する第1の外部導体群と、前記第2の素体側面にそれぞれ配置され、3以上の外部導体を有する第2の外部導体群と、前記絶縁体層上に形成され、かつ前記積層方向に対向する第1の内部電極及び第2の内部電極を有し、前記第1の内部電極が前記第1の素体側面に引き出されて前記第1の外部導体群の少なくとも1つの前記外部導体に接続され、前記第2の内部電極が前記第2の素体側面に引き出されて前記第2の外部導体群の少なくとも1つの前記外部導体に接続されるコンデンサ部と、前記複数の絶縁体層のいずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成され、かつ導電体パターンである第1のコイル線路部及び第2のコイル線路部を有するインダクタ部と、を含み、前記コンデンサ部と前記インダクタ部とは前記積層方向に交互に積層され、かつ前記コンデンサ部と前記インダクタ部とのいずれか一方が、前記第1の素体主面側と前記第2の素体主面側との両方に配置され、前記第1のコイル線路部と、前記第2のコイル線路部とが、前記第1の外部導体群の前記第1の素体端面寄りの前記外部導体と前記第2の素体端面寄りの前記外部導体との間にある前記外部導体、又は前記第2の外部導体群の前記第1の素体端面寄りの前記外部導体と前記第2の素体端面寄りの前記外部導体との間にある前記外部導体に接続され、前記第1のコイル線路部及び第2のコイル線路部が積層方向へ螺旋状に巻回されるコイルとなることを特徴とする。
【0007】
この構造により、LC複合部品は、コンデンサ部とインダクタ部とを有するので、LCフィルタを形成できる。また、積層方向に対称となるように、コンデンサ部とインダクタ部とが形成される。また、第1の素体端面寄りの外部導体と第2の素体端面寄りの外部導体とが端子電極となり、これらの間に配置される外部導体が外部接続導体となるので、実装方向性がなくなる。これにより、LC複合部品を回路基板へ実装する際に、前記LC複合部品の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、第1のコイル線路部と第2のコイル線路部とは、実装されない外部接続導体で接続されるので、導電経路が長くなる。このため、このLC複合部品は、コイルの導電経路が長くなりインダクタンス成分を大きくできる。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記第1の内部電極は、第1の主面電極部と、前記第1の主面電極部及び前記第1の外部導体群の外部導体と接続する第1の引き出し部と、を有し、前記第2の内部電極は、前記第1の主面電極部と前記積層方向に対向する第2の主面電極部と、前記第2の主面電極部及び前記第2の外部導体群の外部導体と接続する第2の引き出し部と、を有し、前記インダクタ部が有する前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部は、前記積層方向からみて、前記第1の内部電極の前記第1の主面電極部と、前記第2の内部電極の前記第2の主面電極部との少なくとも一方の周囲を巻回することが好ましい。
【0009】
例えば、コンデンサ部の主面電極部と、インダクタ部のコイル線路部とは、積層方向で重なり合うと、コンデンサ部の主面電極部とインダクタ部のコイル線路部との間に静電容量が発生し、コンデンサ部とインダクタ部とが結合してしまう。この状態で、LC複合部品に信号が入力されると、高周波のノイズ成分に対しては、コンデンサ部とインダクタ部とがあたかも1つの導電体としてしか見なせなくなり、高周波のノイズ成分が減衰されないまま信号がLC複合部品を通過してしまう現象が発生しやすくなる。上述した構成により、コンデンサ部の主面電極部と、インダクタ部のコイル線路部とは、積層方向で重ならないようにすることができる。このため、コンデンサ部の主面電極部とインダクタ部のコイル線路部との間の静電容量が低減される。その結果、LC複合部品は、高周波のノイズ成分を減衰することができる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記インダクタ部が前記第1の素体主面側と、前記第2の素体主面側の両方に配置されることが好ましい。これにより、第1の素体主面及び第2の素体主面のいずれかの素体主面においても、回路基板の実装面側にして実装することでLCフィルタとして機能させることができ、実装方向性をなくすことができる。
【0011】
本発明の望ましい態様として、前記コンデンサ部が前記第1の素体主面側と、前記第2の素体主面側の両方に配置されることが好ましい。LC複合部品を回路基板に実装した場合、コンデンサ部は、微小なインダクタンス成分であるESL(Equivalent Series Inductance(L):等価直列インダクタンス)を回路基板との間に生じることがある。上述した構成により、第1の内部電極又は第2の内部電極が回路基板に最も近い位置となり、ESLを低減することができる。また、第1の素体主面及び第2の素体主面のいずれかの素体主面においても、回路基板の実装面側にして実装することでLCフィルタとして機能させることができ、実装方向性をなくすことができる。
【0012】
本発明の望ましい態様として、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記絶縁体層を介して隣接していることが好ましい。このようにすることで、第1のコイル線路部と第2のコイル線路部とを近づけることで、磁気の結合が高まる。また、第1のコイル線路部及び第2のコイル線路部に生じる磁束が互いのコイル線路の周囲に発生し、インダクタンス成分が増加する。また、第1のコイル線路部と第2のコイル線路部との間にコンデンサ部の内部電極を挟まないので、インダクタ部とコンデンサ部とが同極性で隣接することができる。インダクタ部とコンデンサ部とが同極性で隣接するので、ノイズ減衰性を高め、ノイズ成分を除去できる。
【0013】
本発明の望ましい態様として、前記インダクタ部は、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が、前記第1の内部電極が引き出されている前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が、前記第2の内部電極が引き出されている前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、の少なくとも一方を含み、前記第1のインダクタ部は、前記第1の内部電極と積層方向に隣接している、又は前記第2のインダクタ部は、前記第2の内部電極と積層方向に隣接していることが好ましい。
【0014】
この構成により、インダクタ部とコンデンサ部とが、同極性で隣接することができる。例えば、コンデンサ部とインダクタ部とが異極性で隣接すると、インダクタ部とコンデンサ部との間に静電容量が発生し、インダクタ部とコンデンサ部とが結合してしまうことがある。このため、ノイズ減衰性が劣化してノイズ成分を十分に除去できないおそれが生じる。上述した構成により、インダクタ部とコンデンサ部とが同極性で隣接するので、ノイズ減衰性を高め、ノイズ成分を除去できる。
【0015】
本発明の望ましい態様として、前記インダクタ部は、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含み、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体以外の少なくとも2つの外部導体には前記コンデンサ部の前記第1の内部電極がそれぞれ接続され、前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体以外の少なくとも2つの外部導体には前記コンデンサ部の前記第2の内部電極がそれぞれ接続されることが好ましい。
【0016】
例えば、第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体以外の少なくとも2つの外部導体が回路基板の信号線路間に実装される。また、コンデンサ部の第2の内部電極に接続される少なくとも2つの外部導体が回路基板のGND線路に実装される。この構成により、LC複合部品は、π型回路を構成できる。
【0017】
本発明の望ましい態様として、前記インダクタ部は、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含み、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体には前記コンデンサ部の前記第1の内部電極が接続され、前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体には前記コンデンサ部の前記第2の内部電極が接続されることが好ましい。
【0018】
例えば、第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体以外の少なくとも2つの外部導体が回路基板の信号線路間に実装される。また、コンデンサ部の第2の内部電極に接続される少なくとも2つの外部導体が回路基板のGND線路に実装される。この構成により、LC複合部品は、T型回路を構成できる。
【0019】
本発明の望ましい態様として、前記第1のコイル線路部が形成される前記絶縁体層及び前記第2のコイル線路部が形成される前記絶縁体層に磁性体が含まれ、前記第1の内部電極が形成される前記絶縁体層及び前記第2の内部電極が形成される前記絶縁体層に誘電体が含まれることが好ましい。このような構造により、これにより、コイル線路のインダクタンス成分が増加し、かつ、第1の内部電極と第2の内部電極との間の静電容量が増加する。
【0020】
本発明の望ましい態様として、前記インダクタ部は、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含むとともに、前記第1のインダクタ部と前記第2のインダクタ部とは、前記積層方向の素体中心を境に上下に分けて配置されており、かつ前記素体中心を基準として、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが同位置かつ同距離となるように配置されるか、前記素体中心を基準として前記第1の内部電極同士が同位置かつ同距離になるように配置されるか又は前記素体中心を基準として前記第2の内部電極同士が同位置かつ同距離になるように配置され、かつ前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるか、又は前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置され、さらに、前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが点対称であり、前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるか、又は前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置されることが好ましい。この構成により、LC複合部品の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品を基板へ実装する際に、前記LC複合部品の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらず、LC複合部品の特性が変化しないので、一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0021】
本発明の望ましい態様として、前記インダクタ部は、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含むとともに、前記第1のインダクタ部と前記第2のインダクタ部とは、前記積層方向の素体中心を境に上下に分けて配置されており、前記素体中心を基準として、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが同位置かつ同距離になるように配置され、かつ前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるか、又は前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置され、さらに、前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが点対称であり、前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるか、又は前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置される。この構成により、LC複合部品の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品を回路基板へ実装の際に、前記LC複合部品の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品の特性が変化しないので、一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0022】
本発明の望ましい態様として、前記第1の外部導体群の前記外部導体と前記第2の外部導体群の前記外部導体とは、前記積層方向から前記第1の素体主面をみた場合において、前記素体の中心点に対して点対称となるように配置されていることが好ましい。この構成により、第1の外部導体群の外部導体と、第2の外部導体群の外部導体とのいずれを回路基板の信号線路間に実装してもよくなるので、回路基板平面内の実装方向性をなくすことができる。
【0023】
本発明の望ましい態様として、信号線路と、GND線路とを含む回路基板にLC複合部品を実装する実装構造は、前記第1の外部導体群の前記第1のコイル線路部と前記第2のコイル線路部とを接続する外部導体は、前記回路基板に実装されない外部接続導体となり、前記外部接続導体以外の前記第1の外部導体群の2つの外部導体には、前記信号線路と接続するように前記回路基板に実装され、前記第2の外部導体群の前記第2の内部電極と接続する外部導体は、前記GND線路と接続するように前記回路基板に実装されることが好ましい。
【0024】
この実装構造により、第1の素体端面寄りの外部導体と第2の素体端面寄りの外部導体とが端子電極となり、これらの間に配置される外部導体が外部接続導体となるので、実装方向性がなくなる。これにより、LC複合部品を基板へ実装する際に、前記LC複合部品の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、第1のコイル線路部と第2のコイル線路部とは、実装されない外部接続導体で接続されるので、導電経路が長くなる。その結果、コイルの導電経路が長くなりインダクタンス成分を大きくできる。そして、実装構造は、π型回路又はT型回路を構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、実装方向性がなく、インダクタンス成分を増加させることができるLC複合部品及びLC複合部品の実装構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本実施形態に係るLC複合部品を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図3】図3は、実施形態1に係るLC複合部品の素体の断面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るLC複合部品の素体の断面図である。
【図5】図5は、実施形態1に係るLC複合部品の等価回路を示す説明図である。
【図6】図6は、実施形態1に係るLC複合部品と信号線路との接続の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、実施形態2に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図8】図8は、実施形態2の第1変形例に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図9】図9は、実施形態2の第1変形例に係るLC複合部品の素体の断面図である。
【図10】図10は、実施形態2の第2変形例に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図11】図11は、実施形態2の第2変形例に係るLC複合部品の素体の断面図である。
【図12】図12は、実施形態2の第3変形例に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図13】図13は、実施形態2の第3変形例に係るLC複合部品の素体の断面図である。
【図14】図14は、実施形態3に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図15】図15は、実施形態3に係るLC複合部品の等価回路を示す説明図である。
【図16】図16は、実施形態3に係るLC複合部品と信号線路との接続の一例を示す説明図である。
【図17】図17は、実施形態4に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図18】図18は、実施形態5に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【図19】図19は、実施形態5に係るLC複合部品の等価回路を示す説明図である。
【図20】図20は、実施形態5に係るLC複合部品と信号線路との接続の一例を示す説明図である。
【図21】図21は、実施形態6に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0028】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るLC複合部品を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図3及び図4は、実施形態1に係るLC複合部品の素体の断面図である。図2は、LC複合部品1の素体10の第1の素体主面10a、第2の素体主面10bとなる、後述する絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。図3は、図1のA−A断面を示している。図4は、図1のB−B断面を示している。
【0029】
LC複合部品1は、静電容量を蓄積又は放出するコンデンサ部50Aと、所定のインダクタンスが作用する第1のインダクタ部30Aと、第2のインダクタ部30Bとを含んでいる複合部品である。LC複合部品1は、素体10と、素体10の表面に形成される外部導体11、12、13、21、22、23とを有している。
【0030】
LC複合部品1の素体10の形状は略直方体形状である。これにより、LC複合部品1は、図2に示す第1のインダクタ部30A、コンデンサ部50A、第2のインダクタ部30Bが積層する積層方向に対向する素体10の第1の素体主面10a、第2の素体主面10bを有している。LC複合部品1は、回路基板に実装する場合、第1の素体主面10a又は第2の素体主面10bのどちらか一方が回路基板側となり、実装面となる。
【0031】
素体10の素体中心Oは、積層方向における両側の導体同士の中心、かつ、第1の素体端部10e側における2個の外部導体と、第2の素体端部10f側における2個の外部導体とを頂点とする四角形の対角線の交点である。また、素体中心面Mは、素体中心Oを含み、かつ、積層方向と直交する仮想の平面である。図1に示す第1の素体主面10aに最も近い導体と、第2の素体主面10bに最も近い導体とが、積層方向における両側の導体(素体主面側導体)に相当する。積層方向における両側の導体同士の中心は、例えば、それぞれの素体主面側導体の第1の素体主面10a側における表面と第2の素体主面10b側における表面とを基準とし、両者からそれぞれ等距離の位置とすることができる。また、前記対角線の交点を求める場合、前記頂点は、例えば、平面視が長方形である第1の素体主面10a又は第2の素体主面の長辺に沿った、前記外部導体の中点とすることができる。
【0032】
LC複合部品1は、第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとを連結し、かつ互いに対向する第1の素体側面10c及び第2の素体側面10dを有している。また、LC複合部品1は、第1の素体主面10aと第2の素体主面10bと第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとを連結し互いに対向する第1の素体端面10e及び第2の素体端面10fを有している。
【0033】
LC複合部品1は、第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとが第1の素体主面10aの長辺方向及び第2の素体主面10bの長辺方向に延びており、第1の素体端面10eと第2の素体端面10fとが第1の素体主面10aの短辺方向及び第2の素体主面10bの短辺方向に延びている。なお、変形例として、LC複合部品1は、第1の素体側面10c及び第2の素体側面10dが、第1の素体主面10aの短辺方向と第2の素体主面10bの短辺方向とに延びており、第1の素体端面10e及び第2の素体端面10fが第1の素体主面10aの長辺方向と第2の素体主面10bの長辺方向とに延びていてもよく、さらには、第1の素体主面10a及び第2の素体主面10bの形状が正方形であってもよい。
【0034】
一組の外部導体11、12、13は、第1の外部導体群15であり、それぞれ所定間隔を有して第1の素体側面10c側に配置されている。一組の外部導体21、22、23は、第2の外部導体群25であり、それぞれ所定間隔を有して、第2の素体側面10d側に配置されている。外部導体11、12、13と、外部導体21、22、23とは、素体10を挟んで、第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとの表面に少なくとも配置される。つまり、第1の外部導体群15と第2の外部導体群25とは、素体10を挟んで、第1の素体側面10cと第2の素体側面10dが対向する方向に互いに対向する。なお、第1の外部導体群15と第2の外部導体群25とは、それぞれ3以上の外部導体を有していればよい。
【0035】
外部導体11、12、13、21、22、23は、第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとの各々に、端子部11a、12a、13a、21a、22a、23a、11b、12b、13b、21b、22b、23bを有している。端子部11a、12a、13a、21a、22a、23aと、端子部11b、12b、13b、21b、22b、23bとは、素体10を挟んで、第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとの対向方向に互いに対向する。端子部11a、12a、13a、21a、22a、23aと、端子部11b、12b、13b、21b、22b、23bとは、対向する端子部同士が同じ面積を有していることが好ましい。
【0036】
外部導体11、12、13、21、22、23は、端子部11a、12a、13a、21a、22a、23aと、端子部11b、12b、13b、21b、22b、23bとのそれぞれを電気的に接続する外部導体部11c、12c、13c、21d、22d、23dを第1の素体側面10c、第2の素体側面10dに有している。外部導体部11c、12c、13cは第1の素体側面10cの表面に形成されている。また、外部導体部21d、22d、23dは第2の素体側面10dの表面に形成されている。
【0037】
LC複合部品1は、第1の素体主面10aの端子部11a、12a、13a、21a、22a、23aと第2の素体主面10bの端子部11b、12b、13b、21b、22b、23bとの配置が同じであることが好ましい。これにより、LC複合部品1は、第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとのいずれが回路基板に対向しても、LC複合部品1を実装することができる。
【0038】
第1の外部導体群15の外部導体11、12、13と第2の外部導体群25の外部導体21、22、23とは、積層方向から第1の素体主面10aをみた場合において、素体中心Oに対して点対称となるように配置されている。これにより、回路基板平面内の実装方向性をなくすことができる。
【0039】
外部導体11、12、13、21、22、23は、例えば、導電性金属粉末を含む導電性ペーストを素体10の表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層が形成されてもよい。
【0040】
LC複合部品1は、図2に示されるように、第1のインダクタ部30A、コンデンサ部50A、第2のインダクタ部30Bの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。LC複合部品1は、コンデンサ部50Aを中心に第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30Bとが積層方向に対称となっている。これにより、第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30BとのそれぞれがLC複合部品1の第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとに近くなるように配置される。
【0041】
図3及び図4に示すように、LC複合部品1は、第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、絶縁体層17、18、31、32、51、52、51、52、33、34、19が積層されて素体10が形成されている。絶縁体層17、18、19は、コンデンサ部50Aと第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30Bとを覆う外層となる絶縁体である。絶縁体層17、18、19は、チタン酸バリウム(BaTiO)等の誘電体、又はフェライト等の磁性体で形成されることが好ましい。
【0042】
図3及び図4に示す絶縁体層17の厚みと絶縁体層18の厚みとを積層方向に総和した総厚みは、絶縁体層34の厚みと絶縁体層19の厚みとを積層方向に総和した総厚みと同じであっても異なっていてもよいが、両者は同じであることがより好ましい。この構造により、LC複合部品1は、第1の素体主面10a側と第2の素体主面10b側とのいずれが回路基板に対向しても、回路基板から上述した素体主面側導体までの距離がほぼ等しくなる。このため、第1の外部導体群15の外部導体11、12、13と第2の外部導体群25の外部導体21、22、23との抵抗は、第1の素体主面10a側と第2の素体主面10b側とのいずれが回路基板に対向しても、同程度となる。
【0043】
図2に示す第1のインダクタ部30Aは、絶縁体層31、32と、絶縁体層31、32にそれぞれ形成した導電体の引出電極部111、112、212、213と、絶縁体層31に形成した導電体の第1のコイル線路部71と、絶縁体層32に形成した導電体の第2のコイル線路部72とを有している。
【0044】
図2に示す第2のインダクタ部30Bは、絶縁体層33、34と、絶縁体層33、34にそれぞれ形成した導電体の引出電極部321、322、422、423と、絶縁体層33に形成した導電体の第2のコイル線路部73と、絶縁体層34に形成した導電体の第1のコイル線路部74とを有している。引出電極部111、112、212、213、321、322、422、423と、第1のコイル線路部71、74と、第2のコイル線路部72、73とは、例えば、パラジウム、銀/パラジウム合金、ニッケル、銅(Cu)等で形成される。第1のインダクタ部30Aが有する絶縁体層31、32又は第2のインダクタ部30Bが有する絶縁体層33、34は、積層する枚数の制限はない。
【0045】
絶縁体層31、32は、第1の素体主面10a及び第2の素体主面10bに平行な方向に延びており、第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、絶縁体層31、32の順で隣接して積層されている。絶縁体層33、34についても同様である。絶縁体層31、32、33、34は、チタン酸バリウム(BaTiO)等の誘電体材料、又は、フェライト等の磁性体材料で形成されることが好ましい。絶縁体層31、32、33、34をチタン酸バリウム等の誘電体材料とすることで、後述するコンデンサ部50Aの絶縁体層51、52、51、52と同じ材料とすることができるので、焼成時の収縮による応力が抑制される。
【0046】
また、絶縁体層31、32、33、34をフェライト等の磁性体で形成する場合には、第1のコイル線路部71、74及び第2のコイル線路部72、73のインダクタンスを向上させることができる。
【0047】
引出電極部111、112は、第1の素体主面10a側に位置する絶縁体層31の表面に形成されている。引出電極部111、112は、絶縁体層31の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、隣接する外部導体部11c、12cの間隔と同じである。引出電極部111、112は、第1の素体側面10c側に配置され、第1の素体側面10cに引き出されている。
【0048】
第1のコイル線路部71は、絶縁体層31の表面に形成されている。引出電極部111、112は、第1のコイル線路部71の端部であり、第1のコイル線路部71を第1の素体側面10cに引き出すための引き出し配線である。第1のコイル線路部71は、引出電極部111と引出電極部112とを接続する導電体が、絶縁体層31の表面で第1の素体端面10e、第2の素体側面10d、第2の素体端面10f、第1の素体側面10cの順に沿って巻回する1ターンのコイルパターンとなっている。
【0049】
引出電極部212、213は、絶縁体層32の表面に形成されている。引出電極部212、213は、絶縁体層32の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、隣接する外部導体部12c、13cの間隔と同じである。引出電極部212、213は、第1の素体側面10c側に配置され、第1の素体側面10cに引き出されている。
【0050】
第2のコイル線路部72は、絶縁体層32の表面に形成されている。引出電極部212、213は、第2のコイル線路部72の端部であり、第2のコイル線路部72を第1の素体側面10cに引き出すための引き出し配線である。第2のコイル線路部72は、引出電極部212と引出電極部213とを接続する導電体が、絶縁体層32の表面で第1の素体側面10c、第1の素体端面10e、第2の素体側面10d、第2の素体端面10fの順に沿って巻回する1ターンのコイルパターンとなっている。
【0051】
図3に示すように、第1のインダクタ部30Aは、引出電極部112と引出電極部212とが外部導体部12cで接続されている。また、図4に示すように、引出電極部111は、外部導体部11cと電気的に接続している。また、図2に示す引出電極部213は、図1に示す外部導体部13cに電気的に接続している。
【0052】
第1のインダクタ部30Aは、第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とが外部導体部12cを介して接続される。これにより、外部導体部12cは、第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とを連結する外部接続導体とすることができる。LC複合部品1は、第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とが積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルを有する。
【0053】
コイル線路部が、例えばn個存在する場合には、第1の外部導体群15の外部導体は、n+1個となる。ここで、スパイラルコイルとするためには、nは2以上である。LC複合部品1は、n=2である場合に限られず、nが3以上であってもよい。この場合、第1の素体端面10e寄りの外部導体と第2の素体端面10f寄りの外部導体との間にある外部導体がn−1個であり、n−1個の外部導体を外部接続導体とすることができる。積層方向に隣接するコイル線路部同士は、異なる前記外部接続導体で接続される。そして、n個のコイル線路部は、積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルとなる。コイル線路部の積層数を増やすことで、ターン数を増加させることができる。また、スパイラルコイルは、巻回方向は同じであり、巻回方向は時計回りでも反時計回りでもよい。
【0054】
前記外部接続導体の代わりにスルーホールで第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とを接続することも考えられるが、この場合、第1のコイル線路部71又は第2のコイル線路部72の導電パターンがスルーホールを避けて引き回される必要がある。
【0055】
LC複合部品1は、第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とが外部接続導体を介して接続されることで、第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とを含むスパイラルコイルの導電経路の全長を長くすることができる。また、LC複合部品1は、第1のコイル線路部と第2のコイル線路部とがスルーホールを介して接続されるスパイラルコイルの導電経路と比較すると、第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とが外部接続導体を介して接続されるスパイラルコイルの導電経路は長くなる。
【0056】
次に、図2に示す第2のインダクタ部30Bについて説明する。引出電極部321、322は、絶縁体層33の表面に形成されている。引出電極部321、322は、絶縁体層33の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、隣接する外部導体部21d、22dの間隔と同じである。引出電極部321、322は、第2の素体側面10d側に配置され、第2の素体側面10dに引き出されている。
【0057】
第2のコイル線路部73は、絶縁体層33の表面に形成されている。引出電極部321、322は、第2のコイル線路部73の端部であり、第2のコイル線路部73を第2の素体側面10dに引き出すための引き出し配線である。第2のコイル線路部73は、引出電極部321と引出電極部322とを接続する導電体が、絶縁体層33の表面で第1の素体端面10e、第1の素体側面10c、第2の素体端面10f、第2の素体側面10dの順に沿って巻回する1ターンのコイルパターンとなっている。
【0058】
引出電極部422、423は、第2の素体主面10b側に位置する絶縁体層34の表面に形成されている。引出電極部422、423は、絶縁体層34の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、隣接する外部導体部22d、23dの間隔と同じである。引出電極部422、423は、第2の素体側面10d側に配置され、第2の素体側面10dに引き出されている。
【0059】
第1のコイル線路部74は、絶縁体層34の表面に形成されている。引出電極部422、423は、第1のコイル線路部74の端部であり、第1のコイル線路部74を、第2の素体側面10dに引き出すための引き出し配線である。第1のコイル線路部74は、引出電極部422と引出電極部423とを接続する導電体が、絶縁体層34の表面で第2の素体側面10d、第1の素体端面10e、第1の素体側面10c、第2の素体端面10fの順に沿って巻回する1ターンのコイルパターンとなっている。
【0060】
図3に示すように、第2のインダクタ部30Bは、引出電極部322と引出電極部422とが外部導体部22dで接続されている。また、図4に示すように、引出電極部321は、外部導体部21dに電気的に接続している。同様に、図2に示す引出電極部423は、図1に示す外部導体部23dに電気的に接続している。
【0061】
第2のインダクタ部30Bは、第2のコイル線路部73と第1のコイル線路部74とが外部導体部22dを介して接続される。これにより、外部導体部22dは、第1のコイル線路部74と第2のコイル線路部73とを連結する外部接続導体とすることができる。LC複合部品1は、第2のコイル線路部73と第1のコイル線路部74とが積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルを有する。
【0062】
第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74は、積層方向からみて第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71が、素体10の素体中心Oに対して点対称に配置された導体パターンである。また、第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73は、積層方向からみて第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72が、素体10の素体中心Oに対して点対称に配置された導体パターンである。
【0063】
また、絶縁体層31の厚さと絶縁体層34との厚さは同じであり、絶縁体層32の厚さと絶縁体層33との厚さは同じであることが好ましい。このようにすれば、外部導体部12cで接続される引出電極部112、212間の長さと、外部導体部22dで接続される引出電極部322、422間の長さとを同じ大きさとすることができる。その結果、インダクタ部30Aと、インダクタ部30Bとは、同じインダクタンスを有する積層インダクタとなる。
【0064】
なお、第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30Bとのコイル線路部の数は同じであることが好ましい。また、第2のインダクタ部30Bのコイル線路部がn個存在する場合は、上述した第1のインダクタ部30Aのコイル線路部がn個存在する場合と同じとなる。
【0065】
図2に示すコンデンサ部50Aは、絶縁体層51、52の表面に形成され、絶縁体層51の表面に形成されている第1の内部電極C51と、絶縁体層52の表面に形成されている第2の内部電極C52とを含む。第1の内部電極C51は、絶縁体層51の表面に導電体で形成された引出電極部511、513と、同じく絶縁体層51の表面に導電体で形成された第1の主面電極部C511、C513とを有している。第2の内部電極C52は、絶縁体層52の表面に導電体で形成された引出電極部521、523と、同じく絶縁体層52の表面に導電体で形成された第2の主面電極部C521、C523とを有している。
【0066】
第1の内部電極C51の引出電極部511、513は、第1の素体側面10cに引き出されて、図1に示す第1の外部導体群15の外部導体11、13に接続されている。また、第2の内部電極C52の引出電極部521、523は、第2の素体側面10dに引き出されて、図1に示す第2の外部導体群25の外部導体21、23に接続されている。
【0067】
引出電極部511、513、521、523と、第1の主面電極部C511、C513と、第2の主面電極部C521、C523とは、例えば、パラジウム、銀/パラジウム合金、ニッケル、銅(Cu)等で形成される。本実施形態において、コンデンサ部50Aは、第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、絶縁体層51、52、51、52の順に積層されている。コンデンサ部50Aは、第1の内部電極C51と絶縁体層51と第2の内部電極C52と絶縁体層52とがこの順に積層されたコンデンサの一単位(コンデンサ単位)を少なくとも1つ有している。コンデンサ部50Aは、LC複合部品1の仕様において必要な静電容量を確保できる分、前記コンデンサ単位を有していればよく、その数は限定されない。また、コンデンサ部50Aの絶縁体層51、52は、チタン酸バリウム等の誘電体材料を含む誘電体層であることが好ましい。この構造により、静電容量を大きくすることができる。
【0068】
引出電極部511、513は、絶縁体層51の表面に形成されている。引出電極部511、513は、絶縁体層51の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、隣接する外部導体部11c、13cの間隔と同じである。引出電極部511、513は、第1の素体側面10c側に配置されている。これにより、引出電極部511は、外部導体部11cに電気的に接続している。また、引出電極部513は、外部導体部13cに電気的に接続している。
【0069】
引出電極部511、513は、それぞれ第1の主面電極部C511、C513に電気的に接続している。第1の主面電極部C511、C513は、絶縁体層51の表面に形成されている。第1の主面電極部C511、C513は、絶縁体層51の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で引出電極部511、513よりも面積が広く形成されている。
【0070】
引出電極部521、523は、絶縁体層52の表面に形成されている。引出電極部521、523は、絶縁体層52の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、外部導体部21d、23dの間隔と同じである。引出電極部521、523は、第2の素体側面10d側に配置されている。これにより、引出電極部521は、外部導体部21dに電気的に接続している。また、引出電極部523は、外部導体部23dに電気的に接続している。
【0071】
引出電極部521、523は、それぞれ第2の主面電極部C521、C523と電気的に接続している。主面電極部C521、C523は、絶縁体層52の表面に形成されている。主面電極部C521、C523は、絶縁体層52の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で引出電極部511、513よりも面積が広く形成されている。
【0072】
上述したように、コンデンサ部50Aは、第1の主面電極部C511、C513と、第2の主面電極部C521、C523とが、引出電極部511、513と引出電極部521、523とを介して、互いに逆方向の第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとに引き出されている。また、コンデンサ部50Aは、主面電極部C511と、主面電極部C521とが、積層方向に絶縁体を介して対向する。また、主面電極部C511は、主面電極部C523とは対向しない。このため、不要な静電容量が生じない。コンデンサ部50Aは、主面電極部C513と、主面電極部C523とが、積層方向に絶縁体を介して対向する。また、主面電極部C513は、主面電極部C521とは対向しない。このため、不要な静電容量が生じない。
【0073】
これにより、コンデンサ部50Aは、主面電極部C511、C513と、主面電極部C521、C523との間に静電容量が生じる積層コンデンサとなる。
【0074】
図2から図4に示すように、第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30Bとは、素体中心面Mを境に積層方向において上下に分けて配置されている。LC複合部品1は、素体中心Oを基準として、第1の内部電極C51と第2の内部電極C52とが同位置かつ同距離となるように配置される。
【0075】
また、LC複合部品1は、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72と第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0076】
あるいは、LC複合部品1は、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73とが同位置かつ同距離になるように配置されるようにしてもよい。また、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72と第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74とが同位置かつ同距離になるように配置されるようにしてもよい。
【0077】
言い換えると、素体中心面Mにおける第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとの中間位置を通る中線Qに対して、第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71は第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73又は第1コイル線路部74のいずれか一方と線対称である。このため、第1のコイル線路部71は、中線Qを中心に回転させると第1のコイル線路部74又は第2コイル線路部73と重なる導電体のパターンとなる。本実施形態では中線Qに対して、第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71は第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73と線対称である。
【0078】
また、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72は、第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73又は第1コイル線路部74のうち、第1のインダクタ部の第1のコイル線路部30Bと中線Qに対して線対称ではない方と中線Qに対して線対称であり、かつ素体中心面Mの上側と下側とにおいて、第1の内部電極C51と第2の内部電極C52とは中線Qに対して線対称である。
【0079】
さらに、積層方向からみて、素体中心O(素体の中心点)に対して第1の内部電極C51と第2の内部電極C52とが点対称であり、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72と第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73とが点対称に配置される。
【0080】
あるいは、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72と第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74とが点対称に配置されてもよい。
【0081】
このような構造により、LC複合部品1の実装方向性をなくすことができる。このため、基板へ実装の際にLC複合部品の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構造により、実装方向に関わらずLC複合部品1の特性が変化しないので、LC複合部品1を一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0082】
第1のインダクタ部30Aは、第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72が、第1の内部電極C51が引き出されている第1の素体側面10cに引き出され、第1の内部電極C51と積層方向に隣接していることが好ましい。又は、第2のインダクタ部30Bは、第1のコイル線路部74及び第2のコイル線路部73が、第2の内部電極C52が引き出されている第2の素体側面10dに引き出され、第2の内部電極C52と積層方向に隣接していることが好ましい。
【0083】
この構成により、インダクタ部とコンデンサ部とは、同極性で隣接することができる。例えば、コンデンサ部とインダクタ部とが異極性で隣接すると、インダクタ部とコンデンサ部との間に静電容量が発生し、インダクタ部とコンデンサ部とが結合してしまう。このため、ノイズ減衰性能が低下してノイズ成分を十分に除去できないおそれが生じる。上述した構成により、インダクタ部とコンデンサ部とが同極性で隣接するので、ノイズ減衰性を高め、ノイズ成分を除去できる。
【0084】
上述したように、LC複合部品1は、第1のコイル線路部71、74及び第2のコイル線路部72、73が絶縁体層31、33を介して隣接している。これにより、第1のコイル線路部71、74及び第2のコイル線路部72、73に生じる磁束が互いのコイル線路の周囲に発生し、インダクタンスが増加する。また、LC複合部品1は、第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72との間に、第1の内部電極C51又は第2の内部電極C52を挟まないので、インダクタ部30A(30B)とコンデンサ部50Aとは、同極性で隣接することができる。
【0085】
上述したLC複合部品1は、以下の製造方法により製造される。まず、未焼成のチタン酸バリウム(BaTiO)等の誘電体、又はフェライト等の磁性体で、絶縁体層となるグリーンシートが形成される。次に、グリーンシートの表面に、導体粉末等を含む導電性ペーストが所定のパターンで印刷される。この導電性ペーストを乾燥させることにより、絶縁体層31、32、51、52、51、52、33、34の表面に所望の導電パターンを得ることができる。
【0086】
また、未焼成のチタン酸バリウム(BaTiO)等の誘電体材料、フェライト等の磁性体材料、又はその他の絶縁体材料で、絶縁体層17、18、19となるグリーンシートが形成される。第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、絶縁体層17、絶縁体層18、絶縁体層31、絶縁体層32、絶縁体層51、絶縁体層52、絶縁体層51、絶縁体層52、絶縁体層33、絶縁体層34、絶縁体層19は、この順で積層されるように(図2から図4参照)、前記グリーンシートが重ね合わされて、積層体が得られる。
【0087】
素体10の積層体は、複数の素体10が区画されて含まれたシート状で形成される。そして、複数の素体10が含まれたシートは、所定の寸法に切断されて、各素体10に対応する個別の積層体が得られる。
【0088】
その後、得られた素体10の積層体は、脱バインダ、焼成処理が施されて、積層体が得られる。これにより、積層体に含まれる絶縁体層の焼成と、導体パターンの焼結が行われ、素体10が得られる。
【0089】
素体10は、第1の素体側面10c、第2の素体側面10d、第1の素体端面10e及び第2の素体端面10fの所定の箇所に導電性ペーストが塗布された後、例えば、800℃程度で塗布された導電性ペーストが焼き付けられて、端子部11a、12a、13a、21a、22a、23a、11b、12b、13b、21b、22b、23b及び外部導体部11c、12c、13c、21d、22d、23dが形成される。
【0090】
その後、必要に応じて、端子部11a、12a、13a、21a、22a、23a、11b、12b、13b、21b、22b、23b及び外部導体部11c、12c、13c、21d、22d、23dに対して電気めっき(例えば銅とニッケルと錫)を施すと、図1に示されるLC複合部品1が完成する。後述する他の実施形態のLC複合部品等も同様に製造される。
【0091】
図5は、実施形態1に係るLC複合部品の等価回路を示す説明図である。上述したように、外部導体部11cは、引出電極部111、511、511を電気的に接続する導電体である。外部導体部12cは、引出電極部112、212を電気的に接続する導電体である。外部導体部13cは、引出電極部213、513、513を電気的に接続する導電体である。
【0092】
外部導体部21dは、引出電極部521、521、321を電気的に接続する導電体である。外部導体部22dは、引出電極部322、422を電気的に接続する導電体である。外部導体部23dは、引出電極部523、523、423を電気的に接続する導電体である。このため、外部導体11、12、13、21、22、23が、インダクタ部30A、インダクタ部30B、コンデンサ部50Aを接続し、図5に示す等価回路がLC複合部品1内に形成される。
【0093】
図5に示す等価回路は、外部導体11、12、13、21、22、23と、インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1と、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2と、コンデンサC1と、コンデンサC2と、インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aと、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aとを有している。
【0094】
インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1とは、上述した第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71で形成される。等価回路において、インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1とは、外部導体11、12間に直列接続されている。また、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2は、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72で形成される。等価回路において、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2とは、外部導体12、13間に直列接続されている。
【0095】
コンデンサC1は、上述したコンデンサ部50Aの主面電極部C511、C521で形成される。コンデンサC1は、外部導体11、21間に接続されている。また、コンデンサC2は、コンデンサ部50Aの主面電極部C513、C523で形成される。コンデンサC2は、外部導体13、23間に接続されている。
【0096】
インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aとは、上述した第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73で形成される。等価回路において、インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aとは、外部導体21、22間に直列接続されている。また、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aとは、第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74で形成される。等価回路において、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aとは、外部導体22、23間に直列に接続されている。
【0097】
図6は、実施形態1に係るLC複合部品と信号線路との接続の一例を示す説明図である。LC複合部品1は、回路基板に第2の素体主面10bが対向する状態において、LC複合部品1と信号線路101、102とが接続される例を示している。第1のインダクタ部30Aが有する第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とを接続する外部導体12以外の少なくとも2つの外部導体11、13が、それぞれ回路基板の信号線路101、102と電気的に接続される。また、コンデンサ部の第2の内部電極C52に接続される少なくとも2つの外部導体21、23が、回路基板のGND線路Gと電気的に接続される。
【0098】
図6に示すように、例えば、外部導体11と外部導体13とが、信号線路101と信号線路102とにそれぞれ接続される。このため、外部導体11は、信号が入力される信号入力の端子電極(信号入力端子電極)となる。また、外部導体13は、信号が出力される信号出力の端子電極(信号出力端子電極)となる。少なくとも外部導体21と外部導体23とは、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体21、23は、GNDの端子電極(GND端子電極)となる。外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体(連結導体)となっている。
【0099】
外部導体12は、インダクタ部30Aの第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72を接続するが、回路基板と接続されていない。なお、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。これにより、図5に示す等価回路においてインダクタL1A、L2Aが作用せず、LC複合部品1はいわゆるπ型ノイズフィルタ(π型回路)として作用する。
【0100】
第2の実装構造として、LC複合部品1は、回路基板に第2の素体主面10bが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体23が信号線路101と接続され、外部導体21が信号線路102と接続されてもよい。この場合、外部導体23は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体21は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0101】
第2の実装構造において、少なくとも外部導体11と外部導体13とは、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体11、13は、GND端子電極となる。なお、外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。これにより、図5に示す等価回路においてインダクタL1、L2が作用せず、LC複合部品1はいわゆるπ型ノイズフィルタとして作用する。
【0102】
第3の実装構造として、LC複合部品1は、回路基板に第1の素体主面10aが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体13が信号線路101と接続され、外部導体11が信号線路102とに接続されてもよい。この場合、外部導体13は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体11は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0103】
第3の実装構造において、少なくとも外部導体21と外部導体23とは、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体21、23は、GND端子電極となる。なお、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。これにより、図5に示す等価回路においてインダクタL1A、L2Aが作用せず、LC複合部品1はいわゆるπ型ノイズフィルタとして作用する。
【0104】
第4の実装構造として、LC複合部品1は、回路基板に第1の素体主面10aが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体21が信号線路101と接続され、外部導体23が信号線路102とに接続されてもよい。この場合、外部導体21は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体23は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0105】
第4の実装構造において、少なくとも外部導体11と外部導体13とは、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体11、13は、GND端子電極となる。なお、外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。これにより、図5に示す等価回路においてインダクタL1、L2が作用せず、LC複合部品1はいわゆるπ型ノイズフィルタとして作用する。
【0106】
以上説明したように、LC複合部品1は、回路基板に対して、第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとのいずれが対向しても信号線路101、102に対して等価なπ型ノイズフィルタとして作用できる。また、LC複合部品1は、積層方向からみて、素体中心Oを中心に回路基板平面内で180度回転しても信号線路101、102に対して等価なπ型ノイズフィルタとして作用できる。このため、回路基板へ実装する際に、LC複合部品1の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品1の特性が変化しないので、LC複合部品1を一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0107】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図7は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。本実施形態に係るLC複合部品2は、後述する第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78が、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cに隣接する第1の内部電極D53の第1の主面電極部D511、D513と、第2のインダクタ部30Dに隣接する第2の内部電極D54の第2の主面電極部D521、D523との少なくとも一方の周囲を巻回する。次の説明においては、実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0108】
LC複合部品2は、コンデンサ部50Bと、第1のインダクタ部30Cと、第2のインダクタ部30Dとを含む。LC複合部品2は、図7に示されるように、第1のインダクタ部30C、コンデンサ部50B、第2のインダクタ部30Dの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。LC複合部品2は、コンデンサ部50Bを中心に第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとが積層方向に対称となっている。これにより、第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30DとがLC複合部品2の第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとに近くなるように配置される。
【0109】
例えば、素体中心Oを基準として、コンデンサ部50Bの、後述する第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Cの、後述する第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0110】
第1のインダクタ部30Cは、絶縁体層36、37と、絶縁体層36に形成された導電体の引出電極部611、612と、絶縁体層37に形成された導電体の、712、713と、絶縁体層36に形成された導電体の第1のコイル線路部76と、絶縁体層37に形成された第2のコイル線路部77とを有している。
【0111】
第2のインダクタ部30Dは、絶縁体層38、39と、絶縁体層38に形成された導電体の引出電極部821、822と、絶縁体層39に形成された導電体の引出電極部922、923と、絶縁体層33に形成された導電体の第2のコイル線路部78と、絶縁体層39に形成された第1のコイル線路部79とを有している。
【0112】
絶縁体層36、37、38、39のいずれかの表面に形成される引出電極部611、612、712、713、821、822、922、923と、第1のコイル線路部76、79、第2のコイル線路部77、78との関係は、実施形態1で説明した引出電極部111、112、212、213、321、322、422、423と、コイル線路部71、74、第2のコイル線路部72、73との関係(図2参照)と同じである。
【0113】
第1のインダクタ部30Cは、第1のコイル線路部76と第2のコイル線路部77とが、図1に示す外部導体12に接続される。これによって、第1のコイル線路部76及び第2のコイル線路部77は、積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルとなる。
【0114】
また、第2のインダクタ部30Dは、第1のコイル線路部79と第2のコイル線路部78とが、図1に示す外部導体22に接続される。これによって、第1のコイル線路部79及び第2のコイル線路部78は、積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルとなる。
【0115】
コンデンサ部50Bは、絶縁体層53の表面に形成される第1の内部電極D53と、絶縁体層54の表面に形成される第2の内部電極D54とを含む。第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とは、かつ積層方向に対向する。第1の内部電極D53は、絶縁体層53の表面に形成された導電体の引出電極部511、513と、同じく絶縁体層53の表面に形成された導電体の第1の主面電極部D511、D513とを有している。第2の内部電極C52は、絶縁体層54の表面に形成された導電体の引出電極部521、523と、同じく絶縁体層54の表面に形成された導電体の第2の主面電極部D521、D523とを有している。
【0116】
第1の内部電極D53の引出電極部511、513は、第1の素体側面10cに引き出されて、図1に示す第1の外部導体群15の外部導体11、13に接続されている。また、第2の内部電極D54の引出電極部521、523は、第2の素体側面10dに引き出されて、図1に示す第2の外部導体群25の外部導体21、23に接続されている。
【0117】
第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとは、素体中心Oを境に積層方向において上下に分けて配置されている。また、素体中心Oを基準として、第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが同位置かつ同距離となるように配置される。
【0118】
また、LC複合部品2は、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、LC複合部品2は、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0119】
さらに、LC複合部品2は、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが点対称である。また、LC複合部品2は、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが点対称に配置されることが好ましい。
【0120】
このような構造により、LC複合部品2の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品2を基板へ実装する際に、LC複合部品2の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向によりLC複合部品2の特性が変わらず、一定の特性のLCフィルタとなることができる。
【0121】
上述した第1のインダクタ部30C、第2のインダクタ部30Dが有する第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78は、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cに隣接する第1の内部電極D53の第1の主面電極部D511、D513と、第2のインダクタ部30Dに隣接する第2の内部電極D54の第2の主面電極部D521、D523との少なくとも一方の周囲を巻回する。
【0122】
これにより、第1のインダクタ部30C、第2のインダクタ部30Dが有する第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78は、コンデンサ部50Bの主面電極部D511、D513、D521、D523と積層方向に対向する領域を避けて、絶縁体層36、37、38、39の表面で巻回する。
【0123】
また、主面電極部D511、D513、D521、D523と積層方向に対向する、絶縁体層36、37、38、39の領域は、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78が通らない領域とする。その結果、主面電極部D511、D513、D521、D523と、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78との積層方向での重なり合いが低減する。これにより、主面電極部D511、D513、D521、D523と、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78との間での静電容量が低減できる。
【0124】
例えば、コンデンサ部の主面電極部とインダクタ部のコイル線路部とが積層方向で重なり合うと、コンデンサ部の主面電極部とインダクタ部のコイル線路部との間に静電容量が発生し、コンデンサ部とインダクタ部とが結合してしまう。この状態で、LC複合部品に高周波のノイズ成分が入力されると、高周波のノイズ成分に対しては、コンデンサ部とインダクタ部とがあたかも1つの導電体としてしか見なせなくなり、高周波のノイズ成分が減衰されないまま信号がLC複合部品を通過してしまう現象が発生することがある。
【0125】
例えば、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78は、一般的に、主面電極部D511、D513、D521、D523よりも細幅となる。上述したようにコンデンサ部とBとインダクタ部30C又は第2のインダクタ部30Dとが結合する場合、ノイズ成分が細幅の旋回した第1のコイル線路部76、79又は第2のコイル線路部77、78に十分に流れず、電極幅の大きい主面電極部D511、D513、D521、D523を経由するため、インダクタ部30C又は第2のインダクタ部30Dで十分にノイズ除去できない現象が発生することがある。
【0126】
例えば、コイル線路部をミアンダの導体パターンとして形成した場合、導体パターンは蛇行するので、コンデンサ部の主面電極部と、インダクタ部のコイル線路部とは、積層方向で重なり合うおそれがある。
【0127】
これに対して、LC複合部品2は、第1のインダクタ部30C及び第2のインダクタ部30Dがスパイラルコイルとなっているので、主面電極部D511、D513、D521、D523を避けるように、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78を配置しやすい。このため、LC複合部品2は、主面電極部D511、D513、D521、D523と、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78との間における静電容量が低減される。その結果、LC複合部品2は、高周波のノイズ成分を減衰することができる。
【0128】
LC複合部品2は、主面電極部D511、D513、D521、D523が素体10の長辺方向に長く形成されている。これにより、積層方向からみた場合において、コイル線路部76、77、78、79と、主面電極部D511、D513、D521、D523との重なり合いを回避しやすくなる。
【0129】
(第1変形例)
図8は、実施形態2の第1変形例に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図9は、実施形態2の第1変形例に係るLC複合部品の素体の断面図である。図8は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。図9は、図1のA−A断面を示している。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本変形例に係るLC複合部品2Aは、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76の位置を、LC複合部品2における第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79の位置と置き換えている。
【0130】
第1のインダクタ部30Cは、第1のコイル線路部76と第2のコイル線路部77とが、図1に示す外部導体12に接続される。これによって、第1のコイル線路部76及び第2のコイル線路部77は、積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルとなる。
【0131】
また、第2のインダクタ部30Dは、第1のコイル線路部79と第2のコイル線路部78とが、図1に示す外部導体22に接続される。これによって、第1のコイル線路部79及び第2のコイル線路部78は、積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルとなる。
【0132】
第1のインダクタ部30C及び第2のインダクタ部30Dは、コンデンサ部50Aを介して積層方向の上下に分割されている。コンデンサ部50Aを介する分だけ、第1のコイル線路部76(79)と第2のコイル線路部77(78)とを接続する外部導体12(22)の長さは、図7に示すLC複合部品2よりも長くなる。このため、図9に示すLC複合部品2Aは、上述したLC複合部品2よりも第1のコイル線路部76と第2のコイル線路部77とを接続する外部導体12の距離が長くなる。また、同様に、第1のコイル線路部79と第2のコイル線路部78とを接続する外部導体22の距離が長くなる。これにより、図1に示す外部導体部12c、22dでの抵抗が増加するので、インダクタ内部抵抗R1、R2、R1A、R2A(図5参照)を増加させることができる。その結果、LC複合部品2Aは、インピーダンスを高くすることができる。
【0133】
(第2変形例)
図10は、実施形態2の第2変形例に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図11は、実施形態2の第2変形例に係るLC複合部品の素体の断面図である。図10は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。図11は、図1のB−B断面を示している。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本変形例に係るLC複合部品2Bは、素体中心Oを基準として、第1の内部電極D53同士と第2の内部電極D54同士とが同位置かつ同距離になるように配置されている。
【0134】
LC複合部品2Bは、図7に示すLC複合部品2と同様に、第1のインダクタ部30Cと、第2のインダクタ部30Dとを含む。LC複合部品2Bは、図10に示されるように、第1のインダクタ部30C、コンデンサ部50BB、第2のインダクタ部30Dの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。LC複合部品2Bは、コンデンサ部50BBを中心に第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとが積層方向に対称となっている。これにより、第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30DとがLC複合部品2Bの第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとに近くなるように配置される。
【0135】
上述したように、LC複合部品2Bは、第1のインダクタ部30C及び第2のインダクタ部30Dは、図10、図11に示す積層方向の素体中心面Mを境に上下に分けて配置される。また、素体中心Oを基準として、第1の内部電極D53同士と第2の内部電極D54同士とが同位置かつ同距離となるように配置される。
【0136】
また、LC複合部品2Bは、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0137】
言い換えると、素体中心面Mにおける第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとの中間位置を通る中線Qに対して、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76は第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78のいずれか一方と線対称である。このため、第1のコイル線路部76は、中線Qを中心に回転させると積層方向からみて、第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78の導電体のパターンと重なる導電体のパターンとすることができる。本実施形態では中線Qに対して、第1のコイル線路部76は、第2のコイル線路部78と線対称である。
【0138】
また、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77は、第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78のうち、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部77と中線Qに対して線対称ではない方と中線Qに対して線対称である。第2のコイル線路部77は、中線Qを中心に回転させると第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78と重なる導電体のパターンとなる。
【0139】
また、上述したLC複合部品2(図7参照)のコンデンサ部50Bは、素体中心面Mの上側と下側とにおいて、第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とは中線Qに対して線対称である。これに対して第2変形例のLC複合部品2Bのコンデンサ部50BBは、素体中心面Mの上側と下側とにおいて、第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とは素体中心面Mに対して面対称である。
【0140】
LC複合部品2Bは、積層方向からみて、素体中心O(素体の中心点)に対して第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが点対称である。また、LC複合部品2Bは、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが点対称に配置される。また、LC複合部品2Bは、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが点対称に配置される。
【0141】
あるいは、LC複合部品2Bは、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが点対称に配置されてもよい。
【0142】
このような構造により、LC複合部品の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品2Bを基板へ実装する際には、LC複合部品2Bの実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品2Bの特性が変化しないので、LC複合部品2Bを一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0143】
(第3変形例)
図12は、実施形態2の第3変形例に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図13は、実施形態2の第3変形例に係るLC複合部品の素体の断面図である。図12は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。図13は、図1のB−B断面を示している。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本変形例に係るLC複合部品2Cは、素体中心Oを基準として、第1の内部電極D53同士が同位置かつ同距離になるように配置されている。
【0144】
LC複合部品2Cは、図7に示すLC複合部品2と同様に、第1のインダクタ部30Cと、第2のインダクタ部30Dとを含む。LC複合部品2Cは、図12に示されるように、第1のインダクタ部30C、コンデンサ部50BC、第2のインダクタ部30Dの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。LC複合部品2Cは、コンデンサ部50BCを中心に第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとが積層方向に対称となっている。これにより、第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30DとがLC複合部品2Cの第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとに近くなるように配置される。
【0145】
上述したように、LC複合部品2Cは、第1のインダクタ部30C及び第2のインダクタ部30Dは、図12、図13に示す積層方向の素体中心面Mを境に上下に分けて配置される。また、素体中心Oを含む素体中心面Mは、第2の内部電極D54内にある。第1の内部電極D53同士は、素体中心Oを基準として、同位置かつ同距離となるように配置される。
【0146】
コンデンサ部50BCは、さらに第2の内部電極D54を有し、第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、第2の内部電極D54、第1の内部電極D53、第2の内部電極D54、第1の内部電極D53、第2の内部電極D54の順に配置し積層してもよい。この構造により、コンデンサ部50BCは、第1の素体主面10a寄りの第2の内部電極D54が第1の素体主面10a寄りの第1の内部電極D53と対向し、第2の素体主面10b寄りの第2の内部電極D54が第2の素体主面10b寄りの第1の内部電極D53と対向する。この場合、素体中心Oを基準として、素体中心面Mを含む第2の内部電極D54を除き、第2の内部電極D54同士も同位置かつ同距離となるように配置される。
【0147】
他の変形例として、素体中心Oを含む素体中心面Mは、第1の内部電極D53内にあり、素体中心Oを基準として、第2の内部電極D54同士が同位置かつ同距離となるように配置されてもよい。この場合、コンデンサ部は、さらに第1の内部電極D53を有し、第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、第1の内部電極D53、第2の内部電極D54、第1の内部電極D53、第2の内部電極D54、第1の内部電極D53の順に配置し積層してもよい。この構造により、コンデンサ部は、第1の素体主面10a寄りの第1の内部電極D53が第1の素体主面10a寄りの第2の内部電極D54と対向し、第2の素体主面10b寄りの第1の内部電極D53が第2の素体主面10b寄りの第2の内部電極D54と対向する。また、素体中心Oを基準として、素体中心面Mを含む第1の内部電極D53を除き、第1の内部電極D53同士も同位置かつ同距離となるように配置される。
【0148】
また、LC複合部品2Cは、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0149】
言い換えると、素体中心面Mにおける第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとの中間位置を通る中線Qに対して、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76は第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78のいずれか一方と線対称である。このため、第1のコイル線路部76は、中線Qを中心に回転させると積層方向からみて、第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78の導電体のパターンと重なる導電体のパターンとすることができる。本実施形態では中線Qに対して、第1のコイル線路部76は、第2のコイル線路部78と線対称である。
【0150】
また、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77は、第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78のうち、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部77と中線Qに対して線対称ではない方と中線Qに対して線対称である。第2のコイル線路部77は、中線Qを中心に回転させると第1のコイル線路部79又は第2コイル線路部78と重なる導電体のパターンとなる。
【0151】
また、第3変形例のLC複合部品2Cのコンデンサ部50BCは、素体中心面Mの上側と下側とにおいて、第1の内部電極D53又は第2の内部電極D54の少なくとも1つは素体中心面Mに対して面対称である。
【0152】
LC複合部品2Cは、積層方向からみて、素体中心O(素体の中心点)に対して第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが点対称である。また、LC複合部品2Cは、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが点対称に配置される。また、LC複合部品2Cは、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが点対称に配置される。
【0153】
あるいは、LC複合部品2Cは、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが点対称に配置されてもよい。
【0154】
このような構造により、LC複合部品の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品2Cを基板へ実装する際には、LC複合部品2Cの実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品2Cの特性が変化しないので、LC複合部品2Cを一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0155】
(実施形態3)
図14は、実施形態3に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図14は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。本実施形態に係るLC複合部品3は、コンデンサ部50Cと、第1のインダクタ部30Aと、第2のインダクタ部30Bとを含む。LC複合部品3は、LC複合部品1の第1のコイル線路部71、74及び第2のコイル線路部72、73を接続する外部導体12、22に、第1の内部電極C55又は第2の内部電極C56を接続している。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0156】
LC複合部品3は、図14に示されるように、第1のインダクタ部30A、コンデンサ部50C、第2のインダクタ部30Bの順に積層され、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。LC複合部品3は、コンデンサ部50Cを中心に第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30Bとが積層方向に対称となっている。これにより、第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30BとがLC複合部品3の第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとに近くなるように配置される。
【0157】
例えば、素体中心Oを基準として、コンデンサ部50Cの、後述する第1の内部電極C55と第2の内部電極C56とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72と第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0158】
図14に示すコンデンサ部50Cは、絶縁体層55、56の表面に形成され、絶縁体層55の表面に形成されている第1の内部電極C55と、絶縁体層56の表面に形成されている第2の内部電極C56とを含む。第1の内部電極C55は、絶縁体層55の表面に導電体で形成された引出電極部511、512、513と、同じく絶縁体層55の表面に導電体で形成された第1の主面電極部C511、C512、C513とを有している。第2の内部電極C56は、絶縁体層56の表面に導電体で形成した引出電極部521、522、523と、同じく絶縁体層56の表面に導電体で形成した第2の主面電極部C521、C522、C523とを有している。
【0159】
第1の内部電極C55の引出電極部511、512、513は、第1の素体側面10cに引き出されて、図1に示す第1の外部導体群15の外部導体11、12、13に接続されている。また、第2の内部電極C56の引出電極部521、522、523は、第2の素体側面10dに引き出されて、図1に示す第2の外部導体群25の外部導体21、22、23に接続されている。
【0160】
引出電極部512、522と、主面電極部C512、C522とは、引出電極部511、513、521、523と、主面電極部C511、C513、C521、C523と同じ材料で形成される。本実施形態において、コンデンサ部50Cは、第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、絶縁体層55、56、55、56の順に積層されている。コンデンサ部50Cは、第1の内部電極C55と絶縁層55と第2の内部電極C56と絶縁体層56とがこの順に積層されたコンデンサの一単位(コンデンサ単位)を少なくとも1つ有している。コンデンサ部50Cは、LC複合部品3の仕様において必要な静電容量を確保できる分、前記コンデンサ単位を有していればよく、その数は限定されない。
【0161】
引出電極部512は、絶縁体層55の表面に形成されている。引出電極部512は、絶縁体層55の表面において、引出電極部511、513と互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、隣接する外部導体部11c、12c、13cの間隔と同じである。引出電極部511、512、513は、第1の素体側面10c側に配置されている。これにより、引出電極部512は、外部導体部12cに電気的に接続している。
【0162】
引出電極部512は、主面電極部C512に電気的に接続している。主面電極部C512は、絶縁体層55の表面に形成されている。主面電極部C511、C512、C513は、絶縁体層55の表面において、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で引出電極部511、512、513よりも面積が広く形成されている。
【0163】
引出電極部522は、絶縁体層56の表面に形成されている。引出電極部522は、絶縁体層56の表面において引出電極部521、523と互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で配置されている。この間隔は、隣接する外部導体部21d、22d、23dの間隔と同じである。引出電極部521、522、523は、第2の素体側面10d側に配置されている。これにより、引出電極部522は、外部導体部22dに電気的に接続している。
【0164】
引出電極部522は、主面電極部C522に電気的に接続している。主面電極部C522は、絶縁体層56の表面に形成されている。主面電極部C521、C522、C523は、絶縁体層56の表面において互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で引出電極部521、522、523よりも面積が広く形成されている。
【0165】
第1の内部電極C55の主面電極部C511、C512、C513と、第2の内部電極C56の主面電極部C521、C522、C523とが、引出電極部511、512、513と引出電極部521、522、523とを介して、互いに逆方向の第1の素体側面10cと第2の素体側面10dとに引き出されている。
【0166】
また、コンデンサ部50Cは、主面電極部C511、C512、C513と、主面電極部C521、C522、C523とが、積層方向に絶縁体を介して対向する。これにより、コンデンサ部50Cは、主面電極部C511、C512、C513と、主面電極部C521、C522、C523との間に静電容量が生じる積層コンデンサとなる。
【0167】
第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72を接続する外部導体12以外の少なくとも2つの外部導体11、13には、コンデンサ部50の第1の内部電極C55がそれぞれ接続される。また、第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74及び第2のコイル線路部73を接続する外部導体22以外の少なくとも2つの外部導体21、23にはコンデンサ部50Cの第2の内部電極C56がそれぞれ接続される。
【0168】
さらに、LC複合部品3は、外部導体12にコンデンサ部50の第1の内部電極C55が接続され、第2のインダクタ部30Bが有する第1のコイル線路部74と第2のコイル線路部73とを接続する外部導体22にはコンデンサ部50Cの第2の内部電極C56が接続される。このような構造により、外部導体11、12、13、21、22、23が、インダクタ部30Aと、インダクタ部30Bと、コンデンサ部50Cとを接続する。
【0169】
図15は、実施形態3に係るLC複合部品の等価回路を示す説明図である。図15に示す等価回路は、外部導体11、12、13、21、22、23と、インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1と、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2と、コンデンサC1と、コンデンサC2と、コンデンサC3と、インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aと、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aとを有している。
【0170】
インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1とは、上述した第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71で形成される。等価回路において、インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1とは、外部導体11、12間に直列接続されている。また、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2とは、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72で形成される。等価回路において、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2とは、外部導体12、13間に直列接続されている。
【0171】
コンデンサC1は、上述したコンデンサ部50Cの主面電極部C511、C521で形成される。コンデンサC1は、外部導体11、21間に接続されている。また、コンデンサC2は、コンデンサ部50Cの主面電極部C513、C523で形成される。コンデンサC2は、外部導体13、23間に接続されている。また、コンデンサC3は、コンデンサ部50Cの主面電極部C512、C522で形成される。コンデンサC3は、外部導体12、22間に接続されている。
【0172】
インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aとは、上述した第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73で形成される。等価回路において、インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aとは、外部導体21、22間に直列接続されている。また、インダクタL2Aとインダクタ内部抵抗R2Aとは、第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74で形成される。等価回路において、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aとは、外部導体22、23間に直列接続されている。
【0173】
図16は、実施形態3に係るLC複合部品と信号線路との接続の一例を示す説明図である。LC複合部品3は、回路基板に第2の素体主面10bが対向する状態において、LC複合部品3と信号線路101、102との接続の一例を示している。第1のインダクタ部30Aが有する第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とを接続する外部導体12以外の少なくとも2つの外部導体11、13が、それぞれ回路基板の信号線路101、102と電気的に接続される。また、コンデンサ部の第2の内部電極C56に接続される外部導体21、22、23が、回路基板のGND線路Gと電気的に接続される。
【0174】
図16に示すように、例えば、外部導体11と外部導体13とが、信号線路101と信号線路102とにそれぞれ接続される。このため、外部導体11は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体13は、信号が出力される信号出力端子電極となる。外部導体21、22、23は、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体21、22、23は、GND端子電極となる。外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。外部導体12は、インダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のコイル線路部72とを接続するが、回路基板と接続されていない。
【0175】
このような接続構造により、図15に示す等価回路においてインダクタL1A、L2Aが作用せず、LC複合部品3は、ノイズフィルタとして作用する。さらに、LC複合部品3は、コンデンサC3が外部導体12、22間に接続されている。このため、図6に示すLC複合部品1に比べて、入力される信号に含まれるノイズ成分のカットオフ周波数の特性をより急峻とすることができる。その結果、LC複合部品3は、カットしたいノイズ帯域でのカットオフ周波数がより正確なLCフィルタとして作用する。
【0176】
第2の実装構造として、LC複合部品3は、回路基板に第2の素体主面10bが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体23が信号線路101と接続され、外部導体21が信号線路102と接続されてもよい。この場合、外部導体23は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体21は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0177】
第2の実装構造において、外部導体11、12、13は、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体11、12、13は、GND端子電極となる。これにより、図15に示す等価回路においてインダクタL1、L2が作用せず、LC複合部品3は、ノイズフィルタとして作用する。
【0178】
第3の実装構造として、LC複合部品3は、回路基板に第1の素体主面10aが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体13が信号線路101と接続され、外部導体11が信号線路102と接続されてもよい。この場合、外部導体13は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体11は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0179】
第3の実装構造において、外部導体21、22、23は、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体21、22、23は、GND端子電極となる。これにより、図15に示す等価回路においてインダクタL1A、L2Aが作用せず、LC複合部品3は、ノイズフィルタとして作用する。
【0180】
第4の実装構造として、LC複合部品3は、回路基板に第1の素体主面10aが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体21が信号線路101と接続され、外部導体23が信号線路102と接続されてもよい。この場合、外部導体21は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体23は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0181】
第4の実装構造において、外部導体11、12、13は、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体11、12、13は、GND端子電極となる。これにより、図15に示す等価回路においてインダクタL1、L2が作用せず、LC複合部品3は、ノイズフィルタとして作用する。
【0182】
以上説明したように、LC複合部品3は、回路基板に対して、第1の素体主面10aと第2の素体主面10bとのいずれが対向しても信号線路101、102に対して等価なπ型ノイズフィルタとして作用できる。また、LC複合部品3は、積層方向からみて、素体中心Oを中心に回路基板平面内で180度回転しても信号線路101、102に対して等価なπ型ノイズフィルタとして作用できる。このため、回路基板へ実装する際に、LC複合部品3の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品3の特性が変化しないので、LC複合部品3を一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0183】
(実施形態4)
図17は、実施形態4に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図17は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本実施形態に係るLC複合部品4は、第1のコンデンサ部50Baと第2のコンデンサ部50Bbとが、それぞれLC複合部品4の第1の素体主面10a側と第2の素体主面10b側とに配置される。
【0184】
LC複合部品4は、第1のコンデンサ部50Baと、第2のコンデンサ部50Bbと、第1のインダクタ部30Cと、第2のインダクタ部30Dとを含む。第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとは、連続して積層され一体となりインダクタ部30CDとなる。そして、第1のコンデンサ部50Ba、インダクタ部30CD、第2のコンデンサ部50Bbの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。LC複合部品4は、インダクタ部30CDを中心に第1のコンデンサ部50Baと第2のコンデンサ部50Bbとが積層方向に対称となっている。
【0185】
第1のコンデンサ部50Ba及び第2のコンデンサ部50Bbは、絶縁体層54、53の表面に形成され、かつ積層方向に対向する第1の内部電極D53と、第2の内部電極D54とを含む。第1のコンデンサ部50Ba及び第2のコンデンサ部50Bbは、同じ静電容量を有する積層コンデンサである。
【0186】
第1の内部電極D53の引出電極部511、513は、第1の素体側面10cに引き出されて、図1に示す第1の外部導体群15の外部導体11、13に接続されている。また、第2の内部電極D54の引出電極部521、523は、第2の素体側面10dに引き出されて、図1に示す第2の外部導体群25の外部導体21、23に接続されている。
【0187】
LC複合部品を回路基板に実装した場合、コンデンサ部は、微小なインダクタンス成分であるESL(Equivalent Series Inductance(L):等価直列インダクタンス)を回路基板との間に生じることがある。
【0188】
LC複合部品4は、回路基板に実装される際、第1のコンデンサ部50Ba又は第2のコンデンサ部50Bbのどちらかが回路基板側となるように接続される。このため、LC複合部品4は、上述した実施形態2のLC複合部品2と比較して、回路基板から第1の内部電極D53又は第2の内部電極D54までの距離が短くなる。その結果、LC複合部品4は、第1のコンデンサ部50Ba又は第2のコンデンサ部50Bbが回路基板との間に生じるESLを低減することができる。
【0189】
上述したように、LC複合部品4は、第1のコンデンサ部50Ba、インダクタ部30CD、第2のコンデンサ部50Bbの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。第1のコンデンサ部50Baと第2のコンデンサ部50Bbとは、インダクタ部30CDを中心に積層方向に対称となっている。これにより、第1のコンデンサ部50Baと、第2のコンデンサ部50Bbとが、LC複合部品4の第1の素体主面10a側と第2の素体主面10b側とに配置される。
【0190】
上述した構造により、LC複合部品4は、第1のコンデンサ部50Ba又は第2のコンデンサ部50Bbが含む第1の内部電極D53又は第2の内部電極D54が回路基板に最も近い位置となり、ESLを低減することができる。
【0191】
また、第1のコイル線路部76(79)と第2のコイル線路部77(78)とが、実装されない外部接続導体で接続され、導電経路が長くなる。その結果、スパイラルコイルの導電経路が長くなりインダクタンス成分を大きくできる。
【0192】
第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとは、素体中心Oを境に積層方向において上下に分けて配置されている。また、素体中心Oを基準として、第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが同位置かつ同距離となるように配置される。
【0193】
また、LC複合部品4は、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、LC複合部品4は、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0194】
さらに、LC複合部品4は、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが点対称である。また、LC複合部品4は、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが点対称に配置されることが好ましい。
【0195】
このような構造により、LC複合部品4の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品4を回路基板へ実装する際にLC複合部品4の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品4の特性が変化しないため、LC複合部品4を一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0196】
上述した第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとが有する第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78は、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cに隣接する第1の内部電極D53の第1の主面電極部D511、D513と、第2のインダクタ部30Dに隣接する第2の内部電極D54の第2の主面電極部D521、D523との少なくとも一方の周囲を巻回する。
【0197】
第1のインダクタ部30C、第2のインダクタ部30Dが有する第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78は、第1のコンデンサ部50Ba又は第2のコンデンサ部50Bbの主面電極部D511、D513、D521、D523の有する面積と積層方向に対向する領域を避けて、絶縁体層36、37、38、39の表面で巻回する。
【0198】
また、主面電極部D511、D513、D521、D523と積層方向において対向する絶縁体層36、37、38、39の領域は、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78が通らない領域とする。このようにすると、主面電極部D511、D513、D521、D523と、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78との積層方向での重なり合いが低減する。その結果、主面電極部D511、D513、D521、D523と、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78との間での静電容量が低減できる。また、LC複合部品4は、ノイズフィルタとしての特性が改善される。
【0199】
上述した構造により、コンデンサ部の主面電極部と、インダクタ部のコイル線路部とが積層方向で重ならないようになる。このため、コンデンサ部の主面電極部とインダクタ部のコイル線路部との間には、静電容量が低減される。その結果、LC複合部品は、高周波のノイズ成分を減衰することができる。
【0200】
(実施形態5)
図18は、実施形態5に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図18は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。図19は、実施形態5に係るLC複合部品の等価回路を示す説明図である。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本実施形態に係るLC複合部品5は、図19に示す等価回路となり、いわゆるT型ノイズフィルタとして作用する。
【0201】
LC複合部品5は、コンデンサ部50Dと、第1のインダクタ部30A、第2のインダクタ部30Bとを含む。そして、LC複合部品5は、図18に示されるように、第1のインダクタ部30A、コンデンサ部50D、第2のインダクタ部30Bの順にインダクタ部とコンデンサ部とが交互に積層されている。LC複合部品5は、コンデンサ部50Dを中心に第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30Bとが積層方向に対称となっている。これにより、第1のインダクタ部30Aと、第2のインダクタ部30BとがLC複合部品5の第1の素体主面10a側と第2の素体主面10bがわとに配置される。
【0202】
図18に示すコンデンサ部50Dは、絶縁体層57の表面に形成される第1の内部電極E57と絶縁体層58の表面に形成される第2の内部電極E58とを含む。第1の内部電極E57は、絶縁体層57の表面に導電体で形成される引出電極部512と、絶縁体層57の表面に導電体で形成される第1の主面電極部E512とを有している。第2の内部電極E58は、絶縁体層58の表面に導電体で形成される引出電極部512と、絶縁体層58の表面に導電体で形成される第2の主面電極部E522とを有している。
【0203】
主面電極部E512、E522は、上述した主面電極部C511、C513、C521、C523と同じ材料で形成される。本実施形態において、コンデンサ部50Dは、第1の素体主面10aから第2の素体主面10bに向かって、絶縁体層57、58、57、58の順に積層されている。コンデンサ部50Dは、第1の内部電極E57と絶縁体層57と第2の内部電極E58と絶縁体層58とがこの順に積層されたコンデンサの一単位(コンデンサ単位)を少なくとも1つ有している。コンデンサ部50Dは、LC複合部品5の仕様において必要な静電容量を確保できる分、前記コンデンサ単位を有していればよく、その数は限定されない。
【0204】
引出電極部512は、絶縁体層57の表面に形成されている。引出電極部512は、第1の素体側面10c側に配置されている。これにより、引出電極部512は、外部導体部12cに電気的に接続している。引出電極部512は、主面電極部E512に電気的に接続している。主面電極部E512は、絶縁体層57の表面に形成され、引出電極部512よりも面積が広く形成されている。
【0205】
引出電極部522は、絶縁体層58の表面に形成されている。引出電極部522は、第2の素体側面10d側に配置されている。これにより、引出電極部522は、外部導体部22dに電気的に接続している。引出電極部522は、主面電極部E522に電気的に接続している。主面電極部E522は、絶縁体層58の表面に形成され、引出電極部522よりも面積が広く形成されている。
【0206】
上述したように、コンデンサ部50Dは、主面電極部E512と主面電極部E522とが、引出電極部512と引出電極部522とを介して、互いに逆方向の素体側面10c、10d(図1参照)に引き出されている。また、コンデンサ部50Dは、主面電極部E512と、主面電極部E522とが、積層方向に絶縁体を介して対向する。これにより、コンデンサ部50Dは、主面電極部E512と、主面電極部E522との間に静電容量が生じる積層コンデンサとなる。
【0207】
図19に示す等価回路は、外部導体11、12、13、21、22、23と、インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1と、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2と、コンデンサC3と、インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aと、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aとを有している。
【0208】
インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1とは、上述したインダクタ部30Aのコイル線路部71で形成される。これにより、等価回路において、インダクタL1と、インダクタ内部抵抗R1とは、外部導体11、12間に直列接続されている。また、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2は、インダクタ部30Aのコイル線路部72で形成される。これにより、等価回路において、インダクタL2と、インダクタ内部抵抗R2とは、外部導体12、13間に直列接続されている。
【0209】
コンデンサC3は、上述したコンデンサ部50Dの主面電極部E512、E522で形成される。これにより、コンデンサC3は、外部導体12、22間に接続されている。
【0210】
インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aとは、上述したインダクタ部30Bのコイル線路部73で形成される。これにより、等価回路において、インダクタL1Aと、インダクタ内部抵抗R1Aとは、外部導体21、22間に直列接続されている。また、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aは、インダクタ部30Bのコイル線路部74で形成される。これにより、等価回路において、インダクタL2Aと、インダクタ内部抵抗R2Aとは、外部導体22、23間に直列接続されている。
【0211】
図18は、実施形態5に係るLC複合部品と信号線との接続の一例を示す説明図である。LC複合部品5は、回路基板に第2の素体主面10bが対向する状態において、LC複合部品5と信号線路101、102との接続の一例を示している。第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72を接続する外部導体12以外の少なくとも2つの外部導体11、13が回路基板の信号線路101、102に電気的に接続される。また、少なくともコンデンサ部50Dの第2の内部電極E58に接続される外部導体22が回路基板のGND線路Gに電気的に接続される。
【0212】
図20に示すように、例えば、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体11と外部導体12とは、信号線路101と、信号線路102とにそれぞれ接続される。この場合、外部導体11は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体13は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、少なくとも外部導体22は、GND線路Gに接続され接地される。この場合、外部導体22は、GND端子電極となる。
【0213】
外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。つまり、外部導体12は、インダクタ部30Aの第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72を接続するが、回路基板と接続されていない。なお、外部導体21、23は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。
【0214】
これにより、図19に示す等価回路においてインダクタL1A、L2Aが作用せず、LC複合部品5は、いわゆるT型ノイズフィルタ(T型回路)として作用する。
【0215】
第2の実装構造として、LC複合部品5は、回路基板に第2の素体主面10bが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体23が信号線路101と接続され、外部導体21が信号線路102とにそれぞれ接続されてもよい。この場合、外部導体23は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体21は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0216】
第2の実装構造において、少なくとも外部導体12は、GND線路Gに接続され接地される。この場合、外部導体12は、GND端子電極となる。なお、外部導体11、13は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。これにより、図19に示す等価回路においてインダクタL1、L2が作用せず、LC複合部品5は、いわゆるT型ノイズフィルタとして作用する。
【0217】
第3の実装構造として、LC複合部品5は、回路基板に第1の素体主面10aが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体13が信号線路101と接続され、外部導体11が信号線路102と接続されてもよい。この場合、外部導体13は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体11は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体12は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0218】
第3の実装構造において、少なくとも外部導体22は、GND線路Gに接続され接地される。この場合、外部導体22は、GND端子電極となる。なお、外部導体21、23は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。これにより、図19に示す等価回路においてインダクタL1A、L2Aが作用せず、等価回路はいわゆるT型ノイズフィルタとして作用する。
【0219】
第4の実装構造として、LC複合部品5は、回路基板に第1の素体主面10aが対向する状態において、外部導体11、12、13、21、22、23のうち、外部導体21が信号線路101と接続され、外部導体23が信号線路102と接続されてもよい。この場合、外部導体21は、信号が入力される信号入力端子電極となる。また、外部導体23は、信号が出力される信号出力端子電極となる。また、外部導体22は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体となっている。
【0220】
第4の実装構造において、少なくとも外部導体12は、GND線路Gに接続され接地される。このため、外部導体12は、GND端子電極となる。なお、外部導体11、13は、回路基板に直接接続されない、いわゆる外部接続導体としてもよく、GND線路Gに接続され接地されるGND端子電極としてもよい。これにより、図19に示す等価回路においてインダクタL1、L2が作用せず、LC複合部品5は、いわゆるT型ノイズフィルタとして作用する。
【0221】
LC複合部品5は、LC複合部品1と同様に、回路基板に対して、第1の素体主面10a側又は第2の素体主面10b側のいずれが接続されても信号線路101、102に対して等価なT型ノイズフィルタとして作用できる。また、LC複合部品5は、積層方向からみて、素体中心Oを中心に回路基板平面内で180度回転しても信号線路101、102に対して等価なT型ノイズフィルタとして作用できる。このため、LC複合部品5が回路基板へ実装される際に、LC複合部品5の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品5の特性が変化しないので、LC複合部品5を一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0222】
第1のインダクタ部30Aは、第1のコイル線路部71と、第2のコイル線路部72とを含み、第2のインダクタ部30Bは、第1のコイル線路部74、第2のコイル線路部73とを含む。LC複合部品5は、第1のインダクタ部30A、コンデンサ部50D、第2のインダクタ部30Bの順に積層方向に交互に積層され、かつ第1の素体主面10a及び第2の素体主面10bに近い側に第1のインダクタ部30A、第2のインダクタ部30Bが配置されている。
【0223】
そして、第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72を接続する外部導体12には、コンデンサ部50Dの第1の内部電極E57が接続される。また、第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74及び第2のコイル線路部73を接続する外部導体22には、コンデンサ部50Dの第2の内部電極E58が接続されることが好ましい。
【0224】
第1のインダクタ部30Aは、第1のコイル線路部71と、第2のコイル線路部72とが、図1に示す外部導体12に接続される。これによって、第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72は、積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルとなる。
【0225】
また、第2のインダクタ部30Bは、第1のコイル線路部74と、第2のコイル線路部73とが、図1に示す外部導体22に接続される。これによって、第1のコイル線路部74及び第2のコイル線路部73は、積層方向へ螺旋状に巻回されるスパイラルコイルとなる。
【0226】
この構造により、LC複合部品5は、コンデンサ部とインダクタ部を有するので、LCフィルタを形成できる。また、LC複合部品5は、積層方向に対称となるように、コンデンサ部とインダクタ部とが形成される。また、LC複合部品5は、第1の素体端面寄りの外部導体と第2の素体端面寄りの外部導体とが端子電極となり、これらの間に配置される外部導体が外部接続導体となるので、実装方向性がなくなる。そして、LC複合部品5は、T型回路を構成できる。
【0227】
第1のインダクタ部30Aは、第1のコイル線路部71及び第2のコイル線路部72が、第1の内部電極E57が引き出されている第1の素体側面10cに引き出され、第1の内部電極E57と積層方向に隣接していることが好ましい。又は第2のインダクタ部30Bは、第1のコイル線路部74及び第2のコイル線路部73が、第2の内部電極E58が引き出されている第2の素体側面10dに引き出され、第2の内部電極E58と積層方向に隣接していることが好ましい。
【0228】
この構成により、インダクタ部とコンデンサ部とが、同極性で隣接することができる。例えば、コンデンサ部とインダクタ部とが異極性で隣接すると、インダクタ部とコンデンサ部との間に静電容量が発生し、インダクタ部とコンデンサ部とが結合してしまう。このため、ノイズ減衰性が劣化してノイズ成分を十分に除去できないおそれが生じる。上述した構成により、インダクタ部とコンデンサ部とが同極性で隣接するので、ノイズ減衰性を高め、ノイズ成分を除去できる。
【0229】
第1のインダクタ部30Aと第2のインダクタ部30Bとは、素体中心Oを境に積層方向において、上下に分けて配置されている。また、素体中心Oを基準として、第1の内部電極E57と第2の内部電極E58とが同位置かつ同距離となるように配置される。
【0230】
また、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72と第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0231】
さらに、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1の内部電極C51と第2の内部電極C52とが点対称であり、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Aの第1のコイル線路部71と第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Aの第2のコイル線路部72と第2のインダクタ部30Bの第2のコイル線路部73とが点対称に配置されることが好ましい。
【0232】
このような構造により、LC複合部品5の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品5が回路基板に実装される際にLC複合部品5の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品5の特性が変化しないため、LC複合部品5を一定の特性のLCフィルタとすることができる。
【0233】
LC複合部品5は、第1のインダクタ部30A、第2のインダクタ部30Bが有する第1のコイル線路部71、74及び第2のコイル線路部72、73は、積層方向からみて、第1の内部電極E57の第1の主面電極部E512と、第2の内部電極E58の第2の主面電極部D522との少なくとも一方の周囲を巻回することがより好ましい。
【0234】
これにより、第1のインダクタ部30A、第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部71、74及び第2のコイル線路部72、73は、コンデンサ部50Dの主面電極部E512、E522の有する面積と積層方向に対向する領域を避けて、絶縁体層31、32、33、34の表面で巻回する。
【0235】
また、主面電極部E512、E522と積層方向に対向する、絶縁体層31、32、33、34の領域は、コイル線部71、72、73、74が通らない領域とする。その結果、主面電極部E512、E522の有する面積と、コイル線路部71、72、73、74との積層方向での重なり合いが低減する。これにより、主面電極部E512、E522と、コイル線路部71、72、73、74との間での静電容量が低減できる。
【0236】
LC複合部品5は、主面電極部E512、E522と、コイル線路部71、72、73、74との間での静電容量が低減できるので、より高周波のノイズ成分を低減できるノイズフィルタとなることができる。
【0237】
(実施形態6)
図21は、実施形態6に係るLC複合部品の素体の要部分解斜視図である。図21は、上述した絶縁体層17、18、19を除き、素体10を積層順に分解した状態を示している。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。本実施形態に係るLC複合部品6は、第1のコンデンサ部50Daと第2のコンデンサ部50Dbとが、それぞれLC複合部品6の第1の素体主面10a側と、第2の素体主面10b側とに配置される。また、LC複合部品6の等価回路がいわゆるT型ノイズフィルタとして作用する。
【0238】
LC複合部品6は、第1のコンデンサ部50Daと、第2のコンデンサ部50Dbと、第1のインダクタ部30Cと、第2のインダクタ部30Dとを含む。第1のインダクタ部30Cと、第2のインダクタ部30Dとは、連続して積層され一体となりインダクタ部30CDとなる。
【0239】
そして、LC複合部品6は、第1のコンデンサ部50Da、インダクタ部30CD、第2のコンデンサ部50Dbの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。LC複合部品6は、インダクタ部30CDを中心に、第1のコンデンサ部50Daと第2のコンデンサ部Dbとが積層方向に対称となっている。
【0240】
第1のコンデンサ部50Da及び第2のコンデンサ部50Dbは、絶縁体層54、53の表面に形成され、かつ積層方向に対向する第1の内部電極E57と、第2の内部電極E58とを含む。第1のコンデンサ部50Da及び第2のコンデンサ部50Dbは、同じ静電容量を有する積層コンデンサである。
【0241】
第1の内部電極E57の引出電極部512は、第1の素体側面10cに引き出されて、図1に示す第1の外部導体群15の外部導体12に接続されている。また、第2の内部電極E58の引出電極部522は、第2の素体側面10dに引き出されて、図1に示す第2の外部導体群25の外部導体22に接続されている。
【0242】
そして、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76及び第2のコイル線路部77を接続する外部導体12には、第1のコンデンサ部50Da及び第2のコンデンサ部Dbの第1の内部電極E57が接続される。また、第2のインダクタ部30Bの第1のコイル線路部74及び第2のコイル線路部73を接続する外部導体22には第1のコンデンサ部Da及び第2のコンデンサ部Dbの第2の内部電極E58が接続される。
【0243】
LC複合部品6は、回路基板に実装される際、第1のコンデンサ部50Da又は第2のコンデンサ部50Dbのどちらかが回路基板側となるように接続される。このため、LC複合部品6は、上述した実施形態5のLC複合部品5と比較して、回路基板から第1の内部電極E57又は第2の内部電極E58までの距離が短くなる。その結果、LC複合部品6は、第1のコンデンサ部50Da、又は第2のコンデンサ部50Dbが回路基板との間に生じるESLを低減することができる。
【0244】
上述したように、LC複合部品6は、第1のコンデンサ部50Da、インダクタ部30CD、第2のコンデンサ部50Dbの順に、コンデンサ部とインダクタ部とが交互に積層されている。第1のコンデンサ部50Daと第2のコンデンサ部50Dbとは、インダクタ部30CDを中心に積層方向に対称となっている。これにより、第1のコンデンサ部50Daと第2のコンデンサ部50Dbとが、それぞれLC複合部品6の第1の素体主面10a側と第2の素体主面10b側とに配置される。
【0245】
上述した構成により、第1のコンデンサ部50Da又は第2のコンデンサ部50Dbが含む第1の内部電極E57又は第2の内部電極E58が回路基板に最も近い位置となり、ESLを低減することができる。
【0246】
また、第1のコイル線路部76(79)と第2のコイル線路部77(78)とが、実装されない外部接続導体で接続され、導電経路が長くなる。その結果、スパイラルコイルの導電経路が長くなりインダクタンス成分を大きくできる。
【0247】
第1のインダクタ部30Cと第2のインダクタ部30Dとは、素体中心Oを境に積層方向において上下に分けて配置されている。また、素体中心Oを基準として、第1の内部電極E57と第2の内部電極E58とが同位置かつ同距離となるように配置される。
【0248】
また、LC複合部品6は、素体中心Oを基準として、第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが同位置かつ同距離になるように配置される。また、LC複合部品6は、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが同位置かつ同距離になるように配置される。
【0249】
さらに、LC複合部品6は、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1の内部電極D53と第2の内部電極D54とが点対称である。また、LC複合部品6は、積層方向からみて、素体中心Oに対して第1のインダクタ部30Cの第1のコイル線路部76と第2のインダクタ部30Dの第1のコイル線路部79とが点対称に配置されるとともに、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cの第2のコイル線路部77と第2のインダクタ部30Dの第2のコイル線路部78とが点対称に配置されることが好ましい。
【0250】
このような構造により、LC複合部品6の実装方向性をなくすことができる。このため、LC複合部品6を回路基板に実装する際に、LC複合部品6の実装方向を合わせる作業を低減することができる。また、上述の構成により、実装方向に関わらずLC複合部品6の特性が変化しないため、LC複合部品6を一定の特性を有するLCフィルタとすることができる。
【0251】
上述した第1のインダクタ部30C、第2のインダクタ部30Dが有する第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78は、積層方向からみて、第1のインダクタ部30Cに隣接する第1の内部電極E57の第1の主面電極部E512と、第2のインダクタ部30Dに隣接する第2の内部電極E58の第2の主面電極部E522との少なくとも一方の周囲を巻回することが好ましい。
【0252】
第1のインダクタ部30C、第2のインダクタ部30Dが有する第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78は、第1のコンデンサ部50Da又は第2のコンデンサ部50Dbの主面電極部E512、E522の有する面積と積層方向に対向する領域を避けて、絶縁体層36、37、38、39の表面で巻回する。
【0253】
また、主面電極部D511、D513、D521、D523と積層方向に対向する絶縁体層36、37、38、39の領域は、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78が通らない領域とする。このようにすると、主面電極部E512、E522と、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78との積層方向での重なり合いが低減する。その結果、主面電極部E512、E522と、第1のコイル線路部76、79及び第2のコイル線路部77、78との間での静電容量が低減できる。また、LC複合部品6は、ノイズフィルタとしての特性が改善される。
【0254】
上述した構造により、コンデンサ部の主面電極部と、インダクタ部のコイル線路部とは、積層方向で重ならないようになる。このため、コンデンサ部の主面電極部とインダクタ部のコイル線路部との間には、静電容量が低減されるか、発生しないようになる。その結果、LC複合部品は、高周波のノイズ成分を減衰することができる。
【符号の説明】
【0255】
1、2、2A、2B、2C、3、4、5、6 LC複合部品
10a 第1の素体主面
10b 第2の素体主面
10c 第1の素体側面
10d 第2の素体側面
10e 第1の素体端面
10f 第2の素体端面
11、12、13、21、22、23 外部導体
11a、12a、13a、11b、12b、13b、21a、22a、23a、21b、22b、23b 端子部
11c、12c、13c、21d、22d、23d 外部導体部
30A、30C 第1のインダクタ部
30B、30D 第2のインダクタ部
30CD インダクタ部
31、32、33、34、36、51、52、53、54、55、56、57、58 絶縁体層
50A、50B、50BB、50BC、50C、50D コンデンサ部
50Ba、50Da 第1のコンデンサ部
50Bb、50Db 第2のコンデンサ部
71、74、76、79 第1のコイル線路部
72、73、77、78 第2のコイル線路部
C511、C512、C513、C522、D511、D513、D521、D523、E512、E522 主面電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層され、前記複数の絶縁体層の積層方向に交差する第1の素体主面及び第2の素体主面と、前記第1の素体主面及び前記第2の素体主面を連結し互いに対向する第1の素体側面及び第2の素体側面と、前記第1の素体主面及び前記第2の素体主面を連結し、かつ前記第1の素体側面及び前記第2の素体側面を連結し、互いに対向する第1の素体端面及び第2の素体端面と、を含む素体と、
前記第1の素体側面にそれぞれ配置され、3以上の外部導体を有する第1の外部導体群と、前記第2の素体側面にそれぞれ配置され、3以上の外部導体を有する第2の外部導体群と、
前記絶縁体層上に形成され、かつ前記積層方向に対向する第1の内部電極及び第2の内部電極を有し、前記第1の内部電極が前記第1の素体側面に引き出されて前記第1の外部導体群の少なくとも1つの前記外部導体に接続され、前記第2の内部電極が前記第2の素体側面に引き出されて前記第2の外部導体群の少なくとも1つの前記外部導体に接続されるコンデンサ部と、
前記複数の絶縁体層のいずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成され、かつ導電体パターンである第1のコイル線路部及び第2のコイル線路部を有するインダクタ部と、を含み、
前記コンデンサ部と前記インダクタ部とは前記積層方向に交互に積層され、かつ前記コンデンサ部と前記インダクタ部とのいずれか一方が、前記第1の素体主面側と前記第2の素体主面側との両方に配置され、
前記第1のコイル線路部と、前記第2のコイル線路部とが、前記第1の外部導体群の前記第1の素体端面寄りの前記外部導体と前記第2の素体端面寄りの前記外部導体との間にある前記外部導体、又は前記第2の外部導体群の前記第1の素体端面寄りの前記外部導体と前記第2の素体端面寄りの前記外部導体との間にある前記外部導体に接続され、前記第1のコイル線路部及び第2のコイル線路部が積層方向へ螺旋状に巻回されるコイルとなることを特徴とするLC複合部品。
【請求項2】
前記第1の内部電極は、第1の主面電極部と、前記第1の主面電極部及び前記第1の外部導体群の外部導体と接続する第1の引き出し部と、を有し、
前記第2の内部電極は、前記第1の主面電極部と前記積層方向に対向する第2の主面電極部と、前記第2の主面電極部及び前記第2の外部導体群の外部導体と接続する第2の引き出し部と、を有し、
前記インダクタ部が有する前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部は、前記積層方向からみて、前記第1の内部電極の前記第1の主面電極部と、前記第2の内部電極の前記第2の主面電極部との少なくとも一方の周囲を巻回する請求項1に記載のLC複合部品。
【請求項3】
前記インダクタ部が前記第1の素体主面側と、前記第2の素体主面側の両方に配置される請求項1又は2に記載のLC複合部品。
【請求項4】
前記コンデンサ部が前記第1の素体主面側と、前記第2の素体主面側の両方に配置される請求項1又は2に記載のLC複合部品。
【請求項5】
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記絶縁体層を介して隣接している請求項1から4のいずれか1項に記載のLC複合部品。
【請求項6】
前記インダクタ部は、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が、前記第1の内部電極が引き出されている前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が、前記第2の内部電極が引き出されている前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、
の少なくとも一方を含み、
前記第1のインダクタ部は、前記第1の内部電極と積層方向に隣接している、又は前記第2のインダクタ部は、前記第2の内部電極と積層方向に隣接している請求項1から5のいずれか1項に記載のLC複合部品。
【請求項7】
前記インダクタ部は、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含み、
前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体以外の少なくとも2つの外部導体には前記コンデンサ部の前記第1の内部電極がそれぞれ接続され、前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体以外の少なくとも2つの外部導体には前記コンデンサ部の前記第2の内部電極がそれぞれ接続される請求項1から6のいずれか1項に記載のLC複合部品。
【請求項8】
前記インダクタ部は、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含み、
前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体には前記コンデンサ部の前記第1の内部電極が接続され、前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を接続する外部導体には前記コンデンサ部の前記第2の内部電極が接続される請求項1から7のいずれか1項に記載のLC複合部品。
【請求項9】
前記第1のコイル線路部が形成される前記絶縁体層及び前記第2のコイル線路部が形成される前記絶縁体層に磁性体が含まれ、前記第1の内部電極が形成される前記絶縁体層及び前記第2の内部電極が形成される前記絶縁体層に誘電体が含まれる請求項1から8のいずれか1項に記載のLC複合部品。
【請求項10】
前記インダクタ部は、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含むとともに、前記第1のインダクタ部と前記第2のインダクタ部とは、前記積層方向の素体中心を境に上下に分けて配置されており、
かつ前記素体中心を基準として、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが同位置かつ同距離となるように配置されるか、前記素体中心を基準として前記第1の内部電極同士が同位置かつ同距離になるように配置されるか又は前記素体中心を基準として前記第2の内部電極同士が同位置かつ同距離になるように配置され、
かつ前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるか、
又は前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置され、
さらに、
前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが点対称であり、
前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるか、
又は前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置される、
請求項1から5、7、8のいずれか1項に記載のLC複合部品。
【請求項11】
前記インダクタ部は、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第1の素体側面に引き出される第1のインダクタ部と、
前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部を含み、前記第1のコイル線路部及び前記第2のコイル線路部が前記第2の素体側面に引き出される第2のインダクタ部と、を含むとともに、前記第1のインダクタ部と前記第2のインダクタ部とは、前記積層方向の素体中心を境に上下に分けて配置されており、
前記素体中心を基準として、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが同位置かつ同距離になるように配置され、
かつ前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるか、
又は前記素体中心を基準として、前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置されるとともに、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが同位置かつ同距離になるように配置され、
さらに、
前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが点対称であり、
前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるか、
又は前記積層方向からみて、前記素体の中心点に対して前記第1のインダクタ部の前記第1のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第2のコイル線路部とが点対称に配置されるとともに、前記積層方向からみて、前記第1のインダクタ部の前記第2のコイル線路部と前記第2のインダクタ部の前記第1のコイル線路部とが点対称に配置される、
請求項6に記載のLC複合部品。
【請求項12】
前記第1の外部導体群の前記外部導体と前記第2の外部導体群の前記外部導体とは、前記積層方向から前記第1の素体主面をみた場合において、前記素体の中心点に対して点対称となるように配置されている請求項10又は11に記載のLC複合部品。
【請求項13】
信号線路と、GND線路とを含む回路基板に請求項1から12のいずれか1項に記載のLC複合部品を実装する実装構造であって、
前記第1の外部導体群の前記第1のコイル線路部と前記第2のコイル線路部とを接続する外部導体は、前記回路基板に実装されない外部接続導体となり、前記外部接続導体以外の前記第1の外部導体群の2つの外部導体には、前記信号線路と接続するように前記回路基板に実装され、
前記第2の外部導体群の前記第2の内部電極と接続する外部導体は、前記GND線路と接続するように前記回路基板に実装されるLC複合部品の実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−256757(P2012−256757A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129421(P2011−129421)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】