説明

MEMS素子および発振器

【課題】小型化が可能なMEMS素子を提供する。
【解決手段】本発明に係るMEMS素子100は、基板10と、基板10の上方に形成された空洞部32と、空洞部32に収容された第1振動子20aと、空洞部32に収容された第2振動子20bと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS素子および発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて製作されたMEMS素子が注目されている。このようなMEMS素子は、振動子やセンサーなどとして利用されている。例えば、特許文献1には、半導体基板上にMEMS技術を用いて形成された固定電極と可動電極とからなる振動子を有するMEMS素子が記載されている。この特許文献1に記載のMEMS素子では、可動電極の振動時における空気抵抗を減少させるために、固定電極および可動電極が減圧状態で気密封止された空洞部内に収容されている。
【0003】
このようなMEMS素子では、近年の電子機器の小型化に伴い、より一層の小型化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−222956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、小型化が可能なMEMS素子を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上述のMEMS素子を含む発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るMEMS素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された空洞部と、
前記空洞部に収容された第1振動子と、
前記空洞部に収容された第2振動子と、
を含む。
【0007】
このようなMEMS素子によれば、2つの振動子(第1振動子および第2振動子)を1つの空洞部に収容することができる。これにより、2つの振動子を振動子ごとに空洞部に収容する場合、すなわち、2つの空洞部を設ける場合と比べて、空洞部の数を減らすことができるため、基板における空洞部の専有面積を小さくすることができる。したがって、小型化を図ることができる。
【0008】
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下、「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下、「B」という)を形成する」などと用いる場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
【0009】
本発明に係るMEMS素子において、
前記空洞部は、平面視において、第1辺と、前記第1辺よりも長さの短い第2辺と、を有し、
前記第1振動子および前記第2振動子は、平面視において、前記第1辺に沿って配置されていることができる。
【0010】
このようなMEMS素子によれば、上述のMEMS素子と同様に、小型化を図ることができる。
【0011】
本発明に係るMEMS素子において、
さらに、前記空洞部に収容された第3振動子を含み、
前記第1振動子および前記第2振動子は、平面視において、第1方向に延びる第1仮想直線上に配置され、
前記第3振動子は、平面視において、前記第1方向に延びる第2仮想直線と、前記第1振動子と前記第2振動子との間を通り前記第1方向と直交する第2方向に延びる第3仮想直線と、が交差する位置に配置されていることができる。
【0012】
このようなMEMS素子によれば、空洞部の平面形状を、正方形に近づけることができる。これにより、例えば、長辺(第1辺)の長さと短辺(第2辺)の長さの差が大きい平面形状を有する空洞部と比べて、基板と被覆層(第1被覆層および第2被覆層)との間の熱膨張率の違いに起因する被覆層の変形を抑制することができる。そのため、被覆層の変形により、振動子の動作が妨げられたり、空洞部内の圧力が上昇して振動子の特性が悪化したりすることを防ぐことができる。したがって、特性が良く、信頼性の高いMEMS素子を得ることができる。
【0013】
本発明に係るMEMS素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された第1電極と、
前記基板の上方に形成された第1支持部、および前記第1支持部から第1方向に延出して前記第1電極の一部に対向する第1梁部、を有する第2電極と、
前記基板の上方に形成された第2支持部、および前記第2支持部から前記第1方向とは反対方向の第2方向に延出して前記第1電極の一部に対向する第2梁部、を有する第3電極と、
前記基板の上方に形成され、前記第1電極、前記第2電極、および前記第3電極を収容する空洞部と、
を含み、
前記第1電極および前記第2電極は、第1振動子をなし、
前記第1電極および前記第3電極は、第2振動子をなしている。
【0014】
このようなMEMS素子によれば、上述のMEMS素子と同様に、小型化を図ることができる。
【0015】
本発明に係るMEMS素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された第1電極と、
前記基板の上方に形成された第2電極と、
前記基板の上方であって、前記第1電極と前記第2電極の間に形成された第3電極と、
前記基板の上方であって前記第1電極と前記第3電極との間に形成された第1支持部、前記第1支持部から延出され前記第1電極に対向する第1梁部、および前記第1支持部から延出され前記第3電極の一部に対向する第2梁部、を有する第4電極と、
前記基板の上方であって前記第2電極と前記第3電極との間に形成された第2支持部、前記第2支持部から延出され前記第3電極の一部に対向する第3梁部、および前記第2支持部から延出され前記第2電極に対向する第4梁部、を有する第5電極と、
前記基板の上方に形成され、前記第1から第5電極を収容する空洞部と、
を含み、
前記第1電極および前記第1梁部は、第1振動子をなし、
前記第3電極および前記第2梁部は、第2振動子をなし、
前記第3電極および前記第3梁部は、第3振動子をなし、
前記第4電極および前記第4梁部は、第4振動子をなしている。
【0016】
このようなMEMS素子によれば、上述のMEMS素子と同様に、小型化を図ることができる。
【0017】
本発明に係るMEMS素子において、
前記基板の上方に形成された絶縁部を含み、
前記空洞部は、前記絶縁部に設けられていることができる。
【0018】
本発明に係るMEMS素子において、
前記絶縁部は、複数の層間絶縁層からなることができる。
【0019】
本発明に係るMEMS素子において、
前記基板の上方に、平面視において、前記空洞部を囲むガードリングが形成されていることができる。
【0020】
本発明に係るMEMS素子において、
前記ガードリングは、導電性の材料からなることができる。
【0021】
このようなMEMS素子によれば、ガードリングを電磁シールドとして機能させることができる。
【0022】
本発明に係る発振器は、
本発明のMEMS素子を含む。
【0023】
このような発振器によれば、所望の共振周波数を有する発振器を高い歩留まりで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係るMEMS素子を模式的に示す断面図。
【図2】第1実施形態に係るMEMS素子の空洞部内を模式的に示す平面図。
【図3】第1実施形態に係るMEMS素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】第1実施形態に係るMEMS素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】第1実施形態に係るMEMS素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】第1実施形態に係るMEMS素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】第1実施形態の第1変形例に係るMEMS素子の空洞部内を模式的に示す平面図。
【図8】第1実施形態の第2変形例に係るMEMS素子の空洞部内を模式的に示す平面図。
【図9】第2実施形態に係るMEMS素子を模式的に示す断面図。
【図10】第2実施形態に係るMEMS素子の空洞部内を模式的に示す平面図。
【図11】第3実施形態に係るMEMS素子を模式的に示す断面図。
【図12】第3実施形態に係るMEMS素子の空洞部内を模式的に示す平面図。
【図13】第4実施形態に係る発振器を模式的に示す構成図。
【図14】第4実施形態の第1変形例に係る発振器を模式的に示す構成図。
【図15】第4実施形態の第2変形例に係る発振器を模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
1. 第1実施形態
1.1. MEMS素子
まず、第1実施形態に係るMEMS素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るMEMS素子100を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示すMEMS素子100の空洞部32内を模式的に示す平面図である。
【0027】
MEMS素子100は、図1および図2に示すように、基板10と、振動子(第1振動子20a,第2振動子20b,第3振動子20c)と、絶縁部(以下、層間絶縁層という)30と、を含む。MEMS素子100は、さらに、第1被覆層40と、第2被覆層50と、を含むことができる。
【0028】
基板10としては、例えば、シリコン基板等の半導体基板を用いることができる。基板10として、セラミックス基板、ガラス基板、サファイア基板、合成樹脂基板などの各種の基板を用いてもよい。基板10上には、下地層11が形成されている。下地層11は、例えば、基板10側から酸化シリコン層、窒化シリコン層をこの順で積層した積層構造を有している。
【0029】
層間絶縁層30は、下地層11上に形成されている。層間絶縁層30は、図示の例では、第1層間絶縁層30a、第2層間絶縁層30b、第3層間絶縁層30cの3層で構成されているが、層間絶縁層30を構成する層の数は、特に限定されない。層間絶縁層30上には、酸化シリコンや窒化シリコンなどからなる保護膜6が形成されている。
【0030】
層間絶縁層30は、振動子20a,20b,20cが収容される空洞部32を有している。空洞部32には、図2に示すように、3つの振動子20a,20b,20cが収容されているが、その数は限定されない。空洞部32は、図2に示すように、平面視において(Z方向からみて)、第1辺32aと、第1辺32aよりも長さが短い第2辺32bと、を有する。図示の例では、第1辺32aは、X方向に延びており、第2辺32bは、Y方向に延びている。空洞部32の平面形状は、第1辺32aが長辺、第2辺32bが短辺となる長方形であるが、その形状は特に限定されない。
【0031】
空洞部32内は、例えば、減圧状態である。空洞部32は、図示の例では、層間絶縁層30の側面、第1被覆層40、基板10(下地層11)により区画される領域である。図示はしないが、空洞部32には、振動子20a,20b,20cを平面視において囲む包囲壁(ガードリング)が形成されていてもよい。包囲壁は、配線プラグ4a,4b,4c,5a,5b,5cと共通の工程で形成されることができる。包囲壁を導電性の材料で形成することにより、包囲壁を電磁シールドとして機能させることができる。
【0032】
第1振動子20a、第2振動子20b、および第3振動子20cは、空洞部32内に収容されている。第1振動子20a、第2振動子20b、第3振動子20cは、図2に示すように、平面視において、長辺である第1辺32a(X方向)に沿って配置されている。各振動子20a,20b,20cは、例えば、固定電極22の長辺aが第1辺32aと平行となるように配置されている。
【0033】
振動子20a,20b,20cは、下地層11上に形成された固定電極22と、固定電極22と一定の間隔を空けて形成された可動電極24と、を有する。固定電極22の平面形状は、図2に示すように、長辺aと短辺bとを有する長方形である。可動電極24は、下地層11上に形成された固定部25と、固定電極22に対向して配置された振動可能な梁部26と、梁部26と固定部25を連結して支持する支持部27と、で構成されている。可動電極22は、図示の例では、片持ち梁であるが、両持ち梁であってもよい。外部の発振回路部(例えば、図13に示す発振回路部110)から電極22,24間に電圧が印加されると、可動電極24は、電極22,24間に発生する静電力により振動する。固定電極22および可動電極24の材質としては、例えば、所定の不純物をドーピングすることにより導電性が付与された多結晶シリコンが挙げられる。
【0034】
第1〜第3振動子20a,20b,20cは、例えば、互いに異なる固有振動数を有している。例えば、第1〜第3振動子20a,20b,20cは、互いに異なる可動電極24の形状を有することによって、互いに異なる固有振動数を有することができる。具体的には、各振動子20a,20b,20cの梁部26の長さLや膜厚T(図1参照)が互いに異なる大きさを有することにより、互いに異なる固有振動数を有することができる。
【0035】
固定電極22は、空洞部32内で配線2と電気的に接続され、配線2を介して、空洞部32の外側に形成された配線プラグ4aと電気的に接続される。配線2は、図2に示すように、平面視において、固定電極22から空洞部32の第2辺32bに沿って−Y方向に延びている。固定電極22は、例えば、配線2や配線プラグ4a,4b,4c等を介して、外部の発振回路部と電気的に接続される。
【0036】
可動電極24は、空洞部32内で配線3と電気的に接続され、配線3を介して、空洞部32の外側に形成された配線プラグ5aと電気的に接続される。配線3は、平面視において、可動電極24から空洞部32の第2辺32bに沿って、配線2の延びる方向(−Y方向)とは反対方向(+Y方向)に延びている。可動電極24は、例えば、配線3や配線プラグ5a,5b,5c等を介して、外部の発振回路部と電気的に接続される。
【0037】
第1被覆層40は、図1に示すように、空洞部32の上方に形成されている。第1被覆層40には、貫通孔42が形成されている。貫通孔42の数は、図1の例では、2つだが、その数は限定されない。第1被覆層40は、空洞部32の上方を覆っている。第1被覆層40は、例えば、チタン層、窒化チタン層、アルミ−銅合金層、窒化チタン層がこの順で積層された積層構造を有する。第1被覆層40の膜厚は、例えば、数百nm程度である。
【0038】
第2被覆層50は、第1被覆層40上に形成されている。第2被覆層50は、第1被覆層40の貫通孔42を塞いでいる。第1被覆層40および第2被覆層50は、空洞部32の上方を覆って空洞部32を封止する封止部材である。第2被覆層50の材質としては、例えば、アルミ、チタン、タングステン等の金属を挙げることができる。第2被覆層50の膜厚は、例えば、3μm程度である。
【0039】
MEMS素子100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0040】
MEMS素子100によれば、複数の振動子20a,20b,20cを1つの空洞部32に収容することができる。したがって、複数の振動子を振動子ごとに空洞部に収容する場合、すなわち複数の空洞部を設ける場合と比べて、空洞部の数を減らすことができるため、基板10上における空洞部32の専有面積を小さくすることができる。そのため、MEMS素子100によれば、小型化を図ることができる。
【0041】
MEMS素子100によれば、固有振動数の異なる複数の振動子20a,20b,20cを有することができる。したがって、例えば、1つのMEMS素子100から複数の周波数信号を出力することができる。また、例えば、複数の振動子20a,20b,20cから所望の共振周波数に近い共振周波数が得られる振動子を選択して用いることで、所望の共振周波数を有する発振器を高い歩留まりで得ることができる。また、複数の振動子20a,20b,20cを1つの空洞部32に収容することにより、空洞部内の減圧度が同一の状態で、複数の振動子20a,20b,20cの特性を比較できる。なお、詳細については、後述する。
【0042】
1.2. MEMS素子の製造方法
次に、本実施形態に係るMEMS素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図3〜図6は、MEMS素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0043】
図3に示すように、下地層11上に振動子20a,20b,20cを形成する。図3では、第1振動子20aのみを図示しているが、第2振動子20b,第3振動子20cも同じ工程で形成することができる。振動子20a,20b,20cを形成する工程は、具体的には、まず、CVD法やスパッタ法などによる成膜処理と、フォトリソグラフィ技術などによるパターニング処理により下地層11上に固定電極22を形成する。固定電極22が多結晶シリコンからなる場合、導電性を付与するために所定の不純物をドーピングする。次に、熱酸化処理またはCVD法により、固定電極22を覆う犠牲層29を形成する。犠牲層として、例えば、酸化膜を用いることができる。次に、犠牲層29上および下地層11上に可動電極24を形成する。可動電極24は、CVD法やスパッタ法などによる成膜処理と、フォトリソグラフィ技術などによるパターニング処理により形成される。可動電極24が多結晶シリコンからなる場合、導電性を付与するために所定の不純物をドーピングする。以上の工程により、振動子20a,20b,20cが形成される。なお、本工程では、固定電極22や可動電極24と一体的に配線2および配線3が形成される。
【0044】
図4に示すように、振動子20a,20b,20cを覆う層間絶縁層30、および層間絶縁層30に形成された配線プラグ4a,4b,4c,5a,5b,5cを形成する。層間絶縁層30は、例えば、CVD法や塗布(スピンコート)法などにより形成される。なお、層間絶縁層30を形成した後に、層間絶縁層30の表面を平坦化する処理を行ってもよい。配線プラグ4a,4b,4c,5a,5b,5cは、CVD法やスパッタ法などによる成膜処理と、フォトリソグラフィ技術などによるパターニング処理により形成される。なお、配線プラグ4a,4b,4c,5a,5b,5cを形成する工程において、振動子20a,20b,20cを囲む包囲壁(図示しない)を形成してもよい。
【0045】
次に、振動子20a,20b,20cの上方の層間絶縁層30上に、第1被覆層40を形成する。第1被覆層40は、例えば、スパッタ法やCVD法などによる成膜処理と、フォトリソグラフィ技術などによるパターニング処理により形成される。第1被覆層40には、貫通孔42が形成される。貫通孔42は、本工程のパターニング処理により形成されてもよいし、第1被覆層40を形成した後にパターニング処理して形成されてもよい。
【0046】
図5に示すように、層間絶縁層30上および配線プラグ4c、5c上に保護膜6を形成する。保護膜6は、例えば、プラズマCVD法により形成される。次に、保護膜6に貫通孔42と連通する開口部を形成する。すなわち、開口部により、貫通孔42を露出させる。開口部は、例えば、フォトリソグラフィ技術により形成される。
【0047】
図6に示すように、貫通孔42を通して振動子20a,20b,20cの上方の層間絶縁層30および犠牲層29を除去し、空洞部32を形成する(リリース工程)。例えば、フッ化水素酸や緩衝フッ酸(フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合液)などを用いたウエットエッチング、フッ化水素系のガスなどを用いたドライエッチングにより、層間絶縁層30および犠牲層29を除去して、空洞部32を形成することができる。
【0048】
図1に示すように、第1被覆層40上に第2被覆層50を形成する。第2被覆層50は、少なくとも第1被覆層40の貫通孔42上に形成される。これにより、貫通孔42を塞ぐことができ、空洞部32を封止することができる。第2被覆層50は、例えば、スパッタ法、CVD法などの気相成長法により形成される。これにより、空洞部32を減圧状態のまま封止することができる。
【0049】
以上の工程により、MEMS素子100を製造することができる。
【0050】
MEMS素子100の製造方法によれば、複数の振動子20a,20b,20cを1つの空洞部32に収容することができる。
【0051】
1.3. 変形例
次に、本実施形態の変形例に係るMEMS素子について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例に係るMEMS素子において、MEMS素子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
(1)第1変形例
まず、本実施形態の第1変形例に係るMEMS素子200について説明する。図7は、MEMS素子200の空洞部32内を模式的に示す平面図である。
【0053】
MEMS素子200では、図7に示すように、第1振動子20a、第2振動子20b、第3振動子20cが1つの空洞部32内に収容されている。第1振動子20aと第2振動子20bは、平面視において、第1方向(図示の例では、X方向)に延びる第1仮想直線A上に配置されている。図示の例では、第1方向は、空洞部32の第1辺32aに沿う方向である。第3振動子20cは、平面視において、第1方向に延びる第2仮想直線Bと、第1振動子20aと第2振動子20bとの間を通り第1方向と直交する第2方向(図示の例では、Y方向)に延びる第3仮想直線Cと、が交差する位置に配置されている。これにより、平面視において、複数の振動子を1つの仮想直線上に並べた場合(例えば、図2参照)と比べて、空洞部32の第1辺32aの長さと第2辺32bの長さとの差を小さくすることができる。すなわち、空洞部32の平面形状を、正方形に近づけることができる。
【0054】
図示の例では、空洞部32内に第1〜第3振動子20a,20b,20cが収容されているが、上述した第1〜第3振動子20a,20b,20cからなる配置パターンを繰り返すことにより、4つ以上の振動子が空洞部32内に収容されていてもよい。
【0055】
MEMS素子200によれば、空洞部32の平面形状を、正方形に近づけることができる。これにより、例えば、長辺(第1辺32a)の長さと短辺(第2辺32b)の長さの差が大きい平面形状を有する空洞部と比べて、基板10と被覆層40,50との間の熱膨張率の違いに起因する被覆層40,50の変形を抑制することができる。そのため、被覆層40,50の変形により、振動子20a,20b,20cの動作が妨げられたり、空洞部32内の圧力が上昇して振動子20a,20b,20cの特性が悪化したりすることを防ぐことができる。したがって、特性が良く、信頼性の高いMEMS素子を得ることができる。
【0056】
MEMS素子200によれば、複数の振動子20a,20b,20cを1つの空洞部32に収容することができる。したがって、MEMS素子100と同様の効果を奏することができる。
【0057】
(2)第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係るMEMS素子300について説明する。図8は、MEMS素子300の空洞部32内を模式的に示す平面図である。
【0058】
MEMS素子300では、第1振動子20a、第2振動子20b、第3振動子20cは、図8に示すように、平面視において、長辺である第1辺32aに沿って配置されている。すなわち、振動子20a,20b,20cは、図示の例では、Y方向に並んで配置されている。また、各振動子20a,20b,20cは、固定電極22の短辺bが空洞部32の第1辺32aと平行となるように配置されている。
【0059】
固定電極22と接続する配線2は、平面視において、固定電極22から、−X方向に延びている。可動電極24と接続する配線3は、可動電極24から、配線2の延びる方向(−X方向)とは反対方向(+X方向)に延びている。
【0060】
MEMS素子300によれば、複数の振動子20a,20b,20cを1つの空洞部32に収容することができる。したがって、MEMS素子100と同様の効果を奏することができる。
【0061】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係るMEMS素子400について、図面を参照しながら説明する。図9は、MEMS素子400を模式的に示す断面図である。図10は、図9に示すMEMS素子400の空洞部32内を模式的に示す平面図である。なお、第2の実施形態に係るMEMS素子400において、上述した第1実施形態に係るMEMS素子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0062】
MEMS素子400は、図9および図10に示すように、基板10と、振動子(第1振動子20a,第2振動子20b,第3振動子20c,第4振動子20d,第5振動子20e,第6振動子20f)と、層間絶縁層30と、を含む。MEMS素子400は、さらに、第1被覆層40と、第2被覆層50と、を含むことができる。
【0063】
第1振動子20aは、第1電極(以下、本実施形態において固定電極という)22と、第2電極(以下、本実施形態において第1可動電極という)24aと、を有する。第1可動電極24aは、下地層11上に形成された第1支持部27aと、第1支持部27aから第1方向(図示の例では、−Y方向)に延出して固定電極22と対向する第1梁部26aと、下地層11上に形成され第1支持部27aと連続する第1固定部25aと、で構成されている。固定電極22および第1可動電極24aは、空洞部32内に収容されている。
【0064】
第1可動電極24aは、空洞部32内で配線3と電気的に接続され、配線3を介して、空洞部32の外側に形成された配線プラグ5aと電気的に接続されている。第1可動電極24aは、例えば、配線3や配線プラグ5a,5b,5c等を介して、外部の発振回路部(例えば、図13に示す発振回路部110)と電気的に接続される。
【0065】
なお、第3振動子20cおよび第5振動子20eは、図10に示すように、第1振動子20aと同様の構成である。
【0066】
第2振動子20bは、固定電極22と、第3電極(以下、本実施形態において第2可動電極という)24bと、を有する。第2可動電極24bは、下地層11上に形成された第2支持部27bと、第2支持部27bから第1方向とは反対方向の第2方向(図示の例では、+Y方向)に延出して固定電極22と対向する第2梁部26bと、下地層11上に形成され第2支持部27bと連続する第2固定部25bと、で構成されている。第1梁部26aに対向する固定電極22の領域と、第2梁部26bに対向する固定電極22の領域は、図示の例では、重ならない。第3電極24bは、空洞部32内に収容されている。
【0067】
第2可動電極24bは、空洞部32内で配線403と電気的に接続され、配線403を介して、空洞部32の外側に形成された配線プラグ405aと電気的に接続されている。第2可動電極24bは、例えば、配線403や配線プラグ405a,405b,405c等を介して、外部の発振回路部と電気的に接続される。
【0068】
なお、第4振動子20dおよび第6振動子20fは、図10に示すように、第2振動子20bと同様の構成である。
【0069】
固定電極22は、第1〜第6振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fの共通電極である。図10に示すように、第1振動子20aと第2振動子20bとは、固定電極22を挟んでY方向に並んで配置されている。第3振動子20cと第4振動子20dとは、固定電極22を挟んでY方向に並んで配置されている。第5振動子20eと第6振動子20fとは、固定電極22を挟んでY方向に並んで配置されている。固定電極22の平面形状は、図10に示すように、例えば、長方形である。固定電極22は、互いに対向する第1側面f1と、第2側面f2と、を有している。第1可動電極24aの第1梁部26aは、第1側面f1側から第2側面f2側に延出して、固定電極22の一部と対向している。第2可動電極24bの第2梁部26bは、第2側面f2側から第1側面f1側に延出して、固定電極22の一部と対向している。
【0070】
第1〜第6振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fは、例えば、互いに異なる固有振動数を有している。例えば、第1〜第6振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fは、互いに異なる可動電極24a,24bの形状を有することによって、互いに異なる固有振動数を有することができる。
【0071】
MEMS素子400によれば、固定電極22は、第1〜第6振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fの共通電極である。したがって、固定電極22と、空洞部32の外側に形成された配線プラグ(図示しない)と、を電気的に接続する配線2の取り回しを簡略化することができる。
【0072】
MEMS素子400によれば、複数の振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fを1つの空洞部32に収容することができる。したがって、MEMS素子100と同様の効果を奏することができる。
【0073】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るMEMS素子500について、図面を参照しながら説明する。図11は、MEMS素子500を模式的に示す断面図である。図12は、図11に示すMEMS素子500の空洞部32内を模式的に示す平面図である。なお、第3実施形態に係るMEMS素子500において、上述した第1実施形態および第2実施形態に係るMEMS素子100,400の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
MEMS素子500は、図11および図12に示すように、基板10と、第1電極(以下、本実施形態において第1固定電極という)22aと、第2電極(以下、本実施形態において第2固定電極という)22bと、第3電極(以下、本実施形態において第3固定電極という)22cと、第4電極(以下、本実施形態において第1可動電極という)24aと、第5電極(以下、本実施形態において第2可動電極という)24bと、層間絶縁層30と、を含む。MEMS素子500は、さらに、第3可動電極24cと、第4可動電極24dと、第1被覆層40と、第2被覆層50と、を含むことができる。
【0075】
第1固定電極22a、第2固定電極22b、第3固定電極22cは、下地層11上(基板10の上方)に形成されている。第1〜第3固定電極22a,22b,22cは、図11および図12に示すように、Y方向に並んでいる。図示の例では、第1固定電極22aと第2固定電極22bの間に第3固定電極22cが形成されている。なお、図11および図12では、Y方向は、空洞部32の第2辺32aに沿う方向であり、X方向は、空洞部32の第1辺32bに沿う方向である。第1〜第3固定電極22a,22b,22cは、互いに離間して形成されている。
【0076】
第1可動電極24aは、下地層11上であって第1固定電極22aと第3固定電極22cとの間に形成された第1支持部27aと、第1支持部27aから延出され第1固定電極22aに対向する第1梁部26a−1と、第1支持部27aから延出され第3固定電極22cの一部に対向する第2梁部26a−2と、で構成されている。図示の例では、第1梁部26a−1は、第1支持部27aから+Y方向に延出し、第2梁部26a−2は、第1支持部27aから−Y方向に延出している。すなわち、第1梁部26a−1と第2梁部26a−2とは、第1支持部27aから互いに反対方向に延出している。
【0077】
第2可動電極24bは、下地層11上であって第2固定電極22bと第3固定電極22cとの間に形成された第2支持部27bと、第2支持部27bから延出され第3固定電極22cの一部に対向する第3梁部26b−1と、第2支持部27bから延出され第2固定電極22bに対向する第4梁部26b−2と、で構成されている。図示の例では、第3梁部26b−1は、第2支持部27bから+Y方向に延出し、第4梁部26b−2は、第2支持部27bから−Y方向に延出している。すなわち、第3梁部26b−1と第4梁部26b−2とは、第2支持部27bから互いに反対方向に延出している。
【0078】
第3可動電極24cは、下地層11上に形成された第3支持部27cと、第3支持部27cから延出して第1固定電極22aと対向する第5梁部26cと、下地層11上に形成され第3支持部27cと連続する固定部25cと、で構成されている。第5梁部26cは、図示の例では、第3支持部27cから−Y方向に延出している。
【0079】
第4可動電極24dは、下地層11上に形成された第4支持部27dと、第4支持部27dから延出して第2固定電極22bと対向する第6梁部26dと、下地層11上に形成され第4支持部27dと連続する固定部25dと、で構成されている。第6梁部26dは、図示の例では、第4支持部27dから+Y方向に延出している。
【0080】
固定電極22a,22b,22c、可動電極24a,24b,24c,24dは、空洞部32内に収容されている。空洞部32内の下地層11上には、平面視において、第3可動電極24cの第3支持部27c、第1固定電極22a、第1可動電極24aの第1支持部27a、第3固定電極22c、第2可動電極24bの第2支持部27b、第2固定電極22b、第4可動電極24dの第4支持部27dが、−Y方向にこの順に並んで形成されている。
【0081】
第1〜第3固定電極22a,22b,22cの各々は、例えば、図12に示すように、空洞部32内で配線2と電気的に接続され、配線2を介して外部の発振回路部(例えば、図13に示す発振回路部110)と電気的に接続されている。また、第1〜第3可動電極24a,24b,24cの各々は、例えば、空洞部32内で配線3と電気的に接続され、配線3を介して外部の発振回路部と電気的に接続されている。
【0082】
MEMS素子500において、第1固定電極22aと第1梁部26a−1とは、第1振動子20aを構成している。第3固定電極22cと第2梁部26a−2とは、第2振動子20bを構成している。第3固定電極22cと第3梁部26b−1とは、第3振動子20cを構成している。第2固定電極22bと第4梁部26b−2とは、第4振動子20dを構成している。第1固定電極22aと第3可動電極24cは、第5振動子20eを構成している。第2固定電極22bと第4可動電極24dとは、第6振動子20fを構成している。第1〜第6振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fは、互いに異なる固有振動数を有することができる。例えば、第1〜第6振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fは、互いに異なる梁部26a−1,26a−2,26b−1,26b−2,26c,26dの形状を有することにより、互いに異なる固有振動数を有することができる。
【0083】
MEMS素子500によれば、複数の振動子20a,20b,20c,20d,20e,20fを1つの空洞部32に収容することができる。したがって、MEMS素子100と同様の効果を奏することができる。
【0084】
4. 第4実施形態
4.1. 発振器
次に、第4実施形態に係る発振器1000について、図面を参照しながら説明する。発振器1000は、本発明に係るMEMS素子を有する。ここでは、本発明に係るMEMS素子として、MEMS素子100を用いた例について説明する。図13は、発振器1000を模式的に示す構成図である。
【0085】
発振器1000は、図13に示すように、MEMS素子100と、発振回路部110と、スイッチ120a,120b,120c,130a,130b,130cと、を含むことができる。
【0086】
発振回路部110は、例えば、トランジスターやコンデンサー等の回路素子を有している。発振回路部110は、例えば、振動子20a,20b,20cを動作させるための帰還増幅回路である。
【0087】
第1振動子20aの一方の電極(例えば、図1に示す固定電極22)は、スイッチ120aを介して、発振回路部110に電気的に接続されることができ、第1振動子20aの他方の電極(例えば、図1に示す可動電極24)は、スイッチ130aを介して、発振回路部110に電気的に接続されることができる。第2振動子20bの一方の電極は、スイッチ120bを介して、発振回路部110に電気的に接続されることができ、第2振動子20bの他方の電極は、スイッチ130bを介して、発振回路部110に電気的に接続されることができる。第3振動子20cの一方の電極は、スイッチ120cを介して、発振回路部110に電気的に接続されることができ、第3振動子20cの他方の電極は、スイッチ130cを介して、発振回路部110に電気的に接続されることができる。
【0088】
第1〜第3振動子20a,20b,20cは、それぞれ異なる固有振動数を有することができる。発振器1000では、スイッチ120a,120b,120c,130a,130b,130cを制御することで、第1〜第3振動子20a,20b,20cのうちの1つを選択することができる。この選択された振動子と発振回路部110とによって、選択された振動子の固有振動数に応じた共振周波数を有する発振回路が構成される。なお、図示の例では、MEMS素子100が、3つの振動子20a,20b,20cを有しているが、振動子の数は特に限定されない。
【0089】
スイッチ120a,120b,120c,130a,130b,130cとしては、例えば、アナログスイッチ、MEMSスイッチ等を用いることができる。なお、図示の例では、スイッチ120a,120b,120c,130a,130b,130cを用いているが、振動子20a,20b,20cを選択できる素子であれば限定されず、例えば、ヒューズ(図示しない)を用いてもよい。
【0090】
発振器1000では、例えば、所望の共振周波数が得られる梁部26の長さL(図1および図2参照)の設計値付近で段階的に長さLを変えた第1〜第3振動子20a,20b,20cを形成し、この第1〜第3振動子20a,20b,20cのうちの最も所望の共振周波数に近い共振周波数が得られる振動子を選択して、発振回路を形成することができる。また、例えば、所望の共振周波数が得られる梁部26の長さLの設計値で第1〜第3振動子20a,20b,20cを形成し、この第1〜第3振動子20a,20b,20cのうちの最も所望の共振周波数に近い共振周波数が得られる振動子を選択して、発振回路を形成することができる。したがって、発振器1000によれば、所望の共振周波数を有する発振器を高い歩留まりで得ることができる。なお、ここでは、梁部26の長さLを変えた場合について説明したが、梁部26の膜厚T(図1参照)を変えても同様である。
【0091】
4.2. 変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発振器について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例に係る発振器において、発振器1000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0092】
(1)第1変形例
まず、第1変形例に係る発振器2000について説明する。図14は、発振器2000を模式的に示す構成図である。
【0093】
発振器1000の例では、第1〜第3振動子20a,20b,20cに対して1つの発振回路部110を有していた。これに対して、発振器2000は、第1〜第3振動子20a,20b,20cの各々に対して発振回路部110a,110b,110cを有することができる。
【0094】
図14に示すように、第1振動子20aの一方の電極(例えば、図1に示す固定電極22)は、スイッチ120aを介して、第1発振回路部110aに電気的に接続されることができ、第1振動子20aの他方の電極(例えば、図1に示す可動電極24)は、スイッチ130aを介して、第1発振回路部110aに電気的に接続されることができる。第2振動子20bの一方の電極は、スイッチ120bを介して、第2発振回路部110bに電気的に接続されることができ、第2振動子20bの他方の電極は、スイッチ130bを介して、第2発振回路部110aに電気的に接続されることができる。第3振動子20cの一方の電極は、スイッチ120cを介して、第3発振回路部110cに電気的に接続されることができ、第3振動子20cの他方の電極は、スイッチ130cを介して、第3発振回路部110cに電気的に接続されることができる。発振器2000では、スイッチ120a,120b,120c,130a,130b,130cを制御することで、第1〜第3振動子20a,20b,20cのうちの1つを選択することができる。この選択された振動子と、対応する発振回路部と、によって、選択された振動子の固有振動数に応じた共振周波数を有する発振回路が構成される。
【0095】
発振器2000では、互いに異なる固有振動数を有する第1〜第3振動子20a,20b,20cを選択して用いることができるため、1つの発振器から3つの周波数信号を出力することができる。
【0096】
発振器2000は、1つの振動子に対して1つの発振回路部を有している。したがって、各振動子20a,20b,20cの有する固有振動数の差が大きい場合、具体的には、例えば、各振動子20a,20b,20cの有する固有振動数の差が50〜100MHzの場合でも、各振動子に応じた発振回路を形成することができる。
【0097】
(2)第2変形例
次に、第2変形例に係る発振器3000について説明する。図15は、発振器3000を模式的に示す構成図である。以下、発振器3000において、発振器2000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0098】
発振器2000の例では、第1〜第3振動子20a,20b,20cの各々に対して発振回路部110a,110b,110cを有していた。これに対して、発振器3000は、第1〜第3振動子20a,20b,20cに対して1つの発振回路部3110を有することができる。これにより、発振器2000と比べて、発振回路部が1つでよいため、装置の小型化や配線の取り回しの簡略化を図ることができる。
【0099】
発振器3000では、各振動子20a,20b,20cの有する固有振動数の差が小さいことが望ましく、具体的には、例えば、各振動子20a,20b,20cの有する固有振動数の差が50MHzより小さいことが望ましい。
【0100】
発振器3000によれば、発振器2000と同様に、互いに異なる固有振動数を有する第1〜第3振動子20a,20b,20cを選択して用いることができるため、1つの発振器から3つの周波数信号を出力することができる。
【0101】
発振器3000によれば、発振回路部が1つでよいため、装置の小型化や配線の取り回しの簡略化を図ることができる。
【0102】
なお、上述した各実施形態および各変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0103】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0104】
2 配線、3 配線、4a,4b,4c 配線プラグ、5a,5b,5c 配線プラグ、
6 保護膜、10 基板、11 下地層、20a 第1振動子、20b 第2振動子、
20c 第3振動子、20d 第4振動子、20e 第5振動子、20d 第6振動子、
22 固定電極、22a 第1固定電極、22b 第2固定電極、
22c 第3固定電極、26 梁部、27 支持部、28 固定部、29 犠牲層、
30 層間絶縁層、32 空洞部、40 第1被覆層、42 貫通孔、
50 第2被覆層、100 MEMS素子、110 発振回路部、
120a,120b,120c スイッチ、130a,130b,130c スイッチ、
200,300,400 MEMS素子、403 配線、
405a,405b,405c 配線プラグ、500 MEMS素子、
1000,2000,3000 発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に形成された空洞部と、
前記空洞部に収容された第1振動子と、
前記空洞部に収容された第2振動子と、
を含む、MEMS素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記空洞部は、平面視において、第1辺と、前記第1辺よりも長さの短い第2辺と、を有し、
前記第1振動子および前記第2振動子は、平面視において、前記第1辺に沿って配置されている、MEMS素子。
【請求項3】
請求項1または2において、
さらに、前記空洞部に収容された第3振動子を含み、
前記第1振動子および前記第2振動子は、平面視において、第1方向に延びる第1仮想直線上に配置され、
前記第3振動子は、平面視において、前記第1方向に延びる第2仮想直線と、前記第1振動子と前記第2振動子との間を通り前記第1方向と直交する第2方向に延びる第3仮想直線と、が交差する位置に配置されている、MEMS素子。
【請求項4】
基板と、
前記基板の上方に形成された第1電極と、
前記基板の上方に形成された第1支持部、および前記第1支持部から第1方向に延出して前記第1電極の一部と対向する第1梁部、を有する第2電極と、
前記基板の上方に形成された第2支持部、および前記第2支持部から前記第1方向とは反対方向の第2方向に延出して前記第1電極の一部に対向する第2梁部、を有する第3電極と、
前記基板の上方に形成され、前記第1電極、前記第2電極、および前記第3電極を収容する空洞部と、
を含み、
前記第1電極および前記第2電極は、第1振動子をなし、
前記第1電極および前記第3電極は、第2振動子をなしている、MEMS素子。
【請求項5】
基板と、
前記基板の上方に形成された第1電極と、
前記基板の上方に形成された第2電極と、
前記基板の上方であって、前記第1電極と前記第2電極の間に形成された第3電極と、
前記基板の上方であって前記第1電極と前記第3電極との間に形成された第1支持部、前記第1支持部から延出され前記第1電極に対向する第1梁部、および前記第1支持部から延出され前記第3電極の一部に対向する第2梁部、を有する第4電極と、
前記基板の上方であって前記第2電極と前記第3電極との間に形成された第2支持部、前記第2支持部から延出され前記第3電極の一部に対向する第3梁部、および前記第2支持部から延出され前記第2電極に対向する第4梁部、を有する第5電極と、
前記基板の上方に形成され、前記第1から第5電極を収容する空洞部と、
を含み、
前記第1電極および前記第1梁部は、第1振動子をなし、
前記第3電極および前記第2梁部は、第2振動子をなし、
前記第3電極および前記第3梁部は、第3振動子をなし、
前記第4電極および前記第4梁部は、第4振動子をなしている、MEMS素子。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記基板の上方に形成された絶縁部を含み、
前記空洞部は、前記絶縁部に設けられている、MEMS素子。
【請求項7】
請求項6において、
前記絶縁部は、複数の層間絶縁層からなる、MEMS素子。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、
前記基板の上方に、平面視において、前記空洞部を囲むガードリングが形成されている、MEMS素子。
【請求項9】
請求項8において、
前記ガードリングは、導電性の材料からなる、MEMS素子。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のMEMS素子を含む、発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−189423(P2011−189423A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55489(P2010−55489)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】