OFDM方式モデム
【課題】OFDM方式モデムにおいて、受信信号の最大値以上の電圧を発生する高電圧生成回路を設けることなく受信スイッチの動作の信頼性を確保できるようにする。
【解決手段】制御部2が変調および復調を行い回線接続部4を介して通信の回線10に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路11に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部20、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレー21,211,212を備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御する。
【解決手段】制御部2が変調および復調を行い回線接続部4を介して通信の回線10に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路11に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部20、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレー21,211,212を備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、親機と複数の子機との間でOFDM通信方式により相互通信を行う場合の親機や子機に使用されるOFDM方式モデムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing(直交周波数分割多重))方式が多く使用されている。
OFDM方式は図10に示すとおり、キャリアごとにデータを変調した波形を重ね合わせる方式である。局所的な周波数帯域の外来ノイズに強く、また帯域を効率よく使うことで伝送速度を上げることができるなどの利点がある。
【0003】
親機と複数の子機との間でOFDM通信方式により相互通信を行う場合の親機や子機に使用されるOFDM方式モデムはツイストペアのメタル線を回線とする上記の利点を備えたモデムであり、100kHz〜500kHzの帯域を用いて最大10km程度の通信を行うことができる。
【0004】
OFDM方式モデムの構成を図11に示す。
図11において、OFDM方式モデム1は、制御部2、信号増幅部3、回線接続部4、トランジスタからなる受信スイッチ5、信号増幅部6、デジタル信号インタフェース7を備えている。
【0005】
OFDM方式モデム1は、デジタル信号をOFDM信号に変調して回線10へ送信したり、回線10から受信したOFDM信号をデジタル信号に復調したりする機能を持つ。
OFDM方式モデム1は、送信回路と受信回路、および回線接続部から構成される。
【0006】
送信回路は以下のように構成される。制御部2で、デジタル信号インタフェース7を介して得たデジタルデータ8のデジタル信号のOFDM方式のアナログ送信信号への変調や、外部の他のOFDM方式モデムから送信されてきたOFDM方式のアナログ受信信号のデジタル信号への復調を行う。信号増幅部3で、制御部2から送信するアナログ信号を増幅する。
【0007】
受信回路は以下のように構成される。受信スイッチ5は、信号を送信するときのみ絶縁し、それ以外の、信号を受信する状態や待機状態にあるときには導通する。信号増幅部6は、制御部2での受信信号の信号処理を可能とするために、回線接続部4を介して受信通信路11を経て受信した受信信号を増幅する。
【0008】
また、外部へのインターフェースとしての回線接続部4は、受信通信路11および送信通信路12を介して受信回路および送信回路を回線10と接続するいわゆる送受信を行う部分である。デジタル信号インタフェース7は、デジタル信号の処理や送受信を行う部分で、例えば、デジタルデータ8のデジタル信号を制御部2内のCPUで処理可能なデジタル信号9へ処理するための信号処理や、イーサネット(登録商標)の回線へ接続するための信号処理を行う。
【0009】
図11に示すOFDM方式モデムの接続形態のバス型接続方式の例を図12に示す。
図12に示すように、1本の基幹回線30に1台のOFDM方式モデムである親機40を接続し、基幹回線30に分岐接続された分岐回線31,32,・・・,33に、分岐回線31,32,・・・,33と基幹回線30とを介して親機40とOFDM通信をする複
数台のOFDM方式モデムである子機41,42,・・・,43を接続し、親機40と子機41,42,・・・,43との間で1対NでのOFDM通信をする。
【0010】
しかし、親機(モデム)40からは、子機(モデム)41,42,・・・,43の台数分だけ回線に並列に接続されているように見えるため、親機40から見える受信インピーダンスは子機の台数に反比例して低くなってしまう。受信インピーダンスが低くなると信号が減衰してしまうため、通信性能は低下する。
【0011】
この問題に対して、モデムの受信インピーダンスを高くすることによって、モデムを複数台接続したときの通信性能の低下を抑えることができる。
【0012】
このような受信インピーダンスを高くする手法については、OFDM通信方式ではないが、例えば特開平8−186650号公報(特許文献1)の段落[0025]、図2に挙げられている。この特許文献1では、インターホン設備において、通信していない場合にはトランジスタのON・OFFにより高インピーダンスとし、通信しているときには回線とのインピーダンスマッチングをすることによって、複数台の装置を接続したときの性能低下を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−186650号公報(段落[0025]、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように、受信インピーダンスを高くすると、子機を複数台接続したときの性能低下を抑えることができる。一方で、受信インピーダンスを高くすると、受信信号の振幅電圧が高くなってしまう。OFDM通信方式ではない上記の特許文献1でもそうであるが、従来のOFDM方式モデムでも、図11、図14に示すように受信の切り替えを行う受信スイッチ5としてトランジスタTr1,Tr2を使用している。
【0015】
受信スイッチ5としてトランジスタTr1,Tr2を使用したときの動作は以下のとおりである。
信号を受信している状態では、トランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に電圧をかけることによって電流を流し、コレクタ−エミッタ間を導通させて信号が通る状態にする。また、受信回路を切るときには、ベースを接地させることで、コレクタ−エミッタ間は絶縁状態となり、受信信号はコレクタ−エミッタ間を通らなくなり、制御部2に至らなくなる。
【0016】
このような手法を用いて受信の切り替えを行うためには、ベースからエミッタへと電流を流す必要があるため、ベースに印加する制御電圧はエミッタに印加される受信信号の最大電圧より大きい電圧でなければならない。
【0017】
このような技術的観点において、特許文献1が対象としているインターホンのような通常の通信方式では信号の電圧は低い電圧に定められており、高電圧の信号となることはないため問題とならない。
【0018】
しかし、OFDM通信方式では、図13に示すように最大の電圧値は平均の電圧値の数倍のレベルとなることがある。例えば、実効値σは3〜4ボルト程度であっても、瞬間的な最大値(信号電圧の最大振幅Nσの2倍)としては64ボルトもの電圧が発生する可能性がある。
【0019】
従って、OFDM通信方式に親機や子機として使用するOFDMモデムでは、送信時にOFF、受信時・待機時にONと制御される受信スイッチ5としてトランジスタTr1,Tr2を使用する場合は、トランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に印加する制御電圧は、信号電圧の実効値は3〜4ボルトを超える程度の制御電圧とするのではなく最大値64ボルトを上回る高電圧とする方が受信スイッチ5の動作の信頼性が向上する。
【0020】
しかし、受信スイッチ5の動作の信頼性が向上するためにトランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に印加する制御電圧を受信信号の最大値以上にするにしても、OFDM方式モデム1の内部においてこのような64ボルトを上回る高電圧は使用していないため、図14に示すように、トランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に印加する制御電圧の電源として、OFDM通信方式における受信信号の最大値以上の例えば70ボルトの電圧を発生する高電圧生成回路13を新たに設ける必要がある。高電圧を生成する電圧生成回路13を追設すると、回路の規模が大きくなり、部品点数も増えて、回路構成費用が高くなってしまうだけでなく、高電圧生成回路13は通信を妨害する周波数帯のノイズを発生しやすく、通信性能への影響の懸念がある。
【0021】
この発明は、前述のような実情に鑑みてなされたもので、OFDM方式モデムにおいて、受信信号の最大値以上の電圧を発生する高電圧生成回路を設けることなく受信スイッチの動作の信頼性を確保できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明に係るOFDM方式モデムは、制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御するものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御するので、高電圧生成回路を設けることなく受信スイッチの動作の信頼性を確保でき、ひいてはOFDM方式モデムのコスト削減、および、通信性能の向上が期待できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す図で、図1における主要部の具体的な事例を接続図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す図で、図2における受信スイッチの具体的な事例を接続図である。
【図4】この発明の実施の形態2を示す図で、OFDM方式モデムを適用可能な親機と子機との接続形態の事例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の他の事例を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態5を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態5を示す図で、図8のOFDM方式モデムの動作フローを例示する図である。
【図10】OFDM通信方式における信号波形の事例を示す図である。
【図11】この発明に至る前のOFDM方式モデムのシステム構成を例示するブロック図である。
【図12】OFDM方式モデムを使用した親機と子機との接続形態の一例であるバス型接続方式の事例を示す図である。
【図13】OFDM通信方式における受信信号の電圧波形の事例を示す図である。
【図14】OFDM方式モデムにおける受信スイッチがトランジスタの場合の受信スイッチ周りの構成を示す接続図である
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を、図1〜図4によって説明する。図1はOFDM方式モデムのシステム構成の一例を示すブロック図、図2は図1における主要部の具体的な事例を接続図、図3は図2における受信スイッチの具体的な事例を接続図である。
【0026】
図1および図2において、OFDM方式モデム1は、制御部2、信号増幅部3、回線接続部4、信号増幅部6、デジタル信号インタフェース7、受信通信路11、送信通信路12、高インピーダンス受信部20、およびフォトモスリレー(Photo MOS Relay)211、212からなる受信スイッチ21を備えている。
【0027】
受信スイッチ21であるフォトモスリレー211,212は、光MOSFETリレーとも言われ、通電制御されるLED(発光ダイオード)の発光の有無により出力回路のMOS FETがON・OFF動作するリレーであり、光に応動してON・OFFする固体スイッチ(Solid State Switch)でもある。
【0028】
OFDM方式モデム1は、デジタル信号をOFDM信号に変調して回線10へ送信したり、回線10から受信したOFDM信号をデジタル信号に復調したりする機能を持つ。
OFDM方式モデム1は、送信回路と受信回路、および回線接続部から構成される。
【0029】
送信回路は以下のように構成される。制御部2で、デジタル信号インタフェース7を介して得たデジタルデータ8のデジタル信号のOFDM方式のアナログ送信信号への変調や、外部の他のOFDM方式モデムから送信されてきたOFDM方式のアナログ受信信号のデジタル信号への復調を行う。信号増幅部3で、制御部2から送信するアナログ信号を増幅する。信号増幅部3は内部に送信スイッチ機能を有しており、自身が回線に信号を送信するときには導通し、それ以外のときには絶縁して、制御部2の送信出力が送信通信路12を介して回線接続部4から回線10に送信されないようにする。
【0030】
受信回路は以下のように構成される。受信スイッチ21は、信号を送信するときのみ絶縁し、それ以外の、信号を受信する状態や待機状態にあるときには導通する。信号増幅部6は、制御部2での受信信号の信号処理を可能とするために、回線接続部4および受信通
信路11を介して受信スイッチ21および高インピーダンス受信部20を経た受信信号を増幅する。
【0031】
また、外部へのインターフェースとしての回線接続部4は、受信通信路11および送信通信路12を介して前記受信回路および前記送信回路を回線10と接続するいわゆる送受信を行う部分である。デジタル信号インタフェース7は、デジタル信号の処理や送受信を行う部分で、例えば、デジタルデータ8のデジタル信号を制御部2内のCPUで処理可能なデジタル信号9へ処理するための信号処理や、イーサネット(登録商標)の回線へ接続するための信号処理を行う。
【0032】
高インピーダンス受信部20は、2本の受信通信路11に跨って接続された高インピーダンス化回路であり、図2に例示してあるように、一方の受信通信路11に直列接続の第1のオペアンプ(演算増幅器)201aと、他方の受信通信路11に直列接続の第2のオペアンプ(演算増幅器)201bと、抵抗r1,r2,r3と、静電容量c,cと実現できる。静電容量c,cの中間電位点は接地電位の端子Gされており、第1のオペアンプ(演算増幅器)201aおよび第2のオペアンプ(演算増幅器)201bの差動線間に入れた抵抗値で受信インピーダンスを決定できる。抵抗r1は約500Ω、r2は約1kΩ、r3は約500Ωとすることで高インピーダンス化できる。
【0033】
受信スイッチ21であるフォトモスリレー211,212は、そのLED(発光ダイオード)への制御部2による通電制御により開閉制御される。
【0034】
受信スイッチであるフォトモスリレー211,212は、何れも図3に例示してあるように、互いに直列接続されON・OFF出力回路を構成する一対のMOS FET1,MOS FET2と、MOS FET1に並列接続のダイオードD1と、MOS FET2に並列接続のダイオードD2と、MOS FET1,MOS FET2のゲートに直列接続の光発電セルPDAと、光発電セルPDAに直列接続のダイオードD3と、制御部2からの受信スイッチ制御により通電されたときに発光して当該発光光を光発電セルPDAに照射する発光ダイオードLEDと、発光ダイオードLEDへの通電時にOFFとなるスイッチング部SSSとで構成されている。なお、図3には、フォトモスリレー211のみ図示し、フォトモスリレー212は図示を省略してある。フォトモスリレー212は図示を省略してあるが、図示のフォトモスリレー211と構成、機能が同じである。
【0035】
図2に例示のように、前記対を成す受信通信路11のそれぞれにフォトモスリレーが直列接続されている。つまり、フォトモスリレーの、互いに直列接続されON・OFF出力回路を構成する一対のMOS FET1,MOS FET2が前記対を成す受信通信路11のそれぞれに直列接続されている。
【0036】
制御部2からの受信スイッチ制御により通電されて発光ダイオードLEDが発光すると、その発光光が光発電セルPDAに照射され、光発電セルPDAの出力電圧がダイオードD3を介して一対のMOS FET1,MOS FET2のそれぞれのゲートに印加され、一対のMOS FET1,MOS FET2のそれぞれが導通し、受信通信路11の受信信号は、導通した一対のMOS FET1,MOS FET2を通って、高インピーダンス受信部20および信号増幅部6を経由して制御部2で受信される。
【0037】
高インピーダンス受信部20は、一対のMOS FET1,MOS FET2のソース・ドレインに対して直列接続されているのでMOS FET1,MOS FET2のソース・ドレイン間に流れる電流を許容電流値に抑制する。換言すれば、高インピーダンス受信部20を設けることによって、MOS FET1,MOS FET2を出力回路に有するフォトモスリレー21を、受信回路をON・OFF(断・続)を行う受信スイッチ21として使用することができる。しかも、フォトモスリレー21の出力回路であるMOS FET1,MOS FET2のON・OFF動作は、回線10から受信線路11に受信された受信信号の信号振幅の大きさには無関係に行わせることができるので、トランジスタを受信スイッチに使用する場合のような高電圧生成回路13を設ける必要がなくなり、従って、OFDM方式モデムにおいてトランジスタを受信スイッチに使用する場合における課題、即ち「回路の規模が大きくなり、部品点数も増えて、回路構成費用が高くなってしまうだけでなく、高電圧生成回路13は通信を妨害する周波数帯のノイズを発生しやすく、通信性能への影響の懸念がある」という課題を解消できる。
【0038】
また、高インピーダンス受信部20は、受信インピーダンスを高インピーダンスとする機能も併せ持つので、子機を複数台接続したときの性能低下を抑えることもできる。
【0039】
なお、フォトモスリレー21,211,212は、高電圧受信信号の入切であっても、一般的な信号に使われる3.3Vなどの電圧で制御できる。そのため、高電圧を生成するための高電圧生成回路が不要となる。
高インピーダンス受信部20による高インピーダンス化については、インピーダンスの不整合があると反射波が発生しノイズとなる。そのため、回線インピーダンスと受信インピーダンスを整合させることが一般的である。しかし、OFDM方式ではガードインターバル等の、反射波の影響を抑えるしくみが採用されており、受信回路の高インピーダンス化は、あまり性能に影響を与えない。
【0040】
上述のように、実施の形態1のOFDM方式モデムは、制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御することを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0041】
また、実施の形態1のOFDM方式モデムは、OFDM方式モデムにおいて、親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑えるために子機の受信インピーダンスを高インピーダンスとする回路を備えたモデムであって、受信ラインの開閉を切り替える手段としてトランジスタではなくフォトモスリレーを備えることによって、通常の信号電圧にて受信ラインの開閉制御を可能としたことを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0042】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を、図4および図5によって説明する。図4はOFDM方式モデムを適用可能な親機と子機との接続形態の事例を示す図、図5はOFDM方式モデムのシステム構成の他の事例を示すブロック図である。
【0043】
OFDM方式モデムを使用した親機と子機との接続形態の一例を示す図12で例示したバス型の構成ではなく、図4に示すようにOFDM方式モデムを使用した親機と子機との接続形態がスター型の構成の場合、各OFDM方式モデムに接続される各回線がバス型の構成の場合に比べて長くなってしまうため、信号の減衰が大きくなる。そのため、通信性能が低下してしまい、特に親局から最も遠距離に設置された子機Nへの通信が困難となる場合がある。これを防ぐためには、親機や子機Nから見える他の子機1からN−1までの受信インピーダンスをさらに高くする必要がある。そこで、図5に示すようにモデム1に回線接続部4A,4Bの2つを設ける。
【0044】
また、回線接続部4A、4Bとモデム1内部の通信路11,12との間にはそれぞれ巻
線比の異なるトランス22A,22Bをそれぞれ接続する。トランス22Aの巻線比を1:1、トランス22Bの巻線比を1:2としたとき、回線接続部4Aには巻線比が1:1のトランス22Aを、回線接続部4Bには巻線比が1:2のトランス22Bを接続する。トランスのインピーダンス比は巻線比の2乗に比例するため、1:2のトランス22Bのインピーダンス比は1:4となり、回線接続部4Bに接続する回線および回線に接続される全てのモデムの受信インピーダンス、すなわち回線のインピーダンスは他のモデムから見たときに実際のインピーダンスの4倍に見える。
【0045】
したがって、遠距離に設置する子機Nを回線10Aに、近距離に設置する子機1から子機N−1までを回線10Bにそれぞれ接続すると、回線10Bに接続された回線と、回線に接続された子機1から子機N−1の受信インピーダンス、すなわち回線接続部4Bに接続された回線のインピーダンスは、親機や子機Nから見たときのインピーダンスを実際の4倍と、高く見せることができる。
【0046】
図5に示した実施の形態2にように、複数の回線接続部4A、4Bを設けると共に、回線接続部4A、4Bのそれぞれに対応して巻線比の異なるトランス22A,22Bを設けることにより、他の回線のインピーダンスを高く見せることができる。そのため、遠距離に設置されたモデムと通信する場合に、他の回線のインピーダンスの影響を減らすことができる。したがって、受信性能を向上させることができる。なお、上記のトランスの巻線比は例であり、他の巻線比であっても、同等の効果を得られる。
【0047】
上述のように、実施の形態2のOFDM方式モデムは、回線接続部が複数設けられると共に、各回線接続部に対応してそれぞれ巻線比の異なるトランスが設けられ、前記各回線接続部および前記各トランスを介して異なる回線に接続されることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0048】
また、実施の形態2のOFDM方式モデムは、回線接続部を複数備え、各回線接続部にはそれぞれ巻線比の異なるトランスを備えることによって、モデムの受信回路のインピーダンスを高くするだけではなく、他の回線接続部に接続される回線のインピーダンスを高くすることによって、回線接続がスター型である場合でも通信性能の低下を抑えることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0049】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を、図6によって説明する。
実施の形態2では巻線比の異なる複数のトランス22A,22BをOFDM方式モデム1内に設けた事例を例示したが、図6に例示してあるように、巻線比を変えているトランスを外部ユニット化して、OFDM方式モデム1の筐体の外側に、トランス外部ユニット22を設置してもよい。なお、トランス外部ユニット22は、巻線比が1:2のトランス22Bを内蔵している。巻線比が1:1のトランス22AはOFDM方式モデム1内に設けてある。
【0050】
実施の形態3によれば、トランス外部ユニット22を変更するだけで、トランスの巻線比を柔軟に変更できるため、OFDM方式モデム1の設置後からでも適切なトランスを選択することができる。
【0051】
上述のように、実施の形態3のOFDM方式モデムは、前記トランスの少なくとも一が、モデムの筐体の外側に配置されていることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0052】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4を、図7によって説明する。
実施の形態2ではトランスの巻線比が固定であった。しかし、トランスの巻線比が1:Nの場合、トランスの電圧比は、1:1/Nとなるため、近距離のモデムに接続する回線に挿入したトランスは親機から子機への送信信号を1/Nのレベルまで減衰させてしまう。すなわち、トランスの巻線比が大きいほど、遠距離のモデムからみえる、近距離のモデムが接続された回線のインピーダンスは高くなるため、親機と遠距離のモデムとの通信性能は向上するが、近距離のモデムへの信号減衰量が大きくなるため、親機と近距離のモデムとの通信性能は低下する。よって、実施の形態4ではトランスの巻線比を変えることによって、遠距離のモデムから見える、近距離のモデムが接続された回線のインピーダンスと、近距離のモデムが接続された回線の減衰量を調整することができるようにする。
【0053】
そこで、図7のように巻数比を任意に切り替えられるように、複数のトランスを設ける。図7では、巻線比1:2のトランスB1(22B),巻数比1:√2のトランスB2(22C)を設けている。さらに、OFDM方式モデム1の内部回路とトランスB1(22B),B2(22C)の間、およびトランスB1(22B),B2(22C)と回線接続部4Bの間に、それぞれスイッチ23を設ける。スイッチ23を例えば手動で切換設定することによって、回線に接続するトランスB1(22B),B2(22C)の何れかを選択的に接続することが可能となる。
【0054】
実施の形態4によれば、回線の特性や通信性能に合わせてトランスを変えることができる。したがって、親機と遠距離のモデムとの通信性能と、親機と近距離のモデムとの通信性能のバランスを取りながら、トランスの選択をすることができる。
【0055】
上述のように、実施の形態4のOFDM方式モデムは、少なくとも一の回線に対して選択的に接続されるそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスを備えていることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0056】
また、実施の形態4のOFDM方式モデムは、各回線に対してそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスと、使用するトランスを手動で変えるための機構を備え、各回線に接続されるモデムの通信性能に合わせて回線のインピーダンスを変更できることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0057】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5を、図8および図9によって説明する。図8はOFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図、図9は図8のOFDM方式モデムの動作フローを例示する図である。
【0058】
実施の形態4において、複数のトランスを設置してインピーダンス比を切り替えられるようにしたが、本実施の形態5は、通信の状態から、使用するのに適したトランスを自動的に選択することができるようにしたものである。
【0059】
本実施の形態5では、制御部2は現状の通信可否や通信速度、受信信号レベルなどを測定しながら、通信の状態を動的に決定している。そこで、各トランスを選択したときの通信状態の測定結果から最適なトランスを選択する仕組みとしてある。実施の形態5を実現可能な形態を図8に例示してある。
【0060】
図8において、制御部2から切り替え可能なリレー24の、制御部2からの指令信号による切り替えによってトランス22Bとトランス22Cのどちらを使用するか選択する。
【0061】
また、制御部2におけるトランス選択処理の流れを図9に例示してある。トランスAと
トランスBとから選択できるとき、制御部2では、図9に例示してあるように、制御部2は、例えばトランスAを選択したときの現状の通信可否や通信速度、受信信号レベルなどの通信性能を測定しながら(ステップST1)、それらの測定信号に基づいて、トランスAを選択したときの性能が十分であるかどうかを判定し(ステップST2)、ステップST2での判定の結果、性能が十分であればトランスAを選択し(ステップST7)、性能が十分でなければトランスBを選択し(ステップST3)、トランスBを選択したときの現状の通信可否や通信速度、受信信号レベルなどの通信性能を測定しながら(ステップST4)、それらの測定信号に基づいて、トランスBを選択したときの性能が十分であるかどうかを判定し(ステップST5)、ステップST5での判定の結果、性能が十分であればトランスBを選択し(ステップST8)、性能が十分でなければ、トランスAとトランスBのどちらの通信性能がよかったかを判定して(ステップST6)、トランスA,Bのどちらかを選択する。
【0062】
本実施の形態5によれば、使用するトランスを手動で設定する必要がなくなり、モデム設置後に回線の状態に合わせて自動的にトランスを選択できるようになるため、モデム設置を効率化できる。
【0063】
上述のように、実施の形態4のOFDM方式モデムは、前記複数のトランスの前記選択的接続が、前記制御部で検出された通信性能に応じて前記制御部によって行われることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0064】
また、実施の形態4のOFDM方式モデムは、各回線部に対してそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスと、使用するトランスを自動で変えるための機構と、信号処理部で検出した通信性能によって、使用するトランスを選択する機構を備え、各回線に接続されるモデムの通信性能に合わせて、回線のインピーダンスを自動で変更できることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0065】
なお、図1〜図14の各図中、同一符合は同一または相当部分を示す。
【符号の説明】
【0066】
1 OFDM方式モデム、
2 制御部、
3 信号増幅部、
4 回線接続部、
5 受信スイッチ(トランジスタ)、
6 信号増幅部、
7 デジタル信号インタフェース、
8 デジタルデータ、
9 デジタル信号、
10 回線、
11 受信通信路、
12 送信通信路、
20 高インピーダンス受信部、
21 フォトモスリレー(受信スイッチ)、
22A,22B,22C トランス、
23 スイッチ、
24 リレー。
【技術分野】
【0001】
この発明は、親機と複数の子機との間でOFDM通信方式により相互通信を行う場合の親機や子機に使用されるOFDM方式モデムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing(直交周波数分割多重))方式が多く使用されている。
OFDM方式は図10に示すとおり、キャリアごとにデータを変調した波形を重ね合わせる方式である。局所的な周波数帯域の外来ノイズに強く、また帯域を効率よく使うことで伝送速度を上げることができるなどの利点がある。
【0003】
親機と複数の子機との間でOFDM通信方式により相互通信を行う場合の親機や子機に使用されるOFDM方式モデムはツイストペアのメタル線を回線とする上記の利点を備えたモデムであり、100kHz〜500kHzの帯域を用いて最大10km程度の通信を行うことができる。
【0004】
OFDM方式モデムの構成を図11に示す。
図11において、OFDM方式モデム1は、制御部2、信号増幅部3、回線接続部4、トランジスタからなる受信スイッチ5、信号増幅部6、デジタル信号インタフェース7を備えている。
【0005】
OFDM方式モデム1は、デジタル信号をOFDM信号に変調して回線10へ送信したり、回線10から受信したOFDM信号をデジタル信号に復調したりする機能を持つ。
OFDM方式モデム1は、送信回路と受信回路、および回線接続部から構成される。
【0006】
送信回路は以下のように構成される。制御部2で、デジタル信号インタフェース7を介して得たデジタルデータ8のデジタル信号のOFDM方式のアナログ送信信号への変調や、外部の他のOFDM方式モデムから送信されてきたOFDM方式のアナログ受信信号のデジタル信号への復調を行う。信号増幅部3で、制御部2から送信するアナログ信号を増幅する。
【0007】
受信回路は以下のように構成される。受信スイッチ5は、信号を送信するときのみ絶縁し、それ以外の、信号を受信する状態や待機状態にあるときには導通する。信号増幅部6は、制御部2での受信信号の信号処理を可能とするために、回線接続部4を介して受信通信路11を経て受信した受信信号を増幅する。
【0008】
また、外部へのインターフェースとしての回線接続部4は、受信通信路11および送信通信路12を介して受信回路および送信回路を回線10と接続するいわゆる送受信を行う部分である。デジタル信号インタフェース7は、デジタル信号の処理や送受信を行う部分で、例えば、デジタルデータ8のデジタル信号を制御部2内のCPUで処理可能なデジタル信号9へ処理するための信号処理や、イーサネット(登録商標)の回線へ接続するための信号処理を行う。
【0009】
図11に示すOFDM方式モデムの接続形態のバス型接続方式の例を図12に示す。
図12に示すように、1本の基幹回線30に1台のOFDM方式モデムである親機40を接続し、基幹回線30に分岐接続された分岐回線31,32,・・・,33に、分岐回線31,32,・・・,33と基幹回線30とを介して親機40とOFDM通信をする複
数台のOFDM方式モデムである子機41,42,・・・,43を接続し、親機40と子機41,42,・・・,43との間で1対NでのOFDM通信をする。
【0010】
しかし、親機(モデム)40からは、子機(モデム)41,42,・・・,43の台数分だけ回線に並列に接続されているように見えるため、親機40から見える受信インピーダンスは子機の台数に反比例して低くなってしまう。受信インピーダンスが低くなると信号が減衰してしまうため、通信性能は低下する。
【0011】
この問題に対して、モデムの受信インピーダンスを高くすることによって、モデムを複数台接続したときの通信性能の低下を抑えることができる。
【0012】
このような受信インピーダンスを高くする手法については、OFDM通信方式ではないが、例えば特開平8−186650号公報(特許文献1)の段落[0025]、図2に挙げられている。この特許文献1では、インターホン設備において、通信していない場合にはトランジスタのON・OFFにより高インピーダンスとし、通信しているときには回線とのインピーダンスマッチングをすることによって、複数台の装置を接続したときの性能低下を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−186650号公報(段落[0025]、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように、受信インピーダンスを高くすると、子機を複数台接続したときの性能低下を抑えることができる。一方で、受信インピーダンスを高くすると、受信信号の振幅電圧が高くなってしまう。OFDM通信方式ではない上記の特許文献1でもそうであるが、従来のOFDM方式モデムでも、図11、図14に示すように受信の切り替えを行う受信スイッチ5としてトランジスタTr1,Tr2を使用している。
【0015】
受信スイッチ5としてトランジスタTr1,Tr2を使用したときの動作は以下のとおりである。
信号を受信している状態では、トランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に電圧をかけることによって電流を流し、コレクタ−エミッタ間を導通させて信号が通る状態にする。また、受信回路を切るときには、ベースを接地させることで、コレクタ−エミッタ間は絶縁状態となり、受信信号はコレクタ−エミッタ間を通らなくなり、制御部2に至らなくなる。
【0016】
このような手法を用いて受信の切り替えを行うためには、ベースからエミッタへと電流を流す必要があるため、ベースに印加する制御電圧はエミッタに印加される受信信号の最大電圧より大きい電圧でなければならない。
【0017】
このような技術的観点において、特許文献1が対象としているインターホンのような通常の通信方式では信号の電圧は低い電圧に定められており、高電圧の信号となることはないため問題とならない。
【0018】
しかし、OFDM通信方式では、図13に示すように最大の電圧値は平均の電圧値の数倍のレベルとなることがある。例えば、実効値σは3〜4ボルト程度であっても、瞬間的な最大値(信号電圧の最大振幅Nσの2倍)としては64ボルトもの電圧が発生する可能性がある。
【0019】
従って、OFDM通信方式に親機や子機として使用するOFDMモデムでは、送信時にOFF、受信時・待機時にONと制御される受信スイッチ5としてトランジスタTr1,Tr2を使用する場合は、トランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に印加する制御電圧は、信号電圧の実効値は3〜4ボルトを超える程度の制御電圧とするのではなく最大値64ボルトを上回る高電圧とする方が受信スイッチ5の動作の信頼性が向上する。
【0020】
しかし、受信スイッチ5の動作の信頼性が向上するためにトランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に印加する制御電圧を受信信号の最大値以上にするにしても、OFDM方式モデム1の内部においてこのような64ボルトを上回る高電圧は使用していないため、図14に示すように、トランジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間に印加する制御電圧の電源として、OFDM通信方式における受信信号の最大値以上の例えば70ボルトの電圧を発生する高電圧生成回路13を新たに設ける必要がある。高電圧を生成する電圧生成回路13を追設すると、回路の規模が大きくなり、部品点数も増えて、回路構成費用が高くなってしまうだけでなく、高電圧生成回路13は通信を妨害する周波数帯のノイズを発生しやすく、通信性能への影響の懸念がある。
【0021】
この発明は、前述のような実情に鑑みてなされたもので、OFDM方式モデムにおいて、受信信号の最大値以上の電圧を発生する高電圧生成回路を設けることなく受信スイッチの動作の信頼性を確保できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明に係るOFDM方式モデムは、制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御するものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御するので、高電圧生成回路を設けることなく受信スイッチの動作の信頼性を確保でき、ひいてはOFDM方式モデムのコスト削減、および、通信性能の向上が期待できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す図で、図1における主要部の具体的な事例を接続図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す図で、図2における受信スイッチの具体的な事例を接続図である。
【図4】この発明の実施の形態2を示す図で、OFDM方式モデムを適用可能な親機と子機との接続形態の事例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の他の事例を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態5を示す図で、OFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態5を示す図で、図8のOFDM方式モデムの動作フローを例示する図である。
【図10】OFDM通信方式における信号波形の事例を示す図である。
【図11】この発明に至る前のOFDM方式モデムのシステム構成を例示するブロック図である。
【図12】OFDM方式モデムを使用した親機と子機との接続形態の一例であるバス型接続方式の事例を示す図である。
【図13】OFDM通信方式における受信信号の電圧波形の事例を示す図である。
【図14】OFDM方式モデムにおける受信スイッチがトランジスタの場合の受信スイッチ周りの構成を示す接続図である
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を、図1〜図4によって説明する。図1はOFDM方式モデムのシステム構成の一例を示すブロック図、図2は図1における主要部の具体的な事例を接続図、図3は図2における受信スイッチの具体的な事例を接続図である。
【0026】
図1および図2において、OFDM方式モデム1は、制御部2、信号増幅部3、回線接続部4、信号増幅部6、デジタル信号インタフェース7、受信通信路11、送信通信路12、高インピーダンス受信部20、およびフォトモスリレー(Photo MOS Relay)211、212からなる受信スイッチ21を備えている。
【0027】
受信スイッチ21であるフォトモスリレー211,212は、光MOSFETリレーとも言われ、通電制御されるLED(発光ダイオード)の発光の有無により出力回路のMOS FETがON・OFF動作するリレーであり、光に応動してON・OFFする固体スイッチ(Solid State Switch)でもある。
【0028】
OFDM方式モデム1は、デジタル信号をOFDM信号に変調して回線10へ送信したり、回線10から受信したOFDM信号をデジタル信号に復調したりする機能を持つ。
OFDM方式モデム1は、送信回路と受信回路、および回線接続部から構成される。
【0029】
送信回路は以下のように構成される。制御部2で、デジタル信号インタフェース7を介して得たデジタルデータ8のデジタル信号のOFDM方式のアナログ送信信号への変調や、外部の他のOFDM方式モデムから送信されてきたOFDM方式のアナログ受信信号のデジタル信号への復調を行う。信号増幅部3で、制御部2から送信するアナログ信号を増幅する。信号増幅部3は内部に送信スイッチ機能を有しており、自身が回線に信号を送信するときには導通し、それ以外のときには絶縁して、制御部2の送信出力が送信通信路12を介して回線接続部4から回線10に送信されないようにする。
【0030】
受信回路は以下のように構成される。受信スイッチ21は、信号を送信するときのみ絶縁し、それ以外の、信号を受信する状態や待機状態にあるときには導通する。信号増幅部6は、制御部2での受信信号の信号処理を可能とするために、回線接続部4および受信通
信路11を介して受信スイッチ21および高インピーダンス受信部20を経た受信信号を増幅する。
【0031】
また、外部へのインターフェースとしての回線接続部4は、受信通信路11および送信通信路12を介して前記受信回路および前記送信回路を回線10と接続するいわゆる送受信を行う部分である。デジタル信号インタフェース7は、デジタル信号の処理や送受信を行う部分で、例えば、デジタルデータ8のデジタル信号を制御部2内のCPUで処理可能なデジタル信号9へ処理するための信号処理や、イーサネット(登録商標)の回線へ接続するための信号処理を行う。
【0032】
高インピーダンス受信部20は、2本の受信通信路11に跨って接続された高インピーダンス化回路であり、図2に例示してあるように、一方の受信通信路11に直列接続の第1のオペアンプ(演算増幅器)201aと、他方の受信通信路11に直列接続の第2のオペアンプ(演算増幅器)201bと、抵抗r1,r2,r3と、静電容量c,cと実現できる。静電容量c,cの中間電位点は接地電位の端子Gされており、第1のオペアンプ(演算増幅器)201aおよび第2のオペアンプ(演算増幅器)201bの差動線間に入れた抵抗値で受信インピーダンスを決定できる。抵抗r1は約500Ω、r2は約1kΩ、r3は約500Ωとすることで高インピーダンス化できる。
【0033】
受信スイッチ21であるフォトモスリレー211,212は、そのLED(発光ダイオード)への制御部2による通電制御により開閉制御される。
【0034】
受信スイッチであるフォトモスリレー211,212は、何れも図3に例示してあるように、互いに直列接続されON・OFF出力回路を構成する一対のMOS FET1,MOS FET2と、MOS FET1に並列接続のダイオードD1と、MOS FET2に並列接続のダイオードD2と、MOS FET1,MOS FET2のゲートに直列接続の光発電セルPDAと、光発電セルPDAに直列接続のダイオードD3と、制御部2からの受信スイッチ制御により通電されたときに発光して当該発光光を光発電セルPDAに照射する発光ダイオードLEDと、発光ダイオードLEDへの通電時にOFFとなるスイッチング部SSSとで構成されている。なお、図3には、フォトモスリレー211のみ図示し、フォトモスリレー212は図示を省略してある。フォトモスリレー212は図示を省略してあるが、図示のフォトモスリレー211と構成、機能が同じである。
【0035】
図2に例示のように、前記対を成す受信通信路11のそれぞれにフォトモスリレーが直列接続されている。つまり、フォトモスリレーの、互いに直列接続されON・OFF出力回路を構成する一対のMOS FET1,MOS FET2が前記対を成す受信通信路11のそれぞれに直列接続されている。
【0036】
制御部2からの受信スイッチ制御により通電されて発光ダイオードLEDが発光すると、その発光光が光発電セルPDAに照射され、光発電セルPDAの出力電圧がダイオードD3を介して一対のMOS FET1,MOS FET2のそれぞれのゲートに印加され、一対のMOS FET1,MOS FET2のそれぞれが導通し、受信通信路11の受信信号は、導通した一対のMOS FET1,MOS FET2を通って、高インピーダンス受信部20および信号増幅部6を経由して制御部2で受信される。
【0037】
高インピーダンス受信部20は、一対のMOS FET1,MOS FET2のソース・ドレインに対して直列接続されているのでMOS FET1,MOS FET2のソース・ドレイン間に流れる電流を許容電流値に抑制する。換言すれば、高インピーダンス受信部20を設けることによって、MOS FET1,MOS FET2を出力回路に有するフォトモスリレー21を、受信回路をON・OFF(断・続)を行う受信スイッチ21として使用することができる。しかも、フォトモスリレー21の出力回路であるMOS FET1,MOS FET2のON・OFF動作は、回線10から受信線路11に受信された受信信号の信号振幅の大きさには無関係に行わせることができるので、トランジスタを受信スイッチに使用する場合のような高電圧生成回路13を設ける必要がなくなり、従って、OFDM方式モデムにおいてトランジスタを受信スイッチに使用する場合における課題、即ち「回路の規模が大きくなり、部品点数も増えて、回路構成費用が高くなってしまうだけでなく、高電圧生成回路13は通信を妨害する周波数帯のノイズを発生しやすく、通信性能への影響の懸念がある」という課題を解消できる。
【0038】
また、高インピーダンス受信部20は、受信インピーダンスを高インピーダンスとする機能も併せ持つので、子機を複数台接続したときの性能低下を抑えることもできる。
【0039】
なお、フォトモスリレー21,211,212は、高電圧受信信号の入切であっても、一般的な信号に使われる3.3Vなどの電圧で制御できる。そのため、高電圧を生成するための高電圧生成回路が不要となる。
高インピーダンス受信部20による高インピーダンス化については、インピーダンスの不整合があると反射波が発生しノイズとなる。そのため、回線インピーダンスと受信インピーダンスを整合させることが一般的である。しかし、OFDM方式ではガードインターバル等の、反射波の影響を抑えるしくみが採用されており、受信回路の高インピーダンス化は、あまり性能に影響を与えない。
【0040】
上述のように、実施の形態1のOFDM方式モデムは、制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御することを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0041】
また、実施の形態1のOFDM方式モデムは、OFDM方式モデムにおいて、親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑えるために子機の受信インピーダンスを高インピーダンスとする回路を備えたモデムであって、受信ラインの開閉を切り替える手段としてトランジスタではなくフォトモスリレーを備えることによって、通常の信号電圧にて受信ラインの開閉制御を可能としたことを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0042】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を、図4および図5によって説明する。図4はOFDM方式モデムを適用可能な親機と子機との接続形態の事例を示す図、図5はOFDM方式モデムのシステム構成の他の事例を示すブロック図である。
【0043】
OFDM方式モデムを使用した親機と子機との接続形態の一例を示す図12で例示したバス型の構成ではなく、図4に示すようにOFDM方式モデムを使用した親機と子機との接続形態がスター型の構成の場合、各OFDM方式モデムに接続される各回線がバス型の構成の場合に比べて長くなってしまうため、信号の減衰が大きくなる。そのため、通信性能が低下してしまい、特に親局から最も遠距離に設置された子機Nへの通信が困難となる場合がある。これを防ぐためには、親機や子機Nから見える他の子機1からN−1までの受信インピーダンスをさらに高くする必要がある。そこで、図5に示すようにモデム1に回線接続部4A,4Bの2つを設ける。
【0044】
また、回線接続部4A、4Bとモデム1内部の通信路11,12との間にはそれぞれ巻
線比の異なるトランス22A,22Bをそれぞれ接続する。トランス22Aの巻線比を1:1、トランス22Bの巻線比を1:2としたとき、回線接続部4Aには巻線比が1:1のトランス22Aを、回線接続部4Bには巻線比が1:2のトランス22Bを接続する。トランスのインピーダンス比は巻線比の2乗に比例するため、1:2のトランス22Bのインピーダンス比は1:4となり、回線接続部4Bに接続する回線および回線に接続される全てのモデムの受信インピーダンス、すなわち回線のインピーダンスは他のモデムから見たときに実際のインピーダンスの4倍に見える。
【0045】
したがって、遠距離に設置する子機Nを回線10Aに、近距離に設置する子機1から子機N−1までを回線10Bにそれぞれ接続すると、回線10Bに接続された回線と、回線に接続された子機1から子機N−1の受信インピーダンス、すなわち回線接続部4Bに接続された回線のインピーダンスは、親機や子機Nから見たときのインピーダンスを実際の4倍と、高く見せることができる。
【0046】
図5に示した実施の形態2にように、複数の回線接続部4A、4Bを設けると共に、回線接続部4A、4Bのそれぞれに対応して巻線比の異なるトランス22A,22Bを設けることにより、他の回線のインピーダンスを高く見せることができる。そのため、遠距離に設置されたモデムと通信する場合に、他の回線のインピーダンスの影響を減らすことができる。したがって、受信性能を向上させることができる。なお、上記のトランスの巻線比は例であり、他の巻線比であっても、同等の効果を得られる。
【0047】
上述のように、実施の形態2のOFDM方式モデムは、回線接続部が複数設けられると共に、各回線接続部に対応してそれぞれ巻線比の異なるトランスが設けられ、前記各回線接続部および前記各トランスを介して異なる回線に接続されることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0048】
また、実施の形態2のOFDM方式モデムは、回線接続部を複数備え、各回線接続部にはそれぞれ巻線比の異なるトランスを備えることによって、モデムの受信回路のインピーダンスを高くするだけではなく、他の回線接続部に接続される回線のインピーダンスを高くすることによって、回線接続がスター型である場合でも通信性能の低下を抑えることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0049】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を、図6によって説明する。
実施の形態2では巻線比の異なる複数のトランス22A,22BをOFDM方式モデム1内に設けた事例を例示したが、図6に例示してあるように、巻線比を変えているトランスを外部ユニット化して、OFDM方式モデム1の筐体の外側に、トランス外部ユニット22を設置してもよい。なお、トランス外部ユニット22は、巻線比が1:2のトランス22Bを内蔵している。巻線比が1:1のトランス22AはOFDM方式モデム1内に設けてある。
【0050】
実施の形態3によれば、トランス外部ユニット22を変更するだけで、トランスの巻線比を柔軟に変更できるため、OFDM方式モデム1の設置後からでも適切なトランスを選択することができる。
【0051】
上述のように、実施の形態3のOFDM方式モデムは、前記トランスの少なくとも一が、モデムの筐体の外側に配置されていることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0052】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4を、図7によって説明する。
実施の形態2ではトランスの巻線比が固定であった。しかし、トランスの巻線比が1:Nの場合、トランスの電圧比は、1:1/Nとなるため、近距離のモデムに接続する回線に挿入したトランスは親機から子機への送信信号を1/Nのレベルまで減衰させてしまう。すなわち、トランスの巻線比が大きいほど、遠距離のモデムからみえる、近距離のモデムが接続された回線のインピーダンスは高くなるため、親機と遠距離のモデムとの通信性能は向上するが、近距離のモデムへの信号減衰量が大きくなるため、親機と近距離のモデムとの通信性能は低下する。よって、実施の形態4ではトランスの巻線比を変えることによって、遠距離のモデムから見える、近距離のモデムが接続された回線のインピーダンスと、近距離のモデムが接続された回線の減衰量を調整することができるようにする。
【0053】
そこで、図7のように巻数比を任意に切り替えられるように、複数のトランスを設ける。図7では、巻線比1:2のトランスB1(22B),巻数比1:√2のトランスB2(22C)を設けている。さらに、OFDM方式モデム1の内部回路とトランスB1(22B),B2(22C)の間、およびトランスB1(22B),B2(22C)と回線接続部4Bの間に、それぞれスイッチ23を設ける。スイッチ23を例えば手動で切換設定することによって、回線に接続するトランスB1(22B),B2(22C)の何れかを選択的に接続することが可能となる。
【0054】
実施の形態4によれば、回線の特性や通信性能に合わせてトランスを変えることができる。したがって、親機と遠距離のモデムとの通信性能と、親機と近距離のモデムとの通信性能のバランスを取りながら、トランスの選択をすることができる。
【0055】
上述のように、実施の形態4のOFDM方式モデムは、少なくとも一の回線に対して選択的に接続されるそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスを備えていることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0056】
また、実施の形態4のOFDM方式モデムは、各回線に対してそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスと、使用するトランスを手動で変えるための機構を備え、各回線に接続されるモデムの通信性能に合わせて回線のインピーダンスを変更できることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0057】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5を、図8および図9によって説明する。図8はOFDM方式モデムのシステム構成の更に他の事例を示すブロック図、図9は図8のOFDM方式モデムの動作フローを例示する図である。
【0058】
実施の形態4において、複数のトランスを設置してインピーダンス比を切り替えられるようにしたが、本実施の形態5は、通信の状態から、使用するのに適したトランスを自動的に選択することができるようにしたものである。
【0059】
本実施の形態5では、制御部2は現状の通信可否や通信速度、受信信号レベルなどを測定しながら、通信の状態を動的に決定している。そこで、各トランスを選択したときの通信状態の測定結果から最適なトランスを選択する仕組みとしてある。実施の形態5を実現可能な形態を図8に例示してある。
【0060】
図8において、制御部2から切り替え可能なリレー24の、制御部2からの指令信号による切り替えによってトランス22Bとトランス22Cのどちらを使用するか選択する。
【0061】
また、制御部2におけるトランス選択処理の流れを図9に例示してある。トランスAと
トランスBとから選択できるとき、制御部2では、図9に例示してあるように、制御部2は、例えばトランスAを選択したときの現状の通信可否や通信速度、受信信号レベルなどの通信性能を測定しながら(ステップST1)、それらの測定信号に基づいて、トランスAを選択したときの性能が十分であるかどうかを判定し(ステップST2)、ステップST2での判定の結果、性能が十分であればトランスAを選択し(ステップST7)、性能が十分でなければトランスBを選択し(ステップST3)、トランスBを選択したときの現状の通信可否や通信速度、受信信号レベルなどの通信性能を測定しながら(ステップST4)、それらの測定信号に基づいて、トランスBを選択したときの性能が十分であるかどうかを判定し(ステップST5)、ステップST5での判定の結果、性能が十分であればトランスBを選択し(ステップST8)、性能が十分でなければ、トランスAとトランスBのどちらの通信性能がよかったかを判定して(ステップST6)、トランスA,Bのどちらかを選択する。
【0062】
本実施の形態5によれば、使用するトランスを手動で設定する必要がなくなり、モデム設置後に回線の状態に合わせて自動的にトランスを選択できるようになるため、モデム設置を効率化できる。
【0063】
上述のように、実施の形態4のOFDM方式モデムは、前記複数のトランスの前記選択的接続が、前記制御部で検出された通信性能に応じて前記制御部によって行われることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0064】
また、実施の形態4のOFDM方式モデムは、各回線部に対してそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスと、使用するトランスを自動で変えるための機構と、信号処理部で検出した通信性能によって、使用するトランスを選択する機構を備え、各回線に接続されるモデムの通信性能に合わせて、回線のインピーダンスを自動で変更できることを特徴とするOFDM方式モデムである。
【0065】
なお、図1〜図14の各図中、同一符合は同一または相当部分を示す。
【符号の説明】
【0066】
1 OFDM方式モデム、
2 制御部、
3 信号増幅部、
4 回線接続部、
5 受信スイッチ(トランジスタ)、
6 信号増幅部、
7 デジタル信号インタフェース、
8 デジタルデータ、
9 デジタル信号、
10 回線、
11 受信通信路、
12 送信通信路、
20 高インピーダンス受信部、
21 フォトモスリレー(受信スイッチ)、
22A,22B,22C トランス、
23 スイッチ、
24 リレー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御することを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項2】
請求項1に記載のOFDM方式モデムにおいて、前記回線接続部が複数設けられると共に、各回線接続部に対応してそれぞれ巻線比の異なるトランスが設けられ、前記各回線接続部および前記各トランスを介して異なる回線に接続されることを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項3】
請求項2に記載のOFDM方式モデムにおいて、前記トランスの少なくとも一が、モデムの筐体の外側に配置されていることを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項4】
請求項2に記載のOFDM方式モデムにおいて、少なくとも一の回線に対して選択的に接続されるそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスを備えていることを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項5】
請求項4に記載のOFDM方式モデムにおいて、前記複数のトランスの前記選択的接続が、前記制御部で検出された通信性能に応じて前記制御部によって行われることを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項1】
制御部が変調および復調を行い回線接続部を介して通信の回線に接続されるOFDM方式モデムにおいて、受信通信路に設けられ子機の受信インピーダンスを親機に対して子機を複数台接続したときの通信性能の低下を抑える高インピーダンスとする高インピーダンス受信部、および受信通信路の開閉を行うフォトモスリレーを備え、前記高インピーダンス受信部が前記フォトモスリレーの出力回路のMOS FETにながれる電流を許容電流以下とし、前記制御部が前記フォトモスリレーを開閉制御することを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項2】
請求項1に記載のOFDM方式モデムにおいて、前記回線接続部が複数設けられると共に、各回線接続部に対応してそれぞれ巻線比の異なるトランスが設けられ、前記各回線接続部および前記各トランスを介して異なる回線に接続されることを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項3】
請求項2に記載のOFDM方式モデムにおいて、前記トランスの少なくとも一が、モデムの筐体の外側に配置されていることを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項4】
請求項2に記載のOFDM方式モデムにおいて、少なくとも一の回線に対して選択的に接続されるそれぞれ巻線比の異なる複数のトランスを備えていることを特徴とするOFDM方式モデム。
【請求項5】
請求項4に記載のOFDM方式モデムにおいて、前記複数のトランスの前記選択的接続が、前記制御部で検出された通信性能に応じて前記制御部によって行われることを特徴とするOFDM方式モデム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−176682(P2011−176682A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40105(P2010−40105)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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