説明

PDE5阻害剤として使用されるピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)誘導体

本発明は、(I)1−(1−(2−エトキシエチル−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸およびその塩を含む。本発明はさらに、式(I)に関連する医薬組成物、治療方法、および合成方法を含む。式(I)は、PDE5酵素の阻害に使用される。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸およびその塩に関する。本発明はさらに、この化合物またはその塩を含む医薬組成物、この化合物またはその塩を用いる治療方法、ならびにこの化合物またはその塩の調製方法に関する。一般に、この化合物およびその塩は、環状グアノシン一リン酸に特異的なホスホジエステラーゼ5型(「PDE5」)酵素を阻害する。
【背景技術】
【0002】
高血圧は、生理的な問題の中でも特に、脳卒中、心筋梗塞、心房細動、心不全、末梢血管疾患、および腎機能障害のリスクの増大と関連する状態である。様々な薬理学的範疇の数多くの薬物が、高血圧および関連した生理的問題を治療するのに利用可能であるにもかかわらず、すべての患者がそのような薬物に望まれる程度に効果的または安全に応答するわけではない。高血圧および/または関連した状態を治療するためのさらなる治療薬が依然として必要である。
【0003】
高血圧の治療に有用であると文献で報告されている治療薬の1つのクラスが、PDE5酵素の阻害剤(「PDE5阻害剤」)である。一般に、血管内皮細胞は、血管平滑筋細胞に作用し、グアニル酸シクラーゼの活性化および環状グアノシン一リン酸(「cGMP」)の蓄積をもたらす一酸化窒素を分泌する。cGMPの蓄積は、筋肉を弛緩させ、血管を拡張させ、血圧の低下をもたらす。cGMPは、cGMPに特異的なホスホジエステラーゼによってグアノシン5’−一リン酸(「GMP」)に加水分解されて不活化される。cGMPの不活化に関与する1つのcGMP−ホスホジエステラーゼがPDE5酵素である。PDE5酵素の阻害剤は、cGMP加水分解の速度を低下させる。このcGMP加水分解の減少は、一酸化窒素の作用を強化し、血圧の低下をもたらす。
【0004】
PDE5阻害剤である化合物は、文献で報告されている。たとえば、WO2005049616は、1クラスのピラゾロ[4,3−d]ピリミジニル化合物を報告している。WO2005049617は、別のクラスのピラゾロ[4,3−d]ピリミジニル化合物を報告している。WO2004096810は、別のクラスのピラゾロ[4,3−d]ピリミジニル化合物を報告している。EP1348707は、別のクラスのピラゾロ[4,3−d]ピリミジニル化合物を報告している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PDE5阻害剤であるさらなる化合物が特定されることが望ましい。そのような化合物は、高血圧および/もしくは関連した生理的問題に罹患しているまたは罹患しやすい対象の治療に使用することができ、そのような対象に利用できる治療選択肢の範囲をさらに拡大することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明は、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸および薬学的に許容できるその塩を含む。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を含む。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸または薬学的に許容できるその塩と、1種または複数の追加の治療薬と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を含む。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、対象に治療有効量の1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸または薬学的に許容できるその塩を投与することによる、対象における状態の治療方法を含む。本発明に従って治療することのできる状態には、心血管の状態、代謝性の状態、中枢神経系の状態、肺の状態、性機能不全、疼痛、および腎機能障害が含まれる。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、対象に治療有効量の1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸または薬学的に許容できるその塩と、1種または複数の追加の治療薬と、薬学的に許容できる担体とを投与することによる、対象における状態の治療方法を含む。本発明に従って治療することのできる状態には、心血管の状態、代謝性の状態、中枢神経系の状態、肺の状態、性機能不全、疼痛、および腎機能障害が含まれる。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、対象において状態を治療する医薬を製造するための、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸または薬学的に許容できるその塩の使用を含む。そのような状態には、心血管の状態、代謝性の状態、中枢神経系の状態、肺の状態、性機能不全、疼痛、および腎機能障害が含まれる。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸または薬学的に許容できるその塩の製造方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この実施形態の詳細な説明は、他の当業者に、出願人らの発明、その原理、およびその実際的な適用を知らせて、他の当業者が、ある特定の使用の必要条件に最も適するよう、本発明をその数多くの形態で適合させ、応用することができるようにするものにすぎない。したがって、本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されず、様々に変更してよい。
【0014】
A.略語および定義
H NMRに関して使用するとき、記号「δ」はH NMR化学シフトを指す。
【0015】
H NMRに関して使用するとき、略語「br」はブロードH NMRシグナルを指す。
【0016】
H NMRに関して使用するとき、略語「d」は二重線H NMRピークを指す。
【0017】
H NMRに関して使用するとき、略語「m」は多重線H NMRピークを指す。
【0018】
H NMRに関して使用するとき、略語「q」は四重線H NMRピークを指す。
【0019】
H NMRに関して使用するとき、略語「s」は一重線H NMRピークを指す。
【0020】
H NMRに関して使用するとき、略語「t」は三重線H NMRピークを指す。
【0021】
略語「BSA」は、ウシ血清アルブミンを指す。
【0022】
略語「CDI」は、カルボジイミドを指す。
【0023】
略語「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指す。
【0024】
略語「DBAD」は、ジベンジルアゾジカルボキシレートを指す。
【0025】
略語「EDTA」は、エチレンジアミン四酢酸を指す。
【0026】
略語「HEPES」は、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸を指す。
【0027】
略語「HRMS」は、高分解能質量分析(エレクトロスプレーイオン化ポジティブスキャン)を指す。
【0028】
略語「iPrOAc」は、酢酸イソプロピルを指す。
【0029】
略語「LCMS」は、液体クロマトグラフィー質量分析を指す。
【0030】
略語「m/z」は、質量スペクトルピークを指す。
【0031】
略語「NaN(TMS)」は、ナトリウムヘキサメチルジシラジドを指す。
【0032】
略語「pfu」は、プラーク形成単位を指す。
【0033】
略語「Pt/C」は、白金担持炭素を指す。
【0034】
略語「PMSF」は、フッ化フェニルメチルスルホニルを指す。
【0035】
略語「SPA」は、シンチレーション近接アッセイを指す。
【0036】
略語「THF」は、テトラヒドロフランを指す。
【0037】
略語「トリス−HCl」は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を指す。
【0038】
用語「cGMPが介在する状態」とは、cGMPによる直接の調節を介するものであろうと、シグナル伝達経路の構成要素としてのcGMPによる間接的な調節によるものであろうと、cGMPが介在する任意の状態を指す。
【0039】
用語「PDE5によって媒介される状態」とは、PDE5酵素によって媒介される任意の状態を指す。
【0040】
用語「高血圧の対象」とは、その高血圧を治療して予防または抑制しなければ、高血圧の影響に苦しみ、または高血圧状態になりやすい、高血圧である対象を指す。
【0041】
用語「薬学的に許容できる担体」とは、組成物の他の成分と適合性があり、対象にとって有害でない担体を指す。そのような担体は、化学薬品の収容または運搬に関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル封入材料などの、薬学的に許容できる材料、組成物、または媒体でよい。好ましい組成物は、投与方法に応じて決まる。
【0042】
用語「治療有効量」は、研究者または臨床医によって求められる、組織、系、または動物の生物学的または医学的な応答を誘発する薬物または医薬の量を指す。
【0043】
用語「治療」(ならびに対応する用語「治療する」および「治療すること」)は、対象の姑息的、回復的、および予防的な治療を含む。用語「姑息的治療」とは、対象の状態の影響または強度を、状態を治癒させずに緩和または低減する治療を指す。用語「予防的治療」(および対応する用語「予防処置」)とは、前臨床的に明らかな状態の発症を全体で予防すること、または明らかな前臨床的な段階の状態の発症を対象において予防することを指す。用語「回復的な治療」とは、対象において状態の進行を停止させ、状態の病的な徴候を減少させ、または状態を完全に解消する治療を指す。
【0044】
B.カルボキシピペリジン化合物
一実施形態では、本発明は、次の構造を有する化合物
【0045】
【化1】

およびその化合物の塩(特に薬学的に許容できる塩)を含む。この化合物の対応する名称は、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸である。別段の記述がない限り、この化合物、この化合物のすべての互変異性体形態、ならびに化合物およびその互変異性体形態の薬学的に許容できる塩を、本出願ではまとめて「カルボキシピペリジン化合物」と呼ぶ。カルボキシピペリジン化合物は、たとえばPDE5酵素の阻害剤として有用である。
【0046】
一実施形態では、本発明は、遊離酸形態のカルボキシピペリジン化合物を対象とする。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、カルボキシピペリジン化合物の薬学的に許容できる塩を対象とする。
【0048】
WO2004096810は、包括的にはカルボキシピペリジン化合物を含む部類の化合物を報告している。WO2004096810は、この部類内の具体的な化合物の例を提供してはいるが、カルボキシピペリジン化合物それ自体は開示していない。しかし、カルボキシピペリジン化合物は、WO2004096810に記載の具体的な化合物と比較して、少なくとも1つまたは複数の異なる特性を有する。これらの特性には、たとえば、有効性(たとえば、より強いin vitro、ex vivo、および/またはin vivo効力)、安全性(たとえば、より高い選択性および/またはより低い毒性)、薬物動態特性(たとえば、Cmax、より長い半減期、および/またはより低いクリアランス)、ならびに製造特性(たとえば、合成のしやすさおよび/または出発材料が入手可能なこと)が含まれる。
【0049】
C.塩
上述のように、カルボキシピペリジン化合物は、遊離酸の形態でも、塩の形態でもよい。カルボキシピペリジン化合物の異なる塩形態は、互いに異なる物理的性質を有する場合もある。したがって、カルボキシピペリジン化合物の特定の塩形態の選択は、たとえば、(一定範囲の温度および/または湿度にわたるものなどの)化合物の安定性、化合物の溶解性、ならびに薬物製品に影響を及ぼし得る他の化合物の物理的性質に潜在的に影響しかねない。また、カルボキシピペリジン化合物の塩は一般に、対応する遊離酸形態よりも水への溶解性が高い。
【0050】
(たとえばインビトロ試験のための使用とは対照的に)カルボキシピペリジン化合物の塩をヒトまたは動物対象に投与する場合には、塩は、薬学的に許容できる塩であることが好ましい。用語「薬学的に許容できる塩」とは、一般にヒトによる消費に適するとみなされる塩(詳細には非毒性の塩)を指す。薬学的に許容できる塩には、対応する遊離酸の塩基付加塩および酸付加塩が含まれる。これらの塩は通常、カルボキシピペリジン化合物の遊離酸から、従来の手段によって調製することができる。
【0051】
実例となるカルボキシピペリジン化合物の塩基付加塩には、金属塩および有機塩が含まれる。金属塩には、アルカリ金属(Ia族)塩(リチウム、ナトリウム、カリウム塩など)、アルカリ土類金属(IIa族)塩(カルシウム塩やマグネシウム塩など)、および他の生理学的に許容できる金属塩(アルミニウム塩や亜鉛塩など)が含まれる。有機塩には、第二級、第三級、および第四級アミンからできる塩(トロメタミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、プロカイン、クロロプロカイン、コリンなど)と、カチオン性のアミノ酸からできる塩(アルギニン、リジン、ヒスチジンなど)が含まれる。
【0052】
適切な酸付加塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ホウ酸塩、フルオロホウ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、グリセロリン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、メタリン酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、ドデシル硫酸塩、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸、アルゲン酸塩(algenate)、トリフルオロ酢酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、ベシル酸塩、酪酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、樟脳酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、グリコール酸塩、グルカム酸塩(glucamate)、グルクロン酸塩、グルセプト酸塩、ヘプタン酸塩、グリコヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒベンズ酸塩、イセチオン酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピルビン酸塩、糖酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファニル酸塩、酒石酸塩、ガラクタル酸塩、トシル酸塩、ウロン酸塩、ガラクツロン酸塩、チオシアン酸塩、およびウンデカン酸塩が含まれる。
【0053】
適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、ドイツ国Weinheim、2002年)を参照されたい。
【0054】
D.互変異性体
本出願では、カルボキシピペリジン化合物という用語(ならびに対応する構造)は、1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸のすべての互変異性体を含むものとする。カルボキシピペリジン化合物の代表格の互変異性体を以下に示す。
【0055】
【化2】

【0056】
E.治療方法
本発明はさらに、ある状態に罹患している、または罹患しやすい対象において、その状態を、その対象に治療有効量のカルボキシピペリジン化合物を投与することによって治療する方法を含む。一実施形態では、治療は予防的治療である。別の実施形態では、治療は姑息的治療である。さらに別の実施形態では、治療は回復的治療である。
【0057】
別の実施形態では、その状態はPDE5によって媒介される状態である。
【0058】
別の実施形態では、その状態はcGMPが介在する状態である。したがって、たとえば、不十分なcGMPが主要な構成要素であり、その産生または作用がPDE5酵素に応答してモジュレートされている状態は、cGMPが介在する障害とみなされることになる。
【0059】
別の実施形態では、その状態は、心血管の状態、代謝性の状態、中枢神経系の状態、肺の状態、性機能不全、疼痛、および腎機能障害からなる群から選択される。
【0060】
別の実施形態では、その状態は、高血圧(本態性高血圧、肺高血圧、肺動脈性肺高血圧、続発性高血圧、孤立性収縮期高血圧、糖尿病に関連する高血圧、アテローム性動脈硬化に関連する高血圧、および腎血管性高血圧を含む);高血圧に関連する合併症(血管性器官損傷、うっ血性心不全、狭心症、発作、緑内障、および障害のある腎機能を含む);弁膜閉鎖不全;安定、不安定、および異型(プリンツメタル型)狭心症;末梢血管疾患;心筋梗塞;発作(発作の回復を含む);血栓塞栓性疾患;再狭窄;動脈硬化;アテローム性動脈硬化;バイパス形成後の血管狭窄;血管形成術(経皮的血管内血管形成術および経皮的冠動脈形成術を含む);高脂血症;低酸素性血管収縮;脈管炎(川崎病を含む);心不全(うっ血性心不全、非代償性心不全、収縮期心不全、拡張期心不全、左室心不全、右室心不全、および左室肥大を含む);レイノー現象;子癇前症;妊娠によって誘発される高血圧;心筋症;および動脈の閉塞性障害からなる群から選択される心血管の状態である。
【0061】
別の実施形態では、その状態は高血圧である。
【0062】
別の実施形態では、その状態は肺高血圧である。
【0063】
別の実施形態では、その状態は肺動脈性肺高血圧である。
【0064】
別の実施形態では、その状態は心不全である。
【0065】
別の実施形態では、その状態は拡張期心不全である。
【0066】
別の実施形態では、その状態は収縮期心不全である。
【0067】
別の実施形態では、その状態は狭心症である。
【0068】
別の実施形態では、その状態は血栓症である。
【0069】
別の実施形態では、その状態は発作(発作の回復を含む)である。
【0070】
別の実施形態では、その状態は、内皮障害に関連する状態(動脈硬化性病変、心筋虚血、末梢虚血、弁膜閉鎖不全、肺動脈性肺高血圧、狭心症、血塊;血管バイパス形成、血管拡張、血管再透過(repermeabilisation)、および心移植後の血管合併症からなる群から選択される状態を含む)である。
【0071】
別の実施形態では、その状態は、シンドロームX;糖尿病(I型およびII型糖尿病を含む);インスリン抵抗性;インスリン抵抗性症候群(インスリン受容体障害、ラブソン・メンデンホール症候群、妖精症、Kobberling−Dunnigan症候群、セイプ症候群、ローレンス症候群、クッシング症候群、先端巨大症、褐色細胞腫、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、ソマトスタチノーマ、脂肪萎縮性糖尿病、β細胞毒素によって誘発される糖尿病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、および特発性アジソン病を含む);耐糖能障害;糖尿病合併症(糖尿病性壊疽、糖尿病性関節症、糖尿病性腎症、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性ニューロパチー、末梢糖尿病性ニューロパチー、糖尿病性白内障、および糖尿病性網膜症を含む);高血糖;および肥満からなる群から選択される代謝性の状態である。
【0072】
別の実施形態では、その状態はインスリン抵抗性である。
【0073】
別の実施形態では、その状態は腎症である。
【0074】
別の実施形態では、その状態は、脳血管性痴呆;頭部外傷;脳梗塞;脳血管発作;認知症;集中力障害;アルツハイマー病;パーキンソン病;筋萎縮性側索硬化症;ハンチントン病;多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病;不安;うつ病;睡眠障害;および偏頭痛からなる群から選択される中枢神経系の状態である。
【0075】
別の実施形態では、その状態はアルツハイマー病である。
【0076】
別の実施形態では、その状態はパーキンソン病である。
【0077】
別の実施形態では、その状態は筋萎縮性側索硬化症である。
【0078】
別の実施形態では、その状態は集中力障害である。
【0079】
別の実施形態では、その状態は、喘息;急性呼吸困難;嚢胞性線維症;慢性閉塞性肺疾患;気管支炎;および慢性可逆性肺閉塞からなる群から選択される肺の状態である。
【0080】
別の実施形態では、その状態は疼痛である。別の実施形態では、その状態は急性痛である。急性痛の例には、傷害または手術に関連する急性痛が含まれる。別の実施形態では、その状態は慢性痛である。慢性痛の例には、神経因性疼痛(ヘルペス後神経痛、ならびに末梢性、癌性、または糖尿病性のニューロパチーに関連する疼痛を含む)、手根管症候群、背痛(椎間板ヘルニアもしくは椎間板破裂、または腰椎椎間関節、仙腸関節、傍脊椎筋、もしくは後縦方向靱帯の異常に関連する疼痛を含む)、頭痛、癌性疼痛(骨痛、頭痛、顔面痛、内臓痛などの、腫瘍に関連した疼痛を含む)または癌治療に関連する疼痛(化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、放射線照射後症候群、免疫療法に関連する疼痛、またはホルモン療法に関連する疼痛を含む)、関節炎疼痛(骨関節炎および関節リウマチ疼痛を含む)、慢性術後疼痛、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、HIVニューロパチー、幻肢痛、中心性卒中、ならびに慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下、尿毒症、多発性硬化症、脊椎損傷、パーキンソン病、てんかん、およびビタミン欠乏に関連する疼痛が含まれる。別の実施形態では、その状態は、侵害受容性疼痛(中枢神経系外傷、挫傷/捻挫、火傷、心筋梗塞、および急性膵炎からくる疼痛、術後疼痛(いずれかのタイプの外科的な手順の後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌性疼痛、ならびに背痛を含む)である。別の実施形態では、その状態は、炎症に関連する疼痛(関節炎疼痛(骨関節炎およびリウマチ様疾患疼痛など)、強直性脊椎炎、内臓痛(炎症性腸疾患、機能性腸障害、胃食道逆流症、消化不良、過敏性大腸症候群、機能性腹痛症候群、クローン病、回腸炎、潰瘍性大腸炎、月経困難症、膀胱炎、膵炎、および骨盤痛を含む)を含む)である。別の実施形態では、その状態は、(筋肉痛、線維筋痛、椎骨炎、血清反応陰性(非リウマチ様)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィノパチー、グリコーゲン分解、多発性筋炎、および化膿性筋炎を含む)筋骨格障害の結果として生じる疼痛である。別の実施形態では、その状態は、(狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄、心外膜炎、レイノー現象、水腫性硬化症、および骨格筋虚血によって引き起こされる疼痛を含む)心臓および血管の疼痛からなる群から選択される。別の実施形態では、その状態は、頭痛(前兆を伴う偏頭痛や前兆を伴わない偏頭痛などの偏頭痛を含む)、群発性頭痛、筋緊張型頭痛、混合型頭痛、および血管性障害に関連する頭痛;歯痛、耳痛、口腔内灼熱症候群、および側頭下顎の筋筋膜痛を含む口腔顔面痛)からなる群から選択される。
【0081】
別の実施形態では、その状態は、((器質的または精神的な)インポテンス、男性勃起不全、陰核機能不全、脊椎損傷後の性機能不全、女性性的興奮障害、女性性的オルガスム機能不全、女性性交疼痛障害、および女性性的欲求低下障害からなる群から選択される性機能不全を含む)性機能不全である。
【0082】
別の実施形態では、その状態は男性勃起不全である。
【0083】
別の実施形態では、その状態は、(急性腎不全、慢性腎不全、腎症(糖尿病性腎症など)、尿細管間質性障害、糸球体症、および腎炎からなる群から選択される腎機能障害を含む)腎機能障害である。別の実施形態では、その状態は、癌性悪液質、腫瘍転移、および異常増殖からなる群から選択される癌状態である。
【0084】
別の実施形態では、その状態は骨粗鬆症である。
【0085】
別の実施形態では、その状態は、くるみ割り食道、肛門裂傷、腸の運動性障害、過敏性大腸症候群、および痔核からなる群から選択される消化管の状態である。別の実施形態では、その状態は、膀胱出口閉塞、失禁、および前立腺肥大からなる群から選択される泌尿器系の状態である。
【0086】
別の実施形態では、その状態は、乾癬、じんま疹、および皮膚壊死から選択される皮膚状態である。
【0087】
別の実施形態では、その状態は、網膜疾患、黄斑変性症、および緑内障から選択される眼の状態である。
【0088】
別の実施形態では、その状態は、硝酸不耐症(nitrate intolerance)である。
【0089】
別の実施形態では、その状態は禿頭症である。
【0090】
別の実施形態では、その状態は、(原発性および続発性の)月経困難症、不妊、および早産からなる群から選択される婦人科系の状態である。別の実施形態では、その状態は続発性の月経困難症である。
【0091】
別の実施形態では、本発明は、治療有効量のカルボキシピペリジン化合物を対象に投与することによる、対象において減量または減量の維持を誘発する方法をさらに含む。
【0092】
F.対象
(対応する治療方法および医薬組成物を含めて)カルボキシピペリジン化合物は、たとえば、ヒト、他の霊長類(たとえばサル、チンパンジー)、コンパニオンアニマル(たとえばイヌ、ネコ、ウマ)、家畜(たとえばヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ)、実験動物(たとえばマウス、ラット)、野生および動物園の動物(たとえばオオカミ、クマ、シカ)などの哺乳類対象での使用に適する。一実施形態では、対象は哺乳類対象である。別の実施形態では、対象はヒトである。
【0093】
G.仮定される機序
特定の理論に拘泥するものではないが、カルボキシピペリジン化合物は、PDE5酵素の阻害剤であると仮定される。さらに、カルボキシピペリジン化合物は、PDE5酵素の作用を阻害して、細胞内のcGMPレベルを増大させるとも仮定される。細胞内cGMPレベルのこの増大によって、細胞内のカルシウムシグナル伝達が減少し、するとこれによって脈管平滑筋が弛緩し、血圧が低下する。
【0094】
H.投与および服用
カルボキシピペリジン化合物は、一般に治療有効量で投与する。一実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、PDE5酵素阻害量で投与する。カルボキシピペリジン化合物は、任意の適切な経路によって、そのような経路に適合させた医薬組成物の形で、目的の治療に有効な用量で投与することができる。医学的状態の進行を防ぎもしくは阻止し、または医学的状態を治療するのに必要なカルボキシピペリジン化合物の治療有効量は、当業者によって、医薬品業界でよく知られた前臨床的および臨床的手法を使用して容易に突き止められる。
【0095】
この化合物および/またはこの化合物を含有する組成物の投与計画は、患者のタイプ、年齢、体重、性別、および医学的状態;その状態の重症度;投与経路;ならびに用いる特定の化合物の活性を含む様々な要素に基づく。すなわち、投与計画は、特定の状況に基づき様々でよい。体重1キログラムあたり1日約0.001mg〜約100mgの投与量レベルのカルボキシピペリジン化合物が、上で示した状態の治療において有用である。一実施形態では、(1回でまたは数回に分けて投与する)カルボキシピペリジン化合物の合計1日量は、通常約0.001mg/kg〜約20mg/kg(すなわち化合物mg/体重kg)である。別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物の合計1日量は、約0.005mg/kg〜約10mg/kgである。別の実施形態では、合計1日量は約0.005mg/kg〜約5mg/kgである。別の実施形態では、合計1日量は約0.01mg/kg〜約1mg/kgである。これらの投与量は、体重が約65kg〜約75kgである平均的なヒト対象に基づく。医師は、小児などの、体重がこの範囲外にある対象のための用量を容易に決定することができよう。カルボキシピペリジン化合物の投与は、1日に複数回(通常は4回未満)繰り返して、所望の1日量を実現することができる。
【0096】
便宜を考えて、カルボキシピペリジン化合物は、単位剤形で投与することができる。所望ならば、1日に複数回分の単位剤形を使用して、合計1日量を増やしてもよい。単位剤形は、たとえば、約0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、または500mgのカルボキシピペリジン化合物を含有する錠剤またはカプセルでよい。一実施形態では、単位剤形は、約0.01mg〜約500mgのカルボキシピペリジン化合物を含有する。別の実施形態では、単位剤形は、約0.05mg〜約250mgのカルボキシピペリジン化合物を含有する。別の実施形態では、単位剤形は、約0.1mg〜約100mgのカルボキシピペリジン化合物を含有する。別の実施形態では、単位剤形は、約0.5mg〜約50mgのカルボキシピペリジン化合物を含有する。
【0097】
I.医薬の調製での使用
別の実施形態では、本発明は、(単位投与量錠または単位投与量カプセルなどの)医薬として使用するためのカルボキシピペリジン化合物を含む。
【0098】
本発明はさらに、治療方法を論述する上の項で前もって特定した状態の1種または複数を治療する、(単位投与量錠または単位投与量カプセルなどの)医薬の製造のためのカルボキシピペリジン化合物の使用を含む。一実施形態では、その状態は高血圧である。
【0099】
J.医薬組成物
上で言及した状態の治療では、カルボキシピペリジン化合物は、それ自体を遊離酸化合物として投与することができる。別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、それ自体を遊離酸化合物の1種または複数の薬学的に許容できる塩として投与することができる。別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、それ自体を遊離酸化合物と遊離酸化合物の1種または複数の薬学的に許容できる塩の混合物として投与することができる。
【0100】
本発明はさらに、カルボキシピペリジン化合物を含む医薬組成物を含む。一実施形態では、医薬組成物は、遊離酸形態のカルボキシピペリジン化合物を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、カルボキシピペリジン化合物の1種または複数の薬学的に許容できる塩を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、遊離酸形態のカルボキシピペリジン化合物と、カルボキシピペリジン化合物の1種または複数の薬学的に許容できる塩の混合物を含む。一実施形態では、医薬組成物は、カルボキシピペリジン化合物と少なくとも1種の薬学的に許容できる担体とを含む。担体は、固体でも、液体でも、またはその両方でもよく、0.05重量%〜95重量%のカルボキシピペリジン化合物を含有することのできる単位剤形、たとえば錠剤として、カルボキシピペリジン化合物と共に製剤することができる。薬理活性のある他の物質が存在してもよい。
【0101】
カルボキシピペリジン化合物は、任意の適切な経路によって、好ましくはその経路に適合させた医薬組成物の形で、目的の治療に有効な用量で投与することができる。カルボキシピペリジン化合物および対応する組成物は、たとえば、経口的に、直腸に、非経口的に、または局所的に投与することができる。
【0102】
固体剤形の経口投与は、たとえば、それぞれが所定の量の少なくとも1種の本発明の化合物を含有する、硬カプセルもしくは軟カプセル、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ、錠剤などの個別の単位で提供することができる。別の実施形態では、経口投与は、粉末または顆粒の形態でよい。別の実施形態では、経口剤形は、たとえばロゼンジなどの舌下である。そのような固体剤形では、カルボキシピペリジン化合物を1種または複数の佐剤と混ぜ合わるのが普通である。カプセル、錠剤、および丸剤の場合には、剤形は緩衝剤を含んでもよく、または腸溶コーティングを施して調製することができる。
【0103】
別の実施形態では、経口投与は液体剤形でもよい。経口投与用の液体剤形には、たとえば、当業界で一般に使用される不活性希釈剤(たとえば水)を含有する薬学的に許容できる乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、嬌味剤(たとえば甘味剤)、および/または着香剤などの佐剤を含んでもよい。
【0104】
別の実施形態では、本発明は非経口剤形を含む。「非経口投与」には、たとえば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内投与、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入が含まれる。注射用製剤(たとえば、水性または油性の無菌注射用懸濁液)は、適切な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤することができる。
【0105】
別の実施形態では、本発明は局所用の剤形を含む。「局所投与」には、たとえば、経皮パッチやイオン導入装置によるものなどの経皮的な投与、眼内投与、鼻腔内投与、または吸入投与が含まれる。局所投与用の組成物には、たとえば、局所用のゲル、スプレー、軟膏、およびクリームが含まれる。局所用製剤は、皮膚または他の患部からの活性成分の吸収または浸透を強化する化合物を含んでもよい。本発明の化合物を経皮的な装置によって投与するとき、投与は、貯蔵および多孔質膜型または固体マトリックスタイプのパッチを使用して実現される。眼への局所投与に適する製剤には、たとえば、本発明の化合物を適切な担体に溶解または懸濁させた点眼薬が含まれる。鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の活性化合物は、患者によって圧搾またはポンピングされるポンプスプレー容器から溶液または懸濁液の形で、または適切な噴射剤を使用して加圧容器またはネブライザーからエアロゾルスプレー体裁として送達すると好都合である。
【0106】
別の実施形態では、本発明は直腸用剤形を含む。そのような直腸用剤形は、たとえば坐剤の形でよい。
【0107】
製薬業界で知られている他の担体材料および投与方式を使用してもよい。本発明の医薬組成物は、有効な製剤および投与手順などの、よく知られた薬学の技術のいずれかによって準備することができる。有効な製剤および投与手順に関する上記考慮事項は、当業界でよく知られており、標準の教本に記載されている。薬物の製剤については、たとえば、Hoover,John E.、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、米国ペンシルヴェニア州イーストン、1975年;Libermanら編、「Pharmaceutical Dosage Forms」、Marcel Decker、米国ニューヨーク州ニューヨーク、1980年;およびKibbeら編、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(第3版)、米国薬剤師会、米国ワシントン、1999年で論述されている。
【0108】
K.合剤および併用療法
カルボキシピペリジン化合物は、上で前もって論述した様々な状態を治療する他の治療薬と組み合わせて投与することもできる。カルボキシピペリジン化合物と他の治療薬は、(同じ剤形または別々の剤形で)同時に投与してもよいし、逐次投与してもよい。したがって、一実施形態では、本発明は、そのような状態に罹患している、または罹患しやすい対象において、その状態を、その対象に治療有効量のカルボキシピペリジン化合物および1種または複数の追加の治療薬を投与することによって治療する方法を含む。別の実施形態では、本発明は、カルボキシピペリジン化合物と、1種または複数の追加の治療薬と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を含む。
【0109】
一実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、アスピリンと共に投与することができる。
【0110】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の利尿薬と共投与することができる。適切な利尿薬の例には、ヒドロクロロチアジド(MICROZIDE(商標)やORETIC(商標)など)、ヒドロフルメチアジド(SALURON(商標)など)、ベメタニド(bemetanide)(BUMEX(商標)など)、トルセミド(DEMADEX(商標)など)、メトラゾン(ZAROXOLYN(商標)など)、クロロチアジド(DIURIL(商標)、ESIDRIX(商標)、HYDRODIURIL(商標)など)、トリアムテレン(DYRENIUM(商標)など)、エタクリン酸(EDECRIN(商標)など)、クロルサリドン(HYGROTON(商標)など)、フロセミド(LASIX(商標)など)、インダパミド(LOZOL(商標)など)、およびアミロライド(MIDAMOR(商標)やMODURETIC(商標)など)が含まれる。
【0111】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のアンジオテンシン変換酵素阻害剤と共投与することができる。適切なアンジオテンシン変換酵素阻害剤の例には、キナプリル(ACCUPRIL(商標)など)、ペリンドプリル(ACEON(商標)など)、カプトプリル(CAPOTEN(商標)など)、エナラプリル(VASOTEC(商標)など)、ENALAPRILAT(商標)、ラミプリル(ALTACE(商標)など)、シラザプリル、デラプリル、ホセノプリル(fosenopril)(MONOPRIL(商標)など)、ゾフェノプリル、インドラプリル、ベナゼプリル(LOTENSIN(商標)など)、リシノプリル(PRINIVIL(商標)やZESTRIL(商標)など)、スピラプリル、トランドラプリル(MAVIK(商標)など)、ペリンデプ(perindep)、ペントプリル、モエキシプリル(UNIVASC(商標)など)、ファシドトリル、S−アリメルカプトカプトプリル、およびピボプリルが含まれる。
【0112】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のアンジオテンシンII受容体遮断薬と共投与することができる。適切なアンジオテンシンII受容体遮断薬の例には、カンデサルタン(ATACAND(商標)など)、エプロサルタン(TEVETEN(商標)など)、イルベサルタン(AVEPRO(商標)など)、ロサルタン(COZAAR(商標)など)、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル(BENICAR(商標)など)、タソサルタン、テルミサルタン(MICARDIS(商標)など)、バルサルタン(DIOVAN(商標)など)、ゾラサルタン、FI−6828K、RNH−6270、UR−7198、Way−126227、KRH−594、TAK−536、BRA−657、およびTA−606が含まれる。
【0113】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のカルシウムチャネル遮断薬と共投与することができる。適切なカルシウムチャネル遮断薬の例には、ニフェジピン(ADALAT(商標)、ADALAT CC(商標)、PROCARDIA(商標)など)、ベラパミル(CALAN(商標)、COVERA−HS(商標)、ISOPTIN SR(商標)、VERELAN(商標)など)、ジルチアゼム(CARDIZEM(商標)、CARDIZEM CD(商標)、CARDIZEM LA(商標)、CARDIZEM SR(商標)、DILACOR(商標)、TIAMATE(商標)、TIAZAC(商標)など)、イスラジピン(DYNACIRC(商標)やDYNACIRC CR(商標)など)、アムロジピン(NORVASC(商標)など)、フェロジピン(PLENDIL(商標)など)、ニソルジピン(SULAR(商標)など)、ベプリジル(VASCOR(商標)など)、バタニジピン、クレビジピン、レルカニジピン、ジリチアゼム(dilitiazem)、およびNNC−55−0396が含まれる。
【0114】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のβ遮断薬と共投与することができる。適切なβ遮断薬の例には、チモロール(BLOCARDEN(商標)など)、カルテオロール(CARTROL(商標)など)、カルベジロール(COREG(商標)など)、ナドロール(CORGARD(商標)など)、プロプラノロール(INNOPRAN XL(商標)など)、ベタキソロール(KERLONE(商標)など)、ペンブトロール(LEVATOL(商標)など)、メトプロロール(LOPRESSOR(商標)やTOPROL−XL(商標)など)、アテノロール(TENORMIN(商標)など)、ピンドロール(VISKEN(商標)など)、およびビソプロロールが含まれる。
【0115】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のα遮断薬と共投与することができる。適切なα遮断薬の例には、プラゾシン、ドキサゾシン(CARDURA(商標)など)、フェノキシベンザミン(DIBENZYLINE(商標)など)、テラゾシン(HYTRIN(商標)など)、CDRI−93/478、およびCR−2991が含まれる。
【0116】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のαβ遮断薬と共投与することができる。適切なαβ遮断薬の例は、ラベタロール(NORMODYNE(商標)やTRANDATE(商標)など)である。
【0117】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のアルドステロン受容体拮抗薬と共投与することができる。適切なアルドステロン受容体拮抗薬の例には、エプレレノン(INSPRA(商標)など)およびスピロノラクトン(ALDACTONE(商標)など)が含まれる。
【0118】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のレニン阻害剤と共投与することができる。適切なレニン阻害剤の例には、アリスキレン(SPP100)、SPP−500/600、およびYS−004−39が含まれる。
【0119】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の中枢作用型抗アドレナリン作動薬(central antiadrenergic)と共投与することができる。適切な中枢作用型抗アドレナリン作動薬の例には、メチルドパ(ALDOMET(商標)など)、クロニジン(CATAPRES(商標)、またはCATAPRES−TTS(商標)など)、グァンファシン(TENEX(商標)など)、およびグアナベンズ(WYTENSIN(商標)など)が含まれる。
【0120】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のグリコシド/変力薬と共投与することができる。適切なグリコシド/変力薬の例は、ジゴキシン(LANOXIN(商標)など)である。
【0121】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のヒトB型ナトリウム利尿ペプチドと共投与することができる。適切なヒトB型ナトリウム利尿ペプチドの例は、ネシリチド(NATRECOR(商標)など)である。
【0122】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の有機硝酸または一酸化窒素供与体と共投与することができる。「一酸化窒素供与体」とは、一酸化窒素種を供与、放出、および/または直接もしくは間接的に輸送し、および/またはin vivoで一酸化窒素もしくは内皮由来弛緩因子(EDRF)の内因性の産生を刺激し、および/またはin vivoで一酸化窒素もしくはEDRFの内在レベルを上昇させる化合物を指す。一酸化窒素供与体には、一酸化窒素シンターゼの基質である化合物が含まれる。適切な一酸化窒素供与体の例には、S−ニトロソチオール、亜硝酸、硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、SPM3672、SPM5185、SPM5186、およびこれらの類似体、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、モルシドミン、SIN−1、ならびに様々な一酸化窒素シンターゼアイソザイムの基質が含まれる。
【0123】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のブラジキニン作動薬と共投与することができる。
【0124】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化因子と共投与することができる。適切な可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化因子の例は、BAY−41−8543である。
【0125】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の中性エンドペプチダーゼ阻害剤と共投与することができる。適切な中性エンドペプチダーゼ阻害剤の例には、オマパトリラト、ファシドトリル、ミキサンプリル(mixanpril)、サムパトリラト(sampatrilat)、Z13752A、
【0126】
【化3】

が含まれる。
【0127】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のエンドセリン拮抗薬と共投与することができる。適切なエンドセリン拮抗薬の例には、アンブリセンタン、ダルセンタン、J−104132、SPP−301、TBC−3711、YM−62899、YM−91746、およびBMS−193884が含まれる。
【0128】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼ阻害剤と共投与することができる。適切な3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼ阻害剤の例には、フルバスタチン(LESCOL(商標)など)、アトルバスタチン(LIPITOR(商標)など)、ロバスタチン(ALTOCOR(商標)やMEVACOR(商標)など)、プラバスタチン(PRAVACHOL(商標)など)、ロスバスタチン(CRESTOR(商標)など)、シンバスタチン(ZOCOR(商標)など)が含まれる。
【0129】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、ナイアシンまたは1種または複数のニコチン酸誘導体と共投与することができる。適切なナイアシンまたはニコチン酸誘導体の例には、NIACOR(商標)、NIASPAN(商標)、NICOLAR(商標)、およびSLO−NIACIN(商標)が含まれる。
【0130】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のフィブリン酸(fibric acid)誘導体と共投与することができる。適切なフィブリン酸誘導体の例には、クロフィブラート(ATROMID−S(商標)など)、ゲムフィブロジル(LOPID(商標)など)、およびフェノフィブラート(TRICOR(商標)など)が含まれる。
【0131】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の胆汁酸金属イオン封鎖剤と共投与することができる。適切な胆汁酸金属イオン封鎖剤の例には、コレスチポール(COLESTID(商標)など)、コレスチラミン(LOCHOLEST(商標)、PREVALITE(商標)、QUESTRAN(商標)、QUESTRAN LIGHT(商標)など)、コレセベラム(WELCHOL(商標)など)が含まれる。
【0132】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のコレステロール吸収阻害剤と共に共投与することができる。適切なコレステロール吸収阻害剤の例は、エゼチミベ(ZETIA(商標)など)である。
【0133】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のコレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤と共投与することができる。適切なコレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤の例は、トルセトラピブである。
【0134】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数の尖側(apical)ナトリウム依存性胆汁酸共輸送体阻害剤と共投与することができる。適切な尖側ナトリウム依存性胆汁酸共輸送体阻害剤の例には、SD−5613、AZD7806、および264W94が含まれる。
【0135】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のαグルコシダーゼ阻害剤と共投与することができる。適切なαグルコシダーゼ阻害剤の例には、ミグリトール(GLYSET(商標)など)およびアカルボース(PRECOSE(商標)など)が含まれる。
【0136】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のビグアナイドと共投与することができる。適切なビグアナイドの例には、ロシグリタゾン(AVANDAMET(商標)など)およびメトホルミン(GLUCOPHAGE(商標)やGLUCOPHAGE XR(商標)など)が含まれる。
【0137】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のインスリンと共投与することができる。適切なインスリンの例には、HUMALOG(商標)、HUMALOG50/50(商標)、HUMALOG75/25(商標)、HUMULIN50/50(商標)、HUMALIN75/25(商標)、HUMALIN L(商標)、HUMALIN N(商標)、HUMALIN R(商標)、HUMALIN R U−500(商標)、HUMALIN U(商標)、ILETIN II LENTE(商標)、ILETIN II NPH(商標)、ILETIN II REGULAR(商標)、LANTUS(商標)、NOVOLIN70/30(商標)、NOVILIN N(商標)、NOVILIN R(商標)、NOVOLOG(商標)、VELOSULIN BR(商標)、およびEXUBERA(商標)が含まれる。
【0138】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のメグリチニドと共投与することができる。適切なメグリチニドの例には、レパグリニド(PRANDIN(商標)など)およびナテグリニド(STARLIX(商標)など)が含まれる。
【0139】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のスルホニル尿素と共投与することができる。適切なスルホニル尿素の例には、グリメピリド(AMARYL(商標)など)、グリブリド(DIABETA(商標)、GLYNASE PRESTAB(商標)やMICRONASE(商標)など)、およびグリピジド(GLUCOTROL(商標)やGLUCOTROL XL(商標)など)が含まれる。
【0140】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のチアゾリジンジオンと共投与することができる。適切なチアゾリジンジオンの例には、ピオグリタゾン(ACTOS(商標)など)およびロシグリタゾン(AVANDIA(商標)など)が含まれる。
【0141】
別の実施形態では、カルボキシピペリジン化合物は、1種または複数のα2δリガンドと共投与することができる。適切なα2δリガンドの例には、ギャバペンチン、プレガバリン(LYRICA(商標)など)、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(1α,3α,5α)−(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸および(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸)、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プラリン、ならびに(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)プラリンが含まれる。
【0142】
L.キット
本発明はさらに、上述の治療方法を実施する際の使用に適するキットを含む。一実施形態では、キットは、カルボキシピペリジン化合物を含む第1の剤形と、第1の剤形のための容器とを含む。別の実施形態では、キットは、カルボキシピペリジン化合物を含む第1の剤形と、第2の治療薬を含む第2の剤形とを含む。
【0143】
別の実施形態では、キットは、カルボキシピペリジン化合物を含む第1の剤形と、アンジオテンシン変換酵素阻害剤を含む第2の剤形とを含む。
【0144】
別の実施形態では、キットは、カルボキシピペリジン化合物を含む第1の剤形と、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を含む第2の剤形とを含む。
【0145】
別の実施形態では、キットは、カルボキシピペリジン化合物を含む第1の剤形と、アルドステロン受容体拮抗薬を含む第2の剤形とを含む。
【0146】
別の実施形態では、キットは、カルボキシピペリジン化合物を含む第1の剤形と、一酸化窒素供与体を含む第2の剤形とを含む。
【0147】
M.化合物の合成
カルボキシピペリジン化合物は、以下で記載する合成スキームおよび実験手順で例示する方法を使用して調製することができる。一般合成スキームは、例示目的で提供するものであり、限定するものではない。カルボキシピペリジン化合物の調製に使用する出発材料は、市販されており、または当業者によく知られているごく普通の方法(「COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS」第I〜VI巻(Wiley−Interscienceより出版)などの標準の参考書に示されている方法など)によって調製することもできる。
【0148】
スキーム1
スキーム1は、カルボキシピペリジン化合物の遊離酸を調製する一般手順の概略を述べるものである。
【0149】
【化4】

【0150】
スキーム2
スキーム2は、カルボキシピペリジン化合物の遊離酸を調製するための代替一般手順の概略を述べるものである。
【0151】
【化5】

【実施例】
【0152】
以下の実施例で、カルボキシピペリジン化合物の遊離酸の合成を例示する。
【0153】
(実施例1)
【0154】
【化6】

1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸
【0155】
ステップ1:1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの調製
【0156】
【化7】

1L容フラスコに、(EP1176142の18ページに記載のとおりに調製した)3−エチル−4−ニトロピラゾール−5−カルボキサミド(15.0g、81mmol)、トリフェニルホスフィン(25.6g、97.8mmol)、およびテトラヒドロフラン(120mL)を装入した。フラスコを0℃の浴に入れて、得られる混合物を冷却し、2−エトキシエタノール(9.5ml、98mmol)をフラスコに加えた。次いで、アゾジカルボン酸ジ−t−ブチル(22.5g、97.8mmol)のテトラヒドロフラン(90mL)溶液を2.5時間かけてフラスコに加えた。混合物を冷却しながらさらに1時間攪拌し、次いで室温に温め、さらに1時間攪拌した。混合物を再び0℃に冷却し、6M塩酸(40ml)で処理し、1時間かけて40℃に加熱した。混合物を部分的に濃縮し、酢酸エチルと水とに抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を合わせて水で洗浄し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、次いで濃縮した。得られる粘稠性の油状物を2−プロパノールで処理し、次いでこの混合物を濃縮した。得られる材料を2−プロパノールで処理し、加熱した。冷却した後、得られる結晶を濾過し、冷2−プロパノールですすぎ、乾燥させて、16.5gの表題化合物を得た。
【0157】
ステップ2:4−アミノ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの調製
【0158】
【化8】

ステップ1の1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(15.0g、58mmol)、5%の白金担持炭素(0.75g)、および酢酸イソプロピル(150mL)を合わせ、混合物を80psiの水素中で約50時間攪拌した。次いでその混合物をセライトで濾過し、セライトをアセトニトリルですすぎ、濾液を濃縮した。材料が最終的に結晶化して、13.7gが表題化合物の水和物として得られた。
【0159】
ステップ3:1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5,7(4H,6H)−ジオン
【0160】
【化9】

カルボニルジイミダゾール(12.3g、76.1mmol)のアセトニトリル(123mL)中混合物を50℃に温めた。ステップ3で調製した4−アミノ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(13.2g、58mmol)を1時間かけてこの混合物に加え、加える際の混合物の温度を75℃に上げた。次いで、混合物を冷却し、終夜攪拌した。その混合物を氷浴で冷却し、濾過した。濾過ケーキを水ですすぎ、乾燥させて、12.8gの表題化合物を得た。
【0161】
ステップ4:5,7−ジクロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジンの調製
【0162】
【化10】

ステップ3の1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5,7(4H,6H)−ジオンの混合物(25.2g、100mmol)をPhPOCl(195g、1000mmol)で処理し、N2中にて攪拌しながら135℃で20時間加熱した。混合物を冷却し、次いで140℃でさらに20時間加熱した。この混合物を冷却し、氷(600g)/水(200mL)混合物にゆっくりと加えた。これを3時間攪拌し、得られる固体を濾過によって収集し、水(2×100mL)ですすいだ。固体を酢酸エチル(300mL)に懸濁させた。水(200mL)を加え、pHを1〜2に調整した。次いで、10%NaHCO(125mL)を加え(pH約7となる)、層を分離した。有機層を水(400mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(150mL)で順次洗浄した。次いで、有機溶液を乾燥させ、濃縮して、23gの表題化合物を得た。
【0163】
ステップ5:N−[5−クロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−イル]−4−メチルピリジン−2−イルアミンの調製
【0164】
【化11】

2−アミノ−4−ピコリン(4.32g、40mmol)とステップ4の5,7−ジクロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン(5.78g、20mmol)の混合物をTHF(25mL)で処理し、0℃に冷却した。混合物を攪拌し、温度が5℃より低く保たれるような速度で、1MのTHF中LiN(TMS)(40mL、40mmol)で処理した。混合物を30分間攪拌し、次いで、pH6〜7に到達するまで10%のクエン酸溶液で処理した。混合物を減圧下で部分的に濃縮した。次いで、その混合物を5℃で1時間攪拌した。得られる固体を吸引濾過によって収集し、水(40mL)で洗浄した。固体を温度60℃未満の真空オーブンで乾燥させて、7.0gの表題化合物を得た。
【0165】
ステップ6:1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸の調製
【0166】
【化12】

ステップ5のN−[5−クロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−イル]−4−メチルピリジン−2−イルアミン(5.42g、166mmol)、イソニペコチン酸(85.9g、665mmol)、炭酸セシウム(162g、498mmol)、およびDMSO(55mL)の混合物を、攪拌しながら125℃で加熱した。20時間後、混合物を20℃に冷却し、水(165mL)を加えた。混合物を15分間攪拌し、次いで酢酸エチル(55mL)で処理した。層を分離し、水層を別の分の酢酸エチル(55mL)で処理した。この層を再び分離し、6M HClを使用して水層をpH約5にした。1時間攪拌した後、得られる固体を濾過し、水(20mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、5.5gの表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ1.10(t,3H)、1.30(t,3H)、1.49〜1.60(m,2H)、1.84〜1.95(m,2H)、2.32〜2.36(m,3H)、2.52〜2.57(m,1H)、2.78(q,2H)、2.99〜3.08(m,2H)、3.52(q,2H)、3.78(t,2H)、4.45〜4.53(m,2H)、4.56〜4.64(m,2H)、6.91(d,1H)、8.05(s,1H)、8.18(d,1H)、9.63(s,1H)、12.18(s,1H)。LCMSm/z454。
【0167】
別法として、ステップ5のN−[5−クロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−イル]−4−メチルピリジン−2−イルアミンの混合物を、イソニペコチン酸(1〜10の間の当量)および塩基と合わせ、反応が完了するまで溶媒中にて100〜125℃の間で加熱することもできる。適切な塩基には、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムが含まれる。適切な溶媒には、DMSOおよびN,N−ジメチルホルムアミドが含まれる。冷却した後、水を加え、塩基性の溶液を酢酸エチルなどの有機溶媒で(1〜3回の間)抽出することができる。残りの塩基性の層をHClでpH5に酸性化する。混合物を約1時間攪拌する。固体を濾別し、水で洗浄し、真空中で乾燥させて、表題化合物を得る。
【0168】
(実施例2)
【0169】
【化13】

1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸
【0170】
ステップ1:1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの調製
【0171】
【化14】

1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドは、実施例1ステップ1に従って調製した。
【0172】
ステップ2:4−アミノ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの調製
【0173】
【化15】

ステップ1の1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(5.70g、22mmol)および水酸化パラジウム(1.0g)のエタノール(110mL)中混合物を、約10分間隔で4回に分けてギ酸アンモニウム(7.01g、111mmol)で処理した。得られる混合物を2時間加熱還流し、次いで冷却した。混合物をセライトで濾過し、濃縮した。得られる残渣を、酢酸エチルとヘキサンの混合物を溶離液として使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、2.45gの表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.17(t,3H)、1.21〜1.32(m,3H)、2.60(q,2H)、3.53(q,2H)、3.79〜3.95(m,2H)、4.38〜4.52(m,2H)。MS(ESI)m/z227。
【0174】
ステップ3:1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5,7(4H,6H)−ジオン
【0175】
【化16】

ステップ2の4−アミノ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(2.44g、10.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)中混合物をカルボニルジイミダゾール(1.92g、11.9mmol)で処理し、80℃で一晩加熱した。混合物を真空中で濃縮し、残渣を、酢酸エチルとヘキサンの混合物を溶離液として使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、1.04gの表題化合物を得た。MS(ESI)m/z253。
【0176】
ステップ4:5,7−ジクロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジンの調製
【0177】
【化17】

1滴のN,N−ジメチルホルムアミドを加えた、ステップ3で調製した1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5,7(4H,6H)−ジオン(7.2g)とオキシ塩化リン(200mL)の混合物を一晩加熱還流した。混合物を冷却し、減圧下でオキシ塩化リンを蒸発させた。得られる残渣に氷を加え、次いで混合物をクロロホルムで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発にかけて、2.09gの5,7−ジクロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジンを油状物として得たが、静置すると凝固した。LCMSm/z289。
【0178】
ステップ5:1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸の調製
【0179】
【化18】

ステップ4で調製した5,7−ジクロロ−1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン(1mmol)、2−アミノ−4−ピコリン(2mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3mmol)、およびN−メチルピロリドン(1mL)を2つの反応容器それぞれに加えた。各容器をCEM Discoverマイクロ波装置に入れて150℃で15分間照射した。イソニペコチン酸(3mmol)を各反応容器に加え、得られる混合物を180℃で15分間照射した。2つの反応容器の内容物を合わせた。この混合物に水および酢酸エチルを加え、混合物を振盪した。その混合物に塩酸(1M)を加え、混合物を再び振盪した。層を分離した。有機層を水で洗浄し、塩酸(1M)を加え、層を分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。飽和炭酸ナトリウムを加えて水層のpHを約6に上げ、次いで水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、上の有機残渣に加え、蒸発にかけた。溶液を、10〜95%の勾配のアセトニトリル/水(塩酸)を用いるVarian DynamaxC−18カラム(250×41.4mm)でのRP−HPLCによって2バッチで15分間かけて精製した。画分を合わせ、蒸発にかけて、0.26gの表題化合物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ1.10(t,3H)、1.30(t,3H)、1.49〜1.60(m,2H)、1.84〜1.95(m,2H)、2.32〜2.36(m,3H)、2.52〜2.57(m,1H)、2.78(q,2H)、2.99〜3.08(m,2H)、3.52(q,2H)、3.78(t,2H)、4.45〜4.53(m,2H)、4.56〜4.64(m,2H)、6.91(d,1H)、8.05(s,1H)、8.18(d,1H)、9.63(s,1H)、12.18(s,1H)。LCMSm/z454。
【0180】
プロトコル
N.効力および選択性アッセイ
方法1:ヒト血小板PDE5酵素阻害シンチレーション近接アッセイ
インビトロアッセイを使用して、試験化合物によるPDE5酵素活性の阻害を評価することができる。以下でより詳細に記載するとおり、このアッセイは、試験化合物のPDE5 IC50値(すなわち、PDE5酵素を触媒とする、cGMPをGMPにする加水分解を、非阻害対照の活性を基準として50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度)を測定するものである。
【0181】
アッセイで使用するPDE5酵素は、Ballard SAら、J.Urology第159巻(6)、2164〜2171ページ、1998年に記載されているように、Thompson,WJら、Biochemistry第18巻(23)、5228〜5237ページ、1979年の方法の適切な変法によって、ヒト血小板から得ることができる。ヒト血小板から単離したPDE5酵素を使用して、[H]cGMP(Amersham Biosciences)を5’ヌクレオチド[H]GMPにする加水分解を触媒することができる。この[H]GMPは、ケイ酸イットリウムSPAビーズ(Amersham Biosciences)に結合し、シンチレーション計数によって検出される。より詳細には、基質(未標識対[H]標識の比が3:1のcGMPまたはcAMP)の存在下、化合物と一定量のPDE5酵素を接触させることによって、異なる濃度での試験化合物の効果をこのアッセイで評価することができる。シンチレーション計数を上述のように使用すると、相対的なPDE5酵素活性を決定することができる。次いで、非阻害対照の総PDE5酵素活性を基準として、PDE5酵素活性の阻害を算出する。
【0182】
PDE5 IC50アッセイ:96ウェルマイクロタイタープレートフォーマット
試薬
緩衝液A: 20mMのトリス−HCl、5mMのMgCl、pH7.4
緩衝液B: 2mg/mlのBSAの入った緩衝液A(酵素緩衝液)
cGMP基質: アッセイにおける最終濃度500nM
加えるH標識された基質の量は、[H]cGMPの比放射能に応じて決まり、cGMP基質は、冷えたcGMPの緩衝液A中10mM保存物で希釈して、このアッセイの最終基質濃度を500nMとする。
PDE酵素: 緩衝液B中に調製。希釈倍率は酵素活性によって決定する。
SPAビーズ: dH2O中に調製した20mg/ml懸濁液。
【0183】
【表1】

【0184】
基準物質および試験化合物の保存物を100%DMSO中に5mMで調製する。10点1/2対数希釈フォーマットを使用して、化合物を希釈プレート中に連続希釈する。2μlの化合物希釈物をアッセイプレートのウェルに2通りに加える。2μlの100%DMSOを示した対照ウェルに加える。25μlの緩衝液Aをすべてのウェルに加える。25μlの緩衝液Bを陰性対照ウェルに加える。25μlの酵素を残りのウェルに加える。50μlの基質を各ウェルに加える。プレートをシールし、プレートシェーカーに載せて30℃で60分間インキュベートする。50μlのSPAビーズを加えて反応を停止する。プレートを再びシールし、15分間振盪して、ビーズがGMP産物を結合するようにする。ビーズを30分間安定させ、次いでNXT TopCountシンチレーション計数器で読む。プレートベーススクリーニング用のカーブフィッティングアプリケーションを用いてデータを分析する。このアッセイの阻害パーセントを次のように算出する。
阻害(%)=[(平均最大値−化合物の値/(平均最大値−平均最小値)]×100。
IC50値は、酵素活性対化合物濃度のシグモイド用量反応曲線から決定する。
【0185】
カルボキシピペリジン化合物を方法1に従って試験した。測定された対応するPDE5 IC50値を表Aに報告する。
【0186】
【表2】

【0187】
WO2004096810の実施例で以前に開示されている化合物を方法1に従って試験した。測定された対応するPDE5 IC50値を表Bで報告する。
【0188】
【表3−1】

【0189】
【表3−2】

【0190】
【表3−3】

【0191】
【表3−4】

【0192】
【表3−5】

【0193】
【表3−6】

【0194】
【表3−7】

【0195】
【表3−8】

【0196】
【表3−9】

【0197】
【表3−10】

【0198】
【表3−11】

【0199】
【表3−12】

【0200】
【表3−13】

【0201】
【表3−14】

【0202】
【表3−15】

【0203】
【表3−16】

【0204】
【表3−17】

【0205】
【表3−18】

【0206】
【表3−19】

【0207】
【表3−20】

【0208】
【表3−21】

【0209】
【表3−22】

【0210】
【表3−23】

【0211】
【表3−24】

【0212】
【表3−25】

【0213】
【表3−26】

【0214】
【表3−27】

【0215】
【表3−28】

【0216】
【表3−29】

【0217】
【表3−30】

【0218】
【表3−31】

【0219】
方法1A:代替ヒト血小板PDE5酵素阻害シンチレーション近接アッセイ
試験化合物のPDE5 IC50は、方法1とは異なる代替インビトロアッセイで、以下で述べるとおりに測定することもできる。
PDE5 IC50アッセイ:96ウェルマイクロタイタープレートフォーマット
試薬
緩衝液A: 20mMトリス−HCl、5mM MgCl、pH7.4
緩衝液B: 2mg/mlの緩衝液A中BSA(酵素緩衝液)
cGMP基質: アッセイにおける最終濃度50nM
加えるH標識された基質の量は、[H]cGMPの比放射能に応じて決まり、基質は緩衝液Aに希釈する。
PDE酵素: 緩衝液B中に調製。希釈倍率は酵素活性によって決定する。
SPAビーズ: dHO中に調製した4mg/ml懸濁液。
【0220】
【表4】

【0221】
基準物質および試験化合物の保存物を100%DMSO中に2mMで調製する。最初のIC50スクリーンでは、10点1/5対数希釈フォーマットを使用して、アッセイの出発濃度が2μMになるように試験化合物を希釈プレート中に連続希釈し、確認のIC50は、10点1/3対数希釈を使用して実施する。27μlの緩衝液Aをアッセイプレートのウェルに加える。この希釈プレートから、3μlの希釈化合物を2通りに配分し、または(陽性対照および陰性対照では)3μlの100%DMSOを加える。30μlの酵素を加える。陰性対照ウェルについては、酵素の代わりに緩衝液Bを用いる。30μlの標識された基質をすべてのウェルに加える。
【0222】
室温で60分間インキュベートした後、30μlのケイ酸イットリウムビーズを加えて反応を停止させる。このビーズは高密度であり、プレートに加える間一定の攪拌が必要である。プレートをシールし、プレートシェーカーで15分間振盪して、ビーズをGMP産物に結合させる。
【0223】
ビーズを30分間安定させた後、NXT TopCountシンチレーション計数器でプレートを読み、データを次のように分析する。各プレートの0%および100%対照の平均を使用してパーセント阻害値を算出する。次いで、化合物のウェルレベルパーセント阻害値を使用して、ロジスティックなシグモイド用量反応モデルの4パラメータの推定値を算出する。4パラメータロジスティックモデルの式は、De Lean,A.、P.J.Munson、およびD.Rodbard(「Simultaneous analysis of families of sigmoidal curves:application to bioassay,radioligand assay,and physiological dose−response curves.」、Am.J.Physiol.第235巻(2):E97〜E102、1978年)に記載されているように、Y=((a−d)/(1+(X/c)^b))+d[式中、Yは反応であり、Xは濃度であり、aは下方の漸近線(最小反応)であり、dは上方の漸近線(最大反応)であり、cは(Xと同じ単位の)モデルIC50であり、bは勾配である]として示すことができる。これらの推定値を使用して、50%阻害に相当する濃度を算出する。
【0224】
カルボキシピペリジン化合物を方法1aに従って試験した。測定された対応するPDE5 IC50値を表Cで報告する。
【0225】
【表5】

【0226】
WO2004096810の実施例で以前に開示されている化合物を方法1aに従って試験した。測定された対応するPDE5 IC50値を表Dで報告する。
【0227】
【表6】

【0228】
方法2:ヒト網膜PDE6酵素阻害シンチレーション近接アッセイ(SPA)
試験化合物によるPDE6酵素活性の阻害は、PDE5酵素の代わりに、ヒト、ウシ、またはイヌの網膜から単離した半精製したPDE6酵素を使用する以外は、方法1のインビトロアッセイに従って測定することができる。このアッセイは、試験化合物のPDE6 IC50値(すなわち、PDE6酵素を触媒とする、[H]cGMPを5’ヌクレオチド[H]GMPにする加水分解を、非阻害対照の活性を基準として50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度)を測定するものである。[3H]GMPは、ケイ酸イットリウムSPAビーズに結合し、シンチレーション計数によって検出される。
【0229】
PDE6の精製:PDE6は、次のものから単離および精製することができる。ウシの眼からの可溶性杆体PDE6/杆体外節PDE6(Charles River Ltd、フランス)、イヌの眼からの錐体PDE6(LAS)、またはヒトの眼からの可溶性杆体および錐体PDE6(I.I.A.M.)。
【0230】
ホモジナイズ緩衝液
20mMのHepes(Sigma) 2.383グラム
1mMのEDTA(Sigma) 0.186グラム
300mlのHPLC(Acros)または二重脱イオン水に溶解させる。
100mMのPMSF(Sigma) 0.174グラム/10mlエタノール
5mlのPMSF溶液をゆっくりと緩衝液に加えて沈殿を回避する。
250mMのスクロース(Fisher)42.78グラムを加える。
体積を500mlに調整し、溶解するまで攪拌する。
1M NaOHを使用してpHを7.2に調整する。
4℃で保存する。
【0231】
網膜の調製:柔らかくなり、角膜およびレンズが透明になるまで眼を解凍する。眼を角膜最上部で支えながら、虹彩のレベルより下の結膜に小さい切開を行う。切開は、体液を切り口から逃がすのに十分であるべきである。鋭利なハサミを使用し、角膜の周囲を切開して、角膜が組織弁として持ち上げられるようにする。小さい鉤を使用して、レンズをひっかけ、同時に網膜を引き出さないように気を付けながらそれを眼窩から穏やかに引き出す。網膜が眼窩底部にひとりでに落ちるようにする。
【0232】
網膜を注意深く持ち上げ、視神経の位置を捜し当てる。視神経を切り離し、網膜を、数mlのホモジナイズ緩衝液を含む小さいシャーレに移す。網膜を緩衝液表面に穏やかに漂わせ、見てわかる色素性の物質を虹彩から除去する。網膜を、きれいな緩衝液を含む第2のシャーレに入れて、色素の最後の痕跡を除去し、次いで50ml容Corning Costar遠心管(Sigma)に移し、氷上に置いておく。
【0233】
PDE6の網膜からの単離および精製:ウシ網膜1枚あたり2ml、イヌおよびヒトでは1網膜あたり1mlのホモジナイズ緩衝液を供給する。手持ち式のホモジナイザーを3×5秒バーストで使用し、各バーストの間に氷上で冷却しながらホモジナイズする。ホモジネートを2層の外科用ガーゼで濾過する。4℃で60分間、100000gで回転させる。細胞質ゾルを、十分な体積があれば0.22μMのSteril−Dパックで、または0.22μMのシリンジ末端フィルター(たとえばMillex(登録商標)−GV)で濾過する。FPLC(Pharmacia FPLC LKB/FRAC−100、Pharmacia)にかけ、または等分し、必要に応じて液体窒素中で保存する。
【0234】
方法2A:代替ヒト網膜PDE6酵素阻害シンチレーション近接アッセイ(SPA)
試験化合物によるPDE6酵素活性の阻害は、PDE5酵素の代わりに、ヒト、ウシ、またはイヌの網膜から単離した半精製したPDE6酵素を使用する以外は、方法1Aのインビトロアッセイに従って測定することもできる。このアッセイは、試験化合物のPDE6 IC50値(すなわち、PDE6酵素を触媒とする、[H]cGMPを5’ヌクレオチド[H]GMPにする加水分解を、非阻害対照の活性を基準として50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度)を測定するものである。[3H]GMPは、ケイ酸イットリウムSPAビーズに結合し、シンチレーション計数によって検出される。
【0235】
方法3:ヒト組換え型PDE11酵素阻害シンチレーション近接アッセイ(SPA)
試験化合物によるPDE11酵素活性の阻害は、PDE5酵素の代わりに、Sf9昆虫細胞中で発現させたPDE11酵素を使用する以外は、方法1のインビトロアッセイに従って測定することができる。このアッセイは、試験化合物のPDE11 IC50値(すなわち、PDE11酵素を触媒とする、[H]cGMPを5’ヌクレオチド[H]GMPにする加水分解を、非阻害対照の活性を基準として50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度)を測定するものである。[3H]GMPは、ケイ酸イットリウムSPAビーズに結合し、シンチレーション計数によって検出される。
【0236】
PDE11の発現および精製:
(a)発現:転移されたPDE−11A1(配列番号1)を含有するバキュロウイルス発現ベクター(pFastBac系、Invitrogen)を使用して、200mlのSf9昆虫細胞(Invitrogen、米国カリフォルニア州Carlsbad)(1×10/ml)を感染効率2で感染させる(4×10pfu/ml)。220rpmで振盪しながら27℃で48時間インキュベートする。4℃で10分間、2000rpmでペレット化して、感染細胞を収集する。精製の準備ができるまで感染細胞ペレットを−80℃で保存する。解凍した細胞ペレットを、1×10細胞/ml(=20mMのHepes(pH7.2)、1mMのEDTA、20mMのスクロース、150mMのNaCl、およびプロテアーゼ阻害剤錠からなる20mlの緩衝液)に再懸濁する。十分に混合し、氷上で10分間静置する。氷上で5×5秒間超音波処理する。混合物をSS34に入れて4℃で10分間、12000rpmで回転させる。不溶性のペレットを−80℃で保存し、可溶性材料の精製へと進める。
【0237】
(b)精製:空のカラムをTBSで2回すすいで、カラム(直径1.0cm、Kontes)を準備する。次いで、ビーズ(抗FLAG M2アガロース、Sigma)をTBSと混合し、カラムに加え、ビーズを安定させる。カラムを3カラム体積の0.1Mグリシン(pH3.5)で洗浄する。次いで、カラムを5カラム体積のTBSで洗浄する(乾燥させない)。抽出物をカラムにかけ、重力の流れによって抽出物を侵入させる。流入法を再度適用する。カラムを15カラム体積のTBSで洗浄する。タンパク質を5×1ml分割量のFLAGペプチド(Sigma)(すなわちTBS中100μg/ml)で溶離する。残りのタンパク質を1mlの0.1Mグリシンで溶離し、直ちに25μlの1MトリスpH8を加えて中和する。
【0238】
方法3A:代替ヒト組換え型PDE11酵素阻害シンチレーション近接アッセイ(SPA)
試験化合物によるPDE11酵素活性の阻害は、PDE5酵素の代わりにSf9昆虫細胞中で発現させたPDE11酵素を使用する以外は、方法1Aのインビトロアッセイに従って測定することもできる。このアッセイは、試験化合物のPDE11 IC50値(すなわち、PDE11酵素を触媒とする、[H]cGMPを5’ヌクレオチド[H]GMPにする加水分解を、非阻害対照の活性を基準として50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度)を測定するものである。[3H]GMPは、ケイ酸イットリウムSPAビーズに結合し、シンチレーション計数によって検出される。
【0239】
カルボキシピペリジン化合物を、方法2、方法2A、方法3、および方法3Aに従って試験した。測定された対応するPDE6およびPDE11 IC50値を表Eで報告する。
【0240】
【表7】

【0241】
実施例のWO2004096810で以前に開示されている化合物を、方法2、方法2A、方法3、および方法3Aに従って試験した。測定された対応するPDE6およびPDE11 IC50値を表Fで報告する。
【0242】
【表8】

【0243】
試験化合物の有効性を評価するのに使用することのできる追加のアッセイには、以下で述べる方法4、方法4A、方法5、および方法6が含まれる。
【0244】
方法4:大動脈環アッセイ
エキソビボアッセイを使用して、試験化合物に暴露したラット大動脈環の直接の弛緩を測定することができる。以下でより詳細に述べるように、PDE5活性を阻害する試験化合物は、大動脈環をジエチルトリアミンNONOアート(「DETA−NO」としても知られているジアゼン−1−イウム−1,2−ジオラート)などの安定な外因性の一酸化窒素供与体に暴露したときに惹起される大動脈環の弛緩を、cGMPシグナルを増強することによって(すなわち、PDE5酵素を触媒とする、cGMPをGMPにする加水分解を阻害することによって)誘発する。このアッセイは、試験化合物のEC50値(すなわち、試験化合物の最大可能有効反応の50%を生じる試験化合物の濃度)を測定するものである。
【0245】
雄のスプラーグドーリーラット(250〜350g)を、COガスを使用して窒息させ、その胸大動脈を慎重に切除し、Krebs緩衝液に入れる。次いで、大動脈を慎重に解体して結合組織から離し、長さがそれぞれ3〜4mmの8つの切片に分ける。
【0246】
水を張った(37℃)15mL容組織浴中で、大動脈環を、平行したステンレス鋼ワイヤーの間に1グラムの静止張力で吊す。等尺性張力変換器を使用して張力を測定し、Ponemah組織プラットフォームシステムを使用して記録する。各調製物は、化合物試験の前に少なくとも60分間かけて平衡に達するようにする。この時間の間、組織を200uMのNG−モノメチルL−アルギニン(「L−NMMA」)と共にインキュベートし、15〜20分毎にインキュベート培地を変える(それぞれの洗浄後にL−NMMAを加えて、各組織浴中の最終濃度を200uMに保つ)。
【0247】
平衡期間の後、各組織についてベースライン張力を記録する。フェニレフェリン(1uM)に対する血管収縮剤反応を評価し、フェニレフェリンに対する反応が最大値に到達したとき、その後アセチルコリン(1uM)を負荷して血管の反応性を評価する。別の休薬期間を経てから、各浴に血管収縮剤ノルアドレナリン(25nM)を加え、組織が安定な張りを実現するのに十分な期間(約15分間)にわたり組織をインキュベートした後、第2のベースライン値を記録する。安定な一酸化窒素供与体であるDETA−NOを使用して、外因性の一酸化窒素推進力を供給する。DETA−NOの濃度を(半対数の増大で累積的に)滴定して、ノルアドレナリンによって誘発される予備収縮の約5〜15%の弛緩を実現する。通常は5用量/環を使用し、各付加の間に15分間を見込んで、単一の環で累積的な濃度反応曲線を作成する。
【0248】
方法4A:代替大動脈環アッセイ
方法4を変更して、試験化合物に暴露したラット大動脈環の直接の弛緩を測定するための代替プロトコルを提供することができる。この代替法は、以下で記載するように方法4とは異なる。
【0249】
代替法では、まず、指の間で血管の内腔を穏やかにこすり合わせて内皮を除去してから環を調製する(剥皮環)。静止張力を2グラムに設定し、最大濃度のフェニレフェリン(1μM)に対する血管収縮剤反応を評価した後(休薬期間の後)、300nMのフェニレフリンにさらに2回暴露する。各組織で0.1〜300nMの濃度範囲にわたりノルアドレナリンに対する濃度−反応の関係性を構築する。別の休薬期間の後、化合物の試験に向けて、組織をEC90濃度のノルアドレナリンで収縮させる。
【0250】
方法5:Culex(商標)アッセイ
予めカニューレ処理した意識下の自然発症高血圧ラット(「SHR」)モデルにおいて、全身動脈圧に対する試験化合物の効果を評価することができる。このアッセイは、自動化された血液サンプラー(「ABS」)システムを使用して行う。Culex(商標)ABSシステム(Bioanalytical System,Inc.、米国インディアナ州West Lafayette)は、ラップトップコンピュータ、4つの制御ユニット、および代謝ケージを含む。このABSシステムでは、動物に必要以上のストレスを引き起こすことなく、単一のラットから複数の血液サンプルを採取できるようになる。また、ABSシステムでは、バイオマーカーの特定に使用できる可能性のある尿サンプルの採取が可能になる。この手法を通して、意識下の無拘束SHRラットにおいて有効性および標準の薬物動態の研究を同時に行って、血漿遊離薬物濃度または潜在的なバイオマーカーと薬理学的効果(平均動脈圧の低下)との関係を明確にする。
【0251】
体重約300gの12〜16週齢SHRラットに、両方の頸静脈および右頸動脈の外科的カニューレ処置を施す。手術から回復した後、動物をCulex(商標)ケージに入れ、動物が運動するときにケージの動きを制御して、カテーテルがねじれないようにするセンサーを備えた運動−反応性アームにつなぐ。血液サンプリングのための右頸静脈カテーテルとCulex(商標)無菌管材料セットとの接続、さらに化合物投与のための左頸静脈のカテーテルとの接続を行い、右頸動脈のカテーテルを、血圧をモニターするための圧力変換器に接続する。カテーテルの開存性を保つために、右頸静脈のカニューレは、12分間毎またはサンプリング事象間にカテーテルを20μLのヘパリン食塩水(10単位/mL)でフラッシュするCulex(商標)の「tend」機能によって保守し、左頸静脈のカニューレはヘパリン食塩水(20単位/mL)で満たす。右頸動脈カニューレの開存性は、血圧を記録しないときは延長した管材料に直接に、または血圧をモニターする間は圧力変換器を通して、ヘパリン食塩水をゆっくりと注入することにより維持する。化合物の評価の前に、少なくとも2時間かけて動物を馴化させる。試験化合物は、静脈内に、または経口胃管栄養法によって投与することができる。Culex(商標)ソフトウェアを使用して、血液サンプリングプロトコル(サンプリング時間および体積)をプログラムする。各動物から抜き取る血液の総量は、750μL/24時間および2週間以内に10mL/kgを上回らない。心拍数、血圧、および薬物濃度をモニターする。血圧および心拍数を記録するデータ取得システムを介する圧力変換器であるPONEMAH(Gould Instrument System、米国オハイオ州Valley View)によって、実験プロトコルに基づき、全身の動脈圧および心拍数を6〜24時間記録する。平均動脈圧(主要エンドポイント)を分析して、化合物の有効性を評価する。
【0252】
以下で述べるLC/MS/MS法を使用しながら血液サンプルを分析して血漿薬物濃度を測定し、潜在的なバイオマーカーを評価する。
【0253】
LC/MS/MS法
サンプルの調製:血漿サンプル(50μLの未知の対照またはブランク)を、10μLのアセトニトリル:水または試験化合物の標準液と、また150μLの内標準液(アセトニトリル中に100ng/mLの試験化合物)と混合する。混合物を3000rpmで5分間遠心分離し、125μLの上清を96ウェルプレートに移す。窒素流中で溶媒を蒸発させ、残渣を80μLのアセトニトリル/0.1%ギ酸水溶液(20:80v/v)で再形成する。
【0254】
20μL体積の調製した各サンプルをPhenomenex Synergi4μm MAX−RP2.0×75mmカラムに注射し、0.1%ギ酸水溶液(移動相A)からアセトニトリル(移動相B)への勾配溶離を使用して、0.4mL/分で溶離する。勾配プログラムは、最初に90%の移動相Aを適用した後、注射後0.2分から1.15分まで75%の移動相Bへの線形勾配を適用し、2.0分まで75%の移動相Bを維持するものからなる。移動相を、2.00分から2.10分まで90%の移動相Aに直線的に戻し、3.00分で次の注射を行った。検出は、m/z454.00(MH+試験化合物)→m/z408.00、m/z466.24(MH+試験化合物)→409.33の移行の多段反応モニタリングを行いながら、陽イオンエレクトロスプレー(ESI)を使用する質量分析によって実施した。イオンスプレー電圧は5000に設定する。分析物の内標準に対するピーク面積比を使用して、検量線を作成する。対象濃度は、検量線に照らしてそのピーク面積比からの逆予測によって求める。
【0255】
方法6:自然発症高血圧ラットにおける放射送信機の埋込みおよび遠隔測定によるその後の血圧スクリーニング
自然発症高血圧ラット(「SHR」)モデルにおいて、遠隔測定を使用して、全身動脈圧に対する試験化合物の効果を評価することができる。SHRラットは、酸素が機器の内側のチャンバーを通過するとき一定範囲の百分率を上回るイソフルランを送達するように較正したイソフルラン麻酔機器によってイソフルランガスで麻酔する。動物を導入チャンバーに入れ、イソフルランを4〜5%で投与して、外科的な水準の麻酔に到達するようにする。次いで、外科的な手順を踏む間ノーズコーンから1〜2%で維持し、イソフルランは、手術台上のより小さいイソフルラン麻酔装置によって送達する。
【0256】
麻酔薬を投与した後、市販の無菌放射遠隔測定ユニット(Data Sciences,International、Roseville,MN 55113−1136)を用い、無菌的な手順を使用して、ラットに送信機を埋め込む。手術前に、手術面を剪毛し、(4%グルコン酸クロルヘキシジンおよび4%イソプロピルアルコールを含有する)Dial(商標)ブランドの抗菌液でこすり洗いした後、ヨウ素(10%)スプレー溶液を適用する。2.5〜3.0cmの開腹術を行い、放射遠隔測定ユニットを腹に埋め込み、カテーテルチップを腹大動脈に挿入する。Baby Weitlaner開創器を使用して軟部組織を保持する。腹大動脈の1cmの区画を部分的に解体し、その区画に短時間でクロスクランプをかけ、21ゲージ針で刺し、送信機カテーテルチップを血管に導入し、近接する腰筋に固定した単4.0絹縫合糸によって動かないようにする。次いで、送信機本体を腹腔に挿入し、同時に4.0絹縫合糸で縫合しながら腹筋壁に固定する。皮膚層を、皮下用の途切れのない4.0吸収性縫合糸で閉じる。縫合したら、それぞれ縫合糸ライン中に、またそれに沿って、マーカインを皮下(s.c.)投与した後、ヨウ素を局所的に適用する。意識を取り戻す前に、すべてのラットに0.05mg/kgでブプレノルフィンの術後皮下注射を施す。0.300kgのラットの典型的な投与体積は、0.050mlとなる。ラットは、ブプレノルフィンの投与前に、その手術の麻酔から完全に回復しなければならない。次いで、動物が術後痛を有していることを示す限り、動物に2日間連続して同じ用量を1日1回与える。
【0257】
手術の後、ラットをケージに戻し、紙の寝わらを敷いた切れ目のない底面に個々に収容する。回復に7日間程度の期間を見込んだ後、実験手順を開始する。ラットは通常、手術後数日間は高血圧であり、手術後約7日目までに「正常圧」レベルに戻ることが認められた。実験時間中は終始、ラットに標準のラット用固形飼料および水を自由に与える。
【0258】
試験化合物を、末端が球状のステンレス鋼製2.5インチ18ゲージ強制栄養針を使用して、強制栄養によって胃内(i.g.)投与する。1日1回の投薬では、目標体積は3.33ml/kg(i.g.)である。試験化合物の投与体積は、約1ml/ラットである。試験化合物を投与する媒体は、50mMクエン酸緩衝液pH=5.0中のメチルセルロース(0.5%)+Tween80(0.1%)である。
【0259】
血圧データは、Data Sciences Internationalのデータ取得プログラム(バージョン3.0)を使用して得られる。血圧サンプルは、試験全体について、1.5〜3分間隔で5秒間、1日24時間記録する。このデータを、Data Scienceのデータ解析ソフトウェアによって、所望の時間間隔の平均に加工する。他のすべてのデータ縮小は、Microsoft Excel(商標)スプレッドシートで実施する。
【0260】
O.毒性アッセイ
方法7:小核アッセイ
インビトロ小核アッセイを使用すると、試験化合物の変異原性の潜在性を判定することができる。このアッセイでは、静止期細胞の原形質中にある小核などの小さい膜結合型DNA断片の生成を測定することによって、試験化合物に暴露された結果として生じる染色体異常を検出する。
【0261】
このアッセイは、代謝的な活性化を伴うまたは伴わない異なる試験条件下で、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を使用して行う。このスクリーニングアッセイとインビトロ細胞遺伝学との成果の一致は、約85%である。直接の(−S9)試験は、24時間または3時間の連続的な処置を使用して行うのに対し、代謝的な活性化を伴う試験(+S9)は、3時間の処置を含む。染色体異常誘発能は、暴露後の最初の静止期における小核細胞数(細胞質分裂がブロックされた二核細胞)の増加によって示される。結果を、試験化合物が生じる(二核細胞の割合によって測定される)細胞傷害性のレベルと比較する。試験の妥当性を実証するために、陰性(媒体処置)および陽性(既知のレスポンダー)対照が、歴史上の確立している範囲内で反応する必要がある。
【0262】
陰性−陰性の結果は、アッセイの特定のエンドポイントによって明確になる遺伝毒性の危険がないとするものである(例:インビトロ小核陰性)。陰性反応を示す試験化合物は、アッセイの特定の評価基準を満たさなかったが、その評価基準には、1)陰性(媒体)対照と比べた、特定のアッセイエンドポイントの、再現できる濃度依存的な増加、および/または2)1つまたは複数の試験濃度が、特定のエンドポイントの最小フォルド値の対照を上回る増大を実現していることの一方または両方を含めることができる。
【0263】
陽性−陽性の結果は、アッセイ特定のエンドポイントによって明確になる遺伝毒性の危険があるとするものである(例:インビトロ小核陽性)。陽性の反応を示す試験化合物は、特定のアッセイ評価基準を満たしたが、その評価基準には、1)陰性(媒体)対照と比べた、特定のアッセイエンドポイントの再現できる濃度依存的な増加、および/または2)1つまたは複数の試験濃度が、特定のエンドポイントの最小フォルド値の対照を上回る増大を実現していることの一方または両方を含めることができる。
【0264】
判定不能−判定不能の結果は、試験化合物を1種または複数の有効な(すなわち、アッセイ許容性判定基準を満たす)検定試験で評価したが、陰性または陽性の結果が、確立した評価基準によって明確にならない状況であるので、保留となる。これは、弱い陽性反応の存在を知らせる場合もあり、その場合は、ケースバイケースで追加の反復試験または最終的な確認試験が必要となる。
【0265】
不確定−不確定の結果は、試験化合物を無効の(すなわち、技術的な理由でアッセイ許容性判定基準を満たさない、たとえば陰性または陽性対照が適切に反応しない)検定試験で評価した状況のために保留となる。有効な検定試験結果を確立するために、反復試験が推奨される。
【0266】
カルボキシピペリジン化合物を方法7に従って試験し、判定不能の結果を得た。
【0267】
WO2004096810の実施例で以前に開示されている化合物を方法7に従って試験した。対応する小核アッセイ結果を表Gで報告する。
【0268】
【表9】

【0269】
(たとえば、小核アッセイが判定不能の結果をもたらす場合に)試験化合物の毒性の評価に使用することのできる追加のアッセイには、以下で述べる方法8、方法9、および方法10が含まれる。
【0270】
方法8:ヒト末梢リンパ球におけるインビトロ構造的染色体異常
インビトロ構造的染色体異常アッセイを使用すると、ヒト末梢リンパ球において、哺乳類の代謝的な活性化を加えまたは加えずに、試験化合物が構造的および数的な染色体異常を誘発し得るかどうかを評価することができる。
【0271】
濃度の算出は、対応する部分因数1000に準拠する。試験化合物は、DMSOに溶解させ希釈すると、試験化合物の送達に使用するのに等しい体積で媒体対照として役立つ(1%最終濃度)。
【0272】
健常な男性ボランティアからのヘパリン処置したヒト末梢静脈血を培地に加えた後、フィトヘマグルチニンM(Sigma Chemical Co.、米国ミズーリ州セントルイス)を加えて、リンパ球の細胞分裂を刺激する。初代培養物を少なくとも46時間インキュベートしてから、試験化合物で処理する。
【0273】
以下の陽性対照を利用する。
【0274】
【表10】

【0275】
以下の処理を利用する。
【0276】
【表11】

【0277】
このアッセイでは以下の投与レベルを選択する。
【0278】
【表12】

【0279】
各濃度についての単一の細胞培養物および媒体対照に投与する。細胞培養物を0.1μg/mLのColcemid(登録商標)(Ciba、スイス)に2時間暴露してから収集する。細胞を遠心分離によって収集し、低張液中で膨張させ、次いでメタノール:氷酢酸固定液中に固定する。固定した細胞懸濁液を濡れた顕微鏡スライドに滴下し、乾燥させ、Giemsaで染色する。試験した各濃度の薬物について、培養物あたり少なくとも2枚のスライドを調製する。
【0280】
細胞傷害性は、染色体形態および有糸分裂阻害(分裂指数)を評価して測定する。分裂指数は、1条件あたり1000個の細胞を、中期細胞の割合について得点づけすることによって、すべての処理条件について求める。
【0281】
染色体異常の得点記録のために選択する最大濃度は、分析可能な十分な数の中期細胞が想定される最高投与量である。可能ならば、選択する最高投与量は、分裂指数を約50%以上70%以下に抑制することになる。
【0282】
各試験条件下で少なくとも1濃度を、一致する媒体および陽性対照と共に分析用に選択する。スライドは盲検法で分析しない。研究ディレクターの裁量で、最初の評価が完了した後、追加の試験濃度を評価して、効果をさらに明確にしてもよい(すなわち、異常の増加または欠如)。
【0283】
分析のために選択する最高試験濃度は、以下の判定基準、すなわち、(1)媒体対照と比べて分裂指数の約50%の減少を生じる、(2)溶解性が不完全である証拠を示す、または(3)5000μg/mLまたは10mM(どちらか低い方)の最大濃度に等しい、の1に見合うはずである。可能であるときは、各培養物からの100個の許容できる二倍体中期細胞を染色体損傷について評価する。これの例外は、データ収集の際の異常細胞の発生頻度の明らかな増加(すなわち、最初の許容できる50細胞で>10の異常な細胞が数えられる)であり、この場合には、それ以上の分析を中止する。分析のために選択する中期細胞は、無処置であり(すなわち、46±2染色体を有する)、オーバーラップしている染色体が最小限でなければならない。また、染色体は、個々のアームおよび動原体性領域が容易に特定できるように、引き延ばされて見えるはずである。各中期細胞を、記録する細胞あたりの存在する異常の種類および数によって正常または異常として分類する。異常細胞では、スライドのXおよびYステージ上バーニヤ座標を記録する。構造的な染色体異常は、染色分体中断(Ct brk)、染色分体断片(Ct Frg)、交換、環、2動原体、および転座を含む染色分体損傷(R)、染色体中断(CsBrk)、染色体断片(Cs Frg)、ならびに複数の中断(M)として分類する。さらに、細粉化した染色体(PV)を有する細胞を、合計異常記録にまとめる。ギャップを含有していた細胞は記録するが、合計異常記録に含めない。各処理条件および一致する媒体対照について、倍数体化および核内倍加した細胞数を評価して、数的な染色体異常を決定する。倍数性指標は、倍数体化または核内倍加した中期細胞数を表にしながら、可能なときに1000中期細胞/培養物の得点をつけることによって得る。
【0284】
陰性対照の合計異常細胞を基準とする、各投与群の異常細胞の合計数についてのFisherの正確確率片側検定を、統計分析として使用する。Ap−値≦0.05を統計学的に有意であるとみなす。
【0285】
アッセイは、以下の判定基準に合致するならば妥当であるとみなす。
1.陽性対照は、一致する媒体対照と比べて、染色体異常を有する細胞の百分率の統計学的に有意な増加を誘発し、誘発される頻度が、公開されたまたは歴史上のデータと同等である。
2.媒体対照培養物は、異常を有する細胞が≦3%、または公開されたもしくは歴史上のデータと同等であるとみなされるパーセンテージを有する。
3.最高投与量レベルで分裂指数の約50%の抑制が認められる。この必要条件は、最大可溶性濃度または最高許容投与量で明らかな細胞傷害性が実現されることのなかった試験化合物には適用できない。
【0286】
方法9:雄のSD/IGSラットにおける7日間経口強制栄養毒性試験
試験化合物の毒性を、ラットモデルで評価することができる。この試験では、体重が175g〜200gの間である雄の6〜8週齡Charles River SD/IGSラットに、経口強制栄養によって1日1回、7日間連続して投与したときの、試験化合物の潜在的な毒性および全身暴露性を決定する。この試験は、Xybion Path/Tox System(Xybion Medical Systems Corporation、米国ニュージャージー州Cedar Knolls)を使用して行う。
【0287】
試験化合物は、10mL/体重kgの体積で、強制栄養によって、7日間にわたり1回経口的に投与する。試験化合物は、それぞれ30mg/kg/日、100mg/kg/日、および500mg/kg/日の投与量を与える3群のラット(n=5)に投与する。対照群(n=5)には、媒体(0.5%メチルセルロース(w/v)および0.1%ポリソルベート80(v/v)の入った50mMリン酸緩衝液)を与える。ヒトにおいて作用させる目的の経路であるので、経口経路を使用する。適量の試験化合物を0.5%メチルセルロース(w/v)および0.1%ポリソルベート80(v/v)の入った50mMクエン酸緩衝液に懸濁させる。投薬懸濁液のpHは、3〜9の間に保つ。
【0288】
1日目に、すべての動物で、投与してから1、3、8、および24時間後に順次採血を行った。代謝的分析のために尿を約24時間収集する。前処置期間の間、生存および瀕死状態の観察を1日1回行う。投与してから1〜3時間後に臨床徴候を毎日観察する。7日後、動物を放血によって安楽死させる。死んだことがわかった動物を冷蔵し、(試験時間内の)可能な最も早い時間に剖検を行う。死んだことがわかった動物からは最終体重、血液サンプル、および臓器重量は得ない。屠殺する瀕死/予定外/予定どおりの動物は、直ちに剖検し、体重を計り、血液サンプル、および尿サンプルを除くすべての臨床的な病理学サンプルを採取する。
【0289】
様々な組織(副腎、大腿骨、脳、盲腸、大腸、十二指腸、副睾丸、心臓、回腸、空腸、腎臓、肝、膵臓、大腿二頭筋、脾臓、胃、睾丸、胸腺、甲状腺、腰髄、および腸間膜リンパ節)を秤量し、急速冷凍し、染色し、固定する。肉眼で検査した後、肉眼で見える異常で収集した組織をホルマリンに入れて確保しておく。肉眼で見える異常で収集したすべての組織を加工し、病理学者が光学顕微鏡で調べる。組織を整え、包埋し、薄片にし、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、病理学者が光学顕微鏡によって自らの裁量で調べる。骨髄スメアを調製し、Wright染色で染色する。個々の動物の組織変化の性質を解明するために、病理学者の依頼に応じて、追加の組織採取、薄片化、染色、および顕微鏡検査を行う。
【0290】
臨床所見、体重、肉眼での剖検観察、および病理組織学的な知見をXybion Path/Tox Systemに直接入力する。
【0291】
方法10:BioLum Ames遺伝子変異アッセイ
(Ames試験としても知られている)サルモネラ変異原性試験を使用すると、試験化合物の変異原性の潜在性を判定することができる。このアッセイでは、試験化合物に暴露した細菌の突然変異速度を測定する。たとえば、Ames,B.N.、Durston,W.E.、Yamasaki,E.、およびLee,F.D.(1973年)の「Carcinogens are mutagens:a simple test system combining liver homogenates for activation and bacteria for detection.」、Proc.Natl Acad.Sci.USA、第70巻、2281〜2285ページ)を参照されたい。一部の癌原物質は、DNAに共有結合することのできる求電子種に酵素的に変換されると、活性化するようになる。このAmesアッセイでは、フェノバルビタール(PB)/5,6−ベンゾフラボン(BF)またはAroclor 1254で前処理して、薬物を新陳代謝するそのような酵素活性を誘発したラットの肝臓から、S9(9000g上清)画分を調製する。
【0292】
BioLum Amesアッセイは、標準の細菌(Ames)遺伝子変異アッセイのより高処理量でクリーニングするバージョンである。試験の妥当性を実証するために、陰性(媒体処理)および陽性(既知のレスポンダー)対照が、歴史上の確立している範囲内で反応する必要がある。
【0293】
陰性−陰性の結果は、アッセイの特定のエンドポイントによって明確になる遺伝毒性の危険がないとするものである(例:インビトロ小核陰性)。陰性反応を示す試験化合物は、アッセイの特定の評価基準を満たさなかったが、その評価基準には、1)陰性(媒体)対照と比べた、特定のアッセイエンドポイントの再現できる濃度依存的な増加、および/または2)1つまたは複数の試験濃度が、特定のエンドポイントの最小フォルド値の対照を上回る増大を実現していることの一方または両方を含めることができる。
【0294】
陽性−陽性の結果は、アッセイの特定のエンドポイント(例:インビトロ小核陽性)によって明確になる遺伝毒性の危険があるとするものである。陽性反応を示す試験化合物は、アッセイの特定の評価基準を満たしたが、その評価基準には、1)陰性(媒体)対照と比べた、特定のアッセイエンドポイントの再現できる濃度依存的な増加、および/または2)1つまたは複数の試験濃度が、特定のエンドポイントの最小フォルド値の対照を上回る増大を実現していることの一方または両方を含めることができる。
【0295】
判定不能−判定不能の結果は、試験化合物を1種または複数の有効な(すなわちアッセイ許容性判定基準を満たす)検定試験で評価したが、陰性または陽性の結果が、確立した評価基準によって明確とならない状況のために保留となる。これは、弱い陽性反応の存在を知らせる場合もあり、その場合は、ケースバイケースで追加の反復試験または最終的な確認試験が必要となる。
【0296】
不確定−不確定の結果は、試験化合物を無効の(すなわち、技術的な理由でアッセイ許容性判定基準を満たさない、たとえば陰性または陽性対照が適切に反応しない)検定試験で評価した状況のために保留となる。有効な検定試験結果を確立するために、反復試験が推奨される。
【0297】
P.薬物動態学的/薬力学的試験
方法11:静脈内投与および経口投与の後の雄スプラーグドーリーラットにおける単一用量薬物動態および経口生体利用度
in vivoモデルを使用して、試験化合物の単一用量の薬物動態学的特性および絶対的な経口生体利用度を評価することができる。以下でより詳細に記載するように、クロスオーバー試験計画において、試験化合物をスプラーグドーリー(SD)ラットに静脈内投与または経口投与し、得られる薬物動態学的特性および経口生体利用度を測定する。
【0298】
雄のラットに、強制栄養によって2.0mg/kgの投与量を懸濁液(蒸留水中0.5%のメチルセルロース/0.1の%Tween80)として経口投与する(n=2)。72時間の洗い出し期間の後、同じラットに、2.0mg/kgの投与量のボーラスを溶液(70%のPEG400/20%の0.05Mクエン酸緩衝液pH3/10%のエタノール)として静脈内投与する(n=2)。各経路について、投与後24時間にわたり各ラットから逐次血液サンプル(血漿用)を収集する。LC/MS/MS法を使用し、定量下限(LLOQ)を(−534に対して)1.2ng/mLとして、試験化合物の血漿濃度を測定する。試験化合物の薬物動態パラメータは、血漿濃度−時間データから、非コンパートメント法を使用して決定する。
【0299】
LC/MS/MS:1)カラム:Hyperso;AQUASIL C−18 2.1×20mm、3.0μm;2)移動相:0.1%のギ酸を含むAqueous Water、有機相:アセトニトリル、イオン化:+ESI(API4000)。MRM:m/z494.4→m/z394.0(WO2004096810の実施例261)、m/z509.44→m/z409.80(WO2004096810の実施例263)、m/z495.33→m/z395.20(WO2004096810の実施例262)。検出限界は、0.12ng/mL(WO2004096810の実施例261)、1.3ng/mL(WO2004096810の実施例263)、および0.11ng/mL(WO2004096810の実施例262)である。
【0300】
Watson(バージョン6.4.0.04)を使用して、平均試験化合物濃度、対応する標準偏差(SD)、およびパーセント変動係数(%CV)を算出し、適用可能ならば(非コンパートメント法によって得た)薬物動態パラメータおよびそれに関連する統計値(平均値、SD、およびCV%)を概算する(n=2であるので、算出するSDまたはCVはない?)。
【0301】
定量限界(BLQ)より低い濃度は、0(0)として報告し、平均濃度の評価およびAUCの推定で使用する。ピーク血漿濃度(Cmax)およびピーク濃度到達時間(tmax)を、個々の血漿濃度−時間プロフィールから直接に記録する。血漿濃度−時間曲線の終末対数線形相を、データ点の直線回帰によって特定する。終末半減期(t1/2)を、ln(2)を終末対数線形相の傾きの絶対値で割ったものとして算出する。時間0から最終定量化濃度時間(t)[AUC(0−t)]までの血漿濃度−時間曲線下面積を、線形台形法を使用して求める。時間0から無限大[AUC(0−∞)]の血漿濃度−時間曲線下面積を、AUC(0−t)プラス外挿面積として求める。外挿面積は、最終観察血漿濃度を終末対数線形相の傾きで割ることにより求める。全身血漿クリアランス(CL)を投与量/AUC(0−∞)として算出し、定常状態での分布体積(Vdss)をCL×MRT[MRT(平均滞留時間)はAUMC(0−∞)/AUC(0−∞)として規定される]として算出する。絶対PO生体利用度(F)は、クロスオーバー試験計画であることを考えて、PO投与後の個々の動物の投与量正規化AUC(0−∞)対IV投与後の個々の動物の投与量正規化AUC(0−∞)の比として算出する。ピーク血漿濃度(Cmax)、ピーク濃度到達時間(tmax)、終末半減期(t1/2)、時間0から無限大の血漿濃度−時間曲線下面積[AUC(0−∞)]、定常状態での分布体積(Vdss)、全身血漿クリアランス(CL)、および絶対PO生体利用度(F)を表Cに示す。
【0302】
カルボキシピペリジン化合物を方法11に従って試験したので、結果を表Hで報告する。WO2004096810の実施例で以前に開示されている化合物を方法11に従って試験した。これらの化合物についての結果も表Hで報告する。
【0303】
【表13】

【0304】
Q.生物学的プロトコル−アンジオテンシン変換酵素阻害剤との共投与
方法12:SHRラット併用療法
カルボキシピペリジン化合物の反復経口投薬が血圧低下に与える効果、ならびにカルボキシピペリジン化合物とアンジオテンシン変換酵素阻害剤エナラプリルの共投与がより一層の血圧低下をもたらし得るかどうかを評価するための試験を行った。この試験は、方法Fに記載のとおりに遠隔計測器で記録される自然発症高血圧ラット(SHR)を、単独および組合せのカルボキシピペリジン化合物(経口で1日1回1mg/kg)およびエナラプリル(飲料水中0.007%)で7日間治療することからなるものであった(図1)(n=12/群)。カルボキシピペリジン化合物は、媒体処置群と比較して、1日目に投与前のベースライン値から11±1mmHg血圧を低下させた。血圧の低下は、7日間持続し、7日目に投与前のベースラインより9±1mmHg低いままであった。
【0305】
エナラプリルも、媒体処置群と比べて投与前のベースライン値から血圧を低下させ、最大の低下は7日目に22±2mmHgであった。カルボキシピペリジン化合物プラスエナラプリルの組合せは、すべての日において単独の各薬剤によって低下した血圧よりも大きく血圧を低下させた。
【0306】
9日目に尿の機構的cGMPバイオマーカーの変化を24時間にわたって評価した。cGMPは、0〜24時間の蓄尿において、カルボキシピペリジン化合物群とカルボキシピペリジン化合物+エナラプリル組合せ群の両方で、媒体処置群と比べて上昇した(図2)(n=12/群)。
【0307】
本出願で言及するすべての文書は、十分に詳述されているかのごとく、特に参照により援用される。本発明またはその好ましい実施形態の要素を紹介するとき、冠詞の「a」、「an」、「the」、および「said」は、その要素が1つまたは複数あることを意味するものとする。用語「comprising」、「including」、および「having」は、非限定的であり、挙げられた要素以外の追加の要素があり得ることを意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0308】
【図1】意識下の自然発症高血圧ラットモデルにおいて、単独およびエナラプリルとの組合せの1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸の反復経口投与(1日1mg/kgの経口投与)が血圧に与える効果を示すグラフである。
【図2】意識下の自然発症高血圧ラットモデルにおいて、単独およびエナラプリルとの組合せの1−(1−(2−エトキシエチル)−3−エチル−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)ピペリジン−4−カルボン酸の反復経口投与(1日1mg/kgの経口投与)が24時間の尿中cGMPに与える効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造を有する化合物
【化1】

およびその化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
遊離酸である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
次の構造を有する化合物
【化2】

または前記化合物の薬学的に許容できる塩と
薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物の遊離酸を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
アンジオテンシンII受容体拮抗薬をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
対象においてある状態を治療する方法であって、前記対象に、次の構造を有する化合物
【化3】

または薬学的に許容できるその塩を治療有効量投与することを含み、前記状態が、心血管の状態、代謝性の状態、中枢神経系の状態、肺の状態、性機能不全、疼痛、および腎機能障害からなる群から選択される方法。
【請求項10】
前記状態が心血管の状態である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記の心血管の状態が高血圧である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記の心血管の状態が心不全である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記の心血管の状態が狭心症である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記対象に治療有効量のアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記対象に治療有効量のアンジオテンシンII受容体拮抗薬をさらに投与することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
心血管の状態、代謝性の状態、中枢神経系の状態、肺の状態、性機能不全、疼痛、および腎機能障害からなる群から選択される状態を治療するための医薬の製造における、次の構造を有する化合物
【化4】

または薬学的に許容できるその塩の使用。
【請求項17】
前記状態が心血管の状態である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記心血管の状態が高血圧である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記心血管の状態が心不全である、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
前記心血管の状態が狭心症である、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
次の構造を有する第1の化合物の調製方法であって、
【化5】


次の構造を有する第2の化合物
【化6】

をイソニペコチン酸と接触させて第1の化合物を得ることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−519215(P2009−519215A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539522(P2008−539522)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【特許番号】特許第4208959号(P4208959)
【特許公報発行日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003132
【国際公開番号】WO2007/054778
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】