POI検索システム、経路探索サーバおよびPOI検索方法
【課題】POI検索の負荷を軽減するとともに、適当な数のPOI情報を迅速に提供する。
【解決手段】所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブル372と、POI検索手段33が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブル371を備える。矩形エリア決定手段37は、POI検索手段33が検索したPOI数に基づいて閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372を参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372を参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、POI検索手段33は、変更された矩形エリア内のPOIを検索し、ソート手段331により検索結果をソートし、表示手段25に表示する。
【解決手段】所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブル372と、POI検索手段33が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブル371を備える。矩形エリア決定手段37は、POI検索手段33が検索したPOI数に基づいて閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372を参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372を参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、POI検索手段33は、変更された矩形エリア内のPOIを検索し、ソート手段331により検索結果をソートし、表示手段25に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のエリア内に所在する所望のPOI(Point of Interest:興味対象場所(施設))を検索して施設情報を提供するPOI検索システムに関するものであり、特に、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の矩形エリアを決定し、当該エリア内に所在するPOIを検索し、所望のPOIに関するPOI情報を提供するようにしたPOI検索システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
交通機関を利用する経路を探索する経路探索システムは、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データベースと、これに基づいて交通ネットワークをデータベース化したデータを備えている。そして、これらのデータベースを参照して、乗り継ぎ(乗り換え)を含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段(個々の電車や路線バス)を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(出発地駅、目的地駅、路線、列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0007】
また、交通機関に関する検索、案内を行うシステムとして、携帯電話などの端末装置から交通機関の路線情報や時刻表情報を案内する情報配信サーバに接続して所望の出発駅、出発時刻、目的駅などを指定して、乗車可能な路線や列車、電車などの交通手段の情報配信を受け、端末装置に表示することができる案内システムも提供されている。一般に端末装置からこのような利用を行う場合には、ダウンロードしたい情報の存在する場所を特定するためのURL(Uniform Resource Locator)やドメイン名などのアドレス情報を端末装置に入力して当該アドレスにより特定される情報配信サーバ(情報サイト)にアクセスして所望の情報をダウンロードする構成がとられている。
【0008】
交通機関を利用した経路探索、経路案内をするナビゲーションシステムなどにおける経路経探索用のデータは、車載用ナビゲーションシステムや歩行者用ナビゲーションシステムにおける道路ネットワークのデータと同様に交通路線の各駅をノードとし、駅間を双方向リンクとしてネットワーク化したデータの他に、各交通路線上を運行される交通手段ごとに各リンクの運行時刻、所要時間がリンクコストのデータとして加えられる。更に、運賃データが加えられ、探索した案内経路の運賃が合わせて案内されるシステムも存在する。
【0009】
従って端末装置に配信される案内経路データには、利用者が指定した経路探索条件である出発地から目的地までの路線経路や乗車を案内するバス、電車、列車およびその時刻が含まれ、運行時刻表や駅に掲示されるいわゆる駅貼り時刻表などがそのままあるいは必要部分が画面表示できる表示データなどの形式に加工されて端末装置に配信される。端末装置では案内経路のデータや運行時刻表あるいは駅貼り時刻表を表示して経路や乗車すべき交通手段を確認することができる。
【0010】
交通機関を利用した経路探索を行う経路探索方法は、例えば、下記の特許文献2(特開2000−258184号公報)に交通ネットワーク経路探索方法として開示されている。この特許文献2に開示された交通ネットワーク経路探索方法は、出発地点から目的地点までの経路を、地点をノード、地点間をリンクとして交通ネットワークを表現し、コンピュータを用いてラベル確定法により最短コスト条件下で探索する交通ネットワーク経路探索方法である。
【0011】
この方法においては、出発地点および目的地点から利用する交通機関の駅までの経路として、出発地点および目的地点から利用する交通機関の駅までの直線距離、および目的地点から利用する交通機関の駅までの直線距離を、緯度経度情報を用いて求め、該直線距離を変数として平均コストを算出し、前記平均コストが指定したコストの範囲内に含まれるすべての利用交通機関の駅を求め、歩行経路を決定し、求められた歩行経路を交通機関の交通ネットワーク経路に組み込んで総合交通ネットワークを表現し、コンピュータを用いてラベル確定法により求めるコスト条件下で探索するようにしている。
【0012】
このようなナビゲーションシステムにおいては、現在位置あるいは利用者が指定して特定の地点、例えば、勤務先や交通機関の駅など、特定の地点の周辺に所在する所望の施設(興味対象場所:POI)を検索し、所望の施設の詳細情報を提供する機能を有している。例えば、下記の特許文献3(特開平9−264750号公報)に、ナビゲーション装置の発明として開示されている。
【0013】
このナビゲーション装置は、以下のような処理を行う。すなわち、検索地点周辺の施設がジャンル指定により選別される。選別された各施設と、予め探索された経路との最短直線距離が算出される。算出された最短直線距離が150m以内に存する施設のみが抽出される。この抽出された各施設の、経路進行方向に対する左右位置が検出される。案内経路に沿った目的地までの距離が各施設において求められる。求められた目的地までの距離にしたがい、各施設データが並び換えられる。
【0014】
ナビゲーション装置がこのような処理を行うことにより、目的地までの走行中に於いて、経路沿いにある立ち寄り施設のみを抽出表示することにより、使用者の希望に合致した立ち寄り施設を簡単かつ迅速に選択できるようになる。
【0015】
図12は、特許文献3に開示されているような一般的なPOI検索の概念を示す模式図である。図12において、SはPOI検索の基準となる地点、例えば、ナビゲーション装置などの端末装置の現在位置や利用者が指定した特定の地点である。この地点を中心として一定の距離範囲内にあるPOI(所望カテゴリのPOI)を検索する。検索にあたっては、該当するPOI、例えばP1、P2、P3のそれぞれと基準地点Sとの間の直線距離L1、L2、L3を求め、所定の距離範囲、図12の円の範囲にあるかを判別する。特許文献3においては、POIから経路に降ろした垂線の距離を求めて最短距離にあるPOIを識別している。図12において、それぞれの位置座標は、緯度、経度で表されているので、直線距離は2地点の座標を用いて計算される。この結果、POI(P3)は距離L3が一定の距離範囲を超えているので検索結果から除外される。
【0016】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2000−258184号公報(図4、図7)
【特許文献3】特開平9−264750号公報(図6、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ナビゲーションシステムにおける位置情報は緯度・経度で表される。従って、一般にある地点を基準として所定の範囲(検索範囲)に所在する施設を検索する場合、基準となる地点の位置情報(緯度・経度)と施設の所在位置の位置情報(緯度・経度)から2地点間の直線距離が検索範囲内にあるか否かを施設ごとに判別する。このため、2地点の緯度・経度から直線距離を演算する処理が必要になる。
【0018】
上記特許文献3に開示されたナビゲーション装置においてもこのような演算処理を行って、周辺の施設を検索し、案内経路の方向に沿って現在位置から直線距離が最短の施設を求めるようにしている。
【0019】
POIのカテゴリによっては、検索範囲(150mとか10Km)にPOIが存在しないことがある。その場合は、POIが見つからなかった旨の表示を行うが、まずはPOIを見つけて欲しい場合もある。その上で、POIまでどれくらい遠いのか知り判断できれば納得できる。なお、最初から検索範囲を広く設定しておけばPOIは見つかりやすくなるが、POIが多すぎるとソートの処理が重すぎて、迅速にPOIのリストを提供できない。たとえば都市部では4Km以内に、「居酒屋」「駐車場」などは1000件以上存在することも珍しくなく、ソートして表示する処理は通信型のナビゲーションシステムではサーバの大きな負荷となる。
【0020】
一般的に利用者が所望のPOIを検索する場合、結果的に10〜20件のPOIが検索結果として得られれば十分であるので、POIのカテゴリの種類によらず効率的にPOI検索を行う方法が必要である。また、10〜20件程度のPOI検索結果が得られたとして、その際、どの程度の範囲を検索したかも利用者が知ることができると良い。
【0021】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の面積の矩形エリアを決定し、当該エリア内に所在するPOIを検索するようになせば、矩形エリアの境界情報とPOIの位置情報の大小比較により該当するPOIを判別でき検索処理の負荷を軽減することができる点に着目し本発明を完成するに至ったものである。また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくなせば、適当な数のPOI情報を提供し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0022】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、POI情報を記憶したPOIデータベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおいて、POI検索の負荷を軽減するとともに、適当な数のPOI情報を迅速に提供することができるようにしたPOI検索システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおいて、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるPOI検索システムにおいて、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかるPOI検索システムにおいて、前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるPOI検索システムにおいて、前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段は、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定し、前記POI検索手段は、該決定された矩形エリア内のPOIを検索することを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかるPOI検索システムにおいて、前記操作入力手段は、閾値設定手段を備え、該閾値設定手段により設定された閾値を前記閾値テーブルに記憶することを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかるPOI検索システムにおいて、前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求7にかかる発明は、
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムを構成する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0030】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる経路探索サーバにおいて、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする。
【0031】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項7または請求項8にかかる経路探索サーバにおいて、前記経路探索サーバがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項7にかかる経路探索サーバにおいて、前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、各POI情報には前記特定の地点から各POIまでの距離を含むことを特徴とする。
【0033】
また、本願の請求項11にかかる発明は、
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおけるPOI検索方法において、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段が、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別する判別ステップと、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更するステップと、
前記POI検索手段が、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、前記ソート手段により検索結果をソートするステップと、前記表示手段にソートされたPOIの情報を表示するステップとを有することを特徴とする。
【0034】
また、本願の請求項12にかかる発明は、請求項11にかかるPOI検索方法において、前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定するステップを有することを特徴とする。
【0035】
また、本願の請求項13にかかる発明は、請求項11にかかるPOI検索方法において、前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段が、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定するステップと、前記POI検索手段が、該決定された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、を有することを特徴とする。
【0036】
また、本願の請求項14にかかる発明は、請求項11にかかるPOI検索方法において、前記ソート手段がPOIをソートするステップは、前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートする処理を含み、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1にかかる発明においては、POI検索システムは、検察所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルを備え、矩形エリア決定手段は、POI検索手段が検索したPOI数に基づいて閾値テーブル、矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、閾値テーブル、矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、POI検索手段は、変更された矩形エリア内のPOIを検索し、ソート手段により検索結果をソートし、表示手段に表示する。
【0038】
このような構成によれば、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の面積の矩形エリアを決定し、矩形エリアの境界情報とPOIの位置情報の大小比較により該当するPOIを判別するようにしたものであるから、POI検索処理の負荷を軽減することができる。また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくして適当な数のPOIを検索するものであるから、所望のPOI情報を適切ない数、迅速に提供することができるようになる。
【0039】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定される。
【0040】
このような構成によれば、カテゴリ別にPOI情報データベースに蓄積されたPOIの総数に応じた適切な矩形エリアを決定することができるようになる。
【0041】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる発明において、前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定する。
【0042】
このような構成によれば、カテゴリ別にPOI情報データベースに蓄積されたPOIの総数に応じた適切な矩形エリアを決定してPOI検索を開始することができ、効率的な検索が行えるようになる。
【0043】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段は、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定し、前記POI検索手段は、該決定された矩形エリア内のPOIを検索する。
【0044】
このような構成によれば、端末装置の利用者により指定された所望の面積の矩形エリアを決定してPOI検索を開始することができるようになる。
【0045】
請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる発明において、前記操作入力手段は、閾値設定手段を備え、該閾値設定手段により設定された閾値を前記閾値テーブルに記憶する。
【0046】
このような構成によれば、端末装置の利用者により矩形エリアの変更の基準をカスタマイズすることができるようになる。
【0047】
請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示する。
【0048】
このような構成によれば、端末装置の利用者に検索されたPOIを距離の順に提示することができ、また、各POIまでの距離が表示されるから、利用者は、提示されたPOIに移動するか、否かの判断を容易にすることができるようになる。
【0049】
また、請求項7ないし請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項4にかかるPOI検索システムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになり、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項3、請求項4、請求項6にかかるPOI検索システムにおけるPOI検索方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのPOI検索システムを例示するものであって、本発明をこのPOI検索システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のPOI検索システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0051】
図1は、本発明の実施例にかかるPOI検索システム10のシステム構成を示す図である。図1に示すようにPOI検索システム10は、ネットワーク12を介して接続される端末装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。このPOI検索システム10は、各種カテゴリに属するPOI(Point of Interest:興味対象場所)の所在地やサービス内容、広告などの詳細情報を提供するPOI情報配信サーバ50、地図データ、交通路線データや運行時刻表データ、音楽や各種画像などのコンテンツ、その他の情報を提供する各種の情報配信サーバ51などを備えて構成されている。
【0052】
経路探索サーバ30はPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51からネットワーク12を経由して必要なデータを取得して自身のデータベースに追加することができる。また、同様にしてPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51に検索要求を送信して所望の検索結果を取得することもできる。
【0053】
本発明にかかるPOI検索システム10は、上記の構成に限られるものではなく、経路探索サーバ30はナビゲーションサービス機能とともに、POI所在場所の地図を配信する地図配信サーバの機能を有していてもよい。また、経路探索サーバ30の代わりにPOI検索の機能のみを有するサーバを用いることもできる。端末装置20としては、携帯電話を用いることができ、またPDAや音楽プレイヤー、携帯ゲーム機などの携帯機器、あるいは、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。
【0054】
図1に示す経路探索サーバ30は、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35を備え、端末装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して経路探索する。そして経路探索の結果により得た案内経路(推奨経路)を端末装置20に送信する一般的なナビゲーション機能を有している。また、経路探索サーバ30は、POIの所在地や電話番号、住所、営業時間などのPOI情報を蓄積したPOI情報データベース36を備えている。
【0055】
経路探索サーバ30は、端末装置20の現在位置や特定の地点を指定してその周辺に所在する所望のPOIを検索するPOI検索要求があると、指定された地点を中心とする所定の矩形エリアを決定し、その矩形エリア内に所在するPOIを検索する。矩形エリアとは、メルカトール図法を用いた地図表現における矩形エリアであり、特定地点を中心としてある距離離れた緯度、経度の境界線が囲まれるエリアであり、POI検索はその内側に所在するPOIを抽出する。
【0056】
例えば、一辺の距離が5.6Kmの矩形エリア内のPOIを検索する場合、現在位置を中心とする場合、中心座標(現在位置座標)の緯度、経度から±2.8Km離れた緯度、経度を境界線としてその内側に対象POIが含まれるかどうかを調べる。(地表は球面なので、厳密には矩形エリアにはならないが、メルカトール図法による平面地図の座標上で処理する)。中心位置から各POIまでの距離を演算するわけではないので、抽出は非常に高速にできる。
【0057】
すなわち、POIの所在位置を示す位置情報は緯度、経度からなるものであるから、矩形エリアが決定されるとその境界線の緯度、経度の情報と各POIの位置情報である緯度、経度の大小比較により簡単に当該矩形エリア内に所在するPOIを判別することができる。従って、従来のように指定された地点からPOIまでの距離を算出する処理に比較してPOI検索における演算処理の負荷を低減することができる。
【0058】
また、本実施例にかかるPOI検索システム10は、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくして、矩形エリア内のPOI数が適当な数になるようにする。このため、POI検索システムは後述するように、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルとを備えている。
【0059】
そして、POI検索システム10においては、POI検索を開始する際、POI情報データベース36を参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて矩形エリアを決定する。この矩形エリア決定のためのデータは、矩形エリア決定テーブル、閾値テーブルに設定しておくことができる。
【0060】
このような手順で、特定の地点を中心とした矩形エリア内に所在する該当のPOIが検索されると、特定地点から各POIまでの距離の順にPOIがソートされ、表示手段にはソートされた結果に基づいて、POIが順に表示される。表示されるPOI情報は、各POIの名称、所在地、電話番号、営業案内などであり、特定地点からの距離の情報を同時に表示してもよい。
【0061】
経路探索サーバ30は、端末装置20から所望の地点やPOIを指定して地図データの取得要求があると、地図データベース34を参照して該当する地図データを読み出して端末装置20に配信する。端末装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求し、経路案内のサービスを受ける場合には、端末装置20において所望の出発地や目的地を設定し、経路探索サーバ30に経路探索要求を送信する。出発地と目的地との間に立ち寄りたい経由地がある場合は当該経由地も設定する。
【0062】
これらの地点を設定する方法としては、表示手段に経路探索条件入力画面を表示し、地点の名称や住所(所在場所)、電話番号を入力する方法、表示画面に地図を表示して地図上の所望地点をカーソル選択して設定する方法などが採られる。出発地、経由地、目的地は、一般的には特定のPOIの場所を設定するが、POIに最も近い道路上のリンクやノードの位置が経路探索上のPOIの場所として用いられることもある。
【0063】
経路探索サーバ30は端末装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して指定された出発地から目的地に至る最適経路(案内経路)を探索し、地図データベース34から読み出した地図データとともに案内経路のデータを端末装置20に送信する。
【0064】
端末装置20は経路探索サーバ30から地図データ、案内経路のデータを受信すると、端末装置20の現在位置または端末装置20が設定した特定の地点を中心とした地図画像を表示画面に表示する。地図画像には端末装置20の現在位置を示す現在位置マーク、案内経路を示す案内経路画像が重ね合わされて表示される。
【0065】
このように、本実施例のPOI検索システム10は、POI検索にあたり、所定面積の矩形エリアを定めてPOIを検索することにより、緯度、経度の大小比較のみでその矩形エリア内のPOIを判別できるように構成したから、特定の地点からPOIまでの距離を算出して一定の距離範囲内のPOIを検索する従来の方法に比べて、POI検索のための演算処理を低減することができるようになる。
【0066】
また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きく変更して、適当な数のPOIが得られるように構成することにより、POIが全く検索できなかったり、検索されたPOIが多すぎたりという不具合を生ずることがなくなる。
【0067】
POIの検索を開始する際は、POI情報データベースを36参照してPOI検索条件に該当するPOIの総数を取得し、総数に応じた所定の面積の矩形エリアを決定してPOIを検索する。その結果、検索されたPOI数に応じて必要な場合には矩形エリアの大きさを変更してPOIを検索する。これにより検索されたPOI数は適当な数になっているから特定の地点から各POIまでの距離を提供するようにしても、距離を算出する演算処理の負荷を一定の範囲に抑えることができるようになる。
【0068】
以下、具体例に基づいて本発明の実施例にかかるPOI検索システム10を説明するが、その前に本発明にかかるPOI検索システム10の詳細な構成を説明する。図2は、図1のPOI検索システム10の詳細な構成を示すブロック図である。
【0069】
端末装置20は、ナビゲーションサービスを受けることができる端末であり、制御手段201、通信手段21、GPS受信手段22、処理要求手段23、配信データ記憶手段24、表示手段25、操作入力手段26などを備えて構成されている。操作入力手段26には、エリア設定手段261、閾値設定手段262が含まれる。
【0070】
端末装置20から経路探索サーバ30にPOI検索を要求する場合、所望のPOIのカテゴリを指定するとともにPOI検索の基準になる地点を設定する。地点とは、例えば、端末装置20の現在位置や交通機関の駅あるいは勤務先など所望の地点を基準になる地点として特定する。POI検索は設定された特定の地点の周辺に所在するPOIを検索する。また、POIはカテゴリ別にPOI情報データベース36に蓄積されており、利用者は所望のカテゴリを指定してPOI検索の要求を行う。
【0071】
利用者が関心を持つPOIは、映画館、劇場、各種テーマパーク、イベント会場、ホテル、レストラン、居酒屋、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、デパート、ショピングモールなど多岐にわたるため、POI情報データベース36にはPOIをカテゴリ別に種別分けし、個々のPOIの所在位置(緯度・経度)を初めとするPOI情報が蓄積されている。カテゴリも大きな概念から、小さな概念に階層化されており、カテゴリ一覧から検索したいPOIのカテゴリを指定してPOI検索の要求を行う。図3は、POI情報データベース36に蓄積されるPOI情報の構成の一例を示す図である。図3に示すように、蓄積されるPOIの情報は、当該POIの属するカテゴリ、POI(名称)、POIの場所(緯度・経度)、ホームページ(URL)、営業案内などである。
【0072】
一方、経路探索サーバ30は、制御手段301、通信手段31、配信データ編集手段32、POI検索手段33、ソート手段331、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、POI情報データベース36、矩形エリア決定手段37、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372、処理要求記憶手段38、経路探索手段39などを備えて構成されている。
【0073】
経路探索サーバ30は端末装置20から経路探索やPOI検索あるいは地図配信の要求があると、処理要求記憶手段38に一次記憶する。要求が経路探索要求である場合、経路探索手段39は経路探索用ネットワークデータベース35を参照して最適経路あるいは推奨経路(案内経路)を探索する。探索された案内経路のデータは配信データ編集手段32で編集され、端末装置20に配信される。また、地図データベース34から案内経路を含む地図データが読み出され、端末装置20に配信される。
【0074】
矩形エリア決定テーブル372には、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定している。また、閾値テーブル371は、POI検索手段33が検索したPOI数に応じて矩形エリアを選択するための閾値が設定されている。図4は、矩形エリア決定テーブル372に設定された矩形エリア決定データの一例を示す図である。
【0075】
図4に示すように、矩形エリア決定テーブル372には、矩形エリアの大きさが面積比で2倍ずつ変化するように、矩形エリアの一辺の長さ(距離)が矩形エリアIDを付して設定されている。図4の場合、矩形エリアID01は矩形エリアの辺の長さ(距離)が250mである。この距離をもとに基準となる特定地点(現在位置または指定地点)を中心として矩形エリアの境界線の緯度、経度を決定して矩形エリアを決定する。従って、この距離が350mに設定された矩形エリアID02の矩形エリア面積は、矩形エリアID01の矩形エリア面積に対してほぼ2倍の面積になる。以下、同様に矩形エリアの面積がほぼ2倍ずつ広くなるように矩形エリア決定データが設定されている。
【0076】
従って、POIの検索処理においては、各POIの緯度、経度と、矩形エリア境界線の緯度、経度の大小関係を比較するだけで当該POIが矩形エリアの内部に所在するか否かを簡単に判別することができ、従来のように基準地点の緯度、経度と各POIの所在地点の緯度、経度とから2点間の直線距離を演算して所定の距離範囲内に所在するか否かを判別するのに比べて演算処理の負荷を低減することができるようになる。
【0077】
矩形エリアの面積が広くなればその矩形エリア内に所在する所望のPOIを検索した場合のヒット率は高くなり、また、矩形エリアの面積が狭くなればその矩形エリア内に所在する所望のPOIを検索した場合のヒット率は低くなる。従って、矩形エリアの面積を変えてPOI検索することにより適当な数のPOIを検索結果として得られるようにすることができる。
【0078】
POIのカテゴリによっては所在密度が異なり、所在密度の高いPOIはPOI総数も多く、狭い面積内で検索してもヒットする確率が高く、また、広い面積内で検索するとヒットするPOI数が多くなり過ぎ、POI検索処理の負荷が大きくなる。逆に所在密度の低いPOIは総数が少なく、狭い面積で検索するとヒットしないこともあり、広い面積内で検索すれば該当するPOIを検索することができる。従って、カテゴリに属するPOI総数に応じて矩形エリア決定テーブル372を適宜設定するように構成することが好ましい。
【0079】
また、POI検索の開始にあたっては、まず、POI情報データベース36を参照して、指定されたカテゴリに属するPOIの総数を調べ、POI総数によって定められた大きさ(面積)の矩形エリアを決定して検索を開始する。そして、その矩形エリア内に所在するPOIを検索し、その数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さい面積に変更し、数が少ない場合には矩形エリアの面積を大きい面積に変更して再度POIを検索する。POIの数が適当な数になれば検索を終了する。
【0080】
検索を終了した段階で、各POIの距離、すなわち、基準地点から検索された各POIまでの距離を算出すれば、POI数が適当な数に絞られているので、演算処理は大きく増大することはない。そして距離によりソート手段331がPOIをソートすれば、表示手段25にはPOI情報を距離の順に表示して利用者に提示することができるようになる。
【0081】
なお、検索の開始にあたってはデフォルトとして矩形エリア決定のための距離を4Km(図4の矩形エリアID09)として矩形エリアを決定してPOI検索を開始するようにしてもよい。また、閾値テーブル371を参照して自動的にPOI数が適当な数になるまで矩形エリアの大きさを変更しながらPOI検索を進める前述の方法を採らず、その都度、検索結果を端末装置20に表示して矩形エリアの大きさの変更が指示される都度、矩形エリアの大きさを変更してPOI検索を進めるようにしてもよい。
【0082】
但し、この場合であっても、経路探索サーバ30側において自動的に矩形エリアを変更してPOI検索を行い、結果を保存しておけば、端末装置20から矩形エリア変更の指定があった場合に、瞬時に端末装置20に検索結果を配信することができる。
【0083】
例えば、矩形エリアID10(距離:5.6Km)の矩形エリアからPOI検索を開始する場合、中心座標(特定地点)の緯度、経度から±2.8km離れた緯度、経度に対象のPOIが含まれるかどうかを調べる(地表は球面なので、厳密には矩形ではないが、平面地図の座標上で処理する)。中心(特定地点)から各POIまでの距離を演算するわけではないので、抽出は非常に高速にできる。検索されたPOI数によって、矩形エリアの大きさ(面積)を変えながら更にPOIを検索する。
【0084】
このときに、バイナリサーチのように効率よく検索を行い、たとえば検索結果として20件のPOIが検索されるようにした場合、検索結果として所望する20件を挟み込む矩形エリアのうち、面積の広い側の矩形エリアにおける検索結果を採用すれば、20件以上のPOIを検索結果として得ることができるようになる。
【0085】
例えば、矩形エリアID10(距離:5.6Km)の矩形エリアで8件、矩形エリアID12(距離:11Km)の矩形エリアで12件、矩形エリアID13(距離:16Km)の矩形エリアで32件、矩形エリアID14(距離:22Km)の矩形エリアで100件のPOIが検索された場合(図4の矩形エリア決定テーブル372参照)、距離16Kmの矩形エリア(ID13)と、距離11Kmの矩形エリア(ID12)がPOI数20件を挟み込んでいるので、外側(面積の大きい)の矩形エリアID13(距離16Km)における検索結果の32件を検索結果として採用する。なお、ここまで厳密に行わなくとも、POIが20〜40件という結果が出たら、その矩形エリアでのPOI検索をもって検索終了としてもよい。
【0086】
ある面積の矩形エリアを対象としてPOI検索して得られたPOIの数に応じて、矩形エリアの面積を変更するか否かを自動的に判別するために、閾値テーブル371が設けられている。図5は、閾値テーブル371の一例を示す図である。閾値テーブル371には、図5に示すように、POI検索手段33が、ある矩形エリアに基づいて検索して得たPOIの数の閾値が設定されており、その閾値範囲に応じて矩形エリアの面積、すなわち、矩形エリアIDが設定されており、矩形エリア決定手段37はそれに応じた矩形エリアを決定し、面積を変更する。
【0087】
例えば、図5において、検索されたPOIの数Xが「X≧10万件」であった場合には矩形エリア決定手段37は、矩形エリアの面積を矩形エリアID04(距離:0.7Km)に狭める。そしてPOI検索手段33は矩形エリア決定手段37が決定した矩形エリアに基づいて再びPOIを検索する。同様に、検索されたPOI数X「が1万件<X<10万件」であれば矩形エリア決定手段37は矩形エリアID06に矩形エリアの面積を変更する。
【0088】
この閾値テーブル371の設定も、POI総数により適切に設定することが好ましく、POIカテゴリに応じて閾値テーブル371の値と矩形エリアの面積の関係を設定しておくと効率よくPOI検索を行うことができる。
【0089】
図6は、本実施例にかかるPOI検索システム10における矩形エリアを用いたPOI検索の概念を示す模式図である。矩形エリアの境界線は、特定位置Sを中心として、先に述べた矩形エリア決定データである距離(図4参照)によって定まり、矩形エリアの4辺を緯度、経度で表すことができる。従って、矩形エリアに対して、検索条件として指定されたカテゴリに属するP4〜P6のPOIが図6のような位置関係にある時、特定の地点からの距離を演算して求める必要はなく、P4〜P6のそれぞれの位置座標(緯度、経度)と矩形エリアの境界線の緯度、経度の大小比較を行うだけで当該矩形エリア内に所在するPOIであるか否かを判別することができる。
【0090】
図7は、図12に示す一般的なPOI検索と矩形エリアを用いたPOI検索を対比する模式図である。特定地点SからPOI(P7)および(P8)までの距離L7とL8を算出すると、従来の検索方法であれば一定の距離範囲(図7中の点線の円)の内側になり、何れもが検索結果として抽出される。しかしながら、P7は矩形エリア(図7中の実線の矩形エリア)にあり、本実施例による検索結果としては抽出されるが、P8は矩形エリア(図7中の実線の矩形エリア)になく、本実施例による検索結果としては抽出されない。
【0091】
地点SからPOI(P8)までの距離L8と、地点SからPOI(P7)までの距離L7を比較すると「L8<L7」であり、POI(P8)のほうがPOI(P7)より地点Sに近いが、本実施例においては、POI(P8)は矩形エリア内に所在しないと判別され、検索結果として抽出されない。このようなケースは多々生じる場合があるが、利用者は地点Sに近いPOIを知りたいのであるから、矩形エリアの境界付近で生じる図7のようなケースがあっても実用上の問題を生じることは少ない。
【0092】
一方、端末装置20において、制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段21はネットワーク12を介して経路探索サーバ30などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0093】
GPS受信手段22はGPS衛星からの信号を受信して現在位置を緯度・経度で算出する。操作入力手段26は、キー、ダイヤル等からなり、端末装置20を操作するための入力を行い、また、出発地、目的地などの経路探索条件の入力機能としても用いられる。表示手段25は液晶表示パネル等からなり、経路探索サーバ30から配信(送信)された案内経路や地図の表示に使用されるものである。また、表示手段25はメニュー画面を表示し、操作入力手段26を用いてメニュー画面から所望の項目を選択することにより端末装置20を操作するための入力手段としても機能する。
【0094】
端末装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求する場合、操作入力手段26を操作し、または、表示手段25に表示されるメニュー画面を操作して所望の出発地、目的地、経由地などを指定し、その他の経路探索条件(時刻条件、探索経路数など)を設定し、経路探索を要求する。また、所望のPOIを検索する場合は、表示手段25にPOIカテゴリ選択画面などを表示して所望のカテゴリを指定する。
【0095】
操作入力手段26にはエリア設定手段261、閾値設定手段262が含まれ、図4に示す矩形エリア決定テーブル372や閾値テーブル371の設定データを表示手段25に表示して、所望の値を設定することができる。これにより、利用者が独自の基準で矩形エリアの大きさとPOI検索数(閾値)を設定することができるようになる。
【0096】
経路探索サーバ30から、端末装置20に配信された地図データやPOI検索結果あるいは案内経路などの配信データは、配信データ記憶手段24に一次記憶される。これらのデータは必要に応じて読み出され、表示手段25に表示される。地図データや案内経路を表示する場合は、端末装置20の現在位置を中心に、所定の範囲の地図画像が表示され、現在位置マーク、案内経路の画像が重ね合わされて表示される。
【0097】
図8は、端末装置20の外観を示す図である。図8に示す端末装置20は携帯電話を端末装置としたものであり、液晶表示ユニットなどからなる表示手段25、テンキーやダイヤル、ボタンなどを有する操作入力手段26を備えている。経路探索サーバ30から送信されたPOI情報や地図データ、案内経路データなどは配信データ記憶手段24に記憶され、必要に応じて読み出され、表示手段25の表示画面251に表示される。
【0098】
図9は、表示画面251に表示されるPOI検索画面の画面遷移の一例を示す図であり、図9(a)はPOIカテゴリ選択画面の一例、図9(b)は検索結果の回答画面の一例を示す図である。例えば、図9(a)に示すように、現在位置周辺のグルメカテゴリの項番8の「アジア・エスニック」に該当するPOIを検索したところ、距離2Kmの矩形エリア内には該当するPOIが検索されなかったものとする。この場合、図9(b)回答画面に示すように端末装置20には、一旦「2Km以内には該当はありませんでした。」との表示を行うと、利用者に対して、現在位置の近くには該当POIが無かったことを明確に伝えることができる。
【0099】
経路探索サーバ30側では、この間に前述した矩形エリアを変更しながら適当な数のPOIを検索する手順を実施しておくと、端末装置20において、「検索範囲を広げますか」の問い合わせに対して「はい」が選択されたときに経路探索サーバ30は端末装置20に瞬時に結果を返すことができる。
【0100】
図10はPOI検索の結果、適当な数の該当POIが検索され、検索を終了した際のPOI情報回答画面の一例を示す図である。POIは現在位置からの距離の順にソート手段331においてソートされており、指定された「グルメ→アジア」に該当するPOI情報が距離の近い順に表示される。
【0101】
この場合、図10や図9(b)に示すPOI回答画面を表示する前に経路探索サーバ30側で既に矩形エリアを変更してPOI検索する手順を行っておき、図9(b)の回答ページに続いて図10の回答ページも端末装置20に配信しておけば、図9(b)の回答画面で「はい」が選択された場合のリンクで回答ページを切り替えるだけで、瞬時に結果を表示することができるようになる。さらに、探索結果を得た矩形エリアの距離範囲を表示する(図10の「3〜8Kmにありました」の表示参照)ことで、利用者は、どの程度の範囲に所望のPOIが分布しているのかも分かる。これにより、利用者は、徒歩なら諦めようとか、車だから行って見ようとかいう判断をすることが可能となる。
【0102】
図11は、以上、説明した本発明の実施例にかかるPOI検索システム10におけるPOI検索の手順を示すフローチャートである。先ず、端末装置20において現在位置または所望地点を特定の地点として設定し、検索対象となる所望のPOIのカテゴリを設定してPOI検索要求が経路探索サーバ30に送信される。
【0103】
最初に、経路探索サーバ30は端末装置20からのPOI検索要求を受信し(ステップS101)、この処理要求を処理要求記憶手段38に記憶する。POI検索手段33はステップS102の処理でPOI情報データベース36を参照して指定されたPOIのカテゴリに該当するPOIの総数を取得する。
【0104】
矩形エリア決定手段37はPOI検索手段33が取得したPOI総数に基づいて、最初にPOI検索の対象とする矩形エリアを決定する(ステップS103)。矩形エリアは前述したようにPOI検索要求に設定された特定の地点を中心とし、所定の距離で定まる矩形の各辺をエリアの境界線として決定する。
【0105】
矩形エリアが決定されると、POI検索手段33は当該矩形エリアの中に所在する該当POIを検索する(ステップS104)。矩形エリア内に所在するPOIの判別は、前述したように各POIの座標(緯度、経度)と矩形エリアの各境界線の緯度、経度との比較処理により行う。そしてステップS105で検索されたPOIの数を検出する。
【0106】
矩形エリア決定手段37は、ステップS106の判別処理において、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372を参照し、検索されたPOIの数に基づいて矩形エリアの変更が必要か否かを判別する。矩形エリアの変更の要否は前述したように検索されたPOIの数が多い場合は矩形エリアを狭め、検索されたPOIの数が少ない場合は矩形エリアを広くして再度POI検索をするという概念に基づいている。変更すべき矩形エリアは、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372の設定内容に従って決定される。
【0107】
ステップS106の判別処理において矩形エリアの変更が必要と判別された場合には、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372の設定内容に従って該当する矩形エリア決定データ(矩形エリアの辺の長さ)により変更する矩形エリアを決定し(ステップS109)、ステップし104のPOI検索処理に戻る。矩形エリアを変更する必要がないと判別された場合は検索されたPOIの数が予定された適当な数になっていることを意味するから、検索された各POIと特定地点との距離を算出し、ソート手段331により距離順にPOI情報をソートする(ステップS107)。
【0108】
これらのPOI検索結果は経路探索サーバ30から端末装置20に配信され、ステップS108の処理において表示手段25に表示される(図9、図10参照)。
【0109】
以上、詳細に説明したように、本発明のPOI検索システムによれば、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の面積の矩形エリアを決定し、矩形エリアの境界情報とPOIの位置情報の大小比較により該当するPOIを判別するようにしたものであるから、POI検索処理の負荷を軽減することができる。また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくして適当な数のPOIを検索するものであるから、所望のPOI情報を適切ない数、迅速に提供することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、スタンドアロンのナビゲーション装置でのPOI検索にも用いることができるが、通信型のナビゲーションシステムでサーバの検索負荷を軽くするのに効果的である。
また、ユーザには、距離制限にとらわれることなく、存在するPOIの情報を瞬時に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施例にかかるPOI検索システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例にかかるPOI検索システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】POI情報データベースに蓄積されたPOI情報の一例を示す図である。
【図4】矩形エリア決定テーブルの設定データの一例を示す図である。
【図5】閾値テーブルの設定データの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例にかかるPOI検索システムにおける矩形エリアを用いたPOI検索の概念を示す模式図である。
【図7】一般的なPOI検索と、矩形エリアを用いた本発明の実施例にかかるPOI検索との対比を示す模式図である。
【図8】端末装置として用いられる携帯電話の外観を示す図である。
【図9】端末装置の表示画面に表示されるPOI検索画面の画面遷移の一例を示す図であり、図9(a)はPOIカテゴリ選択画面の一例、図9(b)は検索結果の回答画面の一例を示す図である。
【図10】POI検索の結果適当な数の該当POIが検索され、検索を終了した際のPOI情報回答画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施例にかかるPOI検索システムにおけるPOI検索の手順を示すフローチャートである。
【図12】特定の地点を基準として一定の距離範囲内に所在する所望のPOIを検索する従来のPOI検索処理の概念を示す模式図である。
【符号の説明】
【0112】
10・・・・POI検索システム(ナビゲーションシステム)
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
201・・・制御手段
21・・・・通信手段
22・・・・GPS受信手段
23・・・・処理要求手段
24・・・・配信データ記憶手段
25・・・・表示手段
26・・・・操作入力手段
261・・・エリア設定手段
262・・・閾値設定手段
30・・・・施設検索サーバ(経路探索サーバ)
301・・・制御手段
31・・・・通信手段
32・・・・配信データ編集手段
33・・・・POI検索手段
331・・・ソート手段
34・・・・地図データベース
35・・・・経路探索用ネットワークデータベース
36・・・・POI情報データベース
37・・・・矩形エリア決定手段
371・・・閾値テーブル
372・・・矩形エリア決定テーブル
38・・・・処理要求記憶手段
39・・・・経路探索手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のエリア内に所在する所望のPOI(Point of Interest:興味対象場所(施設))を検索して施設情報を提供するPOI検索システムに関するものであり、特に、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の矩形エリアを決定し、当該エリア内に所在するPOIを検索し、所望のPOIに関するPOI情報を提供するようにしたPOI検索システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
交通機関を利用する経路を探索する経路探索システムは、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データベースと、これに基づいて交通ネットワークをデータベース化したデータを備えている。そして、これらのデータベースを参照して、乗り継ぎ(乗り換え)を含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段(個々の電車や路線バス)を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(出発地駅、目的地駅、路線、列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0007】
また、交通機関に関する検索、案内を行うシステムとして、携帯電話などの端末装置から交通機関の路線情報や時刻表情報を案内する情報配信サーバに接続して所望の出発駅、出発時刻、目的駅などを指定して、乗車可能な路線や列車、電車などの交通手段の情報配信を受け、端末装置に表示することができる案内システムも提供されている。一般に端末装置からこのような利用を行う場合には、ダウンロードしたい情報の存在する場所を特定するためのURL(Uniform Resource Locator)やドメイン名などのアドレス情報を端末装置に入力して当該アドレスにより特定される情報配信サーバ(情報サイト)にアクセスして所望の情報をダウンロードする構成がとられている。
【0008】
交通機関を利用した経路探索、経路案内をするナビゲーションシステムなどにおける経路経探索用のデータは、車載用ナビゲーションシステムや歩行者用ナビゲーションシステムにおける道路ネットワークのデータと同様に交通路線の各駅をノードとし、駅間を双方向リンクとしてネットワーク化したデータの他に、各交通路線上を運行される交通手段ごとに各リンクの運行時刻、所要時間がリンクコストのデータとして加えられる。更に、運賃データが加えられ、探索した案内経路の運賃が合わせて案内されるシステムも存在する。
【0009】
従って端末装置に配信される案内経路データには、利用者が指定した経路探索条件である出発地から目的地までの路線経路や乗車を案内するバス、電車、列車およびその時刻が含まれ、運行時刻表や駅に掲示されるいわゆる駅貼り時刻表などがそのままあるいは必要部分が画面表示できる表示データなどの形式に加工されて端末装置に配信される。端末装置では案内経路のデータや運行時刻表あるいは駅貼り時刻表を表示して経路や乗車すべき交通手段を確認することができる。
【0010】
交通機関を利用した経路探索を行う経路探索方法は、例えば、下記の特許文献2(特開2000−258184号公報)に交通ネットワーク経路探索方法として開示されている。この特許文献2に開示された交通ネットワーク経路探索方法は、出発地点から目的地点までの経路を、地点をノード、地点間をリンクとして交通ネットワークを表現し、コンピュータを用いてラベル確定法により最短コスト条件下で探索する交通ネットワーク経路探索方法である。
【0011】
この方法においては、出発地点および目的地点から利用する交通機関の駅までの経路として、出発地点および目的地点から利用する交通機関の駅までの直線距離、および目的地点から利用する交通機関の駅までの直線距離を、緯度経度情報を用いて求め、該直線距離を変数として平均コストを算出し、前記平均コストが指定したコストの範囲内に含まれるすべての利用交通機関の駅を求め、歩行経路を決定し、求められた歩行経路を交通機関の交通ネットワーク経路に組み込んで総合交通ネットワークを表現し、コンピュータを用いてラベル確定法により求めるコスト条件下で探索するようにしている。
【0012】
このようなナビゲーションシステムにおいては、現在位置あるいは利用者が指定して特定の地点、例えば、勤務先や交通機関の駅など、特定の地点の周辺に所在する所望の施設(興味対象場所:POI)を検索し、所望の施設の詳細情報を提供する機能を有している。例えば、下記の特許文献3(特開平9−264750号公報)に、ナビゲーション装置の発明として開示されている。
【0013】
このナビゲーション装置は、以下のような処理を行う。すなわち、検索地点周辺の施設がジャンル指定により選別される。選別された各施設と、予め探索された経路との最短直線距離が算出される。算出された最短直線距離が150m以内に存する施設のみが抽出される。この抽出された各施設の、経路進行方向に対する左右位置が検出される。案内経路に沿った目的地までの距離が各施設において求められる。求められた目的地までの距離にしたがい、各施設データが並び換えられる。
【0014】
ナビゲーション装置がこのような処理を行うことにより、目的地までの走行中に於いて、経路沿いにある立ち寄り施設のみを抽出表示することにより、使用者の希望に合致した立ち寄り施設を簡単かつ迅速に選択できるようになる。
【0015】
図12は、特許文献3に開示されているような一般的なPOI検索の概念を示す模式図である。図12において、SはPOI検索の基準となる地点、例えば、ナビゲーション装置などの端末装置の現在位置や利用者が指定した特定の地点である。この地点を中心として一定の距離範囲内にあるPOI(所望カテゴリのPOI)を検索する。検索にあたっては、該当するPOI、例えばP1、P2、P3のそれぞれと基準地点Sとの間の直線距離L1、L2、L3を求め、所定の距離範囲、図12の円の範囲にあるかを判別する。特許文献3においては、POIから経路に降ろした垂線の距離を求めて最短距離にあるPOIを識別している。図12において、それぞれの位置座標は、緯度、経度で表されているので、直線距離は2地点の座標を用いて計算される。この結果、POI(P3)は距離L3が一定の距離範囲を超えているので検索結果から除外される。
【0016】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2000−258184号公報(図4、図7)
【特許文献3】特開平9−264750号公報(図6、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ナビゲーションシステムにおける位置情報は緯度・経度で表される。従って、一般にある地点を基準として所定の範囲(検索範囲)に所在する施設を検索する場合、基準となる地点の位置情報(緯度・経度)と施設の所在位置の位置情報(緯度・経度)から2地点間の直線距離が検索範囲内にあるか否かを施設ごとに判別する。このため、2地点の緯度・経度から直線距離を演算する処理が必要になる。
【0018】
上記特許文献3に開示されたナビゲーション装置においてもこのような演算処理を行って、周辺の施設を検索し、案内経路の方向に沿って現在位置から直線距離が最短の施設を求めるようにしている。
【0019】
POIのカテゴリによっては、検索範囲(150mとか10Km)にPOIが存在しないことがある。その場合は、POIが見つからなかった旨の表示を行うが、まずはPOIを見つけて欲しい場合もある。その上で、POIまでどれくらい遠いのか知り判断できれば納得できる。なお、最初から検索範囲を広く設定しておけばPOIは見つかりやすくなるが、POIが多すぎるとソートの処理が重すぎて、迅速にPOIのリストを提供できない。たとえば都市部では4Km以内に、「居酒屋」「駐車場」などは1000件以上存在することも珍しくなく、ソートして表示する処理は通信型のナビゲーションシステムではサーバの大きな負荷となる。
【0020】
一般的に利用者が所望のPOIを検索する場合、結果的に10〜20件のPOIが検索結果として得られれば十分であるので、POIのカテゴリの種類によらず効率的にPOI検索を行う方法が必要である。また、10〜20件程度のPOI検索結果が得られたとして、その際、どの程度の範囲を検索したかも利用者が知ることができると良い。
【0021】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の面積の矩形エリアを決定し、当該エリア内に所在するPOIを検索するようになせば、矩形エリアの境界情報とPOIの位置情報の大小比較により該当するPOIを判別でき検索処理の負荷を軽減することができる点に着目し本発明を完成するに至ったものである。また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくなせば、適当な数のPOI情報を提供し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0022】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、POI情報を記憶したPOIデータベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおいて、POI検索の負荷を軽減するとともに、適当な数のPOI情報を迅速に提供することができるようにしたPOI検索システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおいて、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるPOI検索システムにおいて、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかるPOI検索システムにおいて、前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるPOI検索システムにおいて、前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段は、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定し、前記POI検索手段は、該決定された矩形エリア内のPOIを検索することを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかるPOI検索システムにおいて、前記操作入力手段は、閾値設定手段を備え、該閾値設定手段により設定された閾値を前記閾値テーブルに記憶することを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかるPOI検索システムにおいて、前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求7にかかる発明は、
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムを構成する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0030】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる経路探索サーバにおいて、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする。
【0031】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項7または請求項8にかかる経路探索サーバにおいて、前記経路探索サーバがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項7にかかる経路探索サーバにおいて、前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、各POI情報には前記特定の地点から各POIまでの距離を含むことを特徴とする。
【0033】
また、本願の請求項11にかかる発明は、
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおけるPOI検索方法において、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段が、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別する判別ステップと、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更するステップと、
前記POI検索手段が、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、前記ソート手段により検索結果をソートするステップと、前記表示手段にソートされたPOIの情報を表示するステップとを有することを特徴とする。
【0034】
また、本願の請求項12にかかる発明は、請求項11にかかるPOI検索方法において、前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定するステップを有することを特徴とする。
【0035】
また、本願の請求項13にかかる発明は、請求項11にかかるPOI検索方法において、前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段が、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定するステップと、前記POI検索手段が、該決定された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、を有することを特徴とする。
【0036】
また、本願の請求項14にかかる発明は、請求項11にかかるPOI検索方法において、前記ソート手段がPOIをソートするステップは、前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートする処理を含み、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1にかかる発明においては、POI検索システムは、検察所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルを備え、矩形エリア決定手段は、POI検索手段が検索したPOI数に基づいて閾値テーブル、矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、閾値テーブル、矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、POI検索手段は、変更された矩形エリア内のPOIを検索し、ソート手段により検索結果をソートし、表示手段に表示する。
【0038】
このような構成によれば、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の面積の矩形エリアを決定し、矩形エリアの境界情報とPOIの位置情報の大小比較により該当するPOIを判別するようにしたものであるから、POI検索処理の負荷を軽減することができる。また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくして適当な数のPOIを検索するものであるから、所望のPOI情報を適切ない数、迅速に提供することができるようになる。
【0039】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定される。
【0040】
このような構成によれば、カテゴリ別にPOI情報データベースに蓄積されたPOIの総数に応じた適切な矩形エリアを決定することができるようになる。
【0041】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる発明において、前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定する。
【0042】
このような構成によれば、カテゴリ別にPOI情報データベースに蓄積されたPOIの総数に応じた適切な矩形エリアを決定してPOI検索を開始することができ、効率的な検索が行えるようになる。
【0043】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段は、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定し、前記POI検索手段は、該決定された矩形エリア内のPOIを検索する。
【0044】
このような構成によれば、端末装置の利用者により指定された所望の面積の矩形エリアを決定してPOI検索を開始することができるようになる。
【0045】
請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる発明において、前記操作入力手段は、閾値設定手段を備え、該閾値設定手段により設定された閾値を前記閾値テーブルに記憶する。
【0046】
このような構成によれば、端末装置の利用者により矩形エリアの変更の基準をカスタマイズすることができるようになる。
【0047】
請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示する。
【0048】
このような構成によれば、端末装置の利用者に検索されたPOIを距離の順に提示することができ、また、各POIまでの距離が表示されるから、利用者は、提示されたPOIに移動するか、否かの判断を容易にすることができるようになる。
【0049】
また、請求項7ないし請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項4にかかるPOI検索システムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになり、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項3、請求項4、請求項6にかかるPOI検索システムにおけるPOI検索方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのPOI検索システムを例示するものであって、本発明をこのPOI検索システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のPOI検索システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0051】
図1は、本発明の実施例にかかるPOI検索システム10のシステム構成を示す図である。図1に示すようにPOI検索システム10は、ネットワーク12を介して接続される端末装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。このPOI検索システム10は、各種カテゴリに属するPOI(Point of Interest:興味対象場所)の所在地やサービス内容、広告などの詳細情報を提供するPOI情報配信サーバ50、地図データ、交通路線データや運行時刻表データ、音楽や各種画像などのコンテンツ、その他の情報を提供する各種の情報配信サーバ51などを備えて構成されている。
【0052】
経路探索サーバ30はPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51からネットワーク12を経由して必要なデータを取得して自身のデータベースに追加することができる。また、同様にしてPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51に検索要求を送信して所望の検索結果を取得することもできる。
【0053】
本発明にかかるPOI検索システム10は、上記の構成に限られるものではなく、経路探索サーバ30はナビゲーションサービス機能とともに、POI所在場所の地図を配信する地図配信サーバの機能を有していてもよい。また、経路探索サーバ30の代わりにPOI検索の機能のみを有するサーバを用いることもできる。端末装置20としては、携帯電話を用いることができ、またPDAや音楽プレイヤー、携帯ゲーム機などの携帯機器、あるいは、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。
【0054】
図1に示す経路探索サーバ30は、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35を備え、端末装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して経路探索する。そして経路探索の結果により得た案内経路(推奨経路)を端末装置20に送信する一般的なナビゲーション機能を有している。また、経路探索サーバ30は、POIの所在地や電話番号、住所、営業時間などのPOI情報を蓄積したPOI情報データベース36を備えている。
【0055】
経路探索サーバ30は、端末装置20の現在位置や特定の地点を指定してその周辺に所在する所望のPOIを検索するPOI検索要求があると、指定された地点を中心とする所定の矩形エリアを決定し、その矩形エリア内に所在するPOIを検索する。矩形エリアとは、メルカトール図法を用いた地図表現における矩形エリアであり、特定地点を中心としてある距離離れた緯度、経度の境界線が囲まれるエリアであり、POI検索はその内側に所在するPOIを抽出する。
【0056】
例えば、一辺の距離が5.6Kmの矩形エリア内のPOIを検索する場合、現在位置を中心とする場合、中心座標(現在位置座標)の緯度、経度から±2.8Km離れた緯度、経度を境界線としてその内側に対象POIが含まれるかどうかを調べる。(地表は球面なので、厳密には矩形エリアにはならないが、メルカトール図法による平面地図の座標上で処理する)。中心位置から各POIまでの距離を演算するわけではないので、抽出は非常に高速にできる。
【0057】
すなわち、POIの所在位置を示す位置情報は緯度、経度からなるものであるから、矩形エリアが決定されるとその境界線の緯度、経度の情報と各POIの位置情報である緯度、経度の大小比較により簡単に当該矩形エリア内に所在するPOIを判別することができる。従って、従来のように指定された地点からPOIまでの距離を算出する処理に比較してPOI検索における演算処理の負荷を低減することができる。
【0058】
また、本実施例にかかるPOI検索システム10は、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくして、矩形エリア内のPOI数が適当な数になるようにする。このため、POI検索システムは後述するように、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルとを備えている。
【0059】
そして、POI検索システム10においては、POI検索を開始する際、POI情報データベース36を参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて矩形エリアを決定する。この矩形エリア決定のためのデータは、矩形エリア決定テーブル、閾値テーブルに設定しておくことができる。
【0060】
このような手順で、特定の地点を中心とした矩形エリア内に所在する該当のPOIが検索されると、特定地点から各POIまでの距離の順にPOIがソートされ、表示手段にはソートされた結果に基づいて、POIが順に表示される。表示されるPOI情報は、各POIの名称、所在地、電話番号、営業案内などであり、特定地点からの距離の情報を同時に表示してもよい。
【0061】
経路探索サーバ30は、端末装置20から所望の地点やPOIを指定して地図データの取得要求があると、地図データベース34を参照して該当する地図データを読み出して端末装置20に配信する。端末装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求し、経路案内のサービスを受ける場合には、端末装置20において所望の出発地や目的地を設定し、経路探索サーバ30に経路探索要求を送信する。出発地と目的地との間に立ち寄りたい経由地がある場合は当該経由地も設定する。
【0062】
これらの地点を設定する方法としては、表示手段に経路探索条件入力画面を表示し、地点の名称や住所(所在場所)、電話番号を入力する方法、表示画面に地図を表示して地図上の所望地点をカーソル選択して設定する方法などが採られる。出発地、経由地、目的地は、一般的には特定のPOIの場所を設定するが、POIに最も近い道路上のリンクやノードの位置が経路探索上のPOIの場所として用いられることもある。
【0063】
経路探索サーバ30は端末装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して指定された出発地から目的地に至る最適経路(案内経路)を探索し、地図データベース34から読み出した地図データとともに案内経路のデータを端末装置20に送信する。
【0064】
端末装置20は経路探索サーバ30から地図データ、案内経路のデータを受信すると、端末装置20の現在位置または端末装置20が設定した特定の地点を中心とした地図画像を表示画面に表示する。地図画像には端末装置20の現在位置を示す現在位置マーク、案内経路を示す案内経路画像が重ね合わされて表示される。
【0065】
このように、本実施例のPOI検索システム10は、POI検索にあたり、所定面積の矩形エリアを定めてPOIを検索することにより、緯度、経度の大小比較のみでその矩形エリア内のPOIを判別できるように構成したから、特定の地点からPOIまでの距離を算出して一定の距離範囲内のPOIを検索する従来の方法に比べて、POI検索のための演算処理を低減することができるようになる。
【0066】
また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きく変更して、適当な数のPOIが得られるように構成することにより、POIが全く検索できなかったり、検索されたPOIが多すぎたりという不具合を生ずることがなくなる。
【0067】
POIの検索を開始する際は、POI情報データベースを36参照してPOI検索条件に該当するPOIの総数を取得し、総数に応じた所定の面積の矩形エリアを決定してPOIを検索する。その結果、検索されたPOI数に応じて必要な場合には矩形エリアの大きさを変更してPOIを検索する。これにより検索されたPOI数は適当な数になっているから特定の地点から各POIまでの距離を提供するようにしても、距離を算出する演算処理の負荷を一定の範囲に抑えることができるようになる。
【0068】
以下、具体例に基づいて本発明の実施例にかかるPOI検索システム10を説明するが、その前に本発明にかかるPOI検索システム10の詳細な構成を説明する。図2は、図1のPOI検索システム10の詳細な構成を示すブロック図である。
【0069】
端末装置20は、ナビゲーションサービスを受けることができる端末であり、制御手段201、通信手段21、GPS受信手段22、処理要求手段23、配信データ記憶手段24、表示手段25、操作入力手段26などを備えて構成されている。操作入力手段26には、エリア設定手段261、閾値設定手段262が含まれる。
【0070】
端末装置20から経路探索サーバ30にPOI検索を要求する場合、所望のPOIのカテゴリを指定するとともにPOI検索の基準になる地点を設定する。地点とは、例えば、端末装置20の現在位置や交通機関の駅あるいは勤務先など所望の地点を基準になる地点として特定する。POI検索は設定された特定の地点の周辺に所在するPOIを検索する。また、POIはカテゴリ別にPOI情報データベース36に蓄積されており、利用者は所望のカテゴリを指定してPOI検索の要求を行う。
【0071】
利用者が関心を持つPOIは、映画館、劇場、各種テーマパーク、イベント会場、ホテル、レストラン、居酒屋、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、デパート、ショピングモールなど多岐にわたるため、POI情報データベース36にはPOIをカテゴリ別に種別分けし、個々のPOIの所在位置(緯度・経度)を初めとするPOI情報が蓄積されている。カテゴリも大きな概念から、小さな概念に階層化されており、カテゴリ一覧から検索したいPOIのカテゴリを指定してPOI検索の要求を行う。図3は、POI情報データベース36に蓄積されるPOI情報の構成の一例を示す図である。図3に示すように、蓄積されるPOIの情報は、当該POIの属するカテゴリ、POI(名称)、POIの場所(緯度・経度)、ホームページ(URL)、営業案内などである。
【0072】
一方、経路探索サーバ30は、制御手段301、通信手段31、配信データ編集手段32、POI検索手段33、ソート手段331、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、POI情報データベース36、矩形エリア決定手段37、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372、処理要求記憶手段38、経路探索手段39などを備えて構成されている。
【0073】
経路探索サーバ30は端末装置20から経路探索やPOI検索あるいは地図配信の要求があると、処理要求記憶手段38に一次記憶する。要求が経路探索要求である場合、経路探索手段39は経路探索用ネットワークデータベース35を参照して最適経路あるいは推奨経路(案内経路)を探索する。探索された案内経路のデータは配信データ編集手段32で編集され、端末装置20に配信される。また、地図データベース34から案内経路を含む地図データが読み出され、端末装置20に配信される。
【0074】
矩形エリア決定テーブル372には、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定している。また、閾値テーブル371は、POI検索手段33が検索したPOI数に応じて矩形エリアを選択するための閾値が設定されている。図4は、矩形エリア決定テーブル372に設定された矩形エリア決定データの一例を示す図である。
【0075】
図4に示すように、矩形エリア決定テーブル372には、矩形エリアの大きさが面積比で2倍ずつ変化するように、矩形エリアの一辺の長さ(距離)が矩形エリアIDを付して設定されている。図4の場合、矩形エリアID01は矩形エリアの辺の長さ(距離)が250mである。この距離をもとに基準となる特定地点(現在位置または指定地点)を中心として矩形エリアの境界線の緯度、経度を決定して矩形エリアを決定する。従って、この距離が350mに設定された矩形エリアID02の矩形エリア面積は、矩形エリアID01の矩形エリア面積に対してほぼ2倍の面積になる。以下、同様に矩形エリアの面積がほぼ2倍ずつ広くなるように矩形エリア決定データが設定されている。
【0076】
従って、POIの検索処理においては、各POIの緯度、経度と、矩形エリア境界線の緯度、経度の大小関係を比較するだけで当該POIが矩形エリアの内部に所在するか否かを簡単に判別することができ、従来のように基準地点の緯度、経度と各POIの所在地点の緯度、経度とから2点間の直線距離を演算して所定の距離範囲内に所在するか否かを判別するのに比べて演算処理の負荷を低減することができるようになる。
【0077】
矩形エリアの面積が広くなればその矩形エリア内に所在する所望のPOIを検索した場合のヒット率は高くなり、また、矩形エリアの面積が狭くなればその矩形エリア内に所在する所望のPOIを検索した場合のヒット率は低くなる。従って、矩形エリアの面積を変えてPOI検索することにより適当な数のPOIを検索結果として得られるようにすることができる。
【0078】
POIのカテゴリによっては所在密度が異なり、所在密度の高いPOIはPOI総数も多く、狭い面積内で検索してもヒットする確率が高く、また、広い面積内で検索するとヒットするPOI数が多くなり過ぎ、POI検索処理の負荷が大きくなる。逆に所在密度の低いPOIは総数が少なく、狭い面積で検索するとヒットしないこともあり、広い面積内で検索すれば該当するPOIを検索することができる。従って、カテゴリに属するPOI総数に応じて矩形エリア決定テーブル372を適宜設定するように構成することが好ましい。
【0079】
また、POI検索の開始にあたっては、まず、POI情報データベース36を参照して、指定されたカテゴリに属するPOIの総数を調べ、POI総数によって定められた大きさ(面積)の矩形エリアを決定して検索を開始する。そして、その矩形エリア内に所在するPOIを検索し、その数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さい面積に変更し、数が少ない場合には矩形エリアの面積を大きい面積に変更して再度POIを検索する。POIの数が適当な数になれば検索を終了する。
【0080】
検索を終了した段階で、各POIの距離、すなわち、基準地点から検索された各POIまでの距離を算出すれば、POI数が適当な数に絞られているので、演算処理は大きく増大することはない。そして距離によりソート手段331がPOIをソートすれば、表示手段25にはPOI情報を距離の順に表示して利用者に提示することができるようになる。
【0081】
なお、検索の開始にあたってはデフォルトとして矩形エリア決定のための距離を4Km(図4の矩形エリアID09)として矩形エリアを決定してPOI検索を開始するようにしてもよい。また、閾値テーブル371を参照して自動的にPOI数が適当な数になるまで矩形エリアの大きさを変更しながらPOI検索を進める前述の方法を採らず、その都度、検索結果を端末装置20に表示して矩形エリアの大きさの変更が指示される都度、矩形エリアの大きさを変更してPOI検索を進めるようにしてもよい。
【0082】
但し、この場合であっても、経路探索サーバ30側において自動的に矩形エリアを変更してPOI検索を行い、結果を保存しておけば、端末装置20から矩形エリア変更の指定があった場合に、瞬時に端末装置20に検索結果を配信することができる。
【0083】
例えば、矩形エリアID10(距離:5.6Km)の矩形エリアからPOI検索を開始する場合、中心座標(特定地点)の緯度、経度から±2.8km離れた緯度、経度に対象のPOIが含まれるかどうかを調べる(地表は球面なので、厳密には矩形ではないが、平面地図の座標上で処理する)。中心(特定地点)から各POIまでの距離を演算するわけではないので、抽出は非常に高速にできる。検索されたPOI数によって、矩形エリアの大きさ(面積)を変えながら更にPOIを検索する。
【0084】
このときに、バイナリサーチのように効率よく検索を行い、たとえば検索結果として20件のPOIが検索されるようにした場合、検索結果として所望する20件を挟み込む矩形エリアのうち、面積の広い側の矩形エリアにおける検索結果を採用すれば、20件以上のPOIを検索結果として得ることができるようになる。
【0085】
例えば、矩形エリアID10(距離:5.6Km)の矩形エリアで8件、矩形エリアID12(距離:11Km)の矩形エリアで12件、矩形エリアID13(距離:16Km)の矩形エリアで32件、矩形エリアID14(距離:22Km)の矩形エリアで100件のPOIが検索された場合(図4の矩形エリア決定テーブル372参照)、距離16Kmの矩形エリア(ID13)と、距離11Kmの矩形エリア(ID12)がPOI数20件を挟み込んでいるので、外側(面積の大きい)の矩形エリアID13(距離16Km)における検索結果の32件を検索結果として採用する。なお、ここまで厳密に行わなくとも、POIが20〜40件という結果が出たら、その矩形エリアでのPOI検索をもって検索終了としてもよい。
【0086】
ある面積の矩形エリアを対象としてPOI検索して得られたPOIの数に応じて、矩形エリアの面積を変更するか否かを自動的に判別するために、閾値テーブル371が設けられている。図5は、閾値テーブル371の一例を示す図である。閾値テーブル371には、図5に示すように、POI検索手段33が、ある矩形エリアに基づいて検索して得たPOIの数の閾値が設定されており、その閾値範囲に応じて矩形エリアの面積、すなわち、矩形エリアIDが設定されており、矩形エリア決定手段37はそれに応じた矩形エリアを決定し、面積を変更する。
【0087】
例えば、図5において、検索されたPOIの数Xが「X≧10万件」であった場合には矩形エリア決定手段37は、矩形エリアの面積を矩形エリアID04(距離:0.7Km)に狭める。そしてPOI検索手段33は矩形エリア決定手段37が決定した矩形エリアに基づいて再びPOIを検索する。同様に、検索されたPOI数X「が1万件<X<10万件」であれば矩形エリア決定手段37は矩形エリアID06に矩形エリアの面積を変更する。
【0088】
この閾値テーブル371の設定も、POI総数により適切に設定することが好ましく、POIカテゴリに応じて閾値テーブル371の値と矩形エリアの面積の関係を設定しておくと効率よくPOI検索を行うことができる。
【0089】
図6は、本実施例にかかるPOI検索システム10における矩形エリアを用いたPOI検索の概念を示す模式図である。矩形エリアの境界線は、特定位置Sを中心として、先に述べた矩形エリア決定データである距離(図4参照)によって定まり、矩形エリアの4辺を緯度、経度で表すことができる。従って、矩形エリアに対して、検索条件として指定されたカテゴリに属するP4〜P6のPOIが図6のような位置関係にある時、特定の地点からの距離を演算して求める必要はなく、P4〜P6のそれぞれの位置座標(緯度、経度)と矩形エリアの境界線の緯度、経度の大小比較を行うだけで当該矩形エリア内に所在するPOIであるか否かを判別することができる。
【0090】
図7は、図12に示す一般的なPOI検索と矩形エリアを用いたPOI検索を対比する模式図である。特定地点SからPOI(P7)および(P8)までの距離L7とL8を算出すると、従来の検索方法であれば一定の距離範囲(図7中の点線の円)の内側になり、何れもが検索結果として抽出される。しかしながら、P7は矩形エリア(図7中の実線の矩形エリア)にあり、本実施例による検索結果としては抽出されるが、P8は矩形エリア(図7中の実線の矩形エリア)になく、本実施例による検索結果としては抽出されない。
【0091】
地点SからPOI(P8)までの距離L8と、地点SからPOI(P7)までの距離L7を比較すると「L8<L7」であり、POI(P8)のほうがPOI(P7)より地点Sに近いが、本実施例においては、POI(P8)は矩形エリア内に所在しないと判別され、検索結果として抽出されない。このようなケースは多々生じる場合があるが、利用者は地点Sに近いPOIを知りたいのであるから、矩形エリアの境界付近で生じる図7のようなケースがあっても実用上の問題を生じることは少ない。
【0092】
一方、端末装置20において、制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段21はネットワーク12を介して経路探索サーバ30などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0093】
GPS受信手段22はGPS衛星からの信号を受信して現在位置を緯度・経度で算出する。操作入力手段26は、キー、ダイヤル等からなり、端末装置20を操作するための入力を行い、また、出発地、目的地などの経路探索条件の入力機能としても用いられる。表示手段25は液晶表示パネル等からなり、経路探索サーバ30から配信(送信)された案内経路や地図の表示に使用されるものである。また、表示手段25はメニュー画面を表示し、操作入力手段26を用いてメニュー画面から所望の項目を選択することにより端末装置20を操作するための入力手段としても機能する。
【0094】
端末装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求する場合、操作入力手段26を操作し、または、表示手段25に表示されるメニュー画面を操作して所望の出発地、目的地、経由地などを指定し、その他の経路探索条件(時刻条件、探索経路数など)を設定し、経路探索を要求する。また、所望のPOIを検索する場合は、表示手段25にPOIカテゴリ選択画面などを表示して所望のカテゴリを指定する。
【0095】
操作入力手段26にはエリア設定手段261、閾値設定手段262が含まれ、図4に示す矩形エリア決定テーブル372や閾値テーブル371の設定データを表示手段25に表示して、所望の値を設定することができる。これにより、利用者が独自の基準で矩形エリアの大きさとPOI検索数(閾値)を設定することができるようになる。
【0096】
経路探索サーバ30から、端末装置20に配信された地図データやPOI検索結果あるいは案内経路などの配信データは、配信データ記憶手段24に一次記憶される。これらのデータは必要に応じて読み出され、表示手段25に表示される。地図データや案内経路を表示する場合は、端末装置20の現在位置を中心に、所定の範囲の地図画像が表示され、現在位置マーク、案内経路の画像が重ね合わされて表示される。
【0097】
図8は、端末装置20の外観を示す図である。図8に示す端末装置20は携帯電話を端末装置としたものであり、液晶表示ユニットなどからなる表示手段25、テンキーやダイヤル、ボタンなどを有する操作入力手段26を備えている。経路探索サーバ30から送信されたPOI情報や地図データ、案内経路データなどは配信データ記憶手段24に記憶され、必要に応じて読み出され、表示手段25の表示画面251に表示される。
【0098】
図9は、表示画面251に表示されるPOI検索画面の画面遷移の一例を示す図であり、図9(a)はPOIカテゴリ選択画面の一例、図9(b)は検索結果の回答画面の一例を示す図である。例えば、図9(a)に示すように、現在位置周辺のグルメカテゴリの項番8の「アジア・エスニック」に該当するPOIを検索したところ、距離2Kmの矩形エリア内には該当するPOIが検索されなかったものとする。この場合、図9(b)回答画面に示すように端末装置20には、一旦「2Km以内には該当はありませんでした。」との表示を行うと、利用者に対して、現在位置の近くには該当POIが無かったことを明確に伝えることができる。
【0099】
経路探索サーバ30側では、この間に前述した矩形エリアを変更しながら適当な数のPOIを検索する手順を実施しておくと、端末装置20において、「検索範囲を広げますか」の問い合わせに対して「はい」が選択されたときに経路探索サーバ30は端末装置20に瞬時に結果を返すことができる。
【0100】
図10はPOI検索の結果、適当な数の該当POIが検索され、検索を終了した際のPOI情報回答画面の一例を示す図である。POIは現在位置からの距離の順にソート手段331においてソートされており、指定された「グルメ→アジア」に該当するPOI情報が距離の近い順に表示される。
【0101】
この場合、図10や図9(b)に示すPOI回答画面を表示する前に経路探索サーバ30側で既に矩形エリアを変更してPOI検索する手順を行っておき、図9(b)の回答ページに続いて図10の回答ページも端末装置20に配信しておけば、図9(b)の回答画面で「はい」が選択された場合のリンクで回答ページを切り替えるだけで、瞬時に結果を表示することができるようになる。さらに、探索結果を得た矩形エリアの距離範囲を表示する(図10の「3〜8Kmにありました」の表示参照)ことで、利用者は、どの程度の範囲に所望のPOIが分布しているのかも分かる。これにより、利用者は、徒歩なら諦めようとか、車だから行って見ようとかいう判断をすることが可能となる。
【0102】
図11は、以上、説明した本発明の実施例にかかるPOI検索システム10におけるPOI検索の手順を示すフローチャートである。先ず、端末装置20において現在位置または所望地点を特定の地点として設定し、検索対象となる所望のPOIのカテゴリを設定してPOI検索要求が経路探索サーバ30に送信される。
【0103】
最初に、経路探索サーバ30は端末装置20からのPOI検索要求を受信し(ステップS101)、この処理要求を処理要求記憶手段38に記憶する。POI検索手段33はステップS102の処理でPOI情報データベース36を参照して指定されたPOIのカテゴリに該当するPOIの総数を取得する。
【0104】
矩形エリア決定手段37はPOI検索手段33が取得したPOI総数に基づいて、最初にPOI検索の対象とする矩形エリアを決定する(ステップS103)。矩形エリアは前述したようにPOI検索要求に設定された特定の地点を中心とし、所定の距離で定まる矩形の各辺をエリアの境界線として決定する。
【0105】
矩形エリアが決定されると、POI検索手段33は当該矩形エリアの中に所在する該当POIを検索する(ステップS104)。矩形エリア内に所在するPOIの判別は、前述したように各POIの座標(緯度、経度)と矩形エリアの各境界線の緯度、経度との比較処理により行う。そしてステップS105で検索されたPOIの数を検出する。
【0106】
矩形エリア決定手段37は、ステップS106の判別処理において、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372を参照し、検索されたPOIの数に基づいて矩形エリアの変更が必要か否かを判別する。矩形エリアの変更の要否は前述したように検索されたPOIの数が多い場合は矩形エリアを狭め、検索されたPOIの数が少ない場合は矩形エリアを広くして再度POI検索をするという概念に基づいている。変更すべき矩形エリアは、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372の設定内容に従って決定される。
【0107】
ステップS106の判別処理において矩形エリアの変更が必要と判別された場合には、閾値テーブル371、矩形エリア決定テーブル372の設定内容に従って該当する矩形エリア決定データ(矩形エリアの辺の長さ)により変更する矩形エリアを決定し(ステップS109)、ステップし104のPOI検索処理に戻る。矩形エリアを変更する必要がないと判別された場合は検索されたPOIの数が予定された適当な数になっていることを意味するから、検索された各POIと特定地点との距離を算出し、ソート手段331により距離順にPOI情報をソートする(ステップS107)。
【0108】
これらのPOI検索結果は経路探索サーバ30から端末装置20に配信され、ステップS108の処理において表示手段25に表示される(図9、図10参照)。
【0109】
以上、詳細に説明したように、本発明のPOI検索システムによれば、端末装置の現在位置や特定の地点を中心として所定の面積の矩形エリアを決定し、矩形エリアの境界情報とPOIの位置情報の大小比較により該当するPOIを判別するようにしたものであるから、POI検索処理の負荷を軽減することができる。また、矩形エリア内に所在するPOI検索の結果、該当するPOIの数が多すぎる場合は矩形エリアの面積を小さく、POIの数が少ない場合は矩形エリアの面積を大きくして適当な数のPOIを検索するものであるから、所望のPOI情報を適切ない数、迅速に提供することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、スタンドアロンのナビゲーション装置でのPOI検索にも用いることができるが、通信型のナビゲーションシステムでサーバの検索負荷を軽くするのに効果的である。
また、ユーザには、距離制限にとらわれることなく、存在するPOIの情報を瞬時に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施例にかかるPOI検索システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例にかかるPOI検索システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】POI情報データベースに蓄積されたPOI情報の一例を示す図である。
【図4】矩形エリア決定テーブルの設定データの一例を示す図である。
【図5】閾値テーブルの設定データの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例にかかるPOI検索システムにおける矩形エリアを用いたPOI検索の概念を示す模式図である。
【図7】一般的なPOI検索と、矩形エリアを用いた本発明の実施例にかかるPOI検索との対比を示す模式図である。
【図8】端末装置として用いられる携帯電話の外観を示す図である。
【図9】端末装置の表示画面に表示されるPOI検索画面の画面遷移の一例を示す図であり、図9(a)はPOIカテゴリ選択画面の一例、図9(b)は検索結果の回答画面の一例を示す図である。
【図10】POI検索の結果適当な数の該当POIが検索され、検索を終了した際のPOI情報回答画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施例にかかるPOI検索システムにおけるPOI検索の手順を示すフローチャートである。
【図12】特定の地点を基準として一定の距離範囲内に所在する所望のPOIを検索する従来のPOI検索処理の概念を示す模式図である。
【符号の説明】
【0112】
10・・・・POI検索システム(ナビゲーションシステム)
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
201・・・制御手段
21・・・・通信手段
22・・・・GPS受信手段
23・・・・処理要求手段
24・・・・配信データ記憶手段
25・・・・表示手段
26・・・・操作入力手段
261・・・エリア設定手段
262・・・閾値設定手段
30・・・・施設検索サーバ(経路探索サーバ)
301・・・制御手段
31・・・・通信手段
32・・・・配信データ編集手段
33・・・・POI検索手段
331・・・ソート手段
34・・・・地図データベース
35・・・・経路探索用ネットワークデータベース
36・・・・POI情報データベース
37・・・・矩形エリア決定手段
371・・・閾値テーブル
372・・・矩形エリア決定テーブル
38・・・・処理要求記憶手段
39・・・・経路探索手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおいて、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とするPOI検索システム。
【請求項2】
前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする請求項1に記載のPOI検索システム。
【請求項3】
前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のPOI検索システム。
【請求項4】
前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段は、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定し、前記POI検索手段は、該決定された矩形エリア内のPOIを検索することを特徴とする請求項1に記載のPOI検索システム。
【請求項5】
前記操作入力手段は、閾値設定手段を備え、該閾値設定手段により設定された閾値を前記閾値テーブルに記憶することを特徴とする請求項4に記載のPOI検索システム。
【請求項6】
前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする請求項1に記載のPOI検索システム。
【請求項7】
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムを構成する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項8】
前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする請求項7に記載の経路探索サーバ。
【請求項9】
前記経路探索サーバがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の経路探索サーバ。
【請求項10】
前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、各POI情報には前記特定の地点から各POIまでの距離を含むことを特徴とする請求項7に記載の経路探索サーバ。
【請求項11】
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおけるPOI検索方法において、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段が、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別する判別ステップと、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更するステップと、
前記POI検索手段が、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、前記ソート手段により検索結果をソートするステップと、前記表示手段にソートされたPOIの情報を表示するステップとを有することを特徴とするPOI検索方法。
【請求項12】
前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定するステップを有することを特徴とする請求項11に記載のPOI検索方法。
【請求項13】
前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段が、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定するステップと、前記POI検索手段が、該決定された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、を有することを特徴とする請求項11に記載のPOI検索方法。
【請求項14】
前記ソート手段がPOIをソートするステップは、前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートする処理を含み、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする請求項11に記載のPOI検索方法。
【請求項1】
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおいて、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とするPOI検索システム。
【請求項2】
前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする請求項1に記載のPOI検索システム。
【請求項3】
前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のPOI検索システム。
【請求項4】
前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段は、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定し、前記POI検索手段は、該決定された矩形エリア内のPOIを検索することを特徴とする請求項1に記載のPOI検索システム。
【請求項5】
前記操作入力手段は、閾値設定手段を備え、該閾値設定手段により設定された閾値を前記閾値テーブルに記憶することを特徴とする請求項4に記載のPOI検索システム。
【請求項6】
前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする請求項1に記載のPOI検索システム。
【請求項7】
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムを構成する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段は、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別し、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更し、前記POI検索手段は、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索し、前記ソート手段により検索結果をソートし、前記表示手段に表示することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項8】
前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルは、1つまたは複数のPOIカテゴリ別に設けられ、前記POI情報データベースに記憶された1つまたは複数のPOIカテゴリに該当するPOIの総数に基づいて前記閾値および矩形エリア設定データが設定されることを特徴とする請求項7に記載の経路探索サーバ。
【請求項9】
前記経路探索サーバがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の経路探索サーバ。
【請求項10】
前記ソート手段は前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートし、各POI情報には前記特定の地点から各POIまでの距離を含むことを特徴とする請求項7に記載の経路探索サーバ。
【請求項11】
POI情報を記憶したPOI情報データベースを備え、利用者が設定した特定の地点を含む所定のエリア内に所在するPOIを検索するPOI検索手段を備えたPOI検索システムにおけるPOI検索方法において、
前記POI検索システムは、前記POI情報データベースを参照して前記特定の地点を中心とする所定面積の矩形エリア内に所在する所望のカテゴリのPOIを検索するPOI検索手段と、所定面積の矩形エリアを決定するためのエリア決定データを所定の面積ごとに設定した矩形エリア決定テーブルと、前記POI検索手段が検索したPOI数に応じて前記矩形エリアを選択するための閾値を設定した閾値テーブルと、ソート手段と、表示手段と、を備え、
前記矩形エリア決定手段が、前記POI検索手段が検索したPOI数に基づいて前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して矩形エリアの変更が必要か否かを判別する判別ステップと、矩形エリアの変更が必要な場合、前記閾値テーブルおよび矩形エリア決定テーブルを参照して該当する矩形エリア決定データを取得し、該矩形エリア決定データに基づいて矩形エリアの面積を変更するステップと、
前記POI検索手段が、前記変更された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、前記ソート手段により検索結果をソートするステップと、前記表示手段にソートされたPOIの情報を表示するステップとを有することを特徴とするPOI検索方法。
【請求項12】
前記POI検索システムがPOI検索を開始する際、前記POI検索手段は、前記POI情報データベースを参照し、該当するPOIの総数を取得し、該POIの総数に基づいて前記矩形エリアを決定するステップを有することを特徴とする請求項11に記載のPOI検索方法。
【請求項13】
前記POI検索システムは、利用者が矩形エリアを選択するためのエリア選択手段を含む操作入力手段を備え、POI検索を開始する際、前記矩形エリア決定手段が、デフォルトまたは前記エリア選択手段による選択に基づいて矩形エリアを決定するステップと、前記POI検索手段が、該決定された矩形エリア内のPOIを検索するステップと、を有することを特徴とする請求項11に記載のPOI検索方法。
【請求項14】
前記ソート手段がPOIをソートするステップは、前記特定の地点から各POIまでの距離に基づいてPOIをソートする処理を含み、前記表示手段はPOI情報を表示する際、前記距離を表示することを特徴とする請求項11に記載のPOI検索方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−93384(P2009−93384A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262843(P2007−262843)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】
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