説明

RHO−キナーゼの阻害剤としてのイソキノリン誘導体

本発明は、Rho−キナーゼ及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRho−キナーゼ仲介リン酸化に関連する疾患の治療及び/又は予防に有用な、式(I)の6−ピペリジニル置換イソキノリン誘導体、及びそのような化合物を含有する組成物に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規イソキノリン誘導体及びそれらの製造、並びにRho−キナーゼの阻害及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRhoキナーゼ仲介リン酸化の阻害、に関係する疾患の治療及び/又は予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アゴニスト刺激による小GTPアーゼRhoAの活性化は、不活性GDP結合形から活性GTP結合形へのRhoAの変換と、それに続くRho−キナーゼへの結合及び活性化をもたらす。二つのアイソフォーム、Rho−キナーゼ1及びRho−キナーゼ2が知られている。Rho−キナーゼ2は、血管平滑筋細胞及び内皮細胞に発現している。活性GTP結合RhoAによるRho−キナーゼ2の活性化は、ミオシン軽鎖ホスファターゼ活性のリン酸化仲介阻害を経て平滑筋細胞のカルシウム感受性増強をもたらし、それによってミオシンの調節軽鎖の活性のアップレギュレーションを引き起こす(Uehata et al., Nature 1997, 389, 990-994)。
【0003】
Rho−キナーゼは、筋原性緊張の発症(J. Appl. Physiol. 2005, 1940-8, 98)、気管支平滑筋収縮(Am. J. Resp. Cell Mol. Biol. 20, 1190-1200)、高血圧、即ち、肺高血圧(Heart, 91, 391-2, 2005)及び高眼圧(Invest. Ophthalmol. Visual Sci. 2001, 42, 137-144)を含む血管収縮、内皮機能不全(Eur. J. Pharmacol. 2005, 512, 247-249)、アテローム硬化症、再狭窄(Arch. Mal. Coeur 2005, 98, 249-254)、グルコース利用、心臓肥大(Hypertension 2000, 35, 313-318)、勃起不全(Nature Medicine 2001, 7, 119-122)、網膜症、炎症、免疫疾患、エイズ、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌による消化管の感染(国際特許出願公開第98/06433号)、がん発生(cancer development)、血管平滑筋増殖及び運動性(Circ. Res. 1999, 84, 1186-1193; Atherosclerosis 2001, 155, 321-327)、内皮増殖及び運動性(Biochem. Biophys. Res. Commun. 2000, 269, 633-640)、ストレスファイバー形成(Science 1997, 275, 1308-1311; J. Cell Biol. 2000, 150, 797-806)、血小板凝集(FEBS Lett. 2000, 466, 70-74; Blood 1999, 94, 1665-1672)、Na/H交換輸送系活性化(EMBO J. 1998, 17, 4712-4722)、アルツハイマー病(Science 2003, 302, 1215-1217)、アデューシン活性化(J. Biol. Chem., 273, 5542-5548, 1998)、及びSREB(ステロール応答結合エレメント:sterol response binding element)情報伝達及びその脂質代謝に対する効果(Circ. Res., 92,1296-304, 2003)に関与していることが知られている。
【0004】
それ故に、Rho−キナーゼに対する及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRho−キナーゼ仲介リン酸化に対する阻害効果を有する化合物は、一次疾患、例えば、高血圧、換言すれば、肺高血圧及び高眼圧、末梢循環障害、狭心症、脳血管攣縮、喘息、早産、血小板の凝集能亢進、末梢閉塞性動脈疾患(PAOD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、癌発生、及び勃起障害の原因として、又は二次疾患、例えば、動脈硬化症、虚血性臓器不全(終末臓器損傷)、肺線維症、肝線維症、肝不全、腎線維症、腎糸球体硬化症、腎不全、臓器肥大、前立腺肥大、糖尿病の合併症、血管再狭窄、アテローム硬化症、がん、心臓肥大、心不全;虚血性疾患;炎症;自己免疫疾患;エイズ、骨粗鬆症のような骨障害、脳機能障害、細菌による消化管感染、敗血症、成人呼吸窮迫症候群、網膜症、緑内障及びアルツハイマー病の原因として、Rho−キナーゼが関与する疾患の治療及び/又は予防に有用である。
【0005】
国際特許出願公開第01/64238号は、神経保護薬として有用な、-(CH2)1-6-O-(CH2)0-6-、-(CH2)0-6-S-(CH2)0-6-又は-(CH2)0-6-結合複素環基によって場合により置換された、イソキノリン−5−スルホンアミド誘導体を記載している。
【0006】
特開平10−087629号は、例えば、胃炎又は潰瘍のような、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)に起因する感染の治療に有用なイソキノリン誘導体を記載している。前記イソキノリン誘導体は、好ましくは、X−[(C1−C6)アルキレン]0-1−Y(式中Xは酸素、Yはアリール又は複素環基であってもよい)によって5−置換されている。
【0007】
Hagiharaら(Bioorg. Med. Chem. 1999, 7, 2647-2666)は、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)に起因する感染の治療のための6−ベンジルオキシイソキノリンを開示している。
米国特許第5,480,883号は、細胞増殖を阻害するのに有用なEGF及び/又はPDGF受容体阻害剤として、式「ArI−X−Ar II」{式中Xは(CHR1m−Z−(CHR1n、例えば、Z−CH2[ここでZはOであり、R1は水素又はアルキルである]、ArIは、とりわけ、場合により置換されたC5-12二環式ヘテロアリール環系であってもよく、そしてAr IIは、とりわけ、場合により置換されたC3-7単環式飽和複素環系であってもよい}の化合物を一般的に開示している。
【0008】
国際特許出願公開第03/053330号は、式:
【化1】

(式中、L2はハロゲンであり、そして、R10はC1-5アルキレン−C5-6ヘテロ環状基である)
のイソキノリン誘導体を、GSK−3阻害剤の合成における中間体として記載している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの実施態様は、式(I):
【化2】

{式中、
1は、H、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C1−C6)アルキル、NHR'、又はN[(C1−C6)アルキル]2であり;
2は、水素、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、OH、O−R''、NH2、NHR''、NR''R''、又はNH−C(O)−R''であり;
4は、H、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C6)アルキレン−R'であり;
5は、H、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、CH(OH)−(C1−C6)アルキル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH、又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
【0010】
6は、H、R'、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、(C1−C6)アルキレン−CH[R']2、(C1−C6)アルキレン−C(O)−R'、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R'、又は(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R']2であり;
7は、H、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−R'、CH(OH)−(C1−C6)アルキル、CH(OH)−(C6−C10)アリール、CH(OH)−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、SO2−NH2、SO2−NHR'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH、又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
8は、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
nは、1、2、3又は4であり;そして
Lは、O、又はO−(C1−C6)アルキレンであり;
ここで、
R'は、(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリールであり;そして
R''は、(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、又は(C1−C6)アルキレン−NRxyであり;
そしてここで、
x及びRyは、互いに独立に、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C1−C4)アルキレン−N[(C6−C10)アリール]2、又は(C1−C4)アルキレン−N[(C5−C10)ヘテロシクリル]2であり;
そしてここで、
残基R4、R5、R7及びR8において、アルキル又はアルキレンの1つの水素原子は、場合により、OH、F、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH32、CONH2、CONHCH3、又はCON(CH32により置換することができる}
の化合物、及びその薬学的に許容される塩及び/又は生理学的機能を有する誘導体である。
【0011】
好ましくは、R1は、H、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C1−C6)アルキル、NH(C6−C10)アリール、又はN[(C1−C6)アルキル]2である。より好ましくは、R1は、H、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、NH−(C1−C4)アルキル、N[(C1−C4)アルキル]2、又はNH−フェニルである。最も好ましくは、R1は、H、(C1−C2)アルキル、又はNH−(C1−C2)アルキルであり、特に好ましくは、Hである。
【0012】
好ましくは、R2は、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルである。好ましくは、R2は、H又は(C1−C4)アルキルである。より好ましくは、R2は、H、(C1−C2)アルキルである。R2は、連結基Lが結合している位置を含む、ピペリジン環のいかなる炭素原子に結合してもよい。
【0013】
3は、好ましくは、H、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R'、O−R''、又はNHR''である。より好ましくは、R3は、H、又はNHR''である。最も好ましくは、R3は、H、NH−(C5−C6)ヘテロシクリル、又はNH−フェニルであり、特に好ましくは、H、1つ若しくはそれ以上のN原子を含むNH−(C5−C6)ヘテロアリール、又はNH−フェニルである。特に最も好ましくは、R3はHである。R3の置換基の例としては、下記の置換基:
【化3】

【0014】
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

がある。
【0017】
好ましくは、R4は、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルである。より好ましくは、R4は、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルである。最も好ましくは、R4は、Hである。
【0018】
好ましくは、R5は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキレン−R'である。より好ましくは、R5は、H、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキレン−R'である。最も好ましくは、R5は、H、ハロゲン、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキル、又は(C5−C10)ヘテロアリールである。特に好ましくは、R5は、H、ハロゲン、フェニル、(C1−C6)アルキル、又は(C5−C6)ヘテロアリールである。R5の例としては、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ニトリル、ニトロ、(p−メトキシ)−フェニル、N−アニリン、フェニル、ベンジル、メチル、エチル、ビニル、2−プロペニル、s−ブテニル、シクロプロピル、チエニル、テトラゾール、アミノ、4−メトキシ−アニリン、N−アセチル、又は下記の置換基:
【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

から成るグループの置換基がある。
【0021】
好ましくは、R6は、H、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである。より好ましくは、R6は、H、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである。
【0022】
6の例としては、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、s−ブチル、ペンチル、3−メチル−ブチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロブチル、シクロプロピル、メチレンシクロプロピル、2−ピリミジニル、ベンジル、又は下記の置換基:
【化9】

から成るグループの置換基がある。
【0023】
好ましくは、R7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、又は(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキルである。より好ましくは、R7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル、又は(C5−C6)ヘテロアリールである。最も好ましくは、R7は、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、フェニル、ニトリル、シクロプロピル、チエニル、又はビニルである。
【0024】
8は、好ましくは、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルである。より好ましくは、R8は、H、Cl、F、メチル、又はエチルである。
【0025】
好ましくは、nは、1、2、又は3である。より好ましくは、nは1である。
【0026】
連結基Lは、ピペリジン環の炭素原子を介して、如何なる位置においてピペリジン環と結合してもよい。好ましい実施態様においては、Lは、ピペリジン環の4位に結合し、
【化10】

又は、Lは、ピペリジン環の3位に結合する。
【化11】

【0027】
特に好ましい実施態様においては、Lは、ピペリジン環の4位に結合する。
更に好ましい実施態様において、Lは、O−メチレン、O−エチレンであり、又は好ましくは、Oである。より好ましくは、Lは、ピペリジン環の4位に結合した、O−メチレン、O−エチレン、又はOである。
【0028】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)の化合物に含まれる1つ又はそれ以上の又は全ての基は、上記で特定された、好ましい、より好ましい、若しくは最も好ましいいずれかの基の定義、又はその基の定義によって構成され、上記で特定されたいずれか1つ若しくは幾つかの特定の表示、好ましい、より好ましい、若しくは最も好ましい定義の、及び/又は本発明の主題である特定の表示の、全ての組合せを、互いに独立に有することができる。また、全ての好ましい実施態様に関連して、本発明は、式(I)の化合物において、全ての立体異性体、及び立体異性体のあらゆる比率の混合物、並びにそれらの生理学的に許容される塩を含む。
【0029】
上記の例示した置換基における「*−」印は、置換基が結合する位置を示し、それは、例えば、R3置換基:
【化12】

では、式:
【化13】

の化合物を意味する。
【0030】
好ましい実施態様は、式(I)の化合物であって、ここで、
1は、H、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール、又はN[(C1−C6)アルキル]2であり;
2は、水素、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R'、O−R''、又はNHR''であり、ここで、R'及びR''は、上記で定義した通りであり;
4は、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
5は、H、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、CN、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロシクリル、又は(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリルであり;
6は、H、R'、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C6)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキルであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、又はR'であり;
8は、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
nは、1、2又は3であり;そして
Lは、O、O−メチレン、又はO−エチレンである;
化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩及び/又は生理学的機能性誘導体である。
【0031】
更に好ましい実施態様は、式(I)の化合物であって、ここで、
1は、H、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール、又はN[(C1−C6)アルキル]2であり;
2は、H、又は(C1−C4)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン、又はNHR''であり、ここで、R''は、上記で定義した通りであり;
4は、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルであり;
5は、H、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、又は(C5−C10)ヘテロシクリルであり;
6は、H、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、又はR'であり;
8は、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
nは、1、2又は3であり;そして
Lは、Oである;
化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩及び/又は生理学的機能性誘導体である。
【0032】
特に好ましい実施態様は、式(I)の化合物であって、ここで、
1は、H、(C1−C4)アルキル、NH−(C1−C4)アルキル、N[(C1−C4)アルキル]2、又はNH−フェニルであり;
2は、H、(C1−C4)アルキルであり;
3は、H、NH−(C5−C6)ヘテロアリール、又はNH−フェニルであり;
4は、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルであり;
5は、H、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル−(C6−C10)アリール、又は(C5−C10)ヘテロアリールであり;
6は、H、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル、(C5−C6)ヘテロアリールであり;
8は、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルであり;
nは、1であり;そして
Lは、Oである;
化合物、及びそれらの生理的に許容される塩及び/又は生理学的機能性誘導体である。
【0033】
本発明のあれゆる実施態様と同様に、本発明化合物の好ましい、より好ましい、最も好ましい、又は例示的な定義を含む前記の実施態様において、1つ又はそれ以上の又は全ての基は、上記で特定された、好ましい、より好ましい、最も好ましいいずれかの定義を、又はその定義によって構成され、上記で特定された、いずれか1つの又は幾つかの特定の表示を、有することができる。
【0034】
イソキノリン及びピペリジルの置換パターンは、明細書本文ではIUPACの規則に基づいて番号付けされている:
【化14】

【0035】
式(I)の化合物の生理学的に許容される塩は、Remington's Pharmaceutical Sciences (17th edition, page 1418 (1985))に記載されている、有機及び無機の両方の塩を意味する。物理的及び化学的安定性、並びに溶解性のため、酸性基の、とりわけ、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩が好ましく;塩基性基の、とりわけ、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、メチルスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸の塩、又はカルボン酸若しくはスルホン酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、及びアミノ酸の、天然の塩基若しくはカルボン酸の塩が好ましい。立体異性体を含む、塩の形成が可能な式(I)及び(II)の化合物からの、生理学的に許容される塩の形成は、それ自体公知の方法で行われる。式(I)の化合物は、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アルコラート、及びアンモニアなどの塩基性試薬;又は有機塩基、例えば、トリメチル−若しくはトリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン若しくはトリエタノールアミン、トロメタモール;あるいは塩基性アミノ酸、例えば、リシン、オルニチン若しくはアルギニンを用いて、安定なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は場合により置換されたアンモニウム塩を形成する。式(I)の化合物が塩基性基を有する場合、安定な酸付加塩は、また、強酸を用いて製造することが可能である。本発明の化合物の、好適な薬学的に安定な酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸などの無機酸、及び例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、及び酒石酸などの有機酸の塩である。
【0036】
生理学的に許容されないアニオンとの塩、例えば、トリフルオロ酢酸塩などは、薬学的に許容される塩の製造又は精製のための有用な中間体として、及び/又は非治療的応用、例えば、生体外応用に使用するために、本発明の範囲内に同様に含まれる。
【0037】
本明細書で使用される、用語「生理学的機能性誘導体」とは、本発明の式(I)の化合物のあれゆる生理学的に許容される誘導体、例えば、N−オキシド体を意味し、それは、例えば、ヒトなどの哺乳類に投与した際に、式(I)の化合物又はその活性代謝物を形成すること(直接的に又は間接的に)ができる。
【0038】
生理学的機能性誘導体としては、本発明の化合物の、例えば、H. Okada et al., Chem.
Pharm. Bull. 1994, 42, 57-61に記載されているようなプロドラッグが挙げられる。その様なプロドラッグは、生体内で本発明の化合物に代謝され得る。これらのプロドラッグは、それ自体、活性であっても又は活性でなくともよい。
【0039】
本発明は、ラセミ体、ラセミ混合物及び純粋なエナンチオマーの形態の式(I)の化合物、並びにそれらのジアステレオマー及びその混合物に関する。
【0040】
式(I)の化合物において、基又は置換基が2回以上出現する場合、それらは、互いに独立に、上記の意味を有し、そして、同一であっても異なっていてもよい。
【0041】
本発明の化合物には、また、種々の多形形態、例えば、非晶性及び結晶性の多形形態で存在し得る。本発明の化合物の全ての多形形態は、本発明の範囲内に属し、そして本発明の更なる側面でもある。
【0042】
以下の「式(I)の化合物」の全ての言及は、上記で記載した式(I)の化合物、及び本明細書に記載したような生理学的に許容される塩、溶媒和物、及び生理学的機能性誘導体を意味する。
【0043】
用語(C1−C2)アルキル、(C1−C4)アルキル、(C1−C6)アルキル、(C1−C8)アルキル、及び対応するアルキレン置換基は、線状、即ち、直鎖状、又は分枝鎖状であり、そして、それぞれ、1、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を有する炭化水素残基として解釈される。また、アルキル基が別の基上の置換基である場合、例えば
、アルコキシ基(Oアルキル)、S−アルキル、又は−O(C1−C6)アルキレン−O−、アルコキシカルボニル基、又はアリールアルキル基である場合も、このことが適用される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシルがあり、これらすべての基のn−異性体(n-isomer)、イソプロピル、イソブチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、sec−ブチル、tert−ブチル、又はtert−ペンチルがある。アルキル基は、特に指示のない限り、1回若しくはそれ以上ハロゲン置換されてもよく、換言すれば、アルキル基はフッ素化、換言すれば、ペルフルオロ化されてもよい。ハロゲン化アルキル基の例としては、CF3、及びCH2CF3、OCF3、SCF3、又は−O−(CF22−O−がある。
【0044】
アルケニルとしては、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(=アリル)、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、5−ヘキセニル、又は1,3−ペンタジエニルがある。
【0045】
アルキニルは、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(=プロパルギル)、又は2−ブチニルである。
【0046】
ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0047】
(C3−C8)シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロオクチルなどの、3、4、5、6、7又は8個の環炭素原子を有する環状アルキル基であり、それらは、また、置換されていてもよく、及び/又は例えばシクロペンテニル若しくはシクロヘキセニルなどの、1つ若しくは2つの二重結合を有していてもよく(不飽和シクロアルキル基)、任意の炭素原子を介して結合可能である。
【0048】
(C6−C10)アリール基は、芳香族環、又は縮合若しくは連結した2つの芳香族環を含む環系を意味し、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、α−又はβ−テトラロン−、インダニル−、又はインダン1−オン−イル基がある。好ましい(C6−C10)アリール基は、フェニルである。
【0049】
(C5−C10)ヘテロシクリル基は、炭素の他に、1個又はそれ以上のヘテロ原子、例えば1、2若しくは3個の窒素原子、1若しくは2個の酸素原子、1若しくは2個の硫黄原子、又は異なったヘテロ原子の組み合わせを含む、単環、又は二環系を意味する。ヘテロシクリル残基は、如何なる位置においても、例えば、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、又は8位で結合可能である。(C5−C10)ヘテロシクリル基は、(1)芳香族[=ヘテロアリール基]、又は(2)飽和、又は(3)芳香族/飽和の混合したものであってもよい。
【0050】
好適な(C5−C10)ヘテロシクリル基としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾモルホリニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、フラニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、クロマニル、クロメニル、クロメン−2−オンイル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラン、フリル、フラザニル、ホモモルホリニル、ホモピペラジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダジリル)、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プロリニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、チアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル及びキサンテニルが挙げられる。ピリジルは、2−、3−及び4−ピリジルを表す。チエニルは、2−及び3−チエニルを表す。フリルは、2−及び3−フリルを表す。また、これらの化合物の対応するN−オキシド、例えば、1−オキシ−2−、 3−、又は4−ピリジルも含まれる。
【0051】
(C5−C10)ヘテロシクリル残基における置換は、置換基のない炭素原子又は窒素原子上で可能である。
【0052】
(C5−C10)ヘテロシクリル残基の好ましい例としては、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、チエニル、ベンゾフリル、キノリニル、テトラゾリル、及びトリアゾリルがある。
【0053】
(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロシクリル基は、無置換、又はハロゲン、CF3、NO2、N3、CN、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)−(C1−C6)アリール、COOH、COO(C1−C6)アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)アルキル、CON[(C1−C6)アルキル]2、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−OH、(C1−C6)アルキレン−NH2、(C1−C6)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、O−(C1−C6)アルキル、O−C(O)−(C1−C6)アルキル、O−C(O)−(C6−C10)アリール、O−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、PO32、SO3H、SO2NH2、SO2NH(C1−C6)アルキル、SO2N[(C1−C6)アルキル]2、S−(C1−C6)アルキル;S(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、S(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO−(C1−C6)アルキル、SO(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、SO−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO2−(C1−C6)アルキル、SO2(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、SO2−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO2−NH(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、SO2−NH(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO2−N[(C1−C6)アルキル][(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール]、SO2−N[(C1−C6)アルキル][(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル]、SO2−N[(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール]2、SO2−N[(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル]2、C(NH)(NH2)、NH2、NH−(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)O−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−(C6−C10)アリール、NH−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−C(O)O−(C6−C10)アリール、NH−C(O)O−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、NHC(O)−NH−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C6−C10)アリール、NH−SO2−(C5−C10)ヘテロシクリル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−(C6−C10)アリール,N(C1−C6)アルキル−C(O)−ヘテロシクリル、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C6−C10)アリール、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C5−C10)ヘテロシクリル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル]、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、N(C1−C6)アルキルC(O)−NH−(C5−C10)ヘテロシクリル、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]2、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル](C6−C10)アリール、N[(C1−C6)アルキル]C(O)−N[(C1−C6)アルキル]−(C5−C10)ヘテロシクリル、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)N[(C6−C10)アリール]2、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C5−C10)ヘテロシクリル]2、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−(C1−C6)アルキル、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−(C1−C6)アルキル、N[(C6−C10)アリール]−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N(アリール)−C(O)−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]−C(O)O−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)O−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル、N(アリール)−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]2、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]C(O)−N[(C6−C10)アリール]2、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]C(O)N[(C6−C10)アリール]2、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、O−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、O−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリルから独立に選択される好適な基により、1回若しくはそれ以上置換され、ここで、(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロシクリルは、ハロゲン、OH、NO2、CN、O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル、NH2、NH(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、SO2CH3、COOH、C(O)O−(C1−C6)アルキル、CONH2、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−(C6−C10)アリール、O(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールにより1〜3回置換されてもよく;又は、ここで、(C6−C10)アリールは、O−(C1−C4)アルキレン−O基によりビシナルに置換され、これにより、酸素原子が結合している炭素原子と一緒になって、5〜8員環を形成してもよい。(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロシクリル基のアリール又はヘテロシクリル置換基は、更に、アリール又はヘテロシクリル含有基により置換されることはない。
【0054】
(C6−C10)アリール基に対する好ましい置換基としては、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、O−フェニル、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)OH、C(O)−(C1−C4)アルキル、ハロゲン、NO2、SO2NH2、CN、SO2−(C1−C4)アルキル、NH−SO2−(C1−C4)アルキル、NH2、NH−C(O)−(C1−C4)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキル−OH、C(O)N[(C1−C4)アルキル]2、C(O)NH2、N[(C1−C4)アルキル]2、(C1−C4)アルケニレン−(C6−C10)アリールがあり、ここで、(C6−C10)アリールは、更に、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル−(C6−C10)アリールにより置換され、又はO−(C1−C4)アルキレン−O基によりビシナルに置換され、それにより、酸素原子が結合している炭素原子と一緒になって、5〜8員環を形成してもよい。
【0055】
1置換フェニル基においては、置換基は、2位、3位、又は4位に位置することができ、3位及び4位が好ましい。フェニル基が2つの置換基を有する場合、それらは、2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、3,4−位、又は3,5−位に位置することが可能である。3個の置換基を有するフェニル基においては、置換基は、2,3,4−位、2,3,5−位、2,3,6−位、2,4,6−位、又は3,4,5−位に置換することが可能である。
【0056】
フェニル基に関する上記の内容は、フェニル基から誘導される二価の基、即ち、フェニレン基(これは、無置換又は置換された1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンであり得る)に同様に適用される。上記の内容は、また、アリールアルキレン基におけるアリールサブ基(subgroup)にも同様に適用される。無置換、又はアリールサブ基並びにアルキレンサブ基において置換可能なアリールアルキレン基の例としては、ベンジル、1−フェニルエチレン、2−フェニルエチレン、3−フェニルプロピレン、4−フェニルブチレン、1−メチル−3−フェニル−プロピレンがある。
【0057】
(C5−C10)ヘテロシクリル基に対する好ましい置換基は、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−フェニル、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C4)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−N[(C1−C4)アルキル]2、又は(C6−C10)アリールであり、ここで、(C6−C10)アリールは、更に、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル−(C6−C10)アリールで置換され、又は、O−(C1−C4)アルキレン−O基によりビシナルに置換され、それにより、酸素原子が結合している炭素原子と一緒になり、5〜8員環を形成してよい。
【0058】
(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロシクリル基の、一般的なそして好ましい置換基は、上記で記載した通りの、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、n、及びLの、一般的なそして好ましい定義と組み合わせてもよい。
【0059】
従って、本発明は、また、医薬として(又は薬剤として)使用するための、式(I)の化合物及び/又はそれらの生理学的に許容される塩及び/又はそれらのプロドラッグに関し、Rho−キナーゼ及び/又はミオシン軽鎖ホスファターゼのRho−キナーゼ仲介リン酸化に関連する疾患の治療及び/又は予防のための、言い換えれば、高血圧、言い換えれば、肺高血圧及び高眼圧、末梢循環障害、狭心症、脳血管攣縮、喘息、早産、血小板の凝集能亢進、末梢閉塞性動脈疾患(PAOD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がん発生、勃起障害、動脈硬化症、虚血性臓器不全(終末臓器損傷)、肺線維症、肝線維症、肝不全、腎線維症、腎糸球体硬化症、腎不全、臓器肥大、前立腺肥大、糖尿病の合併症、血管再狭窄、アテローム硬化症、がん、心臓肥大、心不全;虚血性疾患;炎症;自己免疫疾患;エイズ、骨粗鬆症のような骨障害、脳機能障害、細菌による消化管感染、敗血症、成人呼吸窮迫症候群、網膜症、緑内障及びアルツハイマー病の治療及び/又は予防用の医薬を製造するための、式(I)の化合物及び/又はそれらの生理学的に許容される塩及び/又はそれらのプロドラッグの使用に関する。
【0060】
本発明は、更に、式(I)の少なくとも1つの化合物及び/又はその生理学的に許容される塩及び/又はそのプロドラッグの有効量、及び薬学的に許容される担体、言い換えれば、1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体物質(又は媒体)及び/又は添加物(又は添加剤)を含有する、医薬製剤(又は医薬組成物)に関する。
【0061】
医薬は、例えば、丸剤、錠剤、ラッカー錠剤、コーティング錠剤、顆粒剤、硬及びゼラチン軟カプセル剤、液剤、シロップ剤、エマルジョン剤、懸濁剤又はエアゾール混合剤(aerosol mixtures)の形態で、経口投与することができる。しかしながら、投与は、例えば坐剤の形態で直腸的に、又は注射液剤若しくは注入液剤、マイクロカプセル剤、インプラント又はロッドの形態で、例えば静脈内、筋肉内又は皮下に非経口的に、又は例えば軟膏剤、液剤若しくはチンキ剤の形態で経皮的に若しくは局所的に、又は、例えば、エアゾール剤又は経鼻スプレー剤の形態での別の方法でも、実施することができる。
【0062】
本発明による医薬製剤は、当業者によく知られた、それ自体公知の方法で、式(I)の化合物(類)及び/又はその(それらの)薬学的に許容される塩及び/又はその(それらの)プロドラッグに加えて、薬学的に許容される不活性な無機及び/若しくは有機担体物質並びに/又は添加物を使用して調製される。丸剤、錠剤、コーティング錠剤及びゼラチン硬カプセル剤の製造用には、例えば、乳糖、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を使用することが可能である。ゼラチン軟カプセル及び坐薬用の担体物質としては、例えば、油脂、ワックス、半固体及び液体ポリオール、天然油又は硬化油等である。液剤、例えば、注射液剤の製造、又はエマルジョン剤若しくはシロップ剤の製造用に好適な担体物質としては、例えば、水、生理食塩水、アルコール、グリセリン、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコース、植物油等である。マイクロカプセル剤、インプラント又はロッド用に好適な担体物質としては、例えば、グリコール酸と乳酸の共重合体である。医薬製剤は、通常、約0.5から約90質量%の式(I)の化合物及び/又はそれらの生理学的に許容される塩及び/又はそれらのプロドラッグを含有する。通常、医薬製剤における式(I)の有効成分及び/又はその生理学的に許容される塩及び/又はそのプロドラッグの量は、約0.5から約1,000mg、好ましくは、約1から約500mgである。
【0063】
前記式(I)の有効成分及び/又はそれらの生理学的に許容される塩及び/又はプロドラッグ、及び担体物質に加えて、前記医薬製剤は、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味料、着色剤、着香料、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポ効果を達成するための物質、浸透圧を変えるための塩、被覆剤又は抗酸化剤のような1つ又はそれ以上の添加物を含有することができる。それらは、また、2つ又はそれ以上の式(I)の化合物、及び/又はそれらの生理学的に許容される塩及び/又はそれらのプロドラッグを含有することもできる。医薬製剤が2つ又はそれ以上の式(I)の化合物を含有する場合には、個々の化合物の選択は、前記医薬製剤の特定の全般的な薬理学的プロフィルを目標とすることができる。例えば、作用がより短いが極めて強力な化合物は、低活性の長期作用化合物と組み合わせてもよい。式(I)の化合物の置換基の選択について柔軟性があると、化合物の生物学的及び物理化学的性質の調節を非常に幅広くできるので、そのような所望の化合物を選択することが可能となる。その上更に、少なくとも1つの式(I)の化合物及び/又はその生理学的に許容される塩及び/又はそのプロドラッグに加えて、医薬製剤は、1つ又はそれ以上の治療的に又は予防的に有効な成分をも含有することができる。
【0064】
式(I)の化合物を使用する場合、用量は、医師にとって適例であり公知であるように、広範な範囲内で変動可能であり、それぞれ個々の症例において個体の状態に適するようにすべきである。それは、例えば、用いられる特定の化合物に応じて、治療しようとする疾患の性質及び重症度に応じて、投与の様式及び計画に応じて、又は急性もしくは慢性のいずれの状態が治療されるか、若しくは予防が行われるのかどうかに応じて決まる。適切な投与量は、医学分野においてよく知られた臨床的方法を使って確立することができる。一般的に、体重約75kgの成人において所望の結果を達成するための一日投与量は、約0.01から約100mg/kg、好ましくは約0.1から約50mg/kg、特に好ましくは約0.1から約10mg/kgである(各ケースにおいて、体重1kg当たりのmgである)。1日投与量は、特に比較的大量の投与の場合には、数回に、例えば2、3又は4分割の投与に分割することができる。通常、個々の具合に応じて、指示された1日投与量から上方又は下方に外れる必要があるかも知れない。
【0065】
更に、式(I)の化合物は、他の化合物、特に、薬学的に活性な他の成分の製造のための合成中間体として使用可能であり、それは、式(I)の化合物から、例えば、置換基の導入又は官能基の修飾により、入手可能である。
【0066】
式(I)の化合物は、以下の例示化合物に従って、特許請求の範囲を限定することなしに製造することができる。
【0067】
一般的に、カップリング反応で得られた生成物中になお存在するかも知れない保護基は、次いで標準の手順により除去される。例えば、tert−ブチル保護基は、特に、アミジノ基の保護形態であるtert−ブトキシカルボニル基は、トリフルオロ酢酸で処理して脱保護され、即ち、アミジノ基へ転換することができる。既に説明した様に、カップリング反応の後、官能基を好適な前駆体基から生成させることもまた可能である。加えて、式(I)の化合物の生理学的に許容される塩又はプロドラッグへの転換は、公知の方法により実施することができる。
【0068】
一般的に、式(I)の最終化合物、又は中間体を含む反応混合物は後処理され、所望により、生成物は、次いで、当業者に公知の通常の方法により精製される。例えば、合成化合物は、結晶化、クロマトグラフィー、又は逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、又は例えば、化合物のサイズ、電荷、若しくは疎水性に基づくその他の分離方法など、良く知られた方法を用いて精製することができる。同様に、アミノ酸配列分析、NMR、IR、及び質量分析(MS)などのよく知られた方法は、本発明の化合物を特徴付けるのに使用することができる。
【実施例】
【0069】
本発明の種々の実施態様の活性に実質的に影響を与えない修飾が、本明細書で開示された本発明の範囲内に包含されることは当然である。それ故、以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0070】
LCMS法
方法#1
カラム:YMC J'shere:33×2:4μm;
グラジェント(AcN+0.05%TFA):H2O+0.05%TFA;5:95(0min)〜95:5(2.5min)〜95:5(3min)。
方法#2
カラム:YMC J'shere:33×2:4μm;
グラジェント(AcN+0.05%TFA):H2O+0.05%TFA;5:95(0min)〜95:5(3.4min)〜95:5(4.4min)。
方法#3
カラム:YMC J'shere:33×2:4μm;
グラジェント(AcN+0.08%FA):H2O+0.1%FA;5:95(0min)〜95:5(2.5min)〜95:5(3min)。
方法#トップ
カラム:YMC YMC J'sphere ODS H80:20×2:14μ;
グラジェント;0min;96%H2O(0.05%TFA)2.0min−95%ACN;95%ACN:2.4minまで;4%ACN:2.45min。
【0071】
ビルディングブロックの合成
7−ブロモ−イソキノリン−6−オール(1)
【化15】

3−ブロモ−4−メトキシベンズアルデヒド(25g、116.3mmol)、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(19.0mL、18.3g、174.5mmol)及びトルエン(250mL)を、Dean-Stark装置を用いて、6時間還流下で加熱した。溶媒及び過剰な試薬を蒸留で除去し、粗生成物(約37g)を、更に精製せずに次の工程で用いた。
【0072】
上記イミンをTHF(240mL)に溶解した。クロロギ酸エチル(11.1mL、12.6g、116.3mmol)を、0℃で、滴下しながら加えた。5分間撹拌した後、亜リン酸トリエチル(24.3mL、23.2g、139.2mmol)を、滴下しながら加えた。混合物を18時間、室温で撹拌した。次いで、溶媒を蒸留で除去した。過剰の試薬を、トルエン(100ml)を繰り返し加え、そして溶媒を蒸発させて除去した。P,N−アセタール(約62g)を更に精製せず、次の工程に用いた。
【0073】
上記P,N−アセタール、四塩化チタン(51.3mL、88.2g、465.2mmol)、及びクロロホルム(300mL)を、還流下で48時間加熱した。混合物を氷上に注ぎ、アンモニア水を用いて、pHを9に調整した。酢酸エチルによる抽出を繰り返し、次いで、溶媒を除去し、7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン(14.8g、53%)を得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=9.16(1H,s),8.46(1H,d,J=5.9Hz),8.46(1H,s),7.76(1H,d,J=5.9Hz),7.51(1H,s),4.01(3H,s)。
MS:m/z=238(MH+)。
【0074】
BBr3(3.6mL、9.5g、37.8mmol)を、7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン(4.5g、18.9mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液に0℃で加え、そして18時間室温で撹拌した。NaHCO3の水溶液を加えてpH8に調整した。クロロホルム/イソプロパノール(3/1)で抽出し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を除去し、化合物1(2.7g、64%)を得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=9.19(1H,s),8.49(1H,s),8.38(1H,d,J=6.1Hz),7.78(1H,d,J=6.1Hz),7.34(1H,s)。
MS:m/z=224(MH+)。
以下の中間体は、この手順を用いて合成した。
【0075】
8−フルオロ−イソキノリン−6−オール(2)
【化16】

1H−NMR(d6−DMSO):δ=10.84(1H,s),9.21(1H,s),8.40(1H,d,J=5.8Hz),7.67(1H,d,J=5.8Hz),7.01(2H,m)。
MS:m/z=164(MH+)。
【0076】
7−フルオロ−イソキノリン−6−オール(3)
【化17】

1H−NMR(d6−DMSO):δ=11.06(1H,s),9.07(1H,s),8.33(1H,d,J=5.6Hz),7.88(1H,d,J=11.4Hz),7.64(1H,d,J=5.6Hz),7.31(1H,d,J=8.6Hz)。
MS:m/z=164(MH+)。
【0077】
8−メチル−イソキノリン−6−オール(4)
【化18】

1H−NMR(d6−DMSO):δ=11.55(1H,s),9.47(1H,s),8.42(1H,d,J=6.5Hz),8.11(1H,d,J=6.5Hz),7.31(1H,s),7.25(1H,s),2.76(3H,s)。
MS:m/z=160(MH+)。
【0078】
7,8−ジメチル−イソキノリン−6−オール(5)
【化19】

1H−NMR(d6−DMSO):δ=11.87(1H,s),9.58(1H,s),8.41(1H,d,J=6.5Hz),8.18(1H,d,J=6.5Hz),7.35(1H,s),7.25(1H,s),2.71(3H,s),2.35(3H,s)。
MS:m/z=174(MH+)。
【0079】
5,8−ジメチル−イソキノリン−6−オール(6)
【化20】

1H−NMR(d6−DMSO):δ=11.55(1H,s),9.52(1H,s),8.47(1H,d,J=6.8Hz),8.26(1H,d,J=6.8Hz),7.42(1H,s),2.76(3H,s),2.42(3H,s)。
MS:m/z=174(MH+)。
【0080】
6−ヒドロキシ−イソキノリン(7)
【化21】

LCMS:方法#1:保持時間:0.14min;検出質量:146.08[M+H]+
【0081】
5−クロロイソキノリン−6−オール(8)
【化22】

スルフリルクロリド(0.61mL、1.02g、7.6mmol)を、化合物7(1.0g、6.9mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液に加えた。3滴のジエチルエーテルを加え、そして、反応液を室温で5時間撹拌した。溶媒を蒸留して除去し、残留物をNaHCO3水溶液で処理した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥し、化合物8(1.1g、89%)を緑黄色の固体として得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=11.37(1H,s),9.18(1H,s),8.50(1H,d,J=6Hz),8.00(1H,d,J=8.8Hz),7.83(1H,J=6Hz),7.44(1H,d,J=8.7Hz)。
MS:m/z=180(MH+)。
【0082】
5−ブロモイソキノリン−6−オール(9)
【化23】

臭素(7.9mL、19.18g、120mmol)を、化合物7(17.42g、120mmol)のクロロホルム(250mL)中の懸濁液に、室温で滴下しながら加えた。2時間撹拌した後、酢酸エチルを加えた。沈殿物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、そして乾燥した。NaHCO3水溶液を注意深く加えた。沈殿物を濾過し、NaHCO3溶液で、濾液のpHが8になるまで洗浄した。乾燥して、化合物9(23.78g、88%)をオフホワイト色の固体として得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=11.30(1H,s),9.13(1H,s),8.48(1H,d,J=5.9Hz),8.02(1H,d,J=8.8Hz),7.78(1H,J=5.9Hz),7.40(1H,d,J=8.8Hz)。
MS:m/z=224(MH+)。
【0083】
5−ヨードイソキノリン−6−オール(10)
【化24】

アルゴン雰囲気下、化合物7(1.77g、12.2mmol)を、ビス(ピリジン)ヨードニウム・テトラフルオロボラート(5.0g、13.5mmol)の無水ジクロロメタン(100mL)溶液に加えた。トリフルオロメタンスルホン酸(2.4mL、4g、26.8mmol)の無水ジクロロメタン(20mL)溶液を、0℃で滴下しながら加え、そして混合物を3時間室温で撹拌した。溶媒を蒸留で除去し、残留物をNaHCO3水溶液で処理した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥し、化合物10(3.2g、97%)をベージュ色の固体として得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=9.09(1H,s),8.47(1H,d,J=6.1Hz),8.04(1H,d,J=8.8Hz),7.76(1H,J=6.1Hz),7.37(1H,d,J=8.8Hz)。
MS:m/z=272(MH+)。
【0084】
4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)
【化25】

アゾジカルボン酸ジエチル(3.75mL、4.15g、23.8mmol)を、ジクロロメタン(250mL)中のポリマー担持トリフェニルホスフィン(PS−PPh3、約1.6mmol/g、Argonaut)(12.7g、19.9mmol)に0℃で加え、そして、15分間撹拌した。5−ブロモイソキノリン−6−オール(9)(4.45g、19.9mmol)、Boc−(4−ヒドロキシ)ピペリジン(4.0g、19.9mmol)、及びトリエチルアミン(4.1mL、3.0g、29.8mmol)を加えた。混合物を16時間振盪した。ポリマーを、Celiteを通した濾過で除去し、そして、溶媒を蒸留で除去した。ジクロロメタン(20mL)を加え、沈殿物を濾過により単離した。粗生成物(8g)を、溶離液として、酢酸エチル/n−ヘプタンを用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物11(4.78g、60%)を得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=9.24(1H,s),8.97(1H,s),8.56(1H,d,J=6Hz),8.20(1H,d,J=9Hz),7.85(1H,d,J=6Hz),7.75(1H,d,J=9Hz),5.02(1H,m),3.58(2H,m),3.40(2H,m),1.91(2H,m),1.70(2H,m),1.41(9H,s)。
MS:m/z=407(MH+)。
以下のビルディングブロックをこの方法に従って合成した。
【0085】
4−(5−ヨード−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(12)
【化26】

出発物質として化合物10を用いた。
1H−NMR(CDCl3):δ=9.04(1H,s),8.55(1H,d,J=6Hz),7.93(1H,d,J=9Hz),7.86(1H,d,J=6Hz),7.27(1H,d,J=9Hz),4.87(1H,m),3.66(4H,m),1.93(4H,m),1.48(9H,s)。
MS:m/z=455(MH+)。
【0086】
4−(7−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(13)
【化27】

出発物質として化合物1を用いた。
LCMS:方法#4:保持時間:1.13min;検出質量:407.4[M+H]+
【0087】
4−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−イソキノリン−6−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14)
【化28】

4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(0.55g、1.34mmol)のDMSO(14mL)溶液を、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.0g、4.0mmol)、K2CO3(0.78g、8.0mmol)及びPd(dppf)Cl2(29mg、0.03当量)の混合物に加えた。アルゴンを混合物中に30分間吹き込み、次いで、反応混合物をマイクロ波反応器内(CEM Discovery)で、100℃で60分間加熱した。室温に冷却した後、水を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去した後、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン)で単離し、化合物14(269mg、44%)を白色固体として得た。
LCMS:方法#4:保持時間:1.30min;検出質量:433.3[M+H]+
【0088】
4−(5−シアノ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(15)
【化29】

アルゴン雰囲気下で、Zn(CN)2(47mg、0.4mmol)、及びPd(PPh34(23mg、0.02当量)を、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(62mg、0.4mmol)のDMF溶液に加えた。反応液をマイクロ波反応器内(CEM、Discovery)で、150℃で5分間加熱した。室温に冷却した後、水及び酢酸エチルを加えた。混合物を、Celiteを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濃縮して、化合物15(176mg)を得た。
MS:m/z=354(MH+)。
【0089】
4−(7−シアノ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(16)
【化30】

アルゴン雰囲気下で、Zn(CN)2(35mg,0.3mmol)及びPd(PPh34(17mg、0.05当量)を、4−(7−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(13)(122mg、0.3mmol)のDMF溶液に加えた。反応液をマイクロ波反応器内(CEM Discovery)で、150℃で5分間加熱した。室温に冷却した後、水及び酢酸エチルを加えた。混合物を、Celiteを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濃縮した。粗生成物を分取型HPLCで精製し、化合物16(77mg)を得た。
LCMS:方法#4:保持時間:1.06min;検出質量:354.5[M+H]+
【0090】
4−(5−アジド−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸te
rt−ブチルエステル(17)
【化31】

アルゴン雰囲気下、1NのNaOH(40μL、0.04mmol)、L−プロリン(4.6mg、0.04mmol)、CuI(3.8mg、0.02mmol)、及びNaN3(15.6mg、0.24mmol)を、4−(5−ヨード−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(12)(91mg、0.2mmol)のDMSO(2mL)溶液に加えた。混合物を60℃で18時間加熱した。NaN3、NaOH及びL−プロリンを、再度同じ量加え、そして反応液を60℃で5時間加熱した。室温に冷却した後、水を加えた。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥し、化合物17(74mg)を得、それを更に精製せずに用いた。
MS:m/z=370(MH+)。
【0091】
4−(5−アミノ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(18)
【化32】

アルゴン雰囲気下、1NのNaOH(600μL、0.6mmol)、L−プロリン(13.8mg、0.12mmol)、CuI(7.6mg、0.04mmol)、及びNaN3(52mg、0.8mmol)を、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(163mg、0.4mmol)の水(0.6mL)溶液に加えた。混合物をマイクロ波反応器内(CEM Discovery)で、95℃で3時間加熱した。室温に冷却した後、水及び酢酸エチルを加えた。沈殿物を、Celiteを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濃縮した。粗生成物を分取型HPLCで精製し、化合物18(不純物として、幾分かの化合物11を含む)(42mg)を得た。
LCMS:方法#4:保持時間:0.97min;検出質量:344.5[M+H]+
【0092】
4−(7−ビニル−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(19)
【化33】

アルゴン雰囲気下、トリブチルビニル−スタンナン(340mg、1.07mmol、1.2当量)、及びPd(PPh34(103mg、0.1当量)を、4−(7−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(13)(364mg、0.98mmol)のトルエン(4mL)溶液に加えた。反応液をマイクロ波反応器内(CEM Discovery)で、100℃で1時間加熱した。
室温まで冷却した後、水及び酢酸エチルを加えた。混合物をCeliteカートリッジを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濃縮した。粗生成物を分取型HPLCで精製し、化合物19(256mg,81%)を得た。
LCMS:方法#4:保持時間:1.19min;検出質量:355.5[M+H]+
以下のビルディングブロックを、この方法に従って合成した。
【0093】
4−(5−ビニル−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(19A)
【化34】

出発物質として化合物11を用いた。
LCMS:方法#4:保持時間:1.11min;検出質量:355.4[M+H]+
【0094】
4−(7−チオフェン−2−イル−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(20)
【化35】

化合物13及びトリブチル−チオフェン−2−イル−スタンナンを出発物質として用いた。
LCMS:方法#4:保持時間:1.26min;検出質量:411.5[M+H]+
【0095】
(2,2−ジメトキシ−エチル)−(4−フルオロ−ベンジル)−アミン(21)
【化36】

4−フルオロベンズアルデヒド(12.4g)をトルエン(100mL)に溶解し、そして2−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(10.5g)及びp−トルエンスルホン酸・一水和物(1.90g、10mmol)を用いて、2時間、Dean Stark装置で反応させた。溶液を冷却するにまかせ、飽和重炭酸ナトリウム、水及びブラインで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発乾固した。粗生成物をエタノール(100mL)に溶解した。ナトリウムボロヒドリド(1.89g)を小分けして加えた。撹拌を終夜継続した。後処理のため、酢酸を、ガスの発生が止むまで加えた。次いで、溶液を蒸発乾固させ、ジクロロメタンに溶解し、2回水で洗浄した。有機層をブラインで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物(20g)を、精製することなく次の反応に用いた。
t=0.86min(方法#1);検出質量:182.1(M−OMe-)、214.2(M+H+)。
【0096】
N−(2,2−ジメトキシ−エチル)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド(22)
【化37】

(2,2−ジメトキシ−エチル)−(4−フルオロ−ベンジル)−アミン(21)(20g)を、ジクロロメタン(120ml)に溶解した。ピリジン(20mL)を加えた。0℃で、p−トルエンスルホン酸クロリド(23.8g)のジクロロメタン溶液を滴下しながら加えた。反応液を室温まで温め、転換反応が完結するまで撹拌を続けた。後処理のため、反応混合物を、2Mの塩酸で2回、重炭酸ナトリウムで2回、そしてブラインで1回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固し、そして得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物22(22.95g)をオレンジ色の油状物質として得た。
t=1.71min(方法#4);検出質量:336.1(M−OMe-)。
【0097】
6−フルオロ−イソキノリン(23)
【化38】

AlCl3(41.6g)を、ジクロロメタン(400mL)中に懸濁した。室温で、N−(2,2−ジメトキシ−エチル)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド(22)(22.95g)のジクロロメタン(150ml)溶液を加えた。撹拌を室温で終夜継続し、溶液を氷上に注ぎ、有機層を分離し、水層を2回ジクロロメタンで抽出し、そして合わせた有機層をその後、2回重炭酸ナトリウムで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固し、そして得られた粗生成物(8.75g)をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物23(2.74g)を得た。
t=0.30min(方法#4)、検出質量:148.1(M+H+)。
【0098】
4−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(24)
【化39】

6−フルオロ−イソキノリン(23)(1.5g)のスルフリルクロリド(4.5ml)溶液を、マイクロ波反応器(CEM Discovery)内で、60℃で8時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を氷上に注ぎ、CHCl3で3回抽出した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を蒸発させて除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物24(930mg)を得た。
LCMS:方法#1:保持時間:1.37min;検出質量:182.01[M+H]+
【0099】
シス及びトランスの、N−Boc−2−メチル−ピペリジン−4−オール(25及び26)
【化40】

NaBH4(213 mg、5.6mmol)を、1−Boc−2−メチル−ピペリジン−4−オン(1.0g、4.7mmol)のEtOH(10mL)溶液に、0℃で少量ずつ加えた。混合物を室温で更に2時間撹拌した。溶媒を蒸留して除去し、そして残留物を水及び酢酸エチルに溶解した。水層を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥した。濾過した後、溶媒を蒸留して除去し、粗生成物を、n−ヘプタン/酢酸エチル(1/1)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、シス異性体(25)(367mg、36%)、及びトランス異性体(26)(205mg、20%)に加えて、両異性体の混合物(97mg、10%)を得た。
シス異性体(25):
1H−NMR(CDCl3):δ=4.28(1H,m),4.17(1H,m),3.82(1H,m),3.26(1H,m),1.85(1H,ddd,J=14.7,6.6,及び3.4Hz),1.77(1H,m),1.66(2H,m),1.33(3H,d,J=7.1Hz)。
トランス異性体(26):
1H−NMR(CDCl3):δ=4.50(1H,m),4.04(1H,m),3.95(1H,m),2.87(1H,dt,J= 2.9及び13.6Hz),1.93(1H,m),1.83(1H,m),1.53(1H,m),1.32(1H,m),1.14(3H,d,J=7.1Hz)。
【0100】
フェニル−[6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−5−イル]−アミン(27)
【化41】

アルゴン雰囲気下で、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(81mg、0.2mmol)及びアニリン(24mg、0.26mmol)を、NaOtBu(27mg、0.28mmol)のトルエン(3mL)溶液に加えた。室温で10分撹拌した後、Pd2dba3(9mg、0.05当量)を加え、混合物を、マイクロ波反応器内(CEM Discovery)内で、100℃で1時間加熱した。室温まで冷却した後、水及び酢酸エチルを加えた。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。HPLCの精製により、Boc保護の中間体を得、それをイソプロパノール中、5〜6NのHCl(2mL)で2時間処理した。塩酸塩を濾過し、別のHPLCクロマトグラフィーで精製し、化合物27をトリフルオロ酢酸塩(31.3 mg)として得た。
LCMS:方法#2:保持時間:0.78min;検出質量:320.26[M+H]+
【0101】
5−メチル−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(28)
【化42】

アルゴン雰囲気下で、トルエン中のジメチル亜鉛の2M溶液(0.5mL、93.7mg、4当量)を、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(100mg、0.24mmol)、及び(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド(10mg、0.056当量:Pd(dppf)Cl2) のジオキサン(3mL)溶液に加えた。混合物を100℃、5時間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させて除去し、残留物を分取型HPLCで精製し、Boc−保護の中間体を得、それを、イソプロパノール中の5〜6NのHClで、2時間室温で処理した。溶媒を除去し、化合物28(13.7mg、18%)を得た。
LCMS:方法#1:保持時間:0.67min;検出質量:243.24[M+H]+
【0102】
5−ベンジル−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン(29)
【化43】

水(0.3mL)を、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(81mg、0.2mmol)、Cs2CO3(195mg、0.6mmol)、Pd(dppf)Cl2(14.6mg、0.02mmol)、及びカリウムベンジルトリフルオロボラート(51mg、0.26mmol)のTHF(3mL)溶液に加えた。アルゴンを、10分間混合物中に泡立たせ、次いで反応液を還流下で16時間加熱した(転換が不完全であった)。室温まで冷却した後、水、酢酸エチルを加えた。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去した後、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)を加えた。2時間後、溶媒を蒸留して除去し、残留物を分取型HPLCで2回精製し、化合物29(3.5mg)をトリフルオロ酢酸塩として得た。
LCMS:方法#3:保持時間:0.56min;検出質量:319.23[M+H]+
【0103】
6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−5−カルボン酸エチル エステル(30)
【化44】

4−(5−ヨード−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(12)(200mg、0.44mmol)、DMAP(107mg、0.88mmol)、Pd/炭(10%)(4.7mg、0.1当量)、トリエチルアミン(150μL、0.88mmol)、及びMo(CO)6(58mg、0.22mmol)のエタノール(3mL)溶液を、マイクロ波反応器(CEM Discovery)内で、135℃で1時間加熱した。次いで、水、酢酸エチルを加え、混合物をCeliteカートリッジを通して濾過した。溶媒を除去した後、残留物を分取型HPLCで精製し、Boc−保護中間体(7.4mg)を得た。Boc−保護基を除くため、中間体を室温で2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)で処理した。分取型HPLCで精製し、化合物30(2.5mg)を、TFA塩として得た。
LCMS:方法#3:保持時間:0.14min;検出質量:301.29[M+H]+
【0104】
6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−5−イルアミン(31)
【化45】

1NのNaOH溶液(60μL)、L−プロリン(6.9mg、0.3当量)、CuI(3.8mg、0.1当量)、及びNaN3(26mg、0.4mmol)を、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(82mg、0.2mmol)のエタノール/水(7/3)(2mL)溶液に加えた。混合物をマイクロ波反応器(CEM Discovery)内で、95℃で3時間加熱した。冷却した後、水及び酢酸エチルを加え、その混合物をCeliteカートリッジを通して濾過した。溶媒を蒸留して除去した後、残留物を分取型HPLCで精製した。Boc−保護中間体を、室温で2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)で処理して、保護基を脱離した。次いで、水を加え、そして、全ての溶媒を凍結乾燥して除去し、化合物31(18mg)を塩酸塩として得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=9.60(1H,s),8.95(2H,brs),8.56(1H,d,J=7.1Hz),8.41(1H,d,J=7.1Hz),7.85(1H,d,J=9.0Hz),7.81(1H,d,J=9.0Hz),5.03(1H,m),3.13(1H,m),2.92(1H,m),2.15(2H,m),1.99(2H,m),1.84(1H,m),1.55(1H,m)。
LCMS:方法#1、保持時間:0.35min、検出質量:244.25[M+H]+
【0105】
6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−イソキノリン(32)
【化46】

アルゴン雰囲気下で、NaN3(78mg、1.2mmol)及びNH4Cl(64mg、1.2mmol)を、4−(5−シアノ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(15)(35mg、0.1mmol)のDMF(1mL)溶液に加えた。混合物を、マイクロ波反応器内(CEM Discovery)で、約160℃、7バール気圧下で3時間加熱した。室温に冷却した後、NH4Cl水溶液及びジクロロメタンを加えた。混合物を相分離カートリッジを通して濾過し、水層を2回ジクロロメタンで洗浄した。有機層を集め、溶媒を蒸留で除去した。残留物を分取型HPLCで精製し、化合物32(4mg、8%)をトリフルオロ酢酸塩として得た。
LCMS:方法#3:保持時間:0.90min;検出質量:297.04[M+H]+
【0106】
5−(4−メトキシメチル−[1,2,3]トリアゾール−1−イル)−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン(33)
【化47】

アスコルビン酸ナトリウム(4mg、0.1当量)及び硫酸銅(II)・水和物(0.5mg、0.01当量)を、4−(5−アジド−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(17)(73mg、0.2mmol)及びメチルプロパルギルエーテル(14mg、0.2mmol)の水/tert−ブタノール(1/1)(4ml)溶液に加えた。混合物を、室温で18時間撹拌した。次いで、酢酸エチルを加え、混合物をCeliteカートリッジを通して濾過した。溶媒を除去した後、残留物を分取型HPLCに付した。Boc−保護中間体を、室温で2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)で処理して、保護基を脱離した。次いで、溶媒を蒸発させ、生成物を分取型HPLCで単離し、化合物33(2.8mg)を、TFA塩として得た。
LCMS:方法#3:保持時間:0.08min;検出質量:340.17[M+H]+
【0107】
5−(4−フェニル−[1,2,3]トリアゾール−1−イル)−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン(34)
【化48】

化合物33で記載した手順に従い、標題の化合物を、フェニルアセチレン(20mg、0.2mmol)を用いて得た。収量:化合物34:トリフルオロ酢酸塩として(2.5mg)。
LCMS:方法#3、保持時間:0.14min、検出質量:372.2[M+H]+
【0108】
7−エチル−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩 (35)
【化49】

パラジウム/炭(5%)(1mg、0.02当量)を、4−(7−ビニル−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(19)(174mg、0.49 mmol、1当量)のメタノール(15mL)溶液に加えた。オレフィンを5バールの水素圧下、周囲温度で終夜、水素化した。部分的な転換が確認されたのみなので、触媒を濾過して除去し、新鮮な触媒を加えた。同一水素化条件下での別の処理により反応を完結させた。次いで、触媒を濾過して除去し、粗生成物を分取型HPLCで精製し、Boc−保護中間体(97mg)を得た。保護基を、室温で2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHClの処理で、脱離した。溶媒を蒸留して除去し、水及びアセトニトリルを加えた。混合物を凍結乾燥し、化合物35(53mg)を得た。
LCMS:方法#1:保持時間:0.71min;検出質量:257.18[M+H]+
以下の実施例化合物を、この方法に従って合成した。
【0109】
5−エチル−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・トリフルオロ酢酸塩(36)
【化50】

出発物質として、化合物19Aを用いた。
LCMS:方法#2:保持時間:0.17min;検出質量:257.21[M+H]+
【0110】
フェニル−[6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−5−イル]−メタノール・塩酸塩(37)
【化51】

−78℃において、n−ブチルリチウム(0.6mL、0.98mmol、1.6M/ヘキサン)を、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(200mg、0.49mmol、1当量)のTHF(3mL)溶液に加えた。30分後、ベンズアルデヒド(110μL、115mg、1.08mmol)を加え、そして、混合物を常温まで温めた。2時間室温で撹拌した後、水及び酢酸エチルを加えた。層を分離し、有機層を水及びブラインで洗浄した。Na2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させた後、残留物を分取型HPLCに付し、Boc−保護中間体を得た。イソプロパノール中に中間体を溶解し、そして、イソプロパノール中の5〜6NのHClを加えて、Boc基を脱離させた。沈殿した塩酸塩を濾過して単離し、化合物37(5.2mg、3%)を得た。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=9.43(1H,s),8.50(1H,brs),8.40(1H,brs),8.30(3H,m),7.87(1H,d,J=9.2Hz),7.33(2H,d,J=7.4Hz),7.28(2H,t,J=7.4Hz),7.19(1H,t,J=7.4Hz),6.74(1H,s),6.34(1H,s),5.10(1H,m),3.25(2H,m),3.15(2H,m),2.19(2H,m),1.93(2H,m)。
LCMS:方法#1:保持時間:0.80min;検出質量:335.22[M+H]+
以下の実施例化合物を、この方法に従って合成した。
【0111】
1−[6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−5−イル]−エタノール・塩酸塩(38)
【化52】

LCMS:方法#1:保持時間:0.55min;検出質量:273.2[M+H]+
【0112】
2,2,2−トリフルオロ−N−[6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド・トリフルオロ酢酸塩(39)
【化53】

炭酸カリウム(62.8mg、0.46mmol、4当量)及びメタンスルホニルクロリド(10.7μL、0.13mmol、1.2当量)を、4−(5−アミノ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(18)(39mg、10.11mmol)(幾分かの化合物11が含まれている)のDMF(3mL)溶液に加えた。反応液を4時間室温で撹拌した。次いで、水及び酢酸エチルを加えた。混合物をCeliteを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濃縮して1つの生成物を得た。N−保護中間体を、室温で2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)で処理して脱保護した。溶媒を蒸発させ、そして、生成物を分取型HPLCで単離し、化合物39(18.5mg)を得た。
LCMS:方法#1:保持時間:0.39min;検出した質量:340.15[M+H]+
【0113】
N−[6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド・トリフルオロ酢酸塩(40)
【化54】

アルゴン雰囲気下で、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(81.5mg、0.2mmol)及びアセトアミド(14.2mg、0.24mmol、1.2当量)を、NaOtBu(27mg、0.28mmol、1.4当量)のトルエン(3mL)溶液に加えた。室温で、10分間撹拌した後、Pd2(dba)3(9.1mg、0.01mmol、0.05当量)及び2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル(11.9mg、0.04mmol、0.2当量)を加えた。反応液をマイクロ波反応器内(CEM Discovery)内で、120℃で2時間加熱した。次いで、水、酢酸エチルを加えた。混合物をCeliteを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濃縮した。残留物を分取型HPLCで、2回付し、N−Boc保護中間体を得た。N−Boc保護中間体を、室温で、2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)で処理して脱保護した。溶媒を蒸発させ、そして生成物を分取型HPLCで単離し、化合物40(2.5mg)を得た。
LCMS:方法#3、保持時間:0.15min、検出質量:286.15[M+H]+
【0114】
ビルディングブロックのBoc−脱保護の一般的手順
対応するN−Boc−保護化合物を、室温で2時間、イソプロパノールの5〜6NのHClで処理した。沈殿した塩酸塩を濾過して単離し、乾燥した。必要に応じて、分取型HPLCにより、更に精製を行った。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)とのSuzuki−カップリング反応の一般的手順
Na2CO3水溶液(0.2ml、0.4mmol、2当量、2M)を、4−(5−ブロモ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11)(81mg、0.2mmol、1当量)及び対応するボロン酸(試薬2)(1.5当量、0.3mmol)のDME(3mL)溶液に加えた。アルゴンを反応混合物中に10分間泡立たせた。次いで、Pd(PPh34(23mg、0.1当量)を加え、そして反応液をアルゴン雰囲気下、95℃で終夜撹拌した。冷却した後、水(2mL)及び酢酸エチル(10mL)を加えた。有機層を分離し、乾燥し、そして溶媒を蒸留して除去した。残留物を分取型HPLCで付した。
【0118】
中間体をイソプロパノールに溶解し、イソプロパノール中の5〜6NのHClを加えて、Boc基を脱離した。沈殿物を濾過して単離した。いくつかの反応においては、塩酸塩が沈殿せず、又は沈殿物の純度が不十分であった。これらの場合、溶媒を蒸留して除去し、残留物を分取型HPLCで精製した。
以下の実施例化合物を、この方法を用いて合成した。
【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
【表6】

【0123】
【表7】

【0124】
【表8】

【0125】
【表9】

【0126】
【表10】

【0127】
【表11】

【0128】
【表12】

【0129】
【表13】

【0130】
【表14】

【0131】
【表15】

【0132】
【表16】

【0133】
【表17】

【0134】
【表18】

【0135】
5位及び7位における変形に対するSuzukiカップリングの手順
塩基を、試薬1(一般的には0.2mmol)及び試薬2のDME溶液に加えた。アルゴンを反応混合物中に10分間泡立たせた。次いで、触媒を加え、反応液をアルゴン雰囲気下、還流温度で終夜撹拌した。冷却後、水(2mL)及び酢酸エチル(10mL)を加えた。混合物をCeliteカートリッジを通して濾過した。溶媒を蒸留して除去し、残留物を分取型HPLCで精製した。単離した中間体を、室温で2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)で処理して脱保護した。溶媒を蒸留して除去し、沈殿物を濾過して単離した。いくつかの反応においては、塩酸塩が沈殿せず、又は沈殿物の純度が不十分であった。これらの場合、溶媒を蒸発させて除去し、残留物を分取型HPLCで精製した。
以下の実施例化合物を、この方法を用いて製造した。
【0136】
【表19】

【0137】
【表20】

【0138】
5−イソプロペニル−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン(83)
【化55】

2CO3(85mg、0.62mmol)及び4−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−イソキノリン−6−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14)(70mg、0.15mmol)を、2−ブロモ−プロペン(22mg、0.18mmol)のDMF(2mL)溶液に加えた。アルゴン雰囲気下で、Pd(dppf)Cl2(5.6mg、0.05当量)を加え、混合物を、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、水及びジクロロメタンを加えた。混合物をCeliteカートリッジを通して濾過した。溶媒を蒸留して除去し、残留物を分取型HPLCで付した。単離した中間体を、室温で2時間、イソプロパノール中の5〜6NのHCl(2mL)で処理して脱保護した。溶媒を蒸留して除去し、化合物83を分取型HPLCで単離し、トリフルオロ酢酸塩(3.2mg)として得た。
LCMS:方法#3:保持時間:0.15min;検出質量:269.15[M+H]+
この方法を用いて、以下の実施例化合物を製造した。
【0139】
【表21】

【0140】
【表22】

【0141】
6−メトキシ−4−(4,4,4−トリフルオロ−ブチル)−イソキノリン(87)
【化56】

6−メトキシ−イソキノリン(2g)を、無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶解した。カリウムトリエチルボロヒドリド(borohydrate)の1M溶液(12.56mL)を、滴下しながら加えた。溶液を室温で2時間撹拌し、次いで、4,4,4−トリフルオロ−1−ヨードブタン(3.29g)を滴下しながら加えた。溶液を終夜撹拌するにまかせ、次いで1Mの水酸化ナトリウム溶液(32mL)及び過酸化ナトリウム溶液(35%)(12mL)を加えた。撹拌を更に3時間継続し、次いで溶液をジクロロメタンで希釈し、水、ブラインで抽出し、そして有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固した。シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物(1.03g)を得た。
LCMS:方法#1:保持時間:1.20min;検出質量:270.06[M+H]+
【0142】
6−ヒドロキシ−4−(4,4,4−トリフルオロ−ブチル)−イソキノリン(88)
【化57】

6−メトキシ−4−(4,4,4−トリフルオロ−ブチル)−イソキノリン(87)(1.02g)を、化合物1の合成で記載した通り、ボロントリブロミドで処理し、所望の生成物88(410mg)を得た。
LCMS:方法#1:保持時間:1.04min;検出質量:256.00[M+H]+
【0143】
4−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブチル)−イソキノリン−6−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(89)
【化58】

化合物88(100mg)、Boc−(4−ヒドロキシ)ピペリジン(118mg)、及びジフェニル−[4−(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル)フェニル]ホスフィン(416mg)を、無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解した。アゾジカルボン酸ビス(1H,2H,2H,3H,3H−ペルフルオロノニル)(208mg)を加え、そして、反応液を終夜撹拌した。混合物を蒸発乾固し、フルオロ−フラッシュ・カートリッジ(5g)で濾過した。得られた粗生成物を分取型HPLCで精製し、所望の生成物(46mg)を得た。
LCMS:方法#1:保持時間:1.51min;検出質量:439.13[M+H]+
【0144】
6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−4−(4,4,4−トリフルオロ−ブチル)−イソキノリン(90)
【化59】

化合物89(42mg)を、イソプロパノール中の5Mの塩酸溶液に溶解した。溶液を、室温で2時間、そして40℃で更に2時間撹拌し、蒸発乾固し、水に溶解し、3回凍結乾燥して、所望の生成物(32mg)を塩酸塩として得た。
LCMS:方法#1:保持時間:0.98min;検出質量:338.16[M+H]+
【0145】
以下のイソキノリン類は、適切なアルキルハライドを用い、化合物90で記載した方法と同様にして合成した。
【0146】
【表23】

【0147】
還元アミノ化の一般的手順
アルデヒド(1.5当量)を、メタノール(1mL)に溶解し、そしてメタノールに溶解した化合物124(50mg)、及び無水の酢酸ナトリウム(27mg)を加えた。1MのナトリウムシアノボロヒドリドのTHF溶液(0.250mL)を加えた。反応液を終夜放置し、次いで溶液を濾過し、蒸発乾固し、そして、残留物を酢酸エチルに溶解した。有機層を5%の炭酸ナトリウム水溶液で抽出し、次いで5%の塩化ナトリウム水で抽出した。有機層を乾燥し、蒸発乾固し、RPクロマトグラフィーで精製した。
この手法を用いて、化合物93〜123を得た。
【0148】
【表24】

【0149】
【表25】

【0150】
【表26】

【0151】
【表27】

【0152】
【表28】

【0153】
【表29】

【0154】
【表30】

【0155】
この表における全てのLCMSデータは、LCMS:方法#2を用いて得られた。
【0156】
Boc−保護アミノアルコールの6−ヒドロキシイソキノリンとの反応の一般的手順(Mitsunobu−反応)(AAV1):
トリフェニルホスフィン(ポリスチレンに結合:3mmol/g)(500mg、1.5mmol)及びジクロロメタン(10ml)に、アゾジカルボン酸ジエチル(0.195mL、1.2mmol)(又は、その代わりに、アゾジカルボン酸ジイソプロピル)を加えた。反応混合物を10分間振盪し、次いでトリエチルアミン(0.14mL)、6−ヒドロキシイソキノリン(7)(145mg)(又は、同当量の別の好適なイソキノール)(試薬1)、及び所望のBoc−保護アミノアルコール(試薬2)(1mmol)を加えた。更なる転換がLCMSにより観察されなくなるまで、反応液を室温で振盪した。後処理のため溶液を濾過し、残留物をジクロロメタンで洗浄し、そして有機層を1Nの水酸化ナトリウムで2回、水で2回、そしてブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を分取型HPLCで精製し、Boc−保護カップル化生成物を得た。
【0157】
Boc−基脱離の一般的手順(AAV2):
出発物質を2Mの塩酸に溶解し、終夜反応させた。水に対する溶解性が乏しい化合物に対しては、メタノール又はジオキサンを、溶液が均一になるまで加えた。或いはまた、イソプロパノール中の4Mの塩酸を、化合物を反応させるために用いた。反応混合物を凍結乾燥し、脱保護した生成物を、対応する遊離アミンの塩酸塩として得た。
【0158】
【表31】

【0159】
【表32】

【0160】
【表33】

【0161】
【表34】

【0162】
【表35】

【0163】
【表36】

【0164】
【表37】

【0165】
【表38】

【0166】
【表39】

【0167】
【表40】

【0168】
【表41】

【0169】
化合物140及び143のクロマトグラフィーによる分割:
化合物140及び化合物143のエナンチオマー混合物として得られたN−Boc保護中間体を、キラルカラム(Chiralcel OD-H/56:250×4.6mm)上で、エナンチオマーに分割した。最終工程として、保護基の脱離を、一般的手順で記載した通りに行った。立体中心の絶対配置は、決定していない。
化合物140:最初に溶出したBoc−保護中間体;
化合物143:後で溶出したBoc−保護中間体。
【0170】
化合物141及び142のクロマトグラフィーによる分割:
化合物141及び化合物142のエナンチオマー混合物として得られたN−Boc保護中間体を、キラルカラム(Chiralpak AD-H/40:250×4.6mm)上で、エナンチオマーに分割した。最終工程として、保護基の脱離を、一般的手順で記載した通りに行った。立体中心の絶対配置は、決定していない。
化合物141:最初に溶出したBoc−保護中間体;
化合物142:後で溶出したBoc−保護中間体。
【0171】
7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(150)
【化60】

3−クロロ−4−フルオロ−ベンズアルデヒドから出発して、6−フルオロ−イソキノリン(23)の合成のために用いられた反応と同一の一連の反応を用いて、7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリンを得た。
t=0.77min(方法#2);検出質量:182.1/184.1(M+H+)。
【0172】
5−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン・トリフルオロ酢酸塩(151)
【化61】

6−フルオロイソキノリン(23)(7.0g、38.1mmol)を、濃硫酸(60mL)に溶解した。0℃で、N−クロロスクシンイミド(10.18g)を加えた。1時間後、更にN−クロロスクシンイミド(5.2g)を加え、溶液を50℃に加温した。N−クロロスクシンイミド(5.2g)を、更にもう2回連続して加え、反応を完結するまで、撹拌を50℃で継続した。反応混合物を室温に冷却し、氷上に注ぎ、水酸化ナトリウムを添加してpHを10に調整した(adOP justed)。沈殿物を濾過し、ジクロロメタンに溶解し、そして水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させ、そして粗生成物を分取型HPLCで精製し、5−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(151)(4.04g)を、トリフルオロ酢酸塩として得た。
t=0.97min(方法#2);検出質量:182.0/184.0(M+H+)。
【0173】
6−フルオロ−5−ニトロ−イソキノリン(152)
【化62】

冷却しつつ、濃硝酸(2.0mL)を、硫酸(2.8mL)に加えた。続いて6−フルオロイソキノリン(23)(350mg)を加え、反応液を室温まで温め、そして、終夜撹拌するにまかせた。反応混合物を氷上に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、水酸化ナトリウムを加え、pHをアルカリ性に調整した。水層を再びジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させ、6−フルオロ−5−ニトロ−イソキノリン(90mg)を得た。それは、更に精製せずに用いることができた。
t=1.03min(方法#1);検出質量:193.0(M+H+)。
【0174】
4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(154)
【化63】

4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸−tert−ブチルエステル(7.49g)を、無水のジメチルアセトアミド(20mL)に溶解した。水素化ナトリウム(60%)(1.49g)を加えた。次いで、6−フルオロイソキノリン(23)(3.65g)の溶液を滴下しながら加えた。溶液を80℃で2時間加熱し、次いで溶媒を除去し、残留物をジクロロメタンに溶解した。有機層を2回水で抽出し、それからブラインで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(6.22g)を得た。
t=1.32min(方法#1);検出質量:329.1(M+H+)。
【0175】
6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン塩酸塩(155)
【化64】

4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(154)を、AAV2に記載した一般的手順により脱保護し、標題の化合物を、HCl塩として得た。
t=0.20min(方法#2);検出質量:229.1(M+H+)。
以下の実施例化合物を、この方法に従って合成した。
【0176】
4−クロロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン塩酸塩(156)
【化65】

出発物質として、4−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(24)を用いて合成した。LCMS:方法#2:保持時間:0.56min;検出質量:263.12[M+H]+
【0177】
6−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−塩酸塩(157)
【化66】

6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(124)(150mg)を、無水のピリジン(10mL)に溶解した。トリエチルアミン(177mg)及び4−クロロピリミジン(69mg)を加え、そして溶液を65℃で6時間撹拌した。反応混合物をブラインに注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固し、そして、粗生成物を分取型HPLCで精製した。生成物を、1Nの塩酸(20mL)に溶解し、次いで凍結乾燥することにより対応するHCl塩に転換した。収量:47mg。
t=1.05min(方法#2);検出質量:307.1(M+H+)。
【0178】
6−[1−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−イソキノリン・塩酸塩(158)
【化67】

6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−塩酸塩(124)(75mg)を、無水のピリジン(5mL)及びDMF(5mL)に溶解した。2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ピリミジン(55mg)を加え、そして溶液を60℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして残留物をブラインに溶解し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固し、そして粗生成物を分取型HPLCで精製した。生成物を、1Nの塩酸(20mL)に溶解し、次いで凍結乾燥することにより、対応するHCl塩に転換した。収量:29mg。
t=1.69min(方法#2);検出質量:375.1(M+H+)。
【0179】
6−(1−シクロプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−塩酸塩(159)
【化68】

6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(124)(300mg、1.13mmol)を、メタノール(10mL)に溶解した。トリエチルアミン(202mg)、モレキュラーシーブ4A、氷酢酸(600mg)、(1−エトキシ−シクロプロピルオキシ)−トリメチル−シラン(871mg)、及びナトリウムシアノボロヒドリド(borohydrate)(101mg)を連続して加え、そして反応混合物を還流下で6時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、2Nの水酸化ナトリム(6mL)を加え、反応混合物を濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をジクロロメタンに溶解し、2Nの水酸化ナトリウム及びブラインで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固し、そして粗生成物を分取型HPLCで精製した。生成物画分を蒸発させ、生成物を2Nの塩酸に溶解し、凍結乾燥した。
収量:60mg;Rt=0.50min(方法#1);検出質量:269.2(M+H+)。
【0180】
4−(2−オキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(160)
【化69】

4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(154)(3.97g、12.1mmol)をジクロロメタン(100ml)に溶解し、3−クロロ−過安息香酸(70%)(4.47g、18.1mmol)を室温で加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで飽和の重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。水相を分離し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて粗生成物(4.19g)を得た。それは、更なる変換に精製せずに用いることができた。
t=1.46min(方法#1);検出質量:345.2(M+H+)。
【0181】
1−クロロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(161)
【化70】

4−(2−オキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(160)(3.5g、10.16mmol)を、50℃で、HClを飽和させたエタノール(250ml)に溶解した。透明な溶液を減圧下で濃縮し、そして残留物を、POCl3(50ml)中で還流した。3時間後、POCl3を減圧下で除去し、残留物をH2Oに溶解した。水酸化ナトリウムを加えて、pHを11に調節し、水溶液をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて乾固した。残留物を分取型HPLCで精製し、それにより標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得た。これを、2NのHClに溶解し、次いで凍結乾燥して、対応するHCl塩に転換した。収量:950mg。
t=1.03min(方法#1);検出質量:263.1/265.1(M+H+)。
【0182】
4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(162)
【化71】

1−クロロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(161)(1.23g、4.11mmol)を、ジクロロメタン(50ml)に溶解し、そして、トリエチルアミン(0.85ml、6.15mmol)を加えた。0℃で炭酸tert−ブチル(1.09g、5.0mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液を滴下しながら加え、混合物を室温で終夜放置した。後処理のため混合物をH2Oで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させ、所望の生成物(1.1g)を得た。それは、更なる精製をせずに用いることができた。
t=1.86min(方法#4);検出質量:363.1/365.2(M+H+)。
【0183】
4−(1−メチルアミノ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(163)
【化72】

4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(162)(154mg、0.42mmol)を、メチルアミン水溶液(41%)(15ml)中、シールした管内で、110℃で加熱した。7時間後、反応混合物を蒸発させ、残留物を飽和の重炭酸ナトリウム溶液中に溶解し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=5/1)で精製した。収量:45mg。
t=1.14min(方法#4);検出質量:358.3(M+H+)。
【0184】
メチル−[6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−1−イル]−アミン−塩酸塩(164)
【化73】

4−(1−メチルアミノ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(163)を、AAV2で記載した一般的手順により、脱保護した標題の化合物に転換し、それにより、対応するHCl塩(34mg)を得た。
t=0.69min(方法#1);検出質量:258.3(M+H+)。
【0185】
化合物164に対して説明した合成ルートに従い、以下の化合物を4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(162)、及び対応するアミンから出発して製造した。
【0186】
【表42】

【0187】
2−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−5−ホルミル−ベンゼンスルホンアミド(168)
【化74】

2−クロロ−5−ホルミル−ベンゼンスルホンアミド(5.0g、22.8mmol)を、ジクロロメタン(50ml)に溶解した。ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.08g、34.3mmol)を加え、そして、混合物を2時間還流した。室温に冷却した後、溶液をH2Oで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物(5.16g)を得、それを更に精製せずに、次の工程で用いた。
t=1.14min(方法#1);検出質量:275.1/277.1(M+H+)。
【0188】
2−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−5−[4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−イルメチル]−ベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩(169)
【化75】

6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(124)(200mg、0.88mmol)をメタノール(20ml)に溶解し、トリエチルアミン(158mg、1.56mmol)を加えた。室温で15分間撹拌した後、氷酢酸(467mg、7.78mmol)、2−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−5−ホルミル−ベンゼンスルホンアミド(168)(482mg、1.76mmol)、ナトリウムシアノボロヒドリド(166mg、2.64mmol)、及び新たに乾燥したモレキュラーシーブを加え、混合物を3時間還流した。室温で終夜撹拌した後、混合物を濾過し、濾液を蒸発させた。残留物をジクロロメタン中に溶解し、飽和の重炭酸ナトリウム溶液及びブラインで2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させた後、粗生成物を分取型HPLCで精製し、それにより所望の生成物(133mg)を、トリフルオロ酢酸塩として単離することができた。
t=0.87min(方法#2);検出質量:487.2/489.2(M+H+)。
【0189】
2−クロロ−5−[4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−イルメチル]−ベンゼンスルホンアミド(170)
【化76】

2−クロロ−N−ジメチルアミノメチレン−5−[4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−イルメチル]−ベンゼンスルホンアミド(169)(133mg、0.27mmol)をエタノールに溶解した。2NのNaOH(50ml)加えた後、溶液を60℃で6時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をHCl水溶液を加えて中和し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をエタノール中で撹拌し、無機塩を濾過し、濾液を蒸発させた。
t=0.78min(方法#2);検出質量:432.1(M+H+)。
【0190】
4−(5−ニトロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(171)
【化77】

6−フルオロ−5−ニトロ−イソキノリン(152)(90mg、0.47mmol)を、化合物154の製造で記載した方法に従い、4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルで処理した。
【0191】
5−ニトロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(172)
【化78】

4−(5−ニトロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(171)(18.5mg、0.05mmol)を、AAV2に記載の方法に従って脱保護し、それにより標題の化合物(12.5mg)をHCl塩として単離した。
t=0.57min(方法#1);検出質量:274.2(M+H+)。
【0192】
7−クロロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(173)
【化79】

7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(150)から出発して、標題の化合物を、化合物124に対する合成ルートと同一ルートにより製造した。
t=0.66min(方法#1);検出質量:263.1/265.1(M+H+)。
【0193】
3,6−ジ置換イソキノリン生成のための合成手順
一般的反応スキーム
【化80】

【0194】
工程1:
5−フルオロ−インダノン−1(174)(188g)をジエチルエーテル(1.8l)に溶解し、HClを飽和させたEtOH(50ml)を0℃で加え、そして15%エチルニトリルのエーテル溶液(1.1l)を1時間かけて加えた。溶液を更に3時間撹拌するにまかせ、室温に戻し、次いで溶媒を部分的に除去し、沈殿生成物を濾過して集めた。
【0195】
工程2:
工程1からの生成物(129g)を、 POCl3(2l)中PCl5(170g)の混合物に加えた。次いで、ガス状のHClを、溶液が飽和になるまで、0℃で加えた。残留した混合物を、60℃で6時間加熱し、溶媒を減圧下で部分的に除去し、そして残留物を、粉砕した氷/水の混合物上で加水分解した。沈殿生成物を濾過により単離した。
【0196】
工程3:
工程2からの生成物(155g)を、HOAc(740ml)、及び赤リン(53g)を含むHI(57%)(330ml)の混合物に加えた。4時間還流下で加熱した後、溶液を濃NaOHで処理し(pH=8になるまで)、そして沈殿した生成物を濾過により単離した。
【0197】
工程4:
N−Boc−4−ヒドロキシピペリジン(16.5g)をジグリム(210mg)に溶解し、そして窒素雰囲気下、50%NaH(4.1g)で処理した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで工程4からの生成物(14.8g)を加えた。混合物を室温で1日撹拌するにまかせ、次いでトルエン(100ml)を加え、そして混合物を水で3回洗浄した。有機相を集め、溶媒を減圧下で除去した。
【0198】
【化81】

【0199】
工程5:
化合物178(100mg)、及び対応するアニリン(1.1当量)をジオキサン(5ml)に溶解した。Cs2CO3(350mg)、Pd(OAc)2(20mg)、及びXANTHPHOS(60mg)を加え、得られた混合物を、出発物質が消費されるまで、窒素雰囲気下で加熱還流した(反応はLCMSでモニターした)。溶媒を減圧下で除去し、そして、残留物をHPLC系のクロマトグラフィーに付した。
【0200】
工程6:
工程5の生成物を、ガス状のHClを飽和させたエタノール(5ml)に溶解した。5時間撹拌した後、減圧下で溶媒を除去することにより、所望の生成物を単離した。
【0201】
全ての3,5,6−トリ置換誘導体を、化合物184の合成で説明した手順に従って合成した。化合物185の合成には、アセトアミドを、Pdカップリング工程におけるアミン成分として使用した。
【0202】
4−(5−ブロモ−3−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(181)の合成
【化82】

4−(3−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(178)(200mg)を、CH3CN(5ml)に溶解し、85℃に加熱した。次いで、N−ブロモスクシンイミド(148mg)及びAIBN(9mg)の混合物を固体として加え、そして得られた混合物を還流下で1時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーに付した。単離した生成物の収率は41%であった。
LCMS:検出質量:441.03,Rt=2.41min(方法#1)。
【0203】
4−[3−クロロ−5−(4−フルオロ−フェニル)−イソキノリン−6−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert− ブチルエステル(182)の合成
【化83】

4−(5−ブロモ−3−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(181)(150mg)を、ジオキサン(9ml)及び水(3ml)の混合物に溶解し、4−フルオロ−ベンゼン−ボロン酸(47mg)、Na2CO3(47mg)及びPd(PPh34(40mg)を加え、そして得られた混合物を100℃で6時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をHPLC系のクロマトグラフィーに付した。収率:44%。
LCMS:検出質量:457.22,Rt=2.45min(方法 #1)。
【0204】
4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−イソキノリン−6−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(183)の合成
【化84】

4−[3−クロロ−5−(4−フルオロ−フェニル)−イソキノリン−6−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(182)(70mg)を、トルエン(7ml)に溶解し、Pd(OAc)2(20mg)、XANTHPHOS(60mg)、Cs2CO3(400mg)、及び3,4,5−トリメトキシアニリン(30mg)を加え、そして混合物を100℃で6時間加熱した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残留物をHPLCシステムのクロマトグラフィーに付した。単離した生成物の収率:24%。
LCMS:検出質量:604.17,RT=1.81min(方法#1)。
【0205】
[5−(4−フルオロ−フェニル)−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン−3−イル]−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アミン(184)の合成
【化85】

4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−イソキノリン−6−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(183)(20mg)を、HCl(ガス状)を飽和させたエタノールに溶解した。混合物を1時間撹拌し、次いで、溶媒を蒸発させ、そして、生成物を集めた。収率:85%。
LCMS:検出質量:503.22,Rt=1.22min(方法#1)。
【0206】
【表43】

【0207】
【表44】

【0208】
【表45】

【0209】
【表46】

【0210】
【表47】

【0211】
【表48】

【0212】
【表49】

【0213】
【表50】

【0214】
【表51】

【0215】
【表52】

【0216】
【表53】

【0217】
【表54】

【0218】
【表55】

【0219】
【表56】

【0220】
【表57】

【0221】
【表58】

【0222】
【表59】

【0223】
【表60】

【0224】
【表61】

【0225】
【表62】

【0226】
4−エチル−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン(266)
【化86】

化合物266は、エチルヨージドを用いて、化合物90で記載した方法と同様の方法で合成した。
LCMS:方法#1:保持時間:0.98min;検出質量:257.31[M+H]+
また、6−フルオロ−イソキノリン(23)の合成と同様の反応順序を用いて、次の2つの化合物を得た。
【0227】
8―クロロ―6―フルオロ―イソキノリン(267)
【化87】

t=0.83min(方法#1);検出質量:182.12 (M+H+)。
【0228】
6−フルオロ−7−メチルイソキノリン(268)
【化88】

t=0.70min(方法#トップ);検出質量:162.3(M+H+)。
【0229】
8−クロロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(269)
【化89】

8−クロロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン・塩酸塩(269)を、化合物267から出発して、上記で記載した(124)の合成法と同様の方法で得た。
t=0.63min(方法#1);検出質量:263.14(M+H+)。
【0230】
6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−7−メチルイソキノリン・塩酸塩(270)
【化90】

6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−7−メチルイソキノリン・塩酸塩(270)を、化合物268から出発して、上記で記載した(124)の合成法と同様の方法で得た。Rt=0.64min(方法#1);検出質量:243.18(M+H+)。
【0231】
以下の化合物一式を、同様の方法で、出発物質として、化合物269、129又は270、及び対応するアルデヒドを用い、実施例93〜123の化合物を得るために使用した還元アミノ化の手順で得た。下記の表におけるLCMSデータの全ては、LCMS法#2を用いて得られた。
【0232】
【表63】

【0233】
【表64】

【0234】
【表65】

【0235】
【表66】

【0236】
【表67】

【0237】
【表68】

【0238】
【表69】

【0239】
【表70】

【0240】
【表71】

【0241】
【表72】

【0242】
【表73】

【0243】
【表74】

【0244】
【表75】

【0245】
【表76】

【0246】
【表77】

【0247】
【表78】

【0248】
【表79】

【0249】
【表80】

【0250】
5,6,7−トリフルオロ−イソキノリン(373)
【化91】

5,6,7−トリフルオロ−イソキノリン(373)を、3,4,5−トリフルオロベンズアルデヒドから出発して、6−フルオロ−イソキノリン(23)合成のために用いられた反応と同一の反応手順により得た。分取型HPLCによる最終精製により、所望のイソキノリンをトリフルオロ酢酸塩として得た。
t=1.15min(方法#2);検出質量:183.0。
【0251】
4−(5,7−ジフルオロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボ
ン酸tert−ブチルエステル(374)
【化92】

標題の化合物を、4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(154)で記載した手順に従って合成した。
t=1.27min(方法#トップ);検出質量:365.2 (M+H+)。
【0252】
5,7−ジフルオロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン(375)
【化93】

4−(5,7−ジフルオロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(374)を、メタノール/2NのHCl中で、AAV2で記載した一般的手順により脱保護し、標題の化合物をHCl塩として得た。
t=0.43min(方法#トップ);検出質量:265.1 (M+H+)。
【0253】
5,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(376)
【化94】

7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(150)(5.0g、27.5mmol)を、濃硫酸(90ml)に溶解した。室温で、N−クロロ−スクシンイミド(7.35g、55.0mmol)を加え、混合物を50℃で撹拌した。室温で終夜放置した後、更に、N−クロロ−スクシンイミド(3当量)を加え、更にまた、N−クロロ−スクシンイミド(5当量)を加えた。温度が80℃に上昇した。更なる転換が検出されなくなった後、混合物を室温に冷却し、そして氷上に注いだ。固体のNaOHを加えて、水溶液を塩基性にした。沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで3回洗浄した。有機濾液をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させ、所望のイソキノリン(1.09g)を単離した。
t=1.26min(方法#トップ);検出質量:216.0/218.0(M+H+)。
【0254】
4−(5,7−ジクロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(377)
【化95】

標題の化合物を、4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸−tert−ブチルエステル(154)で記載した手順に従って合成した。分取型HPLCによる最終精製、及び生成物画分の蒸発の後、Boc基は既に一部脱離していた。
t=1.71min(方法#2);検出質量:397.2/399.2(M+H+)。
【0255】
5,7−ジクロロ−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−イソキノリン(378)
【化96】

4−(5,7−ジクロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(377、既に一部脱保護している)(150mg)を、ジクロロメタン(10ml)に溶解し、そしてトリフルオロ酢酸(1ml)を、0℃で加えた。反応液を室温で2時間撹拌した。後処理のためジクロロメタン(50ml)を加え、反応液を飽和のNaHCO3溶液で洗浄した。層を分離し、そして水層をジクロロメタンで1回抽出した。合わせた有機層を、再び飽和のNaHCO3溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物を分取型HPLCで精製した。生成物画分を蒸発させ、そして残留物を2NのHClに溶解した。蒸発させた後、標題化合物をHCl塩として単離した。
t=0.90min(Method #2);検出質量:297.1/299.1(M+H+)。
【0256】
Rho−キナーゼ阻害の測定
Rho−キナーゼ阻害を測定するために、IC50値を以下のプロトコールに従って測定した。
バッファー: 25mMトリス、pH7.5;0.02%BSA;5%グリセリン;0.008%トリトンX100;2%DMSO、1mMのDTT;1mMのMgCl2;0.5μCi/ウエルγ33PのATP;
酵素:ROCKII又はROKα)(Upstate, Catalog #14-451 Lot #24880U)0.1ng/μl;
反応混合物中のATPの最終濃度: 40μM;
ビオチン化基質: 上記のバッファー(ATPなし)で0.25μMに希釈。
1.トリスバッファー(±阻害剤)(10μl);
2.酵素溶液(30μl)を加える;
3.混合基質/ATP/ATP33(30μl)で反応を開始する;
4.室温で20分間インキュベートする;
5.50mMのEDTA(30μl)で反応を停止する;
6.停止溶液(50μl)をストレプトアビジン(Flush Plate plus, Perkin Elmer, SMP 103A)に移す;
7.室温で30分間インキュベートする;
8.PBS/0.1%Tween20(300μl)で4回洗浄する;
9.ウエル内の放射能を測定する。
【0257】
【表81】

【0258】
上記活性は、以下の断りのそのIC50の負の対数値(pIC50)を意味する。
+: 3.0 ≦ pIC50 < 4.0
++: 4.0 ≦ pIC50 < 5.0
+++: 5.0 ≦ pIC50 < 6.0
++++: 6.0 ≦ pIC50

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物、及びその薬学的に許容される塩及び/又は生理学的機能を有する誘導体。
式中、
1は、H、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C1−C6)アルキル、NHR'、又はN[(C1−C6)アルキル]2であり;
2は、水素、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、OH、O−R''、NH2、NHR''、NR''R''、又はNH−C(O)−R''であり;
4は、H、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C6)アルキレン−R'であり;
5は、H、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、CH(OH)−(C1−C6)アルキル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH、又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
6は、H、R'、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、(C1−C6)アルキレン−CH[R']2、(C1−C6)アルキレン−C(O)−R'、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R'、又は(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R']2であり;
7は、H、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−R'、CH(OH)−(C1−C6)アルキル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、SO2−NH2、SO2−NHR'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH、又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
8は、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
nは、1、2、3又は4であり;そして
Lは、O、又はO−(C1−C6)アルキレンであり;
ここで、
R'は、(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリールであり;そして
R''は、(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、又は(C1−C6)アルキレン−NRxyであり;
そしてここで、
x及びRyは、互いに独立に、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C1−C4)アルキレン−N[(C6−C10)アリール]2、又は(C1−C4)アルキレン−N[(C5−C10)ヘテロシクリル]2であり;
そしてここで、
残基R4、R5、R7及びR8において、アルキル又はアルキレンの1つの水素原子は、場合により、OH、F、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH32、CONH2、CONHCH3、又はCON(CH32により置換することができる。
【請求項2】
1がH、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール、又はN[(C1−C6)アルキル]2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1がH、(C1−C4)アルキル、NH−(C1−C4)アルキル、N[(C1−C4)アルキル]2、又はNH−フェニルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
1がH、(C1−C2)アルキル、又はNH−(C1−C2)アルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
1がHである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
3がH、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R'、O−R''、又はNHR''であり、ここで、R'及びR''が請求項1で定義した通りである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
3がH又はNHR''である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
3がH;NH−(C5−C6)ヘテロシクリル、好ましくは1つ又はそれ以上のN原子を含むNH−(C5−C6)ヘテロアリール;又はNH−フェニルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
8がH、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
8がH、Cl、F、メチル又はエチルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
4がH、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
4がH、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
4がHである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
5がH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキレン−R'である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
5がH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
5がH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル−(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロアリールである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
7がH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'又は(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキルである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
7がH、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル又は(C5−C6)ヘテロアリールである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
7がH、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、フェニル、ニトリル、シクロプロピル、チエニル又はビニルである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
nが1、2又は3である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
nが1である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
2がH、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
2がH又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
2がH、(C1−C2)アルキルである、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
6がH、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
6がH、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
Lがピペリジン環の3位又は4位に結合している、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
Lがピペリジン環の4位に結合している、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
LがO−メチレン、O−エチレン、又は好ましくはOである、請求項1〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
1が、H、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール、又はN[(C1−C6)アルキル]2であり;
2が、水素、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
3が、H、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−R'、O−R''、又はNHR''であり、ここで、R'及びR''は請求項1で定義した通りであり;
4が、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
5が、H、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、CN、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロシクリル、又は(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリルであり;
6が、H、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C6)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;
7は、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、又はR'であり;
8が、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
nが、1、2又は3であり;そして
Lが、O、O−メチレン、又はO−エチレンである;
請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
1が、H、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、NH−(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール、又はN[(C1−C6)アルキル]2であり;
2が、H又は(C1−C4)アルキルであり;
3が、H、ハロゲン、又はNHR''であり、ここで、R''は、上記で定義した通りであり;
4が、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルであり;
5が、H、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、又は(C5−C10)ヘテロシクリルであり;
6が、H、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;
7が、H、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、又はR'であり;
8が、H、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルであり;
nが、1、2又は3であり;そして
LがOである;
請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
1が、H、(C1−C4)アルキル、NH−(C1−C4)アルキル、N[(C1−C4)アルキル]2、又はNH−フェニルであり;
2が、H、(C1−C4)アルキルであり;
3が、H、NH−(C5−C6)ヘテロアリール、又はNH−フェニルであり;
4が、H、ハロゲン、又は(C1−C4)アルキルであり;
5が、H、(C1−C4)アルキル、ハロゲン、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキル−(C6−C10)アリール、又は(C5−C10)ヘテロアリールであり;
6が、H、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり;
7が、H、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルケニル、フェニル、シクロプロピル、(C5−C6)ヘテロアリールであり;
8が、H、ハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
nが1であり;そして
LがOである;
請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
薬剤を製造するための、請求項1〜32のいずれか1項に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物及び/又はそれらの生理学的に許容される塩の使用。
【請求項34】
高血圧、肺高血圧、高眼圧、末梢循環障害、狭心症、脳血管攣縮、喘息、早産、血小板の凝集能亢進、末梢閉塞性動脈疾患(PAOD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がん発生、勃起障害、動脈硬化症、虚血性臓器不全(終末臓器損傷)、肺線維症、肝線維症、肝不全、腎線維症、腎糸球体硬化症、腎不全、臓器肥大、前立腺肥大、糖尿病の合併症、血管再狭窄、アテローム硬化症、がん、心臓肥大、心不全 虚血性疾患;炎症;自己免疫疾患;エイズ、骨粗鬆症のような骨障害、脳機能障害、細菌による消化管感染、敗血症、成人呼吸窮迫症候群、網膜症、緑内障又はアルツハイマー病の治療及び/又は予防用の薬剤を製造するための、請求項1〜32のいずれか1項に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物及び/又はそれらの生理学的に許容される塩の使用。
【請求項35】
請求項1〜32のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物及び/又は薬理学的に許容されるその塩の有効量、生理学的に容認される添加剤及び担体、並びに、必要に応じて更なる添加物及び/又はその他の有効成分を含む薬剤。

【公表番号】特表2008−543956(P2008−543956A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518659(P2008−518659)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005648
【国際公開番号】WO2007/000240
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】