説明

SCF遊離抑制剤及び皮膚外用組成物

【課題】 表皮角化細胞由来の幹細胞因子(SCF)の遊離を抑制するSCF遊離抑制剤、並びにSCFが係わる皮膚の黒化、肌荒れ及び掻痒を改善する皮膚外用組成物を提供する。
【解決手段】 ジャトバ及び/又は岩白菜の植物体抽出物を含有することを特徴とするSCF遊離抑制剤、並びに該SCF遊離抑制剤を配合することを特徴とする美白用皮膚外用剤、荒れ肌抑制用皮膚外用組成物及び掻痒用皮膚外用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮角化細胞からの幹細胞因子(以下SCF)の遊離を抑制するSCF遊離抑制剤、並びに該遊離抑制剤を含有する美白用皮膚外用組成物、肌荒れ抑制用皮膚外用組成物及び掻痒用皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚が太陽光(紫外線)によって刺激を受けると皮膚内では様々な因子の放出が惹起され、皮膚は炎症(紅斑)を引き起こす。また、それらの中にはメラノサイトを刺激する因子も含まれている為、メラノサイトにおけるメラニン合成が促進され、皮膚の黒化が誘導される。これらのことから、メラニン合成を担う酵素であるチロシナーゼの活性阻害を作用機序とした一般的な美白化粧料の他に、メラニン合成を調節する様々な因子の働きを制御する美白化粧料が今日までに提案されている。
【0003】
一方、シミ部位や紫外線を浴びた表皮においてSCFの発現が上昇することが報告されている(非特許文献1、2参照)。SCFは表皮細胞の細胞膜上に存在する膜結合型のメラノサイト刺激因子の一つであり、メラノサイトの細胞膜上のSCFレセプターに結合して作用することで、メラノサイトにおける色素産生を増強する。
【0004】
また、膜結合型SCFが遊離酵素によって切断されることにより遊離される可溶型SCFも知られている。この可溶型SCFの皮下注射は、真皮での肥満細胞の増殖や集積を促進する。さらに、肥満細胞の細胞内顆粒の放出も引き起こし、ヒスタミンやロイコトリエン等のケミカルメディエーターを遊離させることが報告されている(非特許文献3参照)。しかしながら、これまでSCFの遊離を抑制する十分な効果を有するものは見出されていなかった。
【0005】
【非特許文献1】Hattori H,J Invest Dermatol,2004年,122巻,p1256-1265
【非特許文献2】Hachiya A,J Invest Dermatol,2001年,116巻,p578-586
【非特許文献3】Dvorak AM,J Allergy Clin Immunol,1998年,101巻,p793-806
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような状況下、本願発明の目的は、皮膚において重要な役割を担う表皮角化細胞由来SCFの、表皮角化細胞からの遊離を抑制する物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者等は、このような状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の植物から得られる抽出物に、紫外線照射で起こる表皮角化細胞からのSCF遊離を抑制する活性があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち本発明は、ジャトバ及び/又は岩白菜の抽出物からなるSCF遊離抑制剤であり、第2の発明は、前記抽出物が親水性溶媒により抽出された抽出物であることを特徴とする前記のSCF遊離抑制剤である。
【0009】
さらに、本願第3の発明は、前記のSCF遊離抑制剤を含有することを特徴とする美白用皮膚外用組成物であり、本願第4の発明は、前記のSCF遊離抑制剤を含有することを特徴とする肌荒れ抑制用皮膚外用組成物であり、本願第5の発明は、前記のSCF遊離抑制剤を含有することを特徴とする掻痒用皮膚外用組成物である。
【0010】
尚、本発明に使用されるジャトバの抽出物は、チロシナーゼ活性阻害作用を有し、美白効果を発揮することが知られているが、それ以外の具体的な作用機序については全く知られておらず、SCFの遊離抑制作用に関する報告もこれまでになされていない。また、岩白菜の抽出物の持つ美白効果およびSCFの遊離抑制作用については知られていない。
【発明の効果】
【0011】
本願発明に係る特定の植物抽出物を含有する本発明のSCF遊離抑制剤は、表皮角化細胞からのSCFの遊離を効果的に抑制する。
【0012】
よって、本発明のSCF遊離抑制剤を皮膚外用組成物に配合することで、美白効果、掻痒および荒れ肌の改善効果を発揮することが期待される。また、他の美白剤と併用した場合は絶大なる美白効果を発揮する事が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明では、マメ科ジャトバ(Hymenaea courbaril)又は岩白菜(Bergenia purpurascens)の植物体の各種部位(全草、地上部、花、果実、果皮、葉、枝、幹、茎、樹皮、根茎、根皮、塊茎、根等)を、そのまま又は粉砕したものを抽出材料として使用する。また、それらはフレッシュなものでも乾燥物でもどちらでも使用可能である。
【0014】
本発明で使用される抽出物は、ジャトバ又は岩白菜の植物体を材料として、公知の抽出方法により抽出することにより製造することができる。抽出溶媒としては、通常用いられるものであれば、特に限定は無いが、水、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコールや1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、その他の極性溶媒又はこれらの混液のような親水性溶媒を用いたほうがより効果の高い抽出物が得られるため、好ましく用いられる。これらのうち、特に水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール又はこれらの混液が、特に好ましく用いられる。
【0015】
抽出方法は特に制限されるものはないが、通常、常温、常圧下での溶媒の沸点の範囲であれば良く、必要であれば、その効果に影響のない範囲で脱臭・脱色等の精製処理を加えても良い。脱臭・脱色等の精製手段としては、例えば活性炭カラム等が挙げられるが、抽出溶媒や抽出法に合わせて、一般的に使用される手段を任意に選択すれば良い。
【0016】
本発明では、上記方法により得られるジャトバ及び/又は岩白菜の抽出物を幹細胞因子遊離抑制剤として使用する。該幹細胞因子遊離抑制剤は、適宜、乾固、濃縮又は希釈等を行い、任意の性状のものとして調製することができる。
【0017】
本発明の各種皮膚外用組成物には、上記のジャトバ及び/又は岩白菜の抽出物を必須成分として配合する。これら成分の配合量は、皮膚外用組成物全体を基準として、乾燥残分換算で、ジャトバについては0.0001〜1質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%であり、岩白菜については0.003〜5質量%、好ましくは0.03〜3質量%である。
【0018】
本発明の美白用皮膚外用組成物には、上記の必須成分に加え、アルブチン、エラグ酸、油溶性甘草エキス、レチノイド、フェノール性二量体化合物、4−n−ブチルレゾルシノール、エラグ酸、トラネキサム酸、カミツレ抽出物、リノール酸、α−ヒドロキシ酸、ハイドロキノン、システイン、グルタチオン、ビタミンE、ビタミンC誘導体等の美白成分から選ばれる1種以上を適宜配合することで、更なる美白効果が期待される。これらの中では、アルブチン、エラグ酸、4−n−ブチルレゾルシノール及びビタミンC誘導体が特に好ましく用いられ、美白用皮膚外用組成物中の濃度は0.01質量%以上であれば良い

【0019】
さらに、発明の目的を損なわない範囲で、通常皮膚外用組成物に配合可能な他の成分を任意に配合することができる。そのような成分としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、粘剤、油剤、粉体(色素、樹脂、顔料)、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、酵素等の成分が挙げられる。以下に配合成分の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
【0020】
陰イオン性界面活性剤としては、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0021】
両性界面活性剤としては、グリシン型、アミノプロピオン酸型、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、スルホン酸型、硫酸型、リン酸型等が挙げられ、好適なものとして2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が例示できる。非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0022】
粘剤の例としては、アクリル酸アミド及びその誘導体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、セルロース、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等が挙げられる。
【0023】
油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤及び樹脂が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体であっても構わない。油剤の例としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、分岐脂肪酸コレステリル等のコレステロールエステル、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0024】
粉体の例としては、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、
ポリエチレン末等の樹脂、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料の顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)に特に制限はない。
【0025】
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、老化防止剤、紫外線防御剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。
【0026】
本発明の各種皮膚外用組成物は、常法に従って製造することができる。また、本発明の各種皮膚外用組成物は、一般の皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、指定医薬部外品、外用医薬品等を包含するものであり、その剤形も目的に応じて任意に選択することができる。すなわち、クリーム、軟膏、乳液、溶液、ゲル等の剤形やパック、ローション(化粧水)、パウダー、スティック等の形態とすることができる。
【実施例】
【0027】
以下、本願発明を実施例を挙げて説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
[SCF遊離抑制作用の評価法]
1.ヒト新生児包皮由来の表皮角化細胞(クラボウ社より購入)を使用した。
2.表皮角化細胞を5.5×10個/mLとなるよう培地にて調整し、6cmφ培養プレート(ファルコン社製)に5mLずつ播種した。培地は、増殖因子としてBPE(牛脳下垂体抽出液)、インシュリン、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ハイドロコルチゾンを添加したMCDB153培地を使用した。5%(v/v)CO雰囲気下、37℃で24時間培養した。
3.培養上清を吸引除去し、上記培地からBPEを除いた試験培地5mLに交換し、5%(v/v)CO雰囲気下、37℃で24時間培養した。
4.培地交換後、東芝メディカル社製ランプ(FL20S・E−30)を用いて20mJ/cmのUVBを照射し、照射直後に評価試料を添加した。これら一連の操作を24時間間隔で2回繰り返した。
5.2回目のUVB照射後、5%(v/v)CO雰囲気下、37℃で24時間培養したのち、培養上清を回収した。
6.回収した培養上清中に放出されたSCF量は、Quantikine ELISAキット(R&D Systems社)を用いて定量した。
【0029】
[細胞毒性試験法]
本試験はAlamarBlue試薬(Alamar Biosciences社)を用いて行った。上記のSCF遊離抑制作用の評価において、培養上清を回収した後、新しい試験培地5mlを加え、更にAlamarBlue試薬を500μL添加し、3時間、5%(v/v)COの雰囲気下、37℃で培養した。3時間後に培地を回収し、570nm及び600nmの比色測定を行い、ジャトバ及び岩白菜の植物体抽出物添加による細胞毒性の確認を行った。
【0030】
実施例1(ジャトバ抽出物)
SCFの遊離抑制剤として、ジャトバのSCF遊離に及ぼす効果について、上記評価法により評価した。ジャトバ抽出物としては、ジャトバ植物体の50%エタノール抽出乾燥
物を、50%エタノールに1.5質量%になるよう溶解したものを使用し、培地に対して、乾燥残分換算で、最終濃度で0.001〜0.01質量%になるよう添加した。
【0031】
ジャトバの植物体抽出物の濃度を変えて添加した時のSCFの遊離量を図1に示す。UVB照射により上昇するSCF遊離量が、ジャトバ抽出物の添加により、濃度依存的に抑制されることが判る。また、図2に示すように、SCFの遊離を抑制した濃度でのジャトバ抽出物の添加による細胞毒性は認められなかった。
【0032】
実施例2(岩白菜抽出物)
SCFの遊離抑制剤として、岩白菜のSCF遊離に及ぼす効果について、上記評価法により評価した。岩白菜抽出物としては、岩白菜植物体の50%エタノール抽出乾燥物を、50%エタノールに10質量%になるよう溶解したものを使用し、培地に対して、乾燥残分換算で、最終濃度で0.003〜0.03質量%になるよう添加した。
【0033】
岩白菜の植物体抽出物の濃度を変えて添加した時のSCFの遊離量を図3に示す。UVB照射により上昇するSCF遊離量が、岩白菜抽出物の添加により、濃度依存的に抑制されることが判る。さらに、岩白菜はUVB刺激で誘導された以上のSCF遊離を抑制したことから、ジャトバとは異なり、定常時に起こるSCFの遊離も抑制する作用を有することが推察された。また、図4に示すように、SCFの遊離を抑制した濃度での岩白菜抽出物の添加による細胞毒性は認められなかった。
【0034】
以下、本願SCF遊離抑制剤を各種皮膚外用組成物に配合した実施例を示す。実施例の組成における配合量は質量%を意味する。なお、本発明の皮膚外用組成物は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例3〜5(美容液)
下記組成にて美溶液を常法により調製した。
【0036】
実施例3 4 5
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(1) ジャトバ抽出物(実施例1) 2.0 − 2.0
(2) 岩白菜抽出物(実施例2) − 2.0 2.0
(3) アスコルビン酸硫酸エステル2Na塩 − 0.5 0.5
(4) エラグ酸 − − 0.5
(5) スクワラン 10.0 10.0 10.0
(6) ポリオキシエチレン(60) 1.0 1.0 1.0
硬化ヒマシ油
(7) イソステアリン酸ソルビタン 1.0 1.0 1.0
(8) セタノール 0.5 0.5 0.5
(9) イソステアリン酸 2.0 2.0 2.0
(10)ステアリン酸 0.5 0.5 0.5
(11)1、3ブチレングリコール 5.0 5.0 5.0
(12)濃グリセリン 4.0 4.0 4.0
(13)ソルビトール 2.1 2.1 2.1
(14)キサンタンガム 0.03 0.03 0.03
(15)エデト酸ナトリウム 0.05 0.05 0.05
(16)パラオキシ安息香酸メチル 0.2 0.2 0.2
(17)カルボキシビニルポリマー 0.26 0.26 0.26
(18)ジイソプロパノールアミン 0.3 0.3 0.3
(19)精製水 残 量 残 量 残 量
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0037】
実施例6〜8(スキンクリーム)
下記組成にてスキンクリームを常法により調製した。
【0038】
実施例6 7 8
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(1) ジャトバ抽出物(実施例1) 1.0 − 1.0
(2) 岩白菜抽出物(実施例2) − 1.0 1.0
(3) アルブチン 7.0 7.0 7.0
(4) ステアリン酸 1.0 1.0 −
(5) イソステアリン酸 − − 1.0
(6) モノステアリン酸グリセリン 2.0 2.0 2.0
(7) ベヘニルアルコール 2.0 2.0 2.0
(8) サラシミツロウ 1.0 1.0 −
(9) ミリスチン酸セチル 1.0 1.0 1.0
(10)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0 1.0 1.0
(11)N−ステアロイルフィトスフィンゴシン 0.1 0.1 0.1
(12)水素添加レシチン 5.0 5.0 5.0
(13)パルミチン酸レチノール 0.05 − −
(14)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0 5.0 5.0
(15)オウバク抽出物 0.1 1.0 0.1
(16)火棘抽出物 0.1 0.3 −
(17)水溶性甘草抽出物 − − 0.1
(18)1,3−ブチレングリコール 5.0 10.0 5.0
(19)濃グリセリン 5.0 5.0 5.0
(20)パラオキシ安息香酸エステル 0.2 0.2 0.2
(21)N−アセチルグルコサミンオリゴマー 0.1 0.1 0.1
(22)アスコルビン酸リン酸エステルMg塩 0.1 0.1 0.1
(23)アスコルビン酸リン酸エステルNa塩 0.1 0.1 0.1
(24)γ−アミノ酪酸 0.1 0.1 0.1
(25)N−ステアロイルグルタミン酸Na塩 0.2 0.2 0.2
(26)アルキル変性カルボキシ 0.05 0.05 0.05
ビニルポリマー*1
(27)ニコチン酸アミド 0.1 0.1 0.1
(28)ザルコシン 0.1 0.1 0.1
(29)精製水 残 量 残 量 残 量
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*1:PEMULEN TR−1(BF.Goodrich社製)
【0039】
実施例9〜10(スキンローション)
下記組成にてスキンローションを常法により調製した。
【0040】
実施例9 10
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(1) ジャトバ抽出物(実施例1) 2.0 −
(2) 岩白菜抽出物(実施例2) − 2.0
(3) アスコルビン酸−2−O−グルコシド 2.0 2.0
(4) オウバク抽出液 0.1 0.3
(5) ハイビスカスエキス 0.2 0.5
(6) 乳酸菌培養液 0.1 0.1
(7) 1,3−ブチレングリコール 5.0 5.0
(8) ジプロピレングリコール − 5.0
(9) ラフィノース 1.0 1.0
(10)エタノール − 1.0
(11)フェノキシエタノール 0.2 0.2
(12)ペクチン − 0.05
(13)キサンタンガム − 0.1
(14)クエン酸ナトリウム 0.05 0.05
(15)スギナ抽出液 0.1 0.1
(16)ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸 0.2 0.2
(17)γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸 0.2 0.2
(18)ヒアルロン酸ナトリウム 0.001 0.001
(19)グリチルリチン酸ジカリウム 0.2 0.2
(20)クリタケエキス 0.05 0.05
(21)デカルボキシカルノシン塩酸塩 0.05 0.05
(22)水酸化カリウム 0.4 0.4
(23)香料 0.02 0.02
(24)精製水 残 量 残 量
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【0041】
実施例11〜13(ジェル)
下記組成にてジェルを常法により調製した。
【0042】
実施例11 12 13
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(1) ジャトバ抽出物(実施例1) 0.5 − 0.5
(2) 岩白菜抽出物(実施例2) − 0.5 0.5
(3) エラグ酸 0.5 0.5 0.5
(4) デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0 10.0 10.0
(5) イソステアリン酸イソステアリル 1.0 − −
(6) オリーブ油 − 1.0 −
(7) マカデミアナッツ油 − − 1.0
(8) ユーカリ油 0.1 − 0.1
(9) ヘキシルデカノール 1.0 0.1 −
(10)ニコチン酸d1αトコフェロール − 0.1 −
(11)ポリオキシエチレン(60) 2.0 2.0 2.0
硬化ヒマシ油
(12)球状シリコーン粉体*2 1.0 1.0 5.0
(13)オウバク抽出物 0.1 1.0 0.1
(14)水溶性葉緑素 0.02 0.02 0.02
(15)サルビア抽出物 − 0.3 0.1
(16)1,3−ブチレングリコール 5.0 10.0 5.0
(17)ソルビトール液 3.0 3.0 3.0
(18)ポリエチレングリコール4000 1.0 1.0 1.0
(19)カルボキシビニルポリマー 0.2 0.2 0.2
(20)糖セラミド*3 0.1 0.1 0.1
(21)パラオキシ安息香酸エステル 0.2 0.2 0.2
(22)メバロノラクトン 0.5 0.5 0.5
(23)エデト酸塩 0.02 0.02 0.02
(24)水酸化カリウム 0.05 0.05 0.05
(25)精製水 残 量 残 量 残 量
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*2:トスパール(GE東芝シリコーン社製)
*3:バイオセラミド(紀文フードケミカル社製)
【0043】
実施例14〜16(親油性クリーム)
下記組成にて親油性クリームを常法により調製した。
【0044】
実施例14 15 16
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(1) ジャトバ抽出物(実施例1) 1.0 − 1.0
(2) 岩白菜抽出物(実施例2) − 1.0 1.0
(3) アスコルビン酸リン酸エステルMg塩 3.0 3.0 3.0
(4) 共変性シリコーン*4 2.0 2.0 2.0
(5) ポリオキシエチレン − 2.0 −
変性シリコーン分散液*5
(6) スクワラン − − 10.0
(7) デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0 20.0 10.0
(8) メチルポリシロキサン 5.0 2.0 3.0
(9) 長鎖分岐脂肪酸コレステリル*6 − − 3.0
(10)シリコーンエラストマー分散液*7 5.0 2.0 −
(11)オウバク抽出物 1.0 1.0 1.0
(12)甘草抽出物 0.1 0.1 0.1
(13)水溶性葉緑素 1.0 1.0 1.0
(14)塩化ナトリウム 1.0 1.0 1.0
(15)ジプロピレングリコール 5.0 5.0 5.0
(16)濃グリセリン 5.0 5.0 5.0
(17)ラフィノース 1.0 1.0 1.0
(18)パラオキシ安息香酸エステル 0.3 0.3 0.3
(19)N−メチル−L−セリン 0.5 0.5 0.5
(20)精製水 残 量 残 量 残 量
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*4:ABIL EM90(ゴールドシュミット社製)
*5:シリコーンBY22−008(東レダウコーニングシリコーン社製)
*6:YOFCO CLE−NH(日本精化社製)
*7:トレフィル(東レダウコーニングシリコーン社製)
【0045】
実施例17〜19(サンスクリーン)
下記組成にてサンスクリーンを常法により調製した。
【0046】
実施例17 18 19
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(1) ジャトバ抽出物(実施例1) 1.0 − 1.0
(2) 岩白菜抽出物(実施例2) − 1.0 1.0
(3) 4−n−ブチルレゾルシノール 0.3 0.3 0.3
(4) ジオクチルエーテル 22.0 15.0 10.0
(5) 共変性シリコーン*4 2.0 2.0 2.0
(6) トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル − − 5.0
(7) 硬化油 − − 0.1
(8) メチルフェニルポリシロキサン − 3.0 −
(9) マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル − − 2.0
(10)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル − 7.0 7.0
(11)酸化チタン 5.0 − 4.0
(12)酸化亜鉛 5.0 − 4.0
(13)オウバク抽出物 1.0 1.0 1.0
(14)塩化マグネシウム 1.0 1.0 1.0
(15)1,3−ブチレングリコール 5.0 5.0 5.0
(16)フェノキシエタノール 0.3 0.3 0.3
(17)ハイビスカスエキス 1.0 1.0 1.0
(18)アロエ抽出物 0.1 0.1 0.1
(19)酵母エキス*8 1.0 1.0 1.0
(20)精製水 残 量 残 量 残 量
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*8:ディスムチン(ペンタファーム社製)
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明のSCF遊離抑制剤は、紫外線刺激で起こる表皮角化細胞からのSCFの遊離を抑制する効果に優れたものであり、シミの予防・防止・改善を目的とした美白用皮膚外用剤として有用である。さらには掻痒および肌荒れ改善用皮膚外用剤としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ジャトバ抽出物を添加濃度を変えて処理した場合のSCFの遊離を抑制する作用を示す図である。
【図2】ジャトバ抽出物を添加濃度を変えて処理した場合に細胞毒性が無いことを示す図である。
【図3】岩白菜抽出物を添加濃度を変えて処理した場合のSCFの遊離を抑制する作用を示す図である。
【図4】岩白菜抽出物を添加濃度を変えて処理した場合に細胞毒性が無いことを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャトバ及び/又は岩白菜の抽出物からなる表皮角化細胞由来の幹細胞因子遊離抑制剤。
【請求項2】
抽出物が、親水性溶媒により抽出された抽出物であることを特徴とする請求項1記載の幹細胞因子遊離抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の幹細胞因子遊離抑制剤を含有することを特徴とする美白用皮膚外用組成物。
【請求項4】
請求項1又は2記載の幹細胞因子遊離抑制剤を含有することを特徴とする肌荒れ抑制用皮膚外用組成物。
【請求項5】
請求項1又は2記載の幹細胞因子遊離抑制剤を含有することを特徴とする掻痒用皮膚外用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−241102(P2006−241102A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61607(P2005−61607)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(504180206)株式会社カネボウ化粧品 (125)
【Fターム(参考)】