説明

UO鋼管溶接部ビード位置検出装置

【課題】UO鋼管の溶接部ビード位置を、安価で、精度よく検出することが可能なUO鋼管溶接部ビード位置検出装置を提供する。
【解決手段】UO鋼管1の軸線直下に配置されたタッチローラ6を当該UO鋼管1の外周面に当接した状態で、ターニングロール3によってUO鋼管1を周方向に回転させると、UO鋼管1の溶接部ビード2がタッチローラ6を乗り越える前後で2個1対のレーザ式変位計9の出力が変動するため、それらのレーザ式変位計9の出力変動から溶接部ビード2の入側と出側の位置を求め、その中間を溶接部ビード2の位置として算出することができる。また、2個1対のレーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値が所定値以上になる位置を溶接部ビード2の入側又は出側の位置とすることで、検出精度を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UO鋼管の溶接部ビード位置を検出するUO鋼管溶接部ビード位置検出装置に関するものであり、特にUO鋼管の溶接部ビード位置を安価で、精度よく検出するのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
UO鋼管の溶接部ビード位置を検出する従来技術としては、例えば下記特許文献1に記載されるように、レーザ式変位計を、例えばUO鋼管の上方から当該UO鋼管の外周面に対向配置し、そのレーザ式変位計の出力変化から、溶接部ビードの有無を検出し、その結果から溶接部ビード位置を検出するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−304649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されるUO鋼管溶接部ビード位置検出装置のように、UO鋼管の上方にレーザ式変位計を配設する場合、製鉄所では、種々の大きさのUO鋼管を製造するため、それらのUO鋼管の大きさに合わせてレーザ式変位計を上下方向に移動する必要があり、そのための昇降装置が必要となるばかりでなく、レーザ式変位計の昇降装置を、例えばUO鋼管の大きさの外部入力に応じて、自動的に高さ制御するシステムとしなければならず、構造が複雑で高価である。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、UO鋼管の溶接部ビード位置を、安価で、精度よく検出することが可能なUO鋼管溶接部ビード位置検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置は、UO鋼管の溶接部ビード位置を検出するUO鋼管溶接部ビード位置検出装置であって、UO鋼管の外周面に当接して当該UO鋼管を周方向に回転させる2個1対のターニングロールと、UO鋼管の軸線直下に配置され且つUO鋼管の外周面に当接した状態で当該UO鋼管の回転に伴って回転するタッチローラと、前記タッチローラを支持するタッチローラ支持台と、前記タッチローラ支持台に取付られ且つ前記タッチローラとUO鋼管との接触位置から当該UO鋼管の周方向に同じ所定距離だけ反対方向に離れた位置でUO鋼管の外周までの距離を検出する2個1対のレーザ式変位計と、前記ターニングロールによってUO鋼管を周方向に回転させながら得られた2個1対のレーザ式変位計の出力からUO鋼管の溶接部ビード位置を算出する演算処理装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の直下とは、まっすぐ下という意味である。
また、前記演算処理装置は、UO鋼管の溶接部ビードが前記タッチローラを乗り越える前後の2個1対のレーザ式変位計の出力から溶接部ビードの入側と出側の位置を求め、その中間を溶接部ビードの位置として算出することを特徴とするものである。
本発明の入側、出側は、夫々、UO鋼管を周方向に回転させたとき、その回転方向入側及び回転方向出側を意味する。
また、前記演算処理装置は、前記2個1対のレーザ式変位計の出力の微分値の絶対値が所定値以上になる位置を溶接部ビードの入側又は出側の位置とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
而して、本発明のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置によれば、UO鋼管の軸線直下に配置されたタッチローラを当該UO鋼管の外周面に当接した状態で、ターニングロールによってUO鋼管を周方向に回転させると、UO鋼管の溶接部ビードがタッチローラを乗り越える前後で2個1対のレーザ式変位計の出力が変動するため、例えばレーザ式変位計の出力変動から溶接部ビードの入側と出側の位置を求め、その中間を溶接部ビードの位置として算出すれば、UO鋼管の溶接部ビード位置を正確に精度よく検出することができ、個別の昇降装置などを必要としない分だけ、安価となる。
【0008】
また、UO鋼管の溶接部ビードがタッチローラを乗り越える前後の2個1対のレーザ式変位計の出力から溶接部ビードの入側と出側の位置を求め、その中間を溶接部ビードの位置として算出することとすれば、UO鋼管の溶接部ビード位置を正確に精度よく検出することができる。
また、2個1対のレーザ式変位計の出力の微分値の絶対値が所定値以上になる位置を溶接部ビードの入側又は出側の位置とすることとすれば、UO鋼管の溶接部ビード位置をより一層正確に精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置の一実施形態を示す詳細説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置によるUO鋼管溶接部ビード位置検出方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置の詳細を示す説明図であり、図1aは、UO鋼管1の軸線方向から見た正面図、図1bは右側面図である。図中の符号2が、UO鋼管1の溶接部ビードを示している。
【0011】
図中の符号3は、UO鋼管1の外周面に接触して当該UO鋼管1を周方向に回転させるターニングロールである。ターニングロール3であるから、図1aの紙面垂直方向に長手である。本実施形態では、外径が同じ2個1対のターニングロール3を所定距離だけ離して、同じ高さに配設した。従って、これらのターニングロール3の上にUO鋼管1を搭載すると、その軸線は、2個のターニングロール3の丁度真ん中の鉛直面P上に位置する。また、図の左側のターニングロール3には、図示しない回転駆動源を接続すると共にロータリエンコーダなどのパルス発信器4を取付けた。ターニングロール制御盤5は、後述する演算処理装置13からの指令に応じて、前記パルス発信器4からのパルスを受信して、図示しない回転駆動源を制御することにより、図示左方のターニングロール3の回転状態を制御する。
【0012】
2個1対のターニングロール3の真ん中にはタッチローラ6を配設されている。このタッチローラ6は、比較的長さの短い円筒体であり、UO鋼管1の外周面に沿った倣い動作をスムーズにするために、図1bに明示するように、UO鋼管1の軸線方向に、少し離して2個1対配設した。これらのタッチローラ6は、軸受7を介して、共通のタッチローラ支持台8に取付けられている。その結果、タッチローラ6は、UO鋼管1の軸線直下(まっすぐ下の意)に位置し、UO鋼管1の外周面に当接した状態で、前記ターニングロール3によってUO鋼管1を周方向に回転させると、それに伴ってタッチローラ6も回転する。なお、タッチローラ6の外径については、後段に詳述する。
【0013】
前記タッチローラ支持台8上には、前記2個1対のタッチローラ6の間に、2個1対のレーザ式変位計9が配設されている。2個のレーザ式変位計9は、図1aに明示するように、UO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pに対して互いに逆方向で且つ当該鉛直面Pから等距離の位置に配設されている。従って、2個1対のターニングロール3上にUO鋼管1が搭載され且つタッチローラ6がUO鋼管1の外周面に当接していると、2個のレーザ式変位計9は、UO鋼管1の軸線直下から所定距離離れた部位のUO鋼管1の外周面までの距離を検出することになる。本実施形態では、理解を容易にするために、ターニングロール3によってUO鋼管1を周方向に回転させたとき、例えば図1aの矢印方向、即ち図の左から右にUO鋼管1の下部を回転させた場合に、溶接部ビード2がタッチローラ6に乗り上げる以前に溶接部ビード2までの距離を全て検出することができ、且つ溶接部ビード2がタッチローラ6に乗り上げると同時にUO鋼管1の外周面までの距離を検出できる位置に図示左側のレーザ式変位計9を配設するものとする。UO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pまでの距離は、どちらのレーザ式変位計9も同じなので、図示右側のレーザ式変位計9は、UO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pを対称線として、図示左側のレーザ式変位計9と線対称な位置に配設されている。なお、図1bに示すように、2個のレーザ式変位計9をUO鋼管1の軸線方向に離して配設しているが、軸線方向に離す必要はない。
【0014】
前記タッチローラ支持台8は、エアシリンダ10のシリンダロッド11の先端に接続され、エアシリンダ10は測定基部12に固定されている。また、測定基部12とタッチローラ支持台8の間に2本のシリンダガイド14が配設されている。このエアシリンダ10のシリンダロッド11を伸縮するとタッチローラ支持台8が昇降され、タッチローラ支持台8を上昇させた状態でタッチローラ6がUO鋼管1の外周面に当接する。本実施形態では、エアシリンダ10は、溶接部ビード2を含むUO鋼管1の外周面にタッチローラ6を所定の押力で押当させるものとした。つまり、UO鋼管1の重量は大きいので、UO鋼管1の外周面が移動して溶接部ビード2がタッチローラ6に当接すると、UO鋼管1の重量にエアシリンダ10の押力が負けてタッチローラ6を含むタッチローラ支持台8が下方に押し下げられ、これによりタッチローラ6及びタッチローラ支持台8は上下方向に移動可能としてある。
【0015】
前記2個1対のレーザ式変位計9の出力は演算処理装置13に入力される。この演算処理装置13では、後述する原理に基づいた演算処理を、例えばプログラミングによって行い、UO鋼管1の溶接部ビード2の位置を算出する。演算処理装置13では、レーザ式変位計9の出力を入力し、その入力値を微分し、その微分値の絶対値が所定値以上であるか否かを判定し、微分値の絶対値が所定値以上である場合にハイレベル、所定値未満である場合にローレベルとなるオンオフ信号を算出する。
【0016】
例えば、図1aのように、溶接部ビード2がタッチローラ6に乗り上げておらず、どちらのレーザ式変位計9によっても、溶接部ビード2までの距離が検出されていない状態で、ターニングロール3によってUO鋼管1を図の矢印方向、即ち周方向に回転させると、2つのレーザ式変位計9がUO鋼管1の外周面までの距離を検出している限り、図2に示すように、レーザ式変位計9の出力は一定となる。
【0017】
この状態から、溶接部ビード2が図1の左側のレーザ式変位計9に接近し、その回転方向入側端部までの距離が当該左側のレーザ式変位計9によって検出され始めると、図2に示すように、左側レーザ式変位計9の出力値、即ち溶接部ビード2間での距離が次第に小さくなる。このときの左側レーザ式変位計9の出力の微分値は負値である。溶接部ビード2の断面形状は、図1aに示すような、半楕円弧状或いは半長円弧状なので、左側レーザ式変位計9の出力の微分値は、溶接部ビード2までの距離を検出し始めた初期が最も大きくなる。そこで、この左側レーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値が所定値以上となる(図では微分値が負値なので所定値以下となっているように表れる)と左側オンオフ信号がハイレベルになる。
【0018】
前述のように、溶接部ビード2の断面形状は半楕円弧状又は半長円弧状なので、左側レーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値は、比較的速やかに小さくなり、所定値未満となるので、左側レーザ式変位計9の出力の微分値が所定値未満となったときに、左側オンオフ信号がローレベルに切替わる。その後、左側レーザ式変位計9で検出される溶接部ビード2までの距離が大きくなり始めると、左側レーザ式変位計9の出力の微分値は正値となり、次第に絶対値が大きくなる。
【0019】
前述のように、本実施形態では、溶接部ビード2の回転方向入側部がタッチローラ6に乗り上げると同時に左側レーザ式変位計9はUO鋼管1の外周面を検出するように左側レーザ式変位計9を配設し、右側レーザ式変位計9は、UO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pに対して、左側レーザ式変位計9と線対称な位置に配設されているので、溶接部ビード2のタッチローラ6への乗り上げと同時にUO鋼管1の外周面が2個のレーザ式変位計9から遠ざかり、左右のレーザ式変位計9の出力値、即ちUO鋼管1の外周面までの距離が大きくなる。このとき、タッチローラ6及びタッチローラ支持台8は溶接部ビード2によって(本質的にはUO鋼管1の重量によって)下方に押し下げられた状態となる。
【0020】
このときも、溶接部ビード2の断面形状は半楕円弧状又は半長円弧状なので、2個のレーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値は、溶接部ビード2がタッチローラ6に乗り上げた直後が最も大きく変動して速やかに大きくなり、所定値以上となるので、右側レーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値が所定値以上となったときに、右側オンオフ信号がハイレベルになる。この右側レーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値は、比較的速やかに小さくなり、所定値未満となるので、右側レーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値が所定値未満となったときに、右側オンオフ信号がローレベルに切替わる。
【0021】
溶接部ビード2の中央部がタッチローラ6を通過すると、タッチローラ6及びタッチローラ支持台8の溶接部ビード2による押し下げ量が次第に小さくなるので、2個のレーザ式変位計9の出力値、即ちUO鋼管1の外周面までの距離は次第に小さくなり、タッチローラ6への乗り上げ位置が溶接部ビード2の回転方向出側に近づくにつれて、2個のレーザ式変位計9の出力の微分値は次第に小さくなり、溶接部ビード2の回転方向出側がタッチローラ6から乗り落ちる直前に2個のレーザ式変位計9の出力の微分値が最も大きく変動して速やかに小さくなり、左側レーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値が所定値以上となったときに左側オンオフ信号がハイレベルとなり、その後に溶接部ビード2がタッチローラ6から外れて左側レーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値が所定値未満となると左側オンオフ信号がローレベルに切替わる。
【0022】
一方、溶接部ビード2がタッチローラ6から外れた直後から右側レーザ式変位計9は溶接部ビード2までの距離を検出するが、断面半楕円弧状又は半長円弧なので、右側レーザ式変位計9で検出される溶接部ビード2が中央部を越えると距離が大きくなり始め、それに伴って右側レーザ式変位計9の出力の微分値は正値となり、次第に絶対値が大きくなる。この右側レーザ式変位計9の出力の微分値は、溶接部ビード2の回転方向出側端部が通過する直前に著しく大きくなるので、その値が所定値以上となったときに右側オンオフ信号がハイレベルとなり、溶接部ビード2の回転方向出側端部が通過すると、右側レーザ式変位計9の出力の微分値が所定値未満となって右側オンオフ信号がローレベルに切替わる。
【0023】
演算処理装置13では、図示しない演算処理を行って、左側レーザ式変位計9の出力及び右側レーザ式変位計9の出力の形態をモデルマッチングし、その出力形態がモデルマッチングしている場合には、左側オンオフ信号の1回目のハイレベルから右側オンオフ信号の2回目のハイレベルまでのパルスをカウントしながらUO鋼管1の回転状態をトラッキングし、当該左側オンオフ信号が1回目にハイレベルになったときのパルスと右側オンオフ信号が2回目にハイレベルになったときのパルスの真ん中に相当するパルス位置を溶接部ビード2の中央部であると算出する。前述のように、左側オンオフ信号が1回目にハイレベルになるのは左側レーザ式変位計9が溶接部ビード2の回転方向入側端部を検出したときであり、右側オンオフ信号が2回目にハイレベルになるのは右側レーザ式変位計9が溶接部ビード2の回転方向出側端部を検出したときである。即ち、本実施形態では、2個1対のレーザ式変位計9の出力から溶接部ビード2の回転方向入側端部及び出側端部を求め、その中間を溶接部ビード2の位置として算出している。
【0024】
このように本実施形態のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置では、UO鋼管1の軸線直下に配置されたタッチローラ6を当該UO鋼管1の外周面に当接した状態で、ターニングロール3によってUO鋼管1を周方向に回転させると、UO鋼管1の溶接部ビード2がタッチローラ6を乗り越える前後で2個1対のレーザ式変位計9の出力が変動するため、それらのレーザ式変位計9の出力変動から溶接部ビード2の入側と出側の位置を求め、その中間を溶接部ビード2の位置として算出することができ、そのようにすることでUO鋼管1の溶接部ビード位置を正確に精度よく検出することができ、個別の昇降装置などを必要としない分だけ、安価となる。
【0025】
また、UO鋼管1の溶接部ビード2がタッチローラ6を乗り越える前後の2個1対のレーザ式変位計9の出力から溶接部ビード2の入側と出側の位置を求め、その中間を溶接部ビード2の位置として算出することにより、UO鋼管1の溶接部ビード位置を正確に精度よく検出することができる。
また、2個1対のレーザ式変位計9の出力の微分値の絶対値が所定値以上になる位置を溶接部ビード2の入側又は出側の位置とすることにより、UO鋼管1の溶接部ビード位置をより一層正確に精度よく検出することができる。
【0026】
なお、前記実施形態では、理解を容易にするために、溶接部ビード2の回転方向入側部がタッチローラ6に乗り上げると同時に左側レーザ式変位計9はUO鋼管1の外周面を検出するように左側レーザ式変位計9を配設し、右側レーザ式変位計9は、UO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pに対して、左側レーザ式変位計9と線対称な位置に配設するものとした。しかし、前述のように、2個1対のレーザ式変位計9のうち、回転移動される溶接部ビード2を先に検出するレーザ式変位計9で当該溶接部ビード2の回転方向入側端部位置を検出し、回転移動される溶接部ビード2を後から検出するレーザ式変位計9で当該溶接部ビード2の回転方向出側端部位置を検出すればよいのであるから、必ずしも溶接部ビード2がタッチローラ6に乗り上げると同時に、何れかのレーザ式変位計がUO鋼管1の外周面を検出するようにする必要はない。
【0027】
但し、前記タッチローラ6の外径が小さ過ぎると、溶接部ビード2への衝突などにより、エアシリンダ10にダメージを与える恐れがある。また、タッチローラ6の外径が大き過ぎると、例えば前記左側レーザ式変位計9が溶接部ビード2の回転方向入側端部までの距離を検出する前に、溶接部ビード2がタッチローラ6に乗り上げてしまい、溶接部ビード2の回転方向入側端部を検出することが困難になってしまう。これらのことから、タッチローラ6の外径を適切に設定する必要がある。
【0028】
また、レーザ式変位計9とUO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pとの距離が小さ過ぎると、前記タッチローラ6の外径が大き過ぎる場合と同様にして、溶接部ビード2の端部を検出することが困難になってしまう。また、レーザ式変位計9とUO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pとの距離が大き過ぎると、UO鋼管1の真円度誤差の影響や、鋼管外径変動による曲率の影響によって、レーザ変位計9の計測可能範囲を越えてしまう可能性がある。これらのことから、レーザ式変位計9とUO鋼管1の軸線が存在する鉛直面Pとの距離も適切に設定する必要がある。
【0029】
また、レーザ式変位計9の出力の微分演算については、レーザ式変位計9のアナログ出力をハード的に処理してもよいし、A/D変換後、ソフト的に処理してもよい。
また、前記実施形態では、レーザ式変位計9の出力を微分処理することで溶接部ビード2の入側及び出側端部を検出することとしたが、これに限定されるものではなく、例えばレーザ式変位計9の出力そのものを予め設定した閾値と比較して溶接部ビード2の入側及び出側端部を検出するようにしてもよい。但し、レーザ変位計9の出力値は経時的にドリフトする恐れがあるため、微分処理した方が長期的に安定した検出が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1はUO鋼管、2は溶接部ビード、3はターニングロール、4はパルス発信器、5はターニングロール制御盤、6はタッチローラ、7は軸受、8はタッチローラ支持台、9はレーザ式変位計、10はエアシリンダ、11はシリンダロッド、12は測定基部、13は演算処理装置、14はシリンダガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UO鋼管の溶接部ビード位置を検出するUO鋼管溶接部ビード位置検出装置であって、UO鋼管の外周面に当接して当該UO鋼管を周方向に回転させる2個1対のターニングロールと、UO鋼管の軸線直下に配置され且つUO鋼管の外周面に当接した状態で当該UO鋼管の回転に伴って回転するタッチローラと、前記タッチローラを支持するタッチローラ支持台と、前記タッチローラ支持台に取付られ且つ前記タッチローラとUO鋼管との接触位置から当該UO鋼管の周方向に同じ所定距離だけ反対方向に離れた位置でUO鋼管の外周までの距離を検出する2個1対のレーザ式変位計と、前記ターニングロールによってUO鋼管を周方向に回転させながら得られた2個1対のレーザ式変位計の出力からUO鋼管の溶接部ビード位置を算出する演算処理装置とを備えたことを特徴とするUO鋼管溶接部ビード位置検出装置。
【請求項2】
前記演算処理装置は、UO鋼管の溶接部ビードが前記タッチローラを乗り越える前後の2個1対のレーザ式変位計の出力から溶接部ビードの入側と出側の位置を求め、その中間を溶接部ビードの位置として算出することを特徴とする請求項1に記載のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置。
【請求項3】
前記演算処理装置は、前記2個1対のレーザ式変位計の出力の微分値の絶対値が所定値以上になる位置を溶接部ビードの入側又は出側の位置とすることを特徴とする請求項2に記載のUO鋼管溶接部ビード位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−149777(P2011−149777A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10385(P2010−10385)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】