説明

VODシステム

【課題】デジタル放送局に限定受信機能を有したVODサービスを安価に導入する。
【解決手段】放送用送出システム単位に放送用送出システムを識別するHE識別番号を付与し、各放送用送出システムからHE識別番号とワーク鍵を受信する。VODコンテンツをスクランブルする際、スクランブル鍵はコンテンツ単位に固定かつ全放送用送出システムで共通とするが、コンテンツに付随して送出する共通情報は各放送用送出システム用に別個にそれぞれのワーク鍵を使って生成する。スクランブルされたコンテンツとHE識別番号毎に生成された複数の共通情報をVODサーバに蓄積し、受信者からリクエストに応じて、識別した受信者(受信機)の属する放送システムに対応した共通情報とスクランブルされたコンテンツとを多重して送出する。これにより、同一の限定受信システムを導入している異なる放送事業者において、VODシステムを共用することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴者からのリクエストに応じてコンテンツを送出するVOD(ビデオ・オン・デマンド)システムにおいて、特にコンテンツをスクランブルして送出するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル映像配信の分野では、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスは、視聴者が見たい時に見たい番組を視聴できるサービスとして、近年のサーバの低価格化と相まって、有力なサービスとして注目されている。特にデジタルCATVにおいては、双方向通信が可能で加入者数が一定範囲内であるという点からVODが導入しやすく、他のデジタル衛星放送などとの差別化サービスという点からも高く注目されている。
【0003】
このサービスを実現する時、センタ側から受信機に向けてVODリクエストされたコンテンツを送出するが、リクエストを送った受信機のみ視聴可能としそれ以外の受信機は視聴出来なくする必要がある。そのため、現在では送出するコンテンツを鍵でスクランブルし、この鍵を正当な受信機のみに送付するという仕組みで実現している。この仕組みを限定受信と言い、一般のデジタル放送サービスでは広く導入されている。
【0004】
前述の通り、VODサービスにおいても通常の放送サービスと同等な限定受信機能(非特許参考文献1参照)を導入する必要がある。そのためこれまでは、送出側および受信機側それぞれで放送サービス用とVODサービス用との複数の限定受信機能を実装していたが、装置が大規模となり高コストとなる要因となっていた。
【0005】
また、放送サービスを実施している複数の放送局やCATV局が同一の限定受信方式を導入していても他システムの受信機を排除するためにシステム毎にワーク鍵が異なる仕組みをとっており、VODシステムを共有することが出来ず別個にVODシステムやそれに伴う限定受信設備を導入する必要があり、これも高コストの要因となっていた。
【0006】
なお、通常の放送サービスにおける限定受信方式では、受信機個別の視聴許可条件を与える個別情報と、番組単位で視聴条件を与える共通情報により機能を実現する。受信機側ではこれらの情報を参照、比較することにより視聴可否を判定する。そのため、送出側では個別情報生成部と共通情報生成部およびこれらを統括制御する制御部などの装置が必要になっていた。
【0007】
個別情報には、システム毎にユニークであるワーク鍵と視聴許可条件データが格納されており、個別情報全体は受信機毎にユニークであるマスタ鍵で暗号化されている。一方、共通情報には、実際に番組をスクランブルするスクランブル鍵と番組毎の視聴条件データが格納されており、共通情報全体はワーク鍵で暗号化されている。つまり、ワーク鍵によりシステム毎の排他を実現している。
【非特許文献1】(社)電波産業会「デジタル放送におけるアクセス制御方式標準規格」ARIB STD−B25 4.1版 15頁、20頁〜25頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、VODシステムに限定受信機能を導入する際に、低コストで導入出来ない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、VODサービスでの限定受信機能を低コストで導入するために、スクランブル制御部は共通情報を、VODサービスとは異なる通常の放送サービスで使用される共通情報と同一の形式で作成しさらに同一のワーク鍵で暗号化し、受信機からのリクエストに応じてVODサーバからコンテンツと共に送出する。これにより、受信機側では共通情報からデスクランブル鍵を抽出する限定受信復号部を共通とすることを特徴とする。
【0010】
また、スクランブル制御部は共通情報を作成する際に、異なる複数の放送サービス用限定受信システムからそれぞれ異なるワーク鍵と放送局を識別する番号を受け取り、受信機側でデスクランブルする際に必要なスクランブル鍵を含む同一の情報に対し、それぞれのワーク鍵で暗号化した複数の共通情報を作成する。VOD制御部ではリクエスト送信してきた受信機がどのヘッドエンドに属するかを識別し、そのヘッドエンドに応じた共通情報をコンテンツと共に送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のVODシステムでは、VODサービスに限定受信機能を導入する際に、すでに導入されている放送サービス用限定受信と同一の方式を採用しワーク鍵を共用することにより、限定受信設備の一部を放送サービス用と共用することが可能となり、低コストでの導入が可能となる。また、複数の異なる放送局間でVODシステムや限定受信設備を共用することも可能となるので、効果が一層高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明のVODシステムをデジタルCATVシステムに適用した場合の図であり、まずその構成要素について説明する。
【0014】
1はVODシステムである。VODシステムは本来図示する以上に詳細な構成からなるが、本件発明と関係する部分のみ説明し、それ以外の構成要素については概略のみを説明するものとする。
【0015】
コンテンツ供給部11は配信ネットワーク10を通じて送られてくるコンテンツを受信・蓄積する。次いで、通常の限定受信を行わないVODサービスの場合は、コンテンツはコンテンツ供給部11からVODサーバ12に直接送られる。しかし、本件発明ではコンテンツはスクランブルするためスクランブラ20に送られる。
【0016】
スクランブラ20は、コンテンツを予め定められたデータブロック単位にスクランブル処理を行う。スクランブルするためのスクランブル鍵はスクランブル制御部21より送られてくる。また、スクランブラ20は必要に応じスクランブル制御部21より送られてきた共通情報をコンテンツへ多重処理も行う。
【0017】
VODサーバ12はスクランブルされたコンテンツをスクランブラ20より受信し、コンテンツを蓄積する。
【0018】
VOD制御部13はVODシステム全体の制御を行う。VOD制御部13では、VODコンテンツ供給部11から供給されるコンテンツをVODサーバ12に蓄積するまでの一連の制御を行うため、サーバ蓄積指示などを各機器に送出する。さらに、VOD制御部13では、VODサービスを受けようとする受信機からのリクエストを受け付け、視聴許可の判定を行い視聴可能であればVODサーバ12にコンテンツ送出指示を行うとともに送出条件をVOD送出部14に設定する。
【0019】
VOD送出部14はVOD制御部13からの指示に従い、送出するコンテンツを所定の送出周波数に変調するなどして伝送路を経由して受信機15へ送出する。
【0020】
受信機15は、放送サービスやVODサービスを受信・デスクランブルしてテレビジョンなどの映像表示装置へ映像信号を送出するものである。また、VODサービスにおいてはリモコンなどから視聴者のリクエストを受け、VOD制御部13に向けてリクエスト信号を送出する。
【0021】
復号部16は受信機に付随あるいは内蔵されており、共通情報からスクランブル鍵の取り出しを行い、受信機15に返す。
【0022】
限定受信制御部2はスクランブル制御部21と共通情報生成部22からなる。
【0023】
スクランブル制御部21はスクランブル処理全体の制御を行う。放送用送出システム30の限定受信設備から該当限定受信用のワーク鍵を受け取り、前記ワーク鍵とコンテンツ単位に内部で生成したスクランブル鍵と予め設定されたVOD番組情報とを共通情報生成部22に送る。その後、共通情報生成部22から共通情報を応答として受け取り、その共通情報とスクランブル鍵をスクランブラ20に送る。
【0024】
共通情報生成部22は、スクランブル制御部21から設定されたワーク鍵、スクランブル鍵、およびVOD番組情報をもとに共通情報を生成する。生成方法は、スクランブル鍵とVOD番組情報を一体化しそれをワーク鍵で暗号化する。このように生成した共通情報をスクランブル制御部21に返信する。
【0025】
放送用送出システム30は、通常のデジタル放送サービスを行うための設備であり、限定受信機能も有している。放送用送出システムは本来図示する以上に詳細な構成からなるが、本件発明と関係する部分のみ説明し、それ以外の構成要素については概略のみを説明するものとする。
【0026】
次に、図1を用いて本発明のVODシステムの処理内容について説明する。
【0027】
まず、VODコンテンツが配信ネットワーク10を通じコンテンツ供給部11に送られてくる。
【0028】
コンテンツ供給部11はコンテンツを受信し終わると一旦蓄積後、そのコンテンツをスクランブラ20に送る。
【0029】
スクランブラ20はコンテンツを受信し終わるとスクランブルするための鍵が必要となるので、スクランブル制御部21に対して鍵要求信号を送る。
【0030】
スクランブル制御部21は予め放送用送出システム30の限定受信設備からワーク鍵を受け取っておく。鍵要求信号を受けたスクランブル制御部21は、前記ワーク鍵を共通情報生成部22に設定する。次いで、そのコンテンツをスクランブルするためのスクランブル鍵を生成する。このスクランブル鍵の内容は特に制限はなく、乱数でもよいしPN符号列から生成したものでもよい。次いでスクランブル制御部21は生成した前記スクランブル鍵と別途GUIなどで設定されたりもしくはコンテンツ属性を示すメタデータに記載されたVOD番組情報を共通情報生成部22におくる。
【0031】
共通情報生成部22はスクランブル鍵とVOD番組情報から平文の共通情報を生成し、その共通情報を予め設定されたワーク鍵で暗号化してスクランブル制御部21に返信する。
【0032】
ここで共通情報について図2で説明する。
【0033】
共通情報とはコンテンツに付随したデータであり、番組毎に視聴許可条件を与えるもので、一般の放送用共通情報は50に示すようにそのコンテンツをスクランブルするスクランブル鍵と視聴許可番号からなる。視聴許可番号はチャンネル毎や番組毎などの課金単位に、放送用送出システム30に設置された限定受信設備上で付与される。
【0034】
視聴許可番号は、共通情報とは別に受信機毎に個別情報51でも送られており、受信機内では個別情報で送られてきて内部で保持する視聴許可番号と番組に付随して送られてくる共通情報の視聴許可番号が一致すればその番組をデスクランブルして視聴可能とするものである。このように限定受信機能実現のためには、受信機個別に視聴許可を与える個別情報と、番組に付随して番組毎の視聴許可条件を与える共通情報が必要である。
【0035】
なお、個別情報および共通情報は、ISO−13818−1(MPEG2―Systems)に規定されるデジタル放送のトランスポートストリームパケットとして映像信号などと多重されて放送局側から受信機側に送られる。受信機側では図1の16に示す受信機15に付随する復号部16内に蓄積され、ここで蓄積された視聴許可番号と共通情報で送られてきた視聴許可番号が比較される。
【0036】
個別情報51は、受信機に唯一に割り当てられた受信機番号とワーク鍵と該当受信機に視聴を許可する視聴許可番号からなる。 図2では、この受信機が視聴出来るのは、視聴許可番号(1),(3),(100),(101)であり、共通情報50は視聴許可番号(1)を含むので、この受信機はこの共通情報50が付随する番組は視聴できることになる。
【0037】
このように放送用に個別情報と放送用共通情報50が送られており、一般放送の場合はこちらを参照することになる。
【0038】
この時、VODサービスにおける個別情報はVODシステム専用に送るのではなく、放送用送出システムから放送用に送られている個別情報と共用することとする。例えば、個別情報51では、放送サービス用の視聴許可番号(1)(3)とVODサービス用の視聴許可番号(100)(101)を合わせて送っている。
【0039】
VOD用共通情報52で視聴許可番号(100)を送ると、VOD/放送共用の個別情報51を受信する受信機ではこのVOD用共通情報52が付随する番組は視聴可能となる。
【0040】
このように、個別情報を放送用と共用する事により、VODシステム用の個別情報送出設備が不要となり、効果が大きい。
【0041】
このためには、視聴許可番号が放送用とVOD用で重複しないように付与することが必要であり、本実施の形態では(100)番以上をVOD番組に割り当てている。
【0042】
暗号化された共通情報を受信したスクランブル制御部21は前記共通情報とスクランブル鍵をスクランブラ20に送る。
【0043】
スクランブラ20では送られたスクランブル鍵によりコンテンツを一定のデータブロック単位でスクランブル処理する。この時、スクランブル処理と合わせて共通情報をコンテンツに多重すれば、VODサーバ12では共通情報をコンテンツデータと別個に処理する必要がなくなり、VODシステムとしてはコンテンツデータのみを管理すればよいと言う効果がある。
【0044】
なお、共通情報をコンテンツに多重する際、受信機側でコンテンツ受信時のスクランブル鍵の取り出しを容易にするため、通常は一定の周期で多重する。しかし、共通情報を一定周期で多重すると時刻情報の補正が必要となりスクランブラの処理が増大する。これに対し、共通情報をコンテンツの冒頭部分など時刻誤差は無視出来る程度の特定の部分にのみ多重すれば時刻補正処理は不要となる。この場合は、スクランブル鍵をコンテンツで固定とすることにより、受信機側では一旦デスクランブル鍵を取り出せば以降は取り出し処理が不要となり、共通情報を周期的に多重するのと同様の効果がある。
【0045】
そして、スクランブルされたコンテンツはスクランブラ20からVODサーバ12に送られ蓄積される。
【0046】
以上が、VODサービスのためのコンテンツ蓄積までの流れである。
【0047】
続いて、受信機15でVODコンテンツを視聴できるまでの流れを説明する。
【0048】
受信機15では視聴者がリモコンなどを操作することにより、視聴したいVODコンテンツを選択し、そのリクエスト信号が伝送路を介してVOD制御部13へ送られてくる。
【0049】
VOD制御部13では、受信機番号や送出帯域の空きなどを確認し、受信機がVODサービス視聴権利があり、かつ送出可能と判断すれば、コンテンツを特定してVODサーバ12へ送出指示を送る。同時にVOD送出部14に対して、送出するストリーム識別や周波数帯域などの送出条件を指示し、VOD送出部14は指示された条件でVODコンテンツを伝送路へ送出する。
【0050】
また、VOD制御部13は、VOD送出部14に設定した送出条件を、受信機15にも通知し、受信機15ではその送出条件により送られてくるコンテンツを受信する。
【0051】
VOD制御部13より送出指示を受けたVODサーバ12は、指示されたコンテンツを再生し、VOD送出部14から伝送路を経由して受信機15へ送出する。
【0052】
受信機15では、VOD制御部13から指示された送出条件によりVOD送出部14から送られてくる信号を受信する。そして、前記信号の中から共通情報を抽出し受信機15に付設あるいは内蔵される限定受信復号部16へ送る。限定受信復号部16では、前記共通情報を事前に個別情報で送り込まれ内部に保持するワーク鍵で復号したあと、事前に書き込まれた個別情報と比較し、前述の通り視聴許可番号で一致するものがあれば視聴可能と判断し、共通情報に記載されているスクランブル鍵を受信機15に応答する。受信機15ではこのスクランブル鍵により、送られてくるコンテンツをデスクランブルし正常な映像が視聴可能となる。
【0053】
また、スクランブラ20においてスクランブル処理する際に、特定のデータブロックを非スクランブルのままとすることも可能である。VODサーバ12では視聴者からの要望に応じ早送り/巻戻しなどの特殊再生ファイルを作成する必要があるが、そのためにはコンテンツ内のインデックスデータブロックは非スクランブルである必要があるためである。これによりスクランブル処理されている本編コンテンツから特殊再生ファイルを作成することが可能となり、VODサービスにおける限定受信機能と特殊再生機能が両方実現出来る。
【0054】
(実施の形態2)
続いて本発明の第2の実施形態について図3で説明する。
【0055】
第2の実施形態においても、構成は図1と同様であるため、詳細な機器の説明は割愛する。第2の実施形態で第一の実施形態と異なるのは、一つのVODシステム1に対してこれを使用する放送局またはCATV局が複数存在することであり、放送用システム30が30−1から30−nまで複数存在することである。
【0056】
放送用システム30−1〜nはそれぞれ同一方式の限定受信システムを採用しており、限定受信に使用するワーク鍵がそれぞれ異なっている。
【0057】
また、本実施の形態2では、共通情報をスクランブラ20でコンテンツに多重するのではなく、スクランブル制御部21からVOD制御部13へ送り、VODシステム側でコンテンツ送出時に多重するものとする。
【0058】
VODコンテンツをスクランブルするときのシーケンスを図4で説明する。
【0059】
まず、スクランブルに先立ち、各放送用システム30−1〜nは、それぞれユニークに割り当てられたHE識別番号(HE−ID)とワーク鍵(Kw)をスクランブル制御部21に通知する<S1>。
【0060】
スクランブル制御部21はHE識別番号(HE−ID)とワーク鍵(Kw)の組を放送用システムの分だけ記憶しておく。本実施例だとn個になる。
【0061】
次に、コンテンツがスクランブラ20に送られてくるとスクランブラ20から鍵要求信号がスクランブル制御部21に送られてくる<S2>。
【0062】
スクランブル制御部21では、保持しているワーク鍵の中から第一の放送用送出システムのワーク鍵(Kw1)を取りだしそれを共通情報生成部22に送る。続いて、生成した全HE共通のスクランブル鍵(Ks)とVOD番組情報(AC)を共通情報生成部22に送る。
【0063】
これを受け取った共通情報生成部22では、視聴のための共通情報(ECM1)を生成し、スクランブル制御部21に返信する。<S3−1>。
【0064】
これによりスクランブル制御部21は第一の放送用送出システム用の共通情報(ECM1)を得る。
【0065】
この手順を、保持している全ての放送用送出システムの分だけ繰り返し、すべての放送用送出システムに対応したVOD用共通情報(ECM1〜n)を得る<S3−2>〜<S3−n>。
【0066】
その後スクランブル制御部21は、前記スクランブル鍵(Ks)をスクランブラ20に送る<S4>。
【0067】
スクランブラ20では、コンテンツを全HE共通の送られてきた前記スクランブル鍵(Ks)でスクランブルを行う。
【0068】
一方、各放送用送出システム用の共通情報(VOD用共通情報(ECM1〜n))とHE識別番号(HE−ID)の組は、スクランブル制御部21からVOD制御部13を介してVODサーバ12へ送られる。
【0069】
VODサーバ12では別途スクランブラ20から送られてくるコンテンツと、前記コンテンツに対応したHE識別番号(HE−ID)とVOD用共通情報(ECM1〜n)の組を蓄積しておく。
【0070】
なお、この時スクランブル制御部21からVOD制御部13へ送られるHE識別番号(HE−ID)とVOD用共通情報(ECM1〜n)の組は、通常は全ての組を送る。しかし、あらかじめスクランブル制御部21でコンテンツ毎にどの放送局に配信するかを設定し、設定された放送局用のVOD用共通情報(ECM1〜n)のみを作成してVOD制御部13へ送るようにすることにより、放送局別のコンテンツ運用が可能となる。
【0071】
さらに、配信放送局をスクランブル制御部21で設定するのではなく、配信ネットワーク10を通じてコンテンツに付随して送られてくるコンテンツ属性を示すメタデータに記述することも可能である。スクランブル制御部21は、メタデータに記載されている放送局用のVOD用共通情報(ECM)のみを作成することになる。これによりどの放送局に配信するかというコンテンツ運用をコンテンツの供給者側で決定出来る。
【0072】
VOD制御部13は配下の受信機番号とその受信機がどの放送用送出システム配下であるかを個別に管理している。
【0073】
そして、受信機15からVOD視聴のリクエストを受信すると、その受信機がどの放送用送出システムに属しているか、また要求されたコンテンツの視聴権利があるかを判別し、送出可能であればVODサーバ12に対してコンテンツ番号、HE識別番号(HE−ID)を通知する。
【0074】
VOD制御部13で管理する情報を図5により説明する。
【0075】
受信機情報テーブル40は受信機毎に管理する情報である。受信機毎に受信機番号、その受信機が所属するHE識別番号(HE−ID)および視聴出来る番組を示す視聴許可番号からなる。
【0076】
コンテンツ情報テーブル41はコンテンツ毎に管理する情報であり、コンテンツ番号とそのコンテンツ毎の視聴許可番号からなる。
【0077】
受信機15からはVOD番組視聴リクエストとして、受信機番号とコンテンツ番号が送られてくる。
【0078】
VOD制御部13では、まずコンテンツ情報テーブル41よりリクエストされたVODコンテンツに係わる視聴許可番号を得る。例えば、受信機番号0000002の受信機からコンテンツ番号1002がリクエストされたとする。コンテンツ情報テーブル41よりコンテンツ番号1002に対する視聴許可番号は101であることがわかる。
【0079】
次に受信機情報テーブル40によりリクエストをしてきた受信機がそのコンテンツを視聴する権利があるかを判定する。上記の例だと、受信機番号000002の受信機は視聴許可番号101を有しており、リクエストしてきたコンテンツ番号1002は視聴可能である。
【0080】
最後に、視聴可能と判断した場合に、コンテンツ番号と前記リクエストしてきた受信機が所属する放送システムの番号(HE識別番号)をVODサーバ12に通知する。この例では、コンテンツ番号1002とHE識別番号01を送ることになる。
【0081】
VODサーバ12では指定されたコンテンツ番号とHE識別番号(HE−ID)で指定された前記コンテンツに対応する共通情報(ECM)を多重してVOD送出部14へ送出する。
【0082】
以上により、異なる放送設備を有するCATV局などの放送局間でVODシステムを共有することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
上記の通り、本発明では、既にデジタル放送用限定受信システムを導入しているCATV局が新たにVODサービスを導入する場合に、放送用で使用している限定受信システムの一部をそのままVODサービスにも適用出来る。
【0084】
さらに、異なるデジタルCATV放送局などの放送用送出システム間で同一のVODシステムを共有することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1におけるシステム構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1における共通情報を示した模式図
【図3】本発明の実施の形態2におけるシステム構成を示すブロック図
【図4】実施の形態2におけるシーケンスを示した図
【図5】実施の形態2におけるVOD制御部の管理する情報を示した図
【符号の説明】
【0086】
1 VODシステム
12 VODサーバ
13 VOD制御部
20 スクランブラ
21 スクランブル制御部
22 共通情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴者に供される映像情報や音声情報からなるコンテンツを格納するVODサーバと、視聴者からのリクエストを受信し前記リクエストに応じ前記コンテンツを送出する指示をVODサーバに出すとともに受信機側で受信に必要な送出条件を受信機に通知するVOD制御部と、前記コンテンツをスクランブルするスクランブル部と、前記コンテンツがスクランブルされた場合に受信機側でデスクランブルするために必要な共通情報を生成する共通情報生成部と、前記スクランブル部と前記共通情報生成部とを制御してスクランブル処理やスクランブル鍵を生成するスクランブル制御部と、視聴者からのリクエストを受け付け前記VOD制御部に送出すると共にサーバから送出されたコンテンツを受信・デスクランブルする受信機と、これらを接続する伝送路からなるVODシステムにおいて、
前記スクランブル制御部は前記共通情報をVODサービスとは異なる通常の放送サービスで使用される共通情報と同一の形式で作成し、さらに同一のワーク鍵で暗号化してコンテンツと共に送出することにより、受信機側では共通情報からデスクランブル鍵を抽出する限定受信復号部を放送サービスとVODサービスで共通とすることを特徴とするVODシステム。
【請求項2】
前記スクランブル制御部は共通情報を作成する際に、異なる複数の放送局の放送サービス用限定受信システムからそれぞれ異なるワーク鍵と放送局を識別する番号を受け取り、受信機側でデスクランブルするために必要な情報に対しそれぞれのワーク鍵で暗号化した複数の共通情報を作成し、VOD制御部ではリクエスト送信してきた受信機がどの放送設備に属するかを識別し、その放送設備に応じたワーク鍵で暗号化された共通情報をコンテンツと共に送出することを特徴とする請求項1に記載のVODシステム。
【請求項3】
前記スクランブル制御部は、異なる複数の放送局の中からコンテンツ毎にあらかじめ設定された特定の放送局用の共通情報を作成し、前期共通情報をVODサーバからVODコンテンツと共に送出することを特徴とする請求項2に記載のVODシステム。
【請求項4】
前記スクランブル制御部は、異なる複数の放送局の中から、コンテンツと共に送られてくるコンテンツの属性を示すメタデータにより特定される放送局用の共通情報を作成し、前期共通情報をVODサーバからVODコンテンツと共に送出することを特徴とする請求項2に記載のVODシステム。
【請求項5】
前記スクランブル制御部は共通情報生成部から受け取った共通情報をスクランブラに送信し、前記スクランブラはコンテンツ内の特定部分に前記共通情報を多重することを特徴とする請求項1から4記載のVODシステム。
【請求項6】
前記スクランブル制御部は共通情報生成部から受け取った共通情報をVOD制御部に送信し、前記VOD制御部はコンテンツ送出時にVODサーバでコンテンツと前記共通情報を多重化して送出することを特徴とする請求項1から4記載のVODシステム。
【請求項7】
前記スクランブラは、コンテンツの特定のデータブロックをノンスクランブルとすることを特徴とする請求項1から6記載のVODシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−19689(P2007−19689A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197142(P2005−197142)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】