説明

X−ニトロ化合物、それらの医薬組成物及びそれらの使用

本発明は、X−ニトロ化合物、X−ニトロ化合物の医薬組成物及び異常細胞増殖により特徴付けられる疾患又は障害、例えば癌、炎症、心疾患及び自己免疫疾患を治療又は予防するためのX−ニトロ化合物及びそれらの医薬組成物の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般には、X−ニトロ化合物の医薬組成物、及び異常細胞増殖、例えば癌により特徴付けられる疾患を治療又は予防するためにX−ニトロ化合物及びそれらの医薬組成物を使用する方法に関する。
【0002】
発明の背景
異常細胞増殖は、癌の特徴的な症状である。更に、異常細胞増殖は、多くの他の疾患と関連している(例えば心疾患、炎症疾患、例えば関節リウマチ、糖尿病性網膜症など)。異常細胞増殖を治療又は予防する多くの方法が開発されてきているが、現存する大抵の治療についての重要な問題は、通常の及び異常な細胞増殖間の選択的差別化である。
放射線治療は、異常細胞増殖を選択的に標的とするのに有望なアプローチの1つである。多くの異なる放射線感受性増強物質が文献に記載されており、及びその例としては、チオール、ニトロイミダゾール及び金属テキサフィリン(texaphyrin)化合物が挙げられる(例えば、RosenthalらのClin. Cancer. Res., 1999, 739参照)。現在の放射線増感アプローチについての重要な問題は、(1)放射線感受性増強物質から誘導される毒性副生成物の形成であり、それにより癌におけるそれらの有用性が制限され;また、(2)用量規定毒性下で有効であるのに十分高い遊離ラジカル密度が達成されることである。
異常細胞増殖を選択的に標的とする別の有名なアプローチは、還元環境下で選択的に活性化される生体還元性化合物での治療である。多くの癌は、典型的に、低酸素圧の領域(即ち、低酸素状態)を含むため、酸化還元電位が低い化合物(即ち、生体還元性化合物)が、外的活性化なしに腫瘍細胞の還元環境下において選択的に活性化され得る。
従って、異常細胞増殖を治療又は予防する新規化合物を十分に研究する必要がある。これらの新規化合物は、放射線治療活性又は生体還元活性を有し得る。そのような化合物は、異常細胞増殖に関連する種々の疾患、例えば癌を、毒性副生成物を形成することなしに治療又は予防するのに効果的であり得る。
【0003】
発明の概要
本発明は、この及び他の必要性を、X−ニトロ化合物、X−ニトロ化合物の医薬組成物、及び異常細胞増殖に関連する疾患を治療又は予防するためにX−ニトロ化合物又はそれらの医薬組成物を使用する方法を提供することにより満たす。
第1態様において、本発明は、異常細胞増殖により特徴付けられる疾患又は障害を治療又は予防するための方法を提供する。その方法は、一般には、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくはN−酸化物を投与することを包含する。
第2の態様において、本発明は、X−ニトロ化合物の医薬組成物を提供する。その医薬組成物は、一般には、1又は2以上のX−ニトロ化合物、それらの医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又はN−酸化物及び医薬的に許容可能なビヒクルを含む。ビヒクルの選択は、他の要因のうち、所望の投与モードに依存するであろう。
第3態様において、本発明は、異常細胞増殖により特徴付けられる疾患又は障害を治療又は予防するための医薬組成物を提供する。その方法は、一般には、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、X−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくはN−酸化物及び医薬的に許容可能なビヒクルを含む、治療的有効量の医薬組成物を投与することを包含する。
【0004】
発明の詳細な記載
定義
医薬的に許容可能な塩”は、X−ニトロ化合物の塩を意味し、それは、医薬的に許容可能であり、及び親化合物の所望の薬理学的活性を有する。そのような塩:(1)酸付加塩であって、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを用いて形成されたもの;又は有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンフルスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸(glucoheponic acid)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などを用いて形成されたもの;又は(2)塩であって、親化合物中に存在する酸性プロトンがアンモニウムイオン、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン(例えばナトリウム又はカリウム)、アルカリ土類イオン(例えばカルシウム又はマグネシウム)、又はアルミニウムイオンにより置き換えられた際に形成されるもの;又は有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどとの配位化合物(coordinate)。また、アミノ酸の塩、例えばアルギネートなど、及び有機酸、例えばグルクロン(glucurmic)酸又はガラクツロン酸(galactunoric acid)の塩も包含される。
【0005】
医薬的に許容可能なビヒクル”は、希釈剤、アジュバント、賦形剤又はキャリヤーを意味し、それと共にX−ニトロ化合物が投与される。
患者”は、人及び他の動物を含む。
予防すること”又は“予防”は、疾患又は障害がもたらされる危険を低減すること(即ち、疾患に罹患し得るか又は罹患し易いが未だ罹患しておらず、その疾患の症状が現れていない患者において、その疾患の臨床的症状の少なくとも1つを進行させないこと)を意味する。
疾患又は障害について“治療すること”又は“治療”は、1つの実施態様においては、疾患又は障害を改善すること(即ち、疾患又はそれらの臨床的症状の少なくとも1つの進行を止めるか又は低減すること)を意味する。他の実施態様においては、“治療すること”又は“治療”は、患者により認識され得ない少なくとも1つの身体的パラメータを改善することを意味する。また別の実施態様においては、“治療すること”又は“治療”は、疾患又は障害の抑制を、身体的に(例えば認識され得る症状の撲滅又は安定化)又は生理学的に(身体的パラメータの撲滅又は安定化)のいずれかで又はその両方で行うことを意味する。更に別の実施態様においては、“治療すること”又は“治療”は、疾患又は障害の開始(onset)を遅延させることを意味する。
治療的有効量”は、疾患を治療又は予防するために患者に投与される際において、そのような疾患の治療又は予防を行うのに十分である化合物の量を意味する。“治療的有効量”は、化合物、疾患及びその重症度、及び治療される患者の年齢、体重などに依存して変動するであろう。
本発明の好ましい実施態様について詳細に記載する。本発明を好ましい実施態様に関連して記載するが、本発明がこれらの好ましい実施態様に制限されないと理解されるであろう。反対に、それは、特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲内に含まれ得るような代替物、変更及び同等物をカバーすることが意図される。
【0006】
異常細胞増殖を治療又は予防するためにX−ニトロ化合物を用いる方法
本発明は、X−ニトロ化合物、X−ニトロ化合物の医薬組成物、及び異常細胞増殖に関連する疾患を治療又は予防するためにX−ニトロ化合物又はそれらの医薬組成物を用いる方法を提供する。
その方法は、一般には、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくはN−酸化物を投与することを包含する。ある実施態様においては、X−ニトロ化合物は、腫瘍細胞の還元環境により細胞内的に活性化される。別の実施態様においては、患者に放射線照射を行って、X−ニトロ化合物を活性化させる。理論により拘束されることを望む訳ではないが、X−ニトロ化合物の照射又は還元により、遊離ラジカルの形成がなされ、それが、次いで、おそらくはDNA複製を妨げ及び/又は細胞膜と反応することにより、細胞複製を防止し及び細胞を殺す。しかしながら、現在知られていない他のメカニズムにより、異常細胞増殖の治療及び予防におけるX−ニトロ化合物の効果が説明されるかもしれない。
従って、いくつかの実施態様においては、本発明のX−ニトロ化合物は、細胞内還元及び外的照射の双方により活性化され得る。これらの実施態様においては、相乗的又は追加の効果が観察され得る。
【0007】
X−ニトロ化合物は、一般的には、1又は2以上のニトロ基で置換された有機化合物(即ちニトロ化合物)であるが、また、硝酸塩(例えばアンモニウム・ジニトリド、アンモニウム・トリニトリドなど)を含む。典型的には、X−ニトロ化合物は、高い生成エンタルピーを有する(即ち、X−ニトロ化合物の分解により放出されるエネルギー量が高い)。好ましくは、X−ニトロ化合物は、約5〜約150kcal/モルの間、より好ましくは約10〜約110kcal/モルの間で変動する生成エンタルピーを有する。ニトロ化合物の生成エンタルピーは、当業者に知られる方法により容易に計算できる。従って、X−ニトロ化合物は、活性化の際に爆発力と共に分解するニトロ化合物(例えばニトログリセリン、トリニトロトルエン、トリニトロベンゼンなど)を含む。そのような化合物は、当該技術分野における当業者により、生成エンタルピーの計算から容易に同定され得る。
X−ニトロ化合物は、また、低還元電位で還元され得る。サイクリック・ボルタンメトリーにより、X−ニトロ化合物への電子移動が、標準電極(例えば、水銀又は炭素カソード及び白金アノード)及び電解質溶液を用いて約−0.1〜約−1.0ボルトの間で生じることが説明される。
X−ニトロ化合物は、ニトロ基が、炭素原子に結合してニトロカーボンを形成し、窒素原子に結合して、ニトロアミンを形成し、硫黄原子に又はリン原子又はそれらの組み合わせ(例えば1より多くのニトロ基を含む化合物において)に結合する化合物を含む。従って、本発明は、ニトロ基が1つのタイプの原子のみに結合する化合物(例えばニトロカーボン又はニトロアミン)及びニトロ基が1つより多くのタイプの原子に結合する化合物(例えば炭素原子に結合するニトロ基及び窒素原子に結合するニトロ基を含む化合物)を含むと理解されるべきである。ある実施態様においては、X−ニトロ化合物は、ニトロカーボンである。別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、ニトロアミンである。
【0008】
好ましくは、X−ニトロ化合物は、高い密度のニトロ基を含む(即ち、ニトロ基が、化合物の全質量の有意なフラクションを示す)。好ましくは、X−ニトロ化合物は、2つのニトロ基、より好ましくは3つのニトロ基、更により好ましくは3又はそれより多くのニトロ基を含む。ある実施態様においては、X−ニトロ化合物は、6つのニトロ基を含む。
ある実施態様においては、X−ニトロ化合物は、ニトロ基の炭素原子に対する比が1:1のニトロカーボンである。別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、ニトロ基の炭素原子に対する比が1:2のニトロカーボンである。
更に別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、ニトロ基のアミン窒素原子に対する比が1:1のニトロアミンである。更に別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、ニトロ基対アミンニトロ原子対炭素原子の比が1:1:1のニトロアミンである。更に別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、各アミン窒素原子に結合する1つのニトロ基を有し、及び3つの炭素原子及び3つのアミノ窒素原子を含む。更に別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、各アミン窒素原子に結合する1つのニトロ基を有し、及び4つの炭素原子及び3つのアミノ窒素原子を含む。更に別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、各アミン窒素原子に結合する1つのニトロ基を有し、及び6つの炭素原子及び6つのアミノ窒素原子を含む。
X−ニトロ化合物の例としては、2,4,6,8,10,12-ヘキサニトロ-2,4,6,8,10,12-ヘキサアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアザシクロヘキサン、1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン、4,10-ジニトロ-2,6,8,12-テトラオキサ-4,10-ジアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-5-オン、ニトログアニジン、1,3,3-トリニトロアゼチジン、アンモニウムジニトライド、1,1-ジアミノ-2,2-ジニトロエタン、2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリニトロベンゼン、テトラニトロカルバゾール及びテトラニトロジベンゾ-1,3a,4,6a-テトラアザペンタレンが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。ある実施態様においては、X−ニトロ化合物は、2,4,6,8,10,12-ヘキサニトロ-2,4,6,8,10,12-ヘキサアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアザシクロヘキサン又は1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタンである。
【0009】
【化1】


【0010】
【化2】

【0011】
本発明において使用することができるX−ニトロ化合物のいくつかについての構造を上記に示した。
X−ニトロ化合物は、いくつかの互変体形態で及びそれらの混合物で存在し得る。X−ニトロ化合物は、また、1又はそれより多くの原子が、従来天然においてみられる原子質量と異なる原子質量を有する同位体標識した化合物を含み得る。X−ニトロ化合物に導入することができるアイソトープの例としては、2H、3H、13C、14C、15N、18O及び17Oが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。X−ニトロ化合物は、N−オキシド又は水和形態を含む、未溶媒和形態及び溶媒和形態で存在し得る。一般には、水和及び溶媒和形態は、本発明の範囲内にある。いくつかのX−ニトロ化合物は、複数の結晶性又は非晶質形態で存在し得る。一般には、全ての物理的形態が、本発明により意図される使用のための同等物であり、及び本発明の範囲内にあることが意図される。
X−ニトロ化合物は、細胞内還元により活性化することができる。ある実施態様においては、X−ニトロ化合物は、約10mmHg未満の、多くの腫瘍細胞及び/又はメジアン腫瘍細胞pO2において起こりうる高レベルのほかの酸化防止剤酵素及び上昇グルタチオンレベル(高GSH:GSSG(即ちグルタチオンのグルタチオンジスルフィドに対する比))に続く、低酸素腫瘍細胞内において、細胞内還元により活性化される。
【0012】
X−ニトロ化合物は、また、外的エネルギーの適用により活性化することができる。X−ニトロ化合物を分解するのに有用な方法としては、照射(irradiation)(例えばX線、可視光線、赤外線照射(infrared irradiation))、超音波(例えば集中(focused)超音波)、電気化学的還元、加熱、遊離基開始剤(例えばチオール)の共投与(co-administration)が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。ある実施態様においては、X−ニトロ化合物は、患者の光子照射(photon irradiation)により活性化される。好ましくは、患者の腫瘍は、線形加速装置を用いて、約100cGy/分の線量率で照射される。患者は、また、電子線治療、インターオペラティブ放射治療(interoperative radiation therapy)、ステレオスタティック放射線外科治療(stereostatic radiosurgery)及び高又は低照射量の近接照射療法で治療され得る。
いくつかの状況下においては、患者の全体を照射してもよい。より好ましくは、患者の照射部位(例えば腫瘍領域)に位置するX−ニトロ化合物のみが活性化されるように、患者の一部を照射する。好ましくは、照射される患者の一部は、異常細胞増殖の部位である。
X−ニトロ化合物は、当該技術分野において知られる従来の合成方法を介して得ることができ又は例えばATK Thiokol, Salt Lake City, UTから商業的に入手可能である。X−ニトロ化合物又はそれらの中間体を製造するのに有用な出発材料は、商業的に入手可能であり又はよく知られる合成方法により製造することができる。本願明細書に記載されるX−ニトロ化合物及び/又は出発材料の他の合成方法は、当該技術分野において知られており又は当業者に明らかであろう。
【0013】
本発明によれば、X−ニトロ化合物又はそれらの医薬組成物は、異常細胞増殖により特徴付けられる疾患に罹患した患者、好ましくはヒトに対して投与される。X−ニトロ化合物及びそれらの医薬組成物を使用して、異常細胞増殖により特徴付けられる疾患を治療又は予防することができる。
好ましくは、異常細胞増殖により特徴付けられる疾患としては、癌(例えば血管新形成性腫瘍、好ましくは固形腫瘍、これは、肺、胸、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、睾丸、肝臓、耳下腺、ビラリー(bilary)管、結腸、直腸、頚部、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、プロストレート(prostrate)、甲状腺の癌腫、扁平上皮細胞癌、腺癌、小細胞癌、メラノーマ、神経膠腫、神経芽細胞腫、肉腫(例えば血管肉腫、軟骨肉腫)を含むがこれらに限定される訳ではない)、糖尿病、心疾患(例えば動脈硬化)、炎症性疾患(例えば関節炎、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管新生緑内障及び乾癬)及び自己免疫疾患が挙げられる。
別の実施態様においては、X−ニトロ化合物は、インビトロでの殺菌のために使用することができる。病原菌、ウイルス及び細胞に毒性の生物学的溶液を、X−ニトロ化合物と共に処理することができる。この方法は、また、外的エネルギー、例えば光及び熱の適用により触媒することができる。
【0014】
更に、ある実施態様においては、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を、患者、好ましくはヒトに対して、異常細胞増殖により特徴付けられる種々の疾患又は障害に対する再発防止として投与する。従って、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、再発防止として、異常細胞増殖により特徴付けられる疾患についての傾向(predisposition)を有する患者に対して投与することができる。従って、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、1つの疾患又は障害の予防のために及び他の治療と一緒に(例えば癌を治療しながら関節炎を予防する)使用することができる。
異常細胞増殖により特徴付けられる種々の疾患又は障害を治療又は予防する際におけるX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の適合性は、本願明細書(実施例1〜7参照)に記載の及び当該技術分野において知られる方法により測定することができる。従って、異常細胞増殖により特徴付けられる疾患を治療又は予防するためのX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の評価及び使用は、当該技術分野における当業者の能力内にある。
【0015】
治療的/予防的投与
X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、ヒトの医薬において有利に使用することができる。上記セクション4.2において先に記載したとおり、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、種々の疾患又は障害、例えば上述したものの治療又は予防に有用である。
上記疾患又は障害を治療又は予防するために使用する際、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、単独で又は他の薬剤との組み合わせで投与又は適用することができる。X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、また、単独で又は他のX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を含む、他の医薬活性剤(例えば他の抗癌剤、他の関節炎薬剤)との組み合わせで投与又は適用することができる。
本発明は、患者に対して治療的有効量のX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を投与することによる治療方法及び予防方法を提供する。患者は、好ましくは、哺乳類及び最も好ましくはヒトである。
X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、経口的に投与することができる。X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、他の都合の良いルート、例えば注入又はボーラス注入方法により、上皮層又は皮膚粘膜層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜)を経る吸収により投与することができる。投与は、全身的なものであっても又は局所的なものであってもよい。X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を投与するために使用することができる種々のデリバリーシステムが知られている(例えばリポソームにおけるカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなど)。投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、大脳内、膣内、経皮的、直腸的、吸入、又は局所的に、特には耳、鼻、眼又は皮膚が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。好ましい投与モードは、医師の裁量に委ねられ、及び部分的に医薬条件の現場(site)に依存するであろう。大抵の場合、投与により、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物が血流に放出されるであろう。
【0016】
特定の実施態様においては、1又は2以上のX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を局所的に治療が必要な領域へ投与するのが望ましいかもしれない。これは、例えば、外科手術の間の局所注入、局所適用、例えば外科的手術後の創傷包帯と合わせて、注入により、カテーテルにより、座薬により、インプラントにより達成され得るが、これらに限定される訳ではなく、該インプラントは、膜、例えばシアラスティック(sialastic)膜又は繊維を含む、多孔性又は非多孔性又はゼラチン性材料のものである。ある実施態様においては、投与は、疾患又は障害部位(又は以前そうであった部位)に直接注入することができる。
ある実施態様においては、1又は2以上のX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を、中枢神経系へ、脳室内、鞘内及び硬膜外注入を含む適切なルートにより導入することが望ましいかもしれない。脳室内注入は、例えば、貯蔵槽、例えばオマヤ槽に結合した脳室内カテーテルにより促進され得る。
X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、また、吸入により肺に直接投与することができる。吸入による投与については、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、有利には、いくつかの異なるデバイスにより肺へデリバリーされ得る。例えば、適切な低沸点の高圧ガス(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガス)を含むキャニスターを利用する定量吸入器(“MDI”)を使用して、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を肺に直接デリバリーすることができる。
【0017】
あるいはまた、乾燥パウダー吸入器(“DPI”)デバイスを用いて、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を肺に投与することができる。DPIデバイスは、典型的には、メカニズム、例えば容器内に乾燥パウダーの塊りを生じさせるためのガスの爆発を使用し、それは、その後、患者により吸入され得及び当該技術分野においてよく知られている。有名な変化は、複数回投与DPI(“MDDPI”)システムであり、それは、1より多くの治療投与のデリバリーを可能にする。MDDPIデバイスは、多くの製薬会社、例えばシェーリングプラウ、マディソン、NJから商業的に入手可能である。例えば、吸入器、吹き入れ器において使用するためのゲラチンのカプセル又はカートリッジについて、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物及び適切なパウダー、例えばこれらのシステム用のラクトース又はスターチのパウダーミックスを含むものを配合することができる。
X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を肺にデリバリーするために使用することができる他のタイプのデバイスは、例えば、Aradigm Corporation, Hayward, CAにより供給される液体スプレーでバイスである。液体スプレーシステムでは、極度に小さなノズルホールを使用して、その後直接肺に吸入される液体薬剤配合物をエアロゾル化する。
ある実施態様においては、噴霧器を使用して、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を肺にデリバリーする。噴霧器は、例えば超音波エネルギーを用いて、容易に吸入され得る微粒子を形成することにより液体薬剤配合物からエアロゾルを形成する(例えばVerschoyleらのBritish J. Cancer, 1999, 80, Suppl. 2, 96参照)。噴霧器の例としては、Sheffield Pharmaceuticals, St. Louis, Mo. により供給されるデバイス(ArmerらのUS Patent No. 5,954,047; van der LindenらのUS Patent No. 5,950,619; van der LindenらのUS Patent No. 5,970,974)及びBatelle Pulmonary Therapeutics, Columbus, OHが挙げられる。
【0018】
他の実施態様においては、電気流体力学(“EHD”)エアロゾルデバイズを使用して、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を患者の肺へデリバリーする。EHDエアロゾルデバイスでは、電気エネルギーを使用して、液体薬剤溶液又はサスペンションをエアロゾル化する(例えばNoakesらのUS Patent No. 4,765,539参照)。配合物の電気化学的特性は、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物をEHDエアロゾルデバイスにより肺にデリバリーする際の最適化のために重要なパラメータであり、及びそのような最適化は、当該技術分野における当業者により定期的に行われる。EHDエアロゾルデバイズは、現在の肺疾患デリバリー技術よりも肺に薬剤をより効率的にデリバリーし得る。
他の実施態様においては、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を、小嚢、特にはリポソーム内においてデリバリーすることができる(例えばLanger, 1990, Science, 249: 1527-1533; Treatらの“Liposome in the Therapy of Infectious Disease and Cancer”, Lopez-Berestein及びFidler (eds.), Liss, New York, pp.353-365 (1989))。
他の実施態様においては、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、持続放出システム、好ましくは経口持続放出システムを介してデリバリーすることができる。ある実施態様においては、ポンプを使用することができる(例えば上記のLanger, Sefton, 1987, CRC Crit. Ref Biomed. Eng. 14:201; Saudekら, 1989, N. Engl. J Med. 321:574)。
【0019】
他の実施態様においては、ポリマー材料を使用することができる(例えば“Medical Applications of Controlled Release”, Langer及びWise (eds.), CRC Press, Boca Raton, Florida (1974); “Controlled Drug Bioavailability”, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Rangerら, 1983, J Macromol. Sci. Rev. Macromol Chem. 23:61; Levyら, 1985, Science 228: 190; Duringら, 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardら, 1989, J. Neurosurg. 71:105)。
他の実施態様においては、ポリマー材料を、経口持続性放出デリバリーに使用する。好ましいポリマーとしては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられる(最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである)。他の好ましいセルロースエーテルも知られている(Alderman, Int. J. Pharm. Tech. & Prod. Mfr. 1984, 5(3) 1-9)。薬剤放出に影響する要因は、当業者によく知られており及び文献に記載されている(Bambaら, Int. J. Pharm. 1979, 2, 307)。
他の実施態様においては、腸溶コーティングされた製剤を持続放出投与のために使用することができる。好ましいコーティング材料としては、pH依存溶解性を有するポリマー(即ちpH制御放出)、膨張、溶解又は侵食のゆっくりとした又はpH依存速度を有するポリマー(即ち時間制御放出)、酵素により分解されるポリマー(即ち酵素制御放出)及び圧力の上昇により分解されるフィルム層を形成するポリマー(即ち圧力制御放出)が挙げられる。
更に別の実施態様においては、浸透デリバリーシステムを、経口持続放出投与のために使用する(Vermaら, Drug Dev. Ind. Pharm., 2000, 26:695-708)。他の実施態様においては、OROS(商品名)浸透デバイスを、経口持続放出デリバリーデバイスに使用する(Theeuwesら, US Patent No. 3,845,770; Theeuweら, US Patent No. 3,916,899)。
更に別の実施態様においては、制御放出システムを、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の標的の近隣に置くことができ、従って全身投与のフラクションのみが必要とされる(例えばGoodson, in “Medicl Applications of Controlled Release”, supra, vol. 2, pp. 115-138 (1984))。他の制御放出システムを、予め使用してもよい(Langer, 1990, Science 249; 1527-1533)。
【0020】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、典型的には、治療的有効量のX−ニトロ化合物を、好ましくは、純粋な形態で、患者に適切な投与をするための形態を提供するように適切な量の医薬的に許容可能なビヒクルと一緒に含む。患者に投与される際、X−ニトロ化合物及び医薬的に許容可能なビヒクルは好ましくは無菌のものである。X−ニトロ化合物を静脈内投与する場合には水が好ましいビヒクルである。食塩水及びデキストロース及びグリセロール水溶液を、液体ビヒクルとして、特には注入溶液用として使用することができる。適切な医薬ビヒクルとしては、賦形剤、例えばスターチ、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。本発明の医薬組成物は、所望なら、少量の湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を含んでいてもよい。また、助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤を使用してもよい。
X−ニトロ化合物を含む医薬組成物は、従来の混合、溶解、粒状化、ドラジェー製造、粉末化、乳化、カプセル化、トラップ化又は凍結乾燥手段により製造することができる。医薬組成物は、従来の方法において、1又は2以上の生理的に許容可能なキャリヤ、希釈剤、賦形剤又は助剤を用いて配合することができ、それにより、化合物の医薬的に使用され得る製剤への加工が容易となる。適切な配合物は、選択される投与ルートに依存する。
【0021】
本発明の医薬組成物は、溶液、サスペンション、エマルション、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、パウダー、持続放出配合物、座薬、エマルション、エアロゾル、スプレー、サスペンションの形態又は他の使用に適切な形態にあってもよい。ある実施態様においては、医薬的に許容可能なビヒクルはカプセルである(例えばGrosswalkら, US Patent No. 5,698,155)。医薬組成物の製造の一般的議論は、Remington, “The Science and practice of Pharmacy”, 19th Editionにみられる。
局所的投与のために、X−ニトロ化合物は、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、サスペンションなどとして、当該技術分野においてよく知られるように配合することができる。
全身性配合物は、注入、例えば皮下、静脈、筋内、鞘内又は腹腔内注入用投与のために設計されたもの、及び経皮的、経粘膜的、経口又は肺投与のために設計されたものを含む。全身性配合物は、気道粘液の粘膜毛様体クリアランスを改善する又は粘膜粘度を低減する更なる活性薬剤と組み合せて製造することができる。これらの活性薬剤としては、ナトリウム・チャンネル阻害薬、抗生物質、N−アセチルシステイン、ホモシステイン及びリン脂質が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0022】
好ましい実施態様においては、X−ニトロ化合物は、ヒトに静脈投与するのに適する医薬組成物としての常套手段に従って配合される。典型的には、X−ニトロ化合物は、静脈投与用の無菌等張水性バッファーにおける溶液である。注入のために、X−ニトロ化合物は、水性溶液中に、好ましくは生理的適合性バッファー、例えばハンクス溶液、リンガー溶液又は生理食塩水バッファー中において配合することができる。溶液は、配合剤、例えば懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散化剤を含んでいてもよい。必要であるなら、医薬組成物は、また、可溶化剤を含んでいてもよい。静脈投与用医薬組成物は、場合により、局所麻酔薬、例えばリグノカインを含ませて、注入部位の痛みを緩和することができる。一般には、成分を、別々に又はユニット投与形態において一緒に混合して、例えば凍結乾燥化パウダー又は密閉シールされた容器、例えば活性薬剤の量を示すアンプル又は小袋(sachette)中における水を含まない濃縮物として供給される。X−ニトロ化合物を注入(infusion)により投与する場合、それは、例えば、無菌医薬グレードの水又は生理水を含む注入ボトルで分配することができる。X−ニトロ化合物を注射(injection)により投与する場合には、無菌注入用水又は生理水のアンプルを、成分が投与前に混合されるように提供することができる。
【0023】
経粘膜的投与のために、浸透されるバリヤに適する浸透剤を配合物中に使用する。そのような浸透剤は、当該技術分野において一般的に知られている。
経口デリバリー用の医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、水性又は油性懸濁液、顆粒、パウダー、エマルション、カプセル、シロップ又はエリキシルの形態にあってもよい。経口投与される医薬組成物は、1又は2以上の任意の薬剤、例えば、甘味剤、例えばフルクトース、アスパルテーム又はサッカリン;香味剤、例えばペパーミント、ウィンター・グリーンの油、又はチェリー着色剤及び保存剤を含ませて、医薬的においしい製品を提供することができる。更に、錠剤又は丸剤形態においては、医薬組成物を被覆して、胃腸管内における崩壊及び吸収を遅延させることができ、それにより、拡大された期間にわたる遅延作用が提供される。浸透活性ドライビング(driving)化合物を包囲する選択的浸透性膜は、経口投与化合物に適する。これらの後者の基本構造は、カプセルを包囲する環境からの液体が、ドライビング化合物により吸収され、それが膨張して、アパーチャーを通して薬剤又は薬剤組成物を移動(displace)させる。これらのデリバリー基本構造は、中間放出配合物のスパイクド・プロフィールに対して、本質的に0のオーダーのデリバリープロフィールを提供し得る。遅延材料、例えばグリセロールモノステアレート又はグリセロールステアレートを、また、使用してもよい。経口組成物は、標準ビヒクル、例えばマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含んでいてもよい。そのようなビヒクルは、好ましくは、医薬グレードを有する。
【0024】
経口液体製剤、例えば、サスペンション、エリキシル及び溶液について、適切なキャリヤ、賦形剤又は希釈剤としては、水、生理水、アルキレングリコール(例えばプロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)オイル、アルコール、pH4〜6のわずかに酸性のバッファー(例えば約5.0〜約50.0mMのアセテート、シトレート、アスコルベート)などが挙げられる。また、香味剤、防腐剤、着色剤、胆汁塩、アシルカルニチンなどを添加してもよい。
口腔投与について、医薬組成物は、従来の手段で配合される、錠剤、トローチ剤などの形態にあってもよい。
噴霧器及び液体スプレーデバイス及びEHDエアロゾルデバイスでの使用に適する液体薬剤配合物は、典型的には、X−ニトロ化合物と医薬的に許容可能なビヒクルを含む。好ましくは、医薬的に許容可能なビヒクルは、液体、例えばアルコール、水、ポリエチレングリコール又はペルフルオロカーボンである。場合により、他の材料を添加して、化合物の溶液又はサスペンションのエアロゾル特性を変更してもよい。好ましくは、この材料は、液体、例えばアルコール、グリコール、ポリグリコール又は脂肪酸である。エアロゾルデバイスにおける使用に適する液体薬剤溶液又はサスペンションを配合する他の方法が、当該技術分野における当業者に知られている(例えばBiesalski, US Patent No. 5,112,598; Biesalski, US Patent No. 5,556,611参照)。
【0025】
X−ニトロ化合物は、また、直腸又は膣医薬組成物、例えば従来の座薬ベース、例えばココアバター又は他のグリセリドを含む座薬又は保持浣腸(retention enema)中に配合することができる。
先に記載した配合物に加えて、X−ニトロ化合物は、また、デポー製剤として配合することができる。そのような長期作用配合物は、植え込みにより(例えば皮下的に又は筋内的に)又は筋内注入により投与することができる。従って、例えば、X−ニトロ化合物は、適切なポリマー性又は疎水性材料(例えば許容可能なオイル中におけるエマルションとして)又はイオン交換樹脂、又はやや溶けにくい誘導体、例えばやや溶けにくい塩と配合することができる。
X−ニトロ化合物が酸性又は塩基性である場合、それは、上記配合物のいずれかにおいて、遊離酸又は遊離塩基、医薬的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物として包含され得る。医薬的に許容可能な塩は、実質的に、遊離酸又は塩基の活性を保持し、塩基又は酸との反応により製造することができ、及び対応の遊離酸又は塩基形態よりも、水性及び他のプロトン性溶剤中に溶解性である傾向にある。
【0026】
投与量
X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、一般には、意図される目的を達成するのに有効な量で使用される。上記疾患又は障害を治療又は予防するための使用のために、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、治療的有効量で投与又は適用される。
本願明細書に開示される特定の疾患又は状態の治療に効果的であろうX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の量は、疾患又は状態の性質に依存するであろうし、及び当該技術分野において知られる標準臨床技術により測定され得る。また、インビトロ又はインビボでのアッセイを場合により用いて、最適投与量範囲を求める助けとしてもよい。投与されるX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の量は、当然に、他の要因のうち、治療される被検体、被検体の体重、苦痛の深刻度、投与方法及び処方医師の判断に依存するであろう。
例えば、投与量は、単回投与により、複数回投与又は制御放出により、医薬組成物中にデリバリーされ得る。投与は、断続的に繰り返して行ってもよく、それのみで又は他の薬剤と組み合せて行ってもよく、及び疾患状態又は障害の効果的な治療が必要とされる限り継続することができる。
経口投与に適する投与量範囲は、放射線増感の効果に依存するが、一般には、体重kgあたりでX−ニトロ化合物を約0.001〜約100mgである。投与量範囲は、当業者に知られる方法により容易に決定することができる。
【0027】
静脈(i.v.)投与についての適切な投与量は、体重kgあたりで約0.01〜約100mgである。鼻腔内投与についての適切な投与量は、一般に、体重kgあたりで約0.01〜約1mgである。座薬は、一般には、体重kgあたりでX−ニトロ化合物を約0.01〜約50mg含み、及び約0.5〜約10質量%の範囲で活性成分を含む。皮内、筋内、腹腔内、皮下、硬膜外、舌下腺又は大脳内投与についての推奨される投与量は、体重kgあたりで約0.001〜約200mgの範囲である。有効な投与量は、インビトロでの又は動物モデルでの試験系から誘導される投与量応答曲線から推定することができる。そのような動物モデル及び系は、当該技術分野においてよく知られている。
X−ニトロ化合物は、好ましくは、インビトロ及びインビボで、所定の治療又は予防作用について、ヒトに使用する前にアッセイされる。例えば、インビボでのアッセイを使用して、特定のX−ニトロ化合物又はX−ニトロ化合物の組み合わせの投与が好ましいか否かを決定することができる。X−ニトロ化合物は、また、動物モデル系を用いて効率的で、安全であることを証明することができる。
好ましくは、本願明細書に記載されるX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の治療的に有効な投与量は、実質的な毒性をもたらすことなしに治療的利益をもたらすであろう。X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の毒性は、標準治療的手段を用いて測定することができ、当業者により容易に明らかにされ得る。毒性及び治療的効果の間の投与量比は、治療指数である。X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、好ましくは異常細胞増殖により特徴付けられる疾患又は障害の治療において特に高い治療指数を示すであろう。本願明細書に記載するX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物の投与量は、好ましくは、毒性をほとんど又は全く有さない効果的な投与量を含む環濃度(circulating concentration)範囲内にあるであろう。
【0028】
組み合わせ治療
本発明のある実施態様においては、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を、少なくとも1つの他の治療剤との組み合わせ治療において使用することができる。X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物及び治療剤は、付加的に、又はより好ましくは相乗的に作用し得る。ある実施態様において、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、他の治療剤の投与と同時に投与される。別の実施態様においては、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、他の治療剤の投与前又は後に投与される。
特には、ある実施態様においては、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物は、以下のものとの組み合わせ治療において使用することができる:他の化学治療剤(例えばアルキル化剤(例えばナイトロジェン・マスタード(例えばシクロホスファミド、イフォスファミド、メクロレタミン、メルファレン(melphalen)、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えばブスルファン)、ニトロソウレア、トリアジン))、代謝拮抗物質(例えば葉酸類似体、ピリミジン類似体(例えばフルオロウラシル、フロクスウリジン、シトシンアラビノシドなど)、プリン類似体(例えばメルカプトプリン、チオグナイン(thiogunaine)、ペントスタチンなど)、天然生成物(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、ターチポシド(tertiposide)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドクスルビシン(doxurubicin)、ブレマイシン、ミトルマイシン(mithrmycin)、ミトマイシンC、L−アスパルギナーゼ、インターフェロンα)、白金配位複合体(例えばcis−白金、カルボプラチンなど)、アポトーシス誘発剤、グルタチオン枯渇剤又は細胞の酸化還元状態を変更し得る他の薬剤。当業者は、X−ニトロ化合物が、また、上記化学治療剤及び放射線治療の双方を伴う同時の組み合わせ治療において使用することができることを理解するであろう。
【0029】
治療キット
本発明は、また、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を含む治療キットを提供する。治療キットは、また、他の化合物(例えば化学治療剤、天然生成物、アポトーシス誘導剤など)又はそれらの医薬組成物を含んでいてもよい。
治療キットは、X−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を他の成分(例えば他の化合物又はこれらの他の化合物の医薬組成物)を伴って又は伴わずに含む単一容器を有していてもよく、又は各成分について異なる容器を有していてもよい。好ましくは、治療キットは、第2化合物(好ましくは化学治療剤、天然生成物、アポトーシス誘導剤など)又はそれらの医薬組成物の同時投与との組み合わせで使用するためにパッケージ化されたX−ニトロ化合物及び/又はそれらの医薬組成物を含む。そのキットの成分は、予め複合体化されていてもよく、又は各成分は患者への投与前に別々の容器内にあってもよい。
そのキットの成分は、1又は2以上の液体溶液で、好ましくは水溶液で、より好ましくは無菌水溶液で提供され得る。そのキットの成分は、固体として提供され得、それは、好ましくは別の容器内において提供される適切な溶剤の添加により液体へ添加され得る。
治療キットの容器は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ又は固体若しくは液体を含む他の手段であってもよい。通常、1より多くの成分が存在する場合、そのキットは、第2バイアル又は他の容器を含み、それにより別々の投与が可能となるであろう。そのキットは、また、医薬的に許容可能な液体用の別の容器を含んでいてもよい。
好ましくは、治療キットは、装置(例えば1又は2以上のニードル、シリンジ、点眼液、ピペットなど)を含み、それにより、キットの成分の投与が可能になる。
【0030】
実施例
本発明を、化合物の製造及び生物活性についてのアッセイ方法を詳細に記載する、以下の実施例を参照して更に説明する。当業者には、材料及び方法の双方について多くの変更が発明の範囲を逸脱することなしに可能であることが明らかであろう。
【0031】
実施例1:第1インビトロ実験
2,4,6,8,10,12-ヘキサニトロ-2,4,6,8,10,12-ヘキサアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアザシクロヘキサン、1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン、4,10-ジニトロ-2,6,8,12-テトラオキサ-4,10-ジアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-5-オン、ニトログアニジン、1,3,5-トリアミノ-2,4,6,1,3,3-トリニトロアゼチジン、アンモニウムジニトライド、1,1-ジアミノ-2,2-ジニトロエタン、テトラニトロカルバゾール又はテトラニトロジベンゾ-1,3a,4,6a-テトラアザペンタレンについて、例えば以下の表1から選択される2〜5細胞系においてインビトロで研究した。これらの細胞系は、以下の表1に示されるように放射線反応(放射線量応答曲線のラジオバイオロジカルパラメータ)の点で既に特徴付けられている。
【0032】

a.単一ヒット複数ターゲットモデル
b.線形二次モデル
c.SCC,扁平上皮(細胞)癌;ECC,類表皮細胞癌
【0033】
DMSO中の1、10、50及び100mMの最終濃度で、2,4,6,8,10,12-ヘキサニトロ-2,4,6,8,10,12-ヘキサアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアザシクロヘキサン、1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン、4,10-ジニトロ-2,6,8,12-テトラオキサ-4,10-ジアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-5-オン、ニトログアニジン、1,3,5-トリアミノ-2,4,6,1,3,3-トリニトロアゼチジン、アンモニウムジニトライド、1,1-ジアミノ-2,2-ジニトロエタン、テトラニトロカルバゾール又はテトラニトロジベンゾ-1,3a,4,6a-テトラアザペンタレンを伴って又は伴わずに、放射線量(例えば0、200、400、600、800、1000、1500及び2000cGy)の範囲で、422cGy/分の線量率で、137Cs源を用いて細胞系を照射した。上記化合物は、照射初期に遊離ラジカル形成についての高密度ニトロ基を含む。
以下のアッセイを行ったが、これは、当業者によく知られるものである:
1)MTT増殖アッセイ;
2)クローン生存アッセイ(Rupnowら, Cell Death Differ. 1998, 5(2): 141-147);
3)全体的生存及びアポトーシス評価法(Rupnowら, Cell Death Differ. 1998, 5(2): 141-147; Armstrongら, Cell Death Differ., 2002, 9(3): 252-263);及び
4)ROSの測定(Armstrongら, Cell Death Differ., 2002, 9(3): 252-263)。
上記実験の結果から、良好に確立された分析法(Ningら, Radiat. Res. 2002 157(1): 45-51)を用いて種々の腫瘍タイプ(細胞系)の放射線増感の評価が可能となる。次いで、以下のインビボでの実験を、研究した最も有効な化合物について行った。
【0034】
実施例2:パイロット毒性研究
薬剤:5投与量+DMSOビヒクルコントロール;10匹のマウスについての全6群(C3H)/gp=60マウス
期間:4週間
終点:質量損失、生存。
不明な死の検視。
*動物プレtx及びq週のサブセットについての化学パネル及び血液細胞の起こり得るカウンティング(possible counting blood cell)(CBC)
【0035】
実施例3:SCCVII及びRif−1腫瘍についての薬剤In C3hマウスに対する投与応答
薬剤:4投与量、1群あたり10匹のマウスについての全4群×2腫瘍タイプ=80マウス。
期間:8週間。
【0036】
実施例4:2モデルにおける2投与量(5Gy及び10Gy)での照射の単回投与を伴う及び伴わない薬剤(未処理コントロール、薬剤のみ、照射のみ及び照射と同時に薬剤投与した研究を含む)
投与量を実施例2の結果により決定した。1群あたり10匹の全12群=120マウス。期間:8週間。
【0037】
実施例5:2モデルにおける2投与量(2Gy及び3Gy 1日あたりTx)での臨床的に関連する複数フラクション化照射を伴う及び伴わない薬剤(未処理コントロール、薬剤のみ、照射のみ及び照射と同時に薬剤投与した研究を含む)
投与量は、実施例3の結論で相互に決定した。1群あたり10匹の全12群=120マウス。期間:8週間。
1.04Gy/分の線量率でPhilips RT-250 200 kVp x-ray unit(12.5mA; half value layer of 1.0 turn Cu)を用いて先に記載したとおりに(Ningら, Radiat. Res. 2002, 157(1): 45-51)マウスの腫瘍を照射した。上記実験からのデータを先に記載したとおりに(Ningら, Radiat. Res. 2002, 157(1): 45-51)分析した。
【0038】
実施例6:腫瘍細胞中におけるX−ニトロ化合物の活性化の測定
以下の条件セットを使用して、研究される腫瘍細胞の細胞内酸化還元状態を操作することができる:
通常媒体(コントロール);
GSHを枯渇させるための約1mMでのブチオニンスルホキサミン(BSO);
細胞ROSを還元させるための50mMでのN−アセチルシステイン(NAC);
細胞内GSH還元を高めるための0.2mMでのアルファリポ酸;
酸化用の2〜20mMでの過酸化水素;及び
ROSを生じさせるためのキサンチン/キサンチンオキシダーゼ(100uU/mlキサンチンオキシダーゼ,1mMキサンチン)。
細胞を、上記で、5%CO2中において、37℃で、0〜72時間、X−ニトロ化合物を添加する前にインキュベートした。0時間及びX−ニトロ化合物の添加直前に、GSHレベル及びGSH/GSSG比を測定した。当業者に知られる方法を用いて、試験化合物を媒体に添加した後の0、12、24、48及び72時間を含む種々の時間点で生存する腫瘍細胞(細胞死及びアポトーシス全体にわたって)を測定した。ROS生成を測定し、以下のパラメータで補正した:X−ニトロ化合物の化学的酸化還元電位、ベースライン、ROS生成及び細胞死での細胞酸化還元状態。
【0039】
実施例7:腫瘍細胞に対するX−ニトロ化合物の細胞毒性
一般に、細胞(例えばHT29)を組織培地プレート上において成長させ、指数増殖期に成長しているときに使用した。細胞を、上昇濃度のX−ニトロ化合物で処理した。従って、細胞系を、DMSO中における細胞培地に添加されたX−ニトロ化合物の最終濃度1、10、50及び100uMで処理した。死亡細胞量をMTTアッセイにより測定した。死亡(又は生存)細胞を化合物濃度に対してプロットし、LC50(又はLC90)を、50%(又は90%)の細胞が死亡する濃度を測定することにより決定した。MTT細胞アッセイの結果を、クローン生存アッセイ(Rupnowら, Cell Death Differ. 1998, 5(2): 141-147)により確認した。2,4,6,8,10,12-ヘキサニトロ-2,4,6,8,10,12-ヘキサアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアザシクロヘキサン、1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン、4,10-ジニトロ-2,6,8,12-テトラオキサ-4,10-ジアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-5-オン及び1,3,3-トリニトロアゼチジンのLC50は、約5.0mM〜約20μMの範囲にあった。
最終的に、本発明を実施する代替法があることに留意すべきである。従って、本実施態様は、説明的なものであって制限的なものではないと考えるべきであり、発明は、本願明細書に記載される詳細に限定されず、しかし、特許請求の範囲内において変動し得る。本願明細書に記載した全ての文献及び特許は、参考文献として組み込まれるものとする。
本願明細書に記載した全ての文献は、その全内容が参考文献として組み込まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項2】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
X−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物又は溶媒和物及び医薬的に許容可能な希釈剤、賦形剤又はアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項4】
癌を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量の請求項3に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項5】
更に、癌を含む患者の一部に放射線を照射することを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
更に、患者に対して、治療的有効量の、他の抗癌剤若しくはそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物、又は他の抗癌剤若しくはそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物及び医薬的に許容可能な希釈剤、賦形剤若しくはアジュバントを含む医薬組成物を投与することを含む請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
癌が、乳癌、腎臓癌、脳腫瘍、結腸癌、結腸直腸癌、プロストレート癌又は肺癌である請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
X−ニトロ化合物がニトロカーボンである請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
X−ニトロ化合物がニトロアミンである請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
X−ニトロ化合物が、2,4,6,8,10,12-ヘキサニトロ-2,4,6,8,10,12-ヘキサアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアザシクロヘキサン、1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン、4,10-ジニトロ-2,6,8,12-テトラオキサ-4,10-ジアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-5-オン、ニトログアニジン、1,3,3-トリニトロアゼチジン、アンモニウムジニトライド、1,1-ジアミノ-2,2-ジニトロエタン、テトラニトロカルバゾール又はテトラニトロジベンゾ-1,3a,4,6a-テトラアザペンタレンである請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
X−ニトロ化合物が、2,4,6,8,10,12-ヘキサニトロ-2,4,6,8,10,12-ヘキサアザテトラシクロ[5.5.0.05,9.03,11]ドデカン、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアザシクロヘキサン又は1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラアザシクロオクタンである請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
患者の一部に放射線を照射する請求項2に記載の方法。
【請求項13】
照射される部分が、癌性部分である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
患者に、プロトン、電子又はγ線を照射する請求項2に記載の方法。
【請求項15】
腫瘍細胞を還元された細胞内環境で治療する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量の請求項3の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項16】
腫瘍細胞を還元された細胞内環境で治療する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項17】
固形腫瘍を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量の請求項3の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項18】
固形腫瘍を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項19】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
炎症を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項21】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
炎症を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量の請求項3に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項23】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
自己免疫疾患を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項25】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
炎症を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量の請求項3に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項27】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
心疾患を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量のX−ニトロ化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩、水和物、N−酸化物若しくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項29】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
心疾患を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して、治療的有効量の請求項3に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項31】
更に、患者に放射線を照射することを含む請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2006−505620(P2006−505620A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501143(P2005−501143)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/032022
【国際公開番号】WO2004/032864
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505129390)レイディオアールエックス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】