p型ZnOナノ構造体および該p型ZnOナノ構造体を備えてなる紫外線センサならびにp型ZnOナノ構造体の製造方法
【課題】結晶性に優れ、基板に対して配向成長したp型ZnOナノ構造体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したリンを含有するp型ZnOナノ構造体が形成される。特に圧力及び温度を適宜選択することにより、p型ZnOナノ構造体として、p型ZnOナノワイヤやp型ZnOナノシートを形成することができる。該ZnOナノ構造体は、紫外線センサなどの半導体デバイスとして好適に使用できる。
【解決手段】圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したリンを含有するp型ZnOナノ構造体が形成される。特に圧力及び温度を適宜選択することにより、p型ZnOナノ構造体として、p型ZnOナノワイヤやp型ZnOナノシートを形成することができる。該ZnOナノ構造体は、紫外線センサなどの半導体デバイスとして好適に使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p型ZnOナノ構造体および該p型ZnOナノ構造体を備えてなる紫外線センサならびにp型ZnOナノ構造体の製造方法に関する。より詳しくは、基板に配向成長したp型ZnOナノ構造体及び該p型ZnOナノ構造体の製造に適したレーザーアブレーション法によるp型ZnOナノ構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛(ZnO)は3.37eVの広いバンドギャップと、室温の熱エネルギー(25meV)に比べて大きな励起子束縛エネルギー(60meV)を持つ。このZnOの特性を利用して、紫外発光素子や紫外レーザー、紫外センサ、さらにはガスセンサ、色素増感型太陽電池などへの応用が期待されている。このような紫外発光素子などの電子デバイスの作製にはpn接合の形成が不可欠である。n型半導体であるn型ZnOは、アルミニウムなどのIII族元素やハロゲン元素をドープすることで容易に作製することができるが、一般的にp型半導体であるp型ZnOは製造が困難であることが知られており、例えば、特許文献2には、p型ZnOである窒素ドープZnOが開示されているが、窒素は脱離しやすいため、安定性が不十分である。安定なp型ZnOの作製手法は確立していない。
【0003】
ところで、ZnOの中でも、ナノサイズのワイヤ状のZnOナノワイヤ、シート状のZnOナノシートなどのZnOからなる微細構造体(以下、「ZnOナノ構造体」と称す。)は、特に優れた特性を有するため、特に上記紫外発光素子、紫外センサなどへの応用が期待されている。このような電子デバイス用途への使用には、基板上にZnOナノ構造体を高密度に配向成長した材料が有用である。
【0004】
特許文献3には、金属亜鉛ナノ構造体に対して局所的な電界を印加して生じた電界放射電流によって、金属亜鉛ナノ構造体中の局所部分を結晶化酸化亜鉛に変化させることを特徴とする規則構造を有するp型ZnOナノワイヤの製造方法が開示されている。
【0005】
また、垂直配向型のZnOナノ構造体としては、ZnOナノシートが基板に対して垂直に配向した、ZnOナノシート構造体があり、特許文献4,5には、ZnOナノシートを液層成長させる方法が開示されている。
さらに、特許文献6には、硫化亜鉛粉末を窒素気流中で、1450〜1600℃に1〜2時間加熱して、金属亜鉛ナノシートを製造した後、該金属亜鉛ナノシートを空気中で、330〜390℃に3〜5時間加熱するZnOナノシートの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−244387号公報
【特許文献2】特開2005−217035号公報
【特許文献3】特開2008−308381号公報
【特許文献4】特開2008−169053号公報
【特許文献5】特開2007−22851号公報
【特許文献6】特開2005−154157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3記載のp型ZnOナノワイヤの製造方法は、量産性や再現性の観点で実用的とは言い難く、技術的課題を残すものである。また、垂直配向のp型ZnOを製造することはできない。
【0008】
特許文献4,5の液相プロセスの製造方法は、低コストという利点がある。しかしながら、生成するZnOシートは、不純物を含みやすく低品質という問題がある。また、p型ZnOを製造できるわけではない。
【0009】
このように安定かつ再現性の高いp型ZnOナノ構造体の一般的な合成方法が確立できていないのが実状である。特に基板に対して垂直配向したp型ZnOナノ構造体はできていない。
【0010】
かかる状況下、本発明の目的は、結晶性に優れ、基板に対して配向したp型のZnOナノ構造体及びその応用製品並びにその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1>P(リン)を含有し、サファイア単結晶基板表面のc面に対して垂直配向してなるp型ZnOナノ構造体。
<2> 前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である前記<1>記載のp型ZnOナノ構造体。
<3> Pの濃度が、0.05〜1.5原子%である前記<1>または<2>記載のp型ZnOナノ構造体。
<4> 前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノワイヤである前記<1>から<3>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
<5> 前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノシートである前記<1>から<3>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体を備えてなる紫外線センサ。
<7> 圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したp型ZnOナノ構造体を形成するp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<8> 前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である前記<7>記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<9> 前記基板が、800℃以上の温度でアニールされていることを特徴とする前記<7>または<8>記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<10> 前記<7>から<9>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜5重量%、基板温度が850〜950℃の範囲であって、容器内圧力が、50〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノワイヤを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<11> 前記<7>から<9>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜0.5重量%、基板温度が1000〜1200℃の範囲であって、容器内圧力が、200〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノシートを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のp型ZnOナノ構造体は、p型半導体として、優れた特性を有し、紫外線センサを始めとする電子デバイスとして使用することができる。また、本発明の製造方法によると、本発明のp型ZnOナノ構造体を再現性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】c−cutサファイア単結晶基板上に垂直配向したZnOナノ構造体(ZnOナノワイヤ)の模式図である。
【図2】ステップ構造を有するa−cutサファイア単結晶基板上に水平配向したZnOナノ構造体(ZnOナノワイヤ)の模式図である。
【図3】本発明のp型ZnOナノ構造体の製造方法で使用するレーザーアブレーション装置の概念図である。
【図4】実施例1のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図5】実施例1のp型ZnOナノ構造体のX線回折パターンである。
【図6】実施例1〜4のp型ZnOナノ構造体のPL測定結果である。
【図7】実施例2のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図8】実施例3のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図9】実施例4のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図10】実施例5のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図11】実施例6のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図12】実施例7のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図13】実施例8のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図14】実施例9のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図15】実施例10のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図16】実施例11のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図17】実施例11のp型ZnOナノ構造体のX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明は、P(リン)を含有し、サファイア単結晶基板表面のc面に対して垂直配向してなるp型ZnOナノ構造体(以下、「本発明のZnOナノ構造体」と呼ぶ場合がある。)に係るものである。なお、本発明において、「ナノ構造体」とは、形状寸法の少なくとも一部が1μm以下の大きさを有し、一定の規則性を有する構造体若しくはその集合体を意味し、「形状寸法の少なくとも一部」とは、ナノ構造体の長さ、幅、太さなどの形状寸法の少なくとも一つを意味する。すなわち、(詳しくは後述する)ZnOナノワイヤを例とすると、直径が1μm以下であれば、長さが1μmを超えていてもよい。
【0015】
本発明のZnOナノ構造体は、結晶性が高く、高い配向性を有し、良好なフォトルミネッセンス(PL)特性を示す。なお、結晶性についてはX線回折法、配向性についてはSEM画像、PL特性は、紫外光で励起されたZnO試料の蛍光スペクトル形状と強度から判断することができる。
【0016】
本発明のZnOナノ構造体の基板となるサファイア(Al2O3)単結晶は、そのc面において、ZnOナノ構造体の垂直に配向成長に適した、Al原子とO原子の原子配列を有している。
そのため、サファイア単結晶のc面を表面とするc−cutサファイア単結晶基板においては、基板に対して垂直配向したZnOナノ構造体を形成することができる。図1にc−cutサファイア単結晶基板に垂直配向したZnOナノ構造体の模式図を示す。
また、図2に示すように平坦面がa面、段差面がc面であるステップ構造を有するa−cutサファイア単結晶基板の場合、段差面であるc面に垂直垂直配向、すなわち、基板表面(a面)に対して水平配向した(ZnOナノ構造体が形成することができる。
【0017】
本発明のZnOナノ構造体は、リンを含有することによりp型半導体としての性質を有する。ここで、好適なリンの含有量は、Pの濃度が、0.05〜1.5原子%である。Pの濃度は、EDX分析によって測定することができる。
【0018】
本発明のZnOナノ構造体の好適な形状のひとつは、ZnOナノワイヤである。なお、本発明において、ZnOナノワイヤとは、アスペクト比が2以上の線状、柱状のZnOナノ構造体を意味する。基板上におけるZnOナノワイヤは、サイズや密度は、特に制限はないが、好適には長さが、1〜300μm、その直径が10〜500nmであり、密度が10〜1000本/μm2である。
【0019】
本発明のZnOナノ構造体の好適な形状のひとつは、ZnOナノシートである。なお、本発明において、ZnOナノシートとは、アスペクト比が2以上のシート状のZnOナノ構造体を意味する。本発明のZnOナノシートは、c−cutサファイア単結晶基板に特に好適に形成することができ、基板に対する垂直配向性が特に高く、電界放出やセンサーへの応用品に適する。
また、ZnOナノシートの高さや厚みには特に制限はないが、応用品への適用性の観点からは、高さが、1〜1000μm、厚みが10〜100nm程度であることが好ましい。
【0020】
本発明のナノ構造体は、紫外光を発するレーザー素子や半導体ワイヤ、ガス検知器等に有用として有用である。特に紫外線センサとしては、好適に使用することができる。
特にc−cutサファイア単結晶基板に垂直配向したZnOナノ構造体は、これらの応用品に好適に使用することができる。
【0021】
本発明のp型ZnOナノ構造体は以下の説明するレーザーアブレーション法を用いた製造方法によって好適に製造することができる。
【0022】
本発明のp型ZnOナノ構造体の製造方法は、圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したp型ZnOナノ構造体を形成することを特徴とする。
以下に、本発明の製造方法の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
本発明の製造方法において、p型ZnOナノ構造体の製造装置として、従来公知のレーザーアブレーション装置を使用することができる。図3は、本実施形態におけるレーザーアブレーション装置の模式図である。
【0024】
図3に示すように、レーザーアブレーション装置1は、レーザー発振器10と、反射板11a,11bと、集光レンズ12と、石英製の容器13と、石英製の容器13の周辺に配置された加熱ヒータ13aと、石英製の容器13内に収容されたZnOターゲット14と、ターゲット支持体15と、基板16と、石英製の容器13に接続された真空ポンプ17と、石英製の容器13に接続されたガス導入装置18とを備える。
【0025】
このようなレーザーアブレーション装置1においては、レーザー発振器10から発せられたレーザー光Lが光路上に配置された反射板11a,11bに反射され、集光レンズ12を通過した後、石英製の容器13内に導入され、石英製の容器13内を通過してZnOターゲット14に照射され、ZnOターゲットがアブレーションされ、PドープZnOナノ微粒子が生成する。
【0026】
このアブレーションにより生成したZnOナノ微粒子は、加熱された基板16上に到達し、基板16の上で溶融して基板上を動き回る。そのうちに,溶融した微粒子は融合して微結晶として析出する。この微結晶を核として、ZnOが自己触媒的に作用し、ZnOナノ構造体が急激に成長する。
【0027】
レーザー発振器10としては、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を好適に使用することができ、同装置で照射するレーザーにおけるレーザーフルエンス、繰り返し周波数を制御することができる。本実施形態において、レーザーフルエンスが、3〜10J/cm2程度、好適には4.0〜5.5J/cm2、繰り返し周波数が、10〜100Hz、好適には15〜30Hzである。
【0028】
石英製の容器13の中の圧力は、真空ポンプ17と、ガス導入装置18によって制御されている。ガス導入装置18から供給されるガスとしては、特に限定はないが、不活性ガスが好ましく、アルゴンが好適に使用される。アルゴンガスの流量は、設定される石英製の容器13の中の圧力と、真空ポンプ17によって適宜決定される。
また、石英製の容器13の内部の温度(基板16の温度含む。)は、加熱ヒータ13aによって制御することができる。
【0029】
ZnOターゲット14には、P(リン)を含有するZnOターゲットが使用され、ZnO焼結体を好適に使用することができる。ZnO焼結体は、常法により得られるものを使用できるが、例えば、ZnO粉末と、P2O5粉末を所定の割合で混合し、200MPa程度の圧力でCIP成形してディスク状にした後、大気中1000℃で焼結したものを用いることができる。なお、ZnOターゲット14は、ZnO焼結体に限定されるわけではなく、Pドープ金属亜鉛を熱酸化したターゲットなどその他のものを使用することもできる。
【0030】
基板16には、サファイア単結晶基板が用いられる。上述のようにp型ZnOナノ構造体は、サファイア単結晶のc面に配向成長する性質がある。そのため、c−cutサファイア単結晶基板においては、基板に対して垂直配向したZnOナノ構造体を形成することができ、平坦面がa面、段差面がc面であるステップ構造を有するa−cutサファイア単結晶基板の場合、基板に対して垂直成長したZnOナノ構造体が形成することができる。
応用品への適用を考慮すると、垂直配向したZnOナノ構造体を形成することができるc−cutサファイア単結晶基板が好適である。
【0031】
なお、基板16であるサファイア単結晶基板は、800℃以上(好適には1000℃以上)の温度でアニールされていることが好ましい。サファイア単結晶基板は、通常、研磨により平坦化されているが、研磨では取り除かれない微細な基板をアニールすることで、基板表面に存在する研磨では取り除けない微量な凹凸を取り除くことができ、基板表面がより原子レベルで平坦になるため、製造されるZnOナノ構造体の配向性が向上する。アニールを行う時の雰囲気は、いかなる雰囲気でもよいが、酸化雰囲気が好適であり、通常、大気雰囲気である。アニール時間は、基板表面が十分に平坦化するのに十分な時間であればよく、通常、1時間以上である。なお、基板16のアニールは、石英製の容器13で行ってもよいが、通常、外部の加熱炉で行われる。
【0032】
ZnOターゲット14と基板16との間隔Mは、基板16を設置する治具(図示せず)の設置位置を適宜調整することで調節することができる。間隔Mは、形成されるZnOナノ構造体の品質に影響し、通常、0.3〜5cm程度である。この距離が大きすぎたり、小さすぎたりすると、形成されるZnOナノ構造体の品質が低下するおそれがある。
【0033】
本発明の製造方法で形成されるp型ZnOナノ構造体の形状および品質は、石英製の容器13の中の圧力および温度(特に基板16の温度)に依存する。
ここで、p型ZnOナノワイヤの製造においては、ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜5重量%(特に0.3〜2重量%)、基板温度が850〜950℃(特に900〜930℃)の範囲であって、容器内圧力が、50〜300Torr(特に100〜150Torr)の範囲で反応を行うことが好ましい。
このような条件においては、結晶性の高く、高い配向性を有するp型ZnOナノワイヤを形成することができる。ここで、容器内圧力は特にp型ZnOナノワイヤの品質に影響を与え、上記範囲で低圧になるほど、結晶性が高く、高密度でより配向性の高い高品質なp型ZnOナノワイヤを得ることができる。
【0034】
また、p型ZnOナノシートを製造においては、ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜0.5重量%、基板温度が1000〜1200℃の範囲であって、容器内圧力が、200〜300Torrの範囲で反応を行うことが好ましい。このような条件においては、高い配向性を有する高品質なp型ZnOナノシートが形成される傾向がある。
なお、p型ZnOナノシートの製造の場合、特に基板温度が重要であり、基板温度が1000℃未満では、高品質なp型ZnOナノシートを形成することが困難となる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、図3と同様の構成のレーザーアブレーション装置を使用した。
【0036】
「PドープZnOターゲットにおけるP濃度依存性」
以下の実施例1〜4により評価した。
【0037】
(実施例1)
基板として、外部の電気炉で大気中、1000℃、1時間アニール処理されたc−cutサファイア単結晶基板を使用し、下記の条件でレーザーアブレーションを行うことにより、基板上に実施例1のp型ZnOナノ構造体を得た。図4にSEM像、図5にX線回折パターン、図6にPL測定の結果を示す。
ターゲット:0.3重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲット
ターゲット−基板間距離:0.8〜1.2cm
レーザーフルエンス:5.0J/cm2
繰り返し周波数:20Hz
容器内圧力:100Torr
Arガス流量:27.5sccm
基板温度:900℃
【0038】
(実施例2)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用した以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例2のp型ZnOナノ構造体を得た。図6にPL測定の結果、図7にSEM像を示す。
【0039】
(実施例3)
ターゲットに2重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用した以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例3のp型ZnOナノ構造体を得た。図6にPL測定の結果、図8にSEM像を示す。
【0040】
(実施例4)
ターゲットに5重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用した以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例3のp型ZnOナノ構造体を得た。図6にPL測定の結果、図9にSEM像を示す。
【0041】
(実施例1〜4の結果まとめ)
実施例1〜4のSEMの結果(図4,図7〜9)から、すべてのサンプルにおいて、成長(配向)方向の揃ったナノワイヤが成長していることが確認できた。成長(配向)方向は、基板表面に対してほぼ垂直であった。それぞれのサンプルについてEDXによるP濃度の測定結果は、実施例1が0.089原子%、実施例2が0.258原子%、実施例3が0.597原子%、実施例1が0.930原子%であった。なお、ターゲットのP2O5の含有量とサンプルから得られたP2O5の含有量の比から,P2O5の伝達量は20〜30%であった。
また、実施例1のサンプルから得られたX線回折パターン(図5)は、すべてZnO結晶由来のシグナルのみが確認され、リン化合物に由来するシグナルは確認できなかった。これらのことからすべてのサンプルに形成されたZnOナノ構造体は、Pがドープされたp型ZnOナノワイヤであることが確認された。
【0042】
また、図6に示すようにPL測定における実施例1〜4のすべてのサンプルについて、約390nmにピークを持つスペクトルが得られ、電界発光特性の優れた良質なp型ZnOナノワイヤが作製できていることが確認された。
【0043】
「容器内圧力依存性」
上記実施例2及び以下の実施例5〜7により評価した。
【0044】
(実施例5)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用し、さらに容器内圧力を122Torrとした以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例5のp型ZnOナノ構造体を得た。図10にSEM像を示す。
【0045】
(実施例6)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用し、さらに容器内圧力を150Torrとした以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例6のp型ZnOナノ構造体を得た。図11にSEM像を示す。
【0046】
(実施例7)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用し、さらに容器内圧力を242Torrとした以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例7のp型ZnOナノ構造体を得た。図12にSEM像を示す。
【0047】
(実施例2及び実施例5〜7の結果まとめ)
実施例5〜7のSEMの結果(図10〜12)から、すべてのサンプルにおいて、ナノワイヤが成長していることが確認できた。成長(配向)方向は、容器内圧力100Torrである実施例2が、基板に対してほぼ垂直に配向したp型ZnOナノワイヤが得られたのに対し、容器内圧力が大きくなると、低下する傾向があることが確認された。
【0048】
「基板温度依存性」
以下の実施例8〜11により評価した。
【0049】
(実施例8)
基板として、外部の電気炉で大気中、1000℃、1時間アニール処理されたc−cutサファイア単結晶基板を使用し、下記の条件でレーザーアブレーションを行うことにより、基板上に実施例8のp型ZnOナノ構造体を得た。図13にSEM像を示す。
ターゲット:0.3重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲット
ターゲット−基板間距離:1cm
レーザーフルエンス:3.0〜5.0J/cm2
繰り返し周波数:20Hz
容器内圧力:260Torr
Arガス流量:27.5sccm
基板温度:850℃
【0050】
(実施例9)
基板温度を900℃とした以外は、実施例8と同様にして、基板上に実施例9のp型ZnOナノ構造体を得た。図14にSEM像を示す。
【0051】
(実施例10)
基板温度を950℃とした以外は、実施例8と同様にして、基板上に実施例10のp型ZnOナノ構造体を得た。図15にSEM像を示す。
【0052】
(実施例11)
基板温度を1000℃とした以外は、実施例8と同様にして、基板上に実施例11のp型ZnOナノ構造体を得た。図16にSEM像、図17にX線回折パターンを示す。
【0053】
(実施例8〜11の結果まとめ)
図13〜15のSEM像から基板温度が850℃、900℃、950℃である実施例8、実施例9、実施例10において、ZnOナノワイヤが確認されたが、成長方向にはばらつきがありZnOナノワイヤが固まりあった構造のものが多く見られた。
一方、基板温度が1000℃である実施例11(図16)では、シート状の形を持ったZnOナノシートが形成された。ナノシートは基板に対してほぼ垂直に成長していた。図17に示すように、基板であるサファイア以外はすべてZnO結晶由来のシグナルのみが確認され、リン化合物に由来するシグナルは確認できなかった。このことから実施例11のZnOナノ構造体は、Pがドープされたp型ZnOナノシートであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のp型ZnOナノ構造体は、p型半導体として、優れた特性を有する。また、本発明の製造方法によると、本発明のp型ZnOナノ構造体を再現性良く製造することができる。そのため、本発明は、紫外発光素子、紫外センサなどの電子デバイス用途への応用が期待できる。
【符号の説明】
【0055】
1 レーザーアブレーション装置
10 レーザー発振器
11a,11b 反射板
12 集光レンズ
13 容器
13a 加熱ヒータ
14 ZnOターゲット
15 ターゲット支持体
16 基板
17 真空ポンプ
18 ガス導入装置
L レーザー光
M (ZnOターゲット14と基板16との)間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、p型ZnOナノ構造体および該p型ZnOナノ構造体を備えてなる紫外線センサならびにp型ZnOナノ構造体の製造方法に関する。より詳しくは、基板に配向成長したp型ZnOナノ構造体及び該p型ZnOナノ構造体の製造に適したレーザーアブレーション法によるp型ZnOナノ構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛(ZnO)は3.37eVの広いバンドギャップと、室温の熱エネルギー(25meV)に比べて大きな励起子束縛エネルギー(60meV)を持つ。このZnOの特性を利用して、紫外発光素子や紫外レーザー、紫外センサ、さらにはガスセンサ、色素増感型太陽電池などへの応用が期待されている。このような紫外発光素子などの電子デバイスの作製にはpn接合の形成が不可欠である。n型半導体であるn型ZnOは、アルミニウムなどのIII族元素やハロゲン元素をドープすることで容易に作製することができるが、一般的にp型半導体であるp型ZnOは製造が困難であることが知られており、例えば、特許文献2には、p型ZnOである窒素ドープZnOが開示されているが、窒素は脱離しやすいため、安定性が不十分である。安定なp型ZnOの作製手法は確立していない。
【0003】
ところで、ZnOの中でも、ナノサイズのワイヤ状のZnOナノワイヤ、シート状のZnOナノシートなどのZnOからなる微細構造体(以下、「ZnOナノ構造体」と称す。)は、特に優れた特性を有するため、特に上記紫外発光素子、紫外センサなどへの応用が期待されている。このような電子デバイス用途への使用には、基板上にZnOナノ構造体を高密度に配向成長した材料が有用である。
【0004】
特許文献3には、金属亜鉛ナノ構造体に対して局所的な電界を印加して生じた電界放射電流によって、金属亜鉛ナノ構造体中の局所部分を結晶化酸化亜鉛に変化させることを特徴とする規則構造を有するp型ZnOナノワイヤの製造方法が開示されている。
【0005】
また、垂直配向型のZnOナノ構造体としては、ZnOナノシートが基板に対して垂直に配向した、ZnOナノシート構造体があり、特許文献4,5には、ZnOナノシートを液層成長させる方法が開示されている。
さらに、特許文献6には、硫化亜鉛粉末を窒素気流中で、1450〜1600℃に1〜2時間加熱して、金属亜鉛ナノシートを製造した後、該金属亜鉛ナノシートを空気中で、330〜390℃に3〜5時間加熱するZnOナノシートの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−244387号公報
【特許文献2】特開2005−217035号公報
【特許文献3】特開2008−308381号公報
【特許文献4】特開2008−169053号公報
【特許文献5】特開2007−22851号公報
【特許文献6】特開2005−154157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3記載のp型ZnOナノワイヤの製造方法は、量産性や再現性の観点で実用的とは言い難く、技術的課題を残すものである。また、垂直配向のp型ZnOを製造することはできない。
【0008】
特許文献4,5の液相プロセスの製造方法は、低コストという利点がある。しかしながら、生成するZnOシートは、不純物を含みやすく低品質という問題がある。また、p型ZnOを製造できるわけではない。
【0009】
このように安定かつ再現性の高いp型ZnOナノ構造体の一般的な合成方法が確立できていないのが実状である。特に基板に対して垂直配向したp型ZnOナノ構造体はできていない。
【0010】
かかる状況下、本発明の目的は、結晶性に優れ、基板に対して配向したp型のZnOナノ構造体及びその応用製品並びにその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1>P(リン)を含有し、サファイア単結晶基板表面のc面に対して垂直配向してなるp型ZnOナノ構造体。
<2> 前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である前記<1>記載のp型ZnOナノ構造体。
<3> Pの濃度が、0.05〜1.5原子%である前記<1>または<2>記載のp型ZnOナノ構造体。
<4> 前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノワイヤである前記<1>から<3>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
<5> 前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノシートである前記<1>から<3>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体を備えてなる紫外線センサ。
<7> 圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したp型ZnOナノ構造体を形成するp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<8> 前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である前記<7>記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<9> 前記基板が、800℃以上の温度でアニールされていることを特徴とする前記<7>または<8>記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<10> 前記<7>から<9>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜5重量%、基板温度が850〜950℃の範囲であって、容器内圧力が、50〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノワイヤを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
<11> 前記<7>から<9>のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜0.5重量%、基板温度が1000〜1200℃の範囲であって、容器内圧力が、200〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノシートを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のp型ZnOナノ構造体は、p型半導体として、優れた特性を有し、紫外線センサを始めとする電子デバイスとして使用することができる。また、本発明の製造方法によると、本発明のp型ZnOナノ構造体を再現性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】c−cutサファイア単結晶基板上に垂直配向したZnOナノ構造体(ZnOナノワイヤ)の模式図である。
【図2】ステップ構造を有するa−cutサファイア単結晶基板上に水平配向したZnOナノ構造体(ZnOナノワイヤ)の模式図である。
【図3】本発明のp型ZnOナノ構造体の製造方法で使用するレーザーアブレーション装置の概念図である。
【図4】実施例1のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図5】実施例1のp型ZnOナノ構造体のX線回折パターンである。
【図6】実施例1〜4のp型ZnOナノ構造体のPL測定結果である。
【図7】実施例2のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図8】実施例3のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図9】実施例4のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図10】実施例5のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図11】実施例6のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図12】実施例7のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図13】実施例8のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図14】実施例9のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図15】実施例10のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図16】実施例11のp型ZnOナノ構造体のSEM像である。
【図17】実施例11のp型ZnOナノ構造体のX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明は、P(リン)を含有し、サファイア単結晶基板表面のc面に対して垂直配向してなるp型ZnOナノ構造体(以下、「本発明のZnOナノ構造体」と呼ぶ場合がある。)に係るものである。なお、本発明において、「ナノ構造体」とは、形状寸法の少なくとも一部が1μm以下の大きさを有し、一定の規則性を有する構造体若しくはその集合体を意味し、「形状寸法の少なくとも一部」とは、ナノ構造体の長さ、幅、太さなどの形状寸法の少なくとも一つを意味する。すなわち、(詳しくは後述する)ZnOナノワイヤを例とすると、直径が1μm以下であれば、長さが1μmを超えていてもよい。
【0015】
本発明のZnOナノ構造体は、結晶性が高く、高い配向性を有し、良好なフォトルミネッセンス(PL)特性を示す。なお、結晶性についてはX線回折法、配向性についてはSEM画像、PL特性は、紫外光で励起されたZnO試料の蛍光スペクトル形状と強度から判断することができる。
【0016】
本発明のZnOナノ構造体の基板となるサファイア(Al2O3)単結晶は、そのc面において、ZnOナノ構造体の垂直に配向成長に適した、Al原子とO原子の原子配列を有している。
そのため、サファイア単結晶のc面を表面とするc−cutサファイア単結晶基板においては、基板に対して垂直配向したZnOナノ構造体を形成することができる。図1にc−cutサファイア単結晶基板に垂直配向したZnOナノ構造体の模式図を示す。
また、図2に示すように平坦面がa面、段差面がc面であるステップ構造を有するa−cutサファイア単結晶基板の場合、段差面であるc面に垂直垂直配向、すなわち、基板表面(a面)に対して水平配向した(ZnOナノ構造体が形成することができる。
【0017】
本発明のZnOナノ構造体は、リンを含有することによりp型半導体としての性質を有する。ここで、好適なリンの含有量は、Pの濃度が、0.05〜1.5原子%である。Pの濃度は、EDX分析によって測定することができる。
【0018】
本発明のZnOナノ構造体の好適な形状のひとつは、ZnOナノワイヤである。なお、本発明において、ZnOナノワイヤとは、アスペクト比が2以上の線状、柱状のZnOナノ構造体を意味する。基板上におけるZnOナノワイヤは、サイズや密度は、特に制限はないが、好適には長さが、1〜300μm、その直径が10〜500nmであり、密度が10〜1000本/μm2である。
【0019】
本発明のZnOナノ構造体の好適な形状のひとつは、ZnOナノシートである。なお、本発明において、ZnOナノシートとは、アスペクト比が2以上のシート状のZnOナノ構造体を意味する。本発明のZnOナノシートは、c−cutサファイア単結晶基板に特に好適に形成することができ、基板に対する垂直配向性が特に高く、電界放出やセンサーへの応用品に適する。
また、ZnOナノシートの高さや厚みには特に制限はないが、応用品への適用性の観点からは、高さが、1〜1000μm、厚みが10〜100nm程度であることが好ましい。
【0020】
本発明のナノ構造体は、紫外光を発するレーザー素子や半導体ワイヤ、ガス検知器等に有用として有用である。特に紫外線センサとしては、好適に使用することができる。
特にc−cutサファイア単結晶基板に垂直配向したZnOナノ構造体は、これらの応用品に好適に使用することができる。
【0021】
本発明のp型ZnOナノ構造体は以下の説明するレーザーアブレーション法を用いた製造方法によって好適に製造することができる。
【0022】
本発明のp型ZnOナノ構造体の製造方法は、圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したp型ZnOナノ構造体を形成することを特徴とする。
以下に、本発明の製造方法の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
本発明の製造方法において、p型ZnOナノ構造体の製造装置として、従来公知のレーザーアブレーション装置を使用することができる。図3は、本実施形態におけるレーザーアブレーション装置の模式図である。
【0024】
図3に示すように、レーザーアブレーション装置1は、レーザー発振器10と、反射板11a,11bと、集光レンズ12と、石英製の容器13と、石英製の容器13の周辺に配置された加熱ヒータ13aと、石英製の容器13内に収容されたZnOターゲット14と、ターゲット支持体15と、基板16と、石英製の容器13に接続された真空ポンプ17と、石英製の容器13に接続されたガス導入装置18とを備える。
【0025】
このようなレーザーアブレーション装置1においては、レーザー発振器10から発せられたレーザー光Lが光路上に配置された反射板11a,11bに反射され、集光レンズ12を通過した後、石英製の容器13内に導入され、石英製の容器13内を通過してZnOターゲット14に照射され、ZnOターゲットがアブレーションされ、PドープZnOナノ微粒子が生成する。
【0026】
このアブレーションにより生成したZnOナノ微粒子は、加熱された基板16上に到達し、基板16の上で溶融して基板上を動き回る。そのうちに,溶融した微粒子は融合して微結晶として析出する。この微結晶を核として、ZnOが自己触媒的に作用し、ZnOナノ構造体が急激に成長する。
【0027】
レーザー発振器10としては、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を好適に使用することができ、同装置で照射するレーザーにおけるレーザーフルエンス、繰り返し周波数を制御することができる。本実施形態において、レーザーフルエンスが、3〜10J/cm2程度、好適には4.0〜5.5J/cm2、繰り返し周波数が、10〜100Hz、好適には15〜30Hzである。
【0028】
石英製の容器13の中の圧力は、真空ポンプ17と、ガス導入装置18によって制御されている。ガス導入装置18から供給されるガスとしては、特に限定はないが、不活性ガスが好ましく、アルゴンが好適に使用される。アルゴンガスの流量は、設定される石英製の容器13の中の圧力と、真空ポンプ17によって適宜決定される。
また、石英製の容器13の内部の温度(基板16の温度含む。)は、加熱ヒータ13aによって制御することができる。
【0029】
ZnOターゲット14には、P(リン)を含有するZnOターゲットが使用され、ZnO焼結体を好適に使用することができる。ZnO焼結体は、常法により得られるものを使用できるが、例えば、ZnO粉末と、P2O5粉末を所定の割合で混合し、200MPa程度の圧力でCIP成形してディスク状にした後、大気中1000℃で焼結したものを用いることができる。なお、ZnOターゲット14は、ZnO焼結体に限定されるわけではなく、Pドープ金属亜鉛を熱酸化したターゲットなどその他のものを使用することもできる。
【0030】
基板16には、サファイア単結晶基板が用いられる。上述のようにp型ZnOナノ構造体は、サファイア単結晶のc面に配向成長する性質がある。そのため、c−cutサファイア単結晶基板においては、基板に対して垂直配向したZnOナノ構造体を形成することができ、平坦面がa面、段差面がc面であるステップ構造を有するa−cutサファイア単結晶基板の場合、基板に対して垂直成長したZnOナノ構造体が形成することができる。
応用品への適用を考慮すると、垂直配向したZnOナノ構造体を形成することができるc−cutサファイア単結晶基板が好適である。
【0031】
なお、基板16であるサファイア単結晶基板は、800℃以上(好適には1000℃以上)の温度でアニールされていることが好ましい。サファイア単結晶基板は、通常、研磨により平坦化されているが、研磨では取り除かれない微細な基板をアニールすることで、基板表面に存在する研磨では取り除けない微量な凹凸を取り除くことができ、基板表面がより原子レベルで平坦になるため、製造されるZnOナノ構造体の配向性が向上する。アニールを行う時の雰囲気は、いかなる雰囲気でもよいが、酸化雰囲気が好適であり、通常、大気雰囲気である。アニール時間は、基板表面が十分に平坦化するのに十分な時間であればよく、通常、1時間以上である。なお、基板16のアニールは、石英製の容器13で行ってもよいが、通常、外部の加熱炉で行われる。
【0032】
ZnOターゲット14と基板16との間隔Mは、基板16を設置する治具(図示せず)の設置位置を適宜調整することで調節することができる。間隔Mは、形成されるZnOナノ構造体の品質に影響し、通常、0.3〜5cm程度である。この距離が大きすぎたり、小さすぎたりすると、形成されるZnOナノ構造体の品質が低下するおそれがある。
【0033】
本発明の製造方法で形成されるp型ZnOナノ構造体の形状および品質は、石英製の容器13の中の圧力および温度(特に基板16の温度)に依存する。
ここで、p型ZnOナノワイヤの製造においては、ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜5重量%(特に0.3〜2重量%)、基板温度が850〜950℃(特に900〜930℃)の範囲であって、容器内圧力が、50〜300Torr(特に100〜150Torr)の範囲で反応を行うことが好ましい。
このような条件においては、結晶性の高く、高い配向性を有するp型ZnOナノワイヤを形成することができる。ここで、容器内圧力は特にp型ZnOナノワイヤの品質に影響を与え、上記範囲で低圧になるほど、結晶性が高く、高密度でより配向性の高い高品質なp型ZnOナノワイヤを得ることができる。
【0034】
また、p型ZnOナノシートを製造においては、ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜0.5重量%、基板温度が1000〜1200℃の範囲であって、容器内圧力が、200〜300Torrの範囲で反応を行うことが好ましい。このような条件においては、高い配向性を有する高品質なp型ZnOナノシートが形成される傾向がある。
なお、p型ZnOナノシートの製造の場合、特に基板温度が重要であり、基板温度が1000℃未満では、高品質なp型ZnOナノシートを形成することが困難となる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、図3と同様の構成のレーザーアブレーション装置を使用した。
【0036】
「PドープZnOターゲットにおけるP濃度依存性」
以下の実施例1〜4により評価した。
【0037】
(実施例1)
基板として、外部の電気炉で大気中、1000℃、1時間アニール処理されたc−cutサファイア単結晶基板を使用し、下記の条件でレーザーアブレーションを行うことにより、基板上に実施例1のp型ZnOナノ構造体を得た。図4にSEM像、図5にX線回折パターン、図6にPL測定の結果を示す。
ターゲット:0.3重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲット
ターゲット−基板間距離:0.8〜1.2cm
レーザーフルエンス:5.0J/cm2
繰り返し周波数:20Hz
容器内圧力:100Torr
Arガス流量:27.5sccm
基板温度:900℃
【0038】
(実施例2)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用した以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例2のp型ZnOナノ構造体を得た。図6にPL測定の結果、図7にSEM像を示す。
【0039】
(実施例3)
ターゲットに2重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用した以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例3のp型ZnOナノ構造体を得た。図6にPL測定の結果、図8にSEM像を示す。
【0040】
(実施例4)
ターゲットに5重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用した以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例3のp型ZnOナノ構造体を得た。図6にPL測定の結果、図9にSEM像を示す。
【0041】
(実施例1〜4の結果まとめ)
実施例1〜4のSEMの結果(図4,図7〜9)から、すべてのサンプルにおいて、成長(配向)方向の揃ったナノワイヤが成長していることが確認できた。成長(配向)方向は、基板表面に対してほぼ垂直であった。それぞれのサンプルについてEDXによるP濃度の測定結果は、実施例1が0.089原子%、実施例2が0.258原子%、実施例3が0.597原子%、実施例1が0.930原子%であった。なお、ターゲットのP2O5の含有量とサンプルから得られたP2O5の含有量の比から,P2O5の伝達量は20〜30%であった。
また、実施例1のサンプルから得られたX線回折パターン(図5)は、すべてZnO結晶由来のシグナルのみが確認され、リン化合物に由来するシグナルは確認できなかった。これらのことからすべてのサンプルに形成されたZnOナノ構造体は、Pがドープされたp型ZnOナノワイヤであることが確認された。
【0042】
また、図6に示すようにPL測定における実施例1〜4のすべてのサンプルについて、約390nmにピークを持つスペクトルが得られ、電界発光特性の優れた良質なp型ZnOナノワイヤが作製できていることが確認された。
【0043】
「容器内圧力依存性」
上記実施例2及び以下の実施例5〜7により評価した。
【0044】
(実施例5)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用し、さらに容器内圧力を122Torrとした以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例5のp型ZnOナノ構造体を得た。図10にSEM像を示す。
【0045】
(実施例6)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用し、さらに容器内圧力を150Torrとした以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例6のp型ZnOナノ構造体を得た。図11にSEM像を示す。
【0046】
(実施例7)
ターゲットに1重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲットを使用し、さらに容器内圧力を242Torrとした以外は、実施例1と同様にして、基板上に実施例7のp型ZnOナノ構造体を得た。図12にSEM像を示す。
【0047】
(実施例2及び実施例5〜7の結果まとめ)
実施例5〜7のSEMの結果(図10〜12)から、すべてのサンプルにおいて、ナノワイヤが成長していることが確認できた。成長(配向)方向は、容器内圧力100Torrである実施例2が、基板に対してほぼ垂直に配向したp型ZnOナノワイヤが得られたのに対し、容器内圧力が大きくなると、低下する傾向があることが確認された。
【0048】
「基板温度依存性」
以下の実施例8〜11により評価した。
【0049】
(実施例8)
基板として、外部の電気炉で大気中、1000℃、1時間アニール処理されたc−cutサファイア単結晶基板を使用し、下記の条件でレーザーアブレーションを行うことにより、基板上に実施例8のp型ZnOナノ構造体を得た。図13にSEM像を示す。
ターゲット:0.3重量%(P2O5換算)PドープZnOターゲット
ターゲット−基板間距離:1cm
レーザーフルエンス:3.0〜5.0J/cm2
繰り返し周波数:20Hz
容器内圧力:260Torr
Arガス流量:27.5sccm
基板温度:850℃
【0050】
(実施例9)
基板温度を900℃とした以外は、実施例8と同様にして、基板上に実施例9のp型ZnOナノ構造体を得た。図14にSEM像を示す。
【0051】
(実施例10)
基板温度を950℃とした以外は、実施例8と同様にして、基板上に実施例10のp型ZnOナノ構造体を得た。図15にSEM像を示す。
【0052】
(実施例11)
基板温度を1000℃とした以外は、実施例8と同様にして、基板上に実施例11のp型ZnOナノ構造体を得た。図16にSEM像、図17にX線回折パターンを示す。
【0053】
(実施例8〜11の結果まとめ)
図13〜15のSEM像から基板温度が850℃、900℃、950℃である実施例8、実施例9、実施例10において、ZnOナノワイヤが確認されたが、成長方向にはばらつきがありZnOナノワイヤが固まりあった構造のものが多く見られた。
一方、基板温度が1000℃である実施例11(図16)では、シート状の形を持ったZnOナノシートが形成された。ナノシートは基板に対してほぼ垂直に成長していた。図17に示すように、基板であるサファイア以外はすべてZnO結晶由来のシグナルのみが確認され、リン化合物に由来するシグナルは確認できなかった。このことから実施例11のZnOナノ構造体は、Pがドープされたp型ZnOナノシートであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のp型ZnOナノ構造体は、p型半導体として、優れた特性を有する。また、本発明の製造方法によると、本発明のp型ZnOナノ構造体を再現性良く製造することができる。そのため、本発明は、紫外発光素子、紫外センサなどの電子デバイス用途への応用が期待できる。
【符号の説明】
【0055】
1 レーザーアブレーション装置
10 レーザー発振器
11a,11b 反射板
12 集光レンズ
13 容器
13a 加熱ヒータ
14 ZnOターゲット
15 ターゲット支持体
16 基板
17 真空ポンプ
18 ガス導入装置
L レーザー光
M (ZnOターゲット14と基板16との)間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
P(リン)を含有し、サファイア単結晶基板表面のc面に対して垂直配向してなること特徴とするp型ZnOナノ構造体。
【請求項2】
前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である請求項1記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項3】
Pの濃度が、0.05〜1.5原子%である請求項1または2記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項4】
前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノワイヤである請求項1から3のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項5】
前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノシートである請求項1から3のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体を備えてなることを特徴とする紫外線センサ。
【請求項7】
圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したp型ZnOナノ構造体を形成することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項8】
前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である請求項7記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項9】
前記基板が、800℃以上の温度でアニールされていることを特徴とする請求項7または8記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜5重量%、基板温度が850〜950℃の範囲であって、容器内圧力が、50〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノワイヤを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項11】
請求項7から9のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜0.5重量%、基板温度が1000〜1200℃の範囲であって、容器内圧力が、200〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノシートを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項1】
P(リン)を含有し、サファイア単結晶基板表面のc面に対して垂直配向してなること特徴とするp型ZnOナノ構造体。
【請求項2】
前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である請求項1記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項3】
Pの濃度が、0.05〜1.5原子%である請求項1または2記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項4】
前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノワイヤである請求項1から3のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項5】
前記p型ZnOナノ構造体が、p型ZnOナノシートである請求項1から3のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体を備えてなることを特徴とする紫外線センサ。
【請求項7】
圧力及び温度が制御された反応容器の内部に配置されたP(リン)を含有するZnOターゲットにレーザー光を照射し、レーザーアブレーションにより生成した微粒子に由来する微結晶を核としてサファイア単結晶基板表面のc面に配向成長したp型ZnOナノ構造体を形成することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項8】
前記基板が、c−cutサファイア単結晶基板である請求項7記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項9】
前記基板が、800℃以上の温度でアニールされていることを特徴とする請求項7または8記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜5重量%、基板温度が850〜950℃の範囲であって、容器内圧力が、50〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノワイヤを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【請求項11】
請求項7から9のいずれかに記載のp型ZnOナノ構造体の製造方法において、前記ZnOターゲットにおけるPの濃度(P2O5換算)が、0.1〜0.5重量%、基板温度が1000〜1200℃の範囲であって、容器内圧力が、200〜300Torrの範囲で反応を行うことにより、p型ZnOナノシートを製造することを特徴とするp型ZnOナノ構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図17】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図17】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−51868(P2011−51868A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205113(P2009−205113)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2009年5月28日 American Chemical Society発行の「THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY C」(J.Phys,Chem.C2009,113,10975−10980)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2009年5月28日 American Chemical Society発行の「THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY C」(J.Phys,Chem.C2009,113,10975−10980)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】
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