説明

α−オレフィン重合体の製造方法及び潤滑油

【課題】潤滑油成分として有用なα−オフィン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)下記一般式(I)


(式中、R1〜R12及びX1〜X4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子等を示し、Y1〜Y4はそれぞれ独立に二つの配位子を結合する二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基等を示す。M1及びM2は周期律表第4〜6族の遷移金属を示す。)で表される遷移金属化合物と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物及び(b−2)イオン性化合物から選ばれる一種とを含有するオレフィン重合体製造用触媒の存在下、炭素数4以上のα−オレフィンを重合させる製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素数4以上のα−オレフィンを重合させる新規なα−オレフィン重合体の製造方法及び該重合体を含有する潤滑油に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭化水素系合成潤滑油として有用なポリ−α−オレフィンを得ようとする試みがいろいろとなされている。例えば、塩化アルミニウム或いは三フッ化ホウ素を用いるフリーデル・クラフト触媒にて1−デセンを重合させる方法が挙げられる。(米国特許3,149,178号公報、同3,382,291号公報)
しかしながら、得られたポリ−α−オレフィンは分子量が低く、低粘度の潤滑油であった。また、三フッ化ホウ素は、高価であること以外に装置腐食性のあるフッ素が排出されるという環境問題がある。
【0003】
また、エチレン或いはα−オレフィンを種々の方法により重合させ、得られた重合体を炭化水素系合成潤滑油として使用する例が、いくつか知られている。例えば、還元クロム触媒を用いる製造例(特表平9−508151号公報)、カチオン重合による製造例(特表平8−505888号公報)等が挙げられる。一方、チーグラー型の触媒を用いる製造例としては、特開平7−145205号公報、特開平5−271339号公報等が知られている。また、メタロセン触媒を用いる製造例としては、特開平7−133234号公報、特開平6−80725号公報、特許2796376号公報、特許2664498号公報等が知られている。いずれも、高価な触媒を使用したり、重合活性が低かったり、エチレンを必須とするなどの製造上の問題点がある。また、低分子量の重合体しか得られないとか、極めて高分子量の重合体が生成する等の問題があり充分ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、炭素数4以上のα−オレフィンを効率よく重合させる新規なα−オレフィン重合体の製造方法及び該重合体を含有する潤滑油を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、(A)特定の遷移金属化合物と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物及び(b−2)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物の中から選ばれた少なくとも一種とを含有するオレフィン重合体製造用触媒の存在下、炭素数4以上のα−オレフィンを重合させるα−オレフィン重合体の製造方法により前記の課題を解決できることを見出し、これに基づき本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は以下に示すα−オレフィン重合体の製造方法及び該重合体を含有する潤滑油を提供するものである。
〔1〕(A)下記一般式(I)又は(II)
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R1〜R12及びX1〜X4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基又はリン含有基を示し、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。3つのR9及び3つのR10はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。Y1〜Y4はそれぞれ独立に二つの配位子を結合する二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、錫含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NR13−、−PR13−、−P(O)R13−、−BR13−又は−AlR13−を示し、R13は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示す。M1及びM2は、それぞれ独立に周期律表第4〜6族の遷移金属を示す。)で表される遷移金属化合物の少なくとも一種と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物及び(b−2)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物の中から選ばれた少なくとも一種とを含有するオレフィン重合体製造用触媒の存在下、炭素数4以上のα−オレフィンを重合させるα−オレフィン重合体の製造方法。
〔2〕 上記一般式(I)におけるY1及びY2が、それぞれ配位子にメソ結合している遷移金属化合物である上記〔1〕記載のα−オレフィン重合体の製造方法。
〔3〕 水素の存在下で、炭素数4以上のα−オレフィンを重合させる上記〔1〕又は〔2〕記載のα−オレフィン重合体の製造方法。
〔4〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のα−オレフィン重合体の製造方法により得られる、重量平均分子量が300〜1,000,000のα−オレフィン重合体。
〔5〕 上記〔4〕記載のα−オレフィン重合体を水添させて得られるα−オレフィン重合体。
〔6〕 上記〔4〕及び/又は〔5〕記載のα−オレフィン重合体を含有する潤滑油。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、潤滑油成分として有用なα−オレフィン重合体が効率よく得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、前記したようなα−オレフィン重合体の製造方法及び該重合体を含有する潤滑油である。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
1.α−オレフィン重合体の製造方法
本発明のα−オレフィン重合体の製造方法は、(A)下記一般式(I)又は(II)
【0013】
【化3】

【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R1〜R12及びX1〜X4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基又はリン含有基を示し、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。3つのR9及び3つのR10はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。Y1〜Y4はそれぞれ独立に二つの配位子を結合する二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、錫含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NR13−、−PR13−、−P(O)R13−、−BR13−又は−AlR13−を示し、R13は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示す。M1及びM2は、それぞれ独立に周期律表第4〜6族の遷移金属を示す。)で表される遷移金属化合物の少なくとも一種と、(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物及び(b−2)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物の中から選ばれた少なくとも一種とを含有するオレフィン重合体製造用触媒、及び必要に応じて水素の存在下、炭素数4以上のα−オレフィンを重合させる製造方法である。
【0016】
前記一般式(I)で表される化合物としては、Y1及びY2が、それぞれ配位子にメソ結合している遷移金属化合物であってもよく、或いはラセミ結合している遷移金属化合物であってもい。好ましくは、メソ結合している遷移金属化合物である。
【0017】
前記一般式(I)で表される化合物としては、より具体的には、下記一般式(I)A又は(I)Bで表される周期律表第4〜6族の遷移金属化合物を挙げることができる。
【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

【0020】
(式中、R14〜R31及びX1、X2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基又はリン含有基を示し、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。Y1、Y2はそれぞれ独立に二つの配位子を結合する二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、錫含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NR32−、−PR32−、−P(O)R32−、−BR32−又は−AlR32−を示し、R32は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示す。M1は周期律表第4〜6族の遷移金属を示す。)
前記一般式(I)Aで表される化合物としては、例えば、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン) ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン) ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン) ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン) ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン) ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン) ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン) ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン) ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン) ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン) ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン) ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン) ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロル体及び上記化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等ならびにそれらのチタン、ハフニウム錯体を例示することができる。
【0021】
前記一般式(I)Bで表される化合物としては、例えば、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)インデニル(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)インデニル(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)インデニル(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)(4−メチルインデニル)(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)(4−メチルインデニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)(5−メチルインデニル)(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)(5−メチルインデニル)(3−メチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) インデニル(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) インデニル(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) インデニル(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) (4−メチルインデニル)(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) (4−メチルインデニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) (5−メチルインデニル)(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン) (5−メチルインデニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロル体及び上記4族遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等を例示することができる。
【0022】
前記一般式(II)で表される化合物としては、より具体的には、下記一般式(II)A又は(II)Bで表される周期律表第4〜6族の遷移金属化合物を挙げることができる。
【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

【0025】
(式中、R33〜R54及びX3、X4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基又はリン含有基を示し、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。Y3、Y4はそれぞれ独立に二つの配位子を結合する二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、錫含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NR55−、−PR55−、−P(O)R55−、−BR55−又は−AlR55−を示し、R55は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示す。M2は周期律表第4〜6族の遷移金属を示す。)
前記一般式(II)Aで表される化合物としては、例えば、(1,1’−エチレン)(7,7’−エチレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (7,7’−エチレン) ビス(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (7,7’−エチレン) ビス(3−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (7,7’−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (7,7’−ジメチルシリレン)ビス(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(7,7’−ジメチルシリレン) ビス(3−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (7,7’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (7,7’−ジメチルシリレン) ビス(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(7,7’−ジメチルシリレン) ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (7,7’−エチレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (7,7’−エチレン) ビス(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(7,7’−エチレン) ビス(3−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド等のジクロル体及び上記4族遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等を例示することができる。
【0026】
前記一般式(II)Bで表される化合物としては、例えば、(1,1’−エチレン)(2,7’−エチレン)(フルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,7’−エチレン)(フルオレニル)(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−エチレン)(フルオレニル)(3−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−エチレン)(フルオレニル)(6−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−エチレン)(9−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−エチレン)(8−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−エチレン)(フルオレニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−エチレン)(フルオレニル)(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−エチレン)(フルオレニル)(3−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,7’−エチレン)(フルオレニル)(6−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−エチレン)(9−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、 (1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−エチレン)(8−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(3−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(6−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,7’−ジメチルシリレン)(9−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(8−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレ) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(3−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン) (2,7’−ジメチルシリレン)(フルオレニル)(6−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,7’−ジメチルシリレン)(9−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,7’−ジメチルシリレン)(8−メチルフルオレニル)(インデニル) ジルコニウムジクロリド、等のジクロル体及び上記4族遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等を例示することができる。
【0027】
(A)成分として用いられる遷移金属化合物としては、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に用いられる(B)成分の(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(III)
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、R56は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基などの炭化水素基又はハロゲン原子を示し、nは重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。なお、各R56は同じでも異なっていてもよい。)で示される鎖状アルミノキサン、及び、下記一般式(IV)
【0030】
【化10】

【0031】
(式中、R56及びnは、前記と同じである。)で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0032】
前記アルミノキサンの製造方法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法を挙げることができるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1)有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2)重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3)金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4)テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、さらに水を反応させる方法などがある。なお、アルミノキサンとしては、トルエン不溶性のものであってもよい。これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
一方、(b−2)成分としては、前記(A)成分の遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物であれば、いずれのものでも使用できるが、次の一般式(V)、(VI)
([L1−R57k+a([Z]-b……(V)
([L2k+a([Z]-b……(VI)
(ただし、L2はM5、R58596、R603C又はR616である。)((V)、(VI)式中、L1はルイス塩基、[Z]-は、非配位性アニオン[Z1-又は[Z2-、ここで[Z1-は複数の基が元素に結合したアニオンすなわち[M712・・・Gf-(ここで、M7は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基又は有機メタロイド基又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち二つ以上が環を形成してもよい。fは[(中心金属M7の原子価)+1]の整数を示す。)、[Z2-は酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基、又は一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R57は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R58及びR59はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R60は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R61はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは[L1−R57],[L2]のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M5は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M6は、周期律表第7〜12族元素を示す。)で表わされるものを好適に使用することができる。
【0034】
ここで、L1の具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,N,N−ジメチルアニリン,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィン,ジフェニルホスフィンなどのホスフィン類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、安息香酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル類などを挙げることができる。
【0035】
57の具体例としては、水素,メチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基などを挙げることができ、R58,R59の具体例としては、シクロペンタジエニル基,メチルシクロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などを挙げることができる。R60の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基等を挙げることができ、R61の具体例としては、テトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン,アリル基,メタリル基などを挙げることができる。また、M5の具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I3などを挙げることができ、M6の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Znなどを挙げることができる。
【0036】
また、[Z1-、すなわち[M712・・・Gf-において、M7の具体例としては、B,Al,Si,P,As,Sbなど、好ましくはB及びAlを挙げることができる。また、G1,G2〜Gfの具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基など、アルコキシ基又はアリールオキシ基として、メトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,フェノキシ基など、炭化水素基として、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−エイコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基など、ハロゲン原子として、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素、ヘテロ原子含有炭化水素基として、p−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基など、有機メタロイド基として、ペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニルホウ素基などを挙げることができる。
【0037】
また、非配位性のアニオン、すなわちpKaが−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基[Z2-の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン(CF3SO3-,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ベンジルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド,過塩素酸アニオン(ClO4-,トリフルオロ酢酸アニオン(CF3COO)-,ヘキサフルオロアンチモンアニオン(SbF6-,フルオロスルホン酸アニオン(FSO3-,クロロスルホン酸アニオン(ClSO3-,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化アンチモン(FSO3/SbF5-,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化ヒ素(FSO3/AsF5-,トリフルオロメタンスルホン酸/5−フッ化アンチモン(CF3SO3/SbF5-などを挙げることができる。
【0038】
このような(b−2)成分化合物の具体例としては、テトラフェニルホウ酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニルホウ酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニルホウ酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニルホウ酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニルホウ酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニルホウ酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニルホウ酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニルホウ酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニルホウ酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニルホウ酸メチルピリジニウム,テトラフェニルホウ酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニルホウ酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸メチルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ベンジルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ベンジル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸メチル(4−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルホスホニウム,テトラキス[ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ジメチルアニリニウム,テトラフェニルホウ酸フェロセニウム,テトラフェニルホウ酸銀,テトラフェニルホウ酸トリチル,テトラフェニルホウ酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸フェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラフルオロホウ酸銀,ヘキサフルオロリン酸銀,ヘキサフルオロヒ素酸銀,過塩素酸銀,トリフルオロ酢酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀などを挙げることができる。
【0039】
この(b−2)成分は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明における(A)成分と(B)成分との使用割合は、(B)成分として(b−1)成分を用いた場合には、モル比で、好ましくは1:1〜1:1,000,000、より好ましくは1:10〜1:10,000、(b−2)成分を用いた場合には、モル比で、好ましくは10:1〜1:100、より好ましくは2:1〜1:10である。また、(B)成分としては、(b−1)及び(b−2)などを単独又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0040】
本発明におけるオレフィン重合体製造用触媒としては、前記の(A)成分及び(B)成分を主成分として含有するものであってもよいし、また、(A)成分、(B)成分及び(C)有機アルミニウム化合物を主成分として含有するものであってもよい。ここで、(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式(VII)
62vAlQ3-v……(VII)
(式中、R62は炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である。)で示される化合物が用いられる。
【0041】
前記一般式(VII)で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物は、一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。前記(A)成分と(C)成分との使用割合は、モル比で、好ましくは1:1〜1:10,000、より好ましくは1:5〜1:2,000、さらに好ましくは1:10〜1:1,000である。この(C)成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が無駄になるとともに、重合体中に多量に残存し、好ましくない。
【0042】
本発明においては、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。この担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれをも用いることができるが、特にモルホロジー制御の点から無機酸化物担体又はそれ以外の無機担体が好ましい。
【0043】
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2,Al23,MgO,ZrO2,TiO2,Fe23,B23,CaO,ZnO,BaO,ThO2やこれらの混合物、例えばシリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバーなどを挙げることができる。これらの中では、特にSiO2,Al23が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。一方、上記以外の担体として、MgCl2,Mg(OC252などのマグネシウム化合物などで代表される一般式MgR63X5yで表わされるマグネシウム化合物やその錯塩などを挙げることができる。ここで、R63は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X5はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2であり、かつx+y=2である。各R63及びX5はそれぞれ同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0044】
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレン,ポリアリレートなどの重合体やスターチ,カーボンなどを挙げることができる。本発明において用いられる担体としては、MgCl2,MgCl(OC25),Mg(OC252,SiO2,Al23などが好ましい。また担体の性状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰まりの原因になる。また、担体の比表面積は、通常1〜1,000m2/g、好ましくは50〜500m2/g、細孔容積は通常0.1〜5cm3/g、好ましくは0.3〜3cm3/gである。比表面積又は細孔容積のいずれかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。なお、比表面積及び細孔容積は、例えばBET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる(”J.Am.Chem.Soc.,60,309(1983)”参照)。さらに、上
記担体は、通常150〜1,000℃、好ましくは200〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
【0045】
触媒成分の少なくとも一種を前記担体に担持させる場合、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方を、好ましくは(A)成分及び(B)成分の両方を担持させるのが望ましい。この担体に、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方を担持させる方法については、特に制限されないが、例えば、(1)(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体をとを混合する方法、(2)担体を有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物で処理したのち、不活性溶媒中で(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と混合する方法、(3)担体と(A)成分及び/又は(B)成分と有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物とを反応させる方法、(4)(A)成分又は(B)成分を担体に担持させたのち、(B)成分又は(A)成分と混合する方法、(5)(A)成分と(B)成分との接触反応物を担体と混合する方法、(6)(A)成分と(B)成分との接触反応に際して、担体を共存させる方法などを用いることができる。なお、上記の反応において、(C)成分の有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
【0046】
このようにして得られた触媒は、一旦溶媒留去を行って固体として取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。また、本発明においては、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることができる。例えば、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とさらに必要により前記(C)成分の有機アルミニウム化合物を加え、エチレンなどのオレフィンを常圧〜2MPa加えて、−20〜200℃で1分〜2時間程度予備重合を行い触媒粒子を生成させる方法を用いることができる。
【0047】
本発明においては、前記(a)成分と担体との使用割合は、質量比で、好ましくは1:0.5〜1:1,000、より好ましくは1:1〜1:50とするのが望ましく、(b)成分と担体との使用割合は、質量比で、好ましくは1:5〜10,000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましい。触媒成分(B)として二種以上を混合して用いる場合は、各(B)成分と担体との使用割合が質量比で上記範囲内にあることが望ましい。また、(A)成分と担体との使用割合は、質量比で、好ましくは1:5〜1:10,000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましい。この(B)成分((a)成分又は(b)成分)と担体との使用割合、又は(A)成分と担体との使用割合が上記範囲を逸脱すると、活性が低下することがある。このようにして調製された本発明の重合用触媒の平均粒径は、通常2〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは20〜100μmであり、比表面積は、通常20〜1,000m2/g、好ましくは50〜500m2/gである。平均粒径が2μm未満であると重合体中の微粉が増大することがあり、200μmを越えると重合体中の粗大粒子が増大することがある。比表面積が20m2/g未満であると活性が低下することがあり、1,000m2/gを越えると重合体の嵩密度が低下することがある。また、本発明の触媒において、担体100g中の遷移金属量は、通常0.05〜10g、特に0.1〜2gであることが好ましい。遷移金属量が上記範囲外であると、活性が低くなることがある。このように担体に担持することによって工業的に有利な製造方法とすることができる。
【0048】
本発明における炭素数4以上のα−オレフィンとしては、炭素数4以上20以下のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。なかでも入手が容易で安価な、炭素数4以上14以下のものがさらに好ましく、炭素数6以上10以下のものが特に好ましい。
【0049】
本発明において、重合方法は特に制限されず、スラリー重合法、気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法などのいずれの方法を用いてもよい。重合条件については、重合温度は通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは0〜160℃である。また、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)が好ましくは1〜108,特に100〜105となることが好ましい。さらに、重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は好ましくは常圧〜20MPaG、特に好ましくは常圧〜10MPaGである。
【0050】
本発明の製造方法としては、炭素数4以上のα−オレフィンを重合する場合に、水素を添加すると重合活性が向上し好ましい。水素を用いる場合は、通常常圧〜5MPaG、好ましくは常圧〜3MPaG、さらに好ましくは常圧〜2MPaGである。重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。また、1−ブテンなどのモノマーを溶媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶媒で行うことができる。
【0051】
本発明においては、前記重合用触媒を用いて予備重合を行うことができる。予備重合は、固体触媒成分に、例えば、少量のオレフィンを接触させることにより行うことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。予備重合に用いるオレフィンについては特に制限はなく、例えばエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、又はこれらの混合物などを挙げることができるが、この重合において用いるモノマーと同じオレフィンを用いることが有利である。また、予備重合温度は、通常−20〜200℃、好ましくは−10〜130℃、より好ましくは0〜80℃である。予備重合においては、溶媒として、不活性炭化水素,脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素,モノマーなどを用いることができる。これらの中で特に好ましいのは脂肪族炭化水素である。また、予備重合は無溶媒で行ってもよい。予備重合においては、予備重合生成物の極限粘度[η](135℃デカリン中で測定)が0.1デシリットル/g以上、触媒中の遷移金属成分1ミリモル当たりに対する予備重合生成物の量が1〜10,000g、特に10〜1,000gとなるように条件を調整することが好ましい。このようにして、本発明のエチレン系共重合体を効率よく得ることができる。
【0052】
また、重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の種類,使用量,重合温度の選択、さらには水素存在下での重合などがある。窒素等の不活性ガスを存在させてもよい。
2.α−オレフィン重合体
本発明のα−オレフィン重合体は、上記のα−オレフィン重合体の製造方法により得られるものである。
【0053】
本発明のα−オレフィン重合体としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した重量平均分子量が300〜1,000,000であることが好ましい。重量平均分子量が300未満では、分子量が低すぎて、潤滑油成分としての効果が得られないことがある。1,000,000を越えると、分子量が高すぎて、潤滑油成分としての効果が得られないことがある。。これらの面から、さらに好ましくは300〜500,000である。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定方法については実施例にて詳しく述べる。
【0054】
また、本発明のα−オレフィン重合体としては、デカリンに溶解し135℃で測定した極限粘度[η]が、0.01〜20(dl/g)であることが好ましい。[η]が0.01(dl/g)未満では、極限粘度が低すぎて、潤滑油成分としての効果が得られないことがある。20(dl/g)より大きいと極限粘度が高杉ぎて、潤滑油成分としての効果が得られないことがある。これらの面から、好ましくは0.1〜10(dl/g)であり、より好ましくは0.1〜5(dl/g)である。
【0055】
さらに、本発明のα−オレフィン重合体としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が
1<Mw/Mn≦4
の関係を満たすことが好ましい。より好ましくは、
1<Mw/Mn≦3.5であり、特に好ましくは、1<Mw/Mn≦3
である。
【0056】
また、本発明のα−オレフィン重合体としては、水添されたものであってもよい。潤滑油に用いる場合は、前記α−オレフィン重合体を水添して得られるα−オレフィン重合体が好ましい。水添の方法としては、特に制限はなく公知の方法が挙げられる。
3.潤滑油
本発明の潤滑油は、前記のα−オレフィン重合体及び/又はα−オレフィン重合体を水添させて得られるα−オレフィン重合体を含有するものである。本発明の潤滑油としては、前記のα−オレフィン重合体及び/又はα−オレフィン重合体を水添させて得られるα−オレフィン重合体を0.01〜100質量%含有する。本発明の潤滑油としては、その使用形態は特に制限はない。すなわち、前記のα−オレフィン重合体及び/又はα−オレフィン重合体を水添させて得られるα−オレフィン重合体を基油として用いてもよい。基油として用いる場合は、低分子量のものから高分子量のものまで広く用いることができる。比較的低分子量のもの(重量平均分子量が300〜3,000)を基油として用いる場合は、単独で用いてもよいし、或いは他の基油と混合して用いてもよい。混合割合は、特に制限はないが、通常1〜100質量%である。
【0057】
他の使用形態としては、前記のα−オレフィン重合体及び/又はα−オレフィン重合体を水添させて得られるα−オレフィン重合体を潤滑油の添加剤として用いる場合が挙げられる。例えば、粘度指数向上剤として添加された潤滑油が挙げられる。この場合、比較的高分子量のα−オレフィン重合体を用いることが好ましい。例えば、高分子量のα−オレフィン重合体としては、重量平均分子量が3,000を超え200,000以下のものが挙げられる。また、添加量としては、基油に対して通常0.01〜50質量%である。
【0058】
本発明の潤滑油としては、本発明の目的を阻害しない範囲で各種公知の添加剤を適宜配合することができる。例えば、リン酸エステル,亜リン酸エステルなどのリン系極圧剤、オレイン酸,ステアリン酸,ダイマー酸などのカルボン酸又はそのエステルなどの油性剤、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP,アリール型を除く),ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC),硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC),ジチオリン酸ニッケル(NiDTP),ジチオカルバミン酸ニッケル(NiDTC)などの耐摩耗剤、アミン系やフェノール系の酸化防止剤、チアジアゾール,ベンゾトリアゾールなどの金属不活性化剤、アルケニルコハク酸又はそのエステルやイミドなどのスラッジ分散剤、ソルビタンエステル,中性アルカリ土類金属のスルホネート,フェネート,サリチレートなどの防錆剤、ジメチルポリシロキサン,ポリアクリレートなどの消泡剤などを挙げることができる。
【0059】
本発明の潤滑油としては、特に制限はなく、ガソリンエンジン油(2サイクル、4サイクル)、ヂーゼルエンジン油等の内燃機関油用、ギヤ油、ATF、PSF、緩衝油等の駆動系及びシャーシ油用、タービン油、作動油、変速機油、工作機械油、冷凍機油等の設備油用、圧延油、切削研削油、熱処理油等の加工油用、グリース用等が挙げられる。
【実施例】
【0060】
次に実施例により本発明を具体的に示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、α−オレフィン重合体及びその水添物の物性評価は下記の方法に従って行った。
(1)Mw/Mn
日本分光製GPC−880(カラム;東ソー製TSKGMH−6×1、日立製作所製GL−A120×1、GL−A130×1)装置を用い、溶媒;クロロホルム、温度;23℃、ポリスチレン換算で測定した。
(2)流動点
JIS K 2269に準拠し測定した。
(3)動粘度及び粘度指数
動粘度は、JIS K 2283に準拠し測定した。粘度指数は、動粘度より、JIS K 2283に準拠し計算して求めた。
〔実施例1〕
(1)(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成
(1)窒素置換した三つ口フラスコにMg10.8g(444mmol)とTHF(テトラヒドロフラン)45mlを入れ、1,2−ジブロモメタン0.6mlを添加した。5分間攪拌後、溶媒を取り除き新たにTHF200mlを加えた。α,α−ジクロロ−o−キシレン18.3g(105mmol)をTHF300mlに溶解し、この溶液を室温で3時間かけて滴下した。反応混合物をさらに室温で15時間攪拌した。反応混合物を−78℃に冷却し、ジメチルマロン酸ジエチルエステル6.6g(36.2mmol)のTHF100ml溶液を1時間かけて滴下した。室温でさらに2時間攪拌後、水100mlを加えた。反応混合物を吸引ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した後、1N塩化アンモニウム水溶液を加えジクロロメタンで抽出した。有機相を水100mlで2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することにより、黄色油状物を得た。更にカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサンで再結晶化させることにより、化合物(1)を無色結晶として4.8g(収率44%)得た。このものの1H−NMRを求めたところ次の結果が得られた。
【0061】
1H−NMR(CDCl3) δ:1.235(s, 6H, CH3), 3.002(d, J=16.4Hz), 及び3.470(d, J=16.4 Hz)(8H, CH2), 3.767(s, 2H, OH), 7.2−7.4(m, 8H, PhH)
【0062】
【化11】

【0063】
(Meはメチル基を表わす。以下同じ)
(2)化合物(1)4.8g(15.9mmol)をジクロロメタン30mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸3.04g((15.9mmol)を加え8時間加熱還流した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することにより黄色油状物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサンから再結晶化することにより化合物(2)を2.3g(収率54%)得た。このものの1H−NMRを求めたところ次の結果が得られた。
【0064】
1H−NMR(CDCl3) δ: 1.586(s, 6H, CH3), 3.470(s, 4H, CH2), 3.767(s, 2H, CpH), 6.9−7.5(m, 8H, PhH)
【0065】
【化12】

【0066】
(3)窒素置換したシュレンク管に化合物(2)を6.2g(22.7mmol)とジエチルエーテル50mlを加えた。溶液を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(1.60mol/l)を28.4ml(45.4mmol)滴下した。室温で3時間攪拌後、上澄み液を除去し、沈殿をジエチルエーテル20mlで2回洗浄した。減圧下乾燥することによりジリチウム塩(3)を白色粉末として得た。
【0067】
【化13】

【0068】
(4)ジリチウム塩(3)をTHF100mlに溶解し、ここへジクロロジメチルシラン3.0g(22.7mmol)を室温で滴下した。3時間室温で攪拌後、溶媒を留去し、水100mlを加えた。水相をジクロロメタン200mlで抽出し、有機相を水で2回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去、得られた固体をヘキサンから再結晶することにより無色結晶として(4)を6.5g(収率 886.5%)得た。このものの1H−NMRを求めたところ次の結果が得られた。
【0069】
1H−NMR(CDCl3) δ: −0.354(s, 6H, SiCH3), 1.608(s, 6H, CCH3),3.347(s, 2H, SiCH), 6.785(s, 2H, CpH), 6.9−7.6(m, 8H, PhH)
【0070】
【化14】

【0071】
(5)窒素置換したシュレンク管に化合物(4)0.9g(2.7mmol)とヘキサン50mlを加えた。溶液を0℃に冷却し、n−ブチルリチウム(1.60mol/l)を3.4ml(5.4mmol)滴下した。室温で3時間攪拌後、上澄みを抜き取り、沈殿をヘキサン50mlで2回洗浄した。固体を減圧乾燥することにより、ジリチウム塩(5)をピンク色粉末として得た。
【0072】
【化15】

【0073】
(6)ジリチウム塩(5)にトルエン50mlを加えた。この懸濁液に、四塩化ジルコニウム0.63g(2.7mmol)のトルエン20ml懸濁液を0℃で滴下した。室温で24時間攪拌した後、沈殿をろ過により除き、炉液を濃縮した。トルエン/ヘキサンから再結晶することにより黄橙色結晶として(6)を0.24g(収率19%)得た。このものの1H−NMRを求めたところ次の結果が得られた。
【0074】
1H−NMR(CDCl3) δ: −0.172(s, 3H, SiCH3), 0.749(s, 3H, SiCH3),1.346(s, 3H, CCH3), 2.141(s, 3H, CCH3), 6.692(s, 2H, CpH), 6.9−8.1(m, 8H, PhH)
【0075】
【化16】

【0076】
(2)1−オクテンの重合
内容積1リットルのステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後に、1−オクテン200ミリリットル、メチルアルミノキサン5ミリモル(2.0ミリモル/mlのヘプタン溶液;2.5ml)を投入した後、水素を導入し、0.2MPaGとし、65℃に昇温した。前記で得た(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド5マイクロモル(5マイクロモル/mlのヘプタン溶液;1ml)を投入し重合を開始した。30分後、メタノール10mlを投入し重合を停止させた。内容物を取り出し、東洋ろ紙製2Cのろ紙で固形分を取り除いた。得られた溶液からロータリーエバポレーター(約1.0×10-4MPaの減圧下、オイルバス100℃)で、ヘプタン、反応原料、メタノール等を留去し、無色透明液体40gを得た。前記の分析方法により得られた結果を第1表に示す。
〔実施例2〕実施例1における重合において、水素圧力を0.7MPaGとしたこと以外は実施例1と同様に行った。無色透明液体62gを得た。前記の評価方法により得られた結果を第1表に示す。
〔実施例3〕実施例1における重合において、1−オクテンを1−ドデセンとし、メチルアルミノキサンを10ミリモル(2.0ミリモル/mlのヘプタン溶液;5.0ml)を投入したこと及び(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド10マイクロモル(5マイクロモル/mlのヘプタン溶液;2ml)としたこと以外は実施例1と同様に行った。無色透明液体80gを得た。前記の評価方法により得られた結果を第1表に示す。
〔実施例4〕α−オレフィン重合体の水添
(1)触媒の調製
SUS316製の2リットルオートクレーブに、ニッケル珪藻土(日揮化学製N−113)100g、2,2,4−トリメチルペンタン300ミリリットルを入れ、水素置換の後、水素圧力を2.0MPaGに昇圧し、140℃に昇温した。この状態を1時間保ち、室温まで冷却して、触媒の調製を行った。
(2)水添反応
前記で得た触媒が入っているオートクレーブを窒素置換した後、開放し、実施例2で得た1−オクテンの重合体を50g入れた。水素置換の後、水素圧力を2.0MPaGに昇圧し、120℃に昇温した。この状態を2時間保ち、室温まで冷却した。窒素置換した後、オートクレーブを開放し、反応混合物を抜き出した。反応混合物から触媒をろ別した。得られた溶液からロータリーエバポレーター(約1.0×10-4MPaの減圧下、オイルバス100℃)で、2,2,4−トリメチルペンタン等を留去し、無色透明液体47gを得た。前記の評価方法により得られた結果を第1表に示す。
【0077】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数4以上のα−オレフィンのみをメタロセン触媒で重合させたα−オレフィン重合体。
【請求項2】
水素の存在下で、炭素数4以上のα−オレフィンを重合させて得られる請求項1記載のα−オレフィン重合体。
【請求項3】
重量平均分子量が300〜1,000,000である請求項1又は2に記載のα−オレフィン重合体。
【請求項4】
1<Mw/Mn≦3の関係を満たす請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィン重合体。
【請求項5】
前記α−オレフィンが、炭素数6以上のものである請求項1〜4のいずれかに記載のα−オレフィン重合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のα−オレフィン重合体を水添させて得られるα−オレフィン重合体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のα−オレフィン重合体を含有する潤滑油。

【公開番号】特開2009−149911(P2009−149911A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89768(P2009−89768)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【分割の表示】特願2000−160355(P2000−160355)の分割
【原出願日】平成12年5月30日(2000.5.30)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】