説明

し尿や有機汚泥などを含んだ下水の処理設備

【課題】超微細化により可溶化した浮遊有機物と汚泥を発酵菌で効率的に処理し、下水処理能力を大幅に高め、最終的に汚泥をゼロにできるようにする。
【解決手段】下水の処理設備1は、受入槽11からし尿などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽13からの下水をポンプP2によって8m/秒以上の高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用と回転体による衝撃によって下水クラスターと含有有機物をミクロンレベルに超微細化すると共にエジェクター部で空気を取り込んで撹拌槽14に戻す可溶化装置200と、撹拌槽から超微細化処理済み下水と発酵菌の供給を受けて曝気処理する曝気処理槽15と、受入槽と撹拌槽に発酵菌を供給する発酵菌供給装置5と、曝気処理槽から曝気処理下水が供給されて上澄水と沈殿汚泥とに分離する沈殿槽16と、沈殿槽から上澄水の供給を受けて処理済み水を放流する後処理部17と、沈殿槽から汚泥の供給を受けて生物処理する生物処理装置18とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、し尿や有機汚泥などを含んだ下水の処理設備、特に下水中の有機物を超微細化して可溶化し、発酵菌で処理すると共に汚泥産出をゼロにする構成の下水の処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のし尿などを含む下水の処理設備としては、下水、し尿、各種産業廃水などの有機性廃水に含有された窒素酸化物をメタン発酵菌のグラニュール汚泥床を有した嫌気性処理槽内で上向流で流通させつつ、脱窒菌をグラニュール汚泥の周りで繁殖させ、生物学的に還元して脱窒処理する生物学的脱窒方法がある(特許文献1を参照)。これは、菌体自体をグラニュール化して菌体を高い密度で保持でき、高容積負荷での運転ができる。
【特許文献1】特開平7−290088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような生物学的脱窒方法では、被処理物の浮遊有機物自体が数ミリメートルから0.1ミリメートル程の粒状物やフレークであり、それに作用する菌もグラニュール状態では、例え高密度接触を図っても作用効果は限定的である。他方、脱窒菌着生のグラニュール汚泥が短期間で形成され、安定したグラニュール汚泥床が維持できる分、汚泥が比較的早く蓄積していき、その汚泥の処置も重要な課題である。
【0004】
本願発明の目的は、ポンプによって発生される少なくとも8m/秒の高速度旋回水流が複数の筒壁から成る環状流路で起こす少なくとも剪断作用と回転体による衝撃力とによって水クラスターもし尿を含む下水中の有機物も超微細化し、有機物を水クラスター間に良く分散させて溶け込ませ、単位重量当り極めて大きくなった表面積の浮遊有機物を加えられた発酵菌によって効率的に極めて短時間で処理し、消費電力に対して下水の処理能力を大幅に高めることができると共に、大量の気泡を下水中に含有させて汚泥の好気性菌による生物分解処理を促進したり、発酵菌による発酵によって農業資材に転換して汚泥産出をゼロにすることができる高い処理能力を有したし尿や有機汚泥などを含んだ下水の処理設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、し尿や有機汚泥などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽と、
該貯留槽からポンプによって吸引した下水を8m/秒以上の高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用と、150rpm以上の高速回転する回転体による衝撃力とによって下水クラスタと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して下水中に可溶化すると共に、上記高速水流を利用したエジェクター部で空気を気泡として該高速水流中に含有させて、処理下水として上記貯留槽又は撹拌槽に戻す可溶化装置と、
上記貯留槽から上記撹拌槽を経て、又は上記撹拌槽から直接処理下水と発酵菌の供給を受けて曝気処理する曝気処理槽と、
少なくとも上記撹拌槽に発酵菌を供給する発酵菌供給手段と、
上記曝気処理槽から曝気処理下水が供給されて上澄水と沈殿汚泥とに分離する沈殿槽と、
該沈殿槽から上澄水の供給を受けて処理済み水を放流する後処理部と、
上記沈殿槽から汚泥の供給を受けて生物処理する生物処理手段と、を有することを特徴とするし尿や有機汚泥などを含んだ下水の処理設備である。
【0006】
上記貯留槽の前に、し尿や有機汚泥や家畜の糞尿などを含んだ下水を受け入れる受入槽と、該受入れ槽からカッターポンプによって移送されてくる下水からし渣を分離するドラムスクリーンと、しさを脱水するスクリュープレスとが設けられ、また上記受入れ槽は、上記発酵菌供給手段から発酵菌の供給を受けるように構成される。
【0007】
上記沈殿槽は、その下部から切替え弁を介して汚泥を上記可溶化装置の上流側に供給したり、上記生物処理手段に供給するように構成される。
【0008】
上記後処理部は、上記沈殿槽から上澄水の供給を受けると共に、上澄水を生物浄化を行うろ過装置を通してから、又は凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流するように構成される。
【0009】
上記発酵菌供給手段は、水用超微細化装置と、水クラスターが超微細化された培養水のタンクと、該タンクからの培養水と発酵菌種とミネラルなどの栄養素とが供給される培養槽と、分配槽と、分配ポンプとをすることができる。
【0010】
上記生物処理手段は、上記沈殿槽からの汚泥を好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置と、上記沈殿槽からの汚泥と上記発酵菌供給手段からの発酵菌とを混合する混合槽と、該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽とから成る発酵装置とから構成される。
【0011】
上記汚泥消滅装置は、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファンによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニットと、排気を脱臭する脱臭ユニットと、復水タンクとを有することができる。
【0012】
上記可溶化装置は、流体中に含有されたフレーク状の有機物を超微細化して流体中に溶融させる装置であって、ほぼ同心状態で2層以上の円筒壁を有し、隣り合う円筒壁間に連絡部を介して互いに連通した環状流路を設けると共に上記環状流路に連絡部を介して連通する流路を最内部の円筒壁内に有し、頂壁と底壁とで囲まれた円筒容器と、上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つにフレーク状の有機物を含有した下水を被処理流体として供給する供給手段と、上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから超微細化された有機物を溶融した流体を排出する排出手段と、上記供給手段と上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから被処理流体を吸引して、上記環状流路の少なくともいずれか一つに加圧して供給して円周方向に8m/秒以上の高速流を発生させ、その高速流による剪断作用などの機械力によってフレーク状有機物を超微細化する噴射手段と、上記円筒容器内において150rpm以上で高速回転する回転体とを有することができる。
【0013】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を有し、ケーシング頂壁の上方に突出した頂壁を有すると共に上記連絡部をケーシング頂壁の近くの内部に有した突出内部円筒壁とを有し、また上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有しり、また上記回転体は、上記突出内部円筒壁の突出部の内部に設けられる。
【0014】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁に対して間隔を取った内部円筒壁とを有し、また上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有し、また上記回転体は、上記間隔部に設けられる。
【0015】
上記回転体は、垂直、斜め、横向きのいずれかで一個又は複数個、又はそれらを組み合わせて複数個設けられる。また上記回転体は、回転平板に多数の羽根やピンを取り付けて構成され、それら羽根やピンと対向した固定羽根や固定ピンを設けた固定体と対向される。更に、上記回転体は、上記円筒容器の内部上部に、又は上記ケーシングの内部上部において回転駆動されるように配置され、また上記排出手段は、上記回転体のレベルに排出口を有することができる。
【0016】
上記噴射手段は、渦巻きポンプとエジェクター部とから構成され、該エジェクター部には空気を吸入する空気吸入部を有することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のし尿や有機汚泥などを含んだ下水の処理設備では、汲み取りし尿や浄化槽汚泥などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽からポンプによって吸引した下水を超微細化装置において8m/秒以上の高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用と、150rpm以上の高速回転する回転体による衝撃力とによって下水クラスターと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して下水中に可溶化し、処理下水として上記貯留槽又は撹拌槽に戻すことになるが、そこでは、水クラスターもし尿を含む下水中の有機物も超微細化し、超微細化によって水クラスター間に良く分散して溶け込ませている。曝気処理槽では、貯留槽から撹拌槽を経て、又は撹拌槽から直接供給される処理下水に含まれ、単位重量当り極めて大きくなった表面積の浮遊有機物は、発酵菌供給手段から供給され、良く分散した添加発酵菌によって効率的に極めて短時間で水分と炭酸ガスなどに発酵処理され、下水の処理能力を大幅に高めることができる。また高速水流を利用したエジェクター部で空気を気泡として該高速水流中に含有させて、処理下水として上記貯留槽又は撹拌槽に戻すことで、下流側に在る曝気処理槽において好気性菌を大幅に活性化して更に有機物処理促進することができ、単位消費電力当たりの有機物の処理能力を大幅に高めることができる。発酵菌も処理しつつ増殖して悪臭の発生を抑制する。曝気処理槽からの曝気処理下水は、沈殿槽に供給され、そこで上澄水と沈殿汚泥とに分離される。一方では上澄水は、沈殿槽から後処理部に供給され、そこで凝集剤やpH調整剤などによる凝集とpH調整の処理後に処理済み水として放流され、他方で沈殿槽からの汚泥は、オガコ菌床などを利用した生物処理手段で好気性菌や嫌気性菌によって炭酸ガスと水に生物分解処理したり、発酵菌によって発酵させて農業資材に転換利用することで、汚泥産出をゼロにすることができる。生物処理手段を生物分解処理部と発酵処理部とで構成すると、農業資材の需要に応じて両部への供給量を加減できる。
【0018】
貯留槽の前に、し尿や有機汚泥や家畜の糞尿などを含んだ下水を受け入れる受入槽と、該受入れ槽からカッターポンプによって移送されてくる下水からし渣を分離するドラムスクリーンと、しさを脱水するスクリュープレスとが設けられると、可溶化装置に高速流体を供給するポンプの作動に障害になる水に溶解しにくい生理用品などを事前にしさとしてドラムスクリーンで捕捉してスクリュープレスで脱水して処理業者に委託処理することができる。受入れ槽に発酵菌供給手段から発酵菌が供給されると、発酵菌の発酵作用によって悪臭の発生をかなり抑制することができる。
【0019】
沈殿槽は、その下部から切替え弁を介して汚泥を可溶化装置の上流側に供給したり、生物処理手段に供給するように構成され、汚泥の発生量に応じて、また汚泥の利用や処理方式に応じて切替え弁によって可溶化装置へ戻す量と生物処理手段へ送る量を調節することができる。
【0020】
後処理部は、沈殿槽から上澄水の供給を受けると共に、上澄水を生物浄化を行うろ過装置を通してから、又は凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流する構成を取ることで、上澄水は生物浄化後に、又は硫酸バンド凝集剤、ポリマー凝集剤やpH調整剤などによって凝集とpH調整が行われ、処理後に各地域のBOD(生物学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)などの規制をクリアした処理水として河川などへ放流される。
【0021】
発酵菌供給手段は、水用超微細化装置と、水クラスターが超微細化された培養水のタンクと、該タンクからの培養水と発酵菌種とミネラルなどの栄養素とが供給される培養槽と、分配槽と、分配ポンプとを有することができ、大量に培養力の大きな発酵菌を事前に用意して必要個所に分配できる。
【0022】
生物処理手段は、上記沈殿槽からの汚泥を好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置と、上記沈殿槽からの汚泥と上記発酵菌供給手段からの発酵菌とを混合する混合槽と、該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽とから成る発酵装置とから構成され、両装置によって最終的に汚泥産出をゼロにでき、また農業資材として利用する場合、その需要に応じて両装置への供給量を加減できる。
【0023】
汚泥消滅装置は、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファンによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニットと、排気を脱臭する脱臭ユニットと、復水タンクとを有することができ、生物分解処理で生じる臭気や蒸気を吸引ファンで捕捉し、臭気を脱臭ユニットで脱臭すると共に蒸気を冷却ユニットで復水することで外部に漏れるのを防ぎ、本設備の設置条件を緩和できる。復水は工場の雑用水として利用できる。
【0024】
可溶化装置では、ほぼ同心状態の2層以上の隣り合う円筒壁間に連絡部を介して互いに連通した環状流路か、最内部の円筒壁内の流路のいずれか一つに供給されたフレーク状の有機物を含有した水などの流体の被処理流体は、供給部とは別の吸引部から噴射手段によって吸引され、上記環状流路に加圧して供給されて円周方向に8m/秒以上の高速流を発生させ、その高速流による剪断作用などの機械力によってフレーク状有機物がミクロンのレベルに超微細化されると共に、上記円筒容器内において150rpm以上で高速回転する回転体によって衝撃を受けて同様にミクロンのレベルに超微細化されることになり、汚泥を形成している死骸細胞の細胞膜が破壊されて細胞質などが容易に流体中に溶融される。その場合、作動構成要素としては、ポンプ等の噴射手段と、モータ等で回転駆動される回転体が使用されているだけであり、長期間に渡って殆ど保守無しで安定した連続運転が可能であり、また繊維を含む植物質や脂肪の多い動物質の有機物であっても詰まるような隙間の小さな個所が無いために連続的に且つ効率的に超微細化され、結果的に可溶化が促進される。本装置で超微細化されて比表面積が格段に拡大した有機物を含む処理済み流体が曝気槽等に供給されると、そのような有機物は各種の原生生物や発酵菌などの細菌によって短時間で生物分解される。例えば、半径が1mmの球状有機物の比表面積が0.00120m2 /gにすぎなかったものが、半径が0.0001mmの球状に超微細化されると、比表面積は12.0m2 /gと1万倍にも成り、従って曝気槽において生息する菌などは、1万倍の数が表面に付着することができて、有機物の消却や、有用な菌の大量培養を効率的に行うことができる。本可溶化装置に水のみを供給した場合、水のクラスターを解して超微細化することができ、本可溶化装置は、水のみの処理の場合は、水用超微細化装置と称される。
【0025】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁の上方に頂壁を有すると共に上記連絡部をケーシング頂壁の近くの内部に有した突出内部円筒壁とを有した簡単な構成とし、上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有することで、被処理流体に含有された有機物が最外部環状流路内で壁面上の流体と高速移動する流体と間の流速差による剪断作用を受け、また内部円筒壁の底壁からの吸引による底壁への衝突によって超微細化が促進される。更に、最外部環状流路内で剪断作用を受けてきた被処理流体は、連絡部を経て流入した上部の突出内部円筒壁の突出部内において、その比較的大きな空間で気液混合状態となり、回転抵抗が比較的小さく高速回転する回転体による衝撃を受けて更に超微細化が促進される。
【0026】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁に対して間隔を取った内部円筒壁とを有した簡単な構成とし、上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した水などの被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有することで、被処理流体に含有された有機物が最外部環状流路内で壁面上の流体と高速移動する流体と間の流速差による剪断作用を受け、また内部円筒壁の底壁からの吸引による底壁への衝突によって超微細化が促進される。更に、最外部環状流路内で剪断作用を受けてきた被処理流体は、上部の間隔部において回転体による衝撃を受けて更に超微細化が促進される。
【0027】
上記回転体は、垂直、斜め、横向きのいずれかで一個又は複数個、又はそれらを組み合わせて複数個設けられ、被処理流体の処理量に応じて造られる円筒容器の大きさに適した高速回転の可能な回転体の配置が可能になる。
上記回転体は、回転平板に多数の羽根やピンを取り付けて構成され、それら羽根やピンと対向した固定羽根や固定ピンを設けた固定体と対向されると、対向した同士の羽根やピンによって被処理流体は、剪断作用や衝撃作用やキャビテーション作用などの複合した機械力を受けて超微細化が促進される。
また上記回転体は、上記円筒容器の内部上部に、又は上記ケーシングの内部上部において回転駆動されるように配置されることで、回転体は比較的回転に対する抵抗の少ない気液混合状態の個所で少ない動力で高速回転ができ、大きな衝撃力を流体中のフレーク状有機物に与えることができ、更に超微細化を促進することができる。また上記排出手段は、上記回転体のレベルに排出口を有することで、ケーシング内部での流体レベルをほぼ排出口レベルに維持でき、被処理流体を回転体に接触させることができる
【0028】
上記噴射手段は、渦巻きポンプとエジェクター部とから構成され、特に高圧ポンプなどの高価なポンプを必要とせずに有機物の超微細化が達成される。また該エジェクター部には空気を吸入する空気吸入部を有することで、水などの流体中に空気を多く含有させて、強いキャビテーション作用を剪断作用や衝撃作用に併合させることができ、有機物の超微細化を促進させることができると共に、下流側の曝気槽において好気性菌を大幅に活性化させて有機物の処理能力を格段に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1に示すように、本発明の代表の実施形態に係るし尿、有機汚泥、家畜糞尿などを含む下水の処理設備1は、そのような下水の被処理物の供給を受ける受入槽11と、そこからカッターポンプ(例えば、5〜8mmに粗砕する)p1によって被処理物の供給を受け、ろ液としさとに分離するドラムスクリーン12Aと、しさを脱水するスクリュープレス12Bと、ろ液と脱水で出た水の供給を受ける貯留槽13と、該貯留槽13からポンプP1によって供給された中間下水をポンプP2によって8m/秒以上の高速度で環状流路に供給して、下記説明のように高速水流の少なくとも剪断作用と回転体による衝撃とによって下水クラスターと含有有機物をミクロンレベルに超微細化し、エゼクター部で空気を下水に大量に取り込んで撹拌槽14に戻す可溶化装置200、(300)と、貯留槽13から下水クラスターと含有有機物とが超微細化処理された中間下水がポンプpによって配管4aで供給され、含有有機物を曝気処理する曝気槽15と、そこから配管4bを介して供給されて上澄下水と汚泥とに分離する沈殿槽16と、該沈殿槽16から上澄水の供給を受けると共に、凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流する後処理部17と、沈殿槽16からポンプp2により流動汚泥の供給を受ける生物処理する生物処理装置18とを有している。
【0030】
下水は、まず受入槽11の前部でしさ以外の砂などの固形物を除去する沈砂部11Aに通される。また貯留槽13は、可溶化装置200、(300)に供給接続した上流部に設けられ、該可溶化装置から超微細化処理された中間下水が供給され、発酵菌供給装置5から発酵菌が供給される下流部には撹拌槽14が設けられており、超微細化による発酵菌の消耗を防ぐように構成されている。貯留槽13には投入される下水量に応じて複数組の可溶化装置が接続される。
【0031】
撹拌槽14と沈殿槽16との間には、各々撹拌槽が併置された曝気槽15A、15Bが設けられており、そこでは、例えば脱窒素菌によってNO3 をN2 に変換して脱窒素を行ったり、硝化菌によってNH4 をNO3 に変換したり、メタノールによりNO3 をN2 に変換して脱窒素を行うようにしている。また沈殿槽16では曝気槽15A、15Bで働いた菌の死骸が汚泥として沈殿し、各種有機物が処理された上澄水は後処理部17に流入する。沈殿汚泥は、沈殿槽16の底部のポンプp2の下流部の切替弁v1によって可溶化装置200、(300)と、生物処理装置18(農業資材処理部を含む)とに供給される量が調節される。例えば、通常可溶化装置200、(300)へ戻される割合は、50%から75%であり、生物処理装置18に供給される割合は、50%から25%であるが、下水供給量や処理度合いなどを見て必要に応じて変えられる。
【0032】
後処理部17は、生物膜浄化するろ過装置で構成され、上澄水の放流の前に、沈殿槽16からの上澄水中の残留汚泥や固形細粒物をろ過する。更に、後処理部17では、各地域のBOD(生物学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)などの規制をクリアするために、上澄水の放流の前に、適宜硫酸バンドの凝集剤とアルカリなどのpH調整剤とが供給されて沈殿槽16からの上澄水中の残留汚泥や固形細粒物が混和凝集され、またポリマー凝集剤も供給されて更に凝集が行われるようにも構成される。
【0033】
生物処理装置18は、沈殿槽16から切替弁v1、v2を介して汚泥の供給を受け、好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置18Aと、沈殿槽16からの汚泥と発酵菌供給装置5からの発酵菌とを混合する混合槽19A及び該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽19Bから成る発酵装置19とから構成されている。発酵装置19からは、堆肥や土壌改良に転用可能な農業資材が得られる。他方、汚泥を消滅させる汚泥消滅装置18Aは、プール18aに保持されて好気性菌が生息している木質チップの菌床18bと、送気ブロワーから送気され、菌床18bの下部に配管された送気管18cと、前後移動しながら菌床18bの木質チップと供給汚泥を撹拌する撹拌機18dと、飛散物回収装置18eとを有している。飛散物回収装置16eは、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファン18fによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニット18gと、排気を脱臭する脱臭ユニット18hと、復水タンク18iとを有している。復水は、工場雑用水として利用される。
【0034】
発酵菌供給装置5は、ラクトバチルス菌などの発酵菌種を収容した種菌タンク5aと、糖蜜やミネラルを含む添加物を収容した添加物タンク5bと、タンク5cから水の供給を受け、ポンプP1で発生された高速水流の衝撃力と大きな水流速度差による剪断力と気泡破裂の超音波とによって水のクラスターをミクロンレベルに超微細化する水用超微細化装置5dと、上記種菌タンクから発酵菌種が、上記添加物タンクから添加物が、タンク5cから超微細化されたクラスターの水がそれぞれ供給されて発酵菌を大量に培養する発酵菌培養タンク5eと、発酵促進すると共に、分配ポンプを組み込んだ分配槽5fとから構成されている。浮遊有機物を超微細化して超微細化されたクラスターの水と混合して発酵菌培養タンクからの発酵菌を添加して発酵を促進する分配槽5fの数を更に増やすこともできる。発酵菌培養タンク5eと分配槽5fとに発酵菌と共生関係を取る光合成菌が添加されると、光合成菌はアミノ酸やミネラルやビタミン等の優れた栄養分に富んでいて菌体自身が有機肥料としても有用であり、互いに必要とする物質を供給しあって培養を早めてくれる他、腐敗菌が発生させる悪臭物質を栄養源として摂取するので更に腐敗防止を確実に行うことができる。また発酵菌培養タンクと分配槽が内部に撹拌手段を備えることで超微粒子化された水クラスター間に更に均一に添加物や有機物を分散することができる。更に発酵促進タンクが内部に撹拌手段と温度制御手段とを備えることで超微粒子化された水クラスター間に更に均一に有機物を分散し、発酵菌に適した温度で培養速度を高めることができる。発酵菌としては、現地で採取したラクトバチルス菌、乳酸菌、酵母菌、酪酸菌、納豆菌等が一般加えられ、更に共生関係を取る光合成菌も添加される。
【0035】
上記可溶化装置200、(300)と上記水用超微細化装置5dとを同じ構造とすることができるが、別々のものにしたり、または混在させることもできる。
先ず、代表的な可溶化装置200について説明すると、図2から図4において、頂板211aと底板211bとを有した外部円筒体211と、該円筒体211にその中央部で上下に貫くように結合され、頂板213aと底板213bとを有した内部円筒体213と、それら隣り合う円筒体211、213の間に設けられ、内部で頂板211a近くに内部円筒体213の上部に形成された複数の連絡開口部215を介して互いに連通した外部環状流路212と、内部円筒体213内の内部流路216とを有したケーシングの円筒容器210と、タンク5cや貯留槽13から内部円筒体213の下部内にフレーク状の汚泥や有機物を含有した下水をポンプP1で供給する供給パイプ221と、内部流路216から超微細化された汚泥などを溶融した処理済み水を排出するために内部円筒体213の上部に接続された排出パイプ222と、内部流路216における底部から吸引パイプ226を介して被処理水を吸引して加圧し、環状流路212の下部に吐出パイプ227を介して接線方向から供給して円周方向に、例えば30m/秒程度の高速度の水流F1を発生させ、その高速水流による剪断作用やそれに伴うキャビテーションなどの機械力によってフレーク状汚泥/有機物を超微細化する渦巻きポンプなどの噴射ポンプP2と、内部円筒体213内の上部突出部において、例えば1000rpm程度の高速度で回転して環状流路212を旋回して上昇して来て複数の連絡開口部215から流入して来る被処理水中のフレーク状汚泥/有機物に衝撃を与えて数ミクロンレベルに超微細化する回転体230とを有している。内部流路216でも、被処理水が噴射ポンプP2によって底部から吸引されるために底板213bに激突し、滝壷効果のような衝撃とキャビテーションとによって被処理水中のフレーク状汚泥/有機物が超微細化される。そのような衝撃は、環状流路212における頂板211aと底板211bへの高速水流の衝突によっても起こされている。
【0036】
この可溶化装置200では、排出パイプ222の排出口を回転体230のレベルにして、被処理水を回転体230に接触させるように内部円筒体213内での流体レベルLをほぼ排出口レベルに維持するようにしている。また噴射ポンプP2の吐出パイプ227にエゼクター部228を形成して空気をパイプ229から吐出高速水流中に混入させることができ、上記のようなキャビテーションの作用を強めると共に曝気槽15A、15Bにおいて好機聖子とができる。空気の供給量はパイプ229の弁229aによって加減される。
【0037】
また回転体230は、図4(a)に示すように、インバータモータなどの電動可変速モータ(図示は省略)によって回転駆動される垂直な回転軸231と、これの下端に直交して結合された円盤232と、その下面に放射状に配列された多数の横長の短冊状板や突起などの突出羽根233とから構成されている。図4(b)に示すように、突出羽根234は上下方向に長い形状も取ることができる。更に、図4(c)に示すように、回転体230は、突出体235として円盤232の下面に放射状にピンを配列し、これら移動ピンに対向した固定ピン236を円盤237に設けた固定体238と対峙した構成を取ることができる。固定体38は、内部円筒体213の上部に固定され、その円盤237には中央開口237aや、適宜多数の孔237bが形成される。また、回転体230は、規模やスペースに応じて複数配置され、更に図3(a)に仮想線で示すように斜め回転体230Aや、横向き回転体230Bとしても配置され、またそれらは混在され得る。
【0038】
排出パイプ222が内部円筒体213に接続している部分では、気液混合状態になっているために、図3(a)に示すように、水にセットリングしてから排出するようにダム構造部223が設けられている。ダム構造部223は、内部円筒体213の上部の排出開口213cに向き合い、上下に通孔を設けて該上部内面に取り付けられた邪魔板223aと、開口213cに連通して内部円筒体213の外部に設けられ、溶解された有機物を含んだ水を混合状態の気体から分離してセットリングする略直方体の箱223bと、箱223bに接続された排出パイプ222とから構成されている。箱223bの内部のダム部223cには、頂板の外部からハンドル223dによって上下動される堰板223eが設けられている。
【0039】
図3(b)に示すダム構造部223’も基本的には図3(a)に示すものと同じであるが、邪魔板223aに代えて回転体230を取り囲む構造物223gが設けられている。構造物223gは、内部円筒体213の上部に回転体230と向かい合って固定された多孔円盤224hと、この上に回転体230の周囲を取り囲むように取り付けられた多孔円筒壁224iとを有しており、セットリングの他に超微細化を強化する。
【0040】
可溶化装置の変形例を図5によって説明する。変形例の可溶化装置300は、上記代表例よりも簡単な構造を有しており、ケーシングを成す外部円筒体351と、これに半径方向に間隔を置くと共にケーシング頂板351aに対して間隔355を取った内部円筒体353の2つの同心状態の円筒体351、353を有し、それら隣り合う円筒体351、353の間に連絡間隔部355を介して互いに連通した外部環状流路352と内部円筒体353内の内部流路356とを設け、外部円筒体351と頂板351aと底板351bとで囲まれた円筒容器350と、環状流路352にフレーク状の汚泥/有機物を含有した被処理水をポンプP2で供給するように外部円筒体351の下部に接続された供給パイプ361と、内部流路356から超微細化された汚泥を溶融した処理済み水を排出するために内部円筒体353の上部に接続された排出パイプ362と、内部流路356における底部から吸引パイプ326を介して被処理水を吸引して加圧し、環状流路352の下部に吐出パイプ327を介して接線方向から供給して円周方向に、例えば30m/秒程度の高速度の水流F1を発生させ、その高速水流による剪断作用やそれに伴うキャビテーションなどの機械力によってフレーク状汚泥を超微細化する渦巻きポンプなどの噴射ポンプP2と、円筒容器350内の上部において、具体的には内部円筒体353の上方の間隔355で、例えば1000rpm程度の高速回転して環状流路352を旋回して上昇して来る被処理水中のフレーク状汚泥/有機物に衝撃を与えて数ミクロンレベルに超微細化する回転体230とを有している。内部流路356でも、被処理水が噴射ポンプP2によって底部から吸引されるために底板351bに激突し、滝壷効果のような衝撃とキャビテーションによって被処理水中のフレーク状汚泥が超微細化される。排出パイプ362の接続部のダム構造部は、上記代表実施例と同じである。また上記代表実施例と同じエジェクター部(図示は省略されている)が設けられている。
【実施例1】
【0041】
可溶化装置200、(300)は、供給パイプ221、(361)から供給される被処理水量と排出パイプ222、(362)から排出される排出量とが同じになった段階で定常運転状態になる。内部円筒体213、(353)の一定容積に対して供給量及び排出量を増やすと、被処理水が噴射ポンプP2を通過して繰り返し超微細化作用を受ける繰り返し数が減って超微細化程度が下がり、反対に供給量及び排出量を減らすと、被処理水が噴射ポンプP2を通過して繰り返し超微細化作用を受ける繰り返し数が増えて超微細化程度が上がる。従って、内部円筒体213、(353)の一定容積に対して供給量及び排出量を設定することが重要である。発明者の実施テストでは、噴射ポンプP2の後に流量計を設けて幾つかの所定時間内での繰り返し通過の合計流量を測定し、その合計流量を内部円筒体213、(353)の一定容積で割って繰り返し通過回数を算定し、例えば150通過回数と300通過回数と1000通過回数における被処理水の状態を観察し、最も良い状態の通過回数を決める。最も良い状態は、300通過回数で得られ、フレーク状汚泥が良く超微細化されて24時間静置しても水と超微細化された汚泥とが分離せず溶融ができており、温度上昇も20℃から45℃までで、生物分解に活躍する大腸菌や他の細菌の生存数が最大であった。因みに、150通過回数では24時間静置すると水と超微細化された汚泥とが分離し、超微細化度が不足しており、1000通過回数では24時間静置しても水と超微細化された汚泥とが分離しないが、温度上昇も52℃に達して超微細化作用と共に大腸菌の生存数を激減させており、他の細菌の生存数も減少させており、また運転経済性が極めて悪い。従って、200から300通過回数で得られた見本的な超微細化状態が達成されるように、噴射ポンプP2の容量と内部円筒体213、(353)の容積が決められ、またそれらに対して被処理水の供給量(排出量)が決められる。因みに、可溶化装置200、300において、高速水流速度を好ましくは30m/秒とし、300通過回数で得られた回転体の回転速度230とミクロンレベルへの微細化度の関係を図6に示す。微細化度は、回転体230の運動量(mv2)に、即ち速度の2乗に比例するもの考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
有機物を含有した下水として、食品加工場からの有機物を含有した排水を処理対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の代表的な実施形態の汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備の概略説明フロー図。
【図2】同設備の第一形態の可溶化装置の一部切り欠き縦断面図。
【図3】同可溶化装置の排出パイプの排出部の縦断面部分図であり、(a)は排出部の第一例を、(b)は排出部の第二例を示している。
【図4】(a)、(b)及び(c)は、本発明に係る有機物の可溶化装置の三つの形態の回転体をそれぞれ示した説明図。
【図5】同設備の第二形態の可溶化装置の一部切り欠き縦断面部分図。
【図6】同設備における可溶化装置の回転体の回転速度とミクロンレベルへの微細化度の関係を示したグラフ。
【符号の説明】
【0044】
1:汲み取りし尿などを含む下水の処理設備
5:発酵菌供給手段
5c:培養水のタンク
5d:水用超微細化装置
5e:培養槽
5f:分配槽
11:受入槽
12A:ドラムスクリーン
12B:スクリュープレス
13:貯留槽
14:撹拌槽
15:曝気槽
15A:第一曝気槽
15B:第二曝気槽
16:沈殿槽
17:後処理部
18:生物処理手段
18A:汚泥消滅装置
18b:菌床
18f:吸引ファン
18g:冷却ユニット
18h:脱臭ユニット
18i:復水タンク
19:発酵装置
19A:混合槽
19B:発酵槽
200 代表例の可溶化装置
300 変形例の可溶化装置
210 円筒容器
211、213 円筒壁(円筒体)
211a 頂壁(頂板)
211b 底壁(底板)
212 環状流路
215 連絡部(開口)
216 流路
221 供給手段(供給パイプ)
222 排出手段(排出パイプ)
226 吸引部(吸引パイプ)
227 噴射部(吐出パイプ)
228 エジェクター部
230 回転体
230A 斜め回転体
230B 横向き回転体
233 羽根
235 ピン
236 固定ピン
238 固定体
350 円筒容器
351 外部円筒壁(外部円筒体)
351a 頂壁
353 内部円筒壁
351a 頂壁(頂板)
351b 底壁(底板)
355 連絡部(間隔)
356 流路
361 供給手段(供給パイプ)
362 排出手段(排出パイプ)
P2 ポンプ
p1 カッターポンプ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
し尿や有機汚泥などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽と、
該貯留槽からポンプによって吸引した下水を8m/秒以上の高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用と、150rpm以上の高速回転する回転体による衝撃力とによって下水クラスタと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して下水中に可溶化すると共に、上記高速水流を利用したエジェクター部で空気を気泡として該高速水流中に含有させて、処理下水として上記貯留槽又は撹拌槽に戻す可溶化装置と、
上記貯留槽から上記撹拌槽を経て、又は上記撹拌槽から直接処理下水と発酵菌の供給を受けて曝気処理する曝気処理槽と、
少なくとも上記撹拌槽に発酵菌を供給する発酵菌供給手段と、
上記曝気処理槽から曝気処理下水が供給されて上澄水と沈殿汚泥とに分離する沈殿槽と、
該沈殿槽から上澄水の供給を受けて処理済み水を放流する後処理部と、
上記沈殿槽から汚泥の供給を受けて生物処理する生物処理手段と、を有することを特徴とするし尿や有機汚泥などを含んだ下水の処理設備。
【請求項2】
上記貯留槽の前に、し尿や有機汚泥や家畜の糞尿などを含んだ下水を受け入れる受入槽と、
該受入れ槽からカッターポンプによって移送されてくる下水からし渣を分離するドラムスクリーンと、しさを脱水するスクリュープレスとが設けられており、
上記受入れ槽は、上記発酵菌供給手段から発酵菌の供給を受けるようになっている請求項1記載の処理設備。
【請求項3】
上記沈殿槽は、その下部から切替え弁を介して汚泥を上記可溶化装置の上流側に供給したり、上記生物処理手段に供給するように構成されている請求項1記載の処理設備。
【請求項4】
上記後処理部は、上記沈殿槽から上澄水の供給を受けると共に、上澄水を生物浄化を行うろ過装置を通してから、又は凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流する請求項1記載の処理設備。
【請求項5】
上記発酵菌供給手段は、水用超微細化装置と、水クラスターが超微細化された培養水のタンクと、該タンクからの培養水と発酵菌種とミネラルなどの栄養素とが供給される培養槽と、分配槽と、分配ポンプとを有している請求項1記載の処理設備。
【請求項6】
上記生物処理手段は、上記沈殿槽からの汚泥を好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置と、
上記沈殿槽からの汚泥と上記発酵菌供給手段からの発酵菌とを混合する混合槽と、該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽とから成る発酵装置とから構成されている請求項1記載の処理設備。
【請求項7】
上記汚泥消滅装置は、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファンによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニットと、排気を脱臭する脱臭ユニットと、復水タンクとを有している請求項1記載の処理設備。
【請求項8】
上記可溶化装置は、
流体中に含有されたフレーク状の有機物を超微細化して流体中に溶融させる装置であって、
ほぼ同心状態で2層以上の円筒壁を有し、隣り合う円筒壁間に連絡部を介して互いに連通した環状流路を設けると共に上記環状流路に連絡部を介して連通する流路を最内部の円筒壁内に有し、頂壁と底壁とで囲まれた円筒容器と、
上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つにフレーク状の有機物を含有した下水を被処理流体として供給する供給手段と、
上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから超微細化された有機物を溶融した流体を排出する排出手段と、
上記供給手段と上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから被処理流体を吸引して、上記環状流路の少なくともいずれか一つに加圧して供給して円周方向に8m/s以上の高速流を発生させ、その高速流による剪断作用などの機械力によってフレーク状有機物を超微細化する噴射手段と、
上記円筒容器内において150rpm以上で高速回転する回転体とを有している請求項1記載の処理設備。
【請求項9】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を有し、ケーシング頂壁の上方に突出した頂壁を有すると共に上記連絡部をケーシング頂壁の近くの内部に有した突出内部円筒壁とを有しており、
上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有しており、
上記回転体は、上記突出内部円筒壁の突出部の内部に設けられている請求項8記載の処理設備。
【請求項10】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁に対して間隔を取った内部円筒壁とを有しており、
上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有しており、
上記回転体は、上記間隔部に設けられている請求項8記載の処理設備。
【請求項11】
上記回転体は、垂直、斜め、横向きのいずれかで一個又は複数個、又はそれらを組み合わせて複数個設けられる請求項1又は8記載の処理設備。
【請求項12】
上記回転体は、回転平板に多数の羽根やピンを取り付けて構成され、それら羽根やピンと対向した固定羽根や固定ピンを設けた固定体と対向される請求項1又は8記載の処理設備。
【請求項13】
上記回転体は、上記円筒容器の内部上部に、又は上記ケーシングの内部上部において回転駆動されるように配置されており、また
上記排出手段は、上記回転体のレベルに排出口を有している請求項8記載の装置。
【請求項14】
上記噴射手段は、渦巻きポンプとエジェクター部とから構成され、該エジェクター部には空気を吸入する空気吸入部を有している請求項8記載の装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−44566(P2007−44566A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228419(P2005−228419)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】