らせん状部品の製造装置及びその制御方法
【課題】レーザや超高圧のウォータジェットを用いなくても、らせん状部品を切断するのと同時に、その端部を平面にできる技術の提供。
【解決手段】線材Wをポイントツール21に向けて送り出し、線材Wをポイントツール21に押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置は、線材Wをポイントツール21に向けて送り出すためのフィードローラ12と、フィードローラを回転駆動するための線材送りモータ111と、円盤状砥石31を回転可能及び移動可能に保持し、回転する円盤状砥石31により線材Wを切断するための砥石ツールユニット30と、円盤状砥石31を少なくともらせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、線材Wをコイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、線材送りモータ111及び砥石ツールユニット30を制御するCPU100と、を有する。
【解決手段】線材Wをポイントツール21に向けて送り出し、線材Wをポイントツール21に押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置は、線材Wをポイントツール21に向けて送り出すためのフィードローラ12と、フィードローラを回転駆動するための線材送りモータ111と、円盤状砥石31を回転可能及び移動可能に保持し、回転する円盤状砥石31により線材Wを切断するための砥石ツールユニット30と、円盤状砥石31を少なくともらせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、線材Wをコイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、線材送りモータ111及び砥石ツールユニット30を制御するCPU100と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリング等に代表されるらせん状部品の製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、らせん状部品の製造装置としてのスプリング製造装置により線材をらせん状に巻いてスプリングを製造した後、スプリング製造装置とは別の研磨機を用いてスプリングの両端部を平面に加工しているため、別に研磨機が必要な分、コストや設置場所等の面で問題があると共に、スプリング製造の他に研磨工程が加わって生産効率の低下の原因となっている。
【0003】
この問題を解決するために、フィードローラにより送り出される線材をツールに押し当てらせん状に巻いた後、そのらせん体の外周からレーザを照射して切断する技術やウォータジェットを噴射して切断する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
更に、近年、板材の切断装置に用いられる砥石として、超硬合金やガラス等の硬脆性材料、フェライト等の磁性材料、その他の難削複合材等を精密に切断できる円盤状砥石が市販されている。この円盤状砥石は、外径が50〜300mm、厚さが0.5〜1.0mmで、高剛性合金の外周部にダイヤモンド砥粒層を形成して構成されている(非特許文献1参照)。
【0005】
また、非特許文献2によれば、半導体集積回路、ガラス、セラミックス、フェライト等の精密な切断に適した、厚さが0.1〜0.4mmの円盤状のダイシング(切削)ブレードが市販されている。
【0006】
ここで、図19を参照して、従来のスプリング製造装置により線材を切断する方法について説明する。
【0007】
図19において、従来のスプリング製造装置は、ガイド11から押し出される線材Wを、ポイントツール21に押し当ててらせん状に巻いた後、上下方向にスライド可能な切断ツール23と、この切断ツール23と協働して線材Wにせん断力を付与する芯金24とにより線材を切断する。
【0008】
また、図20乃至図26を参照して、従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法について説明する。
【0009】
上述したように、従来のスプリング製造装置により製造されたスプリングは、図23に示すように、らせん状に巻かれた線材Wの端部5aが径方向に切断されるため、スプリングの両端部は平面とはならない。
【0010】
そこで、図20〜図22に示す如く、スプリング5の両端部を回転する砥石131で挟み込むように研磨することで平面に加工する。
【0011】
図24は、スプリング5の両端部5aが全周に亘って理想的に研磨された形状を示しており、研磨によって線材Wの末端部に形成される極薄部分W1が折れてスプリング使用時に脱落することを防ぐために、研磨後に図25のように切除される。また、図24のように理想的な研磨量は線材径と同等であるが、研磨量を線材径よりも少なくすることで、図26に示すように、理想的な端部5aの断面積と比較して、端部5bの断面積はやや少ない(つまり、研磨されていない曲面部分が大きくなるため、端部を鉛直にした姿勢が不安定となるが)、両端部を切除したものと同様な形状を得ることができる。
【特許文献1】特許第2004851号明細書
【特許文献2】特許第3854242号明細書
【非特許文献1】http://www.heiwa-tec.co.jp/
【非特許文献2】http://www.discousa.com/jp/products/catalog/index.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1では、レーザを用いることにより切断面が熱変形するという不都合がある。
【0013】
また、上記特許文献2では、超高圧のウォータジェットを噴射するため、その周辺に安全対策が必要となる。また、線材に衝突したウォータジェットが飛散して製品としてのスプリングや装置の他の部分に悪影響を及ぼすという不都合がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、レーザや超高圧のウォータジェットを用いなくても、らせん状部品を切断するのと同時に、その端部を平面にできる技術を実現することである。
【0015】
また、本発明は、らせん状部品の切断だけでなく、らせん状部品の外形を容易に加工できる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、線材ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための切断手段と、前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御手段と、を有する。
【0017】
また、本発明は、線材をツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することにより前記らせん状部品の外形を加工するための研磨手段と、前記研磨手段を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御手段と、を有する。
【0018】
また、好ましくは、前記らせん状に巻かれた線材の一部をレーザにより切断するレーザ手段を更に備え、前記切断手段により前記らせん状部品を切断する前に、前記レーザ手段により切断箇所に対応する線材に切れ目を入れて、前記らせん状部品の切断後に生じる線材の端部を除去する。
【0019】
また、本発明は、線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための少なくとも1つの切断手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御工程を有する。
【0020】
また、本発明は、線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することによりらせん状部品の外形を加工するための少なくとも1つの研磨手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御工程を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、レーザや超高圧のウォータジェットを切断手段として用いなくても、らせん状部品の切断と同時に、その端部を平面にできる。
【0022】
また、らせん状部品の切断だけでなく、らせん状部品の外形を容易に加工できる。
【0023】
よって、研磨機を用いた後加工が不要となり、生産効率が向上する。また、レーザやウォータジェット等の大型の装置が不要となると共に、芯金等も不要となるため、装置を安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0025】
尚、以下の実施形態において、「らせん状部品」又は「らせん体」には、コイルスプリング等の発条体の他に、線材をらせん状に巻いたアンテナ等が含まれる(図9参照)。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る第1の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図2は、図1の正面図である。
【0027】
尚、以下では、らせん状部品の製造装置の一例としてコイルスプリングを製造する装置について説明する。
【0028】
先ず、図1及び図2に示すように、本実施形態のらせん状部品の製造装置(以下、製造装置)は、成形テーブル1上に、線材Wを成形空間(ポイントツール21)に向けて送り出す線材フィードユニット10と、この線材フィードユニット10により送り出される線材Wに当接して強制的に湾曲させて線材Wをらせん状に巻くための2つのツールユニット20と、高速回転する極薄の円盤状砥石31により線材Wを切断する切断手段としての砥石ツールユニット30と、コイル長及び円盤状砥石31の外径を計測する計測ユニット40と、を備える。
【0029】
線材フィードユニット10は、線材Wを不図示の線材供給源から成形空間まで案内するガイド11と、このガイド11の途中で線材Wを挟持して成形空間まで送り出す上下一対のフィードローラ12とを有する。
【0030】
フィードローラ12の一方(下側)は、例えば線材送りモータ(図4参照)等のローラ駆動手段により回転駆動され、他方(上側)はこの一方のローラにギヤ列等を介して従動回転する。これらフィードローラ12の回転により、線材Wをガイド11内の線材送出溝(不図示)に沿って線材送出方向(Y軸方向)に搬送し、ガイド11の先端部11aから成形空間に向けて押し出す。
【0031】
ツール保持手段としての各ツールユニット20はガイド11の先端部11aに対向して配置されるポイントツール21を有する。線材Wはフィードローラ12によって押し出されながら各ポイントツール21に当接することにより強制的に湾曲してらせん状に巻いたらせん体2を形成する。
【0032】
各ポイントツール21の先端部には溝が形成されており、この溝の角度を線材送出方向に対して微調整することにより、上記線材Wをコイル成長方向(X軸方向)に実質的に垂直な面(Y−Z平面)で湾曲させ成長させる。また、各ポイントツール21はポイントツール駆動モータ(図参照)によってツール軸方向に往復移動可能になっており、このポイントツール駆動モータを制御して各ポイントツール21の先端部とガイド11の先端部11a(正確には、コイル径中心)との距離を調整することにより、所望のコイル径(コイル外径やコイル平均径を意味する)を持つコイルスプリングを成形できる。また、フィードローラ12により線材Wの送出量を調整することによってらせん体の巻数が決定される。
【0033】
ポイントツール21は、通常は2つ設けられ、各ツール軸から延長した軸線の交点がコイル径中心と略一致し、このコイル径中心に対して互いに90°の角度をなすように配置されている。ここで、上記各ツール軸から延長した軸線の交点の位置をガイド11の線材送出位置よりも上方(Z軸方向)にすることで右巻き、反対に下方にすることで左巻きのコイルスプリングを成形できる。
【0034】
また、ポイントツール21の近傍には、らせん状に巻かれていく線材Wに当接してコイルのピッチを設定するピッチツール22が設けられている。ピッチツール22は、ピッチツール駆動モータ(図4参照)によってコイル成長方向に実質的に平行に移動可能及びコイル成長方向に実質的に平行な回転軸まわりに所定角度で回動可能に構成されており、ピッチツール駆動モータ(図4参照)を制御することにより、所望のピッチを持つコイルスプリングが成形される。
【0035】
ここで、上記線材Wが巻かれる際に上記ピッチツール22が介在しない状態では、湾曲したコイル部分が互いに密着したコイルスプリングとなり、ピッチツール22が介在するとコイル部分が所望のピッチで離間した圧縮コイルスプリングとなる。
【0036】
計測ユニット40は、成形テーブル1上におけるツールユニット20側(成形空間に対してフィードローラ12とは反対側)に配置され、CCDカメラ等により順次成長していくらせん体を撮影して得られる画像データからコイル長を計測すると共に、後述する円盤状砥石の外径を計測する。
【0037】
尚、図6で後述するらせん体2の自由端を保持するために成形テーブルに対向配置されたチャックは図示を省略している。
【0038】
<砥石ツールユニット>
図3は、砥石ツールユニットの外観斜視図(a)及び側断面図(b)である。
【0039】
砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31が成形空間において互いに鉛直(Z軸)方向に沿って対向するように配置されている。尚、これら砥石ツールユニット30は、少なくとも1つ、つまり、上方又は下方のいずれか一方だけに設けても良い。
【0040】
砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31を成形テーブル1に平行(Y−Z平面に平行)な状態で回転可能に支持する。また、砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31を回転させながら、少なくともコイル成長方向(X軸方向)及び当該コイル成長方向に実質的に垂直な面(Y−Z平面に平行な方向)に沿って移動可能である。
【0041】
砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31を回転駆動する回転駆動ユニット32と、この回転駆動ユニット32をX軸方向に移動させるX方向駆動ユニット33と、回転駆動ユニット32及びX方向駆動ユニット33をZ軸方向に移動させるZ方向駆動ユニット34と、を備える。
【0042】
回転駆動ユニット32は、一端部に円盤状砥石31が取り付けられる回転軸32aと、この回転軸32aを回転自在に軸支する回転軸ハウジング32bと、回転軸32aの他端部に出力軸32dが接続され、回転軸ハウジング32bに支持される回転駆動モータ32cと、を備える。
【0043】
また、X方向駆動ユニット33は、回転軸ハウジング32bに連結されたX方向駆動軸ハウジング33aと、このX方向駆動軸ハウジング33aに対してX軸方向にスライド自在に軸支されるX方向駆動軸33bと、このX方向駆動軸33bに対してボールスクリュー機構等を介して出力軸33dが接続され、X方向駆動軸33bをX方向にスライド駆動するX方向駆動モータ33cと、を備える。X方向駆動モータ33cは、X方向駆動軸ハウジング33aに支持される。
【0044】
更に、Z方向駆動ユニット34は、成形テーブルに取り付けられるZ方向駆動軸ハウジング34aと、Z方向駆動軸ハウジング34aに対してZ方向にスライド自在に軸支され、X方向駆動軸ハウジング33aに連結されたZ方向駆動軸34bと、このZ方向駆動軸34bに対してボールスクリュー機構等を介して出力軸34dが接続され、Z方向駆動軸34bをZ方向にスライド駆動するZ方向駆動モータ34cと、を備える。Z方向駆動モータ34cは、Z方向駆動軸ハウジング34aに支持される。
【0045】
尚、円盤状砥石31は、上述したポイントツール21と干渉しないように、成形テーブル1からX軸方向にポイントツール21より離れた位置に配置され、Z軸方向のストローク範囲もポイントツールと干渉しないように設定されている。
【0046】
<ブロック構成>
図4は、本発明に係る実施形態の製造装置の制御系のブロック構成を示し、100は本装置全体の制御を司るCPU、101はらせん状部品の寸法等の各種パラメータ等の設定や動作或いは停止指示を与えるための操作部であり、その操作内容や装置状態を表示するための表示部102が設けられている。尚、CPU100には、その動作処理手順を記憶しているプログラムメモリ103、及びワークエリアとして使用するRAM104が設けられている。105〜110は以下に説明するのドライバである。111はサーボモータ等の線材送りモータであって、フィードローラ12を回転駆動させる。112はサーボモータ等のポイントツール駆動モータであって、ポイントツール21をツール軸方向に駆動させる。113はサーボモータ等のピッチツール駆動モータであって、ピッチツール22を回転駆動させる。114はサーボモータ等の回転駆動モータであって、円盤状砥石31を所定の回転数で回転駆動する。115,116はX方向駆動モータ、Z方向駆動モータであって、上記砥石ツールユニット30をそれぞれX軸方向,Z軸方向に沿って移動させる。即ち、上記砥石ツールユニット30は、少なくともコイル成長方向に実質的に垂直なY−Z平面上に平行に移動されて、線材Wをコイル成長方向に実質的に垂直に切断する。
【0047】
尚、上記構成において、砥石ツールユニット30にY方向駆動モータを設け、円盤状砥石31をY方向にも移動可能としても良い。
【0048】
また、計測ユニット40や後述するチャック120もCPU100により制御されるように、図示の如くCPU100と電気的に接続されている。
【0049】
<切断処理1>
次に、図1乃至図4、図5及び図6を参照して、上述した製造装置を用いた線材の切断処理1を含む部品製造手順について説明する。
【0050】
この切断処理1は、線材Wを所定コイル長まで成長させた後に、線材Wの送出を停止させた状態で切断するものである。
【0051】
図5は、本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理1を含む部品製造手順を示すフローチャートである。図6は、切断処理1を説明する図である。但し、以下では、説明の便宜上、ポイントツール21は固定、つまり一様なコイル径を有するコイルスプリングを製造する例について説明する。
【0052】
図5において、処理が開始されると、S1では、ユーザが初期設定として、線材の太さ(径)やコイル長、製造個数等の各種パラメータを設定する。また、CPU100は、円盤状砥石31の回転駆動を開始すると共に、X方向駆動モータ及びZ方向駆動モータを駆動して円盤状砥石31を初期位置へ移動させる。ここで、円盤状砥石は、2500〜3000rpm程度で回転される。また、円盤状砥石31は、外径が50〜300mm、厚さが0.1〜5.0mmの範囲の中から線材Wの直径以下(例えば、0.1〜20mm)のものが選択され、例えば平和テクニカ株式会社製のダイヤモンド切断砥石や精密切断砥石(非特許文献1)、株式会社ディスコ製のダイシングブレード(非特許文献2)、株式会社京浜工業所製のカッティング用ダイヤモンドCBNホイールが適用できる。
【0053】
次に、S2では、CPU100は、計測ユニット40により円盤状砥石31の外径を検出し、この検出結果から算出された円盤状砥石31の外径の変化量(磨耗量)に基づいて円盤状砥石31の移動量を補正演算する。
【0054】
次に、S3では、CPU100は、S1で与えられたパラメータ及びS2で補正された移動量に基づいて線材送りモータ111、ポイントツール駆動モータ112、及びピッチツール駆動モータ113を同期制御して、図6(a)に示すように線材Wを所望のピッチでらせん状に湾曲させて成長させる。
【0055】
S4では、CPU100は、切断時期になったか否かを判定する。この切断時期は、計測ユニット40によりコイル長を検出し、この検出結果からコイル長がS1で与えられた設計値になったか否かにより判定する。尚、S1で与えられたコイル長分だけ線材Wが送り出されたか否かで判定しても良い。ここでは、切断時期になったと判定されるまで、線材送りモータ111、ポイントツール駆動モータ112、ピッチツール駆動モータ113をプログラムされた通りに継続動作させる。
【0056】
S4で切断時期になったと判定されたならば(ステップS4でYES)、S5に進み、CPU100は、線材送りモータ111を一旦停止させ、図6(b)に示すように成形テーブルに対向配置されたチャック120を前進させて成形されたらせん体2の自由端を保持する。
【0057】
S6では、CPU100は、図6(c)に示すようにZ方向駆動モータを制御して、円盤状砥石31を移動させてらせん体2の外周から切断し、初期位置へ移動させる。
【0058】
S7では、CPU100は、S1で与えられた製造個数に達するまで、S2からS6までの処理を繰り返し実行し、製造個数に達したならば、S8で本プログラムの終了処理を行い、円盤状砥石31の回転を停止させる。
【0059】
以上の手順によれば、円盤状砥石31による切断が完了した時点で、次に製造されるらせん状部品の始端が同時に形成されることになる。
【0060】
尚、上方の砥石ツールユニット30による円盤状砥石31の下降動作と下方の砥石ツールユニット30による円盤状砥石31の上昇動作とを略同じ移動量として同期させて制御することで、らせん状部品を上下の円盤状砥石31で挟み込むように切断できるので、らせん状部品の撓みを抑え、上記チャック120を用いなくとも切断が可能となる。
【0061】
<切断処理2>
次に、図1乃至図4、図7及び図8を参照して、上述した製造装置を用いた線材の切断処理2を含む部品製造手順について説明する。
【0062】
この切断処理2は、線材Wを送出しらせん状に成長させながら切断するものである。
【0063】
図7は、本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理2を含む部品製造手順を示すフローチャートである。図8は、切断処理2を説明する図である。但し、上記切断処理1と同様に、説明の便宜上、一様なコイル径を有するコイルスプリングを製造する例について説明する。
【0064】
図7において、S1〜S5,S7〜S8までの処理は上記切断処理1と同様であり、異なる点は、S5の後のS16,S17の処理である。即ち、S16では、CPU100は、図8(a)に示すようにZ方向駆動モータ116を制御して、円盤状砥石31を移動させてらせん体2の外周から線材1本分を切断する。
【0065】
S17では、CPU100は、線材送りモータ111とX方向駆動モータ115とを同期制御してらせん体を成長させながら切断する。図8(b)は、らせん体2を成長させながら切断する様子を示し、らせん体2が1巻き分成長する(1巻き分送出する)間に、円盤状砥石31がX方向(コイル成長方向)に線材の直径分だけ移動する。尚、チャック120は、らせん体2を保持したままX軸まわりに摺動可能である。
【0066】
これにより、線材Wを送出し成長させながら切断できるので、部品ごとの成形時間を短縮し、生産効率が向上する。
【0067】
上記実施形態によれば、レーザや超高圧のウォータジェットを切断手段として用いなくても、らせん状部品の切断と同時に、その端部を平面にできる。よって、研磨機を用いた後加工が不要となり、生産効率が向上する。また、レーザやウォータジェット等の大型の装置が不要となると共に、芯金等も不要となるため、装置を安価に構成することができる。
【0068】
本例は、圧縮コイルスプリングの中でも特に、外径と線径の比(D/d)が小さい(4以下)のスプリングの製造に有効である。即ち、D/dが4以下になると、スプリングの内径が小さくなり、コイル部分の中に介在する芯金も自ずと小さくなり、切断の負荷に耐えられなくなり、芯金の寿命が極端に短くなる。
【0069】
これに対して、本例では、D/dが小さいスプリング(外径が小さいスプリング)程、切断時間も短くなり、更にスプリング両端部の極薄部分も小さくなり、メリットが大きい。よって、D/dが小さいスプリングを製造した場合の従来の切断の問題や端面を研磨する手間を解消し、非常に画期的な技術が実現できる。
【0070】
[第1の実施形態の変形例]
上記第1の実施形態では、砥石ツールユニット30の円盤状砥石31をらせん体の切断及び端部の研磨に用いた。これに対して、本変形例は、砥石ツールユニット30を研磨手段としてらせん状部品の外形加工に適用した例である。
【0071】
図9は、第1の実施形態の製造装置により製造されたらせん状部品の外形を示す正面図(a)、側面図(b)及び断面図(c)である。図10は、本実施形態の砥石ツールユニットによりらせん状部品を加工した外形図である。
【0072】
図9に示すらせん状部品2は、長方形断面を有する線材をらせん状に巻いて構成される携帯電話等の無線通信機器に搭載されるアンテナ部品である。
【0073】
そして、図1乃至図3の各ユニット10〜40の動作を図4のCPU100により制御することで、図10に示すように、上述した製造装置をらせん状部品の製造装置として用いて線材をらせん状に巻いた後、砥石ツールユニット30の動作を制御して外周面に溝2aを形成したり、端部に縮径した段差部2bや先細りのテーパ部2cを形成することができる。
【0074】
尚、砥石ツールユニット30は、第1の実施形態と同様に、外形加工後のらせん状部品に対して切断及び端部の研磨も行えることは言うまでもない。
【0075】
本変形例によれば、らせん状部品の切断だけでなく、らせん状部品の外形を容易に加工できる。
【0076】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、砥石ツールユニット30のみを用いてらせん体の切断を行った。これに対して、第2の実施形態は、砥石ツールユニット30とレーザユニット50とを協働させてらせん体を切断する例である。
【0077】
図11は、本発明に係る第2の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図12は、図11の正面図である。尚、図11及び図12においてチャックは図示を省略している。
【0078】
図11及び図12において、第1の実施形態の構成に対して、上方の砥石ツールユニット30をレーザユニット50に置き換えて構成されている。尚、計測ユニット40は図示を省略し、その他、図1と同一の構成には同一の符号を付して示し、説明を省略する。また、レーザユニット50を下方の砥石ツールユニット30と置き換えてもよい。
【0079】
レーザユニット50は、図4のCPU100により制御され、砥石ツールユニット30と同様に、レーザヘッド51を、少なくともコイル成長方向(X軸方向)及び当該コイル成長方向に実質的に垂直な面(Y−Z平面に平行な方向)に沿って移動可能であり、らせん状に巻かれた線材Wの切断箇所の一部に切れ目を入れる。
【0080】
従来技術としても説明したが、砥石ツールユニット30により切断したらせん体は、その両端部に極薄部分が形成される。本実施形態は、レーザユニット50を追加することで、上記極薄部分を除去するという後加工を不要とし、円盤状砥石31による切断と同時にこの極薄部分を除去できるようにしている。
【0081】
<切断処理3>
次に、次に、図4、図11乃至図14を参照して、第2の実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理3を含む部品製造手順について説明する。
【0082】
この切断処理3は、線材Wを所定コイル長まで成長させた後に、線材Wの送出を停止させた状態でレーザユニット50により線材Wの外周の一部に切れ目を入れてから切断することで、円盤状砥石31による切断と同時にらせん体2の端部の極薄部分が除去される。
【0083】
図13は、本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理3を含む部品製造手順を示すフローチャートである。図14は、切断処理3を説明する図である。但し、上記切断処理1,2と同様に、説明の便宜上、一様なコイル径を有するコイルスプリングを製造する例について説明する。
【0084】
図13において、S1〜S5,S6〜S8までの処理は上記切断処理1と同様であり、異なる点は、S5の後のS26の処理である。即ち、S26では、CPU100は、レーザユニット50を制御して、円盤状砥石31により切断する部分に対応する線材Wの外周の一部に切れ目を入れる。ここでは、図14に示すように、円盤状砥石31により切断した時に極薄部分3,4となる線材Wの外周の前後2箇所にY方向に切れ目3a,4aを入れる。
【0085】
その後、S6で、CPU100は、Z方向駆動モータ116を制御して円盤状砥石31が上記2箇所の切れ目3a,4aの未切断部分を横切るように移動させて切断することで、切断後に生じる線材Wの極薄の端部が同時に除去される。
【0086】
第2の実施形態によれば、従来の極薄部分を除去するためのやすり等を用いた作業が不要となるので、生産効率が向上する。
【0087】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、砥石ツールユニット30の円盤状砥石31の移動方向が線材Wの送出方向(Y方向)に対して直交するように、上下方向(Z方向)に配置されていた。これに対して、第3の実施形態は、砥石ツールユニット80の円盤状砥石81の移動方向が線材Wの送出方向に沿って対向するように、具体的には、第1の実施形態でポイントツール21が配置されていた位置、つまり線材Wの送出方向に沿ってガイド11とは反対側に配置している。
【0088】
図15は、本発明に係る第3の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図16は、第3の実施形態の砥石ツールユニットの外観斜視図である。図17は、図16の砥石ツールユニットの正面図(a)及び側面図(b)である。図18は、成形空間におけるガイド、らせん体、ポイントツール及び円盤状砥石の位置関係を示すZ方向から見た図(a)及びX方向から見た図(b)である。尚、図15においてチャックは図示を省略している。
【0089】
図15乃至図18において、第3の実施形態のらせん状部品の製造装置は、成形テーブル上に、線材Wを成形空間(ツール)に向けて送り出す線材フィードユニット60と、この線材フィードユニット60により送り出される線材Wに当接して強制的に湾曲させて線材Wをらせん状に巻くための2つのツールユニット70と、砥石ツールユニット80と、レーザユニット90と、を備える。尚、コイル長及び円盤状砥石の外径を計測する計測ユニットは図示を省略している。また、図16及び図17は、レーザユニットを省略して示している。また、上記各ユニット60〜90の機能は第1及び第2の実施形態と同様であり、図4のCPU100により制御される。
【0090】
線材フィードユニット60は、線材Wを不図示の線材供給源から成形空間まで案内するガイド61と、このガイド61の途中で線材Wを挟持して成形空間まで送り出す2組の上下一対のフィードローラ62とを有する。
【0091】
各ツールユニット70はガイド61の先端部61aに対向して配置されるポイントツール71を有する。線材Wはフィードローラ62によって押し出されながら各ポイントツール71に当接することにより強制的に湾曲してらせん状に巻いたらせん体2を形成する。尚、ツールユニット70は、通常は2つのポイントツールが互いに90°の角度をなすように配置される。
【0092】
砥石ツールユニット80は、線材Wの送出方向に沿って線材Wに対向するように配置されている。また、ツールユニット70が、第1の実施形態で砥石ツールユニット30が配置されていた位置、つまり成形空間に対してZ方向に上下に一対配置されている。
【0093】
ツールユニット70は、ポイントツール71を上下方向に駆動する。ポイントツール71の先端部71aには、押し出される線材に対向するように傾斜した溝部が形成されている。その他、図1と同一の構成には同一の符号を付して示し、説明を省略する。
【0094】
砥石ツールユニット80は、円盤状砥石81を回転自在に支持する砥石支持ユニット82と、砥石支持ユニット82をY方向に移動させるY方向駆動テーブル83と、Y方向駆動テーブル83をX方向に移動させるX方向駆動テーブル84と、X方向駆動テーブル84をX方向に移動可能に支持するベース85と、を有する。尚、円盤状砥石81のZ方向の位置は、調整ねじ86により調整される。
【0095】
また、砥石ツールユニット80は、円盤状砥石81を回転駆動する回転駆動モータ87と、Y方向駆動テーブル83をY方向に移動させるY方向駆動モータ(不図示)と、X方向駆動テーブル84をX方向に移動させるX方向駆動モータ88と、を有する。
【0096】
尚、Y方向駆動テーブル83をZ方向への移動もモータにより行う構成としてもよい。
【0097】
また、砥石支持ユニット82には、X方向に対して円盤状砥石81の上方にレーザユニット90が搭載され、円盤状砥石81と同様に、Y−Z方向に移動可能となっている。
【0098】
尚、本実施形態の製造装置による切断処理については、上述した切断処理1と同様である。
【0099】
また、第3の実施形態の砥石ツールユニット80を、第1の実施形態の変形例として説明したように、研磨手段としてらせん状部品の外形加工に適用できることは言うまでもない。
【0100】
この第3の実施形態によれば、円盤状砥石81の配置スペースを広くできるので、第1及び第2の各実施形態に比べて、砥石の外径を大きくして磨耗代を大きくでき、砥石の寿命を長くすることができる。
【0101】
[第4の実施形態]
第3の実施形態では、線材フィードユニット60及びツールユニット70と砥石ツールユニット80とをそれぞれ別の装置に搭載していた。これに対して、第4の実施形態は、線材フィードユニット、ツールユニット及び砥石ツールユニットを同一の装置に搭載し、且つツールユニット及び砥石ツールユニットを上下方向に移動する共通のテーブルに搭載した例である。
【0102】
図27は、本発明に係る第4の実施形態のらせん状部品の製造装置を正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図28は、図27(a)の正面図である。図29は、本実施形態の上下テーブルを正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、下側のツールユニットのカバーを取り外した状態を示す図である。図30(a)、(b)は、図27乃至図29に示すツールユニットを互いに異なる方向から見た外観斜視図である。
【0103】
図27乃至図29において、本実施形態のらせん状部品の製造装置は、不図示の箱体状のベースの上部に取り付けられた矩形状のベーステーブル201と、このベーステーブル201上に配置されて上下方向に移動する上下テーブル202と、を有する。
【0104】
ベーステーブル201には、線材フィードユニット210とガイド211が搭載されている。また、上下テーブル202には、ツールユニット220と砥石ツールユニット230とが搭載されている。線材フィードユニット210の構成は、第3の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0105】
上下テーブル202は、ベーステーブル201に形成された凹形状部201aに配置され、ラック&ピニオン機構(ラック部203bのみ図示)と上下駆動モータ203aからなる上下テーブル駆動ユニット203により上下方向に所定の範囲(線材を中心に上下に各20mm、最大40mm程度)で移動する。ラック部203bは上下テーブル202の背面に設けられ、このラック部203bに噛合するピニオン(不図示)を駆動する上下駆動モータM1はベーステーブル201の背面に配置されている。
【0106】
また、上下テーブル202には、砥石ツールユニット230が線材送出方向(Y方向:左右方向)に沿って移動可能及びテーブル面の法線方向(X方向:前後方向)に移動可能に配置されている。また、上下テーブル202には、砥石ツールユニット230を挟むように上下にツールユニット220が線材送出方向に対して略45°の角度で配置されている。なお、各ツールユニット220は上下テーブル202に対して着脱可能である。また、上側及び下側の各ツールユニット220の少なくともいずれかを、線材送出方向に対して直交する角度で上下テーブル202に取り付けることも可能である。
【0107】
砥石ツールユニット230は、ボール&スクリュー機構(不図示)とY方向駆動モータ233aからなる砥石左右駆動ユニット233により左右方向に駆動される。また、砥石ツールユニット230は、ボール&スクリュー機構(不図示)と砥石前後駆動モータ234aからなる砥石前後駆動ユニット234により前後方向に駆動される。また、砥石ツールユニット230は、歯車機構(不図示)と砥石回転駆動モータ235aからなる砥石回転駆動ユニット235により砥石231を回転駆動する。
【0108】
各ツールユニット220は、ラック&ピニオン機構228b,cとツールスライド駆動モータ228aからなるツールスライド駆動ユニット228により成形空間に向けて(又は成形空間から退避するように)スライド駆動される。また、各ツールユニット220は、クランク機構229bと前後駆動モータ229aからなる微調整ユニット229により前後方向に微調整のために駆動される。
【0109】
ツールユニット220は、図30に示すように、線材を強制的に折曲、湾曲、捲回あるいは切断することにより所望形状のらせん部品に成形するポイントツール221、ポイントツール221を保持するツールホルダ222、ツールホルダ222が取り付けられるスライダ223、スライダ223をベース224に対してスライド可能に支持するスライダガイド225を有し、ベース224が上下テーブル202に取り付けられる。また、ツールホルダ222は、上記微調整ユニット229のクランク機構229bに連結されて、ポイントツール221をスライド方向に直交しテーブル面に平行な軸226に対して揺動させて、ポイントツール先端部221aの線材に対する位置を微調整される。
【0110】
スライダ223にはラック部228cが取り付けられ、ツールスライド駆動モータ228aの出力軸(不図示)に固定されたピニオン228bに噛合して駆動される。ツールユニット220は、上下テーブル202に取り付けられた状態でスライダ223、ベース224、スライダガイド225を保護するカバー227が取り付けられる。
【0111】
なお、ツールの種類や配置等は任意に設定できることは言うまでもなく、ツールユニット220には、図示のポイントツール以外にも、曲げツール、抑えツール等の他の形状のツールが取り付け可能である。
【0112】
本実施形態は、第3の実施形態と同様に、砥石ツールユニット230の円盤状砥石231の移動方向が線材送出方向に沿って対向するように配置されている。このため、切断動作は、上述した切断処理1と同様であり、図4に示す制御系により上記各駆動モータ203a,228a,229a,233a,234a,235aを駆動して実現する。
【0113】
本実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加えて、上下テーブル202を線材フィードユニット210が取り付けられるベーステーブル201に対して、つまりフィードローラ212により送り出される線材Wに対して上下方向に移動可能としたことで、砥石ツールユニット230の円盤状砥石231の回転中心231aがらせん状部品のコイル径中心と常に一致するように調整することができる。このため、らせん状部品の外形(コイル径など)が変更された場合であっても、簡単にツール221や円盤状砥石231の相対位置を再設定することができる。
【0114】
なお、第4の実施形態の砥石ツールユニット230を、第1の実施形態の変形例として説明したように、研磨手段としてらせん状部品の外形加工に適用できることは言うまでもない。
【0115】
また、本実施形態では、コイル長及び円盤状砥石の外径を計測する計測ユニット及びレーザユニットは図示を省略している。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】砥石ツールユニットの外観斜視図(a)及び側断面図(b)である。
【図4】本発明に係る実施形態のらせん状部品の製造装置の制御系のブロック構成を示す図である。
【図5】本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理1を含む部品製造手順を示すフローチャートである。
【図6】切断処理1を説明する図である。
【図7】本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理2を含む部品製造手順を示すフローチャートである。
【図8】切断処理2を説明する図である。
【図9】第1の実施形態の製造装置により製造されたらせん状部品の外形を示す正面図(a)、側面図(b)及び断面図(c)である。
【図10】本実施形態の砥石ツールユニットによりらせん状部品を加工した外形図である。
【図11】本発明に係る第2の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理3を含む部品製造手順を示すフローチャートである。
【図14】切断処理3を説明する図である。
【図15】本発明に係る第3の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図16】第3の実施形態の砥石ツールユニットの外観斜視図である。
【図17】図16の砥石ツールユニットの正面図(a)及び側面図(b)である。
【図18】成形空間におけるガイド、らせん体、ポイントツール及び円盤状砥石の位置関係を示すZ方向から見た図(a)及びX方向から見た図(b)である。
【図19】従来のスプリング製造装置により線材を切断する方法を説明する図である。
【図20】従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法を説明する図である。
【図21】従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法を説明する図である。
【図22】従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法を説明する図である。
【図23】従来の研磨機により加工されるスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図24】従来の研磨機により加工されたスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図25】従来の研磨機により加工されたスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図26】従来の研磨機により加工されたスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図27】本発明に係る第4の実施形態のらせん状部品の製造装置を正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図28】図27(a)の正面図である。
【図29】本実施形態の上下テーブルを正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、下側のツールユニットのカバーを取り外した状態を示す図である。
【図30】図27乃至図29に示すツールユニットを互いに異なる方向から見た外観斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
1 成形テーブル
10,60,210 線材フィードユニット
20,70,220 ツールユニット
30,80,230 砥石ツールユニット
31,81,231 円盤状砥石
40 計測ユニット
50,90 レーザユニット
120 チャック
201 ベーステーブル
202 上下テーブル
W 線材
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリング等に代表されるらせん状部品の製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、らせん状部品の製造装置としてのスプリング製造装置により線材をらせん状に巻いてスプリングを製造した後、スプリング製造装置とは別の研磨機を用いてスプリングの両端部を平面に加工しているため、別に研磨機が必要な分、コストや設置場所等の面で問題があると共に、スプリング製造の他に研磨工程が加わって生産効率の低下の原因となっている。
【0003】
この問題を解決するために、フィードローラにより送り出される線材をツールに押し当てらせん状に巻いた後、そのらせん体の外周からレーザを照射して切断する技術やウォータジェットを噴射して切断する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
更に、近年、板材の切断装置に用いられる砥石として、超硬合金やガラス等の硬脆性材料、フェライト等の磁性材料、その他の難削複合材等を精密に切断できる円盤状砥石が市販されている。この円盤状砥石は、外径が50〜300mm、厚さが0.5〜1.0mmで、高剛性合金の外周部にダイヤモンド砥粒層を形成して構成されている(非特許文献1参照)。
【0005】
また、非特許文献2によれば、半導体集積回路、ガラス、セラミックス、フェライト等の精密な切断に適した、厚さが0.1〜0.4mmの円盤状のダイシング(切削)ブレードが市販されている。
【0006】
ここで、図19を参照して、従来のスプリング製造装置により線材を切断する方法について説明する。
【0007】
図19において、従来のスプリング製造装置は、ガイド11から押し出される線材Wを、ポイントツール21に押し当ててらせん状に巻いた後、上下方向にスライド可能な切断ツール23と、この切断ツール23と協働して線材Wにせん断力を付与する芯金24とにより線材を切断する。
【0008】
また、図20乃至図26を参照して、従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法について説明する。
【0009】
上述したように、従来のスプリング製造装置により製造されたスプリングは、図23に示すように、らせん状に巻かれた線材Wの端部5aが径方向に切断されるため、スプリングの両端部は平面とはならない。
【0010】
そこで、図20〜図22に示す如く、スプリング5の両端部を回転する砥石131で挟み込むように研磨することで平面に加工する。
【0011】
図24は、スプリング5の両端部5aが全周に亘って理想的に研磨された形状を示しており、研磨によって線材Wの末端部に形成される極薄部分W1が折れてスプリング使用時に脱落することを防ぐために、研磨後に図25のように切除される。また、図24のように理想的な研磨量は線材径と同等であるが、研磨量を線材径よりも少なくすることで、図26に示すように、理想的な端部5aの断面積と比較して、端部5bの断面積はやや少ない(つまり、研磨されていない曲面部分が大きくなるため、端部を鉛直にした姿勢が不安定となるが)、両端部を切除したものと同様な形状を得ることができる。
【特許文献1】特許第2004851号明細書
【特許文献2】特許第3854242号明細書
【非特許文献1】http://www.heiwa-tec.co.jp/
【非特許文献2】http://www.discousa.com/jp/products/catalog/index.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1では、レーザを用いることにより切断面が熱変形するという不都合がある。
【0013】
また、上記特許文献2では、超高圧のウォータジェットを噴射するため、その周辺に安全対策が必要となる。また、線材に衝突したウォータジェットが飛散して製品としてのスプリングや装置の他の部分に悪影響を及ぼすという不都合がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、レーザや超高圧のウォータジェットを用いなくても、らせん状部品を切断するのと同時に、その端部を平面にできる技術を実現することである。
【0015】
また、本発明は、らせん状部品の切断だけでなく、らせん状部品の外形を容易に加工できる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、線材ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための切断手段と、前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御手段と、を有する。
【0017】
また、本発明は、線材をツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することにより前記らせん状部品の外形を加工するための研磨手段と、前記研磨手段を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御手段と、を有する。
【0018】
また、好ましくは、前記らせん状に巻かれた線材の一部をレーザにより切断するレーザ手段を更に備え、前記切断手段により前記らせん状部品を切断する前に、前記レーザ手段により切断箇所に対応する線材に切れ目を入れて、前記らせん状部品の切断後に生じる線材の端部を除去する。
【0019】
また、本発明は、線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための少なくとも1つの切断手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御工程を有する。
【0020】
また、本発明は、線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することによりらせん状部品の外形を加工するための少なくとも1つの研磨手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御工程を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、レーザや超高圧のウォータジェットを切断手段として用いなくても、らせん状部品の切断と同時に、その端部を平面にできる。
【0022】
また、らせん状部品の切断だけでなく、らせん状部品の外形を容易に加工できる。
【0023】
よって、研磨機を用いた後加工が不要となり、生産効率が向上する。また、レーザやウォータジェット等の大型の装置が不要となると共に、芯金等も不要となるため、装置を安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0025】
尚、以下の実施形態において、「らせん状部品」又は「らせん体」には、コイルスプリング等の発条体の他に、線材をらせん状に巻いたアンテナ等が含まれる(図9参照)。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る第1の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図2は、図1の正面図である。
【0027】
尚、以下では、らせん状部品の製造装置の一例としてコイルスプリングを製造する装置について説明する。
【0028】
先ず、図1及び図2に示すように、本実施形態のらせん状部品の製造装置(以下、製造装置)は、成形テーブル1上に、線材Wを成形空間(ポイントツール21)に向けて送り出す線材フィードユニット10と、この線材フィードユニット10により送り出される線材Wに当接して強制的に湾曲させて線材Wをらせん状に巻くための2つのツールユニット20と、高速回転する極薄の円盤状砥石31により線材Wを切断する切断手段としての砥石ツールユニット30と、コイル長及び円盤状砥石31の外径を計測する計測ユニット40と、を備える。
【0029】
線材フィードユニット10は、線材Wを不図示の線材供給源から成形空間まで案内するガイド11と、このガイド11の途中で線材Wを挟持して成形空間まで送り出す上下一対のフィードローラ12とを有する。
【0030】
フィードローラ12の一方(下側)は、例えば線材送りモータ(図4参照)等のローラ駆動手段により回転駆動され、他方(上側)はこの一方のローラにギヤ列等を介して従動回転する。これらフィードローラ12の回転により、線材Wをガイド11内の線材送出溝(不図示)に沿って線材送出方向(Y軸方向)に搬送し、ガイド11の先端部11aから成形空間に向けて押し出す。
【0031】
ツール保持手段としての各ツールユニット20はガイド11の先端部11aに対向して配置されるポイントツール21を有する。線材Wはフィードローラ12によって押し出されながら各ポイントツール21に当接することにより強制的に湾曲してらせん状に巻いたらせん体2を形成する。
【0032】
各ポイントツール21の先端部には溝が形成されており、この溝の角度を線材送出方向に対して微調整することにより、上記線材Wをコイル成長方向(X軸方向)に実質的に垂直な面(Y−Z平面)で湾曲させ成長させる。また、各ポイントツール21はポイントツール駆動モータ(図参照)によってツール軸方向に往復移動可能になっており、このポイントツール駆動モータを制御して各ポイントツール21の先端部とガイド11の先端部11a(正確には、コイル径中心)との距離を調整することにより、所望のコイル径(コイル外径やコイル平均径を意味する)を持つコイルスプリングを成形できる。また、フィードローラ12により線材Wの送出量を調整することによってらせん体の巻数が決定される。
【0033】
ポイントツール21は、通常は2つ設けられ、各ツール軸から延長した軸線の交点がコイル径中心と略一致し、このコイル径中心に対して互いに90°の角度をなすように配置されている。ここで、上記各ツール軸から延長した軸線の交点の位置をガイド11の線材送出位置よりも上方(Z軸方向)にすることで右巻き、反対に下方にすることで左巻きのコイルスプリングを成形できる。
【0034】
また、ポイントツール21の近傍には、らせん状に巻かれていく線材Wに当接してコイルのピッチを設定するピッチツール22が設けられている。ピッチツール22は、ピッチツール駆動モータ(図4参照)によってコイル成長方向に実質的に平行に移動可能及びコイル成長方向に実質的に平行な回転軸まわりに所定角度で回動可能に構成されており、ピッチツール駆動モータ(図4参照)を制御することにより、所望のピッチを持つコイルスプリングが成形される。
【0035】
ここで、上記線材Wが巻かれる際に上記ピッチツール22が介在しない状態では、湾曲したコイル部分が互いに密着したコイルスプリングとなり、ピッチツール22が介在するとコイル部分が所望のピッチで離間した圧縮コイルスプリングとなる。
【0036】
計測ユニット40は、成形テーブル1上におけるツールユニット20側(成形空間に対してフィードローラ12とは反対側)に配置され、CCDカメラ等により順次成長していくらせん体を撮影して得られる画像データからコイル長を計測すると共に、後述する円盤状砥石の外径を計測する。
【0037】
尚、図6で後述するらせん体2の自由端を保持するために成形テーブルに対向配置されたチャックは図示を省略している。
【0038】
<砥石ツールユニット>
図3は、砥石ツールユニットの外観斜視図(a)及び側断面図(b)である。
【0039】
砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31が成形空間において互いに鉛直(Z軸)方向に沿って対向するように配置されている。尚、これら砥石ツールユニット30は、少なくとも1つ、つまり、上方又は下方のいずれか一方だけに設けても良い。
【0040】
砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31を成形テーブル1に平行(Y−Z平面に平行)な状態で回転可能に支持する。また、砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31を回転させながら、少なくともコイル成長方向(X軸方向)及び当該コイル成長方向に実質的に垂直な面(Y−Z平面に平行な方向)に沿って移動可能である。
【0041】
砥石ツールユニット30は、円盤状砥石31を回転駆動する回転駆動ユニット32と、この回転駆動ユニット32をX軸方向に移動させるX方向駆動ユニット33と、回転駆動ユニット32及びX方向駆動ユニット33をZ軸方向に移動させるZ方向駆動ユニット34と、を備える。
【0042】
回転駆動ユニット32は、一端部に円盤状砥石31が取り付けられる回転軸32aと、この回転軸32aを回転自在に軸支する回転軸ハウジング32bと、回転軸32aの他端部に出力軸32dが接続され、回転軸ハウジング32bに支持される回転駆動モータ32cと、を備える。
【0043】
また、X方向駆動ユニット33は、回転軸ハウジング32bに連結されたX方向駆動軸ハウジング33aと、このX方向駆動軸ハウジング33aに対してX軸方向にスライド自在に軸支されるX方向駆動軸33bと、このX方向駆動軸33bに対してボールスクリュー機構等を介して出力軸33dが接続され、X方向駆動軸33bをX方向にスライド駆動するX方向駆動モータ33cと、を備える。X方向駆動モータ33cは、X方向駆動軸ハウジング33aに支持される。
【0044】
更に、Z方向駆動ユニット34は、成形テーブルに取り付けられるZ方向駆動軸ハウジング34aと、Z方向駆動軸ハウジング34aに対してZ方向にスライド自在に軸支され、X方向駆動軸ハウジング33aに連結されたZ方向駆動軸34bと、このZ方向駆動軸34bに対してボールスクリュー機構等を介して出力軸34dが接続され、Z方向駆動軸34bをZ方向にスライド駆動するZ方向駆動モータ34cと、を備える。Z方向駆動モータ34cは、Z方向駆動軸ハウジング34aに支持される。
【0045】
尚、円盤状砥石31は、上述したポイントツール21と干渉しないように、成形テーブル1からX軸方向にポイントツール21より離れた位置に配置され、Z軸方向のストローク範囲もポイントツールと干渉しないように設定されている。
【0046】
<ブロック構成>
図4は、本発明に係る実施形態の製造装置の制御系のブロック構成を示し、100は本装置全体の制御を司るCPU、101はらせん状部品の寸法等の各種パラメータ等の設定や動作或いは停止指示を与えるための操作部であり、その操作内容や装置状態を表示するための表示部102が設けられている。尚、CPU100には、その動作処理手順を記憶しているプログラムメモリ103、及びワークエリアとして使用するRAM104が設けられている。105〜110は以下に説明するのドライバである。111はサーボモータ等の線材送りモータであって、フィードローラ12を回転駆動させる。112はサーボモータ等のポイントツール駆動モータであって、ポイントツール21をツール軸方向に駆動させる。113はサーボモータ等のピッチツール駆動モータであって、ピッチツール22を回転駆動させる。114はサーボモータ等の回転駆動モータであって、円盤状砥石31を所定の回転数で回転駆動する。115,116はX方向駆動モータ、Z方向駆動モータであって、上記砥石ツールユニット30をそれぞれX軸方向,Z軸方向に沿って移動させる。即ち、上記砥石ツールユニット30は、少なくともコイル成長方向に実質的に垂直なY−Z平面上に平行に移動されて、線材Wをコイル成長方向に実質的に垂直に切断する。
【0047】
尚、上記構成において、砥石ツールユニット30にY方向駆動モータを設け、円盤状砥石31をY方向にも移動可能としても良い。
【0048】
また、計測ユニット40や後述するチャック120もCPU100により制御されるように、図示の如くCPU100と電気的に接続されている。
【0049】
<切断処理1>
次に、図1乃至図4、図5及び図6を参照して、上述した製造装置を用いた線材の切断処理1を含む部品製造手順について説明する。
【0050】
この切断処理1は、線材Wを所定コイル長まで成長させた後に、線材Wの送出を停止させた状態で切断するものである。
【0051】
図5は、本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理1を含む部品製造手順を示すフローチャートである。図6は、切断処理1を説明する図である。但し、以下では、説明の便宜上、ポイントツール21は固定、つまり一様なコイル径を有するコイルスプリングを製造する例について説明する。
【0052】
図5において、処理が開始されると、S1では、ユーザが初期設定として、線材の太さ(径)やコイル長、製造個数等の各種パラメータを設定する。また、CPU100は、円盤状砥石31の回転駆動を開始すると共に、X方向駆動モータ及びZ方向駆動モータを駆動して円盤状砥石31を初期位置へ移動させる。ここで、円盤状砥石は、2500〜3000rpm程度で回転される。また、円盤状砥石31は、外径が50〜300mm、厚さが0.1〜5.0mmの範囲の中から線材Wの直径以下(例えば、0.1〜20mm)のものが選択され、例えば平和テクニカ株式会社製のダイヤモンド切断砥石や精密切断砥石(非特許文献1)、株式会社ディスコ製のダイシングブレード(非特許文献2)、株式会社京浜工業所製のカッティング用ダイヤモンドCBNホイールが適用できる。
【0053】
次に、S2では、CPU100は、計測ユニット40により円盤状砥石31の外径を検出し、この検出結果から算出された円盤状砥石31の外径の変化量(磨耗量)に基づいて円盤状砥石31の移動量を補正演算する。
【0054】
次に、S3では、CPU100は、S1で与えられたパラメータ及びS2で補正された移動量に基づいて線材送りモータ111、ポイントツール駆動モータ112、及びピッチツール駆動モータ113を同期制御して、図6(a)に示すように線材Wを所望のピッチでらせん状に湾曲させて成長させる。
【0055】
S4では、CPU100は、切断時期になったか否かを判定する。この切断時期は、計測ユニット40によりコイル長を検出し、この検出結果からコイル長がS1で与えられた設計値になったか否かにより判定する。尚、S1で与えられたコイル長分だけ線材Wが送り出されたか否かで判定しても良い。ここでは、切断時期になったと判定されるまで、線材送りモータ111、ポイントツール駆動モータ112、ピッチツール駆動モータ113をプログラムされた通りに継続動作させる。
【0056】
S4で切断時期になったと判定されたならば(ステップS4でYES)、S5に進み、CPU100は、線材送りモータ111を一旦停止させ、図6(b)に示すように成形テーブルに対向配置されたチャック120を前進させて成形されたらせん体2の自由端を保持する。
【0057】
S6では、CPU100は、図6(c)に示すようにZ方向駆動モータを制御して、円盤状砥石31を移動させてらせん体2の外周から切断し、初期位置へ移動させる。
【0058】
S7では、CPU100は、S1で与えられた製造個数に達するまで、S2からS6までの処理を繰り返し実行し、製造個数に達したならば、S8で本プログラムの終了処理を行い、円盤状砥石31の回転を停止させる。
【0059】
以上の手順によれば、円盤状砥石31による切断が完了した時点で、次に製造されるらせん状部品の始端が同時に形成されることになる。
【0060】
尚、上方の砥石ツールユニット30による円盤状砥石31の下降動作と下方の砥石ツールユニット30による円盤状砥石31の上昇動作とを略同じ移動量として同期させて制御することで、らせん状部品を上下の円盤状砥石31で挟み込むように切断できるので、らせん状部品の撓みを抑え、上記チャック120を用いなくとも切断が可能となる。
【0061】
<切断処理2>
次に、図1乃至図4、図7及び図8を参照して、上述した製造装置を用いた線材の切断処理2を含む部品製造手順について説明する。
【0062】
この切断処理2は、線材Wを送出しらせん状に成長させながら切断するものである。
【0063】
図7は、本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理2を含む部品製造手順を示すフローチャートである。図8は、切断処理2を説明する図である。但し、上記切断処理1と同様に、説明の便宜上、一様なコイル径を有するコイルスプリングを製造する例について説明する。
【0064】
図7において、S1〜S5,S7〜S8までの処理は上記切断処理1と同様であり、異なる点は、S5の後のS16,S17の処理である。即ち、S16では、CPU100は、図8(a)に示すようにZ方向駆動モータ116を制御して、円盤状砥石31を移動させてらせん体2の外周から線材1本分を切断する。
【0065】
S17では、CPU100は、線材送りモータ111とX方向駆動モータ115とを同期制御してらせん体を成長させながら切断する。図8(b)は、らせん体2を成長させながら切断する様子を示し、らせん体2が1巻き分成長する(1巻き分送出する)間に、円盤状砥石31がX方向(コイル成長方向)に線材の直径分だけ移動する。尚、チャック120は、らせん体2を保持したままX軸まわりに摺動可能である。
【0066】
これにより、線材Wを送出し成長させながら切断できるので、部品ごとの成形時間を短縮し、生産効率が向上する。
【0067】
上記実施形態によれば、レーザや超高圧のウォータジェットを切断手段として用いなくても、らせん状部品の切断と同時に、その端部を平面にできる。よって、研磨機を用いた後加工が不要となり、生産効率が向上する。また、レーザやウォータジェット等の大型の装置が不要となると共に、芯金等も不要となるため、装置を安価に構成することができる。
【0068】
本例は、圧縮コイルスプリングの中でも特に、外径と線径の比(D/d)が小さい(4以下)のスプリングの製造に有効である。即ち、D/dが4以下になると、スプリングの内径が小さくなり、コイル部分の中に介在する芯金も自ずと小さくなり、切断の負荷に耐えられなくなり、芯金の寿命が極端に短くなる。
【0069】
これに対して、本例では、D/dが小さいスプリング(外径が小さいスプリング)程、切断時間も短くなり、更にスプリング両端部の極薄部分も小さくなり、メリットが大きい。よって、D/dが小さいスプリングを製造した場合の従来の切断の問題や端面を研磨する手間を解消し、非常に画期的な技術が実現できる。
【0070】
[第1の実施形態の変形例]
上記第1の実施形態では、砥石ツールユニット30の円盤状砥石31をらせん体の切断及び端部の研磨に用いた。これに対して、本変形例は、砥石ツールユニット30を研磨手段としてらせん状部品の外形加工に適用した例である。
【0071】
図9は、第1の実施形態の製造装置により製造されたらせん状部品の外形を示す正面図(a)、側面図(b)及び断面図(c)である。図10は、本実施形態の砥石ツールユニットによりらせん状部品を加工した外形図である。
【0072】
図9に示すらせん状部品2は、長方形断面を有する線材をらせん状に巻いて構成される携帯電話等の無線通信機器に搭載されるアンテナ部品である。
【0073】
そして、図1乃至図3の各ユニット10〜40の動作を図4のCPU100により制御することで、図10に示すように、上述した製造装置をらせん状部品の製造装置として用いて線材をらせん状に巻いた後、砥石ツールユニット30の動作を制御して外周面に溝2aを形成したり、端部に縮径した段差部2bや先細りのテーパ部2cを形成することができる。
【0074】
尚、砥石ツールユニット30は、第1の実施形態と同様に、外形加工後のらせん状部品に対して切断及び端部の研磨も行えることは言うまでもない。
【0075】
本変形例によれば、らせん状部品の切断だけでなく、らせん状部品の外形を容易に加工できる。
【0076】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、砥石ツールユニット30のみを用いてらせん体の切断を行った。これに対して、第2の実施形態は、砥石ツールユニット30とレーザユニット50とを協働させてらせん体を切断する例である。
【0077】
図11は、本発明に係る第2の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図12は、図11の正面図である。尚、図11及び図12においてチャックは図示を省略している。
【0078】
図11及び図12において、第1の実施形態の構成に対して、上方の砥石ツールユニット30をレーザユニット50に置き換えて構成されている。尚、計測ユニット40は図示を省略し、その他、図1と同一の構成には同一の符号を付して示し、説明を省略する。また、レーザユニット50を下方の砥石ツールユニット30と置き換えてもよい。
【0079】
レーザユニット50は、図4のCPU100により制御され、砥石ツールユニット30と同様に、レーザヘッド51を、少なくともコイル成長方向(X軸方向)及び当該コイル成長方向に実質的に垂直な面(Y−Z平面に平行な方向)に沿って移動可能であり、らせん状に巻かれた線材Wの切断箇所の一部に切れ目を入れる。
【0080】
従来技術としても説明したが、砥石ツールユニット30により切断したらせん体は、その両端部に極薄部分が形成される。本実施形態は、レーザユニット50を追加することで、上記極薄部分を除去するという後加工を不要とし、円盤状砥石31による切断と同時にこの極薄部分を除去できるようにしている。
【0081】
<切断処理3>
次に、次に、図4、図11乃至図14を参照して、第2の実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理3を含む部品製造手順について説明する。
【0082】
この切断処理3は、線材Wを所定コイル長まで成長させた後に、線材Wの送出を停止させた状態でレーザユニット50により線材Wの外周の一部に切れ目を入れてから切断することで、円盤状砥石31による切断と同時にらせん体2の端部の極薄部分が除去される。
【0083】
図13は、本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理3を含む部品製造手順を示すフローチャートである。図14は、切断処理3を説明する図である。但し、上記切断処理1,2と同様に、説明の便宜上、一様なコイル径を有するコイルスプリングを製造する例について説明する。
【0084】
図13において、S1〜S5,S6〜S8までの処理は上記切断処理1と同様であり、異なる点は、S5の後のS26の処理である。即ち、S26では、CPU100は、レーザユニット50を制御して、円盤状砥石31により切断する部分に対応する線材Wの外周の一部に切れ目を入れる。ここでは、図14に示すように、円盤状砥石31により切断した時に極薄部分3,4となる線材Wの外周の前後2箇所にY方向に切れ目3a,4aを入れる。
【0085】
その後、S6で、CPU100は、Z方向駆動モータ116を制御して円盤状砥石31が上記2箇所の切れ目3a,4aの未切断部分を横切るように移動させて切断することで、切断後に生じる線材Wの極薄の端部が同時に除去される。
【0086】
第2の実施形態によれば、従来の極薄部分を除去するためのやすり等を用いた作業が不要となるので、生産効率が向上する。
【0087】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、砥石ツールユニット30の円盤状砥石31の移動方向が線材Wの送出方向(Y方向)に対して直交するように、上下方向(Z方向)に配置されていた。これに対して、第3の実施形態は、砥石ツールユニット80の円盤状砥石81の移動方向が線材Wの送出方向に沿って対向するように、具体的には、第1の実施形態でポイントツール21が配置されていた位置、つまり線材Wの送出方向に沿ってガイド11とは反対側に配置している。
【0088】
図15は、本発明に係る第3の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図16は、第3の実施形態の砥石ツールユニットの外観斜視図である。図17は、図16の砥石ツールユニットの正面図(a)及び側面図(b)である。図18は、成形空間におけるガイド、らせん体、ポイントツール及び円盤状砥石の位置関係を示すZ方向から見た図(a)及びX方向から見た図(b)である。尚、図15においてチャックは図示を省略している。
【0089】
図15乃至図18において、第3の実施形態のらせん状部品の製造装置は、成形テーブル上に、線材Wを成形空間(ツール)に向けて送り出す線材フィードユニット60と、この線材フィードユニット60により送り出される線材Wに当接して強制的に湾曲させて線材Wをらせん状に巻くための2つのツールユニット70と、砥石ツールユニット80と、レーザユニット90と、を備える。尚、コイル長及び円盤状砥石の外径を計測する計測ユニットは図示を省略している。また、図16及び図17は、レーザユニットを省略して示している。また、上記各ユニット60〜90の機能は第1及び第2の実施形態と同様であり、図4のCPU100により制御される。
【0090】
線材フィードユニット60は、線材Wを不図示の線材供給源から成形空間まで案内するガイド61と、このガイド61の途中で線材Wを挟持して成形空間まで送り出す2組の上下一対のフィードローラ62とを有する。
【0091】
各ツールユニット70はガイド61の先端部61aに対向して配置されるポイントツール71を有する。線材Wはフィードローラ62によって押し出されながら各ポイントツール71に当接することにより強制的に湾曲してらせん状に巻いたらせん体2を形成する。尚、ツールユニット70は、通常は2つのポイントツールが互いに90°の角度をなすように配置される。
【0092】
砥石ツールユニット80は、線材Wの送出方向に沿って線材Wに対向するように配置されている。また、ツールユニット70が、第1の実施形態で砥石ツールユニット30が配置されていた位置、つまり成形空間に対してZ方向に上下に一対配置されている。
【0093】
ツールユニット70は、ポイントツール71を上下方向に駆動する。ポイントツール71の先端部71aには、押し出される線材に対向するように傾斜した溝部が形成されている。その他、図1と同一の構成には同一の符号を付して示し、説明を省略する。
【0094】
砥石ツールユニット80は、円盤状砥石81を回転自在に支持する砥石支持ユニット82と、砥石支持ユニット82をY方向に移動させるY方向駆動テーブル83と、Y方向駆動テーブル83をX方向に移動させるX方向駆動テーブル84と、X方向駆動テーブル84をX方向に移動可能に支持するベース85と、を有する。尚、円盤状砥石81のZ方向の位置は、調整ねじ86により調整される。
【0095】
また、砥石ツールユニット80は、円盤状砥石81を回転駆動する回転駆動モータ87と、Y方向駆動テーブル83をY方向に移動させるY方向駆動モータ(不図示)と、X方向駆動テーブル84をX方向に移動させるX方向駆動モータ88と、を有する。
【0096】
尚、Y方向駆動テーブル83をZ方向への移動もモータにより行う構成としてもよい。
【0097】
また、砥石支持ユニット82には、X方向に対して円盤状砥石81の上方にレーザユニット90が搭載され、円盤状砥石81と同様に、Y−Z方向に移動可能となっている。
【0098】
尚、本実施形態の製造装置による切断処理については、上述した切断処理1と同様である。
【0099】
また、第3の実施形態の砥石ツールユニット80を、第1の実施形態の変形例として説明したように、研磨手段としてらせん状部品の外形加工に適用できることは言うまでもない。
【0100】
この第3の実施形態によれば、円盤状砥石81の配置スペースを広くできるので、第1及び第2の各実施形態に比べて、砥石の外径を大きくして磨耗代を大きくでき、砥石の寿命を長くすることができる。
【0101】
[第4の実施形態]
第3の実施形態では、線材フィードユニット60及びツールユニット70と砥石ツールユニット80とをそれぞれ別の装置に搭載していた。これに対して、第4の実施形態は、線材フィードユニット、ツールユニット及び砥石ツールユニットを同一の装置に搭載し、且つツールユニット及び砥石ツールユニットを上下方向に移動する共通のテーブルに搭載した例である。
【0102】
図27は、本発明に係る第4の実施形態のらせん状部品の製造装置を正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。図28は、図27(a)の正面図である。図29は、本実施形態の上下テーブルを正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、下側のツールユニットのカバーを取り外した状態を示す図である。図30(a)、(b)は、図27乃至図29に示すツールユニットを互いに異なる方向から見た外観斜視図である。
【0103】
図27乃至図29において、本実施形態のらせん状部品の製造装置は、不図示の箱体状のベースの上部に取り付けられた矩形状のベーステーブル201と、このベーステーブル201上に配置されて上下方向に移動する上下テーブル202と、を有する。
【0104】
ベーステーブル201には、線材フィードユニット210とガイド211が搭載されている。また、上下テーブル202には、ツールユニット220と砥石ツールユニット230とが搭載されている。線材フィードユニット210の構成は、第3の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0105】
上下テーブル202は、ベーステーブル201に形成された凹形状部201aに配置され、ラック&ピニオン機構(ラック部203bのみ図示)と上下駆動モータ203aからなる上下テーブル駆動ユニット203により上下方向に所定の範囲(線材を中心に上下に各20mm、最大40mm程度)で移動する。ラック部203bは上下テーブル202の背面に設けられ、このラック部203bに噛合するピニオン(不図示)を駆動する上下駆動モータM1はベーステーブル201の背面に配置されている。
【0106】
また、上下テーブル202には、砥石ツールユニット230が線材送出方向(Y方向:左右方向)に沿って移動可能及びテーブル面の法線方向(X方向:前後方向)に移動可能に配置されている。また、上下テーブル202には、砥石ツールユニット230を挟むように上下にツールユニット220が線材送出方向に対して略45°の角度で配置されている。なお、各ツールユニット220は上下テーブル202に対して着脱可能である。また、上側及び下側の各ツールユニット220の少なくともいずれかを、線材送出方向に対して直交する角度で上下テーブル202に取り付けることも可能である。
【0107】
砥石ツールユニット230は、ボール&スクリュー機構(不図示)とY方向駆動モータ233aからなる砥石左右駆動ユニット233により左右方向に駆動される。また、砥石ツールユニット230は、ボール&スクリュー機構(不図示)と砥石前後駆動モータ234aからなる砥石前後駆動ユニット234により前後方向に駆動される。また、砥石ツールユニット230は、歯車機構(不図示)と砥石回転駆動モータ235aからなる砥石回転駆動ユニット235により砥石231を回転駆動する。
【0108】
各ツールユニット220は、ラック&ピニオン機構228b,cとツールスライド駆動モータ228aからなるツールスライド駆動ユニット228により成形空間に向けて(又は成形空間から退避するように)スライド駆動される。また、各ツールユニット220は、クランク機構229bと前後駆動モータ229aからなる微調整ユニット229により前後方向に微調整のために駆動される。
【0109】
ツールユニット220は、図30に示すように、線材を強制的に折曲、湾曲、捲回あるいは切断することにより所望形状のらせん部品に成形するポイントツール221、ポイントツール221を保持するツールホルダ222、ツールホルダ222が取り付けられるスライダ223、スライダ223をベース224に対してスライド可能に支持するスライダガイド225を有し、ベース224が上下テーブル202に取り付けられる。また、ツールホルダ222は、上記微調整ユニット229のクランク機構229bに連結されて、ポイントツール221をスライド方向に直交しテーブル面に平行な軸226に対して揺動させて、ポイントツール先端部221aの線材に対する位置を微調整される。
【0110】
スライダ223にはラック部228cが取り付けられ、ツールスライド駆動モータ228aの出力軸(不図示)に固定されたピニオン228bに噛合して駆動される。ツールユニット220は、上下テーブル202に取り付けられた状態でスライダ223、ベース224、スライダガイド225を保護するカバー227が取り付けられる。
【0111】
なお、ツールの種類や配置等は任意に設定できることは言うまでもなく、ツールユニット220には、図示のポイントツール以外にも、曲げツール、抑えツール等の他の形状のツールが取り付け可能である。
【0112】
本実施形態は、第3の実施形態と同様に、砥石ツールユニット230の円盤状砥石231の移動方向が線材送出方向に沿って対向するように配置されている。このため、切断動作は、上述した切断処理1と同様であり、図4に示す制御系により上記各駆動モータ203a,228a,229a,233a,234a,235aを駆動して実現する。
【0113】
本実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加えて、上下テーブル202を線材フィードユニット210が取り付けられるベーステーブル201に対して、つまりフィードローラ212により送り出される線材Wに対して上下方向に移動可能としたことで、砥石ツールユニット230の円盤状砥石231の回転中心231aがらせん状部品のコイル径中心と常に一致するように調整することができる。このため、らせん状部品の外形(コイル径など)が変更された場合であっても、簡単にツール221や円盤状砥石231の相対位置を再設定することができる。
【0114】
なお、第4の実施形態の砥石ツールユニット230を、第1の実施形態の変形例として説明したように、研磨手段としてらせん状部品の外形加工に適用できることは言うまでもない。
【0115】
また、本実施形態では、コイル長及び円盤状砥石の外径を計測する計測ユニット及びレーザユニットは図示を省略している。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】砥石ツールユニットの外観斜視図(a)及び側断面図(b)である。
【図4】本発明に係る実施形態のらせん状部品の製造装置の制御系のブロック構成を示す図である。
【図5】本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理1を含む部品製造手順を示すフローチャートである。
【図6】切断処理1を説明する図である。
【図7】本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理2を含む部品製造手順を示すフローチャートである。
【図8】切断処理2を説明する図である。
【図9】第1の実施形態の製造装置により製造されたらせん状部品の外形を示す正面図(a)、側面図(b)及び断面図(c)である。
【図10】本実施形態の砥石ツールユニットによりらせん状部品を加工した外形図である。
【図11】本発明に係る第2の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】本実施形態の製造装置を用いた線材の切断処理3を含む部品製造手順を示すフローチャートである。
【図14】切断処理3を説明する図である。
【図15】本発明に係る第3の実施形態のらせん状部品の製造装置の外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図16】第3の実施形態の砥石ツールユニットの外観斜視図である。
【図17】図16の砥石ツールユニットの正面図(a)及び側面図(b)である。
【図18】成形空間におけるガイド、らせん体、ポイントツール及び円盤状砥石の位置関係を示すZ方向から見た図(a)及びX方向から見た図(b)である。
【図19】従来のスプリング製造装置により線材を切断する方法を説明する図である。
【図20】従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法を説明する図である。
【図21】従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法を説明する図である。
【図22】従来の研磨機によりスプリングの両端部を平面にするための加工方法を説明する図である。
【図23】従来の研磨機により加工されるスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図24】従来の研磨機により加工されたスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図25】従来の研磨機により加工されたスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図26】従来の研磨機により加工されたスプリングの外形を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図27】本発明に係る第4の実施形態のらせん状部品の製造装置を正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、砥石ツールユニットの円盤状砥石を透視して示す図である。
【図28】図27(a)の正面図である。
【図29】本実施形態の上下テーブルを正面(a)及び背面(b)から見た外観斜視図であって、下側のツールユニットのカバーを取り外した状態を示す図である。
【図30】図27乃至図29に示すツールユニットを互いに異なる方向から見た外観斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
1 成形テーブル
10,60,210 線材フィードユニット
20,70,220 ツールユニット
30,80,230 砥石ツールユニット
31,81,231 円盤状砥石
40 計測ユニット
50,90 レーザユニット
120 チャック
201 ベーステーブル
202 上下テーブル
W 線材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材をツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、
前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、
前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、
円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための切断手段と、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とするらせん状部品の製造装置。
【請求項2】
前記切断手段が、少なくとも1つ設けられることを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記線材を巻きながら前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記フィードローラの回転と前記切断手段による前記円盤状砥石の移動とを同期させて制御することを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項4】
前記円盤状砥石は、前記線材の直径以下の厚さを有すること特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項5】
前記円盤状砥石の外径を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記円盤状砥石の外径の変化量に基づいて前記切断手段による前記円盤状砥石の移動量を補正することを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項6】
前記らせん状部品のコイル長を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記らせん状部品のコイル長に基づいて前記ローラ駆動手段によるフィードローラの回転及び前記切断手段による前記円盤状砥石の移動を制御することを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項7】
前記らせん状に巻かれた線材の一部をレーザにより切断するレーザ手段を更に備え、
前記切断手段により前記らせん状部品を切断する前に、前記レーザ手段により切断箇所に対応する線材に切れ目を入れて、前記らせん状部品の切断後に生じる線材の端部を除去することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項8】
前記切断手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に対して直交するように配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項9】
前記切断手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に沿って対向するように配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項10】
前記切断手段による切断が完了した時点で、次に製造されるらせん状部品の始端が同時に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項11】
前記ツールをスライド可能に保持するツール保持手段を更に備え、
前記ツール保持手段と前記切断手段とは、前記フィードローラにより送り出される線材に対して上下方向に移動可能なテーブルに支持されていることを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項12】
前記テーブルは、前記フィードローラ及び前記ローラ駆動手段が取り付けられるベーステーブルに対して上下方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項11に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項13】
線材をツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、
前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、
前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、
円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することにより前記らせん状部品の外形を加工するための研磨手段と、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とするらせん状部品の製造装置。
【請求項14】
前記研磨手段が、少なくとも1つ設けられることを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記線材をらせん状に巻きながら前記らせん状部品の外形を研磨するように、前記フィードローラの回転と前記研磨手段による前記円盤状砥石の移動とを同期させて制御することを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項16】
前記円盤状砥石は、前記線材の直径以下の厚さを有すること特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項17】
前記円盤状砥石の外径を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記円盤状砥石の外径の変化量に基づいて前記研磨手段による前記円盤状砥石の移動量を補正することを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項18】
前記らせん状部品のコイル長を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記らせん状部品のコイル長に基づいて前記ローラ駆動手段によるフィードローラの回転及び前記研磨手段による前記円盤状砥石の移動を制御することを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項19】
前記研磨手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に対して直交するように配置されることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項20】
前記研磨手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に沿って対向するように配置されることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項21】
前記ツールをスライド可能に保持するツール保持手段を更に備え、
前記ツール保持手段と前記研磨手段とは、前記フィードローラにより送り出される線材に対して上下方向に移動可能なテーブルに支持されていることを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項22】
前記テーブルは、前記フィードローラ及び前記ローラ駆動手段が取り付けられるベーステーブルに対して上下方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項21に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項23】
線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための少なくとも1つの切断手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御工程を有することを特徴とする制御方法。
【請求項24】
線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することによりらせん状部品の外形を加工するための少なくとも1つの研磨手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御工程を有することを特徴とする制御方法。
【請求項1】
線材をツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、
前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、
前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、
円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための切断手段と、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とするらせん状部品の製造装置。
【請求項2】
前記切断手段が、少なくとも1つ設けられることを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記線材を巻きながら前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記フィードローラの回転と前記切断手段による前記円盤状砥石の移動とを同期させて制御することを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項4】
前記円盤状砥石は、前記線材の直径以下の厚さを有すること特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項5】
前記円盤状砥石の外径を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記円盤状砥石の外径の変化量に基づいて前記切断手段による前記円盤状砥石の移動量を補正することを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項6】
前記らせん状部品のコイル長を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記らせん状部品のコイル長に基づいて前記ローラ駆動手段によるフィードローラの回転及び前記切断手段による前記円盤状砥石の移動を制御することを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項7】
前記らせん状に巻かれた線材の一部をレーザにより切断するレーザ手段を更に備え、
前記切断手段により前記らせん状部品を切断する前に、前記レーザ手段により切断箇所に対応する線材に切れ目を入れて、前記らせん状部品の切断後に生じる線材の端部を除去することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項8】
前記切断手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に対して直交するように配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項9】
前記切断手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に沿って対向するように配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項10】
前記切断手段による切断が完了した時点で、次に製造されるらせん状部品の始端が同時に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項11】
前記ツールをスライド可能に保持するツール保持手段を更に備え、
前記ツール保持手段と前記切断手段とは、前記フィードローラにより送り出される線材に対して上下方向に移動可能なテーブルに支持されていることを特徴とする請求項1に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項12】
前記テーブルは、前記フィードローラ及び前記ローラ駆動手段が取り付けられるベーステーブルに対して上下方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項11に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項13】
線材をツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置であって、
前記線材を前記ツールに向けて送り出すためのフィードローラと、
前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、
円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することにより前記らせん状部品の外形を加工するための研磨手段と、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とするらせん状部品の製造装置。
【請求項14】
前記研磨手段が、少なくとも1つ設けられることを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記線材をらせん状に巻きながら前記らせん状部品の外形を研磨するように、前記フィードローラの回転と前記研磨手段による前記円盤状砥石の移動とを同期させて制御することを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項16】
前記円盤状砥石は、前記線材の直径以下の厚さを有すること特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項17】
前記円盤状砥石の外径を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記円盤状砥石の外径の変化量に基づいて前記研磨手段による前記円盤状砥石の移動量を補正することを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項18】
前記らせん状部品のコイル長を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果から算出された前記らせん状部品のコイル長に基づいて前記ローラ駆動手段によるフィードローラの回転及び前記研磨手段による前記円盤状砥石の移動を制御することを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項19】
前記研磨手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に対して直交するように配置されることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項20】
前記研磨手段は、前記円盤状砥石が前記線材の送出方向に沿って対向するように配置されることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1項に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項21】
前記ツールをスライド可能に保持するツール保持手段を更に備え、
前記ツール保持手段と前記研磨手段とは、前記フィードローラにより送り出される線材に対して上下方向に移動可能なテーブルに支持されていることを特徴とする請求項13に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項22】
前記テーブルは、前記フィードローラ及び前記ローラ駆動手段が取り付けられるベーステーブルに対して上下方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項21に記載のらせん状部品の製造装置。
【請求項23】
線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石により前記線材を切断するための少なくとも1つの切断手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記線材を前記コイル成長方向に実質的に垂直に切断するように、前記ローラ駆動手段及び前記切断手段を制御する制御工程を有することを特徴とする制御方法。
【請求項24】
線材をツールに向けて送り出すためのフィードローラと、前記フィードローラを回転駆動するためのローラ駆動手段と、前記線材の直径以下の厚さを有する円盤状砥石を回転可能及び移動可能に保持し、回転する前記円盤状砥石で研磨することによりらせん状部品の外形を加工するための少なくとも1つの研磨手段と、を有し、前記フィードローラにより前記線材を前記ツールに向けて送り出し、前記線材を前記ツールに押し当てることよって強制的に湾曲させてらせん状部品を製造する装置の制御方法であって、
前記円盤状砥石を少なくとも前記らせん状部品のコイル成長方向に実質的に垂直な面上に移動させて、前記らせん状部品の外形を加工するように、前記研磨手段を制御する制御工程を有することを特徴とする制御方法。
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2009−12069(P2009−12069A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128774(P2008−128774)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(392020026)株式会社板屋製作所 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(392020026)株式会社板屋製作所 (4)
【Fターム(参考)】
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