アッシング方法およびアッシング装置
【課題】ポッピングの発生を抑制するとともに、ポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層の破片をも除去することができるアッシング方法およびアッシング装置を提供する。
【解決手段】イオン注入により表面に形成された変質層4とその下の未変質層3とを有するレジストを除去するアッシング方法であって、基板の前記レジストが形成された面を覆うように塗布膜5を形成し、前記レジストと前記塗布膜5とを反応性ガスを用いたプラズマ処理により除去する。
【解決手段】イオン注入により表面に形成された変質層4とその下の未変質層3とを有するレジストを除去するアッシング方法であって、基板の前記レジストが形成された面を覆うように塗布膜5を形成し、前記レジストと前記塗布膜5とを反応性ガスを用いたプラズマ処理により除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッシング方法およびアッシング装置に関し、特に、イオン注入時にマスクとして用いられたレジストをアッシングするのに適したアッシング装置およびアッシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを利用してレジストを除去するプラズマアッシング処理は、半導体や液晶ディスプレイをはじめとする各種の産業分野において広く利用されている。「アッシング」とは、具体的には、パターンを加工するエッチング時や、イオン注入(ion implantation:以下「インプラ」という)時のマスクとして用いられたレジストを、酸素プラズマなどとの反応により、例えばシリコン基板より分解除去するプロセスである。
【0003】
ここで、インプラのマスクとしてレジストを用いた場合、当然のことながらレジスト自体にもイオンが注入されることになる。そのため、レジスト内部においては、レジスト表面のイオンが注入された変質層(硬化層)と、変質層の下のイオンが注入されていない未変質層(バルク層)とが存在することになる。
【0004】
このような変質層は、通常のアッシングプロセスで用いられる酸素プラズマでは分解除去し難い。これは、インプラ時のイオン衝撃によってレジスト中の水素が離脱し、有機高分子が複雑にクロスリンクした構造となっているためである。またさらに、後に詳述する「ポッピング」という現象により、変質層の残渣が残りやすいという問題もある。
【0005】
そこで、変質層の除去とポッピングの抑制のために、変質層と未変質層とでアッシング条件(処理温度や反応性ガスの成分など)を変える技術が提案されている(特許文献1、2を参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術のように、ポッピングの発生を抑制するために変質層のアッシング温度を低くすると、アッシングレートが低下して生産性が低下するという新たな問題を生じる。また、特許文献2に開示された技術のように、変質層のアッシング温度を低く抑えてもアッシングレートを高くできるようにフッ素系のガスを添加すると、基板におけるイオン注入層などをもエッチングしてしまうおそれがある。
【0007】
そのため、変質層を処理して微細孔を形成させることにより、ポッピングの発生を抑制しつつ変質層と未変質層とを同一条件でアッシングする技術が提案されている(特許文献3を参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に開示された技術ではポッピングの発生を完全には防止することができず、ポッピングが発生してしまった場合には、基板表面などの上に飛散した変質層の破片が残渣として残るおそれがあった。
【0009】
また、レジストを分解除去する場合には酸素プラズマを用いるのが一般的であるが、酸素プラズマを用いた場合には、レジストに覆われていないイオンの注入面に酸化層が形成される場合がある。そして、アッシング後にSPM処理を行う場合には、この酸化層とともにイオン注入層の一部がエッチング除去されてしまい、いわゆる「膜減り」を生じることがある。このような膜減りが生じた場合には、イオン注入層の一部が失われるためにデバイス特性が悪化するという問題が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−67738号公報
【特許文献2】特開平5−275326号公報
【特許文献3】特開平11−233489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ポッピングの発生を抑制するとともに、ポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層の破片をも除去することができるアッシング方法およびアッシング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、イオン注入により表面に形成された変質層とその下の未変質層とを有するレジストを除去するアッシング方法であって、基板の前記レジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成し、前記レジストと前記塗布膜とを反応性ガスを用いたプラズマ処理により除去すること、を特徴とするアッシング方法が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一態様によれば、基板のレジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成する塗布手段と、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、プラズマを発生させるプラズマ発生手段と、前記プラズマに向けて反応性ガスを導入する反応性ガス供給手段と、前記処理容器内を減圧する排気手段と、を備えることを特徴とするアッシング装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポッピングの発生を抑制するとともに、ポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層の破片をも除去することができるアッシング方法およびアッシング装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式工程断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式工程断面図である。
【図3】インプラによる変質層の形成とポッピングの発生とを例示するための模式工程断面図である。
【図4】ポッピングが発生した場合を例示するための模式断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式行程断面図である。
【図6】比較例に係るアッシング方法について例示をするための模式行程断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式平面図である。
【図11】塗布装置を例示するための模式断面図である。
【図12】アッシングのみを行う除去装置を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0017】
図1、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式工程断面図であり、図1は塗布工程、図2は除去工程を示している。
図1に示すように、インプラ後のシリコン基板1には、その表面にマスクとして形成されたレジストの未変質層(バルク層)3、インプラによりレジストの表面が変質した変質層4、インプラによりAs(ヒ素)やP(リン)などのイオンが注入されたイオン注入層2が形成されている。
本実施の形態においては、まず、図1に示すように、インプラ後のシリコン基板1の表面を覆うように塗布膜5を形成する。すなわち、インプラによる変質層4を有するレジストやイオン注入層2を覆うように塗布膜5を形成する。
【0018】
しかる後、図2に示すように、フッ素原子を有するガス(例えば、CF4など)を添加した反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行い、高いアッシングレートで迅速なアッシングを行う。
【0019】
以下、本実施の形態のかかるアッシング方法を詳細に説明する前に、変質層4を有するレジストをアッシングした場合に発生する「ポッピング」について説明をする。
【0020】
図3は、インプラによる変質層の形成とポッピングの発生とを例示するための模式工程断面図である。
まず、図3(a)に示すように、シリコン基板1の表面にマスクとなるレジスト3aを所望の形状に形成させる。
次に、図3(b)に示すように、レジスト3aをマスクとしてインプラによりAs(ヒ素)やP(リン)などのイオン6を注入することでイオン注入層2を形成させる。この際、レジスト3aにもイオン6が注入されることになるので、レジスト3aの表面が変質して変質層4が形成されることになる。尚、変質層4の下には、未変質なレジストが未変質層3として残っている。
【0021】
次に、マスクであるレジスト3aをプラズマアッシング法を用いて除去する。この際、インプラによって変質層4が形成されたレジスト3aを高温でアッシングすると、レジストベーク温度(およそ100℃)を超えた時点において変質層4の下の未変質層3でガス9が発生する(図3(c)参照)。発生したガスは変質層4によって逃げ場を塞がれ、未変質層3における圧力が高くなり、やがて図3(c)に示すような爆発を起こす。これが「ポッピング」と呼ばれる現象である。ポッピングが発生すると変質層4の一部が破片4aとなり周辺に飛び散り付着する。破片4aは、変質層4の一部であるためアッシングに通常用いられる酸素プラズマによる除去がし難い。そのため、アッシングを続行しても図3(d)に示すように、飛び散った破片4aの一部が残渣として残る場合がある。
【0022】
このような残渣がシリコン基板1の表面に残ると半導体装置の製造の歩留まりを低下させる要因となる。また、近年の微細化された回路パターンでは、ポッピング時の衝撃で近接する回路パターンが破壊されて半導体装置の製造の歩留まりを低下させる要因ともなる。
【0023】
本発明者は検討の結果、インプラ後のシリコン基板の表面を塗布膜で覆い、これをアッシングするようにすれば、その補強効果によりポッピングの発生を抑制することができ、かつ、ポッピングが発生してしまった場合であっても飛散した変質層の破片を残渣として残ることなく除去することができるとの知見を得た。
【0024】
以下、これらの点について図1、図2を参照しつつ説明する。
本実施の形態に係るアッシング方法においては、まず、図1に示すように、インプラ後のシリコン基板1の表面を覆うように塗布膜5を形成させる。
塗布膜5の材質としては、反応性ガスのプラズマに対する耐性が変質層4と同等またはそれより若干低いものを選択することが好ましい。すなわち、変質層4のアッシングレートと同等またはそれより若干高いものを選択することが好ましい。
【0025】
反応性ガスのプラズマに対する耐性が高すぎるとレジストが先に除去されてしまうので、イオン注入層2の上に塗布膜5が残ってしまうおそれがある。また、反応性ガスのプラズマに対する耐性が低すぎるとレジストより先に塗布膜5が除去されてしまうので、後述する塗布膜5による補強や飛散した変質層4の破片4aの除去ができなくなるおそれがある。
【0026】
ここで、塗布膜5の材質としては、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、シルセスキオキサン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂などを基本骨格とする高分子材料などを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、反応性ガスのプラズマに対する耐性が変質層4と同等またはそれより若干低いものを適宜選択することができる。
【0027】
また、塗布膜5の形成方法(塗布法)としては、シリコン基板1を回転させながらシリコン基板1の表面に、例えば、前記の高分子材料を溶媒で溶解させたもの(以下、塗布溶液という)を供給して、遠心力で均一な膜を形成させるスピンコート法、シリコン基板1を低速回転させながらシリコン基板1の外周部分から中心部に向かって、例えば、塗布溶液を霧状に噴霧して均一な薄膜を形成させるスプレーコート法、シリコン基板1の表面を、例えば、塗布溶液に浸漬させてから引き上げるディップコータ法、スリットから、例えば、塗布溶液を押し出してシリコン基板1上に塗布するスリットダイコータ法 、カーテン状に、例えば、塗布溶液を吐出させてシリコン基板1上に塗布するカーテンコータ法、ロールの表面に、例えば、塗布溶液の膜を形成させて、これをシリコン基板1上に転写するロールコータ法、インクジェットにより、例えば、塗布溶液の液滴を吐出させてシリコン基板1上に塗布するインクジェット法などの各種の塗布方法を適用させることができる。
【0028】
また、シリコン基板1上に、塗布溶液を塗布した後に、これを乾燥させる工程を設けるようにすることもできる。この場合、高温で乾燥させることもできるが、常温下や減圧環境下での乾燥を行うこともできる。このような乾燥工程を設けるものとすれば、塗布膜5の強度を上げることができるので、後述する、塗布膜5による補強効果を向上させることができる。尚、例えば、塗布溶液の性質や塗膜の強度などによっては、乾燥工程を省くようにすることもできる。
【0029】
次に、図2に示すように、反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行う。
まず、図2(a)に示す状態(図1と同じ)より、反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行い塗布膜5を除去する。この場合、未変質層3や変質層4は塗布膜5により覆われるようにして補強されているので、レジストベーク温度(およそ100℃)を超えるような高温でアッシングをしてもポッピングが生じるおそれがない。また、イオン注入層2も塗布膜5で覆われ保護されているので、フッ素原子を有するガス(例えば、CF4など)が添加されたアッシングレートの高い反応性ガスを用いるものとしても、イオン注入層2が損傷するおそれもない。そのため、アッシングレートの高い迅速なアッシングをすることができる。
【0030】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを酸素(O2)ガスとCF4ガスの混合ガスとし、その混合比を酸素(O2)ガス:CF4ガス=20:1程度とすることができる。ただし、これらのアッシング条件に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0031】
そして、図2(b)に示すように、変質層4の上面が露出するまで塗布膜5の除去が行われると、次には、変質層4と塗布膜5との除去が行われる。この場合、塗布膜5の反応性ガスのプラズマに対する耐性は、変質層4と同等または若干低いもの(変質層4のアッシングレートと同等または若干高いもの)とされているため、変質層4と塗布膜5との除去がほぼ同時、あるいは、塗布膜5の方が若干速く進むことになる。
【0032】
この場合、レジスト側面側の変質層4は塗布膜5により覆われるようにして補強されているので、レジスト側面側にポッピングが発生することはない。
また、アッシングによる熱は、直接的にはレジスト上面側の変質層4から未変質層3に伝わり、レジスト側面側の変質層4からは熱伝達の悪い塗布膜5(例えば、高分子材料など)を介して間接的に未変質層3に伝わることになる。そのため、未変質層3の温度上昇を遅らせることができる。その結果、未変質層3の温度が所定の温度に達する前に変質層4の除去をすることができるので、未変質層3の圧力上昇を抑えることができ、レジスト上面側からのポッピングの発生も抑制することができる。この場合、レジスト上面側の変質層4の一部に孔があく程度に除去が進んだ時点でも、未変質層3の内部で発生したガスを逃がすことができる。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、ポッピングの発生を大幅に抑制することができる。
【0034】
図4は、ポッピングが発生した場合を例示するための模式断面図である。
尚、図1、図2と同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図4に示すように、レジスト上面側でポッピングが発生した場合には、変質層4の一部が破片4aとなり周囲に飛び散る。ところが本実施の形態において、その破片4aは塗布膜5の上には付着するが、塗布膜5で覆われているイオン注入層2の上には付着することがない。また、破片4aの下方には厚みの厚い塗布膜5があるので、除去がし難い破片4aであっても除去(アッシング)に充分な時間をとれることになる。そのため、アッシングを続行することで、飛び散った変質層4の破片4aを塗布膜5とともに除去することができ残渣が残ることを防止することができる。
【0035】
次に、図2(c)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面近くまで進んだ時点で、シリコン基板1に対する損傷がより少ない反応性ガス(アッシングレートがより低い反応性ガス)に切り替える。このようにすれば、シリコン基板1に対する損傷を抑制することができ、例えば、配線幅の狭い品種であっても製品の歩留まりを向上させることができる。シリコン基板1に対する損傷がより少ない反応性ガスはアッシングレートが低いので、処理時間は長くなる。しかしながら、本実施の形態においては、シリコン基板1の表面近くまでアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングをしているので、生産性の低下を最小限に抑制することができる。尚、反応性ガスの切替は、例えば、時間管理により行うことができる。
【0036】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを酸素(O2)ガスとすることができる。ただし、これらのアッシング条件に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0037】
このように、酸素ガスよりもアッシングレートの高いガスを反応性ガスとして用いた第1の工程と、酸素ガスを反応性ガスとして用いた第2の工程とを備えることで、より損傷の少ないアッシングを行うことができる。
【0038】
尚、反応性ガスの切替は必ずしも必要ではなく、例えば、処理時間の短縮が優先されるような品種においては、前述のフッ素原子を有するガスが添加されたアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングを続行することもできる。
【0039】
次に、図2(d)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面まで進んだ時点でアッシングを終了させる。この場合、アッシングに伴う分解物などに起因する光の強度の変化などによりアッシングの終点を検出することができる。ただし、終点検出はこれに限定されるわけではなく、例えば、ラジカル濃度の変化、高周波電力などの変化、シリコン基板の温度変化などにより終点を検出するようにすることもできる。
【0040】
本実施の形態に係るアッシング方法によれば、ポッピングの発生を抑制するとともに、仮にポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層4の破片4aをも除去することができる。その結果、高温下でアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングを行うことが可能となり、製品の歩留まりを向上させつつ生産性をも向上させることができるようになる。
また、シリコン基板1に対する損傷がより少ない反応性ガスはアッシングレートが低いものが多いが、アッシングレートの高いガスを前工程に用いることができるので生産性の低下を抑制しつつ、シリコン基板1に対する損傷を抑制することができる。
【0041】
次に、本発明の他の実施の形態に係るアッシング方法について説明をする。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式行程断面図である。
また、図6は、比較例に係るアッシング方法について例示をするための模式行程断面図である。
【0042】
まず、図6に例示をする比較例に係るアッシング方法について説明をする。
図6(a)に示すように、シリコン基板1の表面に形成されたレジスト3aをマスクとしてインプラによりAs(ヒ素)やP(リン)などのイオン6を注入することでイオン注入層2を形成させる。この際、レジスト3aにもイオン6が注入されることになるので、レジスト3aの表面が変質して変質層4が形成されることになる。尚、変質層4の下には、未変質なレジストが未変質層3として残っている。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、マスクであるレジスト3aをプラズマアッシング法を用いて除去する。この際、反応性ガスとして酸素原子を含むガスを用いるものとすれば、レジストに覆われていないイオンの注入面に酸化層が形成される。また、レジストに覆われていた部分であっても、レジストが除去された後に酸化層が形成される場合がある。そのため、図6(b)に示すように、シリコン基板1の表面に酸化層1aが形成されることになる。
【0044】
ここで、プラズマアッシング法によりレジスト3aが除去された後に、硫酸と過酸化水素水との混合液によるSPM処理が行われる場合がある。
そして、シリコン基板1の表面に酸化層1aが形成されたものをSPM処理した場合には、図6(c)に示すように、シリコン基板1の表面の酸化層1aとともにイオン注入層2の酸化層1aがエッチング除去されてしまい、いわゆる「膜減り」を生じることがある。
このような膜減りが生じた場合には、イオン注入層2の表層が失われるためにデバイス特性が悪化するおそれがある。
【0045】
次に、図5に戻って本実施の形態にかかるアッシング方法について説明をする。
まず、図5(a)に示すように、インプラ後のシリコン基板1の表面を覆うように塗布膜5を形成させる。
次に、反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行い塗布膜5を除去する。この場合、図2において説明をしたものと同様に、未変質層3や変質層4は塗布膜5により覆われるようにして補強されているので、レジストベーク温度(およそ100℃)を超えるような高温でアッシングをしてもポッピングが生じるおそれがない。また、イオン注入層2も塗布膜5で覆われ保護されているので、フッ素原子を有するガス(例えば、CF4など)が添加されたアッシングレートの高い反応性ガスを用いるものとしても、イオン注入層2が損傷するおそれもない。そのため、アッシングレートの高い迅速なアッシングをすることができる。
尚、ポッピング発生の抑制や、ポッピング発生の際に飛散した変質層の破片を除去できることなどについては、図2や図4において説明をしたものと同様のためこれらの説明は省略する。
【0046】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを酸素(O2)ガスとCF4ガスの混合ガスとし、その混合比を酸素(O2)ガス:CF4ガス=20:1程度とすることができる。ただし、これらのアッシング条件に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0047】
次に、図5(b)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面近くまで進んだ時点で、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスに切り替える。このようにすれば、シリコン基板1に対する損傷と酸化層1aの形成(ひいてはイオン注入層2の膜減り)を抑制することができる。そのため、配線幅の狭い品種であってもデバイス特性を悪化させることがないので、製品の歩留まりを向上させることができる。シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスはアッシングレートが低いので、処理時間は長くなる。しかしながら、本実施の形態においては、シリコン基板1の表面近くまでアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングをしているので、生産性の低下を最小限に抑制することができる。尚、反応性ガスの切替は、例えば、時間管理により行うことができる。
シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスとしては、例えば、水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)などを例示することができる。
【0048】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)とすることができる。
【0049】
このように、酸素ガスよりもアッシングレートの高いガスを反応性ガスとして用いた第1の工程と、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスを用いた第2の工程とを備えることで、損傷と酸化層1aの形成がより少ないアッシングを行うことができる。
なお、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガス(例えば、水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど))を用いて全行程のアッシングを行うこともできる。そのようにすれば、シリコン基板1に対する損傷を確実に抑制することができる。ただし、生産性の観点からは前述した2段階の工程を行うようにすることが好ましい。
【0050】
次に、図5(c)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面まで進んだ時点でアッシングを終了させる。この場合、アッシングに伴う分解物などに起因する光の強度の変化などによりアッシングの終点を検出することができる。
ただし、終点検出はこれに限定されるわけではなく、例えば、ラジカル濃度の変化、高周波電力などの変化、シリコン基板の温度変化などにより終点を検出するようにすることもできる。
【0051】
本実施の形態に係るアッシング方法によれば、ポッピングの発生を抑制するとともに、仮にポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層4の破片4aをも除去することができる。その結果、高温下でアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングを行うことが可能となる。
また、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスを用いたアッシングを行うことで、シリコン基板1の表面に酸化層1aが形成されることを抑制することができる。そのため、アッシングの後に硫酸と過酸化水素水の混合液によるSPM処理が行われる場合には、イオン注入層2の膜減りを抑制することができる。この場合、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスはアッシングレートが低いものが多いが、アッシングレートの高いガスを前工程に用いることができるので生産性の低下を抑制することができる。
そのため、配線幅のより狭い品種であっても製品の歩留まりを向上させつつ生産性をも向上させることができるようになる。
【0052】
次に、本実施の形態に係るアッシング方法を用いることができるアッシング装置について説明をする。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
図7に示すように、アッシング装置10には、処理容器11が設けられている。そして、処理容器11の天井の中央部付近には開孔11aが設けられ、開孔11aを覆うようにプラズマ発生手段12が設けられている。また、プラズマ発生手段12の近傍には、塗布手段13が設けられている。
【0053】
処理容器11の側壁の上部には、シリコン基板1の搬入搬出をするための開孔11bが設けられ、開孔11bを気密に開閉可能な開閉扉14が設けられている。また、側壁の下部には、処理容器11内の排気をするための開孔11cが設けられ、開孔11cを気密に開閉可能な開閉手段15が設けられている。また、開孔11cは、図示しない真空ポンプなどの排気手段と接続され、処理容器11内を所望の圧力に減圧可能となっている。
【0054】
処理容器11の底面には、塗布後の廃液(例えば、残余の塗布溶液)を排出するための開孔11dが設けられ、開孔11dを気密に開閉可能な開閉手段16が設けられている。
また、開孔11dは、図示しない廃液タンクなどの廃棄手段と接続され、処理容器11内の廃液が廃棄可能となっている。
【0055】
処理容器11内には、開孔11aに対向するように、シリコン基板1を載置するための載置台17が設けられている。載置台17の載置面(シリコン基板1が載置される面)と対向する側の面には、回転軸17aの一端が固着され、回転軸17aの他端は処理容器11の底面を貫通するようにして処理容器11の外部に延出するようになっている。そして、回転軸17aの他端には、モータなどの回転手段17bが接続され、回転軸17aを介して載置台17が回転可能となっている。尚、載置台17には、シリコン基板1を保持するための、例えば、静電チャックのような図示しない保持手段、シリコン基板1の温度を調整するための、例えば、ヒータやチラーなどのような図示しない温度調整手段などを設けるようにすることができる。
【0056】
載置台17の周囲を覆うように、残余の塗布溶液を受け止めるカップ18が設けられている。カップ18の底面の中央部分には開孔18aが設けられ、回転軸17aを挿通させるとともに残余の塗布溶液を処理容器11の底面に向けて排出できるようになっている。
尚、カップ18の底面は開孔18aに向けて下り勾配を有しており、塗布溶液の排出が容易となるようになっている。また、カップ18の側壁の上部には中心方向に向けて屈曲する屈曲部18bが設けられ、上方に飛び散る塗布溶液の捕捉が容易となるようになっている。また、カップ18の底面には、昇降軸18cの一端が固着され、昇降軸18cの他端は処理容器11の底面を貫通するようにして処理容器11の外部に延出するようになっている。そして、昇降軸18cの他端には、エアシリンダなどの昇降手段18dが接続され、昇降軸18cを介してカップ18が昇降可能となっている。そのため、シリコン基板1の搬入搬出時にはカップ18を下降させることができ、載置台17へのシリコン基板1の受け渡しが容易となるようになっている。
【0057】
プラズマ発生手段12には、誘電体からなる円筒状のプラズマ発生室12aが設けられており、プラズマ発生室12aの一端は、開孔11aを覆うようにして処理容器11の天井に気密に接続されている。プラズマ発生室12aの他端には、反応性ガスを導入するための開孔が設けられたノズルプレート12bが気密に設けられている。そして、ノズルプレート12bの開孔には、流路の開閉、反応性ガスの圧力や流量の制御などを行うための制御手段12c(例えば、電磁弁のような開閉弁、減圧弁、マスフローコントローラのような流量制御弁など)を介して高圧ボンベなどの反応性ガス供給手段12dが接続されている。反応性ガスとしては、例えば、酸素ガスや水素ガスが用いられる。また、プラズマ発生室12aの周囲には、コイル12eが設けられ、コイル12eには高周波電源12fが接続されている。
【0058】
塗布手段13には、シリコン基板1の表面に塗布膜を形成するための塗布溶液を収納する溶液タンク13aが設けられている。溶液タンク13aの天井部分には、窒素ガスなどのような不活性なガスを導入するための導入管13bが連通されている。導入管13bの他端は、流量や圧力の制御を行う図示しない制御手段を介して、これも図示しない窒素ガスボンベなどの加圧手段と接続されている。
【0059】
また、溶液タンク13a内に収納された塗布溶液中に一端を浸すようにして送液管13cが設けられている。そして、送液管13cの他端は、処理容器11の天井に設けられた供給部13dと接続されている。供給部13dには内部に空間が設けられ、この空間と処理容器11の天井を貫通するようにして設けられたノズル13eとが連通するようになっている。また、ノズル13eの一端を開閉するための開閉手段13fが設けられ、ノズル13eの他端は載置台17に載置されたシリコン基板1の表面の回転中心に向けて塗布溶液が供給可能となるような向きに傾斜して設けられている。
【0060】
そのため、窒素ガスなどのような不活性なガスで溶液タンク13aの内部を加圧することで、供給部13dを介して、塗布溶液をノズル13eからシリコン基板1の表面に向けて供給することができる。尚、塗布溶液の供給開始と停止は開閉手段13fにより行うことができ、供給量は導入管13bに設けられた流量や圧力の制御を行う図示しない制御手段により行うことができる。
【0061】
次に、アッシング装置10の作用について説明をする。
図示しない搬送装置により、その表面にレジストが形成され、かつインプラ処理されたシリコン基板1が、開孔11bから処理容器11の内部に搬入され、載置台17に載置、保持される。そして、図示しない搬送装置が処理容器11の外に退避した後、開閉扉14が閉じられ処理容器11が密閉される。
【0062】
次に、カップ18を上昇させて載置台17の周囲を覆うようにする。そして、載置台17を回転させるとともに、溶液タンク13a内に収納された塗布溶液をシリコン基板1の表面に向けて供給する。シリコン基板1の表面に供給された塗布溶液は、遠心力で均一な膜(塗布膜5)となる(スピンコート法)。この際、残余の塗布溶液は、遠心力によりシリコン基板1の外周からカップ18の内面に向けてとばされ、開孔18aから処理容器11の底面に向けて排出される。その後、残余の塗布溶液は開孔11dを介して図示しない廃液タンクなどの廃棄手段に送られる。
【0063】
ここで、シリコン基板1の表面に供給された塗布溶液を乾燥させることもできる。乾燥は、例えば、載置台17を回転させるなどして常温、大気圧下で乾燥させることもできるし、載置台17に設けられたヒータなどによりシリコン基板1を加熱して乾燥させることもできる。また、処理容器11内を減圧して乾燥を行うこともできる。尚、前述したように、乾燥は必ずしも必要ではなく、省くこともできる。
以上の塗布工程は、大気圧下で行うこともできるし、処理容器11内を減圧して行うこともできる。
【0064】
次に、プラズマアッシングにより未変質層3、変質層4、塗布膜5を除去する。
まず、処理容器11内、プラズマ発生室12a内が所定の圧力まで減圧される。そして、反応性ガス供給手段12dから所定量の反応性ガスがプラズマ発生室12a内に導入される。また、コイル12eには高周波電源12fから電力が供給される。そのため、プラズマ発生室12a内にプラズマPが発生し、プラズマ発生室12内に導入された反応性ガスが励起、活性化されて中性活性種、イオンなどのプラズマ生成物が生成される。そして、生成されたプラズマ生成物が下降するようにしてシリコン基板1の表面に到達して未変質層3、変質層4、塗布膜5が除去(アッシング)される。また、カップ18の内面などに付着していた残余の塗布溶液も除去される。
【0065】
アッシングの終了後においては、処理容器11内の圧力が大気圧に戻され、カップ18が下降し、図示しない搬送装置によりシリコン基板1が処理容器11外に搬出される。
【0066】
図8は、本発明の第4の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
アッシング装置10cのプラズマ発生手段12には、誘電体からなる円筒状のプラズマ発生室12aが設けられており、プラズマ発生室12aの一端は、開孔11aを覆うようにして処理容器11の天井に気密に接続されている。プラズマ発生室12aの他端には、反応性ガスを導入するための開孔が設けられたノズルプレート12bが気密に設けられている。
【0067】
そして、ノズルプレート12bの開孔には、流路の開閉、反応性ガスの圧力や流量の制御などを行うための制御手段12c1〜12c3(例えば、電磁弁のような開閉弁、減圧弁、マスフローコントローラのような流量制御弁など)が3系統設けられている。
そして、制御手段12c1〜12c3には、高圧ボンベなどの反応性ガス供給手段12d1〜12d3がそれぞれ接続されている。また、プラズマ発生室12aの周囲には、コイル12eが設けられ、コイル12eには高周波電源12fが接続されている。
【0068】
ここで、反応性ガス供給手段12d1〜12d3からは、それぞれ異なる種類のガスを供給可能とすることができる。例えば、反応性ガス供給手段12d1〜12d3が高圧ボンベなどの場合には、それぞれに異なる種類の反応性ガスを収納し、各工程における処理条件などに応じて適宜供給するようにすることができる。
【0069】
この場合、反応性ガス供給手段12d1からはCF4ガス、反応性ガス供給手段12d2からは水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)、反応性ガス供給手段12d3からは酸素(O2)ガスを供給するようにすることができる。
【0070】
そして、反応性ガス供給手段12d1〜12d3から各反応性ガスを適宜選択して供給することで、例えば、プラズマ発生室12aに酸素(O2)ガスとCF4ガスの混合ガスを供給したり、酸素(O2)ガスや水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)を供給したりすることができるようになっている。
【0071】
そのため、前述したような各工程における反応性ガスが異なるものであっても、反応性ガスの種類を適宜選択して対応することができるようになっている。
尚、3系統の制御手段、反応性ガス供給手段を例示したが、これに限定されるわけではなく系統数は適宜変更することもできる。また、反応性ガスの種類も例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。この場合、複数の反応性ガス供給手段(例えば、複数の高圧ボンベなど)に同種類のガスを収納することもできるし、予め混合された混合ガスを収納することもできる。
なお、図7と同様の部分には同じ符号を付した。
【0072】
図9は、本発明の第5の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
本実施の形態においては、シリコン基板1を収納し、また、アッシング装置10にシリコン基板1を供給するための供給装置20が設けられている点が異なる。そのため、アッシング装置10に関する説明は省略する。尚、図9に例示をしたものは、1系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものであるが、例えば、図8に例示をしたように、複数系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものとすることもできる。
【0073】
供給装置20には、シリコン基板1の搬送、受け渡しを行うための搬送装置21、シリコン基板1を収納するための収納装置22、フレーム23などが設けられている。搬送装置21には、関節を有するアーム21aが設けられ、アーム21aの先端には、シリコン基板1を載置、保持可能な図示しない保持手段が設けられている。また、アーム21aが備えられるアーム基台21cは移動手段21bと接続されており、アーム基台21cは図9の紙面と垂直な方向に移動可能となっている。そのため、アーム21aを屈曲させるようにして伸縮させ、シリコン基板1をアーム21aの先端に載置、保持し、その状態のまま図9の紙面と垂直な方向に移動可能となっている。また、図示しないシリコン基板1の回転方向や上下方向の位置を調整する手段や、アーム21aの基部を回転させてアーム21aの方向を変換させる手段を設けるようにすることもできる。
【0074】
収納装置22は、アッシング処理前、アッシング処理済みのシリコン基板1を収納するためのものであり、例えば、シリコン基板1を積層状(多段状)に収納可能なウェーハキャリアなどを例示することができる。具体的には、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われるシリコン基板1の搬送、保管を目的とした正面開口式キャリアであるFOUP( Front-Opening Unified Pod ) などを挙げることができる。また、収納装置22の下方にはキャリアスタンド22bが設けられ、キャリアスタンド22bの前面には収納装置22の正面にある扉を開閉するための開閉装置22cが設けられている。
【0075】
フレーム23は、箱状を呈し、その内部には搬送装置21、開閉装置22cが設けられている。また、収納装置22の正面とフレーム23の内部とが連通可能となるように、図示しない開孔が設けられている。そして、アッシング装置10の開閉扉14と対向する部分には搬入搬出口23aが設けられ、搬入搬出口23aを通してシリコン基板1の搬入搬出ができるようになっている。尚、搬入搬出口23aに図示しない開閉扉を設けるようにすることもできる。
【0076】
フレーム23の天井部分には、フィルタ23bと送風ファン23cとが設けられている。そのため、送風ファン23cによりフィルタ23bを介して外気をフレーム23の内部に導入させることができる。その結果、フレーム23の内部の圧力を高めることができ、フレーム23内へパーティクルなどが侵入することを抑制することができる。
【0077】
次に、供給装置20の作用について説明をする。
まず、搬送装置21のアーム基台21cを所定の収納装置22の正面まで移動させる。尚、収納装置22の扉は開閉装置22cにより開かれている。次に、アーム21aを屈曲させるようにして収納装置22の方向に伸ばし、アッシング処理前のシリコン基板1を受け取る。そして、アーム21aを屈曲させるようにして縮め収納装置22からシリコン基板1を取り出す。
次に、アーム21aを180°回転させ、その向きをアッシング装置10の方向に向ける。尚、その際、アッシング装置10の開閉扉14と対向する位置にアーム基台21cの位置が適宜調整される。
【0078】
次に、アーム21aを屈曲させるようにしてアッシング装置10の方向に伸ばし、シリコン基板1を開孔11bから処理容器11の内部に搬入し、載置台17に載置する。
アッシング処理済みのシリコン基板1を収納装置22に収納する場合には、前述と逆の手順によりアッシング装置10から収納装置22にシリコン基板1を搬送、収納する。この際、アッシング処理前のシリコン基板1が収納されていた場所に、アッシング処理済みの同じシリコン基板1が収納されるようになっている。
本実施の形態においては、先に説明した実施の形態にて有する作用効果に加え、供給装置20が設けられているので効率的なアッシングを行うことができ、生産性を向上させることができる。
【0079】
図10は、本発明の第6の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式平面図である。
また、図11は、塗布装置を例示するための模式断面図であり、図12は、アッシングのみを行う除去装置を例示するための模式断面図である。
【0080】
図10に示すように、アッシング装置100には、シリコン基板1の表面に塗布溶液を供給して塗布を行う塗布装置10aと、アッシングのみを行う除去装置10bと、シリコン基板1を収納し、また、塗布装置10aと除去装置10bにシリコン基板1を供給するための供給装置20aとが備えられている。
【0081】
図11に示すように、塗布装置10aは、塗布溶液を供給して塗布のみを行う。そのため、プラズマ発生手段12が設けられていない点を除けば、図7で説明をしたアッシング装置10と同様のため、同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。また、処理容器110aに関しても、開孔11aが設けられていない点を除けば処理容器11と同様なのでその説明は省略する。尚、塗布を大気圧下で行う場合には、開孔11c、開閉手段15、図示しない排気手段を設けないようにすることもできる。
【0082】
図12に示すように、除去装置10bは、塗布を行わずにアッシングのみを行う。そのため、塗布手段13、開閉手段16が設けられていない点を除けば、図7で説明をしたアッシング装置10と同様のため、同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
また、処理容器110bに関しても、開孔11dが設けられていない点を除けば処理容器11と同様なのでその説明は省略する。尚、載置台17の載置面(シリコン基板1が載置される面)と対向する側の面には、支持体17cの一端が固着され、支持体17cの他端は処理容器110bの底面に固着されている。また、図10、図12に例示をしたものは、1系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものであるが、例えば、図8に例示をしたように、複数系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものとすることもできる。
【0083】
また、供給装置20aは、塗布装置10aと除去装置10bとを設けた関係上、搬入搬出口23aが2箇所となった点を除けば、図9で説明をした供給装置20と同様なのでその説明は省略する。
また、アッシング装置100の作用についても、塗布装置10aと除去装置10bとを設けた関係上、塗布とアッシングが別々の装置で行われ、搬入搬出先が2箇所となる他は、図7、図9で説明をしたものと同様のためその説明は省略する。
【0084】
本実施の形態においては、さらに塗布工程とアッシング工程とを並行して行うことができるので生産性を向上させることができる。
尚、塗布工程とアッシング工程との間に乾燥工程を設ける場合においては、塗布装置10a、除去装置10bの外部にバッファ装置(例えば、多段のウェーハキャリアなど)などを設けることで、塗布装置10a、除去装置10bの停止時間(待機時間)を減少させて生産効率を向上させることもできる。
【0085】
また、説明の便宜上、塗布をスピンコート法で説明をしたが、これに限定されるわけではなく、例えば、スプレーコート法、ディップコータ法 、スリットダイコータ法、カーテンコータ法、ロールコータ法、インクジェット法などの各種の塗布方法を適用させることができる。この場合、塗布対象物(例えば、シリコン基板1)と塗布手段(例えば、ノズルやインクジェットヘッドなど)との相対的な位置関係を変えながら(例えば、回転、平行移動、揺動、往復など)塗布を行うこともできるし、塗布することができる範囲が広い塗布手段(例えば、広角ノズルなど)を用いて両者の位置関係を変えずに塗布を行うこともできる。
また、説明の便宜上、本発明の実施の形態に係るアッシング方法、アッシング装置をシリコン基板におけるもので説明をしたが、これに限定されるわけではない。例えば、液晶表示装置の製造におけるパターンのエッチング後のアッシング、位相シフトマスクの製造におけるパターンのエッチング後のアッシング、太陽電池の製造における反射防止膜のエッチング後のアッシングなどにおいて、レジスト表面に形成された変質層、硬化層などを有するレジストの除去にも適応が可能である。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0087】
例えば、アッシング装置10、供給装置20、アッシング装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、基板1は、シリコンウェーハには限定されず、その他、各種の化合物半導体からなる基板であってもよく、または、酸化シリコンなどの絶縁基板の表面に半導体層が形成されたものなどであってもよい。
【0088】
また、例示をしたアッシング方法における反応性ガス、その成分比、圧力、温度などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0089】
1 シリコン基板、1a 酸化層、2 イオン注入層、3 未変質層、4 変質層、4a 破片、5 塗布膜、10 アッシング装置、10a 塗布装置、10b 除去装置、10c アッシング装置、12 プラズマ発生手段、13 塗布手段、18 カップ、20 供給装置、100 アッシング装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッシング方法およびアッシング装置に関し、特に、イオン注入時にマスクとして用いられたレジストをアッシングするのに適したアッシング装置およびアッシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを利用してレジストを除去するプラズマアッシング処理は、半導体や液晶ディスプレイをはじめとする各種の産業分野において広く利用されている。「アッシング」とは、具体的には、パターンを加工するエッチング時や、イオン注入(ion implantation:以下「インプラ」という)時のマスクとして用いられたレジストを、酸素プラズマなどとの反応により、例えばシリコン基板より分解除去するプロセスである。
【0003】
ここで、インプラのマスクとしてレジストを用いた場合、当然のことながらレジスト自体にもイオンが注入されることになる。そのため、レジスト内部においては、レジスト表面のイオンが注入された変質層(硬化層)と、変質層の下のイオンが注入されていない未変質層(バルク層)とが存在することになる。
【0004】
このような変質層は、通常のアッシングプロセスで用いられる酸素プラズマでは分解除去し難い。これは、インプラ時のイオン衝撃によってレジスト中の水素が離脱し、有機高分子が複雑にクロスリンクした構造となっているためである。またさらに、後に詳述する「ポッピング」という現象により、変質層の残渣が残りやすいという問題もある。
【0005】
そこで、変質層の除去とポッピングの抑制のために、変質層と未変質層とでアッシング条件(処理温度や反応性ガスの成分など)を変える技術が提案されている(特許文献1、2を参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術のように、ポッピングの発生を抑制するために変質層のアッシング温度を低くすると、アッシングレートが低下して生産性が低下するという新たな問題を生じる。また、特許文献2に開示された技術のように、変質層のアッシング温度を低く抑えてもアッシングレートを高くできるようにフッ素系のガスを添加すると、基板におけるイオン注入層などをもエッチングしてしまうおそれがある。
【0007】
そのため、変質層を処理して微細孔を形成させることにより、ポッピングの発生を抑制しつつ変質層と未変質層とを同一条件でアッシングする技術が提案されている(特許文献3を参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に開示された技術ではポッピングの発生を完全には防止することができず、ポッピングが発生してしまった場合には、基板表面などの上に飛散した変質層の破片が残渣として残るおそれがあった。
【0009】
また、レジストを分解除去する場合には酸素プラズマを用いるのが一般的であるが、酸素プラズマを用いた場合には、レジストに覆われていないイオンの注入面に酸化層が形成される場合がある。そして、アッシング後にSPM処理を行う場合には、この酸化層とともにイオン注入層の一部がエッチング除去されてしまい、いわゆる「膜減り」を生じることがある。このような膜減りが生じた場合には、イオン注入層の一部が失われるためにデバイス特性が悪化するという問題が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−67738号公報
【特許文献2】特開平5−275326号公報
【特許文献3】特開平11−233489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ポッピングの発生を抑制するとともに、ポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層の破片をも除去することができるアッシング方法およびアッシング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、イオン注入により表面に形成された変質層とその下の未変質層とを有するレジストを除去するアッシング方法であって、基板の前記レジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成し、前記レジストと前記塗布膜とを反応性ガスを用いたプラズマ処理により除去すること、を特徴とするアッシング方法が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一態様によれば、基板のレジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成する塗布手段と、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、プラズマを発生させるプラズマ発生手段と、前記プラズマに向けて反応性ガスを導入する反応性ガス供給手段と、前記処理容器内を減圧する排気手段と、を備えることを特徴とするアッシング装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポッピングの発生を抑制するとともに、ポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層の破片をも除去することができるアッシング方法およびアッシング装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式工程断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式工程断面図である。
【図3】インプラによる変質層の形成とポッピングの発生とを例示するための模式工程断面図である。
【図4】ポッピングが発生した場合を例示するための模式断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式行程断面図である。
【図6】比較例に係るアッシング方法について例示をするための模式行程断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式平面図である。
【図11】塗布装置を例示するための模式断面図である。
【図12】アッシングのみを行う除去装置を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0017】
図1、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式工程断面図であり、図1は塗布工程、図2は除去工程を示している。
図1に示すように、インプラ後のシリコン基板1には、その表面にマスクとして形成されたレジストの未変質層(バルク層)3、インプラによりレジストの表面が変質した変質層4、インプラによりAs(ヒ素)やP(リン)などのイオンが注入されたイオン注入層2が形成されている。
本実施の形態においては、まず、図1に示すように、インプラ後のシリコン基板1の表面を覆うように塗布膜5を形成する。すなわち、インプラによる変質層4を有するレジストやイオン注入層2を覆うように塗布膜5を形成する。
【0018】
しかる後、図2に示すように、フッ素原子を有するガス(例えば、CF4など)を添加した反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行い、高いアッシングレートで迅速なアッシングを行う。
【0019】
以下、本実施の形態のかかるアッシング方法を詳細に説明する前に、変質層4を有するレジストをアッシングした場合に発生する「ポッピング」について説明をする。
【0020】
図3は、インプラによる変質層の形成とポッピングの発生とを例示するための模式工程断面図である。
まず、図3(a)に示すように、シリコン基板1の表面にマスクとなるレジスト3aを所望の形状に形成させる。
次に、図3(b)に示すように、レジスト3aをマスクとしてインプラによりAs(ヒ素)やP(リン)などのイオン6を注入することでイオン注入層2を形成させる。この際、レジスト3aにもイオン6が注入されることになるので、レジスト3aの表面が変質して変質層4が形成されることになる。尚、変質層4の下には、未変質なレジストが未変質層3として残っている。
【0021】
次に、マスクであるレジスト3aをプラズマアッシング法を用いて除去する。この際、インプラによって変質層4が形成されたレジスト3aを高温でアッシングすると、レジストベーク温度(およそ100℃)を超えた時点において変質層4の下の未変質層3でガス9が発生する(図3(c)参照)。発生したガスは変質層4によって逃げ場を塞がれ、未変質層3における圧力が高くなり、やがて図3(c)に示すような爆発を起こす。これが「ポッピング」と呼ばれる現象である。ポッピングが発生すると変質層4の一部が破片4aとなり周辺に飛び散り付着する。破片4aは、変質層4の一部であるためアッシングに通常用いられる酸素プラズマによる除去がし難い。そのため、アッシングを続行しても図3(d)に示すように、飛び散った破片4aの一部が残渣として残る場合がある。
【0022】
このような残渣がシリコン基板1の表面に残ると半導体装置の製造の歩留まりを低下させる要因となる。また、近年の微細化された回路パターンでは、ポッピング時の衝撃で近接する回路パターンが破壊されて半導体装置の製造の歩留まりを低下させる要因ともなる。
【0023】
本発明者は検討の結果、インプラ後のシリコン基板の表面を塗布膜で覆い、これをアッシングするようにすれば、その補強効果によりポッピングの発生を抑制することができ、かつ、ポッピングが発生してしまった場合であっても飛散した変質層の破片を残渣として残ることなく除去することができるとの知見を得た。
【0024】
以下、これらの点について図1、図2を参照しつつ説明する。
本実施の形態に係るアッシング方法においては、まず、図1に示すように、インプラ後のシリコン基板1の表面を覆うように塗布膜5を形成させる。
塗布膜5の材質としては、反応性ガスのプラズマに対する耐性が変質層4と同等またはそれより若干低いものを選択することが好ましい。すなわち、変質層4のアッシングレートと同等またはそれより若干高いものを選択することが好ましい。
【0025】
反応性ガスのプラズマに対する耐性が高すぎるとレジストが先に除去されてしまうので、イオン注入層2の上に塗布膜5が残ってしまうおそれがある。また、反応性ガスのプラズマに対する耐性が低すぎるとレジストより先に塗布膜5が除去されてしまうので、後述する塗布膜5による補強や飛散した変質層4の破片4aの除去ができなくなるおそれがある。
【0026】
ここで、塗布膜5の材質としては、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、シルセスキオキサン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂などを基本骨格とする高分子材料などを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、反応性ガスのプラズマに対する耐性が変質層4と同等またはそれより若干低いものを適宜選択することができる。
【0027】
また、塗布膜5の形成方法(塗布法)としては、シリコン基板1を回転させながらシリコン基板1の表面に、例えば、前記の高分子材料を溶媒で溶解させたもの(以下、塗布溶液という)を供給して、遠心力で均一な膜を形成させるスピンコート法、シリコン基板1を低速回転させながらシリコン基板1の外周部分から中心部に向かって、例えば、塗布溶液を霧状に噴霧して均一な薄膜を形成させるスプレーコート法、シリコン基板1の表面を、例えば、塗布溶液に浸漬させてから引き上げるディップコータ法、スリットから、例えば、塗布溶液を押し出してシリコン基板1上に塗布するスリットダイコータ法 、カーテン状に、例えば、塗布溶液を吐出させてシリコン基板1上に塗布するカーテンコータ法、ロールの表面に、例えば、塗布溶液の膜を形成させて、これをシリコン基板1上に転写するロールコータ法、インクジェットにより、例えば、塗布溶液の液滴を吐出させてシリコン基板1上に塗布するインクジェット法などの各種の塗布方法を適用させることができる。
【0028】
また、シリコン基板1上に、塗布溶液を塗布した後に、これを乾燥させる工程を設けるようにすることもできる。この場合、高温で乾燥させることもできるが、常温下や減圧環境下での乾燥を行うこともできる。このような乾燥工程を設けるものとすれば、塗布膜5の強度を上げることができるので、後述する、塗布膜5による補強効果を向上させることができる。尚、例えば、塗布溶液の性質や塗膜の強度などによっては、乾燥工程を省くようにすることもできる。
【0029】
次に、図2に示すように、反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行う。
まず、図2(a)に示す状態(図1と同じ)より、反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行い塗布膜5を除去する。この場合、未変質層3や変質層4は塗布膜5により覆われるようにして補強されているので、レジストベーク温度(およそ100℃)を超えるような高温でアッシングをしてもポッピングが生じるおそれがない。また、イオン注入層2も塗布膜5で覆われ保護されているので、フッ素原子を有するガス(例えば、CF4など)が添加されたアッシングレートの高い反応性ガスを用いるものとしても、イオン注入層2が損傷するおそれもない。そのため、アッシングレートの高い迅速なアッシングをすることができる。
【0030】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを酸素(O2)ガスとCF4ガスの混合ガスとし、その混合比を酸素(O2)ガス:CF4ガス=20:1程度とすることができる。ただし、これらのアッシング条件に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0031】
そして、図2(b)に示すように、変質層4の上面が露出するまで塗布膜5の除去が行われると、次には、変質層4と塗布膜5との除去が行われる。この場合、塗布膜5の反応性ガスのプラズマに対する耐性は、変質層4と同等または若干低いもの(変質層4のアッシングレートと同等または若干高いもの)とされているため、変質層4と塗布膜5との除去がほぼ同時、あるいは、塗布膜5の方が若干速く進むことになる。
【0032】
この場合、レジスト側面側の変質層4は塗布膜5により覆われるようにして補強されているので、レジスト側面側にポッピングが発生することはない。
また、アッシングによる熱は、直接的にはレジスト上面側の変質層4から未変質層3に伝わり、レジスト側面側の変質層4からは熱伝達の悪い塗布膜5(例えば、高分子材料など)を介して間接的に未変質層3に伝わることになる。そのため、未変質層3の温度上昇を遅らせることができる。その結果、未変質層3の温度が所定の温度に達する前に変質層4の除去をすることができるので、未変質層3の圧力上昇を抑えることができ、レジスト上面側からのポッピングの発生も抑制することができる。この場合、レジスト上面側の変質層4の一部に孔があく程度に除去が進んだ時点でも、未変質層3の内部で発生したガスを逃がすことができる。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、ポッピングの発生を大幅に抑制することができる。
【0034】
図4は、ポッピングが発生した場合を例示するための模式断面図である。
尚、図1、図2と同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図4に示すように、レジスト上面側でポッピングが発生した場合には、変質層4の一部が破片4aとなり周囲に飛び散る。ところが本実施の形態において、その破片4aは塗布膜5の上には付着するが、塗布膜5で覆われているイオン注入層2の上には付着することがない。また、破片4aの下方には厚みの厚い塗布膜5があるので、除去がし難い破片4aであっても除去(アッシング)に充分な時間をとれることになる。そのため、アッシングを続行することで、飛び散った変質層4の破片4aを塗布膜5とともに除去することができ残渣が残ることを防止することができる。
【0035】
次に、図2(c)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面近くまで進んだ時点で、シリコン基板1に対する損傷がより少ない反応性ガス(アッシングレートがより低い反応性ガス)に切り替える。このようにすれば、シリコン基板1に対する損傷を抑制することができ、例えば、配線幅の狭い品種であっても製品の歩留まりを向上させることができる。シリコン基板1に対する損傷がより少ない反応性ガスはアッシングレートが低いので、処理時間は長くなる。しかしながら、本実施の形態においては、シリコン基板1の表面近くまでアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングをしているので、生産性の低下を最小限に抑制することができる。尚、反応性ガスの切替は、例えば、時間管理により行うことができる。
【0036】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを酸素(O2)ガスとすることができる。ただし、これらのアッシング条件に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0037】
このように、酸素ガスよりもアッシングレートの高いガスを反応性ガスとして用いた第1の工程と、酸素ガスを反応性ガスとして用いた第2の工程とを備えることで、より損傷の少ないアッシングを行うことができる。
【0038】
尚、反応性ガスの切替は必ずしも必要ではなく、例えば、処理時間の短縮が優先されるような品種においては、前述のフッ素原子を有するガスが添加されたアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングを続行することもできる。
【0039】
次に、図2(d)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面まで進んだ時点でアッシングを終了させる。この場合、アッシングに伴う分解物などに起因する光の強度の変化などによりアッシングの終点を検出することができる。ただし、終点検出はこれに限定されるわけではなく、例えば、ラジカル濃度の変化、高周波電力などの変化、シリコン基板の温度変化などにより終点を検出するようにすることもできる。
【0040】
本実施の形態に係るアッシング方法によれば、ポッピングの発生を抑制するとともに、仮にポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層4の破片4aをも除去することができる。その結果、高温下でアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングを行うことが可能となり、製品の歩留まりを向上させつつ生産性をも向上させることができるようになる。
また、シリコン基板1に対する損傷がより少ない反応性ガスはアッシングレートが低いものが多いが、アッシングレートの高いガスを前工程に用いることができるので生産性の低下を抑制しつつ、シリコン基板1に対する損傷を抑制することができる。
【0041】
次に、本発明の他の実施の形態に係るアッシング方法について説明をする。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るアッシング方法を例示するための模式行程断面図である。
また、図6は、比較例に係るアッシング方法について例示をするための模式行程断面図である。
【0042】
まず、図6に例示をする比較例に係るアッシング方法について説明をする。
図6(a)に示すように、シリコン基板1の表面に形成されたレジスト3aをマスクとしてインプラによりAs(ヒ素)やP(リン)などのイオン6を注入することでイオン注入層2を形成させる。この際、レジスト3aにもイオン6が注入されることになるので、レジスト3aの表面が変質して変質層4が形成されることになる。尚、変質層4の下には、未変質なレジストが未変質層3として残っている。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、マスクであるレジスト3aをプラズマアッシング法を用いて除去する。この際、反応性ガスとして酸素原子を含むガスを用いるものとすれば、レジストに覆われていないイオンの注入面に酸化層が形成される。また、レジストに覆われていた部分であっても、レジストが除去された後に酸化層が形成される場合がある。そのため、図6(b)に示すように、シリコン基板1の表面に酸化層1aが形成されることになる。
【0044】
ここで、プラズマアッシング法によりレジスト3aが除去された後に、硫酸と過酸化水素水との混合液によるSPM処理が行われる場合がある。
そして、シリコン基板1の表面に酸化層1aが形成されたものをSPM処理した場合には、図6(c)に示すように、シリコン基板1の表面の酸化層1aとともにイオン注入層2の酸化層1aがエッチング除去されてしまい、いわゆる「膜減り」を生じることがある。
このような膜減りが生じた場合には、イオン注入層2の表層が失われるためにデバイス特性が悪化するおそれがある。
【0045】
次に、図5に戻って本実施の形態にかかるアッシング方法について説明をする。
まず、図5(a)に示すように、インプラ後のシリコン基板1の表面を覆うように塗布膜5を形成させる。
次に、反応性ガスを用いたプラズマアッシングを行い塗布膜5を除去する。この場合、図2において説明をしたものと同様に、未変質層3や変質層4は塗布膜5により覆われるようにして補強されているので、レジストベーク温度(およそ100℃)を超えるような高温でアッシングをしてもポッピングが生じるおそれがない。また、イオン注入層2も塗布膜5で覆われ保護されているので、フッ素原子を有するガス(例えば、CF4など)が添加されたアッシングレートの高い反応性ガスを用いるものとしても、イオン注入層2が損傷するおそれもない。そのため、アッシングレートの高い迅速なアッシングをすることができる。
尚、ポッピング発生の抑制や、ポッピング発生の際に飛散した変質層の破片を除去できることなどについては、図2や図4において説明をしたものと同様のためこれらの説明は省略する。
【0046】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを酸素(O2)ガスとCF4ガスの混合ガスとし、その混合比を酸素(O2)ガス:CF4ガス=20:1程度とすることができる。ただし、これらのアッシング条件に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0047】
次に、図5(b)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面近くまで進んだ時点で、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスに切り替える。このようにすれば、シリコン基板1に対する損傷と酸化層1aの形成(ひいてはイオン注入層2の膜減り)を抑制することができる。そのため、配線幅の狭い品種であってもデバイス特性を悪化させることがないので、製品の歩留まりを向上させることができる。シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスはアッシングレートが低いので、処理時間は長くなる。しかしながら、本実施の形態においては、シリコン基板1の表面近くまでアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングをしているので、生産性の低下を最小限に抑制することができる。尚、反応性ガスの切替は、例えば、時間管理により行うことができる。
シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスとしては、例えば、水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)などを例示することができる。
【0048】
この場合のアッシングの条件を例示するものとすれば、例えば、基板温度を200℃程度、圧力を20Pa程度、反応性ガスを水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)とすることができる。
【0049】
このように、酸素ガスよりもアッシングレートの高いガスを反応性ガスとして用いた第1の工程と、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスを用いた第2の工程とを備えることで、損傷と酸化層1aの形成がより少ないアッシングを行うことができる。
なお、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガス(例えば、水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど))を用いて全行程のアッシングを行うこともできる。そのようにすれば、シリコン基板1に対する損傷を確実に抑制することができる。ただし、生産性の観点からは前述した2段階の工程を行うようにすることが好ましい。
【0050】
次に、図5(c)に示すように、未変質層3、変質層4、塗布膜5の除去がシリコン基板1の表面まで進んだ時点でアッシングを終了させる。この場合、アッシングに伴う分解物などに起因する光の強度の変化などによりアッシングの終点を検出することができる。
ただし、終点検出はこれに限定されるわけではなく、例えば、ラジカル濃度の変化、高周波電力などの変化、シリコン基板の温度変化などにより終点を検出するようにすることもできる。
【0051】
本実施の形態に係るアッシング方法によれば、ポッピングの発生を抑制するとともに、仮にポッピングが発生してしまった場合には飛散した変質層4の破片4aをも除去することができる。その結果、高温下でアッシングレートの高い反応性ガスを用いたアッシングを行うことが可能となる。
また、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスを用いたアッシングを行うことで、シリコン基板1の表面に酸化層1aが形成されることを抑制することができる。そのため、アッシングの後に硫酸と過酸化水素水の混合液によるSPM処理が行われる場合には、イオン注入層2の膜減りを抑制することができる。この場合、シリコン基板1に対する損傷がより少なく、かつ、酸化層1aが形成されにくい反応性ガスはアッシングレートが低いものが多いが、アッシングレートの高いガスを前工程に用いることができるので生産性の低下を抑制することができる。
そのため、配線幅のより狭い品種であっても製品の歩留まりを向上させつつ生産性をも向上させることができるようになる。
【0052】
次に、本実施の形態に係るアッシング方法を用いることができるアッシング装置について説明をする。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
図7に示すように、アッシング装置10には、処理容器11が設けられている。そして、処理容器11の天井の中央部付近には開孔11aが設けられ、開孔11aを覆うようにプラズマ発生手段12が設けられている。また、プラズマ発生手段12の近傍には、塗布手段13が設けられている。
【0053】
処理容器11の側壁の上部には、シリコン基板1の搬入搬出をするための開孔11bが設けられ、開孔11bを気密に開閉可能な開閉扉14が設けられている。また、側壁の下部には、処理容器11内の排気をするための開孔11cが設けられ、開孔11cを気密に開閉可能な開閉手段15が設けられている。また、開孔11cは、図示しない真空ポンプなどの排気手段と接続され、処理容器11内を所望の圧力に減圧可能となっている。
【0054】
処理容器11の底面には、塗布後の廃液(例えば、残余の塗布溶液)を排出するための開孔11dが設けられ、開孔11dを気密に開閉可能な開閉手段16が設けられている。
また、開孔11dは、図示しない廃液タンクなどの廃棄手段と接続され、処理容器11内の廃液が廃棄可能となっている。
【0055】
処理容器11内には、開孔11aに対向するように、シリコン基板1を載置するための載置台17が設けられている。載置台17の載置面(シリコン基板1が載置される面)と対向する側の面には、回転軸17aの一端が固着され、回転軸17aの他端は処理容器11の底面を貫通するようにして処理容器11の外部に延出するようになっている。そして、回転軸17aの他端には、モータなどの回転手段17bが接続され、回転軸17aを介して載置台17が回転可能となっている。尚、載置台17には、シリコン基板1を保持するための、例えば、静電チャックのような図示しない保持手段、シリコン基板1の温度を調整するための、例えば、ヒータやチラーなどのような図示しない温度調整手段などを設けるようにすることができる。
【0056】
載置台17の周囲を覆うように、残余の塗布溶液を受け止めるカップ18が設けられている。カップ18の底面の中央部分には開孔18aが設けられ、回転軸17aを挿通させるとともに残余の塗布溶液を処理容器11の底面に向けて排出できるようになっている。
尚、カップ18の底面は開孔18aに向けて下り勾配を有しており、塗布溶液の排出が容易となるようになっている。また、カップ18の側壁の上部には中心方向に向けて屈曲する屈曲部18bが設けられ、上方に飛び散る塗布溶液の捕捉が容易となるようになっている。また、カップ18の底面には、昇降軸18cの一端が固着され、昇降軸18cの他端は処理容器11の底面を貫通するようにして処理容器11の外部に延出するようになっている。そして、昇降軸18cの他端には、エアシリンダなどの昇降手段18dが接続され、昇降軸18cを介してカップ18が昇降可能となっている。そのため、シリコン基板1の搬入搬出時にはカップ18を下降させることができ、載置台17へのシリコン基板1の受け渡しが容易となるようになっている。
【0057】
プラズマ発生手段12には、誘電体からなる円筒状のプラズマ発生室12aが設けられており、プラズマ発生室12aの一端は、開孔11aを覆うようにして処理容器11の天井に気密に接続されている。プラズマ発生室12aの他端には、反応性ガスを導入するための開孔が設けられたノズルプレート12bが気密に設けられている。そして、ノズルプレート12bの開孔には、流路の開閉、反応性ガスの圧力や流量の制御などを行うための制御手段12c(例えば、電磁弁のような開閉弁、減圧弁、マスフローコントローラのような流量制御弁など)を介して高圧ボンベなどの反応性ガス供給手段12dが接続されている。反応性ガスとしては、例えば、酸素ガスや水素ガスが用いられる。また、プラズマ発生室12aの周囲には、コイル12eが設けられ、コイル12eには高周波電源12fが接続されている。
【0058】
塗布手段13には、シリコン基板1の表面に塗布膜を形成するための塗布溶液を収納する溶液タンク13aが設けられている。溶液タンク13aの天井部分には、窒素ガスなどのような不活性なガスを導入するための導入管13bが連通されている。導入管13bの他端は、流量や圧力の制御を行う図示しない制御手段を介して、これも図示しない窒素ガスボンベなどの加圧手段と接続されている。
【0059】
また、溶液タンク13a内に収納された塗布溶液中に一端を浸すようにして送液管13cが設けられている。そして、送液管13cの他端は、処理容器11の天井に設けられた供給部13dと接続されている。供給部13dには内部に空間が設けられ、この空間と処理容器11の天井を貫通するようにして設けられたノズル13eとが連通するようになっている。また、ノズル13eの一端を開閉するための開閉手段13fが設けられ、ノズル13eの他端は載置台17に載置されたシリコン基板1の表面の回転中心に向けて塗布溶液が供給可能となるような向きに傾斜して設けられている。
【0060】
そのため、窒素ガスなどのような不活性なガスで溶液タンク13aの内部を加圧することで、供給部13dを介して、塗布溶液をノズル13eからシリコン基板1の表面に向けて供給することができる。尚、塗布溶液の供給開始と停止は開閉手段13fにより行うことができ、供給量は導入管13bに設けられた流量や圧力の制御を行う図示しない制御手段により行うことができる。
【0061】
次に、アッシング装置10の作用について説明をする。
図示しない搬送装置により、その表面にレジストが形成され、かつインプラ処理されたシリコン基板1が、開孔11bから処理容器11の内部に搬入され、載置台17に載置、保持される。そして、図示しない搬送装置が処理容器11の外に退避した後、開閉扉14が閉じられ処理容器11が密閉される。
【0062】
次に、カップ18を上昇させて載置台17の周囲を覆うようにする。そして、載置台17を回転させるとともに、溶液タンク13a内に収納された塗布溶液をシリコン基板1の表面に向けて供給する。シリコン基板1の表面に供給された塗布溶液は、遠心力で均一な膜(塗布膜5)となる(スピンコート法)。この際、残余の塗布溶液は、遠心力によりシリコン基板1の外周からカップ18の内面に向けてとばされ、開孔18aから処理容器11の底面に向けて排出される。その後、残余の塗布溶液は開孔11dを介して図示しない廃液タンクなどの廃棄手段に送られる。
【0063】
ここで、シリコン基板1の表面に供給された塗布溶液を乾燥させることもできる。乾燥は、例えば、載置台17を回転させるなどして常温、大気圧下で乾燥させることもできるし、載置台17に設けられたヒータなどによりシリコン基板1を加熱して乾燥させることもできる。また、処理容器11内を減圧して乾燥を行うこともできる。尚、前述したように、乾燥は必ずしも必要ではなく、省くこともできる。
以上の塗布工程は、大気圧下で行うこともできるし、処理容器11内を減圧して行うこともできる。
【0064】
次に、プラズマアッシングにより未変質層3、変質層4、塗布膜5を除去する。
まず、処理容器11内、プラズマ発生室12a内が所定の圧力まで減圧される。そして、反応性ガス供給手段12dから所定量の反応性ガスがプラズマ発生室12a内に導入される。また、コイル12eには高周波電源12fから電力が供給される。そのため、プラズマ発生室12a内にプラズマPが発生し、プラズマ発生室12内に導入された反応性ガスが励起、活性化されて中性活性種、イオンなどのプラズマ生成物が生成される。そして、生成されたプラズマ生成物が下降するようにしてシリコン基板1の表面に到達して未変質層3、変質層4、塗布膜5が除去(アッシング)される。また、カップ18の内面などに付着していた残余の塗布溶液も除去される。
【0065】
アッシングの終了後においては、処理容器11内の圧力が大気圧に戻され、カップ18が下降し、図示しない搬送装置によりシリコン基板1が処理容器11外に搬出される。
【0066】
図8は、本発明の第4の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
アッシング装置10cのプラズマ発生手段12には、誘電体からなる円筒状のプラズマ発生室12aが設けられており、プラズマ発生室12aの一端は、開孔11aを覆うようにして処理容器11の天井に気密に接続されている。プラズマ発生室12aの他端には、反応性ガスを導入するための開孔が設けられたノズルプレート12bが気密に設けられている。
【0067】
そして、ノズルプレート12bの開孔には、流路の開閉、反応性ガスの圧力や流量の制御などを行うための制御手段12c1〜12c3(例えば、電磁弁のような開閉弁、減圧弁、マスフローコントローラのような流量制御弁など)が3系統設けられている。
そして、制御手段12c1〜12c3には、高圧ボンベなどの反応性ガス供給手段12d1〜12d3がそれぞれ接続されている。また、プラズマ発生室12aの周囲には、コイル12eが設けられ、コイル12eには高周波電源12fが接続されている。
【0068】
ここで、反応性ガス供給手段12d1〜12d3からは、それぞれ異なる種類のガスを供給可能とすることができる。例えば、反応性ガス供給手段12d1〜12d3が高圧ボンベなどの場合には、それぞれに異なる種類の反応性ガスを収納し、各工程における処理条件などに応じて適宜供給するようにすることができる。
【0069】
この場合、反応性ガス供給手段12d1からはCF4ガス、反応性ガス供給手段12d2からは水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)、反応性ガス供給手段12d3からは酸素(O2)ガスを供給するようにすることができる。
【0070】
そして、反応性ガス供給手段12d1〜12d3から各反応性ガスを適宜選択して供給することで、例えば、プラズマ発生室12aに酸素(O2)ガスとCF4ガスの混合ガスを供給したり、酸素(O2)ガスや水素原子を含んだガス(例えば、水素ガスやアンモニア(NH3)ガス、水素ガスと不活性ガスなどとの混合ガスなど)を供給したりすることができるようになっている。
【0071】
そのため、前述したような各工程における反応性ガスが異なるものであっても、反応性ガスの種類を適宜選択して対応することができるようになっている。
尚、3系統の制御手段、反応性ガス供給手段を例示したが、これに限定されるわけではなく系統数は適宜変更することもできる。また、反応性ガスの種類も例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。この場合、複数の反応性ガス供給手段(例えば、複数の高圧ボンベなど)に同種類のガスを収納することもできるし、予め混合された混合ガスを収納することもできる。
なお、図7と同様の部分には同じ符号を付した。
【0072】
図9は、本発明の第5の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式断面図である。
本実施の形態においては、シリコン基板1を収納し、また、アッシング装置10にシリコン基板1を供給するための供給装置20が設けられている点が異なる。そのため、アッシング装置10に関する説明は省略する。尚、図9に例示をしたものは、1系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものであるが、例えば、図8に例示をしたように、複数系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものとすることもできる。
【0073】
供給装置20には、シリコン基板1の搬送、受け渡しを行うための搬送装置21、シリコン基板1を収納するための収納装置22、フレーム23などが設けられている。搬送装置21には、関節を有するアーム21aが設けられ、アーム21aの先端には、シリコン基板1を載置、保持可能な図示しない保持手段が設けられている。また、アーム21aが備えられるアーム基台21cは移動手段21bと接続されており、アーム基台21cは図9の紙面と垂直な方向に移動可能となっている。そのため、アーム21aを屈曲させるようにして伸縮させ、シリコン基板1をアーム21aの先端に載置、保持し、その状態のまま図9の紙面と垂直な方向に移動可能となっている。また、図示しないシリコン基板1の回転方向や上下方向の位置を調整する手段や、アーム21aの基部を回転させてアーム21aの方向を変換させる手段を設けるようにすることもできる。
【0074】
収納装置22は、アッシング処理前、アッシング処理済みのシリコン基板1を収納するためのものであり、例えば、シリコン基板1を積層状(多段状)に収納可能なウェーハキャリアなどを例示することができる。具体的には、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われるシリコン基板1の搬送、保管を目的とした正面開口式キャリアであるFOUP( Front-Opening Unified Pod ) などを挙げることができる。また、収納装置22の下方にはキャリアスタンド22bが設けられ、キャリアスタンド22bの前面には収納装置22の正面にある扉を開閉するための開閉装置22cが設けられている。
【0075】
フレーム23は、箱状を呈し、その内部には搬送装置21、開閉装置22cが設けられている。また、収納装置22の正面とフレーム23の内部とが連通可能となるように、図示しない開孔が設けられている。そして、アッシング装置10の開閉扉14と対向する部分には搬入搬出口23aが設けられ、搬入搬出口23aを通してシリコン基板1の搬入搬出ができるようになっている。尚、搬入搬出口23aに図示しない開閉扉を設けるようにすることもできる。
【0076】
フレーム23の天井部分には、フィルタ23bと送風ファン23cとが設けられている。そのため、送風ファン23cによりフィルタ23bを介して外気をフレーム23の内部に導入させることができる。その結果、フレーム23の内部の圧力を高めることができ、フレーム23内へパーティクルなどが侵入することを抑制することができる。
【0077】
次に、供給装置20の作用について説明をする。
まず、搬送装置21のアーム基台21cを所定の収納装置22の正面まで移動させる。尚、収納装置22の扉は開閉装置22cにより開かれている。次に、アーム21aを屈曲させるようにして収納装置22の方向に伸ばし、アッシング処理前のシリコン基板1を受け取る。そして、アーム21aを屈曲させるようにして縮め収納装置22からシリコン基板1を取り出す。
次に、アーム21aを180°回転させ、その向きをアッシング装置10の方向に向ける。尚、その際、アッシング装置10の開閉扉14と対向する位置にアーム基台21cの位置が適宜調整される。
【0078】
次に、アーム21aを屈曲させるようにしてアッシング装置10の方向に伸ばし、シリコン基板1を開孔11bから処理容器11の内部に搬入し、載置台17に載置する。
アッシング処理済みのシリコン基板1を収納装置22に収納する場合には、前述と逆の手順によりアッシング装置10から収納装置22にシリコン基板1を搬送、収納する。この際、アッシング処理前のシリコン基板1が収納されていた場所に、アッシング処理済みの同じシリコン基板1が収納されるようになっている。
本実施の形態においては、先に説明した実施の形態にて有する作用効果に加え、供給装置20が設けられているので効率的なアッシングを行うことができ、生産性を向上させることができる。
【0079】
図10は、本発明の第6の実施の形態に係るアッシング装置を例示するための模式平面図である。
また、図11は、塗布装置を例示するための模式断面図であり、図12は、アッシングのみを行う除去装置を例示するための模式断面図である。
【0080】
図10に示すように、アッシング装置100には、シリコン基板1の表面に塗布溶液を供給して塗布を行う塗布装置10aと、アッシングのみを行う除去装置10bと、シリコン基板1を収納し、また、塗布装置10aと除去装置10bにシリコン基板1を供給するための供給装置20aとが備えられている。
【0081】
図11に示すように、塗布装置10aは、塗布溶液を供給して塗布のみを行う。そのため、プラズマ発生手段12が設けられていない点を除けば、図7で説明をしたアッシング装置10と同様のため、同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。また、処理容器110aに関しても、開孔11aが設けられていない点を除けば処理容器11と同様なのでその説明は省略する。尚、塗布を大気圧下で行う場合には、開孔11c、開閉手段15、図示しない排気手段を設けないようにすることもできる。
【0082】
図12に示すように、除去装置10bは、塗布を行わずにアッシングのみを行う。そのため、塗布手段13、開閉手段16が設けられていない点を除けば、図7で説明をしたアッシング装置10と同様のため、同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
また、処理容器110bに関しても、開孔11dが設けられていない点を除けば処理容器11と同様なのでその説明は省略する。尚、載置台17の載置面(シリコン基板1が載置される面)と対向する側の面には、支持体17cの一端が固着され、支持体17cの他端は処理容器110bの底面に固着されている。また、図10、図12に例示をしたものは、1系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものであるが、例えば、図8に例示をしたように、複数系統の制御手段、反応性ガス供給手段を備えたものとすることもできる。
【0083】
また、供給装置20aは、塗布装置10aと除去装置10bとを設けた関係上、搬入搬出口23aが2箇所となった点を除けば、図9で説明をした供給装置20と同様なのでその説明は省略する。
また、アッシング装置100の作用についても、塗布装置10aと除去装置10bとを設けた関係上、塗布とアッシングが別々の装置で行われ、搬入搬出先が2箇所となる他は、図7、図9で説明をしたものと同様のためその説明は省略する。
【0084】
本実施の形態においては、さらに塗布工程とアッシング工程とを並行して行うことができるので生産性を向上させることができる。
尚、塗布工程とアッシング工程との間に乾燥工程を設ける場合においては、塗布装置10a、除去装置10bの外部にバッファ装置(例えば、多段のウェーハキャリアなど)などを設けることで、塗布装置10a、除去装置10bの停止時間(待機時間)を減少させて生産効率を向上させることもできる。
【0085】
また、説明の便宜上、塗布をスピンコート法で説明をしたが、これに限定されるわけではなく、例えば、スプレーコート法、ディップコータ法 、スリットダイコータ法、カーテンコータ法、ロールコータ法、インクジェット法などの各種の塗布方法を適用させることができる。この場合、塗布対象物(例えば、シリコン基板1)と塗布手段(例えば、ノズルやインクジェットヘッドなど)との相対的な位置関係を変えながら(例えば、回転、平行移動、揺動、往復など)塗布を行うこともできるし、塗布することができる範囲が広い塗布手段(例えば、広角ノズルなど)を用いて両者の位置関係を変えずに塗布を行うこともできる。
また、説明の便宜上、本発明の実施の形態に係るアッシング方法、アッシング装置をシリコン基板におけるもので説明をしたが、これに限定されるわけではない。例えば、液晶表示装置の製造におけるパターンのエッチング後のアッシング、位相シフトマスクの製造におけるパターンのエッチング後のアッシング、太陽電池の製造における反射防止膜のエッチング後のアッシングなどにおいて、レジスト表面に形成された変質層、硬化層などを有するレジストの除去にも適応が可能である。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0087】
例えば、アッシング装置10、供給装置20、アッシング装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、基板1は、シリコンウェーハには限定されず、その他、各種の化合物半導体からなる基板であってもよく、または、酸化シリコンなどの絶縁基板の表面に半導体層が形成されたものなどであってもよい。
【0088】
また、例示をしたアッシング方法における反応性ガス、その成分比、圧力、温度などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0089】
1 シリコン基板、1a 酸化層、2 イオン注入層、3 未変質層、4 変質層、4a 破片、5 塗布膜、10 アッシング装置、10a 塗布装置、10b 除去装置、10c アッシング装置、12 プラズマ発生手段、13 塗布手段、18 カップ、20 供給装置、100 アッシング装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入により表面に形成された変質層とその下の未変質層とを有するレジストを除去するアッシング方法であって、
基板の前記レジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成し、前記レジストと前記塗布膜とを反応性ガスを用いたプラズマ処理により除去すること、を特徴とするアッシング方法。
【請求項2】
高分子材料を溶媒で溶解させた塗布溶液を前記レジストが形成された面に供給することで前記塗布膜を形成すること、を特徴とする請求項1記載のアッシング方法。
【請求項3】
前記塗布膜における前記反応性ガスのプラズマに対する耐性が、前記変質層における前記耐性と同等またはそれより低いこと、を特徴とする請求項1または2記載のアッシング方法。
【請求項4】
前記プラズマ処理は、シリコン基板に対する損傷が少なく、かつ、酸化層が形成されにくいガスを前記反応性ガスとして用いた工程と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のアッシング方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理は、酸素ガスよりもアッシングレートの高いガスを前記反応性ガスとして用いた第1の工程と、
シリコン基板に対する損傷が少なく、かつ、酸化層が形成されにくいガスを前記反応性ガスとして用いた第2の工程と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のアッシング方法。
【請求項6】
前記シリコン基板に対する損傷が少なく、かつ、酸化層が形成されにくいガスは、水素原子を含むガスであること、を特徴とする請求項4または5に記載のアッシング方法。
【請求項7】
前記アッシングレートの高いガスは、フッ素原子を有するガスであること、を特徴とする請求項5記載のアッシング方法。
【請求項8】
形成された前記塗布膜を乾燥させた後に、前記レジストと前記塗布膜とをプラズマ処理により除去すること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアッシング方法。
【請求項9】
基板のレジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成する塗布手段と、
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
プラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記プラズマに向けて反応性ガスを導入する反応性ガス供給手段と、
前記処理容器内を減圧する排気手段と、
を備えることを特徴とするアッシング装置。
【請求項10】
前記塗布手段は、前記塗布膜における前記反応性ガスのプラズマに対する耐性が、イオン注入によりレジストの表面に形成された変質層における前記耐性と同等またはそれより低くなるような高分子材料を溶媒で溶解させた塗布溶液を前記レジストが形成された面に供給可能とすること、を特徴とする請求項9記載のアッシング装置。
【請求項11】
前記基板を前記処理容器内に搬入搬出する搬送装置を備えること、を特徴とする請求項9または10記載のアッシング装置。
【請求項12】
前記塗布手段は、前記処理容器の外部に設けられ、
前記塗布手段により前記塗布膜が形成された前記基板を前記処理容器内に搬入搬出する搬送装置を備えること、を特徴とする請求項10または11記載のアッシング装置。
【請求項1】
イオン注入により表面に形成された変質層とその下の未変質層とを有するレジストを除去するアッシング方法であって、
基板の前記レジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成し、前記レジストと前記塗布膜とを反応性ガスを用いたプラズマ処理により除去すること、を特徴とするアッシング方法。
【請求項2】
高分子材料を溶媒で溶解させた塗布溶液を前記レジストが形成された面に供給することで前記塗布膜を形成すること、を特徴とする請求項1記載のアッシング方法。
【請求項3】
前記塗布膜における前記反応性ガスのプラズマに対する耐性が、前記変質層における前記耐性と同等またはそれより低いこと、を特徴とする請求項1または2記載のアッシング方法。
【請求項4】
前記プラズマ処理は、シリコン基板に対する損傷が少なく、かつ、酸化層が形成されにくいガスを前記反応性ガスとして用いた工程と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のアッシング方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理は、酸素ガスよりもアッシングレートの高いガスを前記反応性ガスとして用いた第1の工程と、
シリコン基板に対する損傷が少なく、かつ、酸化層が形成されにくいガスを前記反応性ガスとして用いた第2の工程と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のアッシング方法。
【請求項6】
前記シリコン基板に対する損傷が少なく、かつ、酸化層が形成されにくいガスは、水素原子を含むガスであること、を特徴とする請求項4または5に記載のアッシング方法。
【請求項7】
前記アッシングレートの高いガスは、フッ素原子を有するガスであること、を特徴とする請求項5記載のアッシング方法。
【請求項8】
形成された前記塗布膜を乾燥させた後に、前記レジストと前記塗布膜とをプラズマ処理により除去すること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアッシング方法。
【請求項9】
基板のレジストが形成された面を覆うように塗布膜を形成する塗布手段と、
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
プラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記プラズマに向けて反応性ガスを導入する反応性ガス供給手段と、
前記処理容器内を減圧する排気手段と、
を備えることを特徴とするアッシング装置。
【請求項10】
前記塗布手段は、前記塗布膜における前記反応性ガスのプラズマに対する耐性が、イオン注入によりレジストの表面に形成された変質層における前記耐性と同等またはそれより低くなるような高分子材料を溶媒で溶解させた塗布溶液を前記レジストが形成された面に供給可能とすること、を特徴とする請求項9記載のアッシング装置。
【請求項11】
前記基板を前記処理容器内に搬入搬出する搬送装置を備えること、を特徴とする請求項9または10記載のアッシング装置。
【請求項12】
前記塗布手段は、前記処理容器の外部に設けられ、
前記塗布手段により前記塗布膜が形成された前記基板を前記処理容器内に搬入搬出する搬送装置を備えること、を特徴とする請求項10または11記載のアッシング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−235130(P2012−235130A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134366(P2012−134366)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2008−154177(P2008−154177)の分割
【原出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2008−154177(P2008−154177)の分割
【原出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
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