説明

アリル基を含むポリエーテルウレタン

本発明は、モノ−および/またはポリアリル−ポリエーテル−ウレタン、重合により導入された上記ポリエーテル−ウレタンを含む水溶性もしくは水分散性ポリマー、ならびに、モノ−および/またはポリアリル−ポリエーテル−ウレタンに基づく水溶性もしくは水分散性ポリマーを含む化粧用または医薬用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノ−および/またはポリアリル−ポリエーテル−ウレタン、共重合した形態の上記ポリエーテル−ウレタンを含む水溶性もしくは水分散性ポリマー、ならびに、モノ−および/またはポリアリル−ポリエーテル−ウレタンに基づいた水溶性もしくは水分散性ポリマーを含む化粧用または医薬用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品および医薬品として許容される水溶性または水分散性ポリマーは、化粧品および医薬品の分野で広く用いられている。これらは、例えば、各種の製剤(例:ゲル、クリームもしくは乳濁液)のための増粘剤としてごく一般的に用いられている。これらの用途のために、アニオン官能基を有する枝分れ、または架橋した水溶性ポリマー、例えば、架橋ポリアクリル酸がよく用いられている。特に、毛髪用化粧品の場合、毛髪の乾燥および濡れた状態でのクシ通り、手ざわり、光沢および/または外観を改善し、さらにまた、毛髪に帯電防止性を付与するために、皮膜形成能を有する架橋ポリマーがコンディショナーとして用いられている。前記のカルボキシレート含有ポリマーと同様によく用いられるコンディショナーは、毛髪の表面(その構造のために負電荷を帯びている)に対して親和性が高いカチオン官能基を有する架橋ポリマーである。このようなポリマーには、例えば、N-ビニルピロリドン、四級化N-ビニルイミダゾール、アクリルアミドおよびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)の架橋コポリマーが含まれる。
【0003】
複雑な効能のプロフィールを有する生成物の提供は往々にして困難を伴う。例えば、化粧用および医薬用組成物に関して現在要求されているのは、不活性の物質(増粘剤など)の比率を可能な限り低く維持することである。従って、第1に、優れた皮膜形成能を有し、その上、望ましい方法で製剤の流動性に影響を与えるのに好適な化粧用および医薬用組成物のポリマー(いわゆる自己増粘性毛髪用ポリマー)が求められている。加えて、消費者からの化粧品および医薬品に対する審美的要求もますます高まっている。例えば、そのような製品の場合、ゲルの形態をした透明な製剤に対する嗜好が現在見られる。しかしながら、これに関連して、従来の技術から知られる低分子量架橋剤に基づく化粧品および医薬品として許容されるポリマーは、一般に少なくとも1つの性能特性に関して改善の必要があることがわかっている。
【0004】
例えば、これらのポリマーは、水への溶解性または皮膜形成能のいずれかが不十分であることを特徴とするか、もしくは透明ゲルを形成するための適性に欠けている。従って、このような問題点を回避する、化粧品および医薬品に適合性の、好ましくは枝分れまたは架橋した水溶性ポリマーが求められる。
【0005】
WO 99/58100には、末端イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーと、イソシアネート基に対して反応性の基を有する少なくとも1種のポリマーから得られる少なくとも1種の架橋した、水溶性または水分散性ポリウレタンを含む化粧用組成物であって、上記成分の少なくとも1つがシロキサン基を含む上記化粧用組成物が記載されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、新規の水溶性または水分散性ポリマーであって、同様に水溶性または水分散性の化粧品および/または医薬品として許容されるポリマーを製造するためのポリマー成分を提供することである。これらのポリマー成分を用いて得られたポリマーは、好ましくは優れた水溶性と優れた皮膜形成能を有し、ゲルの形態をした製品の製造に適すると考えられる。
【0007】
本発明者らは、この目的が、ポリマー主鎖上に少なくとも1個の末端アリル基を有するポリエーテル−ウレタンにより達成されることを見出した。
【0008】
本発明は従って、少なくとも1個のアリル基を含むポリエーテル−ウレタンであって、組み込まれた形態で、
a)イソシアネート基に対して反応性の基と、アリル基とを含む少なくとも1種のポリエーテルと、
b)任意に、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2個の基を含む少なくとも1種の化合物と、
c)少なくとも1種のポリイソシアネート
を含んでなる、上記ポリエーテル−ウレタンを提供する。
【0009】
本発明の目的のために、アルキルという用語は、直鎖および枝分れしたアルキル基を含む。好適な短鎖アルキル基は、例えば、直鎖または枝分れしたC1-C8-アルキル基、好ましくはC1-C6-アルキル基および特に好ましくは、C1-C4-アルキル基である。これらには、特に以下のものが含まれる:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、オクチルなど。
【0010】
好適な長鎖C8-C30-アルキルまたはC8-C30-アルケニル基は、直鎖および枝分れしたアルキルまたはアルケニル基である。好ましくは、これらは、天然または合成脂肪酸および脂肪アルコール、ならびにまたオキソアルコールにも存在するように、主として直鎖アルキル基であり、任意に、さらに一価、二価もしくは多価不飽和のものでもよい。これらには、例えば、n-ヘキシル(ヘキシレン)、n-ヘプチル(ヘプチレン)、n-オクチル(オクチレン)、n-ノニル(ノニレン)、n-デシル(デシレン)、n-ウンデシル(ウンデシレン)、n-ドデシル(ドデシレン)、n-トリデシル(トリデシレン)、n-テトラデシル(テトラデシレン)、n-ペンタデシル(ペンタデシレン)、n-ヘキサデシル(ヘキサデシレン)、n-ヘプタデシル(ヘプタデシレン)、n-オクタデシル(オクタデシレン)、n-ノナデシル(ノナデシレン)などが含まれる。
【0011】
シクロアルキルは、好ましくは、C5-C8-シクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチルである。
【0012】
アリールは、非置換および置換アリール基を含み、好ましくは、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニルであり、特に、フェニル、トリル、キシリルもしくはメシチルである。
【0013】
本発明のポリエーテル−ウレタンの好適な実施形態は、ポリエーテル鎖を介してポリマー主鎖に結合した1つのアリル基(-CH2-CH=CH2)を有するモノアリル−ポリエーテル−ウレタンである。別の好適な実施形態は、ポリエーテル鎖を介してポリマー主鎖に結合した少なくとも2個のアリル基を有するポリアリル−ポリエーテル−ウレタンを包含する。これはまた、様々なアリル基含量の化合物の混合物、例えば、少なくとも1種のモノアリル−ポリエーテル−ウレタンと少なくとも1種のポリアリル−ポリエーテル−ウレタンを含む混合物を意味するものとしても理解される。
【0014】
以後、本文で、アクリル酸とメタクリル酸から誘導することができる化合物は、アクリル酸から誘導した化合物に音節「(メタ)」を付けることにより、短縮した形で呼ぶこともある。
【0015】
本発明のポリアリル−ポリエーテル−ウレタンに基づくポリマーは、標準的な条件(20℃)下でゲルとして有利に製剤化することができる。「ゲル様稠度」は、液体より粘度が高く、自己支持性(すなわち、形状安定化皮膜がなくても、付与された形状を保持する)の組成物により示される。しかし、固体製剤とは対照的に、ゲル様製剤はせん断力が加わると簡単に変形することがある。ゲル様組成物の粘度は、600以上で、約60,000 mPasまでの範囲にあるのが好ましい。ゲルは、6,000〜30,000 mPasの粘度を有するヘアジェルであるのが好ましい。
【0016】
本発明の目的のためには、水溶性モノマーおよびポリマーは、20℃において水に少なくとも1g/lの量で溶解するモノマーおよびポリマーを意味するものとして理解される。親水性モノマーは、水溶性または少なくとも水分散性である。水分散性ポリマーは、せん断力の下で、例えば、撹拌することにより分散性の粒子に崩壊するポリマーを意味するものとして理解される。本発明のポリアリル−ポリエーテル−ウレタンに基づく架橋コポリマーは、水溶性であるのが好ましい。
【0017】
本発明のポリアリル−ポリエーテル−ウレタンは、成分a)として、少なくとも1種のポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(アリルアルコールとポリエーテルジオールのエーテル)を含む。成分a)として好適なポリアルキレングリコールモノアリルエーテルは一般に、約150〜10,000、好ましくは300〜5,000、特に好ましくは500〜4,000の範囲の数平均分子量を有する。ポリアルキレングリコール基は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフランおよびアルキレンオキシドコポリマーから誘導することができる。成分a)の化合物を製造するのに適した方法(例えば、アリルアルコール、ハロゲン化アリルもしくはアリルグリシジルエーテルから出発する)は、当業者には周知である。このような生成物は、例えば、BASF Aktiengesellschaftから Pluriol(登録商標)A 010RおよびPluriol(登録商標)A 011Rの商品名で市販されている。成分a)として、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、1,2-および2,3-ブチレンオキシドから選択される、少なくとも1種のアルキレンオキシドを共重合形態で含む、アリルアルコールアルコキシレートを用いるのが好ましい。アリルアルコールアルコキシレートは、ランダム分布の、もしくはブロックの形の、様々なアルキレンオキシド単位を共重合形態で含むことができる。アリルアルコールエトキシレートまたはエチレンオキシドを含むコポリマー、特に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーが好ましい。
【0018】
好ましくは、成分a)は、式IVの化合物から選択される:
CH2=CH-CH2-O-(CH2CH2O)m(CH2CH(CH3)O)n-H (IV)
(式中、
アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、mとnは0から500までの整数、mとnの和は>1である)。
【0019】
任意に、本発明のポリアリル−ポリエーテル−ウレタンは、組み込まれた形態で、
b1)1分子につき、イソシアネート基に対して反応性の基を2個含む、分子量が56〜280 g/モルの化合物、
b2)数平均分子量が約300〜5,000のポリエーテルポリオール、
b3)1分子につき、少なくとも2個の活性水素原子と少なくとも1個のシロキサン基を含む、数平均分子量が280より大きい化合物、
ならびにそれらの混合物、
から選択される少なくとも1種の化合物b)を含む。
【0020】
好適な化合物b1)は、例えば、ジオール、ジアミン、アミノアルコール、ならびにそれらの混合物である。これら化合物の分子量は、約56〜280の範囲にあるのが好ましい。所望であれば、該化合物の3モル%までを、トリオールまたはトリアミンで置き換えてもよい。
【0021】
好適なジオールb1)は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメチロール、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−もしくはヘキサエチレングリコール、ならびにそれらの混合物である。ネオペンチルグリコールおよび/またはシクロヘキサンジメチロールを用いるのが好ましい。
【0022】
好適なアミノアルコールb1)は、例えば、2-アミノエタノール、2-(N-メチルアミノ)エタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、1-エチルアミノブタン-2-オール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、4-メチル-4-アミノペンタン-2-オールなどである。
【0023】
好適なジアミンb1)は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタンおよび1,6-ジアミノヘキサンである。
【0024】
成分b2)は、数平均分子量が400〜4,000、特に500〜3,000の範囲にあるポリエーテルポリオールが好ましい。好ましいポリマーb2)は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフランなど、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、もしくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドのブロックコポリマー(これらは、ランダム分布またはブロック形態のアルキレンオキシド単位を共重合形態で含んでもよい)である。好適なポリテトラヒドロフランb2)は、酸性触媒(例えば、硫酸またはフルオロ硫酸)の存在下で、テトラヒドロフランのカチオン重合により製造することができる。このような製造方法は、当業者には周知である。
【0025】
化合物b3)は、以下のものから選択するのが好ましい:
−式I.1のポリシロキサン:
【化1】

【0026】
(式中、
aおよびbは、互いに独立に、1〜8であり、
cは、2〜100であり、
R1およびR2は、互いに独立に、C1-C8-アルキル、ベンジルもしくはフェニルであり、
Z1およびZ2は、互いに独立に、OH、NHR3もしくは式IIの基:
-(CH2CH2O)v(CH2CH(CH3)O)w-H (II)
であるが、式IIにおいて、アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
vおよびwは、互いに独立に、0から200までの整数であるが、その際、vとwの和は>0であり、
R3は、水素、C1-C8-アルキルもしくはC5-C8-シクロアルキルである);
【0027】
−式I.2のポリシロキサン:
【化2】

【0028】
(上記式中、
シロキサン単位の順序は任意であり、
基R4は各々、互いに独立に、C1-C8-アルキル、好ましくは、メチル、ベンジルもしくはフェニルであり、
dは、5から1,000までの整数であり、
eは、2から100までの整数であり、
fは、2から8までの整数であり、
Z3は、OH、NHR3(R3は先に定義した通り)、もしくは式IIIの基:
-(OCH2CH2)x(OCH(CH3)CH2)y-OH
であるが、式IIIにおいて、アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
xおよびyは、互いに独立に、0から200までの整数であるが、その際、xとyの和は>0である)、
ならびにそれらの混合物。
【0029】
好適な実施形態によれば、式I.1のポリシロキサンb3)は、式IIのアルキレンオキシド基を含まない。したがって、これらのポリシロキサンb3)は、数平均分子量が約300〜5,000、好ましくは400〜3,000の範囲にあるのが好ましい。
【0030】
アルキレンオキシド基を含まない好適なポリシロキサンb3)は、例えば、Goldschmidt製のテゴマー(Tegomer)(登録商標)製品である。
【0031】
別の好適な実施形態によれば、ポリシロキサンb3)は、式I.1のシリコーン−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーであり、基Z1および/またはZ2の少なくとも一方、好ましくは両方が式IIの基である。
【0032】
好ましくは、式IIにおいて、vとwの和は、ポリシロキサンb3)の分子量が約300〜30,000の範囲にあるように選択する。
【0033】
ポリシロキサンb3)のアルキレンオキシド単位の合計数、すなわち、式IIのvとwの和は、約3〜200、好ましくは5〜180の範囲にあるのが好ましい。
【0034】
別の好適な実施形態によれば、ポリシロキサンb3)は、式I.2のシリコーン−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーであり、これは、式IIIの基Z3を少なくとも2個有する。
【0035】
したがって、式IIIでは、好ましくはxとyの和は、ポリシロキサンb3)の分子量が約300〜30,000の範囲内にあるように選択する。ポリシロキサンb3)のアルキレンオキシド単位の合計数、すなわち、式IIIのxとyの和は、約3〜200、好ましくは5〜180の範囲にあるのが好ましい。
【0036】
例えば、国際一般名ジメチコーン(dimethicone)で知られる好適なシリコーン−ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーb3)は、Goldschmidt製のテゴプレン(Tegopren)(登録商標)製品、Wacker製のベルシル(Belsil)(登録商標)6031および6032、Witco製のシルベト(Silvet)(登録商標)L、ならびにBASF Aktiengesellschaft製のPluriol(登録商標)ST 4005である。
【0037】
EP-A-277 816に記載されているポリジメチルシロキサンも、好適なポリシロキサンb3)である。
【0038】
好適なポリイソシアネートc)は、2〜5個のイソシアネート基を有する化合物、平均数2〜5個のイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマー、ならびにそれらの混合物から選択される。これらには、例えば、脂肪族、脂環式および芳香族ジ−、トリ−およびポリイソシアネートが含まれる。好適なジイソシアネートは、例えば、以下のものである:テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物(例:80%の2,4-異性体と20%の2,6-異性体)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート。好適なトリイソシアネートは、例えば、トリフェニルメタン4,4’,4”-トリイソシアネートである。また、多官能性ヒドロキシルまたはアミン基含有化合物に前記のイソシアネートを付加することにより得られるイソシアネートプレポリマーおよびポリイソシアネートも好適である。さらに、ビウレットまたはイソシアヌレート形成によって生じるポリイソシアネートも好適である。脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート、ならびに、特にヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびそれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0039】
ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンは、成分a)、および存在する場合にはb)の化合物を、成分c)と反応させることにより製造する。その際の温度は、約30〜140℃、好ましくは約40〜100℃の範囲である。この反応は、溶剤を用いずに、あるいは好適な不活性溶剤または溶剤混合物中で実施することができる。好適な溶剤として、非プロトン性極性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ならびに、好ましくはケトン、例えば、アセトンおよびメチルエチルケトンが挙げられる。反応は、不活性ガスの雰囲気下、例えば、窒素下で行なうのが好ましい。さらに、反応は、周囲圧または高圧下で実施するのが好ましい。
【0040】
成分間の反応は、本発明のポリエーテル−ウレタンが、少なくとも1個、またはポリアリル−ポリエーテル−ウレタンの場合には少なくとも2個、の末端アリル基を有するように実施する。成分b)の化合物を用いる場合には、最初に化合物a)およびc)からNCO基含有プレポリマーを製造した後、最終的にこれを化合物b)と反応させるのがよい。
【0041】
有利なことに、上記工程が適切に実施されれば、本発明のポリエーテル−ウレタンを製造する際、有機、および特に、有機水不混和性溶剤を用いずに済ませる、もしくはその使用量を顕著に低減させることが可能である。これは、多くの化粧品および医薬品用途では、生成物の製剤化の前に溶剤を除去しなければならないため、有利である。
【0042】
従って、本発明は、少なくとも1個のアリル基を含むポリエーテル−ウレタンの製造方法を提供するものであって、該ポリエーテル−ウレタンは、組み込まれた形態で、
a)イソシアネート基に対して反応性の基とアリル基を含む、少なくとも1種のポリエーテルと、
b)任意に、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2個の基を含む、少なくとも1種の化合物と、
c)少なくとも1種のポリイソシアネート、
を含み、該方法においては、
i)第1段階で、化合物a)と、任意に化合物b)の一部と、ポリイソシアネートc)の少なくとも一部を反応させるが、その際、溶剤は添加せず、少なくとも60℃の温度で、イソシアネート基の当量と、イソシアネート基に対して反応性の基の当量の比を1.5:1から2.2:1の範囲にして、この反応により、イソシアネート基含有プレポリマーを取得し、
ii)第2段階で、段階i)で取得したプレポリマーを、段階i)でまだ用いていない化合物b)およびc)と反応させることにより、ポリエーテル−ウレタンを取得する。
【0043】
好ましくは、段階i)で、ガラス転移温度TGが100℃以下、好ましくは、60℃以下のプレポリマーが得られる。
【0044】
段階i)の反応は、プレポリマーのガラス転移温度より高い温度で実施するのが好ましい。
【0045】
第1の実施形態では、段階ii)で用いられる化合物b)は、イソシアネート基に対して反応性の基としてヒドロキシル基を有し、溶剤を添加せずに反応を実施する。
【0046】
第2の実施形態では、段階ii)で用いられる化合物b)は、イソシアネート基に対して反応性の基として一級または二級アミノ基を有し、プロトン性極性溶媒の存在下で反応を実施する。
【0047】
前記成分は、得られるアリル−ポリエーテル−ウレタンが遊離NCO基を実質的に含まないような量で用いる。成分c)の化合物のNCO当量と、成分a)、および存在する場合にはb)の活性水素原子の当量の比は、1:1.01から1:3、好ましくは1:1.1から1:2.5、特に1:1.2から1:2.2の範囲にあるのが好ましい。必要であれば、アリル−ポリエーテル−ウレタンにまだ存在するすべての遊離イソシアネート基は、アミン、好ましくはアミノアルコールと、あるいは、C2-C4-アルコール、例えば、エタノール、n-プロパノールもしくはイソプロパノールと、後で反応させることにより不活性化することができる。
【0048】
好適なアミンおよびアミノアルコールは、成分b1)として上に挙げたものであり、好ましくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールである。
【0049】
本発明のアリル−ポリエーテル−ウレタンは、好ましくは1〜40個、特に好ましくは2〜25個のアリル基を有する。具体的な実施形態としてモノアリル−ポリエーテル−ウレタンが挙げられる。別の具体的な実施形態としては、2個のアリル基を有するポリアリル−ポリエーテル−ウレタンが挙げられる。上記の実施形態は、枝分れまたは架橋の程度が低い水溶性もしくは水分散性コポリマーの製造に有利に適している。さらに別の具体的な実施形態として、3〜40個、好ましくは4〜25個のアリル基を有するポリアリル−ポリエーテル−ウレタンが挙げられる。これらは、枝分れまたは架橋の程度が幾分高い水溶性もしくは水分散性コポリマーの製造に有利に適している。
【0050】
アリル−ポリエーテル−ウレタンの数平均分子量は、好ましくは約300〜25,000、特に好ましくは400〜10,000である。
【0051】
特に好ましいものは、組み込まれた形態で、
a)40〜98重量%、好ましくは80〜96重量%の、数平均分子量が400〜4,000のアリルアルコールエトキシレートと、
b)0〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の、分子量が56〜280g/モルの範囲にある少なくとも1種のジオールと、
c)2〜40重量%、好ましくは4〜20重量%の、少なくとも1種のジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネート、
を含む、アリル−ポリエーテル−ウレタンである。
【0052】
また、特に好ましいものは、組み込まれた形態で、
a)50〜90重量%の、数平均分子量が400〜4,000のアリルアルコールエトキシレートと、
b)1〜30重量%の、数平均分子量が300〜5,000の範囲にあるポリエーテルポリオールおよび/または数平均分子量が3,000〜20,000の範囲内にあるアルコキシル化ポリジメチルシロキサンと、
c)2〜49重量%、好ましくは3〜30重量%の、少なくとも1種のジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネート、
を含む、アリル−ポリエーテル−ウレタンである。
【0053】
本発明のポリエーテル−ウレタンは、化粧品および/または医薬品として許容される水溶性(または少なくとも水分散性)の直鎖、枝分れもしくは架橋ポリマーの製造に有利に適している。本発明の水溶性または水分散性ポリマーは、ごく一般的には、本発明のポリエーテル−ウレタンと、少なくとも1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を有する化合物との遊離基共重合の生成物を包含する。その場合、上記コポリマーは、ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンが1個、2個、もしくは存在すれば2個より多いそのアリル基を介して共有結合しているものでありうる。しかしまた、アリル−ポリエーテル−ウレタンのポリエーテル鎖へのα,β-エチレン性不飽和化合物の少なくとも部分的なグラフトによる工程生成物である、遊離アリル基をまだ有するコポリマー、エチレン性不飽和化合物のホモ−およびコポリマーとアリル−ポリエーテル−ウレタンとの混合物、ならびに前記成分のあらゆる混合物も包含される。本発明のアリル−ポリエーテル−ウレタンに基づくポリマーは、低分子量架橋剤に基づくポリマー(例:ジアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、トリアリルアミンなど)と比較して、また、少なくとも2個のビニル基を有する高分子量架橋剤に基づくポリマーと比較しても、有利な特性を有する。従って、慣用方法で架橋されたポリマーと比較して、ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンに基づいたポリマーは、水溶性が向上し、優れた流動学的(増粘)性質、高い柔軟性、優れた皮膜形成能および/または透明なゲルを形成する能力を有する。
【0054】
本発明はさらに、共重合形態で、少なくとも1種のポリアリル−ポリエーテル−ウレタン(すでに定義した通り)と、少なくとも1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1種の遊離基重合性化合物を含む、水溶性または水分散性ポリマーを提供する。
【0055】
本発明の水溶性または水分散性ポリマーは好ましくは、重合に用いる成分の合計重量に基づき、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは2〜20重量%の少なくとも1種のポリアリル−ポリエーテル−ウレタンを共重合形態で含む。
【0056】
好ましくは、ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンに加えて、上記ポリマーは、少なくとも1種の遊離基重合性親水性ノニオン化合物M1)を共重合形態で含む。
【0057】
本発明の水溶性または水分散性ポリマーは、重合に用いる成分の合計重量に基づき、好ましくは、50〜99重量%、特に好ましくは60〜98重量%、具体的には70〜95重量%の少なくとも1種の遊離基重合性ノニオン化合物M1)を共重合形態で含む。
【0058】
好ましくは、遊離基重合性ノニオン化合物M1)は、以下のものから選択される:α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミド、N-ビニルラクタム、飽和モノカルボン酸のN-ビニルアミド、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸とC2-C4-アルカンジオールとのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸と一級または二級アミノ基を有するC2-C4-アミノアルコールとのエステルおよびアミド、ビニルエステル、ノニオン親水性ビニル−およびアリル−置換複素環式化合物、ならびにそれらの混合物。
【0059】
ノニオンモノマーM1)として好適なα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミドは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、エタクリルアミド、ならびにそれらの混合物である。アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドが好ましい。
【0060】
好ましい親水性ノニオンモノマーM1)は、N-ビニルラクタムと、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどのC1-C6-アルキル置換基を1個以上含みうるそれらの誘導体である。これらは例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタムなどを包含する。N-ビニルピロリドンおよび/またはN-ビニルカプロラクタムが好ましい。
【0061】
親水性ノニオンモノマーM1)として好適なN-ビニルアミドは、例えば、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニルブチルアミド、ならびにそれらの混合物である。N-ビニルホルムアミドを用いるのが好ましい。
【0062】
好適な親水性ノニオンモノマーM1)はまた、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸などとC1-C4-アルカンジオールとのエステルである。これらの例として、以下のものが挙げられる:2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルエタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレートなど。ヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートを用いるのが好ましい。また、前記酸と、トリオールおよびポリオール、例えば、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ソルビトールなどとのエステルも好適なモノマーである。
【0063】
好ましくは、水溶性または水分散性ポリマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ノニオン化合物M1)を共重合形態で含む。
【0064】
好ましくは、本発明の水溶性または水分散性ポリマーは、少なくとも1種のポリアリル−ポリエーテル−ウレタンと少なくとも1種の遊離基重合性親水性ノニオン化合物M1)に加えて、1分子につき1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合と少なくとも1個のイオノゲン性および/またはイオン性基を含む少なくとも1種の遊離基重合性化合物M2)を共重合形態で含む。
【0065】
本発明のポリマーは、重合に用いる成分の合計重量に基づき、多くとも25重量%、特に好ましくは1〜20重量%、特に2〜15重量%の、1分子につき少なくとも1個のイオノゲン性および/またはイオン性基を含む少なくとも1種のモノマーM2)を共重合形態で含むのが好ましい。
【0066】
イオノゲン性またはイオン性基は、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基および/またはホスホン酸基ならびにそれらの塩(塩基による部分的または完全な中和により得られる)、およびアミノ基(部分的または完全にプロトン化および四級化されていてもよい)から選択される。
【0067】
好ましくは、アニオノゲン性/アニオン性基を有するモノマーM2)は、モノエチレン性不飽和カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ならびにそれらの塩および混合物から選択される。これらには、3〜25個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸が含まれるが、これらをその塩または無水物の形態で用いることもできる。これらの例として、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸およびフマル酸が挙げられる。これらには、4〜10個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸、の半エステル(例:マレイン酸モノメチルエステル)も含まれる。また、これらは以下のものも含む:モノエチレン性不飽和スルホン酸およびホスホン酸、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸スルホエチル、メタクリル酸スルホエチル、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホプロピル、2-ヒドロキシ-3-アクリルオキシプロピルスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸およびアリルホスホン酸、ならびにこれらの酸の塩、特に、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩。アニオノゲン性/アニオン性基を含むモノマーは、単独で、もしくは互いの混合物として用いることができる。記載した重量比率はすべて、酸形態に関するものである。
【0068】
本発明の水溶性または水分散性ポリマーを製造する場合、アニオノゲン性/アニオン性基を有するモノマーを使用するのが好ましいが、これらのモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0069】
アニオノゲン性/アニオン性基を有するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、ならびにアクリル酸および/またはメタクリル酸を含む混合物から選択するのが特に好ましい。
【0070】
別の実施形態によれば、イオノゲン性/イオン性基を有するモノマーM2)は、カチオノゲン性/カチオン性基を含むモノマーである。
【0071】
カチオノゲン性/カチオン性基は、好ましくは、窒素含有基、例えば、一級、二級および三級アミノ基、さらにまた四級アンモニウム基である。窒素含有基は、三級アミノ基または四級アンモニウム基であるのが好ましい。荷電カチオン性基は、例えば、カルボン酸(例えば、乳酸)または無機酸(例えば、リン酸、硫酸および塩酸)を用いたプロトン化、あるいは、例えば、アルキル化剤(例えば、ハロゲン化または硫酸C1-C4-アルキル)を用いた四級化のいずれかにより、アミン窒素から生成することができる。アルキル化剤の例として、塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、硫酸ジメチルおよび硫酸ジエチルが挙げられる。
【0072】
好適なモノマーとして、例えば、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸とアミノアルコールとのエステルがある。好ましいアミノアルコールは、アミン窒素上でC1-C8-ジアルキル化されているC2-C12-アミノアルコールである。これらエステルの酸成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチル、ならびにそれらの混合物が好適である。アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物を用いるのが好ましい。N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートならびにN,N-ジメチルアミノシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0073】
また、前記α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸と、少なくとも1個の一級または二級アミノ基を有するジアミンとのアミドも好適なモノマーM2)である。三級アミノ基と一級または二級アミノ基とを有するジアミンが好ましい。用いるモノマーは、以下のものが好ましい:N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(ジメチル-アミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)-ブチル]メタクリルアミド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)-シクロヘキシル]メタクリルアミドなど。N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドおよび/またはN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを用いるのが特に好ましい。
【0074】
N,N-ジアリルアミン、N,N-ジアリル-N-アルキルアミン、ならびにそれらの酸付加塩および四級化生成物もまた好適なモノマーM2)である。その際、アルキルは、C1-C24-アルキルであるのが好ましい。N,N-ジアリル-N-メチルアミンおよびN,N-ジアリル-N,N-ジメチルアンモニウム化合物、例えば、塩化物および臭化物が好ましい。
【0075】
カチオノゲン性/カチオン性基を含む好適なモノマーM2)はまた、ビニルおよびアリル置換窒素複素環、例えば、N-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-メチルイミダゾール、ビニル、およびアリル置換ヘテロ芳香族化合物、例えば、2-および4-ビニルピリジン、2-および4-アリルピリジン、ならびにそれらの塩である。
【0076】
本発明の水溶性または水分散性ポリマーは、所望であれば、多くとも15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%の、少なくとも1種の別のモノマーM3)を共重合形態で含んでもよい。好ましくは、このような追加モノマーは以下のものから選択される:α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸とC1-C30-アルカノールとのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸のN-アルキル−およびN,N-ジアルキルアミド、ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1-C30-モノカルボン酸とのエステル、芳香族ビニル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、C1-C8-モノオレフィン、少なくとも2個の共役二重結合を有する非芳香族炭化水素、シロキサンマクロマー(macromer)、ならびにそれらの混合物。α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の好適なN-アルキル−およびN,N-ジアルキルアミドは、例えば、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、ピペリジニル(メタ)アクリルアミド、モルホリニル(メタ)アクリルアミドなどである。
【0077】
本発明の水溶性または水分散性ポリマーは、所望であれば、少なくとも1種の架橋剤、すなわち2個以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を、共重合形態で含んでもよい。好ましくは、架橋剤は、重合に用いる成分の合計重量に基づき、0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%の量で用いる。
【0078】
用いることができる架橋性モノマーは、少なくとも2個のエチレン性不飽和二重結合を含む化合物、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸(例:アクリル酸またはメタクリル酸)と多価アルコールとのエステル、少なくとも二価のアルコールのエーテル(例:ビニルエーテルまたはアリルエーテル)である。
【0079】
出発アルコールの例として、以下のような二価アルコールが挙げられる:1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ブト-2-エン-1,4-ジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2,5-ジメチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノエステル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]プロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、3-チオペンタン-1,5-ジオール、ならびにまた、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフラン(いずれの場合にも、分子量が200〜10,000)。エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのホモポリマーのほかに、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのブロックコポリマー、もしくはエチレンオキシドとプロピレンオキシド基を組み込まれた形態で含むコポリマーを用いることも可能である。2個より多いOH基を有する出発アルコールの例として、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリエトキシシアヌル酸、ソルビタン、糖(例:スクロース、グルコース、マンノース)が挙げられる。もちろん、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとの反応を経た多価アルコール(対応するエトキシレートまたはプロポキシレートの形態)を用いることもできる。多価アルコールはまた、最初に、エピクロロヒドリンとの反応により、対応するグリシジルエーテルに変換することができる。
【0080】
別の好適な架橋剤は、ビニルエステル、または一価の不飽和アルコールと、エチレン性不飽和C3-C6-カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸もしくはフマル酸)とのエステルである。このようなアルコールの例として、アリルアルコール、1-ブテン-3-オール、5-ヘキセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、9-デセン-1-オール、ジシクロペンテニルアルコール、10-ウンデセン-1-オール、シンナミルアルコール、シトロネロール、クロチルアルコールもしくはシス-9-オクタデセン-1-オールが挙げられる。しかし、多塩基カルボン酸(例えば、マロン酸、酒石酸、トリメリット酸、フタル酸、テレフタル酸、クエン酸もしくはコハク酸)を用いて、一価の不飽和アルコールをエステル化することも可能である。
【0081】
別の好適な架橋剤は、不飽和カルボン酸、例えば、オレイン酸、クロトン酸、桂皮酸もしくは10-ウンデセン酸と前記多価アルコールとのエステルである。
【0082】
また、少なくとも2つの二重結合(脂肪族炭化水素の場合には、共役であってはならない)を有する直鎖または枝分れした、線状または環状、脂肪族または芳香族炭化水素、例えば、分子量が200〜20,000のジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、4-ビニル-1-シクロヘキセン、トリビニルシクロヘキサンもしくはポリブタジエンも好適である。
【0083】
さらにまた、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)のアミド、ならびに少なくとも二官能性のアミン(例えば、1,2-ジアミノメタン、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノへキサン、1,12-ドデカンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミンもしくはイソホロンジアミン)のN-アリルアミンも好適である。同様に、前述したように、アリルアミンと不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)もしくは少なくとも二塩基のカルボン酸とのアミドも好適である。
【0084】
トリアリルアミンもしくは対応するアンモニウム塩、例えば、トリアリルメチルアンモニウムクロリドまたはメチルスルフェートも架橋剤として好適である。
【0085】
尿素誘導体、少なくとも二官能性のアミド、シアヌレートもしくはウレタン、例えば、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素もしくはタルタルジアミドのN-ビニル化合物(例:N,N’-ジビニルエチレン尿素またはN,N’-ジビニルプロピレン尿素)を用いることも可能である。
【0086】
別の好適な架橋剤は、ジビニルジオキサン、テトラアリル−シランもしくはテトラビニルシランである。
【0087】
特に好ましい架橋剤として、例えば、以下のものが挙げられる:メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、トリアリルアミンおよびトリアリルアンモニウム塩、ジビニルイミダゾール、N,N’-ジビニルエチレン尿素、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸との反応生成物、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンと反応させた多価アルコールまたはポリアルキレンオキシドのメタクリル酸およびアクリル酸エステル、ならびにまた、多価アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビタンおよび糖(例えば、スクロース、グルコース、マンノース))のアリルまたはビニルエーテル。
【0088】
特に好ましい架橋剤としては、以下のものが挙げられる:ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、糖(例えば、スクロース、グルコース、マンノース)のアリルエーテル、ジビニルベンゼン、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-ジビニルエチレン尿素、ならびにグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパンもしくはグリセロールの(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、エチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンと反応させたグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパンまたはグリセロールの(メタ)アクリル酸エステル。中でも、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ジアリルタルタルジアミド、フタル酸ジアリル、ジアリル尿素、ジ(メタ)アクリル酸グリコール、(メタ)アクリル酸アリル、ならびにポリアリルエーテルが極めて好ましい。
【0089】
好適な実施形態によれば、本発明の水溶性または水分散性ポリマーを製造するための共重合は、以下のものから選択される、少なくとも1種の成分d)の化合物の存在下で実施する:
d1)ポリエーテル含有化合物、
d2)少なくとも50重量%の、ビニルアルコールから誘導した繰返し単位を有するポリマー、
d3)デンプンおよびデンプン誘導体、
ならびにそれらの混合物。
【0090】
遊離基共重合を少なくとも1種の成分d)の化合物の存在下で実施すると、有利な特性を備えたコポリマーが得られる。これは例えば、成分d)の保護コロイドまたは乳化剤としての作用によるものと考えられる。また、これは、例えば、グラフト基体としての成分d)への少なくとも部分的なグラフトによって生じる場合もある。しかし、グラフト以外の作用機構も考えられる。本発明のコポリマーは、ごく一般的には、遊離基共重合のプロセス生成物を包含し、これは、例えば、純粋なグラフトポリマー、グラフトポリマーと成分d)の非グラフト化合物の混合物、前記モノマーのコポリマー、ならびにそれらのいずれかの混合物を意味するものとして理解される。成分d)の非グラフト化合物の比率は、両性コポリマーの意図する用途に応じて変動するのが有利でありうる。特定の化合物d1)は、例えば、乳化剤または保護コロイドとしての作用を有していてもよい。
【0091】
好ましくは、用いる成分d)の量は、重合に用いられる成分の合計重量に基づき、1〜25重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
【0092】
好適なポリエーテル含有化合物d1)は、例えば、アルキレンオキシド繰返し単位を有する水溶性または水分散性ノニオンポリマーである。好ましくは、アルキレンオキシド繰返し単位の比率は、成分d1)の合計重量に基づき、少なくとも30重量%である。好適なポリエーテル含有化合物d1)は、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールに基づくポリエステル、ポリエーテル−ウレタン、ならびにポリアルキレンオキシド基含有シリコーン誘導体である。
【0093】
成分d1)として好適なポリアルキレングリコールは一般に、約150〜100,000、好ましくは300〜50,000、特に好ましくは500〜40,000の範囲にある数平均分子量を有する。好適なポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフランおよびアルキレンオキシドコポリマーである。アルキレンオキシドコポリマーの製造に適したアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、1,2-および2,3-ブチレンオキシドである。アルキレンオキシドコポリマーは、共重合形態で、ランダム分布の、またはブロックの形態をしたアルキレンオキシド単位を含んでいてもよい。エチレンオキシドのホモポリマー、またはエチレンオキシドを含むコポリマーを用いるのが有利である。好ましくは、エチレンオキシドから誘導される繰返し単位の比率は、40〜99重量%である。例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシドとブチレンオキシドのコポリマー、ならびに、エチレンオキシドとプロピレンオキシドと少なくとも1種のブチレンオキシドのコポリマーが好適である。また、前記ポリアルキレングリコールのアリルエーテルも成分d1)として好適である。
【0094】
枝分れしたポリエーテル含有ポリマーd1)は、例えば、前記アルキレンオキシドの少なくとも1種を、ポリアルコール基(例:ペンタエリトリトール、グリセロール)または糖アルコール(例:D-ソルビトールおよびD-マニトール)、もしくは多糖(例:セルロースおよびデンプン)に付加することにより製造することができる。アルキレンオキシド単位は、付加生成物において、ランダム分布またはブロック形態で存在することができる。
【0095】
ポリエーテル含有化合物d1)として、ポリアルキレンオキシドと脂肪族または芳香族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸およびテレフタル酸とのポリエステルを用いることも可能である。モル質量が1,500〜25,000のポリアルキレンオキシドの好適なポリエステルは、例えば、EP-A-0 743 962に記載されている。さらに、ポリアルキレンオキシドとホスゲンまたは炭酸エステル(例えば、炭酸ジフェニル)との反応から得られるポリカーボネート、ならびにまた、ポリアルキレンオキシドと脂肪族および芳香族ジイソシアネートとの反応から得られるポリウレタンも化合物d1)として用いることができる。
【0096】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のポリエーテル−ウレタンを含む成分d1)を両性コポリマーの製造に用いる。
【0097】
好適なポリエーテル−ウレタンは、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリエーテルジオール)と、ポリイソシアネート(例えば、ジイソシアネート)との縮合物である。好適なポリエーテルポリオールは、例えば、環状エーテル(例:テトラヒドロフラン)の重合により、または1種以上のアルキレンオキシドと開始分子(2個以上の活性水素原子を有する)との反応により取得できる前記ポリアルキレングリコールである。
【0098】
好適なポリイソシアネートは、2〜5個のイソシアネート基を有する化合物、平均数2〜5個のイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマー、ならびにそれらの混合物から選択される。これらには、例えば、脂肪族、脂環式および芳香族ジ−、トリ−およびポリイソシアネートが含まれる。好適なジイソシアネートは、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物(例:80%の2,4-異性体と20%の2,6-異性体)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである。好適なトリイソシアネートは、例えば、トリフェニルメタン4,4’,4”-トリイソシアネートである。また、前記イソシアネートを多官能性ヒドロキシルまたはアミン基含有化合物に付加することにより得られるイソシアネートプレポリマーおよびポリイソシアネートも好適である。さらに、ビウレットまたはイソシアヌレートの形成によって生じるポリイソシアネートも好適である。ヘキサメチレンジイソシアネート、三量体化ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ならびにそれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0099】
別の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド含有シリコーン誘導体を含む成分d1)は、両性コポリマーの製造に用いる。
【0100】
好適なシリコーン誘導体d1)は、INCI名:ジメチコーンコポリオールまたはシリコーン界面活性剤として知られる化合物、例えば、Abil(登録商標)(T. Goldschmidt)、Alkasil(登録商標)(Rhone-Poulenc)、シリコーンポリオールコポリマー(登録商標)(Genesee)、Belsil(登録商標)(Wacker)、Silwet(登録商標)(OSI)もしくはDow Corning(Dow Corning)の商品名で入手可能な化合物である。これらの化合物には、CAS番号64365-23-7;68937-54-2;68938-54-5;68937-55-3の化合物が含まれる。
【0101】
特に好適な化合物d1)は、以下の構造要素を含むものである:
【化3】

【0102】
[上記構造において、
R6は、CH3または以下の基であり、
【化4】

【0103】
R7は、CH3またはR6であり、
R8はH、CH3、または以下の基であり、
【化5】

【0104】
R10は、アミノ、カルボン酸もしくはスルホネート基を含みうる、1〜40個の炭素原子の有機基であるか、あるいは、c=0のとき、無機酸のアニオンでもあり、
基R5は、同じでも、異なっていてもよく、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素の基に由来するか、3〜20個の炭素原子を有する環状脂肪族炭化水素であるか、芳香族の性質のものであるか、またはR9と同じであるかのいずれでもよく、
ここで、
R9は、以下の基であり、
【化6】

【0105】
nは、1〜6の整数であり、
xおよびyは、ポリシロキサンブロックの分子量が300〜30,000となるような整数であり、
a、bは、aとbの和が0より大きくいことを条件に、0〜50の整数であり、cは0または1である]。
【0106】
好ましい基R6およびR9は、a+bの和が5〜30となるようなものである。
【0107】
好ましくは、基R5は、以下に挙げる基から選択される:メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルおよびオクタデシル、脂環式基、具体的にはシクロヘキシル、芳香族基、具体的にはフェニルまたはナフチル、芳香族−脂肪族混合基(例えば、ベンジルまたはフェニルエチル)、さらには、トリルおよびキシリルならびにR9
【0108】
特に好適な基R8は、R8=-(CO)c-R10のとき、R10が、NH2、COOH、SO3Hのようなイオノゲン性基を含みうる、1〜40個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルもしくはアリール基であるものである。
【0109】
好ましい無機基R10は、c=0のとき、リン酸基および硫酸基である。
【0110】
特に好ましいシリコーン誘導体d)は、以下に示す構造のものである:
【化7】

【0111】
好ましくは、少なくとも50重量%のビニルアルコール単位を有するポリマーd2)もグラフト基体として好適である。これらのポリマーは、少なくとも70重量%、特に好ましくは80重量%のポリビニルアルコール単位を含むのが好ましい。このようなポリマーは、通常、ビニルエステルの重合と、これに続く少なくとも部分的なアルコーリシス、アミノリシスもしくは加水分解により製造される。直鎖および枝分れしたC1-C12-カルボン酸のビニルエステルが好ましく、酢酸ビニルが特に好ましい。もちろん、ビニルエステルは混合物として用いることもできる。
【0112】
グラフト基体d2)の合成に好適なビニルエステルのコモノマーは、例えば、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-メチルイミダゾール、N-ビニル-4-メチルイミダゾール、3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロリド、3-メチル-1-ビニルイミダゾリウム-メチルスルフェート、ジアリルアンモニウムクロリド、スチレン、アルキルスチレンである。
【0113】
グラフト基体d2)の製造に好適な別のコモノマーとして、例えば、以下のものが挙げられる:モノエチレン性不飽和C3-C6-カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、ならびにそれらのエステル、アミドおよびニトリル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシイソブチル、メタクリル酸ヒドロキシイソブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、無水マレイン酸およびその半エステル、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル、例えば、メチル、エチル、ブチルもしくはドデシルビニルエーテル、カチオンモノマー、例えば、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ならびにジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ならびに、最後に挙げたモノマーとカルボン酸もしくは無機酸の塩、さらには四級化生成物。
【0114】
好ましいグラフト基体d2)は、酢酸ビニルの単独重合と、その後の少なくとも部分的な加水分解、アルコーリシスもしくはアミノリシスにより製造されるポリマーである。
【0115】
特に好ましいグラフト基体d2)は、酢酸ビニルの単独重合と、その後の少なくとも部分的な鹸化により製造されるポリマーである。このようなポリビニルアルコール単位を含むポリマーは、Mowiol(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0116】
成分d)として、デンプンおよび/またはデンプン誘導体d3)を用いるのが好ましい。これらは、糖構造を有する物質を含む。このような天然物質として、例えば、植物または動物由来の糖、もしくは微生物による代謝により形成される産物、ならびにそれらの分解産物が挙げられる。好適なグラフト基体d3)は、例えば、オリゴ糖、多糖、酸化的に、酵素的にもしくは加水分解的に分解された多糖、酸化的および加水分解的に分解された、または酸化的および酵素的に分解された多糖、化学的に改変されたオリゴ糖または多糖、ならびにそれらの混合物である。好ましい生成物は、米国特許第5,334,287号、第4欄第20行から第5欄第45行に記載されている化合物である。
【0117】
市販されている好適な物質は、CerestarからのC-Pur(登録商標)およびC-Dry(登録商標)製品である。
【0118】
所望であれば、成分d)の化合物の混合物を用いてもよい。
【0119】
好ましい実施形態は、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンオキシド含有シリコーン誘導体およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物d1)の存在下での共重合により得られるコポリマーである。
【0120】
好ましくは、本発明のコポリマーは、1重量%濃度の水溶液に対するK値(E. Fikentscher, Cellulose-Chemie 13 (1932), pp. 58-64に従い測定する)が約30〜300、特に好ましくは40〜150の範囲内にあるものである。
【0121】
K値に応じて、本発明のポリマーは、多種多様の化粧品および医薬用途に適している。例えば、K値が約50までのポリマーは、スプレー(エアロゾルスプレーおよびポンプスプレー)として有利に製剤化することができる。K値が約50〜90の範囲にあるポリマーは、ゲルおよびフォームに有利に適している。シャンプーおよび皮膚用化粧品の用途には、好ましくは、少なくとも80のK値を有するポリマーが適している。
【0122】
好ましいポリマーは、任意に、25重量%以下の少なくとも1種の成分d)(すでに定義した通り)の存在下で、
−重合に用いる成分の合計重量に基づき、1〜25重量%の少なくとも1種のポリアリル−ポリエーテル−ウレタン、
−50〜99重量%の少なくとも1種の遊離基重合性ノニオン化合物M1)、
−1分子につき少なくとも1つのイオノゲン性および/またはイオン性基を含む、0〜25重量%の少なくとも1種のモノマーM2)、および
−0〜10重量%の少なくとも1種の架橋剤、
の遊離基重合により得ることができる。
【0123】
コポリマーA)は、当業者には周知の慣用方法に従って、好ましくは溶液重合および沈殿重合により、製造する。
【0124】
溶液重合に好ましい溶剤として、水性溶剤、例えば、水、ならびに以下に挙げる水混和性溶剤と水の混合物がある:例えば、アルコール(例:メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ヘキサノールおよびシクロヘキサノール)、グリコール(例:エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール)、ならびに、二価アルコールのメチルまたはエチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロールおよびジオキサン。特に、水または水/アルコール混合物、例えば、水/エタノール混合物中での重合が好ましい。このような混合物におけるアルコールと水の比は、1:1から1:7容量%の範囲にあるのが好ましい。
【0125】
沈殿重合は、溶剤として例えば、エステル(例:酢酸エチルまたは酢酸ブチル)を用いて実施する。その結果生じるポリマー粒子は、反応溶液から沈殿し、通常の方法、例えば、減圧を用いたろ過により単離することができる。沈殿重合の場合、得られたポリマーは通常、溶液重合で得られたものより分子量が高い。
【0126】
重合温度は、好ましくは約30〜120℃、特に好ましくは40〜100℃の範囲内である。重合は、通常、大気圧下で実施するが、減圧または高圧下で実施してもよい。好適な圧力の範囲は1〜5バールである。
【0127】
ポリマーを製造するためには、遊離基を形成する開始剤を用いて、ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンとモノマーを、任意に成分d)の存在下で、重合することができる。
【0128】
遊離基重合に用いることができる開始剤としては、この目的で通常用いられる以下のペルオキソおよび/またはアゾ化合物が挙げられる:例えば、ペルオキシ二硫酸アルカリ金属またはアンモニウム、過酸化ジアセチル、過酸化ジベンゾイル、過酸化スクシニル、過酸化ジ-tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、過ピバリン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、過マレイン酸tert-ブチル、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシジカルバミン酸ジイソプロピル、ビス(o-トロイル)ペルオキシド、過酸化ジデカノイル、過酸化ジオクタノイル、過酸化ジラウロイル、ペルイソ酪酸tert-ブチル、過酢酸tert-ブチル、過酸化ジ-tert-アミル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩または2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)。また、開始剤混合物またはレドックス開始剤系、例えば、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキソ二硫酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫化ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド/ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、H2O2/CuIも好適である。
【0129】
使用する開始剤または開始剤混合物の量は、使用するモノマーに基づき、一般に0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0130】
分子量を調節するために、重合は、少なくとも1種の調節剤の存在下で実施する。用いることができる調節剤は、当業者には知られている化合物、例えば、イオウ化合物、例えば、メルカプトエタノール、2-エチルヘキシルチオグリコレート、チオグリコール酸またはドデシルメルカプタン、ならびに、トリブロモクロロメタン、もしくは得られるポリマーの分子量に調節作用を有するその他の化合物である。好ましい調節剤はシステインである。
【0131】
残留モノマーの含量が低い、可能な限り純粋なポリマーを達成するために、重合(主重合)に続いて、後重合工程を実施することができる。後重合は、主重合と同じ、または異なる開始剤系の存在下で実施することができる。好ましくは、後重合は、主重合と少なくとも同じ温度、好ましくはそれより高い温度で実施する。主重合および後重合における温度は、高くとも90℃であるのが好ましい。好ましくは、第1および第2重合工程の間に、反応バッチを水蒸気によるストリッピングまたは水蒸気蒸留に供する。
【0132】
ポリマーの製造に有機溶剤を用いる場合には、当業者に知られる通常の方法、例えば、減圧下での蒸留によりこの溶剤を除去することができる。
【0133】
重合は、好ましくはpH 5.5〜8.0、特に好ましくは5.6〜7.5、さらに好ましくは5.8〜7.3の範囲で実施する。これにより、一般に、残留モノマーの含量が低い、可能な限り純粋なポリマーを達成することができるが、これは開裂生成物として形成されるアミン(このアミンは、ある種の状況である種のモノマーと反応して、重合条件下で望ましくない二次生成物をもたらすことがある)が除去されるためであると考えられる。前記pHは、適切な酸(例えば、乳酸、酒石酸、リン酸)の添加、または塩基、好ましくは、アミン、特にアミノアルコール(例えば、トリエタノールアミン、メチルジアタノールアミン、ジメチルエタノールアミンもしくは2-アミノ-2-メチルプロパノール)の添加により調節する。
【0134】
純度が極めて高く、従って、化粧品への使用に有利な特性を有する生成物は、重合後に、任意に後重合の前および/または後に、反応生成物を水蒸気蒸留または水蒸気によるストリッピングに供すれば、達成することができる。水蒸気を用いたこの処理は、例えば、アミンおよび、反応混合物から水蒸気で除去することができる別の望ましくない二次生成物を除去するのに役立つ。少なくとも主重合と後重合の間に水蒸気処理を実施するのが好ましい。重合生成物のpHは、水蒸気処理の前に、6.5以下の値に調節しておくのが好ましい。使用する水蒸気および被処理ポリマー溶液の温度は、少なくとも90℃であるのが好ましい。
【0135】
ポリマー溶液は、様々な乾燥方法、例えば、噴霧乾燥、流動層噴霧乾燥、ローラー乾燥もしくは凍結乾燥などにより粉末形態に変換することができる。噴霧乾燥を用いるのが好ましい。有利にも、得られた乾燥ポリマー粉末は、水に溶解または再懸濁させることにより、再び水溶液または水分散液に変換することができる。粉状のコポリマーは、貯蔵性が優れ、輸送しやすく、しかも一般に微生物による攻撃を受ける傾向が低いといった利点がある。
【0136】
本発明はさらに、
A)少なくとも1種の水溶性または水分散性ポリマー(すでに定義した通り)と、
B)化粧品として許容される少なくとも1種の担体、
を含む、化粧用または医薬用組成物を提供する。
【0137】
化粧品として許容される担体B)は、以下に挙げるものから選択されるのが好ましい:
i)水、
ii)水混和性有機溶剤、好ましくはC1-C4-アルカノール、
iii)油、脂肪、蝋、
iv)iii)とは異なる、C6-C30-モノカルボン酸と一価、二価もしくは三価アルコールとのエステル、
v)飽和非環状および環状炭化水素、
vi)脂肪酸、
vii)脂肪アルコール、
ならびにそれらの混合物。
【0138】
本発明の組成物は、例えば、以下に挙げるものから選択される油または脂肪成分B)を有する:低極性の炭化水素、例えば、鉱油;好ましくは8個より多い炭素原子を有する線状飽和炭化水素、例えば、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなど;環状炭化水素、例えば、デカヒドロナフタレン;枝分れした炭化水素;動物および植物油;蝋;蝋エステル;ワセリン;エステル、好ましくは、脂肪酸のエステル、例えば、C1-C24-モノアルコールとC1-C22-モノカルボン酸とのエステル(例:イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸n-プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸n-プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキサコサニル、パルミチン酸オクタコサニル、パルミチン酸トリアコンタニル、パルミチン酸ドトリアコンタニル、パルミチン酸テトラトリアコンタニル、ステアリン酸ヘキサコサニル、ステアリン酸オクタコサニル、ステアリン酸トリアコンタニル、ステアリン酸ドトリアコンタニル、ステアリン酸テトラトリアコンタニル);サリチル酸エステル、例えば、C1-C10-サリチル酸エステル(例:サリチル酸オクチル);安息香酸エステル、例えば、安息香酸C10-C15-アルキル、安息香酸ベンジル;その他の化粧品用エステル、例えば、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、乳酸C10-C15-アルキルなど、ならびにそれらの混合物。
【0139】
好適なシリコーン油B)としては、例えば、線状ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、環状シロキサン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ポリジメチルシロキサンおよびポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は、約1,000〜150,000g/モルの範囲内にあるのが好ましい。好ましい環状シロキサンは、4〜8員環を有する。好適な環状シロキサンは、例えば、シクロメチコーンの名称で市販されている。
【0140】
好ましい油または脂肪成分B)は以下に挙げるものから選択される:パラフィンおよびパラフィン油;ワセリン;天然脂肪および油、例えば、ヒマシ油、ダイズ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ゴマ油、アボカド油、カカオ脂、アーモンド油、杏仁油、ヒマシ油、タラの肝油、豚ラード、鯨蝋、鯨蝋油、マッコウ鯨油、コムギ麦芽油、マカダミアナッツ油、マツヨイグサ油、ホホバ(jojoba)油;脂肪アルコール、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール;脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ならびにこれら以外の飽和、不飽和および置換脂肪酸;蝋、例えば、蜜蝋、カルナバ蝋、カンデリラ蝋、鯨蝋、ならびに前記油または脂肪成分の混合物。
【0141】
好適な化粧品および医薬品適合性の油または脂肪成分B)は、Karl-Heinz Schrader、Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and Formulations of Cosmetics]、第2版、Verlag Huthig, Heidelberg, pp. 319-355に記載されており、これを参照されたい。
【0142】
好適な親水性担体B)は、水、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する一価、二価もしくは多価アルコール、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどから選択される。
【0143】
本発明の化粧用組成物は、皮膚化粧用、皮膚科学用もしくは毛髪化粧用の組成物である。
【0144】
好ましくは、本発明の組成物は、(低〜高粘度の)溶液、ゲル、ワックス、フォーム、スプレー、軟膏、クリーム、乳濁液、懸濁液、ローション、乳液もしくはペーストの形態で用いられる。所望であれば、リポソームおよびミクロスフェアを用いることもできる。
【0145】
本発明の化粧品または医薬品として活性の組成物は、さらに、化粧品としておよび/または皮膚科学的に活性の成分および補助剤を含んでいてもよい。
【0146】
好ましくは、本発明の化粧用組成物は、少なくとも1種のコポリマーA(すでに定義した通り)と、少なくとも1種の担体B(すでに定義した通り)と、コポリマーAとは異なる少なくとも1種の成分を含み、最後の成分は、以下のものから選択される:化粧品として活性な成分、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、香油、増粘剤、毛髪用ポリマー、毛髪および皮膚用コンディショナー、グラフトポリマー、水溶性または分散性シリコーン含有ポリマー、紫外線防止剤、脱色剤、ゲル形成剤、ケア剤、着色剤、色味剤、日焼け剤、染料、顔料、粘度付与剤、保湿剤、脂肪補給剤(refatting agent)、コラーゲン、タンパク質水解物、脂質、抗酸化剤、消泡剤、帯電防止剤、エモリエント剤、柔軟剤。
【0147】
化粧品としておよび/または皮膚科学的に活性の好適な成分として、例えば、以下のものが挙げられる:着色活性成分、皮膚および毛髪用着色剤、色味剤、日焼け剤、脱色剤、ケラチン硬化物質、抗菌活性成分、光線フィルター活性成分、忌避活性成分、充血活性を有する物質、角質溶解性および角質柔軟化活性を有する物質、フケ防止活性成分、抗炎症剤、角質形成作用を有する物質、抗酸化剤またはフリーラジカル捕捉剤として作用する物質、皮膚潤い補給剤または保湿剤、脂肪補給(refatting)活性成分、抗紅斑または抗アレルギー活性成分、ならびにそれらの混合物。
【0148】
自然または人工的紫外線照射を必要とせずに、皮膚を日焼けさせるのに好適な人工的日焼け剤として、例えば、ジヒドロキシアセトン、アロキサンおよびクルミ殻抽出物が挙げられる。好適なケラチン硬化物質は、通常、制汗剤でも用いられている活性成分、例えば、硫酸カリウムアルミニウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウムなどである。抗菌活性成分は、微生物を破壊する、またはそれらの増殖を阻止するために用いられ、従って、この成分は、防腐剤と、体臭の形成または強度を低減する防臭物質の両方の役割を果たす。このような抗菌成分として、例えば、当業者には周知の通常の防腐剤、例えば、p-ヒドロキシベンゾエート、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸などが挙げられる。このような防臭物質は、例えば、リシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロールアミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジンなどである。好適な光線フィルター活性成分は、UV-Bおよび/またはUV-A領域の紫外線を吸収する物質である。好適な紫外線フィルターとして、例えば、2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンがあり、ここでアリール基は各々、好ましくは、ヒドロキシル、アルコキシ、特にメトキシ、アルコキシカルボニル、具体的にはメトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1個の置換基を含んでいてもよい。また、p-アミノベンゾエート、シンナメート、ベンゾフェノン、ショウノウ誘導体、ならびに紫外線を防止する顔料(例:二酸化チタン、タルクおよび酸化亜鉛)も好適である。好適な忌避活性成分は、ヒトから特定の動物、特に、昆虫を追い払うもしくは忌避することができる化合物である。これは、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミドなどを含む。皮膚を介して血流を刺激する充血活性を有する好適な物質としては、例えば、精油、例えば、ハイマツ(dwarf pine)、ラベンダー、ローズマリー、ネズ、セイヨウトチノキエキス、カバの葉エキス、乾草の種子エキス、酢酸エチル、ショウノウ、メントール、ペパーミント油、ローズマリーエキス、ユーカリ油などがある。好適な角質溶解および角質柔軟化物質としては、例えば、サリチル酸、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸およびその塩、イオウなどが挙げられる。好適なフケ防止活性成分としては、例えば、イオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレート、イオウリシノールポリエトキシレート、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンなどがある。皮膚刺激を抑える好適な抗炎症剤としては、例えば、アラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール、カモミールエキス、パンテノールなどが挙げられる。
【0149】
本発明の化粧用組成物は、化粧品および/または医薬品として活性の成分として(また、任意に補助剤として)、成分A)の化合物とは異なる少なくとも1種の化粧品および/または医薬品として許容されるポリマーを含むことができる。一般的には、これらには、アニオン、カチオン、両性および中性ポリマーが含まれる。これらは好ましくは、水溶性または少なくとも水分散性である。
【0150】
アニオンポリマーの例を以下に挙げる:アクリル酸およびメタクリル酸もしくはそれらの塩のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸とアクリルアミドおよびそれらの塩のコポリマー;ポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、水溶性または水分散性ポリエステル、ポリウレタン、例えば、BASF製のLuviset PUR(登録商標)、ならびにポリ尿素。特に好適なポリマーは、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸のコポリマー(例:Luvimer(登録商標)100P);アクリル酸エチルとメタクリル酸のコポリマー(例:Luvimer(登録商標)MAE);N-tert-ブチルアクリルアミド、アクリル酸エチル、アクリル酸のコポリマー(Ultrahold(登録商標)8、strong);酢酸ビニル、クロトン酸および任意に別のビニルエステルのコポリマー(例:Luviset(登録商標)の各等級);任意に、アルコール、アニオンポリシロキサン(例えばカルボキシ官能基)、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸と反応させた無水マレイン酸コポリマー(例:Luviskol(登録商標)VBM);アクリル酸およびメタクリル酸と疎水性モノマー(例えば、メタ(アクリル酸)のC4-C30-アルキルエステル、C4-C30-アルキルビニルエステル、C4-C30-アルキルビニルエーテルおよびヒアルロン酸)とのコポリマー。アニオンポリマーの例として、また、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー(例えば、商品名Resyn(登録商標)(National Starch)およびGafset(登録商標)(GAF)で市販されているもの)、ならびに、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(例えば、商品名Luviflex(登録商標)(BASF)で入手可能なもの)が挙げられる。その他の好適なポリマーとして、商品名Luviflex(登録商標)VBM-35(BASF)で市販されているビニルピロリドン/アクリレートターポリマー、ならびにスルホン酸ナトリウム含有ポリアミドまたはスルホン酸ナトリウム含有ポリエステルがある。
【0151】
別の好適なポリマーとして以下のものが挙げられる:INCI名:ポリクアテルニウム(Polyquaternium)のカチオンポリマー、例えば、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Care)、硫酸ジエチルで四級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold);カチオンセルロース誘導体(Polyquaternium-4および-10)、アクリルアミドコポリマー(Polyquaternium-7)、ならびにキトサン。また、Merquat(登録商標)(塩化ジメチルジアリルアンモニウムに基づくポリマー)、Gafquat(登録商標)(ポリビニルピロリドンと四級アンモニウム化合物の反応により形成される四級ポリマー)、ポリマーJR(カチオン基を有するヒドロキシエチルセルロース)、ならびに植物に基づくカチオンポリマー、例えば、グアーポリマー(例:Rhodia製のJaguar(登録商標)の各等級)も好適なカチオン(四級化)ポリマーである。さらに、ドイツ国特許出願P 102 43 573.1に記載されている(メタ)アクリルアミド単位を有するポリマーも好適である。
【0152】
さらに別の好適なポリマーとして、以下のような中性ポリマーが挙げられる:ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタム、ならびに、N-ビニルピロリドン、ポリエチレンイミンおよびその塩、ポリビニルアミンおよびその塩、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸塩および誘導体を含むその他のコポリマー。このようなものとして、例えば、Luviflex(登録商標)Swing(ポリ酢酸ビニルとポリエチレングリコールの部分的に鹸化したコポリマー、BASF)がある。
【0153】
また、以下に挙げるポリマーも好適である:水溶性または水分散性ノニオンポリマーまたはオリゴマー、例えば、ポリビニルカプロラクタム(例:Luviskol(登録商標)Plus(BASF))、もしくはポリビニルピロリドンおよびそのコポリマー、特に、酢酸ビニルのようなビニルエステルとのコポリマー(例:Luviskol(登録商標)VA 37(BASF));ポリアミド、例えば、イタコン酸と脂肪族ジアミンに基づくもの(例:DE-A-43 33 238に記載されているもの)。
【0154】
さらにまた、両性もしくは双性イオン性ポリマー、例えば、商品名:Amphomer(登録商標)(National Starch)で入手可能なオクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ならびに、例えば、ドイツ国特許出願DE 39 29 973、 DE 21 50 557、DE 28 17 369およびDE 37 08 451に開示されているような双性イオン性ポリマーも好適なポリマーである。アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸またはメタクリル酸コポリマー、ならびにそのアルカリ金属およびアンモニウム塩が好ましい双性イオン性ポリマーである。その他の好適な双性イオン性ポリマーは、メタクロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー(商品名:Amersette(登録商標)(AMERCHOL)で市販されている)、ならびにヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸メチル、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびアクリル酸のコポリマー(Jordapon(登録商標))である。
【0155】
また、シロキサン含有の水溶性または水分散性ノニオンポリマー、例えば、Tegopren(登録商標)(Goldschmidt)またはBelsil(登録商標)(Wacker)のようなポリエーテルシロキサンも好適なポリマーである。
【0156】
本発明の医薬組成物の配合基剤は、薬学的に許容される補助剤を含むのが好ましい。薬学的に許容される補助剤は、薬学、食品技術の分野および関連分野での使用が知られている補助剤、特に、関連する薬局方(例えば、DAB Ph. Eur. BP NF)に記載されている補助剤、ならびにその特性が生理学的適用を妨げないその他の補助剤である。
【0157】
好適な補助剤として、以下のものが挙げられる:滑沢剤、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、防腐剤、抗酸化剤、抗刺激物質、キレート剤、乳濁液安定剤、皮膜形成剤、ゲル形成剤、臭気マスキング剤、樹脂、親水コロイド、溶剤、溶解促進剤、中和剤、透過促進剤、顔料、四級アンモニウム化合物、脂肪補給剤および過度脂肪補給剤、軟膏基剤、クリーム基剤または油基剤、シリコーン誘導体、安定剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、不透明化剤、増粘剤、蝋、柔軟剤、ホワイトオイル。この際、配合は、例えば、Fiedler、H. P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Lexicon of auxiliaries for pharmacy, cosmetics and related fields]、第4版、Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996に記載されているような専門家の知識に基づいて行なう。
【0158】
本発明の皮膚科学用組成物を製造するために、活性成分を好適な補助剤(賦形剤)と混合するか、またはこれで希釈することができる。賦形剤は、活性成分のビヒクル、担体もしくは媒体として作用できるものであれば、固体、半固体もしくは液体材料のいずれでもよい。所望であれば、さらに別の補助剤を当業者には周知の方法で添加することもできる。
【0159】
第1の好ましい実施形態において、本発明の組成物はスキンクレンジング組成物である。
【0160】
好ましいスキンクレンジング組成物は、液体からゲル様稠度の石鹸、例えば、透明石鹸、高級石鹸、防臭石鹸、クリーム石鹸、ベビー石鹸、皮膚保護石鹸、研磨剤入り石鹸および合成洗剤、ペースト状石鹸、軟質石鹸および洗浄ペースト、液体洗浄剤、シャワーおよび浴用製品、例えば、洗浄ローション、シャワー浴用剤およびシャワー用ジェル、泡風呂、オイル風呂およびスクラブ製品である。
【0161】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、皮膚のケアおよび保護用化粧品組成物、ネイルケア組成物、もしくはデコラティブ化粧品である。
【0162】
特に、スキンケア組成物、個人衛生組成物、フットケア組成物、紫外線防止組成物、忌避剤、髭剃り用組成物、脱毛剤、抗ニキビ剤、メーキャップ、マスカラ、口紅、アイシャドウ、コールペンシル、アイライナー、頬紅および眉ペンシルが好ましい。
【0163】
本発明のスキンケア組成物は、特に、W/OまたはO/Wスキンクリーム、日中および夜用クリーム、アイクリーム、フェースクリーム、しわ防止クリーム、潤い補給クリーム、美白クリーム、ビタミンクリーム、スキンローション、ケアローションおよび潤い補給ローションである。
【0164】
前記ポリマーA)を基剤とする皮膚化粧用および皮膚科学用組成物は有利な効果を発揮する。前記ポリマーは、中でも、皮膚の潤い補給とコンディショニング、ならびに皮膚感触の改善に寄与することができる。これらのポリマーは、製剤中の増粘剤としても作用しうる。本発明のポリマーを添加することにより、特定の製剤の皮膚適合性を顕著に改善することができる。
【0165】
皮膚化粧用および皮膚科学用組成物は、組成物の合計重量に基づき、約0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜12重量%の量の少なくとも1種のコポリマーA)を含むのが好ましい。
【0166】
前記コポリマーA)を基剤とする紫外線防止剤は、特に、ポリビニルピロリドンのような通常の補助剤と比較して紫外線吸収成分の滞留時間が長いという特性を有する。
【0167】
用途に応じて、本発明の組成物は、スキンケアに適した形態、例えば、クリーム、フォーム、ゲル、ペンシル、ムース、乳液、スプレー(ポンプスプレーまたは噴射剤を含むスプレー)もしくはローションとして適用することができる。
【0168】
ポリマーA)と好適な担体を含む以外に、皮膚化粧用組成物は、前述したように、皮膚化粧品に常用されている活性成分および補助剤を含んでもよい。このようなものとして、好ましくは、以下のものが挙げられる:乳化剤、防腐剤、香油、化粧品活性成分、例えば、フィタントリオール、ビタミンA、EおよびC、レチノール、ビサボロール、パンテノール、紫外線防止剤、脱色剤、着色剤、色味剤、日焼け剤、コラーゲン、タンパク質水解物、安定剤、pH調節剤、染料、塩、増粘剤、ゲル形成剤、粘度付与剤、シリコーン、潤い補給剤、脂肪補給剤ならびにその他通常の添加剤。
【0169】
皮膚化粧用および皮膚科学用組成物の好ましい油および脂肪成分は、前記の鉱油および合成油、例えば、パラフィン、シリコーン油、ならびに8個以上の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、動物および植物油、例えば、ヒマワリ油、ココナッツ油、アボカド油、オリーブ油、ラノリン、もしくは蝋、脂肪酸、脂肪酸エステル、例えばC6-C30-脂肪酸のトリグリセリド、蝋エステル、例えばホホバ油、脂肪アルコール、ワセリン、水素化ラノリンおよびアセチル化ラノリン、ならびに、それらの混合物である。
【0170】
本発明のポリマーは、特定の特性を設定しようとする場合、従来のポリマーと混合することができる。
【0171】
例えば、手ざわり、伸展性、耐水性および/または活性成分と補助剤(顔料など)の結合を改善するなど、特定の特性を設定するために、皮膚化粧用および皮膚科学用組成物に、シリコーン化合物を基剤とするコンディショニング物質をさらに含有させることもできる。好適なシリコーン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンもしくはシリコーン樹脂である。
【0172】
前記化粧用または皮膚科学用製剤は、当業者には周知の通常の方法により製造する。
【0173】
前記化粧用および皮膚科学用組成物は、乳濁液、特に油中水型(W/O)乳濁液または水中油型(O/W)乳濁液の形態をしているのが好ましい。しかし、それ以外のタイプの製剤、例えば、水分散液、ゲル、油、オレオゲル(oleogel)、多重乳濁液、例えば、W/O/WまたはO/W/O乳濁液、無水軟膏または軟膏基剤などを選択することもできる。
【0174】
乳濁液は周知の方法により製造する。コポリマーA)の他に、乳濁液は、通常、常用の成分、例えば、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ならびに、特に、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸、ラノリンおよびそれらの誘導体、天然または合成油もしくは蝋および、水の存在下においては、乳化剤を含む。乳濁液タイプ専用の添加剤の選択および好適な乳濁液の製造は、例えば、Schrader、Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and Formulations of Cosmetics]、Hutig Buch Verlag, Heidelberg、第2版、1989、第3部に記載されており、これを参照されたい。
【0175】
例えば、スキンクリームなどに好適な乳濁液は、一般に水相を有し、この水相は、油または脂肪相中の好適な乳化剤系を用いて乳化する。
【0176】
このタイプの乳濁液における乳化剤系の比率は、乳濁液の合計重量に基づき、約4〜35重量%であるのが好ましい。脂肪相の比率は約20〜60重量%であるのが好ましい。水相の比率は約20〜70重量%であるのが好ましい(各々、乳濁液の合計重量に基づいた割合である)。乳化剤は、このタイプの乳濁液に通常用いられているものである。これらは、例えば、以下に挙げるものから選択される:C12-C18-ソルビタン脂肪酸エステル;ヒドロキシステアリン酸およびC12-C30-脂肪アルコールのエステル;C12-C18-脂肪酸およびグリセロールまたはポリグリセロールのモノ−およびジエステル;エチレンオキシドとプロピレングリコールの縮合物;オキシプロピレン化/オキシエチル化C12-C18-脂肪アルコール;多環式アルコール、例えばステロール;高分子量の脂肪族アルコール、例えばラノリン;オキシプロピレン化/ポリグリセロール化アルコールとイソステアリン酸マグネシウムの混合物;ポリオキシエチレン化またはポリオキシプロピレン化脂肪アルコールのコハク酸エステル;ラノリン酸マグネシウム、ラノリン酸カルシウム、ラノリン酸リチウム、ラノリン酸亜鉛もしくはラノリン酸アルミニウムおよび水素化ラノリンもしくはラノリンアルコールの混合物。
【0177】
乳濁液の脂肪相に存在しうる好ましい脂肪成分として、以下のものが挙げられる:炭化水素油、例えば、パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン、ならびに、これら油中のマイクロクリスタリンワックスの溶液;動物または植物油、例えば、ヘントウ油、アボカド油、カロフィラム油、ラノリンおよびその誘導体、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、カリテ(karite)油、ホプロステタス(hoplostethus:キンメダイ目)油;大気圧下での蒸留開始点が約250℃で、蒸留終点が410℃である鉱油、例えば、ワセリン油;飽和または不飽和脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸i-プロピル、ブチルまたはセチル、ステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸エチルまたはi-プロピル、オクタン酸またはデカン酸トリグリセリドおよびリシノール酸セチル。
【0178】
脂肪相はまた、別の油、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ならびにシリコーングリコールコポリマー、脂肪酸および脂肪アルコールに可溶性のシリコーン油を含んでいてもよい。
【0179】
油の保持を助けるために、ポリマーA)の他に、蝋、例えば、カルナバ蝋、カンデリラ蝋、蜜蝋、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト蝋、ならびに、Ca、MgおよびAlのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、リノール酸塩およびステアリン酸塩を使用することもできる。
【0180】
油中水型乳濁液は一般に、反応容器に脂肪相と乳化剤を導入することにより製造される。この容器を約50〜75℃に加熱した後、油に可溶性の活性成分および/または補助剤を添加し、ほぼ同じ温度に予め加熱しておいた(任意に、水溶性成分を予め溶解させた)水を撹拌しながら添加する。所望の微細度の乳濁液が得られるまで混合物を撹拌してから、これを室温まで冷却するが、その際、必要であれば撹拌の強さを下げる。
【0181】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、シャワージェル、シャンプー製剤または浴用製剤である。
【0182】
このような製剤は、少なくとも1種のポリマーA)と、主界面活性剤としての常用のアニオン界面活性剤と、補助界面活性剤としての両性および/またはノニオン界面活性剤を含む。さらに好適な活性成分および/または補助剤は、一般に、脂質、香油、染料、有機酸、防腐剤および抗酸化剤、ならびに増粘剤/ゲル形成剤、スキンコンディショニング剤および保湿剤から選択される。
【0183】
これらの製剤は、製剤の合計重量に基づき、2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは8〜30重量%の界面活性剤を含むのが好ましい。
【0184】
ボディクレンジング組成物に通常用いられるすべてのアニオン、中性、両性もしくはカチオン界面活性剤を洗浄、シャワーおよび浴用製剤に用いることができる。
【0185】
好適なアニオン界面活性剤は、例えば、以下のものである:アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、N-アルコイルサルコシン酸塩、アシルタウリン酸塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルエーテルカルボキシレート、αオレフィンスルホネート、特に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウム、ならびに、トリエタノールアミン塩。アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸塩およびアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に、1〜10個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位、好ましくは、1〜3個のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0186】
このようなものとして、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンが挙げられる。
【0187】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテートまたはアンホプロピオネート、アルキルアンホジアセテートまたはアンホジプロピオネートである。
【0188】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルベタインもしくはナトリウムココアンホプロピオネートを用いることができる。
【0189】
好適なノニオン界面活性剤は、例えば、直鎖または枝分れしたアルキル鎖中に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モル当たり約6〜60モルである。また、アルキルアミンオキシド、モノ−またはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシドまたはソルビタンエーテルエステルも好適である。
【0190】
洗浄、シャワーおよび浴用製剤は、通常のカチオン界面活性剤、例えば、四級アンモニウム化合物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでもよい。
【0191】
加えて、以下に挙げるようなその他の通常のカチオンポリマーを用いることも可能である:例えば、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(ポリクアテルニウム(Polyquaternium)-7)、カチオン性セルロース誘導体(ポリクアテルニウム-4、-10)、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(INCI:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、N-ビニルピロリドンと四級化N-ビニルイミダゾールのコポリマー(ポリクアテルニウム-16、-44、-46)、硫酸ジエチルで四級化したN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(ポリクアテルニウム-11)など。
【0192】
シャワージェル/シャンプー製剤は、さらに、増粘剤、例えば、塩化ナトリウム、PEG-55、プロピレングリコールオレエート、PEG-120メチルグルコースジオレエートなど、また、防腐剤、さらなる活性成分ならびに補助剤および水を含んでもよい。
【0193】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ヘアトリートメント組成物である。
【0194】
本発明のヘアトリートメント組成物は、組成物の合計重量に基づき、約0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の量の少なくとも1種のコポリマーA)を含むのが好ましい。
【0195】
本発明のヘアトリートメント組成物は、好ましくはセッティングフォーム、ヘアトニック、ヘアムース、ヘアジェル、シャンプー、ヘアスプレーもしくはヘアフォームの形態をしている。ヘアスプレーは、エアロゾルスプレーと、噴射ガスを含まないポンプ式スプレーの両方を含む。ヘアフォームは、エアロゾルフォームと、噴射ガスを含まないポンプ式フォームの両方を含む。
【0196】
好ましいヘアトリートメント組成物はゲルの形態をしている。このようなヘアトリートメント組成物は、例えば、以下のものを含む:
a)約0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の少なくとも1種のポリマーA)(先に定義した通り)、
b)0〜40重量%の、C2-C5-アルコールから選択される少なくとも1種の担体(溶剤)、特にエタノール、
c)0.01〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%の少なくとも1種の増粘剤、
d)0〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の、a)とは異なる少なくとも1種のセット用ポリマー、好ましくは水溶性のノニオンポリマー、
e)0〜1重量%の少なくとも1種の脂肪補給剤、好ましくは、グリセロールおよびグリセロール誘導体から選択されたもの、
f)0〜1重量%の別の活性成分および/または補助剤、例えば、少なくとも1種のシリコーン化合物、
g)0〜1重量%の少なくとも1種のUV吸収剤、
h)合計が100重量%になるまでの水。
【0197】
ヘアトリートメント組成物はまた、ローション(フォーミングウォーターもしくはスタイリングウォーター)、ヘアスプレーまたはヘアフォームの形態をしていてもよい。ヘアスプレーおよびヘアフォームは、好ましくは、水溶性または水分散性成分を主に含むか、もしくはそれだけからなる。本発明のヘアスプレーおよびヘアフォームに用いられる化合物が水分散性である場合には、これらは、粒径が通常1〜350 nm、好ましくは1〜250 nmの水性ミクロ分散液の形態で用いることができる。これら製剤の固形分は、通常約0.5〜20重量%の範囲である。これらミクロ分散液は、一般にその安定化のために乳化剤または界面活性剤を必要としない。
【0198】
さらに、本発明のヘアトリートメント組成物は、一般に、通常の化粧品補助剤、例えば、柔軟剤、例えば、グリセロールおよびグリコール;エモリエント剤;香料;界面活性剤;紫外線吸収剤;染料;帯電防止剤;クシ通りを改善するための物質;防腐剤;ならびに消泡剤を含むことができる。
【0199】
本発明の組成物をヘアスプレーとして製剤化する場合、これらは十分な量の噴射剤、例えば、低沸点の炭化水素またはエーテル、例えば、プロパン、ブタン、イソブタンもしくはジメチルエーテルを含む。また、圧縮ガス、例えば、窒素、空気もしくは二酸化炭素も噴射剤として用いることができる。その場合、噴射剤の量を低く維持することにより、VOC含量を不必要に増やさないようにすることができる。その量は、一般に、組成物の合計重量に基づき、55重量%以下である。しかし、所望であれば、VOC含量をこれより高く、すなわち、85重量%以上にすることも可能である。
【0200】
前記ポリマーA)を他の毛髪用ポリマーと組み合わせて前記組成物に用いることもできる。好適なポリマーは、前述したポリマーである。
【0201】
その他の毛髪用ポリマーは、組成物の合計重量に基づき、10重量%以下の量で存在するのが好ましい。
【0202】
ヘアスプレーまたはヘアフォームの形態の好ましいヘアトリートメント組成物は、以下のものを含む:
a)約0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の少なくとも1種のポリマーA)(すでに定義した通り)、
b)水および水混和性溶剤、好ましくはC2-C5-アルコール、特にエタノール、ならびにそれらの混合物から選択される、50〜99.5重量%、好ましくは55〜99重量%の担体(溶剤)、
c)好ましくは、ジメチルエーテルおよびアルカン(例えば、プロパン/ブタン混合物など)から選択される、3〜70重量%、好ましくは5〜50重量%の噴射剤、
d)0〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%の、a)とは異なる少なくとも1種の毛髪用ポリマー、好ましくは水溶性または水分散性ポリマー、
e)0〜0.5重量%、好ましくは0.001〜2重量%の少なくとも1種の水溶性もしくは水分散性シリコーン化合物、
ならびに、任意にさらに別の活性成分および/または補助剤(すでに定義した通り)。
【0203】
本発明の組成物は、成分e)として、少なくとも1種のシロキサン含有の水溶性もしくは水分散性ノニオンポリマー、特に、前記ポリエーテルシロキサンから選択されるものを含んでもよい。この成分の比率は、組成物の合計重量に基づき、一般に約0.001〜2重量%である。
【0204】
コポリマーA)は、これらを含む製剤の流動学的性質を調節するのに有利に適している。上記コポリマーは増粘剤として作用するため、これ以外の増粘物質を使用せずにすむか、あるいは、そのような増粘剤の量を少なくとも低減することができる。
【0205】
コポリマーA)は、調剤においては補助剤、例えば、錠剤コーティング、結合剤もしくはカプセルのコーティングとして、繊維、紙、印刷および皮革産業では、コーティング組成物として、またはそこに含まれるものとして有利に適しており、また農薬用途にも有利に適している。
【0206】
本発明はさらに、コポリマーA(すでに定義した通り)の製造方法を提供し、該方法は、モノマーa)と、モノマーb)およびc)から選択される少なくとも1種の別のモノマーとの遊離基重合を、任意に25重量%以下の水溶性成分d)(成分a)〜d)の合計重量に基づく)の存在下で実施することによるものであり、該重合を水性溶剤中において実施することを含む。本発明のコポリマーAを製造するための重合の好ましい実施形態に関するこれまでの記載事項が、ここにも対応して当てはまる。
【実施例】
【0207】
1.ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンの製造
I)モノ/ジアリル−ポリエーテル−ウレタン
実施例A:
供給材料:
500g(=1モル)のPluriol(登録商標)A 010R(BASF Aktienges.)
83g(=0.5モル)のヘキサメチレンジイソシアネート
撹拌器、滴下漏斗、温度計、還流冷却器、ならびに窒素下で作業するための装置を備えた四つ口フラスコ中で、500g(1モル)のPluriol(登録商標)A 010Rと0.1gのオルトチタン酸テトラブチルを150gのメチルエチルケトン中に、約50℃の温度に加熱しかつ撹拌しながら、溶解させた。次に、撹拌しながら、83g(0.5モル)のヘキサメチレンジイソシアネートを滴下しながら添加したところ、その間に反応温度が上昇した。還流下で、反応混合物を約2時間撹拌した。この反応混合物を435gのエタノールで希釈してから、室温まで冷却した。これにより、透明な50重量%濃度のポリアリル−ポリエーテル−ウレタン溶液が得られた。
【0208】
ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンオリゴマーB〜Fを同様に製造した。さらに、アリル−ポリエーテル−ウレタンL〜O(そのための無溶剤または低溶剤の製造方法を以下に記載する)もこの方法で製造することができる。
【0209】
II)ジメチルシロキサン含有ポリアリル−ポリエーテル−ウレタン
実施例G:
供給材料:
50g(=0.1モル)のPluriol(登録商標)A 010R(BASF Aktienges.)
22.2g(=0.1モル)のイソホロンジイソシアネート
133g(=0.038モル)のPluriol(登録商標)ST 4005(BASF Aktienges.)
撹拌器、滴下漏斗、温度計、還流冷却器、ならびに窒素下で作業するための装置を備えた四つ口フラスコ中で、50g(0.1モル)のPluriol(登録商標)A 010Rと0.03gのオルトチタン酸テトラブチルを15gのメチルエチルケトン中に、約50℃の温度に加熱しかつ撹拌しながら、添加した。次に、撹拌しながら、22.2g(0.1モル)のイソホロンジイソシアネートを滴下しながら添加したところ、その間に反応温度が上昇した。80℃にて20分間撹拌した後、133g(=0.038モル)のPluriol(登録商標)ST 4005を添加した。この反応混合物を80℃にてさらに3時間撹拌した後、190gのエタノールを添加し、80℃でさらに30分撹拌した。室温まで冷却した後、透明な50重量%濃度のポリアリル−ポリエーテル−ウレタン溶液が得られた。
【0210】
ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンH〜Kを同様に製造した。
【表1】

【0211】
Pluriol(登録商標)A 010R: アリルアルコールエトキシレート、Mw=約500、BASF Aktienges.
Pluriol(登録商標)A 011R: アリルアルコールエトキシレートプロポキシレート、Mw=約2000、BASF Aktienges.
Pluriol(登録商標)ST 4005: エトキシル化プロポキシル化ポリジメチルシロキサン、Mw=約8000、BASF Aktienges. *)Mw=約3500(2つのOH基を有するシリコーンに換算)
Tegomer H-Si 2111: ポリ(ジメチルシロキサン)ジオール、Mw=約900、Goldschmidt
NPG: ネオペンチルグリコール
IPDI: イソホロンジイソシアネート
HDI: ヘキサメチレンジイソシアネート
t-BAEMA: tert-ブチルアミノエチルメタクリレート
【0212】
III)アリル基含有ポリエーテル−ウレタン
実施例L:
一段階法で、溶剤を用いずに、実施例Aで記載した装置において製造を実施した。
【0213】
実施例M:
二段階法:第1段階で溶剤を用いず、第2段階ではエタノールを用いる。
実施例Aに記載した装置において、使用するポリエチレングリコールの合計量の57%と、Pluriol(登録商標)A 010Rと、イソホロンジイソシアネートとを、約80℃の温度まで加熱しながら溶剤なしに反応させることにより、イソシアネート基含有プレポリマーを得た。約40℃に冷却した後、エタノールを添加し、プレポリマーを残りのポリエチレングリコール、Tegomer A-Si 2122およびヘキサメチレンジイソシアネートと反応させて、最終生成物を得た。
【0214】
実施例N:
二段階製造法:第1段階ではPluriol(登録商標)A 010RとIPDIを、第2段階ではPluriol(登録商標)ST 4005を用い、両段階とも溶剤は使用しない。
【0215】
実施例O:
二段階製造法:第1段階ではポリエチレングリコール、Pluriol(登録商標)A 010RおよびIPDIを、第2段階ではPluriol(登録商標)ST 4005を用い、両段階とも溶剤は使用しない。
【表2】

【0216】
PEG 1000: ポリエチレングリコール、Mw=1000
Tegomer H-Si 2122: ポリ(ジメチルシロキサン)ジオール、Mw=約1000
Tegomer A-Si 2122: ポリ(ジメチルシロキサン)ジアミン、Mw=約1000
【0217】
2.コポリマーの製造(溶液重合)
実施例6:VP/MAM/VI/ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンAのコポリマー
供給材料1:以下のものからなるモノマー混合物:
ビニルピロリドン 342g
ビニルイミダゾール 12g
メタクリルアミドの15%濃度の水溶液(=210gのメタクリルアミドと
1190gの水) 1400g
ポリアリル−ポリエーテル−ウレタンの50%濃度のエタノール溶液 7.2g
85%濃度のリン酸水溶液(約3gのH3PO4) 3.5g
供給材料2:以下のものからなる開始剤溶液:
Wako V 50[2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩] 6g
水 123g
供給材料3:以下のものからなる開始剤溶液:
Wako V 50[2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩] 4g
水 82g
【0218】
初めに、還流冷却器、内部温度計および4つの独立供給装置を備えた撹拌型装置に176gの供給材料1と12.9gの供給材料2を導入し、この混合物を撹拌しながら約65℃まで加熱した。65℃で重合が開始した後(粘度が上昇し始めるのが認められる)、残りの供給材料1を3時間かけて添加し、残りの供給材料2を4時間かけて添加したところ、その間に内部温度は約68℃まで上昇した。添加が完了したら、反応混合物を70℃でさらに約2時間撹拌した。次に、供給材料3を70℃の温度で30分かけて添加してから、ポリマー溶液を約80℃の温度でさらに約2時間にわたり後重合させた。このポリマー溶液を水蒸気で2時間処理した。これにより、約30%濃度の水性ミクロ分散液が得られた。
【0219】
安定化のために、上記溶液をSchulke & Mayr製のEuxyl K100 (5-クロロ-2-メチル-3-(2)-イソチアゾロン/2-メチル-3-(2H)-イソチアゾロン/ベンジルアルコール)100 ppmで処理した。
【0220】
噴霧乾燥または凍結乾燥により微粉状の生成物を得た。
【0221】
以下の表3に記載した物質のすべてをこれと同様に重合させた。
【表3】

【0222】
VP=ビニルピロリドン
MAM=メタクリルアミド
VFA=ビニルホルムアミド
VI=ビニルイミダゾール
QVI=ビニルイミダゾリウムメチルクロリド
DADMAC=ジアリルジメチルアンモニウムクロリド
PAPEU 1=アリルアルコールエトキシレートPluriol(登録商標)A 010R(BASF)および
ヘキサメチレンジイソシアネートから得たポリアリル−ポリエーテル−ウレタ
ン(実施例Aから)
PAPEU 2=アリルアルコールエトキシレートPluriol(登録商標)ST 4005(BASF)および
イソホロンジイソシアネートから得たポリアリル−ポリエーテル−ウレタン
(実施例Gから)
DAWA=N,N’-ジアリルタルタルジアミド
PEG 6000=ポリエチレングリコール、Mn=6000
【0223】
3.適用例
毛髪化粧品での使用:
1)アニオン増粘剤を含むヘアジェル:実施例番号21〜27
相1: [%] CTFA
ポリマー1〜7(30%濃度水溶液) 10.0
グリセロール 0.3
蒸留水 39.2
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
相2:
Carbopol 940(1%濃度の水性懸濁液) 30.0 カルボマー
トリエタノールアミン 0.5
蒸留水 20.0
ヘアジェルを製造するために、上記成分を計量し、均質化させる。相2は透明な固体ゲルを形成し、そこに相1を低速で撹拌しながら導入する。
【0224】
2)別のセッティングポリマーおよびアニオン増粘剤を含むヘアジェル:実施例番号28〜34
相1: [%] CTFA
ポリマー1〜7(30%濃度水溶液) 7.0
Luviskol VA 64 1.0 ビニルピロリドン−
酢酸ビニルコポリマー
Uvinul MS 40 0.2 ベンゾフェノン−4
グリセロール 0.2
D-パンテノールUSP 0.1 パンテノール
エタノール 20.0
蒸留水 21.0
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
相2:
Carbopol 940(1%濃度水性懸濁液) 30.0 カルボマー
トリエタノールアミン 0.5
蒸留水 20.0
製造:上記2つの相の成分を計量した後、均質化させる。相2は透明な固体ゲルを形成する。相1を低速で撹拌しながら相2に導入する。
【0225】
3)液体ヘアジェル:実施例番号35〜46
[%] CTFA
ポリマー1〜12(30%濃度水溶液) 5.3
Natrosol 250 L(2%濃度水溶液) 25.0 ヒドロキシエチル
セルロース(Hercules)
C-Dry MD 1915(10%濃度水溶液) 25.0 分解デンプン
(Cerestar)
蒸留水 44.7
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
製造:計量した後、室温でゆっくりと均質化させる。
【0226】
4)自己増粘性ヘアジェル(別の増粘剤を含まない):実施例番号47〜52
[%] CTFA
ポリマー15〜20(30%濃度水溶液) 10.0
ポリマー6(30%濃度水溶液) 3.3
グリセロール 0.2
蒸留水 86.5
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
製造:計量し、40℃で均質化させた後、撹拌しながら室温まで冷却する。
【0227】
5)水性ハンドポンプ式ジェル:実施例番号53〜66
[%] CTFA
ポリマー1〜14(30%濃度水溶液) 10.0
Luviskol(登録商標)K 90 1.0 ポリビニルピロリドン
(K値90、BASF)
蒸留水 88.9
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
製造:計量した後、室温でゆっくりと均質化させる。
【0228】
6)VOC 10ハンドポンプ式スプレー:実施例番号67〜73
[%] CTFA
ポリマー1〜7(30%濃度水溶液) 10.0
Belsil(登録商標)DMC 6031 0.10 エトキシル化シリコーン
(Goldschmidt)
蒸留水 79.89
エタノール 10.0
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
【0229】
7)VOC 55エアロゾルヘアスプレー:実施例番号74〜78
[%] CTFA
ポリマー1〜5(30%濃度水溶液) 3.0
Luviset(登録商標)PUR
(30%濃度水/エタノール溶液) 7.0 (PU分散液、BASF)
蒸留水 35.5
ジメチルエーテル 30.0
エタノール 24.5
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
製造:上記ポリマー成分と補助剤を計量し、撹拌しながら水/エタノールに溶解させた後、スプレー容器に移す。最後に、噴射剤ガスを添加する。
【0230】
8)セッティングフォーム:実施例番号79〜90
[%] CTFA
ポリマー1〜12(30%濃度水溶液) 5.0
Cremophor A 25(Ceteareth 25/BASF) 0.2
Comperlan KD(コアミドDEA/Henkel) 0.1
蒸留水 84.6
ジメチルエーテル(3.5バール、20℃) 10.0
その他の添加物:防腐剤、
可溶性エトキシル化シリコーン、香料 適量
製造:計量し、撹拌しながら溶解させる。容器に移し、噴射ガスを添加する。
【0231】
9)ウェットスタイル用セッティングフォーム:実施例番号91〜102
[%] CTFA
ポリマー1〜12(30%濃度水溶液) 10.0
Luviquat(登録商標)Mono LS 2.0 ココトリモニウム
メトスルフェート
グリセロール87% 5.0 グリセロール
蒸留水 72.8
香油 0.2
プロパン/ブタン(3.5バール、20℃) 10.0
防腐剤 適量
製造:計量し、撹拌しながら溶解させる。容器に移し、噴射ガスを添加する。
【0232】
10)シャンプー:実施例番号103〜108
コンディショナーシャンプー:
[%] CTFA
A)Texapon NSO 28%濃度
(ラウリル硫酸ナトリウム//Henkel) 50.0
Comperlan KD(コアミドDEA/Henkel) 1.0
ポリマー15〜20(30%濃度水溶液) 3.0
蒸留水 17.0
香油 適量
B)水 27.5
塩化ナトリウム 1.5
防腐剤 適量
製造:計量し、相A)とB)を別々に溶解させてから、撹拌しながら混合する。相B)をゆっくり撹拌しながら相A)に添加する。
【0233】
皮膚化粧品での使用:
11)標準的O/Wクリーム:実施例番号109〜120
油相: [%] CTFA
Cremophor A6 3.5 セテアレス-6と
ステアリルアルコール
Cremophor A25 3.5 セテアレス-25
グリセロールモノステアレートs.e. 2.5 グリセリルステアレート
パラフィン油 7.5 パラフィン油
セチルアルコール 2.5 セチルアルコール
Luvitol EHO 3.2 セテアリルオクタノエート
ビタミンEアセテート 1.0 酢酸トコフェリル
Nip-Nip 0.1 4-ヒドロキシ安息香酸
メチルおよびプロピル(7:3)
水相: [%]
ポリマー9〜20(30%濃度水溶液) 3.0
水 74.6
1,2-プロピレングリコール 1.5
Germall II 0.1 イミダゾリジニル尿素
製造:計量し、80℃の温度で油相と水相を撹拌しながら別々に均質化させる。水相をゆっくりと撹拌しながら油相に添加する。撹拌しながらゆっくりと室温まで冷却する。
【0234】
12)日中用ローション:実施例番号121〜132
油相: [%] CTFA
Cremophor A6 1.5 セテアレス-6と
ステアリルアルコール
Cremophor A25 1.5 セテアレス-25
グリセロールモノステアレートs.e. 5.0 グリセリルステアレート
Uvinul MS 40 0.5 ベンゾフェノン-4
パラフィン油 3.5 パラフィン油
セチルアルコール 0.5 セチルアルコール
Luvitol EHO 10.0 セテアリルオクタノエート
D-パンテノール50P 3.0 パンテノールおよび
プロピレングリコール
ビタミンEアセテート 1.0 酢酸トコフェリル
Tegiloxan 100 0.3 ジメチコーン
Nip-Nip 0.1 4-ヒドロキシ安息香酸
メチルおよびプロピル(7:3)
水相: [%]
ポリマー9〜20(30%濃度水溶液) 1.5
水 70.0
1,2-プロピレングリコール 1.5
Germall II 0.1 イミダゾリジニル尿素
製造:計量し、80℃の温度で油相と水相を撹拌しながら別々に均質化させる。水相をゆっくりと撹拌しながら油相に添加する。撹拌しながらゆっくりと室温まで冷却する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のアリル基を含むポリエーテル−ウレタンであって、組み込まれた形態で、
a)イソシアネート基に対して反応性の基と、アリル基とを含む少なくとも1種のポリエーテルと、
b)任意に、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2個の基を含む少なくとも1種の化合物と、
c)少なくとも1種のポリイソシアネート、
を含んでなる、上記ポリエーテル−ウレタン。
【請求項2】
組み込まれた形態で、以下の化合物:
b1)1分子につき、イソシアネート基に対して反応性の基を2個含む、分子量が56〜280 g/モルの化合物、
b2)数平均分子量が約300〜5,000のポリエーテルポリオール、
b3)1分子につき、少なくとも2個の活性水素原子と少なくとも1個のシロキサン基を含む、数平均分子量が280より大きい化合物、
ならびにそれらの混合物、
から選択される少なくとも1種の化合物b)を含む、請求項1に記載のポリエーテル−ウレタン。
【請求項3】
組み込まれた形態で、以下の化合物:
−式I.1のポリシロキサン:
【化1】

(式中、
aおよびbは、互いに独立に、1〜8であり、
cは、2〜100であり、
R1およびR2は、互いに独立に、C1-C8-アルキル、ベンジルもしくはフェニルであり、
Z1およびZ2は、互いに独立に、OH、NHR3もしくは式IIの基:
-(CH2CH2O)v(CH2CH(CH3)O)w-H (II)
であるが、式IIにおいて、アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
vおよびwは、互いに独立に、0から200までの整数であるが、その際、vとwの和は>0であり、
R3は、水素、C1-C8-アルキルもしくはC5-C8-シクロアルキルである);
−式I.2のポリシロキサン:
【化2】

(上記式中、
シロキサン単位の順序は任意であり、
基R4は各々、互いに独立に、C1-C8-アルキル、好ましくは、メチル、ベンジルもしくはフェニルであり、
dは、5から1,000までの整数であり、
eは、2から100までの整数であり、
fは、2から8までの整数であり、
Z3は、OH、NHR3(R3は先に定義した通り)、もしくは式IIIの基:
-(OCH2CH2)x(OCH(CH3)CH2)y-OH
であるが、式IIIにおいて、アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
xおよびyは、互いに独立に、0から200までの整数であるが、その際、xとyの和は>0である)、
ならびにそれらの混合物、
から選択される少なくとも1種の化合物b3)を含む、請求項2に記載のポリエーテル−ウレタン。
【請求項4】
組み込まれた形態で、
a)イソシアネート基に対して反応性の基と、アリル基とを含む少なくとも1種のポリエーテルと、
b)任意に、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2個の基を含む少なくとも1種の化合物と、
c)少なくとも1種のポリイソシアネート、
を含んでなる、少なくとも1個のアリル基を含むポリエーテル−ウレタンの製造方法であって、
i)第1段階で、化合物a)と、任意に化合物b)の一部と、ポリイソシアネートc)の少なくとも一部を、溶剤を添加せずに、少なくとも60℃の温度で、イソシアネート基の当量と、イソシアネート基に対して反応性の基の当量との比を1.5:1から2.2:1の範囲にして、反応させることにより、イソシアネート基含有プレポリマーを取得し、
ii)第2段階で、段階i)で取得したプレポリマーを、段階i)でまだ用いていない化合物b)およびc)と反応させることにより、ポリエーテル−ウレタンを取得する、
上記方法。
【請求項5】
段階i)で、ガラス転移温度TGが高くても100℃、好ましくは高くても60℃、のプレポリマーを得る、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
段階i)の反応を、プレポリマーのガラス転移温度より高い温度で実施する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
段階ii)で用いられる化合物b)が、イソシアネート基に対して反応性の基としてヒドロキシル基を有しており、溶剤を添加せずに反応を実施する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
段階ii)で用いられる化合物b)が、イソシアネート基に対して反応性の基として一級または二級アミノ基を有しており、プロトン性極性溶媒の存在下で反応を実施する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
共重合された形態で、請求項1〜3のいずれか1項に記載した少なくとも1種のポリエーテル−ウレタンと、少なくとも1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1種の遊離基重合性化合物を含む、水溶性または水分散性ポリマー。
【請求項10】
少なくとも1種の遊離基重合性親水性ノニオン化合物M1)を共重合形態で含む、請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
前記化合物M1)が、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミド、N-ビニルラクタム、飽和モノカルボン酸のN-ビニルアミド、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸とC2-C4-アルカンジオールとのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸と一級または二級アミノ基を有するC2-C4-アミノアルコールとのアミド、ビニルエーテル、ノニオン親水性ビニル−およびアリル置換複素環式化合物、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項10に記載のポリマー。
【請求項12】
共重合された形態で、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、ならびにそれらの混合物から選択される化合物M1)を含む、請求項11に記載のポリマー。
【請求項13】
さらに、1分子につき1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合と少なくとも1個のイオノゲン性および/またはイオン性基を含む少なくとも1種の遊離基重合性化合物M2)を共重合形態で含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項14】
さらに、1分子につき少なくとも2個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を含む少なくとも1種の遊離基重合性架橋化合物を共重合形態で含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項15】
以下の成分:
d1)ポリエーテル含有化合物、
d2)少なくとも50重量%の、ビニルアルコールから誘導された繰返し単位を有するポリマー、
d3)デンプンおよびデンプン誘導体、
ならびにそれらの混合物、
から選択される成分d)の存在下での遊離基共重合により得られる、請求項10〜14のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項16】
任意に、25重量%までの請求項10に記載の少なくとも1種の成分d)の存在下で、
−重合に用いる成分の合計重量に基づき、1〜25重量%の少なくとも1種のポリアリル−ポリエーテル−ウレタン、
−50〜99重量%の少なくとも1種の遊離基重合性ノニオン化合物M1)、
−1分子につき少なくとも1個のイオノゲン性および/またはイオン性基を有する、0〜25重量%の少なくとも1種のモノマーM2)、
−0〜10重量%の少なくとも1種の架橋剤、
の遊離基重合を行うことにより得られる、請求項10〜15のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項17】
pHが5.5〜8.0の水性溶剤中で遊離基重合を行うことによる請求項10〜16のいずれか1項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項18】
第1重合工程と、これに続く第2重合工程を含み、第1および第2重合工程の間に、反応混合物を水蒸気によるストリッピングまたは水蒸気蒸留に供する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
A)請求項9〜16のいずれか1項に記載の少なくとも1種の水溶性または水分散性ポリマーと、
B)少なくとも1種の化粧品として許容される担体、
を含む化粧用または医薬用組成物。
【請求項20】
成分B)が、
i)水、
ii)水混和性有機溶剤、好ましくはC1-C4-アルカノール、
iii)油、脂肪、蝋、
iv)C6-C30-モノカルボン酸と、iii)とは異なる一価、二価もしくは三価アルコールとのエステル、
v)飽和非環式および環式炭化水素、
vi)脂肪酸、
vii)脂肪アルコール、
ならびにそれらの混合物、
から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
コポリマーAとは異なる少なくとも1種の成分をさらに含み、この成分は、化粧品として活性な成分、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、香油、増粘剤、毛髪用ポリマー、毛髪および皮膚用コンディショナー、グラフトポリマー、水溶性または分散性シリコーン含有ポリマー、紫外線防止剤、脱色剤、ゲル形成剤、ケア剤、着色剤、色味剤、日焼け剤、染料、顔料、粘度付与剤、保湿剤、脂肪補給剤、コラーゲン、タンパク質水解物、脂質、抗酸化剤、消泡剤、帯電防止剤、エモリエント剤、および柔軟剤から選択される、請求項19または20に記載の組成物。
【請求項22】
溶液、ゲル、ワックス、フォーム、スプレー、軟膏、クリーム、乳濁液、懸濁液、ローション、乳液もしくはペーストの形態をした、請求項19〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
請求項9〜16のいずれか1項に記載のポリマーの、スキンクレンジング組成物、皮膚のケアおよび保護用組成物、ネイルケア組成物、デコラティブ化粧品用の組成物、ならびにヘアトリートメント組成物における使用。
【請求項24】
増粘剤、セッティング剤および/またはコンディショナーとしての、ヘアトリートメント組成物における請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記組成物がヘアジェル、ヘアムース、シャンプー、セッティングフォーム、ヘアトニック、ヘアスプレーもしくはヘアフォームの形態をしている、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
請求項9〜16のいずれか1項に記載のポリマーの、調剤における補助剤としての使用、好ましくは固体医薬剤形のためのコーティング組成物としての、または該組成物における、ならびに、繊維、紙、印刷および皮革産業、ならびに農薬のためのコーティング組成物としての、または該組成物における使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み込まれた形態で、
a)イソシアネート基に対して反応性の基と、アリル基とを含む少なくとも1種のポリエーテルと、
b)任意に、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2個の基を含む少なくとも1種の化合物と、
c)少なくとも1種のポリイソシアネート、
を含んでなる、少なくとも1個のアリル基を含むポリエーテル−ウレタンの製造方法であって、
i)第1段階で、化合物a)と、任意に化合物b)の一部と、ポリイソシアネートc)の少なくとも一部を、溶剤を添加せずに、少なくとも60℃の温度で、イソシアネート基の当量と、イソシアネート基に対して反応性の基の当量との比を1.5:1から2.2:1の範囲にして、反応させることにより、イソシアネート基含有プレポリマーを取得し、
ii)第2段階で、段階i)で取得したプレポリマーを、段階i)でまだ用いていない化合物b)およびc)と反応させることにより、ポリエーテル−ウレタンを取得する、
上記方法。
【請求項2】
段階i)で、ガラス転移温度TGが高くても100℃、好ましくは高くても60℃、のプレポリマーを得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階i)の反応を、前記プレポリマーのガラス転移温度より高い温度で実施する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階ii)で用いられる化合物b)が、イソシアネート基に対して反応性の基としてヒドロキシル基を有しており、溶剤を添加せずに反応を実施する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
段階ii)で用いられる化合物b)が、イソシアネート基に対して反応性の基として一級または二級アミノ基を有しており、プロトン性極性溶媒の存在下で反応を実施する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ヘアトリートメント組成物におけるセッティング剤および/またはコンディショナーとしての水溶性または水分散性ポリマーの使用であって、該ポリマーは、少なくとも1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1種の遊離基重合性化合物と、少なくとも1種のポリエーテル−ウレタンを共重合形態で含み、前記ポリエーテル−ウレタンが、少なくとも1個のアリル基、および、組み込まれた形態で、
a)イソシアネート基に対して反応性の基と、アリル基とを含む少なくとも1種のポリエーテルと、
b)任意に、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2個の基を含む少なくとも1種の化合物と、
c)少なくとも1種のポリイソシアネート、
を含んでなる、上記使用。
【請求項7】
前記組成物がヘアジェル、ヘアムース、シャンプー、セッティングフォーム、ヘアトニック、ヘアスプレーもしくはヘアフォームの形態をしている、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
固体医薬剤形のためのコーティング組成物としての、または該組成物における、ならびに、繊維、紙、印刷および皮革産業、さらに農業化学分野のためのコーティング組成物としての、または該組成物における、請求項6に記載のポリマーの使用。
【請求項9】
少なくとも1個のアリル基を含むポリエーテル−ウレタンであって、組み込まれた形態で、
a)イソシアネート基に対して反応性の基と、アリル基とを含む少なくとも1種のポリエーテルと、
b)1分子につき、少なくとも2個の活性水素原子と少なくとも1個のシロキサン基を含む、数平均分子量が280より大きい化合物b3)より選択される、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2個の基を含む少なくとも1種の化合物と、
c)少なくとも1種のポリイソシアネート、
を含んでなる、上記ポリエーテル−ウレタン。
【請求項10】
組み込まれた形態で、以下の化合物:
−式I.1のポリシロキサン:
【化1】

(式中、
aおよびbは、互いに独立に、1〜8であり、
cは、2〜100であり、
R1およびR2は、互いに独立に、C1-C8-アルキル、ベンジルもしくはフェニルであり、
Z1およびZ2は、互いに独立に、OH、NHR3もしくは式IIの基:
-(CH2CH2O)v(CH2CH(CH3)O)w-H (II)
であるが、式IIにおいて、アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
vおよびwは、互いに独立に、0から200までの整数であるが、その際、vとwの和は>0であり、
R3は、水素、C1-C8-アルキルもしくはC5-C8-シクロアルキルである);
−式I.2のポリシロキサン:
【化2】

(式中、
シロキサン単位の順序は任意であり、
基R4は各々、互いに独立に、C1-C8-アルキル、好ましくは、メチル、ベンジルもしくはフェニルであり、
dは、5から1,000までの整数であり、
eは、2から100までの整数であり、
fは、2から8までの整数であり、
Z3は、OH、NHR3(R3は先に定義した通り)、もしくは式IIIの基:
-(OCH2CH2)x(OCH(CH3)CH2)y-OH
であるが、式IIIにおいて、アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
xおよびyは、互いに独立に、0から200までの整数であるが、その際、xとyの和は>0である)、ならびに
−それらの混合物、
から選択される少なくとも1種の化合物b3)を含む、請求項9に記載のポリエーテル−ウレタン。
【請求項11】
共重合された形態で、請求項9または10に記載した少なくとも1種のポリエーテル−ウレタンと、少なくとも1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1種の遊離基重合性化合物を含む、水溶性または水分散性ポリマー。
【請求項12】
少なくとも1種の遊離基重合性親水性ノニオン化合物M1)を共重合形態で含む、請求項11に記載のポリマー。
【請求項13】
前記化合物M1)が、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミド、N-ビニルラクタム、飽和モノカルボン酸のN-ビニルアミド、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸とC2-C4-アルカンジオールとのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸と一級または二級アミノ基を有するC2-C4-アミノアルコールとのアミド、ビニルエーテル、ノニオン親水性ビニル−およびアリル置換複素環式化合物、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項12に記載のポリマー。
【請求項14】
共重合された形態で、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、ならびにそれらの混合物から選択される化合物M1)を含む、請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
さらに、1分子につき1個のα,β-エチレン性不飽和二重結合と少なくとも1個のイオノゲン性および/またはイオン性基を含む、少なくとも1種の遊離基重合性化合物M2)を共重合形態で含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項16】
さらに、1分子につき少なくとも2個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を含む少なくとも1種の遊離基重合性架橋化合物を共重合形態で含む、請求項12〜15のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項17】
以下の成分:
d1)ポリエーテル含有化合物、
d2)少なくとも50重量%の、ビニルアルコールから誘導された繰返し単位を有するポリマー、
d3)デンプンおよびデンプン誘導体、
ならびにそれらの混合物、
から選択される成分d)の存在下での遊離基共重合により得られる、請求項12〜16のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項18】
任意に、25重量%までの請求項10に記載の少なくとも1種の成分d)の存在下で、
−重合に用いる成分の合計重量に基づき、1〜25重量%の少なくとも1種のポリアリル−ポリエーテル−ウレタン、
−50〜99重量%の少なくとも1種の遊離基重合性ノニオン化合物M1)、
−1分子につき少なくとも1個のイオノゲン性および/またはイオン性基を有する、0〜25重量%の少なくとも1種のモノマーM2)、
−0〜10重量%の少なくとも1種の架橋剤、
の遊離基重合を行うことにより得られる、請求項12〜17のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項19】
pHが5.5〜8.0の水性溶剤中で遊離基重合を行うことによる請求項12〜18のいずれか1項に記載のポリマーの製造方法。
【請求項20】
第1重合工程と、これに続く第2重合工程を含み、第1および第2重合工程の間に、反応混合物を水蒸気によるストリッピングまたは水蒸気蒸留に供する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
A)請求項11〜18のいずれか1項に記載の少なくとも1種の水溶性または水分散性ポリマーと、
B)少なくとも1種の化粧品として許容される担体、
を含む化粧用または医薬用組成物。
【請求項22】
成分B)が、
i)水、
ii)水混和性有機溶剤、好ましくはC1-C4-アルカノール、
iii)油、脂肪、蝋、
iv)C6-C30-モノカルボン酸と、iii)とは異なる一価、二価もしくは三価アルコールとのエステル、
v)飽和非環式および環式炭化水素、
vi)脂肪酸、
vii)脂肪アルコール、
ならびにそれらの混合物、
から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
コポリマーAとは異なる少なくとも1種の成分をさらに含み、この成分は、化粧品として活性な成分、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、香油、増粘剤、毛髪用ポリマー、毛髪および皮膚用コンディショナー、グラフトポリマー、水溶性または分散性シリコーン含有ポリマー、紫外線防止剤、脱色剤、ゲル形成剤、ケア剤、着色剤、色味剤、日焼け剤、染料、顔料、粘度付与剤、保湿剤、脂肪補給剤、コラーゲン、タンパク質水解物、脂質、抗酸化剤、消泡剤、帯電防止剤、エモリエント剤、および柔軟剤から選択される、請求項21または22に記載の組成物。
【請求項24】
溶液、ゲル、ワックス、フォーム、スプレー、軟膏、クリーム、乳濁液、懸濁液、ローション、乳液もしくはペーストの形態をした、請求項21〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
請求項11〜18のいずれか1項に記載のポリマーの、スキンクレンジング組成物、皮膚のケアおよび保護用組成物、ネイルケア組成物、デコラティブ化粧品用の組成物、ならびにヘアトリートメント組成物における使用。
【請求項26】
増粘剤、セッティング剤および/またはコンディショナーとしてのヘアトリートメント組成物における、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記組成物がヘアジェル、ヘアムース、シャンプー、セッティングフォーム、ヘアトニック、ヘアスプレーもしくはヘアフォームの形態をしている、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
請求項11〜18のいずれか1項に記載のポリマーの、調剤における補助剤としての、好ましくは固体医薬剤形のためのコーティング組成物としての、または該組成物における、ならびに、繊維、紙、印刷および皮革産業、さらに農薬のためのコーティング組成物としての、または該組成物における使用。

【公表番号】特表2006−509877(P2006−509877A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560447(P2004−560447)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014357
【国際公開番号】WO2004/055088
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】