説明

アンテナ装置、監視装置、アンテナ装置の製造方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】従来のアンテナ装置で複数の異なる検知領域にある対象物を検知するためには、放射・受信パターンの異なるアンテナを複数用意して用途に応じて切替えたり、1種類のアンテナ装置を複数配置して合成したり、アレー構造のアンテナの位相を変化させたりしなければならず、サイズが大きくなり、また処理時間や制御が複雑となりコストが高くなるという課題があった。
【解決手段】複数個の平面アンテナ素子15が同一平面内に一列に配列されて構成されたアレーアンテナ素子11、12が2個、その同一平面内で2列に線対称で配置されて構成されたアレーアンテナ10を備える。それらの2列のアレーアンテナ素子11、12に供給する電力を異ならせることにより、目標とする電波の放射または受信パターンが実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を放射または受信するアンテナ装置、そのアンテナ装置を利用する監視装置、およびアンテナ装置の製造方法等に関する。例えば、物体や人体などの対象物を検知する周囲監視装置や、その周囲監視装置に利用されるアンテナ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、自動車の衝突防止のために、車両の周囲に存在する他の車両、自転車、歩行者、ガードレール、側壁等の障害物を検知して運転手に知らせる監視装置が、多くの自動車に搭載されるようになってきている。
【0003】
監視装置には、監視する方向が同じで、異なる複数の領域にある対象物の検知が要求される場合がある。例えば、自動車の前方を監視する監視装置では、走行中には対向車との相対速度が大きくなるために幅が狭くても遠方までの領域にある対象物の検知が要求され、低速走行時には車両周囲の障害物などとの衝突を避けるために、近距離でも広い範囲にある対象物の検知が要求される。
【0004】
このように異なる複数の領域にあるいずれの対象物も検知できるようにするために、従来は、アンテナ装置の電波の放射・受信パターンを、検知する領域毎に変えていた。
【0005】
アンテナ装置の電波の放射・受信パターンを変えるために、放射・受信パターンの異なるアンテナを複数用意して、用途に応じて切替えるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図11に、その特許文献1に開示されている車両用の周辺監視装置の概略構成図を示す。
【0007】
この周辺監視装置は、車両102の前方の遠方までの対象物を検出する遠距離レーダ103と、遠距離レーダ103のビームよりも短距離で広い角度範囲にある対象物を検出する近距離レーダ105および106を備えている。
【0008】
遠距離レーダ103のアンテナから放射されるビームの角度は狭く、例えば数10m先で数m程度の幅の範囲に広がる程度であり、100m以上先までの第1の検知領域104内の範囲を探索対象とすることができる。
【0009】
一方、近距離レーダ105のアンテナと近距離レーダ106のアンテナで合成されるビームの範囲は、車両102の前方の短距離の広い角度範囲に広がり、第2の検知領域107内の範囲を探索対象とすることができる。
【0010】
遠距離レーダ103は、近距離レーダ105および106によって検知不可能な遠方の対象物を検知することができるが、自車両102の直ぐ斜め前などの対象物を検知することはできない。近距離レーダ105および106は、車両102の斜め前を含む横方向に広い範囲の対象物を検知することができる。
【0011】
選択手段108は、自車両102の走行環境や走行状態に基づいて、遠距離レーダ103、近距離レーダ105および106の駆動を選択する。例えば、高速に走行している場合には、近距離レーダ105および106は駆動されずに、遠距離レーダ103のみが駆動されるように選択する。選択されないレーダ装置は駆動されないので、このように制御することにより電力消費の低減を図ることができる。
【0012】
上記の図11で説明した周辺監視装置は、放射・受信パターンの異なるアンテナを複数用いてアンテナ装置の電波の放射・受信パターンを変えるものであるが、1種類のアンテナ装置を複数配置して、その合成波を用いて放射・受信パターンを変化させるものもある。
【0013】
また、アレー構造のアンテナを用いて、各アンテナに接続した位相器によって各アンテナの位相を変化させ合成することにより、放射・受信パターンを変化させるものもある。
【0014】
一方、車両後退時の規格として、米国からERBA(Extended Range Backing Aid Systems)が提案され、またMALSO(Maneuvering Aids for Low Speed Operation)という規格が制定されている。
【0015】
図12(a)に、ERBAで規定されている検知領域範囲を、図12(b)に、MALSOで規定されている検知領域範囲を、それぞれ示している。
【0016】
ERBAは、米国などでよく見ることができる少し広い敷地からバックで車道等に出る際の安全確認を想定した規格であり、図12(a)に示すように、車両102の5m後方までのERBA検知領域110内にある対象物を検知できること、と規定されている。
【0017】
MALSOは、車庫入れ等を想定した、低速後退時の衝突警報についての規格であり、図12(b)に示すように、車両102の前方0.6mまでの範囲および車両102の前方コーナーから進行方向に対して30度広がった範囲のMALSO前方検知領域111と、車両102の後方1.0mまでの範囲および車両102の後方コーナーから進行方向に対して30度広がった範囲のMALSO後方検知領域112の、各領域にある対象物を検知できること、と規定されている。
【0018】
また、ERBAおよびMALSOの規格では、これらの規定された領域内の対象物を検知できると共に、これらの領域外の対象物については検出しないことが要求されている。
【0019】
したがって、ERBA検知領域110とMALSO後方検知領域112の両方の領域にある対象物を検知できる監視装置を車両102後部に設置する場合には、2つの異なる検知領域内にある対象物のみを検知しなければならないので、上記で説明したように、放射・受信パターンの異なる複数のアンテナを用いたり、1種類のアンテナ装置を複数配置してその合成波を用いたり、アレー構造のアンテナを用いて各アンテナの位相を変化させたりして、アンテナ装置の電波の放射・受信パターンを検知領域毎に変える必要がある。
【特許文献1】特開2005−165752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、電波の放射・受信パターンの異なるアンテナを複数用意して用途に応じて切替える構成、1種類のアンテナ装置を複数配置してその合成波を用いる構成、アレー構造のアンテナの位相を変化させる構成の、いずれの従来の構成のアンテナ装置においても、サイズが大きくなり、処理時間や制御が複雑となり、コストが高くなるという課題があった。
【0021】
本発明は、上記従来の課題を考慮して、要求される形状および大きさの検知領域内にある対象物を検知できる電波の放射または受信パターン形状を有し、小型で簡単な構造で安価に実現できる、アンテナ装置、監視装置、およびアンテナ装置の製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、
1つ以上の平面アンテナ素子が同一平面内に一列に配列されて構成されたアレーアンテナ素子が2個、前記同一平面内で2列に実質上線対称で配置されて構成されたアレーアンテナを備え、
前記2列のアレーアンテナ素子間で、少なくとも互いに対向する2つの平面アンテナ素子に供給される電力が異なっているアンテナ装置である。
【0023】
また、第2の本発明は、
前記アレーアンテナ素子は、複数の前記平面アンテナ素子で構成されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のうち少なくとも一方のアレーアンテナ素子を構成する前記平面アンテナ素子に供給される電力は同一である、第1の本発明のアンテナ装置である。
【0024】
また、第3の本発明は、
前記アレーアンテナ素子は、複数の前記平面アンテナ素子で構成されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のうち少なくとも一方のアレーアンテナ素子を構成する各前記平面アンテナ素子に供給される電力には互いに異なるものが含まれる、第1の本発明のアンテナ装置である。
【0025】
また、第4の本発明は、
途中で二股に分岐し、その分岐した各先端がさらに複数個に分岐した1本の給電線を備え、
前記2列のアレーアンテナ素子は、前記複数個に分岐した最先端が前記各平面アンテナ素子に接続されることにより、前記1本の給電線に接続されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれにおいて、そのアレーアンテナ素子を構成している複数の前記平面アンテナ素子に供給される電力は同一であり、
前記給電線の二股に分岐した一方側にアッテネータが設けられている、第2の本発明のアンテナ装置である。
【0026】
また、第5の本発明は、
途中で二股に分岐し、その分岐した各先端がさらに複数個に分岐した1本の給電線を備え、
前記2列のアレーアンテナ素子は、前記複数個に分岐した最先端が前記各平面アンテナ素子に接続されることにより、前記1本の給電線に接続されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれにおいて、そのアレーアンテナ素子を構成している複数の前記平面アンテナ素子に供給される電力は同一であり、
前記給電線の二股に分岐した一方側に、その一方側に接続された前記アレーアンテナ素子への給電をオンオフするスイッチが設けられており、
前記スイッチのオン状態において前記一方側の電力の減衰が実現される、第2の本発明のアンテナ装置である。
【0027】
また、第6の本発明は、
前記スイッチをオフした際に、前記スイッチの電力供給側の端子は、インピーダンス整合をするための付加回路に接続される、第5の本発明のアンテナ装置である。
【0028】
また、第7の本発明は、
使用周波数、前記2列のアレーアンテナ素子間の間隔、および前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれに供給する電力の比が調整されたことにより、所定の目標放射パターン形状が形成されている、第1の本発明のアンテナ装置である。
【0029】
また、第8の本発明は、
前記アレーアンテナ素子は、平面基板上に形成されている、第1の本発明のアンテナ装置である。
【0030】
また、第9の本発明は、
前記平面アンテナ素子は、パッチアンテナである、第8の本発明のアンテナ装置である。
【0031】
また、第10の本発明は、
2つの規格の各検知領域をそれぞれ検知するために必要な形状、大きさの2つの放射パターン領域を合成した形状、大きさの放射パターン領域を有するアンテナ装置であって、
前記アンテナ装置は、1つ以上の平面アンテナ素子が同一平面内に一列に配列されて構成されたアレーアンテナ素子が2個、前記同一平面内で2列に実質上線対称で配置されて構成されたアレーアンテナを備え、
前記2列のアレーアンテナ素子間で、少なくとも互いに対向する2つの平面アンテナ素子に供給される電力が異なっており、
前記2列のアレーアンテナ素子は、いずれもそのアレーアンテナ素子を構成する前記平面アンテナ素子に供給される電力が同一であり、
使用周波数、前記2列のアレーアンテナ素子間の間隔、前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれに供給する電力の比およびその電力値が調整されたことにより、前記合成した形状、大きさの放射パターン領域が実現されている、アンテナ装置である。
【0032】
また、第11の本発明は、
送信用アンテナとして第10の本発明のアンテナ装置と、
前記送信用アンテナから送信され対象物で反射した電波を受信する受信用アンテナとして第10の本発明のアンテナ装置を有する受信部と、
前記受信用アンテナで受信された前記電波の強度に応じて、対象物の有無を判断する判断部とを備えた監視装置である。
【0033】
また、第12の本発明は、
前記監視装置は、車両後部に設置され、
前記2つの規格の検知領域とは、ERBAで規定される検知領域と、MALSOの車両後部側に規定される検知領域である、第11の本発明の監視装置である。
【0034】
また、第13の本発明は、
1つ以上の平面アンテナ素子が同一平面内に一列に配列されて構成されたアレーアンテナ素子が2個、前記同一平面内で2列に実質上線対称で配置されて構成されたアレーアンテナを有し、前記2列のアレーアンテナ素子間で少なくとも互いに対向する2つの平面アンテナ素子に供給される電力が異なっている、所定の目標放射パターン形状を発生させるアンテナ装置の製造方法であって、
使用周波数、前記2列のアレーアンテナ素子間の間隔、および前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれに供給する電力の比を調整することにより、前記目標放射パターン形状を持つアンテナ装置の製造方法である。
【0035】
また、第14の本発明は、
前記目標放射パターン形状の領域は、ERBAで規定される検知領域を検知するための放射パターン領域と、MALSOの車両後部側に規定される検知領域を検知するための放射パターン領域とを合成した放射パターン領域である、第13の本発明のアンテナ装置の製造方法である。
【0036】
また、第15の本発明は、
第11の本発明の監視装置の、前記受信用アンテナで受信された前記電波の強度に応じて対象物の有無を判断する前記判断部としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0037】
また、第16の本発明は、
第15の本発明のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、要求される形状および大きさの検知領域内にある対象物を検知できる電波の放射または受信パターン形状を有し、小型で簡単な構造で安価に実現できる、アンテナ装置、監視装置、およびアンテナ装置の製造方法等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1のアンテナ装置の全体構成図を示す。
【0041】
本実施の形態1のアンテナ装置は、同一平面上に2列に配置されたアレーアンテナ素子11および12で構成されるアレーアンテナ10と、アレーアンテナ10に電力を供給する給電線14と、給電線14上に挿入されたアッテネータ13を備えている。
【0042】
アレーアンテナ素子11および12は同一の構成であり、それぞれ、同一の基板上に1列に配置された複数のパッチアンテナ15によって構成されている。
【0043】
図2に、本実施の形態1のアレーアンテナ10を構成する複数のパッチアンテナ15の構成例を示す。図2は、同一の基板上に形成させた複数のパッチアンテナ15の上面図を示している。ここでは、アレーアンテナ素子11および12を、それぞれ、正方形形状のパッチアンテナ15を4個、等間隔に1列に配列した構成としている。
【0044】
なお、パッチアンテナ素子15が、本発明の平面アンテナ素子の一例にあたる。
【0045】
図1に示すように、1本の給電線14が二股に分岐し、さらに二股で2本に分岐したそれぞれの先端部分で分岐して、分岐したそれらの最先端部分がアレーアンテナ素子11および12を構成している各パッチアンテナ15に接続されている。各パッチアンテナ15へは、給電線14の最先端部分が接続されているそれらの中心付近から電力が供給される。
【0046】
この構成において、アッテネータ13を給電線14に挿入しない場合には、アレーアンテナ素子11および12に同一の電力が供給されることになるが、本実施の形態1では、アレーアンテナ素子12への給電線上にアッテネータ13を挿入しているので、アレーアンテナ素子12に供給される電力は、アレーアンテナ素子11に供給される電力より、アッテネータ13による挿入損失分、低い電力値となる。
【0047】
アッテネータ13の減衰量を変化させると、アレーアンテナ素子11および12に供給される電力値の比が変化する。つまり、アッテネータ13の減衰量を大きくすると、アレーアンテナ素子12に供給される電力値は、アレーアンテナ素子11に供給される電力値に比べて、より小さくなる。
【0048】
アレーアンテナ素子11および12に供給される電力値の比が変化するに伴い、アレーアンテナ10によって形成される放射・受信パターンの形状も変化する。
【0049】
アレーアンテナ素子11および12に供給される電力値の比の変化が、アレーアンテナ10によって形成される放射・受信パターンの形状に影響を与えることについて、図1〜図3を用いて以下に説明する。
【0050】
図3は、シミュレーションにより、アレーアンテナ素子11および12を構成する各パッチアンテナ15間の距離と、アレーアンテナ素子11および12に供給する電力値の比を変化させたときに、アレーアンテナ10によって形成される放射・受信パターンを示している。
【0051】
それぞれ、4つのパッチアンテナ15を等間隔に1列に配置した、図2に示した構成のアレーアンテナ素子11および12において、各アレーアンテナ素子11および12を構成しているパッチアンテナ15の各中心間の距離(素子間隔dy)と、アレーアンテナ素子11とアレーアンテナ素子12をそれぞれ構成しているパッチアンテナ15の各中心間の距離(素子間隔dx)と、アレーアンテナ素子11および12に供給する電力値の比を変化させた場合の、アレーアンテナ10によって形成される各放射・受信パターンを図3に示している。
【0052】
素子間隔dx=素子間隔dyとして、これらの素子間隔を、3mm、9.3mm、12mmとしたそれぞれの場合について、アッテネータ13を挿入しない場合(アレーアンテナ素子11への供給電力値:アレーアンテナ素子12への供給電力値(以下「供給電力比」という)=1:1)、およびアッテネータ13の減衰量を1.25dB、3dB、6dB(それぞれ、供給電力比=「1:0.75」、「1:0.5」、「1:0.25」)とした場合の、それぞれの放射・受信パターンを示している。
【0053】
なお、使用周波数として26GHzを用いたので、ここで設定した各素子間隔3mm、9.3mm、12mmは、それぞれ波長λの、0.26倍、0.81倍、1.04倍に相当する距離である。
【0054】
図3より、各パッチアンテナ15間の素子間隔が異なることにより、アレーアンテナ10によって形成される放射・受信パターンの形状が異なることがわかる。また、素子間隔を9.3mmにした場合および12mmにした場合には、アレーアンテナ素子11およびアレーアンテナ素子12への供給電力比の変化に伴い、アレーアンテナ10によって形成される放射・受信パターンの形状が変化することがわかる。
【0055】
つまり、アレーアンテナ素子11とアレーアンテナ素子12の間隔と、アッテネータ13の減衰量を変化させることにより、アレーアンテナ10によって形成される放射・受信パターンの形状を変化させることができる。
【0056】
自動車の車両後方を監視する監視装置において、図12に示したERBA検知領域110とMALSO後方検知領域112の両方の領域を包含し、かつその領域外の対象物を検知しないような検知領域を持った放射・受信パターンのアンテナがあれば、複数のアンテナを設置して切り替えるなどしなくても、一つのアンテナでこれらの2つの規格の検知領域に対応することができる。
【0057】
図12(a)に示したERBA検知領域110と図12(b)に示したMALSO後方検知領域112を合成した領域の範囲を、図4に示す。
【0058】
図4に太線で示す合成検知範囲40内にある物体を検知できれば、ERBA検知領域110にある対象物とMALSO後方検知領域112にある対象物の両方を検知できることになる。この合成検知範囲40の形状を、図3に示した各放射・受信パターンの形状と比較すると、素子間隔=9.3mmで供給電力比を1:0.5とした場合の放射・受信パターンの形状が、合成検知範囲40の形状を包含し、かつそれ以外の範囲を必要以上に含まない形状であることがわかる。
【0059】
一方、アンテナに供給する電力値を変化させた場合には、検知できる対象物までの到達距離は変化するが、そのアンテナの放射・受信パターンの形状は変化しない。したがって、図2のような構成のアレーアンテナ10で、素子間隔=9.3mmとして、アレーアンテナ素子11およびアレーアンテナ素子12への供給電力比を1:0.5に維持しながら供給電力値を調整することにより、合成検知範囲40を含み、かつそれ以外の範囲を必要以上に含まないような検知領域とすることができる。
【0060】
つまり、図2に示した構成のアレーアンテナ10において、素子間隔=9.3mmで供給電力比を1:0.5とした場合に形成される放射・受信パターンの形状が、ERBA検知領域110とMALSO後方検知領域112の両方の検知領域にある対象物を検知するための理想的な放射・受信パターン形状である、と言える。
【0061】
このように、供給電力比を1:0.5とし、素子間隔を使用周波数(26GHz)の約0.8倍(9.3mm)とすることにより、ERBA検知領域110とMALSO後方検知領域112の両方の検知領域にある対象物を検知するための理想的な放射・受信パターン形状とすることができる。
【0062】
なお、ERBA検知領域110およびMALSO後方検知領域112が、本発明の、2つの規格の検知領域の一例にあたる。また、図3に示した、素子間隔=9.3mmで供給電力比を1:0.5とした場合に形成される放射・受信パターンの形状が、本発明の、所定の放射パターン形状の一例にあたる。また、図4に示した合成検知範囲40の形状が、本発明の所定の目標放射パターン形状の一例にあたる。
【0063】
したがって、図1に示したアレーアンテナ10において、アレーアンテナ素子11およびアレーアンテナ素子12への供給電力比を1:0.5にするために、アッテネータ13として減衰量が3dBのアッテネータを用い、アレーアンテナ素子11とアレーアンテナ素子12の各パッチアンテナ15の中心間の距離を9.3mmとした構成にすることにより、ERBA検知領域110とMALSO後方検知領域112の両方の規格を満たすアンテナ装置とすることができる。
【0064】
このように、ERBA検知領域110とMALSO後方検知領域112の両方の規格を、切り替え制御など必要の無い簡単な構成で満たすことができるので、小型で安価な構成のアンテナ装置を実現できる。
【0065】
したがって、本実施の形態1のアンテナ装置を用いることにより、ERBAとMALSOの両規格を満たすような監視装置も、小型で安価に実現することができる。
【0066】
なお、図1に示した構成では、アレーアンテナ素子11を構成する各パッチアンテナ15に供給される電力を同一とし、アレーアンテナ素子12を構成する各パッチアンテナ15に供給される電力を同一として説明したが、各アレーアンテナ素子で対向するパッチアンテナ15に供給される電力値が異なっていさえすれば、同じアレーアンテナ素子内の各パッチアンテナ15に供給される電力値が異なっていてもよい。
【0067】
図5に、本実施の形態1の他の構成のアンテナ装置の全体構成図を示す。なお、図1と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0068】
図1に示したアンテナ装置では、給電線14が先端で分岐する前の部分にアッテネータ13を挿入していたのに対し、図5に示したアンテナ装置では、給電線14が先端で分岐した後の部分、すなわちアレーアンテナ素子21の各パッチアンテナ15毎の電力が供給される給電線上にアッテネータ22〜25が挿入されている点が異なる。
【0069】
アッテネータ22〜25の各減衰量の違いにより、アレーアンテナ素子21を構成している各パッチアンテナ間に供給される電力値は異なるが、アレーアンテナ素子21のいずれのパッチアンテナ15にもアッテネータが挿入されているので、それぞれ対向するアレーアンテナ素子11のパッチアンテナ15に供給される電力値よりも小さい電力が供給される。
【0070】
したがって、アレーアンテナ20において、アレーアンテナ素子21には、アレーアンテナ素子11に供給されるよりも小さな電力が供給されることになる。
【0071】
図5に示す構成では、アレーアンテナ素子21を構成するパッチアンテナ15毎に供給する電力値を変化させて設定できるので、各アッテネータ22〜25の減衰量を調整することより、図1に示した構成よりもさらに多くの種類の放射・受信パターンを形成させることができる。
【0072】
また、アレーアンテナ素子21を構成する各パッチアンテナ15に供給される電力が、そのパッチアンテナ15に対向するアレーアンテナ素子11を構成するパッチアンテナ15に供給される電力よりも小さければ、アレーアンテナ素子11を構成する各パッチアンテナ15に供給される電力も同一でなくてもよい。
【0073】
また、図5では、アレーアンテナ素子21を構成する各パッチアンテナ15について、それぞれの電力が供給される全ての供給線14上にアッテネータ22〜25を設ける構成としたが、アレーアンテナ素子21を構成するパッチアンテナ15のうち、一部のパッチアンテナ15に供給する供給線14上のみにアッテネータを設ける構成としてもよい。例えば、図5のアンテナ装置の構成において、アッテネータ22のみを残し、アッテネータ23〜25を削除した構成としてもよい。この場合は、アレーアンテナ素子11および12を構成している対向する4組のパッチアンテナ15のうち、対向する1組のパッチアンテナ15に供給される電力が異なり、残りの対向する3組のパッチアンテナ15については同一の電力が供給されることになる。このように、2つのアレーアンテナ素子11および21を構成している対向する複数組のパッチアンテナ15のうち、少なくとも1組のパッチアンテナ15に供給される電力が異なっていればよい。
【0074】
また、図1に示した構成では、アレーアンテナ素子11およびアレーアンテナ素子12を、図2に示すように、平行な2列に配置された複数のパッチアンテナ15の構成としたが、このような構成でなくても、2つのアレーアンテナ素子が実質上線対称に配置されていればよい。
【0075】
なお、本明細書において「実質上線対称」とは、2つのアレーアンテナ素子が厳密に線対称に配置されている場合に限らず、社会通念上「線対称」と言える程度に配置されている場合も含むことを意味する。すなわち、2つのアレーアンテナ素子がほぼ線対称となるように配置されていればよい。
【0076】
図6(a)および(b)に、2つのアレーアンテナ素子の他の構成例の上面図を示している。いずれも図2と同様に、複数の正方形形状のパッチアンテナ15で構成されるが、それらの配置が図2の場合と異なる。
【0077】
図6(a)に示す2つのアレーアンテナ素子26およびアレーアンテナ素子27は、いずれも、複数のパッチアンテナ15が、一直線状ではなく、ジグザクに配置されている。このようなパッチアンテナ15の配置で構成されていても、図6(a)に示すように実質上線対称となるように、2つのアレーアンテナ素子26およびアレーアンテナ素子27が配置されていればよい。
【0078】
図6(b)に示す2つのアレーアンテナ素子28およびアレーアンテナ素子29は、いずれも、複数のパッチアンテナ15が、順次ずれていくように配置されている。このようなパッチアンテナ15の配置で構成されていても、図6(b)に示すように実質上線対称となるように、2つのアレーアンテナ素子28およびアレーアンテナ素子29が配置されていればよく、2つのアレーアンテナ素子が平行に配置されていなくてもよい。
【0079】
なお、本実施の形態1では、各アレーアンテナ素子11および12が、4つのパッチアンテナ15で構成される例で説明したが、各アレーアンテナ素子11および12を構成するパッチアンテナ15の数は、アレーアンテナ素子11および12を構成する数が等しければ、それぞれ1つ以上いくつであってもよい。各アレーアンテナ素子11および12を構成するパッチアンテナ15の数が多いほど、形成される放射・受信パターンの形状の飛び出した部分の先端の角度が小さくなる傾向がある。
【0080】
また、本実施の形態1では、各アレーアンテナ素子11および12を、複数の正方形形状のパッチアンテナ15で構成することとして説明したが、正方形形状以外の形状の複数のパッチアンテナで構成されていてもよい。また、パッチアンテナ以外の複数の平面アンテナで構成されていてもよい。
【0081】
また、本実施の形態1では、各アレーアンテナ素子11および12を構成する複数のパッチアンテナ15が、1枚の基板上に形成されていることとしたが、アレーアンテナ素子11とアレーアンテナ素子12が同一平面上で実質上線対称となるように配置されていれば、アレーアンテナ素子11を構成するパッチアンテナ15と、アレーアンテナ素子12を構成するパッチアンテナ15とが、別の基板上に形成されていてもよい。
【0082】
(実施の形態2)
図7に、本発明の実施の形態2のアンテナ装置の全体構成図を示す。
【0083】
なお、図1と同じ構成部分には同じ符号を用いている。図1と同じ構成部分の説明は省略する。
【0084】
本実施の形態2のアンテナ装置は、図1に示した実施の形態1のアンテナ装置のアッテネータ13の代わりに、アレーアンテナ素子12に電力を供給する給電線14上に、スイッチ部16を挿入したことを特徴とするものである。
【0085】
スイッチ部16をONした場合、スイッチ部16自身の伝送損失により、アレーアンテナ素子12に供給される電力は、アレーアンテナ素子11に供給される電力より、低い電力値となり、実施の形態1と同じく、アレーアンテナ素子11およびアレーアンテナ素子12への供給電力比が1:1の場合とは、アレーアンテナ10によって形成される電波の放射・受信パターンの形状が異なるものとなる。
【0086】
例えば、アレーアンテナ素子11および12の構成を図2に示す構成とし、各アレーアンテナ素子11および12間のパッチアンテナ15の各中心間の距離を9.3mmとし、使用周波数を26GHzとし、スイッチ部16として挿入損失3dBのスイッチを用いた場合には、スイッチ部16をONにすると、アレーアンテナ10によって、図3に示した素子間隔=9.3mmで供給電力比=1:0.5のときの放射・受信パターンが形成されることになる。
【0087】
スイッチ部16をOFFした場合、アレーアンテナ素子12は給電線14と分離されるので、アレーアンテナ10によって形成される放射・受信パターンは、アレーアンテナ素子11のみの特性のパターンの形状に切替わる。
【0088】
アレーアンテナ素子11のみの特性の放射・受信パターンの形状は、図3のdx=3mmの場合のような、円形に近似した形状となる。
【0089】
本実施の形態2のアンテナ装置を車両後部用の監視装置に利用することにより、例えば、通常はスイッチ部16をONにして、ERBAおよびMALSOで規定されている検知領域を検知するようにしておき、それらの検知領域外の対象物も検知させる場合に、スイッチ部16をOFFにして検知させる、といった利用ができる。
【0090】
図8に、本実施の形態2の他の構成のアンテナ装置の全体構成図を示す。
【0091】
なお、図1と同じ構成部分には同じ符号を用いている。図1と同じ構成部分の説明は省略する。
【0092】
図8に示したアンテナ装置は、図7に示したアンテナ装置のスイッチ部16の代わりに3端子のスイッチ部17を用い、スイッチ部17の端子CとGNDとの間に付加回路部18を追加したものである。この付加回路部18は、50Ωで構成される。
【0093】
なお、図8において、L1は、給電線14において、アレーアンテナ素子11とアレーアンテナ素子12への分岐点Aからスイッチ部5の端子Bまでの給電線の長さを示し、L2は、スイッチ部17の内部端子Bと端子C間の長さを示し、L3は、スイッチ部17の端子CからGNDまでの給電線の長さを示している。
【0094】
スイッチ部17の内部端子Bと端子Cが接続された場合、給電線14からアレーアンテナ素子12へ供給される電力は、スイッチ部17の内部端子Bと端子Cを通じて付加回路部18に流れインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0095】
または、付加回路部18の抵抗50Ωを外し、給電線のL1、L2、L3の合計の長さを、アレーアンテナ素子12に供給される信号の波長λの(n*λ)/4(nは奇数)にすることにより、給電線14の分岐点Aからアレーアンテナ素子12を見たインピーダンスを無限大とすることができ、スイッチ部17がアレーアンテナ素子12を分離した場合において、インピーダンスの悪影響を受けることなくアレーアンテナ素子11を駆動させることができる。
【0096】
実施の形態1および2のアンテナ装置は、図1〜図8で説明したように、アレーアンテナ素子12への給電線14上にアッテネータ13またはスイッチ部16や17を挿入することで、電波の放射・受信パターンを容易に変えることができ、車両等に搭載し、用途に応じて放射・受信パターンを変えるレーダ等にも活用できる。
【0097】
なお、アッテネータ13、スイッチ部16や17を挿入する場所は、アレーアンテナ素子12への給電線上の代わりに、アレーアンテナ素子11の給電線上でも結果は同じである。
【0098】
また、上記の例では、2列アンテナを用いて説明したが、さらに多くの3列以上の構成のアレーアンテナにおいても適用可能である。アレーアンテナを構成するアンテナ素子の列数を多くするほど、検知範囲を絞ることができる。
【0099】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3の車両後部監視装置のブロック構成図を示している。また、図10は、本実施の形態3の車両後部監視装置の検知領域を示している。
【0100】
本実施の形態3の車両後部監視装置の構成を、その動作とともに以下に説明する。
【0101】
本実施の形態3の車両後部監視装置は、送信アンテナ31および受信アンテナ32として、それぞれ、実施の形態1または2で説明した構成のアンテナ装置を備えている。これらのアンテナ装置として、図1に示すアレーアンテナ素子11とアレーアンテナ素子12のパッチアンテナ15の各中心間の距離が9.3mmであり、アレーアンテナ素子11とアレーアンテナ素子12に供給される電力比が1:0.5のものを用い、使用周波数として26GHzを用いる。
【0102】
さらに、本実施の形態3の車両後部監視装置30は、送信部33、受信部34、判断部35、タイミング制御部36を備えている。
【0103】
送信部33は、タイミング制御部36からのタイミング信号に基づいて、送信アンテナ31から電波を送出させる。また、タイミング制御部36からのタイミング信号に基づいて、受信部34は、送信アンテナ31から送出され反射してきた電波を受信した受信アンテナ32からの受信信号を取得する。
【0104】
そして、タイミング制御部36からのタイミング信号に基づいて、判断部35は、受信部34で受信した信号を取得し、その受信信号に基づいて検知領域内の対象物の有無を判断する。例えば、タイミング制御部36からのタイミング信号によって決まる期間内に受信部34が受信した受信信号の強度を、判断部35が、予め決められた基準となる受信強度と比較し、その基準となる受信強度以上のレベルか否かによって、検知領域内の対象物の有無を判断する。
【0105】
判断部35は、検知領域内に対象物が存在すると判断した場合には、車両後部監視装置30に接続された出力ユニット37に、その旨を通知する。出力ユニット37は、例えばスピーカやモニタなどであり、対象物が検知領域内に存在する場合には音声等によって運転しているユーザに通知する。
【0106】
なお、車両後部監視装置30が、本発明の監視装置の一例にあたり、受信アンテナ32と受信部34を合わせた構成が、本発明の受信部の一例にあたる。
【0107】
なお、図9では、送信部33、受信部34、判断部35およびタイミング制御部36を各ブロックに分けて記載しているが、例えばマイコンのCPUによって一つのプログラムを実行させることにより、これらの全ての機能を処理させるようにしてもよい。ソフトウェアによって処理させることにより、例えば検知感度などをメモリから読み込ませるようにしておけば、検知感度の設定変更等に柔軟に対応できる。
【0108】
本実施の形態3の車両後部監視装置30は、図10に示すように車両38の後部、例えばリアバンパー内などに取り付けられる。そして、図10に示すような車両38の後部の対象物検知領域39内にある物体や人体などの存在の有無を検知する。
【0109】
本実施の形態3の車両後部監視装置30は、送信アンテナ31および受信アンテナ32として、上記したように実施の形態1または2のアンテナ装置を用いるので、図10に示す対象物検知領域39を示す形状は、図3の素子間隔=9.3mmで供給電力比=1:0.5の場合の受信・放射パターンと同じ形状である。
【0110】
車両後部監視装置30の送信アンテナ31および受信アンテナ32に供給される電力値は、対象物検知領域39が、図4に示す合成検知範囲40の検知領域を含み、それ以外の範囲を必要以上に含まないように設定されている。
【0111】
したがって、車両後部監視装置30は、対象物検知領域39内に存在する対象物のみ、すなわちERBA検知領域110内またはMALSO後方検知領域112内に存在する対象物の存在のみを検知する。
【0112】
なお、対象物検知領域39が、本発明の、2つの放射パターン領域を合成した形状、大きさの放射パターン領域の一例にあたる。
【0113】
なお、上記では、送信アンテナ31と受信アンテナ32の両方に、実施の形態1または実施の形態2のアンテナ装置を用いることとしたが、一方のみに実施の形態1または実施の形態2のアンテナ装置を用いることとし、もう一方には別のアンテナを用いるようにしてもよい。例えば、送信アンテナ31として実施の形態1または実施の形態2のアンテナ装置を用い、受信アンテナ32として、対象物検知領域39を包含する電波受信領域を持った広い指向性のアンテナを用いるようにしてもよい。逆に、受信アンテナ32として実施の形態1または実施の形態2のアンテナ装置を用い、送信アンテナ31として、対象物検知領域39を包含する電波送信領域を持った広い指向性のアンテナを用いるようにしてもよい。
【0114】
また、上記では、送信アンテナ31と受信アンテナ32として2つのアンテナ装置を用いることとしたが、1つのアンテナ装置を送受信で切り替えて用いるようにしてもよい。
【0115】
本実施の形態3の車両後部監視装置30を用いることにより、複数のアンテナを切り替える等の複雑な処理が必要なく、固定された設定のアンテナによる送受信のみの処理で、ERBAとMALSOという2つの規格に対応できる。
【0116】
本実施の形態3の車両後部監視装置30は、実施の形態1や2の簡単な構成のアンテナ装置を用い、また複雑な制御も必要としないので、監視装置30自体も、小型で安価に実現できる。
【0117】
また、本発明のアンテナ装置は、距離測定装置に限定されず各種検出装置においても適用可能である。例えば距離を測定しない検出装置、すなわち、ある特定の検知エリア内にある物体の有無を検知する検出装置や、特定のエリア内への進入を検知する検出装置などにも適用できる。
【0118】
なお、本発明のプログラムは、上述した本発明の監視装置の、前記受信用アンテナで受信された前記電波の強度に応じて対象物の有無を判断する前記判断部の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0119】
また、本発明の記録媒体は、上述した本発明の監視装置の、前記受信用アンテナで受信された前記電波の強度に応じて対象物の有無を判断する前記判断部の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能かつ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協働して利用される記録媒体である。
【0120】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な、ROM等の記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0121】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、インターネット等の伝送媒体、光・電波等の伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0122】
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0123】
なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明に係るアンテナ装置、監視装置およびアンテナ装置の製造方法等は、要求される形状および大きさの検知領域内にある対象物を検知できる電波の放射または受信パターン形状を有し、小型で簡単な構造で安価に実現できる効果を有し、物体や人体などの対象物を検知する監視装置や、その周囲監視装置に利用されるアンテナ装置、そのアンテナ装置の製造方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態1のアンテナ装置の全体構成図
【図2】本発明の実施の形態1のアンテナ装置のアレーアンテナを構成する複数のパッチアンテナの構成例を示す上面図
【図3】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、アレーアンテナ素子を構成する各パッチアンテナ間の距離と、各アレーアンテナ素子に供給する電力値の比を変化させたときの、電波の放射・受信パターン形状を示す図
【図4】ERBA検知領域とMALSO後方検知領域を合成した領域の範囲を示す図
【図5】本発明の実施の形態1の、他の構成のアンテナ装置の全体構成図
【図6】(a)本発明の実施の形態1の、2つのアレーアンテナ素子の他の構成例を示す上面図、(b)本発明の実施の形態1の、2つのアレーアンテナ素子の他の構成例を示す上面図
【図7】本発明の実施の形態2のアンテナ装置の全体構成図
【図8】本発明の実施の形態2の他の構成のアンテナ装置の全体構成図
【図9】本発明の実施の形態3の車両後部監視装置のブロック構成図
【図10】本発明の実施の形態3の車両後部監視装置の検知領域を示す図
【図11】従来の車両用の周辺監視装置の概略構成図
【図12】(a)ERBAで規定されている検知領域範囲を示した図、(b)MALSOで規定されている検知領域範囲を示した図
【符号の説明】
【0126】
10、20 アレーアンテナ
11、12、21、26、27、28、29 アレーアンテナ素子
13、22、23、24、25 アッテネータ
14 給電線
15 パッチアンテナ
16、17 スイッチ部
18 付加回路部
30 車両後部監視装置
31 送信アンテナ
32 受信アンテナ
33 送信部
34 受信部
35 判断部
36 タイミング制御部
37 出力ユニット
38 車両
39 対象物検知領域
40 合成検知範囲
110 ERBA検知領域
111 MALSO前方検知領域
112 MALSO後方検知領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の平面アンテナ素子が同一平面内に一列に配列されて構成されたアレーアンテナ素子が2個、前記同一平面内で2列に実質上線対称で配置されて構成されたアレーアンテナを備え、
前記2列のアレーアンテナ素子間で、少なくとも互いに対向する2つの平面アンテナ素子に供給される電力が異なっているアンテナ装置。
【請求項2】
前記アレーアンテナ素子は、複数の前記平面アンテナ素子で構成されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のうち少なくとも一方のアレーアンテナ素子を構成する前記平面アンテナ素子に供給される電力は同一である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アレーアンテナ素子は、複数の前記平面アンテナ素子で構成されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のうち少なくとも一方のアレーアンテナ素子を構成する各前記平面アンテナ素子に供給される電力には互いに異なるものが含まれる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
途中で二股に分岐し、その分岐した各先端がさらに複数個に分岐した1本の給電線を備え、
前記2列のアレーアンテナ素子は、前記複数個に分岐した最先端が前記各平面アンテナ素子に接続されることにより、前記1本の給電線に接続されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれにおいて、そのアレーアンテナ素子を構成している複数の前記平面アンテナ素子に供給される電力は同一であり、
前記給電線の二股に分岐した一方側にアッテネータが設けられている、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
途中で二股に分岐し、その分岐した各先端がさらに複数個に分岐した1本の給電線を備え、
前記2列のアレーアンテナ素子は、前記複数個に分岐した最先端が前記各平面アンテナ素子に接続されることにより、前記1本の給電線に接続されており、
前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれにおいて、そのアレーアンテナ素子を構成している複数の前記平面アンテナ素子に供給される電力は同一であり、
前記給電線の二股に分岐した一方側に、その一方側に接続された前記アレーアンテナ素子への給電をオンオフするスイッチが設けられており、
前記スイッチのオン状態において前記一方側の電力の減衰が実現される、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記スイッチをオフした際に、前記スイッチの電力供給側の端子は、インピーダンス整合をするための付加回路に接続される、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
使用周波数、前記2列のアレーアンテナ素子間の間隔、および前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれに供給する電力の比が調整されたことにより、所定の目標放射パターン形状が形成されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記アレーアンテナ素子は、平面基板上に形成されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記平面アンテナ素子は、パッチアンテナである、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
2つの規格の各検知領域をそれぞれ検知するために必要な形状、大きさの2つの放射パターン領域を合成した形状、大きさの放射パターン領域を有するアンテナ装置であって、
前記アンテナ装置は、1つ以上の平面アンテナ素子が同一平面内に一列に配列されて構成されたアレーアンテナ素子が2個、前記同一平面内で2列に実質上線対称で配置されて構成されたアレーアンテナを備え、
前記2列のアレーアンテナ素子間で、少なくとも互いに対向する2つの平面アンテナ素子に供給される電力が異なっており、
前記2列のアレーアンテナ素子は、いずれもそのアレーアンテナ素子を構成する前記平面アンテナ素子に供給される電力が同一であり、
使用周波数、前記2列のアレーアンテナ素子間の間隔、前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれに供給する電力の比およびその電力値が調整されたことにより、前記合成した形状、大きさの放射パターン領域が実現されている、アンテナ装置。
【請求項11】
送信用アンテナとして請求項10に記載のアンテナ装置と、
前記送信用アンテナから送信され対象物で反射した電波を受信する受信用アンテナとして請求項10に記載のアンテナ装置を有する受信部と、
前記受信用アンテナで受信された前記電波の強度に応じて、対象物の有無を判断する判断部とを備えた監視装置。
【請求項12】
前記監視装置は、車両後部に設置され、
前記2つの規格の検知領域とは、ERBAで規定される検知領域と、MALSOの車両後部側に規定される検知領域である、請求項11に記載の監視装置。
【請求項13】
1つ以上の平面アンテナ素子が同一平面内に一列に配列されて構成されたアレーアンテナ素子が2個、前記同一平面内で2列に実質上線対称で配置されて構成されたアレーアンテナを有し、前記2列のアレーアンテナ素子間で少なくとも互いに対向する2つの平面アンテナ素子に供給される電力が異なっている、所定の目標放射パターン形状を発生させるアンテナ装置の製造方法であって、
使用周波数、前記2列のアレーアンテナ素子間の間隔、および前記2列のアレーアンテナ素子のそれぞれに供給する電力の比を調整することにより、前記目標放射パターン形状を持つアンテナ装置の製造方法。
【請求項14】
前記目標放射パターン形状の領域は、ERBAで規定される検知領域を検知するための放射パターン領域と、MALSOの車両後部側に規定される検知領域を検知するための放射パターン領域とを合成した放射パターン領域である、請求項13に記載のアンテナ装置の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の監視装置の、前記受信用アンテナで受信された前記電波の強度に応じて対象物の有無を判断する前記判断部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−182580(P2009−182580A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18924(P2008−18924)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】