説明

アントラニル酸アミド誘導体およびその医薬的使用

本発明は新規アントラニル酸アミド誘導体、その製造方法、ヒトまたは動物体を処置するための方法におけるその適用、単独または1種以上の他の医薬活性化合物と組み合わせてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は新規アントラニル酸アミド誘導体、その製造方法、ヒトまたは動物体を処置するための方法におけるその適用、特に腫瘍性疾患のような新生物性疾患の処置のため、網膜症および加齢黄斑変性症の処置のための、単独または1種以上の他の医薬活性化合物と組み合わせてのその使用;動物、特にヒトにおけるかかる疾患の処置法;および新生物性疾患の処置用医薬剤、網膜症または加齢黄斑変性症の処置用医薬剤の製造のための、単独または1種以上の他の医薬活性化合物と組み合わせてのかかる化合物の使用に関する。
【0002】
ある種の疾患は無秩序な血管形成、例えば眼内新血管形成に起因する疾患、例えば網膜症(糖尿病性網膜症を含む)、加齢黄斑変性症、乾癬、血管芽腫、血管腫、動脈硬化症、炎症性疾患、例えばリウマチ様炎症性疾患またはリウマチ性炎症性疾患、特に関節炎、例えば関節リウマチ、またはその他の慢性炎症性障害(例えば慢性喘息)、動脈または移植後アテローム性動脈硬化症、子宮内膜症、および特に新生物性疾患、例えばいわゆる固形腫瘍および体液性腫瘍(例えば白血病)に関連することが知られている。
【0003】
胚発生期、正常な成長期、および多数の病理学的異常ならびに疾患においては、血管系およびその成分の増殖ならびに分化を調節するネットワークの中心に「血管内皮増殖因子」(VEGF)として知られている血管形成因子である、ジスルフィド結合した二量体の46kDa糖タンパク質がその細胞受容体と共に存在する(Breier, G., et al., Trends in Cell Biology 6, 454-6 [1996] 参照)。VEGF受容体は膜貫通受容体チロシンキナーゼである。様々な型のVEGF受容体が知られており、例えばVEGFR−1、VEGFR−2、およびVEGFR−3がある。
【0004】
多数のヒトの腫瘍、特に神経膠腫および癌腫は、高レベルのVEGFおよびその受容体を発現する。これにより、腫瘍細胞が放出するVEGFは、傍分泌様式における毛細血管の増殖および腫瘍内皮の増殖を刺激し、そこで血液供給の改善によって腫瘍増殖を加速するという仮説が導き出されている。VEGFの活性を抗体で阻害した研究から、in vivoにおいて腫瘍血管形成因子としてのVEGFの役割に関する直接的証拠が得られている。
【0005】
血管形成は、最大直径約1〜2mm(この限界までは酸素および栄養は拡散によって腫瘍細胞に供給され得る)を超えて増殖する腫瘍では絶対的必要条件であると見られている。
【0006】
腫瘍に対する血管形成阻害剤の活性においては、3つの基本的な機序が重要な役割を果たしている:1)血管休止腫瘍中への血管、特に毛細血管の増殖を阻害し、その結果、正味の腫瘍増殖がなくなること;2)腫瘍への、また腫瘍からの血流がなくなるように腫瘍細胞の移動を妨げること、および3)内皮細胞の増殖を阻害し、それにより、通常は血管内面を覆う内皮細胞が周辺組織に及ぼす傍分泌増殖刺激効果を回避すること。
【0007】
WO00/27820およびWO01/55114では、VEGF受容体チロシンキナーゼの活性、腫瘍の増殖およびVEGF依存性細胞増殖を阻害することが報告されているアントラニル酸アミド種に属する化合物が記載されている。
【0008】
驚くべきことに、今般、下記の式Iのアントラニル酸アミド誘導体が有利な薬理学的特性を示し、例えばVEGF受容体チロシンキナーゼの活性、腫瘍の増殖およびVEGF依存性細胞増殖を阻害することが見出された。
【0009】
式Iのアントラニル酸アミド誘導体は、例えば疾患の処置、特に血管形成の阻害および/またはVEGF受容体チロシンキナーゼの阻害が有益な効果を示す疾患の処置および予防のために用いるのが適当である。
【0010】
本発明は式I:
【化1】

[式中、
RおよびRはH、ハロゲン、
アルキニル、アルケニル、アルキル(各場合において非置換であるか、またはハロゲンにより置換されている);
非置換または置換単環式または二環式アリール;
O、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換単環式または二環式ヘテロアリール;
少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリル;
モノまたはジアルキルアミノ(ここで、このアルキル基は非置換であるか、または非置換もしくは置換アリール、O、NもしくはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換もしくは置換単環式または二環式ヘテロアリール、または少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリルにより置換されている);
非置換または置換ヘテロシクリルカルボニルアルキルアミノ(ここで、このヘテロシクリル基は少なくとも1個のN原子を含む)であり;
はH、ハロゲン、非置換もしくは置換C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシ、または基−O−(CH−CF、(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
はペルフルオロアルキルであり、
はHまたはハロゲンであり、
Xはヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、式I’:
【化2】

(式中、GはCHまたはNHであり、Rは水素、アルキルまたはアリールである)
で示される基、または式I”:
【化3】

(式中、Rはアルキルまたはアリールである)
で示される基をであり、
ZはNまたはCHであり、そして、
メチレン基はピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHをではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している]
で示されるアントラニル酸アミド、
そのN−オキシドおよび互変異性体、
ならびにまたはかかるアントラニル酸アミド、それらのN−オキシドおよび互変異性体の塩に関する。
【0011】
以上および以下で使用する一般用語は、好ましくは開示の文脈内で、特に断りのない限り下記の意味を有する。
【0012】
接頭辞「低級」は最大7個まで(7個を含む)の炭素原子、特に最大4個まで(4個を含む)の炭素原子を有する基を示し、対象となる基は直鎖状であるか、または1個または複数に分枝している。
【0013】
化合物、塩などについて複数形を使用する際は、これは単数の化合物、塩なども意味する。
【0014】
本発明は式Iの化合物の可能性のある互変異性体にも関する。本明細書において「互変異性体」とは、特にXがヒドロキシである式Iの化合物に関し、これらの化合物は全面的ではなくともある程度、以下に示す互変異性体形態(I−互変異性体)で存在もし、ここで、さらなる基および記号は本明細書に定義されているような意味を有する。
【化4】

【0015】
好ましい実施態様では、アルキル、アルケニルおよびアルカノイルは最大12個までの炭素原子を有し、特に低級アルキル、低級アルケニルおよび低級アルカノイルである。
【0016】
低級アルキルは、好ましくは1個(含む)〜7個(含む)まで、好ましくは1個(含む)〜4個(含む)までのアルキルであって、直鎖または分枝状であり;好ましくは、低級アルキルはブチル、例えばn−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、プロピル、例えばn−プロピルもしくはイソプロピル、エチル、または好ましくはメチルである。
【0017】
アルケニルは好ましくは低級アルケニルである。低級アルケニルは好ましくは2個(含む)〜7個(含む)まで、好ましくは2個(含む)〜5個(含む)までを有するアルケニルであり、直鎖または分枝状であり;好ましくは、低級アルケニルはアリル、ブテニル、例えば2−ブテニル、またはメチル−ブテニル、例えば3−メチル−2−ブテニルである。
【0018】
低級アルカノイルは好ましくは、1個(含む)〜7個(含む)まで、好ましくは1個(含む)〜4個(含む)までを有するアルカノイルであり、直鎖または分枝状であり;好ましくは、低級アルカノイルはホルミルまたはアセチルである。
【0019】
アルキニルは好ましくはC2−7アルキニル、特にエチニル、プロピニルまたは2−ブチニル、特にはプロピニルである。
【0020】
ハロゲンにより置換されているアルキルは、好ましくはペルフルオロアルキルである。
【0021】
本明細書において「ペルフルオロアルキル」とは、全ての水素原子がフルオロ原子により置換されているアルキル基を意味し、好ましくはペルフルオロ低級アルキル、特にトリフルオロメチルである。
【0022】
好ましくは、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している。
【0023】
ハロゲンは特にフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、特にはフッ素、塩素、または臭素である。
【0024】
「アリール」は、その基の芳香環炭素原子に存在する結合を介して分子に結合している芳香族基である。好ましい実施態様では、アリールは6〜14個の炭素原子を有する芳香族基であり、特に単環式アリール、特にフェニル、または二環式アリール、特にナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニルまたはフェナントレニルであり、非置換であるか、または特に、アミノ、一置換または二置換アミノ、ハロゲン、低級アルキル、置換アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル化カルボキシ、アルカノイル、ベンゾイル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジアルキルカルバモイル、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、低級アルキルチオ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、低級アルカンスルホニルおよびフェニルスルホニルから選択される1以上、好ましくは3個まで、特には1個または2個の置換基により置換されている。アリールは、より好ましくはフェニルまたはナフチルであり、各場合において非置換であるか、またはハロゲン、特にフッ素、塩素、または臭素;ヒドロキシ;低級アルキル、例えばメチルにより、またはハロゲン−低級アルキル、例えばトリフルオロメチルによりエーテル化されているヒドロキシ;低級アルキル、例えばメチルまたはプロピル;低級アルキニル、例えば1−プロピニル;エステル化カルボキシ、特に低級アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルまたはイソプロポキシカルボニル;N−一置換カルバモイル、特に低級アルキル、例えばメチル、n−プロピルまたはイソプロピルにより一置換されているカルバモイル;置換アルキル、特に低級アルコキシカルボニル(例えばメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)により置換されている低級アルキル、例えばメチルまたはエチル;低級アルカノイルアミノ、例えばアセチルアミノ;低級アルコキシフェニル;およびハロゲン−低級アルキル、例えばトリフルオロメチルからなる群から選択される1または2個の置換基により独立に置換されている。
【0025】
「少なくとも1個の窒素原子を有するヘテロシクリル」は、特に、1個の窒素原子と、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される0個または1個のさらなるヘテロ原子を有する単環式または二環式基であり、完全に飽和していても部分的に飽和していてもよく、非置換であっても、または前記の「アリール」に関して挙げられている置換基により置換していてもよい。ヘテロシクリルは特にピペリジニル、例えば4−ピペリジニル、モルホリニル、例えば4−モルホリニル、またはピペラジニルであり、非置換であるか、または低級アルキル、例えばN−メチル−ピペラジニルにより置換されている。
【0026】
「O、NまたはSから選択される1〜3個の置換基を有する非置換または置換単環式または二環式ヘテロアリール」は、特に、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルもしくはチエニル、またはトリフルオロメチル、フェニル、アルカノイル、アルカノイルアミノ、低級アルキルまたはハロゲンにより置換されている前記のいずれかの基である。
【0027】
「エーテル化ヒドロキシ」は、特に、特に低級アルコキシ(好ましい)、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、またはn−ペンチルオキシ、フェニル−低級アルコキシ、例えばベンジルオキシ、あるいはまたフェニルオキシ、またはハロゲン−低級アルコキシ、例えばトリフルオロメチルオキシまたは1,1,2,2−テトラフルオロエトキシである。
【0028】
「エステル化ヒドロキシ」は、特に、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、例えばtert−ブトキシカルボニルオキシ、またはフェニル−低級アルコキシカルボニルオキシ、例えばベンジルオキシカルボニルオキシである。
【0029】
「エステル化カルボキシ」は、特に、低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニル、イソ−プロポキシカルボニル、メトキシカルボニルもしくはエトキシカルボニル、フェニル−低級アルコキシカルボニル、またはフェニルオキシカルボニルである。
【0030】
遊離型の新規化合物と、例えばその新規化合物の精製または同定において中間体として使用できる塩を含む、それらの塩形態のものとの間の密接な関係からして、以上および以下で遊離化合物という場合には、適当かつ便宜であれば、その対応する塩についても言及するものと理解される。
【0031】
例えば塩基性窒素原子を有する式Iの化合物からは、好ましくは有機酸または無機酸との酸付加塩などの塩、特に医薬上許容される塩が形成される。好適な無機酸としては、例えばハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸がある。好適な有機酸としては、例えばカルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、桂皮酸、メタンスルホン酸またはエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、2−、3−または4−メチルベンゼンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−またはN−プロピル−スルファミン酸、またはその他の有機プロトン酸、例えばアスコルビン酸がある。
【0032】
単離または精製の目的には、医薬上許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩などの使用も可能である。治療的使用には医薬上許容される塩または遊離化合物が用いられるが(適用できれば医薬製剤の形で)、これらはいずれも好適である。
【0033】
式Iの化合物およびそのN−オキシドは、上記および下記のように価値のある薬理学的特性を有する。
【0034】
VEGF受容体チロシンキナーゼ活性の阻害剤としての本発明の化合物の効果は以下のようにして証明できる。
VEGF受容体チロシンキナーゼに対する活性試験:この試験はFlt−1 VEGF受容体チロシンキナーゼを使用して行う。手順の詳細は次の通りである:30μlのキナーゼ溶液(20mMのトリスHCl pH7.5中10ngのFlt−1のキナーゼドメイン(Shibuya et al., Oncogene 5, 519-24 [1990])、3mM二塩化マンガン(MnCl)、3mM塩化マグネシウム(MgCl)、10μMバナジン酸ナトリウム、0.25mg/mlポリエチレングリコール(PEG)20000、1mMジチオスレイトールおよび3μg/μlポリ(Glu,Tyr)4:1(Sigma, Buchs, Switzerland)、8μM[33P]−ATP(0.2μCi)、1%ジメチルスルホキシド、および0〜100μM(供試化合物)を室温で10分間インキュベーションする。次に0.25Mエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)pH7 10μlを加えて反応を終結させる。多重チャネルディスペンサー(LAB SYSTEMS, USA)を用いて、20μlアリコートをミリポア・マイクロタイターフィルターマニホールドに通しPVDF(=ポリ二フッ化ビニル)Immobilon Pメンブラン(Millipore, USA)に適用し、真空源に接続する。液体を完全に除去した後、膜を0.5%リン酸(HPO)含有浴中で連続的に4回洗浄し、エタノールで1回洗浄し、毎回振盪しながら10分間インキュベーションし、次に、Hewlett Packard TopCount Manifoldにマウントし、Microscint(登録商標)(β−シンチレーションカウンター液)10μlを添加した後、放射能を測定する。IC50値は、3つの濃度の各化合物(通常0.01、0.1および1μM)における阻害率%の線形回帰分析によって求める。式Iの化合物で見られるIC50値は、0.001〜20μMの範囲内、好ましくは0.001〜0.1μMの範囲内にある。
【0035】
本発明の化合物のc−Ablタンパク質−チロシンキナーゼ活性阻害剤としての抗力は次のようにして証明できる。
in vitro酵素アッセイは96ウェルプレートで、Geisslerら、Cancer Res. 1992; 52:4492-4498に記載しているものに次のような改良を施したフィルター結合アッセイとして行う。c−AblのHisタグキナーゼドメインをクローニングし、Bhatら、J.Biol.Chem. 1997; 272:16170-16175に記載しているようなバキュロウイルス/Sf9系で発現させる。37kDのタンパク質(c−Ablキナーゼ)を、コバルト金属キレートカラムの後に陰イオン交換カラムによる二段階法で精製し、1〜2mg/LのSf9細胞を得る(Bhatら、前掲)。このc−Ablキナーゼの純度は、クマシーブルー染色後のSDS−PAGEにより判断すると90%を超える。このアッセイには(全量30μl):c−Ablキナーゼ(50ng)、20mMトリスHCl、pH7.5、10mM MgCl、10μM NaVO、1mM DTTおよび0.06μCi/アッセイ[γ33P]−ATP(5μM ATP)を含み、1%DMSOの存在下で30μg/mlのポリ−Ala:Glu:Lys:Tyrが6:2:5:1(Poly-AEKY, Sigma P1152)を用いる。250mM EDTA 10μlを加えることで反応を終結させ、この反応混合物30μlを、あらかじめメタノールに5分浸漬し、水ですすいだ後に0.5%HPOに5分間浸漬して、真空源を接続していないバキュームマニホールドに取り付けたImmobilon−PVDFメンブラン(Millipore, Bedford, MA, USA)に移す。全てのサンプルをスポットした後、真空源を接続し、各ウェルを200μlの0.5%HPOですすぐ。メンブランを取り外し、シェーカー上で、0.5%HPO(4回)およびエタノールで1回洗浄する。周囲温度で乾燥させ、Packard TopCount 96ウェルフレームに取り付け、10μl/ウェルのMicroscint TM (Packard)を添加した後、カウントする。
【0036】
本発明の化合物の抗腫瘍効力はin vivoで次のように証明できる。
ヌードマウス異種移植モデルでのin vivo活性:雌BALB/cヌードマウス(8〜12週齢、Novartis Animal Farm, Sisseln, Switzerland)を無菌条件下で維持し、水および食餌は自由摂取させる。腫瘍を、マウスへの腫瘍細胞(例えばDu145前立腺癌細胞系統(ATCC HTB81;Cancer Research 37, 4049-58 (1978)参照))の皮下注射によって、またはForene(登録商標)麻酔(Abbott, Switzerland)下で13ゲージのトロカール針を用いる、マウス左脇腹への腫瘍断片(約25mg)の皮下移植によって誘導する。供試化合物による処置を、腫瘍平均容積が100mmに達した直後に開始する。腫瘍増殖を、1週間に2回〜3回、前回の処置の24時間後に直交軸2本の長さを判定することによって測定する。腫瘍容積を、文献記載の方法(Evans et al., Brit. J. Cancer, 45, 466-8[1982])に従って算出する。抗腫瘍効力を、処置動物の腫瘍容積増加平均値を未処置動物(対照)の腫瘍容積増加平均値で割算したのち、100倍して求め、T/C%値と表す。腫瘍の退縮率(%で示す)を、処置開始時の平均腫瘍容積と比較した最小平均腫瘍容積として報告する。供試化合物は毎日に胃管によって投与する。
【0037】
別法として、他の細胞系統を同様にして使用することもできる。例えば:
MCF−7乳腺癌細胞系統(ATCC HTB22;J. Natl. Cancer Inst. (Bethesda) 51, 1409-16 [1973]も参照);
MDA−MB468乳腺癌細胞系統(ATCC HTB132; In Vitro 14, 911-15 [1978] も参照);
MDA−MB231乳腺癌細胞系統(ATCC HTB 26; J. Natl. Cancer Inst. (Bethesda) 53, 661-74 [1974] も参照);
Colo205結腸癌細胞系統(ATCC CCL222; Cancer Res. 38, 1345-55 [1978] も参照);
HCT116結腸癌細胞系統(ATCC CCL247; Cancer Res. 41, 1751-6 [1981] も参照);
DU145前立腺癌細胞系統DU145(ATCC HTB81; Cancer Res. 37, 4049-58 [1978] も参照);および
PC−3前立腺癌細胞系統PC−3(ATCC CRL1435; Cancer Res. 40, 524-34 [1980] も参照)。
【0038】
VEGF誘導KDR受容体自己リン酸化の阻害は、さらなるin vitro細胞実験で確認できる;ヒトVEGF受容体(KDR)を永続的に発現するようにトランスフェクトされたCHO細胞を、6ウェル細胞培養プレート中の完全培養培地(10%ウシ胎児血清=FCS添加)に播種し、5%CO下37℃で、約80%コンフルエンシーを示すまでインキュベーションする。次に供試化合物を培養培地(FCS不含、0.1%ウシ血清アルブミン含有)で希釈し、細胞に加える(対照は供試化合物不含培地)。37℃で2時間インキュベーションした後、組換えVEGFを加える;最終VEGF濃度は20ng/mlである。37℃でさらに5分間インキュベーションした後、細胞を氷冷PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で2回洗浄し、直ちに1ウェル当り溶解バッファー100μlで溶解する。次に溶解液を遠心分離して細胞核を除き、上清のタンパク質濃度を市販のタンパク質検定法(BIORAD)を用いて判定する。その後、溶解液は直ちに使用するか、必要ならば−20℃で保存することができる。
【0039】
KDR受容体のリン酸化を測定するにはサンドイッチELISAを行う:KDRに対するモノクローナル抗体(例えば、Mab 1495.12.14; H. Towbin製造品)を黒色ELISAプレート(OptiPlate(商標) HTRF-96、Packard)上に固定化する。次に、プレートを洗浄し、残っているフリーのタンパク質結合部位をPBS中1%のBSAで飽和する。次に、細胞溶解物(ウェル当りタンパク質20μg)をこれらのプレート中で、アルカルホスファターゼ結合抗ホスホチロシン抗体(PY20: AP、Transduction Laboratories製)と共に一晩4℃でインキュベーションする。次に、(プレートを再洗浄後)抗ホスホチロシン抗体と捕捉されたリン酸化受容体との結合を発光AP基質(CDP-Star, ready to use, with Emerald II;TROPIX)を使用して証明する。発光はPackard Top Count MicroPlate Scintillation Counter(Top Count)で測定する。陽性対照(VEGF刺激)と陰性対照(VEGF刺激なし)とのシグナルの差は、VEGF誘導KDR受容体のリン酸化(=100%)に相当する。供試物質の活性はVEGF誘導KDR受容体リン酸化の阻害率%として算出するが、ここで、最大阻害の半分を誘導する物質の濃度をED50(50%阻害有効濃度)と定義する。
【0040】
式Iの化合物またはそのN−オキシドは、栄養因子が介在するシグナル伝達に関与する他のチロシンキナーゼ、例えばSrcファミリー(特にc−Srcキナーゼ、Lck、およびFyn)由来のキナーゼ;EGFファミリーのキナーゼ、例えばc−erbB2キナーゼ(HER−2)、c−erbB3キナーゼ、c−erbB4キナーゼ;インスリン様成長因子受容体キナーゼ(IGF−1キナーゼ)、特にPDGF受容体チロシンキナーゼファミリーメンバー(例えばPDGF受容体キナーゼ、CSF−1受容体キナーゼ、Kit受容体キナーゼおよびVEGF受容体キナーゼ、およびセリン/トレオニンキナーゼを様々な程度に阻害し、これらは全てヒト細胞を含む哺乳類細胞での増殖調節および形質転換における役割を果たしている。
【0041】
これらの研究に基づいて、本発明の式Iの化合物は特にタンパク質キナーゼに依存する障害、特に増殖性疾患に対して治療効果を示す。
【0042】
炎症性のリウマチ性疾患またはリウマチ様疾患の例としての関節炎の処置における式Iの化合物の有用性は、次のようにして証明できる:
式Iの化合物またはその塩の抗関節炎活性を試験するには、よく知られているラットのアジュバント関節炎モデル(Pearson, Proc. Soc. Exp. Biol. 91, 95-101 [1956])を使用する。アジュバント関節炎は、2種類の異なる投与計画:(i)免疫開始時点でのアジュバントの投与(予防的投与);または関節炎応答がすでに確立された15日目からの投与(治療的投与)、のいずれかで処置することができる。治療的投与計画を用いるのが好ましい。比較のために、例えば5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]チオフェンまたはジクロフェナクのようなシクロオキシゲナーゼ−2の阻害剤を別の群に投与する。
【0043】
詳細に述べれば、雄のWistarラット(一群5匹、体重約200g、Iffa Credo, Franceから供給)の尾の基部に加熱殺菌した結核菌(Mycobacterium tuberculosis)凍結乾燥品0.6mgを含む鉱油0.1mlをi.d.(皮内)注射する。前記ラットを、供試化合物(1日1回3、10または30mg/kg経口投与)またはビヒクル(水)で15日〜22日目まで処置する(治療的投与計画)。実験終了後、足根骨関節の腫脹を微小カリパスで測定する。脚の腫脹の阻害率%はビヒクル処置関節炎動物(0%阻害)およびビヒクル処置正常動物(100%阻害)を参照して算出する。
【0044】
この研究によれば、式Iの化合物は驚くべきことに炎症性疾患、特にリウマチ性疾患またはリウマチ様疾患の処置に適している。
【0045】
VEGF受容体チロシンキナーゼ活性の阻害剤としてのそれらの有効性に基づいて、式Iの化合物は第一に血管の成長を阻害し、そこで例えば特に眼内新血管形成に起因する疾患、特に網膜炎、例えば糖尿病性網膜炎または加齢黄斑変性症、乾癬、血管芽腫、例えば血管腫、糸球体間質細胞増殖性疾患、例えば慢性または急性腎臓病、例えば糖尿病性腎症、悪性腎硬化症、血栓形成性微細脈管障害症候群または移植拒絶、あるいは特に炎症性腎臓病、例えば糸球体腎炎、特に糸球体間質増殖性糸球体腎炎、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎臓病、高血圧性腎硬化症、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、線維症(例えば肝硬変)、糖尿病、子宮内膜炎、慢性喘息、動脈または移植後のアテローム性動脈硬化症、神経変性疾患および、特に新生物性疾患、例えば白血病、特に急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、ならびにその他の「液性腫瘍(liquid tumour)」、特にc−kit、KDRまたはflt−1を発現するもの、および固形癌、特に乳癌、結腸癌、肺癌(特に小細胞性肺癌)、前立腺癌、またはカポジ肉腫などの調節されない血管形成に関連する多数の疾患に対して有効である。式Iの化合物(またはそのN−オキシド)は腫瘍の増殖を阻害し、特に腫瘍の転移拡散および微細転移増殖の予防に適している。
【0046】
式Iの化合物は、単独でまたは1種以上の他の治療剤と組み合わせて投与でき、可能な組合せ治療は固定の組合せの形態であるか、または本発明化合物の投与と1種以上の他の治療剤の投与が交互であるか、または互いに独立であるか、あるいは固定の組合せと1種以上の他の治療剤の組合せ投与の形をとる。式Iの化合物は、その他にまたはそれに加えて特に腫瘍治療では化学療法、放射線療法、免疫療法、外科的施術、またはこれらの組合せとともに投与できる。長期治療も、前記のような他の処置策との関連で、アジュバント療法として等しく可能である。可能性ある他の処置としては、腫瘍退縮後に患者の状態を維持するための療法、または例えばリスクのある患者における予防的化学療法がある。
【0047】
組合せ可能な治療剤は、特に1種以上の抗増殖性、分裂抑制性または細胞傷害性化合物、例えば化学療法剤、または限定されるものではないが、ポリアミン生合成の阻害剤、タンパク質キナーゼ(特にセリン/トレオニンタンパク質キナーゼ、例えばタンパク質キナーゼC、またはチロシンタンパク質キナーゼ、例えばEGF受容体チロシンキナーゼ、またはPDGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤、例えばSTI571(GLEEVEC(登録商標))、サイトカイン、負の増殖レギュレーター、例えばTGF−βまたはIFN−β、アロマターゼ阻害剤、例えばレトロゾールまたはアナストロゾール、SH2ドメイン−リン酸化タンパク質間相互作用の阻害剤、抗エストロゲン、トポイソメラーゼI阻害剤、例えばイリノテカン、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管活性剤、例えばパクリタキセル、ディスコデルモリドまたはエポチロン、アルキル化剤、抗新生物抗代謝物、例えばゲムシタビンまたはカペシタビン、白金化合物たとえばカルボプラチンまたはシスプラチン、抗血管形成化合物、ゴナドレリンアゴニスト、抗アンドロゲン、ビスホスホネート、例えばAREDIA(登録商標)またはZOMETA(登録商標)およびトラスツズマブを含む群から選択される数種の薬剤である。ここにコード番号、一般名、商品名で記載する活性薬剤の構造は、標準的概論「The Merck Index」の現行版またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)などから確認することができる。これらの対応する内容は、引用により本明細書の一部とする。
【0048】
本明細書に後記する式Iの好ましい化合物の好適な群およびそのN−オキシドにあっては、本明細書に前記の一般的定義からの置換基の定義を合理的に使用してもよく、例えば広義のものを狭義のもの、または特に好適であると特徴付けできる定義に置き換えてもよい。
【0049】
さらに、本発明は、網膜症または加齢黄斑変性症の処置用の医薬品を製造するための、式Iの化合物(基および記号が前記で定義されたような意味を有する)、またはそのN−オキシドもしくは医薬上許容される塩の使用に関する。
【0050】
さらに、本発明は、式Iの化合物、またはそのN−オキシドもしくは医薬上許容される塩(基および記号が前記で定義されたような意味を有する)を、該疾患に対して有効な量でその処置を要する温血動物に投与することを含む、VEGF受容体チロシンキナーゼ活性の阻害に応答する新生物性疾患の処置法に関する。
【0051】
さらに、本発明は、式Iの化合物、またはそのN−オキシドもしくは医薬上許容される塩(基および記号が前記で定義されたような意味を有する)を、その疾患に対して有効な量でその処置を要する温血動物に投与することを含む、網膜症または加齢黄斑変性症の処置法に関する。
【0052】
本発明は特に、RがH、ハロゲン、アルキニル、アルケニル、アルキル(各場合において非置換であるか、またはハロゲンにより置換されている);非置換または置換単環式または二環式アリール;O、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換単環式または二環式ヘテロアリール;少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリル;モノまたはジアルキルアミノ(ここで、このアルキル基は非置換であるか、または非置換もしくは置換アリール、O、NもしくはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換もしくは置換単環式または二環式ヘテロアリール、または少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリルにより置換されている);非置換または置換ヘテロシクリルカルボニルアルキルアミノ(ここで、このヘテロシクリル基は少なくとも1個のN原子を含む)であり;RがH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシまたは基−O−(CH−CF、(ここで、nは0、1、2または3である)であり、Rがペルフルオロアルキルであり、RがHまたはハロゲンであり、Xがヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、式I’:
【化5】

(式中、GはCHまたはNHであり、そして、Rは水素、アルキルまたはアリールである)
で示される基、または式I”:
【化6】

(式中、Rはアルキルまたはアリールである)で示される基であり、
ZがNまたはCHであり、ここで、メチレン基がピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、式Iの化合物、またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩に関する。
【0053】
本発明はさらに、特に、RがH、ハロゲン、アルケニル、アルキル、ピリジルアルキルアミノ、モルホリニルアルキルアミノ、アルキルピペラジニルアルキルアミノ、アルキルピペラジニルカルボニルアルキルアミノ、フェニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、アルカノイルまたはアルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
がペルフルオロアルキルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、
式I’(式中、GはCHまたはNHであり、そして、Rは水素またはアルキルである)の基、または
式I”(式中、Rはアルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして、
ここで、メチレン基はピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHをではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、式Iの化合物、
そのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩に関する。
【0054】
より詳しくは、本発明は、RがH、ハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、低級アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、イミノ、低級アルキルイミノ、ハロゲン、
式I’(式中、GはCHまたはNHであり、そして、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして、
ここで、メチレン基はピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、式Iの化合物、
そのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはこのようなアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩に関する。
【0055】
RがH、ハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、低級アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0または1である)であり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして、
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、式Iの化合物、
ならびにそのN−オキシドおよび互変異性体、
ならびにこのような化合物の塩が好ましい。
【0056】
RがH、ハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、またはC2−7アルキニルであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがCHであり、そして、
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオを表す式Iの化合物において、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、式Iの化合物がより好ましい。
【0057】
特に、RがH、ハロゲン、アリル、3−メチル−ブテン−2−イル、プロピル、エチルアミノ、ピリジルエチルアミノ、モルホリニルエチルアミノ、N−メチル−ピペラジニルプロピルアミノ、N−メチル−ピペラジニルエチルアミノ、N−メチル−ピペラジニルアセチルアミノ、ベンジルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、ホルミルまたはアセチルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、プロピル、プロピニルであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがCHであり、そして、
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオである式Iの化合物において、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、式Iの化合物が好ましい。
【0058】
Rがハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がHであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHであり、
Xがヒドロキシまたは低級アルコキシであり、
ZがCHであり、かつ、
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合している、式Iの化合物がさらに好ましい。
【0059】
より具体的には次の式Iの化合物が挙げられる:
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[2−ブロモ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピニル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド塩酸塩、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピニル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[2−(1−エトキシエテニル)−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(2−アセチル−4−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロプロポキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−トリフルオロメトキシ]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチンアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−5−ブロモ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(6−メトキシ−5−フェニル−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(6−オキソ−5−フェニル−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−アリル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−プロピル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−アリル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−プロピル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−エチルアミノ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−エチルアミノ−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({6−メトキシ−5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、および
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
から選択される請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはこのようなアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【0060】
さらに、特に、
およびRがHであり、RがCFであり、ZがCHであり、XがOHまたはOMeであり、
メチレン基がピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、そして、
Rが次の基:
【化7】

である、式Iの化合物が挙げられる。
【0061】
本発明の新規化合物には今まで適用されたことはないが、それ自体は知られている製法、特に式I[式中、Xは低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルイミノまたはハロゲンであり、そして、残りの記号R、R、RおよびZが式Iの化合物に関して定義された通りである]で示される化合物の合成を特徴とする製法、すなわち式II:
【化8】

[式中、R、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して定義された通りである]
で示される化合物を式III:
【化9】

[式中、Xは低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルイミノまたはハロゲンであり、かつ、Rは式Iの化合物に関して前記に示されている]
で示されるカルボニル化合物と還元剤の存在下で反応させること;
式IIおよび式IIIの出発化合物は、必要であれば官能基が保護された形で存在していてもよく、かつ/または塩形成基が存在し、塩形態での反応が可能であれば塩型形態で存在してもよいこと;
式Iの化合物の保護誘導体では保護基を除去すること;
さらに所望により、得られる式Iの化合物を式Iの別の化合物またはそのN−オキシドに変換すること;式Iの遊離化合物を塩に変換すること;式Iの化合物の得られる塩を遊離化合物または他の塩に変換すること;および/または式Iの異性体化合物の混合物を個々の異性体に分離することを含む方法により製造される。
【0062】
還元的アルキル化の詳細な説明:
下記工程の詳細な説明において、R、R、R、R、RおよびZは特に断りのない限り式Iの化合物に関して定義された通りである。
【0063】
式IIIのカルボニル化合物は、反応性誘導体の形で存在することもあるが、遊離のアルデヒドまたはケトンが好適である。
【0064】
式IIIの化合物の反応性誘導体は、例えば対応する重亜硫酸付加物または特に式IIIの化合物とアルコール、例えば低級アルカノールとのヘミアセタール、アセタール、セミケタールまたはケタール;または式IIIの化合物とメルカプタン、例えば低級アルカンスルフィドとのチオアセタールまたはチオケタールである。
【0065】
還元的アルキル化は、好ましくは触媒、特に貴金属触媒、例えば白金または特にパラジウムであって、好ましくは担体物質、例えば炭素に結合したものの存在下での水素化;または重金属触媒、例えばラネーニッケルの存在下、常圧でまたは0.1〜10メガパスカル(MPa)の圧力での水素化;または水素化物複合体、例えば水素化ホウ素類、特に水素化シアノホウ素アルカリ金属類、例えば水素化シアノホウ素ナトリウムによる、適当な酸、好ましくは比較的弱い酸、例えば低級アルカンカルボン酸、特に酢酸、またはスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下での還元を通常の溶媒、例えばアルコール類、例えばメタノールもしくはエタノール、またはエーテル類、例えば環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン中で水の存在下または不在下にて実施する。
【0066】
保護基
式IIまたはIIIの化合物において、例えばカルボキシ、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプトなどの1以上の他の官能基を反応に関与させないために保護するか、保護する必要があれば、これらの保護基は、ペプチド化合物およびセファロスポリンおよびペニシリン化合物ならびに核酸誘導体および糖類の合成で通常用いられる基である。
【0067】
保護基は前駆体のうちから存在させてもよく、また、例えばアシル化、エーテル化、エステル化、酸化、加溶媒分解、および同様の反応のような望ましくない副反応から目的とする官能基を保護するものでなければならない。典型的には加溶媒分解、還元、光分解によって、また例えば生理学的条件に類似の条件下の酵素活性によって容易に、すなわち望ましくない副反応なしに除去されるようになっていること、およびその基は最終生成物には存在しないことが保護基の特性である。専門家はどの保護基が上記および下記の反応に適しているかを知っているかまたは容易に判定できる。
【0068】
かかる保護基による官能基の保護、保護基自体およびその除去反応は、例えばJ. F. W. McOmie, 「Protective Groups in Organic Chemistry」, Plenum Press, London and New York 1973; in T. W. Greene, 「Protective Groups in Organic Synthesis」, Wiley, New York 1981; 「The Peptides」, Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981; 「Methoden der organischen Chemie」 (Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974;H.-D. Jakubke and H. Jescheit, 「Aminosauren, Peptide, Proteine」 (Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982; Jochen Lehmann,「Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate」 (Chemistry of carbohydrates: monosaccharides and derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974などのような標準的な文献に記載されている。
【0069】
追加工程
塩形成基を持つ式Iの化合物の塩は、それ自体公知の方法で製造することができる。すなわち、式Iの化合物の酸付加塩を酸または適当なアニオン交換試薬で処理することによって得ることができる。化合物当り酸二分子との塩(例えば式Iの化合物のジハロゲニド)を化合物当り酸一分子との塩(例えばモノハロゲニド)に変換することもでき、これは加熱溶融するか、または例えば高圧、高温、例えば130〜170℃下で固体を加熱し、式Iの化合物一分子当り酸一分子を駆逐することによって行うこともできる。
【0070】
塩は通常、例えば適当な塩基性試薬、例えば炭酸アルカリ金属、炭酸水素アルカリ金属、または水酸化アルカリ金属、典型的には炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムで処理して遊離化合物に変換できる。
【0071】
式IIと式IIIの化合物の反応によって得られた、Xが低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルイミノまたはハロゲンである式Iのアントラニル酸アミドは、次のような工程(a)および(b)またはその双方に従ってさらに反応させることができる。
【0072】
工程(a):Xが低級アルコキシであり、かつ、残りの記号および基が式Iの化合物に関して定義された通りである式Iのアントラニル酸アミドを、例えば適当な溶媒、例えばクロロホルムのようなハロゲン化アルカン中、45℃〜70℃の温度で約20〜35時間、ヨウ化トリメチルシリルで処理し、所望により、その後メタノールで処理することで、Xがヒドロキシである式Iの化合物に変換する。
【0073】
工程(b):Xがハロゲン、好ましくは臭素であり、かつ、残りの記号および基が式Iの化合物に関して定義された通りである式Iのアントラニル酸アミドを、ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような適当な芳香族溶媒中、12〜48時間、90℃〜150℃の温度にて、好ましくはアルゴン雰囲気下、適当な触媒、好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下で、式VII:
【化10】

[式中、RはHまたは低級アルキルであり、そして、Rは低級アルキル、例えばトリブチル−(1−エトキシエテニル)スタンナンである]
で示されるスタンナンと反応させることにより、Xが式I”の基である式Iの化合物に変換する。
【0074】
得られた、Xが式I”の基である式Iの化合物は、Xが式I”の基である式Iの化合物を適当な溶媒、例えばイソプロパノールのようなアルコールとテトラヒドロフラン混合物に溶解したものと、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン中の塩化水素の溶液を、10〜35℃の温度で1〜12時間反応させることにより、Xが式I’の基である式Iの化合物に変換する。
【0075】
がハロゲン、好ましくは臭素である式Iのアントラニル酸アミドは次の工程(C)に従ってさらに反応させることができる。
【0076】
工程(c):Rがハロゲンである式Iのアントラニル酸アミドをベンゼン、トルエンまたはキシレンのような適当な芳香族溶媒に溶解し、式VIII:
【化11】

[式中、RはHまたは低級アルキルである]
で示されるスタンナンと、ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような適当な芳香族溶媒中、12〜36時間、90℃〜150℃の温度で、好ましくはアルゴン雰囲気下、適当な触媒、好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下で反応させる。
【0077】
得られた、Rがアルキニル基−C≡C−Rを表す式Iの化合物は、当技術分野で公知の還元反応により、対応するアルケニルまたはアルキル基に変換することができる。例えば、Rがアルキニル基−C≡C−Rである式Iの化合物はメタノール中、常圧、5%白金/炭素上、15℃〜30℃の温度で水素化し、RがC2−7アルキルである式Iの化合物を得ることができる。
【0078】
一般法の条件
本明細書に記載の全ての工程は公知の反応条件下、好ましくは具体的に記載した条件下、溶媒または希釈液、好ましくは例えば使用する試薬に対して不活性であり、それらを溶解させることができるものの不在下または通常は存在下、反応および/または反応体の種類に応じて触媒、縮合剤、または中和剤、例えばイオン交換体、典型的には陽イオン交換体、例えばH型の不在または存在下、低温、常温または高温、例えば−100℃〜約190℃の範囲、好ましくは−80℃〜約150℃、例えば−80〜−60℃、室温、−20〜40℃または使用する溶媒の沸点で、常圧下かまたは密閉容器内で、適当であれば加圧下および/または不活性雰囲気下、例えばアルゴンまたは窒素下で行うことができる。
【0079】
塩は、全ての出発化合物および一時物において、これらが塩形成基を含んでいる場合に存在しうる。反応が妨げられない限り、このような化合物の反応中に塩が存在してもよい。
【0080】
選択対象となる、目的の反応に適した溶媒としては、本工程の記載において特に断りのない限り、例えば水;エステル類、典型的には低級アルキル−低級アルカノエート、例えば酢酸ジエチル;エーテル類、典型的には脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン;液体芳香族炭化水素、典型的にはベンゼンまたはトルエン;アルコール類、典型的にはメタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール;ニトリル類、典型的にはアセトニトリル;ハロゲン化炭化水素、典型的にはジクロロメタン;酸アミド、典型的にはジメチルホルムアミド;塩基、典型的には複素環式窒素塩基、例えばピリジン;カルボン酸、典型的には低級アルカンカルボン酸、例えば酢酸;無水カルボン酸、典型的には無水低級アルカン酸、例えば無水酢酸;環状、直鎖または分枝状炭化水素、典型的にはシクロヘキサン、ヘキサン、またはイソペンタン;またはこれらの溶媒の混合物、例えば水溶液が挙げられる。
【0081】
式Iの化合物は、それらの塩を含め、水和物の形でも得られ、あるいはそれらの結晶は例えば結晶化に用いた溶媒を含みうる(溶媒和物として存在)。
【0082】
好ましい実施態様では、式Iの化合物は実施例に記載の工程および工程段階に従って、またはそれと類似のようにして製造される。
【0083】
有効成分の用量は、患者のタイプ、種、齢、体重、性別および健康状態;処置する症状の重篤度;投与経路;患者の腎機能および肝機能;用いる特定の化合物を含む様々な要因によって異なる。通常の技術の医師、臨床医または獣医ならばその症状の予防、対処または進行の休止に必要な薬物の有効量を容易に決定および処方することができる。薬物濃度を毒性なく効力を得る範囲内に至らせる上で最適な判断を行うには、標的部位に対する薬物のアベイラビリティーの動態に基づく投与計画が必要である。これには、薬物の分布、平衡状態および排泄に関する考慮が含まれる。
【0084】
温血動物、例えば体重約70kgのヒトへ投与する式Iの化合物またはその医薬上許容される塩の用量は、1人1日当たり好ましくは約3mg〜約5g、より好ましくは約10mg〜約1.5g、最も好ましくは約100mg〜約1000mgであり、例えば同じ大きさであってよいが、1〜3の単位用量に分割するのが好ましい。通常、小児には成人の半分を投与する。
【0085】
本発明はまた、有効量、特に前記障害のうち1つの処置に有効な量の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体を、局所、腸内、例えば経口もしくは直腸、または非経口投与に適したものであり、無機または有機性の固体または液体であってよい医薬上許容される担体とともに含む医薬組成物に関する。経口投与には、特に、有効成分を希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、マンニトール、および/またはグリセロール、および/または滑沢剤および/またはポリエチレングリコールとともに含む錠剤またはゼラチンカプセル剤が用いられる。錠剤はまた、結合剤、例えば、デンプン類、例えばトウモロコシ、小麦または米デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、ならびに所望により崩壊剤、例えばデンプン類、寒天、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、および/または発泡混合物、または吸収剤、色素、香味剤および甘味剤を含んでもよい。また、本発明の薬理活性化合物を非経口投与可能な組成物の形または点滴溶液の形で使用することもできる。これらの医薬組成物は滅菌可能であり、かつ/または賦形剤、例えば保存剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩および/またはバッファーを含んでもよい。本医薬組成物は所望により他の薬理活性物質を含んでもよく、自体公知の方法、例えば通常の混合、造粒、糖剤化、溶解または凍結乾燥工程によって製造され、約1%〜95%、特に約1%〜約20%の活性成分を含む。
【0086】
さらに、本発明は、抗腫瘍上有効な量の前記式Iの化合物またはかかる化合物の医薬上許容される塩を医薬担体とともに含む、ヒトを含む温血動物の腫瘍の処置用医薬組成物に関する。
【0087】
加えて、本発明は、ヒトまたは動物体の処置法に用いるための、式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩を提供する。
【0088】
本発明はまた、新生物性疾患、網膜症または加齢黄斑変性症の処置用医薬品を製造するための、式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩の使用に関する。
【0089】
この他、本発明は、VEGF受容体チロシンキナーゼ活性の阻害に応答する新生物性疾患の処置法であって、該疾患に対して有効な量の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドまたはその互変異性体の医薬上許容される塩を、その処置を要する温血動物に投与することを含む方法を教示する。
【0090】
出発材料
新規出発材料および/または中間体、ならびにその製法は本発明の主題と同様である。好ましい実施態様では、かかる出発材料を用い、好ましい化合物が得られるように反応条件を選択する。
【0091】
式III、IVおよびVの出発材料は公知であるか、市販されているか、または当技術分野で公知の方法と類似のようにして、またはそのような方法に従って合成することができる。
【0092】
例えば、式IIの化合物は、式IV:
【化12】

[式中、R〜RおよびZは式Iに示されたような意味を有する]
で示されるニトロ化合物の還元によって製造できる。
【0093】
この還元は、好ましくは、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノール中、適当な触媒、例えばラネーニッケル(好ましくは、次に加圧下、例えば2〜20バールで水素を用いる)またはPtOの存在下で、適当な還元剤、例えば塩化スズ(II)または水素の存在下にて起こる。反応温度は好ましくは0〜80℃、特に15〜30℃である。
【0094】
式IVで示されるニトロ化合物は、式VI:
【化13】

[式中、Zは前記定義の通りであり、Yはハロゲンまたは別の適当な脱離基である]
で示される活性化した酸誘導体と、式V:
【化14】

[式中、R〜Rは式Iに関して定義された通りである]
で示されるアミンを、例えばカップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下、0℃〜50℃の温度、好ましくは室温で反応させることにより得られる。
【0095】
あるいは、式Iの化合物は、式I(式中、記号X、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して定義された通りである)の化合物に関して特徴的な方法、すなわち、式II:
【化15】

[式中、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して定義された通りである]
で示される化合物と、第1工程のアセタール化において式III:
【化16】

[式中、XおよびRは式Iの化合物に関して前記で示されたような意味を有する]
で示されるカルボニル化合物を、適当な溶媒、例えばベンゼンまたはトルエン中、酸、例えばp−トルエンスルホン酸または好ましくはカンファー−10−スルホン酸の存在下、例えば水分離器のような、生じた水を除去する装置を用いるか、または生じた水と反応する化学化合物の存在下で、生じた水を除去しつつ反応させることによって得ることができ、
ここで、式IIおよび式IIIの出発化合物も必要があれば保護された形態の官能基を有して存在してもよく、かつ/または塩形成基が存在していれば塩の形で存在してもよく、塩の形での反応も可能であり、式IX:
【化17】

[式中、X、R、R、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して定義された通りである]
で示されるN,N−アセタールが得られる。
【0096】
第2の工程では、式IXのN,N−アセタールを還元剤との反応、例えば、適当な溶媒、例えば塩素で二置換または三置換されている低級アルカン中、−5℃〜+5℃、例えば0℃の温度で、約0.5〜2時間、例えば1時間、トリフルオロ酢酸の存在下でトリエチルシラン反応させることにより開環して、X、R、R、RおよびZが前記式Iの化合物に関して定義された通りである式Iの化合物を得る。
【0097】
他の出発材料も全て公知のものであるか、公知の方法に従って製造できるか、または市販されており、特にそれらは実施例に記載のような方法を用いて製造することができる。
【0098】
略号:
DMF ジメチルホルムアミド
EtOAc 酢酸エチル
Me メチル
m.p. 融点
MS 質量スペクトル
RT 室温
Tlc 薄層クロマトグラム
【0099】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を例示するものである。
温度は摂氏(℃)で示す。特に断りのない限り、反応は室温で行う。
【0100】
実施例
実施例1: 2−[[6-メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4-ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
水素化シアノホウ素ナトリウム(8.80g、95%、133ミリモル)を、メタノール(380ml)中、25℃で、酢酸(3.8ml)、6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒド(Fluka, Buchs, Switzerland;7.80g、57ミリモル)および2−アミノ−N−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(工程1.2;13.65g、38ミリモル)の攪拌混合物に少量ずつ30分間かけて加える。この混合物を16時間攪拌する。溶媒を減圧下で蒸発させて残渣を得、これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500ml)で処理し、ジクロロメタン(3×150ml)で抽出する。合わせた抽出液を乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗製物を得、これをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、溶離剤5%酢酸エチル/ジクロロメタンで精製し、ジエチルエーテル−ヘキサンから再結晶させて標題化合物をベージュ色の結晶性固体として得る。mp.101〜103℃。
【0101】
工程1.1: 2−ニトロ−N−(4-ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド
EtOAc(240ml)中、3−アミノ−6−ブロモベンゾトリフルオリド(Fluka, Buchs, Switzerland;24.0g、100ミリモル)の溶液を、室温で、水酸化ナトリウム(110ml、1M)の攪拌水溶液に加える。次にこの攪拌溶液に30分間にわたってEtOAc(150ml)中、2−ニトロベンゾイルクロリド(Fluka, Buchs, Switzerland;14.5ml、110ミリモル)の溶液を滴下処理する。次に、得られた混合物を30分間常温で攪拌する。混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、合わせた抽出液を塩酸(2×100ml、2M)、水(2×100ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×100ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(1×100ml)で順次洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを酢酸エチル−ヘキサンから再結晶させて精製し、標題化合物をベージュ色の結晶性固体として得る。mp.157〜158℃。
【0102】
工程1.2: 2−アミノ−N−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド
メタノール(1000ml)中、2−ニトロ−N−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(中間体1a;32g、82ミリモル)の溶液を、常圧下、ラネーニッケル(6g)上、21℃で水素化する。7時間後に計算量の水素が吸収される。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗製物を得、これをジエチルエーテル−ヘキサンから再結晶させて精製し、標題化合物を無色の結晶性固体として得る。mp.142〜144℃。
【0103】
実施例2: 2−[[2−ブロモ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は、工程2.2からの中間体と2−ブロモ−4−ピリジンカルボキシアルデヒド(EP282077に記載の方法に従って製造)を用いることで、実施例1に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.113〜114℃。
【0104】
工程2.1: 2−ニトロ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は3−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(Aldrich, Buchs, Switzerland)を用いることで、工程1.1と同様にして製造する。m.p.134〜135℃。
【0105】
工程2.2: 2−アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−ニトロ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(工程2.1)を用いることで、工程1.2と同様にして製造する。m.p.132〜133℃。
【0106】
実施例3: 2−[[6−メトキシ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は工程2.2からの中間体と6−メトキシ−4−ピリジンカルボキシアルデヒド(T.H.Brown et al. in Eur. J. Med. Chem. 1993;28:601-8が記載している方法に従って製造)を用いることで、実施例1に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.113〜114℃。
【0107】
実施例4: 2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は工程4.2からの中間体と6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒド(Aldrich, Buchs, Switzerland)を用いることで、実施例1に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.123〜125℃。
【0108】
工程4.1: 2−ニトロ−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(Aldrich, Buchs, Switzerland)を用いることで、工程1.1と同様にして製造する。m.p.156〜157℃。
【0109】
工程4.2: 2−アミノ−N−[2−フルオロ−(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−ニトロ−N−[2−フルオロ−(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(工程4.1)を用いることで、工程1.2と同様にして製造する。128〜129℃。
【0110】
実施例5: 2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は工程5.2からの中間体と6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒド(Aldrich, Buchs, Switzerland)を用いることで、実施例1に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.108〜110℃。
【0111】
工程5.1: 2−ニトロ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(Fluka, Buchs, Switzerland) を用いることで、工程1.1と同様にして製造する。m.p.165〜169℃。
【0112】
工程5.2: 2−アミノ−N−[4−クロロ−(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−ニトロ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(工程5.1)を用いることで、工程1.2と同様にして製造する。m.p.148〜150℃。
【0113】
実施例6: 2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピニル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
乾燥トルエン(200ml)中、2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例1; 3.98g、8.3ミリモル)の攪拌溶液を、25℃で20分間、アルゴンでパージする。次に、トリブチル−1−プロピニルスタンナン(4.1g、80%、9.96ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(260mg)を加え、得られた混合物をアルゴン雰囲気下、100℃で17時間加熱する。次にこの混合物を冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(85ml、0.1M)で処理し、2時間空気でパージする。得られた混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。有機相を水(2×40ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(1×40ml)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー、溶離剤33%酢酸エチル/ヘキサンで精製し、ジエチルエーテル−ヘキサンから再結晶させて標題化合物を淡黄色の結晶性固体として得る。m.p.123〜124℃。
【0114】
実施例7: 2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド塩酸塩
メタノール(100ml)中、2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピニル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例6;1.85g、4.20ミリモル)の溶液を22℃、5%白金/炭素(0.4g)上、常圧で水素化する。19時間後に計算量の水素が吸収される。この混合物を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをエタノールに溶解し、塩化水素/酢酸エチル溶液(0.9M)で酸性化し、ジエチルエーテルで希釈する。得られた沈殿を濾別し、乾燥させ、ジエチルエーテル−エタノールから再結晶させることで精製し、標題化合物を黄色の結晶性固体として得る。m.p.104〜120℃。
【0115】
実施例8: 2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピニル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
クロロホルム(30ml)中、2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピニル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例6;1.10g、2.5ミリモル)およびヨウ化トリメチルシリル(Fluka, Buchs, Switzerland;1.0ml、7.5ミリモル)の混合物を、アルゴン雰囲気下60℃で16時間攪拌する。次に、冷却した混合物をメタノール(2ml)で処理し、室温で10分間攪拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をアンモニア水溶液(100ml、5%)で処理し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。合わせた抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー、溶離剤酢酸エチルで精製し、温酢酸エチル−ヘキサンから再結晶させて標題化合物を無色の結晶性固体として得る。208〜212℃。
【0116】
実施例9: 2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例7)を用いることで、実施例8に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.195〜199℃。
【0117】
実施例10: 2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例4)を用いることで、実施例8に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.185〜186℃。
【0118】
実施例11: 2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例5)を用いることで、実施例8に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.231℃。
【0119】
実施例12: 2−[[2−(1−エトキシエテニル)−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
乾燥トルエン(25ml)中、2−[[2−ブロモ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例2;0.38g、0.84ミリモル)の攪拌溶液を、25℃で20分間アルゴンでパージする。トリブチル−(1−エトキシエテニル)スタンナン(Fluka, Buchs, Switzerland;343mg、0.92ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(97mg、0.084ミリモル)を加え、得られた混合物をアルゴン雰囲気下、125℃で38時間加熱する。次に、この混合物を冷却し、トルエン(50ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(2×40ml)で洗浄する。このトルエン溶液を乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー、溶離剤33%酢酸エチル/ヘキサンで精製し、ジエチルエーテル−ヘキサンから再結晶させて標題化合物を淡黄色の結晶性固体として得る。m.p.155〜156℃。
【0120】
実施例13: 2−[(2−アセチル−4−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
イソプロパノール(3.6ml)およびテトラヒドロフラン(1.8ml)の混合物中、2−[[2−(1−エトキシエテニル)−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(実施例12;0.18g、0.4ミリモル)の攪拌溶液を、塩化水素/ジオキサン溶液(0.5ml、4M)で処理し、得られた混合物をアルゴン雰囲気下25℃で6時間攪拌する。次に、この混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(40ml)で処理し、アンモニア水溶液で塩基性化し(25%でpH9まで)、酢酸エチル(3×50ml)で抽出する。合わせた抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー、溶離剤33%酢酸エチル/ヘキサンで精製し、ジエチルエーテル−ヘキサンから再結晶させて標題化合物を無色の結晶性固体として得る。m.p.138〜139℃。
【0121】
実施例14
次の化合物は実施例8と同様にして製造できる。
(a)2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
(b)2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
(c)2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(3,3,3−トリフルオロプロポキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
(d)2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−トリフルオロメトキシ]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
(e)2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチンアミド。
【0122】
実施例15: 2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
窒素雰囲気下、6.4g(15.3ミリモル)rac.3−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オンを30mlの氷冷1,2−ジクロロエタンに懸濁させる。次に、3.73ml(23ミリモル)のトリエチルシランをシリンジで5分間かけて加えた後、7.4ml(96.6ミリモル)のトリフルオロ酢酸を加える。得られた黄色溶液を0℃で1時間、さらに室温で15時間攪拌した後、氷冷NaHCO溶液および200mlのジクロロメタンに注ぐ。30分攪拌した後、水層を分離し、ジクロロメタンで3回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;粗生成物をCHClに溶解;ヘキサン/EtOAc 2:1で溶離)およびCHCl/ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.114〜115℃。
【0123】
工程15.1: rac.3−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン
窒素雰囲気下、65mlのトルエン中、7.0g(23.5ミリモル)の2−アミノ−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(製法はWO00/27820;中間体2hを参照)の懸濁液に、3.22g(23.5ミリモル)の6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒドと10mgのカンファー−10−スルホン酸を加える。次に、約30mlのトルエンを留去し、新しいトルエンと交換する。得られた黄色溶液を110℃で5時間攪拌する。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl/MeOH 99:1→197:3)およびCHCl/ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.167〜168℃。
【0124】
実施例16: 2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
窒素雰囲気下、2.02g(5.00ミリモル)rac.3−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オンを10mlの氷冷1,2−ジクロロエタンに懸濁させる。次に、1.20ml(7.5ミリモル)のトリエチルシランをシリンジで2分間かけて加えた後、2.4ml(31.5ミリモル)のトリフルオロ酢酸を5分間かけて加える。得られた黄色溶液を0℃で0.2時間、さらに室温で6時間攪拌した後、希釈した氷冷NaHCO溶液とジクロロメタンの混合物に注ぐ。水層を分離し、ジクロロメタンで3回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン 9:1;粗生成物EtOAc/MeOH 19:1に溶解;EtOAc/MeOH 19:1で溶離)およびCHCl/ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.204〜205℃。
【0125】
工程16.1: 6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルバルデヒド
50mlのジクロロメタン中、5.4g(39.4ミリモル)の6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒドの溶液に、5.4ml(39ミリモル)のMeSiIを加える。この混合物を室温で1時間、さらに60℃で1.5時間攪拌する。次に、この反応混合物に6.4mlのメタノールを室温で加える。10分後、この懸濁液をさらにメタノールを添加して希釈する。30gのSiOを添加した後、この混合物を濃縮し、得られた粉末をクロマトグラフィーカラム(CHCl/アセトン 7:3)にのせる。CHCl/アセトン 7:3→1:1→1:3での溶離およびCHCl/EtOからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.222〜224℃。
【0126】
工程16.2: rac.3−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン
窒素雰囲気下、70mlのトルエン中、2.98g(10.0ミリモル)の2−アミノ−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(製法はWO00/27820;中間体2hを参照)の懸濁液に、1.23g(10.0ミリモル)の6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルバルデヒドと10mgのカンファー−10−スルホン酸を加える。次に、この混合物を2時間沸点まで加熱する。この縮合物を、モレキュラーシーブス(4Å)の入ったSoxlet装置に通す。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、残渣をジエチルエーテルで洗浄して標題化合物を得る。m.p.260〜261℃。
【0127】
実施例17: 2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
窒素雰囲気下、68.0g(142ミリモル)rac.3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オンを280mlの氷冷1,2−ジクロロエタンに懸濁させる。次に、34.8ml(218ミリモル)のトリエチルシランを5分間かけて滴下した後、68.7ml(897ミリモル)のトリフルオロ酢酸(30分)を滴下する。反応混合物を0℃で1時間、さらに室温で24時間攪拌した後、希釈した氷冷NaHCO溶液とジクロロメタンの混合物中へ集める。30分攪拌した後、水層を分離し、ジクロロメタンで3回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。ジエチルエーテル/ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.110〜111℃。カラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl)およびCHCl/ヘキサンからの結晶化によりさらなる生成物を得ることができる。m.p.111〜112℃。
【0128】
工程17.1: 5−ブロモ−6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒド
(Eur. J. Med. Chem.-Chim. Ther. 1977, 12, 531参照)54.8g(400ミリモル)6−メトキシ−3−ピリジンカルバルデヒドを180mlの酢酸に溶解する。63.8g(778ミリモル)の酢酸ナトリウムを少量ずつ加える(若干発熱)。次に、30ml(582ミリモル)臭素/120ml酢酸の溶液を30分かけて滴下する。この混合物を90℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却し、部分的に真空濃縮する。残渣を氷水で希釈し、4N NaOHでpH7.5まで中和し、4回に分けてEtOAcで抽出する。有機層を水およびブラインで2回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。得られた油状物のカラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl)およびCHCl/ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。mp:94〜95℃。
【0129】
工程17.2: rac.3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン
窒素雰囲気下、470mlのトルエン中、52.2g(186ミリモル)の2−アミノ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(製法はWO00/27820;中間体2mを参照)の懸濁液に、40.3g(186ミリモル)の5−ブロモ−6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒドと111mgのカンファー−10−スルホン酸を加える。次に、この混合物を水分離器にて5時間トルエンの沸点まで加熱する。得られた溶液を真空濃縮する。ジエチルエーテルからの結晶化により標題化合物を得る。カラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl→CHCl/MeOH 99:1)によりさらなる生成物を得ることができる。CHCl/ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.192〜193℃。
【0130】
実施例18: 2−[[(1,6−ジヒドロ−5−ブロモ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド
標題化合物は2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドを用いることで、実施例8に記載したものと類似の方法により製造する。m.p.212〜214℃。
【0131】
実施例19: 2−[(6−メトキシ−5−フェニル−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
窒素雰囲気下、8mlのDMF中、240mg(0.50ミリモル)の2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドの溶液に、69mg(97%;0.55ミリモル)のフェニルボロン酸、5.6mg(0.025ミリモル)Pd(OAc)、15.2mg(0.05ミリモル)o−トリル−ホスフィンおよび1.3mlの1MKCO水溶液を加える。この混合物を100℃で1時間攪拌し、室温まで冷却し、水およびEtOAcで希釈する。水層を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン/EtOAc 4:1)により標題化合物を得る。MS:[M+1]=478;tlc(ヘキサン/EtOAc 4:1)R=0.26。
【0132】
実施例20: 2−[(6−オキソ−5−フェニル−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
窒素雰囲気下、1.5mlのCHCl中、70mg(0.15ミリモル)の2−[(6−メトキシ−5−フェニル−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドの溶液に、41μl(0.30ミリモル)のMeSiIを加える。この混合物を60℃で5時間攪拌し、室温まで冷却し、5mlのCHCl、3mlの飽和NaHCO溶液および9ml水で希釈する。30分攪拌した後、水層を分離し、CHClで2回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl/アセトン 2:1)により標題化合物を得る。MS:[M+1]=464。
【0133】
実施例21: 2−[(5−アリル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
5mlの脱気したDMF中、480mg(1.00ミリモル)の2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド(実施例17)、231mg(0.20ミリモル)のPd(PPhおよび1.95g(5ミリモル)のアリル−トリフェニル−スタンナン(Fluka, Buchs/Schweiz)の溶液窒素下100℃で20時間攪拌する。得られた黒色懸濁液を水およびEtOAcで希釈し、水層を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン/EtOAc 4:1)により標題化合物を得る。MS:[M+1]=442;tlc(ヘキサン/EtOAc 4:1)R=0.28。
【0134】
実施例22: 2−[(5−プロピル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
5mlのメタノール中、106mg(0.24ミリモル)の2−[(5−アリル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドの溶液をラネーニッケルの存在下で水素化する。濾過、濾液の濃縮、およびカラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン/CHCl/EtO 250:250:1→CHCl/EtO 200:1)により標題化合物を得る;MS:[M+1]=444;tlc(CHCl/EtO 200:1)R=0.28。
【0135】
実施例23: 2−[(5−アリル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
実施例20で記載した手順と同様に2−[(5−アリル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドを脱メチル化して標題化合物を得る。m.p.155〜158℃;MS:[M+1]=428;tlc(EtOAc/ヘキサン 2:1)R=0.13。
【0136】
実施例24: 2−[(5−プロピル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
実施例20で記載した手順と同様に2−[(5−プロピル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドを脱メチル化して標題化合物を得る。m.p.151〜153℃;MS:[M+1]=430。
【0137】
実施例25: 2−[(5−エチルアミノ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
窒素雰囲気下、密閉試験管にて10ml脱気DMF中、500mg(1.04ミリモル)2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド(実施例17)、62mgR(+)−BINAP[R(+)−2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタリン];0.10ミリモル]、27mgPd(dba)CHCl[トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム複合体;0.026ミリモル]および200mg(2.08ミリモル)のナトリウム−tert−ブチレートの混合物を調製する。次に、1.6ml(3.1ミリモル)の2Nエチルアミン/THF溶液を加える。70時間70℃で攪拌した後、反応混合物をEtOAcおよび飽和NaHCO溶液で希釈する。分離した水層をEtOAcで2回抽出し、有機相を飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl/アセトン 97:3)により標題化合物を得る。MS:[M+1]=445;tlc(CHCl/アセトン 97:3)R=0.29;C、H、N、Fに関して分析(偏差≦0.4%)。
【0138】
実施例26: 2−[(5−エチルアミノ−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
実施例20で記載した手順と同様に2−[(5−エチルアミノ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドを脱メチル化して標題化合物を得る。MS:[M+1]=431;C、H、N、Fに関して分析(偏差≦0.4%)。
【0139】
実施例27: 前記の手順により次の誘導体が得られる
【化18】

【表1】

【表2】

理論値と実測値の差は≦0.4%
【0140】
実施例28: 2−({6−メトキシ−5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化19】

窒素雰囲気下、20mlのジクロロメタン中、500mg(0.90ミリモル)の2−({6−メトキシ−5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド(実施例27OA)の溶液を、−78℃まで冷却する。次に、4.2mlの1M水素化ジイソブチルアルミニウム/CHCl溶液を加える。1時間後、この混合物を2.5時間かけて−20℃までゆっくり温める。次に、15mlのEtOAcを加え、混合物を室温まで温め、水およびEtOAcで希釈する。水層を分離し、EtOAcで2回抽出し、有機相を水およびブラインで2回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;エタノール/アセトン 1:1に溶解し、CHCl/MeOH 9:1で溶離)により粗生成物を得る。最後にEtOAcと水とで分液して標題化合物を得る。MS:[M+1]=543;tlc(CHCl/MeOH 9:1)R=0.10。
【0141】
実施例29: 2−({5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化20】

86mg(0.16ミリモル)の2−({6−メトキシ−5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドを、実施例20に記載の通り、75μlのMeSiIで開裂させることで標題化合物に変換する。MS:[M+1]=529。
【0142】
実施例30: 2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)ベンズアミド
【化21】

実施例16と同様に、500mg(1.25ミリモル)rac.3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オンを、2.3mlの1,2−ジクロロエタン中、0.60ml(3.8ミリモル)のトリエチルシランおよび0.60ml(7.8ミリモル)のトリフルオロ酢酸で還元的に開環させる。最後に沸騰アセトニトリルからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.232℃;MS:[M+1]=402。
【0143】
工程30.1: N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ニトロ−ベンズアミド
標題化合物は工程1.1と同様に、(4−メチル−3−トリフルオロメチル)ベンゼンアミンを用い、EtOAcの部分的濃縮により結晶化させることで製造する。m.p.172〜173℃;MS:[M−1]=323。
【0144】
工程30.2: 2−アミノ−N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)ベンズアミド
220mlメタノール中、0.7gラネーニッケルの存在下で6.848g(21.1ミリモル)N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ニトロ−ベンズアミドを水素化し、濾過および濾液の濃縮により標題化合物を得る。m.p.138〜140℃;MS:[M+1]=295。
【0145】
工程30.3: rac.3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン
70mlのトルエン中、5.98g(20.3ミリモル)の2−アミノ−N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)ベンズアミド、2.71g(19.9ミリモル)の6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルバルデヒド(工程16.1)および14mgのカンファー−10−スルホン酸を工程16.2と同様に縮合させる。粗生成物を0.6lの沸騰エタノールに溶解する。部分的濃縮により結晶化が起こり、標題化合物を得る。m.p.250〜251℃;MS:[M+1]=400。
【0146】
実施例31: 2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
【化22】

実施例16と同様に、189.6mg(0.37ミリモル)rac.3−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オンを、3mlの1,2−ジクロロエタン中、0.106ml(0.68ミリモル)のトリエチルシランおよび0.26ml(3.3ミリモル)のトリフルオロ酢酸で還元的に開環させて標題化合物を得る。MS:[M+1]=514。
【0147】
工程31.1:(3−ニトロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
窒素雰囲気下、氷浴にて、11.8g(50ミリモル)の3−ニトロ−5−トリフルオロメチル−安息香酸(Lancaster)、150mlのCHCl、数滴のDMFおよび7.0ml(81ミリモル)の塩化オキサリルを混合した後、室温で3時間攪拌する。得られた溶液を真空濃縮する。残渣を170mlのCHClに溶解し、100mlのCHCl中、12.7ml(0.10モル)N−エチル−ピペラジンの氷冷溶液に滴下する。室温で1時間攪拌した後、混合物をNaCO希釈溶液、2滴の水、および最後にブラインで洗浄する。水層をEtOAcで2回再抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮して標題化合物を油状物として得る。MS:[M+1]=332。
【0148】
工程31.2:(3−アミノ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
300mlエタノール中、3gのラネーニッケルの存在下、16.5g(50ミリモル)の(3−ニトロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−メタノンを水素化し、セライトで濾過し、濾液を濃縮し、ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.:104℃;MS:[M+1]=302。
【0149】
工程31.3: [3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル]ベンゼンアミン
窒素雰囲気下、120mlのTHF中、14.6g(48.5ミリモル)(3−アミノ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−メタノンの溶液に、145.5mlのBH・THF 1M溶液を滴下する(発熱)。混合物を室温で14時間、その後65℃で5時間攪拌する。室温まで冷却した後、250mlの濃HCl/HO 1:1を加え、混合物を15時間攪拌する。この懸濁液を濾過し、濾液をEtOAcで3回抽出する。有機相を1N HClで2回洗浄した後、廃棄する。合わせた酸性相を、飽和NaCO溶液を添加して塩基性とし、EtOAcで3回抽出する。有機層を水およびブラインで2回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;EtOAc/EtOH/NH 95:5:1→90:10:1)の後、EtOAcで3回、水で3回、最後にブラインで抽出し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して標題化合物を油状物として得る。MS:[M+1]=288。
【0150】
工程31.4: N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−ニトロ−ベンズアミド
標題化合物は[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル]ベンゼンアミンを用いることで、工程1.1と同様にして製造する。MS:[M+1]=437。
【0151】
工程31.5: 2−アミノ−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
35mlメタノール/THF 1:1中、175mgのラネーニッケルの存在下で1.172g(2.69ミリモル)N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−ニトロ−ベンズアミドを水素化し、濾過し、濾液を濃縮して標題化合物を得る。MS:[M+1]=407。
【0152】
工程31.6: rac.3−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−キナゾリン−4−オン
窒素雰囲気下、7mlのトルエンおよび3.5mlのブタノール中、637mg(1.57ミリモル)の2−アミノ−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、189mg(1.54ミリモル)の6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルバルデヒド(工程16.1)および801mg(3.45ミリモル)のカンファー−10−スルホン酸を90℃の油浴中で200分間攪拌する。この反応混合物をNaCO溶液およびEtOAcで希釈し、水層を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、SiOを加えた後、真空濃縮する。得られた粉末をクロマトグラフィーカラム(SiO;CHCl/MeOH 97:3)にのせる。CHCl/MeOH/NH水溶液97:3:0.5→90:10:0.5で溶離して標題化合物を得る。MS:[M+1]=512。
【0153】
実施例32: 2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
【化23】

窒素雰囲気下、1.0mlのCHCNおよび1.8μl(0.10ミリモル)HO中、49mg(0.10ミリモル)の2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドおよび47mg(0.31ミリモル)NaIの混合物を60℃で加熱する。39μl(0.31ミリモル)MeSiClを滴下し、3時間攪拌を続ける。次に、0.23mlのMeOHを室温で加え、混合物をEtOAcおよび飽和NaHCO溶液で希釈する。水層を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機相を10%Na溶液、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。逆相中速液体クロマトグラフィーにより標題化合物を得る。MS:[M+1]=457。
【0154】
工程32.1:(3−ニトロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(アゼチジン−1−イル)−メタノン
窒素雰囲気下、氷浴にて、9.77g(41.6ミリモル)の3−ニトロ−5−トリフルオロメチル−安息香酸(Lancaster)、150mlのCHCl、数滴のDMFおよび5.8ml(67ミリモル)の塩化オキサリルを混合した後、室温で17時間攪拌する。得られた溶液を真空濃縮する。残渣を50mlのCHClに溶解し、5.9ml(87ミリモル)アゼチジン/50mlのCHCl氷冷溶液に滴下する。15分攪拌した後、混合物を1N HClで洗浄し、NaCO溶液、水およびブラインで希釈する。水層をEtOAcで2回再抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮する。ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.:91℃;MS:[M+1]=275。
【0155】
工程32.2:(3−アミノ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(アゼチジン−1−イル)−メタノン
200mlエタノール中、2gのラネーニッケルの存在下、10.39g(37.9ミリモル)の(3−ニトロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(アゼチジン−1−イル)−メタノンを水素化し、セライトで濾過し、濾液を部分的に濃縮し、ヘキサンで希釈して結晶性の標題化合物を得る。m.p.:154℃;MS:[M+1]=245。
【0156】
工程32.3: [3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル]ベンゼンアミン
窒素雰囲気下の氷浴で冷却した75mlのTHF中、8.62g(35.3ミリモル)(3−アミノ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(アゼチジン−1−イル)−メタノンに、15mlのTHF中、10.6ml(95%;106ミリモル)のBH・MeSを滴下する。得られた溶液を室温で2時間、その後、65℃で4時間攪拌する。室温まで冷却した後、50mlの濃HCl/HO 1:1を加え、混合物を室温で15時間、さらに65℃で7時間攪拌する。この混合物をEtOAcおよび10%NaCO溶液に注ぎ、水相を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機層を水およびブラインで2回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;EtOAc/EtOH 95:5→EtOAc/EtOH/EtN 95:5:1)により標題化合物を得る。m.p.60〜61℃;MS:[M+1]=231。
【0157】
工程32.4: N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−ニトロ−ベンズアミド
15mlのCHClおよび3mlピリジン中、770mg(3.34ミリモル)の3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル]ベンゼンアミンの溶液を窒素雰囲気下で−70℃まで冷却する。次に、15mlのCHCl中、651mg(3.5ミリモル)の2−ニトロベンゾイルクロリド(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液を滴下する。60分攪拌した後、得られた混合物をEtOAcおよび水で希釈し、水層を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl/MeOH 99:1→CHCl/MeOH/NH水溶液99:1:1)により標題化合物を得る。MS:[M+1]=380。
【0158】
工程32.5: 2−アミノ−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
15mlメタノール/THF1:1中、75mgのラネーニッケルの存在下で490mg(1.29ミリモル)N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−ニトロ−ベンズアミドを水素化し、濾過し、濾液を濃縮して標題化合物を得る。MS:[M+1]=350。
【0159】
工程32.6: 2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
6−メトキシ−3−ピリジンカルバルデヒドおよび2−アミノ−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドから実施例1と同様にして製造する。MS:[M+1]=471。
【0160】
実施例33: 2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
【化24】

窒素雰囲気下、14.2mlのMeOH/CHCOOH 99:1中、545.3mg(1.39ミリモル)の2−アミノ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドの溶液に、286mg(2.08ミリモル)6−メトキシ−3−ピリジンカルボキシアルデヒド(Fluka、Buchs、Switzerland)を加える。15分後、304mg(4.8ミリモル)のNaBHCNを加え、混合物を室温で20時間攪拌する。濃縮したこの反応混合物をCHClおよび飽和NaHCO溶液に溶解し、水層を分離し、CHClで2回抽出する。有機相をHOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。中速液体クロマトグラフィー(SiO;CHCl/MeOH+1%NH水溶液95:5→4:1)により標題化合物を得る。MS:[M+1]=514。
【0161】
工程33.1: N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド
窒素雰囲気下、285mlのCHCl中、20.2g(112ミリモル)の5−アミノ−2−メチルベンゾトリフルオリドおよび89.8ml(1.12モル)ピリジンの氷冷溶液に、17.1ml(123ミリモル)の無水トリフルオロ酢酸を滴下する。20分後、混合物を0.7lのCHClで希釈し、10%クエン酸水溶液で2回、水で2回、最後にブラインで洗浄する。水層をCHClで2回抽出し、有機相を乾燥させ(NaSO)、部分的に濃縮する。ヘキサンの添加により結晶化させて標題化合物を得る。m.p.:72〜73℃。
【0162】
工程33.2: 2 N−(4−ブロモメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド
窒素雰囲気下、830ml酢酸ブチル中、60.9g(224.6ミリモル)のN−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミドの溶液に、44g(247ミリモル)N−ブロモスクシンイミドおよび830mg(5ミリモル)アゾ−イソ−ブチロニトリルを加える。この懸濁液を60℃まで加熱した後、フィリップス低ボルト数ランプ(500W;10500lm)で30分間照射し、これにより温度は70〜75℃に上がり、透明褐色溶液となる。まだ残留する遊離体があるので、さらに22gのN−ブロモスクシンイミドを3回に分けて加える。全体で6時間後、得られた懸濁液を濾過し、濾液を濃縮する。残渣を2lのCHClと1lのHOとで分液し、水層をCHClで抽出する。有機相を1lのHO、0.5lのブラインで4回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン/CHCl 2:1→1:1)およびCHCl/ヘキサンからの結晶化により標題化合物を得る。m.p.:119〜120℃。
【0163】
工程33.3: 2,2,2−トリフルオロ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド
窒素雰囲気下、50mlアセトニトリル中、1.9ml(17.1ミリモル)N−メチルピペラジンの氷冷溶液に、50mlアセトニトリル中、2.00g(5.71ミリモル)N−(4−ブロモメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミドの溶液を30分かけて滴下する。添加から20分後、反応混合物を真空濃縮する。得られた油状物をEtOAcおよび飽和NaHCO溶液/HO 1:1で希釈する。水層を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機層を飽和NaHCO溶液/HO 1:1、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮し、そのまま工程33.4で用いる。MS:[M+1]=370。
【0164】
工程33.4: [4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル]ベンゼンアミン
26mlの沸騰メタノール中、1.102g(2.98ミリモル)の2,2,2−トリフルオロ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミドの溶液に、14mlの1MKCO水溶液を滴下する。1時間攪拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、EtOAcおよび水で希釈する。水層を分離し、EtOAcで2回抽出する。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して標題化合物を得、これをそのまま工程33.5で用いる。MS:[M+1]=274。
【0165】
工程33.5: N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−2−ニトロ−ベンズアミド
12.5mlのCHClおよび2.5mlのピリジン中、740mg(2.71ミリモル)の4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル]ベンゼンアミンの溶液を窒素雰囲気下、氷浴中で冷却する。次に、12.5mlのCHCl中、375μl(2.85ミリモル)の2−ニトロベンゾイルクロリド(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液を滴下する。30分後、得られた混合物をEtOAcおよび0.5N HClで希釈し、水層を分離し、EtOAcで抽出する。有機相を0.5N HClで3回洗浄した後、廃棄する。合わせた水相を飽和NaCO溶液の添加により塩基性とし、3画分のEtOAcで抽出する。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO;EtOAc→EtOAc/EtOH(+1%EtN)97:3)により標題化合物を得る。MS:[M+1]=423。
【0166】
工程33.6: 2−アミノ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
17mlメタノール中、ラネーニッケルの存在下で378mg(0.89ミリモル)N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−2−ニトロ−ベンズアミドを水素化し、濾過し、濾液を濃縮して標題化合物を得る。MS:[M+1]=393。
【0167】
実施例34: 2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
【化25】

実施例32と同様に、2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドをMeSiCl、NaIおよびHOにより開裂させて標題化合物を得る。MS:[M+1]=500。
【0168】
実施例35
前記の手順により次の誘導体が得られる。
【化26】

【表3】

【表4】

【0169】
実施例36: 2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
【化27】

乾燥トルエン(35ml)中、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシアルデヒド(123mg、1.0ミリモル)、2−アミノ−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド(460mg、1.0ミリモル)およびカンファー−10−スルホン酸(2mg)の溶液を、反応中に生じた水を、4Aモレキュラーシーブスを装填したSoxlet装置を用いて除去しながら還流下で2時間加熱する。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をメタノール(5ml)に溶解する。得られた溶液をメタノール(45ml)中、水素化シアノホウ素ナトリウム(90%を400mg、5.75ミリモル)と酢酸(0.5ml)の混合物に加え、20℃で1時間攪拌する。メタノールを減圧下で蒸発させて残渣を得、これを酢酸エチル(100ml)に溶解した。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×50ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー、溶離剤12%メタノール/ジクロロメタンにより精製し、メタノールから再結晶させて標題化合物を淡黄色の結晶性固体として得る。m.p.222〜225℃。
【0170】
工程36.1 N,N,N’−トリメチル−N’−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン
2−ブロモ−5−ニトロベンゾトリフルオリド(Lancaster Synthesis, GmbH;5.4g、20ミリモル)およびN,N,N’−トリメチルエチレンジアミン(Fluka, Buchs, Switzerland;2.25g、22ミリモル)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(13.9ml)の混合物をスチール製の耐圧容器内、80℃で18時間加熱する。次に、この混合物を冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)で処理し、酢酸エチル(2×100ml)で抽出する。合わせた抽出液を乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをさらに精製せずにそのまま使用する。
【0171】
工程36.2 N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−3−トリフルオロメチル−1,4−ベンゼンジアミン
標題化合物は実施例1.2に記載したものと類似の方法により、2−ニトロ−N−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの代わりにN,N,N’−トリメチル−N’−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを用いて製造する。
【0172】
工程36.3 2−ニトロ−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
アルゴン雰囲気下、0℃で、トルエン(80ml)中、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−3−トリフルオロメチル−1,4−ベンゼンジアミン(1.31g、5ミリモル)の攪拌溶液をトリメチルアルミニウム(トルエン中2M溶液を5ml、10ミリモル)で処理し、20℃で1時間攪拌する。次に、乾燥トルエン(40ml)中、2−ニトロ安息香酸、メチルエステル(Fluka, Buchs, Switzerland;0.91g、5ミリモル)の溶液を加え、混合物を110℃で4時間攪拌する。その後、冷却した混合物を塩酸(50ml、1M)で処理し15分間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液(50ml、1M)で処理する。次に、この混合物を水(100ml)で処理し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。合わせた抽出液をブライン(2×50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをさらに精製せずにそのまま使用する。
【0173】
工程36.4 2−アミノ−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
標題化合物は実施例1.2に記載したものと類似の方法により、2−ニトロ−N−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの代わりに2−ニトロ−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドを用いて製造する。
【0174】
実施例37: 2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
【化28】

標題化合物は実施例36に記載したものと類似の方法により、2−アミノ−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドの代わりに2−アミノ−N−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドを用いて製造する。m.p.192〜195℃。
【0175】
工程37.a: 3−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)−ベンゾニトリル
N,N−ジメチルアセトアミド(80ml)中、3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)−ベンゾニトリル(Lancaster Synthesis GmbH;17g、89ミリモル)および2−メチルイミダゾール(Fluka, Buchs, Switzerland;22.2g、270ミリモル)の混合物を145℃で19時間攪拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル(200ml)に溶解する。この溶液をブライン(200ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをエーテル−ヘキサンからの再結晶により精製して標題化合物を黄色結晶性固体として得る。m.p.132〜134℃。
【0176】
工程37.b: 3−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)−安息香酸
ジオキサン(300ml)中、3−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)−ベンゾニトリル(実施例91a;16.7g、66ミリモル)の溶液を、水酸化ナトリウム水溶液(275ml、1M)に加え、この混合物を95℃で18時間加熱する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を塩酸(1M)で中和し、ブタノール(2×250ml)で抽出する。溶媒を減圧下で蒸発させて標題化合物を得る。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ): 7.17 (s, 1H); 8.03 (s, 1H); 8.12 (s, 1H); 8.35 (s, 1H); 8.41 (s, 1H); 8.53 (s, 1H); 13.90 (br., 1H)。
【0177】
工程37.c: [3−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−カルバミン酸,1,1−ジメチルエチルエステル
t−ブタノール(200ml)中、3−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)−安息香酸(6.8g、25ミリモル)の攪拌懸濁液にトリエチルアミン(5.23ml、37.5ミリモル)を加える。得られた溶液にジフェニルホスホリルアジド(7.6g、27.5ミリモル)を加え、混合物を80℃で16時間加熱する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(100ml)で処理し、酢酸エチル(2×100ml)で抽出する。合わせた抽出液をブライン(100ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤2%エタノール/酢酸エチル)により精製し、エーテル−ヘキサンから再結晶させて標題化合物を無色の結晶性固体として得る。m.p.203〜208℃。
【0178】
工程37.d: 5−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)−ベンゼンアミン
[3−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−カルバミン酸,1,1−ジメチルエチルエステル(9.1g、26.7ミリモル)を塩化水素/イソプロパノール溶液(100ml、4M)で処理し、55℃で15分間加熱する。冷却した混合物を水酸化ナトリウム水溶液(100ml、4M)で処理し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。合わせた抽出液をブライン(2×100ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを酢酸エチル−ヘキサンからの再結晶により精製して標題化合物を無色の結晶性固体として得る。m.p.130〜133℃。
【0179】
工程37.e: 2−ニトロ−N−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
標題化合物は実施例36.3に記載したものと類似の方法により、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−3−トリフルオロメチル−1,4−ベンゼンジアミンの代わりに5−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)−ベンゼンアミンを用いて製造する。m.p.200〜201℃。
【0180】
工程37.f: 2−アミノ−N−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
標題化合物は実施例1.2に記載したものと類似の方法により、2−ニトロ−N−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの代わりに2−ニトロ−N−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミドを用いて製造する。m.p.268〜270℃。
【0181】
実施例38:軟カプセル
前記各実施例に示す式Iの化合物1種を有効成分として各々0.05g含有する軟ゼラチンカプセル5000個を次のように製造する。
組成
有効成分 250g
Lauroglykol(登録商標) 2L
製造方法:粉末化した有効成分をLauroglykol(登録商標)(プロピレングリコールラウリン酸エステル、Gattefosse S.A., Saint Priest, France)に懸濁し、湿式粉砕機で摩砕して粒径約1〜3μmとする。次にカプセル充填機を使用して、各軟ゼラチンカプセルに混合物0.419gを充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
RおよびRはH、ハロゲン、アルキニル、アルケニル、アルキル(各場合において非置換であるか、またはハロゲンにより置換されている);
非置換または置換単環式または二環式アリール;
O、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換単環式または二環式ヘテロアリール;
少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリル;
モノまたはジアルキルアミノ(ここで、このアルキル基は非置換であるか、または非置換もしくは置換アリール、O、NもしくはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換もしくは置換単環式または二環式ヘテロアリール、または少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリルにより置換されている);
非置換または置換ヘテロシクリルカルボニルアルキルアミノ(ここで、このヘテロシクリル基は少なくとも1個のN原子を含む)であり;
はH、ハロゲン、非置換もしくは置換C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシ、または基−O−(CH−CF、(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
はペルフルオロアルキルであり、
はHまたはハロゲンであり、
Xはヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、式I’:
【化2】

(式中、GはCHまたはNHであり、Rは水素、アルキルまたはアリールである)
で示される基、または式I”:
【化3】

(式中、Rはアルキルまたはアリールである)
で示される基であり、
ZはNまたはCHであり、そして
メチレン基はピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している]
で示されるアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項2】
RがH、ハロゲン、アルキニル、アルケニル、アルキル(各場合において非置換であるか、またはハロゲンにより置換されている);
非置換または置換単環式または二環式アリール;
O、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換単環式または二環式ヘテロアリール;
少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリル;
モノまたはジアルキルアミノ(ここで、このアルキル基は非置換であるか、または非置換もしくは置換アリール、O、NもしくはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換もしくは置換単環式または二環式ヘテロアリール、または少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリルにより置換されている);
非置換または置換ヘテロシクリルカルボニルアルキルアミノ(ここで、このヘテロシクリル基は少なくとも1個のN原子を含む)であり;
がHであり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
がペルフルオロアルキルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、式I’:
【化4】

(式中、GはCHまたはNHであり、Rは水素、アルキルまたはアリールである)
で示される基、または式I”:
【化5】

(式中、Rはアルキルまたはアリールである)
で示される基であり、
ZがNまたはCHであり、そして
この場合、メチレン基がピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHをではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項3】
RがH、ハロゲン、アルケニル、アルキル、ピリジルアルキルアミノ、モルホリニルアルキルアミノ、アルキルピペラジニルアルキルアミノ、アルキルピペラジニルカルボニルアルキルアミノ、フェニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、アルカノイルまたはアルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
がペルフルオロアルキルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、式I’(式中、GはCHまたはNHであり、Rは水素またはアルキルである)の基、または式I”(式中、Rはアルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項4】
RがH、ハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、低級アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、イミノ、低級アルキルイミノ、ハロゲン、式I’(式中、GはCHまたはNHであり、Rは水素または低級アルキルである)の基、または式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジン部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項5】
RがH、ハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、低級アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0または1である)であり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項6】
RがH、ハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、またはC2−7アルキニルであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジン部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオである式Iの化合物において、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項7】
RがH、ハロゲン、アリル、3−メチル−ブテン−2−イル、プロピル、エチルアミノ、ピリジルエチルアミノ、モルホリニルエチルアミノ、N−メチル−ピペラジニルプロピルアミノ、N−メチル−ピペラジニルエチルアミノ、N−メチル−ピペラジニルアセチルアミノ、ベンジルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、ホルミルまたはアセチルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、プロピル、プロピニルであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオである式Iの化合物において、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項8】
Rがハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がHであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHであり、
Xがヒドロキシまたは低級アルコキシであり、
ZがCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジン部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項9】
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[2−ブロモ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピニル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド塩酸塩、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピニル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[2−(1−エトキシエテニル)−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(2−アセチル−4−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロプロポキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−トリフルオロメトキシ]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチンアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−5−ブロモ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(6−メトキシ−5−フェニル−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(6−オキソ−5−フェニル−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−アリル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−プロピル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−アリル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−プロピル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−エチルアミノ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−エチルアミノ−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({6−メトキシ−5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、および
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
から選択される請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項10】
およびRがHであり、RがCFであり、ZがCHであり、XがOHまたはOMeであり、
メチレン基がピリジン部分の3位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、そして、
Rが次の基:
【化6】

から選択される基である、請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド。
【請求項11】
ヒトまたは動物体の処置法に用いるための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩。
【請求項12】
新生物性疾患の処置用医薬品を製造するための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩の使用。
【請求項13】
網膜症または加齢黄斑変性症の処置用医薬品を製造するための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩の使用。
【請求項14】
VEGF受容体チロシンキナーゼ活性の阻害に応答する新生物性疾患の処置法であって、該疾患に対して有効な量の請求項1〜10のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドまたはその互変異性体の医薬上許容される塩を、かかる処置を要する温血動物に投与することを含む方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩、またはその水和物もしくは溶媒和物と少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む医薬製剤。
【請求項16】
式I:
【化7】


[式中、Xは低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルイミノまたはハロゲンであり、残りの記号R、R、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して請求項1で定義された通りである]
で示されるアントラニル酸アミドの製法であって、
式II:
【化8】

[式中、R、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して定義された通りである]
で示される化合物と式III:
【化9】

[式中、Xは低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルイミノまたはハロゲンであり、Rは式Iの化合物に関して定義された通りである]
で示されるカルボニル化合物を還元剤存在下で反応させること;
式IIおよびIIIの出発化合物は、必要であれば官能基が保護された形で存在していてもよく、かつ/または塩形成基が存在し、かつ、塩形態での反応が可能であれば塩の形態で存在してもよいこと;
式Iの化合物の保護された誘導体では保護基を除去すること;さらに所望により、得られる式Iの化合物を式Iの別の化合物またはそのN−オキシドに変換すること;式Iの遊離化合物を塩に変換すること;式Iの化合物の得られる塩を遊離化合物または他の塩に変換すること、
を含む方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
RおよびRはH、ハロゲン、アルキニル、アルケニル、アルキル(各場合において非置換であるか、またはハロゲンにより置換されている);
非置換または置換単環式または二環式アリール;
O、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換または置換単環式または二環式ヘテロアリール;
少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリル;
モノまたはジアルキルアミノ(ここで、このアルキル基は非置換であるか、または非置換もしくは置換アリール、O、NもしくはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非置換もしくは置換単環式または二環式ヘテロアリール、または少なくとも1個のN原子を有する非置換または置換ヘテロシクリルにより置換されている);
非置換または置換ヘテロシクリルカルボニルアルキルアミノ(ここで、このヘテロシクリル基は少なくとも1個のN原子を含む)であり;
はH、ハロゲン、非置換もしくは置換C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシ、または基−O−(CH−CF、(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
はペルフルオロアルキルであり、
はHまたはハロゲンであり、
Xはヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、式I’:
【化2】

(式中、GはCHまたはNHであり、Rは水素、アルキルまたはアリールである)
で示される基、または式I”:
【化3】

(式中、Rはアルキルまたはアリールである)
で示される基であり、
ZはNまたはCHであり、そして
メチレン基はピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、そして、ZがCHであり、RおよびRが双方ともにHであり、Rがトリフルオロメチルであり、Xがブロモまたはヒドロキシであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の4位の炭素原子においてピリジル部分と結合している
で示されるアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項2】
RがH、ハロゲン、アルケニル、アルキル、ピリジルアルキルアミノ、モルホリニルアルキルアミノ、アルキルピペラジニルアルキルアミノ、アルキルピペラジニルカルボニルアルキルアミノ、フェニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、アルカノイルまたはアルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0、1、2または3である)であり、
がペルフルオロアルキルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、イミノ、アルキルイミノ、ハロゲン、式I’(式中、GはCHまたはNHであり、Rは水素またはアルキルである)の基、または式I”(式中、Rはアルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジル部分の2、3、4または5位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、そして、ZがCHであり、RおよびRが双方ともにHであり、Rがトリフルオロメチルであり、Xがブロモまたはヒドロキシであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の4位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項3】
RがH、ハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、C2−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、低級アルコキシまたは基−O−(CH−CF(ここで、nは0または1である)であり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがNまたはCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、Zが窒素であり、Xがヒドロキシまたはメトキシであれば、RはHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、また、ZがCHであり、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、そして、ZがCHであり、RおよびRが双方ともにHであり、Xがブロモまたはヒドロキシであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の4位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項4】
RがH、ハロゲン、アリル、3−メチル−ブテン−2−イル、プロピル、エチルアミノ、ピリジルエチルアミノ、モルホリニルエチルアミノ、N−メチル−ピペラジニルプロピルアミノ、N−メチル−ピペラジニルエチルアミノ、N−メチル−ピペラジニルアセチルアミノ、ベンジルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、ホルミルまたはアセチルアミノにより置換されている)であり、
がH、ハロゲン、プロピル、プロピニルであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHまたはハロゲンであり、
Xがヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、
式I’(式中、Rは水素または低級アルキルである)の基、または
式I”(式中、Rは低級アルキルである)の基であり、
ZがCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジル部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、
ただし、RがHであり、Xがヒドロキシ、低級アルコキシまたは低級アルキルチオである式Iの化合物において、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の3位の炭素原子においてピリジル部分と結合しており、そして、RおよびRが双方ともにHであり、Xがブロモまたはヒドロキシであるならば、RおよびRは双方ともにHではなく、この場合、メチレン基はピリジル部分の4位の炭素原子においてピリジル部分と結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項5】
Rがハロゲン、低級アルケニル、低級アルキル、ピリジル低級アルキルアミノ、モルホリニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニル低級アルキルアミノ、低級アルキルピペラジニルカルボニル低級アルキルアミノ、フェニル低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノ、チエニル、ピリジル、フラニル、チアゾリル、ナフチルまたはフェニル(非置換であるか、またはトリフルオロメチル、フェニル、低級アルカノイルまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている)であり、
がHであり、
がトリフルオロメチルであり、
がHであり、
Xがヒドロキシまたは低級アルコキシであり、
ZがCHであり、そして
この場合、メチレン基はピリジン部分の3または4位の炭素原子においてピリジル部分に結合している、
請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項6】
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[2−ブロモ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピニル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−(1−プロピル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド塩酸塩、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピニル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−プロピル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[2−(1−エトキシエテニル)−4−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(2−アセチル−4−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[(3−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[2−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロプロポキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−トリフルオロメトキシ]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチンアミド、
2−[[6−メトキシ−3−ピリジニル]メチル]アミノ−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[[(1,6−ジヒドロ−5−ブロモ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ]−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−[(6−メトキシ−5−フェニル−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(6−オキソ−5−フェニル−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−アリル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−プロピル−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−アリル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−プロピル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−エチルアミノ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−[(5−エチルアミノ−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({6−メトキシ−5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−({5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル}−アミノ)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[3−(アゼチジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]アミノ−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド、および
2−{[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−ピリジニル)メチル]アミノ}−N−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]ベンズアミド
から選択される請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド、
またはそのN−オキシドもしくは互変異性体、
またはかかるアントラニル酸アミド、そのN−オキシドもしくはその互変異性体の塩。
【請求項7】
およびRがHであり、RがCFであり、ZがCHであり、XがOHまたはOMeであり、
メチレン基がピリジン部分の3位の炭素原子においてピリジル部分に結合しており、そして、
Rが次の基:
【化6】

から選択される基である、請求項1に記載の式Iのアントラニル酸アミド。
【請求項8】
ヒトまたは動物体の処置法に用いるための、請求項1〜のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩。
【請求項9】
新生物性疾患の処置用医薬品を製造するための、請求項1〜のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩の使用。
【請求項10】
網膜症または加齢黄斑変性症の処置用医薬品を製造するための、請求項1〜のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩の使用。
【請求項11】
請求項1〜のいずれか一項に記載の式Iのアントラニル酸アミドまたはそのN−オキシドもしくは互変異性体、またはかかる化合物の医薬上許容される塩、またはその水和物もしくは溶媒和物と少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む医薬製剤。
【請求項12】
式I:
【化7】


[式中、Xは低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルイミノまたはハロゲンであり、残りの記号R、R、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して請求項1で定義された通りである]
で示されるアントラニル酸アミドの製法であって、
式II:
【化8】

[式中、R、R、R、RおよびZは式Iの化合物に関して定義された通りである]
で示される化合物と式III:
【化9】

[式中、Xは低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルイミノまたはハロゲンであり、Rは式Iの化合物に関して定義された通りである]
で示されるカルボニル化合物を還元剤存在下で反応させること;
式IIおよびIIIの出発化合物は、必要であれば官能基が保護された形で存在していてもよく、かつ/または塩形成基が存在し、かつ、塩形態での反応が可能であれば塩の形態で存在してもよいこと;
式Iの化合物の保護された誘導体では保護基を除去すること;さらに所望により、得られる式Iの化合物を式Iの別の化合物またはそのN−オキシドに変換すること;式Iの遊離化合物を塩に変換すること;式Iの化合物の得られる塩を遊離化合物または他の塩に変換すること、
を含む方法。

【公表番号】特表2006−511518(P2006−511518A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558075(P2004−558075)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014086
【国際公開番号】WO2004/052884
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】